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徳島大学大学院口腔科学教育部口腔保健学専攻(修士課程) の設置の

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徳島大学大学院口腔科学教育部口腔保健学専攻(修士課程) の設置の
徳島大学大学院口腔科学教育部口腔保健学専攻(修士課程)
の設置の趣旨等を記載した書類
Ⅰ
設置の趣旨及び必要性
1.設置の趣旨
(1)社会的要請
人々のライフスタイルが多様化し疾病構造が変化した今日,生活習慣病の予防及
び早期治療による重篤化防止は健康長寿社会実現のための基盤となる。生活習慣病
の悪化は寝たきりや認知症を惹起する要因であり,この予防はとりわけ高齢者の
QOL 向上や介護予防に不可欠であり,それによってもたらされる医療費や介護費用
の抑制は福祉施策の充実を可能とし,持続可能な健康長寿社会実現のための大きな
力となる。
口腔の健康が人々の健康増進や QOL の向上あるいは疾病管理に重要であるという
ことが,種々の基礎的研究や疫学研究等で明らかになってきた。具体的には,う蝕
や歯周病を予防し咀嚼機能を維持することは QOL 向上や認知症の予防に繋がる,歯
周病のケアによって糖尿病が改善した,高齢者への口腔ケアは誤嚥性肺炎を予防す
る,病院における周術期の口腔ケアが良好な術後経過をもたらし,入院期間を短縮
できた等である。
歯科衛生士は口腔ケアを中心的に担っており,その役割は以前にも増して重要視
されるようになってきた。このような背景から,後述のように平成 11 年,厚生省の
諮問を受けた歯科衛生士の資質の向上に関する検討会が「歯科衛生士養成施設の教
育内容について業務内容の多様化に対応するものが必要であり,他の医療専門職と
同様に教育年限は 3 年以上にすべきである」という提言を出した。従来は2年間の
教育年限であった歯科衛生士養成のための専門学校等を他の医療専門職教育と同様
に3年以上とし教育内容を充実させることを求めたものである。教育内容の充実の
ためには教員の資質の担保が不可欠であり,歯科衛生士の教育者を育成する上でも,
看護師等の教育と同様に高等教育の整備は喫緊の課題である。
一方,高齢化が急速に進展する中で要介護者などに対する口腔ケアの重要性が広
く認識されるようになり,高齢者医療や福祉に関する政策において,これまで以上
に高度で専門的な役割が歯科衛生士に求められるようになってきた。
平成 18 年に施行された改正介護保険法により,介護予防事業として「新予防給付」
及び「地域支援事業」のサービスが開始された。この中で,要介護状態の改善や重
症化予防を目的の一つとした「口腔機能向上支援サービス」が導入され,摂食・嚥下
リハビリテーションや歯科保健教育あるいは口腔ケアの指導等の専門的サービスを
歯科衛生士等が中心的役割を担って行い,また高齢者が歯科治療を必要とする場合,
-1-
歯科衛生士等は主治医や歯科医師等と連携をとりながら介護予防サービス計画を立
案し実施することが可能となった。しかしながら,制度発足後の現場の実態を調査
したところ,これらのサービスの実施率は著しく低く,その理由として,サービス
の担い手となる人材が養成されていないという声が,介護の現場から上がっている
(平成 19 年度厚生労働省老人保健健康増進事業「介護予防給付の栄養改善,口腔機
能向上の実施に関する研究」主任研究者:植田耕一郎)。
平成20年4月に,在宅医療に軸足を置いた後期高齢者医療制度の開始にあたって,
「歯
科診療におけるケアと摂食機能障害への対応が急務である」との通達が出され,これは
要介護高齢者に対する摂食・嚥下リハビリテーション等を担える人材養成の必要性を指
摘するものであった。
高齢化が進む中で医療構造の変革が求められ,厚生労働省は,平成 20 年の「安心
と希望の医療確保ビジョン」の中で,医療の向かうこれからの方向性として「医療
機関完結型医療」から「地域完結型医療」あるいは「治す医療」から「支える医療」
への転換を示した。このなかで「摂食・嚥下機能等人々の生活の基本を支える歯科医
療においても,チーム医療の下で,歯科医師や歯科衛生士等の歯科医療関係職種と,
医師や看護師等との連携を進める」とし,職種間の連携の必要性を強調している。
また,我が国のがん治療の基幹病院である国立がんセンター中央病院は,がん治
療における口腔ケアや歯科治療が,より質の高いがん治療を提供するために重要な
支持療法であると考え,「口腔ケアや歯科治療をがん治療の一環として取り入れる」
方針に達した。国立がんセンター中央病院と日本歯科医師会は,がん患者に対する
口腔ケアについて医科・歯科医療連携事業を企画し,将来的には全国的拡充を目指
している。とりわけ頭頚部領域の悪性腫瘍手術後や放射線治療中の患者の口腔ケア
は高い専門知識と技術が必要であり,これを担える人材が求められている。
一方,平成 22 年 4 月に日本学術会議が出した,日本の展望−学術からの提言 2010
「歯学分野の展望」,「社会のニーズへの対応」の中で,保健衛生の目標が延命か
ら健康長寿へ移行した我が国において,歯科衛生士の業務は拡大と内容の高度化を
強めているが,歯科口腔保健上配置が望まれる介護老人保健施設等の勤務者は就業
歯科衛生士総数の1%に遠く及ばず,歯科衛生士の適正配置に向けた施策が望まれ
ることが示されている。(資料1)
以上のように,近年の保健・医療・福祉政策や種々の提言に見られるように,チ
ーム医療に果たす歯科医療従事者の役割の重要性が認識されるようになり,中でも
口腔ケアを中心的に担う歯科衛生士の役割はますます重要になっている。
しかし,従来より我が国の歯科医療はそのほとんどが一般の診療所で行われ,歯
科衛生士の 90%以上が一般診療所に勤務し,来院する患者に対する診療補助業務や
予防歯科処置及び歯科保健指導を行ってきた。最近では在宅診療に携わる歯科医師
や歯科衛生士も徐々に増えてきているが,その数は不足しており,多くの要介護者
-2-
は咀嚼・嚥下障害による QOL の低下や劣悪な口腔環境による誤嚥性肺炎のリスクを
抱えた状態で生活しているのが現状である。今後より多くの歯科医師が,後期高齢
者医療制度で重点を置く在宅診療に積極的に取り組む必要があり,歯科衛生士も在
宅診療の補助が行える技能を修得することが求められる。
また,種々の政策が示すように,社会は一般の診療所に勤務する歯科衛生士の他
に,地域や病院,福祉施設等においてチームの一員として口腔保健業務を担う歯科
衛生士や,さらに高度な専門性を発揮して指導的立場に立って,幅広い口腔保健業
務が担える歯科衛生士(高度専門職業人)をも求めている。
上記の日本学術会議の提言は,「これからの人材育成」の中で,歯科系大学院教
育において高度専門職業人の育成に向けて,多様な人材育成目標に沿った教育課程
の編成と教員指導体制の必要性を謳っているが,口腔保健分野の高度専門職業人を
育成する大学院修士課程の設置はこの提言に沿うものである。(資料2)
(2)学術的要請
近年,医学はゲノム解析や IPS 細胞に代表される生命科学の分野において飛躍的
進歩を遂げ,難病の病態解明や細胞移植など再生医学への新たな道が開かれようと
している。新薬の開発や医療技術の高度化は人々に延命をもたらし,保健衛生思想
の普及と相まって我が国の長寿化に貢献してきた。
歯科医学分野においても研究の進歩は著しく,インプラント治療や歯周組織再生
技術など歯科医療の高度化は人々の咀嚼機能の回復・維持をより確実なものとした。
歯学分野及び口腔保健学分野に関連する研究として,咀嚼(よく噛んで食べるこ
と)は糖代謝や肥満を改善し免疫機能を高め,さらに脳の認知機能を高め QOL を向
上させる,といった口腔保健と健康増進との関連についての報告がある。一方,歯
周病は糖尿病や動脈硬化と関係し,歯周病のケアによって血糖のコントロールが改
善した,あるいは口腔ケアによって高齢者の肺炎の約 40%を予防できたとする
Lancet に載った有名な Yoneyama 論文(1999)など口腔保健と疾病管理の関連につ
いての報告がある。これらの報告は健康増進や疾病管理に口腔ケアの果たす役割の
重要性を示す根拠となるものであるが,いまだ未解明の点もあり課題は多く残って
いる。
科学的根拠(エビデンス)に基づいた医療を目標とする時流は,これまで経験や
伝承によって築いてきたさまざまな手法や術式にエビデンスを与えることを求めて
おり,さらにエビデンスに基づいた新しい術式の開発や標準化を必要としている。
歯科医師が中心的に担う歯学研究の領域は,生命科学の手法による組織再生に関す
る研究,ナノテクノロジーを用いた歯科材料の開発などの基礎的研究,歯科関連疾
患に関する臨床的研究が主である。一方,口腔ケアに関する科学的根拠のある術式
の開発,最先端の研究と臨床の現場をつなぐトランスレーショナルリサーチなど,
口腔保健を臨床学問として確立するための研究などは,従来の歯学研究ではほとん
-3-
どカバーされていないのが実状であり,口腔ケアと健康増進あるいは疾病管理との
関連における未解明の課題解決のための研究も必要とされている。
また,3年制が義務化された専門学校等で歯科医療の高度化や高齢者歯科医療に
対応できる歯科衛生士を養成するための新しい教育カリキュラムの構築が必要とさ
れており,同時にその担い手となる教育・研究者も求められている。
(資料2)
2.口腔保健学分野の大学院修士課程設置の必要性
(1)歯科衛生士養成修業年限,課程の違いによる養成する人材の違い(専門学校と学
士課程)
歯科衛生士養成教育は従来,2年制の専門学校や短大で行われ,その内容は,歯科医
師の診療補助をはじめ,う蝕・歯周病に関する予防処置あるいは口腔清掃指導など歯科
保健指導に関する知識や技術の実践教育に重点が置かれていた。しかしながら,社会的
要請として歯科医療技術の進歩や高齢者に対する口腔ケアへの対応など,歯科衛生士業
務の多様化が進みつつある近年,新たなカリキュラムを組み入れることが,従来の2年
制では困難であることが問題として浮き彫りになった。
このような背景を踏まえ,平成 11 年,厚生省(当時)の諮問を受けた歯科衛生士
の資質の向上に関する検討会から,「歯科衛生士養成施設の教育内容について業務
内容の多様化に対応するものが必要であり,他の医療専門職と同様に教育年限は 3
年以上にすべきである」との提言がなされた。この提言を受けて,平成 17 年に歯科
衛生士学校養成所指定規則が改正され,暫定期間の最終期限である平成 22 年までに
すべての養成校が3年制に移行した。
3年制の養成校は,卒業後に直ちに一般の歯科診療所で歯科衛生士の三大業務で
ある①歯科診療補助,②フッ化物塗布や歯石除去などの歯科予防処置,③口腔清掃
指導などの歯科保健指導が担える歯科衛生士を養成することを人材養成の目標とし
ている。養成校卒業者(平成 22 年3月国家試験合格者数:5,761 名)の 90%以上は
一般の歯科診療所に勤務しコデンタルスタッフとして歯科医療を担っており,雇用
環境としては求人が求職を大きく上回っている。3年制の養成校では修業年限の延
長によって,三大業務に関する科目の充実,歯科医療の進歩や高齢者歯科医療への
対応が図られているが,問題解決型の授業をとり入れているところが少なく,問題
解決能力向上に関する教育は十分ではないとの報告がある。(山崎忍他,学生の臨
床実習におけるヒヤリ・ハットとその対策,日本歯科衛生学会雑誌,1 巻 1 号 2006
年
佐藤陽子他,歯科衛生士教育課程の多様化に関する研究,日本歯科医学教育学
会雑誌,23 巻2号 2007 年
田村清美他,日本の歯科衛生士教育における臨床実習
の現状,日本歯科衛生学会雑誌,3 巻 1 号 2008 年)(資料3)
口腔ケアの重要性が認識され,これを中心的に担う歯科衛生士に対する期待が高まる
-4-
中で,口腔保健に関するより深い学識や専門的な技術を備え,その専門性を発揮して
人々の健康増進に貢献できる人材の養成を目的として,平成16年に,一般教養カリキュ
ラムを備えた4年制の学士課程が東京医科歯科大学と新潟大学に設置された。これは昭
和27年に看護師養成のための4年制課程が高知女子大学に設置されてから,52年遅れ
(資
た設置であった。現在までに徳島大学を含む8校に同様の4年制課程が設置された。
料4)学士課程においては,高齢者に対する理解や高齢者とのコミュニケーション能力
及びチーム医療の一員として他の医療職種と連携しながら,口腔保健に関する基本的な
業務を遂行する能力を身に付けることができる。また,卒業時点で修得できる具体的な
技能は,3年制課程卒業者の専門能力に加えて①有病者,障害者等に対する口腔ケア,
②口腔リハビリテーションにおける基本的技能,③感染予防に対する高い意識が必要な
病院歯科における診療補助等が担えるなどである。(資料3)
4年制学士課程の 1 学年の定員は平成 22 年度現在,8校合わせて 230 名であり,
既に4校で卒業生が輩出されているが,卒業後に病院,福祉施設,行政機関などに
勤務して専門性を発揮する者や大学院に進学してさらに専門性を磨くなどの進路を
とる者などがいる。
(2)社会が要請する次世代の歯科衛生士養成教育を担う教育・研究者の育成
歯科衛生士学校養成所指定規則の改正で,歯科衛生士養成のための教育年限が3
年以上に義務化される中,各養成機関では新たな教育科目の導入も含め,機関毎に
特色ある教育を試行錯誤しながら積極的に行っている。教育年限延長に伴う教育内
容の増加に対応するためには体系的な教授方法の確立が必要である。そのためには,
質が担保された体系的な教育課程を構築するためのカリキュラムプランニングや,
問題解決型授業など新たな教育手法を養成機関に提供することができる教育・研究
者を修士課程で養成する必要がある。
我が国の歯科衛生士教育を担う歯科衛生士免許を有する教員(以下「歯科衛生士
教員」とする。)は大学及び大学院教育の場において少数である。修士課程に進学
し,教育・研究者のコースを選択する者の中から,将来博士後期課程に進学し,大
学,大学院における教育・研究者となる人材が育つことが期待され,修士課程はそ
のための基盤教育の場としての役割を果たさなければならない。
なお,修士課程修了時点で求められる教育・研究者としての能力は①問題解決型
授業などの新しい教育手法を用いて,歯科衛生士教育を担う,②口腔保健学の確立
を目指す研究者としての基盤形成である。
(3)健康長寿社会実現に貢献する高度専門職業人の育成
社会的要請で述べたように,がん治療や急性期治療などを担う医療の現場や保健・医
療・福祉政策は,学士課程で養成する人材よりもさらに高度な専門性を有し,急性期病
院や地域保健・地域福祉行政の場で専門的口腔ケアや口腔保健活動を指導的・中核的に
担える人材を求めている。このような人材を育成するためには,学士課程で培われる知
-5-
識や技能を土台として,さらに科学的視点に立って口腔保健業務に取り組む能力や,高
リスク患者などに対して全身管理を行いながら口腔ケアを実施する能力などを身につ
けさせる必要があり,これには2年間の修士課程における体系だった教育が必要である。
修士課程修了時点で求められる臨床に関する技能としては,①急性期・回復期の患者に
対する専門的口腔ケア,②口腔リハビリテーションにおける直接訓練,指導的役割,③
健康増進・疾病予防・介護予防のための地域口腔保健活動を中核的に担う,である。
(資
料3)
以上に述べた,歯科衛生士教育の修業年限及び課程の違いによる人材像の違い,
それぞれの人材に対する社会からのニーズ,教育の概要(詳細は後述)について資
料5にまとめた。(資料5)
(4)徳島大学歯学部におけるこれまでの取り組み
平成 19 年 4 月,四国地区唯一の歯科医師養成機関である徳島大学歯学部に全国で
5番目となる4年制の歯科衛生士養成課程(口腔保健学科)を設置した。本学科は,
口腔保健及び社会福祉の立場から健康長寿社会実現に貢献できる人材の養成を目的
とし,歯科衛生士養成校としてのカリキュラムに加え,社会福祉士の国家試験受験
資格を取得できるカリキュラムを構築している。特に初年次からの問題解決型授業,
気づきの体験学習,高齢者福祉施設における継続的な高齢者との交流体験によって,
問題解決能力やヒューマンコミュニケーション能力及びホスピタリティマインドを
備えた歯科衛生士の養成を行っている。このような教育重視の実績が認められ,平
成 20 年度に質の高い大学教育推進プログラム(教育 GP)「高齢社会を担う地域育
成型歯学教育」が採択され,順調にプログラムを展開している。また,フィンラン
ドのメトロポリア応用科学大学から,口腔衛生学科の学生を受け入れ国際交流を体
験させ,口腔保健学科学生に国際的な視野を持たせる取り組みを行っている。以上
のように本口腔保健学科は,多くの教育実績をあげながら着実に学年進行を歩んで
いる。
本口腔保健学科では,豊かな人間形成と十分な基礎知識に裏付けられた歯科衛生
士に必要な専門的技能を十分に修得できるが,これは,口腔保健を基盤とする教育・
研究者や高度専門職業人として将来活躍するための基盤となるものである。しかし,
上記のような後進の歯科衛生士養成教育に携わることができる人材,あるいは医療
や福祉の現場で他の職種と連携し,指導的・中核的な立場で系統的な口腔ケアや総
合的な健康管理を担える人材を育成するには,学士課程の上にさらなる教育課程が
必要である。(資料5)
3.徳島大学大学院口腔科学教育部口腔保健学専攻修士課程の設置
前述のような社会ニーズに応えるために,健康増進及び疾病管理の視点に立って自ら
の専門領域を捉えることができる,歯科衛生士教育の担い手や高度専門職業人の育成を
-6-
主な目的とする口腔保健学専攻修士課程(定員5名)を徳島大学大学院口腔科学教育部
に設置する。
(1)人材養成の理念・目標
本専攻は,「口腔保健に関する豊かな専門的知識と技能及び科学的視点を自ら進
んで身につけ,健康長寿推進のために指導的役割を担う人材の養成を目指す」理念
のもとに,社会が求める,次世代の歯科衛生士教育を担う教育・研究者及び高い専門
性と指導能力を備えた高度専門職業人の養成を目標とする。
本専攻は,2年間の修士課程期間内に,3年制の歯科衛生士養成校等の教員あるいは
大学院後期課程に進学して大学等での教育・研究者を目指す教育・研究系と高度専門職
業人を育成する臨床系との2つのコースを備えている。
本専攻では,問題解決型授業や口腔保健の現場での課題研究を重視したカリキュラム
を組んでおり,口腔保健学のみならず医学・歯学に関する最新の情報を収集するととも
に,健康長寿社会実現に貢献するための口腔保健領域の課題を自ら抽出し,解決するた
めの能動的志向と行動力を養うことを人材養成の目標にしている。これは徳島大学の掲
げる「本学は,明日を目指す学生の多様な個性を尊重して,人間性に富む人格の形成を
促す教育を行い,優れた専門的能力と,自立して未来社会の諸問題に立ち向かう,進取
の気風を身につけた人材の育成に努める。」とする教育,理念に沿ったものであり,さ
らに,中教審答申「新時代の大学院教育」が求めている「幅広く深い学識の涵養をはか
り研究能力に加え高度の専門的な職業を担う卓越した能力を培う」修士課程の目的に合
致している。また,本専攻では,分野毎の専任教員による共通の教育・研究指導体制を
とっており,同答申が求めている「学修課題を複数の科目等を通して体系的に履修する」
という課程制大学院制度の趣旨にも沿った教育課程を編成している。なお,本専攻で養
成しようとしている人材像及び教育目標についての詳細は,Ⅲ 教育課程の編成の考え
方及び特色の章で述べる。
(2)人材養成
①歯科衛生士教育を担う歯科衛生士教員の育成
口腔保健学領域の専門的知識や技能を修得し,将来にわたり科学の進歩や研究成果
に関心を持ち続け,継続的な生涯学習を実践することにより,上述の教育年限が延長
された歯科衛生士養成校等において,口腔保健学の知識や技術を体系的に教授できる
歯科衛生士教員を育成する。
このため,問題解決型の授業などの新しい教育手法やカリキュラムプランニングな
どの修得を目的とした授業科目として,「口腔保健教育学」の講義・演習を配置して
いる。
また,歯科衛生士教員は,学生の高い職業意識を培うため,科学的根拠に基づく視
点からの臨床や全身管理が必要な患者に対する専門的口腔ケアに関する技能などの
臨床能力を修得している必要があることから,教育・研究系コースを選択する学生に
-7-
も「口腔機能賦活学」などの臨床系科目を履修させ,高度専門職業人に求められる知
識を修得させる。これをベースとして修士課程修了後に,歯科衛生士教員に求められ
る歯科衛生士業務経験の期間の中で,臨床実地能力を高めていくことが可能となる。
②高度専門職業人の養成
有病高齢者や障害者等に対する摂食・嚥下リハビリテーションを含む専門的口
腔ケアの実践,管理を行うとともに,介護現場の介護職や看護師等他分野の専門
職に対する口腔ケアの指導ができ,チーム医療やグループケアに口腔保健の専門
職として貢献できる人材を育成する。また,幼少期の児童に対して正しい噛み方
の指導を行い,良好な食習慣の獲得を支援して生活習慣病の予防に寄与するなど,
ライフステージに応じた咀嚼・嚥下支援によって QOL 向上やヘルスプロモーショ
ンに貢献できる人材の養成を行う。(資料6)
(3)口腔保健学専攻(修士課程)を設置する意義
①社会への貢献
歯科医療の進歩や高齢者歯科医療など多様化した歯科衛生士の業務内容に対応
できる次世代の歯科衛生士を育成するために,歯科衛生士教育を担う優れた教
育・研究者を育成し,教育の立場から健康長寿社会実現に貢献する。
要介護高齢者に対する口腔の健康管理や摂食・嚥下リハビリテーションなどの
専門性を必要とする業務を積極的に展開できる高度専門職業人を育成し社会に送
り出して,介護の現場や国民の要請に応える。養成した人材は,高齢社会に必要
な「支える医療」や「地域完結型医療」に口腔保健の専門職として参加すること
により,生活習慣病予防や介護予防に寄与し,臨床の立場から健康長寿社会実現
に貢献する。
また,高齢先進県であり糖尿病死亡率ワースト1の徳島県は,修士課程におけ
る実践的教育の展開や口腔ケアが高齢障害者の QOL 向上や糖尿病などの生活習慣
病予防や改善に果たす役割などに関する疫学的研究を展開する上で最適の立地に
あり,研究成果を地域社会に還元して健康長寿地域の形成に貢献する。
②社会人歯科衛生士等の高度な専門的技能及び知識の修得に貢献
歯科医療の多様化と高度化に伴い,我が国の歯科関連学会では各専門領域に特化し
た認定歯科衛生士の制度を設ける学会が増えている。
向学心の強い社会人歯科衛生士が,摂食・嚥下リハビリテーションや障害者に対
する専門的口腔ケアなどの,高度な専門的知識や技能を身につけ,職場での業務
に反映させることができる。なお,社会人歯科衛生士の中には臨床経験を活かし
て歯科衛生士教員への道を目指す者もおり,本専攻はその受け皿となる。また,
現職の歯科衛生士教員にあっては,問題解決型授業などの新しい教育手法を修得
することにより,教育者としての資質を向上させることができる。
③学術的貢献
-8-
大学院口腔科学教育部に本専攻を設置することにより,保健,医療,福祉の領
域にまたがる研究や,食,咀嚼,栄養,口腔ケアと生活習慣病や QOL との関連に
関する研究など学際的研究の幅が広がることが期待できる。これにより,口腔保
健学を実践的学問領域として確立するための基盤を形成する。
④国際的貢献
本学科では現在,フィンランドのヘルシンキメトロポリア応用科学大学口腔衛
生学科と共同研究の準備を進めており,計画中の口腔ケアとヘルスプロモーショ
ンをテーマとした遠隔合同 PBL チュートリアル授業の英語シナリオ作成に,本専
攻の学生を参加させる予定である。本学科は摂食・嚥下などの機能的口腔ケアを主
として分担し,ライフステージに応じた機能的口腔ケアに関する PBL 授業を提案
する予定である。共同研究で得られるこのような遠隔授業のノウハウは国内外の
他大学にも提案できるものであり,特に協定校であるインドネシアガジャマダ大
学の口腔保健学科など,アジアにおける歯科衛生士養成校に発信し,国際的貢献
に繋げる。
4.人材需要及び進路の見通し
(1)人材需要
療養型の病院や介護の現場における口腔ケアの重要性が認識されるようになり,歯科
衛生士が医療チームや介護チームの中で他の専門職と共に働く機会は今後著しく増大
することが予想される。急性期入院患者においても経口摂取による栄養改善や口腔ケア
を実施することが合併症の発症を予防し,入院期間の短縮や医療効率向上に効果的であ
ることなどの認識が医療関係者の間に広まりつつある。このような社会ニーズに適切に
対応していくには,歯科医療施設はもとより,介護・福祉関連施設,行政・地域保健な
どの場において専門的,指導的活動ができる高度専門職業人を育成すると同時に,大学
や専門学校において歯科衛生士教育を担う教育・研究者を養成しなければならない。
(2)人材需要把握のためのアンケート調査
①修士課程修了者に対する社会的ニーズの高まりを具体的に把握するために,地元
徳島県に重点を置いて全国の各教育機関や医療・福祉施設の関係者(1,515 か所,
5,236 人)を対象にアンケート調査を行った。その結果は以下のとおりである。(資
料7,資料8)
(ア)回答の得られた医療・福祉施設の代表者 159 名の内,本学修士課程修了者
の職場への配置を希望する者が 84 名(53%)
(イ)回答の得られた歯科衛生士養成機関の代表者 74 名の内,本学修士課程修了
者の職場への配置を希望する者 51 名(69%)
今後,見込まれる4年制の口腔保健学科の新設や平成22年度の歯科衛生士養成
課程の3年制への移行は,新しい教育手法に対応できる歯科衛生士教員の不足を
-9-
顕在化するものであり,雇用の増加が十分見込まれる。
②直近に,県内の200床以上の大規模民間病院及び収容定員が90名以上の主要な介護老
人福祉施設28施設に対して,修了時点の能力などを明確に示して行った採用希望調査
では,21施設から回答が得られ,本学修士課程の修了生を採用したいと答えた施設が1
9施設(90%)であり,大多数の施設で採用したいとの回答を得ており,自由記載欄に
も設置を望む声が多かった。全国に200床以上の規模の大きな病院が2,709施設,介護
老人福祉施設が11,767施設あり(平成20年10月1日現在),これらの施設においても
同様な傾向であることが想定され,本修士課程修了者が高齢社会から強く望まれている
ことを示す証左であり,雇用が期待できる。
(3)その他の人材需要の見込み
本専攻の設置については,地元自治体をはじめ老人福祉関係の各種団体からも設
置要望書が寄せられており,特に福祉関係の施設からの高度専門職業人に対する期
待が大きいことが窺える。(資料9)
以上のように,出口すなわち修了生の進路については十分確保できるものと考えられ
る。
(4)入学定員
学生入学定員は5名とする。
(5)学生確保の見通し(資料 10)
①本学学士課程学生に対して,本専攻の概要,養成する人材像等を示して行った直近
の進路希望調査により以下の結果を得た。(平成22年4月実施)
(4年次15名,3年次16名, 2年次16名)
・修士課程に進学を希望する者
・全日制で入学したい:4年次7名,3年次7名,2年次8名
・社会人として入学したい
県内就職: 4年次2名,3年次2名,2年次2名
県外就職:
4年次4名,3年次6名,2年次2名
(進学したくない: 4年次2名,3年次1名,2年次4名)
②前記の全国の各教育機関や医療・福祉施設の関係者(約1,515か所,5,236人)を対象
に行ったアンケート調査により以下の結果を得た。(平成20年11月実施)
(ア)全国の医療機関,福祉施設等に勤務する歯科衛生士
・全国:683名の内251名が希望
・他の四国3県と兵庫,大阪:196名の内63名が希望
・徳島県:57名の内14名が希望
(徳島大学病院勤務の7名の内3名が初年次の入学希望)
- 10 -
(イ)全国の歯科衛生士養成機関の歯科衛生士教員
・全国:273名の内89名が希望
・他の四国3県と兵庫,大阪:36名の内13名が希望
・徳島県:13名の内4名が希望
③受験者の予測数
本学学士課程に在籍する3学年の学生に対する直近の進路調査から,卒業後直に
入学を希望する者が毎年7名以上,県内に就職後に社会人入学を希望する者が毎年
2名,合計9名以上見込める。全日制での進学を希望する者の内,教育・研究者を
志望する者と高度専門職業人を目指すものが3学年の合計でそれぞれ11名であった。
また,平成20年11月に行った全国の医療機関,福祉施設及び歯科衛生士学校等に対
して行ったアンケート調査で歯科衛生士に重点を置き歯科医療あるいは保健・医療・
福祉関係機関の現場従事者のニーズを調査したところ,従事者1,011名の内309名
(31%),歯科衛生士に限定すると683名の内251名(37%)の回答者が,本学修士課
程への入学に対して前向きな考えを示した。
さらに,徳島大学病院に勤務する3名を含む社会人歯科衛生士5名と徳島県内の
歯科衛生士学校教員4名,合計9名については,明確な入学意志を確認しており,
毎年最低でも1名の社会人入学希望者が見込めるので,本学卒業者と合わせて毎年
10名以上の受験希望者を見込むことができる。
5.将来構想
要介護高齢者や障害者を含めた全ての人々に,口腔の健康維持向上からQOLの向上に繋が
ることを広く周知し,そのための行動変容を導くための社会活動を推進するためには,口腔
保健を学問体系として確立する必要がある。そのため,本専攻修了者には,修得した専門科
目を基盤とした研究や学際的研究を自ら遂行し,学問体系の確立に寄与することが期待され
る。さらには,4年制大学あるいは大学院での教育・研究者として指導的役割を果たせる人
材の養成も必要となる。このような口腔保健学分野の大学院の必要性に鑑み,学年進行で博
士後期課程の設置を目指している。その際には,大学院口腔科学教育部を中心に,医科学,
栄養生命科学,薬科学及び保健科学の各教育部と連携して「咀嚼,QOL,健康長寿社会」な
どを共通のテーマとする学際的研究組織の構築を目標とする。
Ⅱ
研究科,専攻等の名称及び学位の名称
1.組織構成
歯学部口腔保健学科における口腔保健学の専門職業人教育を基盤として,より高度で
専門的な歯科衛生士教育を統合的な医療教育環境下で行うために,大学院口腔科学教育
部に口腔保健学専攻(修士課程)を設ける。本専攻は口腔予防科学などを教授する口腔
- 11 -
保健衛生学分野,口腔保健教育学などを教授する口腔保健教育学分野,高齢者・障害者
口腔機能管理学などを教授する口腔保健支援学分野,口腔機能賦活学などを教授する口
腔機能福祉学分野,口腔保健増進学概論などを教授する口腔保健福祉学分野,医療福祉
学などを教授する地域医療福祉学分野の6分野で構成される。
2.口腔保健学専攻(修士課程)及び学位の名称
本専攻の名称は,口腔保健学専攻(修士課程)(Master’s Course of Oral Health
Science)とする。
口腔保健学は,口腔の健康・機能の維持増進に係わる学問として認識されており,本
専攻は,口腔保健学に関する豊かな専門的知識・技能・科学的視点を身につけた教育・
研究者の養成及び口腔保健学領域における高度かつ統合的な学識と技術力をもつ高度専
門職業人の養成をその教育目標に掲げていることから,口腔保健学「Oral Health
Science」を用いることとする。なお,本専攻ではその教育内容から国際性が求められ
るが,英文名の「Oral Health Science」は口腔を中心とした医療科学において国際的な
通用性を有する。また,他大学の口腔保健関連の修士課程においても同じ名称・英文名
が用いられている。
学位の名称は,修士(口腔保健学)
(Master of Oral Health Science)とする。
なお,平成 19 年度に設置した学士課程は,学科の名称を「口腔保健学科(Department of
Oral Health and Welfare)
」とし,学士の名称を「学士(口腔保健学)」
(Bachelor of Oral
Health and Welfare)としている。
Ⅲ
教育課程の編成の考え方及び特色
1.編成の考え方(資料 11,資料 12,資料 13)
本専攻において養成する人材像とその教育目標は下記の通りである。
(1)教育・研究系コース
・歯科衛生士養成校等の教員を目指す人材:学生の高い職業意識を培うことができ
る次世代の歯科衛生士教育の担い手を育成する。
・博士課程に進学し教育・研究者を目指す人材:口腔保健学領域の研究に関する基
本的知識や技能を有し,自ら研究を遂行できる人材を育成する。
(2)臨床系コース
・大学病院・急性期病院にて活躍できる高度専門職業人:チーム医療において口腔
管理を指導的立場から担える高度専門職業人を育成する。
・高齢者福祉施設または行政機関等で活躍できる高度専門職業人:口腔保健関連業
務を指導的・中核的に担える高度専門職業人を育成する 。
- 12 -
上記に示す教育目標は,先に述べた徳島大学の教育理念に掲げる「優れた専門的能力
と,自立して未来社会に立ち向かう人材の育成」及び中教審答申の「高度の専門的な職
業を担う卓越した能力を培う」など,課程制大学院制度の趣旨にも十分合致した内容と
なっている。教育目標を達成するための具体的な方法として以下のように科目を編成す
る。
①本専攻での履修科目は基礎科目と専門科目からなり,専門科目は更に,基盤科目,特
論科目,課題専攻科目の3つから構成され,この他に,社会人学生などで口腔保健学に
関する導入教育が必要と思われる者のための導入教育として,履修単位に数えない口腔
保健学導入を設けてある。各学生の科目履修に当たっては,基礎や基盤を形成する科目
(基礎科目及び口腔保健学基盤科目:レベル1),応用力を養う専門科目(口腔保健学
特論科目及び口腔保健学課題専攻科目の講義:レベル2),実践教育科目(口腔保健学
課題専攻科目の演習,実習:レベル3)の3段階の教育レベルに応じたカリキュラム構
成を基本としており,各レベルに必修科目を設け,学期進行とともに履修可能科目レベ
ルも上がる段階的な教育課程の編成としている。この際,各学生の科目選択や修得状況
を確認しながら,必要に応じた履修科目に関する個別指導を研究指導教員が行うことと
する。導入教育の必要な者に対しては,入学直後に口腔保健学導入の集中講義を履修さ
せる。
②初年次学生には医歯薬共通の学際的な基礎科目を受講できるシステムを取り入れる。
専門科目を履修する上で不可欠な学力を補うため,大学院各教育部の共通カリキュラ
ム科目から,「生命倫理概論」や「生命科学の研究手法」などを選択履修させる。異な
る教育部の大学院生と一緒に受講することを通じて,学問的・人間的な交流と啓発を行
い,医療に従事するチームの一員としての共通的知識を修得する。
③専門科目は下記の3つから構成される。
・「口腔保健学基盤科目」として,「口腔保健増進学概論」を必修科目とする。
・「口腔保健学特論科目」は各自の研究課題に関連する知識を深めるため設けるもの
で,2つの選択科目「国際口腔保健学」,「医療福祉学」と1つの必修科目「口腔保
健学特論」から構成される。
・「口腔保健学課題専攻科目」は高度専門職業人養成を目的とする「臨床系」と次世
代の歯科衛生士教育を担う人材養成を目的とした「教育・研究系」の2つのコースに
大別される。科目の選択は各コース内から行うことを原則とするが,必要な 16 単位
のうち2単位については,他のコースの講義科目から選択し履修する。演習科目は選
択コース内より講義を履修した後に履修する。「口腔保健学臨床系課題実習」では,
大学病院・急性期病院及び福祉施設・行政関連施設などにおいて実践的教育を実施す
る。「口腔保健学教育・研究系課題実習」では,大学内での模擬授業や,実験実習な
どを担当教員の指導のもとに行う。2年前期の「口腔保健学課題研究演習」は課題実
習と連動して実施し,研究指導教員の指導のもとに研究テーマを定め,研究計画を立
- 13 -
案し,これに沿って課題演習を開始する。得られた研究成果を分析・考察して修士論
文を完成させる。
なお,履修は,それぞれの学生の目的や学士課程での履修状態に応じて履修例を参
考にして研究指導教員と協議して選択させる。(資料 14,資料 15,資料 16)
科目区分
レベル
内容
共通カリキ
レベル1
専門科目を履修する上で不可欠な学力を補うため,
基 ュラム科目
(講義)
必要な科目を選択履修する。また,異なる教育部の大
礎 (選択)
学院生と「生命倫理概論」や「生命科学の研究手法」
科
などの共通科目を一緒に受講することを通じて,学問
目
的・人間的な交流と啓発を行い,医療に従事するチー
ムの一員としての共通的知識を修得する。
口腔保健学
レベル1
「口腔保健増進学概論」は必須科目とし,栄養生命科
専 基盤科目
(講義)
学教育部教員及び保健科学教育部教員と共通で開設す
門 (必修)
る。それぞれ「食・栄養」及び「口腔ケア・看護」を
科
一方向からだけでなく,多方向から捉える機会を与え,
目
専門分野にとらわれない学習姿勢を体得する。
口腔保健学
レベル2
「口腔保健学特論」では最新の口腔科学に関する研究
特論科目
(講義)
成果を受講し,各自の研究課題に関する基本的知識を
(必修・選
択)
深め,さらに口腔保健学への応用を目ざして履修する。
歯科衛生士教育に関する国際的な通用性,信頼性が
担保される修士課程の観点から,「国際口腔保健学」
講義の履修を推奨する。また,地域と連携した医療が
研究テーマとなる場合は,「医療福祉学」を履修する。
- 14 -
健康長寿実現に貢献する高度専門職業人養成
口腔保健学
レベル2
臨
を目的とした「口腔機能賦活学」及び「高齢者・
課題専攻科
(講義)
床
障害者口腔機能管理学」の課題専攻科目講義及び
目(必修・
レベル3
系
演習を履修する。また,上記演習科目においては,
選択)
(演習・
口腔機能の向上支援に関する問題解決型 PBL 授業
を多く取り入れる。
実習)
課題実習では担当教員の指導のもと,大学病
院・急性期病院及び福祉施設・行政関連施設など
において実践的教育を実施する。
問題解決能力を備えた次世代の歯科衛生士の
教
教育を担う人材養成及び研究者養成を目的とし
育
て「口腔保健教育学」及び「口腔予防科学」の課
・
題専攻科目講義及び演習を履修する。特に,「口
研
腔保健教育学」演習では,問題解決型 PBL 授業を
究
多く取り入れることにより,その教育効果を実体
系
験させる。
課題実習では担当教員の指導のもと,模擬授業
や口腔保健に関連する実験実習などから研究テ
ーマを定め,研究計画に沿って課題実習を開始す
る。
「口腔保健学課題研究演習」では,臨床系あるいは教
育・研究系コースで選択した課題実習と連動して研究
命題に取り組む。実験実習で得られた研究成果に対し,
適切な統計手法を用いて分析・考察し,修士論文を完
成させる。
なお,社会人などで口腔保健学に関する補講的な学習を必要とする者への対策とし
て,「口腔保健学導入」を設ける。歯科衛生士の基礎として重要な口腔保健管理学を
主軸として,歯科英語に関する教育や高齢者,有病者,要介護者等の口腔疾患への対
処及び口腔保健を理解するために必要な分子生物学的の基礎について概説する。
また,口腔ケアと全身の健康との関連性を学ぶため,基礎科目での「心身健康と環
境ストレス」,専門科目での「口腔保健学特論」や「高齢者・障害者口腔機能管理学」
などにおいて必要な医学的知識を修得するカリキュラムを構築している。
- 15 -
本カリキュラムにおいて,教育レベル1の基礎科目及び基盤科目の講義は1年次早
期に,教育レベル2の特論科目の講義は主に1年次に受講し,教育レベル3に該当す
る専門科目の演習・実習は主に2年次に受講するといった段階的教科編成とし,研究
指導教員は必要に応じて個別指導を行いながら科目を確実に修得させる指導体制をつ
くる。これにより,社会人も含めた学生の多様な背景・目的に応じた確実な履修が可
能となり,教育の実質化を確実なものとする。
2.編成の特色(資料 11,資料 17)
本専攻は,次世代の歯科衛生士教育の担い手を養成する「教育・研究系コース」と社会が
求める高度専門職業人を育成する「臨床系コース」の2コースを置く。
(1)「教育・研究系コース」
①歯科衛生士養成校等での教員を目指す人材養成
3年制に移行した歯科衛生士養成専門学校等において実践できるカリキュラムプラ
ンニングや問題解決型授業等の新たな教育手法を「口腔保健教育学」の講義,演習に
て修得する。国際交流授業への参画や「口腔保健学教育・研究系課題実習」での模擬
授業等,実践的教育をおこない,教育効果の評価を修士論文のテーマとする。このよ
うな教育により,臨床の場において問題解決能力を備えた次世代の歯科衛生士の教育
を担う人材を養成する。
なお,教育実習に至るまでの基礎学習に1年以上を要し,模擬授業も第3者評価を
受けながら繰り返し実施するため,2年の教育期間を必要とする。
②博士課程に進学し教育・研究者を目指す人材養成
口腔保健学実験研究を遂行するための基本的知識や基本的技能を「生命科学の研究手
法」及び「口腔予防科学」の講義,演習にて修得する。科学の進歩や関連の研究成果に
関心を持ち続け,生涯にわたり自主的かつ継続的に学習する能力を「口腔保健学教育・
研究系課題実習」及び「口腔保健学特論」にて培い,結果を適切に判断し,課題をまと
める。このように口腔保健学領域の研究を自ら遂行できる人材を育成する。
(2)「臨床系コース」
常に高度化していく歯科医療に対応できる素養を涵養するためには,臨床の場におい
て科学的根拠に基づき課題を分析・評価する能力を養う必要がある。これにより,最先
端の研究と実践の架け橋となる人材養成も可能となる。そこで,下記のような専門科目
講義・演習,さらには課題研究と連動した口腔保健学臨床系課題実習など,高度に専門
性が求められる職業を担うための卓越した能力が培えるカリキュラムと教育体制を整
えている。
①大学病院・急性期病院にて活躍できる高度専門職業人の養成
専門的口腔ケアや摂食・嚥下リハビリテーションに関する知識及び技術を「口腔機能
賦活学」の講義,演習にて修得をする。「口腔保健学臨床系課題実習」において,徳
- 16 -
島大学病院ICU/SCU入院患者やがん手術前後での専門的口腔ケアや脳血管疾患
患者などが一般病棟へ移行した後,関連職種(言語聴覚士,看護師等)と連携した摂
食・嚥下リハビリテーションを教員の指導の下で実施するなど,実践的教育を導入する。
修士論文において,専門的口腔ケアに関する様々な術式の科学的根拠を探求する。こ
のような教育により,チーム医療において口腔管理を指導的立場から担える人材を育
成する。
②高齢者福祉施設または行政機関等で活躍できる高度専門職業人の養成
口腔保健の立場から対象者を援助するにあたって必要な知識と技術を「高齢者・障
害者口腔機能管理学」の講義,演習にて,地域と連携した保健・医療・福祉を「医療福
祉学」にて修得する。「口腔保健学臨床系課題実習」では,学部教育(教育GP)の取
り組みで連携実績のある福祉施設や行政機関の協力を得て,口腔機能向上を含む専門的
口腔ケアまたは地域計画に基づく口腔保健活動を展開するなどの実践的教育を行う。更
に口腔保健・医療・福祉関連の調査を修士論文として実施する。このような教育により,
口腔保健関連業務を指導的・中核的に担える人材を育成する。
なお,臨床系の研究課題は患者や地域住民を対象とするため,研究の実施と成果報告
には2年の教育期間が必要と考えられ,研究指導教員との綿密な計画と定期的な打ち合
わせを必要とする。
Ⅳ
教員組織の編成の考え方及び特色
1.教員組織の編成の考え方
口腔保健学専攻(修士課程)を専任教員17名で組織し,共通基礎科目等一部の授業
科目については他の大学院ヘルスバイオサイエンス研究部及び大学院ソシオ・アーツ・
アンド・サイエンス研究部教員の協力を得て教育・研究を遂行する。
口腔保健学専攻(修士課程)
教授
准教授
講師
助教
計
8
1
2
6
17
専任教員は,本専攻の中心的な研究領域である口腔領域と保健・福祉領域において,博
士号を有し,十分な研究業績あるいは実務経験を有する研究指導教員10名と博士号を
有する歯科医師教員3名及び臨床系の実践的な教育を補助させるため,歯科衛生士及び
看護師と社会福祉士のダブルライセンスを持ち,実務経験と学士課程での教育経験を有
する者4名(3名は修士の学位を保有,1名は修士課程履修中)を研究指導補助教員と
して加え教員組織を構成する。
本専攻では養成する人材像(教育目標)に応じ,6つの分野を設け,それぞれの分野
において業績等を有する専任教員を配置している。次世代の歯科衛生士教育の担い手の
育成には口腔保健教育学分野が深く係わり,研究指導教員2名と研究指導補助教員1名
が主に担当する。博士課程に進学するなど,教育・研究者を目指す人材育成には口腔保
- 17 -
健衛生学分野が係わり,研究指導教員2名と研究指導補助教員1名が担当する。急性期
病院等にて口腔管理を指導的立場から担える高度専門職業人の育成には口腔機能福祉学
分野及び口腔保健福祉学分野が深く係わり,研究指導教員2名と研究指導補助教員3名
が主に担当する。高齢者福祉施設または行政機関等で活躍できる高度専門職業人の育成
には口腔保健福祉学分野,口腔保健支援学分野及び地域医療福祉学分野が深く係わり,
研究指導教員4名と研究指導補助教員2名が主に担当する。
2.教員組織の特色
本専攻では次世代の歯科衛生士教育の担い手を養成する教育・研究系コースと高度専
門職業人を養成する臨床系コースがあり,担当する科目によって教員組織を便宜的に2
つに分けることも可能であるが,両系の科目を分担する教員もおり,また研究テーマが
重なる部分も少なくないので,フレキシブルな指導体制を敷き,特定の専門分野に偏ら
ない一つの教員組織とする。口腔保健学課題研究演習(修士論文作成)において各教員
が担当する専門領域を授業科目の概要に示す。(資料 13)
3.教員年齢構成と定年規定の関係
徳島大学教員の定年退職は 65 歳に達した日以後における最初の 3 月 31 日となって
いるが,配置予定の専任教員の年齢は設置予定の平成 23 年4月時点で最若齢が 28 歳,
最高齢が 63 歳であり,本専攻設置後の学年進行が終了する平成 25 年 3 月 31 日より前に
定年退職を迎える者はいない。(資料 18)
Ⅴ
教育方法,履修指導,研究指導の方法及び修了要件
1.履修指導,研究指導の方法・体制等
履修指導については,共通科目を除く各科目に専任教員を配置し,学生の履修状況を
含めた進行管理,教育内容の評価・見直しなど,責任をもって行う体制とする。研究指
導については,学生の研究テーマや修了後の進路志望に応じた,よりきめ細かい,実践
的,学際的な研究指導を可能とするため,学生の志望に基づき研究指導教員を定め,責
任を持って指導にあたる。
(1)指導グループ
指導グループは研究指導教員1名と研究指導補助教員1名からなる複数教員に
①
よる指導体制を採用する。
指導教員が転出や外国留学等で不在になることが決まった時点で,速やかに後
②
任者を定める。
(2)研究指導教員
①
研究指導教員は,履修計画の作成,研究テーマの設定から修士論文完成に至る
- 18 -
まで研究指導の主体的任務を果たす。
研究指導教員は口腔保健学専攻(修士課程)の専任教員があたる。
②
(3)研究指導補助教員
①
研究指導補助教員は,研究指導教員を補助し学生の指導に当たる。
② 研究指導補助教員は,研究指導教員が研究計画を遂行する上で適切と判断した者を
口腔保健学専攻(修士課程)の専任教員から選ぶ。
2.修得すべき単位数
本専攻の学生が修了認定を受けるために修得すべき単位は 30 単位であり,その内訳は
以下のとおりとする。(資料 12)
基礎科目
選択4単位
専門科目
基盤科目・特論科目
必修4単位,選択2単位,
課題専攻科目
必修4単位,選択 16 単位
3.修了の要件
(1)本教育部に2年以上在学して所定の単位を修得し,かつ,必要な研究指導を受け
た上で,学位論文の審査及び修了試験に合格すること。
(2)修士論文の審査及び修了試験ならびに最終審査
単著の論文を修士論文とし,大学院口腔科学教育部教授会において,主査1名,
副査2名で構成する審査委員会を設置し,修士論文の審査及び修士論文を中心とし
た口述試験による修了試験を受ける。さらに,修士論文発表会での発表を経て大学
院口腔科学教育部教授会の本審査に合格した者は,修士課程を修了するとともに,
修士の学位(口腔保健学)を取得する。(資料 14)
4.履修例等
本専攻の教育・研究系コースについては,専門学校等における歯科衛生士教員を目指す
者と大学院博士課程に進学する者に分けて,臨床系コースについては,急性期病院にて
勤務する高度専門職業人を目指す者と高齢者福祉施設・行政機関にて勤務する高度専門
職業人を目指す者に分けて,それぞれの志望に沿った科目の履修を行わせる。社会人で
臨床系コースを選択する者には,履修モデルに示すように,導入教育として入学直後に
「口腔保健学導入」の集中講義を受けさせ,修士課程の科目履修を助ける。ただし,こ
の講義は単位数には算定されない。(資料 15)
教育・研究系コースのうち,歯科衛生士養成校等での教員を目指す者は1年次に基礎科目
の中から,臨床心理学,英語論文作成法の選択科目を,口腔保健学基盤科目の口腔保健増進
学概論と特論科目の中からは必修科目である口腔保健学特論と選択科目の中から国際口腔
- 19 -
保健学を履修させ,課題専攻科目については,口腔保健教育学と口腔予防学の講義と演習を
履修し,その他の選択科目として臨床系から高齢者・障害者口腔機能管理学の講義を履修す
る。模擬授業等の実践的教育を行う口腔保健学教育・研究系課題実習及び課題実習と連動し
た修士論文作成を行う口腔保健学課題研究演習を履修する。教育・研究系コースのうち,博
士課程に進学して研究者を目ざす者も,共通カリキュラム科目では生命科学の研究手法や英
語論文作成法の選択科目を履修し,口腔保健学基盤科目と特論科目は上記に履修する。課題
専攻科目については,口腔予防科学と口腔保健教育学の講義と演習を履修し,その他の選択
科目として臨床系から口腔機能賦活学の講義を履修する。口腔予防科学演習や口腔保健学教
育・研究系課題実習にて実験研究に関する基本的技能を培うが,課題実習は修士論文作成と
連動させて実施する。
臨床系コースのうち,急性期病院等にて活躍できる高度専門職業人を目ざす者は,1年次
に基礎科目(共通カリキュラム科目)の中から,生命倫理概論,心身健康と環境ストレスの
選択科目を,また専門科目においては,口腔保健学基盤科目の必修科目である口腔保健増進
学概論と特論科目の中からは必修科目である口腔保健学特論と選択科目の中から医療福祉
学を履修させ,課題専攻科目については,口腔機能賦活学と高齢者・障害者口腔機能管理学
の講義と演習を履修し,その他の選択科目として教育・研究系から口腔予防科学の講義を履
修する。急性期病院等での専門的口腔ケアや高齢者福祉施設等で口腔保健業務を担うなどの
実践的教育を行う口腔保健学臨床系課題実習及び課題実習と連動した修士論文作成を行う
口腔保健学課題研究演習を履修する。臨床系コースのうち,高齢者福祉施設等にて活躍でき
る高度専門職業人を目ざす者も,共通カリキュラム科目及び課題専攻科目での選択科目以外
は上記と同様に履修する。(資料16)
いずれのコースも学期進行とともに履修可能科目レベルも上がる段階的な教育課程と実
践的教育を重視した科目編成となっており,それぞれの志望に沿った履修計画を研究指導教
員と相談の上決定するため,確実な履修と人材育成が担保されている。
5.学位論文審査体制
本専攻においては,大学院教育の組織的な展開の強化と学位の国際的な通用性・信頼
性の確保を保つため,学位の水準や審査の透明性・客観性を確保することを目的に,徳
島大学における厳正な学位審査体制等の基本方針に基づきを次のとおり審査を行う。
(1)学位審査体制等に関する透明性・客観性の確保
公開で論文発表会を実施し,学位論文の要旨及び当該論文審査の結果の要旨を
①
公表する。
②
修士論文の審査委員の選出に当たり,指導教員を主査にすることはできない。
③
学外審査委員の登用に努める。
④
親族の学位審査に関与できない。
(2)審査委員
- 20 -
審査委員として3人(主査1人,副査2人)を口腔科学教育部教授会又は本学大学院及
び他の大学院等の教授等のうちから選出する。
(3)教員倫理
教員は,学位審査,卒業認定等に当たり,国立大学法人徳島大学倫理規則を遵守し,
当該審査対象となる学生等からの金銭又は物品等の贈与の受け取り等,社会の疑惑や
不信を招くような行為をしない。
(4)責任体制
学部長,研究科長及び教育部長は,当該部局における学位審査,卒業認定等に
①
関する不正行為の防止について総括する。
②
学位審査委員は,高い倫理性を保持し,厳正に学位審査を行わなければならな
い。
6.研究倫理審査体制
徳島大学においては直接ヒトを対象に行われる研究が,「ヘルシンキ宣言」(1964 年
世界医師会採択)の趣旨及び「臨床研究に関する倫理指針」(平成 20 年7月改正
厚生
労働省)に沿って実施されるために以下の委員会を組織し,それぞれの研究対象に応じ
て研究倫理の審査を行っている。
(1) 徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会
(2) 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部倫理委員会
(3) 徳島大学ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会
(4) 徳島大学病院遺伝子治療臨床研究審査委員会
なお,徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会に申請する研究者は徳島大学病院臨床試
験管理センター主催の研修セミナーの受講等の条件を満たし,認定をうけた「臨床研究
登録者」であることが必須である。本口腔保健学科(学士課程)では卒業研究において
も,必要に応じて病院倫理委員会への申請を行っており,研究を分担する学生にも研修
セミナーを受講させている。本専攻における研究においても,研究内容に応じて倫理委
員会の審査を受けてから研究を開始する。
Ⅵ
施設・設備等の整備計画
1.講義室等の施設,機械・器具等の整備計画
(1)徳島大学では,講義室等の施設,機械・器具等を計画的に整備し,学生の教育環
境の充実を図っている。講義室やセミナー室への空調設備やプロジェクター等視聴
覚機器の設置,学生ラウンジの整備やトイレ改修等アメニティーの改善,学生・就
職相談室の設置などを行っている。(資料 19)
(2)本専攻の入学定員は5名であり,2学年分の講義室(22 ㎡×1室及び 21 ㎡×1
- 21 -
室),セミナーのための演習室(30 ㎡×1室),解析室(24 ㎡×1室)及び実験室
(49 ㎡×1室及び 40 ㎡×1室),研究室[自習室](25 ㎡×1室)については,平
成 21 年 10 月に移転した歯学部附属病院の5階病棟跡などを活用し,既設の歯学部
口腔保健学科教育スペースと一体的に整備し,これに必要な机,椅子,PC,電子白
板,大型モニターなどの設備も併せて整備することとしている。
(3)実験・研究設備については,要介護高齢者や障害者を対象とした口腔ケアなどの
介入研究あるいはアンケート調査による観察研究の他,たとえば歯周病と糖尿病に
関するスクリーニング研究や糖尿病と口腔ケアの関連等微生物学的及び分子生物学
的研究を行うための環境として,上記解析室には情報処理用 PC 及びその周辺機器を
はじめ,訪問診療用の機器類や口腔内写真撮影用のカメラなどを整備し,また実験
室には分子生物学的研究に必須のドラフトチャンバー及び細胞培養装置をはじめと
する各種汎用実験機器を整備する。その他の特殊な分析機器,実験装置等について
は,必要に応じて既設の徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部等の研究施
設・設備を使用することが可能である。
2.図書等の整備について
図書については, 口腔保健学科に設置してあるもののほか,徳島大学附属図書館蔵本分館
の利用が可能である。蔵本分館は,閲覧席数352席を有し,蔵書数230,446冊,雑誌6,297タ
イトルを数え,所蔵検索,各種学術論文データベース検索なども完備されており,平成19
年度の歯学部口腔保健学科の設置に伴い,福祉関係の雑誌・図書類も順次整備されてきてお
り,必要レベルは満たしている。
Ⅶ
既設の歯学部口腔保健学科との関係
大学院口腔科学教育部口腔保健学専攻(修士課程)は既設の歯学部口腔保健学科の教育・
研究組織を中心として,大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の各専攻系と有機的に連携
した体制を構築する。(資料 20)
歯学部口腔保健学科(学士課程)は歯科衛生士及び社会福祉士国家試験受験資格を取得
できるよう科目設定を行っているため,「歯科衛生士学校養成所指定規則(昭和 25 年 2
月 17 日文部省・厚生省令第一号)」及び「社会福祉士及び介護福祉士法第七条第一号の規
定に基づき厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目(昭和 62 年 12 月 15 日厚生省告
示第二百号)」の要件を満たすよう設定している。学士課程においてはこれらの専門領域
における基本的事項を修得できるようカリキュラムを構築している。
修士課程においては学士課程の各専門科目に対応しつつも,学科と専攻の理念・目的に
即した効果的な履修が可能となるよう,高度な専門性と実践的かつ学際的特色をもたせ,
従来の学問分野の枠にとらわれないより統合的・段階的な科目設定としている。
(資料 21)
- 22 -
Ⅷ
入学者選抜の概要
1.学生受入方針
本専攻で受け入れる学生は,保健・医療・福祉分野に従事する専門家として求められ
る生命の尊厳を尊重し,豊かな人間性を有する者であり,それに加えて基本的な教養と
コミュニケーション能力等の資質とともに,専門科目の履修に必要な基礎学力を有し,
保健・医療・福祉の現場における指導的役割や将来の口腔保健学などにおける教育・研究
者としての活躍を目指すなど,専門分野への深い関心と高い目的意識を持ち合わせた者
である。また,歯科衛生士あるいは保健・医療・福祉の分野で活躍している他の専門職
種であって,学士(口腔保健学)相当の能力を有し,口腔保健に関するより高度な専門
的知識や技術を身につけたいと考える社会人に対しても大学院の門戸を開放する。社会
人の受け入れに際しては,下記の入学資格を満たす者であり,筆記試験及び面接試験に
よって本専攻での履修が十分可能であると判定された者を受け入れる。なお,出願希望
者は出願前に指導を受けようとする教員と入学後の研究等について事前の相談を受け
ることを勧める。また,口腔保健学以外の課程を修了した者等で,必要であると認めら
れた者に対しては,口腔保健学導入教育を実施する。
2.入学資格
入学資格は,次の各号のいずれかに該当する者とする。
(1) 大学を卒業した者
(2) 学校教育法第 104 条第4項の規定により学士の学位を授与された者
(3) 外国において学校教育における 16 年の課程を修了した者
(4) 外国の学校が行う通信教育における授業科目を我が国において履修することに
より当該外国の学校教育における 16 年の課程を修了した者
(5) 我が国において,外国の大学の課程(その修了者が当該外国の学校教育における
16 年の課程を修了したとされた者に限る)を有するものとして,当該外国の学校教
育制度において位置付けられた教育施設であって,文部科学大臣が別に指定するも
のの当該課程を修了した者
(6) 専修学校の専門課程(修業年限が4年以上であることその他の文部科学大臣が定
める基準を満たすものに限る。)で文部科学大臣が別に指定するものを文部科学大
臣が定める日以後に修了した者
(7) 文部科学大臣が指定した者
(8) 学校教育法第 102 条第 2 項の規定により大学院に入学した者であって,当該者を
その後に入学させる本学大学院において,大学院における教育を受けるにふさわし
い学力があると認めた者
(9) 本学大学院において,個別の入学資格審査により大学を卒業した者と同等以上の
- 23 -
学力があると認めた者であって,22 歳に達した者
(10)大学に 3 年以上在学した者(これに準ずる者として文部科学大臣が定める者を含
む。)であって,本学大学院が定める単位を優秀な成績で修得したと認めた者。
3.入学定員
入学定員は5名とする。
4.合格者数
10名の入学希望者に入学試験を実施し,本学で学ぶ意欲が高く且つ優秀な学生を5名入学
させる。受験者の予測数から5名の定員は長期的に十分に確保できる数である。
5.選抜方法
入学者の選抜は,学力検査(筆記試験),面接試験及び成績証明書の結果を総合して
判定する。
(1) 学力検査
ア
専門科目,イ
語学試験
(2) 志望理由書に基づいた面接試験
(3) 出身大学等の成績証明書
Ⅸ
大学院設置基準第 14 条に定める教育方法
1.目的
歯科衛生士として就業している社会人の中には,近年の急激な少子・高齢化に伴う疾
病構造の変化や日夜進歩する最新の歯科医学,歯科医療について大学院で高度専門職と
しての生涯研修を望む者が少なくない。特に,近年の摂食・嚥下リハビリテーションや口
腔ケアに対する関心の高まりから,現場で就業しながら高度な専門知識や技術を身につ
けたいと考える歯科衛生士は今後も増加していくものと思われる。とりわけ,歯科衛生
士養成課程が3年制に切り替わる中で,より専門性の高い歯科衛生士教育が求められて
おり,歯科衛生士系教員のレベルアップは喫緊の課題であり要望も大きい。口腔保健学
専攻修士課程に入学を希望するこれら社会人の要請に応えるために,大学院設置基準第
14 条に定める教育方法の特例を導入し,夜間その他の特定の時間帯,特定の時期等に授
業及び研究指導を行い,職を辞さず学べる教育環境を整備し,社会人歯科衛生士の生涯
研修を実施する。
2.修業年限
大学院設置基準第 14 条による教育方法の特例を適用する期間は,2年とする。ただし,
- 24 -
長期履修を希望する者で口腔科学教育部教授会が許可した場合には,4年を限度として
一定の期間にわたり教育課程を履修できるものとする。
3.教育・研究方法
(1)履修方法・授業の実施方法
社会人学生は平日18時から21時の時間帯で開講する夜間の授業を受けることを基
本とし,各人の勤務形態により通常の時間帯における受講や夏季休業期間などの社
会人がまとめて休暇などを取りやすい時期に短期集中講義を受けることも可能とし,
単位取得の便宜を図る。
(2)研究指導
①
学生ごとに研究指導教員と研究指導補助教員を置き,研究指導を行う。
②
入学ガイダンス時に各専門領域の教育・研究内容,授業体制,単位取得方法を
説明する。
社会人学生が指導教員から教育・研究指導を夜間あるいは特定の時間または時
③
期に受けられる体制を確保する。
社会人としての職業体験や研究成果を取り入れた研究課題を設定することで,
④
研究の高度化や研究遂行の効率性を高めた研究指導を行う。
コンピュータ・ネットワークなどの IT 技術を活用し,文献検索,データ処理を
⑤
始め社会人学生と密接な情報交換を行うことにより効率的な研究指導あるいは
論文作成指導を行う。
(3)施設・設備利用
本専攻においては,昼夜を通しての研究室・実験室の開放を予定しており,使用
については何ら障害はなく,教育・研究の推進に支障はないと考える。また,データ
整理や論文作成のために専用の研究室(自習室)を設ける。
4.教員の負担の程度
社会人学生の教育・研究指導が十分に行えるように,担当教員全員が 14 条特例による
授業を実施するが,開講する曜日・時間などを調整することにより,教員の負担の軽減
を図る。
5.図書館・教育施設・研究施設等の利用確保
(1)学生が主に使用する徳島大学附属図書館蔵本分館は,すでにカード式で教員と大
学院生に対して24時間開館している。
(2)学内LANに接続されたコンピュータシステムも24時間使用が可能であり,インター
ネットを活用した研究用文献の検索やレポート作成等に問題はない。
(3)研究室(自習室),セミナー室なども学生が昼夜にわたって使用できる。
- 25 -
6.学生の福利厚生に対する配慮
(1)大学院生には学生教育・研究災害保険への加入を勧め,安心して教育・研究に従事
できるようにする。
(2)健康診断は,社会人学生を含めて全学生が受診できるように保健管理センターと
連携して時間帯の調整を行う。
(3)保健管理センターでは,医師が身体的,精神的な健康相談に当たっている。また,
夜間等に緊急に措置を必要とする場合には本学病院を利用することができる。
(4)蔵本キャンパスの学生食堂は夕方6時30分まで,医学部同窓会館レストランは夜8
時まで開いており,構内に軽食用の自動販売機も設置されているので,休憩時間等に
利用が可能である。また,大学周辺には多数の食堂とコンビニエンス・ストアがある。
7.入学者選抜方法
入学定員5名うち若干名を大学院設置基準第 14 条による社会人として受け入れる。
Ⅹ
管理運営の考え方
1.研究部,教育部,学部の運営体制
現在,大学院ヘルスバイオサイエンス研究部教授会(大学院ヘルスバイオサイエンス研
究部(医学系,栄養学系,保健学系,歯学系,薬学系分野)専任の教授及び研究部の教授
を併任された病院長により構成)及び同教授会に置く歯学系教授会議(歯学系の分野に所
属する教授により構成),大学院口腔科学教育部教授会(口腔科学教育部の授業等を担当
する専任教授により構成),歯学部教授会(歯学部の専任教授により構成)がそれぞれの
構成員により組織され,各教授会等の所掌に係る事項についての意思決定を行い,それぞ
れの組織運営体制が組み立てられている。本専攻の専任教授は大学院ヘルスバイオサイエ
ンス研究部の職員組織に所属し,各教授会等において所掌する事項についての意思決定を
行う。(資料 22)
2.各教授会等の概要
教授会名
組
織
所掌事項
大学院ヘルスバイオ
大学院ヘルスバ
研究部の管理運営上の重要事項
サイエンス研究部教
イオサイエンス
(研究部長の選考等)
授会
研究部専任の教
授及び研究部の
教授を併任され
た病院長
- 26 -
開催頻度
2ヶ月に1回
大学院ヘルスバイオ
歯学系の分野に
大学院ヘルスバイオサイエンス研
サイエンス研究部歯
所属する教授
究部教授会から付託を受けた事項
1ヶ月に1回
(組織及び施設の設置又は廃止,
学系教授会議
教員人事等)
大学院口腔科学教育
口腔科学教育部
口腔科学教育部(博士課程,修士課
部教授会
の授業等を担当
程)における教育課程の編成,学生
する専任教授
の入学,課程の修了その他その在籍
1ヶ月に1回
に関する事項及び学位の授与に関
する事項等
歯学部教授会
歯学部の専任教
歯学部(歯学科,口腔保健学科)に
授(歯学部に併任
おける教育課程の編成,学生の入
された大学院教
学,卒業又は課程の修了その他その
授を含む。)
在籍に関する事項及び学位の授与
1ヶ月に1回
に関する事項等
3.大学院設置後の管理運営組織の概要
大学院ヘルスバイオサイエンス研究部,大学院口腔科学教育部及び歯学部の管理運営
にあたって,それぞれの組織が機能を分担しあうことにより,一定の独立性を確保しなが
ら効率的な運営を図っている。
修士課程設置後においても,これらの管理運営組織は,現在と同様に機能させることと
する。
ⅩⅠ 自己点検・評価
1.全学及び部局ごとの自己点検・評価委員会が設置されており,継続的に組織の状況につい
て点検・評価が行われている。大学及び各部局の中期目標・計画の達成状況が定期的に評価
され,計画を具体化する方策が講じられている。業務の実績に関する報告書及び評価書は年
度ごとに取りまとめられており,その内容は徳島大学のホームページで公開されている。ま
た,各部局ごとに行われている各種の実態調査の結果や評価は全学の大学教育委員会に集約
されており,大学教育委員会は教育の質向上のための改善策を立案し,各部局に指示してい
る。各部局では,教務委員会ないしFD委員会が教育改善の実施を図っている。また,各教
員の業績を教育・研究・社会貢献・組織運営・支援業務・診療活動の6項目について総合的
に評価する全学のシステム「教員業績評価・処遇制度」が平成19年度から稼動しており,
その結果は給与など処遇に反映される。
歯学部口腔保健学科では開設当初(平成19年度)より歯学部の取組として, 各科目の
授業期間終了時に学生による授業評価(授業内容等に関する5項目,学生自身の評価に
- 27 -
関する4項目:項目ごと評価点1∼5点)を実施している。評価の結果は点数化・グラ
フ化され, 自らの授業方法・授業内容を振り返り,改善することができる。(資料23)
評価項目
①この授業のあなたの受講態度は積極的でしたか。
②この授業の前後で十分な予習・復習をしましたか。
③教員はシラバス等によって授業の目的や達成目標を明確に示しましたか。
④授業の中で,重要なことが強調されていましたか。
⑤授業内容はわかりやすかったですか。
⑥授業の進め方に教員の工夫が感じられましたか。
⑦あなたは授業の目標を達成できましたか。
⑧授業内容は,あなたの将来に役に立つと思いますか。
⑨総合的に評価して,この授業に満足しましたか。
本専攻においても,大学及び学部の自己点検・評価の方式に則りこれを実施し,外部
評価を積極的に取り入れ,PDCAサイクルのスパイラルがより効率的に働くような運営シ
ステムとする。
2.徳島大学は,平成18年度に独立行政法人大学評価・学位授与機構が行う大学機関別認
証評価を受け,その結果,機構が定める「大学評価基準を満たしている。」との評価を得
た。歯学部及び大学院口腔科学教育部も評価対象とされた。この外部評価に際して徳島大
学が提出した自己評価書及び機構による評価報告書は徳島大学HPに掲載・公表されてい
る。
ⅩⅡ 情報の提供
1.大学院口腔科学教育部では,各授業科目ごとにシラバスを作成し,授業目的や概要,
授業計画,評価方法などを記載した印刷物の配布及び歯学部ホームページにより公開し
ている。
今後,本専攻では,歯学部及び大学院口腔科学教育部の教育組織及び大学院ヘルスバ
イオサイエンス研究部の組織において,自己点検・評価及び外部評価を行い,その結果
について,報告書の刊行及びホームページ上での公開を行っていく。
2.各教員の研究活動に関する情報については,学部紹介のパンフレットに主な研究領域
を記載して広報しているほか,『徳島大学 教育・研究者情報データベース(EDB)』
において,各教員が担当授業や研究成果など教育・研究に関する個人情報を随時登録し
ている。EDBの記載内容は教員業績評価・処遇制度の基礎データとして活用される一
- 28 -
方,教育研究者の業績を学外に紹介するために徳島大学のHPで公開している。
ⅩⅢ 教員の資質の維持向上の方策
1.FDの実施
(1)全学における取組み
徳島大学では大学教育委員会の下に FD 専門委員会を設置し,同委員会が核となっ
て全学レベルでの FD 活動を企画,推進している。FD 専門委員会は本学大学開放実
践センターの教員と各学部・部局の FD 委員会の代表で構成され,FD 活動を推進す
る人材の養成を目的とした「合宿ワークショップ研修」や学内の新しい教育実践例
を発表する「学内教育カンファレンス」を毎年実施している。また「大学教育・研究
ジャーナル」の発刊や「より良い共通教育を考えるレクチャーやワークショップ」
の開催など,数多くの FD プログラムを実施しており,その活動は全国的にも先駆的
事例として注目されている。また,本学部学生委員会が卒業時に実施する「大学生
活に関するアンケート」の結果については,その後の FD 活動のなかで公開しており,
このことは各教員の授業などに対する自己啓発を促すのみならず,より質の高い授
業の確立につながっている。
活動内容は下記のとおりである。
【平成 20 年度】
①
FD ファシリテーター養成研修
平成 20 年6月 21 日∼22 日
テーマ:FD 企画の立案と実施に関するワークショップ
②
全学共通教育担当教員初任者研修
平成 20 年9月 19 日∼20 日
テーマ:共通教育における教育の質の向上と教育改善のためのワークショップ
③
授業コンサルテーション
授業改善に関するコンサルテーションと討議
④
平成 20 年 12 月 22 日
対象授業「主題別英語」
平成 21 年 3月 5日
対象授業「看護学実習」
FD とくとくセミナー
授業改善のための具体的なスキルアップを目指したレクチャーとワークショッ
プ
第1回
平成 20 年8月 29 日「歯学部における PBL-チュートリアル授業の概要」
「PPT の使い方(入門編)」
第2回
平成 20 年9月5日「学生の声から始めた授業改善」
「授業の見せ方−視聴覚資料の効果的な活用法−」
- 29 -
⑤
第3回
平成 20 年9月 26 日「授業の評価をどう行えばいいのか?」
第4回
平成 20 年 10 月3日「聴衆応答システム(クリッカー)を使ってみよう」
FD ラウンドテーブル
FD 関連の話題提供と効果的な FD 研修のあり方を討議(4回実施)
⑥
全学 FD 教育カンファレンス
平成 21 年1月 21 日
学内で実施された教育・研究に関する取組を発表(計 27 件)
【平成 21 年度】
①
FD ファシリテーター養成研修
平成 21 年6月 27 日∼28 日
テーマ:FD 企画の立案と実施に関するワークショップ
②
徳島大学 FD 推進プログラム「教育力開発基礎プログラム」
平成 21 年 8 月 10 日∼11 日
テーマ:教育の質の向上と問題解決のための相互交流と教育改善のためのワー
クショップ
③
授業コンサルテーション
授業改善に関するコンサルテーションと討議
平成 21 年9月2日 対象授業「循環器内科臨床講義」
平成 21 年 12 月 16 日
④
対象授業「機械数値解析」
FD とくとくセミナー
授業改善のための具体的なスキルアップを目指したレクチャーとワークショッ
プ
第1回
平成 21 年8月 28 日
「Significant Learning(意義ある学習)を目
指す授業設計」
第2回
平成 21 年9月 4日
「学習意欲を高める工夫を考える」
第3回
平成 21 年9月 18 日
「教育賞受賞者による『私の授業の流儀』」
第4回
平成 21 年9月 25 日
「学務系職員養成プログラム開発」現状報告
FD ラウンドテーブル
⑤
FD 関連の話題提供と効果的な FD 研修のあり方を討議(4回実施)
全学 FD 教育カンファレンス
⑥
平成 22 年3月3日
学内で実施された教育・研究に関する取組を発表(計 26 件)
(2) 歯学部口腔保健学科における取組み
歯学部では「歯学部及び大学院口腔科学教育部 FD 委員会」を平成20年度に設置
し,同委員会が歯学部 FD 活動の企画,推進を担っている。具体的な活動としては歯
学部教職員を対象とした FD に関する講演会,ワークショップの企画・運営であり,
- 30 -
口腔保健学科教員(教授1名)もその委員会のメンバーとして活動の中心的役割を
果たしている。これまでの活動内容は下記のとおりである。
【平成 20 年度】
第1回
①
歯学部及び大学院口腔科学教育部 FD 講演会
平成 20 年7月4日
講演1:「セクシャルハラスメントの防止研修」
講演2:「HBS 研究部についての現状と課題」
講演3:「歯学部のおかれている現状と教員としての対応」
講演4:「学生アンケート結果からみた教員の姿」
講演5:「学生懇談会を終えて」
講演6:「徳島大学の情報セキュリティーポリシーについて」
第2回
②
歯学部及び大学院口腔科学教育部 FD 講演会
平成 20 年 12 月 12 日
テーマ:「人の死生観」
【平成 21 年度】
FD ワークショップ
①
平成 21 年7月 11 日
テーマ:「コーチング」
② 第1回 FD 講演会
平成 21 年7月 31 日
講演1「HBS 研究部の現状と課題」
講演2「科学研究費採択に向けて」
講演3「個人情報保護について」,「学生総代との懇談会を終えて」
講演4「歯学部のおかれている現状と教員としての対応 その2−己が分を
知りて」
③
第2回
FD 講演会
平成 21 年 10 月 30 日
テーマ:「徳島大学医学部医学科におけるメンター制の現状と問題点」
2.その他の取り組み
(1)採用昇任・再任人事
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部及び徳島大学病院では,採用・昇
任にあたっては教育・研究業績及び臨床・実務経験を重視した選考及び評価を行って
いるほか,全学的取り組みとして全助教を5年の任期制としており,各教員の教育
研究業績,臨床業績,社会貢献業績等に基づく再任審査を行っている。
(2)自己点検・評価の継続
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個々の教員の教育・研究活動を継続的に評価し,改善に繋げる体制を整備する。
(3)授業評価の実施
学生に対する授業評価アンケートを実施し,その結果を担当教員にフィードバッ
クするほか,教員会議等において評価・分析を行い,改善に繋げる。
(4)教育・研究活動の活性化
教員の教育・研究活動の実績に基づく関係予算の配分を考慮する。
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