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TOKYO X - alic|独立行政法人 農畜産業振興機構

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TOKYO X - alic|独立行政法人 農畜産業振興機構
東京の銘柄豚「TOKYO X」造成の地
青梅畜産センターにて開催
総括調整役
企画調整部
広報消費者課
菊地 弘美
小田垣諭司
当機構は、消費者の方々に生産現場を実際に見て、生産者や関係者の方々と直接
話し合い、相互に理解と認識を深めて頂く現地意見交換会を毎年度開催してきてい
ます。18年度は7月7日(金 )、東京の銘柄豚であり、需要が急伸している豚-
TOKYO X(トウキョウ エックス)-が系統造成された青梅畜産センター(旧
東京都畜産試験場)にて、生産者の方々との意見交換会を開催しました。
また、この旧東京都畜産試験場には、有機農業堆肥センターが設置、稼働してお
り、周辺の野菜生産者に堆肥を供給し、西多摩地域の資源循環型農業に貢献してい
ます。この堆肥を使い、土づくりを重視した減農薬・減化学肥料栽培野菜(以下「減
・減栽培野菜」という 。)の地産地消を目指す、羽村市の生産者のほ場(畑)や羽
村市農産物直売所を訪問し、生産者の方々との情報・意見交換も行いました。
今回も全国的な消費者組織において、指導的な役割や活動を担われておられる方
々に参加、出席頂きました。また、 TOKYO X 生産組合、羽村市の野菜生産者、
東京都農林水産振興財団、東京都西多摩農業改良普及センターなど東京都の行政・
普及・研究関係機関の方々に協力を頂きました。当機構からは、理事長、理事が同
行、出席しました。
〈消費者代表の方々〉
(順
不
同)(敬
称
主婦連合会
主婦連合会
主婦連合会
参与
常任委員
和田
大熊
正江
禮子
全国消費者団体
連絡会
全国消費者団体連絡会 食グループ
家庭栄養研究会 副会長
フォーラム平和・人権・環境
事務局長
日本消費者連盟 副代表
伊藤
蓮尾
康江
隆子
市村
山浦
忠文
康明
消費科学連合会
消費科学連合会
消費科学連合会
消費科学連合会
山賀真須美
石和 祥子
横田 倫子
日本生活協同組合
連合会
日本生活協同組合連合会
全国地域婦人団体
連絡協議会
千葉県連合婦人会
千葉県連合婦人会
副会長
副会長
副会長
理事
副会長
事務局長
阿南
久
根本
横山
久子
郁子
略)
〈生産者や東京都の関係機関の方々〉
榎戸
中村
澤井
武司
豊
保人
羽村市の野菜生産者 羽村市農産物直売所運営委員会会長
同上副会長 羽村市農業委員
石川
中野
昭寿
峰雄
財団法人東京都農林
水産振興財団
事業課長
青梅畜産センター 青梅畜産センター長
青梅畜産センター主任研究員
東京都農林総合研 生産技術科長
究センター
生産技術科副参事研究員
山口 紀子
河野與一郎
鈴木亜由美
合田 之久
大久保光行
東京都西多摩農業
改良普及センター
所長
普及員
吉田
本橋
東京都農業振興
事務所
振興課
TOKYO
X
組合長
生産組合 副組合長
役員
(敬称略)
課務担当係長
俊幸
浩紀
小澤あづさ
青梅畜産センター・有機農業堆肥センター
東京都においては、平成17年度に農業、畜産、林業の3試験場が統合されて東
京都農林総合研究センターが発足し、その運営が東京都農林水産振興財団に委託さ
れています。
財団は、旧東京都畜産試験場において、畜産関係の研究を行うとともに、TOK
YO X、東京うこっけい、東京しゃもの種畜の生産・配布(青梅畜産センター)、
堆肥の製造・供給(有機農業堆肥センター)を行っています。
全体で25ヘクタールの場内は木々や飼料畑などの緑に覆われ、一般の方々にも
開放されています。家畜とのふれあいなどの行事が催されると、周辺地域からの家
族連れで大い賑わっています。農とのふれあいの場、食育の場として重要な役割を
果たしています。意見交換会は、まずは場内を見て回ることからスタートしました。
X豚舎の前で
有機農業堆肥センター内
場内の様子
TOKYO
場内の視察風景
Xの生産者の方々との意見交換会
意見交換会は、消費者代表の方々12名、生産者の方々3名、関係機関の方々7
名、当機構の理事長、理事が出席し、①初めに、青梅畜産センター長の河野さんか
ら「 TOKYO X とは何か 」(紹介 )、②次に、生産組合の組合長の榎戸さん、副組
合長の中村さん、役員の澤井さんからの「私たちが作っています 」(発言)の後、
③「知りたいこと、伝えたいこと、話し合いたいこと 」(意見交換)という次第で
行われました。これらの概要は、以下のとおりです。
TOKYO
Xとは何か
1 TOKYO X は系統造成豚。ロースの中に脂肪交雑(サシ)が入り、より良
い味の豚肉にするため 、「脂肪の質の良い」北京黒豚 、「なめらかな肉質の」バ
ークシャー 、「脂肪交雑が入る」デュロックという3品種の長所を取り込んで品
種改良された豚。TOKYO X は、美味しい霜降りの豚肉。
2
系統造成は東京都畜産試験場で行われ、平成9年に完成し、同年7月に日本種
豚登録協会から新しい品種として認定。現在、青梅畜産センターが、系統の維持
を行われ、種畜を生産者に供給。
TOKYO
X の子豚(生産組合HPより)
北京黒豚
枝肉検査の様子
バークシャー
デュロック
X 豚肉の断面
3
生産者は、都内14名、都外11名の計25名。生産者の方々は生産組合を組
織、生産組合は、飼育方法、給与飼料、枝肉販売事業者などを指定。トウモロコ
シ、大豆などは、非遺伝子組換のものを使用。一般の豚より1ヶ月長い7ヶ月間
じっくり育てた後、約115㎏で出荷。
4
耳標を装着。これによりトレーサビリティーは可能であり、今後、HP上で
検索することができるようなシステムの確立に努力。
5
出荷頭数は、平成17年度6,999頭、平成22年度までに2万頭を目標。
新規生産者の開拓、飼養技術の向上、ブランド力のアップに努力中。
私たちが作っています
[組合長:榎戸さん(国分寺市、野菜栽培と養豚)]
生き残っていくため、特徴のある豚をやろうと考えていたとき、TOKYO X が
開発された。日本一、世界一と言っても過言でないほどに優れた品種。こだわりを
もって生産し、消費者の方々とともに育てていきたい。
[副組合長:中村さん(町田市、TOKYO X と白豚を飼養)]
白豚は発育が早く6ヶ月で出荷できるのに対し、TOKYO X は7ヶ月での出荷、
また、産子数は、白豚が11頭前後に対して、 TOKYO X は7~9頭など、生産
現場では苦労が多いが、消費者の方々に安心して豚肉を食べて頂き 、「中村さんの
豚が美味しかった」と言われることを目指して、今後とも頑張りたい。
[役員:澤井さん(八王子市、TOKYO X の飼養と野菜・米栽培)]
TOKYO X は経済性、生産性において飼育が難しい上、最近は国産白豚の価格が
高くなってきている状況である。しかし、この TOKYO X にあえてこだわり、
TOKYO X だけの飼養で頑張っていきたい。
TOKYO
X 生産組合の皆さん
知りたいこと、伝えたいこと、話し合いたいこと
[消費者]なぜ“TOKYO
X”という名前になったのか。
[生産者]まず第一にインパクトを考えた。また、未知の可能性を秘めていること、
美味しい肉質の3品種の豚をかけ合わせて改良されたこと、この二つの意味合いを
込めて「X」と名付けた。
[消費者]一般の豚肉よりも高く販売されており、ある程度は採算がとれると思う
が、生産者が増えない理由は何か。
[生産者] TOKYO X は値段は高いが、経済性、生産性が低く、コストがかさむ
ことがある。また、国産の白豚の価格が上昇し、飼養が難しい TOKYO X よりも
普通の豚を飼ったほうが効率的であると考える生産者もいるため。しかし、優れた
品種であることから、こだわりの生産を強調し、生産者を増やしていきたい。
[消費者]病気が多いということだが、薬品の使用頻度が普通の豚に比べて高くな
ってしまうのではないか?これを防ぐ対策は何か。
[生産者]薬に頼らない、ストレスを与えない管理方法で対処している。例えば、
豚舎の一頭当たりの飼養面積を広くする、温度、湿度、換気には細心の注意を払う
など。基本に忠実に飼養し、きめ細かな管理を行うことにより、病気の発生を減ら
す工夫をしている。
[消費者]遺伝子組み換えでない飼料を使用している理由は。
[生産者]
「安全・安心」という消費者ニーズに積極的に対応し、また、TOKYO
の特徴とするためである。
X
[消費者]飼料の履歴はどのように確認しているのか?
[生産者]生産履歴等は、耳標の装着により管理している。生産者は、毎月、青梅
畜産センターに飼料、投与した薬などを報告し、センターはその報告に基づき記録
し、管理している。問題が生じた場合には、その生産履歴によって確認が可能であ
る。
[消費者]飼料への遺伝子組み換えの混入割合はどのくらいか?
[生産者]飼料工場を実際に見て、どのような方法で遺伝子組み換えとの分別を行
っているかなどを確認の上、製造を委託している。製造ラインは他の飼料と同じラ
インであるため、100%全く入らないとは言えないが、ほかの飼料の製造から
TOKYO X の飼料の製造への切り替えの際には、空運転行うことよって混ざらな
いように対処している。
[消費者]飼料もできるだけ国産を使うようになってきていると聞くが、 TOKYO
Xでは、国産使用の可能性はあるのか?
[生産者]畜産業では、飼料穀物はほとんど輸入物を使用している。食品工場から
の食品残さの飼料化が検討されており、時代のニーズに対応して取り組んでいかな
いといけないということは認識している。ただ、高級豚肉という TOKYO X のイ
メージとの兼ね合いもある。
[消費者]授精方法は。
[生産者]自然交配である。
全体で約2時間、双方向で活発な情報、意見交換の後、各消費者代表の方々から
生産者の方々に激励の言葉が送られて、閉会となりました。
青梅畜産センターにて
羽村市の野菜生産者と農案物直売所
土づくりを重視した減・減栽培野菜で地産地消を目指す
羽村市の中野峰雄さんは、畑90アールにおいて、トマト、キュウリ、ナスなど
約30品目の野菜を生産しています。
生協の地場野菜生産者として会員約400名に販売しており、また、平成11年
度に発足した羽村市有機農業クラブ(若手野菜生産者8名)のリーダー、小学校の
地域学習や中学校の体験学習を受け入れ、学校教育に協力している「社会科職業教
師」としても活躍している方です。
消費者代表の方々には、中野さんが「東京都特別栽培農産物認証制度」に基づく
認証を受けて、ナス、トウモロコシ、枝豆などを栽培しているほ場(畑)を訪問し
て頂きました。
この認証制度は、東京都内で生産された特別栽培農産物(化学合成農薬と化学肥
料を地域の慣行レベルの5割以上削減して生産した農産物)を東京都が認証する(ほ
場調査を行い認証委員会の審査結果に基づき認証。除草剤、土壌消毒剤などの使用
禁止 。)ことにより、都内産の特別栽培農産物の生産振興と消費者に対する信頼性
の向上を目的とする制度です。
中野さんが、経営や特別栽培の概要、有機農業堆肥センターの堆肥を使用した土
づくりなどを説明された後、東京都の有機農業推進事業を実施した経験から、有機
農業と虫の問題、虫のついた野菜と消費者からのクレームの問題などを単刀直入に
話されると、具体的な虫の種類と数量、虫による被害の程度、防除の方法と限界な
どについて、次々と質問が出され、活発な話し合いが展開されました。
1時間にも及んだほ場意見交換会は、最後に、改めて中野さんの減・減栽培野菜
により地産地消を目指す取組に対して、労いと激励の言葉が送られました。
有機農業クラブの中野峰雄さん
説明に聞き入る参加者の皆さん
中野さんの畑の前にて
生産者の顔の見える直売所を目指す
羽村市農産物直売所は、羽村市の野菜、花きなどの生産者66名の方々が自主運
営する直売所です。自主運営委員会の会長が石川昭寿さんです。
消費者代表の方々は、会長の石川昭寿さんから、案内、説明をして頂きながら、
直売所内をじっくり見て回られました。
○直売所への持込み、コーナーへの配列、売残りの引取りは、生産者自らが行う。
○野菜は、生産者が自ら栽培した野菜の朝採りのもの。
○価格は、生産者が自由に決めて、小分けした袋毎に生産者氏名とともに表示。
○直売所内に生産者全員の顔写真を掲示し、生産者氏名から顔が見えるように工夫。
○レジなどは、パートの方を除いて、生産者が当番制にて無給で行う。
○買物袋は廃止し、環境問題にも対応。
○売上げの10%によって、パート賃金、光熱水道料金などを賄っている。
○平成14年にこの地(振奥多摩街道沿い)に移転、開設以降、以降、市内はもと
より、市外の方々の利用が増加(市外の方が6割)。
○市民・消費者の反応が毎日分かることから、生産者の意欲、意気込みが向上。
直売所内には、生産者の方々が丹精込めて栽培された新鮮で、規格にとらわれず、
地場ならではの野菜、花きなどが所狭しと並べられ、市民の方々が次々と入ってき
て、買い求められていました。この活気と賑わいに、消費者代表の方々は、生産者
と消費者とを身近に結びつける直売所の役割の大切さを改めて実感され、石川会長
さんに激励の言葉を掛けておられました。
運営委員会会長の石川昭寿さん
店内には新鮮な野菜が並ぶ
ラベルには生産者の名前も入る
野菜のほか、花も売られていた
羽村市農産物直売所にて
むすびに
この現地意見交換会の開催に当たり、消費者代表の方々、生産者の方々、東京都
の関係機関の方々の御協力を頂きました。厚く御礼申し上げます。この現地意見交
換会が、消費者と生産者との双方向でのコミュニケーションの促進に多少なりとも
お役に立てたものと感じております。
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