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外国人登録証明書調製業務の 業務・システム見直し方針 2005年(平成

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外国人登録証明書調製業務の 業務・システム見直し方針 2005年(平成
外国人登録証明書調製業務の
業務・システム見直し方針
2005年(平成17年)6月30日
法務省情報化統括責任者(CIO)決定
「電子政府構築計画 」(2003年(平成15年)7月17日各府省情報化統括責
任者(CIO)連絡会議決定。2004年(平成16年)6月14日一部改定)に基
づき,以下のとおり,外国人登録証明書調製業務の業務・システム見直し方針を定め
る。
法務省は,本見直し方針に沿って,外国人登録証明書調製業務について,必要な見
直しを行い,最適化に取り組むものとする。
第1
対象範囲
本方針が対象とする外国人登録証明書調製業務は,外国人登録独自のものであ
り ,我が国に居住する外国人からの外国人登録証明書の交付を伴う申請を受けて ,
市区町村又は地方入国管理局(成田空港,関西空港及び中部空港を除く地方入国
管理局支局を含む。以下同じ 。)で実施する外国人登録証明書の調製依頼,調製
及び交付,並びに法務本省入国管理局の情報システムへの外国人登録記録の反映
に係る一連の業務である。
かかる業務の中で,16歳以上の者に交付される甲様式外国人登録証明書を調
製し,また,入国管理局の情報システムに外国人登録記録を反映するための機器
として,外国人登録情報処理システムを用いている。
第2
最適化の基本理念
外国人登録証明書は,外国人が合法的な滞在者であるか否か等,その居住関係
及び身分関係を即時的に把握する目的で,外国人登録法に基づき,市区町村から
外国人登録をした外国人に対して交付されるものである。また,こうした本来の
目的とは別に,外国人が我が国で日常生活を過ごす上での身分証明書としても,
外国人登録証明書は幅広く利用されている。
また ,外国人登録記録を全国規模で把握し ,また ,出入国管理行政に役立たせ ,
外国人の公正な管理に資する目的で,外国人登録情報処理システムを用いて甲様
式外国人登録証明書を調製した際に電子データ化された外国人登録記録は入国管
理局の情報システムに反映され,外国人登録記録マスタとして情報処理されてい
る。また,甲様式外国人登録証明書の調製の際には得られない他の外国人登録記
録(16歳未満の外国人登録写票・外国人登録証明書交付報告書,変更登録報告
書,訂正報告書,無効報告書,閉鎖報告書)についても,上述の目的を実現する
-1-
ため ,市区町村から法務本省へ報告され ,外国人登録情報処理システムを通じて ,
入国管理局の情報システムに反映され,外国人登録記録マスタとして情報処理さ
れている。
ところで,我が国における外国人登録者数は年々増加してきており,この傾向
は今後も継続すると予測される 。こうした外国人登録者数の増加に伴い ,今後は ,
外国人登録証明書の調製件数及び市区町村から法務本省への外国人登録記録に係
る報告件数も増加していくことが予測されるところであり,現状よりも更に予算
効率の高い外国人登録証明書調製業務の実現を図っていく必要がある。
また,最近では,不法滞在者がコンピュータを悪用するなどして,一見して真
贋が識別困難なほど極めて精巧な偽変造外国人登録証明書を作成し,あたかも合
法滞在者であるかのように装うために用いる等の事案が散見されているところ,
このような事態に対処するためには ,「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」
(平成15年12月,犯罪対策閣僚会議決定)においても示されているとおり,
外国人登録証明書の偽変造対策を推進していく必要もある。
そこで,外国人登録証明書調製業務の最適化に当たっては,業務処理過程の重
複の排除,業務処理の集約化,近年発展が著しいIT(情報通信技術)の活用等
の方法によって,
①
市区町村の負担軽減,利便性の向上を図りつつ,
②
万全の情報セキュリティ対策を講じ,
③
外国人登録証明書調製業務の簡素化・効率化,
④
外国人登録証明書調製業務の迅速性・正確性の確保,
⑤
資源の最小化と経費の削減,
⑥
外国人登録証明書の偽変造対策の推進
を行うことを基本理念とする。
なお,本見直し方針における数値目標に関しては,最適化計画策定において外
国人登録証明書1件当たりの処理コスト及び外国人登録記録が入国管理局の情報
システムに反映されるまでに要する期間を定量的に分析し,業績指標を整理した
上,具体的な削減目標を明確にすることとする。また,近年中に削減を実現する
ことを目標とする。
第3
現状及び課題等
-2-
1
業務環境の分析
(1)外国人登録証明書調製の必要性
外国人登録証明書は,外国人登録原票の記載事項の大半と写真,署名が表
示された証明書であり,これを外国人登録をした外国人に交付し,所持させ
ることで,外国人が合法的な滞在者であるか否か等,その居住関係及び身分
関係を即時的に把握することを目的にしている。不法入国者や不法残留者が
多数存在する等の今日的状況の中では,引き続きこのような居住関係,身分
関係を即時的に把握する制度を維持していく必要がある。
(2)業務の流れ,機能及び構成等の概要
ア
外国人登録証明書の交付を伴う申請の受理
外国人から外国人登録証明書の交付を伴う申請(新規登録申請,確認
(切替)申請,引替申請及び再交付申請)があった場合,市区町村は申
請のあった内容を確認した上で,外国人登録原票を作成又は記載する。
イ
乙様式外国人登録証明書の調製
外国人登録証明書の交付を伴う申請が16歳未満の者からのものであ
った場合には,外国人登録原票の記載に基づき紙による二つ折り型の乙
様式外国人登録証明書を市区町村が調製し,これを申請者に交付する。
なお,乙様式外国人登録証明書の調製に当たっては,市区町村があら
かじめ法務省から配布された乙様式外国人登録証明書の用紙に手書き等
の方法で記入すれば良いので ,調製のための特定の機器は必要としない 。
ウ
交付予定期間の指定
外国人登録証明書の交付を伴う申請が16歳以上の者からのものであ
った場合には,外国人登録情報処理システムを用いてプラスティック型
の甲様式外国人登録証明書を地方入国管理局で調製しなければならない
ので,市区町村はこれを直ちに申請者に交付することができない。この
ため,市区町村は甲様式外国人登録証明書を交付することができる見込
みの期間を示し,同期間における甲様式外国人登録証明書の受領を指示
した交付予定期間指定書を作成し,これを申請者に交付する。
エ
外国人登録証明書調製用台紙・署名原紙の作成
市区町村は,地方入国管理局に16歳以上の者に交付される甲様式外
-3-
国人登録証明書の調製を依頼するため,調製のために必要な事項を記録
した磁気ディスク(磁気ディスクへの記録のための電子計算機が備えら
れていないことその他やむを得ない理由により,磁気ディスクへの記録
ができないときを除く 。)及び外国人の写真をはり付けた外国人登録証
明書調製用台紙・署名原紙を作成し,これを地方入国管理局あて郵送す
る。
なお,磁気ディスクへの記録の方法に関する技術的基準についてはあ
らかじめ定められており,磁気ディスクに入力された事項については外
国人登録証明書調製用台紙・署名原紙にプリンタで印字される。
オ
甲様式外国人登録証明書の調製
市区町村から送付された磁気ディスク及び外国人登録証明書調製用台
紙・署名原紙を受理した地方入国管理局は,情報処理システムにデータ
を入力し,甲様式外国人登録証明書を調製し,これを調製依頼のあった
市区町村あて郵送する。
また,甲様式外国人登録証明書を調製するために入力されたデータを
入国管理局の情報システムに反映することで,法務省で保有する外国人
登録記録マスタファイルの内容を更新処理するほか,出入国管理及び難
民認定法第62条に基づき,甲様式外国人登録証明書を調製する過程で
知り得た退去強制事由該当容疑者の通報を警備部門あて行う。
カ
甲様式外国人登録証明書の交付
地方入国管理局で調製された甲様式外国人登録証明書を受領した市区
町村は,外国人登録証明書に記載された内容が外国人登録原票と誤りが
ないかを確認した上で,これを申請者又は申請者の代理人に交付する。
キ
情報処理
外国人登録証明書を交付した市区町村は,写票・登録証明書交付報告
書を作成し,これを法務本省あて郵送する。
また,登録について変更,訂正,無効又は閉鎖が発生した場合には,
市区町村はその報告書を作成し,これを法務本省あて郵送する。
これらの報告書を市区町村から受領した法務本省は,OCR(光学文
字読取機)処理等を通じて外国人登録情報処理システムに入力すること
-4-
で,入国管理局の情報システムの外国人登録記録マスタファイルの内容
を作成,更新処理している。ただし,写票・登録証明書交付報告書の大
半を占める16歳以上の者に係るデータについては,甲様式外国人登録
証明書を調製するために入力されたデータを地方入国管理局が入国管理
局の情報システムに反映しているので,改めて16歳以上の者に係る写
票・登録証明書交付報告書のデータを外国人登録情報処理システムに入
力する必要はない。
ク
事務取扱に関する照会・回答
法務本省は,円滑かつ適正な外国人登録事務の遂行を確保する観点か
ら ,市区町村に対して事務取扱に関する技術的助言・勧告を行っている 。
(3)外国人登録情報処理システムの配備状況等(参考図1)
平成12年にリプレイスされた外国人登録情報処理システムは,法務本省
及び全国の地方入国管理局の計12カ所に端末が設置されている。
同システムは,地方入国管理局において甲様式外国人登録証明書を調製す
る機能を有しているほか,甲様式外国人登録証明書を調製するために地方入
国管理局で入力されたデータを入国管理局の情報システムに反映することで ,
法務省で保有する外国人登録記録マスタファイルの内容を作成,更新処理す
る機能を有している。また,市区町村から法務本省に送付される外国人登録
記録の各種データシート(16歳未満の者に係る外国人登録写票・外国人登
録証明書交付報告書,変更登録報告書等)についても,法務本省においてO
CR処理等を通じて同システムに入力することで,外国人登録記録マスタフ
ァイルの内容を作成,更新処理している。
(4)甲様式外国人登録証明書発給件数の推移
甲様式外国人登録証明書発給件数については,平成6年度に49万2,1
41件,平成11年度に49万3,910件であったものが,平成15年に
は61万6,647件となっており増加している状況にある。これは,外国
人登録証明書発給件数のストックとしての状況を見る手掛かりとなる我が国
における外国人登録者数が,毎年の新規入国者の中にそのまま我が国に留ま
り,中長期的に生活を送る者もいることから年々増加してきていることの影
響と考えられ,今後も甲様式外国人登録証明書の発給件数は増加していくこ
-5-
とが予測される。
また,印刷不良等の事由による甲様式外国人登録証明書の再作成件数につ
いては,現行の外国人登録情報処理システムが導入された平成12年度に1
万8 ,698件 ,平成13年度に2万4 ,981件 ,平成14年度に1万7 ,
067件,平成15年度に1万5,783件と減少する傾向にはあるが,甲
様式外国人登録証明書発給件数に比して再作成しなければならない割合は依
然として3%前後を推移している状況にある。
発給件数
再作成件数 再作成の割合
外国人登録者数
(=A)
(=B)
(=ストックとしての参考値)
(=B/A×100)
平成
6年 492,141( 年度)
1,354,011(平成 6年末)
平成
7年 511,692( 年度)
1,362,371(平成 7年末)
平成
8年 456,673( 年度)
1,415,136(平成 8年末)
平成
9年 440,301( 年度)
1,482,707(平成 9年末)
平成10年 432,438( 年度)
1,512,116(平成10年末)
平成11年 493,910( 年度)
1,556,113(平成11年末)
平成12年 641,476( 暦年) 18,698( 年度)
2.91 %
1,686,444(平成12年末)
平成13年 582,147( 暦年) 24,981( 年度)
4.29 %
1,778,462(平成13年末)
平成14年 579,309( 暦年) 17,067( 年度)
2.94 %
1,851,758(平成14年末)
平成15年 616,647( 暦年) 15,783( 年度)
2.55 %
1,915,030(平成15年末)
(注1)表中の発給件数,再作成件数及び再作成の割合については,16歳以上の外国
人に交付される甲様式外国人登録証明書についてのものである。
(注2)平成12年の発給件数については,外国人登録法一部改正(平成12年4月施
行)により指紋押なつ制度が全廃されたことに伴い,指紋の転写されていない外
国人登録証明書への確認(切替)申請が通常より多くなされたという特殊事情が
ある。
2
外国人登録証明書調製業務が有する問題点等(参考図2)
(1)外国人登録証明書調製業務が有する問題点(内部環境における阻害要因)
ア
外国人登録証明書調製業務にかかる費用の増大
外国人登録証明書調製用台紙・署名原紙等の郵送料をはじめとする外国
人登録証明書調製業務に要する費用については,業務の合理化等を図らな
-6-
い限り,今後,予想される外国人登録証明書調製件数の増加に応じて増大
していくこととなる。
イ
同一事項の重複記載
市区町村で作成する交付予定期間指定書や外国人登録証明書調製用台紙
・署名原紙等の記載事項は重複している部分が多く,既入力された情報か
らこれらを作成する機能を有する外国人登録記録入力装置が配備されてい
ない市区町村では,改めて情報を別個に記載し,内容を確認する作業を行
う必要があり,市区町村における事務の負担となるほか,誤記等が発生す
る一因にもなっている。
ウ
印刷不良等の高発生率
印刷不良等の事由による甲様式外国人登録証明書の再作成件数は,年間
で1万5千件以上発生しており,甲様式外国人登録証明書調製件数に比し
て再作成しなければならない割合が3%前後を推移している状況にあるの
で,これを改善していく必要がある。
印刷不良等の再作成事案が発生する背景として,調製媒体(インクリボ
ン,再転写フィルム)を調製用端末のプリンターへ装着する際におけるわ
ずかな「よじれ」や「ずれ」でも文字欠けやかすれが生ずる等,その取扱
いに熟練を要することや現行の外国人登録情報処理システムの調製用端末
が経年化していることが挙げられる。
エ
市区町村における外国人登録事務取扱の知識,理解度等のバラツキ
事務取扱要領を市区町村に配布したり,研修会をする等により適切な外
国人登録事務取扱の周知徹底を図っているが,必ずしも外国人登録事務取
扱の知識,理解度等は市区町村ごとに同一ではないのが実情である。この
ため市区町村から法務本省に寄せられる事務取扱の照会内容は多種多様で
あるところ,特に事務取扱件数が少ない市区町村からは経験不足等の事情
から基礎的な事務取扱に係る照会が多い傾向にある。
また,市区町村から地方入国管理局に送付される磁気ディスク及び外国
人登録証明書調製用台紙・署名原紙については,その内容を地方入国管理
局で確認しているところ,事務取扱の不知に起因した誤記等の不備が事務
取扱件数の少ない市区町村を中心に少なからず発生している。誤記等の不
-7-
備があった場合には,地方入国管理局において市区町村に連絡し,申請書
や外国人登録原票等の内容を確認等することで対処しているが,地方入国
管理局における調製業務の負担となっており,申請者に対する甲様式外国
人登録証明書の速やかな交付を妨げる結果となっている。
オ
情報伝達の遅れ
磁気ディスク及び外国人登録証明書調製用台紙・署名原紙並びに外国人
登録記録に係る各種データシートが郵送されている期間のタイムラグが発
生するため ,法務本省では外国人登録に係る情報を即時的に把握できない 。
カ
手書きにより作成された調製依頼案件への手入力対応の必要性
調製のために必要な事項を磁気ディスクへ記録するための電子計算機が
備えられていないことその他やむを得ない理由により,磁気ディスクへの
記録ができない場合には,市区町村において手書きにより作成された外国
人登録証明書調製用台紙・署名原紙を地方入国管理局へ郵送することとな
る。この場合には,調製のために必要な事項を記録した磁気ディスクがな
いため,地方入国管理局は外国人登録情報処理システムにデータを手入力
しなければならず,業務の負担となっている。
キ
外字等の処理
外国人登録特有の問題として,中国等の国では氏名に日本にはない漢字
(以下「外字等」という 。)が使われていることがあるため,市区町村は
JIS第一・第二水準の文字及び法務省から配布している登録証明書調製
事務用特殊文字コード表への登載の有無を手作業で確認した上で,外国人
登録証明書調製用台紙・署名原紙を作成し,地方入国管理局に外国人登録
証明書の調製を依頼しているところ,当該事務の処理が煩雑である。
ク
外国人登録情報処理システムの保守対応期間切れ
現在の外国人登録情報処理システムは平成12年から導入されているも
のであるが,導入時の運用見込み期間である5年間を既に経過しているた
め,システムを構成する部品によっては製造中止のため入手できないもの
もあり,システムの保守が困難な状況にある。
ケ
外国人登録記録入力装置の旧式化による機能制約
直近の外国人登録記録入力装置でも配備から4年以上が経過しており,
-8-
最も古いものはMS−DOSを使用しているなど,外国人登録記録入力装
置の更新が必要な時期にきている。また,現行の外国人登録記録入力装置
では,外字等の入力に制限がある。
( 2 )業務の見直しを行うべき社会経済状況の変化( 外部環境における促進要因 )
ア
外国人登録者数の増加
我が国における外国人登録者数は年々増加してきており,この傾向は継
続すると予測される。こうした外国人登録者数の増加に伴い,今後は,外
国人登録証明書の調製件数も増加していくことが予測されるところであり ,
現状よりも更に予算効率の高い外国人登録証明書調製業務の実現を図って
いく必要がある。
イ
外国人登録証明書偽変造対策の推進
最近では,不法滞在者がコンピュータを活用するなどして精巧な偽変造
外国人登録証明書を作成する事案が散見されており ,「犯罪に強い社会の
実現のための行動計画」においても外国人登録証明書の偽変造対策の推進
を決定されているところ,外国人登録証明書の偽変造対策を強化する必要
がある。
ウ
IT技術の進展,電子政府の構築
e−Japan戦略,e−Japan重点計画等における重点政策分野
の一つとして電子政府の実現が掲げられている。また,従前に比べ,IT
技術が進展し,高度な情報セキュリティ技術が開発され,また,パーソナ
ルコンピュータ等の調達経費は低廉化する傾向にある。
(3)業務の見直しに当たって留意すべき事項(外部環境における阻害要因)
ア
個人情報保護への対応
外国人登録証明書調製業務に係る情報は,写真,署名等も含めた個人情
報の集合体であるので,これを電子化して送信する場合には万全のセキュ
リティ対策を確保し,外国人登録の対象となる外国人や外国人登録事務を
実施する市区町村において個人情報保護への不安を招かないものとしなけ
ればならない。
イ
最適化に対する外国人,市区町村の理解の確保
外国人登録証明書調製業務の最適化については,外国人登録の対象とな
-9-
る外国人や外国人登録事務を実施する市区町村の意見,要望等を踏まえ,
十分な理解を得た上で進める必要がある。
ウ
部分的な最適化による矛盾の発生可能性
全国の市区町村の中には,外国人登録の対象となる外国人がいない,又
は,外国人登録者数が少数である市区町村も少なくないことから,すべて
の市区町村への情報システム導入による最適化が必ずしも業務全体として
の最適化にならない場合もあり得る。このため,全国一律に情報システム
を導入すべきか否かも含め,情報システムを導入するに当たってはその費
用対効果について十分に検証する必要がある。
エ
予算確保の問題
仮に外国人登録証明書調製業務に係る情報を電子化して送信する場合に
は,情報システムの配備等のために相当額の予算措置が必要となることが
予想される。
オ
市区町村における作業及び費用の負担
各種の住民行政に活用する目的で外国人登録された情報を独自に保有す
る情報システムに入力している市区町村が外国人登録者数が多いところを
中心にあり,外国人登録証明書の調製依頼についても同情報システムを利
用して行われている。このような情報システムについては,個々の市区町
村ごとに独自に構築されている状況にあるところ,外国人登録証明書調製
業務の見直しに当たり,磁気ディスクへの記録の方法に関する技術的基準
の変更によって改修が必要となる場合には,市区町村において相当額の費
用が生ずることも考えられる。
3
重点的に取り組むべき主要課題
外国人登録証明書調製業務の最適化の基本理念を達成するため,上述の業務環
境の分析及び業務が有する問題点等を踏まえ,次の事項を重点的に最適化に取り
組むべき主要課題とする。
(1)業務処理過程の見直しによる最適化
地方入国管理局における調製業務の集約化を基幹とする業務処理過程の見
直しによる業務の簡素・合理化
(2)情報システムの導入等による最適化
- 10 -
第4
ア
電子データの送受信を用いた外国人登録証明書調製業務の実現
イ
偽変造防止対策をはじめとする外国人登録情報処理システムの機能向上
ウ
外国人登録記録入力装置の機能向上と配備
見直し方針
法務省は,外国人登録証明書調製業務の実態を把握・整理し,次に掲げる観点
から必要な見直しを行うものとする。また,見直し結果を踏まえ,外国人登録証
明書調製業務の最適化計画を策定する。
1
地方入国管理局における調製業務の集約化
現在,全国11カ所の地方入国管理局で行っている外国人登録証明書を調製す
る業務について,地方入国管理局の管轄する市区町村の区域を見直して,これを
集約化することにより,業務処理を集中的に処理することができ,効率化を実現
することが可能と考えられるので,業務処理の集約化を検討する。
なお,地方入国管理局において調製された外国人登録証明書は市区町村あてに
送付されることとなるため,調製業務の集約化については物理的(地理的)制約
等が一定程度存在しており,登録された外国人に対する外国人登録証明書の円滑
な交付に支障が生じないよう配慮する必要がある。また,調製業務の集約化を検
討するに当たっては,地震等の災害が発生した場合において外国人登録証明書の
調製が滞ることがないよう,地理的なリスク分散を行う必要がある。
2
郵送から電子データの送受信への送付方法の移行
外国人登録証明書の調製依頼については,現在,外国人登録証明書の調製のた
めに必要な事項を記録した磁気ディスク(磁気ディスクへの記録のための電子計
算機が備えられていないことその他やむを得ない理由により,磁気ディスクへの
記録ができないときを除く 。),外国人の写真をはり付けた外国人登録証明書調製
用台紙及び署名原紙を市区町村から地方入国管理局に郵送する方法により実施し
ており,また,登録について変更,訂正,無効又は閉鎖があった場合には,その
報告書を市区町村から法務本省に郵送しているところ,これを郵送から電子デー
タの送受信とすることで,郵送に要する経費が削減されるほか,職員の負担軽減
と利便性の向上,外国人登録証明書調製業務の簡素化・効率化,外国人登録証明
書調製業務の迅速性・正確性の確保を実現できる可能性が高いものと考えられる 。
そこで,これら電子データの送受信をすることについて,現在の技術水準にお
- 11 -
いて,万全な情報セキュリティが確保でき,かつ,効果算定することにより費用
対効果が得られるものが実現可能かどうかを検証する。
また,電子データの送受信に用いる通信回線については ,「業務・システム最
適化計画策定指針(ガイドライン )」の別添3「業務・システムの最適化に係る
共通見直し指針」の指針4−3及び指針4−4を踏まえ,霞が関WAN,総合行
政ネットワーク(LGWAN)及び入国管理局通信ネットワークシステム(入管
WAN)の活用を検討する。
なお,送受信される電子データの情報には,氏名,生年月日等の個人情報(外
国人登録証明書の調製依頼については,さらに写真及び署名の画像情報)が含ま
れることから,十分なセキュリティ水準が確保されており,かつ,その実施に当
たり社会の十分な理解が得られている必要がある。
3
新たな情報システムの導入・活用
(1)外国人登録情報処理システムの切替
現行の外国人登録情報処理システムは平成12年から使用しているところ ,
システムを構成する部品によっては製造中止のため入手できないものもあり ,
その保守が困難な状況にある。このため,新システムへの切替を行わなけれ
ばならないが,その際に特定ベンダーに依存しない技術基盤を可能な限り利
用することで,偽変造が困難な外国人登録証明書の調製,外国人登録証明書
調製の処理能力の向上,システムの運用経費の削減(追って機能追加等の必
要が生じた場合の改修経費等を含む 。)を実現する。
なお,最近は,不法滞在者がコンピュータを活用するなどして精巧な偽変
造外国人登録証明書を作成し,あたかも合法滞在者であるかのように装うた
めに用いる等の事案が散見されており,このような事態に対処するため「犯
罪に強い社会の実現のための行動計画」においても決定されているところ,
効果的な外国人登録証明書の偽変造対策を実現することが重要である。
(2)外国人登録記録入力装置の配備,機能向上
外国人登録記録入力装置の配備について,市区町村が独自に保有する情報
システムに外国人登録記録入力装置としての機能を付与することが可能なア
プリケーション・ソフトを開発し,これを市区町村に配布する方法を採るこ
とを検討する。
- 12 -
また,外国人登録記録入力装置は,外国人登録証明書の調製のために必要
な事項を磁気ディスクに記録するための装置であり,過去に登録済みで同装
置に入力されている内容を予め表示する事前入力方式( プレ・プリント方式 )
を採用しているものであるが,その機能について磁気ディスクへの記録以外
のものを付加することにより,市区町村職員の業務負担を軽減させるととも
に,入力情報の正確性を高めることを検討する。
(新たに追加することが考えられる機能の例)
・事前入力された情報を活用した外国人登録証明書交付予定期間指定
書,乙様式外国人登録証明書及び各種報告書等の簡便な作成機能
・上記第4の1の電子データの送受信による外国人登録証明書の調製
依頼を検証して,これを実施することが可能であるとの結論が得ら
れた場合には,電子データの送信機能
・入力情報のエラー・チェック機能の充実
・基本的な事務取扱の案内機能
・外字等の検索機能
(3)市区町村が独自に構築した情報システムへの配慮
新たな情報システムの導入・活用を検討するに当たっては,住民行政サー
ビスを実施する目的で独自に構築した情報システムを活用して外国人登録証
明書の調製のために必要な事項を磁気ディスクに記録している市区町村にお
いて,当該情報システムの改修等について過度の負担を生じさせないものと
なるよう可能な限り配慮する。
4
国際標準又は事実上の標準の技術の採用
外国人登録証明書調製業務の見直しを検討した結果,新たな情報システムを導
入・活用することとした場合は,費用の低廉化を確保する観点から,外国人登録
証明書の偽変造対策に支障が生じる場合を除き,一般に普及していない特定の技
術によることなく,国際標準又は事実上の標準の技術を採用する。
5
その他
上記のほか ,「業務・システム最適化計画策定指針(ガイドライン )」の別添3
「業務・システムの最適化に係る共通見直し指針」を踏まえ,見直しを行う。
なお,外国人登録証明書調製業務の見直しに当たっては,国民,外国人及び市
- 13 -
区町村からの意見を踏まえる必要があるため,見直し方針案及び最適化計画案に
ついてパブリックコメントを実施し,また,市区町村と広範な意見交換を実施す
る。また,外国人登録証明書調製業務の見直しに関して法令・制度による制約が
存在する場合,当該制約が適切な行政運営を確保する見地から不可欠である場合
を除き,関係法令,外国人登録事務取扱要領等の改正を行い,業務処理を効率的
かつ効果的な方法に改める。
第5
最適化計画の策定
本見直し方針を踏まえ,法務省情報化推進会議の下 ,「業務・システム最適化
計画策定指針(ガイドライン )」に沿って,法務省は,平成17年度(2005
年度)中に外国人登録証明書調製業務の最適化計画を策定する。
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参考図1
外国人登録情報処理システムの配備状況等(見直し方針第3の1の(3)関連)
写票・登録証明書交付報告書
変更登録報告書 等
市区町村
法務本省
調製用FD
調製用台紙・署
名原紙
入 力
16歳以上の外国人に交付する登録
証明書の調製依頼のデータ
(『調製用FD』及び『調製用台紙・署名
原紙』)
【外国人登録情報処理システムの配備状況】
全部で12カ所に配備
・法務本省(記録入力用端末)
・11の地方入国管理局及び同支局(調製用端末)
【内訳】
札幌1台,仙台1台,東京5台,横浜1台,
名古屋2台,大阪2台,神戸1台,広島1台,
高松1台,福岡1台,那覇1台
入国管理局
情報システム
入 力
地方入国管理局
【使用している通信回線】
広域イーサネットワーク通信網
(回線種別:HSD/DA/DR)
(回線帯域:128kbps~100Mbps)
参考図2
外国人登録証明書調製業務が有する問題点等(見直し方針第3の2関連)
見直しを行うべき社会経済状況の変化
(外部環境における促進要因)
登録証明書調製業務が有する問題点等
(内部環境における阻害要因)
ア 費用の増大
ア 外国人登録者数の増加
イ 登録証明書偽変造対策の推進
ウ IT技術の進展,電子政府の構築
イ 同一事項の重複記載
ウ 印刷不良等の高い発生率
エ 市区町村における外国人登録事務取扱の
知識,理解度等のバラツキ
最適化
オ 情報伝達の遅れ
カ 手書きにより作成された調製依頼案件へ
の手入力の必要性
見直しに当たって留意すべき事項
(外部環境における阻害要因)
キ 外字等の処理
ア 個人情報保護への対応
ク 外国人登録情報処理システムの保守対応
期間切れ
イ 最適化に対する外国人,市区町村の理解
の確保
ケ 外国人登録記録入力装置の旧式化による
機能制約
ウ 部分的な最適化による矛盾の発生可能性
エ 予算確保の問題
オ 市区町村における作業及び費用の負担
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