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8119 三栄コーポレーション
http://www.sanyeicorp.com/ 8119 三栄コーポレーション 小林 敬幸 (コバヤシ ノリユキ) 株式会社三栄コーポレーション社長 収益性向上と事業拡大により売上高 500 億円達成へ ◆会社概要と各事業の強み 当社は 1946 年に創業し、今年 70 周年を迎えた。現在は、家具・家庭用品・服飾雑貨・家電等の生活関連用品 の輸出入、卸売、小売業を展開する。「健康と環境」をテーマに、品質の優れた生活関連用品を企画開発し、消費 者に届けることを通じて、快適で夢のあるライフスタイルと社会生活の実現に貢献することを経営ビジョンに掲げ、 2 事業を展開している。 OEM 事業は、創業時から展開し、総売上高の 4 分の 3 を占める主力事業である。OEM とは、工場選定から物流 まで、業務の一部を当社のような商社が請け負うことを意味するが、現在、当社はベッドやリビング家具などの家 具類、鍋やキッチンツール、キッチンガジェットなどの家庭用品、バッグ類などの服飾雑貨、キッチン関係、ヘアドラ イヤーなどの家電、およびペット商材を取り扱っている。 この事業の特長は、第 1 に海外調達力である。当社は輸出専門商社時代の比較的早い時期に東南アジアへの 進出を行い、それぞれ地場で生産される商品を欧州、中東、北米、南米等に輸出していた。この長年の海外展開 で構築したアジアの製造ネットワークを武器に、現在は OEM 顧客のニーズに応じて瞬時にメーカーを紹介すること ができる。第 2 に品質生産管理能力である。OEM 事業では顧客に対して約束した納期と品質を守ることが最も重 要である。そのため、一部地域を除き、自社スタッフが生産現場に常駐して生産管理と品質管理を行っている。第 3 は、海外拠点から海外顧客への輸出である。日系の生活関連用品商社として海外で生産されたものを日本以外 の国に輸出するほか、中国では国内販売も行っている。 ブランド事業では、OEM 事業で培ってきた海外ビジネスの知識と経験を活用し、自社ブランドや海外で発掘した ブランドを、主に日本市場で展開している。この事業の特長は、第 1 に、本質にこだわった秀逸な商品である。商品 そのものの本質において秀逸なもののみを厳選し、ブランド商品として取り扱っている。第 2 に、販売戦略に応じて 積極的な小売展開を行っている。当社は商社であるため本業は卸売であるが、必要に応じて小売展開も行ってお り、現在、直営店 85 店舗を有する。第 3 にアフターサービスである。アフターサービス事業も極力自社で行うことを 旨とし、例えば圧力鍋などは本社近くの工房で修理を行っている。 ◆2017 年 3 月期第 2 四半期決算概要 売上高は 242 億 31 百万円(前年同期比 0.9%増)、営業利益 11 億 45 百万円(同 1.9%増)、経常利益 9 億 33 百万円(同 23.1%減)、四半期純利益 3 億 99 百万円(同 51.8%減)となった。売上高は、国内向け OEM 事業が比 較的堅調に推移したことから微増となった。一方、経常利益は、期中の円高進行により先物為替予約レートと実勢 レートに差異が生じ、減益となった。さらに、海外関係会社の台北事務所の火災事故にかかわる最終損失見込額 68 百万円、ブランド販売を行う国内関係会社における商品自主回収費用 76 百万円をそれぞれ計上したことにより、 四半期純利益は大幅な減益となった。 経常利益の増減要因を分析すると、まず、海外関係会社の家具・家庭用品が好調に推移したことによる 64 百 本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。 万円、当社単体の増収および販管費率低減による 1 億 45 百万円の増益要因がある。しかし国内関係会社の減益 や新事業に関わる先行投資による 2 億 96 百万円、関係会社の先行投資による 1 億 92 百万円の減益がこれを上 回り、前年同期比 2 億 79 百万円の減益となった。 当第 2 四半期末における総資産は 209 億 50 百万円(前期末比 20 億 97 百万円減)に減少した。これは現金お よび預金が 19 億 16 百万円減少したことに加え、受取手形および売掛金が 6 億 67 百万円減少したことが主な要 因である。一方、負債合計は 105 億 61 百万円(同 14 億 32 百万円減)に減少した。これは短期借入金の減少 10 億 67 百万円、支払手形および買掛金が 4 億 51 百万円減少したことによる。また純資産は、為替換算調整勘定が 3 億 71 百万円減少したこと、繰延ヘッジ損益が 2 億 54 百万円減少したことにより、103 億 89 百万円(同 6 億 65 百万円減)に減少した。その結果、自己資本比率は 49.1%(前年同期比 2.2 ポイント減)に低下した。 ◆セグメント別の概況 家具・家庭用品事業セグメントの売上高は 126 億 56 百万円(前年同期比 5.5%増)となった。国内 OEM 事業は、 新規販路への供給も伸長して全般的に好調であった。ブランド事業は、キッチンウェアを扱う WMF ジャパンコンシ ューマーグッズの売上が堅調に推移し、前期から営業を開始した家具の E コマース直販も好調で、増収となった。 一方、海外 OEM 事業は、欧州向け家具が低迷し、北米向け家庭用品も前期の反動から減収となった。営業利益 は、前年同期比 5 億 47 百万円増の 8 億 87 百万円である。OEM 事業は増収効果に加え、採算性を重視した顧客 政策により増益になり、ブランド事業も増収による増益を達成した。 服飾雑貨事業セグメントの売上高は 68 億 17 百万円(前年同期比 10.8%減)に減少した。OEM 事業では、ステ ーショナリー商材等が新たな販路開拓につながり売上に寄与したが、前期に好調だったトラベル商材の反動も影 響してスローダウンし、日本と中国向けの売上高が減少した。またブランド事業も、キプリングブランドの売上高は 微増となったが、ビルケンシュトックブランドでは直営店事業が伸長したものの、卸売事業終了の影響により減収 となった。営業利益は同 3 億 78 百万円減少し 3 億 84 百万円となった。これは、OEM 事業の減収による減益に加 え、ブランド事業におけるビルケンシュトックブランドの卸売事業終了、キプリングブランドの直営店と百貨店チャン ネルの苦戦が主な要因である。 家電事業セグメントの売上高は 34 億 5 百万円(前年同期比 18.3%増)となった。OEM 事業では新規取引も順調 に進み、国内向け、海外向けともに増収となった。ブランド事業も、新商品の投入効果により調理家電が好調で、 増収となった。一方、営業利益は 1 億 44 百万円減の 57 百万円となった。OEM 事業では、中国の関係会社三發電 気の ODM 製品の開発力向上と品質管理の精度向上のための先行投資を行ったこと、ブランド事業では、今年か ら事業を開始した業務用調理家電を取り扱う関係会社における先行投資がかさんだことから、大幅減益となった。 ◆2017 年 3 月期通期業績予想 売上高は 500 億円(前期比 1.2%増)、営業利益 22 億円(同 6.8%減)、経常利益 20 億円(同 17.5%減)、当期 純利益 13 億円(同 9.5%減)を見込んでいる。売上高は OEM 事業、ブランド事業ともに前期比若干の増加を予想し ている。しかし、ブランド事業強化のために積極的な先行投資を行うことから、販管費は前期比 11 億 89 百万円増 の 117 億 57 百万円となり、販管費率は 2 ポイント程度上昇する。当期純利益は第 2 四半期までに発生した特別 損失の影響もあり、減益の見込みである。 経常利益の増減要因のうち、プラス要因となるのは当社単体の増収効果である。しかし海外関係会社における 円高や先行投資の影響による 1 億 87 百万円の減益、国内関係会社における減収および先行投資による 4 億 65 百万円の減益、未実現利益の調整等による連結調整 1 億 72 百万円などのマイナス要因により、前年同期比 4 億 23 百万円の減益となる。ただし過去 20 年間の業績推移をみると、経常利益 20 億円は歴代 2 位の水準であり、減 益とはなるものの好業績と認識している。 本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。 ◆中長期の方向性 当期は売上高 500 億円を目指しているが、今後も安定的に 500 億円規模を上回るビジネスを展開し、次のステ ップを目指す。現在は、収益力の改善と事業の拡大が、重要な経営課題と認識している。そのために、まずブラン ド事業で安定した収益を確保し、OEM 事業で業容の更なる拡大を狙う。OEM 事業と比べて収益性の高いブランド 事業を拡大させることで、収益基盤の強化を図る。これにより OEM 事業における収益依存度を下げ、価格競争力 を高めることができる。ブランド事業の売上構成比は、現在の約 25%から、できるだけ早い時期に 40%に上げるこ とを目指したい。 また、海外取引を拡大し、市場環境の変化と為替相場に左右されにくい体質に変える。日本市場は少子化によ り市場が縮小傾向にある。過去に為替相場が大きく円安に陥った際に収益確保に苦慮した経験があることから、 このような状況に左右されないために、海外売上を伸ばして国内売上とのバランスを保つことに注力していく。当 第 2 四半期は円ベースの収益が大きく落ち込んだが、外貨ベースではほぼ横ばいとなった。第 3 四半期以降も努 力を重ねたい。 調達先の多様化も重要な課題の一つである。その中心となるのがチャイナプラスワンとしての東南アジアの調 達市場の開拓である。東南アジアからの調達額増加に注力した結果、当第 2 四半期はベトナム、カンボジアから の調達は増加したが、台湾、インドネシア、マレーシア、タイが減少した。第 3 四半期以降、これらの地域からの調 達をいかに上げていくかが課題である。 さらに、ROE 15%を目標に掲げている。過去に 15%を達成した期もあったが、安定的に 15%を達成することを 目指したい。 当社は、安定的かつ継続的な配当の実施、配当性向 30%、企業体質の強化を図るための内部留保の充実と いう配当政策の下、配当を行っている。これに基づき 2017 年 3 月期の 1 株あたりの配当金は、普通配当を 20 円 増配し、中間配当 60 円、期末配当 60 円、年間 120 円を計画している。なお、2016 年 11 月 11 日現在の当社株価 3,815 円をベースにした PER(予想)は 7.00 倍、PBR(実績)は 0.88 倍である。 ◆質 疑 応 答◆ 次期 2018 年 3 月期は、これまで行ってきた先行投資が収穫期に入り、さらなる増益が期待できるのか。 事業や関係会社によって状況は異なる。まずビルケンシュトック社の靴・サンダルの販売・修理を行う(株)ベネ クシーは、初の試みとして小売展開を始めたばかりである。まだ 1 店舗しかなく、この投資の成果を収穫するには 時間がかかると思われる。また(株)エス・シー・テクノでは、フードプロセッサを中心にマルチシェフブランドの業務 用調理家電の販売を開始した。これに関しても今後 3 年は投資が続くと想定している。一方で、ペットおよびペット 用品を扱う(株)ペピカは、当期までは厳しい状況が続くが、次期はかなりの改善を予想している。さらに中国の関 係会社三發電器においても、ODM 製品の品質管理体制に対する先行投資がほぼ終わり、次期からその回収が 可能になると考えている。 (平成 28 年 11 月 16 日・東京) *当日の説明会資料は以下の HP アドレスから見ることができます。 http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material_for_fiscal_ym&sid=29806&code=8119 本著作物の著作権は、公益社団法人 日本証券アナリスト協会®に属します。