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工場ルポ No.313 (2010年12月) 『自動車用部品の塗装』

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工場ルポ No.313 (2010年12月) 『自動車用部品の塗装』
工場ルポ
No.313
自動車用部品の塗装
アイズプロセス有限会社
〒969-6103
福島県大沼郡会津美里町字上村北 6-7
TEL(0242)56-3823 / FAX(0242)56-3956
1.会社の沿革
今回の工場ルポは、福島県大沼郡会津美里町のアイズプロセス㈲を取材して、紹介する。
同社は会津地方の製造会社として、カメラレンズ鏡頭部や外装品,自動車内装部品,計測機器などの
プラスチック成型品の塗装および印刷の二次加工を卓越した技術で行ってきている。
設立は 1995 年 1 月。旧会津本郷町で操業を開始した。
1997 年 4 月には、工場の拡充を図るため、会津本郷町氷玉地区に自社社屋および工場を建設。
2008 年 11 月には、現在の会津美里町工業団地に移転。敷地面積 1078 ㎡の本社工場と同 865 ㎡の第二
工場で操業を続けている。
2.本社工場の概要
今回取材した本社工場では、製版から塗装,印刷,一部組み立てまで一貫製産体制を敷いている。
当日、塗装ラインを流れていたのは、カメラ外装部品と自動車内装部品。
(1) 自動車内装部品の塗装
素材は ABS またはポリカーボネートである。自動車内装部品の塗装は従来、スプレーガンによる
手吹き塗装が行われていた。
かねてより、生産効率のアップが懸案として挙げられていた。また、メーカーサイドにも自動化への
アピールを模索していたのが現状であった。
こうした状況を踏まえて、本年 8 月に自動化の一環として塗装用ロボット AF シリーズ(旭サナック㈱)
を導入した。
≪塗装の工程≫
塗装品は着荷の前にゴミやホコリの付着がないか入念なチェックが行われている。
ワークはスラットコンベヤーに搭載されて塗装ロボットブースへと流れていく。ここで塗装台に移載
され、エアブロー(除電ブロー)が行われる。
塗装タクトタイムは約 2 分。塗装されたワークは、再びスラットコンベヤーで焼き付け乾燥炉を経て、
検査コーナーへと流れていく。
焼き付け乾燥は、遠赤外線乾燥炉で 48~50℃×7 分。インバーター制御で省エネに貢献している。
この後に、入念な製品チェックが行われている。
≪塗装の特徴≫
塗装ロボットの導入は、生産効率のアップにあった。これまでのスプレー塗装に比べて、1.5 倍に
生産効率を向上させている。月産、5000 個の生産量を確保した。
樹脂塗装の最大のネックは、静電気対策である。同所では除電ブローでゴミやホコリの付着に対応
している。
塗装ロボットには、AGB40 パールガンが装着されており、塗装仕上げは、メタリック仕上げ(60%)と
ソリッドカラー(40%)がる。
特に、パールガンの導入効果はメタリック肌が格段に向上したことと、塗着効率がアップしたために、
塗料の節約が顕著になったと評価が高い。
ここで、ポイントとなるのはメタリックとソリッドでは、塗料供給ポンプを使い分けていることで
ある。
メタリック塗装では、ダイヤフラムポンプ PD40L を使用している。メタリック仕上げは、色替えが
多く(1 日約 5 回)、洗浄性が良好な PD40L が威力を発揮している。
ソリッドカラーでは、流量管理が簡便なギヤポンプを採用して、相互メリットを得ている。
カラーチェンジャーがなくても、PD40L とギヤポンプの使い分けで、色替えは 5 分以内で行えるのは
大きなメリットだとしている。
塗料は、プラスチック用で 1 液塗装は、10µ,2 液塗装は、15~20µの膜厚を確保した。
色は、黒およびグレー系が主流。
付帯設備にも工夫がある。塗装ブースの給排気には、塗着効率のアップを図るためにインバーター
制御で空調のバランスを整えている。
特に、塗装ブース周りは清掃がいきとどいており、高品位塗装の原動力となっている。水洗ブースは、
苛(か)性ソーダとキラー剤を駆使してスラッジ処理を実践している。
(2) カメラ外装部品の塗装
同所で扱っているカメラ外装部品は、レンズフードやズームリングである。月に 20000 個の生産量を
誇り、塗装はスプレー塗装で行っている。塗色は、艶消しの黒。
ここでのポイントはマスキング作業である。
(3) 充実した検査工程
樹脂塗装における検査のポイントはやはり、ゴミ・ブツである。その他、色目や光沢。スケ,ムラ
など、検査項目がマニュアルに並ぶ。
このため、試験・計測機器も充実させている。電磁式膜厚計,光学式顕微鏡,グロス計や色差計など
が整然と並んでいる。品質管理に対する意識レベルの高さがうかがえるところだ。
工場全体は、きっちりした空調管理と 2 週間に 1 度のブース清掃などで、臭気を全く感じさせない
クリーンなイメージ空間を創造している。
塗装不良の少ない工場の原点がここにある。
本号では、同社代表取締役佐藤清司氏をはじめ、現場スタッフの方々に大変お世話になりました。
厚く御礼申し上げます。
(野)
▲パールガン AGB40
▲ダイアフラムポンプ PD40L
▲ギアポンプ
▲塗料制御盤
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