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平 成 17 年 度 特 殊 地 下 壕 実 態 調 査 結 果 報 告 書 平成17年

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平 成 17 年 度 特 殊 地 下 壕 実 態 調 査 結 果 報 告 書 平成17年
平 成 17 年 度
特 殊 地 下 壕 実 態 調 査 結 果 報 告 書
平成17年12月
宮 崎 県
宮 崎 県
宮 崎 県
環 境 森 林 部
農 政 水 産 部
土
木
部
自 然 環 境 課
農 村 整 備 課
都 市 計 画 課
調査の目的
本調査は、国土交通省、農林水産省、林野庁が都道府県、政令指定都市に依頼する全国一斉
調査であり、戦時中に旧軍等によって築造された特殊地下壕の実態を把握し、住民の身体、
生命及び財産に係る事故及び災害を未然に防止するための資料とすることを目的とする。
調査の背景
戦時中に旧軍等が築造した特殊地下壕のうち、現状のまま放置することが不適当又は危険と
認められたものについては、戦後、昭和21年∼24年度に「特殊地下土木施設整備事業」に
よりその埋戻し等の対策事業が行われ、昭和25年∼48年度に「都市災害復旧事業」として
補完的に処理されてきた。
その後、昭和48年3月の参議委員予算委員会の審議を踏まえ、防空壕の実態を調査するこ
とになり、昭和48年度に建設省及び農林水産省が都道府県、政令指定都市に依頼し実態調査
を行った。その結果を踏まえて、昭和49年∼56年度に危険度が高いものについての埋め戻
し等の「特殊地下壕対策事業」(事業実績:建設省 417 箇所 約 53 億円、農林水産省 11 箇所
約 4 千万円)に伴う埋め戻し等が補完的に実施されてきた。
しかし、昭和56年に千葉県八日市場で中学生が特殊地下壕の崩落による死亡事故が発生し、
以降もこれに類する事故並びに特殊地下壕を起因とする陥没、崩落等による災害が発生するこ
とが懸念されるとともに、戦後半世紀が経過し、未処理の特殊地下壕の老朽荒廃化や市街地の
拡大により、危険度の低かった地下壕で危険な状態になるものが生じてきた。このため、国土
庁、建設省 、農林水産省、及び林野庁が平成6∼7年度に実施した「特殊地下壕実態調査 」
(全
国市町村長へ依頼)の結果(県内 29 箇所※)に基づき平成10年∼14年度の期間に危険度の高い
特殊地下壕の埋め戻し等の対策事業を行っている。
しかしながら、平成12年度には鹿児島県で特殊地下壕の陥没による死亡事故が発生し、ま
た、平成6∼7年度実態調査で確認されなかった特殊地下壕が多数発見されたため、平成13
年度に国土交通省、農林水産省、林野庁が都道府県及び政令指定都市の特殊地下壕対策担当部
局に「特殊地下壕実態調査」を依頼した結果(県内 31 箇所※)を踏まえ、特殊地下壕対策事業を平
成19年度まで延伸することとなった。
※ 国有林内の地下壕を含む
このような中、平成17年4月に鹿児島市の地下壕で中学生4名が死亡する事故が発生した。
これを受けて、国による緊急実態調査が実施された結果、全国で新たに多くの地下壕残存して
いることが判明されたため、国土交通省、農林水産省、林野庁は都道府県及び政令指定都市に
「特殊地下壕実態調査」を依頼することになった。
県内では、過去の文献によると昭和21年3月時点に 4658 の地下壕を破壊したとの記述が
ある 。(未破壊数 290)また、昭和52年度には新富町で特殊地下壕対策事業が実施されてお
り(6 箇所)、昭和60年度には清武町で都市災害復旧事業による埋め戻し対策(1 箇所)が実施
されている。
-1-
1章
1−1
特殊地下壕実態調査概要
調査対象
特殊地下壕とは、戦時中に軍、軍需産業、地方公共団体又は地方公共団体の指示を受けた
町内会が築造した「防空壕」、「防火水槽」のことを指す。
今回の調査は、上記の特殊地下壕に加え個人や民間が自発的に築造した地下壕も含めて実施
するため、以下これらを含めた防空壕を「特殊地下壕」と称するものとする。
文化財的な価値のある古墳については調査対象外とした。
また、国有林内の地下壕については、林野庁(森林管理署等)が別途調査を実施するため、
調査対象外とする。※ H13 調査では国有林内に9の地下壕報告あり(串間市)
1−2
調査の方法
県内の全市町村に対し、管下に残存する特殊地下壕について、特殊地下壕実態調査要領に沿
った調査を依頼し、その結果を県がとりまとめた。(10 月 14 日 国へ回答)
調査方法は、平成13年度特殊地下壕実態調査で確認されている特殊地下壕について、記載
事項の確認と変更箇所の修正等を行うとともに、前回調査以降新たに発見された特殊地下壕の
追加調査を行った。
残存する特殊地下壕においては、各市町村担当課が現地踏査及び簡易な測量等による危険度、
規模等の把握を行った。
1−3
前回調査との相違点
今回の調査は、前回の調査項目に加えて 、「壕入口の状況」や「土地所有者への注意喚起状
況」、「今後の封鎖予定 」、「新規に発見された地下壕の情報提供者」等の設問を新たに設けた。
また、県独自の設問として「地下壕への立入の自由性 」、「立入り痕跡の有無 」、「地下壕周
辺の特性」等を設けた。
1−4 調査期間
平成17年4月25日 ∼ 平成17年9月30日
(国の調査依頼は、5月27日)
1−5 回収状況
・調査対象市町村数
・特殊地下壕残存市町村数
・回収率 : 100%
:
:
44市町村
34市町村
-2-
第2章
2−1
特殊地下壕実態調査結果(国有林内の地下壕を除く)
特殊地下壕数(埋戻し等の対策箇所も含む)
(国有林内の9箇所を除く)
前回調査(平成13年度実施)で明らかになった特殊地下壕は県内3市町の計22箇所で、
今回調査で新規に発見された地下壕数は、県内34市町村715箇所にのぼる。
平成17年10月14日
総 括表
特殊地下壕実態調査 市町村別集計結果
(箇所)
市 町村名
宮
都
延
日
小
日
串
西
え
清
田
佐
北
南
三
山
高
山
高
高
野
須
高
国
綾
高
新
西
木
川
都
門
東
南
西
北
北
北
北
諸
椎
高
日
五
合
崎
城
岡
南
林
向
間
都
び
の
武
野
土
原
郷
郷
股
之
口
城
田
崎
原
尻
木
岡
富
鍋
富
米
良
城
南
農
川
郷
郷
郷
郷
方
川
浦
塚
葉
千
之
ヶ
穂
影
瀬
今 回新たに発 見された
地 下壕数
H 13調査 結果
市
市
市
市
市
市
市
市
市
町
町
町
町
町
町
町
町
町
町
町
町
村
町
町
町
町
町
村
町
町
町
町
町
村
村
村
町
町
町
村
村
町
町
町
計
2
2
18
22
※ 国 有林内の 地下壕は 含めない
※ 古 墳は含めない
-3-
合 計
146
10
72
56
3
68
28
23
5
7
4
99
0
2
8
0
12
4
7
5
11
3
16
34
0
16
26
1
0
5
2
4
1
0
3
0
21
7
0
1
0
5
0
0
146
12
74
56
3
68
28
23
5
7
4
99
0
2
8
0
12
4
7
5
11
3
16
34
0
16
44
1
0
5
2
4
1
0
3
0
21
7
0
1
0
5
0
0
715
737
2−2
地域区分
図−1
地域区分毎の割合を図−1に示す。
都市地域が全体の約4割と最も多いが、全
体的に見ると、「都市地域」、「農業地域」、「森
林地域」がほぼ1/3ずつの同等の割合であ
る。
③ 地下壕所在地の地域区分
森林地
域
2 9%
県内の地域区分毎の地下壕数を表−1に示
す。737箇所の地下壕のうち、171箇所
の地下壕は都市地域や農業地域等と重複して
いる箇所であった。
都市地
域
4 2%
農業 地
域
29%
都市地域の中では、市街化調整区域内に存
在する地下壕が突出して多い。
農業地域の中では、農業振興地域内の農用
地以外に多くの地下壕が存在する。
都市 地域
農業 地域
森林 地域
表−1
(複数回答)
№
分類Ⅰ
分類Ⅱ
分類Ⅲ
分類Ⅳ
1
都市地域
都市計画区域内
市街化区域内
2
3
4
5
6
都市地域
都市計画区域内
市街化調整区域内
用途地域内
都市地域
都市計画区域内
市街化調整区域内
用途地域無指定
都市地域
都市計画区域内
その他
用途地域内
都市地域
都市計画区域内
その他
用途地域無指定
都市地域
都市計画区域外
7
農業地域
農業振興地域内
農用地区域内
8 農業地域
9 農業地域
10 森林地域
農業振興地域内
農用地区域外
箇所数
農業振興地域外
国有林以外
11 その他の地域
計
重複箇所数
171 箇所
-4-
51
3
254
52
16
33
30
245
15
288
0
987
2−3
調査の方法
特殊地下壕の規模・構造、利用状況及び危険度の把握に当たっては、前回調査同様現地踏査
や簡易な測量等により実施することとしているが、安全に特殊地下壕に立ち入ることができな
いと判断される場合や入口が閉塞している場合で「実測」が困難な場合は「目測」や「推定」
により調査がなされている。
今回調査において信頼度の高い「実測」は36%であり 、「目測」が45% 、「推定」が
18 %となっている。
調査方法においては、1つの特殊地下壕であっても実測できる部分は実測し、実測不可能な
部分は目測で対応する等の対応を行ったが、今回は主な調査方法について回答することとした。
図−2
表−2
④ 調査の方法
推定
18%
№
実測
3 6%
調査方法
1
実測
2
3
目測
推定
箇所数
計
267
339
131
737
目測
4 5%
実測
目測
推定
2−3
壕の規模
(1)特殊地下壕の入口数
表−3
1つの特殊地下壕の入口の数について、表−3
に示す。
1箇所の入口を有する地下壕が全体の75%を
占め最も多いが、2箇所以上の入口を有する地下
壕も25%存在する。
県平均では、1つの地下壕に 1.3 箇所の入口を
有する結果となった。
№
壕の入口数
1
2
3
4
5
6
7
1箇所
2箇所
3箇所
4箇所
5箇所
6箇所
不明
平均 (箇所)
-5-
地下壕数
551
147
25
5
3
3
3
1.3 箇所/壕当たり
(2)特殊地下壕の幅
表−4
壕の幅(m)
特殊地下壕の幅について、表−4に示す。
幅が1m∼2mの地下壕が全体の約4割と最も
多い。
次いで、幅が1m未満の小規模な地下壕が全体
の約3割を占めている。
県平均の地下壕幅は、1.7mとなった。
1
2
3
4
5
6
7
(不明、調査不能を除く平均)
1m未満
1m∼2m未満
2m∼3m未満
3m∼5m未満
5m∼10m未満
10m∼20m未満
20m以上
不明
調 査不能
幅の平均 (m)
(3)特殊地下壕の高さ
地下壕数
222
302
98
63
22
6
3
15
6
1 .7 m
表−5
特殊地下壕の高さについて、表−5に示す。
高さが1m∼2mの地下壕が全体の約5割と最
も多い。
次いで、高さが1m未満の小規模な地下壕が全
体の約2割を占めている。
県平均の地下壕の高さは、1.6mとなった。
壕の高さ(m)
1
2
3
4
5
6
7
1m未満
1m∼2m未満
2m∼3m未満
3m∼5m未満
5m∼10m未満
10m∼20m未満
20m以上
不明
(不明、調査不能を除く平均)
調査不能
高さの平均 (m)
(4)特殊地下壕の延長
地下壕数
151
392
115
39
15
4
0
15
6
1.6 m
表−6
特殊地下壕の延長について、表−6に示す。
延長が2m∼5mの地下壕が全体の約2割と
最も多い。
次いで、延長が5m∼10mの地下壕が全体
の約2割を占めている。
延長が10mを越える地下壕は全体の約4割
であった。
県平均の地下壕の延長は、15.7m となった。
(不明、調査不能を除く平均)
-6-
№
1
2
3
4
5
6
7
壕の延長 (m)
2m未満
2m∼5m未満
5m∼10m未満
10m∼20m未満
20m∼50m未満
50m∼100m未満
100m以上
不明
調査不能
長さの平均 (m)
地下壕数
34
155
146
141
110
21
10
112
8
15.7 m
2−4
特殊地下壕の構造
92%の地下壕が素堀構造となっており、コンクリート被覆のものはわずか4%程度にすぎ
ない。
⑥ 地下壕の構造
その他
2%
コン クリート被覆
4%
№ 壕の構造
不明
1%
箇所数
1
素堀り
2
3
4
コンクリート被覆
33
その他
15
684
不明
5
計
737
表−7
素 堀り
92%
図−3
2−5
特殊地下壕の地山の地質
今回調査における地山の地質で最も多かったのは「軟岩」で50%、次いで
「シラス、細かい砂等」が24%、「シラス、細かい砂等」が15%を占めている。
2−4の回答で「素堀」が最も多かったのを裏付ける結果になっている。
⑦ 地下壕の地山地質
風化のおそれのない
岩、その他これに類す
るもの
4%
不明
1%
シラス、細かい砂、そ
の他これに類するもの
24%
№
1
2
3
4
5
壕の地山の地質
軟岩(風化の著しいものを除く)
風化の著しい岩
関東ローム、硬質粘性土、その他これに類するもの
シラス、細かい砂、その他これに類するもの
風化のおそれのない岩、その他これに類するもの
不明
構造上回答困難
2%
構造上回答困難
計
表−8
軟岩(風化の著しいも
のを除く)
50%
関東ローム、硬質粘性
土、その他これに類す
るもの
15%
地下壕数
風化の著しい岩
4%
図−4
-7-
374
30
109
179
26
6
13
737
2−6
特殊地下壕の土被り
「土被り」の説明図
特殊地下壕の土被りの平均、最小値について
表−9、10に示す。
土被りの平均値は5m∼10mが最も多く、
全体の約3割を占める。
県内の土被り平均は、7.4mであった。
土被り
特殊地下壕
土被りの最小値については、斜面上にある地
下壕の回答が困難な場合が多く不明が188にのぼった。
県内の土被り最小値の平均は、5.6mであった。
(県平均値は、不明、調査不能、回答困難を除く箇所の平均)
地下壕数
13
40
55
158
223
151
56
22
6
13
壕の土被り平均 (m)
1
2
3
4
5
6
7
1m未満
1m∼2m未満
2m∼3m未満
3m∼5m未満
5m∼10m未満
10m∼20m未満
20m以上
不明
調査不能
構造上回答困難
壕の土被り最小 (m)
1
2
3
4
5
6
7
2m∼3m未満
3m∼5m未満
5m∼10m未満
10m∼20m未満
20m以上
不明
構造上回答困難
壕の最小土被りの県平均 (m)
表−9
2−7
32
62
79
131
123
72
31
188
6
13
調査不能
7 .4 m
壕の平均土被りの県平均 (m)
地下壕数
1m未満
1m∼2m未満
5 .6 m
表− 10
特殊地下壕の築造主体
築造主体が判明している地下壕は、全体の約5割と
なっている。
このうち、旧軍が主体となって築造されたものは、
約2割を占めている。
一方、築造主体が不明な地下壕も多く、全体の約5
割を占める結果となった。
⑨ 地下壕の築造主体
町内会
4%
(複数回答)
№
1
壕の築造主体
旧軍
箇所数
152
2
3
4
軍需工場
地方公共団体
法人
1
5
5
個人
175
6
7
8
その他
不明
町内会
33
340
32
計
重複箇所数
旧軍
21%
不明
46%
個人
24%
その他
4%
738
1箇所
表− 11
図−5
-8-
法人
1%
2−8
特殊地下壕の管理実態、土地所有者
(1)特殊地下壕の管理者
未使用であり管理者がいない地下壕や、管理者不明な地下壕が多く、全体の約7割を占める 。
管理者が確認できた地下壕のうち、最も多かったのは「個人」で約2割を占めた。
(複数回答)
⑩−1 地下壕位置の管理者
法人
1%
個人
22%
未使用
38%
市町 村
6%
その他
3%
不明
29 %
№
壕の管理者
1
個人
160
2
法人
10
3
市町村
47
4
都道府県
3
5
国
5
6
その他
7
不明
213
8
未使用
281
箇所数
22
計
741
重複箇所数
図−6
4箇所
表− 12
(2)特殊地下壕の使用者
未使用の地下壕が全体の約7割を占め、使用者不明の地下壕と併せて全体の約8割となる。
使用者が確認できた地下壕のうち、最も多かったのは「個人」で約1割であった。
№
⑩−2 地下壕の使用者
市町村
法人
1%
1%
個人
13%
その他
2%
不明
13%
未使用
70%
壕の使用者
箇所数
1
2
個人
94
法人
7
3
市町村
5
4
都道府県
1
5
国
1
6
その他
16
7
不明
97
8
未使用
516
計
表− 13
図−7
-9-
737
(3)特殊地下壕位置の土地所有者
個人が所有する土地に残存する地下壕が全体の65%を占めている。
次いで、市町村が所有する土地に残存する地下壕(11%)となっている。
⑩−3 地下壕位置の土地所有者
その他
3%
都道府県
4%
不明
13%
個人
65%
市 町村
11%
№
壕位置の土地所有者
1
個人
475
2
3
法人
32
市町村
83
4
都道府県
27
5
国
6
その他
7
不明
箇所数
3
23
94
計
法人
4%
表−14
図−8
- 10 -
737
2−9
特殊地下壕入口の状況、土地所有者への注意喚起の状況、今後の封鎖予定
(1)地下壕入口の状況
地下壕入口の状況について、表ー 15、図−9に示す。
いわゆる「封鎖済み」とした230箇所とは、表-15 の№1∼№5の回答を指す。
№4∼№5に記述している「堅固な」とは、中学生の力で開けられない工作物等を指す。
「封鎖済み」の地下壕は230箇所で全体の31%を占める。
簡易な工作物での仮封鎖箇所は、38 箇所(5%)
鉄線、ロープ等での立ち入り防止箇所は、13 箇所(約 2%)
開放しているが、立ち入り禁止等の注意看板等を表示している箇所は、9箇所(1%)
一方、立入りに対する注意喚起はなく開放している地下壕は 406 箇所( 55 %)と最も多
い結果となった。
表− 15
№ 壕入口の状況
箇所数
1
埋め戻されている
2
3
土等によって覆われていて立ち入りできない
コンクリート等によって封鎖されている
16
4
鉄板、土嚢等堅固な工作物で封鎖されている
17
5
鉄柵等の野生動物が出入り可能で堅固な工作物で封鎖されている
43
6
7
木板、ビニールシート等の簡易な工作物で仮封鎖されている
38
鉄線、ロープ等で立ち入りを防止している
13
8
開放しているが、看板等の設置等で立ち入りの禁止を表示している
9
立ち入りに対する注意喚起はなく、解放している
26
128
9
406
10 その他
30
11 不明
11
計
図−9
⑩−3-2 地下壕入口の状況
不明・その他
41箇所
封鎖済み、又 は土
等に覆われ立ち入
できない
230箇所
簡 易な工作物で 封
鎖(木板等)
38箇所
開放して いる
406箇所
鉄線・ロープ等で 立
ち入り 防止
13箇所
解放している が、立
入禁止等の看板等
あり 9箇所
- 11 -
737
封鎖済
230箇所
(2)土地所有者への注意喚起の状況
前頁の「地下壕入口の状況」の回答で 、「封鎖済み」(表 15 の№1∼№5)以外の地下壕に
ついて、 注意喚起の状況について整理する。
下記の()書きの%は、県全体の地下壕数737箇所のうち 、「封鎖済みのため回答不要」
とした230箇所を控除した507箇所に対する割合を表示する。
①個人に対し注意喚起を行った。 110 箇所(22%)
②市町村に対し注意喚起を行った
15 箇所( 3%)
③都道府県に対し注意喚起を行った 10 箇所( 2%)
注意喚起の実施
135 箇所/ 507 箇所中(27%)
注意喚起ができた地下壕は、507箇所中135箇所(26%)になっている。
土地所有者はわかっているが注意喚起までは行っていない箇所は164箇所(32%)
土地所有者が不明のため注意喚起できない箇所は158箇所(31%)であり、
「その他」の回答も含み、注意喚起できなかった箇所は全体で 372 箇所(73%)であった。
表− 16
№ 所有者への注意喚起
箇所数
1
個人に対して注意喚起を行った
2
3
法人に対し注意喚起を行った
市町村(管理者)に対し注意喚起を行った
15
4
都道府県(管理者)に対し注意喚起を行った
10
5
国(管理者)に対し注意喚起を行った
6
所有者は分かっているが、注意喚起までは行っていない
164
7
所有者が不明のため注意喚起ができない
158
8
その他
10
封鎖済みであり回答不要
110
50
230
計
※封鎖済みとは、「壕入口の状況」の回答がA∼Eの壕 →
図− 10
⑩−4 土地所有者への注意喚起
個人に対して 注意喚
起を行 った 110 箇所
封鎖済みで あり回答
不要 23 0箇所
市町村( 管理者)に対
し注意喚起を行った
1 5箇所
都道府県(管理 者)に
対し注意喚起を行っ
た 10 箇所
所有者 は分かってい
るが、 注意喚起ま で
は行っていない
その他 50箇 所
164 箇所
所 有者が不明のため
注意 喚起ができ ない
1 58箇所
- 12 -
737
計230箇所
(3)今後の封鎖予定について
土地所有者への注意喚起を行った際の所有者側の今後の対応について整理する。
但し、「すでに封鎖済み」の地下壕については、回答不要とした。
※「すでに封鎖済み」の地下壕とは、2−9(1) 表-15 の№1∼№5の回答を指す。
表−17の右端の%は、県全体の地下壕数737箇所のうち 、「すでに封鎖済み」で回答し
ている230箇所を控除した507箇所に対する割合を表示する。
表−17
№ 今後の封鎖の予定
箇所数
1
2
3
4
すでに封鎖済み
所有者の経済的な理由等で封鎖は困難である
19 ( 4%)
5
所有者不明のため、封鎖の有無は分からない
121 ( 24%)
6
7
8
所有者に代わって地方公共団体が封鎖予定
4 ( 1%)
所有者から地方公共団体に封鎖要望があるが、対応困難
7 ( 1%)
230
26 ( 5%)
所有者が近く封鎖予定
165 ( 33%)
所有者が封鎖の必要はないと判断しており封鎖する見込みはない
165 ( 32%)
その他
計
※「すでに封鎖済み」とは、「壕入口の状況」の回答がA∼Eの壕が対象 →
737
計230箇所
図−11
⑩−5 今後の封鎖予定
所有者から地方公
共団体に封鎖要望
があるが、対応困難
7箇所
すでに封鎖済み
230箇 所
その他 165箇所
所有者に代わって
地 方公共団体が封
鎖予定 4箇所
所有者不明のた
め 、封鎖 の有無は
分からない 121箇所
所有者が 封鎖の必
要は ないと判断して
おり封鎖する見込み
は ない 165箇所
所有者の経済的な
理由等で封鎖は困
難である 19箇所
- 13 -
所有者が近く封鎖
予定 26箇所
2−10
特殊地下壕上部の土地利用状況
地下壕上部の土地利用状況は 、「森林」が全体の約8割を占める。また 、「宅地 」、「道路 」、
「公園」、「その他の公共施設」で約1割である。
図−12
箇所数
⑪ 地下壕上部の土地利用状況
598
57
2
鉄 塔等 の工作 物あ り
その他
37
森林
27
田畑
公園
14
宅地
23
その他 の公共 施設
18
道路
700
600
500
400
300
200
100
0
表−18
(複数回答)
№ 壕上部の土地利用
箇所数
1
2
道路
18
公園
23
3
4
5
その他の公共施設
14
宅地
27
田畑
37
6
森林
598
7
8
その他
57
鉄塔等の工作物あり
2
計
重複箇所数
- 14 -
776
33箇所
2−11
特殊地下壕の危険度(物的・人的危険)
地下壕の危険度調査結果を図−13にまとめる。
・上部に建物等があり、陥没・沈下、ひび割れ、落盤があり危険 A
・
〃
将来陥没、落盤等危険になる可能性高い C
・
〃
将来陥没、落盤等危険になると予想 E
38箇所( 5%)
11箇所(1.5%)
26箇所(3.5%)
・上部に建物等はないが、現に陥没ひび割れ落盤があるもの
または将来その可能性が高いもので、壕内に入れるもの B,D
29箇所( 4%)
104箇所(14%)
・上部に建物等はないが、将来陥没、落盤等危険になると予想
される地下壕のうち、壕内に入れるもの F
※
20箇所(2.7%)
「建物等」とは人家、倉庫等の工作物や擁壁・排水等の構造物、農業地域においては田
畑、森林地域においては民有林を指す。
壕に入れる 31 箇所
壕上部に建物等が
あり、陥没、沈下、
ひび割れ、壕内部の
落盤があり危険であ
る。 38 箇所
壕に入れ る 10箇所
壕に入れる 1 8箇所
壕上部に建物等が
あり、将来陥没、落
盤等危険になる可
能性が高い。
11 箇所
壕上部に建物等が
あり、将来陥没、落
盤等危険になると予
想される (現在は特
別な異常なし)
2 6箇所
壕に入れる 2 9箇所
陥没、落盤の危険
性は高いが、壕上
部に建物等なし
40 箇所
調査不能 1 01 箇所
将来、陥没・落盤等
危険になる予想はさ
れるが、 壕上部に
建物等なし
(現在は異常なし)
3 5箇所
異常は認められない
4 86 箇所
壕に入れる 20 箇所
図−13
№
壕の物的危険度
箇所数
1
壕 上部 に建物 等が あり 、、陥 没、沈 下、ひび 割れ 、壕内 部の 落盤 があり 危険 である
2
壕 上部 に建物 等が あり 、将来 陥没 、落 盤等 危険 になる可 能性 が高 い
3
壕 上部 に建物 等が あり 、将来 陥没 、落 盤等 危険 になると予想 され る (現 在は 特 別な異常 なし)
4
陥 没、落盤 の危 険性 はある が 、壕 上部 に建物 等は な い。
5
将 来、陥没 ・落 盤等 危険 にな る 予 想は され るが 、、壕 上部 に建物 等は な い。(現 在は 特別 な異常 な し)
6
7
異 常は 認め られな い
調 査不 能
計
38
11
26
40
35
486
101
737
表−19
- 15 -
壕内に入れる
上部 に建 物等 あり
壕内に入れな い
上部 に建 物等 なし
31
10
18
163
1
223
29
20
163
212
封 鎖済 み
陥没 のため
1
1
2
5
12
87
22
130
調査不能
6
1
2
1
22
9
35
5
4
2
51
69
137
2−12
特殊地下壕への立ち入りの自由性について
県内の地下壕のうち、自由に立ち入りできるものは、359箇所(49%)であった。
⑫ー3 地下壕への立入の自由性
不明
表−20
№ 壕の立ち入りの自由性
1
2
3
4件
箇所数
自由に立ち入りができる
359
所有者の了解が必要である等、自由な立ち入りはできない
その他の理由により自由な立ち入りはできない
88
286
不明
4
計
その他の理由で自由な
737
立ち入りはできない
28 6箇所
自由に立ち入りができる
359 箇所
所有者の了解が必要で
ある等、自由な立ち入り
はできない
88 箇所
図−14
2−13
特殊地下壕の立ち入り痕跡について
地下壕の立入り痕跡について調査を行った。
県内の地下壕のうち、ゴミ等の痕跡が確認された地下壕は、230箇所( 31%)であった。
このうち、地下壕内部にゴミ等が確認されたものは、
地下壕入口周辺でゴミ等が確認されたものは
203箇所(27.5%)
27箇所( 3.5%)である。
表−21
⑫ー4 地下壕への立入痕跡
№
1
2
3
調査不能 7 箇 所
壕への立ち入り痕跡
箇所数
地下壕内部にゴミ等の痕跡あり
203
地下壕入口周辺にゴミ等の痕跡あり
27
痕跡は見当たらない
494
不明
不明 6 箇 所
6
調査不能
あり
20 3箇所
地下壕入口周辺にゴミ等の
痕跡あり
7
計
地下壕内部にゴミ等の痕跡
2 7箇 所
痕跡は見当たらない
49 4箇所
図−15
- 16 -
737
2−14
特殊地下壕周辺の特性について
図−16
集落や通学路から比較的近い地下壕が
全体の53%を占める結果となった。
⑫ー5 地下壕周辺の特性
また、集落や通学路から離れた地下壕
においても、子どもが近づく恐れのある
地下壕は全体の24%であった。
集落・通学路から大きく
離れており、子どもが近
づくことはない
167 箇所
集落・通学路から比較的
近い 391 箇所
集落 ・通 学路から離 れて
いるが 、子どもが 近づく
恐れ がある
179 箇所
№ 壕周辺の特性
箇所数
1
集落・通学路から比較的近い
2
3
集落・通学路から離れているが、子どもが近づく恐れがある
179
集落・通学路から大きく離れており、子どもが近づくことはない
167
391
計
737
表−22
2−15
特殊地下壕の情報提供者
今回調査で新たに発見された地下壕の情報提供者について整理する。
住民・自治会が全体の44%を占め最も多い。次いで学校関係からの情報提供が21%。
警察からの情報提供が13%と続く。
今回の調査は、鹿児島県の死亡事故を受け、住民の関心が高かったことや、各市町村での情
報収集活動の結果、住民からの情報提供をはじめ、関係行政機関から多くの情報提供を受け
ることができた。
⑫-6 情報提供者
(複数回答)
№ 情報提供元
地方公共 団体
その他
1%
13%
学校関係
21%
土地所有者
2%
住民・自治会
44%
警察
13%
箇所数
1
学校関係
161
2
3
4
5
警察
105
消防
34
6
地方公共団体
7
その他
住民・自治会
342
土地所有者
17
110
11
計
消防
4%
重複箇所数
図−17
表−23
- 17 -
780
57箇所
2−16
前回調査で分からなかった理由について(新たに発見された地下壕)
前回調査で分からなかった理由としては、「単なる調査漏れ」が全体の78%を占めた。
今回調査では、住民や関係行政機関の情報提供活動や、鹿児島県の事故があり県民の関心が
高かったこと等から、多くの地下壕を確認することができたが、前回調査においては、住民
等に対する情報提供活動が十分ではなかったのではないかと考えられる。
地下壕は、市街地を外れた山裾等分かりにくい場所に残存する場合が多いため、住民の情報
提供や関係行政機関の協力が不可欠であると言える。
⑬ー1 前回調査で分からなかった理由
前回調査後、公共事業
の実施に伴い発見
1%
その他
21%
№
今回新規発見理由
箇所数
1
前回調査後、陥没、落盤事故やその兆候が発生
2
前回調査後、公共事業の実施に伴い発見
3
4
前回調査後、民間開発に伴い発見
5
単なる調査漏れ
557
6
その他
153
5
前回調査後、宅地化等周辺の土地利用の変化
計
表−24
単なる調査漏れ
78%
図−18
- 18 -
715
2−17
特殊地下壕対策事業(補助)での対応について
今回調査を踏まえ、国の補助事業(特殊地下壕対策事業)での対応予定を整理する。
回答の対象は、前ページの「2−11 特殊地下壕の危険度(物的・人的危険 )」において
整理した104箇所である。
表−25には補助要件を満たすか否かについての回答を整理した。
現段階において、国の補助要件を満たす箇所は62箇所であった。
現在、国においては補助要件の緩和についての検討を行っているところであり、今後補助要
件の緩和等が打ち出されれば、回答結果は変動するものと思われる。
表−25
№
特殊地下壕対策事業等での対応について
1
国土交通省所管の「特殊地下壕対策事業」の補助要件を満たしている
2
農林水産省所管の「特殊地下壕対策事業」の補助要件を満たしている
3
林野庁所管の「特殊地下壕対策事業」の補助要件を満たしている
4
5
補助事業対象にならないので、事業は行わない
6
7
補助事業対象にならないが、土地所有者に事業を依頼する。
8
その他
箇所数
21 20%
2 2%
39 38%
16 15%
4 4%
11 11%
1 1%
10 10%
補助事業対象にならないが、単独又は他事業等で事業を行う
文化財、自然保護、観光の観点から安全対策を施した上で保全・活用する
計
- 19 -
104
3章
特殊地下壕対策の課題
特殊地下壕に関係する事故としては、人が特殊地下壕に立ち入った場合に起こりうる落盤事
故や鹿児島市で発生した一酸化炭素中毒による事故又は、特殊地下壕が崩落することによる上
部の道路陥没による通過交通への被害や敷地陥没による建物等への被害等が考えられる。
事故以外では壕内へのごみの不法投棄による地域環境への影響、壕内での犯罪・非行等の可
能性が考えられる。
今回調査では物的危険度及び人的危険度という分類により評価をおこなったもので、あくま
でも対策工事を実施するための危険度の概略を分類したに過ぎない。今回調査の特殊地下壕の
ほとんどが素堀り(92%)であり 、地下壕の地山地質も「軟岩(50%)」、
「シラス、細かい砂(24%)」、
「粘性土類( 15%)」であることから、降雨や地下水といった水の影響が大きく、安全評価が
非常に難しいものであることを踏まえた取扱いが必要である。
基本的には不要な地下壕は埋め戻すことが望ましいが、危険性や上部の土地利用状況、地下
壕の使用状況や管理状態を勘案して優先度をつけて順次処理していく必要がある。
今回の特殊地下壕実態調査を踏まえ、課題としては以下のようなことが整理される。
①
特殊地下壕の築造主体が不明確である点
今回調査結果では、築造主体が不明である地下壕が全体の46%を占めた。
また、戦後60年が経過しており、確認された地下壕が旧軍等によって築造されたものか否
かの判断も困難であるのが実情である。
②
特殊地下壕の管理者、使用者が不明確である点
地下壕の使用者については、全体の70%が未使用となっており、これに呼応する結果と
して、地下壕の管理者も不明である割合が高い。
③
特殊地下壕位置の土地所有者の確定、注意喚起が困難である点
個人が所有する土地に残存する地下壕については、その所有者の在住地が不明である場合
や、土地を所有する以前から地下壕が存在しているケース等もあり、実際に注意喚起までで
きない結果が多かった。
④
危険度設定の難しさ
今回の調査では、前回調査と同様に危険度の評価として簡便な方法(主に目視)による物
的・人的危険度を基本として整理している。今後、対策事業の優先度の検討には、更に土質
及び土被り等の条件を考慮した専門的な評価が必要となる。
⑤
特殊地下壕の今後の対応について
(ハード面)
今回調査の結果では、土地所有者が近く封鎖を予定している地下壕が26箇所であり、所
有者に代わって地方公共団体が封鎖予定の地下壕が4箇所であった。また、国の補助事業
の要件を満たしている地下壕も62箇所に過ぎない。
この結果は、土地所有者による封鎖対策等への取組みの難しさや、国の補助要件の緩和の
必要性を示唆する結果となった。
- 20 -
(ソフト面)
今回の調査結果を十分活用する意味でも、関係機関との情報共有が不可欠であると言える。
当調査の目的は、県内における特殊地下壕の実態を把握し、県民の身体、生命及び財産に
係る事故及び災害を未然に防止するために実施するものであることから、土木、農政、林
務の行政機関に限らず、教育委員会や警察、危機管理室等と情報を共有し、かつそれぞれ
の関係機関が封鎖対策の推進や危険防止の啓発活動を講じていく必要がある。
また、調査結果については個人情報の保護に配慮しつつ、可能な限り情報を公開していく
ことも必要である。
- 21 -
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