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昭和31年

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昭和31年
昭 和 三 十 一 年 (一九五六)
主催
共催
千葉県高等学校演劇連盟
千葉県教育委員会 千葉県高等学校教職員組合
(千葉新聞社は解散)
地区発表は十八校参加
第九回中央発表会 一二月二日(日) 場所自治会館
1 第三ブロック代表
松尾高 「青い麦」
九・〇〇~
2 第二
〃
船橋学園高 「向い風」 一〇・一〇~
3 第一
〃
千葉第三高 「花 妖」 一一・二〇~
4 第四
〃
佐倉第二高 「冬の声」 一二・三〇~
5 第五
〃
木更津二高 「向い風」
一・四〇~
6 特別推薦
千葉一高 「海の底の六人」 二・五〇~
休
憩
四・〇〇~四・三〇
会長、指導課長挨拶 四・三〇~四・四〇
審査員講評
四・四〇~五・一〇
成績発表、表彰
五・一〇~五・三〇
1
県立松尾高等学校
長谷川行勇作
「青い麦」
○スタッフ 演出(吉岡直子) 照明(小室和子) 効果(海
保美智枝) 装置(岩瀬かつ子) 道具(鈴木勝子) 衣装(伊
藤順子) 舞台監督(斉藤叔子)
○キャスト
保子(礼子の母)・伊藤絢子
礼子・古谷千代子
そで(本家の祖母)・伊藤克
信子(礼子の先生)・杉本とも子
秋子(礼子の友達)・加瀬はるえ
[梗概] ここは農村のある一小農家。礼子は高校三年である。
長男である兄の啓一が百姓を嫌って、家をとび出してしまった今
では、本家の祖母は礼子に学校をやめさせ、百姓をやらせるとい
う。礼子は農家であるが故の封建的家族制度などで苦しむ母の苦
労をいやというほど小さい頃から見て知っているので、自分だけ
はこんな不自由な百姓にはなるまいと固く決心している。
そんな礼子の気持ちを知っている母は何とかしてこのまま学校
を続けさせたいと思う。そんなことからとうとう祖母の機嫌をそ
こねてしまった。
礼子の友人秋子は中学を卒業して家で農業をしている。青年団
に入っていて「新しい村つくり」とか「農業の機械化」とかいか
にも若人らしい大きな希望に胸をふくらませている。
母から父の夢は大原幽学のように「新しい村づくり」をするこ
とだったと聞いて、ただ百姓を嫌いお勤めをすることだけを願っ
ていた自分の夢が父や秋子のそれに比べていかに貧弱であるかを
礼子は初めて知った。そして自分もこれからは母と共に今は亡き
父の意志をついて百姓をやって行こうという気持ちに心が動いて
いくのだった。
指導教諭
加瀬 正
2
船橋学園女子高等学校
岡野奈保美作
「向い風」
○スタッフ
演出(篠宮俊恵) 装置(鈴木 操) 衣装
(戸田啓子) 効果(大野染枝) 照明(武市洋子) 小道具
(黒川)
大道具 谷中良子
○キャスト
美代子(十八才)・伊原貴美代
節子(二十才)・今井民子
その母(四十六才)・狩野芳子 達江(十六才)・ 小口富子
よし(四十五才)・佐藤紀子
女将(四十才)・谷中良子
[梗概] ある年の冬。福島県の炭坑地帯にある一寒村の出来事
である。この村では若い娘が、一家の口へらしのために年季奉公
と称して得体のしれない料亭に身売りをするのが常であった。
節子は死んだ父の借金返済と、残された家族の明日の命のため、
将来を諦めて奉公に出たが、生々しい生活に耐えきれず逃げ帰っ
てきた。妹の美代子は、かねてからこの奉公というものに疑問を
抱いていたが、おりしも友達の達江が奉公に出ることを知り、そ
の真相に愕然とする。美代子の正義感は生きるためには手段を選
ばない大人達に強く反抗するが、極貧者にとってそんな潔癖さは
所詮貧しさの解決にはならないものとして否定されてしまった。
だが彼女は、たとえ自分の考えが大人達にとっては、むなしいも
のであろうとも、向い風にぶつかってゆく強い生き方を叫ぶのだ
った。
ー演出意図ー
「向い風」は人身売買をテーマとしたものですが、ここに材を取
ったのは、不況にあえぐ炭坑労働者のぎりぎりの生活です。誰も
が、生きねばならぬと必死になっていますが、この中で私達は、
追いつめられた生活の中にも卑屈な妥協を許さない清純な倫理観
をもつ美代子の生き方に深く感動しました。そして彼女のもつ若
さが、私達にも共通する大切な若さとして表現できたらと考えま
した。
指導教諭
小出和子
3
千葉第三高等学校(千葉東高) 榊原政常作 「花 妖」
○スタッフ 演出(高橋久子) 装置(中村好男、小西峰雄、
谷仲けい子) 照明(宮地和雄、国松晃茂、岩崎節子)
効果
(片根登代子、三上信栄、伊藤幸子) 衣装(伊藤きさ、花沢紀
子)
ヴァイオリン(鈴木欣一)
○キャスト
リョウ・田村仁一
サイ・土屋幸子
香玉 ・細川英子
レイ・稲葉俊子
キュー・大多和宣伸
秋隼・岩倉輝武
踊り子・谷仲けい子、鈴木文子
[梗概] ー昔の中国のはなしー
春の日暮方である。世捨人同様のリョウさんの庭先に、隣家のお
かみさんサイさんが飛びこんで来る。役人がリョウ老人を探して
いると注進に及んだわけである。「なるようになるさ」と言う
「リョウ」さんに、やきもきしたり、同情したり、おかみさんは
なかなかいそがしい。そこへ役人のキューがやってくる。・・・
老人の丹精した牡丹をヨウ将軍の姫君がほしいというわけだ。老
人はわが子より恋人よりも大事な牡丹で差し上げられぬと断る。
役人は御役目大事とばかり無理に掘り起こして持って行こうとし
て老人を突きとばしてしまう。
リョウ老人は天国へ迎えられ、牡丹の精香玉等の美しい草木の
精にもてなされる。その時息子秋隼が都の試験に失敗して帰る。
出世の鬼となっている息子は父の志に反し、牡丹を役人に渡し将
軍に取り入って大臣宰相になろうとする。掘り取られた牡丹のあ
とに老人の精は来年を待ってじっとたたずむという話である。
「演出意図」ー大人の童話ー何だか非常に魅力的な世界だ。どれ
だけそれが出せるか? 作品に忠実でありながら、しかも私達も
この芝居を作りながら、大いに楽しんで行きたい。
指導教諭
白銀彦太郎
4
佐倉第二高等学校(佐倉東高) 長谷川行勇作「冬の聲」
○スタッフ 演出(斉藤登美子) 舞台監督(因旛あさ子)
大道具(大塚静子) 小道具(坂本節子、小林辰生) 照明(高
橋光代、宮崎みたみ) 効果(朝倉精子、小泉員代) 衣装(因
旛あさ子)
○キャスト
都(女医)・斉藤登美子
知子(都の友人)・藤代三千枝
令子(知子の長女)・篠木幸子
留美子(その妹)・芝山悦子
八重(看護婦)・高橋弘子
[梗概] 十三回目の見合いを不首尾に終えた令子は今まで周囲
に妥協して何等の抵抗もしない自己の主体性のなさに嫌悪を感じ
てしまう。その様な心の悶えを理解しない母親の知子は結婚をせ
かせる。けれど令子が見合いに失敗する原因はかって彼女が愛情
を感じたことのある妻のある大学助教授の面影であった。
指導教諭 加藤、渡辺、宮下、岡沢
5 木更津第二高校(木更津東) 岡野奈保美作 「向い風」
○キャスト
美代子・地曳桂子
節子・森山光子
母
・平野けい子
よし・植田美枝子
達江 ・平野墨子
女将・平野満理江
[梗概] これは炭坑不況による人身売買をテーマにしたもので
ある。ここ福島の炭坑では年来の不況続きに次々と我が娘を身売
りする状態にあった。昭和二十九年の事である。その様な時父を
失った美代子の家でも姉の節子を生命の綱にと頼らねばならなか
った。だが彼女はそんな暗い生活にいたたまれず再び家の敷居を
またいた。その姉の心中を知らぬ美代子は久しぶりに帰った姉の
何か落ち着かぬ様子を不審に思う。一方美代子の幼な友達の達江
の上にもこの様な運命がかぶさって来た。しかし美代子も達江も
「奉公」という単純な言葉の中に含む深い意味を知らなかった。
だが娘の帰った事を知った母のあわてふためいた様子やその母に
詫びる姉の姿から美代子はそこではっきりと「奉公」にひそむ意
味を知った。幼い達江にとって、その事はあまりにも痛手であっ
た。彼女はその小さい胸に″死″を決した。
姉を連れ戻すために来た女将の打算的で功利的な態度に、そし
てそれに同意しなければならない世間に美代子はたまらないもの
を感じた。しかしいらだちといきどおりを感じながらも彼女には
どうする事も出来なかった。だが彼女は思った。これからの世の
中は私達の世代が作り出して行くのだとそしてこんな世間にはあ
くまで戦うんだと。風が強い。
生きる為には手段を選べない大人達。そんな人間の姿に決して
同意出来ない美代子。彼女を中心として「人身売買」という非人
間的な行為のかげにひそむ生きねばならぬ人間の真剣な姿を出そ
うと思います。
指導教諭
石丸創造
6 千葉第一高等学校(現千葉高校) コットマン作加藤衛訳
「海の底の六人」
○スタッフ
演出(山口泰子) 装置(杉浦幸虎) 照明
(江波戸弘安) 衣装(斉田陛意) 小道具(藤原三喜子)
○キャスト
ダン (ラヴァー=恋する人)・小池昭作
ショウ(ドリーマ=夢見る人)・芝入莞爾
ブライス(カワード=臆病者)・杉浦幸虎
マックアンドリュウス(艇長)・高 捷雄
ナップ(ロンドン子)
・古山俊介
ジョーグソン(餓鬼大将)
・大沢龍雄
[梗概] 嵐で沈没した潜水艇の一室。それぞれ異なった性質の
六人の男がとじこめられていた。そして最後の望みの綱であった
無線機も故障していた。
「残る方法はただ一つしかない。それは俺が犠牲になって海上
に浮かび出ることだ」と艇長は云った。だがだれも彼を魚雷発射
管から発射するものはない。
死の恐怖で半狂いになっているプライズの発言でその犠牲をトラ
ンプを引いてきめることになった。そしてスペードのエースを引
いたのは、他でもないプライスであった。
しかし彼は・・・・・・
指導教諭
旭爪 謙作
(審査員) 西沢揚太郎、中田耕治、長谷川行勇、松井重男、東
京より三人、受賞は次の通り
連盟会長賞
船橋学園女子高
岡野奈保美作 「向い風」
知事賞・悲劇喜劇賞 佐倉第二高校 長谷川行勇作「冬の声」
教育委員会賞 松尾高等学校
長谷川行勇作 「青い麦」
高教組賞
千葉第三高校
榊原政常作
「花 妖」
努力賞
木更津第二高校
岡野奈保美作 「向い風」
特別出演
千葉第一高校 コットマン作「海の底の六人」
★9 船橋学園女子高 岡野奈保美作 「向い風」は第四回全国
高等学校演劇指導者講習会(後の全国大会) 昭和三三年八月八
~一〇日 東京都神田一ツ橋講堂にモデル上演を行なった。
★ 10 昭 和 三 二 年 に 入 っ て 、 演 劇 連 盟 の 規 約 改 正 が 行 な わ れ 、 生
徒を主体的に考えた演劇連盟運営から、各高校演劇クラブ顧問教
官の責任を中心とした運営に代わっていった。
★ 11 右 に 対 し 、 演 劇 部 生 徒 を 主 体 に し て 、 コ ン ク ー ル と は 別 に
第一回千葉市高等学校演劇合同発表会(昭和三二年六月一六日、
場所教育会館ホール、千葉市内五高校上演、入場券二〇円)が始
められ、それが現在も行なわれている春の演劇発表会である。
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