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株主の皆様へ (PDF形式、694kバイト)
株主の皆様へ 東日本大震災に関して まずはじめに、東日本大震災で被災された皆様に対し、心よりお見舞い申し上げます。 東日本をルーツとする日立にとって、被災地域の復旧・復興への貢献は重要な使命です。 日立グループの総力を挙げて、東北・北関東の復興に具体的なアクションで寄与していくこと が、これまで日立グループを育んでくださった皆様や地域社会のご恩に報いることであり、 未来に向けた新たな社会基盤をともに築いていきたいと強く願っています。 震災後、日立グループは、生活物資をはじめ、救援物資や建設機械などの機材の提供、義援 金などを通じ、被災地の復旧にできるかぎりの支援を行いました。また、日本全国から社員を 派遣し、最優先で、電力、通信、上下水道などの公共インフラの復旧作業にあたりました。 復旧・復興から、それぞれの地域事情に応じた新たな街づくりへ、これからも日立グループの 持つノウハウと英知を結集して貢献していきます。 4 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 福島第一原子力発電所の事故についても、日立の技術と経験を総動員し、一刻も早い収束 に向けて対策に取り組んでいます。 日立においても、多くの建屋や生産設備が被害を受けましたが、国内外のお客様やパート ナーからもご支援をいただきながら、昼夜を問わぬ現場の社員の懸命の復旧努力により、当初 の想定を上回るスピードで生産を再開することができました。今回の自らの被災経験を最大限 に生かし、BCP (事業継続計画) の強化を図り、 リスクに強い事業基盤を構築します。 2010 年度業績 2010 年度は、エレクトロニクスや自動車関連分野の需要が世界的に回復しましたが、2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災により、東日本の広範な地域で甚大な被害が発生し、 生産から販売に至る一連の企業活動が大きな影響を受けました。日立においても、建屋や 生産設備の損傷、製作過程の製品への被害、生産調整などが発生しました。 2010 年度の業績に関しては、震災の影響を受けたものの、売上高は前年度から4%増加の 9 兆 3,158 億円となりました。営業利益に関しても、売上高の増加に加え、事業構造改革の 進展、資材費・固定費の削減やプロジェクト管理の強化などにより、全セグメントで黒字化し、 前年度から2,423 億円増加の 4,445 億円、営業利益率は 4.8%となりました。当社に帰属する 当期純利益は、前年度から3,458 億円改善し、過去最高の 2,388 億円となりました。 財務体質に関しては、D/Eレシオ (有利子負債÷ 〔非支配持分 + 株主資本〕 ) は、前年度末から 0.35ポイント改善し1.03 倍、株主資本比率は前年度末から1.4ポイント改善し15.7%となり ました。 また、1 株当たり年間配当金については、創業 100 周年記念配当 2 円を含む 8 円とさせてい ただきました。 2009 年度・2010 年度の実績および 2012 年度の目標 売上高 営業利益 当社に帰属する当期純利益(損失) D/E レシオ *3 株主資本比率 *4 2009 年度実績 2010 年度実績 2012 年度目標* 1 8 兆 9,685 億円 9 兆 3,158 億円 10 兆円 2,021 億円 -1,069 億円 1.38 倍 14.3% * 1 2010 年 5 月に発表した中期経営目標から、HDD 事業譲渡分を補正。 * 2 営業利益÷売上高 * 3 連結貸借対照表の「 証券化事業体の連結に伴う負債(固定)」を含む。 * 4 株主資本÷総資産 4,445 億円 5% 超 営業利益率 *2 2,388 億円 2,000 億円台の安定的確保 15.7% 20% 1.03 倍 0.8 倍以下 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 5 2012 中期経営計画 創業 100 周年を迎えた昨年、日立は「2012 中期経営計画 」を策定しました。事業構造改善 などの「 守り」重点から、グローバルな社会イノベーション事業成長に向けての「 攻め 」への転 換を宣言したのです。「 社会イノベーション事業による成長 」と「 安定的経営基盤の確立 」をめ ざして、 「 日立の強みを発揮するグローバルな成長戦略推進 」 、 「 社会イノベーション事業への 経営リソース重点投入 」 、 「 経営基盤強化による収益安定化 」の 3 つの経営施策を展開してい ます。 その初年度である2010 年度、私たちはこれらの経営施策を着実に進め、震災の影響を受 けながらも、過去最高の当期純利益を計上しました。 2011 年度も震災の影響を見込んでいますが、2012 年度の経営目標は、事業ポートフォリ オ変更に伴う調整分以外は、昨年ご報告した数値から変更していません。2012 年度の経営目 「2012 中期経営計画 」 社会イノベーション事業 による成長 目 的 経営の フォーカス 主要施策 グローバル 安定的経営基盤の確立 融合 環境 日立の強みを 社会イノベーション 経営基盤強化 成長戦略推進 リソース重点投入 収益安定化 発揮するグローバルな 6 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 事業への経営 による 標は、売上高 10 兆円、営業利益率 5%超、当社に帰属する当期純利益 2,000 億円台の安定的 確保、D/Eレシオ 0.8 倍以下、株主資本比率 20%です。譲渡予定のハードディスクドライブ (HDD) 事業の影響を反映し、売上高のみ当初の設定数値から5,000 億円引き下げています。 「2012 中期経営計画 」の目標数値を確実に達成することにより、その先の成長につなげてい きます。 日立の社会イノベーション事業がめざす価値 日立は、優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献することを企業理念としています。 創業以来受け継いできたこの理念を、これからの時代において具体的な形で実現していくの が、中核事業として推進していく社会イノベーション事業です。日立は、IT (情報技術) で高度化 された、安全・安心な社会インフラの提供を社会イノベーション事業と定め、日立ならではの 強みを発揮していきます。 日立の注力する社会イノベーション事業は、 「 情報・通信システム」 「 電力システム」 「 産業・ 交通・都市開発システム 」などの主要事業分野とそれを支える「 材料・キーデバイス 」で構成 されています。日立は、社会のニーズやその変化をいち早く感じ、その変化に使命感を持って 対応する力をより高度に磨き上げ、社会イノベーション事業を推進することで、次の 3 つの 価値を実現し、社会の持続的な発展に貢献していきます。 その 3 つの価値とは、第一に「 お客様やパートナーとともに創りあげる価値 」 、第二に「10 年 先・20 年先まで受け継がれる価値 」 、第三に「メーカーとしての規範と使命を具現化する価値 」 です。地域社会や市場が真に求める製品やサービスをお客様とともに創りあげることで生まれ る価値は、未来まで永く受け継がれるものであり、これこそ、創業以来、日立がメーカーの 使命・喜びとしてきたものでもあります。 「 日立だから任せる」 と言っていただける信頼を糧に、 高い理想と理念に基づく技術力とモノづくり力で挑戦を続けます。 今回の日本の震災では、日々の生活や経済活動の基礎である、電力や水道、ガス、交通機関 も含めた社会インフラが一瞬のうちに寸断されてしまいました。私たちは、安全で安心な日々 の暮らしがどれだけ尊いものであったのかを改めて認識しました。 そして私たちが、創業以来受け継ぎ、すべての社員が誇りとしてきた、安全で安心な日々の 暮らしを支える持続可能な社会インフラづくりへの貢献は、これからの時代に求められる重要 な使命であることを確認したのです。社会イノベーション事業戦略を、 「 グローバル」 「 融合」 「環 境 」の 3 つにフォーカスしながら加速していく日立の方針は、社会の価値観の大きな変化を経 ても揺ぎはありません。今後とも、人々が安心して生活できる社会のために、確信を持って グローバルに事業を推し進めていきます。 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 7 日立の強みを発揮するグローバルな成長戦略推進 新興国が世界の経済成長を牽引する一方で、地球温暖化や生物多様性維持といった各国が 共同で取り組むべき環境問題が重要となるなど、世界の経済的・社会的結びつきはますます深 まっています。日立は、グローバルな一体化が加速する市場において、事業機会をいち早くと らえ、各国・地域のニーズに合った、環境にも配慮した総合的なソリューションを提供すること によって、日立のプレゼンスを一層高めていきます。2010 年度における海外売上高比率は過 去最高の 43%となりましたが、さらに2012 年度は 50%超を目標としています。このように海 外ビジネスを大きく伸ばすことにより、真のグローバル企業への変身をめざします。 真のグローバル化実現に向けた第一の戦略は「 グローバルな現地化の推進・拡大 」です。 現地主導でよりスピーディに事業展開を進めるために「 新グローバル化推進計画 」を策定しま した。中国、東南アジア、インド、中東を含む、経済成長が著しいアジアベルト地帯や、南米、中 東欧など11 地域を注力地域に選定し、これら11 地域の売上高を2010 年度の 1.9 兆円から 2012 年度には 2.5 兆円に拡大します。それぞれの重点地域が自らの力でビジネスチャンスを 発掘し、お客様に満足いただける製品・サービスを一貫して提供できる体制を確立します。現 地事情に精通した営業技術や渉外、財務などのプロフェッショナルが“One Hitachi”として、 それぞれの地域の事業展開を支援します。日本のみを中心とするのではなく、米州、欧州、イン ド、東南アジア、中国、日本の世界 6 極体制とし、真のグローバル経営を実現します。 現地司令塔機能強化の具体例をご紹介します。 昇降機事業は、アジアベルト地帯における事業拡大を狙い、さらなる現地化を進めています。 日本、中国、シンガポールの開発拠点の連携を深め、市場ニーズに合った製品を、効率よく開 発していくことに加え、中国とアジアの地域統括会社の機能を強化し、現地主導型の事業運営 や意思決定の迅速化を進めます。 火力発電システム事業では、アジアを中心に、高効率石炭火力事業を強化します。インドの BGR エナジー社とタービン、ボイラーそれぞれの合弁会社を設立したほか、中国大連市の生 産拠点の能力を拡張します。今後も生産拠点を拡大し、成長戦略を進めます。 鉄道システム事業は、2011 年 3 月に、英国高速鉄道案件の正式契約に向けた交渉を再開し ました。英国内に新たな製造拠点を立ち上げ、現地調達も拡大していきますが、こうした取り 組みを他の地域にも展開していくことで、事業拡大を図ります。 建設機械は、日立のグローバル化の先兵として、中国、インドに加え、ロシアやアフリカでの 事業拡大を進めています。 8 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 第二の戦略は「 パートナーとの連携による事業機会拡大 」です。オープンで透明性の高い パートナーシップの構築は、グローバルビジネス拡大の秘訣だと考えています。 スマートシティ事業では、中国の中央政府および市政府などとの緊密なパートナー連携によ り、天津エコシティや広州ナレッジシティへの参画、大連市との協業などを積極的に進めていま す。天津エコシティにおいては、すでにホームエネルギーマネジメントシステム、蓄電池などの 日立の強みを発揮するグローバルな成長戦略推進 2012 年度の海外売上高比率 50% 超を目標 アジア他 14% 中国 13% アジア他 16% 地域別売上構成 新興国 2010 年度 海外比率 43% 欧州 8% 中国 13% 日本 57% 新興国 2012 年度 日本 54% 海外比率 46% 50 % 超へ * 欧州 9% 北米 8% 北米 8% * 2010 年 5 月に発表した中期経営目標から、HDD 事業譲渡分を補正。 1. グローバルな現地化の推進・拡大 新グローバル化推進計画 ● 注力 11 地域の設定と現地司令塔機能の強化 注力 11 地域 • インドネシア • ベトナム • 中国 • インド • サウジアラビア • ブラジル • トルコ • 中東欧 • ロシア • 南アフリカ • エジプト 注力 11 地域の売上高 2010 年度 1.9 2012 年度 ⇒2.5 兆円 兆円 ● 日本を含む世界 6 極体制へ (米州、欧州、インド、東南アジア、中国、日本) 2. パートナーとの連携による事業機会拡大 3. 日立の強みを生かした新規事業拡大 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 9 具体的な成果につながっています。また、広州ナレッジシティにおいては、都市計画立案の上 流段階から参画し、エネルギーマネジメントや IT プラットフォームを含む幅広い分野での事業 展開をめざしています。このような中国での実績・ノウハウの蓄積に加え、ハワイ州などでの 実証実験を通じて確立する技術や知見の活用により、世界各地でスマートシティ関連事業を拡 大していきます。また、蓄積した経験や先進的なノウハウは、日本の新たな街づくりにも大いに 役立てていきたいと考えています。 水力発電システム事業では、2011 年 10 月に三菱電機(株) 、三菱重工業(株) との合弁会社 が発足します。新会社は可変速揚水発電のリーディングポジションを狙います。また、産業シ ステム事業では、ブラジルや中東で、圧縮機の販売からメンテナンスを含めたライフサイクル サポートを展開していきます。 第三の戦略は「 日立の強みを生かした新規事業拡大 」です。情報・通信システム事業では、 ストレージソリューション事業とコンサルティング事業のグローバル展開を強化するとともに、 企業や官公庁の基幹システムに高信頼クラウドを適用していくことで、安全・安心で快適な社 会インフラの実現に貢献します。また、ITと制御技術との融合を通じて、スマートシティ事業の 推進を加速し、グローバルな成長をめざします。 水環境ソリューション事業では、中東の下水道整備プロジェクトへの参画を進めるとともに、 水処理プラント技術、IT および制御技術の融合により、上下水・排水・再生といった水循環を最 適に管理・制御する「インテリジェントウォーターシステム」をモルディブに導入するなど、着実 に成果を上げており、グローバルな取り組みを強力に展開します。 産業システム事業では、オーストラリアで LNG プラントの基本設計を受注するなど、騒音が 少なく、コンパクトな電動 LNG プラント事業を拡大しています。 ヘルスケア事業については、当社の注力事業の一つと位置づけて積極的に強化しています。 診断分野では、 (株)日立メディコが 2011 年 1 月にアロカ(株)を子会社化し、グローバル競争 力の強化に向けた動きを加速しています。治療分野では、生活の質を維持しつつ、がんを治療 できる、粒子線がん治療装置事業を拡大し、高い技術力で先進医療に貢献していきます。さら に、2011 年 6 月に新設したヘルスケア統括本部を中心に、サービス事業の強化と新事業の育 成を進めています。診断から治療、情報、サービス、創薬支援まで、幅広い技術・ノウハウを融 合した、日立ならではの製品・サービスの提供により、成長を実現します。 10 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 社会イノベーション事業への経営リソースの重点投入 2010年度においても、社会イノベーション事業強化と構造転換の観点から、ITコンサルティ ング事業で米国のシエラ・アトランティック社の買収、 (株)IPSアルファテクノロジの持分譲渡、 ウエスタンデジタル社への HDD 事業の譲渡合意などの事業ポートフォリオ見直しを進めまし た。個々の事業の強化、経営効率の向上の観点から、今後も事業ポートフォリオの強化・改革 を続けていきます。 また、社会イノベーション事業の成長に向けて、設備・戦略投資には、海外拠点の拡充や復 興対応・BCP 強化を含め、2010 年度から2012 年度の 3 年間総額で 1 兆 6,000 億円を投資 します。社会イノベーション事業には、約 7 割にあたる1 兆 1,000 億円を配分するとともに、 M&A も積極的に活用しながら、積極投資により将来の成長を確実なものにしていきます。 一方、研究開発には 3 年間総額で1兆 2,000 億円を投資しますが、社会イノベーション事業 には、このうち約 6 割にあたる6,700 億円を配分し、IT、鉄道やスマートグリッドなどのグリー ンテクノロジーの研究や、材料・エレクトロニクス研究、グローバル市場に密着した研究開発拠 点の強化などを図ります。研究開発は、これまでも、そして、これからも、日立の競争力の源泉 であり、今後はよりグローバルに人財・資金の投入を進めます。 社会イノベーション事業への経営リソース重点投入 社会イノベーション事業へ総額 1 兆 7,000 億円超 設備・戦略投資: 研究開発投資: 1.1 兆円(2010 年度∼ 2012 年度累計) 6,700 億円(2010 年度∼ 2012 年度累計) 4,800億円 情報・通信 218 % 電力 120% 2,400億円 共通基盤 2,000億円 社会・産業 2,200億円 情報・通信 建設機械 電力 社会・産業 建設機械 高機能材料 高機能材料 2010 年度 2012 年度 2010 年度 2012 年度 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 11 このように、設備・戦略投資と研究開発投資をあわせて、2010 年度から2012 年度の 3 年 間総額で社会イノベーション事業に1 兆 7,700 億円を重点投入します。これは総投資額の6割 以上であり、昨年の計画より1,700 億円増額することで、社会イノベーション事業のグローバ ル展開をさらに加速し、今後の確実な成長につなげるとともに、各事業分野における競合企業 との差別化を実現します。 経営基盤強化による収益安定化 経営基盤強化については、情報・通信システムや電力システム、産業システムといった個々 の事業の競争力強化と平行して、グループを挙げてコスト構造の変革を強力に推し進めます。 グローバルに勝てるコスト競争力を実現するために社内プロジェクトである“Hitachi Smart Transformation Project”を2011 年 4 月に発足しました。生産拠点の最適配置・統合や、 グローバル調達の拡大、間接業務の改革など、日立グループを挙げて徹底的なコスト構造改 革を進めます。 また、財務体質を強化するために、当期純利益の積み上げにより株主資本の強化を着実に 進めるとともに、資産効率化や有利子負債の削減、フリーキャッシュフローの安定的確保を進 めます。 経営基盤強化による収益安定化 1. コスト構造の改革 ● 構造改革によるグローバルに勝てるコスト競争力の実現 Hitachi Smart Transformation Project 発足 ● ● 生産拠点の最適配置・集約、内製/外製の再評価 集約購買・グローバル調達拡大、材料置き換えによる材料費低減 集約購買比率 グローバル調達比率 ● 2009 年度実績 2010 年度実績 2012 年度目標 23% 28% 35% 28% 間接業務の改革・集約、間接材コスト削減、IT 標準化 2. 財務体質の強化 3. グローバル人財マネジメントの強化 12 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 36% 50% 新たな決意 日立がめざす価値をより確実に実現していく最大の力は、チームの力であり、チームを構成 する一人一人の力であると考えています。日立には、世界中の優れた人財が集っています。 しかし、激しさを増すグローバル競争を勝ち抜く逞しいチームを創りあげるためには、より グローバルな視点で日立グループ全体の優秀な人財を適所に迅速に配置することが必要です。 その実現のため、世界の日立グループ社員を対象に、どの地域に、どのような能力を持った 人財がいるのかを一元的に把握するとともに、採用や処遇、人事、教育といった人財に関する プラットフォームを再構築する、グループワイドでの大規模な人事システムの改革を進めてい ます。このシステムを最大限に活用し、グループ一丸となって、攻めるべき分野にダイナミック に人財を投入しながら、人を生かし、技術を生かすグローバル経営を徹底します。 今日、世界には気候変動や生態系破壊をはじめとする環境問題、エネルギーの枯渇、人権問 題など、さまざまな問題が生じています。加えて、日本では、震災からの復興、さらにその先の 成長に向けたさまざまな取り組みが必要です。私は、こうした地球社会・地域社会の課題の解 決に向けて、パートナーとともに次の世代まで受け継がれる価値を創りあげることが重要であ ると考えています。社会的価値と経済的価値を同時に創造し、CSR (企業の社会的責任) を経営 そのものとして実践することで、持続可能な社会の実現に貢献していきます。それこそが、 日立の創業以来受け継がれてきた企業理念の具現化にほかなりません。私は今後も、株主の 皆様の期待に応えられるよう、2012 年度の経営目標を達成し、日立の企業価値の向上に努め ていきます。 株主の皆様には、今後とも変わらぬご支援をお願い申し上げます。 執行役社長 Hitachi, Ltd. Annual Report 2011 13