Comments
Description
Transcript
平成 22 年度 一般案件に係る円借款案件形成等調査 パラグアイ・公共
平成 22 年度 一般案件に係る円借款案件形成等調査 パラグアイ・公共放送設立及び地上波デジタル放送網整備事業調査報告書 平成23年3月 経 済 委託先 産 業 省 : 新日本有限責任監査法人 独立行政法人日本貿易振興機構 八千代エンジニヤリング株式会社 日本電気株式会社 財団法人NHKインターナショナル ま え が き 本報告書は、新日本有限責任監査法人から八千代エンジニヤリング株式会社、日本電気 株式会社および財団法人 NHK インターナショナルが平成 22 年度の事業として受託した 「一 般案件に係る円借款案件形成等調査」の成果をとりまとめたものです。 本調査「パラグアイ・公共放送設立及び地上波デジタル放送網整備事業調査」は、パラグ アイ政府が推進している地上波 TV 放送のデジタル化移行に際して、新たに設立されるパラ グアイ公共放送の機能強化とパラグアイ国内に全国放送網を構築し、TV 放送を通じた公共 性の高い情報の提供において、地域、貧富などの格差を緩和するために必要な各種施設・ 設備(送信所・中継所、主調整室、スタジオ等)を整備するプロジェクトの実現可能性を 調査したものです。 本報告が上記プロジェクト実現の一助となり、加えて我が国関係者の方々のご参考にな ることを希望します。 平成 23 年 3 月 八千代エンジニヤリング株式会社 日 本 電 気 株 式 会 社 財団法人 NHK インターナショナル 本計画対象地の状況 IPSビルからみた首都アスンシオン 試験放送用アンテナ設置予定地(IPSビル屋上) 2011 年 5 月より地デジ試験放送が開始される予定。IPS ビルは公共放 送の送信設備設置予定場所。 地デジ試験放送用のアンテナ設置場所。アンテナ鉄塔は高さ約 30m で検討。 CONATELとの協議 COPACOアースステーション 地デジに向けた準備状況などについての説明があった。 ANDEビル外観 ANDE 所有の建物であり、公共放送本部スタジオとして改修・整備 が計画されている。 アレグア市にあるCOPACO衛星地上局設備。地方の中継所への番組 伝送で利用予定。 ANDEビル内観 地下 1F、地上 4F 建て、改修工事が予定されている。 巻頭写真-1 CITECのあるアスンシオン大学外観 CITECスタジオ CITEC はアスンシオン国立大学工学部の予算で運営されている映像制 作スタジオ。1993 年に JICA 無償資金協力により放送機材を譲渡された。 SICOMは地デジ用スタジオとして使用を検討している。制作スタジオ の広さ 10.5m×10.5m、天井高は 7.46m。 CITEC副調整室 サンペドロ県の中心街 副調整室の広さは 12.5m×6.65m。 ヤシレタ・ダム 国内で貧困層の多いサンペドロ県。人口 40 万人。「パ」国政府は、貧 困対策を実施している。 イタイプ・ダム イタプア県には、アルゼンチンとの共同開発による発電出力 シウダ・デル・エステの近郊には、ブラジルとの共同開発による世界 3,200 MW のヤシレタ・ダムがある。ヤシレタ公団の資金が設立さ 第 2 位の発電出力(14,000 MW)を誇るイタイプ・ダムがある。イタイプ公 れる公共放送に活用される可能性がある。 団の資金が設立される公共放送に活用される可能性がある。 巻頭写真-2 放送機関訪問 SNTスタジオ SNT(Ch9)は国内最大手の民間放送局。対人口カバレージは約 93%、 従業員数 220 人。 SNT主調整室 Ch9 の番組をスケジュールに従って手動で切り替える。 SNTテレビ送信鉄塔 TV 放送アンテナ。局敷地内に設置されたガイワイヤー式鉄塔。 SNT回線センター 地方中継所向け伝送で衛星を使用。 SNTアナログ送信機 アナログ送信機(25kw)現用 / 予備。半導体式(米国製) テレビジョン・イタプア のスタジオ 地方で唯一の TV 放送ライセンスを保有している独立局。提携関係にあ る SNT の中継も行なっている。 巻頭写真-3 略 語 表 略語 正式名称 日本語訳 ADB Asian Development Bank アジア開発銀 行 AfDB African Development Bank アフリカ開発 銀行 ANDE Administration National de Electricidad 国家電力公社 B/C Benefit / Cost 便益・コスト 比 BST-OFDM Band Segmented Transmission Orthogonal 日本の地デジに採用している直 Frequency Division Multiplexing 交周波数分割 多重方式 CATV Cable Television ケーブルテレ ビ CIF Cost, Insurance and Freight 運賃保険料込 み条件 CITEC Centro de Innovación Tecnológica 技術イノベー ションセ ンター CONATEL Comisión Nacional de Telecomunicaciones 国家電気通信 委員会 COPACO Compañia Paraguaya de Comunicaciones S.A パラグアイ電 力通信株 式会社 DAC Development Assistance Committee 開発援助委員 会 DINAC Dirección Nacional de Aeronáutica Civil 航空局 DVB-T Digital Video Broadcasting - Terrestrial ヨーロッパ方式の地上デジタル テレビジョン 放送規格 DTV Digital Television デジタルテレ ビ放送 EIA Evaluación de Impacto Ambiental 環境アセスメ ント EIRR Economic Internal Rate of Return 経済的内部収 益率 E/N Exchange of Notes 交換公文 FIS Feasibility Study 実施可能性調 査 FIRR Financial Internal Rate of Return 財務的内部収 益率 GDP Gross Domestic Product 国内総生産 GNI Gross National Income 国民総所得 ICT Information and Communication Technology 情報通信技術 IDB Inter-American Development Bank 米州開発銀行 IMF International Monetary Fund 国際通貨基金 IPS Instituto de Previsión Social 社会福祉院 ISDB-T Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial 地上波による 総合デジ タル放送 ITU International Telecommunication Union 国際電気通信 連合 JBIC Japan Bank for International Cooperation 日本国際協力 銀行 JETRO Japan External Trade Organization 日本貿易振興 機構 JICA Japan International Cooperation Agency 国際協力機構 略語 正式名称 日本語訳 L/A Loan Agreement 借款契約 MCR Master Control Room 主調整室 MOPC Ministerio de Obras Públicas y Comunicaciones 公共事業通信 省 MTBF Mean Time Between Failures 平均故障間隔 NPV Net Present Value 正味現在価値 ODA Official Development Aid 政府開発援助 OECD Organisation for Economic Co-operation and 経済協力開発 機構 Development OFDM Orthogonal Frequency Division Multiplexing 直交周波数分 割多重 OJT On the Job Training 実地訓練 P/Q Pre-Qualification 公示及び評価 REDIEX Red de Inversiones y Exportaciones 投資輸出ネッ トワーク RTP la Red Nacional de Television Publica del Paraguay パラグアイ公 共テレビ 放送網 SEAM Secretaria del Ambiente 環境庁 SICOM Secretaría de Información y Comunicación para el 発展のための 情報庁 Desarrollo STB Set Top Box アナログ受信 機用変換 機 STEP Special Terms for Economic Partnership 本邦技術活用 条件 STP Secretaria Técnica de Planificación 企画庁 TPP Trans-Pacific Strategic Economic Partnership 環太平洋戦略 的経済連 携協定 Agreement UHF Ultrahigh Frequency 超高周波 VSB Vestigial Sideband 残留側波帯 VTR Videotape Recorder ビデオテープ レコーダ ー WTP Willingness To Pay 支払意思額 要約 要約 (1) プロジェクトの背景・必要性等 1. プロジェクトの範囲、プロジェクトが提供する製品・サービスの中心的な需要家層 パラグアイ共和国(以下、 「パ」国)では、新聞・雑誌等も数多く出版・販売されてい るが、流通は都市部が中心であり、地方部における情報ソースは極めて限定的で、ラジ オおよび TV 放送が最も重要な情報ソースである。しかしながら、貧困世帯(4 人家族 において、1 ヶ月の生活に最低限必要な物を購入できる収入 1,571,000 ガラニーを得られ ない世帯)の多くはテレビを所有しておらず、そのため貧困層の多い地方部におけるテ レビ世帯普及率(55.1%)は、都市部のテレビ世帯普及率(84.8%)と比較して低い(出 典:2002 年国勢調査:Dirección General de Estadística, Encuestas y Censos)。 様々な情報サービスを享受することができない貧困層や地方在住者は、教育や保健衛 生、交通安全、産業育成等について適正な知識や情報を迅速に得ることが難しく生活改 善や健康維持、所得向上が阻害されている。そのため、市民生活に必要な情報を迅速に 提供できる公共放送の設立が望まれており、準備が進められている。 本プロジェクトは、 地上波デジタル放送による全国のTV放送網を構築するとともに、 公共放送を設立することにより、教育や保健衛生等に関する生活に必要な情報を国民に 提供するものである。これにより、公共サービスの向上および情報格差の是正に寄与す ることが見込まれる。そのため本プロジェクトの中心的な需要家は国民全体であり、特 に貧困層で衛星TV放送に加入しないとTV放送を充分視聴できない地方在住者である。 2. 現状分析、将来予測、プロジェクトを実施しない場合に想定される問題 「パ」 国が 2010 年 6 月に日本で開発された地上波デジタル TV 放送方式である ISDB-T (Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式の採用を決定したのは、ブラジ ル、アルゼンチンが既に ISDB-T を採用しデジタル放送を開始していることが大きな要 因の一つである。当該地域で同一の TV 放送方式を採用することは、国を跨り放送局間 で番組・ニュース素材の交換が促進され、かつ交換時に方式変換の必要が無いため、番 組交換等に関る制作コストを低減でき、作業効率も向上する。 地上波デジタル放送への移行は、周波数の使用状況が過密になり空き周波数の確保が 難しくなっている中、周波数の有効利用を目的に実施されている。またデジタル化する ことにより、多様なサービスを実現することも可能になり、情報通信技術の発展ととも に各国とも情報化の将来戦略として、地上波デジタル放送への移行を位置づけている。 「パ」国では、周辺国の地上波デジタル放送移行と歩調を合わせ、ISDB-T の特徴であ るデータ放送やワンセグ放送を活用するとともに、携帯等、その他の情報ツールのサー ビス拡充により豊かな情報化社会を構築することを前向きに取り組むとしている。本プ ロジェクトを実施しない場合は、これらの豊かな情報社会における各種サービスを国民 i が受けられないということになる。 3. プロジェクトを実施した場合の効果・影響 本プロジェクトを実施した場合は、直接的な効果・影響と間接的な効果・影響に分け ることができる。 (a) 直接的効果・影響 全国放送網を持つ公共放送が、公共情報を中心とした国民に必要な生活情報 を提供することができるようになる。これにより教育、保健衛生、農業、産 業育成に関する情報が適宜、公共放送から国民に提供されるようになり、国 民の生活改善、健康維持および所得向上に貢献することができる。 (b) 間接的効果・影響 民間放送局の地上波デジタル化移行の促進につながり、「パ」国全体での円 滑なデジタル化移行が期待できる。それにより周波数の有効利用施策を実施 することができる。 周波数の有効活用が可能になり、情報通信インフラの整備において、さまざ まな施策を検討することができる。 ii 要約 (2) プロジェクトの内容決定に関する基本方針 1. 需要予測 「パ」国では公的情報の普及、国民の教育と人材育成を目的とした「パラグアイ公共 テレビ放送システム開発プロジェクト」が実行されており、公共放送設立に関する大統 領令が 2010 年 8 月 30 日に公布されて以降、公共放送の設立に向けた作業が加速してい る。地上波デジタル化により、一時的に貧困層を中心に買い換えができない世帯の存在 も予想されるが、 「パ」 国政府では現行の受像機で地上波デジタル放送が視聴できるよう、 変換機であるセットトップボックスの無償配布を検討している。TV 放送網が全国に拡 充し生活に有用な情報が常時提供されるようになれば、現状よりも世帯普及率は進むも のと見られ、プロジェクトの需要家層の拡大が十分期待できる。 2. プロジェクトの内容を検討・決定する際に必要な問題点の把握・分析 「パ」国の発展のための情報庁(Secretaria de Informacion y para el Desarrollo: SICOM) では、現在新たに公共放送を設立し、それにより国民に必要な情報の提供を行うとして いる。そのため、プロジェクトの内容を検討・決定する上で、設立する公共放送局が放 送局の運営を適切に行うかどうかが、検討の焦点になる。 検討は公共放送局設立の法的根拠、予算の配置、組織運営体制、職員の技術レベル、 の点を重点的に行い分析した。結果、公共放送設立に関する法的根拠は明確であり、予 算の配置も適切に行われることが予測され、必要な組織の整備や技術レベルの確保に対 して取り組みが既に開始されていることが確認された。 3. 技術的手法の検討 SICOM が検討している公共放送局のサービスエリア拡大については、送信所、中継所 の建設が進められ、最終的には地デジ放送の送信所、中継所を全国に合計 28 箇所設置す る計画となっている。この計画の完了時点で、「パ」国の対人口比 98%の人々に公共放送 がサービスされる。さらに、これらのサービスエリアから外れる過疎地に点在する家庭 には、TV 放送網構築に関する費用対効果の観点から、個別に衛星放送の受信設備の無 償配布等を計画するとしている。対象世帯数は、統計資料の世帯数から換算するとおよ そ 20,000 世帯となる。 小高い場所を選んで送信所または中継所を設ければ、効率良く放送網を拡大していく ことが可能である。また、放送波中継による小規模な中継所を設けることにより、地上 波デジタル化に伴う設備費を抑えることも期待できる。 iii (3) プロジェクトの概要 1. 提案プロジェクトの内容 提案するプロジェクトの内容を、それぞれの予算規模とともに下表に示す。 「パ」国の民間 TV 放送局の設備状況、運営状況を参考にして、 「パ」国における公共 放送に必要な最小限の設備・機材を基本とした。合わせて、今後公共放送の運営が軌道 に乗り、番組制作体制が拡大することを想定し、将来拡張可能なシステム設計とした。 また、本プロジェクトでは、公共放送局の運営に必要な経営および組織運営ならびに 番組制作技術の能力向上を含めている。 NO. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 内容 数量 マスターコントロール ニュース・スタジオ TV スタジオ(100 ㎡) ノンリニア編集機+ENG カメラクルー VTR 編集機(テレシネ・コピー設備含む) 送信所設備 中継所設備 中継車 コンサルティングサービス(技術移転含む) 予備費 合計 1式 1式 1式 4式 1式 3式 16 式 1式 1式 予算規模 (百万円) 400 447 489 135 151 1,431 2,191 230 469 297 6,240 2. 事業総額 本プロジェクトの費用は、放送機材・設備等の調達と設置、局舎の建設等にかかる初 期投資費用、プロジェクト管理費等からなる。事業総額は約 65 億 3.7 千万円(土地収用 および補償費を除く)である。事業費の負担区分は、円借款対象部分 62 億 4 千万、 「パ」 国政府負担分 2 億 9.7 千万(土地収用および補償費を除く)となる。 No. 合計金額 項目 (百万円) (千 US$) 4,633 54,283 841 9,853 1 機材および据付工事 2 建設工事 3 土地収用および補償 4 プロジェクト管理費 297 3,480 5 コンサルティングサービス 469 5,495 6 予備費 297 3,480 6,537 76,591 n.a 合計 iv n.a. 要約 3. 予備的な財務・経済分析の結果概要 a. 予備的な財務分析 公共放送局の設立は情報格差の是正を目的としていることから視聴者に対して視聴 料を課す予定はない。広報支出の水準は年間 3,000 万ドルが維持され、設立当初の 10 年目(2019 年)まではこの 15%、20 年目(2029 年)以降は 20%を達成するものと想 定する。また、SICOM は公共放送の収入として公的機関からだけではなく、民間企業 との CM 契約による広告料収入も想定している。 割引率を世界銀行で使用されている 12%とした場合、財務的内部収益率(FIRR)は 割引率 12%を下回っておらず、正味現在価値(NPV)も正の数値を示している。本プ ロジェクトによって「パ」国において地上波デジタル放送網を全国に構築し、優良な 放送サービスを提供することは、 財務的に実施可能性があるということを示している。 b. 予備的な経済分析 「パ」国公共放送は情報格差の是正を目的として設置されており、視聴には受信料 を徴収しない予定であることから、様々なコンテンツが視聴者に対して無料で提供さ れるようになることの便益を貨幣価値化することは困難である。しかし、民間の有料 放送への加入料を番組視聴に対する支払い意思額(WTP)であるとすると、1 世帯当 たりの月額視聴料は 23US$となり、この額を「パ」国公共放送視聴世帯にとっての便 益と仮定する。 この便益を受ける対象としては、特に都市部との情報格差が大きいと考えられる農 村部に居住する貧困世帯とする。これらの世帯による便益の算出結果は、経済的内部 収益率(EIRR)は割引率 12%を上回っており、正味現在価値(NPV)も正の数値を示 している。また、便益・コスト比(B/C)も 1 を上回っていることから、これら予備 的経済分析の計算結果は、本プロジェクトによって「パ」国において地上波デジタル 放送網を全国に構築し、優良な放送サービスを提供することは、経済的に実施可能性 があるということを示している。 4. 環境社会的側面の検討 本プロジェクトが実施されない場合、情報へのアクセスの手段、アクセスできる地 域は民間放送に依存することになる。その結果、 「パ」国国民は、情報通信技術の発達 による多様な恩恵を十分に受けることができなくなり、 「パ」国の放送文化の発達にお ける重大な損失となることが懸念される。また、TV 放送のデジタル化が行われない ことにより、国内で新たに使用できる周波数が限定され、携帯電話や無線インターネ ット等への周波数の割当てを最適化することができず、将来の通信インフラ開発に負 の影響が及ぶことが懸念される。 本プロジェクトによる地上波デジタル放送網の整備および公共放送局の組織・機能 v 強化を支援することは、 「パ」国の政策重点分野に横断的に関わり、開発促進に大きく 貢献するものと政府関係者から期待されている。提案プロジェクトより環境面での影 響の少ない選択肢は本案件を実施しないこと以外考えられない。 本プロジェクトは、スタジオ設備の据付、送信所および中継所の整備を行うもので あり、大規模な埋立、造成、開墾および非自発的住民移転等を伴うものではない。ま た、大気汚染、水質汚濁等が発生する設備ではないことから、社会環境に与える影響 は極めて小さいものと考える。したがって、本プロジェクトは、JBIC「環境社会配慮 のための国際協力ガイドライン」および JICA「環境社会配慮ガイドライン」に照らし て、カテゴリ C に分類される。しかし、環境保全、生態保護の観点から影響が最小限 であると考えられる。また「ジェトロ環境社会配慮ガイドライン」においても「影響 があると考えられるもの」に分類できるが、その影響は極めて小さいものと考えられ る。 一方、地上波デジタル放送への移行における社会的な影響は、視聴者の一時的な混 乱や放送へのアクセス不可等であるが、政府・民間が一体となって対策を行うことで 回避できる。すなわち、公共放送局と民間放送局が足並みを揃えて、地上波デジタル 放送に移行し共存していくことは、社会的な正の影響が期待できる。 本プロジェクトにおいては、送信所設備や中継所設備の整備にあたって、環境影響 評価手続きが必要となる。手続きは施設ごとに行うこととなる。EIA の実施の有無に ついての判断が SEAM により行われる。また、事業の実施にあたって環境ライセンス を取得する必要がある。環境ライセンスは、事業に関する CONATEL の承認および市 役所に対する建築関係手続きの際に必要となる。したがって、プロジェクトを円滑に 進めるためには、これらの手続きの前に環境影響評価(EIA)手続きを終了しておく 必要がある。 さらに、プロジェクトの円滑な進行を考えると、EIA に対する住民の意見やそれに 基づく関係者協議に要する時間を最小限とすることが重要であるため、事業者が事業 内容や環境影響について、住民に自主的に説明を行っていくことが望ましい。 vi 要約 (4) 実施スケジュール 「パ」国政府が迅速な地上波デジタル化を望んでおり、早急に円借款支援への要請がな されることを想定し作成した。 実施スケジュールの概略は下記の通りである。 - プロジェクト準備期間(JICA の協力準備調査開始時)からプロジェクト完了まで: 62 ヶ月 - プロジェクト実施期間: 41 ヶ月 - コントラクターの作業期間: 26 ヶ月 JICA による協力準備調査の実施を想定しており、その調査を受けて「パ」国政府内で計 画承認に関する手続きが行われるため、協力準備調査実施中に「パ」国政府関係機関と連 携しながら、手続きに遅延が発生しないよう配慮する必要がある。 なお、本プロジェクトが官民連携事業として実施される場合、前述のスケジュールと異 なり、全体スケジュールが早まることが想定される。また、官民連携事業として日本政府 で承認された後に、追加 F/S を実施することも考えられることから、その場合は、パラグ アイ政府と柔軟でかつ迅速な実施スケジュールについて、別途検討する必要がある。 vii (5) 円借款要請・実施に関するフィージビリティ SICOM は設置されて間もない組織のため、体制構築はまだその途上であり、責務遂行の ためには職員の増員および能力向上が必要である。プロジェクトの運営管理を担当する人 材の配置が番組編成などを担当する内部の人材育成とともに急務となっている。 「パ」国政府予算は、2004 年以降、財政黒字が続いており、財政運営は安定しているが、 政府予算から開発支出に充てることのできる予算額はあまり多くはない。したがって、同 国政府は、地上波デジタル TV 放送網の構築のような社会経済基盤整備の資金調達につい ては、外部原資の活用を考えている。 円借款要請において決定権限を有する大蔵省と事前の技術評価を行う企画庁では、 「パ」 国内に有する技術だけで地上波デジタル放送の TV 放送網構築を行うことは困難であり、 資金援助とともに技術支援が必要としているため、SICOM が要請を行う場合は前向きに検 討する旨、調査時に確認している。SICOM ではすでに、円借款要請における必要事項につ いて、確認作業を開始しており、本調査結果についても強い関心を示している。 なお、米州開発銀行では、地上波デジタル放送網の整備に対して支援を行う予定はない 事が、聞き取り調査から確認されている。 viii 要約 (6) 我が国企業の技術面等での優位性 1. TV 放送網の品質および安定度の維持 TV 放送網は、番組を制作し、放送する番組を選択する設備を併せ持つ演奏所と送信 所・中継所および信号を伝送する伝送路から成り立っている。放送局では、これらの演 奏所と送信所・中継所および伝送路の一部もしくはすべての信号品質を管理しており、 それにより安定した放送を維持している。TV 放送網構築にあたっては、システムを構 築する際には接続点での不適合が生じることが多々ある。そのため実績に基づいた接続 の適否の確認・修正が行われている機器により TV 放送網を構築することが、プロジェ クトの円滑で確実な実行に結びつけるために必要である。 2. 長寿命 実績値の平均故障間隔(Mean Time Between Failures: MTBF)が優れているのは日本製 品と欧州製品であり、その他海外メーカーの機器では、計算値は良いが実際には故障が ちであるケースも散見される。ライフ・サイクル・コスト(Life Cycle Cost)を用いて整 備計画を立てた場合、わが国企業の送信機の販売実績が高くなっている。設備投資にお ける費用対効果の観点では、わが国企業の大きな優位点である。 3. 環境負荷に配慮した機器 わが国メーカーが製造する送信機は、電力増幅器の高効率化設計を実現している。ま た電力増幅器のデジタル補償技術による省エネ化が既に取り入れられており、電気料金 が運用経費の主要な部分である放送局にとって、省エネ設計は運用コストを低減するた めの重要な要素となる。省エネ設計においては、わが国送信機メーカーは海外メーカー より優れており、日本製品の優位点の一つである。 4. わが国企業の海外における新たな事業展開 本プロジェクトの実施は、わが国企業の「パ」国および南米地域における新たな事業 展開の促進につながると考えられる。メルコスール加盟国および準加盟国を考慮に入れ ると、成長中の大きな市場を見込むことができる。事業としては、 「放送番組制作機材、 送信機材等の販売」 「デジタル放送およびインターネットに対応したテレビ、セットトッ プボックス等の生産・販売」 「教育番組やドラマ、映画など番組ソフトの販売」「ワンセ グ対応携帯電話の販売」 「ベンチャー企業支援によるソフトウェア開発」等の分野につい て展開できる可能性がある。日本企業の製品は、現状では価格競争力に劣るが、将来、 「パ」国内テレビ等を組立てできれば、 「パ」国および近隣国で販売力を強化できる可能 性がある。 ix (7) 案件実施までの具体的スケジュールおよび実現を阻む リスク 「パ」国において円借款等の公的借款によるプロジェクトを要請するにあたっては、企 画庁および大蔵省においてプロジェクト選定・計画承認が必要となる。SICOM より要請書 類を受け取った企画庁は、プロジェクトの技術審査、国家計画との整合性を検討する。最 後に大蔵省が SICOM の債務返済および財務能力を評価した結果、最終的に要請承認とな った場合は、外務省を通じて、日本政府に正式な要請がなされる。 ただし、最終的に円借款等公的債務を伴うプロジェクトの実施を最終的に判断するのは 国会であり、円借款事業実施に係る最終承認も国会で審議・決定されることになる。その ため、円借款が実施される場合、政権の安定度が重要である。 また、 「パ」国の地上波デジタル放送を推進する上で、周波数割り当て、サービスエリア の検討などの支援を目的として早期に専門家派遣することが重要である。隣国との周波数 干渉等の問題はプロジェクトが実施される前に、排除しておかなければならない。 x 要約 (8) 事業実施地点図 本プロジェクトの実施地点は、下図の中に示されている各色円の中心となる。 xi 第1章 相手国、セクター等の概要 第1章 相手国、セクター等の概要 (1) 相手国の経済・財政事情 1. 地理、気候、人口等 a. 地勢 パラグアイ共和国(以下、 「パ」国)は、日本の約 1.1 倍にあたる 40.6 万 km2 の国 土面積を持ち、北部はボリビア、東部はブラジル、南部および西部はアルゼンチンと 接する内陸国である。本土は国土の中央を流れるパラグアイ川を挟んで大きく東部地 域と西部地域に分かれる。 チャコ地方と呼ばれる西部地域は、北西側のボリビア国境からパラグアイ川の西岸 まで極めて平坦な地形を有しており、パラグアイ川西岸には支流があるものの、チャ コ地方の中央部には大きな河川がほとんどない。同地域は国土面積の 60%を占めるが、 「パ」国人口のおよそ22%が居住しているだけで、面積の大半は未開発地域である。 また、同地方の土地は塩分を含み、降水量も尐なく、開発された農地は主に放牧地と して利用されている。 東部地域には、ブラジル国境側にアマンバイ山脈およびムバラカユ、中央部にカア グアスの 33つの山地があるが、標高は 700m 未満である。面積の大半は比較的なだ らかな傾斜を持つ丘陵地と平坦地で占められており、人口の 98%がこの地域に居住し ている。 「パ」国の経済活動の中心である首都アスンシオン、ブラジルとの国境にある シウダ・デル・エステ市、アルゼンチンとの国境にあるエンカルナシオン市もこの地 域に位置している。チャコ地方とは異なり、パラグアイ川東岸からブラジルおよびア ルゼンチンの国境側にあるパラナ川沿いの地域には、農業に適した肥沃な土地が広が っており、大穀倉地域として農業開発が進められている。 b. 気候 「パ」国の気候は、上述の地勢と同様にパラグアイ川を挟んで次の 22つに区分さ れる。 ① 西部地域(チャコ地方) チャコ地方は熱帯サバンナ気候に分類され、夏季(10 月~33 月)に集中して降 雨が見られる。年間平均降水量は 800~1,000mm と東部地域に比べると尐ないが、 夏季の月間降水量は東部地域を上回ることもある。年間平均気温は約 24℃であるが、 日較差は極めて大きい。月ごとでは 66月がもっとも気温が低く(10℃前後)、12 月にもっとも気温が高くなる(37℃前後) 。 ② 東部地域 東部は温暖湿潤気候に区分され、年間平均降水量は 1,100~1,800mm である。明 確な雨季・乾季の区別は見られないが、 77~88月にかけて比較的降水量が尐なく、 1-1 11~44 月および 10~11 月が多い傾向にある。年間平均気温は約 22℃であり、チ ャコ地方と同様に日較差は大きい。月ごとではチャコ地方と同様に66 月がもっと も気温が低く(10℃前後) 、12 月にもっとも気温が高くなる(34℃前後) 。 c. 人口 「パ国」人口は 6.2 百万人(2008 年、大統領府統計局推計)であり、民族の割合は 混血(白人と先住民)95%、先住民22%、欧州系22%、その他11%となっている。 宗教はカトリックが全体の約 90%を占めるが、信教の自由は憲法で保障されている。 国民の多くは東部地域に住んでおり、人口の尐ないチャコ地方33 県のうち、アルト パラグアイ県およびボケロン県の11km2 あたりの人口密度は11 人未満と非常に低い。 日本人移住者および日系人はおよそ 7,000 人であり、人口の多い東部地域に居住して いる。 「パ」国では、貧困線はアスンシオン市およびセントラル県、他の都市部、農村部 の地域別に月額所得で設定されている。2009 年に貧困線の見直しがなされ、以下のよ うに新たに定義されるようになった。 最貧困:アスンシオンおよびセントラル県 95,116 ガラニー以下(11 日約 0.63 ドル) 、他の都市部 94,648 ガラニー以下(1 日約 0.63 ドル) 、農村部 67,211 ガラ ニー以下(11 日約 0.45 ドル) 貧困:アスンシオンおよびセントラル県 185,968 ガラニー以下(11 日約 1.24 ドル) 、他の都市部 130,940 ガラニー以下(11 日約 0.87 ドル) 、農村部 111,124 ガラニー以下(11 日約 0.74 ドル) この新しい定義によって測定し直しされた大統領府統計局の数値によれば、全国の 貧困率は 2002 年で 49.7%であり、過去 10 年間でもっとも高かった。2002 年以降はほ ぼ低下傾向にあり、2008 年には 10 年前と同じ水準の 37.9%にまで低下している。地 域別に見ると、2002 年に都市部では 43.2%、農村部では 62.7%であり、2008 年にはそ れぞれ 33.7%、48.85%にまで低下している。 一方、極貧率を見てみると、全国では 2002 年が 24.4%ともっとも高く、2005 年に 16.5%にまで低下しているが、2006 年にはふたたび 23.7%にまで増加しており、2008 年で 19%となっている。 地域別に見ると、都市部では 2007 年の 15.4%がもっとも高く、2008 年には 10.6% にまで低下している。農村部では 2002 年の 39.2%がもっとも高く、2008 年には 30.9% にまで低下しているが、都市部との差は拡大する傾向にあり、 「パ」国の人間開発指標 の改善は、貧困削減の改善度合い、特に都市と農村の格差是正が大きく影響するもの と考えられる。 1-2 第1章 相手国、セクター等の概要 d. 言語 1992 年憲法第 140 条によってそれまでのスペイン語に加えてガラニー語が新たに公 用語として認められ、1994 年からは初等教育においてガラニー語の導入を定めたバイ リンガル教育計画が実施されている。2002 年国勢調査の結果によると、家庭で使用さ れている言語は、全国ではガラニー語が 59%ともっとも多く、その次にスペイン語の 35.8%となっている。地域別に見ると、都市部ではガラニー語 42.6%、スペイン語 54.9% とスペイン語の方が多く話されているが、農村部ではガラニー語 82.5%、スペイン語 8.5%と圧倒的にガラニー語を話す家庭が多い。 また、2008 年の家計調査によると、 「パ」国の非識字率は全国 5.1%、都市部 3.0%、 農村部 8.4%である。農村部における性別非識字率は男性 6.8%に対して、女性は 10.0% であり、特に農村部での男女差が大きい。 以上のことから、都市と農村における情報格差の是正においては、家庭で使用され ている言語や識字率が強く影響するものと考えられる。 2. 社会開発(政治・経済)の状況 a. 政治 大統領を元首とする立憲共和制国家であり、大統領の任期は55 年で、再選は禁止 されている。現行憲法は 1992 年憲法であり、大統領の再選禁止、行政権による議会解 散権の廃止など大統領権限を大幅に弱めて立法府に権限を委譲し、司法権の独立性を 確保するなど、三権分立の確立を図る内容となっている。立法権は二院制の議会に属 し、任期は55 年、定数は上院 45 議席、下院 80 議席である。司法権は最高裁判所に 属する。2008 年44 月の大統領選挙では、中道左派のフェルナンド・ルゴ・メンデス 元司教(野党連合「変革のための愛国同盟」 )が当選し、61 年ぶりの政権交代を果た した。 ドゥアルテ前大統領は汚職対策や税制改革等を推進し、経済の安定化には実績を挙 げたものの、失業・貧困の蔓延、治安問題等は改善しなかった。ルゴ新大統領は貧困 層への支援、汚職対策、公的サービスの改善、雇用促進などを公約に掲げて当選して いるが、国会との関係においては、尐数与党であることに加え、連立与党内での効果 的な連携の確保に困難がみられる。 b. 経済 アルゼンチン、ブラジルの両大国に依存している「パ」国経済は両国の通貨・経済 危機により大きく停滞したが、ドゥアルテ前政権では経済改革が進められ、2003 年 12 月には IMF のスタンド・バイ・クレジットについて正式合意がなされた(2006 年55 月に新たな取決めに合意) 。この合意に基づき、経済改革の面においても外貨準備高の 1-3 上昇、インフレの抑制、税収拡大等の成果が上げられ、同政権の経済政策は、IMF、 国際金融機関ほか、国際社会においてマクロ経済目標の達成度について高い評価がな されている。ルゴ新政権では、パラグアイ産品の市場拡大と国内への外資誘致に主眼 を置いた対外政策が展開されている。 「パ」国の主要産業は農業(大豆、穀物) 、牧畜業(食肉) 、林業であり、国民総所 得(Gross National Income:GNI)は 13.1 億 US ドル、一人当たりの GNI は 2,110 US ドル、GDP 成長率 5.8%、消費者物価指数上昇率 10%、GDP に占める産業別の割合は、 一次産業(農業)20.2%、二次産業(工業)18.3%、三次産業(サービス業)61.5%と なっている(以上、2008 年、世界銀行) 。 主要な輸出産品は下表に示すとおりである。 (表1-1)農業分野における主要輸出品目と輸出額 輸出額(百万 US ドル) 主な輸出品目 2007 年 綿花 2008 年 47,074 19,254 890,282 (対日輸出額 0.2) 大豆 1,485,314 (対日輸出額 0.7) 前年同期比 59.1%減 66.8%増 植物油 211,198 592,6033 180.6%増 小麦粉 218,6799 548,125 150.7%増 376,177 (対日輸出額 0.3) 穀物 食肉 374,253 (対日輸出額 0.2) 367,9928 621,6282 116,022 (対日輸出額 0.02) 木材 109,205 (対日輸出額 0.05) 0.5%減 68.9%増 5.9%減 注)各品目のパラグアイからの日本への輸入額を対日輸出額とした。対日輸出額の数値が ない品目については該当データなし。 (出典:大統領府統計局、2008 年統計年鑑、および JETRO 貿易統計データベース) 海外在住のパラグアイ人による送金、大豆・食肉輸出による外貨収入の増大から外 貨準備高は年々増加傾向にあり、2009 年 12 月には 3,860 百万ドルに達している。対外 債務残高については、直近 5 年間では 23.6 億ドル(2004 年)から 22 億ドル(2007 年) までは年々減尐していたが、2008 年からに 22.3 億ドルはとやや増加している(出所: 中央銀行経済統計) 。 また、 「パ」国はブラジルとの間にイタイプ・ダム、アルゼンチンとの間にヤシレタ・ ダムを有しており、それぞれのダム公団から支払われるロイヤリティ収入(ダム公社 から政府に支払われる公共補償金、水利権等)は同国政府の重要な財源の11 つとな っている。 1-4 第1章 相手国、セクター等の概要 3. 対外関係(貿易、投資、援助) 「パ」国はメルコスール(南米南部共同市場)に加盟しており、他の加盟国に比べて、 対メルコスールの貿易依存度が高く、貿易量はブラジルおよびアルゼンチンの経済状況 に左右される状況にある。輸出については、大豆以外に食肉の輸出が伸びてきている。 また、繊維製品や家具等の従来の輸出品とは異なる産品の輸出も増加してきている。 2007 年における対日輸出額は 41.9 億円であり、対日輸出主要品目は農産品(ごま、大 豆)である。特にごまに関しては、パラグアイからの輸入が全体の約 4 分の 1 を占めて おり、重要な供給源の 1 つとなっている。同様に、対日輸入額:47.9 億円であり、対日 輸入主要品目は 自動車、機械、化学製品となっている。対日貿易は 2001 年以降赤字で あり、2007 年は 380 億円の赤字となっている。 貿易に関する主要な指標は以下とおりである。 a. 貿易額 ・ 輸出:138 億ドル(2007 年、国家統計調査局) ・ 輸入:125 億ドル(2007 年、国家統計調査局) b. 主要貿易品 ・ 輸出:大豆、食肉、穀物、木材 ・ 輸入:機械機器、電子機器、原油・燃料、プラスチック c. 主要貿易相手国 ・ 輸出:アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、チリ ・ 輸入:ブラジル、中国、アルゼンチン、日本 d. 通貨 ガラニー e. 日本の援助実績と重点分野 2007 年度までのわが国の援助形態別の援助実績の累計は以下のとおりである。無償 資金協力、技術協力とも継続的に実施されており、2003 年から55 年間の無償資金協 力は年度によって金額は異なるが、技術協力は概ね十数億円規模となっている。有償 資金協力は、2003 年から55 年間において、2004 年にイグアス水力発電所建設計画に 対して約 210 億円の実績があり、 これまでの約 40 年間に 15 件が実施されてきている。 ・ 有償資金協力(2007 年度まで、E/N ベース) 1-5 1,344.38 億円 ・ 無償資金協力(2007 年度まで、E/N ベース) 298.33 億円 ・ 技術協力実績(2007 年度まで、技術協力年度経費ベース) 765.28 億円 また、 「パ」国の国家戦略や開発課題を踏まえ、2007 年77 月に第44 回現地 ODA タスクフォースによる政策対話が実施され、貧困対策、持続的経済開発、ガバナンス の33 つを援助重点分野とし、それに基づく以下の開発課題について協力を行うこと が確認されている(外務省国別データ) 。 ・ 貧困対策:人間開発、貧困層の生計向上 ・ 持続的経済開発:雇用創出、環境 ・ ガバナンス強化 貧困対策分野では、技術協力プロジェクトによる看護・助産継続教育強化計画、小 開発調査による農家自立支援として小農支援のための総合的農村開発計画などが実施 されている。持続的経済開発分野では、経済・社会インフラを充実するため無償資金 協力による貧困農村地域地下飲料水開発計画、草の根技術協力事業による縫製技術向 上による女性の収入増加プロジェクトなどが実施された。また、ガバナンス強化分野 では、技術協力プロジェクトによる地方自治体行政能力向上支援などが実施されてい る。 「パ」国へは 1936 年に邦人移住者の入植が始まり、現在約 7,000 人の日系人移住者・ 在留邦人が在住している。同国との関係は極めて友好的な関係にあり、安定した協力 関係を維持することは重要であることから、継続的な支援が実施されてきている。 f. 主要援助国(2006 年) 「パ」国の主要援助国はわが国を除けば米国、スペインであり、1976 年以来、2004 年を除き、わが国が最大の援助国となっている。下記に、2002 年から55 年間の主要 援助国の援助実績を示す。 (表1-2)主要援助国と実績 (支援純額ベース、単位:百万ドル) 暦年 11 位 22 位 33 位 2002 年 日本 26.82 米国 11.24 スペイン 4.09 うち日本 26.82 合計 50.83 2003 年 日本 20.22 米国 12.17 スペイン 11.74 20.22 55.43 2004 年 米国 14.83 スペイン 6.39 カナダ 2.05 -3.28 26.44 2005 年 日本 27.47 米国 9.15 スペイン 7.05 27.47 54.97 2006 年 日本 25.92 米国 17.63 スペイン 9.81 25.92 62.13 (出典:OECD/DAC、外務省国別データブックより) 1-6 第1章 1-7 相手国、セクター等の概要 (2) プロジェクトの対象セクターの概要 1. 対象セクター現況 本プロジェクトにおける対象セクターは、通信・放送セクターであり、2011 年55 月 公共放送設立およびアナログ・デジタル両波のサイマル放送実現に向け、マスタープラ ン作成が行われている。 a. 通信・放送セクターの政府における管理体制 「パ」国では、通信・放送に関しては、1995 年法律第 642 号電気通信法(Ley de Telecomunicaciones)が基本となる。 この法律の第 16 条~18 条に基づき 1995 年創設された国家電気通信委員会 (National Telecommunication Board:CONATEL)は、免許料および電波利用料にて運営されてい る独立した規制監督機関であり、電気通信に関する法令公布、事業認可、免許付与、 サービス料金や税金に関する事項など電気通信事業全般の規制監督を行っている。電 気通信事業の基本サービスは、電気通信法第 21 条~26 条、放送サービス第 27 条~45 条、その他サービス第 46 条~61 条で定められ、各サービスへの事業認可・免許付与 制度については、第 62 条~73 条に基づき実施されている。 放送行政に係る体制については、CONATEL の諮問機関として放送委員会(Consejo de Radiodifusion)が周波数割当てや放送に関する規制、改定に関する検討を行い、 CONATEL が法令公布・事業規制管理等を実施する。 一方、2010 年66 月11 日、大統領令により、日本で開発された方式である Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial(ISDB-T 方式)の採用を契機に「発展のための 情報通信庁(Secretaria de Informacion y para el Desarrollo: SICOM) 」が公共放送設立に 向けた実作業を開始し、同年 8 月に公共放送設立に関する大統領令が公布された。現 状は、SICOM 内部に公共放送を担当する部署を持ち、今後、公共放送に関する設立委 員会によって、明確な公共放送像を検討することになっている。 なお、地上波デジタル TV の周波数割当等の決定は、大統領令により CONATEL が 行うことになる。 b. 将来放送規格の検討 国際電気通信連合(International Telecommunication Union:ITU)は、2015 年を目処 にして、地上波放送のデジタル化を世界各国に勧告している。これはアナログからデ ジタルへの周波数の変更により、周波数の有効利用を行うことを目的としており、日 本や欧米先進国では、既に地上波デジタル放送が開始されている。 「パ」国においても隣接国であるブラジル、アルゼンチンが ISDB-T 方式による地 1-8 第1章 相手国、セクター等の概要 上波デジタル放送を既に開始しており、 「パ」国 ISDB-T 方式採用決定の大きな要因の 一つとなった。 地上波デジタルの周波数割り当てについては、 現在 CONATEL がドラフトを作成し、 隣国のブラジルおよびアルゼンチンと調整中である。周波数帯は UHF で、現在 20ch 以下と 40ch~50ch で検討している。また、21ch~39ch は CATV、51ch~69ch は移動 体通信に利用予定である。公共放送用の周波数は既に割り当てられているが、 「パ」国 内 の 民 間放 送 局 の周 波数 割 当 は入 札 方式 に なる 予 定 であ る 。民 間 放送 各 局は CONATEL の周波数割当計画の公示を待っている状況にある。 2. 公共放送の設立と法的枠組み 「パ」国の TV 放送事業は、1965 年に民間企業によって開始された。現在大手民間放 送局66 局により、全国向け地上波放送が行われている。地方の民間放送局は大手民間 放送局と提携し、大手放送局の中継局の役割を担うとともに、独自に CM 収入を得て地 方ニュースや生活情報番組を放送している。送信・中継設備等は大手民間放送局から提 供されている。殆どが尐人数の事業体で、地域住民が必要としている教育、保健、農業 などテーマごとに深く掘り下げる必要がある番組の制作に取り組むには体制が脆弱であ り困難である。そのため、地域住民が生活に必要とする情報は非常に限られており、情 報格差を生む原因の一端となっている。 「パ」国政府は、こうした情報格差の是正に寄与するため、2010 年88 月 30 日、均衡 のとれた社会・経済開発と「パ」国民の地域統合を目的として国営ラジオとテレビを統 一し「パラグアイ公共テレビ放送網(Radio y Televisiόn Nacional del Paraguay: RTNla Red Nacional de Television Publica del Paraguay: RTP) 」を設立する大統領令を公布した。設立 の実務を行うのは、大統領府直轄の SICOM となる。 SICOM は、受信料は無料で全ての視聴者がアクセス可能であり、一般国民に向けた番 組編成を目指すとしている。さらに地上波デジタル放送導入を視野にいれた事業によっ て、「パ」国人口の 90%以上をカバーすることができるとしている。 放送開始は 2011 年55 月を目指しており、アナログ・デジタル(試験放送)同時送信 のサイマル放送となる予定である。 公共放送運営資金は国家予算から直接割り当てられる。公共放送に対してはイタイプ およびヤシレタ公団や各省庁の広報映像の制作・放送が検討されており、これらのサー ビス提供から得られる資金は番組制作の発展と強化に充てることが計画されている。 3. 公共放送局および民間放送局による事業の現状 「パ」国における最初の TV 放送事業は、1965 年、El Sistema Nacional de Television:SNT (Ch9)によるものであった。その後 Canal13(Ch13) 、Red Guarani(Ch2) 、TELEFUTURO (Ch4) 、PARAVISION(Ch5)、LATELE(Ch11)が放送を開始した。現在この66 放送 1-9 局によって、地上波アナログ放送が行われている。 Red Guarani は宗教団体を母体にした放送局であり、その他の放送局は個人株主や企業 体が所有する。 「パ」国にはテレビ放送連盟は存在せず、テレビ放送に関する技術的とり まとめを最大手民間放送局である SNT が行っている。 地上波デジタル化への各局の対応に関しては、局内設備のデジタル化は進んでいるが、 送信はアナログに変換して行われている。今後は周波数の割当が決まれば、送信機のデ ジタル化を実施する必要がある。ただし、先進国が支援の一環として行っている地上波 デジタル研修等については、現段階では受講しておらず、技術者が個人で知識を習得し 業務を行っている。安定した TV 放送網を構築するために、今後はデジタル化に関する 実務レベルの技術習得について、 「パ」国政府による対応が求められる可能性もある。 合わせて、CONATEL による周波数割当計画が迅速に行われ、それにより各局は調達 すべき機材計画を立案し、資金計画を立てる必要がある。地方の民間放送局は基本的に 大手民間放送局の番組を放送しているため、大手民間放送局と地方民間放送局も足並み を揃えて、今後の地上波デジタル化を進めていきたいとしている。 そのため、多額の資金を要する TV 放送網構築の負担を軽減するため、新たに設立さ れる公共放送局と民間放送局によるデジタル放送用電波塔の共有化が、SICOM および民 間放送局により今後検討される見通しである。 一方、 ケーブル TV はアルゼンチンの Clarin 傘下にある Cablevision (旧 MULITICANAL) による半独占状態にある。ケーブル TV 保有は都市部において 20%ほどであり、地方に おいてはごく僅かな富裕層にのみ視聴されている。インターネットの普及率は人口 100 人あたり 14.3 人(2008 年)にとどまり、南米地域では最も普及が遅れている。こうした現 状からも無料で視聴できる地上波デジタル放送網が全国に構築されることが必要である と SICOM では考えている。 1-10 第1章 相手国、セクター等の概要 (3) 対象地域の状況 本プロジェクトが実施された場合、放送設備・施設が設置・据付けられる首都アスンシ 書式変更: (1)の文 オン、地方部の大都市であるシウダ・デル・エステおよびエンカルナシオンの概要を述べ る。 1. アスンシオン アスンシオンは、標高約 53m、パラグアイ川の東岸に位置し国際貿易港を有する「パ」 国の特別区である。人口は約 51 万人(2002 年)であり、 「パ」国最大の都市である。 アスンシオンの年間平均気温は約 22.8 度(2009 年)であるが、真夏(11 月~33 月) には 40 度近くになり、真冬(66 月~88 月)には場所によっては降霜が見られること もある。一方、真冬の77 月に 30 度を越す気温の日もあることから一日の寒暖の差が激 しい。月平均降水量は 118.7mm であり、55 月が最も多く 361.8mm、44 月が最も尐な く 27.0mm である。 (表1-34)アスンシオンの平均気温と降水量(2009) 月 11 22 33 44 55 66 77 88 99 月 月 月 月 月 月 月 月 月 26.4 27.0 27.2 24.3 20.5 15.5 14.9 19.2 80.5 199.4 36.8 27.0 361.8 50.9 151.5 44.4 10 月 11 月 12 月 平均 20.0 23.7 28.4 26.8 22.8 30.3 70.8 191.0 179.6 118.7 書式変更: 行間 : 固定値 15 pt 気温 (℃) 降雨量 (mm) 書式変更: 行間 : 固定値 15 pt (出典:航空局/DINAC) 2. シウダ・デル・エステ、エンカルナシオン a. シウダ・デル・エステ(Ciudad del Este) ブラジルとの国境の町シウダ・デル・エステは、1957 年に開発され、1970 年代~80 年代に首都アスンシオンに次ぐ大都市へと成長した。 「パ」国の東部、首都アスンシオ ンから東に約 330km、 パラナ川の右岸に位置し、 標高は約 185m、 人口は約 22 万人 (2002 年)であり、世界第22 位の発電量を誇るイタイプダム(ブラジルとの共同開発)が ある。 パラナ川経由の輸出入により、 「パ」国の商業の中心地となっており、メインストリ ートには衣料、電気製品、化粧品、台所用品など、ブラジルやアルゼンチンなどと比 べて非常に物価が安いこともあり、パラグアイ人だけではなくブラジル人など多くの 人々で賑わう。 平均気温は 22.6 度であるが、一日の寒暖の差が激しい。月平均降雨量は 133.7mm 1-11 であり、33 月が最も多く 288.7mm、55 月が最も尐なく 2.3mm である。 (表1-45)シウダ・デル・エステの平均気温と降水量(2006) 月 11 22 33 44 55 66 77 88 99 月 月 月 月 月 月 月 月 月 27.6 26.4 25.6 22.1 16.4 18.6 19.6 18.6 255.0 56.7 288.7 100.2 2.3 76.1 32.4 84.0 10 月 11 月 12 月 平均 19.4 24.9 24.8 27.7 22.6 131.0 193.6 124.2 259.6 133.7 書式変更: 行間 : 固定値 15 pt 気温 (℃) 書式変更: 行間 : 固定値 15 pt 降雨量 (mm) (出典:航空局/DINAC) b. エンカルナシオン(Encarnación) エンカルナシオンは、 「パ」国の南東部、アスンシオンから南東約 370km、アルゼ ンチンとの国境をなすパラナ川沿いに位置するイタプア県の県都である。 「パ」国第3 3 の都市であり人口は約99 万人(2002 年) 。標高は約 85m、平均気温は 21.2 度であ り、77 月が最も低く 12.0℃、 11 月から33 月は約 26℃である。 月平均降水量は 159.2mm であり、11 月が最も多く 400.1mm、33 月が最も尐なくて 12.0mm である。 イタプア県は「パ」国の穀倉地帯として農業が盛んであり、豆と小麦を中心に大規 模農業が繰り広げられている。住民は日本人移住者に加え、ドイツ人、ポーランド人、 韓国人、ロシア人、ウクライナ人など多様であり、農業や商業に従事している。 世界第77 位の発電出力(3,200MW)を誇るヤシレタダムがある。 (表1-56)エンカルナシオンの平均気温と降水量(2009) 月 気温 (℃) 降雨量 (mm) 11 22 33 44 55 66 77 88 99 月 月 月 月 月 月 月 月 月 25.6 26.0 25.5 22.5 19.2 13.3 12.0 17.7 108.9 166.2 12.0 46.6 134.2 109.0 167.5 173.8 10 月 11 月 12 月 平均 18.5 22.3 26.0 26.2 21.2 229.0 133.0 400.1 229.6 159.2 書式変更: 行間 : 固定値 15 pt 書式変更: 行間 : 固定値 15 pt (出典:航空局/DINAC) 1-12 第2章 調査方法 第2章 調査方法 (1) 調査内容 1. 調査概要 パラグアイ公共放送局の設立に伴う設備・機材の整備および地上波デジタル放送に対 応した TV 放送網の整備に関する検討を行う。また農業、医療・公衆衛生、教育等、国 民に必要な番組を放送するために必要な技術移転の実施を検討する。 「パ」国の人口を全てカバーするには、既存の民間放送局の中継所の設置状況および SICOM で作成している企画書(対人口比 90%をカバー)から 23 箇所の中継所が必要で あると考えられる。一方、 「パ」国国内の人口分布は北部ほど人口過疎地域が多くあり、 効率的な TV 放送網の構築には、さらなる検討が必要と推察される。 そのため、本プロジェクトにおける TV 放送網の構築は、効率的な放送サービスエリ アの確保と費用対効果の観点をベースに検討し、わが国特有の活用可能な技術の適用に ついて同時に検討し、プロジェクトを実施する場合の条件整備を行う。また、本プロジ ェクトに必要な具体的な設備、機材の機能、効用等について「パ」国政府側と議論する ことにより、具体的かつ詳細なニーズを把握する。 検討の結果による設備、機材等については、3 章(3)プロジェクトの計画概要で述べる。 本調査に係る調査概要は、次に挙げる「円借款事業(本邦技術活用型-STEP)の妥当 性検証」 、 「設備整備に関する条件整備」 、および「公共放送が実施する番組による裨益効 果」の 3 つに大別される。 a. 円借款事業(本邦技術活用型-STEP)の妥当性検証 プロジェクトの背景、先方政府のニーズを踏まえた必要性、プロジェクトが実施さ れた場合の財務・経済分析、環境社会配慮における留意点、わが国企業の技術的優位 性および案件実施に至るスケジュール等について確認し、本邦技術活用型(STEP)円 借款プロジェクトとしての妥当性を検証する。 b. 設備整備に関する条件整備 設備整備に関する基本方針、プロジェクトの概要、設備設置地域(場所)の自然条 件、地上波デジタル放送移行手順(計画)、調達・施工に関する留意事項の有無等に ついて調査し、設備整備に関する条件整備内容について検討する。 c. 公共放送が実施する番組による裨益効果 SICOM を中心に「パ」国政府で検討中である公共放送のあるべき姿と国民に必要な 番組内容について考察し、公共放送設立に関する条件整備を行う。特に、情報が十分 2-1 に行き届かない地方について、情報入手手段等の現状を調査する。 調査対象国はパラグアイ共和国、また近隣諸国の地上波デジタル放送移行の取組み 状況をブラジル、アルゼンチンにて調査する。 2. 調査項目 a. 基本情報の整理 ① 放送セクターの概要(首都およびその他の地域の民間放送局の放送状況等を含 む) ◎ 首都:アスンシオン ◎ その他の地域:シウダ・デル・エステ、エンカ ルナシオン、イグアス ② パラグアイの基本情報収集(人口の分布とその言語、民族グループ、主な産業、 情報格差の状況等) ③ プロジェクトサイトにおける自然条件 ④ 周辺国の地デジ化移行の状況およびパラグアイに対するドナーの支援状況 周辺国:ブラジル、アルゼンチン b. 地上波デジタル放送移行計画 ① 放送セクターのマスタープラン作成進捗状況確認 ② 地上波デジタル放送移行手順確認・検討 c. 提案プロジェクトの検証 ① プロジェクトニーズの確認 ② 公共放送のあるべき姿の検討(地方都市、遠隔地のニーズに配慮する) ③ 公共放送局に適した番組の検討(地方都市、遠隔地のニーズに配慮する) ④ 機材および設備の概念設計、適用仕様、建設費・維持管理費等の検討 ⑤ 調達・施工に関する留意点確認 ⑥ 必要な技術移転の検討 ⑦ 我が国企業の技術的優位性の検討 d. 環境社会配慮 ① パラグアイの環境社会配慮関連法規の確認 ② プロジェクトが環境社会面へ及ぼす影響の検討 e. 財務・経済的効果および実現可能性検討 f. 円借款へ向けたアクションプランの検討 2-2 第2章 調査方法 (2) 調査方法・体制 1. 調査方法 a. 相手国の経済・財政事情 文献調査、関係機関、関係先へのインタビューにより関連情報を収集し、分析を行 った。 b. プロジェクトの対象セクターの概要 本プロジェクトの対象である、放送セクターにおける法制度、組織体制、活動計画、 予算などについて、文献調査、関係先へのインタビューにより情報収集、分析を行っ た。 また、その他公共放送に関係する機関における組織体制、活動計画、予算等につい てもインタビューにより情報収集、分析を行った。 c. 対象地域の状況 SICOM と検討した結果に基づき、対象地域は、本プロジェクトで機材を設置する場 所(アスンシオン、シウダ・エル・エステ、エンカルナシオン、3 送信所、16 中継所) や電波受信可能地域となるが、それらの地域について気象条件、自然条件、経済社会 的特性・世帯の生計状況、インフラの整備状況、メディアの利用状況、教育の状況な どについて文献調査、関係者への聞き取りなどにより情報収集、分析を行った。 2. 調査体制 以下の団員で調査を実施した。 (表2-1)調査団メンバー一覧 氏名 役割(タイトル) 南部 尚昭 総括/放送事業近代化計画 プロジェクトの総括を行う。 下村 明弘 副総括/経済・財務分析 経済財務面の現状調査および分析を行う。 和田 益雄 地上波デジタル放送 システム構築 放送サービスエリア計画 既存の状況および技術力を分析し、地デジ放送 システムの概念設計を行う。 現状の公共放送ニーズを分析し、放送サービス エリアを検討するとともに送信所・中継所候補 地の条件整備を行う。 当該国の通信事情を分析し、本局から送信所・ 中継所に伝達する伝送回線網の検討を行う。 柏倉 宏聿 (再委託) 田中 清房 伝送回線網計画 役割 2-3 氏名 役割(タイトル) 山崎 順吉 資金調達計画 村山 拓也 環境・社会分析 上野 智之 社会分析 小田 幸司 放送施設計画 新地 貴博 組織・制度 臼田 真也 人材育成計画 池上 智仁 放送機材調達計画 夏井 美貴 放送コンテンツ計画 安部 道 公共放送経営・運営 注) 役割 公共放送として、政府資金を含め、安定した資 金・財源の確保方策を、 「経済・財務分析」と 協力して検討する。 環境面、社会面(情報格差の状況等)の現状分 析を行う。 社会面(情報格差の状況等)の現状分析を「環 境・社会分析」担当者と共同して行う。 送信所および中継所建設に関する条件整備を 行う。また「環境・社会分析」担当者と協力し て、建設に伴う環境面の配慮などを検討する。 法律を含めた組織制度に関する現状調査・分析 を行う。 公共放送設立に伴う必要な人材育成制度等を 検討する。 プロジェクトに必要な設備・機材を検討し、機 材調達および概算経費の積算を行う。 当該国の放送番組に対するニーズを調査し、地 上波デジタル放送による放送の効果的実施を 検討する。 公共放送に必要な経営および組織運営コンセ プトを検討する。 の背景の団員は、国内作業のみ 2-4 第2章 調査方法 (3) 調査スケジュ-ル 調査スケジュールは以下の表の通りである。 (表2-2)調査スケジュール 2010年 活動項目 (国内作業) 7月 8月 9月 ①基本情報の整理 ②公共放送設立及び地上波デ ジタル放送移行計画概略設計 ③財務的実行可能性の検討 ④円借款へ向けたアクションプ ランの検討 ⑤報告書作成 (現地作業) ①基本情報の収集及び整理 ②地上デジタル放送化に向け た技術・財務的検討・協議 ③設計・積算に関する調査 ④環境社会配慮調査 ⑤提案プロジェクトの検討 ⑥円借款へ向けた協議 2-5 10月 2011年 11月 12月 1月 2月 スタイル定義: 図表番号 第3章 プロジェクトの内容および 技術的側面の検討 書式変更: スタイル 章タイトル + 左 : 5 字 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 書式変更: 間隔 段落後 : 1.5 行 (1) プロジェクトの背景・必要性等 書式変更: 左 : 32 mm, 右 : 32 mm, 上 : 25 mm, 端からヘッダーまでの距離 : 12 mm, 端からフッターまでの距離 : 15 mm, 文字数と行数を指定 1. プロジェクトの範囲、プロジェクトが提供する製品・サービスの中心的な需要家層 パラグアイ国民の生活のための主要な情報源として、テレビ、ラジオ、固定電話、携 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 帯電話、新聞、雑誌、インターネット等のメディアがあり、さらに保健所や農協、学校、 行政窓口などが情報媒体としての役割を果たしている。 近年は、携帯電話とインターネットの普及が著しく進んでおり、(表3-1)に示す 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 ように、2000 年と 2008 年を比較すると、人口 100 人当たりの携帯電話普及数は 15.3 台 から 95.5 台に増加(およそ 6 倍)し、人口 100 人当たりのインターネット利用者数も 人から 14.3 人に増加(およそ 20 倍)した。固定電話の契約数(7.9)よりも携帯電話契 約数(95.5)の方が圧倒的に多く、加入電話に比べ導入が容易で、持ち運べるだけでな く、ショートメッセージなどの付加機能を持つ携帯電話の爆発的な普及が見て取れる。 インターネットは、都市部を中心に広域で利用可能であるが、パソコンの操作技能が必 要な上に、通信料も比較的高額なためまだ利用者数は尐ないが、増加傾向を辿っている。 テレビの世帯普及率については緩やかに増加しているものの、ラテンアメリカ・カリ 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 ブ地域の平均 88%を大きく下回っている。これは農村部での地上波TVTV 放送の受信 状態が思わしくないこと、そのためTVTV 放送用の衛星受信装置が家庭でも必要な場 合があり貧困層には購入が厳しいことが影響していると考えられる。 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 (表 3--1) パラグアイの情報通信分野: 2000 年と 2008 年の比較 パラグアイ ラテンアメ リカ・カリブ メディア 2000 年 2008 年 2008 年 固定電話回線(100 人当たり) 5.3 7.9 18.5 携帯電話契約者数(100 人当たり) 15.3 95.5 80.3 固定インターネット回線契約者数(人口 100 人当たり) 0.5 1.7 6.2 テレビ世帯普及率(%) 72 79 携帯電話利用者状況(分/11 利用者/11 ヶ月) 62 インターネット利用者数(人口 100 人当たり) 0.7 1 人あたりの GNI (US$) 1,350 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 表の書式変更 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更 ... 書式変更 88 ... 書式変更 ... 244 114 書式変更 ... 14.3 28.9 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 2,110 6,768 (出典:世界銀行ホームページ ICT At-a-Glance) 書式変更 (TELEFUTURO) 、Canal 13(Teledifusora Paraguaya) 、Canal 2(Red Guarani / 宗教団体 ... 書式変更: 標準、インデント : 左 : 3.7 mm, 最初の行 : 3.1 mm, 英単語の途中で 改行しない 系の非営利団体)は、衛星回線を利用した TV 放送網を有し、それぞれが人口の 9 割程 書式変更 度をカバーしてテレビ放送を行っているが、地方部の送信所から遠い地域では電波の受 書式変更: インデント : 左 1 字, 最 初の行 : 1 字 一方、大手民放テレビ局である Canal 9(Sistema Nacional de Television)、Canal 4 3-1 ... 信状態が悪く画像や音声にノイズが多い。民放ケーブルテレビ局の UNICANAL も衛星 回線を利用し、チャコ地域を含む全国の主要都市をカバーして放送を行っているが、視 聴には加入料金が必要なため加入世帯数は 11.1%と尐ない。 下表(3-2)に民間放送局の運用状況を示す。 (表3-2)「パ」国民間放送局の運用状況 局名 Sistema National de Television Red Guarani Telefuturo Latele TV CH CH9 CH2 CH4 CH11 設立年 1965 年 2006 年 1997 年 2007 年 書式変更: 行間 : 固定値 14 pt 書式変更: 行間 : 固定値 14 pt 主要株主 個人株主 宗教系団体 企業体 企業体 人口カバー率 93% 80% 90% 35% 送信・中継所数 12 10 15 5 支局数 2 2 なし 1 従業員数 220 人 100 人 番組配信衛星名 SAT MEX SAT MEX (メキシコ) (メキシコ) 衛星帯域 5MHz 3MHz 6MHz 衛星使用料 20,000 ドル/月 7,000 ドル/月 24,000 ドル/月 技術系は共通で 32 人 330 人 52 人 インテルサット 貧困世帯の多くはテレビを所有しておらず、そのため貧困層の多い地方部におけるテ 書式変更: インデント : 最初の行 : 1 字, 左 1 字 レビ世帯普及率(55.1%)は、都市部のテレビ世帯普及率(84.8%)と比較して低い(出 典:2002 年国勢調査:Dirección General de Estadística, Encuestas y Censos) 、 (表3-3) 「パ ラグアイ国の概要と情報格差」参照)。 また、一般加入電話、携帯電話、ケーブルテレビ、パソコンおよびインターネットは 書式変更: インデント : 左 1 字, 最 初の行 : 1 字 地方部と比較して都市部で普及しており、地方部では、TV の世帯普及率が55 割を超え る程度であり、普及が遅れている状況が窺える。 「パ」国では、新聞・雑誌等も数多く出 版・販売されているが、流通は都市部が中心であり、地方部における情報ソースは極め て限定的で、ラジオおよび TV 放送が最も重要な情報ソースである。 「パ」国のテレビ放送は大手民間放送局が行っており、それらの放送局の多くは、大 書式変更: インデント : 最初の行 : 1 字, 左 1 字 資本および関連企業、政治支援団体、宗教団体等と何らかの関係をもっている。そのた め、テレビ放送の公共性(正確性・公正性・中立性)が必ずしも確保されていないとい う課題があり、放送内容が商業的・通俗的で娯楽番組に偏り過ぎているという批判も多 い。 こうしたことから、 「パ」国には二種類の情報格差、 「富裕層と貧困層の情報格差」と 3-2 書式変更: 1.文 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 「都市部と地方部の情報格差」があるといえる。様々な情報サービスを享受することが 書式変更: インデント : 左 1 字, 最 初の行 : 1 字 できない国民(貧困層や地方在住者)は、教育や保健衛生、交通安全、産業育成等につ 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック いて適正な知識や情報を迅速に得ることが難しく生活改善や健康維持、所得向上が阻害 されている。 「パ」国の包括的な開発を促すには、市民生活に必要な情報を迅速に提供で 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック きる公共放送の設立が望まれており、商業主義に影響を受けず、また政府と一線を画し 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック た公共放送を目指して準備が進められている。 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 本プロジェクトは、地上波デジタル放送による全国の TV 放送網を構築するとともに、 公共放送を設立することにより、教育や保健衛生等に関する生活に必要な情報を国民に 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 提供するものである。これにより、公共サービスの向上および情報格差の是正に寄与す 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック ることが見込まれる。そのため、そのため、本プロジェクトの中心的な需要家は国民全 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 体であり、特に貧困層で衛星 TV 放送に加入しないと TV 放送を充分視聴できない地方 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 在住者である。 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック (表3-3)パラグアイ国の概要と情報格差(2002 年) 全 国 都 市 地 方 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 1,098,005 643,920 454,085 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック テレビ世帯普及率 72.6% 84.8% 55.1% 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 一般加入電話普及率 16.7% 27.0% 2.0% 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 携帯電話普及率 32.3% 43.4% 16.5% 衛星放送受信用アンテナ世帯普及率 3.5% 2.9% 4.4% 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック ケーブルテレビ加入世帯普及率 11.1% 18.5% 0.7% パソコン世帯普及率 6.4% 10.5% 0.7% 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック インターネット利用世帯普及率 1.7% 2.8% 0.1% 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 総世帯数 (出典:2002 年国勢調査:Dirección General de Estadística, Encuestas y Censos) 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... で採用が決定されて以降、南米各国で次々に採用されている。現在、ISDB-T 方式を採用 書式変更 ... した南米各国の状況は次表(表3-4)の通りである。 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 6 月に ISDB-T 方式の採用を決定したのは、ブラジル、アルゼンチンが既に ISDB-T を採 書式変更 ... 用しデジタル放送を開始していることが大きな要因の一つである。 書式変更 ... 2. 現状分析、将来予測、プロジェクトを実施しない場合に想定される問題 地上波デジタル放送への移行に対する世界的な潮流の中で、ISDB-T 方式はブラジル 「パ」国はブラジル、アルゼンチン、ボリビアと隣接している。 「パ」国が 2010 年6 「パ」国、ブラジル、アルゼンチンの33 国はメルコスール(南米南部共同市場)と 呼ばれる関税同盟の加盟国であり、地域内での関税撤廃、域外共通関税を実施している。 3-3 書式変更: スペイン語 (パラグアイ) 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... ブラジルとはイタイプ・ダム、アルゼンチンとはヤシレタ・ダムを共同開発し、人口が 尐なくインフラ整備が遅れているパラグアイは両国に余った電力を売電しており、その 収入が貴重な国家財源となっている。「パ」国では歴史的に見ても、ブラジル、アルゼ 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック チン両国との交易が盛んに行われてきており、現在も輸出入とも主要相手国となってい 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック る。 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 放送においても、ブラジル、アルゼンチンとの国境付近では両国の放送電波を受信し 視聴されているが、コンセプシオン県などのブラジルとの国境地域では、「パ」国通信 ンフラ整備の遅れから、ブラジル側の TV 放送しか受信できず、国内における情報格差 が生じるといった問題も起きており、本案件の重点対象地域の一つとなっている。 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック (表3-4) 南米各国の地上波デジタル放送移行状況 No. 1 2 3 国名 ブラジル ペルー アルゼンチン 状況 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 2006 年 6 月 ISDB-T 方式採用 2007 年 12 月本放送開始 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 公共放送局の設立準備中、現在 33 都市で放送 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 2007 年から 2016 年の 10 年間を移行期間としている 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 2009 年 4 月 ISDB-T 方式採用 2010 年33 月本放送開始、ATV 等有力民放も放送開始 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 2009 年 8 月 ISDB-T 方式採用 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 2010 年44 月本放送開始、国営放送が現在首都圏を完了し、のみ 4 チリ 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更 で地デジの地方展開中実施。2010 年末までに66 都市で実施予定。 ... 書式変更 ... 2015 年までには 400 都市で実施予定 書式変更 ... 教育テレビの充実を目指している 書式変更 ... 貧困層向けに STB126 万台を配布予定 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 2009 年 9 月 ISDB-T 方式採用 首都サンチャゴで試験放送中 (国営 TVN、民放 CH13, CH11, CH9, CH4) 5 ベネズエラ 2009 年 10 月 ISDB-T 方式採用 ISDB-T 方式採用 書式変更 ... 6 エクアドル 2010 年 3 月 ISDB-T 方式採用 書式変更 ... 首都キトで試験放送中 書式変更 ... 2010 年 5 月 ISDB-T 方式採用 ISDB-T 方式採用 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 2011 年 5 月からサイマル放送実施予定 ... 書式変更 ... 2010 年 7 月 ISDB-T 方式採用 書式変更 ... 2010 年 12 月 ISDB-T 方式採用 ISDB-T 方式採用 書式変更: フォント : 9 pt 7 8 コスタリカ パラグアイ 2010 年 3 月 ISDB-T 方式採用 ISDB-T 方式採用(2010 年66 月) 公共放送局は、2011 年55 月に設立 9 109 ボリビア ボリビアウル 書式変更: 標準 グアイ 書式変更: フォント : 9 pt 注)20100 年 129 月現在 書式変更: フォント : 9 pt (出展:調査団作成) 3-4 書式変更: 標準、行間 : 固定値 12 pt 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 地続きで交易・交流が盛んな当該地域で同一の TV 放送方式を採用することは、国を 跨り放送局間で番組・ニュース素材の交換が促進され、かつ交換時に方式変換の必要が 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 無いため、番組交換等に関る制作コストを低減でき、作業効率も向上する。また、 「パ」 国の多くの視聴者がそうであるように、衛星放送や国境沿いの地上波放送を受信して他 国の放送番組を見る視聴者も多い。これはこの地域のほとんどの国がスペイン語である ことから、容易にこのような状況を作り出している。地域で同一方式が採用されたため、 同じ地上波デジタル用の受像機によって、今までの視聴習慣を継続することができ、こ の点で地上波デジタル放送に移行することによる視聴者側の新たな不利益は発生しな と考えられる。 一方、ISDB-T 方式の大きな特徴は、走行中の車でも安定して放送を受信することが 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 可能であること、セグメント単位での運用が可能という点であり、11 つのチャンネル で固定体向けと移動体向けの放送サービスが実現可能であるという、欧州や米国方式に はない機能を有している( (表3-5)を参照) 〉。 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 (表3-5)日・欧・米地上波デジタル放送方式の特徴比較 特長 電波の帯域 電波の送り方 移動体受信(HD) 周波数の有効利用 SFN の実現 ゴースト・干渉・妨害 ゴーストノイズ耐性 日本(ISDB-T) 欧州(DVB-T) 米国(ATSC) 6MHz 7 or 8MHz 6MHz BST-OFDM OFDM 8 値 VSB ○ × × ○ ○ × ○ ○△ × ○ (実績なし) 周波数帯域内の柔軟性 (周波数帯域内の柔軟 づき修正しました。 △ 性階層伝送) ワンセグメント放送 コメント [I1]: 細かい点を総務省資料に基 × △ ○ × × 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 地上波デジタル放送への移行は、周波数の使用状況が過密になり空き周波数の確保が 難しくなっている中、周波数の有効利用を目的に実施されている。またデジタル化する 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 ことにより、多様なサービスを実現することも可能になり、情報通信技術の発展ととも に各国とも情報化の将来戦略として、地上波デジタル放送への移行を位置づけている。 例えば、周波数の有効利用の観点から言えば、携帯電話の基地局を大幅に増やすこと が可能になり、これにより、より多くの人々が同時に携帯を使用することができる。つ まり電波の過密状況による回線接続エラーが減尐することになる。また、携帯の使用周 波数帯域を広げることができ、スマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話など付加価値 のあるサービスの提供を拡大することができる。さらに、ワイヤレスのインターネット 3-5 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 アクセスのサービスも拡充可能で、どこにいても充分に情報ソースにアクセスできるよ うになる。 「パ」国では、周辺国の地上波デジタル放送移行と歩調を合わせ、ISDB-T の特徴であ 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 あるデータ放送やワンセグ放送を活用するとともに、携帯等、その他の情報ツールのサ ービス拡充により豊かな情報化社会を構築することを前向きに取り組むとしている。本 プロジェクトを実施しない場合は、これらの豊かな情報社会における各種サービスを国 民が受けられないということになる。 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 3. プロジェクトを実施した場合の効果・影響 本プロジェクトを実施した場合は、直接的な効果・影響と間接的な効果・影響に分け 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 ることができる。以下、それぞれの効果・影響について述べる。 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除 (a)a. 直接的効果・影響 全国放送網を持つ公共放送が、公共情報を中心とした国民に必要な生活情報を 書式変更 : 箇条書きと段落番号 提供することができるようになる。これにより教育、保健衛生、農業、産業育 成に関する情報が適宜、公共放送から国民に提供されるようになり、国民の生 活改善、健康維持および所得向上に貢献することができる。 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 (b)b. 間接的効果・影響 民間放送局の地上波デジタル化移行の促進につながり、 「パ」国全体での円滑な 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除 書式変更 : 箇条書きと段落番号 デジタル化移行が期待できる。それにより周波数の有効利用施策を実施するこ とができる。 周波数の有効活用が可能になり、情報通信インフラの整備において、さまざま な施策を検討することができる。 書式変更: インデント : 左 : 13 mm 参考までに、周波数の有効利用における一般的な事例を次に述べる。 携帯電話、インターネットの利用環境が大幅に改善される。これにより、携帯 電話の利用できるキャパシティ(同時に同地域で使用できる端末数)が大幅 に改善し、多機能携帯の利用促進が見込まれる。携帯、インターネットは、 書式変更: a.文 書式変更: 箇条書き + レベル : 1 + 整列 : 14.5 mm + タブ : 21.9 mm + インデ ント : 21.9 mm 書式変更 : 箇条書きと段落番号 どこでもブロードバンドにアクセスできるようになり、付加価値サービスの 利用が拡充する。 書式変更 : 箇条書きと段落番号 警察無線や病院無線などをブロードバンド化することが可能になり、例えば 書式変更 : 箇条書きと段落番号 カルテなどの情報を共有することが容易になり、公共サービスの充実が図ら れる。 書式変更: 標準、インデント : 左 : 3.7 mm, 最初の行 : 3.7 mm 3-6 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 4. 提案したプロジェクトとそれ以外に可能と考えられる他の選択肢との比較検討 提案プロジェクトは、放送を利用して、国民に必要な情報を提供するという性格のも 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 のである。そのため同様に、国民に必要な情報を提供し得る他の選択肢であるインター 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 ネットを通じた情報の提供を行った場合と比較をする。 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 「パ」国の場合、基本的にインターネットの回線網は都市部を中心に整備されている。 大半の地域では、その回線網は脆弱であるといえる。そのため、その他の選択として比 較する場合、全国を網羅できるインターネット網の構築が条件となる。 書式変更: 図表番号、インデント : 左 : 3.7 mm, 最初の行 : 3.7 mm 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: 標準、行間 : 固定値 15 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: 標準、中央揃え, インデント : 左 : 3.7 mm, 最初の行 : 3.7 mm, 行間 : 固定値 15 pt (表3-6)その他の選択肢との比較検討 整備が必要な インフラ 受益者負担 運用経費 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 想定される状況 提案プロジ スタジオ、主調整室、 受 像機の 購入 が 放 送機器 の維 持 国民に必要な生活情報の ェクト 送信所、中継所をすべ 管理、職員の雇用 提供について、 多くの政府 など費用大 系機関が協力をする予定 必要 て新設。投資大。 である。 情報内容が充実し、生活に 役立つ情報源となる。 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: 標準、インデント : 最初の行 : 3.7 mm, 行間 : 固定値 15 pt インターネ 全国各地へのインタ パソコンの購 放送機器と比 生活に必要な情報を提供 ットを通じ ーネット網敷設。投資 入、インターネッ べ ると機 器の 維 する関係機関の存在が不 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt た情報の提 大。(チャコ地域など ト接続料が発生 持 管理費 が極 め 明なため、現状 SICOM が 供 人口過疎地は費用対 て安価になる。コ 実施しているホームペー 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 効果が極めて低い。 ) ン テンツ を比 較 ジによる情報提供と比べ 的 手軽に 作成 す 大きな改善は見込めない。 ることができ、経 提案プロジェクトと比べ、 費負担が尐ない。 投資の割に生活に役立つ 情報源となるか疑問。 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: 標準、行間 : 固定値 15 pt 書式変更: フォント : 9 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: 標準、インデント : 最初の行 : 0 mm, 行間 : 固定値 15 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: 標準、行間 : 固定値 15 pt 書式変更: フォント : 9 pt 書式変更: 標準、インデント : 最初の行 : 3.7 mm, 行間 : 固定値 15 pt 書式変更: 標準、インデント : 最初の行 : 0 mm, 行間 : 固定値 15 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック, 9 pt 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: 間隔 段落後 : 1.5 行 3-7 (2) プロジェクトの内容等決定に必要な各種検討 1. 需要予測 60 年余り続いていたコロラド党による保守勢力支配が、2008 年 4 月に実施された大 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 統領選挙において、元カトリック司教で左派勢力の支持を受けたルゴ候補が勝利したこ とにより終わり、ルゴ政権が発足した。ルゴ政権は、貧困層への支援、汚職対策、公的 サービスの改善、雇用創出、治安改善等を掲げての勝利であり、その後、政府内部の汚 職摘発や公立病院における外来診察の無料化など、ここまで一定の成果をあげている。 ルゴ政権下では、国家開発計画は策定されておらず、政府開発方針である「2008-2013 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 年社会経済戦略プラン」を基に開発が進められている。同開発方針等によれば、開発の 重点分野は、経済開発、社会開発、行政機構の近代化、司法の独立強化、競争力強化、 農業改革、貧困削減、汚職対策等である。 公共放送設立は、政府開発方針の各項目に対し横断的に関連し、それぞれの開発課題 克服に貢献するための一種のツールとして捉えられている。また、民間放送局が営利主 義一辺倒であるために不十分となっている公共情報の提供について、教育、保健衛生、 農業関連情報などを市民にすばやく的確に提供できる情報ツールとして、公的サービス の改善の一部を担うものであると期待されている。そのため、公共放送の設立と公共放 送の全国 TV 放送網構築は、重点整備を行う項目として認知されている。 こうした方針により、均整の取れた社会・経済開発と「パ」国国民の地域統合を踏ま え、公的情報の普及、国民の教育と人材育成を目的とした「パラグアイ公共テレビ放送 システム開発プロジェクト」が実行されており、公共放送設立に関する大統領令が 2010 年 8 月 30 日に公布されて以降、公共放送の設立に向けた作業が加速している。 一方、前述したように 2008 年現在、 「パ」国のテレビ世帯普及率は 79%であり、地上 波デジタル放送が開始された後には、基本的にすべての世帯が地上波デジタル対応の受 像機に買い換えると考えられる。一時的に貧困層を中心に買い換えができない世帯の存 在も予想されるが、「パ」国政府では現行の受像機で地上波デジタル放送が視聴できる う、変換機であるセットトップボックスの無償配布を検討している。 さらに TV 放送網が全国に拡充し生活に有用な情報が常時提供されるようになれば、 現状よりも世帯普及率は進むものと見られ、プロジェクトの需要家層の拡大が十分期待 できる。 2. プロジェクトの内容を検討・決定する際に必要な問題点の把握・分析 SICOM では、現在新たに公共放送を設立し、それにより国民に必要な情報の提供を行 うとしている。そのため、プロジェクトの内容を検討・決定する上で、設立する公共放 送局が放送局の運営を適切に行うかどうかが、検討の焦点になる。 3-8 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 検討は下記の点を重点的に行い分析した。 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除 a. 公共放送局設立の法的根拠 2010 年 8 月 30 日付け大統領令(No.4982)が交付され、公共放送局の設立に関する 法的根拠が確立された。設立に関して「パ」国国内では、政府関連機関において公共 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 3.7 mm 放送の活用を希望する声が多く、「パ」国政府として優先度の高い重要事業となって る。 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 3.7 mm b. 予算の配置 上記の大統領令発令後速やかに補正予算が審議され、国会を通過している。下院で の審議においては、全会一致で可決されるなど、特段の反対勢力は見当たらない。来 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 3.7 mm 年度の予算についても順当に可決されていることから、公共放送の事業に関する予算 は適切に配置されていくものと考えられる。 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 3.7 mm c. 組織運営体制 発足初期では、SICOM は 53 名の現業部門職員を順次採用するとしている。番組編 成規模も 3 段階で 7 時間/日から 17 時間/日の放送を計画しており、放送時間に見合っ 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 3.7 mm た組織体制を構築することで検討している。採用を予定している人員により、機材の 運用や番組制作を行うことができると考えられる。 ただし、ニュース取材や情報の収集などいわゆる放送局で必要な日々の取材活動に 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 3.7 mm ついては、上記の人員体制では脆弱さが否めないが、教育省、保健省、農牧省やイタ イプ、ヤシレタ両ダム公団など、情報の提供のみならずコンテンツの提供を前向きに 検討しており、これにより人員体制の脆弱な部分は十分補えると判断できる。 書式変更: a.文 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除 d. 職員の技術レベル SICOM では、公共放送局の職員の採用について、豊富な TV 放送経験者を中心に採 用するとしており、一部既に採用を開始している。また「パ」国では民間放送局職員 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 3.7 mm が退職せずにそのまま公共放送局で勤務することが可能であり、SICOM には民間放送 局勤務の職員も在籍し通常勤務を行っている。こうしたことから、現行放送下におけ る技術レベルは確保されるものと考えられる。 一方で、公共放送がこれまで「パ」国に存在しなかったことと、地上波デジタル放 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 3.7 mm 送に関する実務的技術が「パ」国内に蓄積されていないことを考慮すると、後述「 (3) (3) 5. 技術移転の概要」で述べるように、プロジェクトに技術移転を含める必要があ る。これにより、必要な技術レベルは確保される。 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 0 mm 3-9 3. 技術的手法の検討 「パ」国における既設の民間 TV 局の放送網は、アスンシオン本局を中心にして構成 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 されており、地方に設置されている系列局の中継放送局との間は、衛星回線を通じて本 局から送られてくる番組の中継、または、地方ニュース等の全国放送を行っている。 「パ」国における民間放送局の放送サービスカバレージは、およそ人口の 90%となっ 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 ている。しかしながら、チャコ地域のように「パ」国の TV 放送のサービス網からもれ た情報の過疎地域があり、これらの地域の住民は、海外の衛星 TV もしくは隣国 TV を 通してしか情報を得ることが出来ない。こうした地域への TV 放送サービスの提供は、 「パ」国政府で設立する公共放送の大きな目的の一つである。 SICOM が検討している公共放送局のサービスエリア拡大については、次に示した考え 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 方に従って送信所、中継所の建設が進められ、最終的には地デジ放送の送信所、中継所 を全国に合計 28 箇所設置する計画となっている。この計画の完了時点で、「パ」国の対 口比 98%の人々に公共放送がサービスされる。さらに、これらのサービスエリアから外 れる過疎地に点在する家庭には、TV 放送網構築に関する費用対効果の観点から、個別 に衛星放送の受信設備の無償配布等を計画するとしている。対象世帯数は、統計資料の 世帯数から換算するとおよそ 20,000 世帯となる。 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 <放送サービスカバレージ構築に関する考え方> 【1】人口が集中している首都圏および主要都市へのサービス 【2】ブラジル、アルゼンチン国境地域への「パ」国の公共性の高い番組の提供 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 【3】通信インフラの不十分な北部および西部地域への対策 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 【4】中継所間の電波の谷間および人口過疎地域への小規模中継所設置 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 「パ」国では、ブラジルとの国境地帯の一部を除いて、その大部分が低い丘陵地帯の 連続であることを考えると、これらの丘のうち小高い場所を選んで送信所または中継所 を設ければ、ノイズに強く実際のサービスエリアが広い ISDB-T 方式では極めて効率良 く放送網を拡大していくことが可能である。また、放送波中継による小規模な中継所を 設けることにより、地上波デジタル化に伴う設備費を抑えることも期待できる。 (図3-1)から(図3-4)に小規模な中継所を活用した地上波デジタル TV 放送 網の、サービスカバレージ図を示す。また本章(3)(3)の計画概要では、このカバレー ジを前提に内容の検討を行った。 3-10 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 書式変更: 図表番号、左揃え 表の書式変更 [Phase-1]: 首都圏試 験放送 (アスンシオン 試験放送 用設備設 置) 書式変更: インデント 2011 年 5 : 最初の行 : 1 字 月、アスン シオン市 中心部の IPS ビルの 屋上に設 ける送信 所から、 (図3-1)公共 TV 放送網構築 Phase-1 UHF ア ナ ログ放送 お よ び ISDB-T デ ジタルの 試験放送 を開始す る。デジタ ル送信機 および送 出設備は 日本政府 からの実 証実験設 備 を 貸 与・供与に より調達 され使用 する。 3-11 ちなみ に SICOM では、同時 にアスン シオン首 都圏に対 するアナ ログ放送 を開始す る。アナロ グ放送用 送信機お よびアン テナ設備 は「パ」国 の 2010 年 度補正予 算で調達 すること で、すでに 国会承認 を終えて いる。 3-12 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 書式変更: 図表番号、左揃え [Phase-2]: 主要都市 へのサー ビス (2 つの地 方送信所 建設) 書式変更: インデント 2011 年 : 最初の行 : 1 字 末、エンカ ルナシオ ン、シウ ダ・デル・ エステか ら ISDB-T デジタル (図3-2)公共 TV 放送網構築 Phase-2 試験放送 を開始。本 放送へは、 同じ設備 でそのま ま移行す る。 計画に 必要な予 算はイタ イプ、ヤシ レタ両公 団からの 資金援助 を踏まえ 検討中で あるが、国 内で資金 が確保で きない場 3-13 合は、次の Phase-3 に おいて実 施するこ とになる。 書式変更: 図表番号、左揃え 表の書式変更 [Phase-3]: 全国 TV 放 送網構築 (16 箇所 の中継所 建設) 書式変更: インデント 円 借 款 : 最初の行 : 1 字 によるプ ロジェク トで、全国 の TV 放送 網を構築 する。試験 放送時に (図3-3)公共 TV 放送網構築 Phase-3 使用した アスンシ オン送信 所の送信 機は大出 力のもの に入れ替 え、試験放 送用の送 信機は地 方の中継 所へ移設 する。本フ ェーズで 対人口比 3-14 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 90 % の 放 送カバレ ージを確 保する。 ブラジ ル、アルゼ ンチンの 国境沿い やコンセ プシヨン、 サンペド ロなどの 貧困地帯 で通信イ ンフラの 整備状況 が遅れて いる地域 を優先す る。またチ ャコ地域 は、今後 TV 放送網 を拡大す る際の足 がかりと なる地点 について 実施する。 3-15 書式変更: 図表番号、左揃え [Phase-4]: 全国 TV 放 送網拡大 書式変更: インデント 左図(図 : 最初の行 : 1 字 3-4)の 黒丸の 9 つ の小規模 中継所を 設置する ことによ り、対人口 比 98 %の 放送サー ビスカバ (図3-4)公共 TV 放送網構築 Phase-4 レージの 構築を目 指す。 ポスト円 借款フェ ー ズ で 、 「パ」国予 算により 実施され る。 書式変更: 標準 書式変更 : 箇条書きと段落番号 3-16 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 4. わが国の「パ」国に対する支援の方向性 「パ」国が ISDB-T 方式の採用を正式に決定した際(2010 年66 月11 日) 、 (①)① 日本政府による今後の取り組みとして、関係省庁および関係機関と連携 の上、「パ」国における同方式の円滑な導入に向けた技術協力および人材育成等 の支援を実施していく予定であることを報道発表している (平成 22 年6月22 日) 。 (②)② 同方式を採用した周辺の国々と連携しつつ、同方式の更なる海外普及に 書式変更: アウトライン番号 + レベル : 5 + 番号のスタイル : ①, ②, ③ … + 開始 : 1 + 配置 : 左 + 整列 : 8 mm + タブ : 14.8 mm + インデント : 14.8 mm 書式変更 : 箇条書きと段落番号 努めることも合わせて表明している。 本件、第 1 回現地調査を実施した時点(平成 22 年88 月 24 日~99 月 18 日)で、日 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 本政府は、 「パ」国技術者の日本への招聘、ISDB-T 方式の公開セミナー会場での放送デ モンストレーション、地上波デジタル放送関連の国際フォーラムへの「パ」国政府関係 者の招聘等の支援を既に実施済みである。 今後想定されるわが国の支援策は以下の通りである。 書式変更: インデント : 左 : 1 字, 最 初の行 : 1 字 ・ 周波数割当等に対応する専門家派遣 ・ 国・課題別研修 (南米地域特設等) ・ 調査研究(援助戦略) ・ 試験放送用機材供与 ・ 有償資金協力 ・ 技術協力プロジェクト(番組制作支援) 「パ」国が設立する公共放送は経験者を中心に職員を雇用する予定であるが、ISDB-T の機能を生かした番組制作については、機材の運用面の評価を含め検討することが円滑 な公共放送の実施につながるため、上記、技術協力プロジェクトは、有償資金協力のコ ンポーネントに含み、同時に実施することが望ましいが、場合によっては別プロジェク トとしての実施も可能である。 3-17 書式変更: 1.文 (3) プロジェクトの計画概要 1. 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 提案プロジェクトの内容 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 提案するプロジェクトの内容を、それぞれの予算規模とともに下記に示す。 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 「パ」国では 1965 年に民間 TV 放送局が開局し、TV 放送の歴史も長く経験も豊富で 書式変更 ある。公共放送局の設立にあたっては、 「パ」国の民間 TV 放送局の設備状況、運営状況 ... 書式変更: フォント : 太字 (なし) 書式変更 を参考にして、「パ」国における公共放送の開局に必要な最小限の設備・機材を基本と ... 書式変更 ... た。合わせて、今後公共放送の運営が軌道に乗り、番組制作体制が拡大することを想定 書式変更: フォント : 太字 (なし) 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt し、将来拡張可能なシステム設計とした。 書式変更 また、本プロジェクトでは、公共放送局の運営に必要な経営および組織運営ならびに 番組制作技術の能力向上を含めている。 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt (表3-7)プロジェクトの内容 NO. ... 書式変更: フォント : 太字 (なし) 内容 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: フォント : 太字 (なし) 数量 予算規模 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt (百万円) 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 1 マスターコントロール 1式 400 2 ニュース・スタジオ 1式 447 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 3 TV スタジオ(100 ㎡) 1式 489 書式変更: フォント : 太字 (なし) 4 ノンリニア編集機+ENG カメラクルー 4式 135 書式変更 ... 5 VTR 編集機(テレシネ・コピー設備含む) 1式 151 書式変更 ... (1) 11:11 編集機 3式 (51) (2) テレシネ装置 1式 (100) 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 送信所設備 3式 1,431 書式変更 ... 送信所設備(アスンシオン) 1式 (498) 書式変更 ... 6 (1) ・送信機 (UPS 含む) (2) @36 ・送信鉄塔 @42 (1) 書式変更 ) 2式 (933) @265 @36 ・送信鉄塔 @42.5 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... ... 16 式 2,191 書式変更 衛星受信中継所 4式 (776) 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt @130 @29 ・送信鉄塔 @35 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 中継所設備 ・送信局舎 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt @123 ・送信機 (AVR 含む) ... 書式変更: フォント : 太字 (なし) ・送信局舎 ・小型スタジオシステム 7 書式変更 送信所設備(エンカルナシオン、シウダ・デル・エステ) ・送信機 (AVR 含む) 書式変更 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt @420 ・送信局舎 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 3-18 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt NO. 内容 数量 ・発電機(フィラデルフィアを除くチャコ地域 3 箇所) (2) 放送波受信中継所 ... 書式変更 ... (百万円) 書式変更 ... (15) 7式 ・送信機 (AVR 含む) 書式変更 予算規模 (1,050) @100 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt ・送信局舎 @20 書式変更 ... ・送信鉄塔 @30 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt (3)(3) 放送波中継設備 5式 350 8 中継車 1式 書式変更 230 ... 書式変更 9 コンサルティングサービス(技術移転含む) 1式 ... 469 書式変更 ... 10 予備費 297 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 合計 6,240 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 上記予算規模の機材に関する費用の算出においては、ISDB-T 方式による設備・機材の 書式変更 ... の導入実績を有するメーカーから、以降に述べる仕様に適合する機材の価格および必要 書式変更 ... 書式変更 ... な技術料の見積もりをもとに、輸送費、保険料、現地工事作業員に関する費用を付加し、 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 算出したものである。また、送信局舎および送信鉄塔については、建物施工面積と現地 書式変更 でヒアリングした建設物価および現地建設実績に基づき総合的に算出した。 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt なお、コンサルティングサービスの費用に関する算出根拠は、後述第 6 章(2)コンサル ティングサービスの概要に記している。 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 2. 施設・機材の概念設計および仕様 「パ」国の公共放送局において、地上デジタル放送(ISDB-T 方式)を実施するため ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... に必要とされる施設・機材設計概念と機材の仕様を述べる。放送機材は既に日本におい 書式変更 ... て運用されているデジタル放送機材の設計規格および仕様に準じて選定するものとす 書式変更 ... また、スタジオ局舎などの施設は、公共放送の番組内容および今後のデジタル放送の番 組コンテンツの拡張計画などを勘案して設計に反映する。 a. 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 書式変更 ISDB-T 方式の仕様 ISDB-T 方式の特長は次の通りである。 ・ ハイビジョン・エンコーダー ... 書式変更: フォント : 太字 (なし) ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: フォント : 太字 (なし) 圧縮効率の高い規格:H.264/MPEG-4 AVC を採用する 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt ・ ワンセグエンコーダー 書式変更 圧縮効率の高い規格:H.264/MPEG-4 AVC を採用する。これにより、スポー 書式変更: フォント : 太字 (なし) ツ番組など動きの激しい映像でもより滑らかになる。 書式変更 施設・機材は ISDB-T 方式のデジタル放送の特徴を活かせるよう設計する。機材は 次の仕様を基本とする。 ... ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: フォント : 太字 (なし) ・ 映像機器:カメラ、ビデオレコーダー、スイッチャーなどはハイビジョン仕 3-19 書式変更: 1.文 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 様とする。 ・ 音声機器:音声ミキサーは 5.1 チャンネルステレオ仕様とする。 ・ デジタル送信機:ソリッドステート式とする。 冗長性を持たせた設計とする。 書式変更: インデント : 左 : 6.06 字 電力増幅器は交換可能とし故障回復時間を早める。 書式変更: インデント : 左 : 4.06 字, 最初の行 : 2 字 ・ 地方局設備(中継所)については、WEB 上で監視等ができるようなインター フェイスを準備する。 b. 機材の省電力設計 テレビ局では多くの電力を消費する。テレビ放送局における電力消費が最も大きい 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 機材は、TV 送信機とスタジオの照明機材である。環境に配慮した省電力、省エネル ギーに貢献できる機材選定に配慮する。 TV 送信機は放送波がデジタル化することにより、送信電力を十分の一にすること が出来る。そのため送信システムの総合消費電力は約 60%削減できる。 スタジオ用照明器具は、従来のハロゲン電球を利用した場合から、最近開発された 蛍光管形の照明器具に切り替えることにより、同一の照明効果で約 50%の電力削減効 果が期待できる。 c. スタジオ機材を設置するスタジオ建屋 ① ニュース・スタジオ、マスターコントロール ニュース・スタジオおよびマスターコンロール機材を設置する建屋はアスンシオ ン市内中央にある電力公社(ANDE)の年金基金が所有する空きビルを改造して使 用する。この改修・改造にかかる費用は SICOM の負担である。 書式変更: アウトライン番号 + レベル : 5 + 番号のスタイル : ①, ②, ③ … + 開始 : 1 + 配置 : 左 + 整列 : 8 mm + タブ : 14.8 mm + インデント : 14.8 mm 書式変更: インデント : 左 : 3 字, 最 初の行 : 1 字 ニュース・スタジオとマスターコンロールはビルの 4 階部分を改造して作る。後 述(表3-13)を参照。 ② 番組制作スタジオ 番組制作スタジオは、アスンシオンの郊外にあるアスンシオン国立大学(CITEC) の中にある既存の約 100 ㎡の TV スタジオを利用し、ハイビジョン方式の制作スタ ジオを作る。 書式変更: アウトライン番号 + レベル : 5 + 番号のスタイル : ①, ②, ③ … + 開始 : 1 + 配置 : 左 + 整列 : 8 mm + タブ : 14.8 mm + インデント : 14.8 mm 書式変更: インデント : 左 : 3 字, 最 初の行 : 1 字 3. マスターコントロール設備およびスタジオ設備等 a. マスターコントロール設備 マスターコントロールシステムは、SDx3/HD 対応とし、送出は教育放送に有用な 多チャンネル・マルチ編成を可能とする。ISDB-T 方式の特長であるワンセグメント 出対応とする。また、主要な機材はバックアップ機能を持たせ冗長性を確保する。 3-20 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 第3章 b. プロジェクトの内容および技術的側面の検討 スタジオ機材 制作スタジオのカメラおよび映像スイッチャーは HD 仕様とする。また、合わせて 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 番組編集に必要なノンリニア編集設備および多言語に対応するため、編集室に吹き替 え対応のアナウンスブースを設ける。照明システムは、消費電力の尐ない蛍光灯照明 を中心に構成する。 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 3-21 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 表の書式変更 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt (表3-8)マスターコントロールルーム/スタジオ機材構成 N0. 1 項目 数量 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt マスターコントロール 1式 -1 マスタースイッチャーシステム 1式 -2 自動番組制御システム 1式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -3 ビデオサーバーシステム 1式 書式変更 -4 エンコーダーシステム 1式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -5 モニターシステム 1式 -6 多重化システム 1式 ニュース・スタジオ 1式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -1 HD 映像設備 1式 書式変更 -2 HD カメラ 3式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -3 音声設備 1式 2 3 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt TV スタジオ(100 ㎡) 1式 書式変更 HD 映像設備 1式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -2 HD カメラ 3式 書式変更 -3 音声設備 1式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -4 照明設備 1式 ノンリニア編集機+ENG カメラクルー機材 4式 (各11 式に含まれる機材) ... 書式変更 -1 4 ... 書式変更 ... ... ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -1 ノンリニア編集機 1式 書式変更 ... -2 アナブース設備 1式 書式変更 ... -3 ENG カメラクルー機材 1式 VTR 編集機(テレシネ・コピー設備含む) 1式 書式変更 -1 11:11 編集機 3式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -2 テレシネ装置 1式 書式変更 中継車 1式 -1 HD 映像設備 1式 -2 HD カメラ 3式 書式変更 -3 音声設備 1式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -4 FPU 装置 1式 書式変更 -5 中継車 1式 5 6 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt ... ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt ... ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 4. 送信所、中継所設備 a. 書式変更 ISDB-T 方式のデジタル送信機、送信アンテナ 地上デジタル放送のカバレージの設計は、現在放送しているアナログ放送のサービ ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt スエリアと同等の視聴可能地域を提供できるよう設計し、送信電力、送信アンテナの 書式変更 選定を行う。デジタル送信機はソリッドステート式とし、信頼性および送信機の寿命 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 3-22 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更 ... 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 を担保する。また、送信アンテナおよび鉄塔は、民放各社と共同できるように共用装 置を設ける。 送信所および中継所の建設予定地域は、SICOM によって合計 28 箇所計画されてい るが、円借款の対象候補地は、主要都市であるアスンシオン、エンカルナシオン、シ 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 表の書式変更 ウダ・デル・エステの送信所および地方中継所 16 箇所とする。残りの地方中継所99 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 箇所は、 「パ」国の予算で円借款によるプロジェクト実施後に拡充される計画である。 書式変更 ... 書式変更 ... また、地方中継所については、南部では放送波受信を用いた中継設備を基本にし、 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt サービスエリアの拡充と中継回線を兼ねて、放送波中継所も設ける。北部の過疎地域 書式変更 については衛星受信を用いた中継設備とする。 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt これら様々な受信方式による中継所の建設により、予算を効率化し TV 放送網を拡 大していくことが可能である。 書式変更 ... ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt (表3-9)に送信所および中継所設備の機材構成を示す。 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt (表3-9)ISDB-T 方式のデジタル送信機、送信アンテナ機材構成 N0. 1 項目 送信所設備 (アスンシオン、エンカルナシオン、シウダ・デル・エステ) 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 3 3 書式変更 式 (各11 式に含まれる機材) -1 ISDB-T 方式送信機 1 1 送信アンテナ 1 1 式 -3 送信鉄塔 -4 送信局舎 1 1 式 1 1 式 -5 支局スタジオシステム(エンカルナシオン、シウダ・デル・エステ) 中継所設備 16 式 (1) 衛星受信中継所設備 44 式 書式変更 書式変更 書式変更 (各11 式に含まれる機材) 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 書式変更 11 式 -3 送信アンテナ 11 式 -4 送信鉄塔 11 式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -5 送信局舎 11 式 書式変更 1式 77 式 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 衛星ダウンリンクシステム (フィラデルフィアを除くチャコ地域の 3 ヶ所) ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -2 3-23 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 11 式 放送波受信中継所設備 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt ISDB-T 方式中継機 (2) ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -1 中継所用発電機 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 2 -6 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 式 -2 書式変更 数量 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更 ... N0. 項目 数量 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 表の書式変更 (各11 式に含まれる機材) -1 ISDB-T 方式中継機 11 式 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック -2 地上波受信アンテナ/デジタル受信機 11 式 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt -3 送信アンテナ 11 式 -4 送信鉄塔 11 式 -5 送信局舎 11 式 (3) 放送波中継設備 5式 (3) 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 送信機・中継機の送信出力は各サイトによって異なるが、調査の結果得られた本プ ロジェクトで建設する送信所および中継所のデジタル送信機の送信出力と局数は(表 3-10)の通りである。 なお、本プロジェクト実施後、「パ」国の予算で建設する中継所の数は99 箇所( (表 3-10)には含まれていない)で、いずれも送信出力が 400W 程度になる予定であ 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック る。 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt (表3-1010)送信出力とサイト数 送信出力 8.0kW 2.0kW 1.5kW 1.0kW 400W 100W (合計) 局数 11 22 22 11 88 55 19 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック b. 番組伝送設備 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 「パ」国予算で計画しているエンカルナシオン、シウダ・デル・エステ両支局への 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 番組伝送は、当該送信所の完成目標が 2011 年末であるため、パラグアイ通信株式会社 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック (Compañia Paraguaya de Comunicaciones. S.A.: COPACO)による衛星伝送インターフ 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 ェイスの整備(デジタル対応)が間に合わない見込みである。そのため、アスンシオ ン本局と両支局間は、COPACO の光ファイバー回線を利用することになる。 本プロジェクトでは、上記の前提条件をもとに、アスンシオンの主局スタジオ-支 局間を COPACO の光回線を用いた光伝送システムとし、主局からチャコ地方に建設 れる中継所へのデジタル番組伝送は、アスンシオン郊外の地球局まで光回線で送り、 その後衛星経由で伝送する。衛星アップリンクの整備(デジタル対応)は COPACO 対応し、通信回線網とのインターフェイスを本プロジェクトで準備する。 3-24 書式変更: インデント : 左 : 3 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 (表3-11)にデジタル番組伝送機材の構成を示す。また(図3-5)に、デジ タル番組伝送ネットワーク図を示す。 3-25 (表3-11)デジタル番組伝送機材構成 N0. 1 項目 デジタル番組伝送システム(アスンシオン主局) スタジオ-送信所間光伝送システム 衛星地球局向けデジタルインターフェイス エンカルナシオン支局、シウダ デル エステ支局向 け光回線用デジタルインターフェイス -1 -2 -3 表の書式変更 数量 11 式 11 式 11 式 11 式 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman (図3-5)デジタル番組伝送ネットワーク図(案) 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman Digital TV (ISDB-T) 書式変更: フォント : Times New Roman Ku Band CS 書式変更: フォント : Times New Roman Transmitting Station (Asyncion) Relay Station 書式変更: フォント : Times New Roman Digital TV (ISDB-T) TX Ku Digital TV (ISDB-T) RX Digital TV (ISDB-T) UHF 書式変更: フォント : Times New Roman UHF TV Relay 書式変更: フォント : Times New Roman Relay Station 書式変更: フォント : Times New Roman TX C Band TX RX 書式変更: フォント : Times New Roman Ku RX Digital TV (ISDB-T) Digital TV (ISDB-T) UHF COPACO Earth Station UHF TV Relay Transmitting Station (Ciuda del Este) Digital TV (ISDB-T) Transmitting Station (Encarnation) Digital TV (ISDB-T) Relay Station TX RX TX Ku RX Digital Transmitter O/E Fiber Line (COPACO) O/E E/O Digital Transmitter O/E Digital Transmitter O/E Fiber Line (COPACO) MAIN BUILDING of PUBLIC TV COPACO (Asuncion) c. 中継所の設計 送信所および中継所の建設場所となる地点においては、目的とするサービスエリア 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 に対して指定電界強度が得られるよう現地調査により伝送路の地形プロフィールを めた回線設計を行い、アンテナ鉄塔の高さ、送信電力、アンテナの段数/方向/チル ト角などを詳細に設計する必要がある d. 送信所/中継所の建設計画 「パ」国は来年 2011 年 5 月に建国 200 年の節目を迎える。SICOM ではこの建国記 念行事の一つとして、公共放送を開始する計画である。公共放送の開始時は、アスン シオンの中心部(IPS ビル屋上)に試験放送用の送信所を設け、UHF アナログ放送と、 ISDB-T 方式のデジタル放送を同時に開始する予定である。試験放送用の送信機は、 TV 放送網を全国に拡大する段階で地方へ移設し、アスンシオン送信所の送信機は大 出力のものに置き換える。 3-26 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 なお、IPS ビル屋上の試験放送用送信所は暫定的なものであり、大出力の送信機に 入れ替える際には、アスンシオン近郊に別途、送信所を開設する予定である。 書式変更: インデント : 左 : 4 字 5. 技術移転の概要 公共放送の設立に強い意欲を示している「パ」国において、2011 年に地上波デジタ 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 ル放送を開始し、放送時間を拡充していくためには、公共放送を円滑に実施できる経 営や組織運営体制など公共放送の組織運営能力の向上が求められる。また、双方向サ ービスやデータ放送など地上波デジタル放送の特性を生かした番組制作に関する制 手法の習熟と、地上波デジタル放送用機材の運用技術に関する技術移転が合わせて必 要である。 現在 SICOM は、 「パラグアイ公共放送システム開発プロジェクト」の中で、 (表3 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 -12)に示すように、番組放送時間を33 段階で拡張する計画を持っている。当面 は教育番組にやや比重が置かれるようだが、保健衛生、農業情報、文化教養など多様 な番組の放送を企画したいとしている。 今後、先進国の技術を吸収し、急速に公共放送としての組織能力を高め、視聴者の 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 期待に応えるための方策として、以下、「パ」国公共放送に本プロジェクトにおいて 要な技術移転について述べる。 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 (表3-12) 「パ」国公共放送局 放送時間拡張計画 期間 時間 Step1 2011 年 5 月~2012 年3月 17:00-24:00 【7 時間放送】 重点番組 Step2 2012 年 4 月~2013 年3月 Step3 2013 年 4 月~2014 年3月 ・ 一般市民向け情報提供に重点 ・ 初、中等教育のカリキュラムに合わせ た教育番組開始 ・ 年配者に対する識字教育 ・ 公共医療サービス情報提供 12:00-24:00 ・ 教養番組 【12 時間放送】 ・ 農業・工業情報提供番組 ・ 国民の関心をテーマにした討論 07:00-24:00 ・ 教育カリキュラムに沿った教育番組の 【17 時間放送】 充実発展 ・ 公共セクターの情報提供番組 ・ 映画とパラグアイの音楽 ・ ニュース番組の充実 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 a. (1)公共放送の組織運営能力向上 公共放送としてのジャーナリズムの育成、政府に報道内容を左右されない、中立・ 公正な報道機関として、職員の意識向上を果たしながら、政府予算に強く依存しない 外部から資金調達のメカニズムを構築するなど、将来経営ビジョンを確立する必要が ある。これにより、組織運営能力を向上させ、視聴者に対する公共放送としての責務 3-27 書式変更: 見出し 4 書式変更 : 箇条書きと段落番号 書式変更: インデント : 最初の行 : 1 字, 左 2 字 を果たす。このため、先進国における確立された公共放送の運営手法を活用するため の人材・組織能力の向上に関する支援が必要である。 b. (2)地上波デジタル放送を活用した番組制作手法の習熟 データ放送、ワンセグ放送は、ISDB-T の特徴の一つである独自の機能である。 SICOM は公共放送設立後には教育、保健衛生、農業などの番組・情報を十分視聴者に 書式変更: 見出し 4 書式変更 : 箇条書きと段落番号 書式変更: a.文、インデント : 左 : 7.4 mm, 最初の行 : 0 字 提供したいとしている。例えば、教育分野では、データ放送を活用し、スペイン語、 ガラニー語の習熟が可能な番組を開発するなど考えられる。また地方自治体等と連携 して、保健衛生の情報を、データ放送を活用して常時放送するなども考えられる。わ が国でも災害分野であるが、地方自治体がデータ放送用のコンテンツを常に提供する などの放送局と連携した取り組みが見られる。農業などに必要な情報はワンセグによ って、農作地において確認することも可能である。 この技術支援の取り組みは、視聴者のニーズを調査し、どのように番組を企画し制 書式変更: a.文、インデント : 最初の行 : 3.7 mm, 左 0 字 作するかという、番組制作の一連の作業を網羅した形で、行われる必要がある。 書式変更: インデント : 左 : 4 字, 最 初の行 : 1 字 c. (3)地上波デジタル放送に対応した設備、機材の整備 「パ」国には、アナログ放送で培われた機器の維持運営管理能力は十分 に備わっているが、地上波デジタル放送特有の機材の維持運用管理能力については、 書式変更: 見出し 4 書式変更 : 箇条書きと段落番号 書式変更: インデント : 左 2 字, 最 初の行 : 1 字 現在のところ一般的な知識だけにとどまっており、実用可能なレベルに達していない。 維持管理状況が優れている場合、日本製品などでは、海外で販売・実用されている 書式変更: インデント : 最初の行 : 1 字, 左 2 字 放送機器でも 20 年を超えて稼動しているものも多々ある。投資コストを考えれば、 いスパンで機器の更新が図られることが望ましく、投資コストを抑えることにより、 充実した番組制作にその費用を充てることができる。 設備・機材導入時に適切な維持管理法を身につけることが必須である。 6. プロジェクト実施に伴う留意すべき事項 a. デジタル放送移行計画の策定 「パ」国では、地上波デジタル方式の規格採用にあたって、CONATEL が中心とな り ISDB-T 方式を含め数種類の方式について技術的検討を行ってきた。しかしながら CONATEL では、デジタル化へ移行する全体の手順を明確にしたスケジュールである デジタル放送移行計画について現段階では準備されておらず、今後、アナログからデ ジタル放送へ切り替えるサイマル放送期間やアナログ放送の停波時期について、 「パ」 国政府全体として方向性を定める必要がある。 「パ」国においてデジタル放送移行計画を策定するにあたり、日本国で既に実施し たように、 「デジタル放送推進のための行動計画」を策定し、地上デジタル推進全国会 議(政府、放送事業者、メーカー、販売店等から構成)によって、全国的に検討、調 3-28 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 第3章 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 整を行わなければならない。「パ」国においても今後政府機関、公共放送局、民間放 局他の機関が連携してデジタル放送推進、移行計画を策定する必要がある。 以下に、デジタル放送移行計画内容に含まれるべきものを挙げる。 ① 基本的な考え方 アナログ放送終了時期の目標設定、デジタル放送のカバー範囲目標設定、デジタ ル放送認知のための啓発計画、デジタル化のための予算計画など。 ② 理解醸成活動等の推進 アナログ放送終了時期の認知を一般国民に認知させるための相談・受信者支援な どの行動計画と周知活動のための組織を作る。 ③ 受信機普及・共聴施設対策 デジタル放送受信機の世帯普及率の目標設定と受信機、チューナーなどの価格に 対する関税率引き下げなどによる施策が必要である。 CATV および集合住宅、ビル内の共聴施設対するデジタル化対策が必要である。 また、国、市町村の庁舎、学校施設のデジタル化に対する対応計画を策定する必要 がある。 書式変更: アウトライン番号 + レベル : 5 + 番号のスタイル : ①, ②, ③ … + 開始 : 1 + 配置 : 左 + 整列 : 8 mm + タブ : 14.8 mm + インデント : 14.8 mm 書式変更: インデント : 左 : 3 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: アウトライン番号 + レベル : 5 + 番号のスタイル : ①, ②, ③ … + 開始 : 1 + 配置 : 左 + 整列 : 8 mm + タブ : 14.8 mm + インデント : 14.8 mm 書式変更: インデント : 左 : 3 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: アウトライン番号 + レベル : 5 + 番号のスタイル : ①, ②, ③ … + 開始 : 1 + 配置 : 左 + 整列 : 8 mm + タブ : 14.8 mm + インデント : 14.8 mm 書式変更: インデント : 左 : 3 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: インデント : 左 : 2.95 字, 最初の行 : 0.98 字 b. 据付工事における留意事項 書式変更: インデント : 左 : 3 字 地上波デジタル放送の送信所および中継所を建設する場合、公共放送局と民間放送 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 各社が別々に離れた場所に送信所、中継所を建設すると、視聴者は TV 受信アンテナ の方向が定まらず、受信が困難になってしまう。そのため、地上波デジタル放送の送 信所および中継所は、公共放送局と民間放送各社が同一の場所に設置する必要がある。 デジタル放送送信所・中継所局舎、送信アンテナおよび鉄塔は、公共放送と民間放送 各社が共同利用するなど、公共放送と民間放送局との協力体制についてマスタープラ ン化し、民間放送局の負担を軽減し、「パ」国全体で円滑なデジタル放送への移行が われるよう政府の対応が求められる。 また、空港に近い地域においてはアンテナの高さに対して航空法の基準に合致する ことが求められる。事前に航空局(DINAC)にアンテナの設置計画内容について、確 認する必要がある。 書式変更: インデント : 左 : 3 字 c. デジタル送信所、中継所の維持管理に関する検討事項 大都市に設置されるデジタル送信所の維持管理は常駐する管理者によって保守が 行われるため問題ないが、最終的に全国 28 ヶ所の送信所および中継所の多くは無人 用される。これらの無人中継所のモニターは各地域においては、契約した外部要員等 によって放送信号を監視し、問題発生時に所定の管理部門に連絡できる仕組みが必要 である。 3-29 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 d. 電波干渉に関わる調整 ISDB-T 方式を採用している、ブラジル、アルゼンチン、ボリビアなど国境を接す 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 る国のチャンネルと協調してチャンネルプランを作成し、相互に放送妨害が生じない ようにすることが肝要である。場合によっては、ITU の地域ユニットでの調整が必要 になることも想定するべきである。 周辺国との調整を速やかに終わらせることが、民間放送局も含めたすべてのチャン ネルプランに策定に重要である。 想定される電波干渉の問題解決においても、日本人専門家が派遣されることが、 「パ」国の技術水準から考えると必要である。そのため、「パ」国政府からわが国に する専門家派遣要請が望まれる。 書式変更: インデント : 左 : 3 字 e. ニュース・スタジオおよびマスターコントロールルーム改修工事の留意事項 ニュース・スタジオおよびマスターコンロール機材を設置する建屋は、アスンシオ 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 ン市内中央にある電力公社(ANDE)の年金基金が所有する空きビルを SICOM が改修 して使用する予定である。当該計画を進めるにあたり、詳細な現地状況調査、建築構 造分析および設備・仕様等の詳細検討が必要とされる。 特に当該箇所は本プロジェクトが実施された場合、他の設備・機材を据付けること 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 になるため、本プロジェクトで調達される設備・機材を想定して改修工事を行うこと が必要である。本プロジェクトを考慮した改修工事における平面図および立面図を巻 末 Annex-3 に添付する。 (表3-13)に、SICOM が行う改修工事時に留意すべき事項をあげる。 (表3-13)ANDE ビル改修工事留意事項 用 途 ニュース・スタジオ 留意点 防音扉の設置 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: インデント : 左 : 2 字, 最 初の行 : 1 字 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt コ ン ト ロ ー ル ル ー 壁面仕様は吸音材張付 表の書式変更 ム 階段室の消火設備の移設 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 新設壁計画に係る建築構造の検証 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 電気配線、分電盤等の移設 空調ダクトの配管変更 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 窓・扉は遮音性・断熱性を考慮し、二重サッシュもしくはペアガ 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック ラス仕様 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 機材冷却のためエアコンを設置 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック ニュース・スタジオ 照明用機材(バトン吊)の設置 フロア カーテンの吊り下げ 壁面仕様は吸音材張付 防音扉の設置 3-30 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 第3章 用 途 プロジェクトの内容および技術的側面の検討 留意点 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 空調ダクトの配管変更 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 窓・扉は遮音性・断熱性を考慮し、二重サッシュもしくはペアガ 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック ラス熱線反射仕様 電気配線、分電盤等の移設 遮音性向上のため、鉄板屋根の撤去及びスラブコンクリート屋根 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 表の書式変更 の改修 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 空調機械室 エアコンの空気排出は消音タイプ 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 共有スペース 消火設備の移設 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 階下等に便所を設置 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 7. 提案技術・システムを採用するための課題およびその解決策 「パ」国におけるラジオ・テレビ等の放送に関する周波数割当に関しては、従来、ラ ジオ局、テレビ局、放送労働者およびケーブルテレビを代表する55 名で構成される放 送委員会(Consejo de Radiodifusion)が国家電気通信委員会(Comision Nacional de Telecomunicaciones: CONATEL)へ提言を行い、CONATEL によって最終的に認可されて いた。 地上波アナログ放送からデジタル放送へ移行するためには、アナログ放送とデジタル 放送を並行して放送するサイマル放送期間を持つ必要があるが、UHF 放送チャンネルの 空きチャンネルが尐なく、民間放送の利権が絡み、放送チャンネル割り当てが困難な状 態で、CONATEL だけでは周波数の割り当て計画が難しいのが現状である。 地上波デジタル放送化は、 公共放送局 1 局が地上波デジタル放送対応の設備を導入し、 放送を実施すればよいのではなく、電波の有効利用や視聴者の利便性を考えた場合、す べてのテレビ放送事業者がアナログ放送からデジタル放送に移行することが必要であり、 公共放送と民間放送局によって同時期に実施されることが必要である。 現在「パ」国では、デジタル放送移行計画が策定されておらず、必要な政府施策等、 十分に検討されていない。また、こうした検討は政府内だけの意見で形成されることは 望ましくなく、公共放送局、民間放送局、CATV 局、受像機販売店等関係する機関・組 織ともに議論する必要がある。 既に日本方式の地上波デジタル TV 放送方式(ISDB-T)を採用し、試験放送を実施し ている南米の各国には、日本から専門家を派遣し、周波数割り当て、サービスエリアの 検討などの支援を行っている。 「パ」国の地上波デジタル放送を推進する上で、早期に専 門家派遣することが重要である。 (表3-14)に一般的な周波数割り当て手順を示す。これによると、周波数割当作 業に必要な期間は 1 年であり、各段階で専門家による支援が必要である。 3-31 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 行間 : 固定値 17 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック (表3-14)周波数の割り当て手順 項目 1 2 Step-1 既存電波状況の調査 ・電界強度測定 ・送信電力、アンテナ利得、アンテナ指向性の情報確認 Step-2 混信保護の検討・確認 ・Step-1の技術データをもとに実施 Step-3 地域別使用可能チャンネルの一覧作成 ・Step-1および2の結果を基に作成 Step-4 新放送サービスエリアの検討 ・新たな放送サービスエリアを追加するか Step-5 コンピューターシュミレーションによるカバレージ検討 ・送信出力、周波数の決定 Step-6 周波数の割当・合意 ・上記結果に基づく決定、関係機関合意形成 3-32 3 4 5 所要月数 6 7 書式変更: インデント : 左 -1.37 字 8 9 10 11 12 第4章 環境社会的側面の検討 第4章 環境社会的側面の検討 (1) 環境社会面における現状分析 1. 情報通信機器の世帯普及状況 a. TV 受像機 (表4-1)に、 「パ」国における都市部、地方部の TV 受信機の世帯普及率を示す。 首都アスンシオンではアナログ TV 放送のアンテナ、衛星放送用パラボラアンテナ を設置している家は極めて尐なく、 複数のチャンネルを 24 時間見ることの出来るケー ブル TV が多くの家庭で見られている。また、人口の尐ない地方では民間放送の中継 所や CATV の普及が遅れており、衛星放送用のパラボラアンテナを設置し、海外の衛 星放送を受信する家庭が都市部よりも多い。 「パ」国はアルゼンチンおよびブラジルに国境を接しており、国境付近ではアルゼ ンチンもしくはブラジルの電波を受信して番組を視聴している世帯もある。他国向け の衛星放送を受信して視聴することに違法性は無いが、それらはあくまでも衛星放送 実施の許諾を得ている国向けの番組であり、 「パ」国特有の情報は皆無である(「パ」 国向けの衛星放送実施の許諾を得ている衛星放送事業者はない) 。 「パ」国国民が生活に必要な情報をタイムリーに入手できるようにするためには、 これまで情報が行き届かなかった地域への公共放送による TV 放送網の整備とともに、 公共放送局が「パ」国国民に必要な情報を含んだ放送番組を提供できるようになるこ とが重要である。 (表4-1)TV 受信機の世帯普及率 計 世帯数 TV 所有世帯数 TV 所有率 パラボラ所有率 CATV 加入率 都市 地方 1,469,91 874,21 595,70 2 1 1 1243,545 806,89 436,05 3 3 84.6 92.3 73.2 4.2 2.5 6.6 13.3 21.4 1.0 (出典:2010 年 5 月 30 日デジタルテレビ諮問委員会資料、2008 年統計局資料) 書式変更: フォント : 9 pt 書式変更: 標準、最初の行 : 0 字, 右 5.74 字 b. 携帯電話 「パ」国の携帯電話サービスは、これまで民間44 社(テレセル・パラグアイ、ヌ クレオ、クラロ・パラグアイ、オラ・パラグアイ)により行われていた。この44 社 全てに外資系企業の資本が参加している。オラ・パラグアイには日本企業の KDDI が 4-1 67.5%の資本参加をしていたが、2010 年88 月、政府が 100%の株を所有している COPACO が買収した。これにより COPACO は固定電話事業から新たに携帯電話事業 にも参入することになった。(表4-2)に年度別の携帯電話推移を示す。 (表4-2)携帯電話普及推移 (出典:ITU) 「パ」国の携帯電話加入者数は 2008 年時点で 5,954 千件にのぼり、「パ」国人口 6,237,855 人の 95.5%(1 人が 2 台の携帯を使用している場合でも加入者数は「2」とさ れるため、95%以上の人が携帯を所有しているという意味ではない)に及び、高い普 及率を示している。携帯電話の普及率は日本の普及率と同じであり、携帯電話への依 存が高いことがわかる。 日本方式の地上波デジタル放送(ISDB-T)の特長の一つにワンセグ放送がある。日 本では携帯電話にワンセグ放送の受信機を組み込んだ機種も多く、また、放送局もワ ンセグ放送の番組の充実に力を入れており、ニュース、情報番組を中心に視聴者に利 用されている。 「パ」国においても地上波デジタル放送にワンセグ放送を組み込めば、今まで情報 の行き届かなかった地域に対しても、公共放送のワンセグ放送を通して、多くの人に 情報を送ることが出来る。 2. 情報格差の現況 第3章で述べたとおり、 「パ」国では「都市部と地方部の情報格差」と「富裕層と貧困 層の情報格差」という22 つの情報格差の問題がある。このような情報格差が生じるの は、公共サービスの不十分な供給や情報インフラ整備の遅れが原因となっていると考え られる。その結果、保健衛生、教育、産業開発それぞれの分野で次のような負の影響が 生じている。 4-2 第4章 環境社会的側面の検討 保健衛生分野では、病気予防や治療法などについての情報へのアクセスが十分でない ため、保健衛生に関する住民の知識が乏しく、 「予防ワクチンの接種率が低い」 、 「出産を 病院や保健所で行わない」という状況にも影響を及ぼしていると考えられる。また、病 院や診療所の数が尐なく十分な医療サービスを受けにくいという事情もあり、乳児死亡 率(22%、2005 年) 、妊産婦死亡率(0.15%、2005 年)共に高い。さらに政府が実施し ている国民が平等な保健医療サービスを受けられる社会を目指すために行っている取り 組みに対し、適切な情報にアクセスできるかどうかにより、迅速にサービスを受けられ るかどうか左右されることも考えられる。 教育分野では、識字率が全国平均の 92.9%に対して地方部では 89.7%にとどまってい る。しばしば生活の格差が注目される先住民族(全国民人口の 1.7%)の識字率は 49% と極めて低い(表4-3参照) 。このような格差の要因としては、地方部では「教科書の 数が足りなく生徒に教科書が行き渡らない」 、 「学校運営や教員の能力に課題があり授業 の量と質が十分でない」、 「就学率が低く、中退率や留年率が高い」などの問題が挙げら れる。また、教育に関しては、情報格差の問題に加え、 「道路の舗装率が低く、雤が降る と子供が登校しなくなるため、学校が休校になることが習慣化している」、 「学校運営に 不備があり、基礎教育における年間授業時間数が十分でない(基準 1,080 時間に対し実 際は平均 700 時間。約 1/3 が実施されていない)」という問題もある。これらの問題か ら生じる教育開発の遅れが、保健衛生や産業人材育成等の分野にも負の影響を与えてい ると指摘されている。 産業開発分野においては、 情報インフラの不備により、地方の農業従事者に農業技術、 作物の市場価格、農薬・化学肥料の適正な使用方法、天候、資金調達、免税措置など、 農業に必要な情報が伝わりにくいことが情報格差により生じる問題として挙げられる。 また、上述のとおり、教育開発の遅れから、職業能力の高い人材が輩出されにくいこと も問題となっている。 「パ」政府関係機関は、情報格差から生じるこれらの多くの課題に対応するため、マ スメディアやイベント等を用いたソーシャルマーケティングに取り組んでいる。 しかし、 そうした情報普及活動の多くは、情報インフラの整備が遅れている地方部や、テレビを 保有しない貧困世帯に対しては効果が限定的である。そのため、セットトップボックス の提供、中古 TV 受像機の再活用および公共施設への TV 受像機設置などにより、公共 放送によるデジタル放送の特性を活かした番組の提供を通じて、 「パ」国国民にとって必 要な情報をタイムリーに伝達することに期待が高まっている。 (表4-3)非識字率(2002 年国勢調査) 成人(15 歳以上)非識字率 全 国 男性 女性 都市部 地方部 7.1% 6.0% 8.2% 4.9% 10.3% 4-3 4-4 第4章 環境社会的側面の検討 3. プロジェクトを実施しない場合の将来予測 本プロジェクトは、 「パ」国公共放送局の地上波デジタル放送網の整備と、公共放送局 の組織・機能強化を支援することにより、情報サービスの提供を拡充し、国民の生活水 準の向上に寄与することを意図している。しかし、プロジェクトが実施されない場合に は、 「パ」国においてテレビ放送を通じた情報提供の中心的役割を担うのは、これまでと 同様に民間テレビ放送局となる。民間テレビ放送局には、大資本および関連企業、政治 支援団体、宗教団体等と関連があるものがあり、報道機関としてこうした団体の意思に 影響を受けない中立性が必ずしも確保されていない。また、民間テレビ放送局による放 送内容は商業的・通俗的な娯楽番組に偏り過ぎているという指摘もある。教育や保健衛 生、農業技術、産業育成、交通安全、文化財保護などのテーマを扱った公共性の高い番 組が制作、放送される機会が限定的となることが懸念される。民間テレビ放送局の放送 網は都市部を中心とした一部地域のみが放送の対象となっていることから、情報が伝達 される地域も限定的である。その結果、民間テレビ放送局の放送網から外れている地域 では、テレビ放送からの情報提供を受けられないか、他国向けの番組を視聴せざるを得 ない状況が続くことが考えられる。 また、ISDB-T 方式の特徴の11 つであるワンセグ放送を活用すれば、デジタル放送用 受像機を有していなくても、ワンセグ放送対応の携帯端末を持っていれば番組を視聴す ることができることから、公共放送局が発信する情報へのアクセスの手段をより多くの 人に提供できるようになる。しかし、プロジェクトが実施されない場合にはこの手法も 活用できなくなり、情報へのアクセスの手段およびアクセスできる地域は民間放送に依 存した非常に限定的なものとなる。 これまでは周辺国のテレビ局からの番組購入や番組交換が盛んに行われてきており、 特に、公共放送局は新しく設立されたばかりであり、番組制作能力は限られていること から、他国からの番組購入は非常に重要なコンテンツの入手手段となる。しかし、本プ ロジェクトが実施されないことにより国際的な潮流である地上波デジタル放送導入に取 り組むことができない場合には、ISDB-T 方式を採用している「パ」国周辺諸国との放送 番組交換の際に作業効率が悪くなり、番組制作が非効率化することが予想される。 また、視聴者は娯楽性の高い海外の衛星放送を楽しむ傾向があるため、周辺国の地上 波デジタル化に合わせて多くの視聴者は海外の番組を見るためにデジタル放送用受像機 に買い替えることが予測される。一方、 「パ」国内でデジタル化が進まない場合、国内の 番組を視聴するためにはアナログ放送用の受像機が必要であり、公共放送局によって教 育や保健衛生、農業技術、産業育成、交通安全、文化財保護などのテーマを扱った公共 性の高い番組が提供されたとしても、国内で独自制作される番組を見る視聴者はマイノ リティーとなる恐れが高い。その結果、 「パ」国国民は、情報通信技術の発達による多様 な恩恵を十分に受けることができなくなり、 「パ」国の放送文化の発達における重大な損 失となることが懸念される。 4-5 さらに、TV 放送のデジタル化が行われないことにより、国内で新たに使用できる周 波数が限定され、携帯電話や無線インターネット等への周波数の割当てを最適化するこ とができず、将来の通信インフラ開発に負の影響が及ぶことが懸念される。 4-6 第4章 環境社会的側面の検討 (2) プロジェクトの実施に伴う環境社会面に対する改善効果 1. 情報格差是正と改善 「パ」国政府は政策の重点分野として「行政近代化」 、 「貧困削減」 、 「経済競争力強化」 、 「人材開発」 、「インフラ整備」 、 「環境保全」等を挙げ国家開発に取り組んでいる。本プ ロジェクトによる地上波デジタル放送網の整備および公共放送局の組織・機能強化を支 援することは、これらの政策重点分野に横断的に関わり、開発促進に大きく貢献するも のと政府関係者から期待されている。 「パ」国保健省では、保健衛生分野の情報普及に公共放送の活用を計画しており、従 来、保健・衛生に関する情報が不十分であった地方の住民の保健衛生および健康状態の 改善を期待している。公共放送を通じて、流行している疾病に関する情報(感染経路や 予防法、発症した場合の対処法など)や地域で提供されている医療サービスに関する情 報、公衆衛生の意識向上のための情報などが提供されることにより、入手した情報をも とに各家庭において予防活動の実施や習慣付けなどを行うことができるようになる。各 家庭における衛生管理に関する能力が向上され、家計における医療薬品費や疾病による 機会費用の低減につながることが期待できる。 公共放送の導入に伴う教育放送の充実は、 「行政近代化」や「人材開発」の促進に資す る。「パ」国の文化庁(Secretaria Nacional de la Cultura)および教育省(Ministerio de Educacion y cultura)の教育放送番組制作部門(Canal Arandu Rape)では、基礎教育を中 心に、高等教育、成人教育、職業技術教育、識字教育まで幅広く教育にテレビ放送を活 用することを計画しており、特に従来、教育サービスが行き届きにくかった地方部での 効果を見込んでいる。 1960 年代より米国シカゴ学派のセオドア・シュルツを中心に研究されてきている経済 成長理論では、教育は生産機能における資本形成の一つと考えられており、公共放送お よび教育放送による「人材開発」は、間接的に「経済競争力強化」や「貧困削減」 「環境 保全」につながると期待できる。とりわけ、成人識字率の改善は労働者一人当たりの生 産性の増加につながるとされており「貧困削減」に役立つとされている。 具体的には、非識字者が識字化することで、保険や他の金融商品へのアクセスが改善 されたり、また家計簿をつけることができるようになったりすることによって、お金の 管理が改善され、貯蓄の機会を利用することができるようになる。また、識字は労働市 場への参加の前提条件でもあることから、識字によって就労機会を拡大させることが所 得の向上につながると考えられている。 さらに「パ」国農牧省では、農業の振興に公共放送を役立てることを計画している。 「パ」国の主要産業は農業であり、国内外の市況や天候、利用可能な技術に関する情報、 農牧省による支援策に関する情報などが公共放送を通じて提供されれば、農産品取引の 4-7 効率化、農業生産性の向上などにつながる。また、 「パ」国商工省は88 つの分野(バイ オ燃料、食肉・皮革、木材、野菜・果実、ステビア、繊維・衣料、ICT、観光)の強化 を進めており、公共放送の活用により、各産品・分野に従事する事業者に対して必要な 情報(商工省による支援策、マーケット情報など)を提供することを計画している。地 方の情報を都市部に伝えることにより、新たなビジネスチャンス・雇用機会の創出(品 質向上による輸出促進、地方での観光開発など)が期待できる。 2. 提案プロジェクト以外の環境社会影響の小さい他の選択肢との比較 「パ」国には、既にアナログ放送網が整備されており、本案件はアナログ放送に使用 されている既設の送信所、中継所をできるだけ活用し、環境への影響に配慮しつつ必要 最小限のデジタル波送信用アンテナおよび送信機等を設置して行うものである。そのた め、提案プロジェクトより環境面での影響の尐ない選択肢としては本案件を実施しない こと以外考えられない。 4-8 第4章 環境社会的側面の検討 (3) プロジェクトの実施に伴う環境社会面への影響 1. JBIC「環境社会配慮のための国際協力ガイドライン」および JICA「環境社会配慮ガイ ドライン」への適合性 本件は、 「パ」国における公共放送局の設立および地上波デジタル放送網を整備するも のである。本プロジェクトでは、以下の設備の整備を行う計画である。 ① スタジオ設備等:22 箇所(アスンシオン) ② 送信所設備 :33 箇所(アスンシオン、エンカルナシオン、シウダ・デル・エス テ) ③ 中継所設備、放送波中継設備:16 箇所(場所未定) これらの設備の整備は、大規模な埋立、造成、開墾および非自発的住民移転等を伴う ものではなく、また、大気汚染、水質汚濁等が発生する設備ではないことから、社会環 境に与える影響は極めて小さいものと考える。 なお、サイト周辺の限定的な影響としては、工事に伴う大気汚染(粉じん等)、騒音・ 振動、廃棄物や、設備の供与に伴う騒音、電磁波、事故(倒壊、落下物など)が考えら れるが、通常の方策で対応ができるものと考える。 したがって、本プロジェクトは、JBIC「環境社会配慮のための国際協力ガイドライン」 および JICA「環境社会配慮ガイドライン」に照らして、カテゴリ C に分類される。ま た「ジェトロ環境社会配慮ガイドライン」においては「影響があると考えられるもの」 に分類できるが、その影響は極めて小さいものと考えられる。 本事業は公共放送局の設立及び地上波デジタル放送網の整備を目的に、都市地域にお いてスタジオ、送信所、中継所を設置するものであり、環境・社会に係る大きな影響が 懸念される項目はないと考える。現在、基本的な計画が策定された段階で、詳細な計画 は今後作業が進められることから、その中で必要に応じて環境・社会に係る内容も含め 検討が行われる。 (表4-4)に環境社会配慮項目に係るチェックリストを示す。 4-9 (表4-4)環境社会配慮項目に係るチェックリスト 分 類 環境項目 主なチェック事項 (a) 環境アセスメント報告書 Yes: Y 具体的な環境社会配慮 No: N (Yes/No の理由・根拠、緩和策等) (a) N (a) (b) (c) (d) 本事業は、都市地域に (EIA レポート)等は作成 おいてスタジオ、送信所、中継 済みか。 所を設置するものである。事業 (b) EIA レポート等は当該国政 (b) N 府により承認されている (1) EIA お よ び環境許 認可 の実施にあたっては、今後、同 国の環境影響評価制度に基づき か。 手続きを進め、環境ライセンス (c) EIA レポート等の承認は付 (c) N を取得する予定である。なお、 帯条件を伴うか。付帯条件 現地環境コンサルタントへのヒ がある場合は、その条件は アリングによると、携帯電話の 満たされるか。 中継施設では通常 EIA レポート (d) 上記以外に、必要な場合に (d) N の作成が行われており、本事業 は現地の所管官庁からの についても EIA レポートの作成 1 環境に関する許認可は取 を行うものと考えられる。 許 認 可 ・ 説 明 得済みか。 (a) プロジェクトの内容およ (a) N (a) (b) 今後、同国の環境影響評価制 び影響について、情報公開 度に基づき手続きを進める。手 を含めて現地ステークホ 続きの中で EIA レポートが公表 (2) 現 地 ス テ ルダーに適切な説明を行 され、地域住民は意見を述べる ークホル い、理解を得ているか。 ダ ー へ の (b) 住民等からのコメントを、 説明 プロジェクト内容に反映 ことができる。なお、EIA 手続き (b) N では、住民説明の機会がないた め、事業内容や環境影響につい させたか。 て自主的に説明を行い、十分な コミュニケーションが図られる ことが望まれる。 (a) プロジェクト計画の複数 (3) 代 替 案 の 検討 (a) N (a) 基本的な計画が策定された段階 の代替案は(検討の際、環 であり、詳細な計画は今後作業 境・社会に係る項目も含め が進められる。その中で、環境・ て)検討されているか。 社会に係る内容も含め検討が行 われる。 (a) 対象となるインフラ施設 2 汚 染 対 策 (1) 大気質 (a) Y (a) 本事業は、スタジオ、送信所、 及び付帯設備等から排出 中継所を設置するものであり、 される大気汚染物質(硫黄 施設からの大気汚染物質の排出 酸化物、窒素酸化物、媒じ はなく、大気質に影響を及ぼさ ん等)は当該国の排出基 ないと考える。 準、環境基準等と整合する か。大気質に対する対策は 取られるか。 4-10 表の書式変更 第4章 環境社会的側面の検討 分 類 環境項目 Yes: Y 主なチェック事項 (a) インフラ施設及び付帯設 (2) 水 質 具体的な環境社会配慮 No: N (Yes/No の理由・根拠、緩和策等) (a) Y (a) 本事業は、スタジオ、送信所、 中継所を設置するものであり、 表の書式変更 出水は当該国の排出基準、 施設からの排水の発生はなく、 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 環境基準等と整合するか。 水質に影響を及ぼさないと考え 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック (a) インフラ施設及び付帯設 (a) Y (a) 施設からの廃棄物の発生はない の規定に従って適切に処 への変更に伴い、受像機の買い 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 理・処分されるか。 替えによる廃棄物の発生が懸念 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック く、また民放局のアナログ方式 廃 放送の停波が 12~15 年後と予測 棄物 されているため、廃棄物処理に 関する喫緊の課題は生じないと 予想できるが、長期的な環境配 慮の視野に立ち、「パ」国政府 機関が中古テレビを回収、再利 2 用し、貧困層へのテレビ普及を 汚 促すという対策をとることも検 染 討の余地がある。 (a) インフラ施設及び付帯設 (4) 土 壌汚染 (a) Y (a) 本事業は、スタジオ、送信所、 備からの排水、浸出水等に 中継所を設置するものであり、 より、土壌・地下水を汚染 施設からの排水の発生はなく、 しない対策がなされるか。 土壌環境に影響を及ぼさないと 考える。 (a) 騒音、振動は当該国の基準 (a) Y 等と整合するか。 (a) 本事業では、騒音・振動の発生 を伴う設備の設置はない。なお、 中継所はアンテナ高さが 100~ (5) 騒 200m 程度であり、強風による風 音・振動 切り音による影響が懸念される ことから、周辺の土地利用等を (6) 地 盤沈下 (a) 大量の地下水汲み上げを (a) N 悪 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 両端揃え 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 両端揃え 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, 右 : 0 mm, 行間 : 固定値 15.8 pt 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 両端揃え 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: 両端揃え 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック (a) 本事業は、スタジオ、送信所、 地下水の汲み上げは行わない。 (a) 本事業は、スタジオ、送信所、中 継所を設置するものであり、臭 気の発生を伴う施設の設置はな い。 4-11 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック られる。 る恐れがあるか。 臭 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 中継所を設置するものであり、 の対策はとられるか。 書式変更: 両端揃え 踏まえ設置位置等の配慮が求め 行う場合、地盤沈下が生じ (a) 悪臭源はあるか。悪臭防止 (a) N (7) 書式変更: 両端揃え と考える。なお、デジタル放送 ビの普及台 数が日 本程多 くな 策 書式変更: 両端揃え 備からの廃棄物は当該国 される。ただし、同国ではテレ 対 書式変更: インデント : 左 : 0 mm, 右 : 0 mm, 行間 : 固定値 15 pt 備等からの排水または浸 る。 (3) 書式変更: フォント : (英) Times New Roman, (日) MS 明朝 書式変更 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 右 : 0 mm, 最初の行 : -1.5 字 書式変更: 両端揃え 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 分 類 分 類 環境項目 環境項目 Yes: Y 主なチェック事項 No: N (Yes/No の理由・根拠、緩和策等) 主なチェック事項 Yes: Y No: N 具体的な環境社会配慮 (Yes/No の理由・根拠、緩和策等) (a) 環境アセスメント報告書 (a) N (a) (b) (c) (d) 本事業は、都市地域に (EIA レポート)等は作成 おいてスタジオ、送信所、中継 済みか。 所を設置するものである。事業 (b) EIA レポート等は当該国政 (b) N (1) EIA およ び環境許 認可 表の書式変更 書式変更 ... 書式変更: 両端揃え 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 か。 き手続きを進め、環境ライセン ... 書式変更 ... スを取得する予定である。な 書式変更 ... 帯条件を伴うか。付帯条件 お、現地環境コンサルタントへ 書式変更 ... がある場合は、その条件は のヒアリングによると、携帯電 書式変更 ... 満たされるか。 話の中継施設では通常 EIA レ 書式変更: 両端揃え ポートの作成が行われており、 書式変更 ... 書式変更 ... (c) EIA レポート等の承認は付 (c) N は現地の所管官庁からの 本事業についても EIA レポー 環境に関する許認可は取 トの作成を行うものと考えら れる。 書式変更 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更 (a) (b) 今後、同国の環境影響評価 ... 書式変更 ... び影響について、情報公開 制度に基づき手続きを進める。 書式変更 ... を含めて現地ステークホ 手続きの中で EIA レポートが 書式変更 ... ルダーに適切な説明を行 公表され、地域住民は意見を述 書式変更 ... い、理解を得ているか。 べることができる。なお、EIA 書式変更 ... ダ ー へ の (b) 住民等からのコメントを、 (b) N 手続きでは、住民説明の機会が 書式変更: 両端揃え 説明 プロジェクト内容に反映 ないため、事業内容や環境影響 させたか。 について自主的に説明を行い、 (a) プロジェクトの内容およ (2) 現地ステ ークホル (a) N 検討 ... 図られることが望まれる。 ... 書式変更 (a) 基本的な計画が策定された段 ... 書式変更 ... の代替案は(検討の際、環 階であり、詳細な計画は今後作 書式変更 ... 境・社会に係る項目も含め 業が進められる。その中で、環 書式変更: 両端揃え て)検討されているか。 境・社会に係る内容も含め検討 書式変更 が行われる。 書式変更 (a) 対象となるインフラ施設 (1) 大気質 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更 (a) プロジェクト計画の複数 (3) 代替案の 書式変更 書式変更 十分なコミュニケーションが 2 汚 染 対 策 書式変更: インデント : 左 : 0 mm, 右 : 0 mm, 行間 : 固定値 15 pt 国の環境影響評価制度に基づ 得済みか。 許 認 可 ・ 説 明 の実施にあたっては、今後、同 書式変更: フォント : (英) Times New Roman, (日) MS 明朝 府により承認されている (d) 上記以外に、必要な場合に (d) N 1 具体的な環境社会配慮 (a) N (a) Y (a) 本事業は、スタジオ、送信所、 ... ... 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 及びおよび付帯設備等か 中継所を設置するものであり、 ら排出される大気汚染物 施設からの大気汚染物質の排 質(硫黄酸化物、窒素酸化 出はなく、大気質に影響を及ぼ 書式変更: 両端揃え 物、媒じん等)は当該国の さないと考える。 書式変更 排出基準、環境基準等と整 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 合するか。大気質に対する 書式変更 ... 対策は取られるか。 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 4-12 第4章 環境社会的側面の検討 (a) インフラ施設及びおよび (a) Y (2) 水質 (a) 本事業は、スタジオ、送信所、 書式変更: 両端揃え たは浸出水は当該国の排 施設からの排水の発生はなく、 書式変更 ... 出基準、環境基準等と整合 水質に影響を及ぼさないと考え 書式変更 ... するか。 る。 書式変更 ... (a) 施設からの廃棄物の発生はな 書式変更 ... いと考える。なお、デジタル放 書式変更 ... 書式変更 ... 当該国の規定に従って適 送への変更に伴い、受像機の買 切に処理・処分されるか。 い替えによる廃棄物の発生が懸 (3) 廃棄物 ... 書式変更 レビの普及台数が日本程多くな ... 書式変更 ... く、また民放局のアナログ方式 書式変更 ... 放送の停波が 12~15 年後と予 表の書式変更 測されているため、廃棄物処理 書式変更 に関する喫緊の課題は生じない 書式変更 と予想できるが、長期的な環境 配慮の視野に立ち、「パ」国政 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: 両端揃え ... 書式変更 ... 書式変更 を促すという対策をとることも ... 書式変更 検討の余地がある。 ... 書式変更 利用し、貧困層へのテレビ普及 (a) 本事業は、スタジオ、送信所、 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 付帯設備からの排水、浸出 中継所を設置するものであり、 書式変更: フォント : Times New Roman 水等により、土壌・地下水 施設からの排水の発生はなく、 書式変更 を汚染しない対策がなさ 土壌環境に影響を及ぼさないと 書式変更: 両端揃え れるか。 考える。 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... (a) 騒音、振動は当該国の基準 (a) Y 等と整合するか。 (a) 本事業では、騒音・振動の発生 を伴う設備の設置はない。なお、 (5) 騒音・振 動 (a) 大量の地下水汲み上げを (a) N 行う場合、地盤沈下が生じ る恐れがあるか。 の対策はとられるか。 4-13 ... 書式変更 中継所はアンテナ高さが 100~ ... 書式変更: フォント : Times New Roman 200m 程度であり、強風による風 書式変更: フォント : Times New Roman 切り音による影響が懸念される 書式変更: 両端揃え ことから、周辺の土地利用等を 書式変更 ... 踏まえ設置位置等の配慮が求め 書式変更 ... られる。 書式変更 ... 書式変更 ... (a) 本事業は、スタジオ、送信所、 中継所を設置するものであり、 地下水の汲み上げは行わない。 (a) 悪臭源はあるか。悪臭防止 (a) N (7) 悪臭 ... 書式変更 府機関が中古テレビを回収、再 (a) インフラ施設及びおよび (a) Y 書式変更: 両端揃え 書式変更 念される。ただし、同国ではテ (6) 地盤沈下 ... 中継所を設置するものであり、 付帯設備からの廃棄物は (4) 土壌汚染 ... 書式変更 付帯設備等からの排水ま (a) インフラ施設及びおよび (a) Y 2 汚 染 対 策 書式変更 (a) 本事業は、スタジオ、送信所、中 書式変更 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: 両端揃え 継所を設置するものであり、臭 書式変更 ... 気の発生を伴う施設の設置はな 書式変更 ... い。 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... (a) その他の影響について (a) Y (a) 送信所、 中継所の設置 に関し る。電波塔に関しては、国の規 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 最 初の行 : -1.5 字 制があり、適切な対応が必要と 書式変更: フォント : Times New Roman て、電磁波の影響が懸念され 2 汚 染 対 策 (8) その他 なる。その他、各都市で環境に 関する個別の規制等がある可 (a) サイトは当該国の法律・国 (a) N 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: 両端揃え 能性があるため、確認が必要で 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック ある。 表の書式変更 (a) 本事業では、スタジオ、送信所、 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 際条約等に定められた保 中継所を設置する。スタジオ、 護区内に立地するか。プロ 送信所はアスンシオン市等の 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック ジェクトが保護区に影響 都市部に設置する計画であり、 書式変更: フォント : Times New Roman を与えるか。 保護区等は設定されていない。 また、中継所の場所は未定であ (1) 保護区 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman るが、都市部及びおよびその周 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 辺に設置する計画であり、具体 書式変更: フォント : Times New Roman 的な設置場所の選定にあたっ 書式変更: フォント : Times New Roman ては、土地利用や自然環境の状 況を踏まえて選定する。したが 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 最 初の行 : -1.5 字 って、保護区への影響は基本的 書式変更: フォント : Times New Roman にないと考える。 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: 両端揃え 3 (a) サイトは原生林、熱帯の自 (a) N (a)(b)(c)本事業では、スタジオ、送信 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 自 然林、生態学的に重要な生 所、中継所を設置する。スタジ 然 息地(珊瑚礁、マングロー オ、送信所はアスンシオン市等 ブ湿地、干潟等)を含むか。 の都市部に設置する計画であ 環 (b) サイトは当該国の法律・国 (b) N 境 (2) 生態系 り、生態系への影響が懸念され 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 際条約等で保護が必要と る地域はない。 書式変更: フォント : Times New Roman される貴重種の生息地を また、中継所の場所は未定であ 書式変更: フォント : Times New Roman 含むか。 るが、都市部及びおよびその周 辺に設置する計画であり、具体 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 最 初の行 : -1.5 字 懸念される場合、生態系へ 的な設置場所の選定にあたっ 書式変更: フォント : Times New Roman の影響を減らす対策はな ては、土地利用や自然環境の状 書式変更: 両端揃え されるか。 況を踏まえて選定する。したが 書式変更: フォント : Times New Roman って、生態系への影響は基本的 書式変更 (c) 生態系への重大な影響が (c) N (d) プロジェクトによる水利 (d) N 用(地表水、地下水)が、 にないと考える。 河川等の水域環境に影響 (d) 本事業は、スタジオ、送信所、中 を及ぼすか。水生生物等へ 継所を設置するものであ、施設 の影響を減らす対策はな からの排水の発生はないと考 されるか。 える。 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 書式変更: フォント : Times New Roman 4-14 第4章 環境社会的側面の検討 (a) プロジェクトによる水系 (a) N 3 (3) 水象 自 然 境 (4) 地形・地 質 書式変更: フォント : Times New Roman の変化に伴い、地表水・地 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 下水の流れに悪影響を及 書式変更 ぼすか。 書式変更: 両端揃え ... 書式変更 (a) 本事業は、スタジオ、送信所、中 ... 書式変更 ... ト及びおよび周辺の地 継所を設置するもので、大規模 書式変更 ... 形・地質構造が大規模に改 な埋立、造成、開墾を伴うもので 書式変更 ... 変されるか。 はなく、地形・地質構造の大規模 書式変更 ... な改変はない。 表の書式変更 (a) プロジェクトにより、サイ (a) N 環 (a) 同上 (a) プロジェクトの実施に伴 (a) N (a) 本事業では、スタジオ、送信所、 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... い非自発的住民移転は生 中継所を設置する。スタジオ、 じるか。生じる場合は、移 送信所はアスンシオン市等の都 転による影響を最小限と 市部に設置する計画であり、住 する努力がなされるか。 民移転を伴わないう場所を選定 書式変更 ... 可能であるではない。また、中 書式変更 ... 継所の場所は未定であるが、都 書式変更 ... 市部及びおよびその周辺に設置 書式変更 (1) 住民移転 する計画であり、具体的な設置 ... 書式変更: フォント : Times New Roman 場所の選定にあたっては、土地 書式変更 利用の状況を踏まえて選定す る。 (a) プロジェクトによる住民 (a) N 書式変更: 両端揃え (a) 本事業は、スタジオ、送信所、中 ... 書式変更: 両端揃え 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... ... 4 の生活への悪影響が生じ 継所を設置するもので、住民生 書式変更 社 るか。必要な場合は影響を 活への悪影響が生じるものでは 書式変更 緩和する配慮が行われる ないがく、送信所およびアンテ ... 書式変更: フォント : Times New Roman か。 ナの設置には近隣への配慮が必 書式変更 要である。むしろまた、公共放送 書式変更: 両端揃え 局の設立およ及び地上波デジタ 書式変更 ... ル放送網の整備に伴う教育放送 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 (a) 本事業では、スタジオ、送信所、 ... 書式変更 ... 学的、歴史的、文化的、宗 中継所を設置する。スタジオ、 書式変更 ... 教的に貴重な遺産、史跡等 送信所はアスンシオン市等の都 書式変更: 両端揃え を損なう恐れはあるか。ま 市部に設置する計画であり、文 書式変更 ... た、当該国の国内法上定め 化遺産等を損なう恐れのある場 書式変更 ... られた措置が考慮される 所ではない。また、中継所の場所 書式変更 ... か。 は未定であるが、都市部及びお 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 会 環 境 (2) 生活・生 計 の充実により、「行政近代化」や 「人材開発」の促進に資するも のと考える。 (a) プロジェクトにより、考古 (a) N (3) 文化遺産 よびその周辺に設置する計画で あり、具体的な設置場所の選定 4-15 ... にあたっては、土地利用の状況 を踏まえて選定する。 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 書式変更: フォント : (英) Times New Roman (a) 特に配慮すべき景観が存 (a) N (4) 景 観 影響を及ぼすか。影響があ るものであり、影響は小さいと 書式変更: フォント : (英) Times New Roman る場合には必要な対策は 考えられるが、具体的な位置等 書式変更: 両端揃え 取られるか。 の検討を行うなかで必要に応じ 書式変更: フォント : (英) Times New Roman て配慮が必要となる。 物の高層化によって景観 社 が損なわれる恐れがある 会 か。 環 (a) 尐数民族、先住民族の文 (a) Y 境 (5) 少 数 民 族、先住 民族 書式変更: フォント : (英) Times New Roman タジオ、送信所、中継所を設置す (b) 大規模な宿泊施設や建築 (b) N 4 (a)(b)本事業は、都市部を中心にス 在する場合、それに対し悪 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 最 初の行 : -1.5 字 書式変更: フォント : (英) Times New Roman (a)(b) 本事業は、都市部を中心にス 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 化、生活様式への影響を軽 タジオ、送信所、中継所を設置す 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 減する配慮がなされてい るものであり、影響はないと考 るか。 えられる。 書式変更: インデント : 左 : 0 mm, ぶ ら下げインデント : 1.5 字, 最初の行 : -1.5 字, 行間 : 固定値 16 pt (b) 尐数民族、先住民族の土地 (b) Y 及びおよび資源に関する 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 諸権利は尊重されるか。 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 表の書式変更 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 両端揃え 4-16 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 第4章 環境社会的側面の検討 (a) プロジェクトにおいて遵 (a) Y (a)(b)(c)(d) 基本的な計画が策定さ 書式変更 守すべき当該国の労働環 れた段階であり、詳細な計画は 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 境に関する法律が守られ 今後作業が進められる。 書式変更 るか。 ... ... 書式変更: 両端揃え (b) 労働災害防止に係る安全 (b) Y 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 設備の設置、有害物質の管 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 最 初の行 : -1.5 字 理等、プロジェクト関係者 へのハード面での安全配 慮が措置されるか。 (c) 安全衛生計画の策定や作 (c) Y 書式変更 ... 書式変更 ... 業員等に対する安全教育 (6) 労働環境 書式変更: フォント : (英) Times New Roman (交通安全や公衆衛生を 含む)の実施等、プロジェ クト関係者へのソフト面 書式変更: インデント : 左 : 0 mm, ぶ ら下げインデント : 1.5 字, 最初の行 : -1.5 字, 行間 : 固定値 16 pt での対応が計画・実施され 書式変更 ... 書式変更 ... るか。 (d) プロジェクトに関係する (d) Y 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 警備要員が、プロジェクト 関係者・地域住民の安全を 侵害することのないよう、 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 適切な措置が講じられる 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 最 初の行 : -1.5 字 か。 書式変更 (a) 工事中の汚染(騒音、振動、 (a) Y そ の 他 (1) 工事中の 影響 ... 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 濁水、粉じん、排ガス、廃 タジオ、送信所、中継所を設置す 棄物等)に対して緩和策が るものである。 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 用意されるか。 スタジオ設備は、既存建物の一 書式変更: 両端揃え 部を利用する計画であり、建設 系)に悪影響を及ぼすか。 工事は建物の改修や設備の設置 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 最 初の行 : -1.5 字 また、影響に対する緩和策 等の小規模な工事となる。 書式変更 が用意されるか。 また、送信所、中継所について 書式変更 (b) 工事により自然環境(生態 (b) N 5 (a)(b)(c) 本事業は、都市においてス ... も、大規模な工事ではなく、影 ... 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 影響を及ぼすか。また、影 響は工事エリア周辺に限られる 表の書式変更 響に対する緩和策が用意 ものと考えられる。 書式変更: フォント : (英) Times New Roman (c) 工事により社会環境に悪 (c) N されるか。 こ これらに対して周辺の土地利用等 を踏まえて各種環境保全対策を 講じることにより、影響を低減 できると考える。 書式変更: インデント : 左 : 0 mm, ぶ ら下げインデント : 1.5 字, 最初の行 : -1.5 字 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 書式変更: フォント : (英) MS ゴシッ ク, (日) MS ゴシック 書式変更 4-17 ... (a) 上記の環境項目のうち、影 (a) Y 響が考えられる項目に対 は、今後、同国の環境影響評価 して、事業者のモニタリン 制度に基づき手続きを進め、環 グが計画・実施されるか。 境ライセンスを取得する予定で (b) 当該計画の項目、方法、頻 (b) Y (2) モニタリン グ (a)(b)(c)(d) 事業の実施にあたって ある。 環境ライセンスは 2 年の期限が れているか。 あり、更新が必要となる。更新 書式変更: フォント : (英) Times New Roman (c) 事業者のモニタリング体 (c) Y 時には環境に関する報告書を提 書式変更 出することとなっており、これ 書式変更: 両端揃え 算等とそれらの継続性)は により継続してモニタリングが 書式変更 ... 確立されるか。 行われる。詳細については、今 書式変更 ... 後の手続きの中で決定される。 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... (a)(b) 本事業は、都市部を中心にス 書式変更 ... タジオ、送信所、中継所を設置す 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... (a) 必要な場合、道路、鉄道、 (a) N 橋梁に係るチェックリス 意 トの該当チェック事項も るものであり、大規模な埋立、 追加して評価すること。 造成、開墾を伴うものではなく、 (b) 電話線敷設、鉄塔、海底ケ (b) N ーブル等については、必要 電線・配電に係るチェックリス 書式変更 に応じて、送変電・配電に トに該当する事項はない。 ... 書式変更 ... 係るチェックリストの該 書式変更 ... 当チェック事項も追加し 書式変更 ... て評価すること。 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... (a) 本事業は、都市部を中心にスタ は地球規模の環境問題へ ジオ、送信所、中継所を設置する 環境チェックリ の影響も確認する(廃棄物 ものであり、越境または地球規 ス ト 使用 上の の越境処理、酸性雤、オゾ 模の環境問題への影響を及ぼす ン層破壊、地球温暖化の問 ような設備ではない。 6 点 書式変更: 両端揃え 照 (a) 必要な場合には、越境また (a) N 意 道路、鉄道、橋梁及びおよび送 ... ックリストの参 点 留 ... 制(組織、人員、機材、予 定されているか。 留 書式変更 度等はどのように定めら の報告の方法、頻度等は規 他の環境チェ 書式変更: 両端揃え, インデント : 左 : 0 mm, ぶら下げインデント : 1.5 字, 最 初の行 : -1.5 字 書式変更: フォント : (英) Times New Roman (d) 事業者から所管官庁等へ (d) Y 6 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 注意 書式変更: 両端揃え 題に係る要素が考えられ 書式変更 ... る場合等)。 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 注) JICA 環境社会ガイドラインの「チェックリスト一覧表(その他インフラ施設)」を参考に、本事業に係る 環境社会配慮項目の洗い出しを行った。 表の書式変更 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更 ... 書式変更: 行間 : 固定値 12 pt 書式変更 4-18 ... 第4章 環境社会的側面の検討 (a) その他の影響について (a) Y (a)送信所、中継所の設置に関して、 電磁波の影響が懸念される。電 2 汚 染 対 策 波塔に関しては、国の規制があ り、適切な対応が必要となる。 (8)その他 その他、各都市で環境に関する 個別の規制等がある可能性があ るため、確認が必要である。 (a) サイトは当該国の法律・ (a) N (a)本事業では、スタジオ、送信所、 国際条約等に定められた 中継所を設置する。スタジオ、 保護区内に立地するか。 送信所はアスンシオン市等の プロジェクトが保護区に 都市部に設置する計画であり、 影響を与えるか。 保護区等は設定されていない。 また、中継所の場所は未定であ るが、都市部及びその周辺に設 (1)保護区 置する計画であり、具体的な設 置場所の選定にあたっては、土 地利用や自然環境の状況を踏 まえて選定する。したがって、 保護区への影響は基本的にな いと考える。 3 (a) サイトは原生林、熱帯の 自 自然林、生態学的に重要 信所、中継所を設置する。スタ 然 な生息地(珊瑚礁、マン ジオ、送信所はアスンシオン市 グローブ湿地、干潟等) 等の都市部に設置する計画で を含むか。 あり、生態系への影響が懸念さ 環 境 (b) サイトは当該国の法律・ (2)生態系 (a) N (b) N (a)(b)(c)本事業では、スタジオ、送 れる地域はない。 国際条約等で保護が必要 また、中継所の場所は未定であ とされる貴重種の生息地 るが、都市部及びその周辺に設 を含むか。 置する計画であり、具体的な設 (c) 生態系への重大な影響が (c) N 置場所の選定にあたっては、土 懸念される場合、生態系 地利用や自然環境の状況を踏 への影響を減らす対策は まえて選定する。したがって、 なされるか。 生態系への影響は基本的にな (d) プロジェクトによる水利 用(地表水、地下水)が、 (d) N いと考える。 (d)本事業は、スタジオ、送信所、中 河川等の水域環境に影響 継所を設置するものであ、施設 を及ぼすか。水生生物等 からの排水の発生はないと考 への影響を減らす対策は える。 なされるか。 4-19 書式変更: フォント : (英) Times New Roman 書式変更: インデント : 左 : 0 mm, ぶ ら下げインデント : 1.5 字, 最初の行 : -1.5 字, 行間 : 固定値 15.8 pt (a) プロジェクトによる水系 (a) N (a)同上 (a) N (a)本事業は、スタジオ、送信所、中 の変化に伴い、地表水・ 3 (3)水象 及ぼすか。 自 然 (a) プロジェクトにより、サ 環 境 地下水の流れに悪影響を (4)地形・地質 イト及び周辺の地形・地 継所を設置するもので、大規模 質構造が大規模に改変さ な埋立、造成、開墾を伴うもの れるか。 ではなく、地形・地質構造の大 規模な改変はない。 (a) プロジェクトの実施に伴 (1)住民移転 (a) N (a)本事業では、スタジオ、送信所、 い非自発的住民移転は生 中継所を設置する。スタジオ、 じるか。生じる場合は、 送信所はアスンシオン市等の 移転による影響を最小限 都市部に設置する計画であり、 とする努力がなされる 住民移転を伴う場所ではない。 か。 また、中継所の場所は未定であ るが、都市部及びその周辺に設 置する計画であり、具体的な設 置場所の選定にあたっては、土 地利用の状況を踏まえて選定 する。 (a) プロジェクトによる住民 4 社 会 (2)生活・生計 (a) N (a)本事業は、スタジオ、送信所、中 の生活への悪影響が生じ 継所を設置するもので、住民生 るか。必要な場合は影響 活への悪影響が生じるもので を緩和する配慮が行われ はなく、むしろ、公共放送局の るか。 設立及び地上波デジタル放送 網の整備に伴う教育放送の充 環 実により、「行政近代化」や「人 境 材開発」の促進に資するものと 考える。 (a) プロジェクトにより、考 (3)文化遺産 (a) N (a)本事業では、スタジオ、送信所、 古学的、歴史的、文化的、 中継所を設置する。スタジオ、 宗教的に貴重な遺産、史 送信所はアスンシオン市等の 跡等を損なう恐れはある 都市部に設置する計画であり、 か。また、当該国の国内 文化遺産等を損なう恐れのあ 法上定められた措置が考 る場所ではない。また、中継所 慮されるか。 の場所は未定であるが、都市部 及びその周辺に設置する計画 であり、具体的な設置場所の選 定にあたっては、土地利用の状 況を踏まえて選定する。 4-20 第4章 環境社会的側面の検討 (a) 特に配慮すべき景観が存 (4)景 観 (a) N (a)(b)本事業は、都市部を中心にス 在する場合、それに対し タジオ、送信所、中継所を設置 悪影響を及ぼすか。影響 するものであり、影響は小さい がある場合には必要な対 と考えられるが、具体的な位置 策は取られるか。 等の検討を行うなかで必要に (b) 大規模な宿泊施設や建築 (b) N 応じて配慮が必要となる。 (a) Y (a)(b) 本事業は、都市部を中心に 物の高層化によって景観 が損なわれる恐れがある か。 (a) 尐数民族、先住民族の文 (5)少数民族、 先住民族 化、生活様式への影響を スタジオ、送信所、中継所を設 軽減する配慮がなされて 置するものであり、影響はない いるか。 と考えられる。 (b) 尐数民族、先住民族の土 (b) Y 地及び資源に関する諸権 利は尊重されるか。 4 (a) プロジェクトにおいて遵 (a) Y (a)(b)(c)(d) 基本的な計画が策定 社 守すべき当該国の労働環 された段階であり、詳細な計画 会 境に関する法律が守られ は今後作業が進められる。 環 るか。 (b) 労働災害防止に係る安全 境 (b) Y 設備の設置、有害物質の 管理等、プロジェクト関 係者へのハード面での安 全配慮が措置されるか。 (c) 安全衛生計画の策定や作 (c) Y 業員等に対する安全教育 (6)労働環境 (交通安全や公衆衛生を 含む)の実施等、プロジ ェクト関係者へのソフト 面での対応が計画・実施 されるか。 (d) プロジェクトに関係する 警備要員が、プロジェク ト関係者・地域住民の安 全を侵害することのない よう、適切な措置が講じ られるか。 4-21 (d) Y (a) 工事中の汚染(騒音、振 (a) Y スタジオ、送信所、中継所を設 ス、廃棄物等)に対して 置するものである。 緩和策が用意されるか。 (b) 工事により自然環境(生 (1) 工 事 中 の 影響 (a)(b)(c)本事業は、都市において 動、濁水、粉じん、排ガ スタジオ設備は、既存建物の一 (b) N 部を利用する計画であり、建設 態系)に悪影響を及ぼす 工事は建物の改修や設備の設 か。また、影響に対する 置等の小規模な工事となる。 緩和策が用意されるか。 (c) 工事により社会環境に悪 また、送信所、中継所について (c) N 影響を及ぼすか。また、 も、大規模な工事ではなく、影 響は工事エリア周辺に限られ 影響に対する緩和策が用 るものと考えられる。 意されるか。 これらに対して周辺の土地利 用等を踏まえて各種環境保全 5 対策を講じることにより、影響 そ を低減できると考える。 の (a) 上記の環境項目のうち、 他 影響が考えられる項目に (a) Y ては、今後、同国の環境影響評 対して、事業者のモニタ 価制度に基づき手続きを進め、 リングが計画・実施され 環境ライセンスを取得する予 るか。 定である。 (b) 当該計画の項目、方法、頻 (2) モ ニ タ リ ン グ (a)(b)(c)(d)事業の実施にあたっ (b) Y 度等はどのように定めら 環境ライセンスは2年の期限 があり、更新が必要となる。更 れているか。 新時には環境に関する報告書 (c) 事業者のモニタリング体 (c) Y を提出することとなっており、 制(組織、人員、機材、 これにより継続してモニタリ 予算等とそれらの継続 ングが行われる。詳細について 性)は確立されるか。 (d) 事業者から所管官庁等へ は、今後の手続きの中で決定さ (d) Y れる。 の報告の方法、頻度等は 規定されているか。 (a) 必要な場合、道路、鉄道、 (a) N 6 留 意 点 他の環境チェ (a)(b)本事業は、都市部を中心にス 橋梁に係るチェックリス タジオ、送信所、中継所を設置 トの該当チェック事項も するものであり、大規模な埋 追加して評価すること。 立、造成、開墾を伴うものでは (b)電話線敷設、鉄塔、海底ケ (b) N なく、道路、鉄道、橋梁及び送 ックリストの参 ーブル等については、必 電線・配電に係るチェックリス 照 要に応じて、送変電・配 トに該当する事項はない。 電に係るチェックリスト の該当チェック事項も追 加して評価すること。 4-22 第4章 環境社会的側面の検討 (a) 必要な場合には、越境ま 意 (a)本事業は、都市部を中心にスタ ジオ、送信所、中継所を設置す 環境チェックリ への影響も確認する(廃 るものであり、越境または地球 ス ト 使用 上の 棄物の越境処理、酸性雤、 規模の環境問題への影響を及 オゾン層破壊、地球温暖 ぼすような設備ではない。 6 留 (a) N たは地球規模の環境問題 注意 化の問題に係る要素が考 点 えられる場合等)。 注) JICA環境社会ガイドラインの「チェックリスト一覧表(その他インフラ施設)」を参考に、本 事業に係る環境社会配慮項目の洗い出しを行った。 2. スタジオ設備等、送信所、中継施設建設に伴う周辺環境および住民への影響 a. スタジオ設備等による影響 ① 工事中の影響 スタジオ設備は、既存建物の一部を利用する計画であることから、建設工事は建 物の改修や設備の設置等の小規模な工事となる。環境への影響としては、フロア改 修に伴う大気汚染(粉じん)、騒音、建設廃材等の廃棄物の発生が考えられるが、影 響は工事エリア周辺に限られ、また、環境保全対策を講じることにより影響を低減 できるものと考えられる。このため、周辺環境や住民への影響は小さいと考える。 このほか、工事に伴う水質汚濁、土壌汚染、地盤沈下、底質については、本工事 では工事排水の排出はなく、地下水の汲み上げも行わないことから、これらの影響 はないと考える。 ② 設備供与後の影響 スタジオ設備は、アスンシオン市内の中心部にある既存建物の一部を利用する計 画であり、新たな土地の改変は行わない。また、スタジオ設備であることから、排 ガスの発生や設備からの排水、地下水の汲み上げ等の環境に影響を及ぼす要因はな い。これらのことから、周辺環境や住民への影響は極めて小さいと考える。 なお、保全対策として、スタジオの防音性能に配慮するほか、環境負荷の低減の 観点から、電力削減効果としてスタジオ照明機材を従来のハロゲン電球から蛍光管 形照明器具とすることや、空調負荷削減効果として建物の窓ガラスを熱線吸収ガラ スまたは熱線反射ガラスにする等の設計配慮を行う計画である。 b. 送信所設備、中継所設備による影響 ① 工事中の影響 送信所設備、中継所設備については、具体的な設置場所が現時点で未定である。 4-23 アンテナの高さも、現時点では未定であるが、既存のアナログ放送の送信設備や周 辺地形等を考慮すると、概ね 100~200m程度と考えられる。環境への影響としては、 基礎工事、組立工事等に伴う建設機械の排気ガス、騒音・振動、建設廃材等の廃棄 物の発生が考えられるが、大規模な工事ではなく、影響は工事エリア周辺に限られ るものと考えられる。さらに、設置場所の配慮を行うことにより、周辺環境や住民 への影響は小さくなると考える。このほか、工事に伴う地形・地質、水質汚濁、土 壌汚染、地盤沈下、底質については、本工事では大規模な埋立、造成、開墾等はな く、また、工事排水は地下ボーリング程度で、地下水の汲み上げを行わないことか ら、影響はないと考えられる。 ② 設備供与後の影響 送信所設備、中継所設備については、具体的な設置場所が現時点で未定である。 アンテナの高さは概ね 100~200m程度と考えられ、環境への影響としては、騒音(強 風による風切り音) 、電磁波、事故(倒壊、落下物など)が考えられる。 また、設置場所が未定であるため、場所の検討にあたっては、周辺の病院・学校・ 住宅等の土地利用の状況や、自然環境の状況を踏まえ、住民や周辺環境への影響を 低減するよう配慮する必要がある。 その他の影響として、アナログからデジタル放送への変更に伴い、テレビ受像機 の買い替えによる廃棄物の発生が懸念される。 「パ」国の廃棄物関連の法律について は、昨年、固形廃棄物総合法が策定され、現在、規則等の作成作業が進められてい るところであるが、リサイクル関連の法律は未整備の状況である。 日本においては、家電製品のリサイクルとして、家電リサイクル法(特定家庭用 機器再商品化法)が整備されている。法では消費者(排出者)に対しては家電製品 (テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)のリサイクル費用等の負担、家電小売 店には機器の引取り、家電メーカー等に対してはリサイクルの義務を課すことによ り、金属・ガラス・プラスチックなどの有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物 を減量するためのシステムが構築されている。 「パ」国においても、必要に応じて、 リサイクル関連法の整備が求められる。 日本の事例では、地上波デジタル方式への移行に伴いおよそ 5,000 万台以上のア ナログ放送視聴用テレビが廃棄されたと推定されているが、パラグアイではテレビ の普及台数が日本程多くなく、また民放テレビ局のアナログ方式放送の停波が 12~ 15 年後と予測されているため、廃棄テレビの処理に関する喫緊の課題は生じないと 予想できる。しかしながら長期的な環境配慮の視野に立ち、 「パ」国政府機関が中古 テレビを回収、再利用し、貧困層へのテレビ普及を促すという対策をとることも検 討の余地があると考えられる。 4-24 第4章 環境社会的側面の検討 3. 民間放送局との共存 公共放送局だけではなく、民間放送局も同時に地上波デジタル放送への移行を進めな ければ、地上波デジタル放送導入により長期間に渡りアナログとデジタルの両方の視聴 の必要性が生じ、受信アンテナ併設など視聴者の負担が大きくなるケースが出現する。 また、ケーブルテレビ局においてもデジタル・アナログの受信・変換設備を長期間維持 運用管理するため、同様の負担が生じると考えられる。 現在、民間放送局は、各局がアナログの電波塔を所有している。地上波デジタル放送 については、SICOM はアスンシオン送信所を民間放送局が共同利用できるように考慮す るとしており、民間放送局側も公共放送局との共同利用を検討する意向を示している。 地方送信所および中継所についても、民間放送局との共同利用について検討することが 見込める。2011 年55 月より始まる地上波デジタルの試験放送では、IPS ビルの送信所 を民間放送局に貸し出し、試験放送に参加してもらうことを検討中である。 地上波デジタル放送に関する研修については、ISDB-T 方式の採用を 2010 年 6 月に決 定したばかりということもあり、民間放送局ではまだ受けている放送局はない。大手放 送局の SNT、TELEFUTURO では放送局内設備のデジタル化を進めており、ほぼ 100% をデジタル化しているが、送信はアナログ信号に変換している。各放送局では、現在は 個人レベルで地上波デジタル放送について勉強し、実務をこなしているが、公共放送、 他民間放送局ともに地上波デジタル放送に関する研修が必要との意見があった。ブラジ ルから研修の申し出を受けている放送局もあり、その受け入れは現在検討中とのことで ある。いずれにしても、同水準の研修によって、地上波デジタル放送への移行について は、公共放送局ばかりではなく、民間放送局とも足並みを揃えた準備を進める必要があ る。 SICOM は 2010 年 6 月経営陣が日本の公共放送局や地上波デジタル放送の技術を視察 しており、また 11 月にも 2 名の職員が、JICA が実施する地上波デジタル放送関連の研 修を日本国内で受けている。66 月の視察後には、SICOM は「パ」国内にてワークショ ップを開催し、一般の国民や民間放送局職員を対象にとして公共放送設立の目的や、地 上波デジタル放送導入の意義など理解促進の普及活動を行っている。 地上波デジタル放送への移行における社会的な影響は、放送事業者を中心とした設備 整備の時期に左右される。特に視聴者にとっては、アナログ放送停波の時期が最も重要 である。視聴者の一時的な混乱や放送へのアクセス不可等は、政府・民間が一体となっ て対策を行うことで回避できる。地上波デジタル化による社会的負の影響を生まないた めには、地上波デジタル放送推進委員会を設置し、政府、公共放送、民間放送、ケーブ ルテレビ局、商工会議所などがともに議論し、様々な問題を解決できる体制を構築する ことが必須である。 「パ」国民にとって利便性の高い豊かな放送文化を築き上げるためには、視聴者、民 間放送局とともに公共放送局の役割・責任を再認識し、公共放送局と民間放送局とが共 4-25 存・共栄できるようになることが望ましい。公共放送局と民間放送局が足並みを揃えて 地上波デジタル放送に移行し共存していくことは、社会的な正の影響が期待できる。 4. デジタル放送への切替えに係る視聴者への影響と理解促進 2010 年88 月 30 日に公布された公共放送設立に関する大統領令にもとづき、SICOM による地上波デジタル放送導入準備が正式に始まった。アスンシオン市内を除く地域で は、公共放送は地上波デジタル方式のみで送信される計画になっているので、従来のア ナログ方式用テレビ受像機しか保有していない国民は、セットトップボックス(STB、 デジタル放送のアナログ受像機用変換機)もしくは地上波デジタル放送に対応した受像 機を購入しないと公共放送を視聴することができない。 したがって、デジタル放送への切替に際しては、アナログ放送とデジタル放送の併用 であるサイマル放送期間を十分に取り、この期間に視聴者が円滑に受像機もしくは STB を購入できるよう配慮する必要がある。 しかしながら、なぜ地上波をデジタル化しなければいけないかと言うことが視聴者に 十分理解されない場合、受像機の買換え行動が鈍くなることが予想される。望ましいサ イマル放送期間より長くサイマル放送を続けることは、放送事業者に負担がかかること につながる。そのため、地上波デジタル放送への円滑な移行において視聴者の理解促進 は非常に重要な要素となる。 一方、 「パ」国は全国民の33 割以上の貧困層を抱えており、貧困層の受像機買換え行 動が迅速に進むとは考え難いことから、地上波デジタル放送の導入により富裕層と貧困 層の間の情報格差が拡大する可能性もある。そのため、 「パ」国政府は、現行放送用受像 機との互換性を確保するための安価な STB の販売促進策や無償提供などを検討する必 要がある。来年開始されるアスンシオン地域での地上波デジタル試験放送時には、4 万 台の STB を配布することを SICOM は既に予算化している。デジタル放送網の拡大に合 わせて、貧困層を対象とした STB 購入支援は「パ」国政府にとって継続しなければなら ない施策である。 また、STB 購入支援と同時に、貧困層に配慮し、情報サービスを広く国民に行き渡ら せるために、 「パ」国政府が学校や保健所、コミュニティセンターのような公共施設にテ レビ受像機を設置し、地域住民の地上波デジタル放送視聴を支援することも必要と考え られる。 4-26 第4章 環境社会的側面の検討 (4) 相手国の環境社会配慮関連法規の概要 1. 相手国の環境社会配慮関連法規の概要 「パ」国の環境影響評価制度は、環境影響評価法〔1993 年 12 月:Ley No. 294/93 Ley 書式変更 de Evaluación de Impacto Ambiental(EIA) 〕および施行規則(1996 年77 月:農牧省令 書式変更 Decreto N° 14281/96)で定められており、環境庁(SEAM:Secretaria del Ambiente)がその 管理を行っている。手続きの流れは、以下のとおりである。 手続きの流れ 手続きの内容 ①申請 事業計画者は、SEAMへ環境基礎質問表 (Cuestionario Ambiental Básico)、自治体によ る立地証明書および県庁による当該計画に対 する関心表明書を提出する。 ① 申 請 法定期間は 30 日 ② スクリーニング 結果の通達 EIAが不要 (手続き終了) EIAが必要 ③ EIA の実施 内部審査 ④ EIA の提出/公表 住民意見受付 法定期間は 90 日 ⑤ 環境ライセンス の発行 ②スクリーニングの結果の通達 SEAMは申請を受けてから30日以内にEIAの必 要性の有無を判断する。 EIAが不要な場合には、事業者がPCA(環境管 理計画)を提出し、その後、環境ライセンスが 発行される。 ③EIA の実施、内部審査 EIAが必要な場合には、SEAMから実施項目、 内容について指示される。それを基に事業者 はEIAを作成・提出し、 SEAMの内部審査(修 正・追記事項の指示)を経て、最終版を作成 する。 なお、EIAはSEAMの認証を受けた環境コンサ ルタントが実施しなければならない。 ④EIA の提出/公表、住民意見受付 EIAに最終版を提出した後、事業者は新聞およ びラジオにてEIAの公告を行う(33日間)。 その後、15日間(土日は除く)公表する。SEAM から公表する項目、新聞記事の記載事項が指 示される。また、住民はプロジェクトに対す る反対意見を述べることができる(地域住民の み)。なお、住民説明会の開催など、事業内容 等を説明する機会は設けられていない。 ⑤環境ライセンスの発行 最終版が提出されてから90日以内に、当該事 業の可否が判断され、許可された場合に、環 境ライセンスが発行される。 4-27 その他の環境関連法規の整備状況は、以下のとおりである。 なお、各都市で環境に関する個別の規制等を有している場合があるため、事業の実施 にあたっては、確認が必要である。 項 目 法令の 有無 大気汚染 × 規制基準はない。 水質汚濁 ○ 水資源法と河川への排出基準が定められている。 水資源法については、現在、施行規則を策定中 騒 音 ○ 騒音の規制基準が定められている。 振 動 × 規制基準はない。 土壌汚染 × 規制基準はない。 地盤沈下 × 規制基準はない。 悪 臭 × 規制基準はない。 そ の 他 ○ 電波塔に関して、電磁波の強度に関する規制が定 められている。 また、各都市で環境に関する個別の規制等を有し ている場合があるため、確認が必要となる。 内 容 2. 本プロジェクトに係る EIA(環境アセスメント)等の内容 本プロジェクトにおいても送信所設備や中継所設備の整備にあたって、環境影響評価 手続きが必要となる。手続きは各施設(送信所設備、中継所設備)で行うこととなる。 手続きは、 「環境基礎質問表(Cuestionario Ambiental Básico)」および「自治体による立 地証明書」 、 「県庁による当該計画に対する関心表明書」の提出がスタートとなる。これ に基づき EIA の実施の有無についての判断が SEAM により行われる。 なお、環境コンサルタントへのヒアリングによると、携帯電話の中継施設では通常 EIA が行われているとのことから、本事業についても EIA を実施することになると考えられ る。 環境基礎質問表の記載事項は、次のとおりである。 (表4-5)環境基礎質問表(Cuestionario Ambiental Básico)の記載事項 項 目 プロジェクト名 プロジェクトの概要 内 容 ・プロジェクトの計画者名、連絡先、住所 ・プロジェクト立地の地形図と地図 ・土地の所有権の登記証明書あるいはその他利権証明書 ・関連プロジェクトの有無状況 ・プロジェクトの分類 ・代替案(立地および技術)の有無状況 ・総投資金額 ・応用される技術および当該工程 4-28 第4章 環境社会的側面の検討 項 目 立地情報 その他DEIAが指定する情報 内 容 ・プロジェクトの行程計画書 ・原料および消耗品の種類および使用量 ・労務事情 ・公共サービスの必要性 ・インフラ整備事情 ・年間生産量注) ・廃棄物の発生量、騒音の発生状況、保全対策の内容等 ・使用面積 ・土地の概要(プロジェクト立地から500m以内に存在す る水域、湿地、植生、住居地・文化的施設・福祉施設・ 教育施設・宗教的施設との距離) ― 注)年間生産量とは、計画されている工場・事業所等において生産される製品の生産量 4-29 (5) プロジェクトの実現のために当該国が成すべき事柄 1. 適切な時期における EIA の実施及びその結果に基づく必要な措置 4章 (4) 1.で示したように、事業の実施にあたって環境ライセンスを取得する必要が ある。環境ライセンスは、事業に関する CONATEL の承認および市役所に対する建築関 係手続きの際に必要となる。したがって、プロジェクトを円滑に進めるためには、これ らの手続きの前に環境影響評価(EIA)手続きを終了しておく必要がある。後述する6 章 (3) に示すように、EIA 手続きには 9~16 ヵ月程度の期間を要することが予想される ことから、計画的に EIA 手続きを実施し、必要な予算措置を講じる必要がある。 また、環境ライセンスには22 年の期限があり、更新が必要となる。更新時には報告 書を提出し、更新時に環境の問題がある場合には、環境ライセンスを取り消されること がある(過去に携帯電話会社の送信施設において環境ライセンスを取り消されたケース がある) 。このため、環境ライセンス取得後も必要となる環境保全措置については、継続 して実施していく必要がある。 2. 住民との合意形成 4章 (4) 1..で述べたように、EIA 手続きでは、住民に対してプロジェクトや EIA の 内容を説明する機会がなく、EIA が公表された後、初めて住民は事業の内容や環境影響 について知ることができる。また、EIA の公表後、住民はプロジェクトに対する反対意 見を提出することができ、反対意見が出された場合には、関係者(SEAM、事業者、住 民の三者)で協議を行うこととなる。 プロジェクトの円滑な進行を考えると、EIA に対する住民の意見やそれに基づく関係 者協議に要する時間を最小限とすることが重要であるため、事業者が事業内容や環境影 響について、住民に自主的に説明を行っていくことが望ましい。 実施時期は、環境影響評価手続きの開始と併せて実施すればよいが、住民が事業内容 や環境影響に対する不安を持たないように、十分なコミュニケーションを図っていくこ とが必要である。 4-30 第5章 財務的・経済的実行可能性 第5章 財務的・経済的実行可能性 (1) 事業費の積算 本プロジェクトの費用は、放送機材・設備等の調達と設置、局舎の建設等にかかる初期 投資費用、プロジェクト管理費等からなる。 (表5-1)に事業費を示す。 (表5-1)本プロジェクトの事業費 No. 合計金額 項目 (百万円) (千 US$) 4,633 54,283 841 9,853 1 機材および据付工事 2 建設工事 3 土地収用および補償 4 プロジェクト管理費 297 3,480 5 コンサルティングサービス 469 5,495 6 予備費 297 3,480 6,537 76,591 n.a 合計 n.a. 注:為替レート US$1.00 = 85.35 円(2010 年 9 月 28 日時点) 土地収用および補償については、本報告書作成の時点で具体的な中継所設置サイトが未 定であるため計上していない。プロジェクト管理費については、他の円借款プロジェクト の経験から想定した金額である。コンサルティングサービス費は第6章に詳細を示してい る。 事業費の項目のうち、円借款の対象とならないのは「土地収用および補償にかかる費用」 ならびにプロジェクト管理費であり、パラグアイ政府の独自財源から賄われる必要がある。 したがって、事業費の負担区分は(表5-2)のとおりとなる。 (表5-2)事業費の負担区分 区分 金額 (百万円) 円借款対象部分 パラグアイ政府負担分 合計 5-1 (千 US$) 構成比 6,240 73,111 95% 297 3,480 5% 6,537 76,591 (2) 予備的な財務・経済分析の結果概要 1. 予備的財務分析 a. 前提条件 「パ」国では、2010 年 8 月 30 日の大統領令によって公共放送局が設立され、放送 開始に向けた機材整備、組織体制の構築が SICOM によって進められている。公共放 送局の設立は情報格差の是正を目的としていることから視聴者に対して視聴料を課す 予定はない。 現在、公的機関が支出している広報支出はおよそ年間 3,000 万ドルであり、SICOM はこの 20~30%が公共放送に充てられるようになることを目指している。ただし、公 共放送はまだ新しい組織であり、TV 放送の実績もないことから、目標値の達成には 時間を要することが予想される。したがって、広報支出の水準は年間 3,000 万ドルが 維持され、設立当初の 10 年目(2019 年)まではこの 15%、20 年目(2029 年)以降は 20%を達成するものと想定する。 また、広告料が重要な財源の 1 つとなることから、SICOM は公共放送の収入として 公的機関からだけではなく、民間企業との CM 契約による広告料収入も想定している。 民間企業からの広告収入予測については以下の前提条件に基づき算出する。 民間企業からの広告収入はより視聴率が高いことが予想される娯楽・教養番組 の放送時間(放送時間全体の 25%)を対象とする。 工事完了後の公共放送の週間放送時間を月曜から日曜までの毎日 17 時間とす ると、 1 週間の総放送時間は 119 時間となることから、 この 25%に相当する 29.5 時間が民間企業からの広告収入の対象となる。 1 時間あたりの CM 量は 10%(6 分)とし、30 秒のスポット広告を 1 ユニット として、1 時間中に 3 回放送する(1 回あたりの放送時間は 2 分=4 ユニット) 。 CM 放送の料金は、民間放送局の実績の平均価格である 1 ユニットあたり 500US$(約 270 万ガラニ)とする。 (表5-3)は年間の維持管理費を示したものである。維持管理費については、以 下の事項を考慮して計算した。 地上波デジタル放送技術により多様なコンテンツの放送が必要となり、プログ ラムを提供する側の放送事業者は必要な要員を確保する必要がある。 交換部品・消耗品については、サーバーシステムのハードウェア・ソフトウェ アの更新および定期的メンテナンス、スタジオ照明ランプ・マイクロフォン・ 5-2 第5章 財務的・経済的実行可能性 ヘッドフォンなどの定期的交換が必要である。 アナログ方式の機材と比較した場合、大幅な消費電力の削減が可能であるもの の、新たな機材設置・施設建設に伴い、電力消費支出が発生する。 プロジェクトの評価期間は 2012 年から 2031 年までの 20 年間とした。 維持管理費は 設置工事の完了する部分から順次発生し、 工事完了の翌年の 2017 年から下表で示した 額が毎年発生する。 (表5-3)維持管理費 No. 金額 項目 (千円) (千 US$) 1 人件費および番組制作費 90,000 1,054 2 交換部品・消耗品 10,000 117 3 電気料金 1,458 17 101,458 1,188 合計 注:為替レート US$1.00 = 85.35 円(2010 年 9 月 28 日時点) b. 財務的内部収益率の計算 上記の前提条件をもとに財務的内部収益率(FIRR)を計算した結果を示したものが 次頁の(表5-4)である。割引率は世界銀行で使用されている 12%とする。 表に示されているとおり財務的内部収益率(FIRR)は割引率 12%を下回っておらず、 正味現在価値(NPV)も正の数値を示している。便益・コスト比(B/C)は 1.0 であり、 より譲許性の高い融資を活用することによって初期投資負担を軽減することができる。 これら予備的財務分析の計算結果は、本プロジェクトによって「パ」国において地上 波デジタル放送網を全国に構築し、優良な放送サービスを提供することは、財務的に 実施可能性があるということを示している。 5-3 (表5-4)プロジェクトのキャッシュフロー(FIRR) (単位:千円) 費用 投資 維持管理 収入 小計 広告収入 差額 小計 2012 49,200 49,200 0 -49,200 2013 1,872,000 1,872,000 0 -1,872,000 2014 1,822,800 1,822,800 0 -1,822,800 2015 1,248,000 90,000 1,338,000 0 -1,338,000 2016 1,248,000 95,729 1,343,729 0 -1,343,729 2017 101,458 101,458 1,176,294 1,176,294 1,074,836 2018 101,458 101,458 1,176,294 1,176,294 1,074,836 2019 101,458 101,458 1,176,294 1,176,294 1,074,836 2020 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2021 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2022 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2023 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2024 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2025 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2026 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2027 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2028 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2029 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2030 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 2031 101,458 101,458 1,304,319 1,304,319 1,202,861 1,707,599 7,947,599 19,180,710 19,180,710 11,233,111 6,240,000 NPV B/C 1.0 FIRR 30,999 12.1% c. 感度分析 感度分析に関しては、投資コストおよび維持管理費が 10%増減するケース、便益が 10%増減するケースについて計算した。 (表5-5)はその計算結果を示したものであ る。この計算結果は、本プロジェクトの実施において費用が 10%減少した場合、およ び便益が 10%増加した場合については割引率 12%を上回る結果となっていることから、 財務的に実現可能性があると言える。しかし、費用が当初よりも 10%増加した場合、 便益が 10%減少する場合、ならびに費用が 10%増加し、且つ便益が 10%減少する場合 についは、FIRR が 12%を下回ってしまうため、財務的に実現可能性がないというこ とになる。 5-4 書式変更: 右 1.64 字 第5章 財務的・経済的実行可能性 (表5-5)財務的内部収益率の計算結果 費用の増減 便益の増減 財務的内部収益率 ベースケース ベースケース 12% + 10% - 11% - 10% - 14% - + 10% 12% - - 10% 10% + 10% - 10% 10% 2. 予備的経済分析 a. 前提条件 本プロジェクトの実施による費用は、工事費、資機材費、コンサルティング費、予 備費であり、財務費用の経済的費用への変換には標準変換係数 0.9 を使用する。プロ ジェクトの評価期間は 2012 年から 2031 年までの 20 年間とする。本プロジェクトは国 家プロジェクトであることから非課税と仮定した。維持管理費については、予備的財 務分析と同じ条件を適用した。 「パ」国公共放送は情報格差の是正を目的として設置されており、視聴には受信料 を徴収しない予定であることから、様々なコンテンツが視聴者に対して無料で提供さ れるようになることの便益を貨幣価値化することは困難である。しかし、民間の有料 放送への加入料を番組視聴に対する支払い意思額(WTP)であるとすると、1 世帯当 た り の月 額視 聴 料は 23US$ (同 国に お ける 主な ケ ーブ ルテ レ ビ 放 送局 で ある Cablevision 社の一般向けの基本視聴料)となる。したがって、この額を「パ」国公共 放送視聴世帯にとっての便益と仮定する。 この便益を受ける対象としては、特に都市部との情報格差が大きいと考えられる農 村部に居住する貧困世帯とする。彼らは「パ」国政府が発信している情報へのアクセ スが不十分であり、本プロジェクトの実施による便益をもっとも多く享受すると考え られるからである。これらの世帯による便益の算出は、以下の条件に基づいて行う。 1 世帯当たりの家族数は 4.7 人とする(統計局データに基づく) 。 農村部に居住する世帯の比率は 42.3%とする(統計局データに基づく) 。 農村部における貧困率は 35%とする(統計局データに基づく) 。 TV の世帯普及率は人口比で 84.7%(2008 年、世界銀行 ICT 統計資料に基づく) であることから、2025 年時点で 90%、2031 年まで同率で増加すると仮定する。 便益が発生するのは工事完了後の 2017 年からとする。 5-5 b. 経済的内部収益率の計算 上記の前提条件をもとに経済的内部収益率(EIRR)を計算した結果を示したものが (表5-6)である。割引率は世界銀行で使用されている 12%を適用した。 (表5-6)プロジェクトのキャッシュフロー(EIRR) (単位:千円) 費用 投資 維持管理 便益 小計 WTP 差額 小計 2012 49,245 49,245 0 -49,245 2013 1,845,554 1,845,554 0 -1,845,554 2014 1,796,309 1,796,309 0 -1,796,309 2015 1,230,369 90,000 1,320,369 0 -1,320,369 2016 1,230,369 95,156 1,325,525 0 -1,325,525 2017 100,312 100,312 3,461,459 3,461,459 3,361,147 2018 100,312 100,312 3,532,334 3,532,334 3,432,022 2019 100,312 100,312 3,609,567 3,609,567 3,509,255 2020 100,312 100,312 3,674,221 3,674,221 3,573,909 2021 100,312 100,312 3,741,368 3,741,368 3,641,056 2022 100,312 100,312 3,809,591 3,809,591 3,709,279 2023 100,312 100,312 3,878,914 3,878,914 3,778,601 2024 100,312 100,312 3,953,789 3,953,789 3,853,477 2025 100,312 100,312 4,018,627 4,018,627 3,918,315 2026 100,312 100,312 4,084,017 4,084,017 3,983,705 2027 100,312 100,312 4,150,336 4,150,336 4,050,023 2028 100,312 100,312 4,217,597 4,217,597 4,117,285 2029 100,312 100,312 4,289,642 4,289,642 4,189,330 2030 100,312 100,312 4,354,430 4,354,430 4,254,118 2031 100,312 100,312 4,416,968 4,416,968 4,316,656 1,689,839 7,841,684 59,192,861 59,192,861 51,351,177 6,151,845 B/C 3.1 NPV 11,137,403 EIRR 33% 表に示されているとおり経済的内部収益率(EIRR)は割引率 12%を上回っており、 正味現在価値(NPV)も正の数値を示している。また、便益・コスト比(B/C)も 1 を上回っていることから、これら予備的経済分析の計算結果は、本プロジェクトによ って「パ」国において地上波デジタル放送網を全国に構築し、優良な放送サービスを 提供することは、経済的に実施可能性があるということを示している。 5-6 第5章 財務的・経済的実行可能性 c. 感度分析 感度分析に関しては、投資コストおよび維持管理費が 10%増減するケース、便益が 10%増減するケースについて計算した。 (表5-7)はその計算結果を示したものであ る。この計算結果は、本プロジェクトの実施において費用が当初の想定よりも 10%増 加した場合、便益が 10%減少した場合、その両方の場合、どのケースにおいても割引 率 12%を上回る結果となっていることから、経済的に実現可能性があると言える。 (表5-7)プロジェクトのキャッシュフロー(EIRR) 費用の増減 便益の増減 経済的内部収益率 ベースケース ベースケース 33% + 10% - 33% - 10% - 35% - + 10% 33% - - 10% 30% + 10% - 10% 30% 3. 資金調達 事業の初期投資の資金源として円借款を活用すると想定した場合、本邦技術活用条件 (STEP)の適用が有望可能であると考えられることから、STEP 適用案件として円借款 による資金調達に関する条件は以下のとおりとなる。 なお、STEP の適用に向けては、今後、詳細な調査が必要であることを付記する。 金利 :0.2%(コンサルティングサービス部分については 0.01%) 償還期間 :40 年(据え置き期間 10 年) 融資比率 :総事業費の 100%相当額まで 原産地ルール :円借款融資対象となる本体契約総額の 30%以上について a) 日本を原 産とする資機材および本邦企業の提供する役務、または b) 資機材を 調達すること 上記の条件に基づいた円借款対象部分の資金調達および返済のスケジュールは(表5 -8)に示すとおりである。また、前述のとおり、 「パ」国政府は初期投資分の自国負担 分および維持管理費の負担が必要となるが、公的機関からの広告収入(2019 年まで年間 384 百万円、2020 年以降 512 百万円) 、および民間企業との CM 契約による広告収入(年 間 792 百万円)が見込めることから、この収入から維持管理費および金利支払および元 本の返済が可能となる。 5-7 (表5-8)資金調達と返済スケジュールのイメージ(STEP 案件として実施) (単位:千円) 年 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 2036 2037 2038 2039 2040 2041 2042 2043 2044 2045 2046 2047 2048 2049 2050 2051 金利支払 借入 および返済 6,240,000 11,589 11,589 11,589 11,589 11,589 11,589 11,589 11,589 11,589 11,589 219,590 219,204 218,817 218,431 218,045 217,658 217,272 216,886 216,500 216,113 215,726 215,340 214,953 214,567 214,181 213,794 213,408 213,022 212,636 212,249 211,862 211,476 211,089 210,703 210,317 209,930 209,544 209,158 208,772 208,385 債務残高 6,240,000 6,240,000 6,240,000 6,240,000 6,240,000 6,240,000 6,240,000 6,240,000 6,240,000 6,240,000 6,031,999 5,823,998 5,615,997 5,407,996 5,199,995 4,991,994 4,783,993 4,575,992 4,367,991 4,159,990 3,951,990 3,743,990 3,535,990 3,327,990 3,119,990 2,911,990 2,703,990 2,495,990 2,287,990 2,079,990 1,871,991 1,663,992 1,455,993 1,247,994 1,039,995 831,996 623,997 415,998 207,999 0 書式変更: フォント : 9 pt 注)この返済スケジュールは、初年度に元本をすべて借り入れた場合の返済イメージであり、実 施には案件の進捗に合わせて、借り入れおよび支払いが行われる。 5-8 書式変更: インデント : ント : 1.89 字, 左 2 -1.89 字, 右 1.64 字, 0.5 行, 行間 : 固定値 ぶら下げインデ 字, 最初の行 : 間隔 段落前 : 13 pt 第6章 プロジェクトの実施スケジュール 第6章 プロジェクトの実施スケジュール (1) 実施スケジュール 本件調査完了後、円借款プロジェクトの実施スケジュール案をまとめたのが以下の表で ある。 「パ」国政府が迅速な地上波デジタル化を望んでおり、早急に円借款支援への要請が なされることを想定し作成した。なお、下図にあるように、2014 年には隣国ブラジルにお いて、FIFA サッカーワールドカップ、また 2016 年には同じくブラジルのリオデジャネイ ロ市で夏季オリンピックと世界的なスポーツイベントが開催される予定であり、国民に対 する地上波デジタル放送の理解促進の好機と政府では考えている。 (図6-1)実施スケジュール案 2,010 YEAR month 8 9 10 11 12 1 2011 2 3 4 5 6 7 2012 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 2013 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 2014 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 2015 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 2016 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 プレフィージビリティー調査(本件調査) 2010.8-2011.2 パ国側要請準備 円借款要請(パ国→日本) ★ 日本側検討 (含む、協力準備調査) 交換公文(EN)/借款契約締結(LA) ★ パ国国会承認 コンサルタント調達公示→ コンサルタント調達手続き コンサルタント契約→ ★ ★ コンサルティングサービス 工事業者契約→ ★ 工事施工 コミッショニング→ ★ FIFAサッカー ワールドカップ (ブラジル大 会) その他イベント ★ リオデジャネイ ロオリンピック 8月5日~ 8月21日 ★ 設計・入札及び評価 施工管理及び技術移転 ① 円借款要請: 2011 年第 2 四半期頃 ② 日本側検討: 円借款要請接到後、約 9 ヶ月間 ③ 協力準備調査: 2011 年第 2 四半期~第 4 四半期(所要期間約 6 ヶ月) ④ E/N および L/A 締結: 2012 年 1 月頃 ⑤ パ国国会承認: ④で締結された LA も正式に発効されるのは国会承認後であるが、 国会での審議及び承認まで約 5 ヶ月~2 年間程度。(SICOM は国会対策を既に進 めており、短期間での承認が得られると考えている。) ⑥ コンサルタント調達手続き及び選定: 2012 年第 2 四半期~2013 年初頭(所要期 間約 10 ヶ月、国会承認作業中に PQ まで進める。) ⑦ 設計、入札図書作成、P/Q 公示及び評価: 2012 年第 1 四半期~2013 年中旬(所 要期間 13~15 ヶ月) ⑧ 工事業者選定: 2014 年第 4 四半期 6-1 ⑨ コントラクターによる詳細設計・建設・設置工事: 2014 年第 4 四半期~2016 年 下旬 (所要期間 26 ヶ月) ⑩ コンサルタントによる技術移転(所要期間 26 ヶ月) ⑪ コミッショニング: 2017 年下旬頃 これらをまとめると、次のようになる。 - プロジェクト準備期間(JICA の協力準備調査開始時)からプロジェクト完了まで: 62 ヶ月 - プロジェクト実施期間: 41 ヶ月 - コントラクターの作業期間: 26 ヶ月 JICA による協力準備調査の実施を想定しており、その調査を受けて「パ」国政府内で計 画承認に関する手続きが行われるため、協力準備調査実施中に「パ」国政府関係機関と連 携しながら、手続きに遅延が発生しないよう配慮する必要がある。 なお、本プロジェクトが官民連携事業として実施される場合、前述のスケジュールと異 なり、全体スケジュールが早まることが想定される。また、官民連携事業として日本政府 で承認された後に、追加 F/S を実施することも考えられることから、その場合は、パラグ アイ政府と柔軟でかつ迅速な実施スケジュールについて、別途検討する必要がある。 6-2 第6章 プロジェクトの実施スケジュール (2) コンサルティングサービスの概要 1. コンサルティングサービスの概要 2009 年 3 月版の 「円借款事業の調達及びコンサルタント雇用ガイドライン」によれば、 日本の ODA による円借款プロジェクトにおける効率的かつ適切な準備および実施のた めに、借入人によるコンサルタント雇用の必要性を記している。 本プロジェクトにおいて必要と考えられるコンサルティングサービスの概要(業務) を以下に挙げる。 ① 基本設計 ② 入札者の事前資格審査 ③ 入札図書の作成 ④ 応札図書の審査 ⑤ 契約交渉 ⑥ 工事設計図(詳細設計図面)の審査 ⑦ 施工管理 ⑧ 海外映像素材調達 ⑨ 技術移転 公共放送組織運営力向上 地デジ放送を活用した公共番組制作手法 地デジ機材運用技術 OJT および研修(現場技術者) コンサルタントは、パラグアイにおけるローカルコンサルタントもしくは外国人エン ジニアを雇用し、またプロジェクトに関する上記業務の一部についてローカルコンサル タントに委託する。ローカルコンサルタントの雇用によって、パラグアイ技術者へのノ ウハウの移転とプロジェクトの実施の円滑化を図る。 2. コンサルタントの稼動スケジュールおよび費用 プロジェクトの実施スケジュールに基づき、コンサルタントの稼動スケジュールを算 出した。ただし、このスケジュールは「パ」国政府側の現時点での地上波デジタル放送 移行に対する要望を踏まえたものであるが、今後「パ」国政府側で地上波デジタル放送 移行期間に関する基本計画を作成した場合は、当該計画に沿ってコンサルタントの稼動 スケジュールを精査する必要がある。 6-3 外国コンサルタントの総稼動人月数 総括(30 M/M) 調達関連入札業務(15 M/M) 施工管理業務(36 M/M) 技術移転(30 M/M) 111 M/M ローカルコンサルタントの総稼動人月数 調達関連入札業務(75 M/M) 施工管理業務(128 M/M) 技術移転(35 M/M) 238 M/M コンサルティングサービス費の算出は、過去の円借款プロジェクトにおける経費等を 参考にし、下記の単価を用いて算出した。 外国コンサルタント技術料(技術料、諸経費込み) 総括 300 万円/月 専門家 220 万円/月 滞在費 50 万円/月 航空運賃 100 万円×20 回 ローカルコンサルタント技術料(技術料、諸経費込み) 専門家 40 万円/月 この結果、コンサルティングサービス費は、下記のようになる。 A) コンサルティングサービス費 外国コンサルタント 3 億 4,370 万円 技術料 2 億 6,820 万円 滞在費 5,550 万円 航空運賃 2,000 万円 ローカルコンサルタント 9,520 万円 管理費 3,050 万円 合計 4 億 6,940 万円 6-4 第6章 プロジェクトの実施スケジュール (3) 環境社会配慮にかかるスケジュール 本プロジェクトでは、送信所設備と中継所設備については、各設備ごとに環境影響評価 手続きが必要となる。スタジオ設備についても、基本的に手続きが必要となるが、既存建 物を利用した計画であることから、最終的な計画を基に関係部局に確認する必要がある。 SEAM および環境コンサルタントへのヒアリングによると、環境基礎調査質問表の作成 に 1~3 ヶ月程度、 環境基礎調査質問表等の提出から環境ライセンスの取得までに 5 ヶ月~ 12 ヶ月程度の期間を要するものと想定される。 なお、国の機関と連携・協力して手続きを進めれば、2~3 ヶ月程度で環境ライセンスを 取得できる可能性がある。 また、地域住民の反対がある場合には、手続き期間が長くなる可能性があることから、 住民が事業や環境に対する不安を持たないように、早い段階からコミュニケーションを図 っていくことが重要となる。 項 目 期 間(月数) 1 2 3 4 5 9~16 備考 環境基礎調査質問表の作成 1~3 ヵ月程度 自治体による立地証明書 1 日~2 週間程度 県庁による当該計画 1 日~2 週間程度 に対する関心表明書 環境基礎調査質問表等の提出から 5~12 ヵ月程度 環境ライセンスの取得まで 6-5 第7章 相手国実施機関の実施能力 第7章 相手国実施機関の実施能力 (1) 相手国実施機関の概要 1. 大統領府・発展のための情報庁 SICOM の使命は、 “公正で発展的かつ価値のあるパラグアイ国家創造に向けた国およ 書式変更: 1.文、インデント : 左 : 0 mm, 最初の行 : 0 mm び社会を繋ぐ(結ぶ)コミュニティープロセスの開発”であり、2008 年 8 月 27 日付の大 統領令第 171 号(DECRETO No. 171 de 27 de Agosto de 2008)に基づき「発展のための情 報庁」 (Secretaria de Informacion y para el Desarrollo: SICOM))として新設された。同庁の 主な使命および目的役割および機能は以下の通りである。 二国間、多国間に跨る、中央政府、中央および地方省庁機関の通信行政および戦略 案の作成、提案ならびに促進 発展のために必要な情報、情報公開に対する国民のアクセス(社会参加)を向上さ せるための(社会参加を含む) 、国家通信網の作成構築 全ての政府行政機関における組織イメージの確立確保 特別なコミュニケーションプログラムを利用した介した国家計画内容、行政執行状 況、公共事業案(国内および海外向け)に関する広報 大統領および政府行政機関に対する社会的コミュニケーションに関連する活動行 動、または意思決定に必要な情報の提供および助言 国際社会におけるパラグアイ文化の紹介と認知 (図7-1)は SICOM の組織図を示している。SICOM は大統領直轄の機関であり、 取り扱う内容に伴い、以下の通り 5 つの総局が設置されている。 1.① 管理および財務総局 書式変更: 見出し 5、 行頭文字または 番号を削除 2.② 発展のための開発および情報総局 書式変更 : 箇条書きと段落番号 3.③ コミュニケーション戦略総局 4.④ 大統領府情報総局 5.⑤ 公共メディア放送総局 職員数は 47 名(公共放送職員を含まない)である。 7-1 (図7-1)SICOM の組織図 大統領府 長官 内部監査 秘書官 副長官 倫理・透明性 画像出版顧問 官房長 広報戦略顧問 総務 業務・技術顧問 職員教育・コミュニケーション顧問 受付 文書管理 カスタマー サービス 法律顧問局 管理および財務総局 発展のための開発 および情報総局 コミュニケーション 戦略総局 大統領府情報総局 公共放送設立に関する 実務を行う部署 公共メディア総局 大統領府 長官 秘書官 内部監査 副長官 倫理・透明性 画像出版顧問 官房長 広報戦略顧問 総務 業務・技術顧問 職員教育・コミュニケーション顧問 受付 文書管理 カスタマー サービス 法律顧問局 管理および財務総局 発展のための開発 および情報総局 コミュニケーション 戦略総局 大統領府情報総局 公共放送設立に関する 実務を行う部署 公共放送総局 (出典:SICOM) 7-2 第7章 相手国実施機関の実施能力 2. 公共テレビ放送網(RTNP) パラグアイ公共テレビ放送網(Radio y Televisiόn Nacional del Paraguay: RTN)は、2010 年 8 月 30 日の大統領令(No.4982)の公布に伴い、SICOM 内に設置されることになった。 発足初期における職員数は 53 名(総務管理関連部門を含まず)。 (図77-22)パラグアイ公共テレビ放送網の組織図 総局 財務局 コンテンツ企画局 顧問および企画 広報・普及局 総局 財務局 コンテンツ企画 技術局 顧問および企画 広報・普及局 技術局 (出典:SICOM) 上記各局の機能は以下の通り。 財務局: 年間予算の執行および経営人材の育成運営 コンテンツ企画局:コンテンツの企画計画・必要性の決定およびコンテンツの 作成 広報・普及局:情報コンテンツの作成 技術局:公共テレビ放送網に係る技術的な運営 7-3 書式変更: アウトライン番号 + レベル : 3 + 番号のスタイル : 1, 2, 3 … + 開始 : 1 + 配置 : 左 + 整列 : 0 mm + タブ : 7.2 mm + インデント : 7.2 mm 書式変更: 1.文、インデント : 最初の行 : 0 字 (2) 相手国におけるプロジェクト実施のための組織体制 1. 組織体制 下図に本プロジェクトを実施するための、 「パ」国政府側の組織体制を示す。責任・実 施機関ともに SICOM となる。プロジェクト実施にあたっては、SICOM 内に設置された 公共テレビ放送網(RTNP)が担当する。RTPN における、技術面については、技術局が 担当し、放送の計画や必要性の決定については、コンテンツ企画局が対応する。 また、教養・教育放送番組の支援を行う関係機関として、保健省、農牧省、商工省、 教育省、イタイプ公団、ヤシレタ公団が情報、コンテンツおよび資金の提供を行う。 今般公共テレビ放送網設置に伴う周波数割り当ては CONATEL が行うが、実際の伝送 回線は COPACO からの提供を受けることになる。なお、COPACO は伝送回線を提供す る代わりに、その利用料金を SICOM より徴収する。 (図77-33)プロジェクトの実施体制図 書式変更: インデント : 左 -1.37 字 責任・実施機関 責任・実施機関 関係機関 関係機関 予算 大蔵省 情報・コンテンツ 資金の提供 保健省 発展のための情報庁 (SICOM) 農牧省 商工省 アランドゥラペチャンネル 借入機関 借入機関 周波数割当 CONATEL (47名) 公共テレビ放送網 伝送回線提供 (RTP) (53名) (教育省) イタイプ公団 ヤシレタ公団 7-4 COPACO 利用料金 第7章 責任・実施機関 責任・実施機関 関係機関 関係機関 相手国実施機関の実施能力 予算 借入機関 借入機関 大蔵省 情報・コンテンツ 資金の提供 保健省 発展のための情報庁 (SICOM) 農牧省 商工省 周波数割当 CONATEL (47名) 公共テレビ放送網 伝送回線提供 (RTN) (53名) アランドゥラペチャンネル COPACO 利用料金 (教育省) 協力団体 協力団体 イタイプ公団 ヤシレタ公団 2. 関係機関 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除 (A)a. 大蔵省 上記図7-37-3 に示した通り、 「パ」国において円借款等、ローンプロジェクトを 書式変更 : 箇条書きと段落番号 実施する際、「パ」国側の借入機関である大蔵省の役割は以下の通りである。 書式変更: a.文、インデント : 最初の行 : 0 字 1)①融資条件(借入金利のベースとなる借入金額・据置期間、返済期間および形態) 書式変更: 見出し 5、 行頭文字または 番号を削除 に関する検討分析 書式変更 : 箇条書きと段落番号 2)②融資条件下での、借入金返済可否に関する検討 外務省は、 パラグアイの国家予算運営に関する法令第 1535 号に準じているかどう 書式変更: ①文、インデント : 最初の行 : 0 字 かを照らし合わせつつ、借款可否について最終的な判断を行っている。 なお、法令 1535 号は、国家予算の会計方法の統一、支出入の報告方法、項目の統 一、資料のデジタル化、大蔵省の権限、国家予算の申請、補正予算、各省庁の活動 報告の義務付け、予算支出の管理等に関する法令である。 (B)b. CONATEL(Comisión Nacional de Telecomunicaciones:国家通信委員会) CONATEL は「パ」国通信セクターにおける技術規制(送信技術および放送システム 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除 書式変更 : 箇条書きと段落番号 の決定ならびにインストール)や計画、プログラミングおよび管理について、法律に照 書式変更: a.文、インデント : 最初の行 : 0 字 らしつつ政府政策に基づき、放送ラインセンスに係る諸条件の設定や付与等を担当す 書式変更: 英語 (米国) る政府機関である。地上デジタル放送開始に伴う、公共放送・民間放送への周波数帯 域の割り当ては CONATEL が担当する。 7-5 7-6 第7章 相手国実施機関の実施能力 (3) 相手国実施機関の能力評価と対応策 1. 発展のための情報庁(SICOM) SICOM は前述のとおり、設置されて間もないため、体制構築はまだその途上であり、 書式変更: 1.文、インデント : 最初の行 : 0 字 責務遂行のためには職員の増員および能力向上が必要である。また、新しい組織という ことでドナーからの支援を受けプロジェクトを実施した経験が乏しいことから、プロジ ェクトの運営管理を担当する人材の配置も急務となっている。 現在のところ、アルゼンチンの技術者をインハウス・コンサルタントして招き、さら に国内民放局の職員を招聘するなど、番組編成などについて、具体的な議論を開始して いるが、内部の人材育成も急務である。 また SICOM 同庁は、技術面のみならず政府が国民に対して発信する情報へのアクセ スに地域差があることに対して強い問題意識を有しているとともに、その改善および全 国的に公平に情報を発信することができるようにするためのシステム構築の必要性を十 分に理解している。大統領令公布後、大統領府直下の責任実施機関として強い意識をも っており、特に 2010 年度の「パ」国補正予算の国会承認を速やかに得る等、プロジェク ト実現に向けた関係機関内の調整能力は高く評価できる。 この予算を確保したことに伴い、2011 年 5 月頃を目処に、アナログ( 「パ」国自国予 算) 、デジタル(わが国総務省支援)のアスンシオン首都圏での放送を開始する予定であ る。SICOM はイタイプ公団、ヤシレタ公団や政府機関を巻き込み、情報やコンテンツの 入手ルートを確立しつつあり、公共放送局として市民に必要な情報提供できる枠組み構 築の実現性は高い。 書式変更: 1.文、タブ位置: 40 字(なし) + 40.87 字 2. 実施支援機関および関係機関 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除, タブ位置: 3 字(なし) 1)a. 公共テレビ放送網 補正予算承認後、 数名のプロデューサーを雇用したが、目標の 53 名には未達である。 今後も、番組制作経験者を中心に採用を予定している。進捗を見守る必要があるが、 書式変更 : 箇条書きと段落番号 書式変更: a.文、インデント : 最初の行 : 0 字, タブ位置: 3 字(なし) 技術移転を実施することにより、適切な運用が期待できる。 書式変更: a.文、インデント : 左 : 0 mm, タブ位置: 3 字(なし) 2)b. 大蔵省 日本政府による円借款のみならず、米州開発銀行(IDB)等によるローンプロジェクト について、具体的かつ厳格な事業評価による計画・実施、また経済・財政面から妥当・ 実施可能な計画(フィジビリティー)かどうかを検討した実績を有している。円借款 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除, タブ位置: 3 字(なし) 書式変更 : 箇条書きと段落番号 書式変更: a.文、インデント : 左 0 字, 最初の行 : 0 字, タブ位置: 3 字(な し) の融資条件が他の国際機関による条件に比べ緩やかであり、借入機関としては魅力的 であるとの認識を有しており、STEP 採用についても肯定的である。 書式変更: a.文、インデント : 左 : 0 mm, タブ位置: 3 字(なし) 7-7 書式変更: 見出し 4、 行頭文字または 番号を削除, タブ位置: 3 字(なし) 3)c. CONATEL 地上デジタル放送システム導入について積極的である。特に ISDB-T 方式を今後の 「パ」国の放送事業整備および優良なサービス提供に向けて有効活用したいという意 向が強い。また周波数割当について、JICA 専門家の派遣が決定しており、今後日本人 専門家による地上デジタル放送実施に向けた能力強化および技術移転が期待される。 これにより、円滑に本プロジェクトを実施することが可能になる。 7-8 書式変更 : 箇条書きと段落番号 書式変更: a.文、インデント : 左 0 字, 最初の行 : 0 字 第8章 我が国企業の技術面等での優位性 第8章 我が国企業の技術面等での優位性 (1) 対象プロジェクトにおける日本企業の国際競争力と受 注の可能性 1. TV 放送網の品質および安定度の維持 「パ」国で実施しようとしている公共放送は、政府や地方自治体からの国民に必要な 情報を提供する公共の福祉に資する公共放送である。これには、教育や保健衛生情報な どが含まれ、継続的に安定して情報を提供できることが重要である。 一方、TV 放送網は(図8-1)に示すように、スタジオや編集室、送出用 VTR など、 様々な設備から送られてくる番組を主調整室と呼ばれる設備で切り替えて放送している。 そして、切り替えられた番組は光ファイバーなどの伝送路を経由して送信所もしくは中 継所へ送られ、各地域の送信所もしくは中継所から当該地域に対する放送が実施されて いる。このように、TV 放送網は、番組を制作し、放送する番組を選択する設備を併せ 持つ演奏所と送信所・中継所および信号を伝送する伝送路から成り立っている。 (図8-1)TV 放送網概念図 演奏所 演奏所 送信所・中継所 送信所・中継所 伝送路 伝送路 ニュース スタジオ 編集室 制作 スタジオ 送出用VTR 送信所 中継所 主調整室 (マスターコントロール) <伝送手段> •光ファイバー •無線(マイクロ) •衛星 放送局では、これらの演奏所と送信所・中継所および伝送路の一部もしくはすべて(通 信事業者との契約内容による)の信号品質を管理しており、それにより安定した放送を 維持している。そのため TV 放送網構築にあたっては、各放送機器の製造メーカーによ る技術情報の公開が行われており、当該機器において信号の受渡しが可能になるように メーカーごとにインターフェイス部分のハードウェアやソフトウェアを開発しているが、 システムを構築する際には接続点での不適合が生じることが多々ある。そのため実績に 基づいた接続の適否の確認・修正が行われている機器により TV 放送網を構築すること 8-1 が、プロジェクトの円滑で確実な実行に結びつけるために必要である。 (表8-1)に TV 放送網構築における日本企業の優位性をまとめる。 (表8-1)TV 放送網構築に駆る日本企業の優位性 設置場所 演奏所 機器名 優 位 点 主調整室シス ISDB-T 方式の主調整室システムは映像、音声信号の圧 テム 縮・データー放送を重畳するパケット多重装置が必要。海 外メーカーではこの多重装置の製造実績が無く、わが国メ ーカーの技術を活用しなければ、伝送路や送信所、中継所 で信号に不都合が生じる。 カメラ 制作スタジオのカメラ、デジタルレコーダなどは海外メー レコーダー カーでは製造していないため、これらの機材によって構成 する制作スタジオのシステム構築および性能の確保は、海 外メーカーに実績がなく、わが国の機材メーカーが有する 実績である。 伝送路 伝送機器 ISDB-T 方式の信号フォーマットを衛星伝送、光ファイバ ー伝送でインターフェイス出来る製品は、実績のあるのは 日本製品のみである。 送信所・中継所 送信機 「パ」国の国土は比較的小さく、また、国土のほとんどは 中継送信機 丘が点在する程度で、ほとんど平坦な地形である。このよ うな地形的条件の中で地上デジタル放送のネットワーク を構築する場合、機材コスト、運用コストの高い衛星伝送 だけに頼らない放送波中継によるネットワーク構築が、設 備投資の面でも運用コストの面でも有効な方法である。こ の放送波中継技術は、国土面積の狭い日本において開発さ れた独自の技術で他国には無い技術である。 「パ」国においては、放送波中継、光ファイバー伝送など を効果的に組み合わせてコストパーフォーマンスの高い ISDB-T デジタル放送ネットワークを構築することが望ま しく、複合した信号形態による TV 放送網構築技術はわが 国メーカーのみ有する技術である。 2. 長寿命 放送機器製造メーカーでは、各機器の納入後の平均故障間隔(Mean Time Between Failures: MTBF)をデータとして集積している。一般的な部品の故障率と部品数から MTBF を計算することも可能であるが、実際の修理実績から計算することも可能である。 本邦企業における実績値による MTBF は、計算値による MTBF と比した場合、実績値が 10 倍となるケースもあったと報告もある。これは仮に 1 万時間で故障する設計である機 器が、実際には 10 万時間も故障せずに稼動していることを示すものである。実績値の MTBF が優れているのは日本製品と一部の欧州製品であり、その他海外メーカーの機器 8-2 第8章 我が国企業の技術面等での優位性 では、計算値は良いが実際には故障がちであるケースも散見される。 欧州やオーストラリア等では、ライフ・サイクル・コスト(Life Cycle Cost)を用いて 整備計画を立てているため、わが国企業の送信機の販売実績が高くなっている。 5 章に記述した返済スケジュールによると、STEP 案件を想定しているため、40 年の 返済期間としている。多くの日本製品は 20 年程度、中には 30 年稼動している実績が海 外のサイトでもあることから、設備投資における費用対効果の観点では、わが国企業の 大きな優位点である。 3. 環境負荷に配慮した機器 わが国メーカーが製造する送信機は、電力増幅器の高効率化設計を実現している。こ れは、国内におけるデジタル放送用送信機への更新に伴い、放送局等の顧客から要望に 応えたものであり、今後製造されるものは高効率化設計のものになる。 また省エネ設計という観点では、電力増幅器のデジタル補償技術による省エネ化が既 に取り入れられており、電気料金が運用経費の主要な部分である放送局にとって、省エ ネ設計は運用コストを低減するための重要な要素となる。 こうした省エネ設計は、海外送信機メーカーより優れており、日本製品の優位点の一 つである。 4. 価格面における劣位性 近年、メルコスール内の国で当該放送機器を製造・販売する実力をつけてきたメーカ ーがある。また欧米メーカーも南米に製造・販売の拠点を持ち、 「パ」国へ無税で輸出す ることが可能である。一方、わが国メーカーは南米に放送機器の製造・販売拠点を持つ ものはなく、日本や北米拠点からの輸出により提供することになる。世界各地でわが国 メーカーが製造する機器の品質は非常に評価されているが、高価である。しかし、安定 度をそれほど必要としない機器については、廉価な機器を購入する選択を選ぶケースが 増えてきている。 日本製品は日本国内の製造コストが高いため、南米に製造拠点を持つ送信機メーカー の製品に比して高額である。また、昨今の急激な円高傾向のように、為替変動による影 響も強く受ける。 このように価格面では、 わが国メーカーの製品は劣位にあると言える。 5. わが国企業の海外における新たな事業展開 本プロジェクトの実施は、わが国企業の「パ」国および南米地域における新たな事業 展開の促進につながると期待できる。例えば、メルコスール加盟国市場を狙った「放送 番組制作機材、送信機材等の販売」 「デジタル放送およびインターネットに対応したテレ ビ、セットトップボックス等の生産・販売」 「教育番組やドラマ、映画など番組ソフトの 販売」 「ワンセグ対応携帯電話の販売」「ベンチャー企業支援によるソフトウェア開発」 8-3 等の分野について事業展開できる可能性がある。 「パ」国で採用された ISDB-T 方式の地上波デジタル放送は、日本の企業が主導して 研究開発を行ってきた技術方式である。そのため、日本の企業は、日本や南米諸国への 導入実績を活かして、地上波デジタル放送およびハイディフィニションの映像番組制作 に対応するための放送スタジオ機材、映像収録機材、編集機材、送信機材などを「パ」 国の放送局に販売できる可能性がある。 「パ」国の視聴者が地上波デジタル放送を視聴するためには、地上波デジタル放送に 対応したテレビまたはセットトップボックスを導入する必要があるため、そうした製品 の需要が高まることが予想される。2002 年の時点で、 「パ」国には約 80 万台のテレビが 普及していることから推測して、今後、それらがデジタル放送対応機器に置き換えられ る過程で、地上波デジタル放送対応機器の需要が数万~数十万台発生すると見込むこと ができる。現状「パ」国内では、日本企業の製造したテレビは高級ブランド品とされて おり、中国や韓国資本の会社が中国や南米の近隣国で製造している安価なテレビがより 多く使用されている。 「パ」国東部の都市であるシウダ・デル・エステでは、DVD プレヤーの組み立て産業 が盛んである。販売先は「パ」国国内向けだけにとどまらず、近隣諸国へも輸出を行っ ている。 「パ」国政府は、地上波デジタル放送の移行を期に、受像機やセットトップボッ クスの組み立て工場誘致に期待感を持っており、国内の地域活性化および雇用増大につ なげたいと考えている。日本企業の製品は、現状では価格競争力に劣るが、将来、こう した「パ」国政府の動きに呼応して「パ」国内でテレビ等を組立てできれば、価格競争 力を強化し、「パ」国および近隣国で販売力を強化できる可能性がある。 近年、 「パ」国政府はメルコスール(南米南部共同市場)への加盟やマキラ法適用等に より産業の競争力強化に取り組んでおり、 海外からの直接投資の誘致に熱心であるため、 日本企業が事業進出しやすい環境にあるといえる。さらに、日本企業は日本国際協力銀 行(Japan Bank for International Cooperation:JBIC)の海外投資金融支援策等を活用する ことにより、事業展開のための資金を有利な条件で調達することができる。 「パ」国は、南米およびメルコスール市場の中心に位置しており経済活動を行う上で 有利な地理的条件にあると言える。投資を行う企業は、商工省の支援を受けて比較的容 易に現地法人を設立でき、また、近隣諸国と比べて低い税率(個人所得税なし、付加価 値税 10%:メルコスール域内で最低、法人所得税 10%、仲介加工貿易を行う際の付加価 値税 1%)の恩恵や、様々な税制優遇措置を受けることができる。外国投資家も国内投 資家とまったく同一の保証、権利、義務を享受でき、不動産の所有も可能で、国外への 送金も比較的自由に行うことができる。 「パ」国では、30 歳未満の若年層が全人口の約 7 割を占めており、比較的訓練しやす い若い労働者を確保しやすい。 さらに、労働組合が強固でないため労使の争いが尐なく、 人件費は近隣諸国と比較して安い。 8-4 第8章 我が国企業の技術面等での優位性 また、 「パ」国には日系社会があり、日系人には移民の 2 世、3 世が多いため比較的日 本語能力が高い。日本企業がパラグアイに進出する際には、こうした日系社会や、日系 人の人材やネットワークを活用することが可能である。 「パ」国国内の市場だけを取り上げると、総人口(6,349,000 人、2008 年)も尐なく市 場の規模は小さいが、近隣のメルコスール加盟国および準加盟国(加盟国:アルゼンチ ン、ウルグアイ、ブラジル、ベネズエラ) (準加盟国:コロンビア、エクアドル、ペルー、 ボリビア、チリ)を考慮に入れると、成長中の大きな市場(南米全体の人口の約 7 割 に当たる 2 億 6 千万人、国内総生産全体の 75%)を見込むことができる。特に BRICs の一つとして急速に発展しているブラジルの市場と連携してビジネスを展開することに より利益を見込むことができると期待できる。 こうした投資に適した利点がある一方で、 「内陸国で、港湾インフラが十分でない」 「司 法、行政について不透明性が指摘されている」 「道路や送電線、通信等のインフラ整備が 遅れている」 「経済規模が小さい」などの課題もある。パラグアイ政府は、海外の投資家 の懸念する不確定要素をできるだけ取り除くために、産業用インフラの整備を進め、行 政に関わる諸手続きの透明性確保に努め、さらに、そうした努力を諸外国の投資家や企 業にアピールしていく必要がある。 公共放送の開始後、局の番組制作能力が十分に高まるまでの間は、放送コンテンツの 量と質が十分に確保できないことが予想されており、SICOM では中南米諸国や日本等か ら番組を購入することを検討している。そのため、日本の放送局や番組制作会社は、放 送番組を販売する機会を得られる。日本に対しては、特に教育番組の需要が高く、日本 企業が長年培ってきた教育放送のノウハウの提供が期待されている。 8-5 (2) 日本から調達が見込まれる主な資機材の内容および金額 日本からの調達が見込まれる主な資機材は、 (表8-1)に示した機材となる。三つの機 材クループに分類される。これら日本から調達する必要がある機材の総事業費に占める比 率予測は、38.5% となる。 (表8-2)に当該機材と金額を示す。 (表8-2)日本からの調達が見込まれる主な資機材および金額 NO. 1 2 (1) (2) 3 4 内容 数量 マスターコントロールルーム 送信所設備 送信所設備(アスンシオン) ・送信機 @420 送信所設備 (エンカルナシオン、シウダ・デル・エステ) ・送信機 放送波受信中継所 ・送信機 放送波中継設備 予算規模 (百万円) 1式 3式 (1 式) 400 950 (420) 日本 日本 日本 日本 (2 式) (530) 日本 7式 700 5式 350 2,400 (38.5%) @265 @100 (合計/調達比率) 8-6 調達国 日本 日本 日本 日本 第8章 我が国企業の技術面等での優位性 (3) わが国企業の受注を促進するために必要な施策 わが国企業の受注を促進するためには、下記の点について、留意する必要がある。 価格競争への対応 ビジネスリスクの低減 地上波デジタル放送用受像機の買換え ISDB-T 方式の仕様で欧米やブラジルメーカーが既に送信機を製造販売しており、日本製 品と比べ安価である。小出力の送信機については実績があり、今後大出力の送信機につい ても実績を挙げる販売戦略を既に立てている。 しかしながら、日本国内の送信機メーカーは、国内の地上波デジタル放送への機材更新 に対応するため、海外への展開が当初鈍く、低価格への対応が不十分である。また南米に 放送機器を製造販売できる拠点を持っていないため、日本国内や拠点がある近隣のアジア 諸国に比べ、ビジネスリスクが大きくなる。 一方、地上波デジタル放送に対応した受像機は、近年世界的に韓国のサムソン、LG が その市場を席巻している。パラグアイでは中国製の地上波デジタル用受像機も多く見受け られ、わが国で製造されている受像機は高級で優れた品質というイメージがあるが、消費 者の身近な製品とはなっていない。 こうした状況に対応し、わが国企業の受注を促進するためには、次の施策が必要である。 a. 新成長戦略としての位置づけ 地上波デジタル放送網の構築を新成長戦略として位置づけ、ISDB-T 方式採 用国には、ODA による必要なパッケージ・インフラ支援を行う。 b. ODA 案件の形成とその他の取り組み(支援)との連動 ① ODA の支援とともに当該国の民間放送局への財政支援として、ODA に連動した 2 ステップローンを展開し、わが国企業にとって当該国の市場環境を整備・拡大 し、市場価値を高める。 ② TV 放送網を民間放送局も乗り入れ可能なプラットフォームとして ODA による支 援を行い、当該国の民間放送局の地上波デジタル化への投資を促進し、公共放送 局(ODA 案件)と同時期にデジタル化移行を行えるようにする。またそのために 必要な官民連携事業の促進などをわが国企業に積極的に行う。 ③ 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の実現や放送機器、放送周辺機器、受像機およ びその他主要家電製品における二国間の時限的減免税措置等などの施策を積極 8-7 書式変更: アウトライン番号 + レベル : 5 + 番号のスタイル : ①, ②, ③ … + 開始 : 1 + 配置 : 左 + 整列 : 8 mm + タブ : 14.8 mm + インデント : 14.8 mm 的に行い、価格競争におけるマイナス要素を取り除く。 ③④ 上記施策をパラグアイのみに適用するのではなく、南米地域として共通 で行う。これにより、南米各地にある自由貿易圏を活用し、一度に多くの機材を 輸送することにより輸送コストを低減させる。 1. 新成長戦略としての位置づけ 地上波デジタル TV 放送網の構築は、周波数の有効利用を実現し、情報化社会の構築 を行うための社会インフラ整備と、基礎教育支援・母子保健支援モデルなどの個別開発 課題に寄与するための技術支援を同時に行うことが可能である。ODA 案件形成時には、 TV 放送網というインフラの整備だけではなく、当該インフラを利用した技術支援と組 み合わせたパッケージ・インフラ支援として新成長戦略の中に位置づけることが必要で ある。またこうした取り組みは、STEP 案件の形成を考慮することにより、わが国企業 のビジネス機会の確保につながる。 パッケージ・インフラ支援として実施する際には、下記についても連動して実施する ことが望まれる。 a. JICA の協力準備調査等の活用 JICA の協力準備調査等を活用し、必要な設備、技術支援、制度改革や官民連携の可 能性等にについて制度設計を行う。 b. 周波数割当の技術支援 周波数割等の技術支援を行う。すでに現在いくつかの国で行われており、地上波デ ジタル放送への移行作業が円滑に進む効果が現れている。 また、プロジェクト形成調査が実施された後、これまで国単位で行われていた周波 数割当に関する専門家派遣を地域単位で派遣することにし、周波数干渉の恐れのある 隣国との調整を円滑に行えるよう配慮する。これにより、周波数割当作業を迅速に行 い、デジタル化への移行プロセスの次の段階に早く進むこともできる。 しかしながら、 制度改革や試験放送実施支援などについては、国ごとのニーズや条件が異なるため、 個別対応とする。 c. 官民連携事業・2 ステップローンの活用 官民連携事業や 2 ステップローンの活用による当該国の民間放送局、CATV、集合 住宅などに対する地上波デジタル化対応支援を行う。 図(8-2)にこれを図式化した新成長戦略としてのモデル図を示す。 8-8 第8章 我が国企業の技術面等での優位性 (図8-2)地上波デジタル放送における新成長戦略モデル 地デジへの移行 制度設計(JICA協力準備調査) →必要な設備/機材、技術支援、制度改革等の内容 および官民連携可能性の検討 事前技術支援 インフラ海外展開の インフラ海外展開の 基盤整備支援 基盤整備支援 社会 インフラ 整備 ・周波数の有効利用 ・豊かな情報化社会の構築 (海外版ユビキタスモデル) -先進国との格差是正、民主化促進 -先進国との格差是正、民主化促進 (多チャンネル、多コンテンツ化) (多チャンネル、多コンテンツ化) -情報格差是正 -情報格差是正 (携帯やインターネットとの連動) (携帯やインターネットとの連動) ・デジタル化による周波数の空帯域の確保 ・双方向の実現、他の情報インフラとの利用融合 ・民間ビジネス機会の拡大による現地経済刺激 ソフトパワーを通じた ソフトパワーを通じた 成長機会の拡大 成長機会の拡大 インフラを 利用した 技術支援 ・教育アクセスの改善 ・災害/防災情報へのアクセスの改善 ・保健医療情報へのアクセス改善 -スクール・フォー・オール -スクール・フォー・オール (基礎教育支援モデル) (基礎教育支援モデル) -EMBRACE -EMBRACE (母子保健支援モデル) (母子保健支援モデル) ・マルチ編成による充実した専門チャンネルの実現 官民連携事業 (民間放送局への 2ステップローン等の活用 インフラとソフトのパッケージによる支援 →パッケージ・インフラ支援 <目標> 格差是正への取組に関する 環境が整備される 2. ODA 案件の形成とその他の取り組み(支援)との連動 a. 2 ステップローンとの連動 地上波デジタル放送への移行は、国際電気通信連合(ITU)の 2015 年を目処にした 移行勧告に機を発し、先進国から移行が開始されている。もともとこのデジタル化は 周波数の有効利用を目的としたものであり、TV 放送のデジタル移行後は、ラジオ放 送、その他通信網のデジタル化を実施することにより、周波数の使用状況が過密にな っている状況の緩和が実現することになるものである。そのため、尐しでも早く地上 波デジタル化を行うことが、通信セクター全体のデジタル化への円滑な促進につなが ることになる。 一方、放送機器製造メーカーは、先進国の地上波デジタル化対応のため、10 年以上 も前から地上波デジタル放送用機材を製造・販売している。そのため、アナログ放送 用機材の製造、サポートが終了しているものもあり、今後数年後には、アナログ放送 用機器の修理・交換部品が調達できなくなる恐れもある。メーカーによるサポートを 受け、安定した放送を実現するには、早急に地上波デジタル放送への移行を開始する 必要性があると言える。 近隣のブラジル、ペルーなどでは、既に民間放送局も順次、地上波デジタル試験放 送を開始するなど、民間放送局による機材調達が始まっており、こうした市場の動き 8-9 を念頭にした ODA 案件の形成を図ることが、本邦企業にとって当該国の市場環境を 整備・拡大することになり、新しいビジネスチャンスを生み出すことにつながる。 つまり、ODA に連動した 2 ステップローンを展開することにより、国営もしくは公 共放送局のみならず民間放送局を含めた複数の放送局が大規模な機材更新を行うこと になり、市場規模が増大する。これにより海外メーカーとの価格競争に対応した積極 的なビジネスを仕掛けることが可能になると考えられる。 b. プラットフォーム化による民間放送局の投資促進 公共放送局および民間放送局では、放送サービスエリアを確保するため、各地に送 信所もしくは中継所を建設し、当該地域向けに放送を実施している。視聴者は家庭の TV アンテナ(受信アンテナ)をこの送信所または中継所へ向けて TV を視聴している。 ところがもし各局の送信所または中継所が別々の場所に建設された場合は、視聴者は チャンネルを切り替えるたびに受信アンテナの向きを変えなければならず、非常な不 自由を感じることになる。そのため、公共放送および民間放送局では送信アンテナを 取り付ける鉄塔を共有し、視聴者がチャンネルを切り替えても受信アンテナの向きを 変える必要が無いように配慮されている。 鉄塔の共有化については、放送局側にとっても大きなメリットがある。鉄塔の建設 コスト、土地収用、電力線敷設などの費用を各局で分担することによって、投資コス トを大幅に削減することができるからである。 「パ」国 SICOM では、民間放送局と協 力して実施できるものについては、共同で行うことも検討しており、既に民間放送局 各社と良好な関係を築きつつある。 これにより、円借款では、送信所建設などプラットフォームに該当する部分および 公共放送局のスタジオ設備を支援し、2 ステップローンなどを活用した資金援助で民 間放送局のスタジオ設備の支援をし、 「パ」国内で円滑な地上波デジタル放送への移行 が可能になる。また公共放送局と民間放送局が同時期に地上波デジタル放送へ移行を 進めることは、視聴者に受像機の買換え行動を促し、受像機販売について、放送機器 の販売と同時期に本邦企業が販売戦略を立案・実施することができる。つまり本邦企 業が何らかの営業的投資を行い、ビジネス展開が見込める。しかしながら、前述のよ うに製造・販売拠点を待たない本邦企業のビジネスリスクを軽減するため、官民連携 事業の活用を積極的に促進することが合わせて必要である。 (図8-3)にプラットフォームの概念を図示する。 8-10 第8章 我が国企業の技術面等での優位性 (図8-3)地上波デジタル放送に関する支援とプラットフォーム化概念図 プラットフォーム 公共放送 (*コンサルタイドで設計) 2ステップローン等 スタジオ設備関連 スタジオ設備関連 ニュース スタジオ TVスタジオ テレシネ/ コピー 中継車 ENGカメラ 編集 システム 民放局 3ヶ所 送信所 伝送設備関連 伝送設備関連 マスター コントロール ルーム 伝送 システム (光・放送波 ・衛星) 伝送路 (光・放送波 ・衛星) 16ヶ所 中継所 c. 減税措置等の対策 隣国ブラジルでは 2006 年の ISDB-T 方式決定以降、地上波デジタル放送開始に伴い 必要となる外国製放送機器・放送関連機器について、時限的措置として減税措置がと られた。この減税期間中は本邦企業の製品の購入が進み一定の効果が見られた。その ため、貿易自由化処置もしくは環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement: TPP)などの貿易自由化措置もしくは減税措置は、有 効な施策として検討するべきである。 d. 南米地域単位での支援 メルコスールに見られるように、パラグアイを含む南米の国々は、地域ごとの経済 的協力積極的に進めている。そのため、自由港や自由貿易圏を有していることが多い。 本邦企業における南米各国への放送機器および家電製品関連ビジネスでは、当該地域 に製造・販売拠点を持たないため、 輸送にかかる費用負担などのリスクが伴っている。 リスク軽減の策の一つとして、南米各地にある自由貿易圏を活用し、一度に多くの 機材を輸送することにより輸送コストを低減させることが挙げられる。市場規模によ ってこうした取り組みが可能かどうか決まるため、上述の他の施策と合わせて地域単 位で実施することがわが国企業の受注を促進する上で重要な施策となる。 (図8-4)は、地上波デジタル放送移行に関連した ODA 案件形成モデルとその 8-11 他の取り組み例等の関係を示した図である。 8-12 第8章 我が国企業の技術面等での優位性 (図8-4)地上波デジタル放送ODA案件形成モデルとその他の取り組み例 日本方式採用決定 技術的支援の検討 地域単位でのプロ形実施 地域単位でのプロ形実施 コンサル雇用 →案件形成の加速 IDB 地域ごとの実施 (専門家派遣等) ※同一地域内の数カ国で同時に調査を行う ※同一地域内の数カ国で同時に調査を行う →共通課題に対する地域のネットワーク型の連携 →共通課題に対する地域のネットワーク型の連携 事前技術支援 周波数割当に関する技術支援 制度改革/試験放送実施支援 ODAプロジェクト ODAプロジェクト ・わが国の優れた 技術(ノウハウ)の輸出 ・クールジャパンとの連携 ・日本語教育 TV放送網整備 教育/災害放送等能力向上 優れたコンテンツの提供 8-13 国ごとの個別対応 ・官民連携(ODAと2ステップローン等の組合 せ)による、公共放送・民間放送の同時期地デ ジ移行 (本邦企業に対する市場価値の向上) ・FTA戦略との連携による本邦企業支援 (本邦企業に対する投資環境整備) ・ベンチャー支援によるソフトウェアの市場拡大 (本邦企業の優れた技術の提供) 第9章 プロジェクトの資金調達の見通し 第9章 プロジェクトの資金調達の見通し (1) 相手国政府・機関の資金調達に関する考え方 (表9-1)は過去55 年間の「パ」国政府予算の実施額を示している。政府予算の歳 入のうち約 60%が税収であり、13~19%がイタイプおよびヤシレタの22 大ダム公団から のロイヤルティ収入、対外借入への依存率は 44~99%である。歳出については、年々公 務員給与および退職金などの経常移転が増加傾向にあり、 2008 年には 80%近くが公務員給 与などの経常支出に充てられており、インフラ整備などの開発支出に充てられているのは 10%前後である。対外債務の元利返済には毎年 10~15%が充てられている。2004 年以降、 財政黒字が続いており、財政運営は安定している。 (表9-1)過去55 年間の政府予算(実施額) (単位:百万ガラニー) 2004 年 2005 年 8,520,282 4,929,240 (57.9 %) 1,643,983 (19.3 %) 763,998 (9.0 %) 22. 歳出合計 公務員給与 11.. 歳入合計 税収 ロイヤルティ収入 対外借入 経常移転 投資(開発)支出 債務元利返済 33. 収支 ( 11. - 2 2006 年 2007 年 2008 年 9,262,390 10,943,322 12,497,980 13,744,553 5,470,528 (59.1 %) 1,651,038 (17.8 %) 658,077 (7.1 %) 6,294,616 (57.5 %) 1,882,889 (17.2 %) 831,775 (7.6 %) 7,018,668 (56.2 %) 2,042,250 (16.3 %) 724,419 (5.8 %) 8,655,988 (63.0 %) 1,872,341 (13.6 %) 497,313 (3.6 %) 8,017,808 9,223,932 10,503,801 11,410,504 11,987,200 3,017,346 (37.6 %) 1,766,781 (22.0 %) 1,190,267 (14.8 %) 1,251,136 (15.6 %) 3,372,157 (36.6 %) 2,331,309 (25.3 %) 1,170,683 (12.7 %) 1,423,647 (15.4 %) 3,960,405 (37.7 %) 2,743,442 (26.1 %) 1,891,701 (11.1 %) 1,445,942 (13.8 %) 4,516,464 (39.6 %) 3,151,786 (27.6 %) 957,293 (8.4 %) 1,377,463 (12.1 %) 5,335,966 (44.5 %) 3,431,038 (28.6 %) 755,465 (6.3 %) 1,207,349 (10.1 %) 502,474 38,458 439,521 1,087,476 1,757,353 2.) 注)カッコ内の数値は歳入合計および歳出合計それぞれに対する比率 (出典:大統領府統計局、統計年鑑) 一方、実施機関の SICOM は、公共放送のアナログおよびデジタルの試験放送のための 施設整備(一部本邦企業からの機材レンタルを含む)を進めており、アナログ放送用機材 はこれらはすべて「パ」国政府予算によって調達され、デジタル試験放送用機材は、日本 政府の実証実験設備を使用する。る。全国規模での本放送に向けた施設・機材整備にはさ らに多額の投資資金が必要となる。上述のとおり「パ」国政府の財政運営は安定しており、 情報格差是正に対する継続的な予算配分が期待されるが、政府予算から開発支出に充てる 9-1 ことのできる予算額はあまり多くはない。したがって、同国政府は社会経済基盤整備の資 金調達については外部原資の活用を考えている。 「パ」国において公共事業を実施する際には、まず企画庁 (Secretaría Técnica de Planificatión)によって実施計画の技術的評価がなされ、次に大蔵省が財務評価を行い、最 終的に国会へ提出される。大蔵省の財務評価では、調達しようとしている資金の種類、利 子率、融資条件などから実施計画が評価される。前述のとおり、政府予算から開発支出に 充てることのできる予算額はあまり多くはないことから、貸し出し条件の緩やかなソフト ローンの活用に関しては、大蔵省および関連機関も非常に高い関心を示している。 9-2 第9章 プロジェクトの資金調達の見通し (2) 資金調達に伴う関連機関の動向 「パ」国政府の関連機関からの資金調達に関しては、イタイプ公団およびヤシレタ公 団の 2 大ダム公団による広告・番組制作や施設整備への財務的支援が考えられるが、これ らの公団の収益の活用にはそれぞれブラジル側、アルゼンチン側との協議を経る必要があ るため、両公団から明確な支援の意思が示されているわけではない。 資金調達支援に関するその他の機関として考えられるのはドナーであり、 「パ」国にとっ ては米州開発銀行による支援が重要な資金源の一つ 1 つとなっている。米州開発銀行によ る 2009 年から 2013 年までの「パ」国に対する協力戦略における主な協力分野は、運輸・ 水・エネルギーなどのインフラ整備、教育などの社会セクター、行政の近代化などの組織・ 制度セクターであり、放送・通信セクターは同戦略には含まれていない。また、米州開発 銀行では、地上波デジタル放送網の整備に対して支援を行う予定はない事が聞き取り調査 から確認されている。 9-3 (3) 提案プロジェクトに関する資金調達の見通しおよび 円借款要請の現状・可能性 (表9-22)は SICOM 設立後の22 年間の予算配分状況を示したものである。SICOM 自体がまだ新しい組織であることから、予算編成が十分にはなされておらず、2010 年度は 不足する部分については補正予算で対応している状況である。 「パ」国政府の財政運営が安 定していることから、開発のための情報通信の分野への予算は、今後も安定して配分され るものと思われる。 (表9-2)SICOM への予算配分額 (単位:百万ガラニー) 総予算額 SICOM への配分額 うち施設設備投資 2009 年 17,432,873 6,719 992 2010 年 17,547,976 6,778 1,247 (出典:大蔵省) 2010 年 8 月、公共放送設立に関する大統領令が公布された後、2010 年度の補正予算審議 等があったが、国会内での強い反対勢力は無く、迅速に承認されている。SICOM によれば、 地上波デジタル化については、大統領自ら推進している事業であり、パラグアイ国内でも 関心が高い事案の一つとなっている。 一方、 「パ」国に対する円借款は 1973 年以降、通信、運輸、電力、上水道、農業の分野 で継続的に実施されてきており、直近では 2010 年99 月99 日に「地方道路整備事業」を 対象とした円借款貸付契約が交わされている。 前節でも述べたとおり、同国政府は社会経済基盤整備の資金調達については外部原資の 活用を考えており、特に譲許性の高い STEP による円借款の活用に対する関心は高い。円 借款要請において決定権限を有する大蔵省と事前の技術評価を行う企画庁では、 「パ」国内 に有する技術だけで地上波デジタル放送の TV 放送網構築を行うことは困難であり、資金 援助とともに技術支援が必要としている。SICOM によって適切に円借款要請の提案が成さ れれば、地上波デジタル放送移行と公共放送設立は「パ」国政府における重要な取り組み 事項であり、前向きに検討する旨、調査時に確認している。また SICOM ではすでに、円 借款要請における必要事項について、確認作業を開始しており、本調査結果についても強 い関心を示している。 書式変更: 標準 9-4 第10章 円借款要請に向けたアクションプランと課題 第 10 章 円借款要請に向けたアクションプランと課題 (1) 円借款要請に向けた取り組み状況 1. 円借款要請および実施に係る関係機関の概要 円借款要請およびプロジェクトの責任・実施機関となるのは SICOM であり、円借款 書式変更: 1.文 の借入機関となるのは大蔵省である。プロジェクトの実施にあたっては、SICOM 内に設 立された公共テレビ放送網(RTNP)が担当し、情報・コンテンツ・資金の提供につい ては厚生省、農牧省、商工省、教育省、イタイプ公団、ヤシレタ公団等が協力すること が計画されている。 2. 相手国の関係官庁・実施機関の取り組み状況 SICOM では、国会での補正予算承認後、数名のプロデューサーを雇用し、今後も番組 書式変更: 1.文 制作経験者を中心に採用を予定している。また、2011 年 5 月頃を目処に、アナログ(自 国予算) 、デジタル(わが国総務省支援)のアスンシオン首都圏での放送開始の準備を進 めており、本プロジェクト実施に向け、大統領府直下の責任実施機関として強い意識を もって準備を進めている。 円借款を供与する際、政権の安定度が重要であるが、2008 年 88月(選挙は 2008 年4 月 4 月)に発足した現ルーゴ政権は、保守勢力で約 60 年間も与党としてパ国の政治を支 配してきたコロラド党を破って誕生した中道左派政権であり、貧困層による支持が大き い。これまでに政府内汚職の摘発、公立病院における外来診療患者への無料化等、一定 の成果を挙げている。 今後は成果を見据えた具体的な政策案を策定しつつ、議会対策等についても対処する 必要がある。 3. 日本側の取り組み状況 これまでに日本政府がパ国に供与した円借款の総額は 2008 年度までで 1,334 億 3,800 万円(債務繰延・債務免除を除く)となっている。 2005 年に「イグアス水力発電所建設計画(214.02 億円) 」が供与されて以降、新たな 円借款案件は採択されていなかったが、2010 年 99月に 44年振りの新規円借款となる 「地方道路整備事業」の円借貸付契約が締結された。 また「エステ都市圏上下水道システム整備事業」に関連する協力準備調査(プロジェ クト形成/有償)が実施され、上記「地方道路整備事業」に続く、新規円借款案件として 実施が期待されている。 本調査を受けて、中央政府の関係機関と協議を行った結果、円借款による事業実施に ついては大きな関心を持っており、今後の協議において円借款要請が進捗することが期 待できる。 10-1 書式変更: 1.文 10-2 第 10 章 円借款要請に向けたアクションプランと課題 (2) 今後の円借款要請・供与に向けて必要となる措置 1. パラグアイ政府による計画承認事業実施・提案技術の採用・円借款要請の実現に関し て前提条件となる相手国の法的・財政的制約 「パ」国において円借款等の公的借款によるプロジェクトを要請するにあたっては、 企画庁および大蔵省においてプロジェクト選定・計画承認が必要となる。 要請したプロジェクトの承認プロセスは以下の通り。 まず、SICOM(プロジェクト要請機関)は、1)要請書、2)プロジェクトプロファイ ル(FS 調査報告書等) 、3)財務関連書類を企画庁に提出する。SICOM より要請書類を 受け取った企画庁は、プロジェクトの技術審査、国家計画との整合性(一致しない場合、 主要大臣から構成される経済審議会にて検討)を検討する。最後に大蔵省が SICOM の 債務返済および財務能力を評価した結果、最終的に要請承認となった場合は、外務省を 通じて、日本政府に正式な要請がなされる。 ただし、要請の発出、交換公文(Exchange of Notes: E/N) 、貸付契約(Loan Agreement: L/A)の締結については、条件付として「パ」国国会承認を得る前に行われ、最終的に 最終的に円借款等公的債務を伴うプロジェクトの実施を最終的に判断するのは国会であ り、円借款事業実施に係る最終承認は、L/A 後に、 「パ」国も国会で審議・決定を経てか らとなるされることになる。 2. 日本側で必要な措置協力準備調査 本調査により、 「パ」国政府は本事業を円借款として実施することに対し、積極的な姿 勢を示しており、確実に次の事業につなげるためのステップとして、対象とする施設や 機材の詳細設計検討および本計画実施による具体的な効果を検討するための協力準備調 査の実施が望まれる。 協力準備調査実施の前提として、 「パ」国政府が本事業を円借款対象事業として承認し、 正式要請がなされる必要がある(実際のプロセスについては、上記 1.を参照) 。円借款事 業としての形成および実施を効果的に促進するため、協力準備調査実施に向けた迅速な 対応が必要である。 また、既に日本方式の地上波デジタル TV 放送方式(ISDB-T)を採用し、試験放送を 実施している南米の各国と同様に、 「パ」国の地上波デジタル放送を推進する上で、周波 数割り当て、サービスエリアの検討などの支援を目的として早期に専門家派遣すること が重要である。 3. 追加的な詳細分析等の要否 追加的に詳細分析が必要と思われる事項は特にない。 10-3 書式変更: 1.文 10-4 第 10 章 円借款要請に向けたアクションプランと課題 (3) 円借款要請に向けた具体的なアクションプランと課題 SICOM は 2008 年のルーゴ政権発足に伴い設置された機関であり、これまで大型の経済 インフラ整備を伴う事業を実施した経験がない。今後事業計画やスケジュール、設計・技 術、予算等について詳細な協議・合意形成が必要であるが、本事業の円借款要請のための 課題と L/A 締結までのアクションプランを以下の通り示す。 (表1010-1)円借款要請に向けた課題とアクションプラン 項目 課題 円借款担当者 SICOM が新しい組織であるこ 【 「パ」国側の対応】 アクションプラン の育成 とから、円借款事業を正しく理 既に円借款事業を実施した経験のある 解している担当者は皆無であ 公共事業省の担当者と連携し、実際に る。 円借款担当者を配置するための人事お よび予算措置を行う。 【日本国側の対応】 JICA と協力して、円借款実施のための 実務担当者の育成を目指し、セミナー や専門家派遣を行う。 円借款事業を 円借款の実施は「パ」国におけ 実施すること る対外債務の増加を意味する。 経済産業省、総務省、JETRO、JICA の 【日本国側の対応】 の優位性の理 協力と助言を得ながら、円借款で実施 解促進 することの優位性を実施機関である SICOM、企画庁、財務省に説明する。 以上のことを踏まえ、L/A 締結までの実施スケジュールは、 ((表10-2))に示すよう に想定する。このスケジュールでは JICA による協力準備調査の実施を想定しており、そ の調査を受けて「パ」国内政府で計画承認に関する手続きが行われるため、協力準備調査 実施中に「パ」国政府関係機関と連携しながら、手続きに遅延が発生しないよう配慮する 必要がある。 10-5 (表10-2)ローンアグリーメントまでのアクションプラン 2,010 YEAR month 8 9 10 11 12 1 2011 2 3 4 5 6 7 2012 8 9 10 11 12 1 プレフィージビリティー調査(本件調査) 2010.8-2011.2 パ国側要請準備 円借款要請(パ国→日本) ★ 日本側検討 (含む、協力準備調査) 交換公文(EN)/借款契約締結(LA) ★ 10-6 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 A-3-1 SD EncEnc 3 D/C 1Seg EncENC 4 SD EncEnc 2 HD EncEnc 1 1Seg EncENC 4 SD EncEnc 3 SD EncEnc 2 HD EncEnc 1 D/C D/C D/C DVB DVB MUX MUX Title MUX Control Terminal (MCT) ISDB-T MUX Logo & Time CG APS ISDB-T MUX 回線 Out coming ネット Signal Video Recorder VTR (VR) スタジオ 制作サブ 制作サブ スタジオ スタジオ スタジオ スタジオ Production 制作 & News 制作サブ Studio 制作サブ MUX Control Terminal (MCT) Program Distribution System HD Master SW’er Program Distribution System DATE DESIGNED CHECKED APPROVED REVISION Sy-001 DWG. No. SCALE Encalnation Ciuda del Este COPACO Earth Station Up Link to Transmitting Station Opt. Cable Television Publica del Paraguay STM1 Conv. STM1 Conv. STM1 Conv. Frame SW’er LINE Script Camera PRE SET TRK TRK CM From Main SYNC GEN. REM2 REM1 C3 REM2 VR1 C2 REM1 C1 C3 C2 Video Main SYNC GEN PR SET LINE VE AUX VR4 AUX VR1 VR4 VR3 MON Switcher TX CG NEXT EMG Paching PGM C1 LD PVW PGM Sat A-3-2 CG CG VR2 Title Audio Audio LD MON DATE DESIGNED CHECKED AIR MON from MAS COMBIN to MAS COMBIN APPROVED Television Publica del Paraguay D/A AUD MON REVISION Sy-002 DWG. No. SCALE A-3-3 X2 MIC Multi Cable MIC Boom Stand VR3 VR3 VR3 VR3 AUX SPK 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 EXT MON AUX L R L R L R STUDIO MONITOR CONTROL ROOM MONITOR (5.1ch) N-1 OUT TEL LINE N-1 OUT TEL LINE ANALOG PROGRAM OUTPUT DIGITAL PROGRAM OUTPUT TB MIC AUX OUT Group OUT to Intercom 4 1 4 1 L AUDITION SPK (SPK with Amp) R MONITOR SPK (5.1ch) TEL LINE 2 TEL LINE 1 Title R L R L DATE DESIGNED CHECKED APPROVED REVISION Sy-003 DWG. No. SCALE LD MONITOR SPK (SPK with Amp) VE MONITOR SPK (SPK with Amp) Television Publica del Paraguay to MAS LINE PRE SET TRK TRK CM From Main SYNC GEN. PR SET LINE VE LD REM2 REM1 C4 REM2 VR1 REM1 C2 C3 C4 C3 C2 Video Main SYNC GEN AUX VR4 AUX VR1 VR4 VR3 MON Switcher PVW PGM TX CG NEXT EMG Paching PGM Sat A-3-4 CG CG VR2 C1 C1 Title DATE Audio Audio LD MON DESIGNED CHECKED AIR MON from MAS COMBIN to MAS COMBIN APPROVED Television Publica del Paraguay D/A AUD MON REVISION Sy-004 DWG. No. SCALE A-3-5 X2 X2 FOLD BACK SPK MIC Multi Cable MIC Boom Stand VR3 VR3 VR3 VR3 Wireless Mic Receiver Wireless Mic Receiver AUX SPK 9 10 1 2 3 4 5 6 7 8 EXT MON AUX L R L R L R STUDIO MONITOR CONTROL ROOM MONITOR (5.1ch) N-1 OUT TEL LINE N-1 OUT TEL LINE ANALOG PROGRAM OUTPUT DIGITAL PROGRAM OUTPUT TB MIC FOLD BACK SPEAKER AUX OUT Group OUT to Intercom 4 1 4 1 x4 L AUDITION SPK (SPK with Amp) R MONITOR SPK (5.1ch) TEL LINE 2 TEL LINE 1 Title R L R L DATE DESIGNED CHECKED APPROVED REVISION Sy-005 DWG. No. SCALE LD MONITOR SPK (SPK with Amp) VE MONITOR SPK (SPK with Amp) Television Publica del Paraguay to MAS A-3-6 HPA Microphone COLOR VIDEO MONITOR UPS UPS : Un-Interrupting Power Supply VR : Video Recorder Abbreviation Video(SDI) Audio(AES/EBU) Title AUDIO MONITOR LCD MONITOR AUDIO MIXER Analog Audio Interface CPU SYSTEM COLOR VIDEO MONITOR DATE DESIGNED CHECKED APPROVED Television Publica del Paraguay MONITOR SPK (with AMP) REVISION Sy-006 DWG. No. ------ SCALE A-3-7 BB AVR Video(SDI) AVR : Automatic Voltage Regurator VR : Video Recorder Abbreviation Video(SDI) Audio(AES/EBU) Analog Audio EDITING CONTROLER Audio(AES/EBU) COLOR VIDEO MONITOR Title DATE APPROVED Tanaka CHECKED Wada DESIGNED Kobayashi Television Publica del Paraguay MONITOR SPK (with AMP) COLOR VIDEO MONITOR REVISION Sy-007 DWG. No. ------ SCALE A-3-8 RX Tripod Wireless Microphone TX Camcorder / Zoom Lens Color Video Monitor Portable Compact Mixer FIELD RECORDING SYSTEM Title Lighting System DESIGNED CHECKED APPROVED Composition of TV Broadcasting System for Field Recording System Television Publica del Paraguay DATE Portable Lighting Set Microphone & Accessories REVISION Sy-008 DWG. No. ------ SCALE A-3-9 MON1 MON2 TRK DISP CM MON2 MON1 VE C2 C2 BB CB CG CB CB AUX2 AUX2 AUX1 AUX1 MON Switcher CG V3 V3 V2 V2 V1 V1 C3 C3 C1 C1 PVW PGM CG NEXT PGM EMG Paching Title DATE D/A MON DESIGNED CHECKED APPROVED Television Publica del Paraguay MON AIR MON SCALE REVISION Sy-009 DWG. No. ----- A-3-10 AUX OUT 1 2 3 4 Wierless Mic Receiver SPK SPK 1 2 3 4 AUX AUX OUT MAIN MONITOR PGM 2 PGM 1 PGM DIGITAL R L R L R L R L R L AUDITION SPK (SPK with Amp) to Intercom R L MONITOR SPK FPU Title DATE DESIGNED CHECKED APPROVED Television Publica del Paraguay REVISION Sy-010 DWG. No. ----- SCALE 5,000 5,000 10,000 1,500 TOKYO,JAPAN AVR Rack Rack TX U-link Frame Frame TX Frame Frame U-link Pump Rack Pump Rack AVR H.EXC H.EXC 8,000 TX U-link Frame Frame 10kW Test Load Rack U-link Frame Frame TX 10kW Test Load TR A NS M IT T ER HA L L Rack Pump Rack H.EXC 20,000 AVR Pump Rack Pump Rack H.EXC U-link Frame Frame TX CH COMBINER Rack H.EXC 16,000 TRANSMITTING STATION OF PUBLIC TV PLAN & EQUIPMENT LAYOUT [PLAN] OF DIGITAL TERRESTRIAL BROADCASTING NETWORK IN THE PUBLIC OF PARAGUAY K,ODA Surveyed 8,000 K,ODA M,WADA Designed 8,000 10kW Test Load TX Room Ventilation System 16,000 TX Room Ventilation System AVR AVR Pump Rack H.EXC 20,000 THE STRENGTHENING OF PUBLIC BROADCASTING CENTER AND THE ESTABLISHMENT 8,000 10kW Test Load 10kW Test Load TX Room Ventilation System YACHIYO ENGINEERING CO.,LTD. 4,000 O& M O F FI C E EN T RA N CE HA L L PO W ER RO O M 2,500 4,000 Rack Rack TX U-link U-link Frame Frame TX Frame Frame 10kW Test Load 10kW Test Load K,ODA Drawn M,WADA N,NAMBU Checked 1/100 SICOM-1 S/S PL/YEC Plot No. Scale TX Room Ventilation System AVR AVR TX Room Ventilation System Pump Rack H.EXC 5,000 10,000 Drawing No. B-001 18/October/2010 Date 5,000 3,500 1,500 1,500 3,500 A-3-11 7,105 7,225 14,330 m 2,100 53 52 51 103 97 1,400 TOKYO,JAPAN UP 2,500 EV 8,850 15 16 17 18 19 14 DN MCR RACK 14 UP 1 3 9 8 7 6 5 4 m E4 18,250 675 5,450 CURTAIN 9,400 MIAN BUILDING OF PUBLIC TV NEWS STUDIO PLAN & EQUIPMENT LAYOUT [PLAN 1] OF DIGITAL TERRESTRIAL BROADCASTING NETWORK IN THE PUBLIC OF PARAGUAY K,ODA Surveyed E K,ODA M,WADA Designed 3,950 STORAGE NEWS STUDIO SOUNDPROOFING 9,400 MACINERY ROOM SOUNDPROOFING 18,250 3m THE STRENGTHENING OF PUBLIC BROADCASTING CENTER AND THE ESTABLISHMENT 3,575 10 2 MASTER CONTROL SYSTEM SWITCHER CONSOLE DIGITAL AUDIO MIXER NEWS RACK SWITCHBOARD 13 12 11 PRODUCER DESK SOUNDPROOFING EV HALL EV 3 2 1 4,250 45 6 7 8 9 CONTROL AREA 1 2 3 YACHIYO ENGINEERING CO.,LTD. E3 700 HALL SECTION LINE UP 2,500 = E4 3 ,2 m m M,WADA N,NAMBU Checked E5 CURTAIN 4, K,ODA Drawn 1 5= 0 13 1/100 PRG SICOM-1 PL/YEC Plot No. Scale Drawing No. B-002 12/November/2010 Date 97 103 14,130 m FIRE EXTINGUISHING SYSTEM =1 4, 0 33 4,200 4,200 2,705 4,200 3,375 3,850 2,705 8,400 3,025 E3 1,550 2,300 825 850 850 1,325 A-3-12 A-3-13 5,580 2,100 HALL 2,100 4,600 4,600 2,500 2,500 8,850 TOKYO,JAPAN YACHIYO ENGINEERING CO.,LTD. E3 E3 2,650 150 2,630 E4 18,250 9,400 MAIN BUILDING OF PUBLIC TV NEW STUDIO SECTION & EQUIPMENT LAYOUT [PLAN 1] OF DIGITAL TERRESTRIAL BROADCASTING NETWORK IN THE PUBLIC OF PARAGUAY K,ODA Surveyed NEWS STUDIO 9,400 THE STRENGTHENING OF PUBLIC BROADCASTING CENTER AND THE ESTABLISHMENT 4,250 CONTROL AREA CONTROL ROOM SOUNDPROOFING 4,250 E4 600 150 K,ODA M,WADA Designed 4,830 5,430 K,ODA Drawn M,WADA N,NAMBU Checked E5 1/100 PRG SICOM-1 SC/YEC Plot No. Scale SOUNDPROOFING E5 Drawing No. B-003 12/November/2010 Date ▼ 3FL ▼ RFL 収集資料リスト 調査名: パラグアイ・公共放送施設設立及び地上波デジタル放送網整備事業調査 番号 1 2 3 A-4-1 4 5 名 称 パラグアイにおける放送の現状 Reglamento de Organizasión y Funciones de la Secretaría de Información y Comunicación para el Desarrollo Social Dicreto N° 171 Por el cual se crea la Secretaría de Información y Comunicación para el Desarrollo, dependente de la Presidencia de la República del Paraguay, se establesen sus funciones, y autoridades, y se reestructura la Secretaría de Communicación Social, dependente de la Secretaría General de la Presidencia de la República Dicreto N° 4982 Pol el cual se amplía y modifica el dicreto N° 14427 del 2 de setiemble de 1942 y se crea un consejo asesor para la Secretaría de Información y Comunicación para el Desarrollo de la Presidencia de la República (SICOM) Secretaría Técnica de Planificasión Del Desarrollo Economico y Social 形態 図書・ビデオ・地図 ・写真等 オリジナル・コピー 図書 コピー 在パラグアイ日本国大使館 2010 電子データ コピー Secretaría de Información y Comunicación para el Desarrollo Social (SICOM) 2009 電子データ コピー Presidencia de la Repúbilica, Ministerio de Interno 2008 電子データ コピー Presidencia de la Repúbilica, Ministerio de Interno 2010 図書 オリジナル 発 行 機 関 Secretaría Técnica de Planificasión 発行年 - 6 Ley N° 642 de Telecomunicaciones 電子データ コピー Presidencia de la Repúbilica, Ministerio de Interno 1995 7 Decreto N° 4119 Por el cual se designan a los mienbros del consejo de radiodifusión, establecido por la Ley N° 642/95 de Telecomunicaciones 電子データ コピー Presidencia de la Repúbilica, Ministerio de Interno 2010 番号 8 9 10 11 A-4-2 12 13 14 15 16 17 名 称 Plan Nacional de Atribución de Frecuencias Plan Estrategico Economico y Social PEES – 2008/2013 Law N° 60/90 Which approves, with amendments, , Decree-Law N°27 dated March 31, 1990, "By means of which Decree-Law N° 19 dated April 28, 1989" which establishes the system of tax incentives for the investment of domestic and foregin capital, is amended and extended. Law N° 1064 Maquila on the maquila export industry Law No.523 That authorizes and establishes the free zone regime PLANIFICACIÓN ESTRATÉGICA 2009-2013 Ley de telecomunicaciones(電気通信委員法) Law No.642/95 (法律 ) Ley de telecomunicaciones(電気通信委員法) Resolucion 856/2000(決議) Conceptos areanceles(電波使用料、地上波、BS) Ley de telecomunicaciones(電気通信委員法) decreto 9892/95(条例) 付加価値の基準(ICT 他通信) Ley de telecomunicaciones(電気通信委員法) decreto 14135/96(条例) 形態 図書・ビデオ・地図 ・写真等 オリジナル・コピー ポスター オリジナル 電子データ 発 行 機 関 発行年 Commision Nacional de Telecomunicaciones (CONATEL) 2003 コピー Equipo Económico Nacioanl Gobierno de la Repúbilica del Paraguay 2009 電子データ コピー Presidencia de la Repúbilica, Ministerio de Interno 1990 電子データ コピー Presidencia de la Repúbilica, Ministerio de Interno 1997 電子データ コピー Presidencia de la Repúbilica, Ministerio de Interno 1995 電子データ コピー Ministerio de Salud Púbilica y Bienestar Social 2009 電子データ コピー CONATEL 1995 電子データ コピー CONATEL 2000 電子データ コピー CONATEL 1995 電子データ コピー CONATEL 1996 番号 名 称 形態 図書・ビデオ・地図 ・写真等 オリジナル・コピー 発 行 機 関 発行年 18 ley 2051 国家公共調達の法 電子データ コピー DNCP ( Direccion Nacional de Contrataciones Publicas) 国家公共調達 ? 19 Maquila in Paraguay 電子データ コピー Ministerio de Industrla y Comercio ? 20 TELEFUTURO(Ch4) 番組概要 電子データ コピー TELEFTURO 21 TELEFUTURO(Ch4) TV 番組表 電子データ コピー TELEFTORO Campaña Nacional de Alfabetización (文化庁国 内識字率プロジェクト) Direcciones Generales y Direcciones (文化庁役 職) 電子データ コピー SNC (文化庁) 電子データ コピー SNC (文化庁) 24 Organigrama SNC memoria (文化庁組織図) 電子データ コピー SNC (文化庁) 25 Presentación Institucional(文化庁概要) 電子データ コピー SNC (文化庁) Presentan programa de fondos concursables para proyectos culturales (文化コンクール概要) Questionnaire の回答 P7~P9 (Ch2 RED GUARANI) Questionnaire の回答 P7~P9 (Ch9 SNT Cerro Cora ) 電子データ コピー SNC (文化庁) アンケート用紙 オリジナル Ch2 RED GUARANI アンケート用紙 オリジナル Ch9 SNT Cerro Cora 22 23 A-4-3 26 27 28 29 DECRETO No. 14135 図書 オリジナル CONATEL 30 DECRETO No. 9892 図書 オリジナル CONATEL 番号 名 称 形態 図書・ビデオ・地図 ・写真等 オリジナル・コピー 地図 オリジナル A-4-4 31 PARAGUAY Fisico - Politica PARAGUAY Guia de elevacion 32 CARTA NACIONAL PARAGUAY 1:50000, ASUNCION, HOJA 5370 II, SEXTA EDICION 地図(1:50000) オリジナル 33 ASUNCION, HOJA SG 21-6, EDICION 2 地図(1:250000) オリジナル 34 PEDRO JUAN CABALLERO, HOJA SF 21 11, EDICION 2 地図(1:250000) オリジナル 35 PUERTO VALLE-MI, PRIMERA EDICION 地図(1:250000) オリジナル 36 CONCEPCION, HOJA SF 21-14, EDICION 2 地図(1:250000) オリジナル 37 LIMA, HOJA SF 21-15, EDICION 1 地図(1:250000) オリジナル 38 SAN PEDRO DE YCUAMANDYYU, HOJA SG-21-2, SEGUNDA EDICION, 地図(1:250000) オリジナル 地図(1:250000) オリジナル 39 HOJA SF. 21.10, YPE-JHU, HOJA SF 21-16, EDICION 1 40 SAN ESTANISLAO, HOJA SG-21-3, TERCERA EDICION 地図(1:250000) オリジナル 41 SALTOS DEL GUAIRI, HOJA SG 21-4, EDICION 2 地図(1:250000) オリジナル 42 CIUDAD DEL ESTE, HOJA SG 21-8, EDICION 2 地図(1:250000) オリジナル 43 VILLARRICA, HOJA SG 21-7, EDICION 2 地図(1:250000) オリジナル 44 PILAR, HOJA SF 21-10, PRIMERA EDICION 地図(1:250000) オリジナル 発 ATLASS 行 機 関 発行年 1992 番号 名 称 形態 図書・ビデオ・地図 ・写真等 オリジナル・コピー 発 行 機 関 発行年 A-4-5 45 CAAZAPA, HOJA SG21-11, EDICION 1 地図(1:250000) オリジナル 46 LAURELES, HOJA SG 21-14, SEGUNDA EDICION 地図(1:250000) オリジナル 47 ENCARNACION, HOJA SG 21-15, SEGUNDA EDICION 地図(1:250000) オリジナル 48 CAPITAN MEZA, HOJA SG 21-12, EDICION 1 地図(1:250000) オリジナル 49 CHACO CENTRAL, 地図(1:309300) オリジナル 50 PARAGUAY 地図(1:2,000,000) オリジナル 51 MAPA FISICO PARAGUAY 地図(1:1,000,000) オリジナル 図書 オリジナル Dgeec(direccion general de estadistica ) 2005 図書 オリジナル Dgeec(direccion general de estadistica ) 2005 図書 オリジナル Dgeec(direccion general de estadistica ) 2002 図書 オリジナル Dgeec(direccion general de estadistica ) 2002 図書 オリジナル Dgeec(direccion general de estadistica ) 2002 52 53 54 55 56 Proyeccion de la Poblacion Nacional por Sexo y Edad, 2000-2050 [性別、年齢別人口推計、2000-2050] Pobreza y desigualdad de ingresos a nivel distrial [貧困と所得の格差] Resultados Finales Censo nacional de poblacion y viviendas Total pais [国勢調査 最終報告 全国版] Resultados Finales Censo nacional de poblacion y viviendas Distrital [国勢調査 最終報告 地区版] Atolas censal del paraguay [地図版センサス] 1993 DIRECCION DEL SERVICIO GEOGRAFICO MILITAR 番号 57 58 59 60 61 A-4-6 62 63 64 65 66 名 称 Atolas de necesidades basicas insatisfechas [地図版不足する基本的なニーズ] EPH(Encuesta Permanente de Hogares) TOTAL PAIS 2007 [家計調査 全国版 2007] EPH(Encuesta Permanente de Hogares) TOTAL PAIS 2008 [家計調査 全国版 2008] Boletin Empleo EPH 2009. [貧困に関する調査結果 2009] Distritos legales 2000-2015 [主要都市の人口推計 2000 年から 2015 年] Diagnostico_poblacion. [国勢調査 最終報告(データ) 人口] Diagnostico_viviendas [国勢調査 最終報告(データ) 住宅] AnexoListado [先住民 コミュニティ] Anuario Estadístico del Paraguay 2008 [パラグアイ年鑑 2008] Compendio Estadístico 2008 [統計大要 2008] 67 気象データ(気温、湿度、降水量、風速) 68 COSTOS 形態 図書・ビデオ・地図 ・写真等 オリジナル・コピー 図書 オリジナル Dgeec(direccion general de estadistica ) 2002 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) - 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) - 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) - 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) - 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) - 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) - 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) - 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) 2010 電子データ コピー Dgeec(direccion general de estadistica ) 2010 電子データ コピー Direccion Nacional de Aeronautica Civil (DINAC) 2010 図書 オリジナル Especializada Construcción 2010 発 行 機 関 en Análisis de Costos de 発行年 添付図 名 NO. 称 図面番号 1 BLOCK DIAGRAM OF DIGITAL MASTER SYSTEM Sy-001 2 BLOCK DIAGRAM OF NEWS STUDIO VIDEO SYSTEM Sy-002 3 BLOCK DIAGRAM OF NEWS STUDIO AUDIO SYSTEM Sy-003 4 BLOCK DIAGRAM OF PRODUCTION STUDIO VIDEO SYSTEM Sy-004 5 BLOCK DIAGRAM OF PRODUCTION STUDIO AUDIO SYSTEM Sy-005 6 BLOCK DIAGRAM OF NON LINER EDITING SYSTEM Sy-006 7 BLOCK DIAGRAM OF 1 : 1 EDITING SYSTEM Sy-007 8 COMPOSITION OF TV BROADCASTING SYSTEM FIELD Sy-008 RECORDING SYSTEM 9 BLOCK DIAGRAM OF OB VAN VIDEO SYSTEM Sy-009 10 BLOCK DIAGRAM OF OB VAN AUDIO SYSTEM Sy-010 11 TRANSMITTING STATION OF PUBLIC TV PLAN & EQUIPMENT B-001 LAYOUT 12 MAIN BUILDING OF PUBLIC TV NEWS STUDIO PLAN & B-002 EQUIPMENT LAYOUT 13 MAIN BUILDING OF PUBLIC TV NEWS STUDIO SECTION & EQUIPMENT LAYOUT . B-003 禁転載