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平成20年度中学校理科「授業実践力向上」研修講座
平成20年度 中学校理科「授業実践力向上」研修講座 研修Ⅱ 「 地 球 と 宇 宙 」 惑 星 の 運 行 と 天 体 観 測 平成20年6月24日(火) 20:30∼21:30 岩手県立総合教育センター科学産業教育担当(地学研究室) 茂庭隆彦 (宇宙と地球について困ったら) 本日の実習 1 私たちの体を構成している元素の正体 自分の体を構成している元素は数十億年かけて星々が作ったことに,畏敬の念 と感謝の気持ちをもとう - 1 - ー ル ⑥ ブ ラ ッ ク ホ ⑤ 中 性 子 星 ④ 白 色 矮 星 ③ 超 新 星 ② 超 巨 星 解答 ① 主 系 列 星 血液を完全に燃焼させ,鉄が含まれていることを確かめる. 鉄(Fe)が作られるまでの過程を知る. 熱した血液,地球上の鉄(ストロマトライトと縞状鉄鉱床) 隕石(コンドライト,エコンドライト,隕鉄,石鉄隕石)…原始地球と微惑星 星の進化(超新星),宇宙の進化(ビッグバン,その後水素原子が初めて作られる) 2 初任者研修講座の復習:今この地学研修室はどの向きに動いている?(教師が把握してお く基礎・基本) 動いている向きを矢印 で描き込もう! 黒 板 調べるのに必要なものは 動いている…地球の自転 南 地学研修室 北 ※ 握り拳で相対的な動きを確かめる実習 左手握り拳を頭上にかかげさせる. 方位を考えて太陽の1日の動きをさせる. 地球の動きを考察させる (1) 太陽の1日の動き【小3年】→影の逆向きが太陽の向き 東 南 西 ア 北 四季毎の太陽の1日の動き 下の図に観測者Aから見た春分の日,夏至の日,秋分の日,冬至の日のそれぞれの太 陽の通り道(太陽の日周運動の経路)を入れてみよう. - 2 - イ 太陽の高さ(南中高度)が変化する理由 なぜ,太陽の1日の動きを観察すると夏には太陽は高い空を動き,冬には低い空を動 くのだろう.この事実を説明するのに都合のよい地球を考えよう. 秋 冬 地球 夏 春 ウ 日本付近で季節が変化する理由 なぜ,春夏秋冬があるのだろうか.主な理由を2つ答えよ. エ 黄道と天の赤道との関係 イの図に,黄道と天の赤道,天の北極を入れよ(地球の公転軌道は限りなく縮小する). (2) 月と星の1日の動き【小4年上】→満月に近い状態を除き影はできないぞ 観察の重要なポイントは 東 南 西 北 ア 四季毎の星の1日の動き 1日中星が見えると仮定して,同一地点から1年間観測した固有の星の南中高度は太 陽のように変化するのだろうか. - 3 - ※ 星座の観察から(夜空を教室に持ち込む) 星座シートの活用 夏の大三角形( 宮沢賢治「双子の星」(さそり座) ) その裏にある現象を捉え,児童・生徒の経験をスタートに系統的に指導しよ う 太陽(既知)→観察によって確かめる→月へ広げる→星へ広げる→全ての天体の日周運 動は天の北極を中心に1日に1回反時計回り→地球の自転(中学校)→太陽系としての運 動・銀河系(高等学校) 教室で見つけた星座を基に自分で作製したカードで実際に観察させよう 北天と,季節毎の代表的な星座をみつけさせる ※ 星座早見盤の製作と活用(生徒全員に持たせることができ,興味の度合いにより書き足 し可能.) 手作り教材参照→当センター製作.著作権はフリーです.どうぞお使い下さい. 指導のポイント→ 地球の自転により,太陽も星も,北極星を中心に東から西へ 約1日で1周する イ 北極と赤道上における星の日周運動 下の図に北極と赤道上における星の日周運動の向きを書き込んでみよう. 北極における星の日周運動 赤道上における星の日周運動 (3) 金星の満ち欠け【中2分野下】(内惑星) 天文観測の方位における約束 ①惑星現象は地球から見て太陽中心の方位(一定) ②あ る日時の星空は地球のその時点の観測者から 見た方位(変化) ①観察事実(金星の形と大きさ)を確認させる ② 電 球 と バレ ー ボ ー ル を つ か っ た 金 星 の 満ち 欠 け の モデル実験(視点の変化) ③地球・太陽・金星の公転軌道とその関係の図から理解 ④イメージさせる(空間概念) - 4 - ひ だり ひ がし ヒヒの法則 左が東 (地球になり,自転軸の「天の北極」を上にして宇宙「南」を見る) ヒヒの法則を地球の観測者に適用して,宇宙を眺めよう 惑星の位置の名称は太陽中心の東西(一定)→下図 作業 ①北極点を書き入れ,地球に影を付ける ②A・B地点の時刻を考える ③A地点での地平線に東西を 書き入れる 地球 ④B地点での地平線に東西を 書き入れる B 太陽 A 地球 この位置での地球を左図に拡大 太陽を見て左手を挙げたら東 外合 地球から見た東西は相対的なもの(変化) その時の地球になってヒヒの法則を適用 太陽 方最大離隔 方 空に ( 方最大離隔 内合 ) 地球 (4) 季節の星座【中2分野下】(同じ時刻での星空の移り変わり) まとめ 天体の動きのイメージ 2 (1) (2) (3) (4) 地 球 の 地 球 の 地 球 の の の (地球の公転) - 5 - (6) 地球の公転と地球の自転の時間をつなぐ(教師が把握しておく2つ目の基礎・基本) 恒星時と太陽時 太陽は黄道上を西から東に向かって,1日に約1°進む. 根拠:同じ星座が毎日約4分ずつ早く昇る. 公転 地球 360° 365日で360° 365日 1日で約1° 30日で30°(1月で30°) 60日で60°(2月で60°) 太陽 なお,1°にあたる1日の時間は 24×60min = 360° °/日 min/° 地球 太陽 天球 24時間で360° = 1時間で 4時間で 演習1 °/時 ° ° 同一地点で 6月22日の0時の星空は,8月22日の - 6 - 時の星空と同じ 演習2 (1) (2) (3) (4) (5) 3 右の図は地球の軌道と位置,黄道12星座との関係を示したものである.(ACとB Dの方向は互いに直角であるとする) 春分の日の地球はどの位置か. 冬至の日,太陽は何座に位置しているか. 夏 至の 日の 真 夜中 に南 中す る 黄道 上の 星座 は 何か. 秋 分の 日の0 時に ,東 の地 平線 から30°ぐ ら い上の東空に見える黄道上の星座は何か. 7月下旬頃太陽はどの星座に位置しているか. 「天の川」の正体 美しいという感性を大切に,自然への段階的アプローチの方法を知ろう 私が天文に興味を持った理由 宇宙の大きさのショック,あこがれ,ロマン (1) 銀河系(中学・高校) (2) 児童・生徒を使ったモデル実験 ① 教室内の生徒を恒星に見立て,立たせる(できれば円盤状に). ② 中心から半分ほどの位置にいる生徒1名に太陽になってもらい,太陽から見える恒 星の見え方について述べさせる. ③ 太陽のまわりを恒星が帯状に取り巻き(天の川),中心付近の星が多く,銀河の腕 にあたる方向は少ないことに気づかせる. ④ 中心部を厚くして,銀河系の形を作り同様のことを確認させる. 観察データを科学的な考え方へ - 7 - 天体望遠鏡 −天体観測用の望遠鏡ー 1 天体望遠鏡の種類 (1) 光学系 ① 屈折式 ② 反射式 ③ 反射屈折式 (2) 架台 ① 経緯台 ② 赤道儀 2 天体望遠鏡の構造 (1) 口径 天 体 望 遠 鏡 を 選 ぶ時 に ,「 倍 率 」 を 気 に す る 人 が多い.倍率だけむやみに高くしても,像が薄く なり,ぼんやり見えるだけで,細かいものが一層 見えるということはない.基本的に望遠鏡の能力 は レ ン ズ の 大 き さ ,「口 径 」 に よ っ て 決 ま る . 口 径の大きさがもっとも重要である.口径をcmで表 した数の3∼4倍(5cmならば15∼20倍)ぐらい が一番星空を見たときに美しく,口径をcmで表した数の10倍にあたる倍率(5cmなら50倍) があれば,細かいところを見るのにも充分である. ちなみに倍率というのは拡大率のことをいい,対物レンズや主鏡の焦点距離を,接眼レ ンズの焦点距離で割った値になる. (倍率)=(対物レンズの焦点距離)÷(接眼レンズの焦点距離) たとえば,焦点距離が800mmの対物レンズの屈折望遠鏡に,20mmの接眼レンズをつけた 場合,上の式にそれぞれの数値を代入すると40の倍率となる. (2) 架台 架台は,経緯台と赤道儀の2種類に大きく分けられる.経緯台は垂直と水平方向に動か せ,仕組みが簡単な上,軽量で扱いが簡単である.しかしながら,日周運動により少しの 時間の経過でせっかく捉えた天体が見えなくなってしまう.一方,赤道儀は,一度極軸を 天の北極に合わせ,目的の天体に向けてしまえば,赤経軸を地球の自転の向きに動かすだ けで一晩中天体を追尾できるので天体観測には欠かせない.最近は天体の動きに合わせて 望遠鏡の向きを変えてくれる電動モータードライブと組み合わせたものが多い. (3) 三脚 三脚はガタガタしない大き目の頑丈なものが良い.少し触ったり,風が吹いただけで揺 れてしまっては,せっかくの天体観測も台無しになってしまう. (4) その他 天体望遠鏡を使って天体観測をする際,目的に応じて様々なアクセサリーが必要になる. 代表的なものは,アイピースと呼ばれる接眼鏡で,高い倍率や見かけの視界を広く得るた めに用いる.太陽を観察する時は,アイピースに付ける専用の「サングラス」が必要であ る(サングラスをつけずに太陽を見ることは絶対にやめよう.目に害を与え,失明する場 合もある). その他,屈折式望遠鏡で天頂付近の星を見る場合に使う天頂プリズムなどが ある. ※天体望遠鏡を使う前に どんなに高価な天体望遠鏡を購入し観測をしても,初めての人と慣れた人では見え方に差が 出てしまう.望遠鏡の性能よりも,望遠鏡を使った観測者の慣れの方が重要.何度も挑戦して 望遠鏡を上手く使いこなそう.その望遠鏡の性能を最大限に引き出してこそ,素晴らしい天体 の姿を見ることができる. - 8 - トライ1 望遠鏡をのぞいてみよう! (1) 景色はどのように見える? 簡単にスケッチしよう (2) 今見えている景色を図の向きに動かしたい.動かすには望遠鏡はどちらに動かす? ↑ ① ←② ③→ ④ ↓ (3) 倍率を2倍に上げたい.何をどうする? (4) 倍率を2倍に上げたら,見えている視野はどうなる? トライ2 赤道議をセッティングしてみよう! (1) 極軸を天の北極に向けるのはなぜ? (2) 天体を観測しよう.視野からずれた星を追うにはどうする?天体望遠鏡はどちらに動い た? - 9 -