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『スンプ試験』で探るミクロの世界

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『スンプ試験』で探るミクロの世界
『スンプ試験』で探るミクロの世界
「高 温 で長 期 間 使 用 している装 置 だが、材 料 は大 丈 夫 だろうか?」、「プラントの運 転 に
異 常 を生 じたが、材 料 への影 響 は?」、「微 視 クラックが見 つかったが、どんな形 状 ・分 布 な
のだろう?」
― そんな経 験 はありませんか?
確 かめようにも、装 置 や機 器 を壊 すわけにもいかず、困 ってしまいます。そんなとき、「スンプ
試 験 」が役 に立 ちます。電 子 顕 微 鏡 でミクロの世 界 を覗 いてみることができるのです。
■スンプ試 験 の原 理
「 スン プ」 と は非 破 壊 検 査 法 の 一 つ で、 試 験 片 採 取 が
不 可 能 な装 置 ・機 器 および大 型 部 品 の表 面 欠 陥 や表 面
組 織 などを観 察 する方 法 です。観 察 面 を研 磨 ・エッ チン
グしたあと、アセチルセルローズ膜 に転 写 し、その転 写 膜
を光 学 顕 微 鏡 や電 子 顕 微 鏡 で観 察 するものです。観 察
機 器 によってエッチング条 件 などの前 処 理 が若 干 異 なり
ますが、「スンプ」の一 般 的 な原 理 は図 のようなもので
す。
■スンプ試 験 の発 明 者
「スンプ(SUMP)」とはグンゼ製 糸 の鈴 木 純 一 氏 の発 明 で、鈴 木 式 万 能 顕 微 印 画 法 (Suzuki’s
universal microstructure printing method) の頭 文 字 をとったものです。したがって、英 語 です。国
際 的 にこの言 葉 が使 用 されていたことがありますが、最 近 では複 写 したものを観 察 するという意 味
で「レプリカ」と呼 ばれることが多 くなりました。
■スンプ試 験 での材 料 評 価
「スンプ」を使 えば、次 のようなことがわかります。
① 組 織 から材 質 判 定
② 熱 処 理 条 件 の適 否
③ 組 織 変 化 から使 用 温 度 の推 定
④ 組 織 変 化 から劣 化 状 況 の推 定
⑤ クリープボイドから余 寿 命 推 定
⑥ 微 視 クラックから割 れ原 因 推 定
⑦ ボイド・クラック分 布 から負 荷 応 力 方 向 の推 定
⑧ 粒 界 腐 食 など局 部 腐 食 現 象 の観 察
■スンプ試 験 の実 施 例
「スンプ試 験 」は実 際 にどんなところに適 用 されているのでしょうか。昔 は光 学 顕 微 鏡 による低 倍
率 (~500 倍 )観 察 が主 で、ミクロ組 織 や割 れ形 態 (粒 界 ・粒 内 )から、事 故 原 因 を調 査 する目 的 に
よく利 用 されていました。今 日 では走 査 型 電 子 顕 微 鏡 や透 過 型 電 子 顕 微 鏡 による高 倍 率 (~
1/2
10000 倍 )観 察 が可 能 になり、金 属 組 織 の変 化 、クリープボイドの有 無 、析 出 物 の析 出 状 況 の観 察
による高 温 機 器 の劣 化 度 やクリープ寿 命 の評 価 などによく利 用 されています。
光学顕微鏡によるミクロ割れ
観察(x100) SUS304
走査型電子顕微鏡による
ボイド観察 (x1,200)SUS304
透過型電子顕微鏡による
析出物観察 (x10,000)2 1/4Cr-1Mo
■スンプ試 験 のポイント
道 具 ・工 具 ・機 器 さえ揃 えば、簡 単 に「スンプ試 験 」ができそうに思 えますが、実 際 には熟 練 と経
験 が必 要 で、例 えば適 切 なエッチング技 術 の習 得 がなければうまくいきません。
また、例 え「スンプ試 験 」がうまくいったとしても、レントゲン写 真 の判 定 に医 学 的 知 識 と経 験 が必 要
なように、「スンプ試 験 」の判 断 には幅 広 い金 属 学 的 知 識 と経 験 が必 要 です。ですから、誤 診 を防 ぐ
には名 医 にかかるのが一 番 なのです。
スンプ試 験 をご希 望 の方 は
[email protected] にメールをください。
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