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九州工業大学学術機関リポジトリ"Kyutacar"
九州工業大学学術機関リポジトリ Title Author(s) Issue Date URL Development of an effi cient Taylor series-based dynamic sensitivity analysis software SoftCADS and its application Abdallaoui, Berrada Aziz 2010-03-24 http://hdl.handle.net/10228/5009 Rights Kyushu Institute of Technology Academic Repository 氏 名 Abdallaoui Berrada Aziz (モロッコ) 学 位 の 種 類 博 士(情報工学) 学 位 記 番 号 情工博甲第233号 学位授与の日付 平成22年3月24日 学位授与の条件 学位規則第4条第1項該当 学 位 論 文 題 目 Development of an efficient Taylor series-based dynamic sensitivity analysis software SoftCADS and its application (Taylor 級数に基づく効果的な動的感度解析ソフトウエアー SoftCADS の開発とその応用) 論 文 審 査 委 員 主 査 教 授 清 水 和 幸 副 査 〃 東 條 角 冶 〃 倉 田 博 之 〃 松 下 照 男 〃 白 石 文 秀 学 位 論 文 内 容 の 要 旨 本研究ではまず、大規模代謝反応システムの動的感度を、精度良く、効果的に計算するための数値 計算手法について検討し、多次元微分方程式を Taylor 級数展開することによって、高速で高精度の 動的感度が計算できることを示している。また、Padé 近似を導入することによって、数値計算の時 間幅を少なくすることができ、計算速度をさらに高速化できることを示している。これらの結果をも とに、汎用的なコンピュータソフトウェアー SoftCADs の開発を行っている。 次に、このコンピュータソフトウエアーの性能を評価するために、ラジカル反応の数学モデルの動 的感度を計算し、この結果をもとに、モデルの低次元化を行い、元のシステムの出力変数とほぼ同様 の時間変化を示すことができており、Stiff な系でも高精度で高速に動的感度を計算でき、モデル低次 元化に有効であることを検証している。 さらに、酵母によるエタノール発酵のモデルについて、定常状態での動的感度について考察してお り、もし代謝物濃度が定常状態値に固定できる場合は、解くべき微分方程式の数が半減し、計算速度 を短くできることを示している。また、動的感度の時系列データは、代謝ネットワークの特性を解析 するのにも利用できる可能性を示唆している。関連して、酵素活性などの独立変数の変動に対する動 的感度はステップ応答を、また代謝物濃度などの従属変数の変動に対する応答はインパルス応答にな ることも示している。 学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 一般に、科学や工学の様々な分野で感度解析は大変重要である。生物化学システムの代謝解析でも、 S−システムに基づくBST (Biochemical Systems Theory) などのフレームワークやMCA (Metabolic Control Analysis) に基づく律速経路の同定などに重要な役割を果たしている。歴史的には、まず定常 状態での感度解析が行われ、その有効性が示されているが、最近では動的感度に関心が寄せられ注目 されている。しかし、大規模システムの解析には、精度や計算速度などの点で多くの課題が指摘さ れている。そこで本研究では、生命情報の解析に重要な動的感度を効果的に精度良く求めるために、 Taylor 級数に基づく効果的な動的感度解析ソフトウエアー SoftCADS の開発を行い、その有効性を いくつかの応用例で示しており、工学的に有用な知見が得られている。 以上により、論文調査及び最終試験の結果に基づき、審査委員会において慎重に審査した結果、本 論文が、博士(情報工学)の学位に十分値するものであると判断した。 − 71 −