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袋田病院美術館 - 限定

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袋田病院美術館 - 限定
 ちょうど20年前になります。
博士論文を何とか書き終えた頃でした。
当時の教授からいただいた突然の電話で、 3ヶ月でよ
いからと頼まれ、 私はある精神科病院に非常勤医として勤め
始めました。 アルバイト感覚の気軽な気持ちでお引き受けしたので
すが、 その病院での体験は、 その後の医師人生を決めてしまったほど衝
撃的なものでした。 その病院には、 精神科医療の名の下に、 現実には多くの
欺瞞や矛盾や人権侵害が存在し、 患者さんには怒りや悲しみや諦めの感情が溢れ
ていました。 「隔離収容」、 かつての精神科医療を批判的に象徴する言葉そのものでし
た。 多くの患者さんたちが、 家族からも地域社会からも 「既に存在しない者」 であるか
のように、 面会や外出も許可されずに劣悪な環境の中で 「存在」 していました。 (ただし
そのような過酷な情況の中でも、 心を痛めながら自分たちができることを模索していた心暖か
な医療従事者がいたことは、 彼らの名誉のためにも断っておかなければなりません。) ただこの
問題の難しさは、 単に一精神科病院の在り方ではなく、 そこに行政やら医師を派遣する大学側の
都合やら、 ご家族の苦悩や拒否、 さらに言うならば社会防衛的な側面等、 精神科病院を取り巻く
様々な思惑や利害が複雑に絡み合っていることです。 7月に相模原市で痛ましい事件が起こりまし
た。 その後に議論され始めたことの一つは、 措置入院という精神科病院におけるいわゆる強制的
な入院の在り方と退院後のフォローの問題でした。 この事件の本質がどこにあるかは別にしても、
ネット上では 「なんでこんな危険な奴を退院させたのだ」 「キチガイは一生病院から出すな」 と
の意見が溢れましたが、 それまでイタリアの精神科病院廃止運動を賞賛してきたイデオローグ
たちはこの情況に沈黙したままです。 私たちは、 このような近代が生んだ社会装置として
の精神科病院をめぐる様々な言説の狭間にあって、 多くの制約の下に、 欺瞞と矛盾
と葛藤を内包しつつ、 揺れ動きながら仕事をしています。 あれから20年、 今で
も精神科病院の存在意義と在り方を考え模索し続けています。 「精神科
病院を創ること」、 それが私にとってのアートかもしれません。
院長 的場政樹
。
精神医療の歴史を振り返り
明日の生き方を問う、私達の二日間。
Artfesta2016
11 月 19 日 ( 土 ) 13:00〜16:00
11 月 20 日 ( 日 ) 10:00〜16:00
袋田病院美術館
入場無料 ( 一部に有料体験企画有り )
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