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図表 22/24 財政シミュレーションの前提 足もとの数値 国家財政に関して
図表 22/24 財政シミュレーションの前提 ○足もとの数値 国家財政に関しては、2010 年度の一般会計当初予算、2011 年度の一般会計政府 予算案に準拠。 地方財政に関しては、2010 年度の地方財政計画に準拠。 ○歳出 社会保障関係費は、 「社会保障国民会議」最終報告書に基づく機能強化を反映し たものをベースに、一部、厚生労働省最新推計等を用いて算出。 公共事業関係費は物価上昇率に連動。 その他支出は名目成長率に連動。 利払い費は、前年度債務残高から当年度債務償還費を引いたものに当年度名目 金利を乗じて算出。 国の債務償還費は、前年度債務残高に 100 分の 1.6 を乗じて算出。 地方の債務償還費は、前年度債務残高に 20 分の1を乗じて算出。 ○歳入 税収は名目成長率に連動。 新規公債発行額は、歳出総額から公債金以外の収入を差し引いて算出。 ○シミュレーション (1)現状維持ケース 「『経済財政の中長期試算』について」(2011 年1月 21 日 内閣府)の「慎 重シナリオ」に準拠(名目成長率が1%台で推移。物価上昇率は 2013 年度まで マイナス、2014 年度以降プラス。)。名目金利は、2012 年度以降 1.6%で固定。 (2)消費税引き上げケース ①第一段階:消費税率を5%引き上げ 「現状維持ケース」をベースに、2012 年度より社会保障関係費の税投入割合 を拡大(基礎年金:税負担割合が 2025 年度に 100%となるよう段階的に引き上 げ、医療、介護:高齢者医療・介護の税負担割合が 2025 年度に 70%となるよ う段階的に引き上げ、少子化:事業主負担を税負担に転換)。消費税率を 2013 年度と 2014 年度に2%ずつ、2015 年度に1%引き上げ。 ②第二段階:消費税率を 22%引き上げ (ⅰ)慎重シナリオ:1%成長の場合 消費税率を、2013~2023 年度まで2%ずつ引き上げ。その他は①に同じ。 (ⅱ)成長シナリオ:2~3%成長の場合 「『経済財政の中長期試算』について」の「成長戦略シナリオ」に準拠(名目 成長率が2~3%台で推移。物価上昇率は、2012 年度までマイナス、2013 年度 以降プラス。)。名目金利は 2014 年度以降、2.5%で固定。社会保障関係費の税 投入および消費税率の引き上げに関しては(ⅰ)に同じ。 図表 23.社会保障給付費の増加分を「消費税で調達する場合」と 「社会保険料で調達する場合」の比較 (マクロ計量モデル等による試算結果) の手法について 1.試算に用いたマクロ計量モデルの概要 提言『「新成長戦略」の早期実行を求める』(2010 年 7 月)で使用した計量 モデルをベースに、財政・社会保障とマクロ経済の相互依存関係をより明 確に表現できるよう、推計式を大幅に変更するなど方程式体系を見直した。 例えば、長期金利は実質成長率・GDP デフレータ変化率のほか財政収支(国・ 地方)の影響を受ける。 モデルは、方程式 195 本で構成される。 マクロ経済ブロックでは、需要面・供給面をそれぞれ推計し、両者の差で ある GDP ギャップは物価・雇用に反映される。 財政ブロック・社会保障ブロックは「財政シミュレーション」に準拠。但 し、税収や公債元利払い費用は内生化している(マクロ経済ブロックで算 出された数値を反映)。 2.主な前提など 全要素生産性(TFP)上昇率は、2010 年代半ば以降、毎年 1.4%で推移。 人口は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2006 年 12 月)の中位推計に基づく。 為替レートは 2011 年から一定水準で推移することを想定する。 マクロ計量モデルの特性上、社会保険料引き上げによる悪影響(①事業主 負担の増加により企業収益が圧迫され、設備投資などが減少、②保険料負 担の重さから雇用に悪影響、③中期的には企業の立地選択にも影響を及ぼ し、日本での企業活動自体が減少、など)の全てを反映することは困難で ある。別途実施した「『税・社会保険料負担と経済成長率の関係』に関する 主要 19 ヵ国・過去 30 年分のデータを用いた実証分析(パネル推計)」によ れば、消費税率引き上げによる中長期的な経済成長への悪影響は確認され ない一方で、社会保険料を引き上げる場合は、事業主負担(企業収益に占 める割合)が 10%ポイント上昇するごとに実質経済成長率が約 0.54%低下 するという因果関係が得られた(※社会保険料の従業員負担分が増加する ことによる経済成長への悪影響は確認されなかった)。そこで、「社会保険 料で調達する場合」の試算では、このパネル推計の結果も取り入れている。 「税・社会保険料負担と経済成長率の関係」に関する パネル推計結果概要 「税・社会保険料負担の増加」が 「中長期的な経済成長率」に及ぼす影響 消費税 ―(明確な関係はみられない) (付加価値税、売上税) 社会保険料 雇用者負担分 社会保険料 雇主負担分 ―(明確な関係はみられない) 企業収益に占める割合が 10%ポイント上昇するごと に、成長率は約 0.54%低下 3.試算結果について 社会保障財源の増加分を消費税で調達する場合(消費税率を段階的に 11% 引き上げ)、消費税率引き上げ期間中は消費抑制から実質経済成長率が低下 するが、中長期的には経済成長に中立的である。 消費税ではなく社会保険料で調達する場合(消費税率引き上げ分に相当す る社会保険料負担増を実施)、事業主負担(企業収益に占める割合)が 2025 年時点で約 21%上昇する結果、実質経済成長率は「消費税で調達する場合」 に比べて約 1.37%低下する。 社会保険料で調達する場合の実質 GDP(2025 年度時点)の規模は、 「消費税 で調達する場合」に比べて約 11%小さく、その結果として就業者数は約 108 万人減少する。