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「新しい関係性をもつ建設産業」と 建設労働組合の運動の方向

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「新しい関係性をもつ建設産業」と 建設労働組合の運動の方向
全建総連結成 50周 年記念事業 公募論文 「 明 日の建設産 業」
「新 しい関係性をもつ建設産業」と
建設労働組合 の運動の方 向
長野県建 設労連 松 筑建 設労働組 合
組合員 児 工 新 時
論 文要 旨
建 設 資本 は、建設労働 者 の労働 を制御 し、資本 制生産 工 程 に組み込 んだ建 設生産
「資本 と労働 」という三 分
に移 行 している。その結果、これ までの建 設産 業 とは違 つた、
された「新 しい関係 性をもつ建 設産 業」が 出現 していると考 えている。
この認 識 が無くしては、今 日の建 設産 業 の理解 も闘 いの方 向を構築 ずることもできな
い。現在、金建総連と建 設労働運 動 が浮遊 している原 因は、ここにある。
自分 自身 の反 省 を含めて言 えば、建設産 業 の労 働組 合 であるにも係 わらず「建設労
働 」を直 視 して、生産 工 程 の変 化 の本 質を見抜くことができていなかった。
建設生産 全 体 で技能労働 の領域 が縮 小し、建 設労働 が変形させられ てきた。現在
の町 場 の困難、住 宅 資本・野 丁場の厳 し過ぎる労働 条件 の根底 には、建設 資本 によっ
てつくりだされた建設 生産の変 化、労働 の変化 がある。
自らを「職 人 」と呼 ぶ 建設 労働 者 にとって、身 に付けた労働能 力を無用のものにされ
ることは、無用 な人 間といわれることに等 しい認 めがたい屈辱 である。しかし、その方 向
に進 んでいる。
「労働 」をめぐる闘 いを、というと
「打ち壊 し運 動」をイメージされてしまうことすらある。
そして 1970年 前後 、多くの産業 で、労働 者 がこの蘭 いに敗れ た原 因は、生産過 程 と
労働過 程 の変化という本 質を見 抜けなかったことにある。全 建総 連は、その教 訓 から
学 びとり、労働 権 を基礎 とした労働 を見据えた運動 を構 築 しなければならない。
もうひとつ、全建総連 は労働 組 合 として異色 である。だがそれは、建 設労働 者 の(意
識 的 な社 会 )と してみた時、きわめて当然で健 全 な産 業別 労働 組 合である。
そのさらなる発展 のため、職 人 の社 会を母 体 とした (社 会としての労働 組 合 )の 視 点
を提起 する。
以上を、検討 しながら全 建 総連 の運動 の方 向を提 示する。
なお、作 成 にあたっては、内山節、熊 沢誠 、小 川登などを参考にした。
全建総連結成50周 年記念事業 公募論文 「明 日の建設産業」
「新 しい関係性 をもつ建設産業」 と
建設労働組合の運動の方 向
は じ め に
I.新
Ⅱ.労
しい 関係 性 の 建 設産 業」 の 出現
■
■
口
■
■
1
日 ■ ■ ■ ■2
働 か らみ た建 設 生 産 の現 段 階
建設労働の現段階
技能労働 の排除と領域 の縮小
住宅部 材へ の依存とマニュアル化
建設労働の独立性と継承 が断たれる
生産工程に従属する技能労働 に変形した
職 人 労働 とは
Ⅲ .協 業労働 か ら資本制 生 産 工 程 に
・ ・ ・ B・ 5
「商品」の生産工程
協業労働 の生産 工 程 主役は労働
主役は「生産工程」
「作業管理」と
「職制制度」
『建築商品』の生 産 工 程
建設産業政策大綱から
Ⅳ .資 本制 生 産 工 程 の 完結 をめ ざす
B■
新 「 職 制制 度 」
■ ●9
現場の作業を直接管理するしくみ
「職長」職制 の機能
V.職
「職長 の職制化」を許さず、労働 の側 に
資本 の戦略 は、労働 者を分断する
なぜ資本は、労働集 団の長をねらうのか
資本 の計画を進める基礎があった
他産業 の教訓
■■ H日 15
長クラス を組織するのは、全建総連の急務
「職 長の会」の重要性と強化
「現 場 のことは現 場 でなけれ ばダメだ」
つくる
労働側から賃金・単価の公開「相場」
Ⅵ .建 設 労 働 力 市 場 の 流 動 化 と建 設 労 働 の 社 会
「丁場」について
日 ■■日17
全建総連と建設労働者の性 格議論
建設労働の社会
(社 会としての労働組 合 )の 重要性
Ⅶ . 「新 しい関係性 の建設産業」 と<職 人社会 >
■ 日 ■ ■20
Ⅷ . 「新 しい関係性 の建設産業」 での問 いの方向
● 日 日 田22
労働権の確立
建設生産に技能労働の力
住宅 市場 の闘 い
労働協約 について
もう "町 場 だけ"は 通用 しない
あとがきにかえて
全建総連に苦言を呈す
・ B B B ・ 28
は じめ に
建設労働組合の資本に対する力はどこにあるのか ? それは数だけではない。建設
労働者の持つている労働能力である。大きな労働組合の眼からみていると、なにか「数」
が「力」をもっているように錯覚をしんヾ
ちである。
しかし、労働組合の本当の力は、組合員の一人ひとりである。それも建設労働者の場
合は、絶対にワン・オブ・ゼムではない。一人ひとりが自分の労働能力だけで世の中と向
き合つて生きている人 々である。この生産をする労働の力こそ、労働者の力である。建
設労働者を支えてきたのはく技能を絆とした社会 〉である。全建総連は、このく仲間の社
会 〉を母体とした(意 識的な仲間の社会〉
が① 労働組合の形をとっているものだと思つ
ている。
あ らか じめ執筆者 の経歴 を書 いてお くと、
1968年 に東京土建一般労働組合世 田谷支部 の書記 とな り日雇 い健保擬適廃止反対聞争前
か ら全建総連や建設労働者 の運動 に参加。 1974年 か ら他産業 労働者 を経験 したのち名古
屋、東京でツーバイ フォーや在来 工法 の建築請負 と建設労働 に従事。途 中 1977年 に 「日加
住宅会議 ツーバ イフォー技能者研修」でバ ンクーバー職業訓練短期大学 に。 1981年 よ り
東京土建本部 の書記 として政策 ・組織活動に従事。 1989年 、建設技能 を軸 とした運動 を
地域社 会 とのかかわ りを含 めて考 える必要を感 じて地縁血縁 の ない現在 の長野県の過疎中山間
地 に家族 とともに移住。
1990年 に技術 専門校で溶接技術 を習得 して現在 の薪 ス トー ブの製作 と設置業を創業。 こ
の間 5年 間技術専門校 の講師 も務 めた。現在仕事では、建築家、個人か ら受注 して全 国 のスー
パ ーゼネ コンか ら住宅メーカー 、地域 工務店、個人宅まで様 々 な丁場で施工をしてい る
。
現在、長野建設労連
松筑建設労働組合 の組合員である。
今 回 これ を書 く私 の立 場 は、私 自身 が 建 設 労 働 者 としてまた全 建 総 連 の 組 合 員として建 設
労働 運 動 を発 展 させ なけれ ばならない 当事 者 であること。もうひとつ、現 在 全 建 総 連 書 記 局 や
全 国 の組 合 の書 記 に擬 適廃 止 反 対 闘争 を経 験 した者 がいなくなつてきた状 況のなかで、書 記と
して経 験 してきた現 役組 合 員 として率直 なことも書 かねばならない立 場 だとも思つている。
私 たちは 、労働 者 で実践 家 であって学 者 ではない。私 たちに必 要 なものは、
「学 問 的議 論 」で
も組合 へ の追従でもなく、運 動 の前 進のために有効 な労 働 者 自身 の理論 だと考えている。
「新 しい関係性 の建設産業」の出現
これ までの建 設産 業 は、建 設 業 法 にあるようにスーパーゼネコンから一 人親 方 まで、
1
「同じ建設業」
大小業者も建設労働者も含めた、
としてある
種の
『 共営共存』の関係性をもつものであった。
建設産業は「生産が技能労働によって行われる」という
「 同 じ建 設 業 」
/ス
ー パーゼ ネ ヨン
ゼネ コン
サジヨン/
エ覇 宿
` \∫H奮 彗
制約から技能労働を結びつきとして、さまざまに、例えば野
丁場 のスーパーゼネコンと町場の大工が棲み分け、元請
けも下請けも同じ建設業同士として、親方と職人は、事業
`
労 働 に よる生 建
/
労 働 に よ る勢 凸 の再 生 産 と招 云
■方 ・ ■ 人
見冒い
主と使用人というより師弟や共に働く仲間としてであった。
意識 のなかにも、たとえ重 層下 請 関係であつても、どこかに持 ちつ持 たれ つというものが
あり、鹿 島建設 が大 会社 だろうが俺 だって工 務 店を張 つているさ、というものがあった。
しかし、今 日それが「資本 と労働 」という三 分 した関係 の 「新 しい関係性をもつ建 設産
業 」に変わ つた。
この変化は、建設 資本
(以 後、建設資本・住宅資本とこれに関連した資本のこととして)ん ヾ
、建
設生産 工 程 から技 能 労働 を排 除 して資本制 生産 工 程 として確 立し、労働を「労働 力商
品」として純 化させた結 果 つくりだされた。建 設 資本 は、建 設 生産 をこれ までの「労働 者
「建設 資本 の生産 工 程 による生産 」に変 えて、生産から
の技能 労働 による生産 」から
「労
働 の制約」を取り除 いた。②
そのことは、これ まで「同 じ建 設業 」が作 られていた「技能労働 による生産 」という制 約
がなくなり、技 能労働を労働 者 の恨1に 残 して、資本 と労働 は三 分 され た関係 になり建 設
産 業 は、この三 分され た関係性 をもつものに変わることになる。
「建設資本と建 設労働 」、 「建設 資本
建設産 業 は、どのような切り口からも、例 えば、
と技能労働集 団」、 「資本制 生産 工 程 と労働 力」、「資本制生産過 程 と労働者 の労働
過 程 」、「資本 による建 築物 の
『 商 品生産』と協 業 的労働 による使用 価 値 としての建築
生産」、………という、三 分 した関係性をもつものになつた。
今 日の建 設労働 者 の厳 しい賃 金 ・労働状 況も、町場 のかかえる困難 も、全建 総連 の
無 力感、日 々の労働 で感 じる違 和 感も、建 設 資本 によってつくりだされ た、建 設産 業 の
新 しい関係 性 のなかで生じているといえないだろうか。
筆者 注
フォーデ ィズム は、本来 は生産工程 だ けでな く社 会的制度 まで含む概念 で あるが、 ここで は 、
生産 システ ムの もの として使用す る
Ⅱ
労 働 か らみ た 建 設 生 産 の 現 段 階
建設生産は、この約 50年 間の①技術革新による技能労働の排除と変形、それを基
礎とした②資本制生産工程の成立と科学的管理技法の導入により、現在この2つ を結
合させた資本制生産工程の完結をめざす最終段階として作業管理体制の確立が進め
られている。
建 設 労働 の現 段 階
技能労働 の排除 と領域の縮小
プレカットが普及し、それも図面を渡せばプレカットエ場で木拾いから番付をして、構造
材だけでなく羽柄材、造作材も加工をしたのが現場に届くようになった。大工の仕事は、
それを組み立て取り付けることになった。
在来工法でも耐震性強化、金物使用など技術基準、作業標準がつくられ、各種建築
資材の規格 が定められたことで施工は基準化されて、構造や施工状態のチェック基準
「誰 がやつても同じ仕事」ができ、
「誰で
も明確化された。これにより、現場施工技術は、
も施 工のチェックができる」方向に速度を速めている。専門工事も認定を受けた資材の
多用 で施エマニュアルに従つて施工するようになった。
建設の生産 工程 から技能 が排除され,残 された技能も資本が必要とナるものに変
えられてきた。
部材へ の依存 とマニュアル化
「職 人さんの負担を軽減して、現場の仕事に専
住宅メーカー、資材・部品メーカーは、
念していただき、コストが削減できる。」などとうまいことを言う。
しかし、施 工の合理 化は、木取り、手板 描 き、墨 付け、造作 ……などの密度 の高 い技
能 労働 の部 分、重要 な部分 から技術 革新 や二 次製 品化 などサブシステムヘ の外部 化
が進行 してきている。専 門 工 事 でも同じである。身体を使 つて働く部分、害1の 悪 い部 分を
建 設 労働 者 が担 うことになり、働 いても疲 れ るばかりで手 間 にならず、技 能 はやせていく
結果 になっている。
くわえて、周縁 の他業種 工 事 までもおこなう便利 な「多能 工 」に変えられようとしている
建 設 労働 者 の方は、下 ごしらえや置 き場 もいらなくなって「プレカットの方 が正 確 で建
舞 いも早く終わる」などと喜 んでいるが、その分だけ仕事 は減 り、標準 化 、住 宅 部 品化 は、
労働 者 が部材 やマニュアル 従 って作業 をする訓 練 となっている。
建 設 労働 の 独 立 性 と継承 を断 たれ る
弟子入りをして最初は現場 の釘 ひろい、掃除、やがてキザミをさせてもらえるようになり、
「手板描き」
「墨付け」をまかせられて一人 前 になるといったことが、過 去の話になった。
それだけでなく、プレカットをあたりまえとして育ち、木拾 い、手板を描くこともなかった大
工は、か つての大 工 棟 梁 とは違 う大 工 。自分 が建 てている住 宅 の構造や建築 工 事 全 体
をみることができない、細 分化 された作 業をする大 工工 事 作業 員となっていく。この時彼
の労働 能 力は、届けられ た材料を決められた方法でいかに早く正 確 に上 手く組み立 てし
て取り付けられ るかという範 囲 に狭 められ る。プレカットやダンボールに包 んだ部材 がなけ
れ ば、彼 は「大 工 」としての労働 ができないただの人になってしまう。専 門 工 事 職種 でも
同じである。
別 な云 い方をすれ ば、修 行 をして親 方 からは「独 立 」しても、住 宅メーカーや資 材 メー
「独 立 」して働 くことができなくなっている。
カーから
生 産 工 程 に従 属す る技 能 労働 に変形 した
技 術革 新 によって技能 労働 の領 域 は縮 小 し、標準 化、部材 化、マニュアル 化 によっ
て技術 に従 属 するものになり、独 立 性 を失 い、継 承 を断たれ た建 設労 働 者 の技能 は、
資本制 生産 工 程 に組 み込まれ 、従属 するものになった。
技能 は働 いて熟練 し、職 人の人 格を豊 かにずるものから、使 い潰され、疲 れ 、すり減り
人 格 から切り離 されるものになった。
職 人 労 働 とは
建設労働 者 は、自らを「職 人 」と呼ぶように、
『職 』=技 能 と
『 人 』=人 間 が一 体 となった
労働能 力で働き、その労働 を通 じて人 格をつくりながら生きてきた。
「会社 Jに 備 わつているシステムや設備 がなければ働くことができない。
サラリーマンは、
ところが、職 人の労 働 能 力 =技 能 は、非組 織 的なもの、私 的なもの、個 人 財産 で、どこ
でも通 用する普遍性をもつている。
職 人労働は、労働 の質 が労働 自体をとおして経験 的 に伝達 され 、修得 されるものであ
り、生産全 体を見渡ナ ことができる労働である。③
同 時 に、職 人 労働 は、それ を使 う生産 があること、ひとりではなく集 団 として、またそれ
が他職種 と協 業することで存 立することができるものである。
職 人労 働 が存 立 する基盤 には、あとでふれる<職 人の社 会 >が ある。
「職 人の技 能 がなけれ ば、建築 物 ができない」ことにある。
建 設 労働 者 の 力と誇りは、
人のくらしに役 立 つものを自分 の技 能 で作ることができ、技 能 を磨 くことが、自分 自身を
高 めものであることにあった。いかに有 能な設計 家 であっても、巨大 なゼネコンであっても、
自分 たち職 人がいなけれ ば、職 人の技能 がなければ、建築 物をつくることができない。
しかし、今 日の職 人労 働 は、大きく変形をしたといえないだろうか。
Ⅲ
フ ォ ー
デ
ィ ズ
ム
協業労働 生産 か ら資本 制 生産 工程ヘ
「工 法・機械・設備・資材など」と
「労働 」で構 成され 、それを「現場」
建設 の生産 工 程 は、
として構築 ナる。
協業 労働 の生 産 工 程
主役 は 労働
町場などの協 業 による建 設生産 では、職 人の労働 を主体とした生 産 工 程 が構 築 され
る。大 工 棟 梁 の差 配 のもとで 自分 たちのもつ技能 に合わせて工 法、資材 が準 備 され 、各
工 事 はその職種 の技能 にゆだね られ 、その中の裁 量はそれぞれ に任 せられ 、労働 集 団
の内部 の「労働 内的管理」でおこなわれる。④
技能 によつて道具 や機械が使 いこなされ 、資材 が加工されて建築物は、使用価 値 とし
てつくられていく。
つけくわえれば、プレカットや住 宅部 品など技術革 新 は、容赦 なく
「町場」にも入つてい
「遅れ たくない」と積極 的 に取り入れている面すらあ
る。激 しい市場競 争 のなかで、むしろ
る。そうした技 能 の外 で開発 され 作 られ たものであつても、生 産 工 程 の主体 である労 働
によって取り入れ られ使 いこなされ ているうちは、資本 の生 産 工 程 としては部 分 的 にしか
「トロイの木 馬」として労
展 開 しない。しかし、逆 に労働 がそれに依存 するようになった時、
働 や協業生産を内部 から崩壊 させる。
「商 品」 の生 産 工 程
主役 は 生 産 工 程
「住 宅を商 品として販売ずる」といわれるように、建設・住 宅 資本 は、建築物を
『 商 品』
として生 産する。
商 品生産 では、最 大利益 をめざす生産 性 の向上は至 上 命題 である。もちろん利益 の
「労働を安く買 い叩く」方法があるが、これには限
獲 得 には、現 在も盛 んに行われ ている
界 がある。もし限度 を超 えれば労働 者 は、労働 の質 を低下させ 、働くことを拒 否するよう
になってしまう。
それでは、同 じ金額でもっとたくさん働 かせることができれ ばいいのだが、職 人や協 業
労働 の生 産 では、生産 ― 労働 の 方 法 は労働 者 にしかわ からない。また、生産 が、労働
者 の技能 に依存 して行 われる場 合、工 法・機械 ・設 備 '資 材 なども生産 物 の 品質も
「労
「労働 の意 思」に制約 されて規 定 され てしまう。例 えば、どんなにいい機械 や材
働 の質」
料 を集 めても最 後 のどれ だけ作 るか、どうやって仕事 をするのかと出 来具 合 は、労働 者
の腕 しだいということになる。
そこで考 えられ たのが労働者 の技能 によらないで生 産 する方 法 である。その代 表 的な
ものが 自動車 工 場 のベ ルト コンベァ'シ ステムである。生産 工 程 はコンベァ・ラインとして
つくられ、部 品を取り付けていけば自動車 が生 産できるように構 成されている。労働者は、
コンベ アが人間 の手 仕事 として残 しておいた作 業を行う。作 業 は可 能 な限り単 純 化され
ている。誰 でもできる労働。慣 れは必要 だが、熟練 はいらない。部 品 が改 良され て組 み
立て作 業 が一 つ減れ ば、労働 者 は一 人 いらなくなる。現在 問題 になっている派遣 労働
を思 い出せばいい。
これならば、技能 労働者 も労働 集 団もいらない。労働 者 の顔 色をうかがう必要もない。
与えられた作業を決められた手順で機 械 のようにこなす人がいればいいだけである。
製 品の質 をよくするには、ラインを工 夫し、取り付ける部 品の質を上げ、安くするには
部 品の質を落 とし、コンベァの速度を早くすれば、労働 者 の動きも早くなりそれだけ多
くの製 品を作ることができる。自動車 を作 つているのは、労働 ではなくなるのだ。
「労働 によって生 産 がされ る」というこれ までの常識 から、
「生 産 工 程 が生 産 する」こ
とに変わった。
『 建築商 品』 の生 産 工 程
建 設生産 の場合 、単 品受注生産 、現 地屋外生産といった特性 と工 法、資材も多種 多
数 でその作業も多様 になることから、建設労働 者 の持 つている技能 に依存 する部分がま
だ多く残る。しかし、建 設資本 にとっては、この「労働 の制約 」を取り払うことが必要 となる。
これまで、建 設 資 本 は技 術 革新 によって技 能 を使わない工 法 にして、プレハ ブ化 して
工 場 で造る、部 材部 品化 して取り付けるだけにする。規格 化 して作業 内容 を統 一 させる。
作業標準 をつくり、作 業 方法を決めるなどで技能 できるだけ排除 し、また使 う技能を限 定
するようにしてきた。その典型 が、プレハブ化や部 材 の工 場生産化 である。
そうした結 果、ベ ルト コンベァこそないが、建 設生産 は、現場を材 料 と労働 力をもっと
も効率 のよい工 程 に配置 した資本制 生産 工 程 として展 開するようになった。
しかし、それでもまだ現 場施 工の 多くの部 分 に技能 に依存ずる部分が残 る。
そのため、住宅資本は、現 場施 工 部分 を専属の工 務 店 に下請けに出す。野 丁 場なら
ば工 区や躯 体 など工 事 ごとに区分 けして労働 集 団 である下 請け・孫請 け業 者 に下請 け
させるなどの方法をとってきた。
つまり生 産 工 程 のうち工法 、資材 と図面、施 工 方法を指 定することで労働 を制 御 でき
るようにして、現 場 作業 内容 を決 めて労働集 団 に発注 して、作業 の管理 は労 働 集 団 の
長 にさせ る方法である。
ところがこの方法 では、現 場 の一人ひとりの作業を直接 管理 できないだけでなく、労働
「労 働 内的な管理 」が残 る。当然 ながら労働 集 団 では、元
集 団 の長 を通 して行うという
請けの利 益や 論理 よりのなかまの利益 と絆 が優 先 されてしまう。 労働 者 は、労 働 集 団
に就 職 し、親 方 や熟 練 労働 者を核 とした「仲 間 の社 会 」のなかで仕事 だけでなくその文
化を身 につける。労働 者 は、元請 けの指示 より親 方 の指 示を優 先 し、元請 けに褒 められ
るより、仲 間 に仕 事を認められ たことを誇りにする。
つけくわえておけば、全 建総 連という組 織 は、労 働組 合 である前 にこうした「仲 間 の社
会」である。
「作 業管理」 と「職 制制度」
「労働 の制 約 」を取り除 き、
これまで建 設 資本は、
「労働 を制御 」する技術 的 な生 産 工
「21世 紀建 設産 業 ビジョ
程 は完 成 した。そして、残 る現 場 労働 の完全 支配 をめざして、
「生産 性 向 上 」や「 自主管理」として下請け業者に「作業 管理 」の強化
ン」など度重ね て、
をさせてきた。
「労働 の制約」は
しかし、現場 の作業管理 を下 請 けの労働集 団 に任 せていたのでは、
なくならない。
「作業管理」が必要 である。作 業管理
建 設 生産 の資本 制 生産 過 程 を完 結するには、
とは 、労 働 者 が 決 められ た作 業 方 法 を守 り、ミス を犯 さないように現 場 で指 示 し監 視 監
督 することである。
そして、その「作 業 管 理 」をするしくみが「職 制 制 度 」である。
「職 制 制 度 」による
「作 業 管 理 」の 完 成 によって生 産 工 程 は完 結 し、技 能 労 働 を単 純
労 働 力 に入 れ 替 えることができる。
建 設 資 本 側 の 言 葉 で ま と め る と 建設産業政策大綱 1995年
『 生産性 の 向上 を 目指 して機械化、 工場生産化が進み、・・ ・ これ に伴 って、建設 技
能労働 の分野 で も大 きな変化が生 まれて こよ う。す なわち、 さま ざまな新 工法 に対応
しつつ 現場 生産 工 程 を効率 的 に進 め るた めには 、 (イ )状 況 の 変化や異 常事態 へ の迅
速 ・ 的確 な対応 、(口 )機 械 の構造や生産 メカ ニ ズム に対す る理 解 、(ハ ))F熟 練者 へ の指
示 ・指導に係 る能力 を要す る新 しい形 の技能 な どが求 め られ ることになる。・・・
よ り基幹的な技能者 としての役割 を担 うためには、「技能」 とい う言葉 で表現 され る
仕事 の 内容 が 、技術 の変化 に対応 して現場 の生産工程 を効率的 に進 める総合 的な仕事
へ と変形 してい く必要 がある。 この よ うな複合化 。高度化 した新 しい形 の技能は 、個
別 の生産条 件 に臨機応変 かつ 的確 に応 じられ る とい う点に特 徴 が ある。 この よ うな能
力 は従来か ら、
領域 であ
った。』
『 技能 の高度化・複合化 とは反対 の極 に、機械 によつて人力 が代替 され る等によ り
技能が非熟練化・ 単純化 してい くとい う方向がある。 こ うした比較的単純な技能労働
力 を幅広 く活用す るため、多様 な労働力 の活用による労働力 の量的確保に重点を置 い
た対策 が必要 となる。』⑤下線は引用者
これ が完成 することで生 産 工 程 は完 結 し、技能 労働は、資本 の生 産 工 程 に埋め込ま
れ 、建 設労働 者 は資本 の指示 通 りに働 き、建 設労働 を非熟 練 化・単 純 化 したものに置
き換えることができる。
それ は同 時 に、建設 労働 者 が無 力化され た代替 え可 能 な「労働 力」としてなお― 層
厳 しい労働条件と無権利 のまま使 い捨 てられることを示す。
Ⅳ .資 本 制 生 産 工 程 の 完 結 を め ざす 新 「 職 制 制 度 」
現場の作業を直接管理するしくみ「職制」
これ までも職制制 度 があったが、それはこれまで述 べてきたように下請 けの協 業 労働
集 団 へ施 工 を任せるなかでの管理 であった。
元 請け―現場 代人 → 技術 者・監督
下請け業者 (職 長 )→ 労働
現 在 すすめられ ている作 業 管 理 は、生 産 工 程 の構 成部 分 として組 み込 んだ現 場作
業を直接 管理 できるようにするものである。
元請け―現場所長 → 技術 者 → 職制 (職 長
労働 者
「作 業 主任 者 」や「職 長 」という呼称 が定 着 をしているように、建 設 資本 による職 制制
度 の改 変は、これまでも行 われ てきた。だが、安衛 法 の職 長 、安全 衛 生 責 任者 は、もと
「 自主管理 」のうえに負担ま
「責任施 工 」
もと労働 安全を目的としている制 度 であること。
「職制 」としては不十分 にとどまっている。
で押 し付けられ る専 門 工 事 業者 の抵抗もあり、
それを教 訓 としたのか、現 在 進 められている
「基幹 技 能 者制 度 」は、まだ人数 的 には
「基幹 技能者 の確 保・育成・活用 に関 する基 本方針 」1996年 により各専 門
すくないが、
工 事 団体 に協 議 会をつくらせて運 営 し、建 設業 振興 基 金 がデー ターベースをつくり、経
審 にも加 点するなど実 効性 のある体制 を資本 の手 の 中でずずめている。全 建総 連 など
労働者 団体を「蚊 帳 の外 」においているのも特徴 である。
「職 長」職制 の機能
職制 の機 能 を明快に示すのが、『 基幹技能者は、熟練 した直接施 工能力に加 え、技
能 の側面か ら一定 の管理能力 を有す る技能者 の リー ダー であ り、技術者 との役割・責
任分担 の もと、 自主管理 もできる上級 の職長 として、現場 の作業管理 で 中核的役割 を
10
l
担 うことを期待 されてい る。」「建設生産システム改革の方向」2007年 ⑥
基幹 技能 者 は、施 工 管理技 士や主 任技術 者 と現場作業 者をつなぐ位置 付けで
│
『 建設工事現場 にお いて職長等 として、おおむね次 の業務 を内容 とし、現場 におけ
る直接 の生産活動において 中核的役割 を担います。
1.現 場 の状況 に応 じた施 正方法等 の提案、調整等。
2.現 場 の作業を効率的に行 うための技能者 の適切な配置 、作業方法、手順等 の構成。
3。
生産グループ内の一般 の技能者 の施工に掛 る指示 、指導。
4.前 工程・後 工程に配慮 した他 の職長 との連絡調整』⑦である。
の役割も基幹技能者のそれに「労働安全上から」をつければ同じようになる。
安衛法の「職長」
重要 なことは、どの資格 を、どの個 別 資本 で、どんな呼称 で「職制 」にするかにかかわ
りなく、建 設 資 本 が生 産 工 程 を完 成 させるために現 場 の職 制 制 度 を確 立しようとしてい
ることである。
「職 長 の職 制 化」 を許 さず、 職 長 と技能 を労働 の 側 に とり もどす
職制 の問題 では、資格 のほかにも『 その処遇 の し方が不明で、資格にふ さわ しい待
遇がされていない。 また、それ らの職務 を遂行す るための コス トも保 障 されていない。』
③、と待遇 などの議論もあるが、建 設労働者 にとって本 質的な問題は、このまま現 場 に
作業 管理 の職制制度 を確 立させて、資本 の生 産 工 程 の完成を許すのか
職長 が建設 資本 と労働 のどちらの恨1に 立 つか
職長をどちらの側 が獲 得するか
!
!
! (仲 間を資本 の根1に いかさない)で ある。
職 長 問題 は、建 設労働 者 にも建 設 労働運 動 にとっても将 来を決 するほどの 問題 である。
(こ
こでは、「職制」としての基幹技能者、職長、作業主任者、班長・・をまとめて「職長」とする
)
資 本 の 戦 略 は、 労働者 の 長 を職 制 に して、 分 断 し、 労働者 をバ ラバ ラに 崩す。
「職長 の該 当者」にあらわれている。
今 回建設資本がねらう新 職制制度 の特徴 は、
具体 的 に誰 が「職 長 の該 当者」なのかを見ると、その現 場 に入つている各職種 の専 門
.
1■
工 事 業者 の親方であり、責任 者 である。それがグループの場 合 はリーダー、一 人の場合
はその一 人 親 方である。もっと具 体的 にすれば、下請け業 者 の○○ 工 務 店 の親方、
△△ 内装工事の社長、X× 設備 工 事 の工 事 主任 、○ ×建築 の一 人 親 方 …・である。
そうして見るとなんと、人 間 としては、協業労働集 団 の長と同じである。ところが、ここで
は資本 の職制 として、資本 の生産 工 程 の下級管理者として位 置付けられている。
資本 の末 端職制 として生産工 程を管理 して資本 の利益 のために働くのと、これまでの
ように協業 労働集 団の長 として資本 と向き合つて仲 間 の利益 を守るのでは、真逆 の立
場 である。
資本 が狙 いをつけた「職 長該 当者」は、仕事にもっとも精通 し、その技 能 から信頼 され 、
建 設労働 者 と現場を束ねる能 力をもち、かつ労働者を雇用、育成する事 業 主あるいは
それ に近 い立 場 の仲 間なかのリーダー 、実 力者たちである。
もしその「職長」が資本 の恨1に 立てば、資本 の生 産 工 程をフルに動 かすために労働 者
を統括できる有能な職制 になる。
その時建設労働 者 は、自分 の親 方や先輩・仲 間 によって集 団ぐるみフルに働 かされ 、
資本 が必要とする労働能 力だけを搾りとられ 、技能を活かすことも豊かにすることもでき
ず、仲 間 のきずなを失つて最後 は一 人ひとリバラバラにされ て資本と向き合わなければ
ならない。
逆 に「職 長」が、建 設 労働 者 の側 に立てば、現場 のなかで長として仲 間 の安全 を守り、
技能労働領域 を守り、利益を守る要 となるだけでなく、団結 した意 識 的な取り組 みで労
働 の領域 取り戻 し、資本 に奪われ た仕 事 の裁量権、現場 の支配権 を蚕 食する闘 いの橋
頭堡であり、リーダーとなる。
なぜ資 本 は、 労働集 団 の 長 を狙 うの か
なぜ今 、資本 は、事 業 主 や親 方 や仲 間 のリーダー、一 人親 方 を「職 長」にして、仲 間
を裏切 るような立 場 に追 い込もうとしているのか ?な ぜ、彼らはこのように矛盾 に満ちた
9“
立 場 に立たされてしまうのだろうか ?
それは、建 設資本 の狡猾 でしたたかなたくらみのためである。
建設資本は、片務 的重層 下請け構造 を温 存 強化 しながら作 業 管理 をすすめ生産 性
の向上 をはかってきた。1980年 代後 半 には一 次・二 次下請 けに「責 任施 工 」
「 自主
管理」として押 し付けるやりかたをしてきた。だが、それはまだ下 請け・孫請 けの業者 ヘ
の管理 であつた。
「下請け業者 の親方」のまま「職制 」にしたのでは、これまで述 べ てきたような「労働
的管理」の限界を越えることができない。
また、技能労働 者 の管理 は、同じ技能をもつものにしかできない。今後、単 純労働 者
に作業 の指示をする場合 にも高 い技能をもっていなければ適切な指 示ができないの
である。
そこで、今 回資本 の計画は、作業管理 では、下請 けの親 方を技術 者 の部下 として「資
本 の職制」にすることで、同じ技能 を持 つ労働 者 にしかできない技能作 業を直接指 示
監督 させる。
一 方で労務 管理 ―労働者の調達 、雇用、訓練といった煩わしい負担と仕事の増減 の
リスクは、いままで通り、下請 けの親 方として被 せるというムシのいい計画 である。
「職長」にして作業管理をさせて生産 工 程を完結 させる。そして親
下孫請けの親 方を
方を「職制 」として引きこむことで協 業労働 集 団を分 断 し弱体化させて、労務供給の役
割 は残 したまま負わ せる。そして次は 「新 しい技能者像」③に入れ 替え、労働 者を単純
労働 者 に入れ替えるのが建設資本 の計画である。現在 問題 になっている 「今 日的一人
親方」⑩もその形のひとつである。
加えてすでにはじまった「基 幹 技 能 者 のデー ター ベ ース化」を突 破 口に、「建設労働
者就業機会確保事業」 2005年 制度化をすすめ、当面 は既 存 の職 人 技 能者 を使 いなが
ら、長 期 的 には労働 カプール をつくる。これは、日建 連「労働 カ プール 化 構想 」1970年
13
以 来 続けられ てきた 「業界に よる人材確保」「新 しい技能者像」①の具 体 化 の段 階 に
入つたこと示すものである。
資 本が計 画 を進 め る基礎 が あ る
先 に述 べたように資本 の都合 だけの身勝 手でムシのいい計画 である。当然 そんなに上
手くはいかないと思われがちだし、思 いたいが、そこには根拠 がある。
これ を可能とする基礎 には、これ まで述 べ てきたように、
「技能 に依存 する生産 工 程」
「生産 工 程 に依存する技能 」へ と逆転 が進 展 していることがある。
から
また、現実 のなかでは、親 方 は技 能 労働 を束 ね る協 業 技 能労働 集 団 の長 から労務
供 給 業者 の狽」
面 が強まっているのである。具 体 的 には、すでに現場 では 自分 たちのやり
方 でする仕事 の指揮 者 から、元 請けが必要 とする労働 者を供 給 し、生産 工 程 で決めら
れ た作業をさせる監督 へ 変わりはじめている。
他 産業 の 教 訓
1970年 頃、多くの他産業でもこうした資本制 生産 工 程 の確 立がす すめられ た。それ
まで大 企 業 でも生産 工 程 の主 要 な部 分 は、労働者 の熟練 した労働で行われ ていた。職
場 には、技能 に優れ た熟練 労働 者 を中心とした労働で結ばれた労働の世界 があつた。
「オートメーション化」とよばれ 、生産 設備 を入れ 替 え、工 場 には生 産 ラインが構 築さ
「合理 化対策
れ 、労働 者 は導 入を「合理 化 反対闘争 」として闘 つた。当時全 建総連 でも
部 」がつくられた。
「労働 」の闘 いは難 しい。労働運 動 のなかにも
「合理 化 反対 闘争 」を「打ち壊
確 かに、
「生
し運 動」と同 じようにみる者すらあった。自分 の労働 で生産をする労働 者 にとっては、
産 」そのものは悪 いことではない。まして生産工 程 が生 産 をして 自分を排 除するなどとは
思 いもつかないことである。
そのため、多くの産 業 で、なかなかその本 質 が見抜 けないままに「大量 生 産 ・大量 消
「時代 の流 れ 」に押 されてつぎつぎと導 入された。それはその後 、事務 管理部 門 にも
費」
14
広がって現在 の社会 になった。
この資本制生産 工 程導 入に反対する運 動 で具体 的な闘争となったのが「職 制制 度導
入反対」であった。
それ は、出来上がった生産 設備 を目の前 にして 自分 たちの熟練 が排 除 され 労働 が無
力化され る実 感 と、働くイ
中間を職制 制 度 で引き裂 かれることを労働 者 の本能 が感 じて、
具 体 的な闘 いとして運 動することができたか らである。
やがて、生産工 程 と職制 制 度 が導 入 され てから、職場 と労働は 一 変 した。労働 の喜
びや 誇りは失われ、熟練 と労働 を絆とした「働くイ
中間 の世 界」は壊 され 、労働 者 はバラバ
「働 く権利 」はどんな配置 転 換 でも受 け入れる「雇 用 の権 利 」に矮 小化され 、
ラにされ 、
職場 は無 機 質 で陰鬱な世 界 になった。
労働運 動 は、労働 の 力を失 い、急速 に衰退 していつた。
こうした状 況を資本 の「労務屋 」ですらこう言 つている。『 私 どもの職場におきま しては、
そ うした技能上 の指導者 が非常に大きな影響力 を持 って職場 の秩序 を形成 してお りま
・・ 。その よ うなオ ピニオンリー ダー としての力を持 つた熟練工、技能上 の指
す か ら、
導者 とい うものが、知的 ロボ ッ トが導入 され る こ とによつて、そ の仕事 を奪われて、
指導力 とい うもの を失 って、オ ピニオン リー ダー としての影響力 を失 った とい うとき
に、 この職場 の秩序 とい うものが ど う変わつてい くのか とい うことは、われわれ労務
屋 に とっては大変大きな関心事です。』兵頭博 「労務屋春秋」⑫
「雇用 」も失 業保 険も老 後 も、なにひとつ安 心 して働き暮 らず 社 会 的保障 もない建 設
「労働 の権利 」をかかげて闘わなければならない。
労働 者 は、
V.職 長 クラス を組織 す るのは、全建 総連 の 急務 で ある
資本 の計 画を打ち砕き、職 長を守 り、建 設 労働 を守る第 一 歩 は、組 合 へ の加入 であ
る。
15
│
先 に述 べ たように、職 長クラスは、現場でもっとも有 力な人たちである。この人たちをい
まだに十分 に組織 していないこと自体 が、全建総連の最 大の弱点である
職 長クラスには、特 に野 丁場 では法 人化 しているか、社 員 になっている人が 多く、協
会けんぽか全 国 土 木建築 国保 に入つている。
同様 に、地 方 には 中小規模 の土 木建 設業 とそこで働く建設労働 者 が非 常 に多 い。こ
うした業者 は、公共 工 事 の受注 や経審 の関係で法 人化 して協会けんぽに入つている。
こうした建設 労働 者をこれまで全 建総連 は、事 実 上「対象外 」にしてきたと言 つてもい
い。また、単 組 によって違うが、組 合費 のなかにさまざまな共 済 費 が組 み込まれ 、
「共 済
は別 に入 つているからいらない」という人にも対応ができない。
これは内部 で解 決 できる問題 である。
「組 合 に入 つて 団結 したい」、だけど国保 や共 済 や労 災はいらないという建 設労働 者
が加入できる体制をつくることが急務である。
こうした問題を早急 に解決 して、職 長 の組合 への加入 を急速に進めなければならない。
これ は全 建総連 と建設労働 者 の命運 のかかった戦 いといってもいい。
「職 長 の 会」 の 重要性 と強 化
職長 問題 でもうひとつ重要 なのは、すでに「建設労働 組 合職長 の会」oと して一 部 でと
りくみ力Чまじまっている職 長 の組 合 内組織である。 ただ、まだ「企業 交渉 の情報 源」とい
う程度 の認識もちらつく。
これ まで述 べ てきたように職 長は、現場 で資本 と労 働 の最 前線 に立たされ 、最 も矛盾
に満ちた立 場 であると同時 に、自分 だけでなく配 下 の職 人や仲 間 が苦 しんでいる状 況を
「職長 の会 」は、こうした組合 員 が 団結する恒 常
最 もよく知 り悩 んでいる仲 間 たちである。
的な組織 として全 国に広げ、徹 底 的 に援助協 力して強 化しなければならない。
「職 長」は、労働 の長 と資本 の職制 という二つの側 面
そして、くれぐれ も大切なことは、
をもたされ ているが、資本 の職制 という恨」
面を一 面化あるいは強調 して対 立 するのは大
16
変な誤 りである。現実 の場 面 では、特 に野 丁場 、住 宅 資本 では、現場 の支配 力は資本
にあり、職長 自身 の生 殺 与奪も資本 に握られ ている。それだけでなく
「職長 」や「職 長 会」
という役 目から、直接 的 に労 働狽1に 立てないこともある。現 場 で、単 純 に対 決する構 図
を作り出す のは、まったくおろかな間違 いである。
職 長 を守り、職 長 が強 固 に労働 の立 場 に立 つことを、建 設 労働 者 と労働 組 合 は、支
えきらなけれ ばならない。資本 によってつけられ た「職 制」の役割 を引き剥 がし、仲 間 の
側 の結 びつきを強め、支えあわなけれ ばならない。万 ―にでも孤 立させるようなことがあ
れ ば、最 も強 い、大切な仲 間 の長を追 い詰 め、資本 の側 に追 いやってしまうことになる。
「 団結 すれ ば 現場 は 変 え られ る。現 場 の こ とは現場 で な けれ ば ダメだ」⑦
と言 つた組 合 員職 長 の言葉 の通り、建設 労 働 の闘 いは、日 々の現 場 のなかでおこなわ
れている。
毎 日現 場 で資本 と向き合 つている組 合 員を支え、現 場 から変えていく強 い意 志と戦
略を全建総連 はもたなければならない。
労働 側 か ら賃金・ 単価 の 公開「相場」 をつ くる
職 長 は、下請 けとして工 事単価 を決めて契約 して仕 事をとる。あるいは請 け負った予
算 に納 めるのに 日々 苦労 している。職 長 は、実 際 の賃 金・単価 をつかんでいるし、相 場
を知りたい。
全 建 総連 で、職 長 たちから工 事単価 の実 態 ,実 勢を集 め、職 種別 、地域 別 、企業別
にデー ター ベ ース化 して「賃 金・工 事 単価 の相 場 」を公 開す る。とりあえずは、会 員制で
もいい。
これは、職 長同士 の情報 交換 を作り、横 のつながりを強化していく運 動 であるだけでな
「賃 金・工 事単価 の相場」をつくる重要 な運 動 である。
く、労働側 から
建 設産 業 では、賃 金・単価 は、資本 とそれ ぞれ の業 者、労働 者 の個別 の交渉 で決 定
され ている。賃金・単価 の決定 に公 のルールー がなく、資本恨Jも 労働恨1も 個別具 体 的な
17
賃金 ・単価 を公 開 で決定していないことが低賃金構造 の温床になつている。
デー ター ベース化と公 開 は、労 働 俣」
から公 開 され た賃 金「本
目場 」を形 成 し、賃 金・単
価 決 定 のルール作りの第 一 歩 として建 設労働運動 に画期をつくることになる。
Ⅵ .建 設労働 力市 場 の 流動化 と建 設労働 の社会
建 設 労働 市場 で野 丁 場 や町 場 の労働 力 の移 動 交流 、流 動 化 を直接 数 字 で示 す統
「流動 化」ともいえるのだが。
計 や資料をみつけることは難 しい。だから
しかし、建 設労働 者 は、仕事 仲 間 の情報 や現場 での 出会 いのなかで人 の流 れ や「俺
は 町場 で修業 した」とか「野 丁 場 の仕事 がうすくなつたからこの現場 に」の会話 や服装 や
仕事 のやりかた、気質 から流 動化 の広がりを知っている。
流 動 化 の原 因 については、建 設技 能 労働 力不 足 、公 共事 業 の削減、住 宅 不況、プ
レハブ・住 宅メーカーなどの住 宅 進 出、地場ゼネコン、専 門 工 事 業 者 などもともと丁場 を
またがった仕事 をしている業 者 が橋 渡 しとなるなどの市 場 的なことのほかにも飯 場 の減
少、野 丁 場 労働 者 の定住 、通 勤・交通 の変化 などさまざまな要 素 や道 筋 があげられ る
だろう。
もうひとつの大きな原 因 と条件 の変化として、これまで述 べ たように技術革新 によって
野 丁 場 と町場 の施 工 技術 が共通 化してきていることがあげられる。
それ より重要なことは、建 設資本 が住宅市場 に出現 するなど従 来 の丁 場や枠組みを
越えて流 動をした結果、建設 労働 市場もそれ につれて流動化をしていることである。そ
れ が「新 しい関係性をもつ建設 業」を促進 してきた。
『 丁場』 に つ いて
「野 丁場」
「町場 」とはなにかということ自体もあまりはつきりしていない。
また、そもそも
もちろんこれ についての研 究や議論 はあるが、(例 えば⑮)tヽ ろいろな切 り回があり、いず
れ が「正しい」などとはいえない。現 に「新 丁 場」⑮を使 つている単 組もある。
「野 丁 場 」
「町場 」というのは工 事 を分類 する概 念 なのではないかと思
筆 者 は、もともと
18
つているが、ここでは立ち入 らない。ただ今 回のように労働 の視 点 から建 設労働をみるた
「丁 場 」の 区分けより、建 築 生産 が資本 主 義 的生産 工 程 でおこなわれ ているか
めには、
「野 丁 場 」と
・
・
「住 宅メーカー 」
「地域 ビル ダー 」と
「工 務 店」
「大 規 模 ビル ダー 」
(い わゆる
に の区分けは①)の 上 層 の部 分 )、 それとも協 業労働 的な生産 工 程 でおこなわれているか
(「
工務店」
のうち年間数棟を家族的あるいは徒弟的労働関係の労働者で施工している)で みていくほう
がよいと思 つている。専 門 工 事 については、さらに難 しさがあるが、規模 、人 数より同様 に
労働 の関係で見た方が、妥 当だと思 つている。
なぜなら、本 質 は、建設 生産と資本 と労働 の関係 がどのようになっているかにあるから
である。
全建 総連 と建 設 労働者 の 性格 議論 と労働 社会
全 建総 連 と建 設 労働組 合 の性 格 については 、結 成大 会 の議 案 にもあるように当初
から組 合 の 内外 から研 究 や議論 がある。また、労働 者 性 については今 日「一 人 親 方 労
災裁 判」をめぐる問題 からみ るように重要 である。
しかし、筆 者 自身 の反 省 を含 めていえば、けっきょくのところそうした議論 は、すでにあ
「労 働 者」や「労働 組 合 」の定義 や規 定 にあてはめて
る
『 理解 』しようとしているのに過 ぎ
ない。むしろ、現 に全 建総連 が
50年 活動 し、建設労働 者 と社会 に支持 され存 在 してい
る事 実 からみるべ きであり、逆 に既 存 の理論 や定 説 に疑 間を向けるほうが正 しいと考 え
ている。既存 の「労働 者 =雇 われ 人 」にしばられた、労働 者 の概 念 についても同 じである。
(も
ちろん、法的社会的に重要な問題であるが、ここでは、労働組合としての基本的な位置だけにずる)
また、労働組 合 ―全 建総 連 の組 合 員対 象範 囲 についても、全 建総連や建設労 働 者
「建 設産 業 で共 に汗をして働 く我 々の仲 間 だと思 える
が主 体 的 に専 決 する問題であり、
かどうか」が基 本 的な基準となる。 労働 者性 についても同じである。
一 応筆 者 の考 えを書 いておけば、もともとある建 設技能 でむ ずびついた(職 人の社 会 )
を基盤 とした (意 識 的な社 会 )が まとまった量 で「既 成概 念 の労働 組 合 」に入 つている
19
「 日本の労 働組 合 という服」が子 供用 に作 られてし
組 織、だと考 えている。逆 に言 えば、
まったので、しかたがなく大 人の労働 社 会 が着 ているようなものである。
「建 設労働 者 の労働 者 性」を巡 る議論 なかでも
ここで議論 に立ち入ることはしないが、
でている他産 業 に 出現 しているこれ までとは違 う就 労 形態 の労 働 者 についてである。こ
の労働 者 たちの「労働 者性」あるいは「労働組合 との適合性」をあわせて考 える時、全 建
れる「労働権」が極 めて重 要 である。
総連 の経験 と後 で心、
建 設 労働 の 社 会
「まとまったままで」入 るには必然 性 があった。建 設労働 者 の生きる<職 人の社 会 >
「雇 い人か雇 われ 人 」程 度 の基準 で分害‖
は、
することができない。分割 すれ ば建 設労働
者そのものが存 立できなくなるのである。
建 設 生 産は、技 能 労働 とその協 業 労働 で担 われ てきた。建設労働 者存 在 も建 設 労
働 も協 業労働 も、受注、雇用 、養成や仕事を差配 する親 方と職 人 、見 習 いのいろいろな
職種 のいる(職 人の社会 )が あって成立し、技能 労働もそこで発揮され 継承 される。
そして、いまなお、〈
職 人の社 会 )は 、技能 の共通 性、社 会 的地位 や処 遇 の共通性 だ
けでなく価 値 意識 の共 通 性 など文化 的 同質性 をもつ 〈社 会 )で あり、現実 の建 設 生産 、
仕事 ,雇 用 の紹 介・斡 旋 などの経 済機 能 をもった建 設 労働 者存在 の基 盤 になっている。
「手仕事 」で生 活用 品を供給 していたさまざまな産 業 が、
『 商 品生産』増 大 のために生
産 だけを特 化した時 、労働 の社 会 が崩壊 し、産 業 そのものが消 減 した例 は,枚 挙 の違 が
ない。
<社 会 として の 労働 組合 >を み る こ との 重要性
労 働組 合 とはなにか についていろいろな見方 がある。そのなかでこれ まであまりみら
れ ることがなかったのが、<社 会としての労働 組 合 >で ある。①
しかし、全 建総 連 にとってこの視 点は極 めて重 要 で有 効 である。ここで詳 細 について
論 じることはできないが、全建総連 自身 が
50年 間 のあゆみのなかで、建設労働 者 と組
合 員 の 労 働 と暮 らしの実 態 のなかか ら、ずでに「建 設 労 働 者 の 自治 的 な社 会 」としての
労 働 組 合 を築 き上 げてきているといえる。それ をさらに意 識 的 に前 進 させ ていくうえで参
考 になるものとしてごく一 部 を紹 介 しておく。
『 労働組合 とはなにか。 それ は 、資本 主 義 の到来 によって ・ ・ア トム として競争社
会 に投 げ出 され た労働者 の 自衛 的 な <社 会 >で ある。資 本 の論理 と機械 の圧力 は、 こ
の <社 会 >の 抵抗 を通 る こ とに よって 労働者 に とって 間接的な もの となる。労働組合
は労働者 と外 部社会 を結びつ けるもの、す なわち労働 の あ りかたをきめる。・ ・・正 し
くそれ は防波堤 とよばれ るの にふ さわ しい。・ 。こ うして 労働者 と外 部社会 とのかかわ
りをきめる一 方、内部的 には労働者 の属す る二 四時 間的な、ひ い ては生涯 的な <社 会
>と なる。・・ 。この社会 は労働す ること、協 同す ることのみ を条件 に加入 した労働者
を平 等 に待遇す る とともに、彼 らの 労働 時間 と非労働 時間にまたがる生活意識 の共通
性 を よ り確 かなもの とした。そ して この 強固に され た全 生活的 な共通性 ・等質性 が 、
外 か らの <経 済 >や <政 治 の要請 >に 抵抗す る力 の強靭 さに転化 され るの である。』熊
沢誠「労働者管理の車の根」
⑦
Ⅶ .「 新 しい関係性 の建設産 業」 と<職 人の社会 >
ここまでふれてきたように、建 設資本 が産 業 の生産 構造 を現代 資本主義的生産様 式
「新 しい関係性 をもつ建 設産 業」が 出現 した。それ は単 に現場 の生産 工 程 にと
に変 え、
どまらず、建 設 労働 者存在 を変え、これ まで建 設労働 者を生み 育 てて支えてきた <職
人の社 会 >を も解 体することになる。
「労働 の意 思」を排 除 し無 力化しつづけてきた。建設 資本
建設資本は、建設生産 から
にとっては、建 設労働 者 は建 設 生産 工 程 に従 つて動作 をする
「労働 力」にすぎず、そし
てその母体である<職 人の社会 >も その「労働 力のプール 」としかみていない。
しかし、自らを職 人とよぶように、建設 労働 者 にとって労働は、単なる
「労働 力」ではな
く、技 能 =人 間 である。その技能 を変形 され 無用 なものとされ ることは、職 人にとって技
21
能 だけでなく人格 =人 間そのものを変形 し無用 なものと否定されることである。
それ だけにとどまらない。厳 しい労働条 件 の 中 で建 設労働 者 が働き生きてこられたの
は、技能 を絆とした (職 人の社 会 )が あったからである。技能 の変容 と、協 業 労働 に依 る
生産の衰 退、労働集 団 の解 体 は、その基盤 である(職 人の社会 〉
を崩 壊させてしまう。そ
の時、建 設労働 者 は、仲 間 の社 会を失 い、職 人である自分を否 定され、代替 え可 能 な
単 なる「労働 力」として、一 人ひとリバラバラに建 設資本 の思うままに使 い捨 てられる。
全 建 総 連は、これ まで母 体 である(職 人の社 会 )に 育 てられ てきた。しかし、これ から
は 自覚 した〈意識 的な職 人の社会 )と して建 設労働 の基 盤となって〈
職 人の社 会 〉を支え
再構 築 していく任務 を負つている。実は、すでに全 建総連は、自然発 生 的 にその役 割 を
果 たし始めている。それを 自覚的、意識 的なものとして展 開 しなけれ ばならない。
Ⅷ .新 しい関係性 の 建設産 業での闘 いの 方 向
労 働 権 と技 能 の 復 権 と 労 働 協 約
「労働力」
建設資本が建設労働を
として純化した結果、建設産業は「建設資本と建設
の二つに分化した関係性をもつようになった。
労働」
労働権 の確立
建設労働運動が、まず確立しなければならない認識 がある。それは労働者の天賦の
である。「第一に 自分の労働をつ くりだす権利、第二に 労働に
権利としての「労働権」
よって生活する権利。」⑬である。それには現段階で建設労働者がまだ手にもっている
「協業労働権」が含まれる。
「我 々は、自分の労働をつくり、そして仲間と共に働いて、生
きる権利がある」ことである。
本来は他産業の労働者もそうであるが、しかし、とりわけ建設労働者にとっては、自分
の労働能力によってどのように働き、どのようなものをつくり、どのような 自分の労働能力
22
を再 生産 して生 きるかを決める権 利 を確信 的 に持 つことがきわめて重要 である。まずこ
の権 利を認 めなくては、他 の細 かな労働 の権利 がいくらあっても労働 者 は、人として生き
てはいけない。日本 国憲法
27条 の「勤 労 の義務 と権利 」は、こうした認 識 のうえに立 つ
│
ものである。
建 設 労働 者 の働く要 求とは、建 設 労働 者 として 自分 の技 能を生 かして働くことを要
求 しているのであって、その意思 に反 して、賃 金さえもらえればいいじゃないかと、例 えば
現場 の掃 除夫 として、タクシーの運転 手 として、介護 で働 ければいいというのではない。
こうした労働 者 の原 点を忘れ た労働 運 動 は、やがて「雇用 さえ守られ れ ば」と労働 の
権 利 を「雇用 の権 利」にすり替 え、労働 者を裏切ることになる。
「労働 権 」を基 礎 に「労働 能 力」を力に「労 働 の社 会」を本 拠
建 設 労働 者 の運 動 は、
地として闘わなければならない。
建 設 生 産 に技 能 労働 の カ
生産 を左右 する力を労働 者狽」
がもつて資本 と対峙する、このことを抜 きにして労働運
動は成 立しない。それは単 に数 ではない。労働 の力を持 つた数 である。
他産 業 と異 なり、建設 資本 の生産 工 程 では、いまも技能 労働 が大きな生産 上の 力を
持 つている。だが現在それは、これまでの量 的変化 が、質 的変化 へ と変わろうとしている
段 階 とも言 えるだろう。もしこのまま手 を棋 いていれば他産 業 のように労働 者 は、生産 に
関与する力を失つてしまうだろう。
のみならず、執 拗 に触 れてきたように、建設 労働 者 にとって技能を活 かして働くことが、
労働 者存在 のありかたがかかった要 求 である。
「職 長 」職 制 化 である。こ
直 面 しつつある「資本 と労 働 」の対 決 の最 前 線 のひとつは、
│
の闘 いを譲 つてはならない。
つぎに、建 設労働 者を排 除する工 法、技 術 などと資 材 の危 険性などをとりあげて、闘
23
│
│
│
うと同時に、労働能 力を高め、再生産 して意 識 的 に労働領域 を取り戻し、生産の支配 力
を蚕食する闘 いを進 めなければならない。
「現場 の労働 安全を守る」運 動 である。これは
もうひとつ、大きく立ち遅れ てきたのが、
本 来安全を確保し、“自分 と仲 間を守る"、 労働 運 動 の原点 ともいえる重 要課題である。
しかしこの直接 的 に現場 の支配権 を闘う課題を、残念ながらこれ まで全 建総連 では「労
災保 険」などの制 度要 求 に縮 小して埋 没させてきた。そうした結 果、逆 に資本 の狽1に 主
「安全 」を御旗にした現場支配 強化 の隠れ蓑 にされてきた。
導 権 をとられ 、
「労働 安全 」は生産 現 場 で資本 と労働 が直接 接する課 題 であり、労働協約 を展望 す
る時、特別な位置を占めるものとなる可 能性 が高 い運動である。
現場からのこの二つの運 動を作り上げていくことが必要 である。
住 宅市場 の 聞 い
住 宅市場 の闘 いは単 なる、住 宅 メーカーと町場 大 工・工 務 店 の「市場競争 」ではな
い。もし市場競争 だけならば、建設労働 者 は工 務 店 が負けたら住 宅 メーカーの現場 で働
けばいいだけである。
「建 設資本 の
・
全 建総連の母 体 でもある町場 のこの運 動を、
『 商 品住 宅』
『 商 品生産』
と技能労働 の協 業労働 による使 用価値 の生 産 」として建築 の本 質を争 うものとして闘 い、
技 能労働 とその協 業労働 生産 体 系を守り拡 大する運 動 として位 置 付けて闘う必要 があ
る。
わかりやすくtヽ えば、住 宅メーカーの
『 住宅商 品』は、企業 が売るために飾り立てている
が、中身 は企 業 の欲 と建 設労働 者 と技能 の嘆きと恨み と涙 が詰まっている。他方、技能
労 働 の住 宅は、造 り手 と住まい手 の関係 性 と時を越 えた技能 の安心 と誇りと汗で建 てら
れ ているものである。技能労働 の価値 を争う闘 いである。
労働協 約 に つ い て
建設産 業 が「資本と労働 」の三 分 された関 係性 になることは、建設産業 のなかのさま
24
ざまな問題 はこの関係性 のなかで発生 し、その解 決もまたこの関係性 のなかで解 決 がさ
れていくことである。
資本 と労働 の両者 が意識 をするかしないかに係わらず、建設産業 のなかで両者 の利
害 が対 立をする結果 として問題 が発生ずるのである。そして問題 の内 容 もその解決 も両
者 の時 々の生 産 上の 力関係 の位置を基本とした結 果 として決まっていく。
これまでの建 設産業は、労 と資 と大 小零 細個 と元下と丁場 など
『 同じ建設業』という渾
然 一 体 とした関係性で成り立っていた。変な言 い方をすれば、およそ現代 資本主義 では
「労働 」の視 点からこの論 文 の前半で一
ない状況であつた。その理 由と変化 については、
れ た。労働 協約 のためには別 に一 文が必要 となるので、ここでは、新 しい関係 性 の
部 お、
建設産 業 は、産 業 全体で資本と労働 という関係 をつくり、労働協 約を実現 する条件 をつ
くりだしていることだけを指摘 しておく。
資本 と労働 は、両者 の対 立だけでなくそれ ぞれのなかに競争をかかえている。その対
立と競 争は、そのまま放 置 していれ ばそれぞれのなかで、あるいは資本 と労 働 が、究極
的 には破壊 的な方法で調整 されるまで進 行をする。
労働協 約 は、労働 と資本 が、それを回避するために意識 的な交 渉 によって調 整 し解
決をするための知恵である。もちろん、交渉 のなかでは、さまざまな軋靭 が生 じるが、けっ
きよくのところその時 々の 力関係の位 置 で決められることになる。その結果を双 方 が合 意
してそれ ぞれ の根」
の内部 で実 行することを契約するのが労働協約 である。つまり、交渉
事、取 引 であつて一 方 だけが得をするものでも損 をするものでもなく、まして「正 義」や「公
正 」を決めるものではない。
賃 金 に限らず、現場 の労 働 安全 や生産 工 程 の構 成や労働 内容・労働 密 度、住 宅市
場 の資本と労働 の市場配 分などすべ てが交 渉 の対 象 となる。
これまで労 働 協約 にとりくむ上で最 大の障 害 になっているのが、労働 と資 本双 方の当
「新 しい関係 性 をもつ建 設産 業」
事 者意識 の欠如 であった。その原 因は、労働も資本 も
25
へ の変化を認識 していないことにある。
こうした状況を切り拓くのは、労働 の側 である。
厳 しい 宣告 を しな けれ ばな らな い “町場 だ け"は も う通用 しな い
!
私 自身 も町 場 の現 場 に入 るとホ ッとするし、町場 の人たちと働くと心 が温 かくなるし、
懐 かしい故郷 にきたような感 じがします。
しかし、この長 い文章 の最 後 に厳 しい宣 告 をしなけれ ばなりません。全 建総 連 の幹 部
のみ なさん、みなさんがすでに肌 で感 じられ てご承 知のように、“町場だけ"と いうのは、
いまや建設産 業 のすべ ての問題 に通用 しなくなっていまず。
新 しい関係 性 をもつ建設産 業 は、建設産 業全 体を"資 本 と労働 "と いう関係 に巻き
込み、町場 という丁場 も労働 も文 化も巻き込 んでしまいました。町場 の単価 ・賃金は、常
に建 設産 業 全体 の単価・賃 金 に影響 され 、単価・賃金 の高 い所 に職 人は流 れ 、安 い所
に仕事 はとられる。町場だけでは決めることはできません。
もうひとつ、この20年 、途 中で世 の 中 は景 気 がよくなりましたが、建設 の単価 も賃 金も
上がりませんでした。景 気が良くなり、
「建 設不 況」が過 ぎれ ば、仕事 が 出てきて、賃金も
上がるというのは、願 いではあるが、思 い込みです。
なぜなら、どんなに景 気 が良くなり、仕事 が 出てきても、建設労働 者 の単価 や・賃金 が
「わたしたちの賃 金はこんなに安 いの
上がらない仕組 みになったからです。昔 のままに、
「気の毒 だから 工 事 費を上 げましょう」と
です。」とお施 主さんに賃 金チラシを配 つても、
「町場 は高 いから、住 宅メーカーにしよう」となるだけです。
いう人はいません。
現在 、賃 金 ・単 価 を決めているのは、建 設 資本 であり、建 設 資本 と交渉 して上 │ザ させ
ない限り相場は上 がらなくなったのです。
はつきり言えば、すでに町場は、建 設市場 でも労 働 市場 でも主 流ではなくなっている、
影 響 力が落ちてしまっているということです。それ は、皆 さんも仕 事 や賃 金 の状 況 から
日々 感じられているとおりでナ。
26
町場 の技 能 や仕事 を守 るのにも町 場 の 問題 を解 決 するにも、建 設産 業 全 体 の 問題
を解決 しなければならない状 況 一時代 になつたということです。
このままでいけば、全建 総 連 がいくら町 場 でがんばっても建 設産 業 にはほとんど影響
力 がない組 合 になります。全 建 総連 自体も野 丁場、住 宅産 業 で働くイ
中間を含 めた建 設
産 業全体 の建 設労働組合 に脱皮 をしなければなりません。
「 日雇 い健 保 と関係
古 い幹 部 の方はご存 じのように、かつて 日雇 い健保 の闘 いの時、
がないじゃないか
!」
という組 合 員 からの意見もありましたが、全 建総連 は、政 管健 保 改
「 日雇 い
悪 と闘 い、社 会保障 闘争を闘 いました。国会闘争 でも、いったいいつになったら
健 保 」という言 葉 がでてくるのかと思 うほどでした。でもそれ は、日雇 い健保 は 日本 の社
会保 障 全 体 のなかのひとつでありであり、日雇 い健 保 だけを闘うことでは解 決 しないこと
「国会でカラスが哺 かない 日があつても、全建 総連 が来な
を知っていたからです。だから
い 日はない」といわれるほど、社 会保障闘争 を闘つたのです。
現 在 の状 況は、それ 以上に厳 しく、建 設労働 者 は新 しい建 設産 業 の関係性 に組 み こ
まれていています。建設産業全体を視 野 にいれた闘 いをしなければなりません。
重要 なことは、技能 の内容 や質、そして仲 間 の結 びつきが、特 に全 建総連 という労働
組 合 に組織 されている建 設労働 者 は強く、数も飛 びぬけて多いということです。
“町場 だけ"を 脱皮 し、この組 織を建設産業全体 に急速 にひろげ、
「真 に建設産業
全体を代表する労働組合」にして、創 設以来 の健保 闘争 や諸 闘争 で培 つてきた柔軟 で
大 胆な闘 いを産業全体で繰り広げるならば必ず、建設労働 者 が輝く建設産業を作 ること
7E 凸
ができると確信 をしております。
27
あとがきにかえて
全建総連に苦言を呈す
今 回 この論 文を書くにあたって大 会議案 、特 に「労働協 約 」の問題 の部 分を読 んで唖
然 とした。そして「労働 協 約 」の課題 をこのように安 易に考 えていたのかと、全建 総 連 の
構 想 力と運動を構築する能 力が低下 していることを知って愕然 とした。
労働協 約 へ の取り組 みを、第
(と
45回 大会議案では「長期 的課 題として」"棚 上げする"
いうのは以後 47回 大会ではその文言すら消え、49回 大会でまた
「学習から」
としている)こ とを決め
た。理 由としてあげてある三 点①は、いずれももともと労働 協 約を実現 していくためのあた
りまえに課題 であり、しかもす べて全 建総連 が本 来取り組 んでいるはずの課題 である。
労働 協 約実現 にむけて取 り組 むとは、まずそれを戦 略 目標 に据 えることである。その
ことを抜きにした
『 長期 的課題』などあるはずもない。最大 の原 因は、これまで心、
れた、建
設産 業 の変化を認 識 していないことからくる当事 者 としての 自覚 と確信 の欠如といえよう。
労働 協約 は 日本 の 労働社 会 を揺 るがす ほ どの 課題
建 設産 業 で
70万 人の組 織 が、「労働協 約」を実 現することは、日本 の労働 社 会全
体 を揺 るがすほどの 問題 であることは、連 帯 関 西生 コンの経験⑩でもわかる。当然 ―朝
― 夕どころか、10年 はかかろうという課 題 である。
労働協約を実現 するには、戦略 目標 にむ けた戦略を立て、それ に合わせて現在の縦
害1り 、羅 列 的分散 的 になっている全 建 総 連 の各運 動を構築 しなおし、組 合 員 の理解 を
まとめながら先 の 3つ のような課 題を含めてひとつひとつの実現 を積み上げていく。
もうひとつは、小異 を残 し大 同を実 現するために全 建総 連 の弱 い地域の他建設 系組
合 など産 業 内 のさまざまな 質 の労働 団体 との交流 連 帯協 同を作 り上げていくことである。
そしてこの課題 の一 番 の難 しさは、相 手俣」
をまとめるところにある。当事 者 意識にすら
欠ける建 設 の資本狽Jを どうまとめていくか。さらに資本も全 建総 連も政 府 や行 政 へ のは
たらきかけは経験 しているが、当事 者 として民と民で交渉 をして物事 を取り決 める経験 が
少 ない。あたりまえだが、彼我 の条件 ができたところから地域 的、局部 的 に突破 し、その
形式や範 囲も試行錯誤の中でつくりあげていくしかない。
労働 協約 は、民 と民である労と資 が 当事 者 として直接 利害をぶ つけ、争 い、交渉 によ
る合 意を契約するものであり、政 府 や権 力、第 二 者 に頼るもの、まして依 存 して行 うもの
でも実現 できるものではない。
「労働 協約を結 びましょう」といった交渉や、このと
議 案などを読むと、それ を、あたかも
「請願 」程度 の枠組み の運 動 として構想 していたとしか思えない。
ころの「署名」
「公契約条例」との関係である。公契約と労働協約 の関係 につい
つけくわえたいのは、
ては、『 公正な労働条件 の設定方法です。・・労働協約で 。・つま り労使で決めること
が原則 です。』
『 協約がない場合は・ 。行政による調査を行 う 。・低 い水準に抑 えられ
「車 の両輪 」の運動の必要 性 が 当初から指 摘 されてい
て しまいがち』④と、労働協 約 と
た。
しかし、全 建総連 は途 中 で労働 協 約 を"棚 上げ"し て「― 輪 車 」で公契 約運 動を進め
てきた。そうした結果 は、実 現 した野 田市の低 い公 共単価 を固定 し補 完するものとなっ
て示されている。
むすびに
経 歴 に書 いたように21年 前 、東京を離 れて誰 一 人知 る人もいない地 縁 も血 縁もない
地に移 り住 み 、まったくのゼロから、溶接 を習 い、身 に付けた 自分 の技能 だけで働 き、暮
らしを作るのは、決 して楽 ではなかったが充実 している。
その頃、長 野 県 の小さなその村 では、技能 を持 つ者 へ の畏敬 を込めて「お大 工 さま」
「お大 工 さん」と呼 ばれ 、職 人たちも輝 いていた。組 合もまた、東 京 では 忘れ ていた、私
が 42年 前 に初めて職 人と組 合 に出会 った頃 の「仲 間 の世 界」だつた。
そうした労働と仲 間 との暮 らしの 中であらためて感 じるのは、建 設労働 者 の運 動 は、建
設労働 者 として働く者 が 自分 たちで考 え、するものでなければダメだということである。
29
現在の金建総連は、先輩たちが創造的な運動によって築 いた組織、健保、運動とい
う財産のうえにある。これを食いつぶすのではなく、さらに創造的な運動を構築する能力
「三代 日は身上潰す」
を復活向上させて、建設労働者の運動を前進させることを期待し、
にならないことを願う。
先人たちは、夢を語り、理想をかかげ、建設労働者に呼びかけ、闘つて現実を切り拓
いてきた。それを想うとき、7万 から10倍 の70万 人になった全建総連には、成せること、
成すべきことは、もつとあるはずだと思い期待する。
30
参 考 文 献
文 献 名
引用
① 労働者管理の草の根
② 労働過程論ノート
③ 労働の哲学
④ 労働過程論ノート
⑤ 1995年 建設産業政策大綱
⑥ 建設産業政策2007
⑦ 基幹技能者について パンフ
③ 建設労働の流動化とあるべき制度の姿
③ 1995年 建設産業政策大綱
① 舅馨琵 甚 暫
路 今 日的「一人親方」労働 に関する
① 1995年 建設産業政策大綱
⑫ 労務屋春秋
① 全建総連第49大 会
① 全建総連第50大 会
業構造の変化と全建
① 霧竃麻惹縁品桂具計
① 木造住宅産業その未来戦略
⑦ 労働者管理の車の根
① 戦後日本の労働過程
① 全建総連第45大 会
⑩ 告発 !生 コン中小企業運動の新たな挑戦
(引 用など)
著
者
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ページ
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全 建総 連
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建設省経済局監修
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全建総連 ブック21
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安田浩 ―
著 者
発行元
・
内山尚三 木内誉冶 都市文化社
都市文化社
小川登
唐津 一
日本 評論社
日本人の賃金
木下武男
平凡社新善
格差社会にいどむユニオン
労働組合リー ダー論
ノンエリートの 自立
木下武男
花伝社
金錦守
明石暮店
日本放送出版
熊沢誠
有斐閣
国家のなかの 国家
労働 のなかの 復権
熊沢誡
熊沢誠
日本評論社
三一書房
民主主義は工場の門前で立ちすくむ
21世 紀 へ の建設産業 ビジョン
熊沢誠
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建設労働生産性の向上に資する提言
建設政策研究所
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建設産業専門団体連合会 建設産業専門団体連合会
建設 白暮
国土交通省
国 上交 通省
科学 的管理法の研究
島 弘
セリグ・パー ルマン
セルジュ・マレ
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武建 ―
武建 ―・竹脇憲 ―
社会批評社
2007 生
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社会批評社
中岡哲郎
濱 口桂 一 郎
平凡社
2005年
1971年
2009年
武建 ― 労働者 の未来 を語る
労働運動再 生の地 鳴りがきこえる
工 場 の哲学
新しい労働社会
法政大学出版
岩 波新書
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熊沢誠
地域住宅産業研 究会 彰国社
内山尚三
労働組合運動の理論
新しい労働者階級
154P
60P
建設業振興基金
建設労働論
労働組合 の思想
日本解剖 QC運 動なぜ日本で成功したか
建設産業労働保護制度の変遷
213P
2008 年
その 他 の 参 考 文 献
建設産業論
91・
建設産業政策研究会 建設産業政策研究会
21全 建総連 の 活動 の歴史的必 然性 について 首川景 ―
文 献 名
146P
P
各年
年
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22P
その他 の 参 考 文 献
文 献 名
日本建設労働論
著
筆宝康 之
古川景 一
者
発行元
御茶 の水書房
発行
1992年
全建総連ブック
2005 年
堀泰
名城論叢
2010年
宮里邦雄
労働教育 センター
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労働協約研究会
大月書店
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建設産業構 造改善推進 3カ 年計画
日夕煉情報
建設産業構造改善政策研究会
大成出版社
2000年
日本タイル煉瓦工事工葉会
日本タイル煉瓦 工事 工崇会
2006 生
F
80年 代の労働運動
日本労働組合生産性会議 日本労働組合生産性会議
全建総連の 30年
全建 総連
フォードその栄光と悲劇
東京上建 40年 史
チャー)レ ス・ソレンセン 産業能率短大出版部
東京土建一般労働組合 東京土建一般労働組合
昭和のあゆみ
松筑 建設労働 組 合
松 筑建 設労働 組合
沿革史
十年の歩み
松 本建設労働 組 合
日本ツーバイフォー協会
松 本建設 労働 組 合
日本ツーバイフォー協会
公契約条例 の制定をめざして
パネルディスカッション 全建 総連 ブック
手間請就労者をめぐる諸問題と課題
ゼネコンにおける協力会社関係の重要性
労働組 合のための労働法
建設現場 に労働協約を
厚 生 労働 省
労働契約法 の あらまし
公共事業としごとの可能性 永 山利和
公契約条例がひらく
建設産業 の現在
現場 から見た建設業
建設 政策研究 所
掛 井連
全建総連
2008 年
自治 体研究社
清文社
2006年
1997年
1976年
東信堂労働社会学研究
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東信 堂
2009年
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7
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毎 日新聞社
農文協
農文協
2003年
0
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内山節
渡植彦太郎
渡植彦太郎
1994年
1968年
1989年
1990年
1987年
1986年
2006年
厚 生労 働 省
恵羅さとみ
建設業 の工法変化と技能再 生産
田肇・
美貴・古 川陽ニ
和
旬報社
の労働条件と
労働協約
建設産業
'II口
建設従事者の労働者性をめぐるシンポジウ シンポジュウム十古川景― 全建総連
ム報告集
鹿島建設・大成建設・竹中工務店ほか地場ゼネコン等
新入場者教育・現場の資料等
存在 か らの哲学
技術 が労働をこわす 技能 の復権
仕事が暮らしをこわす 使用価値の崩壊
1979年
Fly UP