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商品技術解説
DocuWide 3030
DocuWide 3030
要
旨
DocuWide 3030 シリーズは、低価格ながら解像度
600×600dpi の高画質入出力、A0 サイズ 3 枚/分のコ
ピー・プリント速度、最大 2 本のロール紙と手差しに
て A4 サイズから A0 サイズまでに対応し、オフィス複
合機と共通のユーザーインターフェイスや容易な用
紙セットによる操作性の向上を図り、図面に不可欠な
様々な線画、青焼き図面を始めとする多様なエンジニ
アリング原稿を高品位に出力できる機能を実現した
コンパクトな広幅白黒デジタル複合機である。
Abstract
DocuWide 3030 series is a black and white
wide-format digital multifunctional device, which
執筆者
高橋
山下
松田
平山
東谷
伊東
室伏
井出
金子
中田
地川
小山
田村
壽克
茂樹
洋一
信康
健吾
圭史
省二
幹夫
照男
成人
淳二
正人
邦宏
(Toshikatsu Takahashi)
(Shigeki Yamashita)
(Yoichi Matsuda)
(Nobuyasu Hirayama)
(Kengo Azumaya)
(Keiji Itou)
(Shoji Murofushi)
(Mikio Ide)
(Teruo Kaneko)
(Naruhito Nakada)
(Junji Chikawa)
(Masato Koyama)
(Kunihiro Tamura)
produces superior performance at a lower cost as well
as compact body. It achieves advanced image quality
with increased input / output resolution of 600x600dpi,
3 A0/minute copy / print speed. Supporting A4 to A0
size media supply with a maximum two-roll media
feeder and manual feeder, it has improved operability
by the use of a common interface with office
multifunction devices and easy media installation
process. DocuWide 3030 series supports superior
image quality print and copying for various drawings
such as line drawings and blue prints, which are
prevalent in the field of engineering.
オフィスプロダクト事業本部
エンジニアリングシステム商品開発部
(Office products Business Group Engineering Systems
Product Development)
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
81
商品技術解説
DocuWide 3030
1. 緒言
当社ではエンジニアリングオフィスにおける
広幅対応複写機を長年にわたって全世界に提供
してきた。近年オフィス環境のデジタル化への
変化に伴い、エンジニアリング分野でも集中出
力から分散出力化へ移行してきており、機械の
コンパクト化、容易な操作性、低電力・省エネ
ルギー、IT 環境に対応する機能搭載、更に高画
質化などのニーズが高まっている。
DocuWide 3030 シリーズは A0 原稿/A0 出力
を対象とし、コンパクトなサイズ、青焼きを始
めとする多様な図面や原稿を高画質で入出力し、
一般オフィスにも適合する操作性を実現し、更
にはエコマーク、国際エネルギースタープログ
ラムなどの国内外の環境・省エネ・安全基準に
適合した商品であり、IT 環境に即したオフィス
におけるサービスを実現するネットワークス
キャン・ネットワークプリント、豊富な当社オ
リジナルのクライアントソフトウエアによる操
作性の良い入出力をサポートしている。本稿で
は DocuWide 3030 の商品概要とこの商品を構
成する主要技術について解説する。
2. 商品概要
DocuWide 3030 シリーズは A0 モノクロ 3 枚
/分のデジタル機である。商品には DocuWide
3030MF/DocuWide 3030EC/DocuWide 3030
表 1.
主な仕様
Main specifications of DocuWide 3030 series
項目
仕様
原稿サイズ
最大幅:914mm、最少幅:182mm
最大長さ:5000mm、最少長さ:210mm
複写サイズ
最大幅:914mm、最少幅:297mm
最大長さ:15000mm、最少長さ:210mm
解像度/階調
読み取り:600×600doi(23.6×23.6dot/mm)
書き込み:600×600doi(23.6×23.6dot/mm)
給紙方式/給紙容量
ロール紙 2 本、手差し
用紙のカット方法
定寸、シンクロ
連続複写速度
A0 タテ:3 枚/分、A1 ヨコ:5 枚/分
A2 ヨコ:7 枚/分、A3 ヨコ:9 枚/分
A4 ヨコ:11 枚/分
原稿読み取り速度
76.2mm/秒(倍率 25~100%時)
のシリーズがあり、それぞれ標準構成において
“Copy/Print/Scan”“Copy”“Print”の各機能
を提供し、お客様のニーズに対応した商品群と
なっている。表 1 に主な機能の仕様を示す。
3. 原稿読み取り画像処理技術
3.1 原稿読み取りユニット
エンジニアリングオフィスには小サイズから
大サイズまでの多種多様な原稿があり、高い操
作性、高精度の読み取りを行なうために、原稿
挿入は操作パネルが配置されている機械右方向
に寄せて行なうサイドレジスト方式、挿入部の
高さは人間工学に基づいた適切な高さに設計さ
れている。さらに読み取りには画像ずれが発生
しない 1 本構造の CIS
(Contact Image Sensor)
を採用している。
3.2 高機能画像処理
3.2.1 自動地肌検出
原稿には普通紙・青焼き・フィルム・トレー
シングペーパー等の多種が存在し、地肌濃度に
も大きな違いがあり、お客様は簡単な操作で地
肌を除去し、文字や線のイメージのみを抽出し
ようとする。
このようなお客様の要望に応えるため、読込
まれた原稿を広範囲にわたって小さなブロック
に区切り、そのブロックごとに地肌濃度を検出
している。検出されたブロックごとの濃度レベ
ルから全体に適用する最適値を演算させ、算出
された値で原稿の地肌を除去している。この方
式により、お客様はほとんど画質調整をしなく
ても一回の読み込みで最適な画質を手にするこ
とができる。図 1 に例を示す。
薄い青焼き原稿
出力イメージ
濃い青焼き原稿
出力イメージ
ファーストコピータイム 35 秒以下(上段ロール、倍率 100%時)
連続複写枚数
99 枚
ウォームアップタイム 145 秒以下(室温 22℃)
電源
AC100V、15A、50/60Hz 共用
AC120V、12A、50/60Hz 共用
AC220-240V、9A、50/60Hz 共用
大きさ
幅 1310×奥行 710×高さ 1155mm
質量
267kg(2 ロール)
82
図 1.
原稿と出力イメージ
Blue print originals and output images
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
商品技術解説
DocuWide 3030
3.2.2 多段画像処理・ハーフトーン階調表現
さまざまな原稿に対応するため、“文字/線
画”“文字/写真”“写真”
“透過”の 4 種の原稿
画質処理モードを構えている。また、原稿画像
処理とマーキングエンジンはそれぞれが固有に
入力対出力特性を有しており、これらの特性を
相互に調整・整合することで今までの当社エン
ジニアリングオフィス複写機を上回る階調表現
ができる。特に、図 2 に示すように、写真モー
ドではハーフトーンの再現性を重視したコピー
が出力される設計になっている。
ポスター写真
4.1 帯電装置
電圧をかけたゴムローラをドラムに接触させ
る直接帯電方式を採用しており、図 3 に示すよ
うに A3 サイズの帯電ローラをドラム軸方向に
千鳥状に 3 本配置して、A0 サイズを帯電する構
成としている。
A0 サイズに適応できる帯電ローラは外径に
比較して長さが長く、製造品質上ゴムの成型・
研磨・表面処理等において困難な面が多い。そ
れを解決するために、既に多くの機種に使われ
ている A3 サイズ長の帯電ローラを 3 本配置す
ることで安価な A0 サイズ対応の帯電装置を実
現している。この技術によって帯電ローラをド
ラム幅全域に均一接触させることが可能であり、
ドラム幅全域をむらなく帯電できることで高品
質なプリント画質を実現している。
出力イメージ
図 2.
ハーフトーン出力イメージ
Halftone original and output image
4. マーキング技術
DocuWide 3030 はマーキングエンジンに
ローラ方式の帯電装置および転写装置を採用し
ている。ローラ方式は帯電装置と感光体ドラム、
および転写装置と用紙を直接接触させて行なう
帯電方式であり空気中への放電がない。このた
め、機械の部品構成がシンプルに出来、高信頼
性を実現すると共にオゾンの発生を抑制できて
いる。また、露光装置に LPH(LED Printing
Head)方式を採用し、ドラムに直接露光してい
ることも併せコンパクトな機械を実現している。
図 3 にマーキング部構造を示す。
以下マーキングエンジンの広幅機に対応する
特徴的な技術について解説する。
4.2 露光装置
露光装置は 600dpi の LPH を使用している。
帯電装置と同様に汎用性がある A3 サイズ LPH
を千鳥状に 3 個配置し、A0 サイズ化している
(図 4)。3 個の LPH と感光体ドラムとの距離
は精度良く保たれなければ良好な画質を得るこ
とはできない。そのために個々の LPH の特性
に合わせて感光体ドラムとの距離を設定できる
ように当社の広幅機製造技術のノウハウを組み
入れ、3 本構成でありながら 1 本の LPH と同等
の精度を達成している。また、LPH 内発光素子
の個々の光量を均一に合わせる補正を従来同様
に採用し、新たにドラム面の結像スポット面積
を均一にする補正も加え、画像太さの均一化、
濃度均一化を向上させている。
露光装置
現像装置
帯電ロール
ドラム
転写装置
図 3.
マーキングエンジン
Marking engine
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
図 4.
露光装置
Exposure Unit
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商品技術解説
DocuWide 3030
3 本 LPH の繋ぎ部では主走査および副走査の
露光ドットずれを生じさせないように、点灯位
置および露光タイミングの制御を行なっている。
主走査方向の繋ぎ目調整はドットシフト調整と
露光量調整を併用し、1 ドット以上の繋ぎ目ず
れに対してはドットシフト調整により繋ぎ目調
整を行ない、1 ドット以下のずれにおいては、
図 5 に示すように隣接するドットの露光量を独
立してアップ、ダウンさせることで擬似的に
600dpi 以下の微細な調整ができるようにして
いる。副走査の露光タイミング調整においては、
600dpi の 1/2 の時間を最少単位として隣接
LPH の露光タイミングをずらして調整できる
ようにしている。
図 6.
露光量独立アップダウンドット
およびドットシフト対象ドット
1dot 間隔(42μm)
露光量独立アップダウンドット
図 5.
主走査調整
Method of Main Scan Adjustment
トナーカートリッジ
Toner Cartridge
4.4 転写装置
転写装置は、転写ローラを採用しており、ロー
ラで用紙をドラムに押し付けて用紙搬送しなが
ら、ドラム上のトナー画像を用紙に転写してい
る。プリントサイクルを開始する前ごとに転写
ローラの電気抵抗を測定して、その値に応じた
最適な転写電圧を選択することで、転写性能が
温湿度変化の影響を受けないようにしている。
それと共に、走行する用紙の紙質、厚み、サイ
ズに最適な転写電圧を選択することで、エンジ
ニアリングオフィスで使用される多様な用紙へ
の対応を可能としている。
4.3 現像装置およびトナーカートリッジ
現像装置では、装置内のトナーを感光体ドラ
ム上に均一に移動させるため、A0 幅の全域にお
いて現像ロールと感光体ドラムの距離を均一に
維持させることが重要であり、DocuWide 3030
では剛性の高い構造にするとともに、現像ロー
ルに作用する回転駆動力が画質に影響ある撓み
を生じさせないよう、力学的解析に基づいた最
適な部品レイアウトとしている。
トナーカートリッジ(図 6)には、ペットボ
トルと類似する材質かつ製造方法を新規導入し
た。これにより、持ち易く操作性に優れた軽量
な形状を実現している。また、透明であるため
にトナー補給時にカートリッジ内のトナーの視
認性が向上し、カートリッジ内にトナーが残る
心配もなくしている。
84
4.5 環境制御
プリントサイクルを開始する前ごとに機械設
置場所の温湿度を測定し、帯電装置・現像装置
にかける電圧、露光装置の光量を、温湿度環境
に合わせた最適値にコントロールし、例えば 1
ドット線幅は以前よりも 20%細くする等、環境
変化の影響を受けない高品質なプリント画質を
達成している。
5. 操作性
5.1 操作パネル
オフィスに調和する外観デザインと一般オ
フィス商品の操作性をエンジニアリングオフィ
スに取り入れている。機械を操作する人の直感
的な動作を実現するため、本機クラスでは最大
のタッチパネル液晶画面、設定値のフィード
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
商品技術解説
DocuWide 3030
バック表示、グラフィックアイコンでの機能表
示や状態表示、コピーとスキャン機能画面の共
通化等により、分かりやすさを重点的に開発し
た。見やすさと操作しやすさを実現するために
は操作位置の近傍である機械右側に操作パネル
を傾斜して配置し、さらには米国リハビリテー
ション法第 508 条に対応した、押下しやすい
ハードキー形状を採用している。また、多国籍
化が進むユーザー環境にあわせて選択が可能な
言語表示切替機能を当社エンジニアリング商品
として始めて導入している。
され、これまでのロール紙セットに関する作業
性を大幅に向上させた。
A0 幅ロール紙は重量が約 11kg にもなり、
セット作業は簡単なものではない。このために、
給紙装置部にロール紙を仮置きできる部材を配
置し、一旦、給紙ユニットへロール紙を仮に置
いてから用紙セットの操作ができるようにして
いる。
カッター
ロール紙
図 8.
ロール紙給紙装置(RFC)
Roll Feeder and Cutter
6. 低電力・省エネ・環境適合
6.1 環境対応
図 7.
操作パネル
Control panel
当社グリーン調達基準(*)に適合させるため、
全部品に対して有害物質の含有調査を実施して
部品選定を行ない、併せて有害物質を使わない
ことによる部品性能低下の回避も図られている。
たとえば、ワイヤーハーネスに採用したハロゲ
ンフリー電線は従来の電線に比較して被覆が傷
つき易いため、従来よりも増して配線経路や近
傍鋭利部に留意し、被覆損傷による地絡事故の
発生防止など、安全性の維持向上が実現してい
る。
5.2 ロール紙給紙装置
6.2 エネルギースター適合
給紙装置にロール紙をセットさせるには、用
紙送りローラに用紙の先端を挟み込ませる必要
があり、従来、この動作はユーザーの手動によ
り行なわれていた。DocuWide 3030 シリーズで
は、給紙装置にオートローディング機能を採用
している。送りローラ近傍に用紙先端検知セン
サを設け、用紙先端を検知するとこの送りロー
ラを駆動し、ホームポジションへ用紙を自動的
に搬送させる。すなわち、お客様は用紙先端を
用紙送りローラに突き当てるだけで、その後の
動作は自動的に行なわれる。また、ロール紙の
先端をきれいに直線状に揃える場合は、「先端
カットボタン」を押すことで、自動的にカット
エネルギースターに適合させるためには、待
機電力を基準以内に抑える必要があるが、商品
発売とほぼ同時期に、より厳しい基準が施行さ
れる予定であったため、検討段階であった改定
草案の提示値 30Wac 以下を目標とし、この
30Wac を全てコントローラに割り当てるため、
プリンター/ スキャナー部の電源はコントロー
ラ部の電源と完全に独立させたうえで、全て遮
断する方式とした。
さらに、コントローラ自身の消費電力を、抑
えるため、ATX Form Factor マザーボードが具
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
(*) 当社社内基準であり、ヨーロッパ RoHS 指令より禁止物質が多い
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商品技術解説
DocuWide 3030
備する ACPI S1 モードによる CPU クロック停
止、HDD ドライブのスリープモード遷移、機
内エアフロー最適化による空冷ファン停止を行
ない、従来商品 66Wac の半分以下である 30W
ac を達成した。これは、発売後に改訂された新
、
基準値である 58Wac 以下(複合機仕様に適用)
54Wac(プリンター仕様に適用)以下に十分に
適合している。なお、コントローラ起動時は、
コントローラ内部の処理を行なう前に定着装置
のウオームアップを開始することで待ち時間を
削減した。
6.3 100V-15A 電源対応
以前に商品化している A0 サイズ対応機では
原稿走査部は機械的・電気的に独立させていた
が、国内主流の 100V-15A 電源に対応するため
に、DocuWide 3030 シリーズでは原稿走査部を
出力装置部に一体化させ、出力装置内の負荷同
士の稼動タイミング管理と、原稿走査部の負荷
の稼動状況とを連動させて、ピーク電流を抑制
した。
6.4 定着装置
6.4.1 概要
本機の定着装置(フューザ)には、広幅機に
おいても採用実績が高いロールニップフューザ
方式を採用し、機械の使い勝手の良さと低電力
化/省エネルギーを追求し、当社従来機に対して、
更にウォームアップ時間の短縮を図っている。
100V-1.5kw の消費電力にて、広幅機特有の厳
しい定着要求である長尺プリント(914mm 幅
×15m)に対応している。
また、「普通紙/トレペ/フィルム」といった多
様な用紙種類や、「210mm 幅~914mm 幅」と
いった多様な用紙サイズに対しても、2 本の加
熱ヒータを使った適切なヒートロール温度制御
によって対応している。
6.4.2 構造概略と特徴
定着ロール自体は、アルミのパイプ材表面に
離型層をコーティングした一般的な構造であり、
ウォームアップ時間の短縮と定着ロールの放熱
による熱の損失を抑えることを目的に、当社広
幅機(914mm 幅対応機)の定着ロールとして
は最小外径となるφ40mm の定着ロールを採用
している。
小径の定着ロールを採用する場合、特に広幅
機では定着ロールの撓みが大きくなるために、
中央部のニップ幅の確保が課題となる。これを
解決させる手段として、φ40mm の定着ロール
に対して、外径φ68mm の大径で低硬度の加圧
ロールを採用している。加圧ロールは、鋼管の
表面にスポンジの弾性層を設け、更にスポンジ
層表面に耐熱チュービングを施した構造である。
また、加熱用のヒータランプは、定着ロール中
央部を加熱するセンターヒータ、両側部を加熱
するサイドヒータの 2 本のヒータに、ウォーム
ア ッ プ時 間を 短 縮さ せる ため の サブ ヒー タ
(ウォームアップ動作時のみに点灯動作する)
を 1 本加えた 3 本構成としている。これらの技
術的手段により、従来の広幅機に対して、本機
のウォームアップ時間は 2 分 25 秒以下まで短
縮することを可能とし、機械の使い勝手の向上、
および省エネルギーに寄与している。
定着ロール
5
4.5
サイドヒータ
センターヒータ
4
3.5
(
時
間
)
分
3
2.5
2
サブヒータ
1.5
1
加圧ロール
0.5
0
図 10.
当社A機(5.8kw)
当社B機(2kw)
本機(1.5kw)
ヒーター配置
Heater Layout
( )内は機械消費電力
図 9.
86
ウォームアップタイムの比較
Warm-up time comparison
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
商品技術解説
DocuWide 3030
7. コントローラ
7.1 ハードウエア
DocuWide 3030 は ATX Form Factor マザー
ボードをベースにしたコントローラアーキテク
チャを採用している。機器内部モジュール間の
画像データ転送には、従来の専用画像転送イン
ターフェイスに代わりマザーボード標準搭載資
源である USB を活用することで、簡素でより
低コストなコントローラを実現している。
また当社では顧客へのサービス性向上に寄与
できるよう製品内部に部品リサイクル情報、顧
客出力設定情報、印字履歴情報、使用履歴情報
CPU
Max.1.25[GB]
DDR 266
std.256[MB]
North Bridge
133[MHz] 64[bit]
HDD
スキャナ部
USB 2.0 Hish Speed
South Bridge
プリンタ部
USB 2.0 Hish Speed
メインテナンス
ポート
USB 2.0 Hish Speed
メインテナンス
ポート
Super
I/O
UI Interface 部
ファン
7.2 ソフトウエア
7.2.1 ソフトウエア構成
ソフトウエアは OS に汎用のリアルタイム
OS を、システムコントロール部分に当社幅広
機向けの独自の共通ミドルウエアを採用。また
マ ル チフ ァン ク ショ ン機 能は 機 能ご とに モ
ジュール化と独立化をおこない、将来の拡張性
に対応している。
10/100 Base-Tx
PHY/Tr
PCI 33[MHz] 32[bit]
等、副次的な情報を保持している。これら情報
は随時更新されるが、情報が格納される不揮発
性デバイスの書込み制約により頻繁に更新がで
きない。従って一定時間間隔または電源遮断前
の一括更新をすることになる。そのため電源ス
イッチによる電源遮断に関しては、スイッチ操
作を検知してから、情報更新・保持のために必
要な時間経過後に遮断される機構を設けている。
これは一般的なパーソナルコンピューターにお
けるシャットダウン処理機構に相当するもので
ある。
FPGA
関連商品 I/F
メイン
スイッチ
スキャナ・プリンタ部
電源制御
NVRAM
NVRAM
FlashROM
電源
図 11.
7.2.2 機能
DocuWide 3030 は幅広出力の複写・スキャン
およびプリント出力の業務に対応したマルチ
ファンクションプリンターであり、お客様のさ
まざまなニーズにこたえるべく、基本的なコ
ピー機能、スキャン機能、プリンター機能に加
えてさまざまな幅広機向けマルチファンクショ
ン機能を提供している。
ハードウエア構成図
Hardware Schematics
System Mgr
UI Panel
Serial
Device
Driver
UI Mgr
Copy Mgr
IIT Control
Scan Mgr
Print Mgr
Spool
Control
Network
Network
Decomposer
IIT
Device
Job
Mgr
USB
IOT Control
Driver
IOT
Image Lib
Input
Control
Device
Driver
Mailbox
Control
図 12.
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
ソフトウエア構成
Software Schematics
87
商品技術解説
DocuWide 3030
① 長尺コピー機能
ロール紙による 15m の長尺処理を行なうた
めに、膨大なラスタデータ(約 900MB)を処理
する必要がある。スキャナーからの画像データ
の入力データをハードディスクに格納しながら
リアルタイムにエンジンに出力する機構を新た
x 15m
に開発し、標準構成のメモリのみでも 36”
の長尺コピーを可能にした。
② SW アップグレード
DocuWide 3030 はさまざまな仕向け先にオ
プション機能を提供している。これらの機能を
お客さま先で柔軟に組み合わせるために SW
アップグレード機能を提供している。仕向け先
の販売形態・保守形態に合わせて、北米向けに
データにキーコードを暗号化して埋め込みプリ
ントジョブとして起動し機能をオンする方式と、
日本・アジア太平洋地区むけにサービスマンの
キーコード入力により機能をオンする 2 方式に
対応している。
③ プリント機能
DocuWide 3030 はマルチプロトコル、マルチ
PDL ネットワークプリンターとしての機能は
もちろん、プリンタードライバーを介さずに
CAD データの HPGL や画像データ用の TIFF
フォーマット、文書用データの PDF などのデー
タを直接プリントすることも可能としている。
HPGL のデータ処理に関しては業界標準のテス
トスイートによる互換性確認によるデータ出力
の高品位を実現している。PS3・PDF について
は Adobe 社のインタープリタを採用している。
用して効率的なスキャン操作・画像編集を行な
うことができる。また Wide Format Network
TWAIN Source ( Scanner Driver ) に よ り
DocuWorks などのアプリケーションと連携す
ることでスキャン文書の管理、加工も効率的に
おこなうことができる。
⑥ 多言語対応
ワールドワイドの市場に対応するため、各国
のお客様が自分の言語にて操作が出来るように
多くの言語に対応している。対応している言語
は下記の表のとおりである。
表 2.
多言語対応
Supported languages
市場
メインパネル
Web UI
日本
日本語/英語
日本語/中国語/英語
AP
日本語/英語
中国
日本語/英語/中国語
欧米 英語/フランス語/イタリア語/
英語/フランス語/
ドイツ語/スペイン語/
イタリア語/ドイツ語/
ポルトガル語
スペイン語/ポルトガル語
8. 結び
当社は全世界のエンジニアリング分野におい
て長年商品を提供し続けており、 DocuWide
3030 シリーズも国内発売から数ヶ月を経て全
世界にて販売を開始し、画質品質の高さ、信頼
性の高い機械との評判をいただき市場に受けら
れている。今後も、この商品の市場での評価を
踏まえて更なる価値の提供と故障のない、より
多くのお客様の期待に応えられるように商品開
発を進めて行きたいと考えている。
④ 自動モードのコピー
従来の幅広マルチファンクション機で主に使
用してきた原稿サイズと出力サイズの対応表に
よる倍率・用紙選択の方式から原稿幅・長さを
自動検知し、最適な用紙サイズを選択する方式
を採用した。これにより、幅広マルチファンク
ション機も通常のオフィス機と同様の操作性で
基本的なコピー機能を利用することができる。
⑤ ネットワークスキャン機能
スキャン画像をコントローラのハードディス
クに格納し、特別な専用インターフェイスを介
さずに、
ネットワーク経由で当社が提供する PC
ソフトウエア Wide Format Scan Service を使
88
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
商品技術解説
DocuWide 3030
筆者紹介
高橋 壽克
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:機械工学
山下 茂樹
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:電子工学
松田 洋一
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:電子工学
平山 信康
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:機械工学
東谷 健吾
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:物理工学
伊東 圭史
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:機械工学
室伏 省二
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:機械工学
井出 幹夫
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:通信工学
金子 照男
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:電気電子
工学
中田 成人
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:電子工学
地川 淳二
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:電気工学
小山 正人
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:情報工学
田村 邦宏
エンジニアリングシステム商品開発部に所属。専門分野:画像工学
富士ゼロックス テクニカルレポート No.16 2006
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