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沖縄医報 Vol.39 No.9
2003
生涯教育コーナーを読んで単位取得を!
日本医師会生涯教育制度ハガキによる申告( 5 単位)
日本医師会生涯教育制度は、昭和 62 年度に医師の自己教育・研修が幅広く効率的に行
われるための支援体制を整備することを目的に発足し、年間の学習成果を年度末に申告
することになっております。
沖縄県医師会では、自己学習の重要性に鑑み、本誌を活用することにより、当制度の
さらなる充実を図り、生涯教育制度への参加機会の拡大と申告率の向上を目的に、新た
な試みとして、当生涯教育コーナーの掲載論文をお読みいただき、各論文の末尾の設問
に対しハガキで回答(ハガキは本巻末にとじてあります)された方には日医生涯教育講
座 5 単位を付与することに致しております。
つきましては、会員の先生方のより一層のご理解をいただき、是非ハガキ回答による
申告にご参加くださるようお願い申し上げます。
なお、申告回数が多い会員、正解率が高い会員につきましては、粗品を進呈いたしま
す。ただし、該当者多数の場合は、抽選とさせていただきますので予めご了承ください。
広報担当理事 下地武義
生涯教育
の設問に
答える
ハガキ
で回答
5 単位
付 与
+
粗 品
進 呈
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−35(793)
−
沖縄医報 Vol.39 No.9
2003
生涯教育
人工膝関節置換術後の大腿骨顆
上骨折の治療経験
豊見城中央病院 整形外科
外 間 力 人、新 垣 晃、永 山 盛 隆
富 山 聡、比 嘉 英 麿
要旨
人工膝関節置換術(以下 TKA)後の大腿骨顆上骨折は治療困難な術後合併症の
1 つである。我々は 2000 年より 4 例に対して 2 枚のプレートを用いた骨接合術を行
った。
全例女性で変形性膝関節症例である。受傷時平均年齢は 77.3 歳、TKA 術後から
骨折に至るまでの期間は平均 50.8 ヵ月で、大腿骨顆上部の内外側からプレートに
よる骨接合術を行った。
全荷重歩行までに要した期間は平均 3 ヵ月、関節可動域(以下 ROM)の平均は
術前 0/112.5 が術後 0/82.5 となった。術前は独歩あるいは杖歩行であったが、4 例
中 3 例が杖歩行、1 例がピックアップウォーカーにて自立し退院となった。
TKA 後の大腿骨顆上骨折は、大腿骨遠位の骨量が少ない上に骨質も脆弱なため
内固定の際には困難を要する。2 枚のプレートを用いる場合には比較的侵襲が大
きくなり、若干の ROM 低下も見られたが、より確実な固定性と良好な大腿骨の
形状が得られるため特に高齢者の大腿骨顆上骨折には有用と思われた。
【目的】
近年人口の高齢化に伴って、人工膝関節置
換術(以下 TKA)の件数も増加傾向にあり、
それに比例して術後の合併症が重要な問題と
なりつつある。大腿骨顆上骨折は治療困難な
術後合併症の 1 つであり、我々は 2000 年より
6 例の大腿骨顆上骨折を経験し、その内 4 例
に対して 2 枚のプレートを用いた骨接合術を
行ったので若干の文献的考察を加えて報告す
る。
【対象と方法】
症例は全例女性で変形性膝関節症(以下
OA)例である。大腿骨顆上骨折受傷時の平
均年齢は 77.3 歳(73 ∼ 81 歳)
、TKA 術後から
骨折に至るまでの期間は平均 50.8 ヵ月(7 ∼
12 年 1 ヶ月)であった。TKA の機種は NexGen
LPS 、Mark Ⅱがそれぞれ 1 例、 NexGen CR
が 2 例であった。どのモデルも顆間が狭いか
閉じていて大腿骨顆上骨折の際、逆行性に打
ち込む髄内釘は用いることができなかった。
その為全例に対して大腿骨顆上部の内外側か
らプレートによる骨接合術を行った。内 1 例
は骨欠損が大きい為、ピンアンドプラスター
と骨移植を追加した。術前後の ROM と ADL
への復帰状況及び X 線にての癒合状況にて評
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生涯教育
価した。手術侵襲を評価するのには手術時間、
術中出血量及び術中術後の輸血量を用いた。
【結果】
全例とも術後早期にベットアップを開始
し、機械による膝の ROM 訓練は平均 22.8 日
(2 ∼ 45 日)で開始した。全荷重歩行までに
要した期間は平均 3 ヵ月(2 ヶ月∼ 4.5 ヵ月)、
ROM の平均は術前 0/112.5 が術後 0/82.5 とな
った。術前は独歩あるいは杖歩行であったが、
4 例中 3 例が杖歩行、1 例がピックアップウォ
ーカーにて自立し退院となった。平均手術時
間 2 時間 55 分(2 時間 45 分∼ 2 時間 59 分)、
平均出血量 475.5ml(290 ∼ 832ml)
、輸血は 2
人に行った。
2001 年 11 月 30 日転倒受傷(図 1)、受傷前の
ROM は 0/90 で独歩であった。12 月 13 日 2 枚
のプレートを用いた骨接合術を行った。手術
時間 2 時間 59 分、出血量 360ml で輸血は行わ
なかった。3 月 18 日全荷重開始、4 月 6 日
ROM は 0/90 で T 字杖歩行にて退院、レント
ゲンにて骨癒合良好だった(図 2)
。
症例 2 : 73 才女性、基礎疾患 OA、1998 年
7 月 21 日両 TKA(NexGen CR)を行った。
1999 年 12 月 31 日転倒受傷(図 3)、受傷前の
ROM は 0/112.5 で独歩であった。2000 年 1 月
5 日 2 枚のプレートを用いた骨接合術を行っ
た。手術時間は 2 時間 59 分、出血量 832ml で
輸血は行わなかった。4 月 6 日 ROM は 0/90、
4 点歩行器にて退院、レントゲンにて骨癒合
良好だった(図 4)
。
【症例供覧】
症例 1 : 77 才女性、基礎疾患は OA, 1989 【考察】
年 10 月 12 日左 TKA(Mark Ⅱ)を行った。
大腿骨顆上骨折の原因として骨粗鬆症、大
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生涯教育
475.5ml と侵襲の大きさは否めなかった。し
かし早期にベットアップ可能であり、また固
定強度の関係も有り時期にこそばらつきはあ
ったが、早い症例で術後 2 日目、平均約 3 週
間で機械による膝の ROM 訓練を開始でき
た。約 3 ヶ月で全例偽関節となることなく全
荷重可能で歩行退院となり、大腿骨形態も良
好であった。
村岡ら 4)も述べているように、本骨折のゴ
ールは適切な大腿骨の形状での骨癒合と人工
関節部位の固定性の維持と考えられる。又出
来うる限りの早期離床により合併症の防止も
重要である。その為整復位が不良な際は早期
に観血的接合術を行うべきであると考える。
腿骨前面のノッチが主な原因として指摘され
ている(図 5)。骨粗鬆症の原因としては、
ADL 低下による下肢廃用性骨萎縮や prosthesis 周辺に生じる骨塩量の減少等が考えられ
る。今回の我々の症例でも 4 例中 1 例にノッ
チが見られ骨折個所も一致しており、TKA 【まとめ】
TKA 後の大腿骨顆上骨折は、大腿骨遠位
の手技上の問題が多少あったと思われた。
の部位の特性上骨量が少ない上に骨質も脆弱
TKA 後の大腿骨顆上骨折の治療法として
なため、内固定の際には困難を要する。2 枚
は、牽引ギプス等の保存療法 1)を勧めるもの
2)
のプレートを用いる場合には比較的侵襲が大
と、早期に手術療法 を勧めるものに意見が
分かれるが、それぞれに長所と短所がある。 きくなり若干の ROM 低下も見られたが、よ
保存療法の長所には、感染の危険性が少ない、 り確実な固定性と良好な大腿骨の形状が得ら
れるため、特に高齢者の大腿骨顆上骨折には
侵襲が少ない、短所には困難な大腿骨の形状
有用と思われた。
の保持、偽関節や可動域制限を来し易い、長
期臥床となり易いこと等が挙げられる。一方、
文 献
手術療法では、強固な内固定、正確な大腿骨
1) Merkel, A. C., et al:Open Reduction Internal
の形状が得られる等が長所であるが、その反
Fixation of Supracondylar Fracture Above Total
面手術侵襲が大きくなり易く、TKA や骨セ
Knee Arthroplasties Using the Intramedullary
メントが邪魔になり接合術の選択に苦慮す
Supracondylar Rod. Clin. Orthop., 302:194− 198,
る、感染の危険性等が問題となる。
1994.
固定材料として髄内釘、ラッシュピン、エ
2) Culp, R. W., et al:Supracondylar Fracture of the
ンダ−ピン、プレート等があり、McLaren3)
Femur Following Prosthetic Knee Arthroplasty.
らは逆行性髄内釘固定にて満足の行く結果を
Clin. Orthop., 222:212− 222, 1987.
報告している。手術侵襲や固定性等を考えれ
3) McLaren, A.C., et al: Open Reduction Internal
Fixation of Supuracondylar Fracture Above Total
ば逆行性髄内釘がいいと思われるが、TKA
Knee Arthroplasties Using the Intramedullary
のモデルによっては課間の隙間がなく用いら
Supracondylar Rod. Clin. Orthop., 302:194− 198,
れないものも多い。今回の我々の症例もモデ
1994.
ルの関係で用いられなかった。
4) 村岡 博ほか:人工関節置換術後に発生した大
今回の我々の症例では、手術侵襲という点
腿骨カジョウ骨折の治療経験. 日関外誌, 10:
では、手術時間が約 3 時間、出血量も平均
269− 274, 1991.
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沖縄医報 Vol.39 No.9
2003
生涯教育
著 者 紹 介
豊見城中央病院整形外科
C
外 間 力 人
昭和 35 年 4 月 29 日
出身地:
沖縄県那覇市
出身大学:
東京医科歯科大学
昭和 60 年卒
専攻・診療領域
整形外科、膝関節外科、スポーツ医学
趣味
映画鑑賞、家庭菜園、旅行
UESTION!
éüÇÃñ‚ëËÇ…ëŒÇµÅAÉnÉKÉLÅiñ{ä™ññí‘Ç∂Åj
âÒìöÇ¢ÇΩÇæÇ¢ÇΩï˚Ç…ÅAì˙à„ê∂äUã≥àÁçuç
à Çïtó^Ç¢ÇΩǵNjÇ∑ÅB
問題: TKA 術後の大腿骨顆上骨折に対する手
術療法の長所はどれですか。
1) 侵襲が少ない。
2) 困難な大腿骨の形状の保持。
3) 偽関節や可動域制限を来し易い。
4) 強固な内固定。
5) 正確な大腿骨の形状が得られる。
6) 感染の危険性。
A
1. 論文:「当院での PCPS 施行 36 例の検
討」
問題: CPAOA 症例に対する PCPS(経皮
的心肺補助装置)を導入するにあたって、
送血管は大腿動脈より中枢側へ逆行性に
カテーテルを挿入するが、脱血管はスム
ーズな脱血が行えるよう、一般的には次
のいずれにその先端を留置するか?
生年月日:
Q
ORRECT
NSWER!
1. 下大静脈(腎静脈より末梢側)で脱
血がスムーズに行える箇所
2. 下大静脈(腎静脈より中枢側)で脱
血がスムーズに行える箇所
3. 右房内脱血がスムーズに行える箇所
4. 右房をこえた上大静脈内で脱血がス
ムーズに行える箇所
5. 鎖骨下静脈で脱血がスムーズに行え
る箇所
正解 3 または 3 と 4
ORRECT
NSWER
2. 論文:「胸腔鏡下手術の現状と問題点」
問題:胸腔鏡下手術(VATS)について間
違いを一つ選んでください。
1. VATS は診断と治療に用いられる。
UESTION!
2. VATS は自然気胸や良性縦隔腫瘍手術
の第一選択となる手技である。
3. VATS の適応は拡大されている。
4. VATS は創が小さく、痛みが少ない。
5. VATS は肺癌の手術には応用できない。
正解 5ORRECT
−39(797)
−
NSWER!
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