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長期投資について - Towers Watson

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長期投資について - Towers Watson
長期投資について
サステナブル投資のロードマップ
2010年8月
【要 旨】
本レポートは、年金基金をはじめとする機関投資家の皆様がサステナブル投資戦略への資産配分を
行う際の指針をお示しし、弊社のロジャー・アーウィンによる、サステナブル投資の原則と実践に関す
る報告論文 “Allocations to Sustainable Investing”1およびそれ以前の著作2をまとめたものです。
サステナブル投資への資産配分をどのように決定すべきかをご説明するにあたり、まずはサステナブ
ル投資を行う際に確立しておくべき信念について考えてみます。どのような信念を確立するかにより基
金のミッションと価値観が明確になり、統合型と特化型(後述)のどちらの投資タイプに重点を置くかが
変わってきます。
【出発点の設定】
本レポートでは、サステナブル投資を「投資のガイドラインにおいて環境・社会・ガバナンス(ESG)の要
素が統合された、長期的かつファイナンス主導の投資戦略を内包する投資」と定義しています。このよ
うに定義した場合、サステナブル投資は効率的で世代間で公正な長期投資ということになります。また、
サステナブル投資は、特定のセグメントに不当に偏ることなく、全ての受益者に対し忠実であるという
受託者責任原則に合致した投資ということにもなります。また、サステナブル投資は長期的かつ世代
間で公正な投資戦略を推進し、優れたリスク管理を行いつつ、健全な資産運用業界の実現に貢献する
ことになります。
サステナブル投資モデルの大半には、次の2つの要素が含まれます。
 純粋な長期投資戦略
 環境・社会・ガバナンス (ESG) 要因の統合と資産保有者としての責任
弊社が過去のレポートなどでも提唱してきたように3、投資の価値観と信念を確立することによって、基
金の明確なミッションを打ち立てることが可能となります。また、そのミッションによって、基金の最終的
な目標が単に財務的なものなのか、それとも非財務面の影響も勘案したものなのかが決まります。
投資のミッションのタイプとしては次の3つが考えられます。

従来型のミッションを掲げる基金は、現在の資産運用の成果が将来も継続するよう、投資活動を
通じた価値の創造を目指します。

サステナブル投資のミッションを掲げる基金は、資産保有者としての責任をより広範かつ長期的視
点で捉えた目標を組み入れます。
1

サステナブル投資のミッションを掲げる基金で財務目標も追求する場合は、財務上の目標とバラ
ンスを取りながら、財務以外の目標達成を目指しします(図1参照)。
図1: サステナブル投資のミッション
確立した信念が伝統的なマンデートに統合されているのか、あるいは特定のサステナブル投資のテー
マに照準を定めたものなのかに関わらず、信念に対する確信度の強さは、サステナブル投資における
適切な資産配分の決定に影響を及ぼします。
基金が掲げるサステナビリティに関する信念としては、主に次の3つのタイプが考えられます:
 銘柄固有のESG要因は、リスク管理上不可欠である
 追い風効果・先駆者の優位性を享受するESG関連の投資対象の発掘を目指す
 ESG関連投資を通じて天然資源枯渇の長期的リスクとコストを相殺するため、長期投資およびユ
ニバーサル・オーナーの概念を適用する
どのような信念であるのかを見極めることにより、長期投資に対する見方や気候変動・ガバナンス・資
源枯渇といったESG関連の課題に対する見解が明確になります。統合型、ターゲット型を問わず、基
金の掲げる信念の強さにより、サステナブル投資への資産配分の大きさが決まります。例えば、アクテ
ィブ・オーナーシップは企業の業績、ひいては投資のリスク・リターン特性に影響し得る、という信念を
持つ基金であれば、コーポレート・ガバナンス活動に力を入れる、あるいは、企業経営に積極的に関与
する資産運用者を採用する、といった行動を取ると考えられます。
2
【信念が投資戦略に及ぼす影響】
サステナブル投資戦略を取り入れる場合、ポートフォリオへの組み入れ方には統合型アプローチと特
化型アプローチの2つのアプローチが考えられます。

統合型アプローチ
ESGとアクティブ・オーナーシップは、サステナブル投資を構成する代表的な要素です。統合型ア
プローチでは、資産運用者が運用プロセスにおいてESG要因を見極め、アクティブ・オーナーとし
ての役割を果たし、そうした活動について報告します。基金は当該マンデートに関して、ESGの観
点から何を期待するかを明確にし、その資産運用者のESGのプロセスや活動をモニタリングしま
す。
統合型アプローチはESGとアクティブ・オーナーシップのマンデートに特化し、従来の財務的要因
のみならず、非財務的なESG要因も考慮します。このようなマンデートは、ESGのリスクおよび投
資機会に対し統合的なアプローチを取りつつ、議決権の行使や投資対象企業との目的を持った対
話(エンゲージメント)など、アクティブ・オーナーシップの手法を用いて、自らが行った投資に関連
する影響力の強化に努めます。このアプローチの強みは、実施が容易で、予想されるリスク・リタ
ーンへの影響が相対的に低い点です。
統合型アプローチのマンデートにおいて、資産運用者は既存の運用プロセスに、サステナビリティ
に関する分析を加えるのが一般的です。これらの資産運用者は一般的に、資産配分、セクター、
企業のリサーチにマクロ面からサステナビリティ要因を組み合わせています。

特化型アプローチ
特化型戦略への投資では、クリーンテクノロジーや環境といったESG関連のテーマに的を絞った
投資が行われます。こうした投資を行う基金は、一般的に、サステナブル投資のメリットについて、
より強い信念を持っています。ただし、予想されるリスク・リターンの算出が通常より難しく、そのた
めトラッキング・エラーも通常より大きくなる可能性があります。テーマが絞られた投資対象に資産
配分を行うために、基金のミッションは、たいていの場合、財務、非財務の両方の要素を兼ね備え
た、より広範な投資目標をもつことになります。
これらの、特化型アプローチの投資対象は、ESGによって恩恵を受けるもの、また低炭素経済へ
の移行、環境規制の強化、天然資源枯渇といったサステナビリティのトレンドを重視する傾向があ
ります。
スクリーニングおよびサステナビリティの評価は、一般的に投資対象を絞り込んでESGのテーマを
適用するために利用されています。特化型アプローチを採用する資産運用者は、上場・未上場の
セクターにおいて、クリーンテクノロジーなど特定のテーマを活用して運用する傾向があります。
3
【モニタリング】
モニタリングとは、その枠組みを踏まえて、特定のプロセスを繰り返し行うことである点は念頭に置くべ
きでしょう。モニタリングには、資産配分のプロセスの経過および結果の振り返りや、投資のガイドライ
ンに関する定期的な調整といった業務も含まれます。意思決定には、純粋に財務的な観点からみて正
当な理由づけがなければならないため、フィードバックの影響はとりわけ重要となります。効果的なモ
ニタリングにより、財務・非財務両面の成果が具体的な数値で示されることになります。(短期的にアン
ダーパフォームするかどうかには関わりなく)、特定の長期投資戦略の将来的なパフォーマンスを評価
できる点が、モニタリングが果たす最も重要な機能といえるでしょう。
【結 論】
サステナビリティの概念は、今後数十年にわたり、経済・金融市場のあり方に影響を及ぼすと考えられ
ます。前述のロジャー・アーウィンによる論文は、サステナブル投資を通じて、運用成績の向上や社会
的環境の改善が期待できることを裏付ける、信頼に足る論拠があることを示唆しています。
弊社は、機関投資家の間でのサステナブル投資の認知度は徐々に高まるであろうと考えています。サ
ステナブル投資の投資機会およびリスクに関する知識や理解が深まるにつれ、その利用手段、ベンチ
マーク、意思決定ツールの開発も進むことになるでしょう。
~ 信念およびユニバーサル・オーナーシップ ~
ユニバーサル・オーナーシップの概念は、長期的気候変動・資源枯渇といった文脈において特に深い
意味を持っています。機関投資家である基金の多くは、グローバル市場・グローバル経済の中で高度
な分散投資を行っていますが、そういった基金のパフォーマンスは個別銘柄よりも、長期的な経済発展
からの影響を受けやすいといえます。経済の長期的な健全性に関わる環境面、社会面からの要因が
及ぼす将来的な影響を考えると、機関投資家は、自身の基金の最終的な明暗を左右するESGの重要
性について認識しておくべきでしょう。機関投資家のオーナーシップには、将来の成り行きに影響を与
えることのできる機会があります。
機関投資家が行う投資とその投資対象の外部性がもつ影響の大きさを考えると、機関投資家は「ユニ
バーサル」であり、変化をもたらすほど大きな規模で投資を行っているという意味で、機関投資家は「オ
ーナー」でもあります。
また、ユニバーサル・オーナーの信念は、様々な興味深い概念が組み合わさって構成されていますが、
それらは投資行為において消極的な立場を取っている基金とは対照的であるといえます。
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お問い合わせ:
本レポートに関するご意見・ご質問がございましたら下記までご連絡ください。
タワーズワトソン・インベストメント・サービス株式会社
Eメール: [email protected]
電話: 03-3581-5937
金融商品取引業者としてのタワーズワトソンについて
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商号: タワーズワトソン・インベストメント・サービス株式会社
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住所: 〒100-0011 東京都千代田区内幸町 1-1-1 帝国ホテルタワー10F
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電話: 03-3581-5937 (代表)
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金融商品取引業者: 関東財務局長(金商) 第 2778 号
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登録されている取引行為: 金融商品取引法に定める「投資助言・代理業」、「投資運用業」
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加入協会: 一般社団法人日本投資顧問業協会
“Allocations to Sustainable Investing,” Roger Urwin, May 2010
“Sustainable Investing Principles: Models for Institutional Investors”, Roger Urwin and Claire Woods, October
2009 and “Sustainable Investing Practice: Simplified Complexity”, Roger Urwin, October 2009
“Remapping our investment world”, Watson Wyatt, October 2003
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