...

Title 雑草スズメノテッポウの種生態学的研究( Abstract_要旨 ) Author(s

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

Title 雑草スズメノテッポウの種生態学的研究( Abstract_要旨 ) Author(s
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
雑草スズメノテッポウの種生態学的研究( Abstract_要旨 )
松村, 正幸
Kyoto University (京都大学)
1967-03-23
http://hdl.handle.net/2433/212170
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
】
5
34 幸 卵 士
7
llH
松
正 絹博
氏
村
まつ
むら
学 位 の 種 類
農
学
学 位 記 番 号
論
学位授与の 日付
昭 和 42 年 3 月 23 日
学位授与の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当
学位 論文 題 目
雑草 スズ メ ノテッポ ウの種生態 学的研究
論文 調査 委員
教 授 今 村駿 一 郎
農
博
第1
58号
(主 査)
論
文
内
教 授 赤 藤 克 己
容
の
要
教 授 常脇 恒一郎
旨
スズ メノテ ッポウは北半球温樺 に普遍的な越冬性雑草で, 同属のある種 は牧草 と して利用 されてい る。
この植物はわが国の もっと も代表的な水 田裏作雑草 の一つで あるが, 畑地 において も広 く全国的に分布す
る。 従来 この雑草 は水 田産 の もの も畑地産 の もの も同一種 と考 え られ て い た。 これ は両者 の形態が酷似
し, 区別 し得 る形質が知 られなか ったためで ある。 著者 は雑草防除 と野草育種 の立場か らこの雑草 の集団
について, 群落確立 の要因をなす発芽性 を中心 とす る生理生態的特性 , と くにその変異性 を重要視 して研
究 を進 めた。
基準集団 と して選 んだ岐阜大学附属農場の水 田と畑地かか らの標本 は, 種子 の長 さと重 さに関 して 明 ら
5
地域の水 田 ・ 畑持也お
かな不連続性 を示 し, 水 田のは大型 , 畑地のは小型で あった。 この不連続性 は全国 1
よび同一地域内で微細環境 を異 にす る多数 の地点か らの標本 について も認 め られ , 緯度 に関係な く, その
生育地が水 田で あるか畑地で あるかに対応 した もので ある。 この分化 は遺伝 的で あ って, 基準集団の次代
系統 をそれぞれ水 田または畑地へ環境 を反転 して栽培 して も種子 の長 さについての両塑 固有 の分布範 囲は
変わ らず, また水 田型 は主 と して 自殖 によ って繁殖す るが, 畑地型 は他殖率が高 い。
さらに発芽性 に関 して も差が認 め られ た。 水 田型 は休眠性 が浅 く, 自然状態では夏 には休眠か らさめて
い る。 高温 と無酸素条件 とは休眠の解消を促進す る。 これ に反 し, 畑地型 の休眠性 は深 く, 個体問 あるい
は種子問の変異が大 きい。 また水 田型 は 日長 に感応 しないが, 畑地型 は明 らかに長 日性 を示 し, 幾分晩生
とな る。
これ らの点 か ら水 田型 はスズメノテ ッポウ Al
o
pe
c
ur
usae
qual
i
s∀ar
.amur
e
ns
i
s(
Kom.
)Ohwi
, 価
地型はノ
ンタスズ メノテ ッポウ A.a
e
qual
i
sSo
bo1. と して区別 し, 両型 の防除 および牧草育種素材 と して
の取 り扱いを異 にすべ きことを提唱 してい る。
-9
0
5一
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
雑草の研究は従来主 と して群落生態学 的 または個生態学的に取 り扱われ た場合が多いが, 著者はわが国
の水 田裏作雑草で あるスズメノテ ッポウの形態 ・ 生理 ・ 生態を集団 ・ 系統 ・ 個体各段階で, と くにその変
異性 に着 目して研究 し, 従来単一種 と考え られていた水 田産 と畑地産 の ものの問 に種子 および穂の形態 ・
種子の休眠 および発芽習性 ・ 自殖性 ・ 日長性 などに遺伝的差異 のあることを明 らかに し, 雑草防除の面か
らも, 育種素材 と しての面か らも取 り扱 いを異 にすべ きことを提唱 した。 この種の研究 は他の雑草 に も拡
張 され る可能性が ある。 ここに得 られ た成果 は雑草の研究 および農学上貢献す るところが大 きい。
よ って本論文 は農学博士 の学位論文 と して価値 あるもの と認 め る。
-I
9
0
6-
Fly UP