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点火進角特性(遠心式)
自動車用メタノー/レエンジンについて 点火進角特性(遠心式) 広島自動車工業短期大学 尾 崎 秀 生,米 越 智 三 千 彦 3 林 昇 On AlcohoI Engine for Automobile Ignition TimingAdvance Curve (centrifugal) Hiroshima Junior College of Automotive Engineeting Hideo Osaki, Michihiko Ochi, Noboru Hayashi 1 . まえがき 大きくクローズアップされた自動車排気ガス規制も 48年 , 50年, 51年規制を経で近く長終 的(現在は暫定値)P::決定されるであろう 53年規制をめどにほぼ一段落すると思う。がしかし, ζ れで全ての問題が終ったわけではなく自動車業界には数多くの課題が残されている。整備性,燃 費,走行性能,資源の問題…・ ーなどである。よって乙れらの問題解決が一日も早く望まれている。 さてわれわれは 48年の石油危機の頃よりガソリンの代替燃料としで ,また排気ガス対策の 燃料としてメタノールを用いる ζ とを試み ,その実験結果は随時報告してきた。今までの実験で 点火時期調整については,調整の簡単な点火初角のみによっていたが,今回の実験では機関の回 転上昇に伴 う点火自動進角特性を求めたので報告する。 H . 実験装置および方法 実験装置の全体写真,部分写真および略 図を図 1-4P::示す。 、 まず各点火時期に対 する動力および燃費の測定に当っては図 1 のようにシャシーダイナモ〆ーターを用い て金負荷試験をし,ディストリビューター の進角装置における進角特性の測定 K当っ ては図 2のようにユニバーサルベンチテス ターを使用した ο また燃焼状態の判断には,前回と同様に シリンダーヘッドより燃焼圧力そ取り出し とより観 動歪動を介してシンクロスコープ I 図 1 実験装置の全体写真 察した 。 この際,上死点マークの取り出し - 9- は,電球とフォトトランジスターとで行なった 。 なお,供試機関は前回使用のものでメタノール燃料 K適するよう,すでに ① 吸入混合気の加熱 ② メー ンジェット径の変更 ③ 圧縮比の増大 ④ エンジンオイルの変更 などの改造をしているが, さら R今回は ζ れら R加えて,ノズルの加工(図 3), 吸気管形状の 変更も行なってみた。 図 3 加工済ノズル 図 2 ユニバーサルベンチテス空ー ⑤ ノズル加工では,霧化を良くする目的で単孔であったものを多孔とした。 ⑥ 吸気管形状の変更では,吸入抵抗を少なくするため,曲りは極力きけた。 J 暖気ウォ-1;-:';生 混 水 図 4 実験装置の略図 - 1 0一 表 11L実験 ζ l用いた測定器の銘柄,表 2I ζ供試機関諸元,表 3I と供試燃料の性状を示す。 と示す現草の点火自動進角装置を全 改造メタノール機関の理怨点火進角特性を求めるため,表 2I く作用させとfいようにディストリビューターを加工して,シャシーダイナモメーターに乗せ,点 0 0 0ずつ(一 1 0 _+20 ) ずらしたときの全負荷トルクを測定した。 火初角を標準より 5 尚,点火初角の確認はクランクプーリ上に設けた分度器とタイミングライト t とより行なった。 それを図 51L示す。 表 l 測定器の銘柄 シャシーダイナモメーター 調歳自動車製 ・ノクア・ノプ 共和電業製 水冷式抵抗線型圧力ヒ0 BCD-200型 70kg/d 動歪計 共和電業製 DPM-AT型 シンクロスコープ 日 立製 v-050型 ユニバーサルベンチテスター 高歳自動車製 ETB-500型 表 2 供試エンジン 冷却万式 水冷 点火進角量 サイクル・気箇数 2・2 掃気ポート シリンダ径×行程 62m め< 59 脚 排気ポート 拶 ド 気 量 圧 縮 量 点火時期 356cc 8 じ イ 器 ファイナル減速比 1 0 , Y8 0 0 r .p . m タイヤ有効半径 表 8 供試 アルコール分 気 j 1 00 開 閉 開 閤 0 BBDC55 u ABDC55 BBDC770 ABDC77 U 単』闘機向型 6 . 5 7 1 O.295m 合ノール 9 9 . 3必 気化熱 2 3 6 c a t /f J 沸 、 点 65"C 着火点 0 463C 比 重 0.793 引火点 0 1 1C 発熱量 4 8 0 0 c a e / k g 次に理想点火進角特性にあうように改造したディストリビューターを同じ現草花取り付けたと きのシャシーダイナモメーター上での全負荷トルク,燃費を測定して検討した。 l l l . 実験結果および考察 自動進角装置の働かないディストリビューターを用いて点火初角のみを変化 3せて全負荷運転 したときの駆動トルクを図 6 R 示す。 . 宿当概問団陸敏 ( r . p . " , ) 1 0 0 0 + 4 ω阿 20加 + -<0一 口 一 一ロー-,"。 /:;-6-6 . . - S a 【STD-rO) o -'Y -0- ・ -X-X-)(-+ 50 泊.--v-4で¥ " j η/ 〆-~-士~~. 't-4~申 ;r>--つ~\"ごx 4プニ? ・ ___&-.-+20 0 駆 動 " ル ク" " ' 市 , ; ; 6 t ー¥ 事リt t / b】 図 5 点火初角確認 町 - 図 6 点火初角変化時のトルク曲線 図 6より各車速において震も高い駆動トルクを選んで 5 その時の点火角度を読み,横軸に車速 縦 軸 R進角度の理想曲線(図7)を作成した。 .乙の理想曲線を基』 ζ ユニバーサルベ ンチテスターを用いて進角装置を改造し供試エンジン 次R に取り付け,エンジン回転数と自動進角度の関係はクランクプ ーリ に取り付けた分度器とタイミ ングアドバンステスタ ーで確認しながら,横軸 t と車速,縦軸 ζ t 駆動トルク,出力,燃費の動力性 能を測定した。その結果を図 8R 示す。 以上結果をまとめてみると, ① アイドリング時における点火時期は上死点前 5度位が良いように思われる。(標準は表 2よ 0度 と な っ て い る ) り上死点前 1 ② 進 角 装 置 に お け る 進 角 度 は 最 大 で 15度 位 が 良 い と 思 わ れ る 。 以仁の①と②を満足しかっ図 7のような自動進角特性のディストリピューターで動力性能を演l 定 してみると,エンジン運転は非常に安定し図 8のように駆動トルクは高速域では少し低いが,低 速域ではむしろ上まわっていた。 -12 - 相当機関回転数 Cr • p ・皿) 2000 3000 号 f 干 // // / // ノ ク / a 一一一一一理想進角曲線 // 15 t 一一一ー一一一加工進角曲線 = 一 一 一 1000 4 ﹄ 7 4 J ん 進 1 0 角 度 。 /,/ 5 + / 4 3 0 車 1 0 m J~ 速 C k m /h ) 4 0 ー - 5 0 図 7 進角特性曲線 乙れら結果の理由としては, (A) 低速域 ① 供試エンジンは圧縮比を上げ熱効率が良くなっている。(メタノールはオクタン価が高い) ② 吸入混合気の加熱により燃焼が良くなった。 ③ 点火時期が理怨的となった。 ④今回の実験では初めて霧化促進のためメーンノズル孔を小さく多孔とし,さらにベンチュリ 一径をほんの少し小さくした。 (B) 高 速 域 ① 高速時には吸入混合気の量が非常に多くなり加熱量が不足する。 ② ほんの少しではあるがベンチュリー径を小さくしたため吸入効率の低下 とより非常に走りやす などが考えられるわけであるが,現寧での実際走行では低速トルクの増大l くなっている。 今後の課題としては,高速性およびレスポンスの向上を思っており,それには, ① 吸入混合気の回転数に対する加熱量の調整 ② 霧化および高速性の良いキャブレータの製作 尚,本実験の点火自動進角特性はフルスロットルのものであり,部分負荷時の進角特性につい ても調べてみる必要がある。 などを考えている。 -1 3- 口 y チミ / (Ps) ヂノ:パ y¥ ゴトト/ 〆/ケノー c 力1 2 8000 ダ.十十一 1 出 山 相当縄開回転車(,・ p om) 2000 4¥¥¥¥引¥口¥ . 1 0 0 0 ヘ¥¥¥¥¥¥ 18 '0ー 0 - 0・ガソリン ヘペ:;; ¥ ¥ 、 ν ¥ 〆 x / / / ' /ハ/ 十タ ¥五 .•/ 回 :l¥r 由 l ¥ ¥ i : 5 8 ふJ " " " 1 ヘ¥ //,".J¥/ n 0 ¥ ,V ヘ¥」/¥.;/ .- 5 0 車 速 【 担/ h ) 6 0 図 8 シャシーダイナモメーター台上走行性能曲線(全負荷) 1V.むすび 自動車用代替燃料としてアルコールを試み 8年闘を経過した今日,実験用 2サイクル軽自動車 C:動力性能は向上した。出力面だけで判断するなら十分現在のガソリン標準 である錨号はさら I 車以上のものができるように思う o 乙のことはメタノールが自動車用代替燃料として意味を持つ 第一条件であるはずである。 参考までにアイドリング時の COとHCを測定してみたと乙ろ COは 3 . 5芦 , HCは 6000 P . P . i l l . で規制値以下であった。 尚,自動車用代替燃料の研究が最も進んでいると恩われる西独において最も有力な代替燃料は メタノールと水素に絞ったと聞いている。 - 14- 参考文献 1 . アルコール・ガソリン混合燃料に関する研究 1報 昭 和 14年 1月 2報 昭 和 14年 9月 2 . 発動機燃料としてのメタノール 下山鉱- 8報 昭 和 14年 1 1月 鹿島清三郎 昭和 13年 1 0月 3 . 自動車技術 昭和 51年 7月 , 9月 4 . 自動車工学ハンドブック 5 . 自動車用ガソリンエンジン 深固定彦 6 . アルコール混合燃料と燃焼圧力について 尾崎,越智,林 7 . 自動車用アルコールエンジンについて 尾崎,越智,林 wD