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参 考 資 料 - 日本スポーツ振興センター

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参 考 資 料 - 日本スポーツ振興センター
参 考 資 料
*
「学校給食における衛生管理の徹底及び食中毒の発生防止について」
(平成18ス学健第27号平成19年2月9日付け、文部科学省スポーツ・青少年局学校
健康教育課長)
* 「ノロウイルスに関するQ&A」(平成16年2月4日作成、平成19年3月7日
最終改定 厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課)
* 平成17年度学校給食衛生管理推進指導者派遣・巡回指導事業実施後の取
組及び改善状況調査表
(別添)
ノロウイルスに関するQ&A
(作成:平成16年2月4日)
(最終改定:平成19年3月7日)
ノロウイルスによる食中毒及び感染症の発生を防止するため、ノロウイルスに
関する正しい知識と予防対策等について理解を深めていただきたく、厚生労働省
において、次のとおりノロウイルスに関するQ&Aを作成しました。
今後、ノロウイルスに関する知見の進展等に対応して、逐次、本Q&Aを更新
していくこととしています。
Q1 ノロウイルスによる胃腸炎はどのようなものですか?
Q2 「ノロウイルス」ってどんなウイルスですか?
Q3 ノロウイルスはどうやって感染するのですか?
Q4 ノロウイルスによる食中毒は、日本でどのくらい発生していますか?
Q5 ノロウイルスによる感染症は、日本でどのくらい発生していますか?
Q6 ヒトへのノロウイルスの感染は、海外でも発生していますか?
Q7 どんな時期にノロウイルス食中毒は発生しやすいのですか?
Q8 ノロウイルスに感染するとどんな症状になるのですか?
Q9 国内でノロウイルスの感染による死者はいますか?
Q10 発症した場合の治療法はありますか?
Q11 診断のためにどんな検査をするのですか?
Q12 どのような食品がノロウイルス食中毒の原因となっているのですか?
Q13 ノロウイルス食中毒の予防方法は?
Q14
食品中のウイルスを失活化するためには、加熱処理が有効とききました
がどのようにすればよいですか?
Q15 手洗いはどのようにすればいいのですか?
Q16 調理台や調理器具はどのように殺菌したらいいのですか?
Q17 食品取扱者の衛生管理で注意すべき点はどこでしょうか?
Q18 ノロウイルスによる感染性胃腸炎のまん延を防止する方法は?
Q19 患者のふん便や吐ぶつを処理する際に注意することはありますか?
Q20
吐ぶつやふん便が布団などのリネン類に付着した場合はどのように処理
をすればよいですか。
Q21 感染者が使用した食器類の消毒はどのようにしたらよいですか?
Q22 感染者が発生した場合、環境の消毒はどのようにしたらよいですか?
Q23 感染が疑われた場合、どこに相談すればいいのですか?
90
Q1 ノロウイルスによる胃腸炎はどのようなものですか?
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していま
すが、特に冬季に流行します。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増
殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。健康な方は軽症で回復します
が、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まら
せて死亡することがあります。
ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療
法に限られます。
従って、皆様の周りの方々と一緒に、次の予防対策を徹底しましょう。
○ 患者のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出されるので、
(1)食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう。
(詳しくはQ15をご覧下さい)
(2)下痢やおう吐等の症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしな
いようにしましょう。
(詳しくはQ17をご覧下さい)
(3)胃腸炎患者に接する方は、患者のふん便や吐ぶつを適切に処理し、
感染を広げないようにしましょう。(詳しくはQ19をご覧下さい)
○ 特に、子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中
心部までしっかり加熱して食べましょう。また、調理器具等は使用後に
洗浄、殺菌しましょう。
(詳しくはQ14、16をご覧下さい)
Q2 「ノロウイルス」ってどんなウイルスですか?
昭和43年(1968年)に米国のオハイオ州ノーウォークという町の小
学校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便からウイルスが検出され、発
見された土地の名前を冠してノーウォークウイルスと呼ばれました。
昭和47年(1972年)に電子顕微鏡下でその形態が明らかにされ、こ
のウイルスがウイルスの中でも小さく、球形をしていたことから「小型球形
ウイルス」の一種と考えられました。その後、非細菌性急性胃腸炎の患者か
らノーウォークウイルスに似た小型球形ウイルスが次々と発見されたため、
一時的にノーウォークウイルスあるいはノーウォーク様ウイルス、あるいは
これらを総称して「小型球形ウイルス」と呼称していました。
ウイルスの遺伝子が詳しく調べられると、非細菌性急性胃腸炎をおこす
「小型球形ウイルス」には2種類あり、そのほとんどは、いままでノーウォ
ーク様ウイルスと呼ばれていたウイルスであることが判明し、平成14年
(2002年)8月、国際ウイルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名さ
れました。もうひとつは「サポウイルス」と呼ぶことになりました。
91
ノロウイルスは、表面をカップ状の窪みをもつ構造蛋白で覆われ、内部に
プラス1本鎖RNAを遺伝子として持っています。ノロウイルスには多くの
遺伝子の型があること、また、培養した細胞及び実験動物でウイルスを増や
すことができないことから、ウイルスを分離して特定する事が困難です。特
に食品中に含まれるウイルスを検出することが難しく、食中毒の原因究明や
感染経路の特定を難しいものとしています。
Q3 ノロウイルスはどうやって感染するのですか?
このウイルスの感染経路はほとんどが経口感染で、次のような感染様式が
あると考えられています。
(1)患者のノロウイルスが大量に含まれるふん便や吐ぶつから人の手など
を介して二次感染した場合
(2)家庭や共同生活施設などヒト同士の接触する機会が多いところでヒト
からヒトへ飛沫感染等直接感染する場合
(3)食品取扱者(食品の製造等に従事する者、飲食店における調理従事者、
家庭で調理を行う者などが含まれます。)が感染しており、その者を介
して汚染した食品を食べた場合
(4)汚染されていた二枚貝を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
(5)ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合
などがあります。
特に、食中毒では(3)のように食品取扱者を介してウイルスに汚染
された食品を原因とする事例が、近年増加傾向にあります。
また、ノロウイルスは(3)、(4)、(5)のように食品や水を介した
ウイルス性食中毒の原因になるばかりでなく、(1)、(2)のようにウ
イルス性急性胃腸炎(感染症)の原因にもなります。この多彩な感染経
路がノロウイルスの制御を困難なものにしています。
(参考)
感染経路別ノロウイルス感染集団発生の推移(病原微生物検出情報(IASR)
)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/26/310/graph/f3101j.gif
http://idsc.nih.go.jp/iasr/26/310/graph/f3102j.gif
Q4 ノロウイルスによる食中毒は、日本でどのくらい発生していますか?
厚生労働省では平成9年からノロウイルスによる食中毒については、小型
球形ウイルス食中毒として集計してきましたが、最近の学会等の動向を踏ま
え、平成15年8月29日に食品衛生法施行規則を改正し、現在はノロウイ
ルス食中毒として統一し、集計しています。
92
平成17年の食中毒発生状況によると、ノロウイルスによる食中毒は、事
件数では、総事件数1,545件のうち274件(17.7%)、患者数では
総患者数27,019名のうち8,727名(32.3%)となっています。病
因物質別にみると、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ(645件)に次
いで発生件数が多く、患者数では第1位となっています。
過去6年間の発生状況は次のとおりです。
平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年
事件数(件)
245
269
268
278
277
274
患者数(人) 8,080
7,358
7,961 10,603 12,537
8,727
死者数(人)
0
0
0
0
0
0
なお、ノロウイルスによる食中毒の報告数は増加傾向にありますが、この
理由としては、ノロウイルス食中毒自体の増加のほか、検査法の改善やノロ
ウイルスに対する知識の浸透による報告割合の向上が考えられます。
Q5 ノロウイルスによる感染症は、日本でどのくらい発生していますか?
ノロウイルスによる感染症は、「感染性胃腸炎」の一つで、多くは軽症に
経過する疾患(注参照)です。
感染症法では、疾患の感染力や重症度に基づき感染症を5段階に分類し、
対応することとしています。このノロウイルス感染症は、5類感染症に位置
づけられた「感染性胃腸炎」の一部として、全国の定点(約3,000カ所
の小児科の病院または診療所)から報告が求められており、その発生の状況
について情報提供がされています。
ここでは、感染症発生動向調査に基づき調査が実施されている『ノロウイ
ルスが原因の一つである「感染性胃腸炎」』の過去5年間の定点からの報告
数等についてご説明します。
注:「ノロウイルスと感染性胃腸炎」について
ノロウイルスは、冬季の「感染性胃腸炎」の原因となるウイルスですが、
感染性胃腸炎は、多種多様の原因によるものを含む症候群であり、主な病原
体は、細菌、ウイルス、寄生虫が原因の病原体となりえます。原因となる病
原体のうち、ウイルスは、ロタウイルス、腸管アデノウイルス、そしてノロ
ウイルスがあるため、ノロウイルスの感染者は、「感染性胃腸炎」の一部と
して報告されています。
○ 感染性胃腸炎の過去5年間の定点からの報告数等
平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年
定点報告数
874,241 889,927 906,803 952,681 941,9221,144,923
定点当たり報告数
289.58 293.12 298.19 315.56 307.32 380.17
(感染症発生動向調査事業)
死亡数(人口動態統計)
1,242 1,228
1,398 1,432
1,732
ー
93
資料:
報告数は「感染症発生動向調査事業」に基づく全国約3,000の小児科医
療機関からの報告によるもので、すべての患者数を把握するものではない。
なお、平成18年の数値は概数である。
一方、死亡数は厚生労働省統計情報部「人口動態統計」によるもので、
死亡数は定点報告数の内数でないことに留意が必要。(例えば、平成17年
で、死亡数1,732人÷定点報告数941,922のような死亡率の計算
はできないことに注意)
参考: 人口動態統計とは出生、死亡、婚姻等に関する統計であり、死亡につい
ては、死亡診断書に基づく死因の分類がなされている。
○ 過去10年の定点当たり報告数の週別推移
(年)
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
25.0
定 20.0
点
当
た 15.0
り
報
告 10.0
数
5.0
0
1
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
(週)
図. 感染性胃腸炎の年別・週別発生状況(1997年∼2007年第6週)
注:1999年3月までは、「乳児嘔吐下痢症」として報告された患者も
含む。
2006年は第47週までの報告数である。
Q6 ヒトへのノロウイルスの感染は、海外でも発生していますか?
ノロウイルスは世界中に広く分布しているとされ、アメリカ、イギリス、
ニュージーランド、オーストラリア、フランス、スペイン、オランダ、アイ
ルランド、スイスなどでヒトへのノロウイルスの感染が報告されています。
Q7 どんな時期にノロウイルス食中毒は発生しやすいのですか?
我が国における月別の発生状況をみると、一年を通して発生はみられます
が11月くらいから発生件数は増加しはじめ、1∼2月が発生のピークにな
る傾向があります。
94
月別事件数、患者数の年次推移 (上段:事件数(件)
、下段:患者数(人)
)
1月
平成
3月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
13
4
4
3
0
3
3
12年 1,846 1,163 1,541
410
424
133
60
0
41
264
72
25
9
7
5
2
0
1
5
13年 1,747 1,485
807
465
150
149
43
0
11
120
37
12
9
11
2
1
1
3
14年 1,805 1,325 1,662
200
298
252
76
10
5
213
41
17
9
3
2
0
2
1
15年 2,758 1,695 1,589
790
424
91
72
0
30
23
17
14
4
1
2
4
16年 1,656 1,305 2,001 1,007
613
516
483
27
41
48
平成
平成
平成
平成
87
45
4月
45
平成
70
2月
61
62
40
62
63
32
48
11月 12月
10
45
563 1,635
14
42
799 1,582
13
56
553 1,562
13
65
20 1,149 1,985
91
34
25
19
8
7
2
1
4
6
17年 3,030
560
786
827
253
355
17
9
51
378
9
83
373 4,467
18
59
577 1,884
月別事件数の年次推移
事件数(件)
100
90
平成12年
平成13年
平成14年
平成15年
平成16年
平成17年
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月 10月 11月 12月
Q8 ノロウイルスに感染するとどんな症状になるのですか?
潜伏期間(感染から発症までの時間)は24∼48時間で、主症状は吐き
気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。通常、これら症状が1∼2
日続いた後、治癒し、後遺症もありません。また、感染しても発症しない場
合や軽い風邪のような症状の場合もあります。
95
Q9 国内でノロウイルスの感染による死者はいますか?
病院や社会福祉施設でノロウイルスの集団感染が発生している時期に、当
該施設で死者が出たことがあります。
しかし、もともとの疾患や体力の低下などにより介護を必要としていた方
などが亡くなった場合、ノロウイルスの感染がどの程度影響したのか見極め
ることは困難です。
なお、吐いた物を誤嚥することによる誤嚥性肺炎や吐いた物を喉に詰まら
せて窒息する場合など、ノロウイルスが関係したと思われる場合であっても
直接の原因とはならない場合もあります。
Q10 発症した場合の治療法はありますか?
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、
通常、対症療法が行われます。特に、体力の弱い乳幼児、高齢者は、脱水症
状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分
に行いましょう。脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が
必要になります。
止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるの
で使用しないことが望ましいでしょう。
Q11 診断のためにどんな検査をするのですか?
このウイルスによる病気かどうか臨床症状からだけでは特定できません。
ウイルス学的に診断されます。通常、患者のふん便や吐ぶつを用いて、電子
顕微鏡法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法などの遺伝子を検出する
方法でウイルスの検出を行い、診断します(リアルタイムPCR法ではウイ
ルスの定量も行うことができます)
。
ふん便には通常大量のウイルスが排泄されるので、比較的容易にウイルス
を検出することができます。
Q12 どのような食品がノロウイルス食中毒の原因となっているのですか?
食品から直接ウイルスを検出することは難しく、食中毒事例のうちでも約
7割では原因食品が特定できていません。その中には、ウイルスに感染した
食品取扱者を介して食品が汚染されたことが原因となっているケースも多い
とされています。
そのほかの原因としては、ノロウイルスに汚染された二枚貝があります。
二枚貝は大量の海水を取り込み、プランクトンなどのエサを体内に残し、出
水管から排水していますが、海水中のウイルスも同様のメカニズムで取り込
96
まれ体内で濃縮されるためと考えられています。なお、ノロウイルスに汚染
された二枚貝による食中毒は生や加熱不足のもので発生しており、十分に加
熱すれば、食べても問題ありません(加熱条件はQ15参照)
。
(参考)養殖カキについては、生産段階でノロウイルスの自主検査を実施す
る等衛生管理を行っています。詳しくは水産庁のホームページをご覧下さい。
http://www.maff.go.jp/soshiki/suisan/norovirus/index.html
○ ノロウイルス食中毒の原因食品別発生件数の年次推移(件)
総件数
魚介類
うち二枚貝
魚介類加工品
平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年
245
269
268
278
277
274
81
98
83
73
39
45
80
94
81
70
38
42
2
1
3
0
1
3
肉類及びその加工品
卵類及びその加工品
乳類及びその加工品
0
0
0
0
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
穀類及びその加工品
2
0
3
3
2
3
野菜及びその加工品
菓子類
0
1
0
1
2
0
1
2
1
2
1
3
9
105
3
102
45
9
106
6
100
54
11
131
3
128
34
15
145
6
139
38
21
162
4
158
48
19
172
5
167
27
複合調理食品
その他
うち食品特定
うち食事特定
不明
(参考)
感染経路別ノロウイルス感染集団発生の推移(病原微生物検出情報(IASR)
)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/26/310/graph/f3101j.gif
http://idsc.nih.go.jp/iasr/26/310/graph/f3102j.gif
Q13 ノロウイルス食中毒の予防方法は?
ノロウイルス食中毒を防ぐためには、(1)特に子どもやお年寄りなどの
抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱する(2)
食品取扱者や調理器具などからの二次汚染を防止することが重要です。特に、
ノロウイルスに感染した人のふん便や吐ぶつには大量のウイルスが排出され
るため、大量調理施設の食品取扱者がノロウイルスに感染していると、大規
模な食中毒となる可能性があります。具体的な方法はQ14からQ17のと
おりです。
97
Q14 食品中のウイルスを失活化するためには、加熱処理が有効とききました
がどのようにすればよいですか?
ノロウイルスの失活化の温度と時間については、現時点においてこのウイ
ルスを培養細胞で増やす手法が確立していないため、正確な数値はありませ
んが、同じようなウイルスから推定すると、食品の中心温度85℃以上で1
分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。
Q15 手洗いはどのようにすればいいのですか?
手洗いは、調理を行う前(特に飲食業を行っている場合は食事を提供する
前も)、食事の前、トイレに行った後、下痢等の患者の汚物処理やオムツ交
換等を行った後(手袋をして直接触れないようにしていても)には必ず行い
ましょう。常に爪を短く切って、指輪等をはずし、石けんを十分泡立て、ブ
ラシなどを使用して手指を洗浄します。すすぎは温水による流水で十分に行
い、清潔なタオル又はペーパータオルで拭きます。石けん自体にはノロウイ
ルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪等の汚れを落とすこと
により、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。
Q16 調理台や調理器具はどのように殺菌したらいいのですか?
ノロウイルスの失活化には、エタノールや逆性石鹸はあまり効果がありま
せん。ノロウイルスを完全に失活化する方法には、次亜塩素酸ナトリウム※、
加熱があります。
調理器具等は洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム※
(塩素濃度200ppm)で浸すように拭くことでウイルスを失活化できます。
また、まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル等は熱湯(85℃以上)
で1分以上の加熱が有効です。
なお、二枚貝などを取り扱うときは、専用の調理器具(まな板、包丁等)
を使用するか、調理器具を使用の都度洗浄、熱湯消毒する等の対策により、
他の食材への二次汚染を防止するよう、特に注意するよう気をつけましょう。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q17 食品取扱者の衛生管理で注意すべき点はどこでしょうか?
ノロウイルスによる食中毒では、患者のふん便や吐ぶつがヒトを介して食
品を汚染したために発生したという事例も多く発生しています。ノロウイル
スは少ないウイルス量で感染するので、ごくわずかなふん便や吐ぶつが付着
した食品でも多くのヒトを発症させるとされています。食品への二次汚染を
防止するため、食品取扱者は日頃から自分自身の健康状態を把握し、下痢や
98
おう吐、風邪のような症状がある場合には、調理施設等の責任者(営業者、
食品衛生責任者等)にその旨をきちんと伝えましょう。
そして調理施設等の責任者は、下痢やおう吐等の症状がある方を、食品を
直接取り扱う作業に従事させないようにすべきです。
また、このウイルスは下痢等の症状がなくなっても、通常では1週間程度
長いときには1ヶ月程度ウイルスの排泄が続くことがあるので、症状が改善
した後も、しばらくの間は直接食品を取り扱う作業をさせないようにすべき
です。
さらに、このウイルスは感染していても症状を示さない不顕性感染も認め
られていることから、食品取扱者は、その生活環境においてノロウイルスに
感染しないような自覚を持つことが重要です。たとえば、家庭の中に小児や
介護を要する高齢者がおり、下痢・嘔吐等の症状を呈している場合は、その
汚物処理を含め、トイレ・風呂等を衛生的に保つ工夫が求められます。また、
常日頃から手洗いを徹底するとともに食品に直接触れる際には「使い捨ての
手袋」を着用するなどの注意が必要です。
調理施設等の責任者は、外部からの汚染を防ぐために客用とは別に従事者
専用のトイレを設置したり、調理従事者間の相互汚染を防止するためにまか
ない食の衛生的な調理、ドアのノブ等の手指の触れる場所等の洗浄・消毒等
の対策を取ることが大切です。
Q18 ノロウイルスによる感染性胃腸炎のまん延を防止する方法は?
家庭内や集団で生活している施設においてノロウィルスが発生した場合、
そのまん延を防ぐためには、ノロウイルスに感染した人のふん便や吐ぶつか
らの二次感染、ヒトからヒトへの直接感染、飛沫感染を予防する必要があり
ます。
毎年、11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間でノロウイルスによ
る急性胃腸炎が流行しますが、この時期の乳幼児や高齢者の下痢便および吐
ぶつには、ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ
等の取扱いには十分注意しましょう。具体的な方法はQ20∼23の通りで
す。
Q19 患者のふん便や吐ぶつを処理する際に注意することはありますか?
ノロウイルスが感染・増殖する部位は小腸と考えられています。したがっ
て、嘔吐症状が強いときには、小腸の内容物とともにウイルスが逆流して、
吐ぶつとともに排泄されます。このため、ふん便と同様に吐ぶつ中にも大量
のウイルスが存在し感染源となりうるので、その処理には十分注意する必要
があります。
99
12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起
きた事例も知られており、時間が経っても、患者の吐ぶつ、ふん便やそれら
により汚染された床や手袋などには、感染力のあるウイルスが残っている可
能性があります。このため、これら感染源となるものは必ず処理をしましょ
う。
床等に飛び散った患者の吐ぶつやふん便を処理するときには、使い捨ての
ガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らな
いように、ふん便、吐ぶつをペーパータオル等で静かに拭き取ります。拭き
取った後は、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)で浸すよう
に床を拭き取り、その後水拭きをします。おむつ等は、速やかに閉じてふん
便等を包み込みます。
おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して
廃棄します。(この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナ
トリウム※(塩素濃度約1,000ppm)を入れることが望ましい。
)
また、ノロウイルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感
染することがあるので、吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに床等に残らない
よう速やかに処理し、処理した後はウイルスが屋外に出て行くよう空気の流
れに注意しながら十分に喚気を行うことが感染防止に重要です。
11月頃から2月の間に、乳幼児や高齢者の間でノロウイルスによる急性
胃腸炎が流行します。この時期の乳幼児や高齢者の下痢便および吐ぶつには、
ノロウイルスが大量に含まれていることがありますので、おむつ等の取扱い
には十分注意しましょう。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q20 吐ぶつやふん便が布団などのリネン類に付着した場合はどのように処理
をすればよいですか。
リネン等は、付着した汚物中のウイルスが飛び散らないように処理した後、
洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。その際にしぶきを吸い込まな
いよう注意してください。下洗いしたリネン類の消毒は85℃・1分間以上
の熱水洗濯が適しています。ただし、熱水洗濯が行える洗濯機がない場合に
は、次亜塩素酸ナトリウム※の消毒が有効です。その際も十分すすぎ、高温
の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。布団などすぐに洗濯でき
ない場合は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的
です。また、下洗い場所を次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)
で消毒後、洗剤を使って掃除をする必要があります。次亜塩素酸ナトリウム※
には漂白作用があります。薬剤の「使用上の注意」を確認してください。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
100
Q21 感染者が使用した食器類の消毒はどのようにしたらよいですか?
施設の厨房等多人数の食事の調理、配食等をする部署へ感染者の使用した
食器類や吐ぶつが付着した食器類を下膳する場合、注意が必要です。可能で
あれば食器等は、厨房に戻す前、食後すぐに次亜塩酸ナトリウム液に十分浸
し、消毒します。
また、食器等の下洗いや嘔吐後にうがいをした場所等も次亜塩素酸ナトリ
ウム※(塩素濃度約200ppm)で消毒後、洗剤を使って掃除をするように
してください。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q22 感染者が発生した場合、環境の消毒はどのようにしたらよいですか?
ノロウィルスは感染力が強く、環境(ドアノブ、カーテン、リネン類、日
用品など)からもウイルスが検出されます。感染者が発生した場合、消毒が
必要な場合次亜塩素酸ナトリウム※などを使用してください。ただし、次亜
塩素酸ナトリウム※は金属腐食性がありますので、消毒後の薬剤の拭き取り
を十分にするよう注意してください。
※塩素系の漂白剤(使用に当たっては「使用上の注意」を確認しましょう。)
Q23 感染が疑われた場合、どこに相談すればいいのですか?
最寄りの保健所やかかりつけの医師にご相談下さい。
また、保育園、学校や高齢者の施設等で発生したときは早く診断を確定し、
適切な対症療法を行うとともに、感染経路を調べ、感染の拡大を防ぐことが
重要ですので、速やかに最寄りの保健所にご相談下さい。
社会福祉施設等においては、「社会福祉施設等における感染症発生時に係
る報告について」(平成17年2月22日付厚生労働省健康局長、医薬食品
局長、雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)によ
り、必要な場合は市町村及び保健所への報告等を行うようにして下さい。
なお、介護保険施設等に関しては、厚生労働大臣が定める手順(平成18
年厚労告268「厚生労働大臣が定める感染症又は食中毒の発生が疑われる
際の対処等に関する手順」)に沿って、必要な場合は市町村及び保健所への
報告等を行うようにしてください。
101
<参考文献及びリンク>
国立感染症研究所感染症情報センター
病原微生物検出情報:IASR
http://idsc.nih.go.jp/iasr/index-j.html
感染症発生動向調査週報:IDWR 感染症の話、過去10年間との比較グラフ(週報)
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/weeklygraph/04gastro.html
米国 CDC
http://www.cdc.gov/ncidod/dvrd/revb/gastro/norovirus.htm
高齢者介護施設における感染対策マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/index.html
<Q&Aを作成するにあたって御協力を頂いた専門家>(50音順)
品川 邦汎 先生(岩手大学農学部教授)
武田 直和 先生(国立感染症研究所ウイルス第二部第一室長)
西尾 治 先生(前国立感染症研究所感染症情報センター第六室長)
宮村 達男 先生(国立感染症研究所長)
山本 茂貴 先生(国立医薬品食品衛生研究所食品管理部長)
(作成協力)
厚生労働省健康局
老健局
雇用均等・児童家庭局
社会・援護局
障害保健福祉部
医政局
102
平成17年度学校給食衛生管理推進指導者派遣・巡回指導事業実施後の取組及び
改善状況調査表
※ 「改善状況」○=改善済み △=改善中、仮対応 ×=未着手
1 Y県教育委員会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
改善
状況
M市が中学校で新たに給食を開始する際、 ◇ 学校給食を全面あるいは部分委託す
次の点についての確認及び把握が不十分であった。 る市町村に対して、委託実施前に「具
体的な施設・設備の状況が「基準」を
・ スーパーマーケットとして営業していた
遵守しているか」、「学校栄養職員の配
施設を改修した民間業者に全面委託し、弁
置状況等を含めた衛生管理体制につい
当方式での補食給食を実施するとの報告を
て」
「諸帳票の整備について」等の確認、
受けたのみで、具体的な施設・設備の状況
△
指導を行う体制を整える必要がある。
が「基準」を遵守しているかについての確
認をしていなかった。
・ 市教育委員会には学校栄養職員が配置さ
れておらず、献立作成、委託先への衛生指
導は、市保健課栄養士が兼任して行ってい
た。また、委託先にも栄養士の配置はなく、
施設長等が指導を行っていた。
◆ 食中毒発生後に迅速な対応及び指導をしな ◇ 県教育委員会として、食中毒事故発
生直後の実態把握等は、今後の対策を
かった。
取るために大切であり、早急な対応が
・ 12月17日に食中毒発生の連絡を受けてい
望まれる。
たにもかかわらず、M市へ調査に出向いた
○
のが2か月を経過した2月28日であった。
◆
改善状況(改善時期も明記)
現行法令上、県教育委員会としての指導にも
限界があるものの、今回の件を踏まえて、民
設民営方式を検討している市町村に対しては、
特に専任の栄養士の配置及びドライシステム
への改善について強く働きかけている。
平成18年5月に某小学校の給食による食中毒の
疑いがもたれる事案が発生した際、当該地区
の教育事務所担当指導主事が直ちに現地に行
き、情報収集及び所轄の保健所との連絡調整
にあたった。本庁担当課としても、栄養教諭
(指導主事)、薬剤師等が翌日現地に行き、情
報の確認、今後の対応を確認した。
(結果的に感染症として処理された。
)
2 M市教育委員会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
委託契約書の衛生管理の事項は「学校給食 ◇ 契約時には、委託内容に関する詳細
な仕様を示すとともに、市教育委員会
衛生管理の基準を遵守すること。
」の一文のみ
が委託先の業務に対し指導ができるよ
であり、具体的な指導が行われていなかった。
う契約書等に明記する必要がある。
◆ 献立作成委員会が設置されておらず、献立 ◇ 献立作成委員会における献立の作成
に当たっては、栄養士のみでなく、学
作成は市保健課栄養士に依頼し、実質上業者
校関係者、保護者等の意見も十分尊重
の主導で献立が決められていた。
して作成できるよう、市町村教育委員
巡回指導時においても、献立は小学校の献
会として体制を見直す必要がある。
立を参考に市教育委員会管理栄養士及び委託
業者のみで作成されており、生徒や学校、保
護者等からの意見が反映されるような形で実
施されていなかった。
◆ 物資選定委員会が設置されていなかった。給 ◇ 物資選定委員会における納入業者決
定、食品の選定に当たっては、業者の
食運営委員会は設置されているものの、物資選
衛生管理状況等についても確認し、食
定に関する記載はなく、地産地消の推進につい
品納入予定業者一覧表等を作成してお
て委託業者と生産者からの意見聴取の記載があ
くなど安全・安心な食品が納入される
るのみであった。また、給食運営委員会に衛生
よう指導する必要がある。
管理に精通する委員が含まれていなかった。
◆ 全面委託であるという理由から、委託業者 ◇ 全面委託であっても、市教育委員会
は学校給食実施者として、保健所等関
が平成16年4月に学校給食受託のために行
係機関と連携を取りながら適切な指導
った施設改修に伴う指導を半ば保健所に任せ
をする必要がある。
きりにしており、保健所が「学校給食用施設
としては不備がある。」と指摘していた施
設・設備のまま学校給食が開始されていた。
食中毒発生後の2回目の改修時にも同様の状
況であり、市教育委員会として「基準」に照
らした適切な指導をしていなかった。
改善
状況
◆
104
○
△
△
改善状況(改善時期も明記)
衛生管理の事項については、M市立T中学校
及びH中学校調理業務等委託仕様書に記載
(H17年4月∼)
・中学校給食主任会の回数を増やし、より多
くの学校関係者、保護者等の意見を、献立作
成に反映させていく。
(H19年4月∼)
・行事食や各中学校のリクエスト給食(各校
各学年毎)を実施 (H17年7月∼)
・学校・保護者・委託業者・市教育委員会に
よる学校給食委員会において出された意見を
献立作成等に反映(H17年11月∼)
納入業者の決定については委託業者が行ってい
るが、食品納入業者一覧表等を提出してもらい、
納入業者については市教育委員会でも把握して
いる。また、納入業者への衛生指導は委託業者
を通じて行っている。
(H18年4月∼)
保健所に、改築後の衛生指導や研修会等の講
師を依頼して、指導をお願いしている。さら
に、県スポーツ保健課より改善点や問題点に
ついて指導をしていただいている。
△
※ その他の取組について
○ 作業工程表の見直しについて
・個人の動きと、汚染区域と非汚染区域がはっきりわかるように指導した。
(H18年2月∼)
○ 健康チェック表について
・個人用の健康チェック表を作るように指導した。
(H17年4月∼)
・部外者用の健康チェック表を作るように指導した。
(H18年4月∼)
○ 各中学校に牛乳の温度測定用の表面温度計を備え付け、牛乳の納入時温度と保冷庫内の温度を測定して記録表をつける
ようにした。
(H18年2月∼)
○ 各中学校で給食当番(教職員を含む)の健康チェック表をつけるようにした。
(H18年4月∼)
○ 調理・衛生指導をするにあたり腸内細菌(定期検便)検査成績表の写しが必要であり、検査毎、委託業者に提出している。
(H18年4月∼)
○ 残菜量調査について
・委託業者に各中学校の残菜量と全体に対しての割合、残菜の多かった献立名を表にまとめてもらい、その結果を各中学
校に提出して栄養指導等に活用していただいている。また、市教育委員会でも献立作成や栄養指導等に活用している。
(H18年4月∼)
○ 給食費の保護者負担額については、その額が食材費及び光熱水費を上回ることのないよう方策を検討中
3 調理場について
食中毒発生時の問題点
指導内容
◆ 次の点で衛生管理意識が不十分であった。 ◇ 「学校給食衛生管理の基準」を見直し、
改善に取り組むこと。
・ 学校給食部門と仕出し部門を同じ調理場
で調理し、ときには学校給食が無い日に学校 ◇ 従業員に対し、「基準」を遵守した調
理作業等について実践的な講習会等を
給食を弁当箱に盛り付ける場所で仕出し部門
開催すること。
の魚介類をさばいていたなど、汚染作業区域
と非汚染作業区域を区別していなかった。
・ かぶ、人参等の野菜が、3回洗浄すべき
ところ2回のみしか洗浄されていなかった。
・ 野菜を洗浄した後、同じシンクでキウイ
を洗浄していた。
・ キウイのカットを汚染作業区域である下
処理室で行っていた。
・ 加熱後水冷(流水・氷水)する食品を冷
却する際、使用水の遊離残留塩素濃度の確
認及び記録をしていなかった。
・ 検便が月1回の実施であった。
・ 同居家族の健康状況調査未実施であった。
◇ 諸帳票整備の意義を理解し、点検内
◆ 次の各種記録が徹底されていなかった。
容、記載方法、書式等を見直して適切
・ 定期点検票のうち、1∼3、5、6票で
に作成すること。
の点検がなされていなかった。第7票は平
成9年に制定された「基準」の書式での点
検であった。(巡回指導時においても定期
及び日常点検票1∼7票が旧票であった。
)
・ 定期点検票の第7票の使用水の欄に遊離
残留塩素濃度の記録の項目がなかった。
・ 加熱温度等の記録が残されていなかった。
・ 検食簿、保存食記録簿が未作成であった。
・ 検収作業が確実に行われておらず、検収
簿への記録が曖昧であった。
・ 作業工程表及び作業動線図が適切に作成
されていなかった。
105
改善
状況
○
改善状況(改善時期も明記)
学校給食と仕出しは調理場・調理員を別にし、
給食部門の調理場は、検収室、下処理室、調
理室、フルーツカット室、洗浄室に分け、汚
染作業区域と非汚染作業区域を区別した。
(H17年4月∼)
野菜はすべて3回洗いをしている。
(H17年4月∼)
下処理室で一部洗浄し、フルーツカット室で
○
洗浄・カットを行っている。 (H17年4月∼)
果物のカットは、フルーツカット室で実施
○
(H17年4月∼)
作業前に使用水(直結の水道水)の遊離残留
○ 塩素濃度を確認し記録をしている。
(H17年6月∼)
○ 検便を月2回実施している。 (H17年4月∼)
(H17年4月∼)
○ 実施している。
定期点検票の1∼3,5,6票での点検を実施
(H17年12月∼)
第7票は施設に合わせて作成し、不足の部分に
○ 関しては保健所の指導により、個々の記録簿
(冷凍冷蔵庫温度・保存食・調理時温度・冷却時
温度・検食簿)を作成して実施 (H17年4月∼)
項目を作り、記録している。
○
(H17年6月∼)
(H17年4月∼)
○ 記録している。
(H17年4月∼)
○ 作成した。
検収作業と検収簿の記録は確実に実施
○
(H17年4月∼)
検討を重ね、作成した。
○
(H17年4月∼)
○
巡回指導時に指摘された主な問題点
改善状況
〔施設〕
◆ 設備及び機器の配置に衛生管理の配慮がないため、調理場内の作業
動線が交差する構造である。
ドライ用の釜が設置されているにもかかわらず、3基の釜が配置さ
れているピットに排水口が1つのみであるため、水浸しのピット内で
作業を行うこととなり、ドライ運用が出来ない構造である。
◆ 次の点で従事者専用便所の構造及び設備が不適切である。
・ 衛生的に白衣を脱ぐ場所が確保されていない。
・ 個室内に手洗い設備が設置されていない。
△
◆
△
○
△
・ 便所の手洗い施設に消毒薬が備えられていない。
〔設備〕
◆ 前室の手洗い場に個人用爪ブラシが設置されていない。
◆ 下処理室のシンクが小さいため、洗浄している食品や洗浄水が周囲
に飛散している。また、1レーンしかない。
◆ 球根皮剥機が下処理室に設置されている。また、球根皮剥機の球根
出口用の受け台がなく、水跳ね防止のための蓋もないため、周囲に洗
浄水が飛散して二次汚染の危険がある。
下処理室に野菜切裁機があるため、下処理室に洗浄済と切裁済の野
菜等を置くこととなり作業が滞る。
○
○
△
△
◆
◆ ザル等器具の消毒保管庫が調理室に設置されていない。
○
△
◆ 冷凍庫及び冷蔵庫に木製すのこが敷かれており不衛生である。
△
〔調理作業〕
◆ 下処理作業時、マスクを着用していなかった。
◆ 球根皮剥機脇に樽を置いて冷凍食品を解凍するなど、二次汚染の可
能性のある作業が行われていた。
◆ 60cm以下の場所に置いた樽の溜め水でキャベツを丸ごと洗うな
ど、汚染を拡げる作業が行われていた。
◆ 汚染度の高いもやしを先に洗浄した後、ニンジン、キャベツを洗浄
している等、野菜の汚染度が理解されていなかった。
◆ 次の点で肉の取扱いが不衛生であり、二次汚染の危険があった。
・ 肉専用のエプロンを着用したまま調理作業をしていた。
・ 使用済みの肉専用容器を調理室内の作業台に放置し、その中に使
用済みの調理器具を入れていた。
・ 生肉を運んだ後、同じ調理員が和え物の食缶を運んでいた。
ごま和えに使用する全ての野菜が釜の湯を替えずに加熱されてい
た。また、野菜の温度確認は、食品をすべてザルにあげた後で行わ
れていた。
○
○
○
○
○
○
○
・
・ 真空冷却機で野菜を冷却する際、食品とザルの底が重なるかたち
で入れていた。
◆ 調理済み食品の保存食を釜別に採取していなかった。
〔調理作業〕
◆ 次の点で、消毒液の基本的な使用方法が理解されていなかった。
・ 納入後のもやしの外装袋をアルコール消毒していた。
・ 下処理室シンクをアルコール消毒した直後に水を流していた。
・ 下処理用のザルをアルコール消毒していた。また、部分的のみに
しかアルコールが噴霧できていなかった。
※ その他の取組について
○ 委託業者独自の月1回程度の勉強会
○ 保健所による研修会(市教育委員会主催)
○ 保健所の指導による「標準作業書」の作成
○ 他市町村の調理場の視察
○ 給食だよりの発行(センターから生徒へ)
○ 「給食ができるまで」のビデオ作成(各中学校へ配布)
○ 給食用食材の製造元見学
106
○
△
改善状況(改善時期も明記)
設備及び機器の移動が困難なため、保健所、市教育委員会と
検討し、献立内容と作業工程を見直し、作業動線が交差しな
いようにしている。
保健所の指導により、作業中はドライ運用を心がけ、洗浄後
の水切りと消毒を十分に行うようにした。
作業準備室で白衣・ズボンを着替え、脱いだ白衣・ズボンは
直接床に置かないようにしている。
保健所と検討を重ね、改装するまでは、個室を出てからの手
洗いを徹底し、出入り口にてアルコール消毒を実施している。
(H19年1月∼)
同上
設置することとした。
(H19年1月∼)
小分け洗浄を徹底し、ボールを使用するなど水をこぼさない
ドライ運用をすることにした。
(H18年2月∼)
設置場所の移動は難しいので、水はねと周辺での作業に気を
つけることにした。また、水跳ね防止のため蓋と受け台を設
置し、作業終了後、周辺の壁も塩素消毒をしている。
(H18年2月∼)
作業工程と動線を考え、洗浄済と切裁済の野菜等を下処理室
には置かないようにし、調理室に設置場所を設けた。
(H17年4月∼)
増設を検討中であるが、今現在は、保健所と検討を重ねた結
果、保管庫が空いている時間を利用し消毒をすることとした。
木製以外のすのこは大変滑りやすく危険なため、木製のすの
こを使用し学期毎に洗浄し、さらに天日干しをしている。
(H17年4月∼)
マスクを使用することとした。
行わないことにした。
行わないことにした。
(H18年12月∼)
(H18年2月∼)
(H18年2月∼)
保健所による講習会を受け、野菜の汚染度を理解して作業を
行っている。
(H18年8月∼)
巡回指導後は肉専用のエプロンは替えるようにしている。
巡回指導後は行っていない。
通常は作業工程表、作業動線通りに行っているのですが、巡
回指導時は作業が遅れ、作業工程通りできなかった。
献立内容、作業工程を考え、釜の湯を替えて作業を行っている。
(H18年2月∼)
温度確認に関しては、保健所の指導を受けて行っている。
(H18年2月∼)
ザルの底が食品につかないように置いて、冷却している。
○
採取している。
(H18年2月∼)
○
○
行わないことにした。
行わないことにした。
行わないことにした。
(H18年2月∼)
(H18年2月∼)
(H18年2月∼)
○
平成17年度 学校給食衛生管理推進指導者派遣・巡回指導事業実施後の取組及び
改善状況調査表 ※「改善状況」○=改善済み △=改善中、仮対応 ×=未着手
1 H県教育委員会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
改善
状況
食中毒発生の調査内容及び経過について ◇ 感染症の可能性も完全に否定できな
い状況で食中毒が疑われるときは、県
は、市教育委員会より逐次報告を受けて把握
し、県衛生部局等から収集した情報を随時、 としても速やかに現地調査を実施し、
○
保健所と十分に連携して原因究明に努
市教育委員会に提供するなど連絡はとってい
める必要がある。
たが、現地指導を実施したのは食中毒発生か
ら約1ヶ月半後であった。
◆ 過去の食中毒発生の教訓により、市教育委 ◇ 県が主催する衛生管理研修会の内容
は、先進的な実践事例が更に生かされ
員会及び学校は保健所と連携を取り地域全体
るような研修内容にする必要がある。
としての取組が必要であるとの指導、県内の
市町村教育委員会、学校及び調理場に対し、 また、研修内容が周知徹底できている
かどうか確認することも大切である。
書類整備やドライ運用の徹底等について実態
調査を実施し、調査結果に基づいて継続的な
○
指導をしながら、衛生管理の通知を発出等の
取組を実施していたが、食中毒が多発してい
る県としては、より具体的な研修内容とする
とともに、指導内容が周知徹底できているか
確認する必要があった。
◆
改善状況(改善時期も明記)
集団食中毒疑いが発生した場合、速やかに
市町教委及び保健所等との連携を図り、現地
に出向いて調査する体制を整えた。
本年度については、現地調査を実施すべき
状況は発生していない。
本年度、県学校給食衛生管理推進事業とし
て、県内7箇所の調理場を視察した。視察の
際には、所管する保健所、県栄養士協議会、
県学校給食会の協力を得て、1箇所6名のグ
ループで市町教育委員会及び調理場等に対し
て、調理の実際や衛生管理体制、関係書類等
について指導助言を行った。
また、後日、視察を行った市町教育委員会
に対し、視察結果を通知した。
さらに、今後、視察結果をまとめ、事業報
告書として、全市町教育委員会へ配付する予
定である。
※ その他の取組について
○ 学校給食衛生管理推進指導者派遣・巡回指導後、平成18年3月にF市に対する学校給食衛生管理指導として、調理場3か
所の視察を実施
○ (財)H県環境保健協会主催の学校給食衛生管理推進支援事業に参加し、4か所の調理場を視察
2 F市教育委員会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
改善
状況
単独校調理場方式の調理場62校の指導を ◇ 栄養教諭(学校栄養職員)未配置校
においては、調理師資格を持つ調理員
市教育委員会栄養士4名及び学校配置の学校
を衛生管理責任者とするような体制を
栄養職員5名で実施しているが、綿密な指導
整えるとともに、国及び県の学校栄養 △
は困難であると思われる。
職員配置基準に基づき、各学校に栄養
教諭(学校栄養職員)を積極的に配置
することが望まれる。
◆ 「学校給食衛生管理の基準」で定めた定期 ◇ 「基準」における定期点検(1∼6
票)は、不備な点は改善するように設
点検を学校医、学校薬剤師等の協力を得て実
置者等に働きかけなくてはいけないと ○
施できるような体制が不十分であった。
いう重要なものであることから、学校
薬剤師等の協力を得て行う必要がある。
◆ 献立作成委員会及び物資選定委員会ともに ◇ 市教育委員会として、学校医、保健
組織されているが、構成メンバー、開催頻度、 所等の衛生管理の専門家、校長代表、
栄養教諭(学校栄養職員)、保護者等で
検討内容等について不十分な点が見られる。
献立作成委員会、物資選定委員会を組
織し、栄養教諭(学校栄養職員)や保 △
護者、衛生管理の専門家の意見が十分
に反映されるような委員会を設置する
必要がある。
◆
107
改善状況(改善時期も明記)
平成18年度より学校栄養職員7名と調理員
資格をもつ調理員(各校配置)を衛生管理責
任者とした。
また、各学校への栄養教諭(学校栄養職員)
の配置に向けて取り組み中である。
「基準」における定期点検(1∼6票)に
ついて、6月、8月及び11月に学校医、学校
薬剤師等の協力を得て、水質検査やその他の
衛生管理について助言を受けた。
献立作成委員会は従前どおり校長代表、学
校栄養職員、技術員(給食業務)、市教育委員
会としている。
物資選定委員会構成メンバーは平成18年度
より新たに校長代表、保護者代表、技術員
(給食業務)代表を加え、学校栄養職員、市教
育委員会としている。
業者選定にあっては、保健所の立ち入り検
査証等を参考に選定している。
※ その他の取組について
○ 年21回実施であった検便検査を年24回(月2回)実施に変更
○ 真空冷却機等を購入するまでは、加熱後水冷が必要なサラダ及び和え物等の献立を全校で中止(平成18年度より4ヵ年計画で全
校へ設置予定。設置校については真空冷却機等で冷却し、サラダ及び和え物を実施している。
)
○ 市の「衛生管理マニュアル」を「国の基準」に照らした内容に改訂
○ 調理従事者専用便所の個室内の手洗い設備を年次計画的に全校に整備
○ 検収時の移し替え容器を全校に整備
○ 全調理員を対象とした衛生管理研修会を開催
(各種記録の徹底。手洗いの徹底。児童生徒、同居の家族を含めた健康観察及び記録の徹底。
)
3 A小学校について
食中毒発生時の問題点
改善
状況
指導内容
体育館前の水道水の遊離残留塩素が基準値 ◇ 児童が頻繁に使用する場所にある水
道水は、安全に飲用できるよう早急な ○
以下であるという指摘を保健所から受けてい
改善が必要である。
たが、適切な対応を取っていなかった。
◆ 感染症や食中毒に対処する意識が欠けてい ◇ 児童が一堂に会する場は感染が拡大
する要因の一つであることから、食中
たためか、発生前後の学校行事、児童の健康
毒や感染症に対処する意識を常に持ち、
状況等についての把握及び情報提供が不足し
食中毒や感染症が疑われる状況が発生 ○
ていた。
した場合、迅速にその状況の把握に努
めるとともに、市教育委員会、保健所
等に情報提供を行う必要がある。
◆ 学校内での児童の健康観察は実施していた ◇ 食中毒及び感染症が疑われる場合は、
家庭内での健康状態の確認も重要である。 ○
が、家庭内での健康状態の記録がなかった。
◆
給食当番健康観察記録簿を作成しておら ◇ 給食当番が配食時に食品を汚染して感
染が拡大する事例もあるため、配食前に
ず、配食前の時点で体調不良等がないかを学
給食当番の健康観察を確実に行うととも
級担任が口頭で確認し、判断していた。
に、記録に残すことが重要である。
◆
巡回指導時に指摘された主な問題点
改善状況
〔施設〕
◆ 調理室の排水溝が固定式シンクの下を通る構造であるため、日常的
に洗浄しにくい。
〔設備〕
◆ 下処理室3槽シンクが1レーンのみであった。
〔調理作業〕
◆ 下処理室のシンク及び調理台、配膳台の窓部分にも毎朝アルコール
消毒する等、過剰な消毒が行われていた。
108
○
△
○
○
改善状況(改善時期も明記)
体育館前の水道は遊離残留塩素が基準に達
している。
毎日、9時30分には全校児童の健康観察が終
了し、記録簿に記載され、管理職が把握出来
る状態になっている。
また、食中毒発生時の連絡体制マニュアル
を作成し、市教育委員会、保健所等に情報提
供を行う必要がある。
所見のある家庭には、医師の診断等を仰ぎ、
随時連絡が取れる状況をつくり、また、健康
観察簿に記録している。
給食当番の健康観察は、全校の健康観察簿
の記録を併用し、給食当番の衛生チェック票
にて、エプロン、帽子、マスク、手洗いの確
認について点検し記録している。
改善状況(改善時期も明記)
シンク内にゴミ流れ防止の網を設置し、ゴミが流れ出ない
ように工夫している。
排水口には洗浄作業終了後、湯を流している。
1レーンのみである。
果物専用タライ、野菜専用タライを使用し、汚染されない
工夫をして使用している。
アルコール消毒は調理場内の調理台、蛇口、各種器具の取
っ手、配膳棚とし、窓も取っ手部分のみとしている。
学校給食衛生管理推進指導者派遣・巡回指導事業実施後の取組及び改善状況調査表
※「改善状況」○=改善済み △=改善中、仮対応 ×=未着手
1 K町教育委員会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
改善
状況
学校給食実施者としての意識が低く、物資 ◇ 食中毒発生後、学校栄養職員が学期
に1回パン及び炊飯業者を訪問し、衛
選定委員会、献立作成委員会等が設置されて
生管理についての確認を行い、衛生的
いなかった。
で安全な食品が納入されるよう努めて
いることは認められるが、町教育委員
△
会は、学校給食を円滑に運営していく
ためにも、献立作成委員会、物資選定
委員会、衛生管理委員会を設置し、十
分な機能を果たすことができる体制を
整備する必要がある。
◆ 9月7日には食中毒発生疑いの報告を受け ◇ 過去の事例から委託品による食中毒
の可能性も視野に入れ、下痢、腹痛、
ながら、8日の給食は学校医及び保健所に確
嘔吐等による欠席、健康異常が多いこ
認の上、「確実に加熱した献立であれば大丈
○
とを認識した時点で給食の提供を中止
夫であろう」との認識で、当初サラダであっ
すべきであった。
た献立をスープに変更する等のみの措置で給
食を実施していた。
◆ 焼成後の二次加工が委託加工工場と町教育 ◇ パンのスライス等の二次加工や袋詰
めの契約に当たっては、二次汚染の危
委員会間での契約であるにもかかわらず、二
険性を認識し、衛生指導を確実に行っ ○
次加工契約者に対して衛生面の指導が不十分
た上で締結する必要がある。
であったため、焼成後のバーガーパンのスラ
イス作業が素手で行われていた。
◆
改善状況(改善時期も明記)
・ 平成18年12月21日、第1回学校給食主任
者献立作成委員会を発足
・ 物資選定委員会については、独立した委
員会として設置していないが、衛生管理に
ついては、町教育委員会、校長、学校栄養
職員が協議する場を設けている。委員会の
設置については今後の課題として検討する。
・ 今後、関係機関と協議の上、安全を最優
先に行っていく。
・ 学期に1回、パン委託加工工場に出向き、
衛生管理の確認を確実に行っている。(食中
毒発生時から、パン委託加工工場を変更し
た。)
2 学校(調理場)について
食中毒発生時の問題点
指導内容
食中毒発生当時、保健所から作業工程表及 ◇ それぞれの工程に要する時間をデー
タ化し、出来上がり時間から逆算して
び作業動線図が見づらいと指摘を受けている
作業することで、より丁寧に作業でき
にもかかわらず、見直されていなかった。
る部分や簡略化できる部分が明確にな
ることから、適切な温度管理や効率的
◆ 巡回指導当日、学校給食調理員は丁寧に作
業をしており、衛生意識は高いと思われるが、 な調理ができるものと考えられる。
作業の間の時間に空白の時間を過ごしている
姿が見受けられた。
◆ 諸帳票について、学校栄養職員未配置校に ◇ 栄養教諭(学校栄養職員)未配置校
についても、調理師資格を持つ学校給
おいては、検収簿、作業工程表、作業動線図
食調理員等を衛生管理責任者としての
等の諸帳票が正確に記録されていないものが
役割を果たせるような衛生管理体制を
多数見受けられた。未配置校には他校と兼務
整備するとともに、諸帳簿作成の意義
している学校栄養職員が週2回訪問していた
を学校給食従事者全員が認識する必要
が、指導は行き届いていなかったと考えられ
がある。
る。
改善
状況
◆
○
改善状況(改善時期も明記)
・ 作業工程表、作業動線図ともに内容を見
直した。
・ 学校給食調理員の作業に無駄がないよう、
食品の加工も機械作業ばかりでなく手作業
で行い、きめ細かな調理を心がける等、調
理時間の無駄を省くよう改善した。
・ 調理時間を把握することにより、適温給
食に努めている。
・ 諸帳簿において、各校とも漏れ落ちのな
いよう整備している。
○
3 N県学校給食会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
委託加工業者と規格パン製造について契約 ◇ 市町村教育委員会と連携し、学校給
食用パンを工場で二次加工する場合は
を締結しており、スライス等の二次加工や包
装については市町村と工場が契約していた。 「基準」に基づいた衛生管理を行うよう
指導する必要がある。
このため、県学校給食会として二次加工につ
いての衛生指導が不十分であった。
改善
状況
◆
109
○
改善状況(改善時期も明記)
・ 平成17年6月24日開催の「N県学校給食
会指定工場の衛生管理講習会」において、
製品加工における衛生管理について指導
・ 共立薬科大学中村明子教授による衛生管
理講習会を実施し、衛生管理の指導、徹底
を図った。
4 調理場について
巡回指導時に指摘された主な問題点
改善状況
〔施設〕
◆ 非汚染区域の壁面タイルが破損している。
◆ 搬入口にエアーカーテンが設置されていない上、食品の搬入および
検収作業等で検収室の扉が長時間開放されるため、外部からの衛生害
虫の飛来や異物混入の危険性がある。
〔設備〕
◆ 水道栓のレバー式がレバーが短いため、肘での操作ができない。
学校給食従事者専用便所個室内の手洗い設備の位置が便器から遠
く、不適切である。
×
△
△
◆
〔設備・設備の衛生〕
◆ 給水栓に常にゴムホースが接続されている。また、ゴムホース内に
水が溜まっているため、細菌の増殖や使用の際に床を水で濡らす原因
となる。
◆ エプロンが壁面に接触した状態で吊るされており、衛生的に管理さ
れていない。
〔食品の保管〕
◆ 汚染度の高い生肉と生食のパイナップルが冷蔵庫の同じ棚に保管さ
れており、交差汚染の危険がある。
◆
物品庫と食品庫の区別が不明瞭で、食品、消毒剤及び物品等が同じ
棚に保管されており、交差汚染や誤用の危険がある。
〔調理作業〕
◆ 検収簿によると、牛乳の温度が10℃を超えて納入されている日や、
生乳ヨーグルトの温度が24℃で納入されている日があった。
◆ 生肉ついて、検収時における異物確認が不十分であった。また、納
入された時点から釜の中に入るまで異物の確認を一度も行っていなか
った。
◆ 大根を球根皮剥機にかけるなど食品の処理が雑であった。
◆
汁物の温度を測定する際、汁の温度のみを測定し、食品(具)の温
度を測定していなかった。
〔洗浄消毒〕
◆ 消毒保管庫から取り出した器具にアルコール噴霧をする等、不必要
な消毒を行っていた。また、アルコール噴霧後ペーパータオルで塗り
広げておらず、消毒方法について正しく理解されていなかった。
110
△
○
○
○
○
○
改善状況(改善時期も明記)
・ 早急に改善
・ エアーカーテンは現在も未設置であるが、物資庫搬入後
は速やかにドアを閉めるよう指導を徹底している。
・
給水栓レバーは現在も短いが、肘を使って使用するよう
指導を徹底している。今後、肘での操作が容易にできるよ
う整備していく予定
・ 便所内の配置は変更していないが、調理員には用を足し
た後、先に手洗いしてから衣服を整えるよう指導を徹底し
ている。今後、基準に準ずるよう整備していく予定
・
ゴムホースは使用の都度取り付け、取り外しをするよう
指導を徹底
・ エプロン掛けを購入、壁への接触を回避(写真)
・
加熱調理を行う食品については、パススルー冷蔵庫に保
管、加熱調理を行わない食品については給食室内の冷蔵庫
に保管することとした。
・ 通路を隔てて左が食品用、右が物品用と、棚を分けた。
・ 現在、食品はいずれも適正温度で納入されている。
・
業者搬入容器から殺菌済みの専用容器に移し替え、異物
確認を行っている。
○
○
○
・
球状でない野菜の皮剥きは、皮剥き器を使用して手で剥
いている。
・ 汁物の温度測定は、固形物に中心温度計をさしている。
・
○
熱風消毒保管庫内の消毒済み調理器具は消毒しないこと
とした。
・ アルコール消毒は、噴霧後ペーパータオルで塗り広げて
いる。
平成17年度 学校給食衛生管理推進指導者派遣・巡回指導事業実施後の取
組及び改善状況調査表
※「改善状況」○=改善済み △=改善中、仮対応 ×=未着手
1 F県教育委員会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
改善
状況
県学校給食会と連携した委託加工工場の衛 ◇ 委託加工食品による食中毒が全国的
に相次いでいることを踏まえ、県学校
生管理状況についての継続的な把握及び指導
給食会と密に連携し、県内の委託業者
が不十分であった。
選定基準の見直し、衛生管理状況の向
上に取り組む必要がある。
◆
○
改善状況(改善時期も明記)
・ 平成18年4月1日∼平成21年3月31日ま
での委託加工工場選定更新においては、手
洗い設備等衛生管理状況の項目を充実させ、
「学校給食用パン委託加工工場選定基準」
「炊飯施設の選定に係る承認基準」毎の施
設・設備等の能力を確認できるよう様式を
改め、実地調査を行いその意見書をもとに
承認した。また、その後の委託工場巡回実
地調査についても14工場の調査実施の報告
を受けている。
・ 異物混入等のクレームについても速やか
に連絡を受け、改善結果についてもその都
度報告を受けて、適正な指導を行っている。
※ その他の取組について
県内教育事務所と健康教育グループによる学校給食施設訪問点検を行った。
平成17年度 92施設 平成18年度 84施設 実施
A教育事務所における取組
給食管理のマニュアル配付
○ 学校訪問時に各学校に「衛生管理のポイント」(会津教育事務所)の資料を配付し、管理職及び給食担当者等に、衛生管理
に努めるよう指導している。
○
学校給食研究会会津支部の栄養士部会で「衛生管理のポイント」を配付するとともに、各学校の給食主任等と連携し、検
収時にチェック機能を生かすようお願いしている。
2 A市教育委員会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
改善
状況
◇ 学校給食実施者としての意識が低かった。 ◇ 本事例はセレウス菌を原因菌とする
軽症な食中毒であったが、腸管出血性
・ 麺の異常を学校が把握した時点で教育長
大腸菌O157やサルモネラ食中毒でも
がその場に居合わせ、報告を受けたにもか
類似した初発症状であるので、迅速な原
かわらず、事態の認識が希薄で迅速に対応
因究明及び被害拡大防止のためにも、
されず、危機管理体制が機能していなかっ
最悪な事態を考えた対応が必要である。
た。
○
・ 翌日の早朝に患者発生が見られたにもか
かわらず、委託加工食品の中華麺が原因食
品と考え、給食を実施していた。
・ 県教育委員会への報告が異常を探知した
翌日と遅く、県教育委員会から指示される
まで保健所へ連絡をしていなかった。
・ 物資選定委員会及び献立作成委員会が設 ◇ 学校給食運営を調理場任せにしてい
た。近年、委託加工食品による食中毒
置されていなかった。
が多く発生しているが、直接の原因施
設が委託業者であっても、食中毒事件 ○
の責任は設置者の教育委員会であるこ
とを認識し、学校給食実施者として衛
生管理体制の強化を図る必要がある。
111
改善状況(改善時期も明記)
① 巡回指導後すぐに、県学校給食会発行の
「学校給食の手引き」により教育委員会及び
学校における食中毒発生時の対応及び危機
管理体制について確認した。
・ 県、保健所等の関係機関への連絡を迅
速、適切に行う。
・ 食中毒の疑いのある場合は、危機意識
を持って、速やかに給食中止などの措置
について判断する。
② 各小中学校に対し、平成18年3月と7月、
マニュアルにより食中毒発生時の対応と対
応経路について指導を行った。
・ 平成16年11月の合併後、物資購入委員会
及び献立作成委員会において物資納入業者
の選定及び献立作成を行っている。今後、
衛生管理の専門家等の意見も反映されるよ
うな体制づくりについて検討していく。
3 学校(調理場)について
食中毒発生時の問題点
指導内容
改善
状況
①
麺の異臭の探知後、保健所への対応が遅か ◇ 生徒が麺の異臭を訴えた時点で、腐
敗の可能性まで考え、迅速に保健所に
った。
通報するべきであった。
◆
○
受配校への直送品について、受取り時に品 ◇ 全国的にも直送品による食中毒が多
く発生していることを踏まえ、直送品
温の確認等の検収を行う体制ができていなか
についても検収を確実に実施できるよ
った。
うな体制整備が必要である。
また、検食時においても、検食簿に
基づき慎重な確認を行うことが望まれ
る。
改善状況(改善時期も明記)
◆
○
巡回指導後すぐに、給食を喫食している
途中異常事態があった場合の適切な対応と
喫食を中止する等判断をすばやく行えるよ
う、危機管理体制を強化した。
② 給食センターや市教育委員会、保健所、
会津教育事務所、学校医等の関係機関との
連絡を確実に行う。
指導実施後すぐに、以下について改善を図った。
① 検収責任者を決め検収を確実に行う。
給食主任を検収責任者として任命し実
施する。業者からの直送品については数
箇所から抽出し確認、鑑別して記録する。
(用務員、給食主任又は教頭)
② 検食を確実に行う。
生徒が喫食する30分前には、検食責
任者(校長等)が必ず検食し、異常が感
じられた場合は、食品の提供を中止する
等適切に処理する。
4 F県学校給食会について
食中毒発生時の問題点
指導内容
改善
状況
委託加工工場の選定登録時、衛生管理面の ◇ 選定登録時の衛生管理面整備状況の ○
確認とともに、選定後の継続した把握、
整備状況についての確認が不十分であり、選
指導が必要である。
定後も麺等の納入先及び製造能力について継
◇ 製造能力以上の受注は重大な事故を
続した把握をしていなかった。
引き起こす原因となることから、県学
校給食会は各々の委託加工工場の製造
◆ 全委託製麺工場に対して最終工程に蒸気殺
能力を考慮し、生産量の調整を行う必 ○
菌を行うことを指導していたが、その実態把
要がある。
握及び指導が不十分であった。旧D村の食中
毒発生の翌日に隣村の旧F村に最終工程が蒸 ◇ 常日頃より委託加工工場の製造の実
態を把握しておく必要がある。
気殺菌ではない冷やし麺が納入されていたこ
とが判明し、さらにその後全製麺工場の製造
○
状況を調査したところ、全体の半数程度の工
場が冷やし麺を製造していたことも判明し
た。
◆
食中毒発生以前より調理場から品質の問題 ◇ 普段から、クレームに対して軽視す
ることなく適切な対応が必要である。
等があったにもかかわらず、生麺組合の技術
担当を派遣し技術的指導を実施したのみであ
り、クレームの内容に対する衛生面の抜本的
な改善を図っていなかった。
◆ 危機管理意識が低く、初動対応及び関係機 ◇ 当日に健康異常がなかったというこ
とで安心するのではなく、児童生徒の
関への連絡が不十分であり、結果的に翌日の
健康被害につながるかもしれないこと
隣村の食中毒事件を発生させてしまった。
を認識し、関係機関への連絡や事後の
対応を迅速に実施する等、事故発生時
の初動対応、連絡体制について、危機
意識を持って迅速に対応できるような
体制を整備する必要がある。
◆ 検査室を設置しているにもかかわらず、実 ◇ 日頃から目的意識を持って検査を実
施するとともに、クレーム発生時の食
際には機能を果たしていなかった。
品検査に取組み、学校給食に納入され
る食品が危険にさらされないように努
める必要がある。
◆
○
○
改善状況(改善時期も明記)
・
平成18年4月の委託加工工場選定更新時
に、全ての委託加工工場94工場(麺工場26
工場、パン(炊飯)工場68工場)の衛生管
理面整備状況の確認等、工場実地調査を実
施し、選定後も、継続して巡回実地調査を
行い状況把握等に努めている。
・ 平成16年7月5日付けで、F県生麺協同
組合及びF県パン協同組合に対し、「学校給
食における食中毒防止緊急総点検」を依頼、
実施し、生産量の把握、調整等を行った。
・ 選定更新に係る工場実地調査、継続して
実施している巡回実地調査において、施設
設備、衛生管理状況等の確認と併せて、曜
日ごとの受託食数を調査、確認し、製造の
実態を把握するよう改めた。
・ クレ−ム発生時には、直ちに当該工場の
実地調査を行い、原因追求、再発防止策を
講じることなどを「学校給食用委託加工工
場衛生管理手順書」
(平成17年8月31日付け)
で定め、適切な対応に努めている。
・ クレーム発生時には、健康被害の有無確
認並びに被害拡大防止を図るとともに、関
係機関に対する連絡体制などを「学校給食
用委託加工工場の衛生管理手順書」(平成17
年8月31日付け)で定め、適切な対応に努
めている。
・
○
平成18年度からはクレーム品等の同定検
査は本会検査室を活用し、分析を行い分析
が出来ないものについては専門機関に同定
検査を委託し、その結果をふまえて、再発
防止、安全管理に努めている。
※ その他の取組について
平成18年度学校給食委託加工工場における衛生管理強化対策会議(H18年8月23日実施、参加者95名)
112
5 調理場について
巡回指導時に指摘された主な問題点
改善状況
改善状況(改善時期も明記)
○
H18年度より、定期衛生検査は学校薬剤師に依頼し実施し
ている。
○
指導実施後すぐに、直接手が触れないように取っ手を逆さ
に取り付け、肘で開閉することとした。
(写真①)
検収室の改修については、市の施設設備改善計画に沿って
改善を図っていく。
大規模な施設改修は困難であるため、指導実施後すぐに、
下処理室への移動の際の手洗いを徹底するとともに検収室の
衛生管理に努めることとしている。
〔衛生管理体制〕
◆ 定期衛生検査が調理場所長により実施されているが、学校医・学校
薬剤師等の協力を得た第三者の目で検査することが望ましい。
〔施設〕
◆ 最新式の施設であるにもかかわらず、エアーシャワーの扉が自動で
はないため、手洗い・消毒後の汚染が心配された。
◆ 検収室はシャッター1枚の開閉で行われており、業者納品の際、外部
から虫等が進入する危険があるため、風除室を設けることが望ましい。
◆ 前室から汚染度の高い検収室を経由して汚染度の低い下処理室に入
る構造であった。
〔設備〕
◆ 調理室の手洗い設備のペーパーホルダーの設置場所が低い位置にあ
るため、手洗いの水で汚染されていた。
〔調理作業〕
◆ 煮物の温度を測定する際、釜の煮汁を測定するのみであり、食品
(具)を測定していなかった。
◆ 揚げ物調理時、揚げ物機周辺の床に粉が散乱しており、調理従事者
の履物を介して床を広範囲に汚染していた。
◆ 作業動線図及び作業工程表は衛生管理のポイントが明記されていな
かった。また、作業工程表が小さく見づらい状況であった。
◆ 生肉を釜に入れる担当者が、肉専用エプロンを着用していなかった。
写真①
写真②
△
△
○
○
○
○
○
指導実施後すぐに、ペーパータオルの位置を移動した。(写
真②)
指導実施後すぐに、調理従事者全員で確認し改善した。
指導実施後すぐに、揚げ物用の作業台を大きくし粉が床に
散乱しないよう作業している。
指導実施後すぐに、様式等を改善した。
指導実施後すぐに、肉専用エプロンを用意し着用すること
とした。
(写真③)
写真③
113
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