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「CSR / 環境報告書2013」レビュー
「CSR / 環境報告書 2013」レビュー ● 発行形態と記載内容に関する調査・分析 株式会社文星閣 ● 目次 発行にあたって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 調査した報告書 報告メディア 2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 Web の活用 /ページ数 統合報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 報告書の統合 <コラム>統合報告に向けた動き 発行要項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 参照ガイドライン/ 報告書のタイトル/ 発行時期、多言語展開 <コラム>国連グローバル・コンパクトへの参加 マテリアリティ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 編集方針での言及、 本文における記載 / マテリアリティ選定プロセス等の記載 <コラム>GRIガイドライン(第 4 版)の大きな改訂点 「マテリアリティ」 GRIガイドライン(第 4 版)における「カテゴリー」と「側面」 ISO26000 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 活用状況 / 対照表の掲載 /7 つの中核主題別構成 ●データ集 特集 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 特集の掲載 / 特集のページ数 / 特集のテーマ/ 特集の本数、 ページ数が多い企業 ステーホルダー・ダイアログ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 ステークホルダー・ダイアログの掲載 /ステークホルダー・ダイアログの記載状況 ダイアログの相手 /ステークホルダー・ダイアログの記載内容 東日本大震災 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 東日本大震災に関する記載 / 東日本大震災に関する記載のページ数 東日本大震災に関する記載内容 / 東日本大震災に関する記載ページ数が多い企業 本誌の内容の無断転載を禁じます。 22 発行にあたって 当社は 2012 年より、企 業 等が 発 行するCSR/環 境 報 告書に関する調 査・分析 結 果を 「『CSR/環境報告書』レビュー」にまとめ、毎年発行してきました。本誌はその第 3 冊目(速報版 は除く)にあたります。 調査対象は、当社が独自に選定した企業100 社によって2013 年に発行された CSR/環境 報告書です。ただし、近年はWeb のHTML をフルレポートに位置付ける企業が多く見られる ほか、冊子版とは別に、情報量を増やした「詳細版 PDF 報告書」や、HTML の内容を冊子状に 編集した「ダイジェスト版 PDF 報告書」を作成して Web に掲載する企業も少なくありません。 そこで本誌では、これまでと同様、原則として「冊子版(印刷物)報告書」を調査対象としてはい ますが、冊子版を発行していない企業と、冊子版を発行していてもその情報量が極めて少ない か、記載内容が限定的な企業については、それら「PDF 報告書」を調査対象としました。その内 訳は、 下の円グラフの通りです。 なお、調査企業の選定にあたっては、より平均的な作成状況が把握できるよう、CSRランキ ング上位企業、報告書の各種アワード受賞企業、および売上上位企業に偏りすぎないように配 慮しました。 報告書を発行される企業の皆さまに本誌をお役立ていただければ幸いです。 2014 年 2月1日 調査対象報告書の内訳 サンプル数=100 社 ダイジェスト版 PDF* 冊子版 1% 82% 詳細版 PDF 17% *HTMLの内容を要約して冊子状にまとめた、 PDF 形式の報告書 2 調査した報告書 発行企業 3 報告書名 ・ ・・・・・ ・ ・・・・・ 詳細版 PDF ダイジェスト版 PDF 冊子版 ページ数 PDF 版 ページ数 発行月 報告書の統合 アーレスティ 環境・社会報告書 2013 24 ― 6月 × IHI IHI CSR REPORT 2013 28 (108) 6月 × 旭化成 旭化成グループ CSR レポート 2013 76 ― 8月 × アサヒグループホールディングス アサヒグループ CSR コミュニケーションレポート 2013 32 ― 4月 × 朝日新聞社 朝日新聞社 CSR 報告書・会社案内 2013 44 ― ― ○ 朝日ラバー 環境・社会活動報告書 2013 16 ― 7月 × アシックス ASICS CSR REPORT 2013 ダイジェスト版 28 (50) 6月 × アズビル azbil report 2013 64 ― 7月 ○ ADEKA ADEKA グループ CSR レポート 2013 40 ― 7月 × イオン イオン 環境・社会報告書 2013 (32) 86 9月 × 伊藤忠商事 ITOCHU CSR Report 2013 ― 116 8月 × 伊藤忠テクノソリューションズ CTC グループ CSR REPORT 2013 28 ― 9月 × イトーキ 環境・社会報告書 2013 36 ― 7月 × 宇部興産 UBE グループ CSR 報告書 2013 60 ― ― × NEC Corporation アニュアル・レポート 2013 62 ― ― ○ NTT ドコモ NTT ドコモグループ CSR ダイジェスト 2013 28 (218) ― × 王子ホールディングス 王子グループ 企業行動報告書 2013 72 (84) 11 月 × 大阪ガス 大阪ガスグループ CSR レポート 2013 48 ― 7月 × 岡村製作所 CSR Report 2013 (12) 96 7月 × 沖電気工業 OKI グループ 社会・環境レポート 2013 30 ― 6月 × オリエンタルランド OLC グループ CSR レポート 2013 ダイジェスト ― 26 ― × 花王 花王サステナビリティレポート 2013 ― 125 ― × 関西電力 関西電力グループレポート 2013 126 ― 9月 ○ 協和発酵キリン 協和発酵キリングループ アニュアルレポート 2012 98 ― 6月 ○ クボタ KUBOTA REPORT 2013 事業・CSR 報告書 54 ― 8月 ○ クラレ クラレ CSR レポート 2013 34 ― 8月 × グンゼ グンゼグループ CSR 報告書 2013 34 ― 6月 × KDDI CSR & アニュアルレポート 2013 96 ― 7月 ○ 神戸製鋼所 神戸製鋼グループ 環境・社会報告書 2013 60 ― 6月 × 国際石油開発帝石 サステイナビリティレポート 2013 32 (149) 9月 × コクヨ コクヨグループ CSR 報告書 2013 (32) 94 ― × コスモ石油 コスモ石油グループ コーポレートレポート 2013 40 ― 9月 ○ コマツ コマツレポート 2013 (32) 126 ― ○ サラヤ Sustainability Report 2013 48 ― 10 月 × ・「( )」・・・・・・・・・<ページ数部分>非調査対象報告書のページ数を示す (冊子、詳細版 PDF、 特集)の存在なし /<発行月部分>報告書に記載なし ・「 ― 」・・・・・・・・・<ページ数部分>該当項目 ・「ISO26000 の導入」欄表記 (ただし「ページ数」 には加算せず) ・「 * 」・・・・・・・・・別冊付録付き ○・・・・積極的に活用している △・・・・参照している ×・・・・活用も参照もせず マテリアリティ ステークホルダー・ 東日本大震災の ISO26000 の 特集ページ数 特定に至る ダイアログの記載 特別記載 導入 要因の記載 第三者意見 / 審査 備考 × × 2 × × ×/× × × 12 ○ ○ ○/× × ○ 10 × ○ ×/○ × × 14 ○ ○ ○/× 昨年まで発行していた詳細版 PDF「CSR 活動報告サマリー」は未発行 × × 8 × ○ ×/× 創刊号(2011 年版)と同様、 「会社案内」との統合版 × × ― × × ×/× × △ 2 × ○ ×/× 2013 年版より、冊子のページ数を削減しダイジェスト版に。昨年までなかった詳細版 PDF を発行 × × ― ○ × ×/× 2007 年版より「アニュアルレポート」と「知的財産報告書」を統合 × × ― × × ○/× ○ △ 10 × ○ ○/× 冊子版はマネジメント体制やパフォーマンスデータを省いた見やすい構成 × ○ 5 ○ ○ ○/× 2013 年度より冊子版(ダイジェスト版)を廃止 × × 8 ○ ○ ○/× × × 10 × ○ ○/× × × 6 ○ ○ ○/○ × ○ ― ○ ○ ×/× × × 12 × ○ ○/× × ○ ― × × ○/× × ○ 6 ○ ○ ○/○ × × 8 × ○ ○/○ × △ 6 × ○ ×/× × △ 8 × ○ ×/× Web サイト(HTML)がフルレポート、PDF 版はダイジェスト ○ △ 7 × ○ ×/○ 2013 年度より冊子版(ブックレット)を廃止 × × 10 × × ○/× 2013 年版よりアニュアルレポートと統合 × ○ 9 ○ ○ ×/× 2013 年版よりアニュアルレポートと統合 × × 8 × ○ ○/○ 2011 年版より事業報告書と統合。Web に PDF 版「補足データ集」掲載 × × ― × × ×/× × × 4 ○ ○ ○/× ○ ○ 4 ○ ○ ×/× × △ ― × ○ ○/× × ○ 13 ○ × ×/× 詳細版 PDF がフルレポート、冊子版はダイジェスト × △ 9 ○ ○ ×/○ 2013 年度は冊子版(ダイジェスト版)を復活 × △ 4 ○ ○ ×/○ 2010 年版より会社案内と統合 ○ ○ 10 ○ ○ ×/× 2013 年度よりアニュアルレポートと統合し、印刷用 PDF として発行(冊子の配布は廃止)。 また 2012 年にも発行していた冊子版「CSR ダイジェスト」は継続して発行 × × ― × × ×/× 2013 年版より報告書名が「Sustainability Report」 (2012 年版は「環境レポート」)に変わった 詳細版 PDF がフルレポート、冊子版はダイジェスト 2013 年版よりアニュアルレポートと統合 2013 年版より PDF 版のみアニュアルレポートと統合 2012 年版よりアニュアルレポートと統合。第三者意見を Web に掲載 4 発行企業 報告書名 ・・・・・ ・・・・・ 詳細版 PDF ダイジェスト版 PDF 冊子版 ページ数 PDF 版 ページ数 発行月 報告書の統合 サントリーホールディングス サントリーグループ CSR レポート 2013 66 ― 7月 × 三洋化成工業 三洋化成 CSR レポート 2013 58 ― 6月 × JR 東日本 東日本旅客鉄道 JR 東日本グループ CSR 報告書 2013 42 (98) 9月 × 昭和電工 昭和電工 CSR レポート 2013 (8) 110 7月 × 新日鐵住金 新日鐵住金 環境・社会報告書 2013 40 ― 7月 × 住友ゴム工業 住友ゴムグループ CSR 報告書 2013 52 ― 6月 × 積水化学工業 CSR レポート 2013 66 ― 6月 × 積水ハウス Sustainability Report 2013 82 ― 4月 × ソニー※ Annual Report 2013 66 ― ― ○ 第一三共 第一三共グループ バリューレポート 2013 100 ― 10 月 ○ 大日本印刷 DNP グループ CSR 報告書 2013 36 ― 6月 × 大和証券グループ本社 大和証券グループ CSR 報告書 2013 ― 52 8月 × 竹中工務店 竹中サステナビリティレポート 2013 48 ― 4月 × 千代田化工建設 千代田化工建設 グループ CSR 報告書 2013 20 ― 8月 × 帝人 2013 年 帝人グループ CSR 報告書 66 ― 6月 × 東京エレクトロン 環境・社会報告書 2013 38 ― 9月 × 東京海上ホールディングス Susteinability Report 2013 (36) 228 9月 × 東京ガス 東京ガス CSR・会社案内 2013 36 ― 9月 ○ 東芝 東芝グループ CSR レポート 2013 ― 52 6月 × 東洋インキ SC ホールディングス 東洋インキグループ 社会・環境活動報告書 2013 52 ― 10 月 × 東洋紡績 東洋紡グループ CSR 報告書 2013 40 ― 6月 × 東レ 東レグループ CSR レポート 2013 76 ― 9月 × TOTO TOTO CORPORATE REPORT 2013 38 ― 6月 ○ トクヤマ トクヤマ CSR 報告書・会社案内 2013 28 ― 7月 ○ トヨタ自動車 Sustainability Report 2013 ― 82 8月 × ニコン ニコン CSR 報告書 2013 (12) 68 6月 × 日清食品ホールディングス 日清食品グループ CSR 報告書 2013 58 ― 6月 × 日本ハム 日本ハムグループ 社会・環境レポート 2013 62 ― 6月 × 日本郵船 NYK レポート 2013 100 (104) 6月 ○ 日本ガイシ CSR レポート 2013 46 (118) ― × 日本車輌製造 社会・環境報告書 2013 48 ― 9月 × 日本精工 CSR レポート 2013 50 ― 11 月 × 日本製紙グループ本社 日本製紙グループ CSR 報告書 2013 ハイライト版 42 (106) 10 月 × 日本たばこ産業 JT グループ CSR レポート 2013 52 ― 6月 × ※2012 年版の日本アイ・ビー・エム (株) に替えて、 2013 年版より調査対象企業に加えました。 5 ・ ・ * ・「( )」・・・・・・・・・<ページ数部分>非調査対象報告書のページ数を示す (冊子、詳細版 PDF、 特集)の存在なし /<発行月部分>報告書に記載なし ・「 ― 」・・・・・・・・・<ページ数部分>該当項目 ・「ISO26000 の導入」欄表記 (ただし「ページ数」 には加算せず) ・「 * 」・・・・・・・・・別冊付録付き ○・・・・積極的に活用している △・・・・参照している ×・・・・活用も参照もせず マテリアリティ ステークホルダー・ 東日本大震災の ISO26000 の 特集ページ数 特定に至る ダイアログの記載 特別記載 導入 要因の記載 第三者意見 / 審査 備考 ○ ○ 8 ○ ○ ○/× × × 6 × × ×/○ Web サイト(PDF)は、冊子版+「CSR 関連データ集」 (6 ページ)の構成 × × 6 × ○ ×/○ 2013 年版よりタイトルが「社会環境報告書」から「CSR 報告書」に変わった × △ 22 × ○ ×/○ × × 6 × × ○/× ○ × ― ○ ○ ○/○ × △ ― × ○ ×/○ × ○ 10 × ○ ○/○ × × 10 ○ ○ ×/× × × ― ○ ○ ×/× ○ ○ 6 × ○ ○/× ○ ○ ― × ○ ○/× × ○ 4 ○ ○ ○/× × △ 2 ○ ○ ○/× × ○ 10 ○ ○ ○/○ × × 6 × ○ ○/× ○ ○ ― ○ ○ ×/○ × △ 3 ○ × ×/× ○ ○ 18 ○ ○ ×/× × ○ 4 ○ × ○/× × × 6 × × ×/× × ○ 14 × ○ ○/× × × 6 × ○ ○/× 2009 年版より「会社案内」と統合 × × 8 × × ○/× 2013 年版より会社案内と統合 × ○ 10 ○ ○ ○/× Web(HTML/PDF)がフルレポート。詳細版は取り組みを中心に構成。2013 年版より 冊子を廃止し Web のみで掲載 ○ ○ 8 ○ ○ ○/○ Web サイト(HTML/PDF)がフルレポート。冊子版はダイジェスト × × 12 × ○ ○/× × × 4 ○ × ○/× × ○ 9 ○ ○ ×/× × × 5 ○ × ○/○ × × 8 × ○ ×/× × △ 6 × × ○/× × ○ 6 × × ○/× 冊子は、 「ハイライト版」のほかに「詳細版」 (106 ページ)も発行 × ○ ― × ○ ×/× 2013 年度より報告書とは別に、CSR の取り組みをわかりやすくした「CSR コミュニ ケーションブック 2013」を発行 2012 年 10 月 1 日に住友金属工業(株)と合併 情報の網羅性と読みやすさの両立のため、資料は別冊付録にまとめた 2013 年版よりアニュアルレポートと統合し、タイトルを「バリューレポート」とした 年次報告書に ESG 情報を手厚く盛り込んだため、2012 年度より冊子を廃止 報告書とは別に、 「千代田グループ CSR ハンドブック(第 3 版)」を全役職員に配布 Web(HTML/PDF)がフルレポート。冊子版はブックレット(小冊子) Web サイト(HTML/PDF)がフルレポート。冊子版はダイジェスト。2010 年版より 「会社案内」と統合 2013 年度より冊子版を廃止 2013 年度よりアニュアルレポートと統合し、タイトルを「NYK レポート」とした 2013 年度より発行された WEB 版フルレポート(PDF)は、網羅的な Web サイト (HTML)の要約ファイル 6 発行企業 7 報告書名 ・ ・・・・・ ・ ・・・・・ 詳細版 PDF ダイジェスト版 PDF 冊子版 ページ数 PDF 版 ページ数 発行月 報告書の統合 日本特殊陶業 日本特殊陶業グループ CSR 報告書 2013 ダイジェスト版 32 (69) 9月 × 任天堂 CSR Report 2013 20 ― 6月 × ノーリツ 環境社会報告書 2013 38 ― ― × ハウス食品 CSR レポート 2013 20 ― 10 月 × バンダイナムコホールディングス バンダイナムコグループの CSR 活動報告 2013 30 ― 8月 × 日立製作所 日立グループ サステナビリティレポート 2013 (16) 188 8月 × ファーストリテイリング FAST RETAILING CSR REPORT 2013 44 ― 1月 × 藤倉化成 藤倉化成グループ 安全・環境報告書 2013 48 ― 9月 × 富士通グループ 富士通グループ 社会・環境報告書 2013 50 (367) 7月 × ブラザー工業 2013 年版ブラザーグループ CSR 報告 Web サイトデータ ― 68 ― × ブリヂストン ブリヂストングループ CSR レポート 2013 32 (62) 7月 × ベネッセホールディングス Benesse ONE Report 2013 68 ― 8月 ○ 堀場製作所 ガイアレポート 2013 24 ― ― × ポリプラスチックス 環境・社会報告書 2013 40 ― ― × マツダ マツダサステナビリティレポート 2013 (24) 158 8月 × マルハニチロホールディングス マルハニチログループ CSR 報告書 2013 36 ― 7月 × 丸紅 Marubeni アニュアルレポート 2013 138 ― ― ○ マンダム 考働レポート 2013 32 ― 8月 × みずほフィナンシャルグループ みずほフィナンシャルグループ CSR レポート 2013 ― 56 7月 × 三井物産 三井物産 CSR レポート 2013 ― 93 8月 × 三菱自動車工業 三菱自動車 社会・環境報告書 2013 42 (64) 8月 × 三菱重工業 三菱重工業 CSR レポート 2013 社会・環境報告書 ダイジェスト 32 (153) 6月 × 三菱マテリアル Mitsubishi Materials CSR Report 2013 72 ― 9月 × ミネベア Minebea Group CSR Report 2013 40 ― 9月 × 村田製作所 Murata Report 2013 36 ― ― ○ ヤマトホールディングス ヤマトグループ CSR 報告書 2013 36 ― 8月 × ヤマハ CSR レポート 2013 24 ― 6月 × ユニ・チャーム CSR 報告書 2013 42 ― 6月 × 横浜ゴム CSR REPORT 2013 32 ― 7月 × リンナイ CSR レポート 2013 36 ― 10 月 × ローム ROHM Group Innovation Report 2013 36 ― 6月 × YKK / YKK AP YKK グループ 社会・環境報告書 2013 32 ― 6月 × ・「( )」・・・・・・・・・<ページ数部分>非調査対象報告書のページ数を示す (冊子、詳細版 PDF、 特集)の存在なし /<発行月部分>報告書に記載なし ・「 ― 」・・・・・・・・・<ページ数部分>該当項目 ・「ISO26000 の導入」欄表記 (ただし「ページ数」 には加算せず) ・「 * 」・・・・・・・・・別冊付録付き ○・・・・積極的に活用している △・・・・参照している ×・・・・活用も参照もせず マテリアリティ ステークホルダー・ 東日本大震災の ISO26000 の 特集ページ数 特定に至る ダイアログの記載 特別記載 導入 要因の記載 第三者意見 / 審査 備考 × × 4 × × ○/× 2012 年度より冊子はダイジェスト版(A5 判)に改め、新たに詳細版 PDF を発行 × × 12 × × ×/× × × 6 × ○ ×/× × × 6 ○ ○ ○/× × × 6 × ○ ×/× ○ ○ 8 ○ ○ ×/○ × × ― × ○ ×/× × × ― × × ×/× ○ ○ ― ○ ○ ×/× × × ― ○ ○ ○/× × ○ 12 ○ ○ ×/× 2012 年度より、冊子のページ数を削減しダイジェスト版に × △ ― × ○ ×/× 2013 年度よりアニュアルレポートと統合し、タイトルを「Benesse ONE Report」とした × × ― × ○ ×/× × × ― × × ×/× × ○ 4 ○ ○ ○/× × × 16 × × ×/× × △ 20 × ○ ×/× × △ 4 ○ × ○/× × △ ― × ○ ×/× 2013 年度より冊子版を廃止 × △ ― ○ ○ ×/○ アニュアルレポートへの記載移行に伴い、2012 年度より冊子版を廃止 × × 10 × ○ ○/× × ○ 10 ○ ○ ○/× ○ × 6 ○ ○ ○/○ × △ 8 ○ ○ ○/× × × 4 × × ○/× × × 6 × ○ ○/× × × 4 × ○ ○/× × △ 9 × ○ ×/○ × ○ 13 ○ ○ ○/× × △ 8 × × ×/× × ○ ― × ○ ×/× × × 7 ○ × ×/× 昨年は調査対象を「私たちの CSR」としたが、本年度発行された「CSR レポート 2013」を 調査対象とした。ただし昨年同様「私たちの CSR 2013」は冊子として発行 Web サイト(HTML/PDF)がフルレポート。冊子版はダイジェスト 冊子版は成果・特徴的取り組みを簡潔にわかりやすくまとめたもの 2013 年版より冊子版は会社案内と統合した。なお PDF 版はサステナビリティ レポートの詳細版としていて、会社案内との統合版としては扱っていない 2013 年版よりアニュアルレポートと統合。冊子は配布していない。 網羅的な Web サイト(PDF)に対し、冊子版は重要度の高い活動を記載 2010 年版より「会社案内」と「アニュアルレポート」と統合 HTML はフルレポート、冊子はダイジェスト版の位置付け 8 報告メディア 2013 年版報告書では、前年版以上に冊子版の比率が低下し、半面、紙媒体以外の HTMLや詳細版 PDF の比率は高 まった。その理由は、 「編集方針」等で必ずしも語られていないが、開示を求められる情報が増加傾向にある中でのコ スト削減、省資源・省エネによる環境配慮、Web の使いやすさ等にあるものと考えられる。しかし一方で、その見やす さ、ダイレクト感にこだわって、冊子版のページ数を増やす企業も少なくなかった。報告書のこうしたメディア分化は、 今後も進展していくことが予想される。 Web の活用 HTML の位置付け サンプル数=100 社 2013 年版報告書では、紙媒体(冊 子版)とWebサイト(HTML および 非フルレポート PDF)を使い分けて、CSR 情報を一層効率的に開示していこうとする顕著 23% な動きが見られた。 Webサイトにおいては、HTML はアクセスが容易であるばかりか、多くの フルレポート 77% 情報を掲載しやすく、また情報の追記、更新も手軽であることから、これを フルレポートに位置付ける企業が目立った。加えて、冊子版とは別に、情報 量を大幅に増やした「詳細版 PDF」をWeb に掲載する企業も年々増えてき 「冊子版」と「PDF 版」 の発行状況 ている。 サンプル数=100 社 一方、冊子版はというと、全体的に減少傾向にあるものの、 「自社とステ ークホルダーの双方に重要度が高い情報」を中心にまとめたもの(本誌で 「詳細版 PDF」のみ 「ダイジェスト版 PDF*」のみ 9(4)% 1(1)% は「重要情報版」とした)が増えている。また、報告書を社内啓発ツールとし て使用する等、目的によっては冊子版の方が適しており、これを「フルレポ ート版」と位置付ける企業は4 割以上にのぼっている。 とはいえ、冊子版の発行を取りやめて、Webサイト(HTML および PDF) 「冊子版」と 「詳細版 PDF」 21(18)% 「冊子版」のみ 69(77) % だけで報告を行う企業は、毎年増え続けている。本誌調査対象企業では、 *HTMLの内容を要約して冊子状にまとめた、 PDF 形式の報告書 2013 年は東芝、トヨタ自動車など新たに4 社が冊子版を取りやめた結果、 ※( ) は2012 年版の数値 冊子版不発行率は前年の5%から9%へとアップした。 「冊子版」の位置付け 「冊子版」発行企業の割合 サンプル数=91(95)社* サンプル数=100(100)社 「フルレポート版」 発行せず 44 (56) % 9(5)% 「ダイジェスト版」 21(19)% 発行している 91(95)% 「重要情報版」 35(26)% *冊子版不発行の9 社を除く ※( ) は2012 年版の数値 9 ※( ) は2012 年版の数値 ■「冊子版」不発行企業の報告形態 企業名 主要報告書とそのメディア形式 ページ数 伊藤忠商事 ITOCHU CSR Report 2013(詳細版 PDF) オリエンタルランド OLC グループ CSR レポート 2013 ダイジェスト(ダイジェスト版 PDF) 116 花王 花王サステナビリティレポート 2013(詳細版 PDF) 大和証券グループ本社 大和証券グループ CSR 報告書 2013(詳細版 PDF) 備考 2013 年度より冊子版 (ダイジェスト版)を廃止 26 Web(HTML)では最新情報を交えて、より網羅的に報告 125 2013 年度より冊子版 (ブックレット)を廃止 52 2012 年度より ESG 情報を「年次報告書」に盛り込んだため冊子を廃止 * 東芝 東芝グループ CSR レポート 2013(詳細版 PDF) 52 トヨタ自動車 Sustainability Report 2013(詳細版 PDF) 82 2013 年度より冊子版を廃止 環境への影響を考慮し、2013 年版より冊子を廃止し Web のみで掲載 ブラザー工業 2013 年版ブラザーグループ CSR 報告 Web サイトデータ(詳細版 PDF) 68 2009 年版より冊子版を廃止 みずほフィナンシャルグループ みずほフィナンシャルグループ CSR レポート 2013(詳細版 PDF) 56 2013 年度より冊子版を廃止 三井物産 三井物産 CSR レポート 2013(詳細版 PDF) 93 2012 年版よりアニュアルレポートへの記載以降に伴い冊子版を廃止 *より詳細情報を掲載した 184P の詳細版 PDF も発行している ページ数 「冊子版(統合版を除く)」のページ数 サンプル数=65(78) 社 アニュアルレポート等との統合版を除く「冊子版」について、それぞれ 2012 年版と比べたところ、ページ増の企業が30%、ページ減の企業 33 %、増減なしの企業 38%という割合だった。この数値からは見えてこない ∼96 ページ 16 ページ以下 2(1)% 2(3)% ∼80 ページ ∼32 ページ 11 (14)% 31 (25)% が、 「ページ増」は小規模な例がほとんどであり、一方「ページ減」は比較的 ∼64 ページ 大規模な例が多く見られた。 15(18)% ∼48 ページ 40(39)% 「ページ増」の規模では、ユニ・チャーム(14ページ増)と帝人(10 ペー ※( ) は2012 年版の数値 ジ増)が上位を占めた。新規掲載項目として、前者は「第三者保証報告」が、 後者は「ISO26000 対照表」がそれぞれあるものの、両社とも既存項目が少 しずつボリュームアップしたことが 「増ページ」の要因となった。 反対に「ページ減」では、大日本印刷(28ページ減)、国際石油開発帝石 「冊子版(統合版を除く)」ページ数の増減 サンプル数=65(78) 社 (24ページ減)、日本ハム(18ページ減)、神戸製鋼所(14ページ減)等、大 幅な削減例が並んだ。いずれも、読者の関心度と発行企業の重要度が高い ページ数増 29 (34)% 昨年と同じ 情報に絞り込んで、編集した結果といえる。 38 (38) % 統合版を除く「冊子版」の平均ページ数は「42.1ページ」であり、前年版 から4.4ページ減少した。こうした流れは、Webサイトの詳細版 PDF が年々 ページ数減 32(28) % ボリュームアップしていく流れと、まさに負の相関関係となっている。 ※( ) は2012 年版の数値 ■ページ数が大幅に減った「冊子版(統合版を除く)」 大日本印刷「DNP グループ CSR 報告書 2013」 28 ページ減 国際石油開発帝石「サステイナビリティレポート 2013」 24 ページ減 三菱重工業「三菱重工業 CSR レポート 2013 社会・環境報告書 ダイジェスト」 20 ページ減 日本ハム「日本ハムグループ 社会・環境レポート 2013」 18 ページ減 神戸製鋼所「神戸製鋼グループ 環境・社会報告書 2013」 14 ページ減 「冊子版(統合版を除く)」平均ページ数の推移 サンプル数(2012 年版 /2013 年版)=78 社 /65 社 2012 年版 2013 年版 45.5 ページ 42.5 ページ 10 統合報告 本誌の調査対象企業 100 社において、CSR 報告書を新たにアニュアルレポートや会社案内、あるいはその両方と統合 する企業は、2012 年版までは毎年1 ∼ 2 社であった。しかし、2013 年版では、緩やかだったこの流れがにわかに速ま り、新たに報告書を統合した企業は10 社を数えた。これは、ヨーロッパを中心に、企業価値評価のモノサシとして ESG (環境・社会・ガバナンス)をはじめとする非財務情報を重視する動きが投資家の間に強まってきたことに起因して いる。この流れは、今後も続くものと思われる。 報告書の統合 統合報告書の割合 サンプル数=100 社 ここへきて報告書の統合事例が急増したのは、 2013 年12月に国際統合 報告協議会(IIRC)による「統合報告フレームワーク」 (ページ下、コラム参 統合している 18(9)% 照)の発表が予定されていて、統合報告へと向かう国際的な流れを企業が 踏まえた結果といえる。 調査対象企業中、2013 年版で新たに報告書を統合したのは、NEC、王 子、関西電力、協和発酵キリン、コマツ、第一三共、トクヤマ、日本郵船、ベ 統合していない 82(91)% ※( ) は2012 年版の数値 ネッセ、丸紅の10 社であった。これで、統合報告書を発行する企業は、従来 からの 9 社と合わせ19 社となった。 2012 年版では会社案内との統合例が多くを占めていたが、 2013 年版で 新たに統合報告に踏み切った企業のうち、会社案内と統合したのは1社 (トクヤマ)のみであり、残る9 社は全てアニュアルレポートとの統合であっ た。 この点も、 統合報告における新たな流れといえるだろう。 統合化の内容 サンプル数=18(9)社 会社案内、 アニュアルレポート と統合 11(22)% アニュアルレポート と統合 61(33)% 統合報告に向けた動き 会社案内と統合 2013 年 12月、国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council=IIRC)から 「国際統合報告フレームワーク」が発表された。財務 情報と非財務情報を統合的に開示することで、企業価値評価のための 新たなモノサシをつくるのが狙いだ。 とはいえ、 これは枠組みであって、 具体的開示基準等を示したものではない。 また、投資家向け情報開示 を前提としているため、マルチステークホルダーを読者対象とするCSR 報告書にそのまま適用するのは無理もある。財務情報と非財務情報を 統合し、客観的な企業価値評価を求めるアニュアルレポートと、ESG 情 報の開示によって事業活動への理解を求めるCSR 報告書とは読者と発 行目的がイコールではないため、両誌は並存していくのが本来のあり 方といえるだろう。 11 28 (44)% ※( ) は2012 年版の数値 ■統合版報告書の発行状況 企業名 報告書名 朝日新聞社 朝日新聞社 CSR 報告書・会社案内 2013 アズビル 統合内容 ページ数 統合化年度 補足情報の開示等 CSR 報告書 会社案内 44 2011 HTML は冊子版コンテンツと最新トピッ クスで構成 azbil report 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 知的財産報告書 64 2007 HTML で、より網羅的に記載 NEC Corporation アニュアル・レポート 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 62 2013 HTML に、 より詳細な情報を掲載 関西電力 関西電力グループレポート 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 126 2013 HTML に詳細情報を掲載。冊子版には詳細情報の URL を記載し HTML とリンクさせている 協和発酵キリン 協和発酵キリングループ アニュアルレポート 2012 CSR 報告書 アニュアルレポート 98 2013 HTML は冊子版とほぼ同コンテンツ クボタ KUBOTA REPORT 2013 事業・CSR 報告書 CSR 報告書 会社案内 アニュアルレポート 54 2011 Web に補足データを追加した詳細版 PDF と、 より網羅的な HTML を掲載 KDDI CSR & アニュアルレポート 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 96 2012 HTML で詳細情報、最新トピックスなどを 網羅的に記載 コスモ石油 コスモ石油グループ コーポレートレポート 2013 CSR 報告書 会社案内 40 2010 HTML は冊子版とほぼ同コンテンツ コマツ コマツレポート 2013 CSR・環境報告書 アニュアルレポート 126 2013 HTML は冊子版とほぼ同コンテンツ ソニー Annual Report 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 66 2012 HTML で、 より網羅的に記載 第一三共 第一三共グループ バリューレポート 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 100 2013 HTML は冊子版とほぼ同コンテンツ 東京ガス 東京ガス CSR・会社案内 2013 CSR 報告書 会社案内 36 2010 HTML に、 より詳細な情報を掲載 TOTO TOTO CORPORATE REPORT 2013 CSR 報告書 会社案内 38 2009 HTML で、より網羅的に記載。財務・環境・社会・ ガバナンスデータをまとめた 36P の別冊も発行 トクヤマ トクヤマ CSR 報告書・会社案内 2013 CSR 報告書 会社案内 28 2013 HTML で、 より網羅的に記載 日本郵船 NYK レポート 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 104 2013 HTML は冊子版とほぼ同コンテンツ ベネッセホール ディングス Benesse ONE Report 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 68 2013 HTML で、 より網羅的に記載 丸紅 Marubeni アニュアルレポート 2013 CSR 報告書 アニュアルレポート 138 2013 HTML に、 より詳細な情報を掲載 村田製作所 Murata Report 2013 CSR 報告書 会社案内 アニュアルレポート 36 2010 HTML に、より詳細な情報を掲載 12 発行要項 ここでは、企業が報告書の作成にあたって参照したガイドラインのほか、報告書のタイトルや発行時期、外国語版の 発行状況など、 報告書発行に関する、 その他の基本要素を見てみよう。 このうちガイドラインについては、 2013 年 5月、その国際的な策定団体である GRIより第 4 版が発行され、注目を集めた。2013 年版への反映は、報告書の発行 時期からして極めて困難であったと思われたが、これについても調査した。 参照ガイドライン 参照したガイドライン 最も多かったのは GRI「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン」 サンプル数=100 社(複数回答) GRI「サスティナビリティ・レポーティング・ 67(67) 社 ガイドライン」 環境省「環境報告ガイドライン」 62(60) 社 ISO26000 40(34) 社 は約 2 年間とされており、2016 年 1 月1日以降に発行する報告書は第 4 版 環境省「環境会計ガイドライン」 15 (19)社 を使用することになる。 2014 年版で移行がどの程度進むのか注目したい。 国連グローバル・コンパクト COP 方針 7(5) 社 このほか目立つのは、 「ISO26000」 を参照する企業が 2012 年版より6 JIS Z 26000 2(2) 社 その他 9(5) 社 (第 3 版、 または 3.1 版) で、100 社中 67 社にのぼった。2013 年 5 月発行の 第 4 版については、唯一、東芝だけが参照していた。第 4 版への移行期間 社増え、調査企業 100 社のうち4 割を占めるようになったことである。 その 導入度は企業によって大きな濃淡があるものの、 これを CSR に取り入れる 記載なし 22(22) 社 企業は着実に増えており、 この流れは今後も続いていくだろう。 ※( ) は2012 年版の数値 また、 「ガイドライン対照表」 の掲載状況を GRIガイドラインについて見た ところ、 これを報告書に掲載した企業は旭化成 1 社のみであった。 しかし、 Web サイトへ掲載する企業は多く、 その数は 5 割弱(47 社) にのぼった。 GRI ガイドライン対照表の掲載 サンプル数=100 社 冊子のみ 1(3)% 国連グローバル・コンパクトへの参加 「人権」 「労働基準」 「環境」 「腐敗防止」の視点から組織が遵守・実践す べき10 原則を掲げた国連グローバル・コンパクトへ賛同する企業が WEB のみ 増えている。 これを参照ガイドラインに挙げた企業は 7 社にとどまった が、積極的に経営に取り入れていることを報告書や WEB サイトに記載 掲載なし 47(41)% 52(55)% する企業は、2013 年版では 3 社増え、調査企業中、約 4 割にのぼった。 グローバルな基準に沿ってCSR 経営を進めようとする企業意識の表れ といえるだろう。 国連グローバル・コンパクトへの参加を記載している企業 サンプル数=100 社 記載あり 39(36) 社 記載なし 61 (64) 社 ※( ) は2012 年版の数値 13 ※( ) は2012 年版の数値。 「冊子とWEB」 が消滅 (1 社→0 社) したため、 上記のサンプル数は計 99 社 報告書のタイトル 報告書のタイトル サンプル数=100 社 2013 年度版における「統合報告書」急増の影響は、報告書タイトルの調 その他 CSR 5(7)% 52(58) % 査結果に、如実に表れている。右の円グラフで2012 年版との変動が目立 サステナ ビリティ つのは、順位トップ「CSR」の 6 社減、および「統合によるもの」の 9 社増と2 9(8)% 位への躍進である。これらは相関関係にあり、 「統合によるもの」の増加 社会環境または 環境社会 統合によるもの は、 その大半が「CSR」 からのタイトル変更であった。 「統合によるもの」 の具 16 (17)% 18(9)% 体的タイトル名は、統合の形式を表すものなどさまざまであり、個々につ ※( ) は2012 年版の数値。 「環境」 が消滅 (1 社→0 社) したため、 上記のサンプル数は計 99 社 いては下記「補足資料」 を参照されたい。 これ以外では、 「社会環境」から「CSR」への移行(JR 東日本)と、 「環境」 から 「サステナビリティ」への移行 (サラヤ)が各1社見られたほかは、2012 発行時期 サンプル数=100 社 年版からの大きな変動はなかった。なお、上記サラヤの移行により、 「環 境」のみをタイトルに謳う報告書は調査対象企業では皆無となった。 記載なし その他 16(10)% 3(6)% 4月 6月 3(3)% 26(29)% 7月 10月 16(19)% 6(3)% 発行時期、 多言語展開 報告書の「統合化」、紙媒体からWebサイトへの「フルレポート」の位置 9月 8月 15(15)% 15(15)% 「その 他」は1月が1社、11月が 2 社。また、2 月、3 月、 5月、12 月は発行企業なし。 付け変更、およびそれに伴う冊子版のスリム化や廃止等々、発行状況がさ ※( ) は2012 年版の数値 まざまに変化する中にあっても、発行時期は 2012 年版とさほど変わらな かった。ただし、 「6月」 「7月」に発行する企業が多かったのは例年通りだ 多言語展開 サンプル数=100 社 が、全体的にはこの両月の発行例がやや減って、1 ヶ月から数ヶ月、発行が 遅れている傾向が見て取れる。こうした発行時期の変化については各社と も「編集方針」等に記載していないため、推測の域を出ないが、上記の発行 日本語版・ 英語版・ 中国語版・ 韓国語版 1(0)% 状況の変化が影響していることも考えられる。 多言語展開については、右グラフのような調査結果となった。2012 年版に 比べると、 「日本語版のみ」の発行企業が減り、新たに「英語版」も発行した企 日本語版・ 英語版・ 中国語版 11(10)% 業が増えている。企業のグローバル化の進展を反映した結果といえるだろう。 補足資料「特徴的タイトル」 日本語/英語併記版 2(1)% 日本語版のみ 26(34)% 日本語版・英語版 60(55)% ※( ) は2012 年版の数値 報告書統合によるもの 独自の書名 報告枠組みの組合せ等が異なるもの ・朝日新聞社「朝日新聞社 CSR 報告書・会社案内 2013」/・アズビル「azbil report 2013」/・NEC Corporation「アニュアル・レポート 2013」/・王子ホールディングス「王 子グループ 企業行動報告書 2013」/・関西電力「関西電力グループレポート 2013」/・協和発酵キリン「協和発酵キリングループ アニュアルレポート 2013」/・クボタ 「KUBOTA REPORT 2013 事業・CSR 報告書」/・KDDI「CSR & アニュアルレポート 2013」/・コスモ石油「コスモ石油グループ コーポレートレポート 2013」/・コマツ「コマ ツレポート 2013」/・ソニー「Annual Report 2013」/・第一三共「第一三共グループ バリューレポート 2013」/・東京ガス 「東京ガス CSR・会社案内 2013」 /・TOTO 「TOTO CORPORATE REPORT 2013」 /・トクヤマ 「トクヤマ CSR 報告書・会社案内 2013」/・日本郵船 「NYK レポート 2013」/・藤倉化成「藤倉化成グループ 安全・ 環境報告書 2013」/・ベネッセホールディングス「Benesse ONE Report 2013」/・堀場製作所「ガイアレポート 2013」/・丸紅「Marubeni アニュアルレポート 2013」/ ・マンダム「考働レポート 2013」/・村田製作所「Murata Report 2013」/・ローム 「ROHM Group Innovation Report 2013」 14 マテリアリティ GRI ガイドライン(第 3 版)では、報告書での開示情報を「マテリアリティ(重要性)」というモノサシで峻別し、記載す るよう求めている。GRI ガイドラインは 2013 年 5月に第 4 版が発行されたが、そこではマテリアリティに一層焦点を当 てた報告することが求められることとなった。2013 年版報告書については、この第 4 版を参照して報告書づくりを 行った企業は調査対象企業では1社(東芝)のみであったが、2014 年版報告書からはマテリアリティに関する記載を 改める企業が増えていくことだろう。 編集方針での言及、本文における記載 編集方針でのマテリアリティへの言及 サンプル数=100 社 言及あり GRI ガイドラインでは、マテリアリティを「経済的、環境的、社会的に重要 23(32)% な影響を及ぼすテーマと指標、あるいはステークホルダーの評価や意思 決定に重要な影響を及ぼすテーマと指標」と定義付け、報告書でこれらを それぞれ網羅すべきであるとしている。実際に企業が報告書においてマテ リアリティの高い情報を中心(あるいは優先的)に記載していることを「編 言及なし 77 (68)% 集方針」で言及しているかどうか調査したところ、 「言及あり」が23 社(%)、 ※( ) は2012 年版の数値 「言及なし」が 77 社(%)であった。前年度調査に対し、 「言及あり」が大きく 減少 (−7 社 /%)している。 本文でのマテリアリティの明示 一方、本文において、その記載情報がマテリアリティの高いものであるこ サンプル数=100 社 とを明示しているかどうかを見たところ、 「明示あり」は 29 社(%)、 「明示な 明示あり 29(25)% し」が 71社(%)であり、こちらは前年度調査に比べ、 「明示あり」が増えて (+4 社%)いた。編集方針での言及は減少しているものの、マテリアリティ を意識する企業は増加傾向にあるといえるだろう。 明示なし 71 (75)% ※( ) は2012 年版の数値 マテリアリティ選定プロセス等の記載 マテリアリティ選定プロセス等の記載 GRI ガイドラインでは、重要性の高いテーマや指標の選定にあたっては、 サンプル数=100 社 特定プロセスのみ 経済的、環境的、社会的影響の「著しさ」と、ステークホルダーによる評価 7(11)% と意思決定への影響度を考慮するよう求めている。さらに、これら諸要素 マテリアリティ マップのみ の検討から、その優先順位も含め、決定へと至る過程(選定プロセス)を記 1(1)% 載すべきであるとし、また、マテリアリティの相対的優先度についても記載 するのが望ましいとしている。選定プロセス、および相対的優先度(「マテ リアリティマップ」による)の記載状況を見たところ、2012 年版に比べ、記 載企業がわずかに減少しているという結果となった。 15 記載なし 86 (84)% 特定プロセス・ マテリアリティ マップ両方 6(4)% ※( ) は2012 年版の数値 ■マテリアリティ選定プロセス等を記載している企業 企業名 マテリアリティ選定プロセスの記載内容 マテリアリティ マップの有無 イオン 記載なし ○ 花王 ステークホルダーの意見と中長期の経営戦略を踏まえて策定 ○ KDDI 「4 つの CSR 重要課題」に取り組む中で、有識者とのダイアログを通じ、助言を得て選定 ○ コマツ 米国の NPO 法人 BSR の支援を得て、自社が本業を通じて貢献できる CSR 優先課題を、自社事業とステークホルダーの 双方にとって重要かという観点で整理。さらに、それらの課題について、 「小松が何をするべきか」を BSR とともに社内 議論を行い、 「3 つの重点分野」を選定 × サントリー ホールディングス ISO26000「7 つの中核主題」ごとにステークホルダー・エンゲージメントを実施。その結果をもとに、グローバルな社 会課題や事業課題の中から、ステークホルダーの期待・関心度が高く、自社グループにとっての重要度も高い項目を 絞り込んだ × 住友ゴム工業 2011 ∼ 2012 年度に実施した各種アンケート調査の結果をもとに選定 ○ 大日本印刷 国連グローバル・コンパクトの普遍的原則を尊重し、自社と社会の双方の視点で重要性を分析したうえで、CSR 活動 の重点テーマを設定。また、ISO26000 を中心に、関連する国際条約・国際協定、SRI(I 社会的責任投資)が重要視する社 会課題、ステークホルダーからの意見(報告書アンケートなど)等を参考に検証を行い抽出 × 大和証券 グループ本社 ステークホルダーの声、要請などをもとに CSR 重点課題を設定 × 東京海上 ホールディングス ステークホルダーとの対話に基づいて重要性を評価し、社会的責任・サステナビリティ課題を設定 × 東芝 ISO26000 に従った点検、課題抽出、計画策定、推進、評価という PDCA サイクル「東芝 CSR マネジメントサイクル」で選定 × ニコン GRI ガイドラインの重要性の原則や ISO26000 の 7 つの中核課題、SRI に関する外部評価機関から求められている課題 などを参考に CSR 委員会事務局で分析を行い、CSR 委員会でグループ共通の重点課題を決定 ○ 日立製作所 サステナビリティに関する国際機関等とのステークホルダーダイアログ、および公共政策の動向を通じて認識した持 続可能性に関する課題について、 「ステークホルダーにとっての重要性」と「経営に与える影響度」の 2 つの観点から評 価・検証して選定 ○ 富士通グループ CSR 推進委員会のもとに設置されたワーキンググループで、富士通が優先的に取り組むべき事項について議論。また 外部有識者を招いたステークホルダーダイアログを開催し、富士通への期待と要望について理解を深めることで重要 課題を選定 × 三菱マテリアル 巻頭の「報告書の制作プロセス」および本文の「重要課題(マテリアリティ)への取り組み」において、重要課題の特定方 法、重要課題の定期的見直し、マテリアリティの見直しに用いた視点、 重要課題の検証、選定した課題(9 テーマ)それぞ れの位置付けを詳述し、出色の「選定プロセス」記載となっている ○ GRIガイドライン (第 4 版) の大きな改訂点「マテリアリティ」 第 4 版(2013 年 5月発行)の最大の改訂点は、 「網羅性」から 「マテリアリティ」への移行だといえよう。つまり、 「開示項目の多さ」 より、 「開示すべき情報を開示する」 ことが大事という考え方だ。第 3.1 版ではマテリアリティの具体項目は明示されていなかったが、第 4 版では、 経済、環境、社会という3 つの「カテゴリー (Category)」に含まれる計 46 の「側面(Aspect)」が具体的に提示され、 その中から選定する よう求められている。 また、選定した「側面(Aspect)」については該当するバウンダリーを個々に特定すること、 それぞれマテリアリティ としての理由や影響、影響の管理といったマネジメン手法と、 それに対する評価を報告することが必要としている。 さらに、 これらマテリ アリティの選定プロセスを開示することが求められ、 その内容によって経営層の関与の度合いが読み取れるとしている。 16 ■GRI ガイドライン (第 4 版)における「カテゴリー」と「側面」 GRI ガイドライン(第 4 版)がマテリアリティの選定項目として挙げている「側面(Aspect)」と、それを含む「カテゴリー(Category)」は、下表 のような構成となっている。 カテゴリー サブカテゴリー 経済 ̶ 側面 経済性パフォーマンス / 地域での存在感 / 間接的な経済影響 / 調達慣行 (以上、4 側面) 原材料 / エネルギー / 水 / 生物多様性 / 大気への排出 / 排水および廃棄物 / 製 ̶ 環境 品およびサービス / コンプライアンス / 輸送・移動 / 環境全般 / サプライヤー の環境評価 / 環境に関する苦情処理制度 (以上、12 側面) 労働慣行と ディーセント・ワーク 雇用 / 労使関係 / 労働安全衛生 / 研修および教育 / 多様性と機会均等 / 男女同 一報酬 / サプライヤーの労働慣行評価 / 労働慣行に関する苦情処理制度 (以上、8 側面) 投資 / 非差別 / 結社の自由と団体交渉 / 児童労働 / 強制労働 / 保安慣行 / 先住 人権 民の権利 / 人権評価 / サプライヤーの人権評価 / 人権に関する苦情処理制度 (以上、10 側面) 社会 地域コミュニティ / 腐敗防止 / 公共政策 / 反競争的行為 / コンプライアンス / 社会 サプライヤーの社会への影響評価 / 社会への影響に関する苦情処理制度 (以上、7 側面) 顧客の安全衛生 / 製品およびサービスのラベリング / マーケティング・コミュ 製品責任 ニケーション / 顧客プライバシー / コンプライアンス (以上、5 側面) ※GRIガイドライン・第 4 版をもとに、文星閣にて作成 17 ISO26000 企業にとって 2013 年版報告書は、ISO26000「社会的責任(SR)ガイダンス文書」発行から3 年目での作成となった。 「3 年目」ということで、このガイダンス文書が企業の CSR 活動や報告書づくりに広く導入されるようになったかという と、現状はそれほどでもない。事業をグローバルに展開する企業においてはこれを積極的に活用しようという流れが 見られるものの、内需型企業にあっては、さほど導入が進んでいない。報告書づくりの参考としての利用から始まっ て、ISO26000 に基づくCSR プログラムの構築を目指す企業が増えることを期待したい。 活用状況 ISO26000 の活用状況 サンプル数=100 社 ISO26000 に基づいてCSR 活動を推進している企業、および CSR 活動 のそのものには未導入だが報告書づくりに ISO26000 を積極的に活かし 活用・参考にせず 活用している 48(48)% 30 (28)% ている企業を「活用している」として、また、積極的ではないが何らかのカ タチで ISO26000 を報告書づくりに反映させている企業、および「編集方 針」で ISO26000 を参照ガイドラインとして挙げているだけの企業を「参 考にしている」 として、 2013 年版報告書における活用状況を調査した。 参考にしている その集計結果は、 「活用している」30 社(%)、 「参 考にしている」22 社 22(24)% (%)、 「活用・参考にせず」48 社(%)であった。右の円グラフに示したよう ※( ) は2012 年版の数値 に、2012 年版との比較では、 「活用している」が2 社(%)増えて、 「参考にし ている」2 社(%)減っただけであり、少なくとも活用(または参考)企業数 レベルでは、 大きな変化は見られなかった。 対照表の掲載 ISO26000 対照表を冊子版のみに掲載している企業は4 社(旭化成、協 和発酵キリン、サントリーホールディングス、帝人)、冊子版とWeb(HTML) に掲載している企業は3 社(東レ、日本郵船、、日本製紙グループ本社)であ 対照表の掲載 サンプル数=100 社 冊子版のみに掲載 4(3) 社 冊子版と Web(HTML)に掲載 3 (4) 社 Web(HTML または PDF)のみに掲載 20(12) 社 掲載なし 73 (81) 社 ※( ) は2012 年版の数値 り、右表に示した通り、2012 年版と大きな違いはなかった。しかし、Webサ イト(HTMLまたは PDF)のみに掲載している企業は、2012 年版から8 社 増えて、20 社にのぼった。冊子からWebサイトへの報告メディアの移行も その要因に挙げられるが、ISO26000 導入の進展によるものといえるだろう。 18 7つの中核主題別構成 7 つの中核主題別構成 サンプル数=100 社 採用 企業が ISO26000 の7つの中核主題に沿った報告書づくりを行ってい 11 (8)% るかどうかについて見たところ、7つの中核主題別構成を採用しているの は、2012 年版より3 社(%)増にとどまった。前年調査では5 社(%)増とい う結果であったが、この点でもISO26000 の導入はさほど進まなかったこ とがうかがえる。ただ、これはあくまでも数値的な検証結果であり、下記の 「主な ISO26000 活用事例」でわかるように、早くから導入している企業に あっては、 その導入度が着実に進化しているケースも少なくない。 採用せず 89(92)% ※( ) は2012 年版の数値 ■主な ISO26000 活用事例 伊藤忠商事 7つの中核主題に沿って、取り組みの基本的考え方、具体的取り組み例を記載 大阪ガス 国連グローバル・コンパクトに基づいてまとめた「大阪ガスグループ企業行動基準」を、ISO26000 中核主題との関係もわか るカタチで掲載。Web(HTML)に国連グローバル・コンパクトと ISO26000 との対照表も掲載 KDDI 7 つの中核主題中の約 250 項目に対する自己評価と、現状の CSR 活動の分析結果をもとに、課題の見直しや改善を積極的に 行った。それをまとめた「CSR 目標・実績・課題」の一覧表を記載しているほか、7 つの中核主題別構成も採用 国際石油開発帝石 自社の「5 つの CSR 重点テーマ」について、ISO26000 に基づく中長期的推進項目と目標を設定し、PDCA サイクルを回している。 その概要を一覧表「CSR 推進活動の目標と成果」に記載 コマツ CSR 優先課題とその具体的取り組み事例を、7 つの中核主題との対応表で紹介 サントリーホールディングス 2011 年から ISO26000 を活用した CSR 活動を推進。7 つの中核主題ごとに有識者とステークホルダーエンゲージメントを実 施して、取り組み課題を確認し、重点課題の特定および行動計画を策定している 大日本印刷 CSR 活動の重点テーマを策定する上で、ISO26000 を国連グローバル・コンパクトと並ぶ中心的規範として活用。自重点テー マと ISO2600 中核主題の対応表も掲載 東京海上ホールディングス 「ISO26000」 「国連グローバル・コンパクト」 「国連環境計画金融イニシアティブ・持続可能な保険原則」などで示された ESG 課題や、 「お客様の声」、 「ステークホルダーや社外有識者との対話」を通じて得られた情報・意見を基に、 「グループ CSR 主要課題」を特定(課題の洗い出し・重要性評価) 東芝 ISO26000 をマネジメントに取り入れ、中核主題に沿って取り組み状況を評価し、中期的 KPI を確認設定し、計画、推進、評価 という PDCA サイクルを回している。事業と CSR 重点テーマを「社会的課題別」 「ISO26000 中核主題別」に整理して報告 東洋インキ SC ホールディングス ISO26000 を参考にしながら CSR 活動を推進。報告書では、36 項目の取り組み課題を ISO26000 中核主題別に基づいて分類・ 整理して記載 ニコン GRI ガイドライン「重要性の原則」、SRI に関する外部評価機関から求められている課題、ISO26000 の 7 つの中核主題を参考に CSR の重点課題を抽出し、CSR 中期計画を策定 日本郵船 ISO26000 は、取り組むべき社会課題をグローバルレベルで共通化した画期的ガイダンスであると位置付けている。そして、CSR の取り組み状況を整理・把握するツールとして活用すると同時に、今後の CSR の活動方針を決める「羅針盤」であるとしている 日本製紙グループ本社 社会的課題に対する取り組みの概要を、ISO26000 中核主題ごとに業務のバリューチェーンレベルまで分類・整理した図表 で紹介 三井物産 事業活動を通じて社会的責任を果たしていく事例を事業分野別に紹介。それぞれを「人権」 「環境」 「消費者問題」 「コミュニ ティ参画・発展」という ISO26000 の中核主題の 4 つの切り口から分析・評価している 三菱重工業 よりグローバルな CSR 活動推進のため、2012 年度から活動の枠組みを ISO26000 の 7 つの中核主題に沿って再整理。それを まとめた「CSR 活動中期計画と推進結果」の一覧表を掲載 ローム グローバルな CSR マネジメントを目指すため、ISO26000 に沿ってバリューチェーンを見渡して重点課題を析出し、取り組み テーマ、計画、目標を設定。それを「CSR の目標・計画と実績」表にまとめているほか、7 つの中核主題別構成で取り組みを紹介 19 データ集 特集 ※( ) は2012 年版の数値 特集の掲載 特集のテーマ 掲載企業数は前年並み サンプル数=100 社 「新技術・製品開発」 が大幅に増加 サンプル数=76(77)社/複数回答 掲載あり 76(77)社 新技術・製品開発 43(12)社 掲載なし 24(23)社 本業を通じた社会貢献 41(51)社 本業を通じた環境貢献 36(24)社 震災と自社事業の使命 11(14)社 特集のページ数 個々の変動は多少あるものの、総ページ数では前年並み サンプル数=76(77)社 自社の CSR のあり方 10(4)社 6 ページ 17(15)社 グローバル活動 9(12)社 8 ページ 12(10)社 震災復興への貢献 8(12)社 4 ページ 11(16)社 地域との共生 7(6)社 10 ページ 11(6)社 人材育成・活用 5(4)社 12 ページ 5(8)社 CSR 調達 5(1)社 9 ページ 4(2)社 社会貢献活動 4(4)社 2 ページ 3(7)社 海外グループ会社の CSR 4(4)社 その他 7(9)社 その他 13(13)社 「その他」の内容は 5、7、13、14 ページが各 2 社、3、16、18、20、22 ページが各1社(7ペー ジが4 社、 3、14、16 ページが各 2 社、 5、18、28 ページが各1社) 「その他」の内容は環境保全活動、環境ビジョンが各 2 社、事業の歩み、不適切な飲酒の撲 滅、自社 CSV の考え方が各1社(事業の歩みが4 社、環境保全活動が 2 社、不適切な飲酒 の撲滅、生物多様性、 環境ビジョンが各1社) 特集の本数、ページ数が多い企業 企業名 昭和電工 本数 ページ数 2 22 丸紅 3 20 東芝 3 18 マルハニチロホールディングス 3 16 アサヒグループホールディングス 3 14 東レ 3 14 国際石油開発帝石 4 13 横浜ゴム 6 13 IHI 2 12 NTT ドコモ 2 12 日清食品ホールディングス 2 12 任天堂 2 12 ブリヂストン 3 12 旭化成 3 10 イオン 1 10 関西電力 2 10 帝人 2 10 トヨタ自動車 3 10 三菱自動車工業 3 10 三菱重工業 4 10 内容 個々の従業員レベルにおいて「企業行動規範」と「企業行動指針」がどれだけ CSR 実践に活かされているかを紹介した「私たちの CSR 具体化」と、循環型社会の構築に役立つ 4 つの自社事業・技術について掘り下げた「循環型社会の貢献」の 2 本立て 「丸紅の仕事 丸紅の責任」の総タイトルで、 「食糧−日々の生活を支える」 「金属資源−経済を循環させる」 「インフラ−社会を創る」 という 3 テーマを提示。事業トップの考え方と現場の取り組み、事業を通して社会的課題の解決に貢献する自社の姿をそれぞれ紹介 「活動ハイライト報告」として、①グローバルに展開しているスマートコミュニティ事業、②東日本大震災の各種復興支援活動、 福島第一原子力発電所の安定化維持と廃炉推進に向けた協力支援、③サプライチェーンでの人権・労働・環境面などの CSR 推進を詳述 カツオをめぐる世界の現状と自社の海外合弁事業を紹介する「水産資源の安定供給と生態系の保全」、冷凍食品事業・中核グループ会社の 品質保証を取り上げた「 安全・安心 な食品の提供」、魚に含まれる栄養素 DHA を活かす自社の活動「健康への貢献」の 3 本構成 見直しによって新たに策定した CSR の重点テーマ「食と健康−すべての人々の心身の健康」 「環境−自然の恵みを明日へ」 「人と社会−笑顔と 感動をすべての人々に」 について、それぞれ、認識している社会的課題、 取り組みの基本的考え方、 活動事例等を掘り下げて紹介 早くから展開してきた東南アジアでの生産活動に焦点を当てた「経験と実績をもとに新たなグローバリゼーションへ」、自社のグリーン イノベーション事業を取り上げた「限りある資源を大切に」、科学技術の芽を伸ばす「次世代を担う子どもたちのための理科教育支援」 ①事業フェーズ「評価」−アバディ LNG プロジェクト、②事業フェーズ「開発・生産」−イクシス LNG プロジェクト、③事業フェーズ「生産・ 輸送・販売」−国内ガスサプライチェーン、 ④未来に向けて−再生可能エネルギー・新エネルギー…と事業フェーズ別テーマ設定 「『青い地球』と人を守る」という総タイトルのもと、冒頭で「ダイアログ」を、続いて「開発」 「調達」 「生産」 「販売・サービス」という事業 プロセスごとに関連活動を掲載。そして、最後に「いのちを守る森の防潮堤」として大槌町での復興支援活動を紹介している 創業 160 周年を迎えるにあたり、ものづくりの技術力で夢を実現する企業であり続けるという「Realize your dreams」の想いを「社員の声」と 「社員座談会」で紹介。さらにもう一つの特集「社会の課題と事業活動で向き合う」で、目指すグループ像を詳しく提示 総タイトルは「ドコモの『夢』と『使命』」。 「夢」としては、健康で安心な「スマートライフ」の実現に向けたサービスの開発を、また「使命」 としては、高品質のサービスを安定的に届けるためのインフラ整備の取り組みを、それぞれワイドに紹介している 飢餓と貧困の撲滅を目指す国連 WFP への協力活動と、世界ラーメン協会(WINA)との連携活動からなる「『食』の力で地球を救う」と、 自社グループが一体となって 50 年間に 100 の社会貢献活動を行うことを目指す「百福士プロジェクト」を特集 「ゲームの新たな可能性の追求」として、ゲームによる新しい発見や出会いを目指す開発者の想い、ルーブル美術館での公式利用例、 ゲームによる脳のトレーニング法などを紹介。また「生産パートナーとともに進める CSR 調達」 としてさまざまな取り組みを報告 「持続可能な社会を実現し、新たな価値創造へ」という総タイトルで、①「技術イノベーション」製品による環境貢献、②「ビジネスモデル イノベーション」による顧客の経営課題解決、③世界各地での地域社会の課題解決に向けた社会貢献活動…の 3 テーマを特集 「社会課題の解決に向けて、事業を通じて新しい社会価値を創出」という趣旨のもと、 「環境・エネルギー」 「住・くらし」 「ヘルスケア」の 3 テーマを設定。これらテーマごとに 「目指す姿」 を掲げ、いくつもの「課題」と「解決策」を具体的に詳述した説得力の高い構成 総タイトルは「イオングループの CSR と成長戦略」 。①中国・ASEAN での CSR 推進と強化、②国内での大都市シフト、シニアシフト、 デジタルシフト、 ③国内・中国・ASEAN での「トップバリュ」商品の拡充、という三部構成で日本とアジアを結ぶ事業戦略を紹介 「電気料金値上げに関するご説明と経営効率化への取組み」と「新規制基準の要求にとどまることなく、原子力発電所の世界最高水準の 安定性を追求」の 2 本立て。電力会社が直面する喫緊の課題について、自社の考え方と取り組みを詳しく記載している アラミド繊維のグローバルリーダーとしての立場から、グループにおける同事業の中核的企業である海外法人メンバー、帝人側、 さらに外部ステークホルダーとの間で「サプライチェーンにおける責任」について国際的視点で実施したダイアログを掲載 トヨタの 3 つのグローバルビジョン「もっといいクルマ」 「いい町・いい社会」 「安定した経営基盤」についてそれぞれ特集を設定。 各国・各地域のベストフィットを目指すクルマづくり、第 3 の国内生産拠点「東北」と地域社会の連携、人づくりの思想などを紹介 ①企業コミュニケーションワード「Drive @earth」に基づく事業戦略、②電気自動車と子どもたちの未来、地域防災、電力マネジメント 等の、社会とのつながり、③東日本大震災被災地復興への継続的支援について、それぞれ特集で詳述 「人と地球の たしかな未来 のために」のテーマで、多様化する社会課題の解決に貢献する自社事業・製品・技術(①洋上での大規模 風力発電、 ②移設が容易なコンテナ型発電設備、③国産初のバリアフリー路面電車、④輸送能力を高めた H-ⅡB ロケット)を特集 20 データ集 ステークホルダー・ダイアログ ステークホルダー・ダイアログの掲載 ※( ) は2012 年版の数値 ダイアログの相手 掲載企業数が大幅に増加 サンプル数=100 社 掲載あり 42(30)社 掲載なし 58(70)社 「有識者」、従業員が増加 サンプル数=42(30)社/複数回答 「有識者」 33(21)社 従業員 12 (4) 社 地域住民 ステークホルダー・ダイアログの記載状況 サンプル数=42(30) 社/複数回答 詳細まで記載する企業が倍増 6(4) 社 NPO・NGO* 4 (4) 社 大学生 4 (2) 社 顧客 3 (4) 社 意見の要約を記載 14(14)社 一般企業社員 3 (2) 社 意見交換の詳細を記載 26(13)社 自治体 3 (1) 社 サプライヤー 2 (1) 社 中学生 0 (1) 社 その他 1 (3) 社 実施報告のみを記載 7(7) 社 *企業が「NPO・NGOとのダイアログ」という設定で実施した場合のみを集計。それ以外の場合は「有識者」としてカウントした。 ステークホルダー・ダイアログの記載内容 ・IHI ・アサヒグループホールディングス 創業 160 周年を迎えるにあたって 2012 年に策定した ・帝人 ライチェーンにおける責任とは何かについて、同事業 めた想いを社員たちが語り合った のグループ内・中核的企業である海外法人メンバー、 自社グループの「多様性促進」 「コーポレートブランド強 化」プロジェクトに参画した社員たちが、多様性を受容 ステークホルダーと意見交換 ・東京海上ホールディングス し、活かすことのできる組織のあり方について意見交換 ・アズビル CSR 経営を標榜する自社グループにあって、現場での ・東芝 て、米国 CSR 推進団体のアジア代表と対談 ・東洋インキ SC ホールディングス 語り合った。社長メッセージは、CSR 有識者との対談 特集「スペイン UBE グループの CSR」の中に、同グルー 社員と南三陸町の方々とで行った東日本大震災復興 ・グンゼ トヨタは何をすべきか、会長が CSR 専門家と対談 「サプライチェーンを通じた CSR」をテーマに有識者 4 ・日本ハム 「人輝く、食の未来に向けて」のテーマで、向井亜紀氏 ・日本郵船 「人権課題」へのアプローチ方法を学ぶため、ニッポン ・KDDI と社長が対談 ISO26000 の中核主題をテーマに有識者とのダイアロ CSR コンソーシアム「人権デューディリジェンスワー グを 3 回開催し、2013 年度の各部署における目標設定 クショップ」に参加(ワークショップの概要と自社の を検討するための参考とした(有識者各氏の意見を要 対応を報告) ・日本ガイシ 約して掲載) ・国際石油開発帝石 名とダイアログを実施 自社グループのハラスメント防止活動について、厚生 労働省と独法の専門家と意見交換(実施報告のみ) グローバル企業として本業を推進して行く上でどの 業所で従業員と「CSR トークライブ」実施、など 授とシンクタンク理事)と意見交換 ・ハウス食品 東北の未来への歩みにおいて、どのようなコクヨらし ・日立製作所 「信頼される企業であるために、今あるべき姿とは」の ・富士通グループ 「人」に関わるグローバルな課題について、CSR 有識者 ・ブラザー工業 「持続的に成長できるグローバル企業とは」をテーマ ・ブリヂストン 「自社グループの東日本大震災復興支援活動」と「ダイ と 3 回にわたり対話を実施 (要約意見を紹介) テーマで、コンプライアンス、リスクマネジメントに ついて大学教授と対談 に有識者 (末吉竹二郎氏)と社長が対談 地元自治体、国内大学、非営利団体との意見交換「21 世 紀のモノづくり拠点のあり方を考える」と、中国での産 学連携パートナー・大学との意見交換(実施報告のみ) ・サントリーホールディングス ①ISO26000 を活用した CSR 活動推進のため、7 つの中核 バーシティ推進」に関する 2 つのダイアログの概要を記載 ・マツダ 主題ごとに有識者と意見交換(実施報告のみ)、②「サン ・ソニー それぞれの概要を一括して記載 ・マンダム エシカル消費*について、有識者と勉強会と意見交換 (「声」を抜粋紹介)、③自社グループの東日本大震災復興 ・三井物産 ①CSR 推進責任者と若手社員との「良い仕事」を考え 専務執行役員が有識者(大学教授)と自社の CSR への る座談会、②自社の CSR 活動について有識者と対話 ・三菱重工業 有識者の対談、②ニッポン CSR コンソーシアム「人権 CEO などトップマネジメントが社員と直接対話する「タ デューディリジェンス ワークショップ」への参画な ①持続可能な成長と企業価値向上を支える基盤につ らびに人権課題についての有識者との意見交換 ・三菱マテリアル いて、社長兼 CEO が大学教授と対談、 ②変化を続ける 社会の多様な要請にいかに対応していくか、CSR 有識 本社を置く長野県御代田町で地域の多数の方々を招 き、自社の CSR のあり方について意見を交換 持続可能な社会の構築のために本業で果たす役割と ・横浜ゴム 大震災復興支援ボランティア活動に取り組む社員た ちと被災地のボランティア団体の方々との座談会 持続可能な社会の実現に向けた自社の CSR のあり方 について、有識者と意見交換 は、をテーマに有識者と意見交換 (要約意見を紹介) ・千代田化工建設 震災復興に向け自社グループが果たすべき役割につい て、有識者と意見交換 ・ミネベア 者と社員が意見交換 ・竹中工務店 ①CSR 推進と経営戦略・事業活動に関するトップと 対応や報告書のあり方などについて意見交換 ウンホールミーティング」などを開催(実施報告のみ) ・第一三共 社外での実施例 7 点と社外での実施例 1 点について、 トリー天然水」の工場見学をした消費者と意見交換 支援活動について、専門家と意見交換(要約意見を紹介) ・住友ゴム工業 グループ人権方針の策定と人権デューディリジェン 専門弁護士と意見交換 (概要報告のみ) 台市市民局次長などの有識者と意見交換 ・コマツ 「本業としての CSR」 について最高経営層が鼎談 スの取り組みについて、欧州委員会、ILO、NGO、企業、 い貢献ができるのかを、東北大教授、復興庁調査官、仙 ・コスモ石油 ①環境専門家から大学生までの多彩なステークホルダー と、自社の環境活動について意見交換、②経営陣が全国事 ように CSR に配慮していくべきか、を有識者(大学教 ・コクヨ 次世代社会にも必要とされ続ける企業であるために ・ニコン 支援のあり方に関するダイアログと、 「消費者課題」に ついて NPO と行ったダイアログ(実施報告のみ) ①報告書について他企業と対話、 ②環境報告等を学ぶ 大学(院)生との意見交換(いずれも実施報告のみ) ・トヨタ自動車 プ社員たちによる CSR 実現に向けた座談会を掲載 ・NEC Corporation CSR 推進室室長が、今後の CSR 活動推進において重要 なことは何か、グローバルな CSR 課題とは何かについ 24 時間 365 日の安定稼働が求められるデータセンター の運営に関わる社員たちが、仕事への責任等について ・宇部興産 果たすべき社会的責任について、CSR を専門とする大 学教授と関連部署の社員たちが意見交換 社長が国内の支社・支店・事業会社、 および海外ブロッ クを訪れて行った対話集会の報告 (実施報告のみ) ・伊藤忠テクノソリューションズ 自社グループの CSR の取り組みについて有識者と意 見を交換 (意見を抜粋紹介) ・東京ガス CSR の取り組み状況を社員たちが語り合った ・伊藤忠商事 アラミド繊維のグローバルリーダー企業として、サプ コーポレートメッセージ「Realize your dreams」に込 ・YKK / YKK AP 「YKK グループにおける社会的課題の解決」と「自然界 との共生」について地域の多彩な人々と意見交換 *エシカル消費…環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択し、 そうでないものは選択しない、という消費行動 21 東日本大震災 ※( ) は2012 年版の数値 東日本大震災に関する記載 東日本大震災に関する記載内容 サンプル数=100 社 2012 年版よりも「掲載あり」 の企業数が増加 「本業を通じた復興支援」を記載する企業が増加 サンプル数=72(68)社/複数回答 掲載あり 72(68)社 寄付・ボランティア支援 51(48)社 掲載なし 28(32)社 本業を通じた復興支援 30(22)社 自社製品・サービスの提供 15(21)社 BCP、防災対策の強化 10(12)社 1/4 ページ以上のもの (トップメッセージでの記載は除く) 東日本大震災に関する記載のページ数 自社の社会的使命の再確認 サンプル数=72(68)社 企業ごとの「記載ページ数」はやや減少気味 1/4 ページ 1/2 ページ 9(3) 社 納入製品・設備の復旧支援 2 (7) 社 11 (2) 社 安全な社会づくりへの貢献 1(12)社 11 (7) 社 自社拠点の復興 1 ページ 22(21)社 2 ページ 15(16)社 4 ページ 4(11)社 6 ページ 3 (4) 社 その他 6 (7) 社 中長期支援計画の公表 1 (7) 社 0 (1) 社 トップメッセージでの記載は除く。 「その他」の内容は 3、5、7、8 ページが各1社、4.5 ページ が2社 (3 ページが 3 社、8 ページが 2 社、10、 12 ページが各1社) 東日本大震災に関する記載ページ数が多い企業 企業名 コクヨ ページ数 8 東芝 7 みずほフィナンシャルグループ 6 三菱マテリアル 6 ヤマトホールディングス 6 コマツ 5 花王 4.5 ハウス食品 4.5 コスモ石油 4 サントリーホールディングス 4 積水ハウス 4 トヨタ自動車 4 イオン 2 岡村製作所 2 協和発酵キリン 2 クボタ 2 KDDI 2 竹中工務店 2 日本車両製造 2 横浜ゴム 2 内容 「東北の未来に向けて」という総タイトルの 8P 特集。冒頭 4P を割いて、東北の未来のためにどのようなコクヨらしい貢献ができるかについて、地元大学、 復興庁、仙台市、社団法人のメンバーとのダイアログを掲載し、 「学ぶ」場としての東北づくりという視点からコクヨの新しい立ち位置を探っている 「東日本大震災からの復興支援」のテーマで、2012 年 4 月からスタートさせた復興支援プランの概要に加え、その取り組みの一つ、自然エネルギーと 農業を結びつけた「南相馬ソーラー・アグリパーク」をクローズアップ。さらに、福島第一原発の安全維持と廃炉に向けた協力支援などを報告している 「東日本大震災復興支援への取り組みに関する特集」として、東北の復興と中長期的成長への貢献のため組成した「みずほ東北産業育成ファンド」を紹介。 さらに、金融機関の社会的責任と公共的使命を踏まえた「雇用創出」や「住宅再生」のための産業・地域復興支援など本業を通じた貢献を中心に報告 「震災復興への、継続的な取り組み」の特集テーマで、被災地のがれき等廃棄物の産業活用、銅精錬所の副産物「銅スラグ」の復旧・復興工事への活用、除染 事業への積極的参入など本業を通じた貢献を報告。さらに、ステークホルダーダイアログで自社グループが復興に果たすべき役割を有識者と検証 被災した方々の要望から始まった家電などリユース品を格安で被災地へ出張販売する自社グループの取り組みと、生活基盤の復興と水産業・農業再 生の支援のため「宅配便 1 個につき 10 円の寄付を 1 年間継続する」助成事業(助成総額約 146.7 億円、対象 31 事業)の取り組みと助成内容一覧を掲載 「東日本大震災復興支援への継続的な取り組み」として、年月の経過とともに変化してきた現地状況に対応して①震災・津波被害への直接支援、②コミュニ ティの再生、③本格復興に対する支援・協力、と展開してきた支援活動を流れを追って紹介。建機メーカーならではの技術力を活かした支援も記載 「東日本大震災への対応」として、まず冒頭で被災地支援の「これまでとこれから」を提示。その中で「女性・災害弱者」 「こころのケア」 「地域再生」を今後長期 的に支援していく意思を表明している。また、別項で「お客さまに商品を確実に届ける」ため、調達・生産・物流体制を強化したことも報告している 特集「大災害への『備え』」において、東日本大震災の教訓を踏まえ、食品メーカーの供給責任を果たす観点から BCP の抜本的な転換を行ったことを報告。 仮想シナリオをもとに対応計画を立てる従来の BCP から、 「想定外」の事態にも柔軟に対応できる新しい BCP へと転換した取り組みを中心に紹介 特集「さらなる成長へ向けて『製油所の安全・安定操業』」として、東日本大震災とアスファルト漏洩事故(2012.6)で稼動停止となった千葉製油所再稼 動への取り組みを紹介。さらに別項目で、安全で事故のない企業を目指す行動指針の事例として、石巻東 SS の罹災から再開に向けた取り組みを記載 「被災地のニーズを踏まえた復興支援活動」という特集で、漁業者の漁船取得支援を中心とした「漁業の復興支援」、水産高校生への奨学金給付や、 福島県の子どもたちを支える 「未来の子どもたちの支援」 、傘下財団や自社運動部による「文化・スポーツを通じた支援」 を報告 「東日本大震災からの復興の取り組みについてのご報告」として、グループ総力を挙げた支援活動のこれまでの流れと組織体制、増大化する建設 需要への対応、自力での住宅再建が困難な方への災害公営住宅建設など、住宅メーカーの社会的責任としての継続的な取り組みを報告 特集 「『いい町・いい社会づくり』の取り組みを東北から発信」として、地域と一体になったモノづくりや国産野菜の生産、東北のモノづくり人材育成 (トヨタ東日本学園)、地域と工場が相互にエネルギーを支え合う地域連携モデル等を紹介。別項で、トヨタ流事業継続マネジメント(BCM)も記載 「継続報告 東日本大震災に関するイオンの対応」として、 「東日本大震災発生時∼」 「2012 年 3 月∼」 「2013 年 3 月∼」という 1 年ごとの取り組みの概 要と主な事例、および 2012 年 2 月現在の支援実績を紹介。今後も全国のお客さま、東北の皆さまとともに復興支援活動を継続していくことを表明 リスクマネジメントとしての災害対応マニュアルや安否確認システムの整備、 「地域社会との関わり」としてのグループ企業(岩手県釜石市)の 事業再開までの取り組み、 および被災地域産木材を活用した製品づくり等を報告 「コミュニティへの参画および発展」の取り組み例として、キリングループが進める「復興応援 キリン絆プロジェクト」について記載。被災した子ども たちの元気と笑顔を取り戻すことを目指して進めてきた、自社・卓球部の支援による「卓球教室」、被災地での「理科教育支援」、 「理科実験教室」等を紹介 社会性報告のうち 2P で「被災地の再生・復興に向けて」として、農家の営農や農地再生の取り組みの支援、農家を担う次世代への支援、農業の 魅力を活かしたコミュニティ・生きがいづくり、 地域の街づくりなど、自社グループの特色を活かした取り組みを紹介 事業を通じた被災地復興のへの取り組み「東北地域の本格的な街づくりを支援する『復興支援室』」を特集。社員自らが職員として被災自治体 に出向し、情報通信技術やノウハウを提供しながら自治体や地域の人々と新しい街づくりを積極的に進める取り組みを紹介している 「特集 被災地の復興に向けて」において、自社が進める、子どもたちが街づくりに参画する「まちづくり教育」など長期的な取り組みを紹介。 また、福島第一原発・4 号機における原子炉建屋のカバリング工事、南相馬市での除染作業についても記載 「特集 防災施設・機器による社会貢献」として、東日本大震災の被災地での調査結果を踏まえ、M8 以上の南海トラフ巨大地震の発生が心配 される中・太平洋沿岸部の各自治体・学校向けに開発した「津波避難タワー」と「可搬式ディーゼル発電機」を紹介 「特集 『青い地球と人を守る』ために」の中で、 「被災地の想いに寄り添って、復興を考える」として 2P を収録。津波でかつての町並みが面影なく 失われてしまった岩手県大槌町の防潮堤づくりに向けて、町民と一体となって進める植樹活動の取り組みをレポートしている 22 株式会社文星閣 TEL 03-3754-2121 e-mail [email protected] 2014 年 2 月発行