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6 生物の協力体制 (4 億年前
137 億年ゼミ 2013 年 5 月 7 日(風霊守担当分) 1 前回の復習 (宇宙開闢からカンブリア紀まで) • 宇宙の誕生 (137 億年前) →銀河系の誕生 (136 億年前) →太陽系・地球の誕生 (46 億年前) • テイアの衝突 (45 億 5 千万年前:地球内部に鉄が入り磁場で太陽風を防げるようになった) • 雨が地球表面を冷やして地殻と海洋 (生命のスープ) が誕生。(約 40 億年前:冥王代) • 単細胞バクテリア (原核生物) の誕生。シアノバクテリアが光合成。(約 30 億年前:始生代) • 真核生物の誕生。細胞内共生 (シアノバクテリア→葉緑体)。(約 20 億年前:原生代前期) • 多細胞生物の誕生。エディアカラ生物群。(約 6 億年前:原生代エディアカラ紀) • カンブリア大爆発。殻・骨・歯の発達。(約 5 億年前:古生代カンブリア紀) 6 生物の協力体制 (4 億年前-2 億 5200 万年前) 植物の陸上進出 (強い幹の獲得) • 温暖化に伴い、シアノバクテリアが増加。光合成が盛んに行われ、オゾン層が形成。紫外線 をブロックできるようになり、生物は水中から陸上に生活範囲を広げることができるように なった。(『高等学校理科総合 B』より) • 原始植物の誕生。水辺で岩にへばりついて暮らす。(4 億 5 千万年前:オルドビス紀) • 水辺に生える原始植物が大地にそそり立つ樹木になるのがいかに大変か (問題点:強い幹が必要。日光確保のために背が高い方が良いが、背が高いと水を吸い上げ るのが大変。種子を遠くに飛ばすにはどうすればよいか。直下に種子を落とすと自滅。) • 意識の高い原始植物が進化。維管束植物の誕生。(4 億 2 千万年前:シルル紀) • リニア植物 (Rhynia)。リグニンを得た維管束植物。(4 億年前:デボン紀) 1912 年、スコットランドのライニー (Rhynie) で化石を発見。現在の植物の祖先。リグニン は細胞壁 (セルロース) を強化する高分子化合物。道管 (木部) の材料でもある。 石炭紀の繁栄 • 石炭紀 (約 3 億年前) には膨大な種類の植物が繁栄 • 最も古い木はヒカゲノカズラ類 (デボン紀にリニア植物から進化) 現在は背の低い植物だが、石炭紀 (約 3 億年前) には高さ 40m のレピドデンドロン (鱗木) という種類があった。 • 枝分かれした葉脈を持つ真葉植物が繁栄 (レビドデンドロンは衰退し約 2 億 7 千万年前 (二 畳紀) に絶滅) • 石炭紀に繁栄した植物は、枯れると沼地に沈み、数百万年の時を経て、熱と圧力で化学変化 (脱水反応) を起こして、石炭になった。これがやがて産業革命を推し進めることになる。 137 億年ゼミ 2013 年 5 月 7 日(風霊守担当分) 2 菌類との共生関係 (菌根による水分確保) • 細菌と違って菌類は真核生物 • 菌類は植物と同時期に陸上進出。軽い胞子を風に運ばせた。 • 現存する地球最大の生物は菌類。1998 年にオレゴン州で発見されたオニナラタケの菌床は 9km2 、600 トン、2400 歳に及ぶ。 • 菌類は生物を腐敗・発酵させて得た養分や水分の一部を木々に与え、木々は菌類に糖分を与 えている。 • 細菌では、例えば、マメ科の植物には根粒菌が共生している。菌根と混同しないよう注意。 蒸散作用と種子の登場 • 気孔で蒸散→樹液の濃度が高くなり浸透圧によって水分が吸い上げられる • 植物は最初、胞子を飛ばしていたが、低湿地や沼地にうまく落ちないと発芽できない。3 億 6000 万年前 (デボン紀) に種子を考案。中に栄養 (食料) が入っているので、発芽しやすく なった。 酸素濃度上昇と昆虫の登場 • 植物は有性生殖を身につけたが、木は動けないので受精できない。どうすればよいか? • 4 億 2000 万年前 (シルル紀)、植物の繁栄に伴い地上の酸素濃度が上がっていたので、カギ ムシ (ベルベットワーム) の仲間が地上に進出してきた。その後、ムカデなどの節足動物に 進化し、やがて昆虫に進化した。ちなみにカギムシは現存する唯一の有爪動物。 • 3 億 5000 万年前 (石炭紀) には酸素濃度が 35 パーセントになり、その十分な酸素を活かし、 昆虫は飛翔能力を手に入れた (草から草への移動が楽になった)。 • 石炭紀のトンボは現在のカモメぐらいの大きさだった (酸素が多いと生物は巨大化する) • 昆虫の中でも特に甲虫が、受粉を行い、植物の有性生殖を成功させた。土壌生物が土を作り、 昆虫が植物を育てるおかげで、生物は豊富な食料を手に入れることができるようになった。 7 進化の実験場 (3 億年前-2 億 5200 万年前) 陸に上がった魚 • デボン紀後期 (3 億 7500 万年前) ティクターリク (移行化石:魚→両生類) • デボン紀後期 (3 億 6000 万年前) イクチオステガ (最初の四肢動物) • 両生類の弱点は産卵・受精のために水辺にいなければならないこと→爬虫類に進化 • 最古の爬虫類は 3 億 1500 万年前 (石炭紀) の小型のヒロノムス。続いて、左右の目の後方に 側頭窓をもち、顎を大きく開けることができる単弓類が登場。これはのちに哺乳類へと進化 する。 137 億年ゼミ 2013 年 5 月 7 日(風霊守担当分) 3 • 単弓類では、ペルム紀 (2 億 8000 万年前) のディメトロドンが有名。ペルム紀最大の肉食動 物。背中の帆で日光を受けて体温を上げた。 ペルム紀の大量絶滅 • 2 億 5200 万年前、大陸同士がぶつかり合って一つになり超大陸パンゲアをつくった。この 衝突に伴い、シベリアで火山活動が激化。100 万年以上にわたって噴火した。現在も 200 万 km2 に及ぶ玄武岩 (シベリアントラップ) が残っている。 • 大陸を動かすプレート移動は、マントル対流に起因する。つまり、テイアのおかげ。 • 火山噴火→火山灰に空が覆われ寒冷化 (50 年) →噴火で出た二酸化炭素により温暖化→海底 のメタンハイドレートが溶出→メタンガスによりさらに温暖化→全生物の 96 パーセントが 絶滅 8 恐竜戦争 (2 億 5200 万年前-6550 万年前) 恐竜の誕生 • ペルム紀の大量絶滅でほとんどの生物が絶滅した。爬虫類もほとんどが絶滅したが、奇跡的 に単弓類のリストロサウルス (2 億 5400 万年前 (ペルム紀)-2 億 4800 万年前 (三畳紀前期)) が生き延びていた。 • リストロサウルスはパンゲア全域を支配していた。1915 年にヴェーゲナー (Wegener) に よって発表されたプレートテクトニクス理論を、1970 年代に科学者たちが認めるように なったのは、泳げないリストロサウルスの化石が世界中で発見されたため。 • リストロサウルスは、のちに哺乳類へと進化していく。 • 単弓類のリストロサウルスが繁栄していた大地に、双弓類の爬虫類が姿を現した。恐竜だ。 • 恐竜 (dinousaur) は、ギリシャ語の「恐ろしい (deinos)」と「トカゲ (saurus)」に由来。 • 恐竜とその他の爬虫類の大まかな違いは、直立しているか否か。爬虫類はガニ股。 • 最近の研究により、恐竜は尾を引きずらないことがわかっている。(ゴジラは誤り) • 最初に発見された恐竜はイグアノドン。1822 年、ギデオン・マンテルがイギリスで採掘。 化石ハンターの発掘合戦 • 1858 年 ウォリアム・フォークがニュージャージー州の自宅近くの採石場でハドロサウルス のほぼ完全な姿の化石を採掘した。 →古生物学者のコープとマーシュが共に化石発掘を開始。採石場から化石がざくざく。 →マーシュが賄賂を作業員に渡し、新しい化石が出たらまず自分に知らせるように頼む。 → 1870 年ごろ アメリカ横断鉄道の工事現場 (カンザス、ネブラスカ、コロラド) で発掘合戦 → 2 人の発掘合戦により、アメリカ国内で見つかった恐竜は 9 種から 150 種になった。 137 億年ゼミ 2013 年 5 月 7 日(風霊守担当分) 4 さまざまな恐竜たち • 恐竜はパンゲアで無敵の存在だった。這わずに歩けたのがポイント。 • ディプロドクス (竜脚類) 体長 30m、体重 11t と巨大な草食恐竜。尻尾を持ち上げて歩いて いた。 • ヒプシロフォドン (鳥脚類) 小型の草食恐竜。極めて敏捷で、9000 万年繁栄した。群れで暮 らしていた。 • イグアノドン (鳥脚類) 前脚の親指が鋭利。防御する際には二足歩行にチェンジ。 • ティラノサウルス (獣脚類) 下位分類ではティラノサウルス・レックスとも (レックスはラテ ン語で「王」)。顎が強力。走りは遅い (時速 15-50km)。 • パラサウロロフス (鳥脚類) 群れで暮らしていた。鶏冠は声を響かせるためか。 • マイアサウラ (鳥脚類) 本格的に子育てを行なっていた。 • 恐竜は地表に生息するもののみを指す。中生代には翼竜、魚竜、首長竜、などもいた。魚竜 のように陸上から再び海に戻る種がいたというのが面白い。イルカやクジラも同様で、進化 は真っ直ぐ進むものではない。 恐竜の大量絶滅 • 6550 万年前 (白亜紀の終焉)、時速 11 万 km で直径 10km の隕石がメキシコのユカタン半島 に落下。直径 160km のクレーター (チクチュルブ・クレーター) を形成し、半径 1000km 以 内のすべてを破壊した。数千個の核爆弾が同時に爆発したほどの威力。 →高さ数十メートルの津波が発生。海岸で暮らしていた陸上生物が死滅。 →ユカタン半島地下の岩石に含まれる硫黄が飛散し、空気呼吸する生物のほとんどが死滅。 →地球の反対側のインドで火山が大噴火 (現在のデカントラップ) →噴煙による温室効果で温暖化。日光が遮られ、植物も死滅。 → 50-80 パーセントの生物が絶滅。哺乳類や爬虫類や植物も甚大な被害を受けたが、両生類 と硬骨魚は打撃を受けなかった。巨大な体を持っていた恐竜は絶滅し、小型の生物のみが生 存できた。 • 1980 年にアルヴァレズが隕石の証拠を発見。6550 万年前の地層に隕石由来のイリジウムが 大量に含まれていた。 9 花と鳥とミツバチ (1 億 4500 万年前-6550 万年前) 花と昆虫の共同作業 • 花の化石が 1 億 3000 万年前 (白亜紀) に突如現れる謎。ダーウィンも生涯疑問に思って いた。 • 花は虫を誘惑する重要なアイテム。ハチと花は白亜紀に共進化したと考えられている。 • 風媒花は花が小さい (虫を誘惑する必要がないため)。エネルギーを節約できる。 137 億年ゼミ 2013 年 5 月 7 日(風霊守担当分) 5 鳥と恐竜は親類か • 始祖鳥は 1 億 4000 万年前 (白亜紀) に生息していた鳥類の祖先 • 1995 年、中国で羽毛付きの恐竜 (シノサウロプテリクス) の化石が発掘された。羽毛は保温 のためのものだったが、恐竜から鳥類に進化したことが裏付けられた。木の幹に登る鉤爪が あったことから、木から飛び降りたときに、空を飛ぶための羽を手に入れたと考えられてい るが、詳細は未解明。 ミツバチの社会 • 最初に高度な社会を形成したのは、白亜紀に花とともに登場したミツバチ。 • 分業が行われている。女王蜂、働き蜂 (子を産まないメス)、怠け者 (オス)。 • ダンスで情報伝達。蜜源が近いと円形ダンス。50m より遠いと、8 の字ダンス。進行方向で 太陽からの角度、スピードで距離を表す (遅く回るほど遠い)。 • 巣の造営には多数決の原理を採用。群れの 5 パーセントが 100 万 km2 以内から 20 ヶ所の 候補地を探してきて、ダンスでみんなに場所を伝える。気に入った場合は、巣に戻ってダン スをする。選考に 2 週間ほど要したのち、最も活発なダンスが行われた場所に引越しする。 アリのチームワーク • 同じく白亜紀にアリも登場している。アリも社会性昆虫で、階級制度があったり、教育が行 われたり、共同作業を行ったりする。 • フェロモンで情報伝達。餌までの目印、踏み潰されそうになったときの警告、互いの健康状 態の確認、などにフェロモンを用いている。 • ツムギアリは葉っぱを裁縫して巣を作る。ハキリアリはキノコを栽培する。サハラ砂漠のア リは歩数を記憶する。アマゾンのサムライアリは他種を襲撃して奴隷にする。 • シロアリ (アリの一種ではなくゴキブリの仲間) の働きアリは、口移しや糞で、仲間に食料 を分け与える。空調設備、雨水貯水室、キノコ栽培室 (シロアリはお返しにキノコの胞子を 糞と一緒にばらまく)、などを完備した高さ 5m 以上の巨大な巣を作る。土に噛んで柔らか くした木の繊維を混ぜて巣を作る方法は、初期の人類が築いた住居とそれほど変わらない。 • シロアリの兵隊アリは、頭から毒液を噴出する。前線の兵隊アリが戦ってる隙に、他のシロ アリが巣穴を塞いで、敵の侵入を阻止する。 • オーストラリアに生息する磁石シロアリは、高さ 2-3m の蟻塚を作る。蟻塚は、昼間の日 射を避けるため、南北方向に扁平な形をしている。キノコ栽培のために蟻塚の温度調整が 重要。 • シロアリエネルギーの未来。優れた発酵プロセスにより、1 枚の紙から 2L もの水素を生成 できる。 137 億年ゼミ 2013 年 5 月 7 日(風霊守担当分) 6 10 哺乳類の繁栄 (6550 万年前-700 万年前) 脇役だった哺乳類 • ペルム紀の大量絶滅までは、単弓類のディメトロドンが地球を支配していたが、その子孫で ある哺乳類は、恐竜の台頭に押されて、長い間影の薄い存在だった。夜行性で、穴の中や木 の上で暮らしていた。 • 哺乳類は恐竜から身を守るため、卵生から胎生に進化した。子育て中に巣を出る必要がない ように、母乳を分泌できるようになった。体温維持のために体毛を生やした (温血のため、 恐竜の出歩かない夜に活動できた)。 • 6550 万年前の大量絶滅により、恐竜が絶滅し、哺乳類の時代が来た。新生代の始まりで ある。 多様性の源 • 最初はネズミのような哺乳類 (アデロバシレウス) だったが、300 万年後にはイヌくらいの大 きさ (ヒラコテリウムなど) になり、500 万年後には多種多様な哺乳類が出現。始新世 (5500 万年前-3500 万年前) には、現在の哺乳類の種のほとんどが誕生している。 • 始新世には、大陸がバラバラになっていき、様々な島が生まれた。それぞれの環境に合わせ て生物が異なる種に進化していき、生物の多様性が導かれた。 • 哺乳類は 3 つのグループに大別できる。単孔類、有袋類、有胎盤類。 • 単孔類のうち現存するのはカモノハシとハリモグラだけ。哺乳類の中で唯一卵を産む。哺乳 類の進化の早い段階で分岐したと考えられている。哺乳類の特徴である母乳を分泌できる。 南米から南極大陸を経由してオーストラリア大陸に移動した。 • 有袋類も南米から南極大陸を経由してオーストラリア大陸に移動した。1500 万年前にアジ ア大陸との距離が縮まり、ネズミやコウモリがやってくると、栄華に陰りが差した。4 万年 前には人間がカヌーに乗ってやってきて、様々な動物を持ち込んだため、さらに有袋類の数 は少なくなっていった。 • 有胎盤類は哺乳類最大のグループ。ネズミ、ゾウ、人間、など。5000 万年前、海に戻った種 もいる (カイギュウ類…ジュゴンやマナフィ)。孤立していた南米大陸では、独自の進化を遂 げ、最初の有蹄類も誕生した。南米大陸の有蹄類は絶滅したが、アフリカ大陸や北米大陸で 進化した有蹄類は現在まで生き延びている。3500 万年前に海に戻ったカバは、クジラやイ ルカに進化した。 • 有蹄類に続き、大きな鉤爪をもつ食肉目が生まれ、のちに小さな鉤爪を持つ齧歯目が現れた。 • 霊長類の最大のグループはサル。のちに、旧世界ザル (オナガザル科)、新世界ザル (広鼻 猿)、類人猿に進化。 • サルは 5000 万年前にアフリカ大陸で進化し、2500 万年前に漂流物に乗って南米大陸にたど 137 億年ゼミ 2013 年 5 月 7 日(風霊守担当分) 7 り着き、その子孫が新世界ザルになった。手のように器用な尾がポイント。 • 1800 万年前にはアジア大陸にたどり着き、小型類人猿に進化した。類人猿に尾はない。腕 だけで枝から枝へ渡り歩く「ブラキエーション」の技術が発達。手首の関節が球窩関節とい う特殊な形状をしていたため、前後左右に自在に動かすことができた。 • 1000 万年前に小型類人猿 (テナガザルなど) がアフリカ大陸に戻り、大型類人猿 (オラン ウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ) に進化した。 • ゴリラのココ (手話を学んだゴリラ) により、高い知能 (言語能力・感情) を持っていること が分かった。 • 1990 年代初頭に人類とチンパンジーの DNA 配列が 96 パーセント同じであることが判明。 人類は類人猿から 700 万年前に分岐したと結論付けられた (1960 年代までは 2000 万年前だ と考えられていた)。分岐した一方はチンパンジーやボノボになり、一方は人類になった。