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第1章 序論 - 学術成果リポジトリ管理システム

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第1章 序論 - 学術成果リポジトリ管理システム
第1章
1.1
序論
生活習慣病とは
生活習慣病は、食生活や喫煙、飲酒、運動不足、睡眠、ストレスなど体の負担にな
る生活習慣を続けることに基づいて引き起こされる病気の総称で、従来は「成人病」
とよばれていた。
「成人病は本当は習
慣 病 」と 1970 年 代 末 か ら 指 摘 し て い
1,400
た日野原重明(ひのはらしげあき)
1,000
)医師らの意見を踏まえ
た公衆衛生審議会(現厚生科学審議
会)の意見具申「生活に着目した疾
推計患者数(千人)
( 1911―
1,200
0~14歳
800
15~34
600
35~64
400
65歳以上
200
0
病対策」
( 1996 年 12 月 )の 中 で 定 義
さ れ 、定 義 は「 生 活 習 慣 病( life-style
傷病分類(副傷病を含む)
related diseases)」 は 「 食 習 慣 、 運
動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生
図 1.1 疾 病 別 年 齢 別 推 計 患 者 数
(平 成 20 年 10 月 )* 1 )
活習慣が、その発症・進行に関与
する疾患群」であり、疾患群として高血圧症、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、ガン、等
を含むとしている。
この定義は、生涯を通じた生活習慣の改善により、健康増進・発病予防を目指す対
策 を 推 進 す る た め に 導 入 さ れ た 新 し い 概 念 で あ っ た 。こ の 意 見 具 申 を 受 け 、厚 生 省( 現
厚 生 労 働 省 ) は 1997 年 、「 成 人 病 」 を 「 生 活 習 慣 病 」 と 改 称 し た 。
疾患群は、現在上記の他に高脂血症、腎臓病、慢性閉塞性肺疾患、痛風、肥満、歯
周病、さらには骨粗鬆症、認知症なども含まれる。
中でも高脂血症、糖尿病、高血圧症、肥満症の疾病は、相互に合併しやすく、合併
することで加速度的に動脈硬化、心筋梗塞に至り、死の 4 重奏と呼ばれている。自覚
症 状 が 持 ち に く く 放 置 さ れ る 場 合 が 多 い 。従 っ て 加 齢 と と も に 発 症 す る 確 率 が 増 す (図
1.1)。
1.2
生活習慣病進行の実態
戦後日本における疾病の一次予防は、学校による検診、企業による検診と指導、自
治体による検診と指導など「疾病の早発発見を中心に」指導がなされてきており、が
1
んなどの疾病の早期発見には多くに寄与があったと考える。しかし生活習慣病予防の
観 点 か ら 考 え れ ば 、2009 年 度 現 在 、毎 年 医 療 費 の 8 兆円 以 上( 国 民 一 人 あ た り 約 8 万
円)が生活習慣病由来の疾病治
療に支払われているのが現状で
医療費
患者数
診察を受けた有病者だけでも高
血 圧 患 者 781 万 人 、 糖 尿 病 患 者
ん 142 万 人 合 計
約 1400 万 人 が
治療を受けており、その医療費
25000
22077
800
700
18689
20000
600
500
15000
400
11342
10000
247 万 人 ,虚 血 性 心 疾 患 患 者 86
万 人 、 脳 卒 中 患 者 137 万 人 、 が
900
24836
医療費(億円)
度 版 )2 ) 調 査 で は 、2007 年 度 に
30000
患者数(万人)
あ り 、国 民 衛 生 の 動 向( 2009 年
300
6755
200
5000
100
0
生活習慣病名
0
高血圧
糖尿病
虚血性心疾患
脳卒中
がん
図 1.2 生 活 習 慣 病 別 患 者 数 お よ び そ の 医 療 費
( 2007 年 度 ) 出 典 : 国 民 衛 生 の 動 向 ( 2009 度 版 ) * 2
は 総 額 8 兆 3699 億 円 に の ぼ り 、
医 療 費 の 33.4% に 達 し て い る ( 図 1.2) 。
国 内 に お い て 生 活 習 慣 病 罹 患 者 は 、有 病 者 だ け で も 、全 人 口 の 11% に 相 当 し て い る 。
感 染 症 対 策 が 軌 道 に 乗 っ た 1970 年 以 降 は 公 衆 衛 生 の 重 要 課 題 の 一 つ に 挙 げ 対 策 を 開
始 す べ き で あ っ た 。1935 年 に は 総 死 亡 に 占 め る 感 染 性 疾 患 と 成 人 病 の 割 合 は 、43% 対
25% で あ っ た が 、 1955 年 に は 20% 対 47% と 完 全 に 逆 転 し て い る
3) 。
図 1.3 に 生 活 習 慣 病 関 連 の 疾 病 の 医 療 費 と 感 染 症 の 代 表 で あ る 結 核 の 医 療 費 の 年 次 推 移
を示す。増大する生活習慣病関連の
30000
医療費に対し、厚生労働省が市町村
のための特定健診および特定保健指
導 を 義 務 付 け た の は 2008 年 度 か ら
である。
結核
悪性新生物
糖尿病
高血圧性疾患
虚血性心疾患
脳血管疾患
25000
疾病分類別医療費(億円)
及び健康保険組合に生活習慣病予防
20000
15000
10000
生活習慣病の進行が脳卒中罹患率
5000
を増すだけに留まらず、発症後の介
0
1982
護費用の増大をもたらしており、強
いてはそれを介護協力しなければな
らない現役世代への負担とそのこと
図 1.3
1985
1990
1995
2000
2006 年
結核と生活習慣病関連医療費の年次推移
出 典 : 国 民 医 療 費 ( 2000 度 版 + 2008 年 度 版 )
に よ る 生 産 性 の 低 下 な ど を 考 慮 す れ ば 、こ の 分 野( 公 衆 衛 生 )に お け る 行 政 、学 識 経 験 者 、
企業(産業医)の生活習慣病予防に対する社会システム構築提言力の欠如は残念とも思え
2
る。
1.3
生活習慣病予防のためのコホート研究
世 界 の コ ホ ー ト 研 究 (注 1 )は 1948 年 に 米 国 フ ラ ミ ン ガ ム の 地 域 住 民 の 健 康 管 理 を 目
的とした心臓病、動脈硬化症などの生活習慣病の疫学研究と予防研究
4) に 始 ま っ た 。
この研究の特色は、同一地域にさまざまな研究チームが参加し、運動、栄養、行動心
理 な ど 総 合 的 な 観 点 か ら 研 究 が 実 施 さ れ て い る こ と と 60 年 以 上 に わ た り 同 一 の コ ホ
ートで研究継続していることである。日本におけるコホート研究は、このコホート研
究 の 成 果 報 告 に 刺 激 を 受 け 、脳 卒 中 の 原 因 の 特 定 を 目 的 と し て 1961 年 か ら 福 岡 県 久 山
町で始まった。当時、死亡率の上位を占める脳卒中は、その原因がなかなか特定でき
ず、しかも多要因が複雑に関与し長年の経緯を経て発症することが分かっていた。こ
のような病態の疾病に対応するため、九州大学医学部を中心に、コホート研究により
脳卒中の早期発見の方法、病態の正確な診断方法、診断ごとの予防を含めた健康管理
の方法を確立することを目的に開始された。
福 岡 県 久 山 町 ( 人 口 約 6500 人 ) の 40 歳 以 上 の 住 民 1658 名 に つ い て 、 脳 血 管 疾 患
の有病率、罹患率、高血圧
対1000人.年
患者の頻度と程度、年次推
70
移、心電図所見などをデー
60
梗塞、血栓、クモ膜下出血
など)の実態、治療効果、
リスク判定、予後などの検
討
5) が 行 わ れ 大 き な 成 果 を
収めた。日本では欧米と違
い、脳卒中の最大の原因は
久山町第一集団,60歳以上の男女,580名
追跡32年 性、年齢調整
*<0.05(対<120/80mmHg)
50
発症率
タ蓄積し、脳卒中(出血、
*
40
*
30
23.8
20
10
61.7
7.3
8.9
*
23.8
12.5
0
収縮期血圧 SYS<120
(mmHg)
かつ
拡張期血圧
DIA<80
(mmHg)
120~129 130~139 140~159 160~179
または
80~84
または
85~89
または
90~99
180≦
または
または
100~109 110≦
高血圧であることを解明し
た
6 )( 図
1.4)。 減 塩 指 導 や 降
図 1.4 血 圧 値 別 に み た 脳 卒 中 発 症 率
6)
圧 薬 普 及 な ど の 対 策 を 講 じ 、 70 年 代 に 町 内 の 脳 卒 中 患 者 数 は 3 分 の 1 に 減 っ た 。 こ の
研究
7) を 通 じ て 生 活 習 慣 病 発 症 予 防 の た め に 血 圧 管 理 が 重 要 で あ る と の 認 識 が 出 来 上
がった。しかし、当時から疫学関連の研究費は少なく、政策的な関心も少なかったた
め、他地域を含めた大規模なコホート研究及びその成果の制度としての全国的な応用
1 分 析 疫 学 に お け る 1 つ の 手 法 。コ ー ホ ー ト( cohort)と は 、共 通 し た 因 子 を 持 ち 、観 察 対
象となる集団のこと
3
は出来なかった
8) 。
そ の 間 に 着 実 に 生 活 習 慣 病 は 進 行 し 、 図 1.3 で 示 し た 医 療 費 の 状 態 を 出 現 さ せ て い
る。
再びコホート研究の重要性を示した研究は、家庭での血圧計測が診療所などの医療
機関での血圧計測より、生命予後をより正確に推定できることを示した大迫研究であ
る 。大 迫 研 究 は 、1986 年 に 岩 手 県 花 巻 市 大 迫 町 (人 口 約 6,700 人 )で 開 始 さ れ 、24 時 間
自 由 行 動 下 血 圧 を 40 歳 以 上 の 約 1,500 人 を 対 象 に 、家 庭 血 圧( 早 朝 起 床 後 1 時 間 以 内
毎 朝 一 回 、3 週 間 )を 40 歳 以 上 の 約 2,000 人 を 対 象 に 計 測 し た 。そ の 研 究 結 果 は 1997
年 米 国 合 同 委 員 会 勧 告 、1999 年 WHO/ISH 高 血 圧 ガ イ ド ラ イ ン
高血圧ガイドライン
8 )、2003
年 ESH/ESC
9) に お け る 、 家 庭 血 圧 ( 家 庭 血 圧 に お け る 高 血 圧 の 基 準 値 を
135mmHg / 85mmHg)、 自 由 行 動 下 血 圧 の 臨 床 的 意 義 に 関 す る 記 述 の 一 部 に 引 用 さ れ
る な ど 国 際 的 な 基 準 に 採 用 さ れ る と 共 に 、国 内 で も 高 血 圧 の 治 療 ガ イ ド ラ イ ン( 2004、
2009)11-12 ) に 臨 床 的 な 家 庭 血 圧 の 計 測 意 義 、基 準 な ど に 採 用 さ れ 在 宅 健 康 機 器 に よ る
バ イ タ ル 情 報 計 測 の 必 要 性 を 確 固 た る も の に し た 。ま た 調 査 項 目 も 多 岐 に わ た り 身 長 、
体 重 、カ フ 血 圧 計 測 以 外 に 24 時 間 自 由 行 動 血 圧 、脈 派 伝 搬 速 度 、高 血 圧・臓 器 障 害 の
関 連 遺 伝 子 の 検 索 、 糖 負 荷 試 験 、 血 中 イ ン ス リ ン 、 頭 部 MRI、 頚 動 脈 エ コ ー 、 認 知 症
検 査 、 ADL に 加 え 、 生 活 習 慣 調 査 、 問 診 な ど の デ ー タ を 蓄 積 中 で あ る
13-25 )。
同 様 の 家 庭 計 測 血 圧 の 研 究 は 各 国 で 行 わ れ 、 イ タ リ ア の PAMELA 研 究
PIUMA 研 究
29 ) ,
ベ ル ギ ー の Belgian population 研 究
26-28 ) ,
30) な ど と 共 に 研 究 さ れ 、 そ の
結 果 、 24 時 間 血 圧 ( ambulatory blood pressure; ABP ) , 家 庭 血 圧 ( Home Blood
Pressure;HBP,)の 平 均 値 は 民 族 差 が 少 な く 類 似 し て い る こ と が 分 か り つ つ あ る 。こ
れらの研究を通じて在宅医療情報の重要性が広く認識され、生活習慣病予防には在宅
医療情報が不可欠であるとの意識を医師、自治体の公衆衛生担当者が持つに至ってい
る。
一 方 で 、日 本 で は 、米 国 の コ ホ ー ト 研 究 の 様 に 60 年 以 上 に わ た る 長 期 疫 学 研 究 は 皆
無 で あ り 、 3~ 6 年 程 度 の 一 般 公 募 型 、 指 定 研 究 型 、 戦 略 型 、 プ ロ ジ ェ ク ト 提 案 型 、 若
手育成型の厚生労働科学研究でしか実施されておらず、研究効率、事実推定確率向上
の観点からも、長期疫学研究の場所を固定して研究することが大切で、同一地域の同
一のデータベースを共有し、研究テーマ毎に研究メンバーを変更する方式が疫学研究
では望まれる。この長期疫学研究が十分でないことは厚生労働省主催の中長期的な厚
生労働科学研究費のあり方などで、意見として出されているが、対策は明文化されて
いない
31 )。
4
上記の久山町、大迫町でもそれぞれ脳卒中の原因究明、家庭血圧計測の重要性の証
明として世界的な影響力を有し様々な疫学研究の開始に寄与したが、生活習慣病の介
入指導研究としての役割を十分に有しているとは言えず、今後この生活習慣病予防の
ための介入指導研究のコホートをどの地域に設定するかは重要な課題である。
1.4 1990 年代の経済界の動き
1990 年 代 か ら 経 済 界 と し て 21 世 紀 へ 向 け て の 課 題 を 整 理 し 、 そ の 中 の 優 先 課 題 の
一つとして、高齢化問題が取り上げられた。当時、高齢化に伴い生活習慣病の罹患者
数が増大し、医療費の増大
をもたらす危険性が高いと
兆円
35
考えられていた。しかも脳
33
卒中などの疾病は、救命率
31
すとともに医療費をさらに
押し上げていった。
27
12
25
23
19
た 国 民 医 療 費 が 1995 年 に は
17
4
2006
医療費の推移
2005
図 1.5
2004
療 費 は 国 民 所 得 の 7.2% 、一
本
人
3
割
負
2003
出に対する医療費国庫負担
2002
ならびに国家財政の一般支
高介
齢護
者保
1 険
割制
負度
担施
行
2001
▲ 担本
人
1
. 薬2
3 価割
負
%
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1985
円に達しており、国民所得
が 増 大 し 1995 年 度 で は 、医
国民医療費の国民所得
に対する割合(%)
8
15
年度
国民医療費
(兆円)
一般支出に対する医療
費国庫負担割合(%)
21
1985 年 に は 16 兆 円 だ っ
27 兆 円 、 2005 年 に は 33 兆
16
29
医療費
が年々向上し、患者数が増
20
▲診
3 療
. 報
1 酬
6 ・
%薬
価
( 平 成 21 年 度 厚 生 労 働 白 書 *32 )
般 支 出 に 占 め る 割 合 は 14.7% に 達 し 、国 家 財 政 に 占 め る 割 合 が 増 加 の 一 途 を 辿 っ た( 図
1.5) 。
こ の 状 況 打 開 の た め に 、当 時 経 団 連 の 副 会 長 を 務 め た M 社 では 、電 機 メ ー カ と し て
医 療 費 低 減 の た め に 何 が で き る か を 検 討 す る チ ー ム を 社 長 室 直 轄 で 1995 年 に 発 足 さ
せた。このチームでは従来の医療機器、レセプト管理などの他に上記の状況を打開す
る 介 護 負 担 軽 減 、医 療 費 低 減 の た め の 事 業 化 の 推 進 、シ ス テ ム 及 び 試 作 機 の 開 発 設 計 、
及び市場調査を担当した。それぞれの項目の事業化の可否及び量産試作は、各工場と
共同で実施した。M 社の医療費の解析の結果、①生活習慣病予防のため在宅健康管理
の推進、②健診データとレセプトデータの統合及び電子カルテの推進と③介護予防を
重点事業とし、以下の 7 つのテーマを検討した。医師との共同事業開発を基本とし、
5
この分野における基盤技術のあり方、事業スキームの可能性、事業実施上の問題点を
洗 い 出 し 事 業 性 の 判 断 を 行 っ て お り 、テ ー マ は 、
( 1 )地 域 在 宅 診 療 推 進 の た め の 遠 隔
医 療 シ ス テ ム の 開 発( 2 )生 活 習 慣 病 予 防 の た め の IT を 利 用 し た 血 圧 計 の ネ ッ ト ワ ー
ク利用システムの開発、
( 3 )脳 卒 中 患 者 の 麻 痺 を サ ー ボ 制 御 技 術 に よ り 改 善 す る 運 動
療 法 シ ス テ ム の 開 発( 4 )電 子 カ ル テ の 開 発( 5 )介 護 サ ー ビ ス 相 談 ・支 援 シ ス テ ム の
開 発 で あ っ た 。ま た 併 せ て 長 期 的 な 厚 生 科 学 技 術 開 発 協 力 と し て 、
( 6 )緩 和 ケ ア -の た
めの五感(運動、嗅覚、視覚、聴覚)を利用した緩和方法の開発(7)手術シミュレ
ータの開発なども研究テーマとして取り組まれた。
1.5
在宅診療システム
在 宅 診 療 シ ス テ ム の 推 進 は 、1993 年 頃 か ら( 1 )厚 生 省 の 情 報 技 術 開 発 研 究 事 業「 医
療 情 報 の 総 合 的 推 進 に 関 す る 研 究 」、( 2 ) 郵 政 省 の 自 治 体 ネ ッ ト ワ ー ク 施 設 整 備 事 業
の一つとしての「医療・保健・福祉分野のアプリケーションの開発・普及のための施
設 整 備 事 業 」、
( 3 )通 産 省 の ホ ー ム ネ ッ ト ワ ー ク 応 用 と し て の 在 宅 診 療 事 業 の 3 つ
からアプローチされた。それぞれのアプローチされた内容は下記のとおりである。
1.5.1
厚生省の情報技術開発研究事業「医療情報の総合的推進に関する研究」
1998 年 度 ま で に 終 え た 厚 生 省 情 報 技 術 開 発 研 究 事 業「 医 療 情 報 の 総 合 的 推 進 に 関
す る 研 究 」調 査
33 ) を 表
1.1 に 示 す 。筆 者 ら も 事 業 化 検 討 の 原 則( 医 師 と の 共 同 研 究 )
よりこの方法でアプローチした。
6
表 1.1
厚生省
情報開発研究事業「医療情報の総合的推進に関する研究」
中核施設(部署)
連携施設(数:施設
名)
概要(対象データ/目的)
/訪問診察・訪問看護,健
小国町立病院(山形県)(継続看護婦室) 15:患者宅(町内)
康相談
:寝たきり患者宅,東 双方向テレビ通信/在宅療
山形県西川町立病院
海大学医学部
養の様子をモニター
15:患者宅(板橋区), /在宅ケア支援,テレビ電
東京医科歯科大(公衆衛生学教室)
お年寄り保健福祉 話システムを活用する効果
センタ(板橋区)
に関する評価
機材等(主装置+通信路)
VS-700(富士通製) + ISDN(64)
1:特別養護老人
ホーム久我山園
国立大蔵病院(臨床研究部)
胎児心拍数,子宮収縮モニ
3:国立水戸病院,茨 タリング,検査データ/妊婦
分娩監視装置,TV電話,インターネット端
城県立こども病院, 管理,妊婦検診,胎児管理,
末,モデム + アナログ回線,ISDN(64)
国立小児病院
在宅患者・担当医師用マル
チメディアシステムの開発
東京医科歯科大(公衆衛生学教室)
20:患者宅
3:患者宅,春江町ク
リニック(江戸川区),
東京医科歯科大医
用機材研究所,他
2:ケアサポートス
東京医科歯科大学医学部(公衆衛生学 テーションMOMO,
教室)
訪問看護ステーショ
ンみどり
1:医療法人長樹会
済生会神奈川県病院
杉浦内科クリニック
東京医科歯科大(公衆衛生学教室)
沼田脳神経外科循環器科病院(ME室) :患者宅
諏訪中央病院(長野県)
諏訪中央病院(長野県)
NTT九州病院(小児科)
:フィールドワーク
4:上諏訪病院,原村
診療所,特別養護老
人ホーム,他
7:離島診療所,特別
養護老人施設,在宅
患者宅,他
1994/4~
1996/3
TV会議システム(NTT),Mac,口腔内観察
1995/10
用カメラ,携帯型超音波断層診断装置,
~
血圧・心電図自動測定装置 +
1995/12
ISDN(1500,2回線)
社会福祉法人康和会久我山病院(内
科)
/遠隔からの内科診察
時期
健康測定器,健康管理PC,ペンPC,HV- 1994/12
300 + ISDN(64)
~1996/9
1996/6~
双方向TV会議用システム + ISDN
1996/7
1996/10
~1997/2
動画テレビ電話画像/在宅
TV電話(IS-100) + ISDN(64)
リハビリテーション指導
1990/11
~1993/6
動画テレビ電話画像/総合
的在宅ケア支援,医療福祉 TV電話(IS-100) + ISDN(64)
連携ネットワーク
1993/6~
1994/3
/在宅ケアサービスモデル テレケア端末 + INS64
1997/4~
1997/12
1997/6~
1997/10
1994/12
~1995/1
/病診連携、在宅ケア
Picsend-R,PC-Phoenix + ISDN
動画像伝送/在宅患者を
遠隔診療
/在宅慢性呼吸不全患者
の遠隔監視システム
TV会議システム(富士通製) +
ISDN(128Kbps)
パルスオキシメータ,ノートPC,モデム + アナログ
回線
動画像/在宅治療システ
ム,在宅医療支援システム
+ 電話回線,CATV
1984~
静止画・動画/遠隔診療,
診療支援,医療情報交換
フェニックス,デジタルカメラ,イメージスキャナ +
ISDN(64)
1996/12
~1997/6
こ れ ら の シ ス テ ム の 殆 ど が 患 者 ― 医 師 間 の 対 面 遠 隔 診 療 (Tele-consultation)で あ り 、
医師のボランティアによって運営されていた。実証も通常の診療時間外で実施されて
い る 。厚 生 省 で は 、こ れ ら の 実 証 を 経 て 1997 年 12 月 、
「遠隔診療によって直接の対面
診療に代替し得る程度の患者の心身に関する有用な情報が得られる場合には、直接の
対 面 診 療 を 原 則 と し た 医 師 法 第 20 条 等 に は 抵 触 し な い 。」 と の 、 健 康 政 策 局 長 名 に よ
る各都道府県知事あての通知が出された。これらの方式の欠点は、医師の時間制約が
大きく、遠隔診療の診療報酬が十分でないため爆発的な普及には至らなかったが、へ
き地医療拠点病院などで着実に導入され、その後診療報酬の適用範囲が少しずつ拡大
さ れ ゆ っ く り と し た 適 用 拡 大 が 起 こ っ て い る 。2009 年 度 に は へ き 地 医 療 拠 点 病 院 で の
遠 隔 診 療 実 施 比 率 は 、14.4%( へ き 地 病 院 263 病 院 中 38 病 院 )と 報 告 さ れ て い る
34 )。
筆 者 ら も 上 記 プ ロ ジ ェ ク ト (旧 国 立 大 蔵 病 院 臨 床 研 究 部 )に 参 加 し 、「 エ ン ゼ ル ケ ア 」
と い う 商 品 名 で 、雪 国 の 妊 婦 が 在 宅 で 胎 児 心 拍 数 ,心 音 、子 宮 収 縮 モ ニ タ リ ン グ 検 査 デ
ー タ 、妊 婦 の 顔 色 、声 を 医 師 に 送 り 診 察 を 受 け る こ と が で き る( 電 話 回 線 上 の マ ル チ
7
メディア伝送技術)商品を開発
35-38) 、 1998
年から市場投入した。遠隔診療に診療報
酬 が 設 定 さ れ て い な い 当 時 の シ ス テ ム 開 発 で 、実 質 的 に 診 療 費 が 実 費 で 支 払 わ れ て い
る 正 常 妊 婦 に シ ス テ ム を 導 入 す れ ば 、遠 隔 診 療 に 診 療 報 酬 が 設 定 さ れ て い な く と も 事
業化が可能であること。東北地区など冬に正常妊婦が長い時間をかけて、2 週間に 1
回 程 度 、町 の 産 婦 人 科 ま で 診 察 に 出 か け て い る 現 状 を 踏 ま え 、国 立 大 蔵 病 院 臨 床 研 究
部( 現 国 立 成 育 医 療 セ ン タ ー )の 指 導 の 下 、妊 婦 の 心 音 、腹 部 の 張 り 具 合 の 検 査 機 器
を 製 造 し て い た ト ー イ ツ 株 式 会 社 と 共 同 開 発 を 実 施 し た 。伝 送 媒 体 は 、ア ナ ロ グ 電 話
回 線 に 加 え 、I S D N 回 線 、イ ン タ ー ネ ッ ト 回 線 、C A T V 網 な ど が 普 及 し だ し た 時
期 で は あ っ た が 地 方 が 圧 倒 的 に ア ナ ロ グ 電 話 回 線 、ア ナ ロ グ 交 換 機 網 だ っ た た め 、ア
ナ ロ グ 電 話 回 線 上 で 、妊 婦 の 顔 色 、妊 婦 の 声 、腹 部 の 張 力 、胎 児 の 心 音 、心 拍 数 を ほ
ぼ 同 時 に 伝 送 す る 方 式 を 開 発 し た 。当 時 電 電 公 社 は 9.6kbps の 伝 送 容 量 を 保 証 し て い
た が 、 実 際 は 古 い ア ナ ロ グ 交 換 機 を 経 由 す る と 品 質 は 安 定 せ ず 、 9.6kbps の 保 証 は 、
平 均 的 な 地 域( 古 い 交 換 機 で 回 線 交 換 し て い る 地 域 で な い 地 域 )の 平 均 値 で 、回 線 品
質 を 把 握 し な い と 実 用 に 耐 え る マ ル チ メ デ ィ ア 伝 送 が 不 可 能 で あ り 、タ イ ム ス タ ン プ
を 用 い て 、回 線 品 質 を 時 事 刻 々 把 握 し 、伝 送 す べ き 各 情 報 の 到 達 時 間 が 同 じ に な る よ
うに、各情報のコーデックを変える方式特許
39-40 ) を 考 案 し 、 回 線 品 質 に 影 響 を 受 け
な い 伝 送 を 実 現 し た 。量 産 機 種「 エ ン ゼ ル ケ ア 」の 開 発 に 当 た っ て は 、I S D N 版 も
要 求 さ れ る 可 能 性 が あ り 、選 択 で き る よ う に 構 成 し た 。こ の 製 品 は 岩 手 県 な ど へ き 地
を 中 心 に 販 売 さ れ 2010 年 現 在 で も 稼 働 し て い る 。
1.5.2
郵 政 省 の 自 治 体 ネ ッ ト ワ ー ク 施 設 整 備 事 業 の 一 つ と し て の「 医 療・ 保 健 ・ 福 祉
分野のアプリケーションの開発・普及のための施設整備事業
郵 政 省 に お い て は 、1996 年 度 か ら 順 次 、地 域・生 活 情 報 通 信 基 盤 高 度 化 事 業 の 一 環
として、自治体ネットワーク施設整備事業を展開し、病院等を情報通信ネットワーク
に接続し、医療・保健・福祉分野のアプリケーションの開発・普及のための施設整備
を行う地方公共団体を支援した。
8
表 1.2
郵政省
自治体ネットワーク施設整備事業
「医療・保健・福祉分野のアプリケーションの開発・普及のための施設整備事業」
№
名 称
導入地域
北海道別海町
1
遠隔医療推進モデル事業
2
在宅ケア支援システム実
用化実験
期間
分野
区分 実施主体/関係主体
H10.11~
医療・福祉 実験
H12.3
利用者支援施策
概 要
別海町は行政面積が国内で最も広い町の一つであ
別海町、町立別海病
り、本実験は、世帯密度が小さい地域で地理的障害
院、町民保健セン
医師・看護婦(町立病院) をテレビ電話による診断によって克服しようとする試
ター在宅患者(5世
み。町立病院と在宅患者宅をINS64回線で結んで、
帯)
テレビ電話やバイタルセンサーを利用した実験を実
高齢者(4世帯)、ボラ
ンティア等(総合福祉セ
富士通(株)、社会福
ンター)メロウ・ソサエ
祉協議会
ティ構想(資源エネル
ギー庁)
「在宅ケア支援システム」の実用化実験で、高齢者
宅には、血圧、心拍などのセンサーや緊急通報装置
を装備している。センター側にはテレビ電話機能付
きパソコンを設置。町では平成5年度から電話によ
る高齢者コールサービスを実施しており、本実験はこれを
マルチメディア化したもの。ボランティア主体の運
用を行っている点が特徴である。
H8.10~
H11.3
医療・福
祉
3
マルチメディア住宅実証事
業マルチメディア住宅リ
岩手県遠野市
モートケア実証実験(建設
省)
H10.3~
H10.8
福祉実験
(継続利
用)
実験
岩手県
4
在宅健康管理システム/遠
隔医療推進モデル事業(厚 岩手県釜石市
生省)
H9.4~
H12.3
医療実験
実験
バイタルデータの収集装置(愛称:うらら)を独自に開
釜石市、せいてつ記
発。うららを各家庭に設置し、テレビ電話を組みあわ
念病院、釜石ケーブ 市民(12世帯)高齢者等
せて、遠隔医療、遠隔介護に利用。CATV網の活用
ルテレビ
が特徴。システムの運営は病院が行っている。
5
マルチメディアビレッジ事業
/自治体ネットワーク施設
整備事業(郵政省)遠隔医 福島県葛尾村
療推進モデル事業(厚生
省)
H10.4~
H13.3
医療・福祉 実験
実験葛尾村マルチメ
マルチメディアセンターを設置し、多地点接続装置や
ディアビレッジ推進協
葛尾村村民宅(全戸、約 VOD装置を整備するとともに、村内の全戸にテレビ
議会(葛尾村役場、
470世帯)
電話を配備し、医療・福祉、教育、行政など様々な分
福島県、郡山女子
野での利用実験を行う。
大、NTT他)
6
遠隔介護相談/科学技術
茨城県里美村
庁による実験
H6.4~
H9.3( 一
医療・福祉 実験
部継続
中)
北海道栗山町
実験
テレビ電話、バイタルセンサー、ファクシミリのセットを
遠野市内の要介護者宅20世帯に導入。離れて生活
遠野市要介護者宅(20
する要介護者の家族等(遠野市内10世帯、岩手県
世帯)、支援者宅(20
内5世帯、東京など県外5世帯)とテレビ電話で結
世帯、県外を含む)
び、遠隔介護、生活交流をテーマに実証実験を実
施。
村内診療所、寝たきり・
一人暮らしの高齢者宅
(18世帯)
里美村
一人暮らしの老人等と診療所をテレビ電話(日立製
作所製)で結び、3秒程度毎に1コマの画像で遠隔介
護相談等を実施。平成8年度に実験事業が終了した
後も、2ヶ所の診療所と寝たきりの高齢者宅3世帯が
テレビ電話で接続されており、平成17年度まで継続
利用された。
こ れ ら の 事 業 で は 遠 隔 医 療 ・ 介 護 関 連 で 22 の プ ロ ジ ェ ク ト が 推 進 さ れ た 。( 表 1.2
一 部 掲 載 ) プ ロ ジ ェ ク ト の 協 力 メ ー カ は 、 通 信 事 業 者 が 中 心 で 、 N T T 41 )、 富 士 通 、
42 )な ど が 積 極 的 に 協 力 し た が 、
ISDN回線を利用したTV電話応用が一番多く、
日立
ま た 在 宅 医 療 端 末 と し て は 日 立 製 作 所 の 商 品 名「 う ら ら 」、タ ニ タ 株 式 会 社 の「 ヘ ル ス
プ ラ ネ ッ ト 」、な ど 宅 内 の 情 報 伝 送 は 特 定 小 電 力 医 療 用 テ レ メ ー タ を 用 い る 伝 送 、公 衆
回 線 上 で は ISDN,一 般 加 入 回 線( ア ナ ロ グ ),CATV が 主 体 で あ っ た 。こ れ ら の シ ス テ
ムでは、十分対面診療との比較検証ができていないとの判断から、遠隔診療報酬のつ
かないものも多く、実験で終わるものが殆どであったが一部の地域では現在も運用さ
れている。これらのシステムを運用している地域でも、別海町のようにメーカからシ
ス テ ム 機 器 供 給 停 止( 7 年 間 の 保 守 義 務 後 )通 知 を 受 け て シ ス テ ム を 停 止 せ ざ る を 得 な
い地域が出てきているのが現状である。
1.5.3
ホームネットワーク応用としての在宅診療
ホ ー ム ネ ッ ト ワ ー ク の 歴 史 は 1980 年 度 に さ か の ぼ る 。 筆 者 ら Home Bus System
( 以 下 HBS) を 手 掛 け た の は 1986 年 に 当 時 ビ ル 市 場 を 担 当 し 、 マ ン シ ョ ン の 各 家 庭
内 の 防 犯 セ ン サ 、 ガ ス 警 報 器 、 火 災 感 知 器 の 情 報 と 家 庭 玄 関 の TV ド ア ホ ン お よ び 集
合住宅共同玄関の訪問者確認手段のち解錠システムを統合し、且つエレベータの故障
監視を兼ねたマンショントータル管理システムの開発からであった
43,44 )。 マ ン シ ョ ン
内 の 信 号 伝 送 媒 体 は 同 軸 ケ ー ブ ル と ペ ア -線 を 用 い た 。こ の シ ス テ ム に 使 わ れ た 規 格 は 、
日 本 発 の HBS 規 格 を 採 用 し た 。機 能 的 に は 、家 庭 内 セ キ ュ リ テ ィ 、家 電 品 制 御( 風 呂 、
9
照 明 の テ レ コ ン ト ロ ー ル )、共 用 部 セ キ ュ リ テ ィ( 共 用 部 防 犯 セ ン サ 、共 同 玄 関 映 像 確
認 、解 錠 )、エ レ ベ ー タ 遠 隔 監 視( 故 障 監 視 )と 広 域 網 通 報( ア ナ ロ グ 回 線 )で 、綜 合
警 備 保 障 株 式 会 社( 通 称:ALSOK)と 防 犯 機 能 を 提 携 し 監 視 セ ン タ 網 を 構 築 し た 。ま
たエレベータに関しても遠隔監視センタを構築した
45 )。 一 方 山 武 ビ ル シ ス テ ム は 、 予
防型緊急通報システムとして製品化し、サービスを提供し出した
46,47 )。
当 時 HBS は 日 本 の 業 界 標 準 で あ っ た が 、 1986 年 に IEC( 国 際 電 気 標 準 会 議 ) で も
HBS を 標 準 化 す る 動 き が お こ り 、 1988 年 に 日 本 の HBS 規 格 が 提 案 さ れ た 。 し か し 、
日 本 発 の 規 格 は 非 関 税 障 壁 と 見 做 さ れ 、米 国 か ら Smart House 規 格( 1992 年 )、欧 州
か ら EHS
(European Home System)規 格( 1991 年 )が 提 案 さ れ た が ど の 規 格 が 最 終
規 格 に な る の か わ か ら ず 、製 品 化 す る 側 に 混 乱 が 起 こ っ て い た 。こ の た め 、1990 年 に
なっても統一的に利用される国際規格は存在せず、家庭内の通信手段の統一は困難を
極めた。一方それぞれの規格に基づいた家庭内のネットワーク応用は進展し
際のフィールドでの一部活用は進んだ
48,49) 、 実
50) が 統 一 的 な 普 及 に は 至 た ら な か っ た 。
こ の 状 況 を 受 け 、 国 内 で は OSI モ デ ル の 下 位 レ イ ヤ に つ い て は 、 統 一 で き な い と 判
断 し 、ミ ド ル ウ エ ア ー を 統 一 す る 規 格 と し て エ コ ー ネ ッ ト( Energy Conservation and
Homecare Network) を 提 唱 し 、 下 位 レ イ ヤ と の Interface も 提 供 す る と と も に 、
application software を 作 り や す く す る API(Application program interface)の 提 供 も
推進している。
しかし最大の課題は2つあり、一つは通信速度で現状製品化されているものの殆ど
は 、 9.6Kbps で 実 行 通 信 速 度 が 遅 く 通 信 容 量 の 大 き な 機 器 は 使 用 で き な い 。 も う 一 つ
の課題は信号伝送の到達チェックを上位アプリケーションで作成しようとするとミド
ルウエアーの一部改造が必要になるなど、準拠という概念で同一のミドルウエアー改
造を行わない限り、メーカの機器間がつながらない可能性が高い。という欠点があっ
た。最近急速に伝送速度が増している電力線搬送への対応(下位レイヤのインターフ
ェース整備及び製品化)も遅れがちである。
これらの経験を通じて、在宅診療のための通信プロトコールの標準化は世界標準に
する必要があり、少なくともこの分野で最も進んでいる日本とアメリカが手を組み中
国、東南アジアへの普及を目指すべきとの確信に至った。
10
1.6
インターネットの普及に伴う家庭内高速伝送技術の急激な進展
1.5 で 記 述 し た よ う に 家 庭 内 の 低 速 通 信 系( 防 犯 、介護 通 報 、家 電 品 制 御 )、A V 機
器 の 制 御・通 信 系 は 20 年 以 上 に 渡 っ て 標 準 化 で き て い な い の が 現 状 で あ る 。唯 一 ホ ー
ム ネ ッ ト ワ ー ク の デ フ ァ ク ト 標 準 と し て 成 功 し て い る の は 、 Ethernet で あ る 。
IEEE802.3 と し て 規 格 化 さ れ 、 ア ク セ ス 制 御 は C S M A / C D を 採 用 し て い る た め 、
ネ ッ ト ワ ー ク ト ポ ロ ジ ー と し て バ ス 、 ス タ ー の 両 方 が 構 成 可 能 で 、
10base2,10base5,10baseT な ど 使 用 す る 伝 送 線 に よ り 通 信 速 度 、 到 達 距 離 、 ト ポ ロ ジ
ー が 異 な り 、 最 近 100base-T(伝 送 速 度 1Gbps)が 普 及 し つ つ あ る 。
日 本 コ ー リ ン 株 式 会 社 の 血 圧 ( 日 本 コ ー リ ン 製 ) 計 を Ethernet で あ る LAN に 接 続
し 、 7000 人 近 く の 従 業 員 の 職 域 に お け る 血 圧 計 測 を 実 施 し た 例 も み ら れ る
51,52) 。
以 下 に 現 在 使 わ れ て い る 家 庭 内 ネ ッ ト ワ ー ク を 表 1.3 に 示 す 。
表 1.3
方式 通信周波数(Hz) 速度(kbps)
LPLC
10k-450k
9.6-100K
HPLC
2-30M
1-50M
ADSL
25k-1.1M 60-640,1.5-9M
HomePNA
5.5-9.5M
10M
IEEE1394
5.2G
100-400M
IEEE802.11
2.4G/ 5.2G
54M
Blutooth
2.4G
720-1M
HomeRF
2.4G
1.6M-10M
IEEE802.4
様々
最大1G
100GbE
波長多重≧100
100G
家庭内ネットワーク
変調方式
SS
OFDM
到達距離(m 物理媒体
-300 電力線
-300 電力線
2-7k
200 ツイストペアー線
4.5feet ツイストペアー線
-100 無線LAN
10m 1mw無線
10-50 小電力無線
応用
推進団体
証明などの家電機器制御 電力線ECHONET
高速通信(周波数帯域にMHz)
電話線利用
リアルタイム低速データ伝送
リアルタイムIP データ伝送
IP 伝送音声サポートしない
短距離通信高速に向かない1998年Special InternetGro
AO機器間音声サポート
OFDM
OFDM
FHSS
FHSS
baseband変調
100
各種
CSMA/CD,MACアドレス、
Broadband変調
差動4値位相変調 400Km 光ケーブル 都市間通信ネットワーク MSA(Multi Sorce Agreemen
Middleware 規格
ECHONET (Energy Conservation and HOmecare NETwork)
HAVI (Home AV interoperability)
Jini (Java intelligent network infrastructure)
1.7
1.7.1
諸外国の在宅診療システムの状況
米国の在宅医療の取り組み
米 国 で は 1990 年 代 に 地 方 と 都 市 の 医 療 サ ー ビ ス 格 差 の 課 題 認 識 の 高 ま り や 、映 像 の
デジタル化・圧縮技術の進展などにより、健康増進や疾病予防などを目的として医師
と患者間で電話等を利用した対話式の遠隔診療などが各州や政府で推進された。これ
は Telehealth と 呼 ば れ 新 し い 遠 隔 地 医 療 の 概 念 と な っ た 53-54 )。
イ ン タ ー ネ ッ ト が 普 及 し た 2000 年 頃 以 降 は 、通 信 ネ ッ ト ワ ー ク と コ ン ピ ュ ー タ を 利
用 し た 医 療 関 連 サ ー ビ ス 全 般 が e-Health と 呼 ば れ 、 遠 隔 診 療 だ け で な く Web を 利 用
した情報提供などを含めた広範なサービスが行われるようになった。これにより医療
情報提供、教育、医療などの商用サービスに加えて、専門家、非専門家、企業、消費
11
者 自 身 な ど が 直 接 情 報 提 供 す る 活 動 が 広 ま っ た 55) 。
1.7.2
欧州の在宅診療システムの取り組み
欧州各国は、高品位のヘルスケアサービスの提供と高齢化や医療費増大という矛盾
する課題の解決手法として、
「 オ ン ラ イ ン 健 康 管 理 」を 掲 げ 、ネ ッ ト ワ ー ク 経 由 で 患 者
情報に自分自身で安全にアクセスするためのスマートカードの導入や、保健衛生の専
門家や管理者が予防・診察・処置等のために接続する情報通信医療インフラの整備な
ど を 2003年 ~ 2004 年 に 試 行 し て 、 一 定 の 役 割 を 果 た し た 56) 。
2005年 度 か ら は 、eEuropeを 掲 げ 、e公 共 サ ー ビ ス と し て eGovernment、eEducation
と 並 ん で eHealthを テ ー マ に 下 記 ア プ リ ケ ー シ ョ ン の 実 用 化 へ 向 け た 研 究 開 発 を 推 進
中 で あ る 57) 。 以 下 に 例 を 示 す 。
- 保健衛生に関する情報ネットワーク
- 保 健 衛 生 に 関 す る 電 子 情 報 ( electronic health records: EHR)
- 遠 隔 診 療 サ ー ビ ス ( telemedicine)
- ウエアラブルまたはポータブルな通信システム
- 保 健 衛 生 に 関 す る ポ ー タ ル web サ イ ト
-
疾 病 予 防 、診 断 、治 療 、健 康 モ ニ タ 、ラ イ フ サ イ ク ル 管 理 等 を 補 助 す る ICT ツ ー ル
保 健 衛 生 に 関 す る ポ ー タ ル web サ イ ト に 関 し て は 、 鬱 病 、 糖 尿 病 、 視 覚 障 害 者 、 妊
婦、喫煙者に関し、ドイツ、デンマーク、英国などを中心に、患者側に病院、医師情
報を提供するオンライン検索、オンライン質疑応答を会員登録なしで提供している。
1.8
世界の医療・保健関連の情報規格団体と規格
在宅医療に関する通信の規格化を含む医療情報関連の国際標準は、情報・通信関連
の標準化団体と医療サービス関連の標準化団体がそれぞれの分野の標準化を行ってき
ており、世界的な標準化が出来ているとは言い難く、現在でも各国や地域では、これ
らの標準を組み合わせて必要な医療システムを構築可能とするためのコーディネート
活 動 を 行 っ て い る( 図 1.6)。医 療 そ の も の が 、内 需 型 の 産 業 で あ り 、国 際 標 準 化 が 遅
れ て お り 、 そ の 国 の 実 情 に 合 わ せ て WHO が e-Health Standardization Coordination
Group (eHSCG)を 設 立 し 、 ISO, IEC, ITU が 協 調 す る 枠 組 み を 提 供 し て い る 。
しかし医療機器に関しては、医療サービスとは独立的な要素が高く統一化が望まし
い と 思 わ れ る 。 筆 者 ら が 医 療 機 器 間 の プ ロ ト コ ー ル 開 発 を 検 討 し だ し た 2003年 頃 の 各
規格の標準化状態を技術領域別にどの標準化団体がどのような範囲の規格化をしてい
る か を 図 1.6に 示 す 58,59 ) 。こ の 図 か ら わ か る こ と は 、統 一 規 格 は 難 し く 、日 、米 、欧 が
12
協力して、規格の共通部分を切り出し共通規格化、残りは非規格化部分として各国の
実情に合わせて利用することの必要性を表している。
技術領域
国際標準化団体
I
S
O
/
I
E
C
ITU-T
C
E
N
地域標準化団体
America
Forum
Grobal
ANS
I/ H
L7
Local
O
A
S
I
S
ASTM
Electronic Health Record (HER)
(生涯電子医療記録)
Knowledge management
( 医療情報管理)
Terminology
(医療情報 用語定義)
Messages
( 医療情報フォーマット定義)
Imageing (医療画像定義)
Wave format ( 波形定義)
Security ( Information Security)
User Interface
Standard Methodology
Infrastructure Architecture
Europe
JA
HI
S
NEMA/
DICOM
MFER
ECHONE
T
Medical Device Communication
IEEE
802.15
Ubiquitous Network
EPC
EPC
global
Blue
tooth
Smart
House
JI-SDO GHIS
ANSI
ASTM
CEN
DICOM
HER
eHSCG
HITSP
HL7 IEC IEEE
OASIS
ANSI/ HITSP
WHO/ eHSCG
Coodination Activities
Zig
Bee
E
H
S
American National Standards Institute
ISO International Organization for Standardizatio
ITU-T International Telecommunication Union
American Society for Testing and Materials
Comité Européen de Normalisation
Telecommunication Standardization Sector
Digital Imaging and Communications in Medicine
JAHIS Japanese Association of Healthcare
Electronic Health Record
Information Systems Industry
eHealth Standardization Coordination Group
JI-SDO GHIS Joint Initiative on SDO
Electronic Product Code
Global Health Informatics Standardizatio
Healthcare Information Technology Standards Panel
MFER Medical waveform Format Encoding Rule
Health Level 7
NEMA National Electrical Manufacturers Associat
International Electrotechnical Commission
WHO World Health Organization
The Institute of Electrical and Electronics Engineers
Organization for the Advancement of Structured Information Standards
図 1.6 医 療 ・ 保 健 情 報 関 連 の 規 格 化 の 状 況 ( 2003 当 時 ) 58,59 )
1.9
生活習慣病の 2000 年当時の現状と経済産業省への在宅健康管理システム
の提言
筆者らは、介護予防に関し脳卒中患者の麻痺をサーボ制御技術利用により改善する
運 動 療 法 シ ス テ ム の 開 発 を 事 業 化 ま で 担 当 し 、 現 在 全 国 で 190 程 度 の 病 院 の リ ハ ビ リ
テーション室に導入し、日々運動療法から見た新しい運動処方及び運動様式の開発を
し、より効果のある運動療法を追求し続けている
60-66 )
。 し か し 図 1.3 で 示 し た よ う
に脳血管疾患、高血圧症の患者数は年々増え続ける一方であり、さらに合併症として
心疾患、糖尿病等も急激に増加しており、発症してからの治療ではもはや限界に来て
いるといわざるを得ない。予防こそが本質であると考える由縁である。
調 査 時( 2000 年 度 )の M 社 I 事 業 所 内 の グ ル ー プ 社 員 6905 名( 男 子
女子
49.1±8.1 歳 、
50.7±7.2 歳 )の 内 、生 活 習 慣 病 予 備 群 は 、血 中 脂 質 異 常 で 、男 子 49.8% 、女 子
43.6% 、血 圧 異 常 で 男 子 32.6% 女 子 25.7% 、血 糖 値 異 常 で 男 子 22.1% 女 子 11.5% に の
ぼり
67 )、国 民 衛 生 の 動 向 に 示 さ れ た 、受 療 者 は
13
11% 程 度 と の 報 告 に 比 べ 、3 倍 程 度 の
多さであった。このことは、診察を控えている未受療者の存在を推測させ加齢と共に
病態が進行すれば発症する確率は高く、これらの従業員の定年後の医療費の増大を推
測させ、健康保険財政の悪化が予測された。
健康保険組合と筆者で、経済産業省サービス産業課医療福祉室(以下医福室)に、
上 記 デ ー タ を 基 に 生 活 習 慣 病 予 防 の た め の 在 宅 健 康 管 理 シ ス テ ム の 創 出 を 2001 年 度
後 半 か ら 2002 年 度 に か け て 提 案 し た 。医 福 室 と 8 回 程度 の 打 ち 合 わ せ を 実 施 し 、産 業
化に当たっての問題点を整理した。家庭内健康機器の通信路の標準化には、多くの会
社 の 参 加 が 不 可 欠 と の 判 断 か ら 、 他 社 11 社 に 医 福 室 か ら 働 き か け を し て い た だ き 、
2003 年 度 か ら の 健 康 サ ー ビ ス 産 業 創 造 の プ ロ
ジ ェ ク ト 発 足 に 至 っ た 。 プ ロ ジ ェ ク ト は 2003
68) な ど は 急 激 に 増 加 し て い る( 図
1.7)。図 に 示
した老人医療費は落ち着いたように見えるが、
2000 年 度 に 介 護 保 険 に 一 部 費 用 の 切 り 出 し 、
2002 年 に 老 人 の 対 象 年 齢 を 70 歳 以 上 か ら 75
歳以上に引き上げて集計、などの変更を実施し
16,000
14,000
100,000
12,000
80,000
10,000
60,000
8,000
40,000
20,000
医療費
6,000
診療費
4,000
薬価
2,000
0
図 1.7
薬 価 (億 円 )
これら生活習慣病の在宅患者への薬の投与費
18,000
120,000
0
19
83
19
85
19
87
19
89
19
91
19
93
19
95
19
97
19
99
20
01
20
03
20
05
け推進した。
老 人 医 療 費 /診 療 費 (億 円 )
年 度 か ら 2006 年 度 ま で 経 済 産 業 省 の 助 成 を 受
老人医療費の推移
140,000
年度
老人医療費の推移
ている結果であり、必ずしも落ち着いたとは言い難い。また在宅の高齢者においては
圧 倒 的 に 高 血 圧 患 者 が 多 く 、 そ の 1/4 程 度 の 数 で 糖 尿 病 、 心 疾 患 、 脳 卒 中 患 者 が 存 在
す る 。血 圧 管 理 が 重 要 な 由 縁 で あ る 。し か し こ れ ら は 、30 代 、40 代 の 生 活 習 慣 の 結 果
であり就業者と雖も家庭での健康管理は可能であり、生活習慣の改善の新しい手法の
発見は極めて重要である。
1.10
在宅健康管理事業推進の阻害要因
国 民 医 療 費 の 1/ 3 を 占 め る 生 活 習 慣 病 由 来 の 疾 病 を 予 防 に よ っ て 改 善 し 、医 療 費 を
低 減 す る た め に は 、 Silent Killer と 呼 ば れ る 様 に 、 ひ そ か に 進 行 す る 生 活 習 慣 病 の 進
行度を指標化すると共に、働く人々が普段の生活の中で生活習慣病予防を意識できる
シ ス テ ム 化 が 重 要 で あ り 、 30 代 か ら 家 庭 で 、 通 信 技 術 、 指 標 化 技 術 、 予 測 技 術 、 自 動
指導推論技術を駆使した生活習慣病予防の指導を受けることのできる環境の整備・推
進は、わが国の重要課題の一つであると思われる。
一方、事業者側から見たときこの事業推進には多くの事業者自らが関与できない阻
害要因が多く、事業としての魅力に乏しい。その要因を列挙すると、
14
1) 国 民 側 の 論 理
健康に対する意識調査の結果では、病気になるまでは全く気にしていない人
( 79.4% )が 多 く 、運 動 、栄 養 な ど へ の 感 心 は あ る も の の 、現 実 的 な 行 動 変 容 を 自 分
か ら 起 こ す 人 は 極 め て 少 な い 。 運 動 習 慣 が あ る ( 図 1.8) と 答 え て い る 人 の 運 動 の 平
均値は下がっている
69) ( 図
1.9)。 ほ と ん ど の 人 は 仕 事 に 関 心 が あ る が 健 康 に は 気 を
使 わ な い 。 特 に 20,30,40 代 は 関 心 が 薄 く そ の 間 に 生 活 習 慣 病 が 進 行 す る 。
2) 医 師 側 の 論 理
の罹患者を減らし、
医師の収入源を減
らすと考える人も
多く、在宅健康管
理及び健康回復を
29.3
30.9
30.7
33.3
30.2
29.1
30
20
24.1
25.8
28.2
28.1
25.6
10
27.5
男性
女性
7503
7474
7561
7413
7321
7011
7000
6762
6378
6000
6526
6590
6267
5945
5000
男性
女性
4000
0
2003
2004
2005
2006
2007
2008 年度
男性 (2,474) (1,867) (1,797) (2,065) (2,019) (2,127)
女性 (3,566) (2,706) (2,539) (2,903) (2,798) (2,932)
図 1.8
一日あたりの歩数 ( 歩/日 )
症等の生活習慣病
8000
40
運動習慣有 (%)
一次予防は高血圧
歩数の平均値年次推移(20歳以上)
運動習慣のある者の割合(20歳以上)
医師側には疾病
運 動 習 慣 の あ る 人 (20 歳 以 上 )
2003
2004
2005
2006
2007
2008 年度
男性 (3,849) (2,941) (3,066) (3,248) (3,082) (3,227)
女性 (4,518) (3,561) (3,640) (3,876) (3686) (3,922)
図 1.9
平均歩数の年次推移
推 進 す る 人 材 が 少 な い 。 地 域 医 療 を 真 剣 に 考 え る 医 師 は 、 医 療 法 42 条 施 設 ( 343 施
設 )70) を 設 置 し 健 康 増 進 を 推 進 し て い る が 、1 施 設 の 介 入 対 象 者 を 500 人 と 仮 定 し て
も 、 2 万 人 以 下 の 介 入 指 導 し か 実 施 で き ず 、 生 活 習 慣 病 罹 患 者 1400 万 人 に は は る か
に及ばない。
3) 法 整 備 の 問 題
厚 生 労 働 省 は 診 療 所 な ど か か り つ け 医 を 中 心 に し た 医 療 法 人 に 42 条 施 設 を 認 め て
い る が 、伊 藤 春 樹 ら が 指 摘 し て い る よ う に 実 際 に 介 入 指 導 し て い る 健 康 ス ポ ー ツ 医 で
も専門知識が不十分な場合がある
71 )。 一 般 の 医 療 法 人 な ど の 医 師 で は さ ら に 専 門 性
の 不 足 が 懸 念 さ れ 、む し ろ 医 療 法 人 に 限 定 し た こ と が 健 康 増 進 施 設 普 及 の 妨 げ に な っ
ていると思われる。
医 療 技 術 を 進 化 さ せ て き た 学 校 法 人 、 大 学 付 属 病 院 ( 合 計 133 病 院 ) に は 健 康 増 進
施 設 と し て の 特 典 が 認 め て お ら ず 、本 来 指 導 的 立 場 に あ る 学 校 法 人 は 生 活 習 慣 病 指 導
管 理 料( 診 療 報 酬 )が 認 め ら れ な い こ と か ら 、健 康 増 進 施 設 の 設 置 に 消 極 的 で あ り 被
介 入 指 導 者 の 規 模 拡 大 を 図 れ な い 状 況 に あ る 。仮 に 130 の 大 学 付 属 病 院 が 健 康 増 進 を
推 進 す れ ば 、将 来 か か り つ け 医 に な る 医 師 そ の も の へ の 教 育 に な る に 留 ま ら ず 、介 入
技 術 並 び に 健 康 増 進 の エ ビ デ ン ス が 蓄 積 さ れ る 可 能 性 が 高 く 、 学 校 法 人 へ の 42 条 施
設 の 適 用 が 強 く 望 ま れ る 。事 業 的 に み た 場 合 で も 介 入 指 導 技 術 そ の も の が ノ ウ ハ ウ で
15
あり、この技術の進展なしに他国と市場を争える環境があるとは言い難い。
4) 健 康 保 険 組 合 の 論 理
健康保険組合に生活習慣病予防の重要性の説明をしても予防にお金を投じることに
対 す る 難 色 は き わ め て 強 い 。 こ の 状 況 を 打 開 す べ く 方 策 の 一 つ と し て 、 2005 年 度 に
健康保険組合でのメタボリックシンドローム群にたいする保健指導の義務化などの
法 制 化 を 提 言 し た 。 厚 生 労 働 省 は 医 療 保 険 者 に 対 し 40 歳 以 上 の 被 保 険 者 ・ 被 扶 養 者
を 対 象 と す る 内 臓 脂 肪 型 肥 満 に 着 目 し た 健 診 及 び 保 健 指 導 を 2008 年 度 か ら 義 務 付 け
て い る 。 ま た 2013 年 度 よ り 医 療 保 険 者 ご と の 達 成 状 況 ( 特 定 健 康 診 査 、 特 定 保 健 指
導 の 実 施 率 、特 定 保 健 指 導 該 当 者 の 減 少 率 )に 応 じ た 後 期 高 齢 者 支 援 金 の 加 算・減 算
を計画したが、政権交代により後期高齢者保険制度そのものが不透明な状況である。
高 齢 者 の 医 療 の 確 保 に 関 す る 法 律 第 8 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づ き 定 め る 計 画 ( 2008 年
度 厚 生 労 働 省 告 示 第 442 号 ) の 中 で 、 そ れ ぞ れ の 目 標 値 を 特 定 健 康 診 査 の 実 施 率
70% 以 上 、 特 定 保 健 指 導 の 実 施 率 45% 以 上 、 予 備 群 の 減 少 率 平 成 20 年 度 比 10% 低
減 と し て お り 、こ の 実 施 は 生 活 習 慣 病 予 防 、強 い て は 老 人 医 療 費 低 減 に き わ め て 重 要
な意味を持つ
72 )。
5) ビ ジ ネ ス ス キ ー ム 構 成 力 不 足
在宅健康指導がビジネスになりにくい要因として
①潜在的な需要はあるものの顕
在 化 し て い る 市 場 は 42 条 施 設 ( 400 施 設 以 下 ) の み で 、 現 状 市 場 規 模 が 極 め て 小 さ
い 。② ビ ジ ネ ス ス キ ー ム を 作 る に は 、健 康 市 場 だ け で は 小 さ く 、他 市 場 と の 連 携 が 重
要 と な る( 生 命 保 険 商 品 と の 連 動 な ど )が 法 規 制 の 縦 割 り 行 政 の 境 界 領 域 に ビ ジ ネ ス
が 存 在 し 、 ビ ジ ネ ス ス キ ー ム が 構 成 し に く い こ と 。 ③ 指 定 運 動 療 法 施 設 ( 154 施 設 )
で 、か か り つ け 医 の 処 方 箋 に 基 づ き 運 動 療 法 を 行 う 場 合 は 、受 け る 側 の 施 設 利 用 料 に
所 得 税 の 医 療 費 控 除( 所 得 税 法 第 73 条 )が 認 め ら れ る
73 ) な ど の 特 典 は あ る が 、一 般
に は サ ー ビ ス を 受 け る 側 に 健 康 保 険 を 使 わ な く な っ た 利 点 が 少 な い 。こ の 点 を 解 消 す
る こ と が 、施 設 需 用 を 喚 起 し 健 康 増 進 が 進 展 す る 一 番 の 近 道 で あ り 今 後 市 町 村 で の 健
康 指 導 の キ ー 技 術 に な り え る 。ビ ス ネ ス 構 築 に お い て は 生 活 習 慣 病 予 防 に 努 力 し て い
る人へのメリットの形成が事業そのものの成否を決するものと思われる。
6) 一 企 業 で は 信 頼 に 足 る サ ー ビ ス を 提 供 で き な い 。
生活習慣病予防は人間の生活行動の管理(禁煙、過食、睡眠、アルコール飲量、運
動、ストレス、食塩摂取量、黄緑野菜、動物性脂肪、急激な減量、整形疾患の有無、
間 食 な ど )で あ り 、カ バ ー す る 領 域 が 広 く し か も 一 つ 一 つ の 領 域 が 必 要 と し て い る 技
術範囲が深い。
16
日 本 学 術 会 議 ,人 間 と 工 学 研 究 連 絡 委 員 会 ,医 用 生 体 工 学 専 門 委 員 会 の 医 用 生 体 工 学
に お け る 重 要 研 究・開 発 課 題 の 提 案 - 緊 急 に 解 決 す べ き 課 題 -( 2000年 5月 29日 )の
中 で「 健 康・福 祉 の 分 野 は 古 く か ら 医 用 生 体 工 学 の 重 点 研 究 課 題 と し て 多 く の 研 究 者
に 研 究 さ れ て き た が ,立 派 な 研 究 開 発 で も Q O L と 両 立 し な い 機 器 が 多 く 実 用 さ れ て
い る も の は 少 な い .」と し て い る よ う に 、商 業 ベ ー ス で 成 り 立 ち え る だ け の 顧 客 満 足
の あ る 製 品 が 少 な く 、今 後 機 器 自 体 の 進 化 も 重 要 な 開 発 す べ き 要 素 に な る 。従 っ て 一
企 業 で 全 て の 健 康 管 理 領 域 を カ バ ー す る シ ス テ ム 開 発 は 至 難 の 業 で あ り 、一 企 業 の シ
ス テ ム で は 、健 康 管 理 範 囲 を 限 定 し て し か 使 え な い 可 能 性 が 高 い 。こ の こ と が サ ー ビ
ス 品 質 低 下 を 招 く こ と は 明 ら か で 、継 続 使 用 は 言 う ま で も な く 、強 い て は シ ス テ ム そ
の も の 信 頼 性 を 損 な う 可 能 性 を 有 し て い る 。 Distributed
Diagnosis の 必 要 性 と 、
機 器 の Multi-benderの 必 要 性 は 、今 後 も 続 く も の と 思 わ れ る 。さ ら に 本 来 技 術 を 進 化
さ せ る べ く 大 学 付 属 病 院 に は 42条 施 設 は 認 め ら れ て い な い 。こ の こ と で 企 業 が 実 際 の
フィールドでの検証の場を得にくくなっており、大胆な改善策を必要としている。
などあまりにも多くの阻害要因があり、在宅健康管理が遅々として進まない根源を
形成している。
1.11
研究目的
本論文は、これらのあらゆる事業化の困難性に対し、技術面から在宅健康管理シス
テムの普及を推進すべくセンサ機器と家庭内健康管理機器間通信の規格化を行い、そ
の規格に基づいたプロトタイプのシステムを開発し、さらに実証実験を通じてその通
信規格の性能を明らかにし、より安価で継続性のある在宅健康管理システムを開発す
ると共に、集まったデータを解析することによりそのシステム持つ可能性を示唆する
ことを目的とする。本論文では筆者らが開発・研究した在宅健康管理システム、及び
IEEE11073 の 健 康 管 理 機 器 間 通 信 の 規 格 化 の 元 に な っ た 通 信 方 式 の プ ロ ト コ ー ル 、並
び に 収 集 さ れ た デ ー タ か ら 推 論 さ れ る こ と 。今 後 の 研 究 開 発 の 焦 点 に つ い て 論 及 す る 。
1.12
論文構成
本論文を、9 つの章から構成した。第1章は、本研究の目的及び位置付けを述べた。
第2章では、開発したシステムと標準プロトコールの課題と解決策の概要について概
説する。第 3 章では、新たに開発したセンサ群について概説する。第 4 章ではそれら
17
のセンサ群と家庭内健康管理機器との通信プロトコールについて概説しその性能評定
を概説する。第 5 章では集められたデータを閲覧し自発的に在宅健康管理を推進する
WEB シ ス テ ム を 概 説 す る 。第 6、7,8 章 で は 集 ま っ た デ ー タ を 解 析 し 、在 宅 健 康 管 理
システムの持つ可能性を概説する。
第 9 章 で は本 研 究 の 結 論 を 要 約 し て 述 べ る 。
第 1 章 : 生 活 習 慣 病 の 進 行 防 止 を 目 的 と し た シ ス テ ム は 、 IT の 進 展 と 相 ま っ て 1980
年代後半から様々な形で試行されてきた。しかし統一的なシステムは出来ていない。
一方高齢化は着実に進展しており、情報科学とネットワークの力を利用した安価で国
民の多くが享受できる生活習慣の改善のためのシステムニーズは益々高まっている。
この課題に対し、過去の先人の研究を整理し、筆者が目指す本研究の目的とその阻害
要因を明らかにする。
第 2 章:第一章を受け、普及のための課題と解決策を概説し、システムの具備すべき
必要条件を洗い出し、通信プロトコールを利用するシステム・外部環境について論述
する。
第 3 章:生活習慣病は定義で明らかなように「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒
などが発症・進行に関与する疾病群」であり、その全容の解明にはこれらの生活習慣
を定量的に把握する必要があり、従来の家庭用健康測定機器で足りない部分のセンサ
開発をし、従来機器と併せて通信プロトコールの実装を実施した。その内容を概説す
る。
第 4 章:家庭内健康計測機器と家庭内健康管理機器の通信において、異なるメーカの
機器も同一のネットワークに接続可能とする標準プロトコールについて概説する。通
信を標準化することにより、様々なメーカがシステムに参入可能となり、機器のコス
ト低減が期待できるとともに、システムそのものが標準化できる可能性が広がり、集
められた異なるメーカの計測データが容易に比較可能となる。この標準プロトコール
は 、IEEE11073 に 引 き 継 が れ 、現 在 健 康 計 測 機 器 毎 の 規 格 化 を 実 施 中 で あ る 。普 及 団
体としてインテルを中心にコンティニュアを組織し世界のデファクトになりつつある。
第 5 章:異 な る メ ー カ の 健 康 測 定 機 器 情 報 が 同 一 の デ ー タ ベ ー ス 上 に 蓄 積 可 能 と な り 、
こ れ ら の デ ー タ を 統 一 的 に 閲 覧 可 能 な WEB シ ス テ ム が 構 築 可 能 と な る 。統 一 WEB シ
ス テ ム を 造 り 、 被 験 者 が 見 や す い 形 に す る 改 訂 を 2 回 実 施 し た 。 こ の WEB シ ス テ ム
について概説する。
18
第 6 章:実証実験を通じて通信プロトコールの有用性を示すための本通信規格の性能
を把握すると共に、本通信プロトコールにより初めて異なるメーカのデータが統一的
に比較可能となり、生活習慣病予備群の自律的な計測継続能力把握、生活習慣病の進
行に関する知見の収集を実施した。その研究内容を報告する。
第 7 章:実証実験を通じて、生活習慣病の中でもっと罹患者数の多い高血圧症の基本
的パラメータである血圧について得られた知見について報告する。
第 8 章:これらの研究を通じて得られた知見をもとに通信、収集データ、介入研究に
ついて考察する。
第 9 章 : 本研 究 の 結 論 を 要 約 す る 。
19
第2章
2.1
在宅健康管理システムと通信プロトコール開発のための
課題と解決策
在宅健康管理システムの定義
本章では、生活習慣病予防のために開発した在宅健康管理システムの課題と解決
策 に つ い て 概 説 す る 。 在 宅 健 康 管 理 シ ス テ ム は 、 家 庭 で の 健 康 計 測 機 器 ( Health
Monitoring Device 以 下 HMD)並 び に HMD か ら 家 庭 内 の 健 康 情 報 を 集 め て 管 理 す
る 家 庭 健 康 管 理 機 器 ( Health-care device 以 下 HCD) 及 び 各 家 庭 の HCD か ら 広 域
通信網を経由しデータ伝送されたデータを管理するデータサーバ、集まったデータ
を 機 器 メ ー カ に 関 係 な く ど こ の メ ー カ の 機 器 情 報 も 統 一 的 に 閲 覧 可 能 な WEB シ ス
テ ム 、WEB シ ス テ ム を 利 用 し 在 宅 健 康 管 理 を 協 力 す る サ ー ビ ス プ ロ バ イ ダ よ り 構 成
さ れ る 。こ れ ら HMD か ら 介 入 シ ス テ ム ま で を 含 め て 在 宅 健 康 管 理 シ ス テ ム と 定 義 し
た。
2.2
在宅健康管理システムの必要条件(外部環境との連携)
在宅健康管理システムとシステムを取り巻く外部環境の問題点を整理すると
1 ) 予 防 は 、従 来 健 康 診 断 時 に お け る 校 医 、産 業 医 な ど の 医 療 機 関 の 専 門 家 に よ る
診 断 に 任 せ ら れ て お り 、在 宅 健 康 管 理 情 報 が 利 用 さ れ る こ と は 少 な か っ た 。し か
し 健 診 時 の 血 液 検 査 デ ー タ な ど は 、介 入 指 導 を 考 え る 上 で 有 用 で あ り 、両 者 の デ
ー タ を デ ー タ サ ー バ 上 で 共 有 す る こ と が 望 ま れ る 。( 定 期 健 診 デ ー タ と の 連 携 構
築の必要性)
2 ) 各 種 健 診 並 び に 在 宅 健 康 管 理 デ ー タ の 分 析 は 、医 師 な ど 専 門 家 し か 診 断 を 許 さ
れ て い な い 。従 っ て 医 師 の 処 方 を 介 入 指 導 へ 反 映 す る こ と と そ の 処 方 の 低 価 格 化
と い う 相 反 す る 2 つ の条 件 を 克 服 す る 必 要 が あ る 。
( シ ス テ ム 構 築 に 対 す る 制 限:
医 師 に よ る 自 動 診 断 ロ ジ ッ ク の 構 築 と ロ ー コ ス ト な 処 方 認 証 方 式 の 開 発 、指 導 は
リアルの指導(対面)とバーチャルな指導(ネット指導)の混合の最適化)
3) 健康計測機器が生活習慣病予防に役立つという実感が計測者側にないこと。
(1
つ の 機 器 の 数 回 の 計 測 で は 生 活 習 慣 病 の 進 行 度 と の 関 係 を 推 測 で き な い:推 論 不
20
可 能 性 の 回 避 の た め の 計 測 の 継 続 性 の 確 保 、そ の た め の 分 り 易 い 指 標 化 と イ ン セ
ンティブの必要性)
4 ) メ ー カ の 機 器 が 単 な る 計 測 機 器 か ら 、利 用 者 に 伝 え る べ き 情 報 提 供 機 器( 時 系
列 変 化 な ど の 表 示 )へ 進 化 の 過 程 に あ り 、こ れ ら の 機 器 が 自 由 に シ ス テ ム に 組 み
込 め る よ う に す る 必 要 が あ る 。ま た そ れ を 実 現 す る メ ー カ も 異 な る 可 能 性 が あ り 、
メ ー カ 、 機 種 に 依 存 し な い 通 信 プ ロ ト コ ー ル の 標 準 化 の 必 要 性 が あ る 。( シ ス テ
ムの標準化)
などが挙げられる。これらの必要条件を満たし増加する生活習慣病予備群に対して、
一人一人が自分の健康を自覚でき、生活習慣病の予防の方法論を継続的かつ自発的に
享受できる環境を創出することを目指す必要がある。
2.3
在宅健康管理システム普及のための課題設定と解決策
図 2.1 は 、在 宅
の具体的な課題
送受信手段
計測
対象者
送受信手段
ムの普及のため
計測機器群
健康管理システ
データ蓄積手段
在宅健康管理システムの通信
プロトコルの統一
を 示 し て い る 。黄
生活習慣病進行度判断手段
進行度判断基準の検証手段
予防行動基準ガイドライン
予防行動妥当性検証手段
予防行動指導ノウハウ蓄積
在宅健康管理システムの共通データベース
色の部分は筆者
リアル指導とネット指導
が過去に取り組
在宅健康管理システムの共通
の WEB ブラウザー
個人別介入指導履歴管理
健診データとの連携
図 2.2 在 宅 健 康 管 理 シ ス テ ム の 課 題
んできている部
分( 本 報 告 )を 示 し 、白 の
部分は、現状では出来ていない部分を示す。以下に課題と解決策の内容を概説する。
2.3.1
健康計測機器開発(計測機器)
計 測 者 の 計 測 意 欲 の 継 続 の た め 、健 康 計 測 機 器( HMD)は 、身 体・生 体 情 報 を 日 常
的に計測できることが条件であり、そのためには非侵襲でかつ無拘束の機器であるこ
とを原則とした(非侵襲
無拘束
の 原 則 )。
また生活習慣病と各計測機器情報との関係を調べるため、相関が想定できる最大限
の 計 測 機 器 で 構 成 し 、健 康 日 本 21 で 規 定 さ れ て い る 項 目 を 参 考 に 、睡 眠 中 の デ ー タ 計
測、運動能力計測などの従来にない計測項目を計測できる健康計測機器開発も合わせ
て実施した。
21
血圧計、体重計、歩数計などの従来機器は、開発した標準プロトコールを実装した
基 板 を 健 康 測 定 機 器 に 組 み 込 む よ う に 各 メ ー カ に 依 頼 す る と 共 に 、家 族 4 人 まで が ID
で区分できる改造も合わせて依頼した。
2.3.2
各機器間のデータプロトコール統一
従 来 家 庭 内 で の 健 康 計 測 機 器 の 通 信 は 、薬 事 法 で 認 許 さ れ た 医 療 用 テ レ メ ー タ( 特
定小電力無線)で実施されており、データが欠落しても健康管理機器側では検知でき
ない単方向通信しか利用出来なかった。しかもメーカごとに通信フォーマット及び使
用する用語、エラー検出、エラー修正、伝送速度、手順が異なり、メーカが健康計測
機器の製造を一旦中止すると、他のメーカの機器との相互接続性がないために該当す
るセンサ情報を得ることが困難となり、システムが廃止に追い込まれるという現実が
あった。またメーカは一度システムを構成すれば、そのセンサ領域で技術的優位性を
確保できなくても他社の機器では通信できないため、自社の製品を使わざるを得ない
というエゴイズムを押し通すことができた。しかしこのことが結果的にはシステムが
十 分 機 能 せ ず 市 場 を 形 成 で き な い 理 由 と な っ て い た ( シ ス テ ム の オ ー プ ン 性 の 欠 如 )。
こ れ ら の 不 具 合 を 解 消 す る た め 、メ ー カ ご と に 異 な る 家 庭 内 の 健 康 計 測 機 器 通 信 に
お い て 、メ ー カ に 捕 わ れ ず HMD と HCD と の 間 で 円 滑 な デ ー タ 伝 送 を 実 現 す る プ ロ ト
コール及びそのプロトコールを実装したファームウエアを開発し、各メーカの機器に
搭載させることにより、標準プロトコールに基づいたネットワークシステムの開発を
実施した。
2.3.3. 共 通 の WEB シ ス テ ム の 開 発
上記の通信に基づくデータは、共通のデータベースの構築を可能とし、さらに共通
の WEB シ ス テ ム の 構 築 を も 可 能 と す る 。WEB 閲 覧 者 は 、メ ー カ を 意 識 す る こ と な く
同一画面で各メーカの指標を閲覧できる構成とした。このため、たとえば体重と血圧
が異なるメーカでも同一の時間軸の下に比較可能となり、検討が容易にできるように
した。
また各メーカ独自の画面を共通画面と別に設置できる構成をとり、メーカ間で自社
製品の特徴を出せる構成とした。この中で各メーカは自由に計測データの用語の意味
説明、時系列データ表示機能などを展開した。
22
2.3.4. 実 証 実 験
上 記 シ ス テ ム を 使 い 実 際 に 介 入 チ ー ム を 組 織 し 、 実 証 実 験 を 1 年 間実 施 し た 。
介 入 チ ー ム は 、被 験 者 の 同 意 の も と WEB 画 面 を 駆 使 し 、集 め ら れ た 個 人 ご と の デ ー
タを分析し、介入指導を実現するとともに、各個人の機器の使用率を監視し、使われ
ていないと判断すると電話などで健康増進施設まで被験者に実際に来ていただくなど
のリアルな指導、および、非計測者が増えた場合には、健康増進の講習会を開催し、
参加率の維持に努めた。
介 入 チ ー ム の 構 成 は 、医 師 1 名 、管 理 栄 養 士 1 名 、運 動 指 導 士 3 名 の 構 成 で 実 施 し
た。
実 現 し た シ ス テ ム の 概 念 図 を 図 2.2 に 示 す 。
各論について次章以降で詳細に説明する。
図 3.2
システム概念図
23
第3章
3.1
センサ開発
はじ めに
本章では、生活習慣(食習慣、運動習慣、休養、など)をより的確にとらえるため
の 新 し い セ ン サ 機 器 開 発 研 究 に つ い て 述 べ る 。ま た 従 来 の 各 メ ー カ の 健 康 測 定 機 器( 体
重計、血圧計、歩数計)は、システムとして機能するため、家族 4 人まで計測可能と
すると共に、標準プロトコールを搭載できるように改造させた。その概要について述
べる。
3.2
パラメータと生活習慣病
高血圧、糖尿病、肥満、高脂血症、ストレスなどの生活習慣病に対し、それぞれの
指標が生活習慣病にどのように関連するかについては、医師の意見を踏まえ想定した
関 連 想 定 表 を 表 3.1 に 示
表 3.1
計測項目と生活習慣病
体重
す。
従 来 の 体 重 、血 圧( カフ
型 )に 加 え 、睡 眠 中 の 脈 度 、
呼 吸 数 、睡 眠 時 間 、を 計 測
す る 睡 眠 計 測 マ ッ ト 、最 高
血圧
高血圧症
糖尿病
肥満・高脂血症
骨粗しょう症
心・ストレス
重量センサ 圧力センサ
計測方法
測定場所
室内任意 室内任意
宅内
宅外
覚醒時
睡眠時
心拍数
関係があると推測される項目
呼吸数
睡眠時間
圧力センサ+周波数分離
ベット マットレスとシーツの間
運動量
加速度センサ
運動能力
トルク検出
携帯ベルト装着
宅内
酸素摂取量を推定する運動能力計を開発し、実証実験でそのパラメータの持つ意義を
検証した。また従来の体重計、血圧計については、機器仕様の一部変更、標準プロト
コールの通信部分の組み込み、並びにシステムに組み入れるために、家族 4 人を区別
して把握できるようにする改造を実施させた。
以下に、新しく開発したセンサ機器について述べる。
3.3
運動能力計
3.3.1
背景
人間のエアロビック運動能力の指標である心肺持久力は年齢とともに低下し、心肺
持久力の代表的な指標である最大酸素摂取量は、健康な人が高血圧症に罹る確率
脳卒中の発症率
74 )、
75 )、 糖 尿 病 の 生 存 率 76 ) と 関 係 が あ る こ と が 知 ら れ て お り 、 ま た こ の
最 大 酸 素 摂 取 量 は 、健 常 人 の 生 存 率
77 ) と も 関 係 が あ る こ と が 知 ら れ て い る 。こ の 指 標
を 計 測 す る 心 肺 負 荷 試 験 装 置 は 、負 荷 装 置 、呼 気 ガ ス 計 測 器( O 2 、 CO 2 )、12 誘 導 解 析
心 電 計 で 構 成 さ れ 総 額 1000 万 円 以 上 と 高 額 で あ る 。し か も 診 療 報 酬 も 1 回 計 測 で 8000
円 ( 800 点 : 診 療 報 酬 区 分 D211;平 成 22 年 3 月 現 在 ) と 高 く 、 従 業 員 7000 人 の 計 測
24
を す る だ け で 5600 万 円 の 費 用 が か か る 。多 く の 従 業 員 を 抱 え る 企 業 は 、自 社 の 所 有 す
る診療所で計測可能であるがそれ以外の企業では計測は費用の面からほとんど不可能
である。しかも現状では運動負荷試験しなければ、最大酸素摂取量は求められず、運
動負荷試験のプロトコールは、負荷を順次上げる必要があり、高齢者には危険性が伴
い、病院などでは運動負荷試験中の危険に対応するために除細動装置などの救命装置
の設置が義務付けられている。より安価で安全にしかも簡単に心肺機能の向上が評価
できる装置を開発し、生活習慣病の進行度の一つの指標をとらえることを機器開発の
目的とした。
3.3.2
表 3.2
最大酸素摂取量と血圧の相関
最大酸素摂取量と生活習慣病と
の関係
最大酸素摂取量が生活習慣病の進
行度、特に高血圧との関連がどのよう
に な っ て い る か を 、M 社 I 事業 所 の 従
業員を中心に調査をし
表 3.3 最大酸素摂取量と血液検査指標の相関
た。その結果最大酸素
摂取量と血圧(最高、
最低)との相関係数は
0.216 、 0.265 ( い ず れ
も 1% 有 意( 両 側 )デ ー
タ 数 7151 人 ) と な っ
た (表 3.2) 。ま た 最 大
酸素摂取量は、血中脂
質(総コルステロール
( TCH)、中 性 脂 肪( TG))と
最大酸素摂取量
相関があるだけでなく、血糖
持向上が生活習慣病を説明す
る有意な指標となりえると思
参加率
1998年~2002年
26%~36%
39
最大酸素摂取量 (ml/分/kg)
になり、最大酸素摂取量の維
測定期間
90%~94%
41
値 と も ゆ る い 相 関 ( P< 0.02)
が あ る( 表 3.3)こ と が 明 ら か
参加率
43
Y=
46.18
-
0.277×AGE
55
60
37
35
33
31
29
27
われた。
25
15
20
25
30
図 3.1
25
35
40
年齢
45
50
最大酸素摂取量
最大酸素摂取量と年齢
65
3.3.3 最 大 酸 素 摂 取 量 と 年 齢
最 大 酸 素 摂 取 量 は 年 齢 と 共 に 低 下 す る が 、運 動 に よ っ て 、同 一 値 を 維 持 可 能 で あ り 、
図 3.1 で は 、 40 歳 代 後 半 か ら 体 力 に 自 信 の あ る 人 の み 計 測 し て い る た め 最 大 酸 素 摂 取
量が維持されている。この図からわかるように、生活習慣病と相関の高い最大酸素摂
取量は年齢と共に確実に低下しており、成人後のあらゆる世代で生活習慣病が静かに
進行しているものと思われる。
最 大 酸 素 摂 取 量 は 、体 重 1kg 当 た り の 1 分間 の 酸 素
摂 取 量 (ml)で 表 さ れ 、年 齢 と の 関 係 は 計 測 参 加 率 が 90% を 超 え る 40 歳 未 満 の デ ー タ か
ら直線回帰すると
最 大 酸 素 摂 取 量 ( ml/分 /kg) = 46.18- 0.277×年 齢
と な り 、 10 歳 年 を と る と 、 分 時 酸 素 摂 取 量 は 2.77ml/分 /kg
下がる計算になる。
こ の 最 大 酸 素 摂 取 量 は 、肺 で の O 2 、 CO 2 交 換 能 、運 動 時 の
心臓の 1 分あたりの心
拍 出 量 、筋 肉 細 胞 で の 栄
養の取り込みと酸素の
取り込み能などが反映
される総合的な指標で、
全身の持久力を説明し
ている。
図 3.2
3.3.4
心肺機能負荷試験
図 3.3
Anaerobic Threshold
従来の計測方法
最 大 酸 素 摂 取 量 を 得 る た め の 運 動 負 荷 実 験 は 、 図 3.2に 示 す よ う に 。 被 験 者 に マ ス ク
を 装 着 し 、 運 動 負 荷 を 増 や し な が ら 被 験 者 の 呼 気 ガ ス ( O 2, CO 2 の 濃 度 、 呼 気 量 な ど )
を 計 測 す る こ と に よ っ て 実 施 さ れ る 。 最 初 に 安 静 時 の O 2, CO 2 の 濃 度 を 計 測 し た 後 、 時
間とともに負荷が増える(一般的には1分間に20ワット増加する)ランプ負荷の運
動 を 行 わ せ 、 そ の 時 の 呼 気 ガ ス 中 の O 2 、 CO 2 の 濃 度 と そ の 温 度 を 1 呼 吸 ご と に 計 測 し 、
安 静 時 の 呼 気 ガ ス の O 2 ,CO 2 の 濃 度 と の 差 を 計 算 し 、 呼 気 ガ ス の 流 量 ( 呼 気 量 ) を 計 測
し 積 を と り 温 度 補 正 し 、体 内 で 吸 収 さ れ た 酸 素 量 、排 出 さ れ る CO 2 の 量 を 、1 呼 吸 ご と
・
に 計 測 す る 。 1 分 間 の 積 分 値 を 取 る こ と に よ り 、 分 時 酸 素 摂 取 量 ( V O2 ) ,分 時 二 酸 化
・
・
炭 素 排 出 量 ( V CO2 ) ,分 時 呼 気 量 ( V E ) を 算 出 し 、 負 荷 ( Work Rate:WR) を 上 昇 さ せ
・
・
て 、 そ の 変 化 を み る 。 負 荷 が 低 い う ち は V E に 占 め る V O2 は 、 一 定 の 割 合 で 増 加 す る が 、
ある強度を超えると分時酸素摂取量が増加しなくなり、分時の二酸化炭素排出量は増
加する。運動強度が高くなると筋肉細胞内で無酸素代謝が起こり、乳酸が産出される
と 同 時 に 、5分 程 度 し か 運 動 が 続 か な く な り や が て 運 動 が で き な く な る( 図 3.3)。こ の
ときの分時酸素摂取量の最高値を最高酸素摂取量と呼ぶ。また分時酸素摂取量が最大
26
のとき最大酸素摂取量と呼ぶ。最大酸素摂取量と最高酸素摂取量の差は、酸素摂取量
の最大値まで試験を継続できたか否かの差である。有疾病者では最大まで負荷をかけ
る こ と が 難 し い た め 、最 大 酸 素 摂 取 量 の 代 わ り に 最 高 酸 素 摂 取 量 を 用 い て い る 。図 3.3
の 嫌 気 性 代 謝 閾 値 ( Anaerobic Threshold
以 下 AT) ポ イ ン ト と は 、 有 酸 素 運 動 か ら
無 酸 素 運 動 に 切 り 替 わ り 乳 酸 が 産 出 し 、呼 気 ガ ス 中 の CO 2 濃 度 が 急 激 に 上 昇 し 始 め る 時
点 を 示 し 、 こ の ATポ イ ン ト 近 く で 運 動 を 続 け る こ と が 、 脂 質 代 謝 能 の 改 善 に 一 番 効 果
が あ る こ と が 判 っ て い る 。一 般 に ATポ イ ン ト の 1分 前 の 運 動 強 度( ワ ッ ト )が 、健 常 者
の運動処方の運動強度として採用される。
無 酸 素 中 の 心 拍 数 は 一 般 に 150 を 超 え 、 有 疾 病 者 特 に 心 疾 患 患 者 に は 危 険 を 伴 う 可
能 性 が 高 い 。 運 動 習 慣 が つ く と と も に こ の 最 高 酸 素 摂 取 量 ,及 び AT ポ イ ン ト で の 運 動
強度が増し、強い強度の運動でも長時間運動を継続できるようになる。この最高酸素
摂取量が上記の生活習慣病の進行度の総合的な指標の一つに成り得ることが分かって
いる。
3.3.5
開発した最高酸素摂取量の推定方法
開発した最高酸素摂取量の推定方式は、家庭での運動を考慮して、高齢者、有疾病
者でも安全に対応できるように一定心拍の下での運動者の発揮している機械的運動強
図 3.4
図 3.5
健常者の心拍応答
心疾患患者の心拍応答
度( 仕 事 率 )を 正 確 に 把 握 す れ ば 、も し 運 動 者 の 最 高
酸 素 摂 取 量 並 び に AT 時 運 動 能 力 が 向 上 す れ ば 、 一 定
心 拍 で 実 現 で き る 運 動 強 度 が よ り 強 い 強 度 に な る 。と
い う 仮 説 に 基 づ き 、健 常 者 で 仕 事 率 と 最 高 酸 素 摂 取 量
の 関 係 を 明 確 に す る こ と に よ り 相 関 が 高 け れ ば 、最 高
酸 素 摂 取 量 を 代 替 で き る と い う 考 え 方 を 採 用 し た 。し
か も 一 定 心 拍 数 を AT ポ イ ン ト 近 く に 設 定 す れ ば 、 安
全にしかも運動中に自動的に運動能力を計測するこ
と が で き る と い う 利 点 を 有 し て い る 。 図 3.4、 図 3.5
は 、開 発 し た 一 定 心 拍 ア ル ゴ リ ズ ム に 基 づ く 、運 動 記
27
図 3.6
6 分間仕事量と最高
酸素摂取量
録 で 、 緑 が 回 転 数 、 黒 が 仕 事 率 (ワ ッ ト )青 が 本 人 出 し て い る ト ル ク (N・m)、 紫 が 心 拍
数 で あ る 。 心 拍 応 答 は ポ ラ ー ル 社 の 心 拍 セ ン サ を 装 置 に 組 み 込 ん だ 。 図 3.4 は 、 健 常
者( 56 歳 、男 性 設 定 心 拍 数 =110)で 心 拍 応 答 が 極 め て 早 く し か も そ の 心 拍 を 実 現 す る
機械的仕事率も安定している
78 )。 図
3.5 は 、 虚 血 性 心 疾 患 患 者 で 心 拍 応 答 が 遅 く し か
も同一心拍を実現する機械的仕事率も一定心拍実現後もしばらく安定していない
79 )。
機 械 的 運 動 強 度 量 の 把 握 を 設 定 心 拍 数 実 現 後 、1 分 ご とに 機 械 的 運 動 量 を 把 握 し 、6 分
間連続で変動が5%以内のときに 6 分間の体重当たりの仕事量をもって、機械的運動
強度量とした
80 )。 6
分 間 仕 事 量 と 最 高 酸 素 摂 取 量 と の 関 係 を 図 3.6 に 示 す
81 )。
これらの機械的運動強度の把握には、従来の電磁誘導エルゴメータでは、負荷が実
現する回転数で変わってしまうこと、しかも予測値で実測していないこと、経年変化
が激しく負荷が当てにならないこと、などからサーボモータとサーボ制御を用いたエ
ルゴメータを開発し、負荷を正確に把握する方式を採用した。
3.3.6
設定心拍数
疾患患者などでは心疾患の重症度に応じた運動
140
R
H
T
A
た最高酸素摂取量の偏差が想定され、しかも心
N=33
r=-0.41
p<0.01
Y=-0.41x + 129.6
150
AT ポ イ ン ト 近 く の 心 拍 数 は 、個 人 個 人 に 応 じ
130
120
110
100
強 度 の 設 定 が 必 要 に な る 。 図 3.7 は 、 健 常 者 で
90
15
20
25
の AT ポ イ ン ト 心 拍 数 と 年 齢 の 関 係 を 表 し て い
る 。 直 線 回 帰 の 結 果 、 回 帰 式 は AT ポ イ ン ト 心 拍
数 = 129.6-0.41×年 齢
30
35
40
45
50
55
60
age
図
3.7
年 齢 と AT 時 心 拍 数
)
82(
p<0.01)と な っ た 。こ の 式 は 、
カ ル ボ ー ネ ン 法 の 目 標 心 拍 数 = 132-0.6×年 齢 の 算 出 方
法 に 比 較 し 年 齢 で の 調 整 項 の 係 数 が 小 さ く 、全 体 と し て
の 目 標 心 拍 数 は 高 く な っ て い る 。 年 齢 60 歳 に と き の 目
標 心 拍 数 を 比 較 す る と 、開 発 し た 計 算 式 で は 、105.4 拍 /
分 で 、 カ ル ボ ー ネ ン 法 の 96 拍 /分 に 比 較 し て 、 10 拍 /分
程度の多くなっている。
ま た 心 疾 患 の 重 症 度 を 考 慮 の 方 法 に 関 し て は 、通 常 の
図 3.8
開発した運動能力計
心 肺 機 能 負 荷 試 験 を 同 様 に 、NYHA(New York Heart Association)の 心 機 能 分 類 に 従 っ
た。
従って、最終的な設定心拍数の式は、
目 標 心 拍 数 = ( 130-0.4×年 齢 ) ×NYHA 係 数 と し た
28
83,84 )。
3.3.7
開発した最高酸素摂取量の推定方法の装置化
健常者においては目標心
拍数の推定値は、運動中の
目標心拍数として安定して
い る( 図 3.4)が 、し か し 心
疾患患者においては、心拍
の状態が日々によって異な
るため
85 )、 そ の 日 の 体 調 に
図 3.9
本 人 選 択 画 面 図 3.10 運 動 プ ロ グ ラ ム 選 択 画 面
よる設定心拍数の変更を運動前の血圧チェックなどにより必要とする場合がある。し
かし本方法は、心拍一定の運動さえすれば運動者が運動中に発揮している機械的ワッ
ト を 常 時( 計 測 周 波 数 2500Hz、デ ー タ と し て は 1 秒お き に 平 均 化 )計 測 し て い る た め
自動的に運動者個人個人の運動耐用能(一定心拍の下での機械的仕事率の 6 分間積分
値)が評価可能となる。
一定心拍下での機械的仕事率の向上を表示することで運動者にとって体力が改善し
ているかどうかの判断が可能となり、運動者の動機づけに使える可能性が高い。
開 発 し た 装 置 (図 3.8)は 、1 台 で 4 人 ま で ユ ー ザ 登 録 及 び デ ー タ 収 集 可 能 (図 3.9)な 構
成とし、各個人の記録がデータセンタに送ることができるとともに、介入指導者の作
成 し た プ ロ グ ラ ム を 機 器 側 で ダ ウ ン ロ ー ド で き る 方 式 を 採 用 し た (図 3.10)。
3.4
睡眠時脈度・呼吸数の計測
3.4.1
背景
睡 眠 時 無 呼 吸 症 候 群 ( sleep apnea syndrome: 以 下 SAS と 略 ) が , 高 血 圧 や 心 血
管 疾 患 の 独 立 し た リ ス ク と な る こ と が 前 向 き 研 究 で 明 ら か に さ れ ,新 し い 心 血 管 リ ス
ク 因 子 と 考 え ら れ て お り 86-88 ) 、 ま た 夜 更 か し 等 の 生 活 習 慣 が 自 律 神 経 系 の 失 調 を 促
進 し 血 圧 変 動 に 影 響 を 与 え る な ど 89 ) 、 睡 眠 の 重 要 性 が 認 識 さ れ つ つ あ る 。
SASは 、 夜 間 の 無 呼 吸 に よ り 、 一 晩 に 300~ 500 回 程 度 低 酸 素 状 態 が 出 現 し , 血 液
内 酸 化 ス ト レ ス が 増 加 し ,血 管 内 皮 細 胞 障 害 が 引 き 起 こ さ れ る こ と に よ り 血 管 壁 へ の
直 接 の 動 脈 硬 化 促 進 作 用 が あ る と 考 え ら れ 、夜 間 高 血 圧 タ イ プ の 早 朝 高 血 圧 の 原 因 の
一 つ と 考 え ら れ て い る 90 ) 。 交 換 神 経 の 亢 進 、 胸 腔 内 の 陰 圧 に よ る 左 室 心 筋 肥 大 な ど
の 原 因 と 考 え ら れ る 共 に 、肥 満 な ど と の 関 連 が 研 究 さ れ て い る 。こ れ ら か ら 睡 眠 時 の
生 体 信 号 を 非 浸 襲 計 測 す る こ と は 、生 活 習 慣 病 の 一 断 面 を 切 り 出 す 可 能 性 が あ り 、今
回の捉えるべき指標としてセンサ開発に至った。
3.4.2
従来の計測機器
29
睡 眠 中 の 研 究 に お い て 、24時 間 血 圧 計 ABPM( ambulatory blood pressure monitor)
の果たした役割は大きく、現在でも血圧、脈拍、など生体情報の精度において優れて
いるが、健康な人の通常時に計測機器として用いるには、大きさ、装着感、価格等に
お い て 好 ま し く な い 。ま た 無 呼 吸 症 候
群などの発見を目的にした睡眠ポリ
グ ラ フ 検 査 機 器 な ど も 、脳 波 計 測 、あ
ごの筋電図計測など装着感が高く価
格 も 高 い 。ベ ッ ド の シ ー ツ の 下 な ど に
置 い て い る だ け で 計 測 で き る 非 侵 襲 、 図 3.11
開発した睡眠計測マットとコントローラ
非拘束で安価な製品が求められている。
3.4.3
計測原理
図 3.11は 、 開 発 し た 睡 眠 計 測 マ ッ ト と そ の
コントローラである。心臓の鼓動、及び呼吸
の 胸 郭 運 動 を 、 エ ア マ ッ ト (300×950m m )を
通 じ て 空 気 振 動 (音 )と し て 把 握 し 、 空 気 の 振
動が透明のビニールチューブを伝わって、コ
ントローラのマイクロフォンに伝わり、マイ
ク ロ フ ォ ン で 電 気 信 号( ア ナ ロ グ 信 号 )に し 、
AD変 換 器 で メ モ リ ー に 取 り 込 む 方 式 を 採 用
し た 。デ ジ タ ル バ ン ド パ ス フ ィ ル タ を 用 い 、周 波 数 帯 域 を 0.1~ 10KHzに 限 定 し 、呼 吸
波 形 は 0.2~ 0.4H z 、 脈 拍 は 0.5~ 5Hzの 信 号 と し て 連 続 で 計 測 し た 。
3.4.4
デジタルフィルタの採用
従来は、マイクロフォンセンサで
取り込んだ微小信号をアナログフィ
ル タ リ ン グ 回 路 部 で 周 波 数 (心 拍 、呼
吸 、い び き )分 離 し て い た が 、ロ ッ ト
により回路構成素子の特性ばらつきがあり、
図 3.12 フ ィ ル タ ー 比 較 対 応
フィルタリング精度に限界があった。
今回、デジタルフィルタリング技術を適用することにより、ばらつきが無く高精度
の フ ィ ル タ リ ン グ を 実 現 し 素 子 ば ら つ き 等 の 自 動 チ ュ ー ニ ン グ が 容 易 に な っ た (図
3.12)。
周波数設定をソフトコントロールとしたため人による差異を自動的に吸収できる構
成 が 取 れ 計 測 精 度 向 上 を 可 能 と し た 。フ ィ ル タ の 出 力 波 形 を 示 す 。
( 図 3.13
30
上段にア
ナログフィルタ出力波形と下段にデジタルフィルタ出力)を示す。
こ の 睡 眠 時 計 測 マ ッ ト が 、コ ン ト ロ ー ラ か ら 就 寝 中 の 生 体 情 報 (心 拍 、呼 吸 、い び き 、
体 動 )を 0.1s単 位( サ ン プ リ ン グ 周 期 10ms)に 平 均 化 し 、波 形 デ ー タ と し て セ ン タ サ ー
バ に デ ー タ 伝 送 す る 。伝 送 の タ イ ミ ン
グ は 、 就 寝 中 1 分 間 に 1回 、 600フ ィ
図 3.13 波 形 比 較( 上 段:ア ナ ロ グ 、下 段 :デ ジ タ ル )
ー ル ド( 0.1s単 位 の 心 拍 、呼 吸 、い び き 、体 動 の デ ー タ を 1フ ィ ー ル ド の デ ー タ )と し
て構成しデータ伝送した。
3.5
体 重計
3.5、3.6、 3.7節 に お い て は 、 従 来 機 器 の 改 良 を 実 施 し た 。
3.5.1
背景
身 長 に 比 し て 体 重 が 増 加 し て い る こ と を 表 す 肥 満 者 の 割 合 ( BMI25以 上 ) が 20歳 代
で は 、 男 子 14. 6% 、 女 子 7.7% に 対 し て 40歳 代 に は 男 子 35.9% 、 女 子 18.0% に 増 加 し
て い る 92 )。 健 康 日 本 21で は 、 20~ 60 歳 代 男 性 の 肥 満 者 24.3% を 15% 以 下 に す る 目 標
に 対 し 、 現 実 は 29.0% と 増 加 し て い る 93 )。 こ の よ う に 体 重 が 増 え て い る こ と の 実 感 を
具体的に認識する環境が少ないものと思われる。また肥満による内臓脂肪の増加は、
高 血 圧 な ど 他 の 生 活 習 慣 病 の 原 因 に な る こ と も 指 摘 さ れ て い る 94,95 ) 。 体 重 の 日 格 差 の
大 き な 人 は 、年 間 を 通 じ て 毎 日 2Kg程 度 あ り 、例 え ば 起 床 後 ト イ レ の 後 な ど い つ も 同 じ
時間に測ることで日格差を縮小して自分の体重をコントロールする必要がある。日格
差 を 正 確 に 把 握 す る た め に 10gの 変 化 を 捉 え ら れ る 体 重 計 を 開 発 し た 。
3.5.2
従来の計測機器との差
従 来 の 計 測 機 器 の 体 重 の 分 解 能 は 、 新 生 児 用 を 除 い て 20g が 限 界 で あ っ た 。 こ の 理
由は、圧電素子に対する梃子の原理からフルスケールに対する分解能が決まっている
か ら で 、 今 回 直 接 ロ ー ド セ ル を 用 い 、 日 格 差 を 捉 え る べ く 10g の 分 解 能 の 体 重 を 開 発
した。さらに体重計は、個人ごとの時系列変化を追うべく家族内 4 人まで区別できる
ボタンを配置し、個人を判別する機能を付与した。ボタンは足でけるため、押し間違
いを考慮し自分の体重情報のみを伝送する伝送ボタンを配置した。伝送ボタンが押さ
れない限り、センタサーバに体重情報は伝送されない。
31
3.5.3
ロードセルによる荷重直接変換の機構開発と個人ID方式
分 解 能 10g の 体 重 計 と す る た め に 、 体 動 や 振 動 な ど 体 重 計 測 に と っ て ノ イ ズ と な る
成分をどのように排除するかという技術的課題の開発も併せて進め、ロードセルの開
荷重検出部と
従来方式
メリット
てこの一部
槓桿(こうかん:てこ)による
価格が安い
技術的に成熟している
加重変換
デメリット
寿命面で不利
新方式
メリット
荷重検出部
起歪体(きわいたい)による
構造がシンプル
図 3.15 体 重 計 と 伝 送 装 置
荷重直接変換
デメリット
価格が高い
ファームへの負荷が大きい
図 3.14
従来の体重計との相違
発 を 実 施 し た ( 図 3.14)。 図 3.15 の 後 部 が 開 発 し た 標 準 プ ロ ト コ ー ル に よ る 伝 送 モ ジ
ュールで、体重計とはシリアル通信で通信する構成とし、シリアル通信を体重計メー
カに組み込み依頼した。機器はすべて電池駆動とした。
3.6
血 圧計
3.6.1
背景
家 庭 血 圧 の 意 義 を 世 界 的 な 認 知 レ ベ ル に 向 上 さ せ た の は 、大 迫 研 究 で あ る こ と を 1.3
章で述べた。大迫研究では、家庭血圧の計測が診療時の血圧に比較して白衣高血圧、
仮面高血圧などの影響
を排除でき安静を確保
通信エラーが発生すると血圧測定結果が点滅表
し や す く 結 果 、再 現 性 が
右にあるボタン(M ボタン)を押すと測
高 い 96) 、ま た 診 療 時 の 血
定結果を再送信する
圧と比較することで白
衣 高 血 圧 、仮 面 高 血 圧 な
どを発見しやすいこと
97) 、さ ら に 継 続 的 な 家 庭
図 3.16
通信エラーを表示する血圧計
で の 計 測 は 薬 効 持 続 期 間 が 評 価 し や す く 98) 、高 い 生 命 予 後 予 測 能 99,100 )を 有 し て い る こ
とを明らかにしている。このように医師にとっても重要な指標を提供している。
3.6.2
従来の機器との差
血 圧 は 計 測 方 法 に よ っ て は 計 測 値 が ま っ た く 意 味 を 持 た な く な る た め 、実 証 実 験 に お
いては、家庭内での設置場所を慎重に選定し、計測訓練を実施した。家庭での計測機
32
種としてはカフを用いる上腕式電子血圧計とした。従来の機器はネットワークに接続
し 、WEB 環 境 下 で 血 圧 計 測 者 が 自 ら WEB を 確 認 し て 血 圧 値 を コ ン ト ロ ー ル す る こ と
を想定していなかった。今回の標準プロトコール仕様の通信機能の搭載させることに
より、従来確認なしの伝送であったが、確認ありの伝送に変えさせた。伝送エラー確
認 機 能 を 備 え た 上 腕 式 電 子 血 圧 計 を 開 発 依 頼 し 、WEB 環 境 下 で 被 計 測 者 の モ チ ベ ー シ
ョ ン 維 持 に 繋 が る 血 圧 計 Web 開発 ( 第 5 章参 照 ) を 依 頼 し た 。
血 圧 計 は 、計 測 し た す べ て の デ ー タ を 伝 送 す る こ と を 目 的 に 、血 圧 計 測 終 了 後 自 動 的
に 計 測 デ ー タ を 標 準 プ ロ ト コ ー ル に て HCD に 送 信 す る 方 式 を 採 用 し 、家 族 4 人 が 共 同
で計測することを前提に、図の左側の 2 つのボタンと表示画面を用い、被計測者選択
画 面 上 で 個 人 選 択 を 可 能 と し た 血 圧 計 を 開 発 ( 図 3.16 ) さ せ た 。
血 圧 計 -HCD 間 の 計 測 デ ー タ 送 信 に お い て 従 来 の 医 療 用 テ レ メ ー タ( 単 方 向 通 信 )で
は実現できなかった通信エラーを計測機器(血圧計)側で表示し、通信エラーが発生
した場合、再送信ボタンを押下することにより、データ再送可能な機器開発をメーカ
に依頼した。
3.7
歩数計
3.7.1
背景
歩数の計測方法が単なる振動子の振動把握から、加速度センサ応用としての歩数把
握に進化することにより個人ごとの強度の設定が可能となり歩数計の歩数の精度が向
上し、歩行の解析も意義をもつようになった。また捉える指標も、単なる歩数から歩
行強度(加速度の大きさ)、時間当たりの歩数、カロリの推定などへ進化し、加速度
セ ン サ に よ る 加 速 度 の 1分 あ た り の 時 間 積 分 値 と し て の 運 動 強 度 を 3段 階 程 度 に 分 け て
分 ご と に 3 段 階 運 動 強 度 を 記 述 す る な ど の 製 品 化 が 進 ん で い る 。こ れ ら の 機 器 を 利 用 し
運 動 カ ロ リ と し て 血 圧 の 降 圧 の た め に は 、 2000kcal/ 週 程 度 必 要 で あ る こ と 101 ) 、 一 日
300kcal は , ほ ぼ 1 万 歩 程 度 に 相 当 し 、 軽 症 高 血 圧 で は 降 圧 す る こ と 102 、 103 ) な ど の 歩 数
と 高 血 圧 症 の 改 善 と の 関 係 が 明 ら か に さ れ て き て い る 104-106 ) 。 し か し い ず れ の 研 究 も
効果を確認する意味での研究であり、広くより多くの人が自己管理を基本に血圧値を
改善する方法論の研究には至っていない。
IT の 進 展 は 、 ネ ッ ト ワ ー ク を 通 じ て 、 デ ー タ の 蓄 積 と 本 人 へ の 時 系 列 的 な デ ー タ 表
示を可能とするだけでなく、そのデータから本人の状態を本人が認めた介入指導者が
推測し、励ますことを可能とした。この方法論を追究すべく歩数計のネットワークへ
の組み込みを実施した。一方センサ技術開発に関しては、歩数は計れるものの。家事
等の歩数が少なくても運動量としてはかなりの量に達している行動の把握はできてい
ない。言い換えると生活全般にわたる運動量の把握は出来ているとは言い難い。
33
3.7.2
従来の機器との差
他の機器と同一のネットワークにつなげることにより、
他の機器指標を取り込むことができ、より的確な指標の把
握が可能となる。例えばカロリ換算のために体重など最初
に歩数計に入力するが体重は季節変動、減量等により変化
する。また年齢も時間とともに変化する。ネットワーク化
により最も近い日に計測された情報を利用してより的確な
カ ロ リ の 把 握 が 可 能 と な る 。 歩 数 計 を 図 3.17 に 示 す 。
図 3.17
歩数計
これら運動能力計の開発、睡眠計測マット、体重計、血圧計、歩数計の標準プロト
コール組み込みのための開発仕様への協力及びシステムとしての機能開発依頼を実施
した。
3.8
伝送モジュールの供給と組み込み
各 メ ー カ に ZigBee に 基 づ い た 伝 送 モ ジ
ュールを供給し、各メーカは伝送モジュー
ルを組み込んだ機器開発を実施し順次シス
テムに投入した。
伝 送 モ ジ ュ ー ル は 、IEEE802.15.4 チ ッ プ
を 搭 載 し た RF 基 板 と 機 器 と の シ リ ア ル 通
信 及 び 本 プ ロ ト コ ー ル を 実 現 し た CPU 基
板で構成した。
図 4.18
機 器 側 通 信 CPU 基 板
伝送モジュールで実現した標準プロトコール
の 通 信 方 式( 3 パ タ ー ン 5 伝 文 )、サ ー ビ ス 内 容
(機器登録通信、通信情報登録通信、データ通
信 、照 会 通 信 )、デ ー タ 分 割 方 法 、及 び 通 信 フ ォ
ーマットについては、4 章で詳述した。
図 3.19
34
RF 基 板
第4章
4.1
計測機器-健康管理機器間通信プロトコールの標準化
はじ めに
1 章 で 在 宅 健 康 管 理 に 関 す る 様 々 な プ ロ ジ ェ ク ト が 補 助 金 の 終 了 、メ ー カ の 機 器 供 給
停止により、システムが稼働停止になる現状について述べた。このような状況を避け
るためには、システム価格の低減、サービス価格の低減、とシステムの標準化が必要
であり、システム内にどのメーカの機器でもより安価な機器が簡単に取り込める、新
しい機能の機器を開発してもすぐにシステムに組み込める、サービスプロバイダがい
つ で も 参 加 で き る な ど の 環 境 を 整 備 す る こ と が 必 要 で あ る 。こ の 課 題 を 実 現 す る に は 、
システムに組み込む機器がシステムに簡単に登録でき、その機器のデータがデータサ
ーバに容易に蓄積できることが重要である。また家庭内健康計測機器が通信する情報
量と伝送タイミングを考慮し、計測機器―健康管理機器間の通信を標準化するととも
に 、ど こ の メ ー カ の 機 器 で も 統 一 的 に デ ー タ を 閲 覧 で き る WEB 開 発 も 実 施 す る 必 要 が
ある。
本 章 で は 該 当 規 格 で あ る IEEE1073 の ワ ー キ ン グ の 発 足 の き っ か け と な る と 同 時 に
基礎になった標準プロトコールを開発したので報告する。
これらの通信の標準化を実現するために、通信プロトコール標準化協議にできる限
り多くの種類の企業の参加を促し、通信機器及びシステムメーカ、計測機器メーカ、
総合電機メーカ、サービスプロバイダの賛同を得、標準プロトコール案を作成した。
これらプロジェクトの技術とりまとめを筆者が担当した。
4.2
標準化範囲
在宅健康管理のネットワー
HMD
通信プロトコル
HTTP(S)
クにおける通信は、2つの部
血圧計
分に分けられる。一つは各家
運動能力計
HCD
サーバシステム
健康データ
受付サーバ
庭 内 の 健 康 計 測 機 器 ( H M D)
- 健 康 管 理 機 器( H C D )間 の
ローカルな家庭内通信、もう
DB
健康マット
体重計・歩数計
Webサーバ
特定小電力無線など
一つは健康管理機器―データ
Webブラウザ
センタ間及び介入センタ(主
健康産業、医療機関
に 42 条 施 設 、病 院 な ど )か ら
データセンタ間の公衆インタ
研究機関
図 4. 5
ーネット網を利用する広域通
35
データ伝送からみたシステム構成
信 で あ る ( 図 4.1 )。
インターネット広域通信においては、通信情報の暗号化及び、情報発信者の匿名化
以外の要素は、ほぼデファクトスタンダードが存在しているため、検討課題を暗号化
及び匿名化に限定した。
4.2.1
インターネット上の暗号化
通 信 プ ロ ト コ ー ル を 決 め る に あ た っ て 、実 証 実 験 で は イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で の 暗 号 化
は IETF (Internet Engineering Task Force) の 標 準 規 格 で あ る SSL/TLS (Secure
Socket Layer /Transport Layer Security) を 採 用 し た 。 SSL は 、 暗 号 化 、 認 証 、 改 竄
検 出 機 能 を 有 し Negotiation 時 に 通 信 す る 両 者 間 で 共 通 鍵 暗 号 に 基 づ く 暗 号 化 の
Negotiation を 提 供 す る 。暗 号 化 の 手 法 は RC2,RC4 107 ) ,DES 108 ) な ど を サ ポ ー ト し て
いる。
IETF は 、SSL の 後 継 仕 様 と し て 、TLS と 名 称 変 更 し 、2006 年 に 1.1 ,2008
年 に 1.2 を 提 供 し て い る
4.2.2
109 )。
匿名化
匿 名 化 に つ い て は 、実 証 実 験 の 初 期 に F 社 が 提 供 し た オ ニ オ ン ル ー テ ィ ン グ を 用 い
た が 、経 路 依 存 性 が 高 く 、セ ン タ サ ー バ ま で の 到 達 時 間 に ば ら つ き が 大 き い 。ま た 到
達 保 証 な ど 安 定 的 に 欠 け 、広 域 イ ン タ ー ネ ッ ト 通 信 網 に お け る 匿 名 化 は 、今 回 の 通 信
標準化の対象外とした。
今回の通信の標準化の範囲を各機器メーカの機器が通信できる環境を作ることに絞
り、多様な機器を抱える家庭内通信に絞った。
4.2.3
計 測 機 器 ( H M D) - 健 康 管 理 機 器 ( H C D) 間 の 家 庭 内 通 信
HMDにおける通信を実現し
ているH/Wが医用小電力、
Bluetooth,
IEEE802.11,
ZigBee,
Ultra
Wide
Band ( 表 4.1 ) な ど 伝 送 速 度 を
表 4.1
通信の物理層
無線技術 (医療関連)
規格
伝送速度
通信距離
Bluetooth
432.6K
100m
~1Mbps 10m
(IEEE802.15.1)
1m
Ultra WideBand
100Mbps
(IEEE802.15.3a)
ZigBee
~250Kbps
(IEEE802.15.4)
周波数帯
消費電力
100mw
2.5mw
2.4GHz
1mw
sleepモードなし
低電力 10mw
10m
3.1~10.6GHz
高速 100mw
乾電池で2年程度
10~75m 2.4GHz
sleepモードあり
向上させるための技術革新が
激しく、現状で標準化するこ
とが難しいこと
110-113 )、 様 々
なメーカの健康計測機器を接
続するには、下位レイヤの規
格化を必ずしも必要としない
ことから標準化の範囲をセッ
シヨンレイヤ以上に限定し、
図 4.2
標 準 化 の 範 囲 の 限 定 ( Layer4
36
以上)
標準化することとした。
規 格 化 の 範 囲 に 関 し 厳 密 な 意 味 で の OSI seven-layer モ デ ル と の 対 比 は 難 し い が 、 通
信 の プ ロ ト コ ー ル ス タ ッ ク と OSI
4.3
モ デ ル と の 関 係 を 図 4.2 に 示 す 。
標準化プロトコールの必要条件
4.3.1
システムの具備すべき機能からの標準プロトコールの必要条件
実 証 実 験( 従 来 機 器 の 伝 送 方 式 を そ の ま ま シ ス テ ム 化:1 次 実 証 実 験 )を 通 し て シ
ス テ ム の 具 備 す べ き 必 要 条 件 を 洗 い 出 し ,通 信 プ ロ ト コ ー ル へ 影 響 の あ る 項 目 を 整 理
し た ( 表 4.2 )。
表 4.2
標準プロトコールの具備すべき条件
実現方法(サービス・方法)
標準プロトコルに関する要求仕様
要求者
CPU 負荷が少ない。
バッテリー負荷がすくない。
データの重複設定がない。
機器製作 保守のタイミングがわかる。
交換したときにデータが移植出来る。
評価に他機器のデータが使用できる。
機器のバッテリー寿命が問いあわせ可能。
システム内の時刻が統一できる。
データが届かなくなった機器に警告できる。
予約語が統一的に使われる。
他システムのとのインターフェースが作り安い。
データベースのビット効率が高い。
ウエッブが機器メーカと独立して見れる。
自分で内容が理解できないデータをメーカ又は
サービス業者に問い合わせできる。
努力の効果を確認できる。
健康診断データとの相関が理解できる。
わかり易い指標化を図る。
システム保守
使用者
(患者)
使用者
(先生:診断側)
使用者
(解析者側)
KVP(Key Value pair methods)
単方向通信
Sleepモードを可能とする下位レイヤ または単方向通信
標準プロトコルレベルのエラー検出、エラー修正とアプリケーションレベルで
の検出とに分ける。アプリケーションのエラー検出方法を選択可能とする。
HCDからの問い合わせ機能
HCDからのダウンロード可能とする
センターサーバ機能
HCDからの問い合わせ機能
HCDからの問い合わせ機能
HCDからの問い合わせ機能
Terminologyは、CEN、JAHISに従う。
messagesは、HL7(ANSI)に従う。
波形データは、MFERに従う。
バイナリーの積極的採用
Code Discriminationの採用
機器交換時機器登録法方法の検討
メーカ別WEB機能
共通WEB
メーカ別WEB機能
共通WEB機能
通信エラー時各機器にHCDから再送
測ったデータは必ずデータベースまで届いている。
HMD側は、確認機能を持つ。
要求可能とする。
Terminologyは、CEN、JAHISに従う。Massageは、HL7,MFERに従う。
病院と近い形でデータが必要。
システム内時刻を統一。
測定プロトコルを決めることが重要。
在宅機器の性能を医師が知っていることが重要。
医師が自由に扱えるデータへ変換したデータ
HL7の遵守。波形定義を含む。
ベースが必要。
システム内時刻を統一。
時刻がそろっていないと使えない。
センサー情報のみでなくある程度加工したデータ
最初はメーカごとWEBで技術蓄積する。
が必要。
表 4.2 の 標 準 プ ロ ト コ ー ル へ の 要 求 仕 様 を 基 に 、 標 準 プ ロ ト コ ー ル の 要 求 仕 様 を
実 現 性 、 安 定 性 を 考 慮 し 、 最 小 限 の 要 求 仕 様 を 下 記 5 項目 と し た 。
① 現 状 開 発 さ れ た 機 器 が 少 変 更 で 使 え る こ と 。( 電 池 駆 動 の 機 器 か ら 、 電 源
を 備 え た 機 器 ま で 対 応 す る た め 通 信 に よ る C P U 負 荷 、電 池 負 荷 を 出 来 る
限り限定すること)
② データベース
を意味あるものにするためシステム内の時刻を同一にす
ること。
③ 健康計測機器で計測した計測データを出来る限り、センタに集めること。
④
機 器 交 換 し た 際 な ど 同 一 デ ー タ の 重 複 入 力 を 避 け る た め 、計 測 機 器 に 必
37
要な利用者属性情報を健康管理機器に問い合わせできること。
⑤ 新たな健康計測機器の追加にも柔軟に対応できること。
4.3.2
伝送容量と伝送タイミング
図 4.3 に 各 機 器 が 必 要 と し て い る 伝 送 量 と 伝 送 タ イ ミ ン グ を 示 し た 。各 機 器 の 特 性
により、毎分1回の伝送から1日1回までの伝送タイミングが要求され、機器及び
伝送すべき情報の意味論が確立
されているものは伝送量が少な
く、意味論的な指標のはっきり
ない機器は伝送量が多くなり、
デ ー タ 長 は 、 数 byte か ら 26MB
まで様々である。研究用途の機
器をシステム内で吸収するため
には、大容量データの時系列的
な把握が必要となり、システム
図 4.3
としては、それらの要求を吸収で
伝送容量と伝送タイミング
きる設計が必要になる。これらの
容 量 と タ イ ミ ン グ を 考 慮 し 、伝 文 の デ ー タ フ レ ー ム を 最 大 8 kbyte と し 、そ れ 以 上 の
データ伝送を実施する際は、伝文のフレーム分割を可能とする構成とした。
4.4
標準プロトコール通信仕様概容設計
プロトコールの必要条件を満たし且効率のよい伝送を実現するため、以下の項目を
通 信 仕 様 と し た 。 各 項 目 の ○ の 数 字 は 、 4.3.1 項 の 数 字 に 対 応 す る 。
①
を
実現するため、
1-1 ) シ ン プ ル な 単 方 向 通 信 仕 様 ( 上 り 方 向 ( デ ー タ 収 集 の み ) だ け の 確 認 無 し
の通信方式)も認める。このことにより電池駆動の機器は送信回路のみを
実 装 (受 信 回 路 を 実 装 し な い )し 、 送 信 す る と き の み 通 電 す る こ と に よ り 、
大幅に電力消費を削減できる。また受信回路を実装しても受信のために待
機する(常に回路に通電する)必要はなく、送信時ののみ通電し通信する
ことが可能となる。
1-2 ) バ イ ナ リ 形 式 の 通 信 を 用 い る 。 こ の こ と に よ り マ イ ク ロ コ ン ピ ュ ー タ の 苦
手なキャラクタの取り扱いをせずに、しかもより短い伝文で情報伝送が可
能となる。
1-3 ) 機 器 登 録 通 信( メ ー カ 名 、製 品 名 、型 式 番 号 、な ど )、通信 情 報 登 録 通 信( 名
38
称 、単 位 、精 度 な ど )を 設 け て 、登 録 以 降 は 、機 器 に 割 り 当 て た バ イ ト 名 :
UDN ( シ ス テ ム 上 で 機 器 を 特 定 す る 名 称 : Unique Device Name : 以 下
UDN )、 機 器 の 情 報 に 割 り 当 て た バ イ ト 名 BN ( Byte Name : 以 下 BN ) を
利用して、伝文長を短縮する通信方式を採用した。
②
を実現するために照会通信(通信サービス名)を用意し、
2-1 )機 器 側 か ら は 、時 刻 照 会 、他 社 機 器 の 直 近 の 計 測 デ ー タ 照 会 を 可 能 と し た 。
2-2 )セ ン タ 側 か ら は 、機 器 稼 動 状 況 照 会 、バ ッ テ リ ー 残 量 照 会 な ど を 可 能 と し
た。
③
は、データ通信に関して、従来の医療機器を考慮し、上り方向(データ収集
の み )だ け の 確 認 無 し の 通 信 方 式 も 容 認 す る が 、HMD は で き る だ け 双 方 向 通 信
の 回 路 を 設 け 、 ANK,NAK の 確 認 あ り の 通 信 と す る こ と を 基 本 と し た 。
従 来 の 通 信 で は 、 単 方 向 の た め FEC ( Forward Error Collections ) な ど を 利
用しており、例えば 3 連送(同じデータを 3 回分送り受け取った側で多数決に
よりエラー判定をし、情報を取り出す)など極めて冗長度の高い伝送をし、且
つ確実に伝送できたか否かについては不明であったため、できるだけ双方向を
基本とする伝送に変更した。
④
は HMD が 機 器 登 録 通 信 、 通 信 情 報 登 録 通 信 を し た 後 、 上 記 照 会 通 信 を 利 用
し 、 HCD の 情 報 ( 使 用 者 の 年 齢 、 性 別 、 身 長 、 体 重 な ど ) を 入 手 可 能 と し た 。
このことにより機器交換が容易になり人による入力忘れを防ぐことができる。
⑤は機器登録通信、通信情報登録通信を利用し、機器名、機器の伝送する情報を
登録した機器は、すべてシステム内に取り込める工夫をした。
機器の登録、
機器の送る情報の登録を標準化することで、どのような機器でもシステム内に
取 り 込 め る よ う に し 、 情 報 を 登 録 す る 際 、 そ の 情 報 に 1byte の 情 報 名 を 設 定 す
ることで、データ伝送時はそ
の情報名とデータ値のみを送
れば、伝送容量を圧縮可能に
する方式を取った。
4.4.1 通 信 サ ー ビ ス と 通 信 パ タ ー ン
設計
上記通信を実現するため、通信のサー
図 4.4
39
3 種 類 の 通 信 パ タ ー ン( 5 種 類 の 伝 文 )
ビス内容として、1)機器登録通信
照会通信
→
3)データ通信
4)
の 4 つを設定した。それぞれの通信サービスを実現するための通信パター
ンは、1)通知(確認無し)
要求
2)通信情報登録通信
情報応答
2)通知(確認あり)→返答(確認通知)
3)情報
の 3 種類通信パターンで構成し、それぞれの通信パターンにお
け る 伝 文 は 、 5 つ の 種 類 か ら 構 成 し た 。( 図 4.4 )
従 来 の 医 療 用 テ レ メ ー タ で は 図 4.4 の A で 通 信 し て い た が 、 C の 方 式 を 標 準 と し た 。
ま た B パ タ ー ン を 作 る こ と に よ り 、 HMD 、 及 び HCD が 求 め て い る デ ー タ を 相 手 の
機器に情報照会可能とした。
表 4.3
1)
機器登録
登録名称
バージョン情報
メーカ名
DD
CD
DV
0x10
0x10 "NedohhcVersion1.0"
0x10
0x10 "manufacture"
0x20
0x10 "Mitsubishi Electric Engineering"
製品名
0x10
0x10 "modelName"
0x20
0x10 "MHT-041"
製造番号
0x10
0x10 "modelNumber"
0x20
0x10 "00001011"
UDN
0x10
0x10 "UDN"
0x20
0x10 "CTZ-BloodPressure"
機器簡易名称
0x10
0x10 "friendlyMachineName"
0x20
0x10 "BP"
CD:文字識別(Code Discrimination)
DV;Data Value の 略語で、Dataを示す。
登録名称はいずれも予約語。
機器登録通信サービス
機器登録通信サービスは、機器がシステ
ムに参加するときに、メーカ、製品名、製
造 番 号 、製 造 年 月 、UDN を 登 録 記 載 必 須 項
目( 表 4.3 )と し 、こ れ ら の 記 述 の 名 称 を メ
ー カ 名 は 、 ”manufacture” と い う よ う に 統
一し、システムが同一の理解ができるよう
に 登 録 名 称 マ ス タ ー を 設 け た ( 図 4.5 )。 こ
の 機 器 登 録 は HMD か ら HCD に 登 録 し 、
HCD か ら セ ン タ サ ー バ に 自 動 的 に 伝 送 さ
れ る 形 式 を と っ た 。 表 中 CD ( Code
図 4.5
登録名称マスター
Discrimination ) は 、 DV(Data Value : 以
下 DV) に 書 か れ た 内 容 の コ ー ド を 示 し 、
DD(Data Discrimination) は 、 登 録 す る 情
報の種類を識別する識別子を表す。データ
フ レ ー ム を 4.3.2 項 、 デ ー タ フ ィ ー ル ド を
4.3.4 項 、記 載 例 を 4.3.5 項 に 示 す 。機 器 登
録 通 信 サ ー ビ ス は 、 HMD か ら 通 信 に よ っ て
図 4.6
予約語
HCD に 登 録 す る 機 器 登 録 通 信 に よ り 実 現 す る 場 合 と 、 HCD に 外 部 メ モ リ に よ っ て 直
接 登 録 で き る 場 合 と を 用 意 し 、 メ モ リ 資 源 の 少 な い HMD の 負 担 を 軽 く で き る こ と を
考 慮 し た 。 予 約 語 の 一 覧 を 図 4.6 に 示 す 。
2)
通信情報登録通信サービス
通信情報登録通信サービスは、上記機器登録通信サービスと同じタイミングで実施
さ れ 、そ の 機 器 が HCD に ど の よ う な 情 報 を 送 る か を 事 前 に 登 録 す る 通 信 サ ー ビ ス で あ
る 。通 信 情 報 登 録 通 信 を す る こ と で 登 録 以 降 、 HMD は 、 1Byte の BN と そ の 値( DV )
40
を 送 る だ け で 、HCD は そ の 機 器 の ど の よ う な 情 報 か を 判 断 で き る よ う に し 、伝 文 長 を
圧縮する構成を取った。なお、被験者番号、
計 測 時 刻 な ど は す べ て の 機 器 の 共 通 化 の BN
表 4.4
を 設 け 、 予 約 語 と し た 。 表 4.4 に 血 圧 計 の 通
(1) 予約された測定情報
項目名称 DD
CD
被験者
登録名称 0x01
識別コード名称
0x10
単位
0x10
スケール 0x10
測定時刻 登録名称 0x01
名称
0x10
単位
0x10
スケール 0x10
現在時刻 登録名称 0x01
名称
0x10
単位
0x10
スケール 0x10
(2) 機器固有の測定情報
項目名称 DD
CD
最高血圧 登録名称 0x01
名称
0x10
名称
0x20
単位
0x10
スケール 0x10
最低血圧 登録名称 0x01
名称
0x10
名称
0x20
単位
0x10
スケール 0x10
平均血圧 登録名称 0x01
名称
0x10
名称
0x20
単位
0x10
スケール 0x10
心拍
登録名称 0x01
名称
0x10
名称
0x20
単位
0x20
スケール 0x10
信 情 報 登 録 通 信 の 内 容 を 示 す 。 UDN
“ CTZ-BloodPressure ” の 通 信 す る 情 報 の バ
イ ト ネ ー ム ( BN ) 0x30 は 、“ PersonalID” を
示 す 。ま た 同 0x01 は 、”MeasurementTime”,
同 0x02 は 、英 語 で“ sysBP ”日 本 語 で“ 最 高
血 圧 ”、 単 位 は “ m m Hg ” で 送 ら れ る 。 ス ケ
ー ル で 分 解 能 を 示 し“ 1 ”は 130 と 送 ら れ れ
ば 130mmHg を 示 す 。 具 体 的 な 記 載 方 法 は 、
4.5.5 項 に 示 す 。こ れ ら の 情 報 も 通 信 で は な く
外部メモリなどで供給されてもよい。これら
の通信情報登録においても、標準名称マスタ
ーを設け、用語名称を統一し、英語は
ISO/IEEE11073-10101 に 、 日 本 語 は JAHIS
(保健医療福祉情報システム工業会)に従っ
た。
3)
データ通信サービス
通信情報登録通信
DV
0x30
"personalID"
0x10
"measurementTime"
"yyMMddhhmm"
0x11
"currentTime"
"yyMMddhhmm"
DV
0x20
"sysBP"
"最高血圧"
"mmHg"
"1"
0x21
"diaBP"
"最低血圧"
"mmHg"
"1"
0x22
"meanBP"
"平均血圧"
"mmHg"
"1"
0x23
"HeartRate"
"心拍"
"拍/秒"
"1"
HMD か ら HCD へ の デ ー タ 伝 送 を 実 施 す る サ ー ビ ス で 、 ヘ ッ ダ ー 部 に 、 通 信 伝 文 の
種類、サービス識別子を持ち、複数のデータフィールドから構成され、各データフィ
ー ル ド に は 、最 初 に 被 験 者 番 号 、計 測 時 刻 、伝 送 開 始 時 刻 、続 い て 、計 測 情 報 の DL( Data
Length ), BN , DV を 各 デ ー タ フ ィ ー ル ド に セ ッ ト す る 構 成 と し た ( 図 4.7 )。
4)
照会通信サービス
照会通信サービスを用いて次の機能を実現した。
・システム内の時刻の統一
デ ー タ 解 析 に と っ て シ ス テ ム 内 の 各 HMD の 持 つ 時 刻 の 統 一 は 、 正 確 な 計 測 時 刻
を 知 り う る 唯 一 の 手 段 で あ り 、各 HMD の 計 測 値 の 信 頼 性 と 同 程 度 の 重 要 性 が あ る 。
こ の 時 刻 を 統 一 す る た め 各 HMD は 、 HCD に 時 刻 を 、 照 会 通 信 を 通 じ て 問 い 合 わ
せ可能とした。
・機器交換時の機器に必要な情報の入手
歩数計は、初期設定でカロリーを計算するための使用者の体重情報、感度を調
整 す る た め に 使 用 者 の 性 別 、年 齢 、身 長 、を 入 力 す る 。 HMD は 一 度 入 力 し た こ れ
41
ら の 情 報 を 機 器 交 換 時 に 入 力 す る 必 要 は な く 、照 会 通 信 を 使 用 し て HCD か ら 必 要
な 情 報 を 入 手 可 能 と し た 。こ の こ と に よ り 故 障 な ど の 場 合 機 器 交 換 が 容 易 に で き る 。
・計測機器の計測項目の値を正確にするための情報入手
減 量 に よ り 体 重 が 減 少 、過 食 に よ り 体 重 が 増 加 し た 時 な ど 、カ ロ リ ー 計 算 に 使
う 体 重 が 時 間 の 経 過 と 伴 に 初 期 の 設 定 と 異 な る 可 能 性 が あ り 、定 期 的 に 照 会 通 信 を
用い、体重情報を紹介することでより正確なカロリー計算が可能となる。
・電池残量照会
体 重 計 な ど バ ッ テ リ ー 駆 動 の 機 器 は 、HCD 側 か ら HMD に 問 い 合 わ せ る こ と を
通 じ て 、 HMD の バ ッ テ リ ー 交 換 時 期 を 管 理 で き る 。
こ れ ら の 照 会 通 信 サ ー ビ ス の 概 略 手 順 を 例 示 す る 。HMD か ら 照 会 通 信 す る 場 合 を 例
に と る と 、HMD が 4.4.2 項 の デ ー タ フ レ ー ム の Application Layer Header ( 以 下 AH
と 略 す 。)に あ る 通 信 識 別 子 を“ 要 求 ”に 、サ ー ビ ス 識 別 子 を“ 照 会 通 信 ”に 、シ ー ケ
ン ス 番 号( デ ー タ フ レ ー ム の ID )に 値 を 入 れ 、 Application Layer Data Frame ( 以 下
ADF と 略 す 。) に 紹 介 す る 項 目 の BN を セ ッ ト し HCD に 送 信 す る 。 HCD は 、 誤 り 確
認 を し 、 AH の 通 信 識 別 子 を“ 応 答 ”に 、サ ー ビ ス 識 別 子 を“ 照 会 通 信 ”に 、シ ー ケ ン
ス 番 号 に 値 を 入 れ 、 ADF の そ れ ぞ れ の BN に 対 応 し た 情 報 を デ ー タ フ ィ ー ル ド に セ ッ
ト し 、 送 信 す る こ と で 実 現 し て い る 。 例 え ば 、 現 在 時 刻 を 知 り た い と き は 、 ADF の デ
ー タ フ ィ ー ル ド の BN を“ 0x11 ”に し 、DV に 現 在 時 刻 を 入 れ 返 答 す る こ と で 、現 在 時
刻 を 返 す こ と が で き る 。本 例 は 予 約 さ れ た BN で 説 明 し た が 、BN の 予 約 語 で 規 定 し て
い な い BN に 関 し て も 、UDN と BN で 一 意 に 情 報 が 定 ま る た め 、照 会 通 信 が 可 能 と な
る。
4.4.2
データフレーム設計
通 信 す る デ ー タ フ レ ー ム の 構 造 は 、2byte の AH と ADF か ら 構 成 ( 図 4.7) さ れ 、ADF
は、いくつもの
Data
Field か ら 構 成 さ れ る 。 Data Field は 、 2 種 類 で 、 機 器 登 録
通信、通信情報登録通信で使用されるデータ形式(複数データ形式)とデータ伝送で
使用されるデータ形式(単数データ
形式)とし、データ形式を混在して
伝送することはしないこととした。
4.4.3
Application Layer Header
図 4.7
データフレームの構成
AH の 1 Byte 目 で 、3 種 類 の 通 信 の パ タ - ン の ど れ に 相 当 す る か 、さ ら に 5 つの 伝 文
のうちどれに該当するか、データは分割して伝送されるか否か。データ形式は複数形
式か単数形式か、通信サービスはどのようなサービスかを記載した。
42
AH の 2Byte 目 で は 、該 当 の Data
Frame が 、 先 頭 フ レ ー ム か 否 か 、
Data
Frame を 識 別 す る た め の
シーケンス番号(同一データフレ
ームを分割した場合は、同一のシ
ー ケ ン ス 番 号 と し た 。)、 送 信 番 号
を割り当て、送信番号、はフレー
ムを分割して送る場合に使用し、
最終フレームを0にするようにセ
ットする方式を取った。
(最初の送
信番号は、分割数-1をセットす
る 。)こ れ に よ り フ レ ー ム 分 割 と フ
レーム識別を行う構成とした(図
4.8 )。
図 4.8
4.4.4
Data
Application
Layer Header
の構成
Field
ADF は 、 複 数 の デ ー タ フ ィ ー ル ド か ら 構 成 さ れ 、 各 デ ー タ フ ィ ー ル ド は 単 数 デ ー タ 形
式および複数データ形式のいずれかを取る。
デ ー タ 伝 送 と 確 認 応 答 時 に 単 数 形 式 の デ ー タ フ ィ ー ル ド 、機 器 登 録 通 信 、通 信 情 報 登 録
通 信 時 に 複 数 デ ー タ 形 式 の デ ー タ フ ィ ー ル ド を 構 成 す る ( 図 4.9)。
誤 り 確 認 の と き は 、 BN は 予 約 語 の 0x02、 DV の 1 Byte を 図 4.10 の 構 成 と し た 。
図 4.9
4.4.5
Field
4.4.5.1
図 4.10
データフィールドの構成
Data
記載例
単数形
43
確 認 通 知 の DV
式(1つの項目に関して、一つのデータをもつ)
単 数 形 式 の デ ー タ を 説 明 す る 。例 え ば 最 大 筋 力 左 を 例 に と る と 、DL( Data
Length )
は 2 Byte で 記 述 さ れ 、 最 大 筋 力 左 の 計 測 デ ー タ 長 の 内 容 は 、 5 Byte ( 0x5 ) で 、 BN
は 、 1 Byte
で 記 述 さ れ 、 内 容 は ( 0xD2 ) で 、 DV 欄 に 計 測 値 が 2 Byte ( デ ー タ は 、
unsigned short ) で 、 一 つ の 単 数 形 式 の デ ー タ フ ィ ー ル ド が 構 成 さ れ る ( 表 4.5) 。
ま た 誤 り 確 認 の 結 果 を 返 す 場 合 も 単 数 形 式 の デ ー タ フ ィ ー ル ド を 用 い 、 BN は 、 予
約 語 ( 図 4.6 ) で 示 し た よ う に 、 0x02 で 、 DV 欄 は 図 4.10 に 従 う 。
4.4.5.2 複 数 形 式
複数形式のデータフィールドを説明する。複数形式のデータフィールドは、機器登
録 通 信 、情 報 登 録
表 4.5
運 動 能 力 計 の Data Field
通 信 時 に 用 い る 。複 数 で あ る 理 由 は 、2 つ の情 報 が リ ン ク し て い る こ と を 示 す た め に 複
数形式としている。
機 器 登 録 通 信 の 例 で 示 す と メ ー カ 名 が “ MEE ” の 場 合 の デ ー タ フ ィ ー ル ド は 、
第 1 フィールド
DL:
第 2 フィールド
0x00, 0x0f
DL:
0x00, 0x07
DD:0x01:登 録 名 称 識 別 子( 予 約 語 )
DD:0x02: 名 称 識 別 子 ( 予 約 語 )
CD:0x10: ASCII コ ー ド で 記 載
CD:0x10: ASCII コ ー ド で 記 載
DV:“ Manufacture”
DV:“ MEE”
と 記 載 す る こ と で 、 Manufacture が MEE で あ る こ と と 関 連 づ け た 。
また健康計測機器の伝送する情報を登録する情報登録通信の例を示すと
日 本 語 名 称 が“ 消 費 カ ロ リ ー ”、英 語 名 称 が“ calorie”, 単 位 が "Kcal ”、ス ケ ー ル が ”0.1”
の 通 信 項 目 を BN:0xb2 に 対 応 付 け る 場 合 の 情 報 登 録 通 信 の デ ー タ フ ィ ー ル ド は
第1フィールド
DV:“ 消 費 カ ロ リ ー ”
DL:
第 3 フィールド
0x00, 0x05
DD:0x01:登 録 名 称 識 別 子( 予 約 語 )
DL:
CD:0x01: バ イ ナ リ ー コ ー ド で 記 載
DD:0x02: 名 称 識 別 子 ( 予 約 語 )
DV:0xb2
CD:0x10: ASCII コ ー ド で 記 載
第 2 フィールド
DV:“ calorie”
DL:
0x00, 0x0b
0x00, 0x10
DD:0x02: 名 称 識 別 子 ( 予 約 語 )
第 4 フィールド
CD:0x20: JIS コ ー ド で 記 載
DL:
44
0x00, 0x08
DD:0x03: 単 位 識 別 子 ( 予 約 語 )
DV:“ 0.1”
CD:0x10: ASCII コ ー ド で 記 載
DV:“ Kcal”
第5フィールド
DL:
0x00, 0x07
DD:0x01:ス ケ ー ル 識 別 子( 予 約 語 )
CD:0x10: ASCII コ ー ド で 記 載
と記述することで、対応付ける方式とした。
45
コネクタ形状
4.5
下位レイヤとのシリアル通信仕様
物理層
ピン・アサイン
HMD は 、通 信 ア ダ プ タ を 介 し て HCD と
初期伝送速度
伝送方式
伝送波形
の 通 信 を 行 う 。 HMD と 通 信 ア ダ プ タ の シ
電気特性
リ ア ル I/F 通 信 で は 、初 期 化 シ ー ケ ン ス で 、
論理
通信速度、通信ポートを設定し通信を開始
信号
給電
する。
制御方式
同期方式
キャラクタ構成
HCD と の 通 信 に 関 す る ネ ッ ト ワ ー ク ア
ド レ ス は 、 MAC 層 な ど の 下 位 層
基本制御方式 データ送信順序
スタート ビット
ストップ ビット
パリティ
キャラクタ間隔
最大リトライ
応答監視
送信禁止時間
114) で 既 に
決定しており、改めてシリアル通信仕様で
記載する必要がない。シリアル通信仕様で
は、通信ポート番号を決めて管理する必要
図 4.11
が あ る 。図 4.11 に シ リ ア ル 通 信 の 仕 様 を 示
b7
b6
b5
b4
b3
b2
b1
b0
Serial Header
(1Byte)
SIFデー
タ
す。
基本的な同期方式は、キャラクタ毎の
調 歩 同 期 で 、NAK 時 応 答 監 視 時 間:送 信
後 300msec 以 上 , 送 信 禁 止 時 間:受 信 確 定
後 10msec 以 上 , 最 大 リ ト ラ イ 回 数 3 回 。
エ ラ ー 検 出 は 、キ ャ ラ ク
タ毎の偶数パリティテ
1
2
3
4
5
6
機器アダプタ側 健康計測機器側
受電
給電
GND
GND
Tx
Rx
Rx
Tx
RTS
CTS
CTS
RTS
9600BPS
ベースバンド伝送
単流NRZ
データ信号線
負論理
制御線
正論理
オープンコレクタ
4.75~5.5V 、0.5mVA 以上
RTS/CTS制御 (手順あり)
非同期(キャラクタ毎調歩同期)
合計
11 Bit
スタートビット
1 Bit
データ
8 BIt
パリティ
1 Bit
ストップビット
1 Bit
LSB ファースト
論理 0
論理 1
偶数パリティ
10msec 以上
3回
送信後300msec 以上
受信確定後10msec以上
シリアルインターフェース
"0": APLパケット , "1": serial interface パケット
コマンド分類;
0:誤り検出、1:ボーレイト設定、2:ポート番号設定
0x0:NAK, 0x1:ACK
コマンド 0 の場合
0x0:9.6kbps 、0x1:115kbps
コマンド 1 の場合
0x0:設定要求、0x1:廃止要求
コマンド 2 の場合
(ポート番号設定のときSHの後に1byteポート番号が付く)
図 4.12
Serial Header(3Byte)
1byte目 SIFと同じ
2byte目 測定機器APLのポート番号
3byte目健康管理機器アプリのポート番
PHコネクタ(推奨)
Serial interface
Serial Data Length(2byte)
Packet
Serial Data (m byte)
Data長をByte数で表現。
(0x0050は、80Byte)
アプリケーション層の
データフレーム
ェックとした。
図 4.13
またデータフレームは、
シ リ ア ル 通 信 制 御 用 の SIF
APL
パ ケ ッ ト と デ ー タ 伝 送 用 の APL
Packet
パケットの 2 種類で、
フ レ ー ム 構 造 を 図 4.12, 図 4.13 に 示 す 。
Serial Header ( SH ) の 1 byte 目 に 、 パ ケ ッ ト の 種 類 、 コ マ ン ド の 種 類 、 そ の コ マ
ン ド の 値 が 記 載 さ れ る( 図 4.12 )。SIF コ マ ン ド が ポ ー ト 番 号 設 定 の と き SH は 、2byte
と な り 、 2byte 目 に ポ ー ト 番 号 が 記 載 さ れ る 。
デ ー タ 伝 送 の APL パ ケ ッ ト の 構 造 は 、 SH が 3byte で 構 成 さ れ 、 1byte 目 は 、 SIF
と 同 じ で 、 2,3byte 目 に MHD,HCD そ れ ぞ れ の ポ ー ト 番 号 が 入 る 。( 図 4.13 )
シ リ ア ル 通 信 の 下 位 層 で あ る 通 信 ア ダ プ タ は 、 IEEE802.11b wireless LAN と 特 定
小 電 力 無 線( ARIB
STD-T67 )115 ) を 用 い た 。運 動 能 力 計 、睡 眠 計 測 マ ッ ト 、HCD が
IEEE802.11b LAN を 使 用 し 、 体 重 計 、 血 圧 計 、 歩 数 計 、 HCD が 特 定 小 電 力 無 線 を 使
44
用 し た 。 標 準 プ ロ ト コ ー ル と 通 信 ア ダ プ タ の イ ン タ フ ェ ー ス は 、 UART(universal
asynchronous receiver-transmitter) を 用 い た 。
4.6
通信の特徴
機 器 登 録 通 信 で 、メ ー カ 名 、製 品 名 、型 番 、 UDN な ど を 登 録 し 、さ ら に そ の 機 器
の通信情報登録通信を行い、その機器でどのような計測データを計測するかを規定す
る方式をとることにより、この通信を実現できる機器はすべてシステム内に取り込む
こ と が で き る よ う に 構 成 し た 。こ の 計 測 項 目 と BN と を 結 び つ け て お け ば 、BN の み で 、
どのようなデータかが健康管理機器側と健康計測機器側とが判別可能になる。更に、
こ の BN 登 録 す る 名 称 識 別 子 の 英 語 名 を ISO/IEEE11073-10101 、 日 本 語 名 を JAHIS
に合わせておくことで、他社の機器に取り替えた場合でもデータの一貫性を確保可能
と 出 来 る 方 式 を 取 っ た 。 Terminology を 統 一 し た も の を 標 準 名 称 マ ス タ ー と し て 規 格
案 の 附 属 書 に 記 載 し た 。計 測 項 目: BN は 、 UDN( 健 康 計 測 機 器: HMD )ご と に 最 大
1 Byte ( 255 項 目 ) 用 意 で き る 。 HMD は 、 HCD に 通 信 情 報 登 録 通 信 で BN 毎 に 計 測
項 目( 名 称 、単 位 、ス ケ ー ル )を 登 録 し て お く こ と で 、1byte で こ れ ら の 情 報 を 送 る こ
と が で き る 。 例 え ば 体 重 計 の BN : 0x0c は 、 名 前 = Bodyweight, unit=kg, scale=0.1
を 表 し 、 Bodyweight ( 10byte,
ASCII code ) + kg(2byte,ASCII code) + 0.1 ( 1byte,
binary ) =13byte → 0x0c ( 1byte,binary ) =1byte name に 圧 縮 し て 送 る こ と が で き る 。
45
第5章
5.1
WEB
システム
はじ めに
通 信 仕 様 に 基 づ き 用 語 、単 位 、スケ ー ル が 統 一 的 に 記 述 さ れ る こ と で 、メ ー カ に 関 係
なく計測値を理解することでき、同一形式のデータベースを構築し、各メーカの計測
値 が 同 一 画 面 に 表 示 す る WEB 開 発 を し た 。
WEB システム
一方各メーカは、独自の計測値に関する
研 究 成 果 を WEB ベ ー ス で 紹 介 す る メ ー カ
独 自 WEB 開 発 を し 、 よ り 被 験 者 に 解 り 易
メーカ独自
WEBシステム
統一WEB システム
い方法論を研究開発した。これら両方の利
点を共存させるシステム開発を実施した
図 5.1
WEB 構 成
( 図 5.1 )。
こ の 考 え 方 は 、 最 近 電 子 カ ル テ で も 実 施 さ れ 、 2004 年 か ら ISO/TC215 116) で
EHR(Electric Health Record: 電 子 カ ル テ ) に 関 す る 議 論 が 高 ま り ISO20514 EHR で 、
基 本 的 包 括 的 EHR(Basic - General), そ の 下 層 に 共 用 可 能 EHR(Shareable) と 共 有 不 可
能 EHR(Non-Shareable) を 区 分 し 、 共 有 可 能 EHR の 下 位 に 統 合 的 診 療 EHR
( Integrated Care EHR ) を 切 り 出 し 厳 密 な 用 語 定 義 を 行 っ て い る 。 言 い 換 え る と 共
通最大公約項目を決め、総合診療に関する互換性の確保を図っている。
5.2
統一 WEB
図 5.2 に 今 回 実 現 し た 統 一 WEB と メ ー カ 独 自 WEB の 構 成 を 示 す 。被 験 者 は ロ グ イ
ン 後 、被 験 者 用 各 種 選 択 画 面 に 推 移 し 、各 メ ー カ の 計 測 機 器 ボ タ ン を 押 下 す る こ と で 、
各 メ ー カ 独 自 の WEB 画 面 、“ グ ラ
データ共通画面
フを選ぶ”の期間ボタンを押下す
ることで、被験者データトレンド
各メーカが自分の機
器の計測値を被験
者に解り易く説明す
る画面
各メーカが自由に意
見を述べる画面
被験者用 各種選
択画面
被験者データトレンド
を確認できる画面
を確認できる画面に推移する。被
験 者 用 各 種 選 択 画 面 を 図 5.3 に 示
ログイン画面
す。この画面の計測機器の欄の血
圧計、運動能力計の文字をクリッ
パスワード変更画面
介入指導者が被験
者を選択できる画面
ク す る と そ の メ ー カ の WEB 図 へ
図 5.2
推 移 す る 。ま た“ グ ラ フ を 選 ぶ ”の “ 1
WEB 画 面 構 成
日 間 ”、“ 1 週 間 ”、 "1 ヶ 月 間“ の ボ タ ン を 押 下 す る と 、該 当 期 間 の ト レ ン ド グ ラ フ 画 面
に 推 移 す る 。図 5.4 で は 、1 ヶ 月 間 の ボ タ ン が 押 下 さ れ た 場 合 の 表 示 を 示 し て い る 。ト
レ ン ド グ ラ フ で は“ 表 示 し た い 項 目 を 選 ぶ ”の 各 ア イ テ ム に チ ェ ッ ク を 入 れ る だ け で 、
メーカに関係なくチェックを入れたデータを閲覧・比較できる構成とした。
46
また介入指導チームが被験者ごとの指導をしやすいように介入指導者が被験者を選
択できる画面を設けた。
図 5.3
被験者用
図 5.4
各種選択画面
1 ヵ月トレンド
47
5.3
メーカ独自 WEB
メ ー カ 独 自 WEB の 領 域 で 、被 計 測 者 が 一 目 で 血 圧 値 の ト レ ン ド が 判 断 で き る 様 に 、
WHO 血 圧 値 分 類
9 ) に 基 づ い た 色 分 類 表 示( 図
5.5 )を 行 う 血 圧 W e b グ ラ フ を 作 成 し
た。また、実証実験に参加した被計測者からの意見を取り入れて、表示範囲の血圧平
均 値 が 一 目 で 分 か る よ う に 改 良 を 行 っ た 。 図 5.6 に 改 良 し た 表 示 画 面 を 示 す 。 表 示 期
間選択は過去 1 週間、1 か月、3 か月、6 か月、1 年の表示を可能とし、表示時間帯選
択は、
一日の中の任意の時間帯のみの血
圧表示を 1 時間単位で選択可能とした。図
5.6 は 、 0 時 か ら 24 時 の 一 日 の 血 圧 値 の 最
大値の 6 か月トレンドを示しており、血圧
値が悪化していく様子を示している。
ま た 統 一 WEB の デ ー タ 閲 覧 期 間 が 最 長
一ヵ月なのに対して、血圧値理解のために
1 年間のトレンド把握(季節変動)するた
図 5.5
めにグラフ化を可能とした。
図 5.6
WHO 血 圧 分 類 表 示 の WEB
48
血 圧 の WHO 分 類
ま た 運 動 能 力 計 で は 、 30 分 程 度 の 1 回 の 運 動 の 中 で 、 ど の よ う な 回 転 速 度 ( 図 6.6
の 画 面 の 緑 色 )、 力 ( 同 青 色 )、 仕 事 率 ( ワ ッ ト : 同 黒 色 ) で 運 動 し 、 そ の 時 の 心 拍 数
(同ピンク色)を検討できるように 1 秒単位の平均化されたデータを表示できる構成
とした。
図
5.7
運 動 能 力 計 の メ ー カ 独 自 WEB
49
第6章
6.1
実証実験
データ収集
プロトコールを含む実証実験を、
大 阪 地 区 20 家 族 で 実 施 し た ( 図
6.1) 。2004 年 10 月 か ら 順 次 家 庭 内
に機器を設置し、通信確認をしな
がら機器の設置位置を決め、通信
状況の悪い設置場所では、通信の
リピータを設置し通信環境を整備
した。また各機器が必要とする各
家庭の使用者のデータ入力も合わ
せ て 実 施 し た 。2004 年 12 月 15 日
図 6.1
に 設 置 完 了 し 、 10 日 間 の 家 庭 内 か
実証実験システム
ら デ ー タ サ ー バ ま で の 総 合 試 験 を 実 施 し 、 12 月 24 日に 設 置 完 了 し た 。
20 家 庭 全 員 で あ る 76 人( 平 均 3.8 人 / 家 族 )を ID 登 録 し た 後 、各 機 器 の 使 い 方 並 び
に 計 測 プ ロ ト コ ー ル の 説 明 会 を 12 月 26 日 に 実 施 し 、被 験 者 へ の 趣 旨 説 明 と 同 意 の 下 、
4 週間の計測トレーニング期間を設け、使い
30
方 に よ る 計 測 値 の 差 、 WEB(5 章 参 照 ) で の 確
実証実験に参加の意思を示し、同意書にサイ
ンした。関西医科大学と技術研究組合医療福
該当被験者数(人)
認 方 法 な ど を 学 習 し た 後 、 61 人( 80.3 % )が
25
祉機器研究所の倫理委員会の承認を得ると共
20
15
10
5
0
に 被 験 者 か ら 書 面 に て 同 意 を 得 、 2004 年 12
月 27 日 か ら 翌 年 1 月 24 日 ま で の 4 週 間 で 被
病名( 重複表示)
験者に機器の取り扱い方法と計測プロトコー
図 . 6.2
ル を 訓 練 し 、1 月 24 日 に キ ッ ク オ フ ミ ー テ ィ
14
た。
介入は計測訓練とあわせて、日本運動療法
研究会関西支部が 1 名の医師、3 名の運動指
導 士 、 1 名 の 管 理 栄 養 士 ,1 名 の 秘 書 で 介 入 指
導を実践・記録した。
50
ト)
12
被験者数 ( 人)
ングを開催し、1 年間のデータ計測を実施し
被験者の主病名(重複カウン
10
8
6
4
2
0
20
25
30
35
40
45
50
55
被験者年齢 ( 才)
60
65
70
75
80
6.1.1
対象
生活習慣病予防に関する知見確立のため、健康増進施設である関西医科大学健康科
学 セ ン タ ー に 通 院 す る 者 の う ち 、 BMI ( 体 重 /
図 6.3
実証実験同意者
年齢構成
身 長 ) <35 、 膝 関 節 軟 骨 正 常 な ど の メ デ ィ カ ル チ ェ ッ ク 後 、 高 血 圧 患 者 及 び 予 備 群 を
2
含 む 20 家 庭 を 選 定 し た 。
実 験 に 同 意 し た 61 人 の 疾 病 の 状 況 は 、 虚 血 性 心 疾 患 経 験 者 10 名 、 高 血 圧 症 13 名 、
糖 尿 病 3 名 、 肥 満 症 2 名 、 睡 眠 時 無 呼 吸 症 候 群 3 名 ( 図 6.2 ) で 、 被 験 者 は 、 男 性 27
名 ( 52.3 ± 15.5 歳 )、 女 性 34 名 ( 46.0 ± 14.1 歳 ) で 、 年 齢 構 成 を 図 6.3 に 示 す 。
6.1.2 計測プロトコール
計測項目は、血圧、体重、歩数、運動、睡眠、通信エラーとし、それぞれ血圧計、
体 重 計 、歩 数 計 と 運 動 能 力 計 、睡 眠 計 測 マ ッ ト を 用 い て 計 測 し た 。血 圧 計 、体 重 計 は 、
全 家 庭 に 、歩 数 計 は 61 名 各 自( 全 被 験 者 )に 、睡 眠 計 測 マ ッ ト 及 び 運 動 能 力 計 は 、健
診データを基本により介入の必要(血圧値の降圧、肥満の解消など)な被験者を選択
し使用を計画した。
各機器の計測プロトコールは、
1)
血 圧 計 測 に 関 し て は 日 本 高 血 圧 学 会 指 針 JSH2009 106 ) に 従 い 、一 日 2 回 、朝 は
起 床 後 1 時間 以 内 、排 尿 後 、座 位 1 ~ 2 分 安 静 後 、薬 の 服 用 、食 事 の 前 、夜 は 就 寝
前 30 分 以 内 、座 位 1 ~ 2 分 安 静 後 と し 、心 臓 と 計 測 セ ン サ の 位 置 関 係 を 保 つ た め 、
計測機器の設置場所の変更及び、計測時座る椅子の変更は避けるよう指導した。
2)
体 重 は 、血 圧 と 同 様 に 一 2 回 起 床時 と 就 寝 前 に 計 測 し た 。家 族 内 個 人 識 別 の ボ
タンの配置が一列のため、4 週間の計測トレーニング中に押し間違いが多発し、
対策として個人名を書いたシールを個人の識別ボタンの上部に貼った。
3 ) 歩 数 計 測 は 、基 本 的 に 起 き て い る 間 は 歩 数 計 を 装 着 す る こ と と し 、装 着 位 置 に
関 し て 男 性 は ベ ル ト 、女 性 は 各 自 同 等 の 位 置 と し た 。毎 晩 一 日 一 回 就 寝 前 に 無 線 ステ
ーションと つ な げ て 一 日 の デ ー タ を 収 集 す る こ と と し た 。 3 章 で 示 し た T 社 製 の 改 良 品
の他に、S 社製のカロリーメータも利用した。
機器は当初計画では S 社製を配布
したが 4 週間の計測トレーニング中に被験者からの計測値の精度に関するクレーム
が相次ぎ、急遽 T 社製に変更した。
4 ) 運 動 能 力 計 は 、 基 本 的 に 週 3 回 の 運 動 で 、 運 動 時 間 は 30 分 程 度 と し た 。 被 験
者 は 虚 血 性 心 疾 患 な ど の 合 併 症 患 者 を 含 む た め 、運 動 負 荷 試 験 を 実 施 し 運 動 時 の 過
51
剰 血 圧 亢 進( 運 動 時 収 縮 期 血 圧 200mmHg 以 下 )の チ ェ ッ ク 、及 び 合 併 症 に 合 わ せ
た 個 人 ご と の 運 動 負 荷 強 度 を 設 定 し 、運 動 能 力 が 向 上 し た と 判 断 し た 場 合 は 、医 師
の了解の下に運動強度を設定し直した。
5 ) 睡 眠 計 測 マ ッ ト に 関 し て は 、常 時 電 源 を 投 入 し て お く か 、就 寝 前 に 電 源 投 入 し 、
起 床 時 に 電 源 遮 断 す る 方 式 と し た 。睡 眠 中 は 常 に 計 測 し 1 秒 お きに セ ン タ へ デ ー タ
伝 送 し た 。マ ッ ト に エ ア ー を 用 い て い る た め 、日 時 の 経 過 と と も に エ ア ー が 抜 け る
た め 、睡 眠 計 測 マ ッ ト の コ ン ト ロ ー ラ に エ ア ー 圧 表 示 を し 、エ ア ー が 抜 け 表 示 が 出
た時に、各被験者はエアーポンプでエアー表示が正常のなるまでエアーを入れた。
エ ア ー マ ッ ト は 、ベ ッ ド を 使 用 し て い る 家 庭 で は マ ッ ト レ ス の 上 か つ シ ー ツ 類 の 下
に 配 置 し 、布 団 を 使 う 家 庭 で は 1 枚 目 の 布 団 の 下 ま た は 、シ ー ツ の 下 に 敷 く よ う に
指導した。
6 ) 通 信 エ ラ ー の 把 握 の た め 、被 験 者 は 、一 日 一 回 以 上 自 分 の デ ー タ 確 認 を 目 的 に
WEB 画 面 を 見 て 、 計 測 し た デ ー タ が 欠 損 し て い る 場 合 は 、 介 入 主 体 で あ る 日 本 運
動療法研究会関西支部への電話及びメール連絡を依頼した。バックアップとして、
歩 数 計 、血 圧 計 、体 重 計 に 関 し て 、単 方 向 通 信 で も 通 信 エ ラ ー を 把 握 で き る よ う に 、
各 計 測 機 器 内 メ モ リ に 通 信 履 歴 を 残 し 、健 康 管 理 機 器( HCD )と 4 週 間 に 1 回 機 器
を 接 続 し HCD に 搭 載 し た 比 較 検 証 プ ロ グ ラ ム に よ る 照 合 を 実 施 し た 。 被 験 者 か ら
のデータ欠落の知らせには一次対応として介入チームが対応し、技術的な対応は、
3 日 以 内 に 筆 者 ら が 対 応 し た 。 各 家 庭 の HCD に 集 め ら れ た 通 信 エ ラ ー デ ー タ を イ
ン タ ー ネ ッ ト 経 由 で 収 集 す る 方 式 を 取 っ た 。ま た 睡 眠 計 測 マ ッ ト 、運 動 能 力 計 に 関
し て は 、豊 富 な メ モ リ を 有 し て い た た め 、緊 急 対 応 を 除 き エ ラ ー 把 握 と し て は 1 か
月 に 1 回 程度 の 対 応 と し た 。
7)
介 入 チ ー ム が 被 験 者 の 計 測 状 況 を 確 認 す る 手 段 と し て 、家 庭 毎 に 計 測 デ ー タ を
まとめ、コメントを付け、4 週間に 1 回被験者に郵送した。また長期間計測デー
タがない被験者には、状況確認を日本運動療法研究会関西支部が架電にて実施し
た。
8)
実 証 実 験 に 当 た り 、2005 年 1 月 25 日 ~ 2005 年 3 月 31 日 に か け て 、各 被 験 者
の診療時血圧の計測を関西医科大学健康科学センタにて実施した。
52
6.1.3
計測トレーニング
2004 年 12 月 27 日 か ら 翌 年 1 月 24 日 ま で の 4 週 間 の 計 測 の ト レ ー ニ ン グ 期 間 を 設
けた。この期間に被験者は、自由に各機器を使うことによって使い方と計測された値
との関係を把握した。血圧計に関しては一日の任意の時間に複数回計測して各自の血
圧日内変動を理解したり、短時間に複数回連続して計測し、それらの値の変動を確認
したり、心臓の位置とセンサ位置(カフにセンサ位置表示)の関係と血圧の関係を理
解するなどし、機器の計測値の特性を理解した。また歩数計に関してもポケットに入
れるなど位置を変更してどの位置で計測データが正しく計測できるかを検討した。運
動能力計に関しては、自由に運動時間を変えて自分の運動持続可能時間、可能運動強
度などを医師の指示とは別に模索した。体重計に関しても過食と体重の関係を調べる
な ど 、 WEB に 記 録 が 確 認 で き る こ と を 使 い 、 自 分 の デ ー タ を 詳 細 に 観 察 し た 。
介入チームと筆者らは、この期間にデータが正しく計測されていない被験者宅を訪
問し、機器の変更、機器配置の変更、計測データの確認、と計測プロトコールの確認
を行った。
6.2
データ解析
6.2.1
計測回数と被験者数
実 証 実 験 で 得 ら れ た デ ー タ は 、6.1.2 な ら び に 6.1.3 で 示 し た プ ロ ト コ ー ル な ら び
に ト レ ー ニ ン グ を し た に も か か わ ら ず 欠 落 が み ら れ る 。そ こ で 、血 圧 、体 重 、歩 数 、
睡 眠 、運 動 に お い て 、ど れ か の 項 目 が 1 年 間 に 100 回 以 上 計 測 し た 被 験 者 を 選 択 し 、
各データの平均計測回数を調査した。
6.2.2
参加者の推移
参 加 者 61 名 の 内 、 生 活 習 慣 病 の 最 大 罹 患 者 数 を 有 す る 疾 病 で あ る 高 血 圧 症 に 注
目 し 、血 圧 計 測 に 関 し て 100 回 以 上 測 定 者 と 以 下 に 区 分 し 、年 齢 と 測 定 回 数 に 関 係
が あ る か な い か を 調 査 す る と 共 に 血 圧 計 測 100 回 以 上 測 定 者 34 名 の 月 別 測 定 回 数
を 表 に し 、 月 10 回 ( 週 3 回 程度 ) を 基 準 に 測 定 者 の 中 断 と 再 会 の 状 況 を 示 し た 。
な お 、 計 測 期 間 中 、 介 入 チ ー ム が 一 度 ( 6 月 18 日 ) 計 測 の 必 要 性 を 説 明 し て い る 。
6.2.3
各生理量の統計解析
6.2.3.1
血圧
デ ータ 処 理 と し て 血 圧 の 全 計 測 値 の 、同 一 ID, 同 一 時 刻 、同 一 血 圧 値 、の デ ー タ を
削除した。
1)
連続した複数回血圧計測
全被験者を対象に 1 時間以内に計測された複数回計測の回数、時間間隔、血
53
圧 値 の 差 を 算 出 す る と 共 に 、 複 数 回 測 定 が 10 回 以 上 の 被 験 者 ( 26 名 ) の 複 数
回 計 測 デ ー タ を paired t-test(P<0.05) を 用 い 、 各 被 験 者 に お け る 複 数 計 測 の 計
測値の差の検証をした。
尚 、 同 一 日 同 一 ID の 差 が 1 時 間 以 内 の デ ー タ に つ い て は 複 数 計 測 デ ー タ と み
な し 、 複 数 回 の 値 を 平 均 化 し 1 つの デ ー タ と し て 取 り 扱 っ た 。
2)診療時血圧と家庭血圧
家 庭 血 圧 100 回 以 上 の 計 測 者 の う ち 、 関 西 医 科 大 学 で 健 診 を 受 け 診 療 時 血
圧 を 計 測 し た 被 験 者 29 名 を 対 象 に 家 庭 血 圧 と 診 療 時 血 圧 の 散 布 図 を 作 成 し 、
両者の相関係数の検定をした。
3)収縮期血圧と拡張期血圧
家 庭 血 圧 100 回 以 上 の 計 測 者 34 名 の 11069 デ ー タ に 関 し 、そ の 平 均 収 縮 期
血圧と拡張期血圧の関係を最小自乗法による直線近似と相関係数の検定を実
施した。
4)早朝血圧と就寝前血圧
早 朝 血 圧 、就 寝 前 血 圧 と も に 100 回 以 上 の 被 験 者 21 名 に 対 し 、被 験 者 ご と
に 早 朝 血 圧 の 平 均 値 と 就 寝 前 血 圧 の 平 均 値 を 算 出 し 、 Welch 法 を 用 い て 平 均
値の差の検定を実施した。
5)日内変動
本 来 は 個 人 対 応 に 24 時 間 血 圧 計 で 計 測 し 、 平 均 を 取 る べ き で あ る が 、 100
回 以 上 計 測 者 34 名 11069 デ ー タ に 対 し て 家 庭 血 圧 計 で の 日 内 変 動 を 時 刻 別 の
血圧値の平均をグラフ化し血圧計測者の計測状況を確認した。
6)季節変動
100 回 以 上 計 測 者 34 名 ( 11069 デ ー タ ) の 血 圧 値 に 対 し て 、 午 前 収 縮 期 血
圧、午前拡張期血圧、就寝前収縮期血圧、就寝前拡張期血圧の 4 つに区分し、
一 日 単 位 で そ れ ぞ れ の 区 分 に 従 っ た デ ー タ を 平 均 化 し 、グ ラ フ 化 し た 。さ ら に
月 別 平 均 を 算 出 し 、収 縮 期 血 圧 の 最 大 月 と 最 小 月 の 平 均 値 の 差 を Welch 法 で 評
価 し た 。ま た 4 つ の 区分 の デ ー タ 間 及 び 大 阪 地 区 の 平 均 気 温 と の 相 関 係 数 を 求
め、相関係数の検定をした。
54
6.2.3.2
体重
1)体重の日格差
体重の日格差と 1 年間の体重の変化とに関係があるかないかを調べるため、
100 回 以 上 体 重 計 測 者 39 名 の 同 一 日 2 回 測 定 ( 早 朝 と 就 寝 前 ) デ ー タ 7535
に 関 し 、 被 験 者 ご と の 体 重 日 格 差 ( 1 年 間 の 平 均 ) を 算 出 し 、 0.5kg 間 隔 で 、
ヒストグラムを作成し日格差を持つ被験者を特定し、その被験者が 1 年間で
減 量 し た か 否 か を Welch 法 で 検 証 し た 。
2)減量
100 回 以 上 計 測 者 39 名 の 開 始 期 ( 2005 年 1 月 25 日~ 2005 年 3 月 31 日 )
の 体 重 平 均 値 と 終 了 期 ( 2005 年 11 月 1 日 ~ 2006 年 1 月 24 日 ) の 体 重 平 均
値 の 差 を Welch 法 で 検 定 し た 。
6.2.3.3
歩数
1)一日当たりの歩行の消費カロリ
本 研 究 で は T 社 製 歩 数 計 な ら び に S 社 製 カ ロ リ メ ー タ を 利 用 し た 。そ の う ち の
100 日 以 上 計 測 し た 被 験 者( T 社 製 17 名 、S 社 製 16 名:内 S,T 両 方 100 日 以 上
2 名 )の カ ロ リ を 算 出 し た 。こ こ で 、製 品 に よ り カ ウ ン ト 数 が 異 な る こ と か ら 両
者 カ ロ リ の 変 換 式 を 作 り 校 正 し た 。血 圧 値 の 改 善 に 必 要 な 300kcal を 超 え て 歩 行
し て い る 被 験 者 の 割 合 を 特 定 す る た め 、100 日 以 上 計 測 者 の 一 日 平 均 歩 行 消 費 カ
ロ リ ( 非 計 測 日 を 除 く ) を 25kcal 単 位 に ヒ ス ト グ ラ ム 化 し た 。
2)季節変動
歩 数 の 季 節 変 動 を 、一 時 間 当 た り 歩 数 の 計 測 可 能 な T 社 製 の 歩 数 計 で 、年 間 100
日 以 上 計 測 し た 被 験 者 17 名 の デ ー タ を 、 一 日 単 位 に 平 均 化 し グ ラ フ 化 し た 。
6.2.3.4
睡眠
睡 眠 中 の デ ー タ は 、 1 分 お き の 脈 拍 、呼 吸 数 の デ ー タ が 収 集 さ れ た 。睡 眠 時 間
は、エアーマットが加圧され、脈、呼吸などの情報が取れだした時点を就寝と
みなし、取れなくなった時点を起床と見做した。しかし、エアーマットからは
み出す。トイレなどに行くために起きてしまう等の変則的にデータが欠落した
時 間 を 睡 眠 の 質 と し た 。100 日 以 上 計 測 者 は 22 名 で あ り 、22 名 の 睡 眠 時 間 、睡
眠中脈拍数、睡眠中呼吸数、睡眠の質の基本統計を調べた、
ま た 睡 眠 時 無 呼 吸 症 候 群 の 睡 眠 時 間( 平 均 と 標 準 偏 差 )、睡 眠 中 の 脈 度( 平 均
と 標 準 偏 差 )、 呼 吸 数 ( 平 均 と 標 準 偏 差 ) に 特 徴 が あ る か な い か を 調 査 し た 。
55
6.2.3.5
運動能力計による運動
一般に家庭での機器による運動の継続性が難しく、介入に伴ってどの程度利
用 が 続 く か を 確 か め る た め 、機 器 導 入 可 能 で あ っ た 7 家庭 に つ い て 、計 測 日 数 、
運動時間、消費カロリを被験者単位に整理し、各運動中の脈拍数について、検
討した。
6.2.4
標準プロトコールの性能解析
標 準 プ ロ ト コ ー ル の 性 能 試 験 と し て 、大 阪 地 区 20 家 庭 で 通 信 性 能 試 験 を 実 施
した。
実 証 実 験 に お い て 、最 初 に 従 来 の 医 療 用 テ レ メ ー タ の 伝 送( 単 方 向 3 連 送 な ど )
を そ の ま ま 受 け 入 れ た 伝 送 を 2005 年 10 月最 初 ま で 実 施 し 、 10 月 11 日 ~ 11 月
9 日にかけて順次標準プロトコールを搭載した機器及び通信ファームウエアに
置 き 換 え た 。各 機 器 は 体 重 計 を 除 い て は 、標 準 プ ロ ト コ ー ル の 通 知( 確 認 な し )
から通知(確認あり)の通信パターンに変更した。この 2 つの区間のエラー数
を 、 Welch 法 を 用 い 検 証 し た 。
56
6.3
結果
表 6.1
生体情報計測回数
生体情報測定回数:
期間限定データ (2005・01.25 ~ 2006・01・24)
6.3.1
計測数
実証実験で得られたデータは、血圧、体
重、歩数、睡眠、運動において、どれかの
項 目 が 1 年 間 ( 2005 年 1 月 25 日 ~ 2006
年 1 月 24 日 ) に 100 回 以 上 計 測 し た 被 験
者 は 43 名( 70.5 % )で 、期 間 内 計 測 デ ー タ
数 を 表 6.1 に 示 す 。
43 名 の 計 測 デ ー タ は 、体 重 デ ー タ 15337
回 / 年 、 血 圧 デ ー タ 11069 回 / 年 、 歩 数 計 デ
ー タ 6988 日 / 年 、 睡 眠 計 測 デ ー タ 6014 日 /
年 、 運 動 能 力 計 デ ー タ 1001 日 / 年 の 計 測 が
あり、体重
>血圧>歩数
>睡眠
>運
の順に計測数が多く、1 家庭 1 年間の
動
当 た り の 計 測 数 は そ れ ぞ れ 、 体 重 767 回 、
血 圧 553 回 、歩 数 349 日 、睡 眠 計 測 301 日 、
運 動 能 力 計 200 日 で あ っ た 。ま た 100 回 以
上計測者は、導入数及び対象者に対し、そ
れ ぞ れ 39 名( 64 % )、34 名( 56 % )、31 名
( 51 % )、 22 名 ( 36 % )、 4 名 (44 % ) で あ っ
た。
6.3.2
血圧
回
ID
参加者の推移
61 名 の 内 、生 活 習 慣 病 の 最 大 罹 患 者 数 を
2001
2002
2005
2006
2007
2009
2010
2013
2014
2017
2018
2020
2021
2022
2025
2026
2029
2033
2034
2035
2036
2037
2038
2039
2040
2042
2045
2046
2049
2050
2053
2054
2056
2058
2061
2062
2063
2065
2066
2069
2073
2074
2075
n>100
全データ
期間内
体重
回
662
582
406
419
631
611
128
157
261
524
279
254
459
441
334
371
103
254
296
145
108
189
352
168
446
377
151
135
261
204
425
416
244
276
34
14337
11069
歩数
日
614
637
571
392
161
737
468
344
413
280
412
330
226
321
252
運動能力計
日
332
308
336
158
337
351
280
297
281
203
250
199
173
258
104
170
483
529
517
485
431
359
434
265
110
403
300
218
191
513
247
503
406
89
400
34
212
409
191
140
510
435
217
405
678
136
39
15337
15279
睡眠
日
328
313
341
304
269
227
148
336
283
86
160
59
162
283
137
160
287
248
273
293
126
153
279
128
116
254
180
188
42
20
155
46
274
167
97
12
262
241
173
147
333
260
187
31
7111
6988
22
7316
6014
300
4
1150
1001
有する疾病である高血圧症に注目し、血圧計測に関して参加者の推移を説明する。全
参 加 者 61 名 の 年 齢 は 男 性 27 名 ( 年 齢 52.3 ± 15.5 歳 )、 女 性 34 名 ( 年 齢 45.0 ± 14.1
歳 )で あ っ た 。1 年 間の 計 測 を 通 じ
測定参加者
て 100 回 以 上 計 測 者 34 名 の 年 齢 は
Oosaka
男
27
女
34
年齢(男) 年齢(女)
52.3±15.5 46.0±14.1
男 性 63.3 ± 6.9 歳 、女 性 57.4 ± 11.0
歳で、
全参加者に比べ両性とも
平 均 年 齢 が 10 歳 以 上 高 か っ た 。ま
100回以上測定者
99回以下測定者
Oosaka
男
12
女
15
年齢(男)
38.6±11.8
年齢(女)
35.0±8.7
Oosaka
男
15
女
19
年齢(男) 年齢(女)
63.3±6.9 57.4±11.0
た 99 回 以 下 の 27 名 の 年 齢 は 、 男
性 38.6 ± 11.8 歳 、 女 性 35.0 ± 8.7
図 6.4
血圧計測と年齢
歳 で 、同 様 に 全 参 加 者 に 対 し て 10 歳 程 度 低 か っ た 。男 性 、女 性 と も 若 年 者 に 血 圧 計 測
57
回 数 が 少 な い 傾 向 が み ら れ た ( 図 6.4 )。
ま た 図 6.5 に 、 100 回 以 上 計 測 者 34 名 の 月 別 計 測 回 数 を 示 し た 。 月 に 10 回 以 上 の
計測があった空色以外(暦
日 7 日 の 2005 年 1 月 を 除
2001
2002
2005
2006
2009
2010
2013
2014
2017
2018
2021
2022
2025
2026
2029
2034
2036
2037
2038
2039
2040
2042
2045
2046
2049
2050
2054
2058
2061
2062
2065
2066
2073
2074
く )の セ ル を 中 断 と み な し 、
各被験者の中断と再会の状
況を示した。介入チームが
計測の必要性を説明した 6
月 18 日 の イ ベ ン ト で 再 開 し
た 被 験 者 が 6~ 7 名 で あ っ た 。
100 回 以 上 計 測 者 で も 常
時 計 測 し た 被 験 者 は 15 名
( 44 % ) で あ っ た 。 残 り 19
名( 56 % )は 何 ら か の 形 で 、
100回以上測定者 の 月別 測定回数 (2005/1/25~2006/01/24)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 12
1
月
図 6.5
13
10
7
7
14
12
38
37
21
20
44
41
6
11
0
0
6
6
9
11
0
12
13
12
11
2
15
33
14
15
20
21
20
14
8
26
26
18
15
6
11
2
6
1
13
4
10
11
1
38
55
42
23
21
56
50
6
2
14
37
25
24
27
26
16
29
9
46
52
23
29
23
1
1
41
51
50
21
21
52
47
9
6
10
42
9
9
28
29
13
34
0
52
47
25
24
15
15
3
25
61
54
23
24
42
38
3
25
9
46
14
18
28
31
23
37
1
29
22
14
6
12
14
4
27
53
43
21
19
29
30
15
19
18
37
11
9
30
30
15
49
1
25
35
10
6
27
5
1
27
9
11
13
3
28
18
29
24
2
10
7
2
44
21
9
19
3
11
7
2
41
26
7
21
3
12
5
4
31
21
15
20
3
22
8
8
41
41
16
19
56
46
37
40
46
46
18
24
32
49
25
21
39
38
31
41
21
28
37
16
6
21
19
12
50
47
31
23
39
33
48
56
30
19
61
60
52
53
61
61
2
60
54
44
47
60
59
57
42
48
55
59
59
51
52
33
28
59
55
55
22
25
17
28
13
6
26
36
23
55
62
26
18
53
48
38
51
37
28
41
49
33
29
38
33
46
39
28
4
8
2
2
17
44
26
39
54
21
7
28
24
25
38
19
19
20
47
34
28
44
30
25
23
10
3
10
5
3
17
60
40
23
61
16
33
26
32
54
18
29
57
48
45
48
60
60
25
31
27
54
35
30
48
45
40
18
0
5
8
4
0
8
60
32
36
59
20
15
24
23
37
45
39
28
61
55
44
46
61
61
47
46
12
42
32
29
54
56
23
30
0
6
9
2
0
10
59
21
44
50
9
6
26
24
32
25
15
24
41
41
20
18
47
47
3
2
6
25
14
14
38
41
18
24
0
1
1
1
0
7
39
4
30
44
6
12
6
15
16
15
各 被 験 者 の 計 測 継 続 状 況 ( 青 は 10 回 /月 以 上 計
測)
中断、若しくは途中再開で
あった。
6.3.3
血圧の統計解析
6.3.3.1
複数回計測
表 6.2
血圧計は、計測されたすべてのデータを
セ ン タ サ ー バ に 伝 送 す る 方 式 を 取 っ た 。こ の
1時間以内に2回以
上測定した回数/年
12598
1529
全測定回数/年
ため短時間に複数回計測されたデータも把
握 可 能 と し た 。1 時 間 以 内 に 2 回以 上 計 測 さ
れた回数は、
血圧短時間複数回計測
%
12.1
平均時間間隔
3分45秒±8分51秒
差 ( mmHg )
SYS
DIA
5.71±12.07
4.25±16.05
期 間 内 全 計 測 回 数 12598 回 の 内 1529 回 ( 12.1 % ) で 、 時 間 間 隔 は 3 分 45 秒 ± 8
分 51 秒 、 計 測 値 の 差 は 収 縮 期
血 圧 で 5.71 ± 12.1mmHg 、拡 張
期 血 圧 で 4.25 ± 16.05mmHg で
あった。
ま た 100 回 以 上 計 測 者 34 名
の 内 、複 数 回 計 測 が 10 回 以 上
の 26 名 の 複 数 回 計 測 時 の 1 回
目と 2 回目の計測値の差を
表 6.3
被 験 者 別 複 数 回 計 測 値 の paired
t-test
( 複 数 回 計 測 が 10 回 以 上 の 26 名 ) 黄 色 は p<0.05 で 差 が
ID
複数数
2002
28
2005
107
2006
17
2009
41
2010
66
2013
59
2014
18
2017
14
2018
183
2021
47
2025
95
2026
11
2029
27
T SYS
3.97
6.35
0.26
3.58
8.60
4.43
1.58
1.34
6.63
0.92
3.46
0.70
1.81
T DIA T (0.05)
1.22
2.05
1.87
1.98
1.78
2.13
3.52
2.02
3.44
2.00
1.22
2.00
2.46
2.15
0.24
2.18
4.19
1.97
0.83
2.02
4.55
2.08
-0.37
2.23
2.59
2.07
paired t-test ( p<0.05 ) を 実 施 し た 結 果 を 表 6.3 に 示 す 。
58
ID 複数数 T SYS
2034
59
2.83
2036
19
0.31
2037
60
1.60
2038
12 -0.81
2045
14
3.46
2046
17
3.79
2049
23
3.33
2050 104
6.38
2061
84
3.54
2065 115
6.34
2066 235 14.28
2073
24
1.18
2074
21
0.90
T DIA T (0.05)
0.01
2.01
1.63
2.13
1.95
2.01
0.57
2.20
1.25
2.16
1.46
2.13
2.06
2.08
5.67
1.98
3.72
1.99
0.48
1.98
7.16
1.97
0.02
2.07
3.14
2.08
17 名 が SYS, ま た は DIA に お い て 複 数 回 計 測 の 意 味 を 認 め た 。SYS の 差( p<0.05 )
が 認 め ら れ た 被 験 者 は 、 14 名 、 DIA の 差 が 認 め ら れ た 被 験 者 は 8 名 で あっ た 。
6.3.3.2
診療時血圧と家庭血圧
関 西 医 科 大 学 で 健 診 を 受 け 診 療 時 血 圧 を 計 測 し た 29 名:男 性 15 名( 年 齢 62.1 ±
8.0 歳 )、 女 性 14 名 ( 年 齢 57.0 ± 8.9 歳 )、 期 間 内 家 庭 血 圧 計 測 回 数 402 ± 183 回 /
人 の う ち 、 診 療 時 血 圧 の ほ う が 高 い 被 験 者 は 男 性 8 名 ( 53 % )、 女 性 12 名 ( 86 % )
で あ っ た 。そ の 内 40mmHg 程 度 家 庭 血 圧 の ほ う が 低 い 被 験 者 は 4 名( ID2074 、2038 、
2005 ,2045: 13.8 % )で あ っ た 。ま た 家 庭 血 圧 が 高 い 被 験 者 は 、女 性 に は ほ と ん ど
見 ら れ な く 、 30mmHg 以 上 家 庭 血 圧 が 高 い 被 験 者 は 1 名 ( ID2013 : 男 性 ) で あ っ
た 。ま た 男 性 に お い て 、診
療時血圧が高いほど家庭
家庭血圧平均値―診療時血圧
(mmHg)
家庭血圧と診療時血圧
血圧との差が大きく出る
傾 向 ( 図 6.6) が あ っ た
( R=0.608 、 p<0.001 )。
JSH2004 の 高 血 圧 の 基 準
で あ る 、収 縮 期 血 圧 140 以
上 、拡 張 期 血 圧 90 以 上( 診
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
-10.0
-20.0
-30.0
-40.0
-50.0
-60.0
女性SYS
男性SYS
女性DIA
男性DIA
50
療 時 )、 収 縮 期 血 圧 135 以
70
90
110
130
150
診療時血圧 (mmHg)
170
上 、拡 張 期 血 圧 86 以 上( 家
図 6.6
庭計測時)の区分による
白 衣 高 血 圧 は 、図 ID2005
血
圧
散布図(収縮期i血圧ー拡張期血圧 平均値散布図 ;年間 100回以上測定者34名)
110.0
59 歳 )で 、家 庭
は
収
縮
100.0
期
117.5mmHg 、 拡 張 期
70.3mmHg 、 診 療 時 血 圧
80.0
は 収 縮 期 155mmHg 、 拡
70.0
張 期 96mmHg で あ っ た 。
60.0
ま た 仮 面 高 血 圧 は
50.0
ID2009( 男 性 69 歳 )で 、
家 庭 血 圧 は 収 縮 期
y = 0.4549x + 17.353
R2 = 0.6873 R=0.83
34人;11069 データ
90.0
拡張期血圧
(男性
家庭血圧 と診療時血圧
40.0
60.0
80.0
100.0
120.0
140.0
160.0
収縮期血圧
図 6.7 平 均 収 縮 期 血 圧 と 平 均 拡 張 期 血 圧
146.2mmHg 、 拡 張 期
93.7mmHg 、 診 療 時 血 圧 は 収 縮 期 134mmHg 、 拡 張 期 80mmHg で あ っ た 。
59
180.0
6.3.3.3 収 縮 期 血 圧 と
拡張期血圧
被 験 者 別 年 平 均 の 収 縮 期 血 圧 ( X) と 拡 張 期 血 圧 ( Y) の 関 係 を 最 小 自 乗 法 に よ
る 直 線 近 似 は 、Y=0.45X+17.4( r=0.83:計 測 数 34 、p<0.001 )と な っ た( 図 6.7 )。
直 線 回 帰 式 の 回 帰 係 数 は 0.45 と な り 、収 縮 期 血 圧 が 10mmHg 上 昇 す る と 拡 張 期 血
圧 が 4.55 m m Hg 上 昇 す る 可 能 性 を 示 し た 。 し か し 回 帰 式 か ら 離 れ て い る 被 験 者
( ID2025 : 平 均 収 縮 期 血 圧 131mmHg 、 平 均 拡 張 期 血 圧 62.7mmHg 、 計 測 数 459
回 )も お り 、収 縮 期 血 圧 と 拡 張 期 血 圧 は 必 ず し も 同 期 し て 上 昇 ま た は 降 下 し な い も
のと思われる。
6.3.3.4
早朝収縮期血圧と就寝時収縮期前
表 6.5
血圧
血 圧 計 測 に お い て 、午 前 、午 後 血 圧 と も 100
回 以 上 計 測 の あ っ た 被 験 者 21 人 の 計 測 値 を
表 6.5 に 示 す 。 Welch 法 で 検 定 し 差 が 有 意
( P<0.001 )に 早 朝 血 圧 の ほ う が 高 い 被 験 者
は 、16 名( 76 % )、就 寝 前 血 圧 の ほ う が 有 意
( P<0.001 )に 高 い 被 験 者 は 1 名( ID2074 :
4.8 % )、 有 意 ( P<0.001 ) な 変 化 を 認 め ら れ
な い 被 験 者 が 4 名 ( 19 % ) で あ っ た 。 21 名
の 早 朝 平 均 収 縮 期 血 圧 は 129.6mmHg 、就 寝
前 平 均 収 縮 期 血 圧 は 、122mmHg で 、平 均 差
ID2001
ID2002
ID2005
ID2006
ID2009
ID2010
ID2018
ID2021
ID2025
ID2026
ID2029
ID2034
ID2037
ID2038
ID2045
ID2049
ID2061
ID2065
ID2066
ID2073
ID2074
早朝血圧と就寝前血圧
血圧値(年平均)
早朝
就寝前
129.9
124.8
120.7
117.7
123.4
113.1
124.5
111.0
145.9
136.3
123.1
125.0
149.7
144.2
130.4
122.1
138.7
126.4
118.5
111.8
139.6
140.9
139.1
129.1
142.5
118.1
81.4
81.7
114.9
109.2
137.6
125.3
159.5
145.1
154.1
134.8
133.2
133.0
127.0
117.3
87.6
94.9
*:P<0.001
差
5.1
3.0
10.3
13.5
9.6
-2.0
5.5
8.3
12.3
6.7
-1.4
10.0
24.4
-0.3
5.8
12.3
14.3
19.2
0.2
9.7
-7.3
T値
6.99
3.17
13.84
18.44
13.18
-2.69
6.75
7.37
10.48
7.00
-1.26
9.39
8.66
-0.34
5.06
7.71
8.89
14.20
0.20
11.80
-8.34
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
は 7.6mmHg で あ っ た 。
6.3.3.5
日内変動
家 庭 血 圧 計 で の 日 内 変 動 を 図 6.8 ( 34 名 の 時 刻 別 の 血 圧 値 の 平 均 ) に 示 す 。睡 眠
時 に は 一 般 的 に 血 圧 は 安 静 時 に 戻 る 現 象 が 示 さ れ て い る 。計 測 数 は 少 な い が 、夜 間
に 高 血 圧 を 示 す 被 験 者 が い た 。日 中 は 安 定 し て 高 い 血 圧 を 示 し て お り 、診 療 時 血 圧
が早朝及び就寝時血圧に比較して高い原因の一つと思われる。
60
(11069データ
:34名 )
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
600
SYS
DIA
標本数
500
300
200
100
0
時刻
図 6.8
血圧値の日内変動
61
測定数
400
0:00
1:30
3:20
5:40
7:10
8:40
10:10
11:40
13:10
14:40
16:10
17:40
19:10
20:40
22:10
23:40
血圧値(mmHg)
血圧値の日内変動
季節変動
100.0
40
90.0
30
80.0
20
70.0
10
60.0
0
気温 ( ℃ )
50
午前SYS
午前DIA
午後SYS
午後DIA
気温
2005/12/25
110.0
2005/11/25
60
2005/10/25
120.0
2005/9/25
70
2005/8/25
130.0
2005/7/25
80
2005/6/25
140.0
2005/5/25
90
2005/4/25
150.0
2005/3/25
100
2005/2/25
160.0
2005/1/25
血圧値 ( mmHg )
6.3.3.6
月 日
図 6.9
血圧の季節変動(100 回以上測定者 34 名平均)
図 6.9 に 被 験 者 34 名 の 1 年 間 の血 圧 変 動 を 示 す 。 季 節 変 動 に よ る 血 圧 の 差 は 、
1)
家 庭 で 計 っ た 収 縮 期 血 圧 の 月 別 平 均 の 最 大 値 は 12 月 、 最 小 値 は 8 月 で 、 12 月
と 8 月 の 月平 均 血 圧 の 差 異 は 、収 縮 期 血 圧 で( 6.7mmHg )拡 張 期 血 圧 で は( 3.0mmHg )
で あ っ た 。Welch 法 を 用 い 、12 月 と 8 月 の 平均 値 の 間( t - 値:SYS
8.59 、DIA
5.31 )
に 、 有 意 (p<0.001) な 差 を 認 め た 。
2 ) 年 間 を 通 じ た 各 指 標 間 の ピ ア ソ ン の 相 関 係 数 は 、大 阪 SYS-DIA 間 0.760( 相 関 係
数 検 定 表 値 : P < 0.001 = 0.23 ) , 大 阪 SYS-PR 間
0.098 、 大 阪 DIA-PR 間 0.163 と な
り 、介 入 が あ っ て も 、 SYS と DIA の 相 関 が 高 く 、ま た PR は 独 立 し た 因 子 で あ る こ と
を示した。
3 ) HBP と 平 均 気 温 と の 相 関 係 数 は 、 大 阪 ( SYS-TEMP 間
-0.314
DIA-TEMP 間
-0.225 )、 で 、 P=0.001 ( α (P=0.001,Df=350)=0.188 ) で 相 関 が 認 め ら れ た 。
62
6.3.4
体重の統計解析
6.3.4.1
体重の日格差
年間を通して午後就寝前の
ID別 体重日較差ヒストグラム
12
体重が起床時の体重に比べ増
39subjects 7535 sample
average 0.46±0.57
10
加 す る 傾 向 が 見 ら れ た 。図 6.10
8
度数(人)
に 体 重 年 間 計 測 100 回 以 上 計
測 者 39 人 : 男 性 17 名 ( 年 齢
6
60.2 ± 10.8 歳 )、女 性 22 名( 年
4
齢 51.3 ± 13.4 歳 )の 午 前 計 測 体
2
重と午後計測体重の差の分布
0
ID2049
ID2025
ID2053
-1 -0.75 -0.5 -0.25 0
を示した。
0.25 0.5 0.75
1
1.25 1.5 1.75
2
2.25 2.5
ID別 体重日格差 (午後平均ー午前平均) kg
図 6.10
体 重 100 回 以 上 計 測 者 の 日 格 差
体 重 の 日 格 差 が 大 き い 人 は 、水 分 量 、摂 食 量 が 多 い と 思 わ れ 、肥 満 傾 向 が あ る か
な い か を 調 べ る た め に 、 体 重 日 格 差 の 大 き な ID2025 、 ID2053 、 ID2049 に つ い て
2005 年 1 月 25 日 ~ 3 月 31 日( 開 始 期 )の 平 均 体 重 と 2005 年 11 月 1 日~ 2006 年
1 月 24 日( 終 了 期 ) の 平 均 体 重 の 差 を Welch 法 を 用 い 平 均 値 の 差 の 検 定 を し た 。
図 6.11 、 図 6.12 は 、 体 重 日 格 差 が 年 間 を 通 じ て 最 も 大 き か っ た ID2025 ( 男 性
72 歳 ) の 体 重 の 年 間 デ ー タ で あ る が 、 開 始 期 の 平 均 体 重 60.77kg と 終 了 期 の 平 均
体 重 59.35kg で 、 - 1.42kg の 減 量 ( Welch 法 : p<0.001 ) に 成 功 し て い る 。 同 様
に 2 番 目 に大 き な 日 格 差 を 有 す る ID2053( 男 性 52 歳 )は 、- 1.97kg( p<0.001 )、
3 番 目 の ID2049 ( 男 性 57 歳 ) も - 0.52kg ( p<0.001 ) の 減 量 に 成 功 し て い る 。
2025 体重 (時系列) 517 Samples
2025 体重 (日内変動)
517 Samples
63
62
60
59
58
57
56
体重(kg)
61
55
54
53
60
59
2006/2/9
2006/1/9
2005/12/9
2005/11/9
2005/10/9
2005/9/9
2005/8/9
2005/7/9
2005/6/9
2005/5/9
2005/4/9
2005/3/9
2005/2/9
58
2005/1/9
体重 ( kg )
63
62
61
57
56
0:00
4:48
図 6.11
9:36
14:24
19:12
時刻
月日
ID2025 の 体 重 の 年 間 推 移
図 6.12
63
ID2025
体重の日内変動
0:00
6.3.4.2
減量
1 00 回 以 上 計 測 者 39 名 の 開 始 期 と 終 了 期 の 体 重 平 均 値 と の 差 を 図 6.13 に 示 す 。
29 名( 74 % )の 体 重 が 減 少 し て い る 。39 名 の 平 均 は 、開 始 期 61.2kg 、終 了 期 60.6kg
で 、 - 0.7kg で あ っ た 。
最 大 減 少 者 は ID2075 で 、45.78kg か ら 39.56kg に 6.23kg 減 量( Welch 法 P<0.001 )
した。
最 大 増 加 者 は ID2069 で 、 92.12kg か ら 94.52kg へ 2.4kg の 増 加 ( Welch 法 :
P<0.001 ) が あ っ た 。
体 重 に お い て 、 Welch 法 ( p<0.001 ) で 有 意 に 減 少 し た 被 験 者 が 18 名 ( 46% ) 有
意 に 増 加 し た 被 験 者 が 4 名( 10% )、有 意 差 が 見 ら れ な か っ た 被 験 者 が 17 名( 44% )
であった。
有 意( P<0.001 )に 体 重 が 変 化( 増 加 ま た は 減 少 )し た 22 名 の 体 重 変
化 を 図 6.14 に 示 す 。
95
体重減量評価
7
100
6
80
70
4
60
50
3
40
2
30
75
体重(kg)
5
百分率(%)
度数( 人)
85
90
65
55
20
1
45
10
0
0
35
体重差:最終期(2005/11/01~2006/1/24)の平均体重
ー 開始期(2005/1/25~2005/3/31)の平均体重 : kg
開始期
図 6.13 体 重 100 回 以 上 計 測 者 の
図 6.14
2002
2005
2006
2013
2014
2040
2021
2025
2033
2040
2042
2049
2053
2054
2056
2061
2066
2069
2073
2074
2075
有意な体重変化のあった被験者
( Welch 法 : p < 0.001)
減量のヒストグラム
6.3.5
終了期
2001
歩数の統計解析
6.3.5.1
6
一日平均歩行カロリ
期間(2005.1.25~2006.1.24)
5
T 社 製 歩 数 計 計 測 日 数 100 日 以 上
4
ー タ 100 日 以 上 計 測 者 16 名 、 両 者
人数
の 被 験 者 は 17 名 、 S 社 製 カ ロ リ メ
の 計 測 100 日 以 上 の 計 測 者 2 名 で あ
0
551~575
526~550
501~525
476~500
451~475
426~450
401~425
376~400
351~375
326~350
301~325
276~300
251~275
226~250
201~225
176~200
151~175
126~150
101~125
76~100
51~75
~50
25
0
( T 社 : 241 日 、 S 社 285 日 : 両 社
同 一 日 計 測 日 数 239 日 )、ID2009( T
日 計 測 日 数 281 日 )の 両 者 計 測 日 数
2
1
っ た 。 両 者 の 計 測 者 2 名 、 ID2065
社: 281 日 、 S 社 345 日 、両 社 同 一
3
一日の平均歩行カロリー(100日以上測定者) kcal/ 日
図 6.15
100 日 以 上 計 測 者 の 1 日 平 均 歩 行 カ ロ
520 日 で 、 両 者 カ ロ リ の 変 換 式 を 作 り 変 換 し て 使 用 し た 。 血 圧 値 の 改 善 に 必 要 な
64
300kcal を 超 え て 歩 行 し て い る 被 験 者 の 割 合 を 特 定 す る た め 、100 日 以 上 計 測 者 31
名:男 性 17 名( 年 齢 59.2 ± 11.4 歳 )、女 性 14 名( 年 齢 55.1 ± 10.4 歳 )の 一 日 平 均
歩 行 消 費 カ ロ リ ( 非 計 測 日 を 除 く ) を 25kcal 単 位 に ヒ ス ト グ ラ ム 化 し た 。
歩 行 を 100 日 以 上 計 測 し た 被 験 者 31 名 : 男 性 17 名 ( 年 齢 59.2 ± 11.4 歳 )、 女 性
14 名 ( 年 齢 55.1 ± 10.4 歳 ) の 平 均 計 測 日 数 221.8 ± 68.2 日 / 年 、 歩 行 に よ る 消 費 カ
ロ リ 254 ± 88.2kcal/ 日 で あ っ た 。Paffenbarger ら 91) が 推 奨 し て い る 一 日 約 300kcal
を 年 間 平 均 で 達 成 し た 被 験 者 は 8 名( 26 % )で あ っ た 。一 日 あ た り 100kcal/ 日 を 越
え な い 被 験 者 は 2 名 で 、 ID2013 ( 男 性 、 75 歳 ): 計 測 日 数 250 日 、 平 均 歩 数 計 携
帯 時 間 15.7 ± 2.9 時 間 / 日 、平 均 歩 数 3452 ± 1664 歩 / 日 、平 均 カ ロ リ 92 ± 50kcal/ 日 、
ID2014 ( 女 性
76 歳 ) : 計 測 日 数 199 日 、 平 均 歩 数 計 携 帯 時 間 16.3 ± 2.6 時 間 / 日 、
平 均 歩 数 1990 ± 1237 歩 / 日 、 平 均 カ ロ リ 66.8 ± 53kcal/ 日 で あ っ た 。
6.3.5.2
季節変動
T 社 製 歩 数 計 利 用 者 の う ち 100 日 以 上 計 測 し た 17 名 の 平 均 季 節 変 動 を 図 6.16
に 示 す 。 17 名 の う ち わ け は 男 性 5 名 ( 年 齢 59.8 ± 20.3 )、 女 性 12 名 ( 年 齢 56.8 ±
10.3 )、 計 測 日 数 209.6 ± 65.4 日 / 人 で あ っ た 。 ま た 表 6 ・ 6 に 3 ヶ 月 平 均 を 示 す 。 2
月 19 日 か ら 5 月 18 日 の 一 日 平 均 歩 行 計
表 6.6 歩 行 の 季 節 変 動
期間
測定者数
歩数
気温
2・19~5・18
14.0
7603.2
12.0
5.19~8.18
14.3
7163.6
26.5
8.19~11.18
14.5
6849.2
21.9
10・19~1・19
14.6
7688.0
8.4
測 者 は 14.0 人 で 、 平 均 歩 行 数 は 一 日 あ た
り 7603.2 歩 で 、 そ の 期 間 の 平 均 気 温 は
12.0 度 で あ っ た 。2 月 19 日 ~ 5 月 18 日と
14000
steps/day
計測者数(人/日)
Hours
気温(大阪)
80
60
10000
40
6000
30
4000
20
2000
10
0
2006/1/19
2005/12/19
2005/11/19
2005/10/19
2005/9/19
2005/8/19
2005/7/19
2005/6/19
2005/5/19
2005/4/19
2005/3/19
0
2005/2/19
歩/日
50
8000
月 日
図 6.16
一 日 歩 数 の 季 節 変 動 ( T 社 ; 17 名 100 日 以 上 計 測 者 平 均 )
65
計測時間(h)/測定人数
70
12000
8 月 19 日 ~ 1 1 月 18 日 の 一 日 平 均 歩 数 は 、 有 意 差 ( p<0.001 ) が あ り 、 夏 に か け
て 計 測 者 数 は 増 え た が 平 均 歩 数 が 減 る 傾 向 が あ っ た 。平 均 気 温 が 高 い と 歩 き に く い
と 思 わ れ る 。平 均 気 温 は 、地 域 に よ り 異 な る た め 、詳 細 な 解 析 を 必 要 と す る 。し か
し 大 阪 地 区 に お け る 気 温 と 歩 数 の 相 関 係 数 は 、R= - 0.232
相 関 係 数 検 定 で 有 意( p
< 0.001 : α ( 0.001 : Df=300 ) =0.188 ) に 負 の 相 関 が あ っ た 。
6.3.6
睡眠の統計解析
6.3.6.1 .
睡眠時間
100 日 以 上 計 測 者 22 名:男 性 14 名( 年 齢 62.8 ± 7.3 歳 )、女 性 8 名( 年 齢 53.9
± 17.2 歳 )の 平 均 睡 眠 時 間 は 6.01 ± 1.08 時 間 で 、最 大 平 均 睡 眠 時 間 の ID2025( 男
性 72 歳 )は 、8.11 ± 2.28 時 間( 計 測 日 数 341 日 )、最 小 平 均 睡 眠 時 間 の ID2033( 男
性 50 歳 )は 、5.00 ± 2.18 時 間( 計 測 日 数 283 日 )、で 最 大 平 均 睡 眠 時 間 と 最 小 平 均
睡 眠 時 間 の 差 は 、 3.11 時 間 で あ っ た 。
6.3.6.2
脈拍数
22 名 の 睡 眠 中 平 均 脈 拍 数 は 、 61.5 ± 3.9 拍 / 分 、 最 大 平 均 脈 拍 数 は ID2061 ( 男 性
65 歳 )の 68.7 ± 3.1 拍 / 分( 計 測 日 数 307 日 )、最 小 平 均 脈 拍 数 は ID2005( 男 性 59
歳 ) の 55.4 ± 1.9 拍 / 分 ( 計 測 日 数 336 日 ) で 、 両 者 の 平 均 脈 拍 数 の 差 は 、 13.3 拍 /
分であった。
6.3.6.3
呼吸数
22 名 の 平 均 呼 吸 数 は 16.0 ± 1.6 呼 吸 / 分 、 最 大 平 均 呼 吸 数 は ID2014 ( 女 性 76 歳 )
の 19.6 ± 0.48 回 / 分 ( 計 測 日 数 297 日 )、 最 小 呼 吸 数 は 、 ID2022 ( 女 性 58 歳 ) の
13.7 ± 0.62 回 / 分 ( 計 測 日 数 313 日 ) で あ っ た 。 両 者 の 平 均 呼 吸 数 の 差 は 5.9 呼 吸 /
分であった。
6.3.6.4
睡眠の質
22 名 の 平 均 計 測 不 能 時 間 33.7 ± 20.2 分 / 日 で 、 最 大 計 測 不 能 時 間 は ID2049 ( 男
性 57 歳 )の 108 ± 41.3 分 / 日 、最 小 計 測 不 能 時 間 は 、 ID2014 ( 女 性 76 歳 )の 15 ±
14.7 分 / 日 で あ っ た 。
6.3.6.5
睡眠時無呼吸症候群の上記 4 指標
表 6.7
ID
2005
2021
2065
22名平均
測定数
417
414
217
322.5
睡眠時無呼吸が疑わしい被験者の睡眠中のデータ
睡眠時間
SD
μ
6:26
4:41
7:14
6.01
2:32
2:18
2:47
1.08
脈拍
μ
55.51
61.08
64.59
61.52
66
SD
1.99
3.06
3.64
3.91
呼吸数
SD
μ
15.65
14.64
15.14
16.01
0.91
0.56
0.56
1.64
睡眠の質
SD
μ
41
45
18
33.71
33
19
22
20.16
終 夜 睡 眠 ポ リ グ ラ フ シ ス テ ム ( Alice4 型 、 米 国 レ ス ピ ロ ニ ク ス 社 ) に よ る 検 査
で 睡 眠 時 無 呼 吸 が 疑 た が わ れ る ID2005 、 ID2021 、 ID2065 の 上 記 各 指 標 は 、 各 指
標の標準偏差共に平均的であり、これらの指標からの検出は困難と思われた(表
6.7 )。一 方 分 単 位 に
伝送される秒単位
の 情 報 か ら は 、上 記 3 名 以 外 に 、ID2073
に 、軽 度 の 中 枢 性 無 呼 吸 症 候 群 は 発 見 す
る こ と が で き た 。 7 月 2 日 就 寝 40 分 後
ぐ ら い の 00 時 41 分 か ら 52 分 ま で の 間
に 約 50 秒 周 期 (30 秒 の 呼 吸 と 20 秒 の 呼
吸 な し )を 7 回 継 続 し た デ ー タ の 一 部 で
図 6.17 睡 眠 時 無 呼 吸 の グ ラ フ
あ る 。上 か ら 二 段 目 に 呼 吸 デ ー タ が 表 示
(上段
脈拍、2 段目呼吸)
さ れ 、無 呼 吸 が 起 き て い る 状 態 が わ か る 。
6.3.7
運動能力計
家 庭 で 運 動 能 力 計 を 使 っ た の は 、7 家 庭 9 名で 、そ の 内 100 回 以 上 運 動 者 は 4 名:男
性 3 名 ( 年齢 69.7 ± 2.1 ) 女 性 1 名 ( 64 歳 ) で あ っ た 。
6.3.7.1
表 6.8
運動カロリと運動時間
運動能力計
100 回 以 上 利 用 者
期間内 データ (2005・01・25 ~ 2006・01・24)
exercise_cal
num.of exercise_minutes
ID
data
Average SD
Average
SD
2001
188
29.6
4.8
97.1
17.49
2009
155
15.2
4.7
40.2
9.44
2025
274
33.0
7.6
50.5
12.25
2026
167
29.7
2.7
56.8
7.81
4 名 の 平 均 運 動 時 間 は 26.3 ± 7.0 分 / 回
で 、カ ロ リ は 、平 均 60.5 ± 21.6kcal/ 分 で
あ っ た ( 表 6.8 )。 指 導 と し て は 週 3 回 以
上を目標に指導した。最大実施者は
ID2025 で 、274 日( 75 % )実 施
時間
の 177 % を 実 施 し て い た 。
3500
3000
(50 ワ ッ ト か ら 60 ワ ッ ト ) 負 荷 を
80
2500
60
2000
1500
40
1000
20
500
0
2006/1/31
2005/12/31
2005/11/30
2005/10/31
2005/9/30
2005/8/31
2005/7/31
2005/6/30
2005/5/31
2005/4/30
2005/3/31
0
2005/2/28
と が 出 来 る 。 ID2025 に お い て 、
指 導 運 動 強 度 を 、 7 月 よ り 20 %
100
2005/1/29
幅に運動カロリを増加させるこ
運動時間 秒
に示す。一日 2 回運動すると大
120
4000
運動カロリ kcal
し て お り 指 導 日 数 で あ る 156 日
4500
ID2025 の 運 動 の 様 子 を 図 6.18
カロリー
運動能力計 ID2025 274日
月 日
図 6.18
ID2025 の 1 年 間 の 運 動 消 費 カ ロ リ 記 録
増加させた。
6.3.7.2
運動中のデータ収集
事 前 の 運 動 負 荷 試 験 を し 、 AT ( Aerobic
threshold ) に 対 し 運 動 強 度 を 70 % AT
で運動処方しても、有疾患者や、高齢者は日々の体調で大きく運動中の心拍数(図
67
6.19
日々の運動記録
紫が心拍数)が変動し、変動幅が最大心拍数を超えないよ
うにコントロールする必要がある。
図 6.19
6.3.8
同一運動強度に対する心拍変動
標準プロトコールの性
一日の発生回数 of communication error
14
能
12
10
て 、大 阪 地 区 20 家 庭 で 通 信 性 能 試 験
8
を実施した。
errors/day
標準プロトコールの性能試験とし
errors
5data moving average
6
4
2
連送など)をそのまま受け入れた伝
送 を 2005 年 10 月 最 初 ま で 実 施 し 、
02/11/06
01/28/06
01/14/06
12/31/05
12/17/05
12/03/05
11/19/05
11/05/05
10/22/05
10/08/05
09/24/05
09/10/05
医療用テレメータの伝送(単方向 3
08/27/05
0
08/13/05
実証実験において、最初に従来の
date
図 6.21
一日に発生した通信エラー数の推移
10 月 11 日 ~ 11 月 9 日 に か け て 順 次 標 準 プ ロ ト コ ー ル を 搭 載 し た 機 器 及 び 通 信 フ ァ ー
ムウエアに置き換えた。各機器は体重計を除いては、標準プロトコールの通知(確認
なし)から通知(確認あり)の通信パタ
ーンに変更した。両プロトコールを比較
す る た め 、2005 年 8 月 9 月 と 12 月 、2006
年 1 月 の デ ー タ を 比 較 し ( 表 6.9 )、 標 準
Error/Day (average)
Eroor/Day (SD)
Num. of day
プロトコールでは、従来の通信のエラー
表 6.9
VER.1
7.06
1.62
62
Ver.2
4.21
1.09
62
一日当たりの通信エラー数の比
を お よ そ 40 %( 7.06/ 日 /20 家 庭 か ら 4.21/
日 /20 家 庭 ) 削 減 で き た ( 図 6.21) 。 Welch 法 (p<0.001) で 有 位 に 改 善 し て い る 。
これらの 2 期間を通じて、バッテリー駆動で且つ特定小電力無線の体重計について
は 、 確 認 な し の 通 信 パ タ ー ン を 両 期 間 で 採 用 し た 。変 更 は 、通 信 デ ー タ フ レ ー ム の み
68
の 変 更 で あ り 、 2 期 間 の エ ラ ー レ ー ト は 、 1.66 回 / 日 と 1.53 回 / 日 で 、 両 期 間 の Welch
法 に よ る t- 値 は 、 0.578 ( DOF=12.76 ) 20 % 有 意 水 準 で 差 が な い 。
この 2 つのことより、本実証実験において、規格化した標準プロトコールは従来の
通 信 エ ラ ー を お よ そ 40 % 程 度 改 善 で き る 規 格 で あ り 、 規 格 の 中 で 実 施 し て い る 確 認 あ
りの通信パターンがエラーレートの改善に有効に機能していることが推測された。
69
6.4
考察
6.4.1
計測項目別 100 回以上計測者の年齢と性別
健 康 計 測機 器 は 、体 重 計 、血 圧 計 、歩 数 計 が よ く 使 わ れ た 。 6.2.2 項 で 示 し た よ う に
血 圧 計 の 99 回 以 下 計 測 者 の 年 齢 は 男 女 と も 平 均 が 40 歳 以 下 で 、 若 い 年 齢 層 で は 計 測
す る こ と に 意 味 を 感 じ て い な い と 思 わ れ る 。 体 重 計 の 100 回 以 上 計 測 者 は 、 男 性 17
名 、 女 性 22 名 で そ れ ぞ れ 血 圧 計 100 回 以 上 計 測 者 よ り 人 数 が 男 性 2 名 、 女 性 3 名 多
く 、 平 均 年 齢 も 男 性 で 3.1 歳 、 女 性 で
表 6.10 100 回 以 上 計 測 者 の 人 数 と 年 齢
6.1 歳 若 い 。体 重 計 に 関 し て は 、若 い 年
100回以上測定者
男性
女性
齢層の女性に関心が高いと思われる。
歩 数 計 に 関 し て 、 女 性 の 100 回 以 上 計
測者は、血圧に比して、5 名、体重に
体重計
血圧計
歩数計
人数
平均年齢
人数
平均年齢
17
15
17
60.2
63.3
59.2
22
19
14
51.3
57.4
55.1
比 し て 8 名少 な く 、 本 実 験 で は 女 性 に 関 心 が 薄 か っ た と 思 わ れ る ( 表 6.10 )。
6.4.2
血圧値の 1 時間以内の複数回計測
本 実 証 実 験 で は 、 100 回 以 上 計 測 者 34 名 中 、 10 回 以 上 の 1 時 間 以 内 複 数 回 計 測 し
た 被 験 者 は 26 名 ( 76.5 % ) で あ り 、 26 名 中 14 名 ( 54 % ) が paired t-test で 、 収 縮
期 血 圧 に お い て 有 意 ( p<0.05 ) に 1 回 目 と 2 回 目 の 差 異 を 認 め た 。 日 本 高 血 圧 学 会 指
針 JSH2009 12 ) で は 、朝 夕 の 血 圧 計 測 に お い て 、計 測 回 数 は 1 ~ 3 回 と な っ て お り 、こ
の 指 針 を 補 強 す る 形 と な っ た 。 図 6.20 に 各 被 験 者 の 家 庭 収 縮 期 血 圧 の 年 間 平 均 値 を
10mmHg 単 位 に 層 別 化 し 、各 層 の 被 験 者 の 複 数 回 計 測 の 平 均 値 を プ ロ ッ ト し た 。血 圧
値 の 高 い 人 ほ ど 複 数 回 計 測 回 数 が 増 加 し て い る 。ま た 、複 数 回 計 測 の 差 が 有 意( p<0.05 )
な 人 の 割 合 が 、 1 年 間 の 家 庭 収 縮 期 血 圧 の 平 均 値 が 高 く な る ほ ど 増 え て い る ( 図 6.20) 。
8
率を低下させるとの
7
117 ) も あ る 。
6
5
人数(人)
報告
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
4
3
2
1
0
一人当たり平均複数回計測数(回/ 年)
しかし複数回計測は、被験者が不自然に感じた時に測るべきであり、強要は計測継続
差が有意
(P<0.05)な
被験者
差が有意で
ない被験者
一人当たり
平均複数回
数
年間平均収縮期血圧による区分 (mmHg)
図 6.20 複 数 回 計 測 と 年 平 均 血 圧
70
6.4.3
診療時血圧と家庭血圧
診療時血圧で高血圧と判定され家庭血圧では高血圧の区分に入らない白衣高血圧は、
本 実 験 で は 1 名: ID2005( 男 性
59 歳 )で 、家 庭 血 圧 は 収 縮 期 117.5mmHg 、拡 張 期
70.3mmHg 、診 療 時 血 圧 は 収 縮 期 155mmHg 、拡 張 期 96mmHg で あ り 、両 血 圧 値 に か
2005 血圧(時系列)
210
200
190
180
170
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
SYS
DIA
血
圧
値
(
血
圧
値
㎜
H
g
HR
㎜
H
g
210
200
190
180
170
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
0:00
HR
SYS
DIA
)
2006/1/16
2005/12/16
2005/11/16
2005/10/16
2005/9/16
2005/8/16
2005/7/16
2005/6/16
2005/5/16
2005/4/16
2005/3/16
2005/2/16
2005/1/16
)
4:48
14:24
19:12
0:00
時刻
日時
図 6.21
9:36
ID2005
血圧の季節変動と日格差
な り の 差 異( 収 縮 期 37.5mmHg 、拡 張 期 25.7 m m Hg )を 認 め た 。し か し 日 常 計 測 で は 、
早 朝 に 140mmHg を 超 え る こ と は ま れ で 、 日 中 に 血 圧 が 上 昇 す る も の と 思 わ れ る ( 図
6.21 )。本 実 証 実 験 で 、男 性 に お い て は 診 療 時 血 圧 が 高 い ほ ど 家 庭 血 圧 と の 差 が 大 き く
出 る 傾 向 が あ っ た 。( R=0.608 、 p<0.001 ) こ の こ と は 診 療 時 血 圧 で 高 血 圧 と 判 定 さ れ
ても、家庭血圧は高血圧でない可能性を持っており、特に男性においてその傾向が強
いと思われる。大迫研究では、白衣高血圧から真性高血圧へ移行する可能性が高いこ
とを指摘
18 ) さ れ て お り 、ま た 白 衣 高 血 圧 者 の
9 年 間 の追 跡 調 査 で 脳 卒 中 の 発 生 リ ス ク
が持続性高血圧と同程度になることが知られている
118 )。1
回の診療時血圧が高いこと
は必ずしも高血圧を意味しないと思われるが、本実験では、血圧が高くなればなる程
診 療 時 血 圧 と の 差 が 大 き く ( 図 6.6) 、 白 衣 高 血 圧 の 可 能 性 が 高 く な る 。 診 療 時 血 圧 の 高
いことが、白衣高血圧を生み、さらに白衣高血圧から高血圧への移行の可能性を示唆
する要因であることが推察される。
71
HR
DIA
2006/2/10
2006/1/10
2005/12/10
2005/11/10
血圧(mmHg)
SYS
2005/10/10
2005/9/10
2005/8/10
2005/7/10
2005/6/10
2005/5/10
2005/4/10
2005/3/10
2005/2/10
2005/1/10
血圧(mmHg)
2009 血圧(時系列)
210
200
190
180
170
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
日時
図 6.22
210
200
190
180
170
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
0:00
HR
4:48
9:36
時刻
14:24
19:12
SYS
DIA
0:00
ID2009 の 血 圧 の 季 節 変 動 と 日 格 差
一 方 、仮 面 高 血 圧 を 示 し た ID2009( 男 性 69 歳 )は 、家庭 血 圧 は 収 縮 期 146.2mmHg 、
拡 張 期 93.7mmHg 、診 療 時 血 圧 は 収 縮 期 134mmHg 、拡 張 期 80mmHg で あ っ た 。家 庭
血 圧 は 明 ら か に 高 い ( 図 6.22 ) に も か か わ ら ず 、 診 療 時 に は 降 圧 剤 の 効 果 が あ っ た も
のと思われる。朝には、降圧剤の薬効の持続が不十分で、朝食後の薬の服用前に血圧
が高くなったことが考えられる
のは明らかと思われる
6.4.4
119 )。明 ら か に 高 血 圧 で あ り 、仮 面 高 血 圧 の 予 後 が 悪 い
120,121 )。
収縮期血圧と拡張期血圧
図 6.7 に お い て 、 直 線 回 帰 式 の 回 帰 係 数 は 0.45 と な り 、 収 縮 期 血 圧 が 10mmHg 上
昇 す る と 拡 張 期 血 圧 が 4.55 m m Hg 上 昇 す る 可 能 性 を 示 し た 。 し か し 回 帰 式 か ら 離 れ
て い る 被 験 者( ID2025:平 均 収 縮 期 血 圧 131mmHg 、平 均 拡 張 期 血 圧 62.7mmHg 、計
測 数 459 ) も お り 、 収 縮 期 血 圧 と 拡 張 期 血 圧 は 必 ず し も 同 期 し て 上 昇 ま た は 降 下 し な
い も の と 思 わ れ る 。 図 6.22 に ID2025 の 血 圧 の 季 節 変 動 を 示 す が 、 収 縮 期 血 圧 に 対 し
て、拡張期血圧は安定しており、脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が変化して高
血圧を発症している。中年以降の対象者において、収縮期血圧が高い心血管リスクで
あることが分かっており
122-124 )、収 縮 期 血 圧 に よ り 意 識 を 置 く こ と が 重 要 と 思 わ れ る 。
72
2025 血圧変動
200
180
160
SYS午前
140
DIA午前
SYS午後
120
血圧
DIA午後
100
多項式 (SYS午前)
多項式 (DIA午前)
80
多項式 (SYS午後)
多項式 (DIA午後)
60
40
20
2006/2/5
2006/1/8
2006/1/22
2005/12/25
2005/12/11
2005/11/27
2005/11/13
2005/10/30
2005/10/2
2005/10/16
2005/9/4
2005/9/18
2005/8/7
2005/8/21
2005/7/24
2005/7/10
2005/6/26
2005/6/12
2005/5/29
2005/5/1
2005/5/15
2005/4/3
2005/4/17
2005/3/6
2005/3/20
2005/2/6
2005/2/20
2005/1/9
2005/1/23
0
日時
図 6.22
6.4.5
ID2025 の 早 朝 、 就 寝 前 、 SYS,DIA 別 季 節 変 動
早朝収縮期血圧と就寝前収縮期血圧
76 % の 被 験 者 が 年 間 平 均 に お い て 、 有 意 に 早 朝 収 縮 期 血 圧 が 高 く 、 早 朝 収 縮 期 血 圧
の監視は脳卒中などの発症リスクにおいて重要であることが推察される。
一方、年間を通じては、各被験者の就寝時前血圧と早朝血圧の差はかなり変化して
お り 、 例 え ば ID2034 で は 、 2 , 3 , 4 月 の 両 者 の 差 は 大 き い が 、 8 月 9 月 10 月 で は 小
さ い( 図 6.23 )。年 間 を 通
じて早朝収縮期血圧と就
2034血圧変動
180
寝前収縮期血圧の関係は
160
変化しているものと思わ
140
れる。
SYS午前
DIA午前
120
SYS午後
血圧
100
DIA午後
多項式 (SYS午前)
80
多項式 (DIA午前)
多項式 (SYS午後)
60
多項式 (DIA午後)
40
20
日時
73
2006/1/3
2006/1/17
2005/12/6
2005/12/20
2005/11/8
2005/11/22
2005/10/25
2005/10/11
2005/9/27
2005/9/13
2005/8/30
2005/8/16
2005/8/2
2005/7/5
2005/7/19
2005/6/21
2005/6/7
2005/5/24
2005/5/10
2005/4/26
2005/4/12
2005/3/29
2005/3/1
2005/3/15
2005/2/15
縮期と就寝前収縮期血圧
0
2005/2/1
ID2034 の 早 朝 収
2005/1/18
図 6.23
6.4.6
血圧の日内変動
6.4.2
で示されたように、診療時には一般に高く出る被験者は日内変動の影響をう
ける者も多く、また降圧剤などの持続時間の検討のためにも、被験者自ら自己の血圧
の日内変動を知り必要性が推測された。
6.4.7
血圧の季節変動
表 6.9 8 月 と 12 月 の 血 圧 差
(早朝、及び就寝前血圧)
家庭で計った最高血圧の月別平均の最大
値 は 12 月 、 最 小 値 は 8 月 で 、 8 月 と 12 月
測定数 収縮期
785 127.45
早朝
609 135.90
598 123.97
就寝時
461 128.88
の月平均血圧の差異は、最高血圧で
( 6.7mmHg ) 最 低 血 圧 で は ( 3.0mmHg )
で あ っ た 。収 縮 期 血 圧 で 、 1.67mmHg/ 月 の
拡張期 月
74.80 8
78.89 12
71.35 8
73.31 12
上昇は、季節変動と考えられる。この差を
早 朝 血 圧 と 就 寝 前 血 圧 に 区 分( 表 6.9 )し て み る と 、早 朝 の 格 差 は 、収 縮 期 で 、8.45mmHg ,
拡 張 期 4.1 mmHg 、 就 寝 前 で 、 収 縮 期 4.91 mmHg 、 拡 張 期 1.96 mmHg と な り 、 季 節
変 動 を 早 朝 収 縮 期 血 圧 に 限 定 す れ ば 、2.11 mmHg/ 月 上 昇 す る こ と に な る 。異 常 な 早 朝
高血圧(モーニングサージ)発見のための一つの基準になるものと思われる。
6.4.8
体重の日格差
体重の日格差が大きい人は、水分量、摂食量が多いと思われ、肥満傾向があるかな
い か を 調 べ る た め に 、 体 重 日 格 差 の 大 き な ID2025 、 ID2053 、 ID2049 に つ い て 2005
年 1 月 25 日 ~ 3 月 31 日 ( 開 始 期 ) の 平 均 体 重 と 2005 年 11 月 1 日 ~ 2006 年 1 月 24
日 ( 終 了 期 ) の 平 均 体 重 の 差 を Welch 法 を 用 い 検 平 均 値 の 差 の 検 定 を し 、 3 名 と も 減
量に成功している。このことから日格差は必ずしも肥満者の傾向とは言い難いと思わ
170
進行している傾向を把握するのか
160
新たな検討が必要と思われる。
6.4.9
就寝中脈拍数と収縮期血
圧の年間平均値
血圧計測時の脈拍数と収縮期血
圧 の 相 関 係 数 は 100 回 以 上 計 測 者
の 全 平 均( 14337 回 )で 、 -0.0346
年間平均血圧 (mmHg)
れる。今後どのようにして肥満に
150
140
130
120
110
100
90
50.0
で 有 意 (p<0. 1) な 相 関 を 認 め な か
っ た 。 一 方 睡 眠 デ ー タ 100 回 以 上
55.0
60.0
65.0
70.0
睡眠時脈拍数 (拍/ 分)
図 6.24
74
就寝中脈拍数と年間平均収縮期血圧
計 測 者( 22 名 )で 、か つ 血 圧 計 測 者 100 回 以 上( 34 名 )の 20 名 の 睡 眠 中 の 年 間 平 均
脈 拍 数 と 年 間 平 均 収 縮 期 血 圧 の 相 関 係 数 は 0.561 と な り 、有 意 (p<0.01) な 相 関 を 認 め た 。
心 拍 数 の 増 加 は 、心 血 管 病 の 罹 患 率 、死 亡 率 と 関 連 す る こ と が 報 告
た家庭血圧計測の心拍数の予後予測能
125) さ れ て お り 、ま
126) が 高 い と の 報 告 も あ る 。心 拍 数 の 増 加 監 視 も
重要な項目と思われる。
75
第7章
血圧と他の生理量の比較検討
本 章 で は 、異 な る メ ー カ の 機 器 を 標 準 プ ロ ト コ ー ル で 統 一 的 に ネ ッ ト ワ ー ク に 組 み 込
むことにより、計測データが統一的に比較可能となったことを受け、その効用を最も
受ける異なるメーカ間のデータの多変量解析を実施した。収集されたデータから、高
血圧患者及び正常高値群への 1 年間の介入(運動及び食事)を通じて、どのような効
果 が 得 ら れ た か 、得 ら れ な か っ た か を 多 変 量 解 析 を 用 い て 分 析 し 、血 圧 の 管 理 に 必 要
な要因に関しいくつかの知見が得られたので報告する。
7.1
方法
6 章 で 示 し た 様 に 、 1 年 間 に 100 回 以 上 の 血 圧 計 測 は 34 名 ( 男 15 名 年 齢 63.3 ± 6.9
歳 、女 19 名 年 齢 57.4 ± 11.0 歳 )で あ っ た 。診 療 時 血 圧 に よ る 区 分 で 、至 適 血 圧 群( 収
縮 期 120-129 、ま た は 拡 張 期 80-84mmHg )は 2 名 、正 常 血 圧 群( 収 縮 期 120-129 、ま
た は 拡 張 期 80-84mmHg ) は 12 名 、 正 常 高 値 群 ( 収 縮 期 130-139 、 ま た は 拡 張 期
85-89mmHg )は 7 名 、Ⅰ 度 高 血 圧( 収 縮 期 140-159 、ま た は 拡 張 期 90-99mmHg )は
11 名 、Ⅱ 度 高 血 圧( 収 縮 期 160-179 、ま た は 拡 張 期 100-109mmHg )は 2 名 で あ っ た 。
介 入 の 効 果 を 検 討 す る た め 、高 血 圧 患 者 及 び 正 常 高 値 群 20 名 の 中 か ら 、介 入 期 間 に
おいて、昇圧、降圧が認められた被験者を選定し、それらの被験者の中で、体重、運
動、睡眠などのデータが収集できていた被験者に限定し多変量解析を試みた。
7.1.1
降圧、昇圧の検証期間
被 験 者 ご と の 降 圧 の 効 果 検 証 に 当 た っ て は 、季 節 変 動 を で き る だ け 排 除 す る た め に 、
1 年 間 の 介 入 の 最 初 で あ る 開 始 期( 2005 年 1 月 25 日 ~ 3 月 31 日 )と 最 後 の 終 了 期( 2005
年 11 月 1 日 ~ 2006 年 1 月 24 日 )の 約 3 ヶ 月 間 の 計 測 デ ー タ の 平 均 を 用 い た 。血 圧 計
測 100 回 以 上 の 34 名 の 上 記 期 間 に お け る 平 均 血 圧 は 、開 始 期 に 比 べ 終 了 期 で は 、早 朝
血 圧 に 関 し て 収 縮 期 で 、3.96mmHg 拡 張 期 で - 0.32mmHg 就 寝 前 血 圧 に 関 し て 、収 縮
期 で 5.24mmHg 、 拡 張 期 で 2.07mmHg の 増 加 が 認 め ら れ た 。
7.1.2
解析者の選定
前 述 の正 常 高 値 以 上 の 血 圧 者 20 名 に 対 し 、 Welch 法 を 用 い
て介入開始期と終了期の早朝収縮期血圧、早朝拡張期血圧、就寝前収縮期血圧、就寝
前 拡 張 期 血 圧 の 平 均 値 の 差 を 検 定 ( P<0.001 : 表 7.1 ) し 被 験 者 の 候 補 を 選 定 し た 。
20 名 中 , 早 朝 血 圧 に 関 し て 、収 縮 期 血 圧 改 善 者 3 名( ID: 2001,2018,2065 )、悪 化 者
3 名( ID: 2034,2037,2049 )、ま た 拡 張 期 血 圧 改 善 者 3 名( ID: 2001,2018,2065 )、悪
化 者 1 名( ID: 2009 )で あ っ た 。就 寝 前 血 圧 に 関 し て 、収 縮 期 血 圧 改 善 者 2 名( ID :
76
2001,2065 )、 有 意 (p<0.001) な 悪 化 者 は な か っ た 。 拡 張 期 血 圧 改 善 者 3 名 ( ID :
2001,2039,2065 )、悪 化 者 は 、 1 名( ID2014 )で あ っ た( 表 7.1 、青 は 改 善 、黄 色 は 悪
化 ; 有 意 水 準 p<0.001 )。
表 7.1 開 始 期 と 終 了 期 の 早 朝 血 圧 間 と 就 寝 前 血 圧 間 の 比 較 ( Welch 法 )
ID
2001
2002
2005
2009
2010
2014
2017
2018
2029
2034
2037
2038
2039
2049
2061
2062
2065
2066
2073
2074
Differences of average B.P. between
T-value of two sampleT-test with welch's
start Priod (Jan.24~Mar. 31 2005) and
correction (* shows P<0.001)
End Piriod (Nov. 1st 2005 ~ Jan.24 2006)
Morning B.P.
Before sleep B.P.
Morning B.P.
Before sleep B.P.
μ SYS μ DIA μ SYS μ DIA
t SYS
t DIA
t SYS
t DIA
-10.36
-7.00
-13.93
-13.27 *-6.10
*-4.83
*-10.05 *-10.64
-1.92
1.03
-2.91
-1.94
-0.96
1.04
-1.46
-1.57
4.73
-10.47
-1.72
-3.44
2.80
-0.93
-1.27
-2.97
0.11
3.36
-4.57
2.10
0.07
*3.87
-2.84
2.08
2.19
3.93
1.42
0.08
1.34
3.70
0.84
0.08
-10.45
-13.38
13.64
21.19
-2.00
-2.41
4.45
*14.70
-0.06
-1.94
-7.02
-2.74
-0.01
-1.08
-2.82
-1.38
-0.14
-4.62
-1.59
-4.16
-0.10
*-3.67
-0.86
-1.40
-10.15
-4.23
-5.17
-1.04
-2.10
-1.87
-2.70
-0.83
9.36
3.23
4.58
-3.56
*4.13
2.05
1.85
-1.78
30.03
6.02
20.07
0.88
*4.86
2.09
3.90
0.26
2.02
2.40
-3.41
1.11
0.92
1.15
-1.64
0.50
5.27
-3.38
-4.38
-7.60
1.74
-1.36
-1.49
*-6.57
13.89
1.47
9.06
0.86
*6.04
1.35
2.35
0.42
2.26
-3.16
-7.13
-6.58
0.48
-1.01
-1.69
-1.80
0.43
-0.65
-3.00
4.38
0.16
-0.24
-0.32
0.93
-8.66
-5.18
-13.97
-13.62 *-4.48
*-4.79
*-3.71
*-4.60
2.25
-4.05
-0.44
-2.89
0.68
-1.66
-0.15
-1.96
0.76
-1.44
-4.51
-4.79
0.47
-1.10
-2.53
-2.83
-1.23
-2.29
-4.29
-6.80
-0.76
-2.52
-2.02
-2.71
Df
Df(morning data)
Df Sys
83.2
85.8
3.3
134.4
74.5
1.2
9.2
93.4
7.2
56.1
8.7
17.0
2.4
112.9
15.1
3.3
76.6
21.5
54.4
65.9
Df DIA
95.7
110.6
1.0
113.4
86.9
1.0
9.4
62.7
6.6
52.4
9.0
13.9
2.7
83.9
15.9
1.3
72.4
15.0
47.6
69.6
Df(Before Sleep
data)
Df Sys
Df DIA
114.8
121.2
64.1
86.5
107.5
108.0
112.8
120.7
76.1
99.9
2.2
39.0
58.3
47.7
51.1
30.8
81.1
69.9
64.9
62.8
3.4
3.9
9.7
7.6
4.0
20.3
58.2
73.4
30.0
23.2
3.4
3.7
47.3
44.9
56.1
57.1
30.8
43.0
42.7
26.8
降圧の認められた解析対象候補は、早朝収縮期血圧、早朝拡張期血圧がそれぞれ開
始 時 平 均 140.1 、 82.7 mmHg か ら 終 了 時 平 均 129.7 、 75.7mmHg ( - 10.4 、 - 7.0
mmHg ) に 降 圧 し た ID2001 と 、 同 様 に 161.1 、 96.9mmHg か ら 152.4 、 91.8mmHg
( -8.7 、 -5.1mmHg ) に 降 圧 し た ID2065 を 候 補 と し た 。 ID2018 は 、 睡 眠 デ ー タ が 採
取できなかったため、降圧効果の解析対象外とした。
昇圧の認められた解析対象候補は、早朝収縮期血圧、早朝拡張期血圧がそれぞれ
開 始 時 平 均 131.6 、81.0 mmHg か ら 終 了 時 平 均 161.7 、87.0mmHg( 30.0 、6.0
mmHg )
に 昇 圧 し た ID2037 と 、 同 様 に 137.7 、 87.0mmHg か ら 151.6 、 88.44mmHg ( 13.89 、
1.47mmHg )に 昇 圧 し た ID2049 を 候 補 と し た 。ID2034 は 、そ れ ぞ れ 124.5 ,67.8mmHg
か ら 129.1 , 64.2mmHg( 4.58 、 -3.6 )で 早 朝 収 縮 期 血 圧 は 悪 化 し て い る も の の 就 寝 前
拡張期血圧は改善しており、悪化者の解析対象外とした。
7.1.3
解析者の生体計測データ
7.1.3.1
改善者の計測データ
選 定 し た ID2001( 男 性 、69 歳 、身 長 168cm 、体 重 66kg) 、ID2065( 男 性 、67 歳 、
身 長 151cm 、 体 重 73.8kg ) の 介 入 期 間 内 の 計 測 デ ー タ を 図 7.1 に 示 す 。 ID2001 に
お い て 、血 圧 662 回 、体 重 614 回 、歩 数 330 日 、 睡 眠 332 日 の 計 測 が あ り 、 2 日 に
1 回 処 方 さ れ た エ ル ゴ メ ー タ の 運 動 を 188 日( 51.5 % )実 施 し て い た 。 ID2065 も 血
圧 425 回 、 体 重 510 回 、 歩 数 241 日 、 睡 眠 187 日 の 計 測 を し て い た ( 図 7.1) 。
77
7.1.3.2
図 7.1
date
悪化者の計測データ
78
date
ID2001,ID2065の各変数の季節変動
Parameters during sleep ID 2001
sleeping quality
70
65
60
55
50
12/25/05
12/25/05
12/25/05
11/25/05
10/25/05
9/25/05
8/25/05
7/25/05
DIA
11/25/05
10/25/05
9/25/05
8/25/05
7/25/05
6/25/05
190
11/25/05
10/25/05
9/25/05
8/25/05
6/25/05
5/25/05
4/25/05
3/25/05
Morning B.P ID2001
12/25/05
hours of sleep
800
11/25/05
date
10/25/05
sleeping pulse rate
70
69
68
67
66
65
64
9/25/05
Morning Body Weight ID2065
8/25/05
0
7/25/05
200
7/25/05
400
5/25/05
date
6/25/05
600
6/25/05
800
4/25/05
walking calorie
1000
5/25/05
40
5/25/05
50
3/25/05
70
4/25/05
80
2/25/05
PR
4/25/05
100
2/25/05
110
3/25/05
130
1/25/05
140
2/25/05
Walking Calorie ID 2065
1/25/05
1000
calorie (Cal.)
12/25/05
11/25/05
170
3/25/05
1/25/05
Mornig Body Weight
Body weight (Kg)
1/16/06
12/17/05
10/25/05
9/25/05
8/25/05
7/25/05
6/25/05
5/25/05
4/25/05
3/25/05
2/25/05
1/25/05
SYS
2/25/05
12/25/05
11/17/05
10/18/05
9/18/05
8/19/05
7/20/05
6/20/05
5/21/05
4/21/05
3/22/05
2/20/05
Walking Calorie (Cal.)
200
Pulse Rate (beat/min.)
Hours(Hr) / Quality
14
12
10
8
6
4
2
0
1/25/05
75
70
65
60
55
50
45
40
11/25/05
10/25/05
9/25/05
8/25/05
7/25/05
6/25/05
date
11/25/05
10/25/05
Parameters during sleep ID 2065
9/25/05
8/25/05
7/25/05
6/25/05
5/25/05
5/25/05
76
75
74
73
72
71
70
4/25/05
4/25/05
3/25/05
2/25/05
1/25/05
Body weight (Kg)
1200
2/25/05
3/25/05
1/25/05
Pulse Rate ( beat/min.)
Morning B.P ID 2065
PR
SYS
160
DIA
date
Exercise Calorie ID 2001
ergo. ex. calorie
600
walking calorie
400
200
0
date
Morning Body Weight ID 2001
Morning Body Weight
date
sleeping pulse rate
Hours of sleep
sleeping quality
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
90.0
18
80.0
16
70.0
14
60.0
12
50.0
10
40.0
8
30.0
6
20.0
4
10.0
2
0.0
0
図 7.2
sleeping quality
data
79
Parameters during sleep ID2049
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
40.0
30.0
20.0
10.0
0.0
2005/12/25
2005/11/25
2005/10/25
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
Quality
2006/1/26
2005/12/26
2005/11/26
2005/10/26
2005/9/26
2005/8/26
2005/7/26
Morning BP ID2049
2006/1/26
2005/12/26
2005/11/26
2005/9/25
2005/8/25
2005/7/25
2005/6/26
2005/5/26
2005/4/26
Morning SYS
35
30
25
20
15
10
5
Hours(h)/Quality(20min.)
sleeping heart rate
2006/1/10
Hours of sleep
2005/6/25
Walking Calorie ID2049
2005/12/10
date
2005/11/10
Morning body weight ID2049
2005/10/26
67
2005/10/10
68
2005/9/26
69
2005/9/10
70
2005/5/25
date
2005/8/26
71
2005/8/10
date
2005/7/26
Morning body weight
2005/7/10
Morning Body Weight ID2037
2005/6/26
Walking Calorie ID2037
2005/6/10
100
2005/4/25
200
2005/3/26
Morning B.P. ID2037
2005/5/26
300
2005/5/10
500
2005/3/25
600
2005/4/26
40
2005/4/10
60
2005/2/26
80
2005/2/25
2005/1/26
100
P.(mmHg)/P.R,.(beat/min.)
120
2005/3/26
0
2005/1/25
400
calorie( kcal )
2005/11/20
2005/10/20
2005/9/20
2005/8/20
2005/7/20
2005/6/20
140
2005/3/10
72
Body weight ( kg )
2005/7/26
2005/7/12
2005/6/28
2005/6/14
2005/5/31
2005/5/17
2005/5/3
2005/5/20
160
2005/2/26
2005/1/26
2006/1/25
2005/12/25
2005/4/5
2005/4/19
2005/4/20
2005/3/20
Morning DIA
P.R.(beat/min.)
Hours(h)/Quality
Parameters during sleep ID2037
2005/11/25
2005/10/25
73
2005/9/25
2005/8/25
2005/7/25
2005/6/25
2005/3/22
2005/3/8
2005/2/20
2005/1/20
P.(mmHg)/P.R.(beat/min.)
PR
2005/5/25
2005/4/25
2005/2/22
2005/2/8
2005/1/25
calorie (kcal)
180
2005/3/25
2005/2/25
2005/1/25
Body weight( kg)
200
2005/2/10
wake up time
2005/1/31 5:25
2005/2/23 5:27
2005/3/3 5:22
2005/3/10 5:23
2005/3/17 5:27
2005/3/24 5:27
2005/4/1 5:28
2005/4/7 3:42
2005/4/12 5:29
2005/4/19 5:26
2005/4/27 5:47
2005/5/4 6:13
2005/5/12 5:28
2005/5/18 5:28
2005/5/25 5:28
2005/6/3 6:10
2005/6/15 5:27
2005/6/27 5:28
2005/7/4 5:28
2005/7/10 6:45
2005/7/19 5:59
2005/8/5 6:05
2005/9/13 5:27
P. R.(beats/min.)
悪 化 者( P<0.001 )と し て 選 定 し た ID2037 ( 男 性 、67 歳 、身 長 151cm 、体 重 71kg) 、
ID2049 ( 男 性 、 65 歳 、 身 長 175cm 、 体 重 71.7kg ) の 介 入 期 間 内 の 計 測 デ ー タ を 図
7.2 に 示 す 。 ID2037 は 、 血 圧 254 回 、 体 重 110 回 、 歩 数 86 日 、 睡 眠 160 日 の 計 測
PR
SYS
DIA
date
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
Walking Calorie
date
73
Morning body weight
72
71
70
69
68
67
date
pulse
Sleeping
0
date
ID2037,ID2049 の 各 変 数 の 季 節 変 動
を し 、 ID2049 は 血 圧 446 回 、 体 重 503 回 、 歩 数 293 日 、 睡 眠 273 日 の 計 測 を 実
施している。
7.2
データ解析
7.2.1.
解析方法
7.2.1.1
変量の選定
多 変 量 解 析 に お け る 被 説 明 変 数 は 、モ ー ニ ン グ サ ー ジ な ど の 指 標 で あ り 、一 日 の 行
動 の 影 響 を 受 け に く い 早 朝 収 縮 期 血 圧( 変 数 名: Y, 単 位 : mmHg )、説 明 変 数 は 前 日
ま で の 歩 行 及 び エ ル ゴ メ ー タ の 累 積 カ ロ リ ( X1, kcal )、 睡 眠 中 の 心 拍 ( X2, 拍 / 分 )、
睡 眠 時 間 ( X3,h )、 睡 眠 の 質 ( X4, 分 )、 早 朝 計 測 体 重 ( X5,kg ) を 採 用 し た 。
7.2.1.2
解析期間の選定
被説明変数である血圧変動は、非線形な時系列システムであること、血圧以外の
各指標と血圧変動との関連モデルがないことを考慮し、各変数間の線形性が成り立
ち や す く す る た め 、岩 根 ら
102 )、山 本 ら 103) 及 び
Moreau ら
104 )の 先 行 研 究 を 参 考 に 、
本 研 究 と の 年 齢 差 、合 併 症 の 有 無 な ど を 考 慮 し 、岩 根 、山 本 両 研 究 の 2 倍 、 Moreau
の 最 大 期 間 で あ る 24 週 間 を 解 析 期 間 と し た 。
7.3
解析 結果
7.3.1 改 善 者 の 多 変 量 解 析
7.3.1.1 ID2001 改 善 期 の 多 変 量 解 析
ID2001 の 改 善 期 ( 2005/01/25 ~ 2005/07/12 ) で は 、 上 記 説 明 変 数 で 早 朝 収 縮 期
血 圧 を 多 変 量 解 析 し た 結 果 、重 決 定 R 2 =0.47 が 得 ら れ た 。こ の 例 で は 、運 動 カ ロ リ
の 累 積 が 10000kcal で 血
圧 値 が 4.3mmHg 降 下 し
た。
( t =-9.04 )一 方 体 重
は 、有 意 な 指 標 と は な ら
な か っ た( t=-1.19 )
(表
ID
ID2001
重決定
0.47
測定数
107
variate
coefficient
t
P-value
intercept
240.9
3.56 P <0.001
累積カロリ Ac.Ex.Cal. (X1) -0.00043
-9.04 P <0.001
pulse
(X2)
-0.22
-0.45
0.65
睡眠時 Hours
(X3)
-0.18
-0.29
0.77
quality
(X4) -0.0051
-0.30
0.76
午前体重 body weight (X5)
-1.16
-1.19
0.24
7.2 )。
7.3.1.2
表 7.2
coefficient
-25.82
-0.000012
0.21
-1.60
-0.02
2.54
ID2065
0.24
57
t
-0.17
-0.14
0.48
-1.65
-0.30
1.30
P-value
0.86
0.89
0.63
0.10
0.77
0.20
ID2001 及 び ID2065 の 回 帰 係 数 と t-値
ID2065 の 改 善 期 の 解 析
ID2065 の 改 善 期 で 同 様 の 解 析 を 実 施 し 、 十 分 な 重 決 定 ( R 2 =0.24 ) は 得 ら な か っ
た が 、 こ の 例 で は P<0.1 で 睡 眠 時 間 が 早 朝 収 縮 期 血 圧 に 影 響 を 与 え て お り 、 1 時 間
睡 眠 が 増 加 す る と 血 圧 値 が 1.6mmHg 降 下 し て い た 。ま た P<0.2 で 1 kg の 体 重 の 減
量 が 血 圧 値 を 2.54mmHg 降 下 さ せ る 可 能 性 が 推 測 さ れ た 。
7.3.2
悪化者の多変量解析
80
7.3.2.1
ID2037 悪 化 期 の 多 変 量 解 析
ID2037 の 悪 化 期( 2005/01/25 ~ 2005/07/12 )で は 、上 記 説 明 変 数 で 早 朝 収 縮 期 血
圧 を 多 変 量 解 析 し た 結 果 、 重 決 定 R 2 =0.57 が 得 ら れ た 。 こ の 例 で は 、 運 動 カ ロ リ の
累 積 が 1000kcal で 血 圧 値 が 4.1 mmHg 上 昇 し た ( 表 7.3 )( t =5.65 )。
7.3.2.2
ID2049 悪 化 期 の 多 変 量 解 析
ID2049 の 悪 化 期 ( 2005/7/25 ~ 2006/01/24 ) で は 、 上 記 説 明 変 数 で 早 朝 収 縮 期 血
圧を多変量解析した結果、重決
ID
重決定
観測数
定 R 2 =0.43 が 得 ら れ た 。 こ の 例
では、運動カロリの累積が
1000kcal で 血 圧 値 が 2mmHg 上
切片
運動
累積kcal
PR
hours
睡眠
quality
午前体重 B.W.
昇した。
( t =7.93 )ま た 体 重 は 、
表 7.3
係数
91.9340
0.0041
0.6575
-1.0703
0.0163
-0.1285
2037
R2=0.57
45
t
0.5703
5.6540
1.1624
-0.6810
0.6322
-0.0624
P-値
係数
0.5717 -513.4241
1.5659E-06
0.0016
0.2521
-0.2035
0.4999
2.2335
0.5310
-0.0277
0.9506
9.0609
2049
0.43
123
t
-2.9395
7.9274
-1.3797
-1.6325
2.3617
3.6541
P-値
0.0040
1.46585E-12
0.1703
0.0198
0.1053
0.0004
ID2037 と ID2049 の 回 帰 係 数 と t-値
1kg 増 え る ご と に 9.06 mmHg
上 昇 し た ( 表 7.3 )。
7.4
考察
こ れ ら 二 人 の 顕 著 な 血 圧 改 善 者 ( P < 0.001 ) に 統 一 的 な 改 善 指 標 は 見 出 せ な か っ た
が、個人個人にとっては管理する有意な指標があり、一人は運動カロリの累積値で、
も う 一 人 は 、統 計 的 有 意 で は な い が 睡 眠 時 間 と 体 重 が 指 標 に な る 可 能 性 が 推 測 さ れ た 。
ま た 悪 化 に 関 し て も ID2037,ID2049 共 に 累 積 カ ロ リ が 高 い 血 圧 変 動 説 明 能 力 を 示 し
た 。ID2049 に 関 し て は 体 重 も 血 圧 変 動 説 明 能 力 を 示 し 、改 善 期 、悪 化 期 共 に 累 積 カ ロ
リと一部の被験者で体重、睡眠時間が血圧変動に関与していることが推測された。
本 考 察 で は 、 重 決 定 が 高 か っ た ID2001 の 中 の 、 変 数 の t- 値 ( -9.04 ) が 最 も 高 く 、
か つ ID2037 t- 値 ( 5.65 ) ,2049 t- 値 ( 7.93 ) で も 高 い 血 圧 変 動 の 説 明 能 力 を 有 し た 変
量である運動についての検討を試みる。
7.4.1
運動と降圧について
高 血 圧 患 者 の 運 動 と 降 圧 の 起 序 127 )、6 ヶ 月 間 以 内 の 運 動 効 果 に 関 す る 研 究 の 報 告 104 )
はあるが、高齢者の 1 年間にわたる継続的な介入効果を示したものは少ない。短期間
の効果研究のための介入と通年を通じての日常的な介入では介入を受ける側も対応が
異なるものと思われ、特に高齢者では継続的な計測機器の利用、運動の継続が困難な
人も多く、計測日数の差となって現れたと思われる。
7.4.2 歩 行
血 圧 値 改 善 者 で あ る ID2001 は 、333 ± 159kcal/ 日( 8805 ± 3756 歩 / 日 )計 測 日 数 332
81
日 / 年 ( 計 測 率 91.0% )、 ID2065 は 、 421.8 ± 215.0 kcal/ 日 ( 10126 ± 4342 歩 / 日 ) 計 測
日 数 241 日 / 年 ( 計 測 率 66.0% ) の 計 測 値 で あ っ た 。 ま た 血 圧 値 悪 化 者 で あ る ID2037
は 、 134 ± 115 kcal/ 日 、 計 測 日 数 86 日 / 年 と ID2049 は 、 194 ± 132 kcal/ 日 、 計 測 日 数
293 日 ( 計 測 率 80.3% ) の 歩 行 を し て い た ( 図 7.3 )。 歩 数 及 び カ ロ リ の 平 均 値 と SD
は実施日のみのデータに基づいたもので、計測しなかった日は含んでいない。改善者
と 悪 化 者 の 計 測 し た 日 の 消 費 カ ロ リ の 分 布 は 異 な っ て い る ( 図 7.3 )。
14
100
90
12
2001
70
日数 ( 日)
10
度数( % )
300kcal
80
2065
2001
8
6
4
2065
60
2049
50
2037
40
30
20
2
10
一日当たりの歩数 ( 歩/日 )
図 7.3
山本ら
103 ) の 、61
1150
1050
950
850
750
650
550
450
350
250
50
22000
19000
16000
13000
10000
7000
4000
1000
150
0
0
一日当たりの歩行カロリ ( kcal / 日)
一日当たりの歩行(カロリ、歩数)の分布
名( 56.0 ± 5.3 歳 )に 対 し 、1 万 歩 / 日 以 上 の 群( 実 績 12121 ± 1837
歩 / 日 ) と 一 万 歩 以 下 の 群 ( 実 績 7824 ± 1088 歩 / 日 ) の 2 群に 分 け 12 週 間 の 介 入 前 後
での血圧値を比較した介入研究、岩根ら
102) の
30 名 ( 47.0 ± 1.0 歳 ) に 対 し 、 一 日 1
万 歩 以 上( 実 績 13510 ± 837 歩 / 日 )期 間 12 週 間 の 血 圧 値 降 圧 介 入 研 究 に 比 べ 、本 研 究
の 血 圧 値 改 善 者 で あ る ID2001,ID2065 で は 、 高 齢 ( 69 、 67 歳 ) の た め 一 日 の 歩 数 の
標 準 偏 差 が 大 き い ( 図 7.3) 。 高 齢 者 で は 一 定 の 歩 数 以 上 で 毎 日 歩 く の は か な り の 努 力 が
いるものと思われる。
一 方 降 圧 の た め の 運 動 カ ロ リ と し て 、Paffenbarger ら
101) が 週 当 た り
2000kcal の 運
動 ( 一 日 お よ そ 300kcal ) を 推 奨 し て い る 。 ほ ぼ 300kcal/ 日 に 相 当 す る 1 万 歩 の 歩 行
に 関 し て 、岩 根 ら
102 ) が 軽 症 高 血 圧 群 に 上 記 歩 数 、期 間 で 収 縮 期 血 圧 が
善 し 拡 張 期 で 8.4mmHg 改 善 ( P < 0.01 ) し た と 報 告 し 、 ま た 山 本 ら
10.2mmHg 改
103) は 、 上 記 一 万
歩 以 下 の 群 で も 収 縮 期 血 圧 に 8.3mmHg の 有 意( P < 0.01 )な 降 圧 が あ っ た と 報 告 し て
い る 。ま た Moreau ら
104) は 、軽 症 高 血 圧 患 者 に お い て 一 日
3km 以 上 の 毎 日 の 歩 行 12
週 間 で 収 縮 期 血 圧 が 6mmHg ( P<0.005 ) 次 の 12 週 間 で 5mmHg 降 圧 ( P<0.005 ) す
る と 報 告 し て い る 。本 研 究 で は 、ID2001,2065 と も 300 kcal/ 日 を 超 え る 歩 行 を 実 現 し
て い る 日 数 が 多 く ( 図 3 )、 年 間 を 通 じ て の 降 圧 効 果 は 、 ID2001 で 早 朝 収 縮 期 、 拡 張 期
の 血 圧 で そ れ ぞ れ 10.4mmHg 、7.0
mmHg 、ID2065 で は 、8.7 、5.1mmHg( P<0.001 )
降 圧 し て お り Moreau ら の 24 週 間 で 11mmHg 降 圧 し た と の 報 告 を 1 年 間 ( 約 52 週
間)で強化した形になっている。
82
ID2001,2065 の 降 圧 の 過 程 を 詳 細 に 検 討 す る と 、 24 週 後 を 含 む 6,7,8 月 の 収 縮 期 、
拡 張 期 血 圧 の 平 均 値 は 、ID2001 で は 開 始 期 に 比 べ 14.1mmHg 、 5.1mmHg 降 圧( 終 了
期 で 10.4mmHg 、 7.0mmHg ) し て い る の に 対 し 、 ID2065 は 、 そ れ ぞ れ 3.6mmHg 、
4.5mmHg 降 圧( 終 了 期 で 8.7mmHg 、5.1mmHg )し て お り 、降 圧 の 速 度 に 差 が 見 ら れ
る。
60000
累積カロリ
50000
ID2001
40000
ID2065
30000
300
20000
ID2049
10000
ID2037
0
ID
2001
2065
2049
2037
日時
図 7.4
表 7.4 ID 別 累 積 カ ロ リ の
回 帰 係 数 と t-値
回帰係数
-0.00041
-0.000012
0.002
0.0041
t-値
-9.04
-0.14
7.93
5.65
回帰係数と累積カロリ
歩行による降圧の速度は、血圧変動要因を説明する変量である歩行累積カロリの回
帰 係 数 で 表 現 さ れ る た め 、 各 被 験 者 の 累 積 カ ロ リ の 回 帰 係 数 と 回 帰 係 数 の t- 値 ( 表 7.4)
を 検 討 し た 。 各 被 験 者 の 累 積 カ ロ リ を 図 7.4 に 示 す 。 ま た Paffenbarger ら
101) が 降 圧
に 必 要 と 考 え て い る 300kcal/ 日 の 累 積 直 線( 図 7.4 で 、紫 色 )を 図 中 に プ ロ ッ ト し た 。
各 被 験 者 の 歩 行 の 累 積 カ ロ リ ( 図 7.4) と 回 帰 係 数 ( 表 7.4) の 関 係 は 、図 7.4 で 示 す よ う
に 300kcal/ 日 の 上 下 で 、 回 帰 係 数 の 符 号 が 反 転 す る と 共 に 、 300kcal/ 日 か ら 離 れ る ほ
ど回帰係数が大きくなっている。
このことより、一日当たりの歩行において、より多く運動することがより血圧値を
改善する可能性が高いことが想定される。安全で継続性があり、消費カロリの大きな
運動が高齢者の生活習慣病予防には向いていると考えられる。しかしどこまで運動で
きるかの限界は個人によって異なり、より安全で効果の高い方法論が望まれる。
歩 行 の 強 度 に 関 し て 、健 康 づ く り の た め の 運 動 基 準
128 ) で は 、 3METs
以 上( 運 動 強
度 の 単 位 ) の 運 動 を 推 奨 し て お り 、 歩 行 に 換 算 す る と 4 km/h ( 67m/ 分 、 約 5300 歩 /
時 間 ) で 意 識 し て 歩 行 時 間 を 作 る 必 要 の あ る 速 度 に な っ て い る 。 ま た ACSM/AHA
Recommendations 129 ) で は 、3 METs 以 上 の 歩 行 30 分 を 週 5 日か 、精 力 的 な 有 酸 素 運
動 (6METs 以 上 ) 20 分 間 を 週 3 日 以 上 の 実 施 を 推 奨 し て い る 。 歩 行 と そ の 強 度 に 関 し
て、山本らの研究
103) で は 、 一 万 歩 以 上 / 日 の 歩 行 群 で は 一 万 歩 以 下 / 日 の 群 に 比 べ 、 有
意( P<0.001 )に 3METs 以 下 、3 ~ 5.9METs 、6 METs 以 上 の 全 て の 強 度 の 歩 行 時 間
が多いとしている。
83
本研究では、時間当たりの歩数という形
でしか把握できないため正確さには欠くが、
割 合 が 多 い 。( 図 7.5 ) こ の こ と は 、 山 本 ら
の 指 摘 の 他 に 、 歩 数 の 増 大 は 3 METs 以 上
の 運 動 強 度 の 時 間 の 割 合 が 3METs 未 満 の
運動時間に比べて、増加している可能性を
百
分
率
%
ID2001
ID2065
average of 17 subjects
)
(
ID2001 及 び ID2065 は 1000 歩 以 上 / 時 間 の
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
示唆している。より多く歩くことが強度あ
時間当たり歩数
る歩行に繋がる可能性が高いと思われる。
図 7.5
7.4.3
時間当たり歩数の分布
運動処方強度による運動
ID2001 は 、 エ ル ゴ メ ー タ に よ る 運 動 を 、 指 定 運 動 強 度 ( 50 ワ ッ ト : 約 3 METs 相
当 ) で 188 回 / 年 ( 運 動 時 間 29.6 ± 4.8 分 / 回 、 消 費 カ ロ リ 97.1 ± 17.5 kcal/ 回 ) 実 施 し
て い る 。降 圧 の 基 準 値 で あ る 300kcal/ 日 の う ち 約 1/3 を エ ル ゴ メ ー タ の 30 分 の 運 動 で
実施することは、冬季など外出しにくい環境下では、有意義と思われる。また運動強
度に関する保証がある、外出に比べ比較的安全である、などの観点からも高齢者には
有用であると推察される。
7.4.4
高齢者の運動指針の必要条件
ACSM/AHA 129) は 、週 2 回 の より 強 い 運 動 強 度 で の 運 動( レ ジ ス タ ン ス 運 動 )を 筋 力
強化と無酸素運動下での持久力強化のために促している。また血圧値を改善するため
には、運動時間そのものも増やすように勧告している。しかし高齢者一人一人は、発
病はしていなくとも潜在的な危険を有しており、血圧改善のための運動は慎重に薦め
ら れ る べ き と 考 え る 。 ま た こ れ ら の 推 奨 基 準 の 根 拠 と な る 研 究 の 多 く は 、 Bravata ら
105) の
Systematic
Review に 紹 介 さ れ て い る 26 文 献 の 平 均 介 入 期 間 が 15.2 週 で あ る
ことで代表されるように、比較的短期の研究に基づいており、その結論の中で示して
いるように持続的な長期の効果に関して不明であるとしている。本研究の示すところ
は、
( 1 )毎 日 で な く と も 300kcal/ 日 の 運 動 を 実 践 す れ ば 、血 圧 値 が 下 が る 可 能 性 が あ
るので、降圧目標が 3 ヶ月で実現できなくとも長期的な観点で降圧目標を扱え、指導
できる可能性があること(2)歩行は一日に実施できる歩数の分散が大きいので、本
人の体調を重視した指導が重要であること(3)運動強度を確保でき、かつ家の中で
出来る運動も併せて指導することが重要であること。場合によっては、自宅内で指定
運動強度が実現できる安価な運動機器の開発も必要と思われる。などが考えられる。
本人の実情に合わせた降圧目標の達成時期の設定を含め、実際にどのような運動(種
類、頻度、強度、時間)を薦めていくかのガイドラインづくりはなお知見が少ないと
84
思われる。
7.5
おわりに
今 回 は 、改 善 者 に つ い て 多 変 量 解 析 を 試 み た が 、悪 化 者 の 解 析 も 予 防 の 観 点 か ら は 重
要 と 思 わ れ る 。1 年 間 の 介 入 を 通 じ て 、高 齢 者 が 続 け て 自 分 の 健 康 を 改 善 す る に は 、悪
化への警告、自分の血圧を管理する指標の発見、改善量を実感できる工夫が大切であ
ると感じた。持続可能な血圧改善の方法論は、血圧計測の自己管理の実施と改善の実
感から行動変容が起こる可能性が高く、より安全で効果のある行動変容プログラムの
作成が重要と考える。現状では高齢者は、発症していなくとも腎機能障害や虚血性心
疾 患 等 の リ ス ク も 進 行 し て い る 場 合 が あ り 、医 療 法 42 条 に 対 応 す る 運 動 施 設 で 医 師 の
監視下での運動療法が確実であるが、国民全員がその効用を受けることは費用の観点
から不可能であり、メディカルチェック含めた現実的なガイドラインづくりが望まれ
る。
また、本データの血圧計、歩数計、体重計、運動能力計、睡眠マットはいずれも異
なるメーカの健康計測データで、開発した標準プロトコールにより統一的にデータベ
ース化され、容易にデータ解析できることが示された。またそれらの蓄積された統一
データベースに推論エンジンを搭載することにより、健康計測データ群からリアルタ
イ ム に 解 析 し 、解 析 結 果 を 被 験 者 に 提 示 す る 環 境 を 容 易 に 構 築 す る 可 能 性 が 示 さ れ た 。
通信プロトコールの統一は、リアルタイムにより的確な介入指導を被験者に提示でき
る可能性を有するという意味で、在宅健康管理システムにとって一つの本質であると
推察される。
85
第8章
考察
本 章 で は 、開 発 研 究 し て き た 過 程 で 、同 時 に 調 査 研 究 し た 内 容 と 合 わ せ て 現 状 で 持 ち
合わせている知見について通信、システム、収集データ、介入研究の順に考察する。
8.1
健康計測機器(HMD)-健康管理機器(HCD)間通信
8.1.1
IEEE11703 への提言
システム内に自由に新しい機器が入り、特
定のメーカの機器が生産中止になってもシス
テムを維持できるようにするためには、筆者
らが確立したプロトコールがより多くのメー
カに使われる必要があり、この標準プロトコ
ー ル の 規 格 化 と 普 及 の 必 要 性 を D2H2
(
Distributed
Diagnosis
Healthcare ) 会 議 で 発 表
and
Home
図 8.1
130 ) し た 。そ れ を 受
IEEE
11073/20601
け イ ン テ ル を 中 心 に 調 査 団 が 来 日 し 、IEEE11703 の 中 に 、IEEE11703/20601( 図 8.1 )
と し て ワ ー キ ン グ Group を つ く り 規 格 化 を 筆 者 ら と 共 同 で 実 施 し た 。2008 年 12 月 に
IEEE 11073 (Point of Care Medical Device Communication Standards) の 中 で 機 器 ご
とに通信を規
格化すること
ができた。
推進団体とし
て 、イ ン テ ル が
Continua
を
技術領域
Electronic Health Record (HER)
(生涯電子医療記録)
Knowledge management
( 医療情報管理)
Terminology
(医療情報 用語定義)
Messages
( 医療情報フォーマット定義)
Imageing (医療画像定義)
Wave format ( 波形定義)
Security ( Information Security)
User Interface
Standard Methodology
Infrastructure Architecture
Ubiquitous Network
年 9 月 よ り、各
Coodination Activities
測
機
器
( HMD ) に 積
み込むファー
ムウエアを通
信ハードウエ
アーに搭載し
I
S
O
/
I
E
C
Europe
C
E
N
ITU-T
地域標準化団体
America
ANS
I/ H
L7
EPC
HITSP
HL7 IEC IEEE
OASIS
Local
O
A
S
I
S
JA
HI
S
I
N
U
A
IEEE1073
Zig
Bee
IEEE
802.15
WHO/ eHSCG
ANSI
ASTM
CEN
DICOM
HER
eHSCG
Forum
Grobal
NEMA/
DICOM
Medical Device Communication
組 織 し 、 2009
計
国際標準化団体
ASTM
この規格の
医療情報関連の規格化の状況(2008)
MFER
C
O
N
T
ECHONE
T
EPC
global
E
H
S
Smart
House
Blue
tooth
ANSI/ HITSP
JI-SDO GHIS
American National Standards Institute
ISO International Organization for Standardizatio
ITU-T International Telecommunication Union
American Society for Testing and Materials
Comité Européen de Normalisation
Telecommunication Standardization Sector
Digital Imaging and Communications in Medicine
JAHIS Japanese Association of Healthcare
Electronic Health Record
Information Systems Industry
eHealth Standardization Coordination Group
JI-SDO GHIS Joint Initiative on SDO
Electronic Product Code
Global Health Informatics Standardizatio
Healthcare Information Technology Standards Panel
MFER Medical waveform Format Encoding Rule
Health Level 7
NEMA National Electrical Manufacturers Associat
International Electrotechnical Commission
WHO World Health Organization
The Institute of Electrical and Electronics Engineers
Organization for the Advancement of Structured Information Standards
図 8.2
IEEE11073 と Continua の 位 置 付 け
86
て 供 給 を 開 始 す る と 共 に 、 健 康 管 理 機 器 ( HCD ) 側 の API ( Application interface )
も用意して供給し始め、本規格の普及に尽力している。
最終規格化における最大の論点は、他規格との整合性と、規格使用例の検証であっ
た 。用 語 定 義 に お い て 、英 語 は IEEE11073-10101 に 従 い 、波 形 定 義 は MEFR(Medical
waveform Format Encoding Rule) に 従 っ た 。 図 8.2 に 標 準 プ ロ ト コ ー ル を 受 け て 、
規 格 化 し た IEEE11073 と Continua の 位 置 付 け を 示 す
59) 。
規格化完了したのは、データ伝送に必要な部分(機器登録通信、情報登録通信、デ
ータ通信)のみで、照会通信に関しての規格化は出来ておらす、システム内を同一の
時 刻 で 運 用 で き る 、HCD が 各 機 器 に バ ッ テ リ 残 量 を 問 い 合 わ せ 可 能 な 体 制 は 整 っ て お
らず、現状では機器側からバッテリ残量を報告する必要がある。また他の機器の情報
問い合わせなどの機能は、今後の課題である。
しかし、データ伝送を統一できたことと、機器のシステムへの参入が容易になった
こと、システム内で一メーカが機器供給を停止しても他のメーカの機器が使えること
などの効果は大きく今後利用が促進されるものと思われる。
8.1.2
規格の効果
家庭内無線通信において、伝文長をできる限り短くし通信手順をできるだけ簡素化
することは、家庭内電磁環境を考慮すれば当然とも思える。ヘアドライヤなどに代表
さ れ る よ う に EMC 対 策 を し て い な い 家 庭 電 化 製 品 が 多 く 出 回 っ て お り 、 家 庭 内 の
EMC 問 題 は 製 品 の コ ス ト と の 関 係 で 十 分 に 対 策 が 出 来 て い る と は 言 い 難 い 。ま た 日 本
の特殊事情ではあるが、従来の医療機器は伝送に医療用テレメータ
132 ) を 用 い て 来 て
お り 、通 信 に お い て は 単 方 向 通 信 を 踏 襲 し て き た 。エ ラ ー 修 正 も FEC( Forward Error
Correction ) を 用 い 、 伝 文 を 3 連送 す る な ど 冗 長 度 が 極 め て 高 か っ た 。
本 プ ロ ト コ ー ル で は 、 調 歩 同 期 方 式 で ACK 、 NAK を 返 す こ と に よ り 伝 文 の 連 送 を
な く し 基 本 的 に 伝 文 長 を 50% 以 下 に す る だ け で な く 、確 実 に 伝 送 で き た か 否 か を HMD
側も把握可能とした。また数値をバイナリで伝送可能とするため、情報登録時に属性
と し て 情 報 名 を BN コ ー ド 化 し 1 Byte の BN ( Byte Name ) で 伝 送 可 能 と し た だ け で
な く 、情 報 属 性 に 文 字 識 別 コ ー ド CD( Code Discrimination ) を 設 定 し 、数 値 を バ イ ナ
リ で 伝 送 可 能 と し た 。今 回 の 実 証 実 験 で は エ ラ ー の 40% 低 減 効 果 は 、ACK 、NAK に よ
る総合的な通信路での通信時間の短縮が最大の効果を示したと推定されるが、伝送す
べ き 情 報 量 が 大 き な 機 器 に は 、BN と CD の 伝 文 長 を 短 く す る 効 果 は 大 き な 役 割 を 果 た
す と 思 わ れ る 。睡 眠 計 測 マ ッ ト の よ う に 1 分間 に 1 回 バイ ナ リ で 4.8KB の 伝 送 を す る
機器においては、本規格の効果は大きいものと思われる。
87
8.1.3
規格の改善すべき項目
8.1.3.1
文字列の取扱い
標 準 プ ロ ト コ ー ル で は 、 機 器 名 ( UDN ) な ど の 名 称 を IEEE11703-10101 に 合
わ せ た た め に 、 UDN 名 に 文 字 列 を 用 い な け れ ば な ら ず 、体 重 計 、血 圧 計 な ど の マ
イ コ ン で 駆 動 す る 機 器 は 、 文 字 列 の 扱 い に メ モ リ 、 CPU 時 間 を 費 や さ ね ば な ら な
い リ ス ク が 生 じ た 。 HMD 側 の CPU 並 び に メ モ リ の 負 荷 を 少 し で も 軽 く す る た め
機 器 登 録 通 信 、 通 信 情 報 登 録 通 信 で HCD に 機 器 の 属 性 を 登 録 す る 方 法 を 、
CD-ROM な ど 外 部 記 憶 媒 体 を 利 用 し て 、HCD に 登 録 を 可 能 と す る な ど の 工 夫 を し
た 。 し か し HCD か ら HMD に 情 報 伝 送 す る 際 に 、 UDN 名 を デ ー タ フ ィ ー ル ド に
記 載 す る こ と が 望 ま れ る た め 、 HMD 側 で 、 UDN 名 を 解 読 す る 必 要 が あ り 、 可 変
長 の 文 字 列 の 扱 い が 必 要 で 、そ の 扱 い に 関 し CPU, 及 び メ モ リ の リ ソ ー ス が 必 要 で
あった。自由長の文字列の判別(文字比較)は可能な限り避けるべきである。少
な く と も UDN 名 は 、 文 字 数 を 規 定 す る 必 要 が あ る 。
8.1.3.2
固定長通信の容認
8 、 16 ビ ッ ト マ イ コ ン な ど で は 、 メ モ リ の 資 源 管 理 、 CPU の 配 分 な ど の 制 約 で
セ ン サ 情 報 処 理 に 費 や す 時 間 が 大 き い 。 CPU, メ モ リ に と っ て 通 信 は 新 た な タ ス ク
及 び 、資 源 と な る た め 、機 器 登 録 の 際 に 機 器 の 持 つ 能 力( Equipment Capability )
の 記 載 を し 、UDN 名 な ど を BN と 同 様 に コ ー ド 化 し 伝 文 長 を 短 く で き る よ う に す
るべきと考える。また文字列を使用するメーカ名、製品名、製造番号などにも文
字 数 の 制 約 を 規 定 し な か っ た が 、例 え ば 24Byte な ど の 規 定 が 必 要 と 思 わ れ る 。文
字列を固定長に規定すれば、資源の少ない機器は固定長通信が可能となり、デー
タ フ ィ ー ル ド の BN コ ー ド も 必 要 が な く な る 。 価 格 と の 兼 ね 合 い で は あ る が 、 規
格が能力の低い機器の固定長通信を考慮することは、通信種別で容易に容認可能
であり、通信に関する資源配分が少なくて済む可能性が高い。
8.1.4
下位レイヤの問題
医療機器の通信は、病院内の医用特定小電力無線に始まった。特定省電力無線は
電 波 強 度 が 極 め て 弱 く 、 10mW 以 下 の 空 中 線 電 力 で 、帯 域 は 400MHz 帯 域 を 利 用 し
て単方向通信として規定
132 )さ れ た 。病 院 内 で は 混 信 を 避 け る た め
1mW の 空 中 線 電
力で、周波数割り当てを実施しながら利用している。一方インターネットの急速な
進 展 に 伴 っ て 家 庭 内 無 線 通 信 が 急 速 に 進 展 し 、無 線 LAN(IEEE802.11a/b/g), ZigBee
(PHY 層 、 MAC 層 は 、 IEEE802.15.4)
112 , 113 )、 Bluetooth 133) な ど が
2.4GHz 帯 域 に
集中しているのが現状あり、実証実験においては、初期プロトコールとしては、現
状 の 医 療 用 テ レ メ ー タ を 踏 襲 し 、伝 送 容 量 の 大 き な 睡 眠 計 測 マ ッ ト 、運 動 能 力 計 は 、
88
IEEE802.11b を 利 用 し た 。 し か し 家 庭 内 に 無 線 は 行 き 渡 ら ず 、 各 家 庭 で 、 2 か ら 3
個のリピータが必要であった。しかも動作は安定しているわけではなく通信エラー
が発生し被験者の苦情という形で顕在化した。実証実験では、最初同一下位レイヤ
の下で、標準プロトコールの通信成績を把握した後、下位レイヤの標準機種をつく
る た め 、 下 位 レ イ ヤ を ZigBee に 変 更 し た 。 各 家 庭 で ZigBee を 使 用 し て み る と 、
ZigBee は 、 省 電 力 の 点 で は 満 足 が い く も の 、 マ ル チ ホ ッ プ の 経 路 に よ り HCD へ の
到 達 時 間 の ば ら つ き が 大 き く ADF が 分 割 さ れ た 場 合 の デ ー タ ハ ン ド リ ン グ が か な り
複 雑 に な り 、デ ー タ 容 量 の 大 き な 機 器 で の 実 用 性 に か け る と 思 わ れ た 。ま た ZigBee
は、端末にルータ機能を付与することによってマルチホップ機能を果たすが、どこ
を 経 由 す る か が 特 定 で き な い た め 、バ ッ テ リ 駆 動 の 機 器 を 経 由 す る と 電 力 を 消 費 し 、
本 来 の 消 費 電 力 の 少 な い こ と が 特 徴 で あ る ZigBee の 利 点 が 十 分 に 発 揮 で き な い 可
能 性 が あ る こ と が わ か っ た 。 ZigBee を 下 位 レ イ ヤ と し て 普 及 す る た め に は よ り 周 波
数 の 低 い 868/915MHz 帯 域 の 割 り 当 て る こ と に よ り 、 マ ル チ ホ ッ プ を 少 な く し か つ
HCD 到 達 時 間 を 縮 小 す る こ と が 望 ま れ る 。ま た 通 信 範 囲 の 拡 大 の た め 、送 信 パ ワ ー
そのものを一定の範囲内でダイナミックにコントロール方式
134 ) も 検 討 さ れ て お り
今後さらに新しい規格の登場する可能性を秘めている。いずれにせよ、高感度なア
ン テ ナ 設 計 と 空 中 線 電 力 の コ ン ト ロ ー ル 、EMC 対 策 の 普 及 は 家 庭 内 無 線 通 信 利 用 機
器の開発研究において重要な課題である。
8.2
システムにおける課題
8.2.1
個人認証
実 証実 験 を 通 じ て 、HMD に 配 置 さ れ た 家 族 内 個 人 識 別 ボ タ ン の 押 し 間 違 え と 思
わ れ る 異 常 値 が 一 定 の 頻 度 で 見 受 け ら れ た 。本 実 証 実 験 で は 、計 測 し た 後 、常 に 伝
送 ボ タ ン を 押 す と い う 方 式 を 採 用 し な か っ た 。そ の 理 由 は 、被 験 者 が 伝 送 ボ タ ン を
押す行為が煩わしいと感じることと押し忘れればデータが伝送されない危険を有
しているからで、計測したデータは全て自動的に伝送されるのを基本とした。
こ の 方 式 の 問 題 点 は 、計 測 方 法 が 間 違 っ た と き で も 計 測 デ ー タ が 伝 送 さ れ る こ と
と 、 ID ボ タ ン を 押 し 間 違 え る と 他 の 家 族 の デ ー タ と し て 登 録 さ れ る こ と が 挙 げ ら
れ る 。場 合 に よ っ て は 直 前 デ ー タ の 取 り 消 し が 可 能 と す る ボ タ ン を 備 え る か 、ま た
は 個 人 認 証 が 安 価 に 且 つ 自 動 で 認 証 で き る 装 置 の 開 発 が 望 ま れ る 。個 人 認 証 が 安 価
に 実 施 可 能 に な れ ば 、例 え ば 血 圧 値 の 改 善 に イ ン セ ン テ ィ ブ を 付 与 す る こ と も 可 能
に な り 、そ れ に 応 じ て 県 市 民 税 の 控 除 な ど が 実 施 さ れ れ ば 、生 活 習 慣 病 対 策 と し て
は最も有効なインセンティブになり得るものと思われる。
8.2.2
被験者の意見
89
被 験者 の 意 見 ( 表 8.1 ) の 多 く は 、 回 答 に 深 い 知 識 を 必 要 と す る 場 合 が 多 く 、 医
師 の コ メ ン ト の ロ ジ ッ ク 解 析 と そ の ロ ジ ッ ク を 反 映 し た WEB 上 で の Q&A 集 の 強
化 が 必 要 と 思 わ れ る 。大 別 す る と 1 )生 体 の 現 象 の 理 解
指示とその指示の理由
2 )健 康 行 動 の 具 体 的 な
3 )機 器 及 び ネ ッ ト ワ ー ク に た い す る 苦 情
あ っ た 。 1 )、 及 び 2 ) を
に区分可能で
医師、管理栄養士が、3)は、筆者らシステム供給者
が 対 応 ・ 説 明 し た が 、 こ の Q&A の 蓄 積 が ノ ウ ハ ウ そ の も の に な り 得 る と 考 え ら れ
る 。筆 者 ら は ロ ジ ス テ ィ ッ ク 分 析 で 3 年 後 の計 測 指 標 の 予 測 及 び 同 世 代 比 較 、疾 病
の 発 症 危 険 度 の 指 標 化 ( 図 8.3 ) を 実 施 し た が 、 被 験 者 は 総 合 的 な 指 標 化 よ り 、 今
ど の よ う な 行 動 が 望 ま し い の か を 教 え て く れ る こ と を 求 め て お り 、こ れ に 応 え る べ
く回答の蓄積がこのネットワークのサービスの質を決めるキー技術になると考え
る 。 質 問 に 対 す る 回 答 ロ ジ ッ ク は 、 一 部 は 医 師 の み が 回 答 可 能 で あ る が 、「 体 重 が
減 っ て も 体 脂 肪 が 増 え る の は な ぜ か 」な ど 現 状 の 理 解 に 関 し て は 医 師 以 外 で も 回 答
可能であり、メーカが努力する範囲が残されている。
表 8.1
機器
・体重
・ネットワーク
・指導
・運動能力計
・健康マット
被験者からの意見(実証試験初期)
質問
体重と体脂肪の関係を教えて欲しい。体重
が減ったら体脂肪が増えてるのはなぜか。
毎日計っているのにWEBにデータがない。
web画面の見方がわからない
時々高い数値が出るが心配ないか
食事は何を気をつけたらいいのか
どれくらいの負荷で運動すればいいのか教
えて欲しい
運動時間や時間帯を教えて欲しい
睡眠時無呼吸はどのグラフでわかるのか。
いびきがうるさかったのにグラフに出てい
ない
図 8.3
8.3
生活習慣病進行度判断手段
収集データ
90
対 応
・医師からの説明
・機器の配置を変更した。
・医師からの説明
・医師からの説明
・栄養士からの説明
・医師からの説明
・医師からの説明
8.3.1
健康計測機器(HMD)の計測習慣
実 証 実 験 に お い て 76 人 が 登 録 し 、 61 人 ( 80.3% ) が 実 証 実 験 に 参 加 を 同 意 し た 。
6.2.2 で 示 し た よ う に 血 圧 計 測 者 で は 100 回 以 上 計 測 者 は 、34 名( 44.7%: ID 登 録 者
比 )、 100 回 以 下 計 測 者 は 27 名( 35.5%: ID 登 録 者 比 )で あ り 、 100 回 以 下 の 計 測 者
の 計 測 数 は 平 均 25.3 ± 35.9 回 / 年 で 、 殆 ど 参 加 し て い な い と い っ て も 過 言 で は な い と
思 わ れ る 。 ま た 初 め か ら 参 加 し な い 人 が 15 名 ( 19.7 % ) で あ っ た 。 意 義 あ る 計 測 参
加 率 が 44.7 % で は 、多 く の 人 の 参 加 を 得 た と は 言 い 難 い 。 6 月 の イ ベ ン ト で 参 加 率 が
向上したが定期的な動機付けが必要と思われる。
血 圧 計 の 置 か れ た 位 置 は 居 間 が 多 く 、家 の 中 で の 家 族 の 動 線 を 考 え れ ば 、ト イ レ な
ど 確 実 に 訪 れ る 場 所 が 好 ま し か っ た が 、最 初 か ら ト イ レ に 機 器 を 置 く 設 計 し な い と 配
置 は 難 し か っ た 。ま た 血 圧 計 の 利 用 回 数 は 家 族 4 人 で 一日 最 大 8 回で あ る こ と を 考 え
る と 、 機 器 の 利 用 効 率 の 観 点 か ら は 通 勤 す る 駅 な ど で 、 各 自 が ID カ ー ド な ど を 利 用
し て 週 に 2~ 3 回 程 度 計 測 す る 環 境 を 用 意 し た 方 が よ い と 思 わ れ る 。
ま た 毎 日 の 計 測 は 、筆 者 も 被 験 者 の 一 人 と し て 実 証 実 験 に 参 加 し た が つ ら い も の が
あ る 。大 迫 研 究 で も 1 週 間 に 3 回程 度 の 早 朝 、就 寝 前 血 圧 計 測 を 義 務 づ け て お り 、自
ら の 体 験 も 含 め て 、最 大 で も 週 3 回 程 度 の 計 測 が 計 測 し 易 い 場 所 で 提 供 さ れ る の が 好
ましいものと思われる。
8.3.2
早朝血圧の上昇監視
早 朝 に 血 圧 が 高 い タ イ プ に は 、夜 間 か ら 持 続 し て 血 圧 の 高 い「 持 続 性 高 血 圧 」と 朝
方 に 急 激 に 高 く な る「 早 朝 高 血 圧 」に 分 け ら れ る 。苅 尾 七 臣 氏 ら は 、明 ら か な 心 血 管
イ ベ ン ト の 既 往 の な い 高 齢 者 高 血 圧 患 者 ( 平 均 年 齢 72 歳 ) 519 名 の 予 後 を 対 象 に ,
心 血 管 イ ベ ン ト の 発 症 を 平 均 41 か 月 間 追 跡 し 、 ME 平 均 を ( 早 朝 収 縮 期 血 圧 + 就 寝
前 収 縮 期 血 圧 ) /2 、 ME 差 を ( 早 朝 収 縮 期 血 圧 - 就 寝 前 収 縮 期 血 圧 ) と 定 義 し 、 ME
平 均 > 135mmHg の 患 者 群 に 対 し 、 ME 差 > 20mmHg で 持 続 性 高 血 圧 と 早 朝 高 血 圧
に 分 け 、両 者 の 脳 卒 中 リ ス ク を ME 平 均 <135mmHg を コ ン ト ロ ー ル 群 と し 調 査 し た 。
そ の 結 果 両 者 は そ れ ぞ れ 独 立 し た 脳 卒 中 の リ ス ク 要 因 で あ り 、「 持 続 性 高 血 圧 」の 脳
卒 中 リ ス ク は コ ン ト ロ ー ル 群 の 約 2 倍 で ,早 朝 高 血 圧 で は 6.6 倍 と 報 告
135 )し て い る 。
早 朝 高 血 圧 の 監 視 は 、 ( 1 ) 早 朝 血 圧 値 の 監 視 、 ( 2 ) ME 差 ( 早 朝 収 縮 期 血 圧 - 就
寝 前 収 縮 期 血 圧 )の 監 視 が 考 え ら れ 、( 1 )に 関 し て は 、本 報 告 の 示 し た 早 朝 収 縮 期
血 圧 の 季 節 変 動( 2.11mmHg/ 月 の 上 昇 と 下 降 )を 考 慮 す る 必 要 が あ り 、こ の 変 動 幅 を
超えた上昇は注意を必要とするものと思われる。
91
本 実 証 実 験 期 間 中 に 50 歳 代 の 女 性 が 一 過 性 脳 梗 塞 に な り 、そ の 被 験 者 の ME 差 は
2005 年 9 月 前 後 か ら 増 加 し て い る こ と が 判 明( 図 8. 4 )し た 。医 師 が 、急 遽 全 被 験
者 に 対 し ME 差 を プ ロ ッ ト し 1 名 を 脳 卒 中 危 険 保 有 者 と 考 え 、 該 当 被 験 者 の か か り
つけ医に連絡し投薬を変更した。一方早朝収縮期血圧と就寝前収縮期血圧の差は、
図 8.4
TIA 発 症 被 験 者 の 血 圧 推 移 ( 12 月 7 日 )
2045 早朝血圧 と 就寝前血圧 の 季節変動
SYS午前
160
DIA午前
140
SYS午後
120
DIA午後
血圧(mmHg)
100
8 区間移動平均
(SYS午前)
80
8 区間移動平均 (DIA
午前)
60
8 区間移動平均
(SYS午後)
40
8 区間移動平均 (DIA
午後)
20
2006/2/2
2006/1/19
2006/1/5
2005/12/8
2005/12/22
2005/11/24
2005/11/10
2005/10/27
2005/9/29
2005/10/13
2005/9/15
2005/9/1
2005/8/4
2005/8/18
2005/7/21
2005/7/7
2005/6/23
2005/6/9
2005/5/26
2005/5/12
2005/4/28
2005/4/14
0
日時
図 8.5
ID 2045
早朝血圧と就寝前血圧
の
季節変動
季 節 変 動 を 受 け る た め 、 一 律 の 判 定 が 難 し い ( 図 8.5 )。 ま た 6.4.7 で 示 し た よ う に
92
心血管リスクである早朝収縮期血圧の監視において、血圧値の絶対値も、季節変動
量 2.11mmHg/ 月 以 上 の 上 昇 を 持 つ 被 験 者 は 監 視 対 象 に な る べ き と 思 わ れ る が 、年 間
の血圧変動の大きな被験者もおり今後個人対応にどのような監視方法が適当である
か の 幾 つ か の 判 定 論 理 を 明 ら か に し 、そ の 判 定 選 択 と 成 績 を 明 確 に す る 必 要 が あ る 。
2 年 間 以 上 の デ ー タ 蓄 積 に よ り 判 定 論 理 を 明 確 に 出 来 れ ば 、計 測 者 の 脳 卒 中 発 症 リ ス
クを低減できる可能性があり、研究促進が期待される。
8.3.3
一日平均歩数と血圧の関連
歩 行 計 測 が 100 日 以 上 計 測 者 で か つ 2005 年 2 月 と 2006 年 1 月 の 計 測 値 が 8 日 以
上 の 被 験 者 11 名 の 両 期 間 に お け る 血 圧 値 の 改 善 量( 2006 年 1 月 平 均 ― 2005 年 2 月
平 均 ) と 一 日 平 均 歩 数 と の 関 連 を 図 8.6 示 す 。
最 小 自 乗 法 に よ る 線 形 近 似 式 は Y=0.002X-18.13
平 均 )、 Y : 血 圧 値 改 善 量
( X: 1 日 当 た り 平 均 歩 数( 年
R=0.766 : P<0.01 ) で 、 ゼ ロ ク ロ ス は 、 9065 歩 / 日 と な
り 、 9000 歩 / 日 前 後 に 血 圧 の 維 持 歩 数 が あ る も の と 思 わ れ る 。 こ れ ら は 、 岩 根
ら、山本
103 ) ら の 研 究 を 裏 付 け る 形 と な っ て い る 。 健 康 日 本
102 )
21 93) の 2010 年 に お け
る 高 齢 者 歩 数 目 標 が 男 性 6700 歩 / 日 、 女 性 5900 歩 / 日 と な っ て い る が 、 生 活 習 慣 病
の 改 善 目 標 と し て は 、低 い と 思 わ れ る 。上 記 11 名 の 1 年 間 の 歩 数 計 測 実 施 日 の 平 均
が 245.1 ± 41.6 ( 67.1% )で あ り 、計 測 し な か っ た 日 の 行 動 は 把 握 で き て い な い 。 各
被 験 者 の 計 測 日 数 が バ ラ バ ラ で あ る が 一 定 の 相 関 (p < 0.01) を 示 し た こ と を 考 慮 す れ
ば、上記歩数は一定の意味を持つと考えられる。
ま た 多 変 量 解 析 に よ る 血 圧 値 改 善 と 累 積 歩 行 カ ロ リ ( 7 章 7.4.2 ) で 示 し た よ う に
血 圧 値 の 改 善 者 と 悪 化 者 の 累 積 カ ロ リ の 分 岐 点 が 300kcal/ 日 前 後 に あ り 、 300kcal/
日 は 歩 行 で は 、約 1 万 歩 / 日 前 後 に あ た り 、数 値 と し て は 妥 当 性 の あ る も の と 考 え る 。
健康づくりのための運動基準
128 ) で は 、 3MET s 以 上 運 動 を 推 奨 し て い る よ う に 、
一 日 の 歩 数 よ り も 歩 け る 日 に 歩 き そ の 日 の 歩 数 が 9000 歩 を 超 え る よ う な 指 導 が 適
当と思われる。山本ら
103 ) の 研 究 で は
1 日 1 万 歩 以 下 の 群 ( 25 名 , 平 均 歩 数 7824 ±
1088 歩 / 日 、12 週 間 )で も 収 縮 期 血 圧 が 138.5 ± 6.7mmHg か ら 130.2 ± 10.5mmHg に
有 意 (P<0.01) に 降 圧 し た と 報 告 し て い る 。 山 本 ら の 研 究 は 日 本 人 の 体 質 を 考 慮 し た
新 た な 目 標 値 の 設 定 の 必 要 性 を 示 し て お り 、 本 論 文 の 9000 歩 / 日 は 、 計 測 日 数 が 1
年 間 で 245 日 ± 41.6 日 で 山 本 ら の 7824 歩 / 日( 12 週 間 毎 日 )と は 一 概 に 比 較 で き な
い が 、 実 際 に 長 期 間 、 習 慣 と し て 歩 行 す る に は 体 調 の 良 い 日 に 9000 歩 / 日 以 上 と い
うのが一つの目標になると考える。
93
月平均血圧差(改善度 mmHg )
15
血圧値差=( 2005年2月平均 - 2006年1月平均 )
SYS差
DIA差
10
5
0
-5
-10
-15
-20
-25
0
5000
10000
日平均歩数 (年間平均 :
図 8.6
8.3.4
歩/日
15000
)
血圧値の改善と一日平均歩数
一日平均歩行数と体重
実 証 実 験 の 結 果 と し て 体 重 と 歩 行 の 関 係 を 図 8.7 に 示 す 。 6.3.1 で 示 し た よ う に 全
体的に体重減少者が多い。一日の歩行量が大きいといっても、必ずしも減量に結び
ついていないと推測される。減量には摂食活動と水分補給が支配的で、運動とは別
にコントロールするのが望ましいと思われる。
表 7.3 で 示 し た よ う に 、悪 化 者 ID2049 の 血 圧 変 動 の 多 変 量 解 析 に お け る 体 重 の
回 帰 係 数 9.06mmHg/kg( p<0.001 )が 血 圧 変 動 (R 2 =0.43) を 説 明 し た 。悪 化 期 に お い
て体重が悪化指標になる可能性がある被験者がいると思われる。
体重変化と平均一日歩数
体重変化
1.50
体重増加者
2002 2042
1.00
0.50
体
重
変
化
0.93
0.68
歩数200日以上、体重
データ両月20以上測定
者 9名
0.00
-0.24
-0.33
-0.50
-0.72
-0.81
-1.00
体重変化は2005年2月と
2005年12月の月平均
-0.68
-1.11
-1.50
-1.83
-2.00
0.0
2000.0
4000.0
6000.0
8000.0
10000.0
平均一日歩数(歩/ 日)
図 8.7
平均一日歩数と体重の改善
94
8.4
8.4.1
介入研究
介入指導の成果とリアル指導の必要性
実 証 実 験 で の 介 入 は 、デ ー タ に 関 す る コ メ ン ト を 2 ~ 4 週 間 に 一 回 、メ ー ル 、ま た
は 郵 送 に て 実 施 し た 。 体 重 の コ ン ト ロ ー ル に 関 し て は 6.3.1 で 示 し た よ う に 100 回
以 上 計 測 者 の 74 %( 29 名 )が 減 少 に 成 功 し て い る 。言 い 換 え る と 被 験 者 側 に 意 欲 が
あ れ ば 指 導 す る 体 制 は 、 IT を 利 用 し て 可 能 で あ る こ と を 示 唆 し て い る 。 一 方 、 参 加
同 意 者 61 名 か ら み る と 52 % の 人 が 指 導 で う ま く い っ て い な い 。 原 因 と し て は 指 導
する側が被験者に対して、計測に対する関心を引き出せていない。本人の摂食行動
の 変 容 を 起 こ せ て い な い な ど あ る 。 IT を 利 用 し た 介 入 指 導 で は 、 具 体 的 に こ ち ら の
言うことをきかない原因まで立ち上って指導しにくい。ここに立ち上って指導する
ことがより多くの人が生活習慣病を予防できる原点と思われる。しかしここに立ち
上るには「直接面接」以外に被験者の行動変容を起こす手段は現状では確立できて
いない。
8.4.2
遠隔介入指導ガイドラインの必要性
6.3.7.2 で 示 し た よ う に 高 齢 者 に お い て は 、運 動 中 の 心 拍 数 は 日 々 大 幅 に 異 な っ て
いる。これは高齢者になるほどまた疾患を有するほど同様の現象の起こる頻度が高
い こ と が 経 験 的 に 判 っ て い る 。 こ の 運 動 の 強 度 は Newyork Heart Association
( NYHA )136 ) の 基 準 に 基 づ い た 運 動 処 方
137 ) に よ っ て い る が 、そ れ で も 高 齢 者 で は
日々の体調により同一強度の運動でも心拍数が大きく変化する。これに対応するた
めには、高齢者用のメディカルチェックの在り方が、従来の病院による 1 回の運動
処 方 の 検 査( 生 体 的 チ ェ ッ ク 、心 肺 機 能 負 荷 試 験 )以 外 に IT を 使 い 時 系 列 的 に 把 握
すべきメディカルチェックが必要と思われる。かかる方法論を確立すれば、高齢者
が よ り 安 全 に 健 康 指 導 可 能 な 環 境 が 整 備 で き る と 考 え る 。こ の よ う な IT を 使 っ た 高
齢者の運動指導ガイドラインの作成が望まれる。
8.4.3
介入指導のコスト
介 入 指 導 に 当 た っ て は 、被 験 者 に 基 本 メ デ ィ カ ル チ ェ ッ ク で あ る 医 師 に よ る 問 診 、
血液生化学検査、検尿、胸部レントゲン、心電図のスクリーニング検査を実施し、
腎 不 全 、肝 機 能 障 害 、甲 状 腺 な ど の 内 分 泌 異 常 、コ ン ト ロ ー ル さ れ て い な い 糖 尿 病 、
高血圧等は、病院での基礎疾患の精査、治療を受診していただき対象者からはずし
た。
これらの疾病に該当しない人に対し、各種疾病の発症可能性の高さに応じて、生
活習慣病の病態により、それぞれリスクの高い項目の追加検査を実施した。例えば
95
肥満の場合には、早朝空腹時に基礎代謝量が計測され、採血にて肥満遺伝子のタイ
プ別判定、臨床心理士による心理評価などが実施した。対面メディカルチェックの
後 、運 動 機 能 チ ェ ッ ク( 心 肺 機 能 負 荷 試 験 、可 動 域 、柔 軟 性 、筋 力 な ど )を 実 施 し 、
運 動 処 方 と 月 1 回 の 栄養 指 導 を 実 施 し た 。
もし生活習慣病の介入を広く実施するに当たり、これらを医師のコストで実施す
れば莫大な費用がかかる。しかも対象は生活習慣病の予備群であり、生活習慣病罹
患者ではない。
これらの検査結果から、運動指導ノウハウ、栄養指導ノウハウ、臨床心理応用ノ
ウハウ(面接スキル、坂田式行動質問票、性格分析)を総合的に理解し、指導でき
る人材育成とその指導ノウハウの電子化は今後このシステムが普及するためには必
須事項となると考える。
8.4.4
予防行動指導ノウハウ蓄積
実証実験での指導士、管理栄養士が、最も苦労した点は、相談者一人一人の思い
込みである。自分は間食していない、自分は言われた通り運動している。自分はた
ま た ま 血 圧 が 高 い だ け だ 。 自 分 は 朝 食 を 8 割ぐ ら い 食 べ て い る 。 ア ル コ ー ル は 一 日
ビール1本程度などなど、相談者の思い込みの強さは、凄まじいものがあったそう
である。この思い込みを変えて被験者一人一人が行動を認識できれば自ずと行動が
変わり、過食、運動不足、喫煙、アルコール漬けなどが解消される可能性が高く、
この行動変容を起こすためのノウハウの蓄積も重要である。
96
9章
結言
生 活 習 慣 病 に か か る 医 療 費 は 平 成 19 年 度 現 在 8 兆 円 を 超 え 罹 患 者 数 1400 万 人 に 達
している。また高齢化に伴って発症するため、今後団塊の世代の高齢化によりさらな
る医療費の増加が見込まれている。特に高血圧症と脳卒中は合わせて 4 兆円に達して
おり、疾病発症の原因である血圧の管理は重要な課題である。生活習慣病予備群を含
め高齢者自らが自分の健康改善をしない限り、上記医療費の削減は不可能である。
このような状況を鑑み、従来家庭にばらばらに存在した異なるメーカの家庭健康計
測機器を統一した家庭内通信プロトコール(標準プロトコール)を用い同一のネット
ワークに組み込みことにより、使用者が一元的に自分の健康状態を評価可能な環境を
整備し、さらに使用者が判断不能の場合にはネットワークを通じて自らのデータを開
陳し、介入技術サービスを提供する医師、生体を理解しデータ解析能力を有する医工
学者または推論エンジンの力を借りることができるようにすることを通じて、一人一
人が自らの健康改善の指標を探し当て、理解することができるネットワークの開発と
実証評価を実施した。
1)センサ開発研究
本 開 発 研 究 で は 、従 来 計 測 で き て い な か っ た 睡 眠 状 態( 睡 眠 時 間 、睡 眠 中 の 脈 拍 、呼 吸 、
いびき、体動)を捉える睡眠計測マット並びに運動状態(発揮筋力、ワット、脈拍、回転
速 度 、心 肺 持 久 力 )を 捉 え る 運 動 能 力 計 を 開 発 研 究 し 、中 枢 性 睡 眠 時 無 呼 吸 症 候 群 の 発 見 、
及び運動中の脈拍変動が高齢者では大きいためその日の体調に合わせた運動の必要性につ
いて論述ずると共に、異なるメーカの機器を統一的にシステムに組み込む標準プロトコー
ル を 搭 載 し た 伝 送 モ ジ ュ ー ル に つ い て 論 述 し た ( 3,6,7,8 章 )。
2)家庭内通信プロトコール開発研究
また家庭内健康計測機器―健康管理機器間の伝送に関し、健康管理機器に健康計測機器
の属性(機器登録通信)とその機器の伝送する情報を事前に登録(情報登録通信)する手
順と伝送フォーマットを規定すること、データ伝送時の通信パターン、フォーマット及び
手 順( 無 手 順 、ACK-NAK,要 求 ー 応 答 )を 規 定 す る こ と を 通 じ て 家 庭 内 健 康 情 報 通 信 の 標
準 プ ロ ト コ ー ル を 規 格 化 し た 。ま た そ の 規 格 に 基 づ い た 伝 送 モ ジ ュ ー ル を 開 発 し 、20 家 庭
の実証実験で使用すること通じて、標準プロトコールの通信エラーが従来の各メーカの通
信 手 順 比 、通 信 エ ラ ー を 40%低 減( 7.06 回 /日 か ら 4.21 回 /日 )で き る 実 績 を 示 し 、同 プ ロ
トコールの普及の基礎を築いた。これにより、メーカにとらわれないシステム構築が可能
と な り 、よ り 安 価 な 機 器 を シ ス テ ム に 取 り 込 め る 基 礎 を 築 い た 。一 方 通 信 の 下 位 レ イ ヤ( 主
に 物 理 層 、 デ ー タ リ ン ク 層 、 ネ ッ ト ワ ー ク 層 ) に 関 し て は 、 実 証 実 験 で ZigBee を 利 用 し
97
たが、マルチポップの経路が不確定で、到達遅延時間の分散が大きく、依然決定的な通信
方式は確立できていないと考える。バッテリ駆動などの健康計測機器も利用できる方式開
発 研 究( 変 調 、通 信 路 誤 り 修 正 、複 数 路 同 時 通 信 、パ ワ ー コ ン ト ロ ー ル な ど )が 望 ま れ る 。
( 3,6 章 )
3)実証実験
標準プロトコールに基づいて、集まった異なるメーカの計測データは期間内で、計
測 回 数 で 測 る デ ー タ( 血 圧 計 、体 重 計 )26348 回 / 年 、時 間 単 位 に 連 続 で 測 る デ ー タ( 歩
数 計 87566 時 間 、 睡 眠 計 測 マ ッ ト 44322 時 間 、 運 動 能 力 計 375 時 間 ) 132263 時 間 の
データが計測された。これらのデータは、標準プロトコールのフォーマットに従って
いるため容易に比較解析可能であり、それぞれの計測項目に関しデータ解析を実施し
た。特に高血圧症は主病名として一番罹患率が多く、血圧のコントロールのための解
析 を 実 施 し た 。10 回 以 上 / 年 の 複 数 回 計 測 の 26 名 中 17 名 (65%) で 2 回 の 計測 値 間 に 有
意 差( P<0.05 )を 認 め 、2 回 以 上計 測 し 平 均 値 を 取 る こ と が 意 味 あ る 事 を paired t-test
を用いて検証した。また本実証実験では、家庭計測血圧に対し、診療時の血圧が高く
出 る 傾 向 が 男 性 に 多 く 、 血 圧 値 が 高 け れ ば 高 い ほ ど 差 が 大 き く な る 傾 向 ( p<0.001 ))
が 認 め ら れ た 。家 庭 血 圧 計 測 が 重 要 性 を 持 つ と 考 え ら れ る 。特 に 診 療 時 は 午 前 10 時 以
降に計測される場合が多く、自分の血圧の日内変動も把握しておく必要性があると思
われる。
早 朝 血 圧 と 就 寝 前 時 血 圧 の 血 圧 値 比 較 で は 、有 意( p<0.001 )に 早 朝 血 圧 が 高 い 者 が 、
21 名 中 16 名 ( 76% ) に 達 し た 。 ま た 21 名 平 均 で 、 7.6mmHg 早 朝 収 縮 期 血 圧 で 高 か
っ た 。収 縮 期 血 圧 と 平 均 気 温 の 関 係 は 、大 阪 被 験 者 全 体 で 相 関 係 数 が -0.314( p<0.001 )
と高く気温の変化を明らかに受けており、寒い朝など十分な注意が必要と思われる。
季 節 変 動 は 、 8 月 に 対 し て 12 月 に は 早 朝 収 縮 期 血 圧 は 被 験 者 平 均 で 、 8.45mmHg
( 2.11mmHg/ 月 ) 上 昇 し て お り 、 冬 季 の 早 朝 に は 、 血 圧 に 対 す る 注 意 が 必 要 と 思 わ れ
る。
4)血圧値の悪化と改善の多変量解析
異なるメーカのデータ(血圧、体重、睡眠、運動、歩行)を容易に比較可能とす
る 例 と し て 、多 変 量 解 析 を 実 施 し た 。血 圧 の 変 動 要 因 を 把 握 す る た め 、1 年 間 の 実 証 実
験 の 開 始 期 と 終 了 期 の 約 3 ヶ 月 平 均 で p<0.001 で 有 意 に 悪 化 し た 者 2 名 、 改 善 し た 者
に 2 名 を Welch 法 を 用 い 選 定 し 実 施 し た 。そ の 結 果 4 名 中 3 名 が運 動 カ ロ リ の 累 積 値
が 血 圧 変 動 の 説 明 能 力 ( 回 帰 係 数 が p<0.001 で 有 意 ) が 高 い こ と が 示 さ れ た 。 し か し
これらの回帰係数が被験者により異なる値を示したため、血圧値の改善量を示す回帰
98
係数と運動カロリとの関係が時間軸上での運動カロリの累積値の傾きと関係がある事
を 示 し 300kcal/ 日 前 後 の 上 下 で 、 血 圧 値 が 改 善 す る か 悪 化 す る か の 分 岐 点 が あ る こ と
を示した。また悪化期には体重が血圧の変動要因を説明する被験者もおり、被験者に
より監視すべき項目が異なる可能性が示唆された。
5)歩行の血圧改善能力
被験者の開始期と終了期の血圧値の改善と年間歩数の平均値の間に線形性があり、
Y=0.002X-18.13 ( X: 1 日 当 た り 歩 数( 年 平 均 )、Y:血 圧 値 改 善 量
R=0.766:P<0.01 )
で 、ゼ ロ ク ロ ス は 、 9065 歩 / 日 と な り 、 9000 歩 / 日 前 後 に 血 圧 値 の 維 持 歩 数 が あ る も の
と思われるこの知見は岩根、山本らの日本人での研究を補強する形となっている。し
か し 両 研 究 と も 12 週 間 の 介 入 実 験 で あ り 、期 間 的 に は 短 い 。本 実 証 実 験 で は 、 1 年 間
( 52 週 ) で の 研 究 で も 同 じ 効 果 が 得 ら れ て い る 事 を 示 し た 。 ま た 歩 行 も 毎 日 の 計 測 で
は な く 平 均 245 日 / 年 間 ( 67% ) で あ り 、 そ の 他 の 日 を 含 ん で い な い 。 こ の よ う な 状 況
で も 血 圧 値 は 改 善 し て お り 、 運 動 指 導 方 法 は 運 動 し や す い 体 調 の と き に 9000 歩 以 上 、
ま た は 300kcal
以上の運動を奨める方式でも血圧値の改善は可能であることを示し
ている可能性が高い。
従来の介入効果検証のための研究から、高齢者が実現しやすくかつ効果のある運動
処方を決めるための研究が促進されるべきと考える。
3 )、 4 )、 5 ) で 示 し た よ う に 、 大 量 で 且 つ 様 々 な 要 素 の 統 一 的 に 匿 名 化 さ れ た デ
ータ蓄積は、多様な解析を可能とし、疫学的なエビデンス構築に新しい方法論を提供
できる可能性が高い。この為にも家庭内健康情報通信の標準プロトコールの普及と集
められたデータの解析推進が望ましいと考える。
99
謝辞
本研究の全期間を通じて、終始励ましと暖かいご指導を賜ると同時に研究者
としての在り方をご享受賜りました千葉大学大学院工学研究科・田村俊世教授
に心より深謝申し上げます。
また本研究を遂行するに当たり、実証実験の場を提供して下さり、介入指導
実施してくださった関西医科大学健康科学講座木村穣教授に感謝申し上げます。
本研究に対し、深い理解と積極的な協力をして下さった技術研究組合医療福
祉機器研究所の松浦哲夫部長並びに研究を始めるにあたって尽力してくださっ
た経済産業省商務情報政策局医療福祉室岡倉伸冶室長に深謝申し上げます。
また具体的に様々なご協力をたまわった関根正樹先生、鶴濱亜沙美さんに心
より感謝申し上げます。
平成 22 年 7 月
水庫
100
功
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Hozawa A, Ohkubo T, Kikuya M, Ugajin T, Yamaguchi J, Asayama K,
Metoki H, Ohmori K, Hoshi H, Hashimoto J:Prognostic value of home heart rate
for cardiovascular mortality in the general populationThe Ohasama study, Am J.
of Hypertensi., 17, 11, 1005-1010, 2004
127)
Arakawa K : Antihypertensive mechanism of exercise. J
Hypertens.11,223-229,1993
128)
厚生労働省 運動所要量・運動指針の策定検討会編:
動基準
2006.
110
健康づくりのための運
129)
AHA : Physical
Activity and Public Health: Updated Recommendation for
Adults From the American College of Sports Medicine and the American Heart
Association. Circulation 116:1081-1093, 2007.
130)
http://emed.icsl.washington.edu/d2h2/Slides/D2H2-06-Mizukura.pdf#searc
h='Mizukura Isao'
131)
Mizukura I, Tamura T, Kimura Y, Yu W.: New application of IEEE 11073 to
home health Care. The Open Medical Informatics 3 : 32 – 41, 2009.
132)
EITA
AE5201A
2002 年 12 月
(社 団 法 人
電子情報技術産業協会)
http://www.jeita.or.jp/cgi-bin/standard/list.cgi?cateid=3&subcateid=17
accessed 2010/03/28
133)
Heile B. IEEE 802 15 Working group for WPAN ,
http://www.ieee802.org/15. accessed
134)
on 2009/3/1
Rosberg Z:Optimal transmitter power control in interleave division multiple
access (IDMA) spread spectrum uplink channels, IEEE transaction on Wireless
Communications, 6, 1, 192-201,2007
135)
Kario
M, Murata
K, Pickering
M, Kuroda
TG, Umeda
T, Schwartz
Y, Hoshide
JE, Shimada
S, Hoshide
Y, Morinari
K : Morning Surge in
Blood Pressure as a Predictor of Silent and Clinical Cerebrovascular Disease in
Elderly Hypertensives
136)
Bennett
J, Riegel
A Prospective Study Circulation.;107:1401-1406 、2003
B, Bittner
V, Nichols
J:Validity and reliability of
the NYHA classes for measuring research outcomes in patients with cardiac
disease 、 The Journal of Acute and Critical Care, 31, 4,262-270 , 2002
137)
Balady GJ, Chaitman CB, Driscoll D, Foster C, Froelicher E, Gordon N,
Pate R, Rippe J, Bazzarre T : Recommendations for Cardiovascular Screening,
Staffing, and Emergency Policies at Health/Fitness Facilities,
Circulation,97,2283-2293, 1998
111
本論文に関連した研究発表文献
< 原著論文>
1)
Mizukura I, Tamura T, Kimura Y, Yu W.: New application of IEEE 11073 to
home health Care. The Open Medical Informatics 3 : 32 – 41, 2009.
2)
水庫
功 、関 根
正 樹 、田 村
俊 世 、木 村
穣:1 年 間 の 介 入 指 導 に 伴 う 睡 眠 、
運 動 、 体 重 か ら の 家 庭 血 圧 変 動 要 因 の 推 定 、 生 体 医 工 学 、 48(1) 、 139-144 、 2010
<国際会議論文>
1)
Mizukura I, Tamura T: Data acquisition and analysis for the field test of the Home
Healthcare Network in Japan, 62-63, 6th International Special Topic Conference on
ITAB,2007,Tokyo
2)
Mizukura I, Home healthcare in Japan. Distributed Diagnosis and Home
Healthcare International Conference ,Washington,America,2006
3)
Mizukura I, Kimura Y, Tamura T: Possibility of self promotion for the stage of
health in the Home Healthcare Network in Japan, the joint meeting of
International Workshop on E-health and 2nd International Conference on
Ubiquitous Healthcare 2005,31-34,2005
<国内学会>
1) 水庫 功:高性能健康測定機器の紹介、第45回生体医用工学会、指定演題、
企画5
健康モニタリング機器群によるホームヘルスケア支援システム
2 )水 庫 功:ホ ー ム ヘ ル ス ケ ア ー の た め の 高 性 能 健 康 測 定 機 器 開 発・シ ス テ ム 開 発 後
の 事 業 化 、 (社 )日 本 生 体 医 用 工 学 会 専 門 部 会 「 在 宅 医 療 と ME 技 術 」
<執筆>
1)
生 活 習 慣 病 予 防 に 向 け た 次 世 代 健 康 計 測 機 器 ネ ッ ト ワ ー ク の 開 発:CQ 出 版「 イ
ン タ ー フ ェ ー ス 」 ,11 月 号 ,157-167 、 2007
<記者発表>
112
1)
「 家 庭 用 健 康 機 器 対 応 通 信 技 術 説 明 会 」年 齢 や 生 活 ス タ イ ル に 合 わ せ た 健 康 管 理 を
実現する基盤技術を実用化
2007 年 4 月 12 日
<特許>
特許
1 . 特 許 4237541 保 険 者 情 報 シ ス テ ム
2 . 特 許 4086948 在 宅 医 療 装 置 及 び 在 宅 医 療 方 法
3 . 特 許 3889133 マ ル チ デ ー タ 伝 送 方 法 お よ び そ の 装 置
4 . 特 許 3865862 運 動 療 法 装 置 の バ イ タ ル 情 報 計 測 装 置
5 . 特 許 3469410 ウ ェ ル ネ ス シ ス テ ム
公開
1.
特 開 2004-318391 情 報 提 供 装 置 及 び 情 報 提 供 シ ス テ ム 及 び 分 散 デ ー
タベースシステム
113
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