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Agilent 1120 Compact LCによる

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Agilent 1120 Compact LCによる
Agilent 1120 Compact LCによる
トラマドール品質管理のシステム適合性試験
アプリケーションノート
Siji Joseph,
Patric Hörth
Column: Agilent TC-C18,
カラム:Agilent TC-C18(2)、
250xx4.6
4.6mm
mm,
5 µm
250
、5µm
6
mAU
4
2
0
0
2
4
6
時間[min]
[分]
Time
8
10
概要
Agilent 1120 Compact LCは、標準的な分析スケールの分析に最適な、使いやすく、
高性能で、信頼性の高い一体型LCシステムです。保持時間やピーク面積の精度がきわ
めて高いことから、医薬品分析に適しています。本アプリケーションノートでは、以下
アジレント装置
• Agilent 1120 Compact LC
• Agilent TC-C18(2)カラム
アプリケーション分野
• 医薬品分析:QA/QC
のことを実証します:
• 相対標準偏差(RSD)< 0.07%という優れた保持時間精度
• ベースライン分離したピークの優れた面積精度(RSD < 0.25%)
• ベースライン分離したピークの優れたピーク高精度(RSD < 0.25%)
はじめに
システム適合性試験(SST)は、日常的な
機器性能の測定手法です。
こうした試験は、メソッドや HPLC シス
テムで生成される結果が許容範囲内の精
度に収まっているかどうかを確認するた
めのものです。試験の基準は、分離能、
保持時間やピーク面積およびピーク高の
再現性、カラム効率、そしてこれらのパ
ラメータの許容変動値(標準偏差)といっ
た主要なクロマトグラフ条件をもとに選
択します。これらの基準値は、メソッド
バリデーションの過程で決定します。
現在では、SST 測定は分析手順の一部と
なっており、薬局方で推奨され米国食品
医薬品局(FDA)に受け入れられています。 図1
Agilent 1120 Compact LC
アプリケーションノートでは、この最終
的なバリデーション手順に注目し、鎮痛
H3C
Br
じる可能性のある不純物の分析における
合性を評価しました。
N
H3C
O
N
+
CH3
H
CH3
CH3
H
H
剤トラマドールと、その前駆物質から生
Agilent 1120 Compact LCシステムの適
H3C
CH3
N
OH
OH
ブロモアニソール
Bromoanisole
O
実験手法
不純物E(
吸収なし)
Impurity
E UV
(UV
inactive)
OCH3
OCH3
トラマドール
Tramadol
不純物A A
Impurity
使用装置
以下を搭載したAgilent 1120 Compact
LCシステム:
• 低圧グラジエントポンプ
• オートサンプラ
• カラム恒温槽
• 可変波長UV-Vis検出器(VWD)
H3C
N
CH3
H3C
N
CH3
H3C
H
N
CH3
H
OH
OCH3
不純物B B
Impurity
OCH3
不純物CC
Impurity
OH
不純物D D
Impurity
図2
トラマドール合成により生じる化合物の構造
す べ て の 分 離 に お い て 、 Agilent TC
2
使用する化合物の構造
(Typical Carbonロード)-C18(2)カラ
図 2 には、出発物質と予想される副生成
ム(250 x 4.6 mm、粒子径5µm)を使用
物に注目したトラマドールの合成図を示
しました。装置のコントロールには
しています。本研究では、紫外線( UV )
Agilent EZChrom Elite Compact
吸収のない出発物質の一つである不純物
ソフトウェア(コンプライアンス対応オ
E を除いたすべての化合物を対象としま
プション使用)を用いました。
した。
サンプル調製
ライン
ロケーション
サンプル名
原料調製:2mg/mLのトラマドールと各
1
バイアル1
バイアル2
バイアル3
ブランク
システム適合性
ブランク
5mg/mL の出発物質( 3- ブロモアニソー 2
3
ル)および不純物A、B、C、Dを調製し、
表1
6種類の原液を作成しました。
10µg/mLとすべての出発物質/不純物各
5µ g/mL のシステム適合性試験用のサン
プルを調製しました。この混合液を 6 回
10
10
10
れるようにクロマトグラフ条件を設定し
5.0
ました。条件は以下のとおりです:
3ブロモアニソール10.282
10.282
3-Bromoanisole
7.5
Impurity
C 6.390
不純物
C 6.390
不純物
D 3.620
Impurity
D 3.620
mAU
10.0
不純物
B 6.625
Impurity
B 6.625
12.5
定しました。
すべての化合物がベースラインで分離さ
3
6
1
15.0
にわたって注入し、システム適合性を測
クロマトグラフ条件
注入量 (µL)
シーケンス表
不純物
A 4.563
Impurity
A 4.563
Tramadol 4.902
トラマドール
4.902
システム適合性サンプル:トラマドール
注入回数
• サンプル;トラマドール;不純物A、
2.5
B、C、D;3ブロモアニソール
• カラム:Agilent TC-C18(2)、
0.0
250 x 4.6 mm、5µm
0
2
4
6
• 移動相:
時間[min]
[分]
Time
A = 水 + 0.2 % トリフルオロ酢酸(TFA)、
図3
B = アセトニトリル+ 0.16 % TFA
トラマドールと不純物、出発物質のクロマトグラム
• 流速:1.2 mL/min
• グラジエント:0分で30%B、9分で
85%B、その後3分間この比率を維持
6
• 注入量:10 オL
• オートサンプラには、ニードル洗浄用
8
10
の洗浄バイアル(アセトニトリルを使
用)を装備しました
シーケンス表
ICH の推奨するシステム適合性試験の要
件にもとづき、Agilent EZChrom Elite
Compact ソフトウェアで表1に示すシー
ケンス表を設定しました。
4
mAU
• 分析時間:12分
• ポストタイム:5分
• カラムオーブン:30℃
• 検出:UV、270 nm、
ピーク幅(PW)> 0.05分
• 希釈液/ブランク:アセトニトリル:
水=30:70
2
0
0
2
4
6
Time
時間[min]
[分]
8
10
12
図4
6回にわたる繰り返し分析のクロマトグラムの重ね表示
3
結果と考察
化合物
250 x 4.6 mm Agilent TC-C18 5µmカラムにおける結果
量
図 3 のシステム適合性試験のクロマトグ
ラムでは、優れた分離能が示されていま
す。分離時間は12分でした。カラム再平
衡化時間を含む総分析時間は17分以内で
した。移動相にはトリフルオロ酢酸を添
加しました。これにより、ピーク形状が
向上します。
RTの
面積の
分離能 PW 非対称性
(µg/mL) RSD(%) RSD (%)
(分)
トラマドール
10.1
不純物A
5.2
不純物B
5.3
不純物C
5.2
不純物D
5.1
3-ブロモアニソール 5.2
0.028
0.030
0.021
0.023
0.035
0.012
0.082
0.142
0.230
0.124
0.216
0.218
3.58
9.03
2.52
15.97
N/A*
36.38
表3
システム適合性試験の結果
0.05
0.05
0.05
0.05
0.07
0.06
1.13830
1.13608
1.11924
1.12147
1.12085
1.07344
合否
理論段
ピーク高の
(yes/no)
RSD(%)
> 40000
> 35000
> 60000
> 60000
> 16000
> 60000
0.222
0.205
0.203
0.208
0.201
0.241
Yes
Yes
Yes
Yes
Yes
Yes
*N/A =該当せず
UV検出により医薬品を分析する場合、保
持時間の精度がもっとも重要な要素とな
ります。システム適合性サンプルを 6 回
にわたって注入し、保持時間と面積の精
度を測定しました。図4では、分析6回の
クロマトグラムを重ねて表示しています。
本システム適合性試験で望ましいと思わ
れる基準については、表 2 に記載してい
ます。
パラメータ
限界値
保持時間(RT)のRSD
ピーク面積のRSD
分離能
非対称性
理論段
ピーク幅
ピーク高のRSD
< 0.07 %
< 1.0 %
> 2.0
< 2.00
> 2000
< 0.08 min
< 0.50 %
まとめ
Agilent 1120 Compact LCは、保持時間
と面積の精度がきわめて高いことから、
医薬品 QA/QC に理想的なシステムとい
えます。本研究では、保持時間精度は
<0.04%RSD、ピークの面積精度は
<0.25%RSDでした。
表2
望ましい基準
システム適合性試験の結果を図4と表3に
示しています。トラマドールを用いた本
システム適合性試験の結果では、Agilent
1120 Compact LCが医薬品QA/QC分析
に求められる厳しい性能要件を満たすこ
Siji Josephは、Agilent Technologies
ライフサイエンスセンター(インド)の
アプリケーションサイエンティストです。
Patric Hörthは、Agilent Technologies
(ドイツ)のR&Dケミストです。
とが示されています。
www.agilent.com/chem/jp
本文書掲載の機器類は薬事法に基づく登録を
行っておりません。
本文書に記載の情報、説明、製品仕様等は
予告なしに変更されることがあります。
© 2008 Agilent Technologies Inc.
Printed in Japan, Published April 1, 2008
5989-8334JAJP
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