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〝 急流河川姫川での洪水管理方法の取り組みについて

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〝 急流河川姫川での洪水管理方法の取り組みについて
急流河川姫川での洪水管理方法の取り組みについて
高田工事事務所
調査第一課長 板垣 修、
洪水予報係長「小沼.仁
洪水予報係 o丸山 誠
1。はじめに
姫川の洪水管理体制は、』これまで他の河川と同様
の水位により実施してきたが、平成7年の7.11
温水では急流河川特有の木き塗河床変動により警戒
水位に至らな小まま破堤災害が生じた。このため、
以篠は洪水管理体制を喰化するζとを’目的として三
孝鯛道内災騨実態に基盤て諌早を水防の管
理基準として採用している。しかしながら、姫川の
写真一1.H7。7.11出永状況姫川申流部
水防基準点で旧弊水位・流量翻所は・直轄管
駆間内あ二部に位置し・唯丁ρ騨地点と考え
『られるが、洪水時の河床変動が顕著であり、洪水毎
に水位と流量の関係が変化することや洪水時の左右
岸水位差が大きい。また可接触式水位センサーの破
損等を含め、精血¢)高い洪水管理を行うためには多
写真一2H7・7・11出水状況山本観測所
くの課題を抱えている。
畠. 1の’ に ける 量 ’の一
現在の流量観測は主に水位観測・流速観測・.出水前後の横断測量の3つに大別され、’そのデータか
ら瀬雛記している・しかし・急流酬1では跡φ立ち上がりが早いこと・瀬時の水面が一定で
ないこと、.出水申に大きな河床形状の変化が生じることなど、その観測は極めて困難であり・出水時
の流量観測の課題は、次の’とおりである。’
①出水の立ち上がりが早く、観測開始が遅れること。
②大規模出水時には、観測の危険性等の問題がありビ」クを捉えきれないこと。
③水面が一定ではなく、左右岸水位差が大きいことげ
④河床変動が激しく、流量を正確に把握できないこと。
⑤接触式センサーでは、出水時、破損する恐れがあること。
奉稿はこれらの課題を解決すべく、急流河川における洪水中の流量観測の精度向上とともに、危機
管理鵬まえた瓢髄の舷について・現在・姫川で馳郷でいる嬢と今後の講を述べるも
のである。
一493一
3.1にける 理の
3.1非接触式センサーによる自動観測システム
洪水時の流量観測の課題を解決する手段として、山本観測所、小滝観測所(姫川第7発電所取水堰
堤)、須沢観測所(姫川大橋)の3箇所において、橋梁などに非接触式センサー(超音波水位計・電
波流速計)を横断方向に複数設置し、洪水時の左右岸水
位差の把握を行っている。また、非接触式センサーの特
徴は連続観測であり、整備された光ファイバーを活用し、
撫
事務所・出張所と観測所をオンライン化することにより、
リアルタイムでデータの監視・蓄積を行えるようシステ
ム構築を行っている。
しかし、超音波水位センサー絃、濁流の波の変動を直
接データとして取り込むため、データのぱらつきが大き
いこと、電波流速計は浮子による一定流下距離で平均す
る方法と違い、投射地点のある一点のデータであり広い
河幅での数点のデータをもって平均流速として代表させ
ることになり観測精度の問題が残されている。
灘籠
図一1観測所位置図
図一2山本観測所平面図
200
写真一3水位計センサー設置状況
・→一水位計姻0」)左岸部
左右岸水位差(H11.9,15出水)
申水位計(NO3)中央部
釜15。
一』 ?ハ計(NO 6)右岸
3100
耗 50
琿 o
−50
§§寒§§暑§舅暑§§舞§§§§§§§婁§§9呈§§霧
ア や ラ ヤロ コ ヤ ド コ ド リ へ ね ね
9月15日 9月16日
観測時間
図一3 山本観測所における左右岸水位の比較
一494一
3.2 洪水蒔の河床変動の把握
洪水時の河床断面形状の変化を把握できれば流量データの精度が大きく向上することから、地下レ
ーダ及び洗掘センサーを用いた洪水時の河床面観測を行っている。
地下レーダは本来、測定対象に向けて電磁波パルスを放射し、その反射を捉えて地下の埋設物、空
洞等を探査するものであるが、非接触による測定が可能であることに着目し、洪水時の河床形状を測
定する方法として検討したものである。観測の方法がセンサーを手動にて河川上を横断させるため、
設置位置が問題となるが、索道の設置が容易な狭窄部でもある山本観測駈付近を観測位置とした。
洗掘センサーは、センサーを埋設した深さまで洗掘されると、センサーが外れて電波を放出し、そ
の時間を記録するものである。護岸施設前面や砂州変動の顕著な地点に設置して、洪水時の時系列的
な局所洗掘、砂州移動変化を把握するものである。また、光ファイバーを活用したオンライン化の整
備も進めている。なお、山本観測所地点でも地下レーダー測線上に配置し、地下レーダ観測デー汐と
の時系列的な整合も確認している。
3謁 既設構造物を利用した流量の把握
水防基準点である山本観測所の上流に位置する(小滝観測所)姫川第7発電所の取水堰堤は河川横
断構造物により河床変動が無い地点である。その地点に水位計(非接触式)を設置し、水位観測を行
うことにより越流公式を用いて堰の越流量が算出できる。その流量を流域面積比により換算して山本
観測所地点での流量を求め、山本観測所の補完とするものである。
山本観測所の観測流量と小滝観測所の換算流量の相関については、平成11年忌出水時のデータを
もとに検:湿した結果、相関は高く、また、データの範囲も200皿31s∼1,000皿3/s以上であり警戒流量を
判断するのに十分な精度があると思われる。
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姫7換算流量・山本流観値粗関図
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蝕7換算流量(㎡1〆5)
図一6山本流量と小滝観測所の換算流量の相関図
図一5山本観測所と小滝観測所の
位置関係
一495一
4.の咀について
4.1 山本水防基準点の流量補完
これまで、山本観測所上流の本川小滝観測所の流量をもとに、流域比による換算流量を求めている
が、小滝観測所下流には、小滝川、根知川の支流が流入しており、流出特性が異なると換算流量では
管理しきれない問題がある。今後は、総合土砂管理のモデル流砂系でもある姫川流砂系の土砂移動モ
ニタリングの一貫として、両支川にも流量把握のセンサーを設置する計画であることから、小滝観測
所で得られた流量と支川小滝川、根知川の合算流量を求め、山本観測所の流量との相関性を検証して、
合算流量を水防基準の判断流量とすることを検:討していく。また、下流部の須沢観測所の流:量データ
についても、山本観測所の補完として観測精度を向上させて行く予定である。
4.2 画像処理流速から流量把握する技術の適用性についての検討
本技術は、工TVカメラ等の映像情報を利用して流体表面の速度分布を動画像処理から求めるもの
であり、水面にカメラを向けて撮影し非接触で流速を計測するオプティカルフロー方式の新しい流量
虚誕技術である。
この技術は、河道のある範囲を設定した
場合の面的な平均流速を求めるものであり、
電波流速センサーのような、ある一点のデ
ータとは違い平均的なデータが期待でき、
当面は、河道監視用のCCTVにより映像
情報が得られ、河川横断構造物により河床
が安定している小滝観測所で観測する予定
としている。また、光ファイバーを活用し
てその監視を事務所・出張所で行えるよう
図一5オプティカルフロー流量観測イメージ図
整備する予定である。
しかし、夜間や視界不良などの気象条件による影響が問題となるが、今後とも技術向上に向けた改
良についても検討していきたい。
5. とわ に
姫川では、平成7年の7.11出水での被災を教訓として、新しい流量観測技術や河床変動解明の
ための調査に取り組んできている。しかしながら、河床の変動は、洪水時の土砂移動によってもたら
されるものであり、流量把握とともに土砂移動のメカニズムを解明しなければ、抜本的な解決が図れ
ない。姫川流砂系では、総合土砂管理計画の策定のため土砂移動モニタリングについても、松本砂防
工事事務所、北陸技術事務所とともに取り組んできている。
今後は、流量観測精度の向上を図るとともに、流量と土砂移動の関係を解明し、洪永管理や施設管
理に反映させていきたい。
一496一
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