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内分泌系薬理学

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内分泌系薬理学
内分泌系薬理学
分子薬理学分野 倉増敦朗
講義内容
1. 糖尿病治療薬
2. 抗甲状腺薬
3. 性ホルモン関連薬
4. 骨粗しょう症治療薬
糖尿病の分類
1型糖尿病:
β細胞の破壊
絶対的インスリン欠乏
2型糖尿病:
インスリン分泌能低下
インスリン抵抗
相対的インスリン不足 糖尿病の病態と症状
インスリン抵抗
インスリン分泌低下
高血糖
症状
高浸透圧利尿
脱水
電解質喪失
ケトン体
合併症
代謝性アシドーシス
神経障害
知覚障害
自律神経
糖尿病性網膜症
糖尿病性腎症
多尿、頻尿、夜間尿
口渇、多飲
易疲労感、脱力感
腹痛、悪心、嘔吐
意識障害、昏睡
痛み、しびれ、熱感
眩暈、掻痒感、インポテンス
目のかすみ
むくみ、頭痛
糖尿病治療薬
1.インスリン
2.経口糖尿病薬
�スルホニル尿素誘導体
�DPP-4阻害薬
�インスリン抵抗性改善薬
�ビグアナイド系
�チアゾリジン誘導体
�αグルコシダーゼ阻害薬
インスリン分泌促進薬
プロインスリンの構造
各種インスリン製剤の作用時間
糖尿病治療ガイド2012-2013 血糖コントロール目標改訂版(抜粋)より
糖尿病治療薬
1.インスリン
2.経口糖尿病薬
�スルホニル尿素誘導体
�DPP-4阻害薬
�インスリン抵抗性改善薬
�ビグアナイド系
�チアゾリジン誘導体
�αグルコシダーゼ阻害薬
�SGLT2阻害薬
インスリン分泌促進薬
スルホニル尿素誘導体
【作用機序】
– KATPチャネルの遮断
【適応】 2型糖尿病
【副作用】 – 低血糖
インスリン分泌機構
脱分極で開く
ATPで閉じる
脱分極
DPP-4阻害薬
シタグリプチン(Sitagliptin)
• インクレチンの分解酵素であるジペプチジル
ペプチダーゼ-4を阻害する
• 血糖依存性にインスリン分泌を促進
• 膵臓ホルモン(1)参照
ビグアナイド系
メトホルミン(metformin)、ブホルミン(buformin)
�作用
�糖新生抑制(肝臓)
�糖取込み増加、インスリン感受性増加(骨格筋)
�作用機序
�AMP キナーゼの活性化が関与
�適応
�2型糖尿病
�副作用
�消化器症状(下痢,悪心)
�乳酸アシドーシス(まれ)
�単独使用では低血糖にならない
エネルギーセンサーとしてのAMPキナーゼ
ATP↓ / AMP↑
メトホルミン
AMPK
ATP供給↑
ATP消費↓
糖新生↓
グルコース取込み↑
解糖系↑
血糖↓
グリコーゲンの生合成↓
脂質の生合成↓
脂肪酸酸化↑
タンパク質の生合成↓
IRS
IRS活性↑により
抵抗性改善
チアゾリジン誘導体
ピオグリタゾン(pioglitazone)
• インスリン抵抗性改善薬
• 【作用機序】
– PPARγ核内受容体を活性化する
– 様々な遺伝子の転写を制御
• 脂肪細胞分化⇒アディポネクチンによる抵抗性改善
• 【副作用】
– 浮腫(集合管Naチャネル増加による)
– 体重増加
チアゾリジン誘導体
RXRs
Transcription
PPAR
PPAR--γ
(PPAR: Peroxisome Proliferator-Activated Receptor)
チアゾリジン誘導体による脂肪細胞分化
インスリン受容体シグナル
IRS: Insulin Receptor Substrate (インスリン受容体基質)
アディポネクチンによるインスリン抵抗性改善
αグルコシダーゼ阻害薬
アカルボース,ボグリボース
•
•
•
•
二糖類分解酵素を阻害する
食後高血糖を防ぐ
【適応】2型糖尿病
【副作用】腹部膨満,放屁増加,下痢,便秘な
どの消化器症状
• (インスリンやSUとの併用時にみられる)低
血糖に対して,「ブドウ糖」を服用
SGLT2阻害薬
【作用機序】
– 近位尿細管SGLT2を阻害する
【適応】 2型糖尿病
【副作用】 – 低血糖(併用時)
– 多尿・頻尿、体液量減少
– 尿路・性器感染症
カナグリフロジン
糖尿病治療薬の副作用
インスリン
低血糖、過敏症
スルホニル尿素誘導体
低血糖
ビグアナイド系
消化器症状
チアゾリジン誘導体
浮腫,体重増加
αグルコシダーゼ阻害薬
消化器症状
(腹部膨満、下痢)
SGLT2阻害薬
多尿、尿路感染
甲状腺ホルモンと治療薬
1.甲状腺機能低下症*
• 乾燥甲状腺末
• T4(吸収に差、半減期長い 7日)
• T3(吸収率高い、半減期短い 1.5日)
2.甲状腺機能亢進症*
• 抗甲状腺薬
• 放射性ヨウ素
• 手術
抗甲状腺薬
thiourea thiouracil propylthiouracil
thiamazole
carbimazole
抗甲状腺薬の作用点
I-
濾胞細胞
ヨウ素取り込み
II2
コロイド
MIT,DIT
T3,T4
チログロブリン
I-
T3, T4
ヨウ素酸化
チロシンヨウ素化
カップリング
(ペルオキシダーゼ)
蛋白分解
ホルモン放出
抗甲状腺薬
チアマゾール(thiamazole)
プロピルチオウラシル(propylthiouracil)
• 作用機序
�Peroxidaseによるヨウ素の酸化、T3とT4への縮合
反応を抑制
�濾胞内に貯留されたホルモンの分泌抑制はない
ので効果発現が遅い(2-4週間)
�Propylthiouracilは、末梢でのT4からT3への転換
阻害作用があり,作用発現がやや速い
• 副作用
無顆粒球症、発疹などのアレルギー反応、無顆粒球
症は投薬中止により可逆的
性ホルモン関連薬
•
•
•
•
経口避妊薬
性ホルモン拮抗薬
性ホルモン合成阻害薬
GnRH受容体アゴニスト
経口避妊薬
�作用機序
�エストロゲンとプロゲステロンを含む
�負のフィードバックで視床下部と下垂体を抑制し、
卵胞成熟と排卵が阻害される
�副作用
� 血栓症(エストロゲン成分による)
�禁忌
� 子宮体癌、乳癌
� 血栓症
視床下部ー下垂体―性腺軸
(-)
視床下部
(-)
クロミフェン
GnRH
(-)
ネガティブ
フィードバック
下垂体前葉
LH FSH
卵巣
エストロゲン
プロゲステロン
経口避妊薬
(-)
分類
抗腫瘍薬
細胞毒性薬
抗腫瘍薬参照
分子標的薬
内分泌療法薬
生体応答修飾物質
性ホルモン拮抗薬
アロマターゼ阻害薬
GnRH受容体アゴニスト
免疫薬理学参照
性ホルモン拮抗薬
• タモキシフェン
• 【作用機序】
– エストロゲン受容体の部
分アゴニスト
– エストロゲンの受容体へ
の結合遮断
• 【適応疾患】乳がん
• 【副作用】顔面紅潮、月
経異常、子宮体癌リス
ク増加、血栓塞栓症な
ど
• フルタミド
• 【作用機序】
– アンドロゲン受容体の拮
抗薬
• 【適応疾患】前立腺がん
• 【副作用】肝障害、間質
性肺炎
閉経前
閉経後
副腎皮質
精巣
卵巣
アンドロゲン
アロマターゼ
(脂肪組織)
アンドロゲン
エストロゲン
アナストロゾール
フルタミド
タモキシフェン
増殖
AR
前立腺癌
増殖
ER
乳癌
エストロゲン拮抗薬
�クロミフェン
�臨床応用:不妊症(排卵誘発)
�作用機序
� エストロゲン受容体を遮断する
� 負のフィードバックを遮断しゴナドトロピンの遊離
を促す
�副作用
� 多胎妊娠
アロマターゼ阻害薬
(アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)
• 【作用機序】
アンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素で
あるアロマターゼを阻害する
• 【適応疾患】閉経後乳がん
• 【副作用】顔面紅潮、骨粗鬆症、関節痛、脂
質代謝異常、高血圧など
男性ホルモン合成阻害薬
• フィナステリド(finasteride)
– 5α還元酵素を阻害する
– 適応 1)男性型脱毛症(AGA;
Androgenetic Alopecia) GnRH受容体アゴニスト
(リュープロレリン、ゴセレリン)
• 【作用機序】
– GnRH受容体の脱感作
– 細胞表面受容体のエンドソームへの取込み
– ゴナドトロピンの分泌が抑制され、性ホルモンの
分泌が低下する
• 【適応疾患】前立腺がん、閉経前乳がん
• 【副作用】顔面紅潮、熱感、関節痛、性欲減
退、女性化乳房(男性)など
アゴニストによる
持続的刺激
GnRHによる
生理的刺激
リュープロレリン
GnRH受容体
Gタンパク質
アレスチン
エンドソームへ
の取込み
受容体
脱感作
ゴナドトロピン
産生細胞
ゴナドトロピン放出抑制
ゴナドトロピン放出
骨粗しょう症
Osteoporosis
• 骨密度(骨量)低下
– 骨吸収>骨形成
• 骨組成は不変
• 閉経後骨粗しょう症と老人性骨粗しょう症
• 自覚症状は少なく、骨折で気づくことが多い
Ca代謝のホルモン調節
D3
活性型ビタミンD
PTH
D3
活性型ビタミンD
PTH
2+
Ca
腎
カルシトニン
カルシトニン
骨
D3
活性型ビタミンD
腸管
骨粗しょう症治療薬
1. Ca剤
2. カルシトニン
3. ビスホスホネート
4. ビタミンD
5. エストロゲン
カルシトニン
• 32アミノ酸のペプチドホルモン
【作用と機序】
�骨吸収抑制作用
�破骨細胞分化を抑制
�破骨細胞を抑制
�鎮痛作用
�中枢性?
【用法】筋肉内注射
ビスホスホネート
【作用機序】
– 骨に特異的に分布する(ハイドロキシアパタイトに
結合)
– 骨吸収に伴い破骨細胞に取り込まれる
– 破骨細胞アポトーシスの誘導
– 骨吸収抑制作用
ビタミンD
�老人性骨粗しょう症
• ビタミンD欠乏やカルシウム不足による
【作用機序】
– 腸管や腎におけるCa2+(再)吸収促進
– Ca2+血中濃度上昇
– 骨形成促進
エストロゲン
�閉経後骨粗しょう症
• エストロゲン欠乏による
�エストロゲン
� 骨吸収抑制作用(破骨細胞抑制)
� 活性型ビタミンD3合成促進作用(腎)
�ラロキシフェン
� 選択的エストロゲン受容体調節薬
� 骨に対してはエストロゲン作用
� 子宮・乳腺に対してはエストロゲン拮抗作用
� 乳癌リスクや性器出血が少ない
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