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第 5 章 会議の考察
1 会議結果について
(1)地域交流の必要性
午前の会議において、世代ごとにグループに分かれ、地域交流の必要性や地域交流に対す
る意識について意見交換を行ったところ、世代による意見の違いが浮き彫りになったといえ
る。
特に、20 代~30 代のグループにおいて、職場や学校などで同僚や友人等とのコミュニティ
があるという実感もあり、今の生活の中で自分が住む地域での交流に必要性を感じていない
という意見や必要だとは思うが、実感ができないという意見が挙げられた。
一方で、年代が上がるにつれ、地域における交流の必要性を実感しており、実際に町内会
活動等を通じて、地域の交流に参加しているという体験談が多く聞けたと言える。
午後の会議では、世代ごとに分かれていたグループを各世代の意見が聞けるようにシャッ
フルし、グループ分けしなおして、議論を行った。
午後の会議は、ほかの世代の意見等も聞くことで、将来の自分をイメージして地域交流を
考えたり、さまざまな立場の人をイメージして地域交流を考えたりする時間となった結果、
参加者が全体として地域交流の必要性を感じるようになり、地域交流の必要性に対して否定
的な意見が少なくなったことが議論の結果やアンケート結果からうかがえた。
また、必要性は感じつつも、
「地域交流には適度な距離感が必要。」
「若い人が中心になって
地域交流が行われていれば、若い人も参加する。
」など、地域交流への参加の障壁を感じてい
るという意見も多くうかがえた。
こうした議論の経過から、子どものころは子ども会などの地域の行事に参加することで地
域交流の参加の機会があるが、10 代~20 代になると一旦地域の交流から離れ、30 代の子育
て世代になると再び地域交流が始まり、年齢を重ねるごとに地域の交流が深まるといった世
代ごとの地域交流の違いが確認された。
さらには、災害時の助け合いや孤立世帯など少子高齢化による地域課題を考えると、日ご
ろからの地域交流が重要であり、そのためには、若い世代も含めて参加しやすい地域の交流
の場の必要性も確認できた。
午前の議論は世代別でグループ
午後の議論は多世代がひとつのグループ
・子ども、30 代~40 代の子育て世代、その
後年齢を重ねるごとに地域の交流が必要
になる。
・災害時のことや高齢者の孤独死を無くすた
めにも地域交流が必要であり、
そのために
は『場』が必要である。
・地域交流には適度な距離感が必要である。
・若者が中心で活動する場に若者が集まる。
【20 代グループ】
・地域交流の必要性が湧かない。
・災害時に困るという状況がわからない。
・学校・職場での交流がある。
【30 代~40 代グループ】
・子育てをしていると地域のつながりが必
要。
【50 代以上のグループ】
・災害時を考えると地域の交流は必要。
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(2)地域交流の場とコミュニティカフェ
午前の会議では、コミュニティカフェのイメージを意見交換し、午後の会議ではコミュニ
ティカフェにおける地域交流の活性化について意見交換を行った。その中で、コミュニティ
カフェという場があることを初めて知ったという参加者も多くおり、
「コミュニティカフェが
近所にあったら利用してみたい。」
「趣味が一緒の人たちと利用したい。」などの意見があった
一方で、「入りづらそう。」
「知り合いばかり集まり、排他的なイメージを感じる。」などの意
見もあり、参加者間でのコミュニティカフェのイメージ共有に難しい面があったといえる。
議論の過程では、必ずしも地域交流の場がコミュニティカフェである必要はないものの、
コミュニティカフェが地域交流の場として機能するためのアイデアから、カフェがテーマや
役割など明確に持つことで地域交流の場として効果的に機能する可能性が浮き彫りになった。
【コミュニティカフェが地域の交流の場として機能するためのアイディア】
・近所・身近なところにあるカフェ
・子育て世代が行けるカフェ
・趣味やサークルの集まりがあるカフェ
・地域の人が運営しているカフェ
・テーマ性のあるカフェ
・気軽に相談できるカフェ
・多世代交流のあるカフェ
・地域の情報を発信するカフェ
・コーディネートできるカフェ(地域の人と人をつなぐ役割)
(3)地域交流を活性化するためにできること
地域交流を活性化するために自分たちができることとしては、地域でのあいさつや声かけ
からスタートし、町内会活動や高齢者の雪かきなどをサポートすることがあげられた。
そのほか、近くのコミュニティカフェに行き、交流を始めるといった意見、コミュニティ
FM の活用、若い世代の参加者からは同世代の交流を行うことなどが挙げられた。
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2 参加者について
今回の会議はテーマへの関心の有無に関係なく、幅広い世代の市民の意見を抽出するため、
住民基本台帳から無作為で選ばれた方に依頼文を送付し、参加に承諾した方の中から抽選の上、
委員を選定するという手法(プランニングセル方式)で実施した。
参加者の構成は、あらかじめ、居住区や性別、年齢層ごとの構成比が札幌市の構成と同じよ
うになるように考慮して抽出した。
今回の集中評価会議は、昨年度と同様に託児所を同ビルの別室に設けた。これにより、2組
(3人の子ども)の託児希望があり、子育て中の方も参加できる要因となっている。
3 参加者アンケート結果
(1)会議を通じて得られたものについて
会議を通して得られたものとして、
「他の人の意見が参考になった」が 80.6%、「市政への
関心が高まった」が 45.2%、「条例や札幌市の取組への理解が深まった」が 32.2%となって
おり、グループ討議を通して、地域交流や市政に対する理解を深めることができた結果とな
った。
このことから、このような市民が集まり議論する場を設けることで、参加した市民が地域
の交流の必要性に対する理解を深めることになり、さらには参加者が地域の交流に積極的に
参加するきっかけづくりにもなったことがうかがえる。
(2)会議の日程について
今回の会議は、会議目的・趣旨の説明、地域の交流の必要性やコミュニティカフェの説明、
会議方法の説明、評価(ワークショップ)でいうプログラムだった。
会議全体の長さについては「ちょうどよいと感じた」が 83.9%と最も多く、
「長い」は 9.7%、
「短い」は 6.5%という結果であり、今回の日程が最適と思われる。
(3)謝礼について
参加意欲の向上とともに、責任感を持っていただくため、参加者には謝礼を支給した。
これについては、「ちょうど良い」が最も多く 83.9%となっている。次いで「増やした方
がよい」と「その他」がそれぞれ 6.5%となっており、一定の謝礼は必要と解される。
なお、
「その他」の理由としては「ウィズユーカードでもよい」や今回のテーマに関連して
「カフェ共通カードでもよい」といった意見があげられた。
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(4)評価・話し合いの方法について
会議は、1グループあたり 5~6 人に分かれて話し合いをした。テーマ1では、世代別のグ
ループとし、テーマ2では、年齢及び性別のバランスを考慮したうえでくじ引きによりグル
ープ分けを行った。
また、参加者の主体性を損なわないよう、各グループに配置した進行役である補助者は、
最低限の説明や時間管理のみを行った。
次に、人数については、全員が「ちょうど良い」と答えている。
また、話し合いの方法についても「話しやすい方法だった」が 83.9%となっており、「最
初はなかなか言葉が出にくかった」が 16.1%となった。
(5)評価の時間について
グループ討議は、テーマごとに個人の自己紹介からグループとしての意見集約までの時間
を、テーマ1では約 45 分、テーマ2では約 90 分とした。
これについては、
「ちょうど良いと思った」が 83.9%、
「短いと感じた」が 16.1%という結
果になっており、「長いと感じた」参加者はいなかった。
4 まとめ
今回の集中評価会議は、
「地域交流の場とコミュニティカフェ」をテーマに開催したが、参
加者アンケート結果から「大変満足(35.5%)
」
「満足(58.1%)
」と9割以上の方が高い評価
をしており、その理由は「他の人のいろいろな意見を聞くことができたから」が 82.8%とな
っており、
「市政に参加できたから」
「市政について理解が深まったから」も 41.4%となって
いる。この結果から、特に自分と違う世代や立場の違う人とのグループ討議を通じて、理解
の深まりや気づきなどがあったことが参加者の満足度につながったと考えられ、このような
市民同士が議論する場が重要であるとともに、この結果からも多世代交流によって得られる
ものが再確認できた。
また、地域交流の必要性については、職場や学校に同僚や友人等のコミュニティがあるほ
か、SNS などを特に活用していると考えられる若い世代にとっては、今の生活の中から地域
交流の必要性を実感するのが難しいという意見があったが、他世代やさまざまな立場の方の
意見を聞くことで、地域交流の必要性については参加者で共有できたのではないかと考える。
一方で、必要性は感じつつも、地域交流への参加に一定のハードルを感じている方も多く、
特に若い世代にその傾向が強いということが明らかになったと言える。
これは、地域交流に限らず、まちづくり活動全体について考えられる傾向であり、地域交
流の必要性を感じている若者や地域のために自分のできる範囲で何かしたいと思っている若
者が多くいるものの、参加に結びつかない現状にあると言える。
そんな中、札幌市では、若い世代も含めて、交流の場として参加しやすいカフェに着目し、
平成 23 年度から Hokkaido コミュニティ cafe クミアイと連携したコミュニティカフェにお
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ける地域交流を進めており、今回のグループ討議でもコミュニティカフェが地域の交流の場
として機能するためのアイデアが多く出され、交流の場として効果的に機能する可能性を共
有できたと考える。
今回、参加者の中にはコミュニティカフェという名称を聞いたことがなく、入りづらいイ
メージがあるという参加者もいたことから、今回のアイデアをコミュニティカフェの取組に
反映しながら、よりコミュニティカフェの存在そのものや取組を周知し、交流の場の一つと
して市民に広めていく必要がある。
また、交流の場は必ずしもコミュニティカフェである必要性を感じないという意見も受け
止め、コミュニティカフェ以外にも、地域の住民が自らの手で自分たちの地域に交流の場を
つくる取組を支援していく必要があり、こうした場をつくる機会に若い世代の意見を取り込
んでいくことが望ましい。
また、世代の違う人たちとの交流の重要性は世代を問わず感じられるものの、その交流に
参加する一歩を踏み出すことが難しく、きっかけづくりが重要である。そのためには世代の
違う人たちとの橋渡しを行うコーディネーターが必要であり、まずはまちづくりセンターや
若者活動センターなどの機関が中心となって、若者が参加しやすい仕組みを構築し、若い世
代の参加を促していく必要がある。
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