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1 - 日本医師会
資料2
平成25年度 医療政策シンポジウム
「高齢社会と医療の未来を考える」
「混合診療の全面解禁は
国民に利益をもたらすか?」
2014年3月13日
評論家・ノンフィクション作家
関岡英之
2013年
7月26日 第13回 規制改革会議
「当面の最優先案件について(案)」
「保険診療と保険外診療の併用療養制度」
11月28日
公開ディスカッション
12月20日 第23回 規制改革会議
「『保険診療と保険外診療の併用療養制度』
改革の方向性について」 2014年6月に答申
2014年
1月21日 第24回 規制改革会議
「『保険診療と保険外診療の併用療養制度』
改革に向けた新たな仕組みの検討」
1
HTA(医療技術評価)導入の動き
2012年 診療報酬改定に係る付帯意見
「保険適用の評価に際し費用対効果の観点を可能な
範囲で導入することについて検討を行う。」
5月 中医協「費用対効果評価専門部会」設置。
2016年度診療報酬改定から導入?
薬事承認と保険収載を分離?
保険収載拒否→混合診療で対応?
2
H
T
A
公的給付の
範囲縮小
混
合
診
療
3
1.小泉政権下における
「混合診療」部分解禁の経緯
4
「混合診療」解禁の動き(2004年3月)
米国のラーソン国務次官(経済・農業担当)
「民間企業の活動をもっと認めれば日本国民
はより高度で最新の医療サービスを最も安く
受けることができる」
→「混合診療」の解禁を求めた。
2004年3月12日 日本経済新聞
5
「混合診療」解禁の動き(2004年6月)
B.医療サービス
米国政府は、
(c)保険診療と保険外診療の
明確化及び混合診療の解禁
について要請した。
(p.8)
6
「混合診療」解禁の動き
小泉首相
混合診療について、
「年内に解禁の方向で結論を出してほしい」
と金子規制改革担当相らに指示した。
2004年9月11日 日本経済新聞
2004年12月 厚労相・規制改革担当相
「混合診療問題に係る基本的合意」
将来の保険収載が前提
「特定療養費制度」を拡充
(混合診療の部分解禁)
2006年6月 健康保険法改正
「保険外併用療養費制度」
「評価療養制度」
7
2014年
1月21日 第24回 規制改革会議終了後の記者会見
岡素之議長(住友商事相談役)「現行制度の
量的拡大にとどまることなく、是非、制度の
質的改革についても求めていきたい」
保険収載を前提としない併用?
将来の保険収載が前提
原則禁止から原則自由へ?
(混合診療の部分解禁)
2006年6月 健康保険法改正
「保険外併用療養費制度」
混合診療の全面解禁?
「評価療養制度」
8
2.利用者の視点から見た
「混合診療」問題
9
利用者負担の比較
(万円)
30
全額保険外診療
保険診療
混合診療
20
10
(万円)
100
抗がん剤︵
未承認薬︶
月額60万円
検査費︵ PET-CT
︶
月額8万円
入院費︵
3日︶
20+9+30=
抗がん剤︵
未承認薬︶
検査費︵ PET-CT
︶
入院費︵
3日︶
抗がん剤︵
承認薬︶
検査費︵ PET-CT
︶
入院費︵
3日︶
自己負担(3割)6+3+9=18
高額療養費制度上限
患者の
メリット?
6+3+30=
月額40万円
10
最新の分子標的薬には
抗がん剤との併用で
月額100万円、
半年で600万円
かかるものもある
保険診療
全額保険外診療
混合診療
30
20
10
抗がん剤︵
未承認薬︶
検査費︵ PET-CT
︶
入院費︵
3日︶
抗がん剤︵
未承認薬︶
検査費︵ PET-CT
︶
入院費︵
3日︶
抗がん剤︵
承認薬︶
検査費︵ PET-CT
︶
入院費︵
3日︶
患者の
メリット?
11
「混合診療」の何が問題か?
分子標的薬ベバシズマブ
大腸癌
乳癌
卵巣癌
保 険
適 用
適 用
適用外
費 用
月8万円
月8万円 「混合診療」なら
月100万円(自由診療)
+保険診療
一日も早く保険収載を!
12
分子標的薬ベバシズマブ
2008年 5月 患者S 卵巣癌告知
2011年12月 欧州委員会が承認
2012年10月 開発企業が公知申請
2013年11月 厚労省が薬事承認
1
年
審査期間
2012年 6月 患者S 死亡
2
年
申請ラグ
2010年 2月 厚労省「医療上の必要性の高い未承認薬・適用外薬
検討会議」 ←卵巣がん患者団体が要望提出
6月 ASCOでGOG-0218発表(無増悪生存期間延長)
10月 厚労省、開発企業に開発要請
13
「混合診療」の何が問題か?
年間罹患者分子標的薬ベバシズマブ
年間罹患者
年間罹患者
約12万人
約6万人
約8千人
大腸癌
乳癌
卵巣癌
保 険
適 用
適 用
適用外
費 用
月8万円
月8万円 「混合診療」なら
月100万円(自由診療)
+保険診療
申請ラグ
審査ラグ
一日も早く保険収載を!
14
「混合診療」が拡大されても
恩恵を受ける利用者は限られている
「混合診療」の拡大は
申請ラグを助長する可能性が高い
広範な国民の利益にならない
誰のための拡大推進か?
15
3.「混合診療」全面解禁
推進の目的
16
「混合診療」解禁の動き(2004年6月)
B.医療サービス
米国政府は、
(c)保険診療と保険外診療の
明確化及び混合診療の解禁
について要請した。
(p.8)
Why?
17
日本の医療保険制度(現行)
年 収
国民皆保険
年 齢
18
日本の医療保険制度(「混合診療」解禁後)
年 収
「混合診療」
公的保険
高齢者
保険外診療
民間医療保険
貧 困 層
年 齢
19
米国の医療保険制度
メディケイド
(貧困層向け公的医療保険)
メディケア
無保険者
約4600万人
︵
高齢者向け公的医療保険︶
年 収
民間医療保険
年 齢
20
金融ビジネスとしての保険
短期性資金
銀行
預金
預入
医療
保険
引出
預入
引出 引出 預入
引出
長期性資金
疾病
保険料 保険料 保険料 保険料 保険料
保険金
21
金融ビジネスとしての保険
集金マシン!
商品先物
ヘッジファンド
米国債
運用したい!
企業買収
長期性資金
医療
保険
疾病
保険料 保険料 保険料 保険料 保険料
保険金
22
金融ビジネスとしての保険
お呼びでない!
公的保険で
面倒見てもらえ!
医療
保険
疾病
保険料 保険料 保険料 保険料 保険料
保険金
貧困層
高齢者
23
米国医療の実態を描いたドキュメンタリー映画
民間保険加入者の悲劇
米国の無保険者の悲劇・・・
・・・ではない。
24
4.民間保険の何が問題か?
25
民間保険は社会保障の代替たりえない
商品名
“よくばり保険”
“それなり保険”
月払い保険料
14,000円
14,000円
7,000円
7,000円
(50歳男性の場合)
入院
日額
手術
1回
1万円
日額
10万円
がん
300万円
死亡・高度障害
500万円
ボーナス
10万円
1回
1万円
10万円
市場原理に基づいた金融商品に過ぎない
26
民間医療保険 日米の違い
なるべく保険金は
払いたくない!
国保(自治体)
協会けんぽ(旧政府)
7割
民間
保険会社
現金給付
3割
患者
フリーアクセス
医療機関
医療機関
アクセス制限
出来高払い
民間保険会社
公的保険
診療制限
健保組合(大企業)
マネジド・ケア
患者
現物給付を統制27
医療制度のアメリカ化は
患者にとっても
医療従事者にとっても
利益にならないのでは ?
28
ご清聴ありがとうございました
29
番外:薬価補正加算と
医療財政
30
米国の医療制度は機能しているのか?
一人当たり医療費(U$)(2008年)
対GDP医療費(%)(2008年)
OECD Health Data 2010
31
主要国の先発薬薬価水準
米国の薬価を1とした指数
1.00
1.0
0.90
0.80
0.70
0.60
0.49
0.50
0.52
0.47
0.40
0.33
0.30
0.20
0.10
0.00
米国
フランス
ドイツ
英国
日本
米国商務省 2004
32
FDA長官の発言(2003年)
「アメリカと他の先進国との薬価差の解決には、
アメリカの薬価を引き下げるのではなく、
他の先進国の薬価を引き上げる必要がある」
マーク・マクレラン
マーシャ・エンジェル『ビッグ・ファーマ』
(篠原出版新社、2005年)
33
米国研究製薬工業協会(PhRMA)
「日本の薬価制度に関する意見書」(2005年)
メーカー希望価格を導入せよ。
補正加算率を引き上げよ。
外国平均価格調整を重視せよ。
薬価決定時に製薬企業の意見陳述を認めよ。
市場拡大再算定(強制引き下げ)を廃止せよ。
特許有効期間中は薬価を維持せよ。
etc・・・
34
「年次改革要望書」とは?
35
「年次改革要望書」とは?
◆1994年(村山内閣)から2008年(麻生内閣)までの
15年間、毎年秋の日米首脳会談時に提示。
◆内容
(1)個別産業分野:
①通信
②IT(ネット関連)
③医療機器・医薬品
④金融
⑤流通
(2)分野横断的テーマ:
①競争政策
②商法・司法制度
③行政慣行
④通商
⑤民営化
36
米国政府『年次改革要望書』
◆薬価算定時の補正加算率の引き上げ
2002年
2006年
2008年
画期性加算
40∼100%
50∼100%
70∼120%
有用性加算(I)
15∼ 30%
25∼ 40%
35∼ 60%
有用性加算(II)
5∼ 10%
5∼ 20%
5∼ 30%
37
保団連の調査(2010年)
オキサリプラチン
1.00
0.80
抗がん剤
0.60
0.40
従来型改良
0.20
0.00
米国
日本
ドイツ
フランス
英国
ベバシズマブ
1.20
1.00
分子標的薬
0.80
0.60
画期的新薬
0.40
0.20
0.00
米国
日本
ドイツ
フランス
我が国の医薬品輸出入額の推移(兆円)
2008
セツキシマブ
1.6
分子標的薬の承認時期
1.4
1
0.8
0.6
38
輸入額
1.8
1.2
英国
2002
ゲフィチニブ
(アービタックス)
2007
ベバシズマブ
(アバスチン)
(イレッサ)
2001
イマチニブ
(グリベック)
赤字額
0.4
0.2
輸出額
0
1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
財務省貿易統計
39
TPP 21作業部会
原産地規則
貿易保護
(セーフガード)
市場アクセス
(工業)
(繊維)
(農産物) 貿易円滑化
知的財産権
(税関手続等)
規格/認証
(TBT)
衛生/検疫
(SPS)
サービス
(金融)
投資
制度的事項
制度的事項
サービス
(通信)
環境
紛争解決
(政府間協議)
競争政策
サービス
労働
協力
(越境取引) (労働基準法等) (人材育成等)
政府調達
横断的事項
(電子商取引) (短期商用入国) (規制関連)
サービス
サービス
40
18.制度的事項
医薬品及び医療機器の償還(保険払戻)
制度の透明性等を担保する制度を整備し、
手続保障を確保すること(関係者への周知、
プロセスの公開、申請者の参加等)について
提案をしている国がある
内閣官房他『TPP協定交渉の分野別状況』(平成24年3月) 41
米韓FTA(2012年3月発効)
第5章 医薬品・医療機器
第2条 イノベーションへのアクセス
・保険償還や薬価決定の手続きは公正で非差別的であるべき。
・薬価や医療機器価格は、競争市場価格をベースとするか、
さもなくば特許上の価値を反映させる。
また、製薬企業に値上げ申請を認める。
第7条 医薬品・医療機器委員会(MMDC)
・目的:協定の遵守を監視する。
・構成:米韓両国政府の医療と通商担当官を共同議長とする。
確認書簡 “独立検証機関”(IRB:Independent Review Body)
・韓国側は、薬価等に関する製薬企業による異議申し立てを
受けつける独立機関を設置する。
・当該機関は、韓国政府の人事権から完全に独立させる。
42
PMDA設立は米国の要求に基づいている
2002年 年次改革要望書
「・・・医療機器・医薬品の承認を行う新たな審査機関の設置は、
日本の薬事制度のスピードと効率を向上させる。」
2004年 医薬品医療機器総合機構(PMDA)設立
2005年 年次改革要望書
「2004年に設立された医薬品医療機器総合機構(PMDA)と
大幅に改正された薬事法の施行は、医療品と医療技術の承認
審査時間を改善する事を一つの目的として行われた。」
43
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