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三井住友銀行
神奈川県立がんセンター整備運営事業 事業者ヒアリング結果概要(株式会社三井住友銀行) 日時:平成 20 年 11 月 26 日(水)10:00~12:00 場所:神奈川県庁 財産管理課会議室 【ヒアリング項目】 1 基準金利の決定時期について 2 県債の導入について 3 直接協定の締結時期等について 4 独占禁止法違反時の損害賠償金の緩和について 5 サービス及びサービス購入料の一体不可分性とサービス購入料減額及び停止措置について 【ヒアリング結果】 1 基準金利の決定時期について (株式会社三井住友銀行) ・ 基準金利の決定時期については、今回変更して頂いたことで、一般的なPFIと同水準にな ったと思う。特に本件のように建中期間の長いものに関しては、事業者側の資金調達方法に係 る柔軟性を高めるため、また建中期間はあえて変動金利を選択する事業者が存在する場合もあ るため、金融機関としては基準金利の決定時期は引渡しの2営業日前が適当と考えている。 2 県債の導入について (病院事業庁) ・ 実施方針の中でも提示したが本事業には県債の導入について検討しており、入札公告時まで には詳細をお示しする予定だったが、それも難しくなってきている。入札公告時でも県債を導 入する可能性があり、その場合に備えて準備をしてください、というお願いをすることになる かもしれない。 ・ 県債導入に伴うブレイクコストは合理的な範囲内で病院事業庁が負担する予定ではあるが、 ブレイクコストが発生するタイミングはどのあたりになるのか。融資契約時までがデッドリミ ットと考えてよいか。 (株式会社三井住友銀行) ・ 特に事業者の民間調達につき事業者が固定金利により調達した場合、または金利スワップ契 約により変動金利の固定化した場合は、融資契約締結時にあらかじめ調達時期と調達額のスケ ジュールを決めることが一般的である。 ・ 県債による貴県の一時払い(または一括払い)については、遅くとも融資契約締結時までに時 期及び各回の支払額につき確定して頂きたい。理由としては、県債による貴県の支払により、 民間調達に係る調達時期、調達額、利払時期、利払額等が当初スケジュールで決められたもの と変更となった場合に事業者にブレイクコストが発生することとなるためである。当該ブレイ クコストについては貴県にてご負担頂きたい。もっとも、事業者が変動金利で調達している場 - 1 - 合は、県債による貴県の支払時期が事業者の民間調達に係る利払時であれば、ブレイクコスト 発生の対象外となる。 ・ 融資契約時に決定する事業者に対する融資限度額については、一般的に融資契約締結後の融 資限度額の増額は行われないものであり、融資契約にて定められた融資限度額の増額は非常に 困難であるため融資契約締結後に当初予定されていた県債での貴県の一時支払額(一括支払額) が減少し、金融機関の事業者宛て融資限度額を増加させる必要が生じないようにして頂きたい。 (病院事業庁) ・ 融資契約締結時までには県債を導入するか否か、導入する場合はその金額はいくらになるか、 また、導入する場合は完工引渡時に一括して県債導入金額相当分を事業者に支払うのか、前払 金・出来高にあわせた中間払い・完成払等の複数回に別けての支払を行うのかを明確にし、事 業者に迷惑をかけないようにしたい。 ・ 我々としてはPFI事業における金融機関の役割は大きいと考えており、①不適切な事業者 が応募コンソーシアムに入らないようにする一定のフィルターのような機能、②事業期間中の リアルタイムの財務モニタリング、③SPCが傾いたときのステップインによる事業の建て直 しという3つの機能を期待している。どのくらいのロットのファイナンスが残っていれば、金 融機関が上記の役割を果たしてもらえるのだろうかというところが難しく、県立病院の経営の バランスを見たときに半分県債、半分ファイナンスなのかなと考えているが、どの程度のロッ トがあるとよいというのはあるのか。 (株式会社三井住友銀行) ・ 単純にロットだけの比較は難しい。リスクの分担が適切になされているか、借入人にとって 過度なリスク負担となっていないかなど、全体のストラクチャーの位置づけが非常に重要であ る。 3 直接協定の締結時期等について (株式会社三井住友銀行) ・ 直接協定の締結時期については、当初のスケジュールでは、来年度の2月に事業契約締結、 3月にDA(金融機関との直接協定)の締結となっているが、一般的なPFI事例でのDA締 結時期までには、事業契約締結後各種プロジェクト関連契約(設計・建設請負契約、維持管理契 約等)の精査・締結を経てだいたい3~6か月程度要する。事業契約締結時期と融資契約締結時 期及びDA締結時期との間は、もう少しゆとりをみていただいた方がよいのではないか。 (病院事業庁) ・ 12 月に落札者が決定すれば、総合評価一般競争入札である以上、特定事業契約に対する契約 交渉は基本的にはありえないので、事前に準備さえしていただければ、SPCの商業登記を含 め1か月ぐらいで特定事業契約は結べるはずである。それが終わった段階で、融資契約とDA について同時並行で進めることになると思うが、できれば融資に係るタームシート(条件規定 書)ができあがった時点から協議を始めさせていただきたい。 ・ DAにはタームシートから金融機関が権利を行使するトリガー部分(例えば、直近のDSC - 2 - Rが1.1を下回った場合に期限の利益を喪失させるなど)を抜き出して作成するので、それ ほど時間がかからずに合意ができると思う。 ・ 年度末までにDAの枠組みについて合意ができていれば、年度を越えたとしても、融資契約 の締結までの若干の期間を猶予することも許容できる。融資契約をまとめるなかで、タームシ ートから抜粋したDAの数字の部分などに若干の変更(例えばDSCRが1.1だったものが 1.2に変わるような場合)があったとしても、基本的な枠組みが変わらないのであれば、そ の点を病院事業庁が問題とすることは、基本的にない。 (株式会社三井住友銀行) ・それであれば提示されたスケジュールでの締結に向け検討可能である。 (病院事業庁) ・ これまでの神奈川県の事例では、県で今まで作ってきたものを提示させていただき、これを もとに進めていくことがほとんどであるが、他の案件ではどのように進められているのか。 (株式会社三井住友銀行) ・ 我々の場合は、こちらで一般的なDAの案をご提示させていただくことが多いが、貴県の案 をもとに進めるとしても特に問題はない。 4 独占禁止法違反時の損害賠償金の緩和について (株式会社三井住友銀行) ・ 事業契約書第 90 条の独禁法違反時の賠償金の規定については、契約金額の 100 分の 15 相当 額であり、仮に契約金額が 600 億円とすれば 90 億円にもなる。金融機関からすると、応募する 事業者に係る賠償金に対する分の手当てを求めざるをえない。その分のコストが提案価格に乗 ってくることになるので、賠償金額の引き下げ等について検討いただきたい。また、不正行為 の対象が協力企業にまで及ぶことについても事業者にとって過度の負担になるため、対象範囲 について再度検討いただきたい。 (病院事業庁) ・ 当該条項については、病院事業庁内部でも議論があるところので、ご意見を預からせていた だく。検討し、改正したものをお示しできるのは入札公告時になろうかと思うが、ご了解いた だきたい。 5 サービス及びサービス購入料の一体不可分性とサービス購入料減額及び停止措置について (株式会社三井住友銀行) ・ 先日の実施方針の一部変更によりサービス購入料の減額率はかなり軽減していただき、基本 的に 35 ポイントまでであれば割賦には食い込まない建てつけになったと思うが、やはり 36 ポ イントになると、当期のサービス購入料の支払停止となり、翌期ペナルティポイントが 10 ポイ ント以下であれば当該サービス購入料の 97%が支払われることになる。金融機関としては、支 払停止が起こりうるのであれば、その手当てをしてくださいと事業者にお願いしなければなら - 3 - ない。抑止力ということは貴県のおっしゃるとおりだが、実態と乖離があると感じるところが ある。変えていただけるところは変えていただきたい。現状のスキームでのサービス購入料の 支払停止リスクを金融機関が負うことはできないので、事業者側に何らかの手立てを講じてい ただく必要があると考える。 ・ 減額の割合に関しても、かなり改善していただいたが、減額の考え方のベースにはサービス 購入料の一体不可分性の考え方がある。一般的なPFIでは、金融機関は施設整備費の一部を 用意させていただくかたちになっており、モニタリングによるサービス購入料の減額は、維持 管理費見合いのサービス購入料のみ対象におこなわれるのが通例である。 ・ 減額が施設整備費の割賦部分にまで及ぶという可能性が0か 0.1%かによって金融機関の考え 方は変わり、可能性が 0 ではない以上「当該リスクが顕在化した場合どうなるか」と保守的に 考えるため、事業者に 0.1%でも当該リスクが顕在かする可能性あればそれなりの対応をしてい ただく必要があると言わなければならない。 ・ 事業者が行う何らかの手立てに対する追加のコストが提案価格に上乗せされることになるが、 県はそこをいかにお考えか。 (病院事業庁) ・ サービス購入料の一体不可分性という考え方は、基本的に崩すことはできない。 お願いする事業のいちばんの幹になる部分は「病院の建設だけではなく、周辺業務も含めてし っかりとサービスを提供していただき、医療スタッフが医療に集中できる環境を提供してくだ さい」ということなので、建物だけ建てればよい、掃除や給食だけちゃんとやればよいという 話ではない。 サービス購入料の支払いも提供していただいたサービスの対価として、一体として支払う。 サービス購入料の構成が分かれているのは、物価変動をみるため便宜上分けているだけであり、 そのサービス購入料をSPC内部でどのように配分していただいても結構である。 20 年間の事業期間にわたり、病院事業庁の医療スタッフが最善の医療を実施できる環境を提 供してもらうことが本事業の契約内容であることからすると、建設部分は確定債権ではなく、 途中段階で事業遂行が行えなくなれば、事業全体が不完全履行や債務不履行とならざるを得な い。 ・ これだけの減額をすることによってコストがかさむのは十分承知している。そのようなコス トが上乗せされても、直営で実施するよりも安くなればそれでよく、そのために上昇したコス トは保険のようなものであり、また、起こらないようにしっかりやってくださいというメッセ ージでもある。 今回の事業の重要性は御理解いただけると思うが、がんセンターは本県のがん政策の中心で あり、また、日々患者の生命身体を預かる我々としては、減額や違約金支払が発生しないよう にしっかり対応できる事業者でないと安心して契約できない。違約金等がいきすぎた金額で応 募者がいなくなるのであれば本末転倒なので変えていく可能性はあるが、あまりに軽いペナル ティだと抑止力にもならない。応募者も金融機関も真剣になってもらえるラインを見定めて、 そのようなことが起きないよう、よいパートナーを連れてくる、起きないような対応をしてほ しいという思いがある。 ・ 支払停止まで至るのは死亡事故など相当限られた事案になっており、実際に発生する可能性 - 4 - はほとんどないと考えていただいてよいと思う。昨今話題になっている事故米の問題のように 事業者が通常求められる検査等を行っていても混入してしまうなど、きちんとした対応策を取 っていても避けがたいことが起こったのであれば、責任は問われないことになる。帰責性の判 断は、基本的に病院事業庁がすることになると思うが、それが明確になるまでの間は支払停止 措置を取ることはない。 (株式会社三井住友銀行) ・ 本件はBTO方式であるにもかかわらず、施設整備の割賦部分も含めてサービスが一体のも のとしているのは、建設から維持管理運営までの医療環境の提供という明確な考え方があるた め、あえてこのように整理されているということか。 (病院事業庁) ・ 我々がもともと今回提示したような一体のサービスの提供を求めていないのであれば、設 計・建設・清掃・給食・警備など従来の方式でそれぞれ入札し、契約を行えば済む話である。 時間と労力をかけてでもPFI事業で行うのは一体でのサービス提供を求めていることからで もある。 ・ 法的な部分については、本県の先行事例の検討時から詰めてきており、リーガルアドバイザ ーからも問題ないとの見解をもらっている。BTOで所有権が移転したから確定債権になると いう事実はあるが、一方で割賦リース等の会計処理の考え方からもBOTは確定債権ではない と言い切れないはずである。所有権移転のタイミングだけで議論されるのはおかしくはないか。 (株式会社三井住友銀行) ・ 貴県は、貴県のお考えをお持ちだと今回しっかり分かった。 ・ しかしながら、事業者を支援する金融機関の立場として、申入れさせていただく必要がある ことはサービス購入料の支払停止時の手当てについてである。当期のサービス購入料の全額を 減額対象としているため非常にハードルが高く厳しいものと認識しており、融資を検討するた めに事業者に何らかの対処策を要求せざるを得なくなる。 ・ 仮に施設整備費と維持管理費の比率が1:1であり、支払停止の措置が当期サービス対価の 全額ではなく、50%までの支払い停止に留まり、残り 50%相当額は当期に支払われる建付けで あるとすれば、結果的に施設整備費に係る割賦相当額はサービス対価の支払い停止の影響を受 けることがない、というような建付けも検討できよう。 ・ 支払停止であっても維持管理見合いのサービス購入料部分の減額にとどまり、施設整備費見 合の割賦部分は支払われるなど、実態上、施設整備見合いの割賦部分にサービス対価の減額が 及ばないよう措置されているとよい。大きな枠組みを変えずに、かつ、融資の検討も可能とな り、ひいてはファイナンスコストが大きく乗らないかたちとすることも検討可能となる。 (病院事業庁) ・ 当期の支払いの半分だけ支払停止にする、若しくは翌期に治癒されれば残りの 47%を支払う という組立ては、我々の考え方から逸脱するものではなくそれほどおかしくないと思う。我々 も参入したい事業者を困らせる意図はない。我々の思いを理解し、きちんと対応していたけれ - 5 - ばハードルを下げることが可能だと思う。 (株式会社三井住友銀行) ・ 是非とも、ご検討お願いいたしたい。 - 6 -