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ここまで来たフォトニック結晶技術:光を自在に制御することを夢見て

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ここまで来たフォトニック結晶技術:光を自在に制御することを夢見て
2014年2月19日
ここまで来たフォトニック結晶技術:
光を自在に制御することを夢見て
京都大学工学研究科 野田 進
1.フォトニック結晶について
2.初期のフォトニック結晶研究状況
3.結晶そのものの開発から様々な光制御の実現まで
4.最近の研究進展の例(含:フォトニック結晶レーザ)
5.ACCELプログラム
6.まとめと展望
周波数
FREQUENCY[c/a]
1.フォトニック結晶
0.4
0.3
0.2
0.1
0

J

波数
周波数
FREQUENCY[c/a]
2次元フォトニック結晶
3次元フォトニック結晶
X
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
X U L

X W' K' W X'
波数

K
L K'' X'
2.初期のフォトニック結晶研究状況
1990年代前半は、ほぼ絵に描いた餅状態
1. ナノスケールで制御された多次元周期構造の実現が極
めて困難であったこと。光波長域において、フォトニック
結晶は存在しなかった。
2. 具体的にどのようにフォトニック結晶を光制御に活用し
ていくかも明らかでなかった。
結晶開発そのものからスタート
開発した結晶を用いて、フォトニック結晶によっ
て、どのような光機能が具体的に得られるかを
1つ1つ示していくこと
3.結晶開発とそれによる様々な光制御の実現
結晶開発
GaAs (or InP)
AlGaAs (or InGaAsP)
GaAs (or InP)
基板.
(d) 不要基板の選択
的除去
(a) 結晶成長
(b) ストライプの
形成
(c) ウエハ融着
(e) 光干渉法を用い
た精密位置合わ
せと結晶形成.
さらに、(c), (d)の
繰り返しによる多
層立体構造形成
ナノスケール(<50nm以下
の揺らぎ)での
積み木細工
位置合わせ・結晶積層装置開発
試料ホルダー
全体像
画像解析による位置ずれ
の検出
自動位置合わせ結果
OFF
ON
Two-field microscope
Sample stage
(Fixed)
Computer
Samples
Sample stage
(Piezo Actuation)
X-Y- 位置ずれ補正
(Control of Piezo Voltage)
Lamp
Diffuser
Load sensor
Measured positional error (nm)
NIR CCD cameras
300
x方向
x-direction
y方向
y-direction
200
Initial error
100 ~ 200 nm
Convergence
with < 50 nm
0
-100
0
10
20
30
Repeat count (times)
Z-axis stage
I. レーザビーム回折法
II. パターン認識法
Laser Beam
4µm
Pattern A
Pattern B
Ref. (Overlapped)
Change of
Relative
Position
8.00 m
-2th -1th 0th +1th +2th
Observing the Diffraction Pattern
8.05 m
100 m
3次元結晶の開発
透過測定
=0º
=30º
=40º
100
100
10-1
10-1
m
-2
10m
10-2
700nm
反射率
透過率
=0º
=10º
=20º
反射測定
1000
10m
1200
1400
波長 (nm)
1600
10m
S. Noda, et al., Science 289 (28 July 2000) 604
フォトニック結晶による様々な光制御へ
発光制御の実現
2次元フォトニック結晶への展開
― ナノデバイス実現 ―
λ7
λ5
λ6
λ4
λ3
λ1
λ2
10m
250m
λ=1550.0 nm
1546.2 nm
完全結晶部で
は発光の抑制
欠陥部分では、
発光の増強
Ogawa, Noda, Science 305, 227 (2004).
Fujita, Noda, et al, Science 308,1296 (2005).
Noda, Science 314, 260 (2006).
Noda, et al, Nature Photonics 1, 449 (2007)
Ishizaki and Noda, Nature 460, 367 (2009).
Takahashi, Noda, et al, Nature Materials 8,
721 (2009).
1541.0 nm
1535.9 nm
1530.8 nm
1524.0 nm
1517.1 nm
従来の1/10,000以下のサイズのデバイス
Noda, et al, Nature 407, 608 (2000).
Song, Noda, et al, Science 300, 1537 (2003)
Noda, Science 314, 260 (2006).
Noda, et al, Nature Photonics 3, 129 (2009).
極微小領域への光閉じ込め
大面積での光の制御
Shift
Tuning of air holes
410nm 420nm 410nm
光の波長程度の
領域に、極めて強
い光閉じ込めの
実現
大面積コヒー
レントレーザ
の実現
Photonic double
hetero cavity
Q>9,000,000
Akahane, Noda, Nature 425, 944 (2003).
Asano, Noda, Nature 429, doi:10.1038 (2004).
Song, Noda, Nature Materials 4, 207 (2005).
Noda, et al, Nature Photonics 1, 449 (2007).
Takahashi, Noda, et al, Nature 498, 470 (2013).
Noda, et al, Science 293, 1123 (2001).
Miyai, Noda, et al, Nature 441, 946 (2006).
Matsubara, Noda, Science 319, 445 (2008).
Kurosaka, Noda, Nature Photonics 3, 129
(2009)
研究を通じて見えてきた自在な光制御
i) フォトニックバンドギャップ・欠陥エンジニアリング
フォトニックバンドギャップ: 光の存在、発光の禁止
点欠陥: 光の局在 、発光の増強 --- ナノ共振器
線欠陥: 局所域での光の伝播 --- ナノ導波路
・・・ 高効率発光デバイス(固体照明等),
ナノレーザ, 光回路,
量子演算チップ, バイオセンサー
ii) バンド端エンジニアリング(バンドの特異点での光制御)
バンド端における定在波状態の形成 --- 大面積光制御
・・・大面積レーザ、太陽電池応用、各種非線形応用
iii) バンドエンジニアリング
ユニークな分散特性 --- 光の進行方向の変換, 光の速度変換
・・・光バッファー, 分散制御, 太陽電池応用
4.最近のフォトニック結晶の進展例
1.3次元光伝播の実現
(究極の光チップへ)
2. ナノ共振器を利用したシリコンレーザの実現
(シリコンフォトニクスの新展開)
3. 熱輻射制御(高効率太陽光発電に向けて)
4. 大面積光制御によるユニークなレーザの進展
高出力・高効率動作、光ピンセット、光ビーム走査
(ACCELにつながる成果)
3次元光伝搬の実現
3次元フォトニック結晶
Output
10 m
(顕微鏡写真)
直角曲げ構造
Output
10 m
Input
(光出力イメージ)
(電子顕微鏡写真)
Input
シリコンレーザの実現
共振波長
1435 nm
ラマン散乱の増強
1550 nm
ラマンシフト
15.6 THz
64 meV
520 cm-1
励起
1435 nm
ラマン散乱による光増幅作用の増強
シリコンレーザ発振
発振直前
発振直後
室温で、どの材料系よりも最も低い閾値で動作
Nature (Takahashi, Inui, Asano, Noda, et al) (June 27, 2013)
熱輻射制御の実現
通常、物体からの熱輻射スペクトルは広く、極めてエネルギー
効率が悪い。例えば、太陽光の場合、スペクトルが広すぎて、
太陽電池で効率良く光電変換できない。
太陽電池で有効に
使われるスペクトル範囲
輻射パワー(a.u.)
太陽電池で有効に
使われるスペクトル範囲
地球上太陽光スペクトル
0.5
1.0
1.5
2.0
波長 (m)
太陽光
輻射パワー(a.u.)
太陽光スペク
トルを変換
2.5
レンズ
人工物質によって
狭帯域化したスペクトル
0.5
熱輻射制御
デバイス
1.0
1.5
2.0
波長 (m)
狭帯域輻射
太陽電池
Nature Photonics (Menaka, Noda, et al) (2012)
2.5
大面積光制御によるユニークなレーザの進展
ー フォトニック結晶レーザ ー
(ACCELにつながる成果)
フォトニック結晶レーザの特徴
・原理的にどのような大面積でも単一モード発振が可能
・高出力(面発光)動作
・従来にない新機能(オンデマンドなビームパターン、
電子的ビーム走査等)をもつ
デバイス構造
面発光領域
電極
クラッド層
B
フォトニック結晶
電子ブロック
活性層
クラッド層
A
電極
基板
-X
-M
動作原理
原理的に、どのような大面積でも
単一モード動作可能
面発光
動作
面内光結合
Frequency (c/a)
バンド端エンジニアリング
D
C
バンド
端
B
A
X

M X
k//
X

k//
M
レーザ発振後の近視野像とレーザスペクトル
~150m角でのコヒーレント
発振の実現(通常の1,000倍
以上の出射面積)
ビームパターン
面発光
面内光結合
ビームパターン制御
位相シフト
位相シフト
Phase shift
位相シフト
x
+ Max. 0
位相シフト
位相シフト
y
- Max.
遠視野での干渉状況の変化
様々なビームパターンの生成が期待
結晶構造の操作とビームパターン
287nm
1°
29.2m
29.2m
29.2m
2種類のドーナツビーム
1º
:Polarization
接線方向偏光
:Polarization
径方向偏向
接線方向偏光ドーナツビームの応用
光ピンセット動作
不透明物質 (金属等)の操作が可能に
Doughnut
Conventional
径方向偏光ドーナツビームの応用
微小集光が可能に
高いNAレンズ.
集光点で残る成分
非常に小さなスポッ
トへの集光が期待
結晶構造の操作とビームパターン
287nm
1°
29.2m
29.2m
29.2m
28
格子点構造の変調による量子効率向上
PEAK POWER (mW)
250
(pulse 500ns, 1kHz)
Rectangular
triangle
200
150
triangle
100
50
0
0
100 200 300 400 500
CURRENT (mA)
Circle
29
高出力動作実現に向けて
結晶成長によるフォトニック結晶構造の埋め込み
光出力
y
x
Active layer
y
z
200 nm
x
上面図
x
y
断面図
200m角デバイスで、室温連続(CW)状態で、
世界最大の光出力を達成
30
5.ACCELプログラム
さらなる高出力化においても、安定な単一モード動作を
可能にするデバイス構造の探索(格子点形状の最適化
等)。
面積を現状の200m角から500m~1mm角に拡大し
つつ、光出力を現状の10倍以上に増大する。さらに合
波デバイスの開発を行う。
フォトニック結晶レーザならではの新しい機能の追及
・日本のものづくり(光製造)への貢献
・半導体レーザそのものの概念の変革へ
6.まとめと今後の展開
21世紀を支える“光(フォトン)”を自由自在に操
る「フォトニック結晶」「フォトニックナノ構造」技術
・超効率発光デバイス(固体照明等)
・Siフォトニクスの新しい展開
・光の超高速性・量子性を活かした通信・情報技術
・全光回路(電子素子から光素子へ)
・高効率太陽光発電(熱輻射制御含め)
・ものづくり日本への貢献・半導体レーザ概念の変革
に至るまで、様々な貢献が期待
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