Comments
Description
Transcript
LDセミナー 「食い違う夫と妻のライフプラン」
LD SEMINAR セミナー推進室 食い違う夫と妻のライフプラン 室 昌夫 <夫婦参加型ライフプランセミナー> ライフプランセミナーの形態は「本人型」のほか、 「夫婦参加型」 、本人型と夫婦参加型の混在する「混 在型」の三つがあるが、既婚者へのお勧めは何といっても「夫婦参加型」である。マネーデザインプラ ンの作成の際に必要な日常家計支出の実態は、妻の方が状況を掌握している家庭が多く、夫だけではな かなか作成も困難を伴う。定年後の夢やイベントについても夫が自分一人で一方的に考えても、そこに は妻の夢や考えが欠落していることが多く、現実味に欠けるプランになりやすい。「夫婦参加型」のセミ ナーでは、パートナーに対する理解度をお互いにチェックしたり、夫定年後のお互いの夢について夫婦 で語りあったり、 「本人型」セミナーとは違った独特の和やかな雰囲気がある。 しかし、現実の生活場面においては、定年後は「夫の小遣いをいくらにするか」から始まって、 「家事 分担をどうするか」といった日常生活のルールの仕切り直しや、リフォームか住替えかといった住まい の問題、一方が倒れた場合の介護対策、最終的に墓をどうするかまで、夫婦でよく話し合っておかねば ならないことがたくさんある。夫が一方的に考える定年後のライフプランは、妻の理解なしには実現は なかなか難しいといえよう。 <夫の一方的なライフプランと挫折> 例えば、住まい方の問題について考えてみると、夫は 40 年近く「職場の人」で生きてきており、長年 煩雑な職場の人間関係に神経をすり減らしてきた傾向が強い。定年により、煩わしい人間関係から解き 放たれて孤独に生きることに憧れ、田舎に居を移して晴耕雨読の自在な生活をしたいとの夢を持つ夫も 多いようだ。ある調査によると、男性は田舎志向派が多く反対に女性は都会志向派が多くなっている。 妻の方は、子どもが巣立ったあと家庭の中で孤独に閉ざされることから、豊かな人間関係を切望し地 域で生きてきた「地域の人」である。趣味に社会活動にと人脈を広げてきており、夫と違ってこれまで の生活基盤や人間関係を断ち切ることに抵抗感を強く感じるのではないか。事前に十分な妻との話し合 いなしに、夫が一方的に「田舎暮らし」を実行したものの、妻の離脱が原因となって途中で挫折するケー スも多いようである。 <夫婦のライフプランの落差を埋めておく> 妻との話し合いなしに夫が自分都合の青写真をつくってみても、妻には妻の望む人生があり、交友関 係の広がりがある。夫のライフプランと妻のライフプランに食い違いがあるのは当然で、夫の定年前に じっくり話し合い、お互いのプランの落差を埋めておく作業がどうしても必要となるのである。お互い が納得するものにしておかないと、 そのプランはやがて挫折する運命にある。 夫は何を願っているのか、 妻はどのように生きたいのか、お互いパートナーをよく知り理解することがライフプラン作成の最も大 切な前提となろう。定年後のライフプランを考えるライフプランセミナーは、夫婦が一緒に考え、共通 認識を共有できる「夫婦参加型」が望ましいといえる所以である。 30 LifeDesign REPORT 2005.9