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パブリック・コメントで寄せられた御意見と外務省の考え方
パブリック・コメントで寄せられた御意見と外務省の考え方 外務省では,平成26年10月29日に「開発協力大綱(案)」を公表し,同日から同年11月27日までの間,広く国民の皆様から御意見 を募集しました。その結果,合計204件の御意見を頂きました。また,東京(11月15日),京都(11月16日),福岡(11月22日), 仙台(11月23日)で開催した公聴会でも多くの御意見を頂きました。頂いた御意見は,外務省として真摯に受け止め,今次開発協力大綱最 終版(以下,「最終版」)策定に当たり参考にさせていただきました。また,今後の開発協力政策実施に当たっても,参考にさせていただきま す。 頂いた主な御意見の概要及び外務省の考え方を下記の通りとりまとめましたので,公表いたします。 御意見の概要 外務省の考え方 【総論】 「開発協力」の定義が不明確。「開発協力」の定義及び今回「開発 協力大綱」と名称を変更した理由を明確に説明すべき。(同旨複数) 民間資金との連携等につき十分な議論がないまま, 「開発協力大綱」 と名前を変えることに反対。「政府開発援助大綱」のままとすべき。 「協力」ではなく「援助」のままとすべき。(同旨複数) 本大綱にいう「開発協力」とは,閣議決定本文に記述されていると おり,「開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係 機関による国際協力活動」と定義していますが,これを更に明確化 するため,大綱本文中にも改めて明記することとしました。 本大綱は,この開発協力の在り方を定めるものであり,OOF(O 「開発協力大綱」とすると国全体の「開発」ありきの印象がある。 一人ひとりの未来を考えたものとすべき。 「開発協力」といいながら,「途上国の開発」が目的の中に入って いない。 人間の安全保障を重視した副題の「一人ひとりのより良き未来のた めに」の記述を評価。 副題の「一人ひとり」という言葉は一般に理解できないので,「世 DA以外の公的資金)やPKO等,開発途上地域の開発を主たる目 的とするものでない政府及び政府関係機関の活動については,本大 綱上の「開発協力」には含まれていません。また,本大綱は,法律 ではなく,政府の方針を定める閣議決定文書であることから,NG Oや民間企業等の政府以外の主体による活動を規制することはし ていません。しかしながら,開発のための相乗効果を高めるため, 開発協力とこれらの活動との連携を強化していくこととしていま 界と日本の平和と繁栄の未来のために」とすべき。 す。 防衛省・自衛隊による「能力構築支援」や防衛装備品移転三原則等, ・ 本大綱の名称を従来の「政府開発援助大綱」から「開発協力大綱」 対外援助の手段が広がりつつある中,ODAとこれらの手段との関 という名称に変更した背景としては,多様化・複雑化・広範化する 係性や,より効果的な活用の在り方についても定めるべきではない 開発課題に適切に対処すべく,卒業国支援も含め,協力のスコープ か。PKO等の協力も含め,国際協力大綱とすればよかったのでは を広げるとともに,政府だけではなく,民間部門等との連携を強化 1 ないか。(同旨複数) することにより,オールジャパンの協力を目指すこと,また,我が 「開発・経済協力大綱」とすべき。 国からの一方的な「援助」ではなく,開発途上国との対等なパート ナーシップに基づく「協力」関係の強化を目指すこと等があります。 なお,一人ひとりの幸福と尊厳を大切にする人間の安全保障の考え 方を指導理念としていることを明確に示すため,「平和,繁栄,そ して,一人ひとりのより良き未来のために」を副題としています。 震災直後,東北は世界中から支援を頂いたが,日本がこのように世 界から信頼される国となったのもODAの賜。 日本の国際協力が諸外国に大変好意を持って受け入れられている 我が国のODAは,個人の保護と能力強化により,恐怖と欠乏から の自由,そして,一人ひとりが幸福と尊厳を持って生存する権利を 追求する人間の安全保障の考え方を指導理念としてきました。ま ことは3.11後の各国の援助の様子を見て明らか。戦争を放棄し た国であること,日本の支援体制や草の根的な技術援助が他国との 違いを際だたせている。ODAの額は減少の一途だが,日本の存続 のためにも他国との助け合い,共存は維持していくべき。 日本の国際協力は「顔の見える技術協力」が特徴的であり,これが 日本の信頼向上に貢献している。日本のODAの強みを活かしてい くべき。(同旨複数) た,自助努力支援と現場主義にのっとり,対話・協働の中で相手国 に合ったものを共に創り上げていく精神を伝統としてきました。こ のような我が国によるODAは,過去60年間の歴史の中で,我が 国と開発途上国との間の絆を強固なものとするとともに,諸外国か らの我が国への信頼を高める上で,一定の成果を上げてきたものと 認識しています。政府としては,平和国家としての歩みを踏まえ, 国際社会の平和と安定及び繁栄により一層積極的に貢献していく 国際協力の根本的な精神には,弱者への共感があるべきであり,真 に日本らしい草の根の支援のためにODAを使うべき。 世界の貧困や飢餓をなくすため,広く大きな視野をもって国際協力 をしていくことで,世界に愛される「本当に強い国・日本」を目指 すべき。 考えであり,これを本大綱においても開発協力の基本方針として定 めています。 国家安全保障戦略の中に「ODAに指針を与える」と書いてあり不 安。国家安全保障戦略は本大綱の上位にあるものなのか。(同旨複 数) 「国家安全保障戦略」は,国家安全保障に関する基本方針として, ODAを含め,国家安全保障に関連する分野の政策に指針を与える ものであり,我が国として,国際協調主義に基づく「積極的平和主 「国家安全保障戦略」を始めとする国家戦略と本大綱との関係,そ れらの国家政策の中での本大綱の位置づけ等につき明確にすべき。 また,実効性がどの程度あるのか不明確。(同旨複数) 義」の立場から,世界の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上 に積極的に寄与していく姿勢を明確に示したものです。例えば,同 戦略では,我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチの 1つとして,国際社会の平和と安定の阻害要因となりかねない開発 2 問題及び地球規模課題の解決に向け,ODAの戦略的・効果的活用 を図ることとしています。 「開発協力大綱」は,閣議決定本文にも記述しているとおり,「国 家安全保障戦略」も踏まえつつ策定したものですが,ODAに関連 する他の様々な政策文書も踏まえ,開発協力の理念や原則等を明確 にし,今後の我が国開発協力の根幹となる考えを示したものです。 改定のプロセスが性急すぎて,十分な議論が行われていない。もっ と時間をかけて市民社会との対話を行い,市民社会の意見を取り入 れた大綱を策定するべき。(同旨複数) 本大綱の政府案は,外務大臣の下に設置した有識者懇談会での議論 や,NGO,経済界を始め様々な関係者との意見交換,市民社会と の意見交換会,様々な方々より頂いた提言書,国会での議論等を十 途上国の人々からの意見聴取も行った上で,改定を行うべき。(同 旨複数) 現ODA大綱の総括と評価を行うべき。 ODAは,日本企業に利益を作るのみで,被援助国の住民のために はなってこなかったことを反省した上で,新大綱を作るべき。 全体として,具体例を盛り込む等具体性を重視すべき。(同旨複数) 「選択と集中」の視点も盛り込むべき。 分に踏まえて作成しました。また,大使館を通じて寄せられた開発 協力の現場からの意見や国際機関等の意見も参考にしました。さら に,政府案に対しては,公聴会やパブリック・コメントを通じて多 くの御意見を頂きましたので,最終版の作成に際し,これを最大限 踏まえました。 ODA大綱の実施状況については,政策レベルやプログラムレベル での各種の評価を行ってきている他,毎年,ODA白書により報告 文言や文章の解釈を明確に説明するFAQを作成すべき。 を行ってきたところです。特に,今般のODA大綱見直しに際して は,過去約10年間のODA評価案件についてODA大綱を切り口 としたレビューを行った他,ODA60周年の機会を捉え,過去6 0年のODAの評価について,外務大臣のスピーチをはじめ,様々 な形で発信しました。 ・ 本大綱においては,我が国の外交政策に基づいた戦略的かつ効果的 な開発協力を展開する上で,必要な重点化を図っていくことを明記 しています。本大綱は,これからの我が国開発協力の理念や原則を 定める性格の文書であることから,個別的・具体的事例についての 言及は必ずしも適当でないと考えていますが,本大綱に加え,本大 綱の下に策定される課題別政策,地域別政策,国別政策等を通じ, 一層の明確化・具体化を図っていきたいと考えています。 3 【前文】 「積極的平和主義」という言葉の定義が曖昧であり,使うべきでは ない。国際的には,軍事力によって平和を実現する「消極的平和」 に対して,紛争要因となる貧困や不平等等,構造的暴力のない状態 を目指すのが「積極的平和」だと理解されている。その意味での「積 極的平和」であることを明記すべき。(同旨複数) 「憲法の精神に則り」と加筆すべき。(同旨複数) 昨今の地球規模課題を踏まえつつ,特に格差,持続可能性,脆弱性 等,新たな開発課題が提示されたことを評価。(同旨複数) 本大綱で言う「国際協調主義に基づく積極的平和主義」とは,我が 国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ,国際社 会の平和と安定及び繁栄の確保のために,これまで以上に積極的に 寄与していくという我が国の国家安全保障の基本理念であり,その 内容は国家安全保障戦略において透明性を持って示されています。 政府として,日本国憲法にのっとって対応することは当然であり, 本大綱においても,開発協力の目的にかかる記述の中で,「全世界 の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免れ,平和のうちに生存する権 「国際社会」は「世界」に変えるべき。 「開発」という言葉が安易に使われすぎている。 「国内紛争」と「地理的,気候的諸条件」を並列するのはおかしい。 脆弱国が脆弱性ゆえに「成長から取り残されている」との説明は一 面的であり,不適当。 利を確認する」との表現を用いていることにもみられるとおり,引 き続き,憲法の精神にのっとって,開発協力を進めていく考えです。 【1.理念 (1)目的】 安全保障と日本経済への利益還元(経済再生)という二つの側面か 本大綱にも明記しているとおり,「開発協力」は,「開発途上地域 ら日本の国益を優先しようとする姿勢が打ち出されているが,開発 協力の第一の目的はあくまでも開発途上国の貧困・格差の解消,公 正な世界の実現であるべき。国益や外交戦略のためという視点には 問題がある。(同旨複数) 国際協力は,誰のための協力かという視点を持ち,途上国の人々に 寄り添い,真の自治自立を支援することを原則とすべき。(同旨複 数) 国益の追求は自己中心的。世界志向の視点から,より広い「国益」 の開発を主たる目的」とする活動であり,また,我が国が開発協力 を行う目的は,「国際社会の平和と安定及び繁栄の確保により一層 積極的に貢献すること」としています。一方で,現在のグローバル 化した世界においては,これは国際社会の利益への一方的貢献にと どまるものではなく,我が国の国益の確保にもつながるものと考え ています。その意味で,国際益と国益のどちらを優先するかではな く,国際社会と我が国の双方に資する開発協力の在り方を目指して います。御指摘を踏まえ,この点が明確となるように,最終版では の追求を目指すべき。持つべき。 国益優先の視点は視野を狭くするし,「かっこ悪い」。理想を謳う 大綱では,「平和の実現」を強調すべき。 国益重視となった結果,外交や安全保障上,重要でない地域や貧困 記述を修正しました。 本大綱では,「人間の安全保障の考え方は,我が国の開発協力の根 本にある指導理念である」と記述しており,重点政策を踏まえ,貧 困国に対する支援も含め,国際社会の平和と安定及び繁栄のために 4 国へのODAが削減されないか心配。(同旨複数) 必要な支援を行っていく考えです。 国際社会の平和と安定及び繁栄の確保への貢献という開発協力の 目的を示すとともに,これが日本の国益と表裏一体であることを示 し,国益への貢献という視点が盛り込まれたことを高く評価。(同 旨複数) 「国益」に資することを丁寧かつ明確に説明しており,評価。国民 のODAへの理解促進に資すると思う。(同旨複数) 戦略性を高め,日本の強みを活かした協力により,途上国・新興国 の持続的成長へ貢献し,ひいては我が国の経済成長・外交政策に繋 げるという考え方の明確化が図られている点を評価。 「国益」の定義をもう少し明確にすべき。ODAが我が国の国益に どのように結びついているか不透明。 我が国の成長戦略の文脈からもODAや国際協力が重要であるこ とを明記すべき。 「国益」については,「国家安全保障戦略」においても説明されて いるとおりです。その上で本大綱において,「我が国の平和と安全 の維持,更なる繁栄の実現,安定性及び透明性が高く見通しがつき やすい国際環境の実現,普遍的価値に基づく国際秩序の維持・擁護」 繁栄につき,「格差が是正された繁栄」とすべき。 等を「国益」の具体的内容として説明しています。 先進国や日本の成功経験を活かすという考え方は誤り。過去の失敗 とそのメカニズムから学ぶ姿勢が重要。経験と知見だけでなく,教 訓とすべきではないか。(同旨複数) かつての経済援助としてのODAを「良き伝統」と評価し,踏襲し ようとする全体のトーンに疑問を持つ。過去の経済成長やODAの 実績に関する過度な自己賛美は不適当。(同旨複数) 過去の開発協力プロジェクトの中で,当該国の環境や社会,住民の 御指摘のとおり,我が国は,環境問題等,過去の経験の中から教訓 を得てきた他,人口減少や高齢化,震災復興等,今まさに直面する 課題からも数多くの教訓を得ており,開発協力を通じて,成功体験 だけでなく,失敗や新たな課題への取組の中で得た教訓も含め,国 際社会と共有していきたいと考えています。本大綱において,この 点が明確となるように,最終版では記述を修正しました。 日本の経験や知見を一方的に押しつけるのではなく,相手国の自主 生活や権利に負の影響をもたらしたことを認識するという趣旨の 一文を加えるべき。 日本の経済成長の経験が他国の成長に適合するかは疑問。 性,意思及び固有性を尊重しつつ,現場主義にのっとり,対話と協 働により相手国に合ったものを共に創り上げていく日本のODA の伝統的手法を,引き続き重視していきたいと考えており,本大綱 でもその旨明記しています。 5 ODAが開発に資する様々な活動の中核として中心的役割を果た 民間資金が開発途上国へ流れる資金の多くを占める現在において すべきとの記述に反対。 ODAを国際協力の触媒として定義したことを評価。(同旨複数) も,開発協力が開発途上国の開発に果たす役割は引き続き重要なも のと考えています。 【1.理念 (2)基本方針】 (非軍事的協力による平和と繁栄への貢献) ODA60年を踏まえ,平和国家として,平和を目指すという姿勢 が現れていない。日本国憲法が謳う「戦争放棄」の精神を尊重・堅 持すべき。 「原則を遵守した上で,」では抜け道があるかのような印象がある 非軍事的協力によって,世界の平和と繁栄に貢献してきた我が国の 開発協力は,戦後一貫して平和国家としての道を歩んできた我が国 に最もふさわしい国際貢献の一つであり,国際社会の平和と繁栄を 誠実に希求する我が国の在り方を体現するものとして国際社会の 高い評価を得てきたと考えています。本大綱においても,開発協力 ため,非軍事的協力を貫くべく,「原則を厳守し,」とすべき。 非軍事的協力を基本方針とした点は,平和国家としての戦後70年 の日本の歴史を尊重する考え方であり,評価。実施においてもこの 考え方を十分に実現することを求める。(同旨複数) 軍事的用途であっても,それが国際的な平和に貢献するために特に 必要なものであれば,これに対する協力は,我が国の平和国家とし ての立場に反するものではなく,場合によっては,これが国際法上 の実施に当たり,非軍事的協力による平和と繁栄への貢献の方針を 堅持するとともに,開発協力の軍事的用途及び国際紛争助長への使 用を回避するとの原則を遵守する考えです。 の義務であるとも言える。よって,軍事的用途に使用されるもので あっても,国際的な平和に貢献するために特に必要であると認めら れる場合は,開発協力を行うことができることとするべきであり, 軍事的用途への使用を回避するとの原則を遵守するとの規定に反 対。 (人間の安全保障の推進) 人間の安全保障重視を明記した点を高く評価。(同旨複数) 脆弱な立場に置かれやすい人々に焦点を当てること,女性の権利を 本大綱においても,開発協力の基本方針の一つとして,「人間の安 全保障の推進」を明記しています。今後とも,先住民族を含め,脆 弱な立場に置かれやすい様々な人々に焦点を当て,その保護と能力 含む基本的人権の促進に積極的に貢献すること等を明記した点を 高く評価。(同旨複数) 性的少数派や先住民も対象として入れるべき。(同旨複数) 保護と能力強化の対象とするだけでなく,包摂されていない要因, 強化を通じて,人間の安全保障の実現に向けた開発協力を行ってい く考えを示したものです。なお,国家安全保障戦略においても「人 間の安全保障」の実現をとるべき戦略的アプローチの一つとして挙 げています。 6 すなわち権利の回復に言及し,権利に基づくアプローチの推進の姿 勢を示すべき。 「人間の安全保障」という用語は人口に膾炙していないので,使う べきでない。 国家安全保障戦略が優先されて,人間の安全保障が後退しているの ではないか。 子ども,障害者,難民等の権利についても明記すべき。その他基本 的人権の内容につき詳述すべき。(同旨複数) (自助努力支援と日本の経験と知見を踏まえた対話・協働による自立 本大綱に明記されているとおり,開発協力の実施に当たっては,引 的発展に向けた協力) 現大綱の「開発途上国の自主性を尊重し,その開発戦略を重視する」 という文言が削除されているが,開発の主体はあくまでも被援助国 にあり,援助国はそのために協調して援助を提供するという国際援 助協調の枠組みを尊重する立場から,上記の文言を復活させるべ き。(同旨複数) あくまで途上国のオーナーシップを大切にし,途上国の自立的発展 き続き,開発途上国自身の自発性(オーナーシップ)と自助努力を 重視し,当該国の自立的発展に向けた協力を行っていく方針です。 その際には,人づくりや経済社会インフラ整備,法・制度構築等, 自助努力や自立的発展の基礎の構築を重視する考えです。また,相 手国との対話・協働においては,相手国の開発政策や開発計画,制 度を尊重し,それらを十分踏まえた上での提案を行っていくことを 明記しています。 を目指す点を明確にすべき。(同旨複数) 相手国のニーズを踏まえつつ,我が国からの提案を行う姿勢を示し ており,相手国の開発への積極的な貢献と,より主体性・戦略性あ る開発協力の展開につながるものとして高く評価。(同旨複数) 日本から積極的な提案を行う姿勢であるならば,それに対する相手 国による評価を行うシステムが必要。 相手国の現状をよく調べ,ニーズを把握し,きめ細かな援助をする ことが大切。 援助に頼りきりにならないようなやり方も考慮し,後年まで役立つ ような技術や設備を伝えることも必要。人材育成の重要性を強調す べき。 格差是正も日本の知見として盛り込むべき。 7 震災の教訓や経験の活用は重要。 原発事故の経験の活用は重要。システムも含め,日本の経験,知見, 教訓を活かした原発の安全のための支援を行うべき。他方,安全が 確実に担保されない中で原発周辺施設の整備にODAが使われる ことがないよう注意が必要。 本項目を人間の安全保障の推進より前に移動させるべき。 【2.重点政策 原子力発電所の完成品又はその部品等(原子力発電所の区域外に所 在する品目等を除く。)の輸出に関しては,「OECD公的輸出信 用アレンジメント」上で「援助による支援をしてはならない」とさ れており,原子力分野での開発協力については,このような国際的 ルールを踏まえた上で,我が国の経験,技術を活かした協力を行っ ていく考えです。 (1)重点課題】 ODA予算が限られている中で,日本の比較優位がある分野等に支 本大綱において,開発協力の実施に当たっては,支援対象となる国 援重点分野を絞り込むべき。 福祉と教育に力を注ぐべき。 や課題の我が国にとっての戦略的重要性を十分踏まえ,必要な重点 化を図りつつ,我が国の外交政策に基づいた戦略的かつ効果的な開 発協力方針の策定・目標設定を行うこととしています。教育や福祉 についても重点課題に含まれます。 (「質の高い成長」とそれを通じた貧困撲滅) 貧困解消のためのアプローチとして,現大綱では貧困層を対象とし た直接的な社会開発支援に優先順位が与えられているが,新大綱で 貧困削減はもっとも基本的な開発課題であると考えています。本大 綱では,この貧困削減を実現するため,単なる経済成長ではなく, 包摂性,持続可能性,強靱性を兼ね備えた「質の高い成長」を目指 は,経済成長を通じた貧困解消により高い優先順位が与えられてい る。人間開発・社会開発支援に対しても少なくとも経済成長のため の支援と同等の優先順位を置くべき。(同旨複数) ODAは民間資金の手が届かないところに行くべきであり,それは 貧困層への支援と富の再分配のための支援。「質の高い成長とそれ を通じた貧困撲滅」となっているが,成長よりも教育,保健医療サ ービスの改善等の貧困撲滅のための支援を上位に持ってくるべき。 (同旨複数) すこととしています。したがって,このための取組には,社会開発, 人間開発を始めとする人間中心の開発の推進が重要な柱の一つと して含まれます。御指摘を踏まえ,この点が明確となるように,最 終版では記述を修正しました。 なかなか発展の端緒をつかめない脆弱な状況にある国,人々に対し ては,人道的観点からの支援,脆弱性からの脱却を実現するための 支援を行うことも重要と考えており,本大綱にはその旨を明記して います。御指摘を踏まえ,この点が明確となるように,最終版では 新興国及び経済成長に焦点が当てられているが,最貧国の貧困問題 への直接的な取り組みの必要性についても言及すべき。脆弱な状況 に置かれた人々の立場を踏まえ,最も貧困で,脆弱な環境に置かれ た人々が,持続的な自立を実現することを目指した開発協力を行う 記述を修正しました。 8 べき。(同旨複数) 持続的な貧困削減に向けた経済成長の重要性を謳っている点を評 価。(同旨複数) 「質の高い成長」という言葉は内容があいまいで実証的裏付けがな い。(同旨複数) 格差をなくし,経済成長を貧困撲滅につなげるためには,労働者の 権利保障,所得再分配,徴税,公共投資,社会保障制度,社会福祉 等が必要であり,そのためのガバナンス能力強化支援を行うべき。 (同旨複数) 格差の是正を始め,公正で包摂的な社会を実現するためには,社会 保障制度や権利保護のための法制度整備,徴税システムの整備等が 必要であり,そのためには政府のガバナンス能力強化が必要である と考えており,本大綱では,その旨「普遍的価値の共有,平和で安 「質の高い成長」という表現で,経済成長について一定の留保をつ けていることは歓迎するが,地域循環等の視点が完全に抜け落ち, これまで通りの経済成長を重視する傾向が強すぎる。 環境の劣化は人々の貧困に直結するため,自然環境や生態系,生物 多様性が担保されるべき。持続可能性の説明として,「将来の世代 のニーズを満たす能力を損なうことなく,今日の世代のニーズを満 たすような開発」とするべき。(同旨複数) 全な社会の実現」の中に明記しています。 質の高い成長は人間中心の開発と互恵関係にある考え方であると, 明確に述べるべき。 特に保健医療,農業分野での協力を重視すべき。 食糧問題だけでなく,飢餓,栄養問題につき,然るべく言及すべき。 資源・エネルギー分野についても追記すべき。 相手国のビジネス環境整備について明記すべき。 バリューチェーンの構築は何を指すのか不明。 産業育成の細目に関わる記述は細かすぎる。 文化・スポーツを含めることに反対。 産業基盤としての金融システムの整備,安心安全な交通システムを 重点課題として位置づけるべき。 保健医療,農業分野での支援,栄養,資源・エネルギーへのアクセ ス確保,ビジネス環境整備等については,いずれも重要な課題と考 えており,本大綱の重点課題の中に明確に位置づけています。引き 続き,しっかりと取り組んでいく考えです。 フードバリューチェーンの構築とは,農林水産物の付加価値を生産 から加工,流通,消費に至るまで連携させる体制づくりのことです。 これにより,フードバリューチェーン全体でより大きな付加価値を 生み出し,フードバリューチェーンの各段階を構成する生産者,製 造業者,流通業者,消費者により大きな便益をもたらすようにして いくことを目的としています。 9 (普遍的価値の共有,平和で安全な社会の実現) 法の支配の確立,グッドガバナンスの実現といった「普遍的価値の 「平和で安全な社会の実現」は経済活動の基盤であり,それが重点 課題となったことを歓迎。 軍事転用の懸念があるため,「海洋・宇宙空間・サイバー空間とい った国際公共財に関わる開発途上国の能力強化等,必要な支援を行 う。」との記述を削除すべき。(同旨複数) 「地雷・不発弾除去や小型武器回収」「紛争の終結促進のための支 援」は軍事支援に結びつく危険性があるので削除すべき。(同旨複 数) 共有」や「平和で安定し,安全な社会の実現」は,発展の前提とな る基盤であるとの考えから,本大綱では,法制度整備支援や民主化 支援,治安改善のための支援等を始め,「普遍的価値の共有,平和 で安全な社会の実現」を重点課題の一つとしたものです。これらの 協力の実施に際しても,「軍事的用途及び国際紛争助長への使用の 回避」原則や「民主化の定着,法の支配及び基本的人権の保障にか かる状況」についての原則等を遵守します。その観点から,軍事目 的の活動への転用の可能性や人権侵害につながるリスク等も含め, 特定の国の「海上保安能力強化」が,周辺各国との微妙な地域バラ ンスを崩し,地域の緊張を高める恐れや,「治安維持能力強化」の ための「非軍事」名目での軍や警察への支援が,場合によって政治 的な弾圧や人権侵害につながる恐れがある。こうしたリスクを回避 するための基本方針,モニタリングの必要性等も明記すべき。(同 旨複数) 日本は紛争後の支援に徹するべき。 個別具体的にしっかりと検討を行った上で,実施の是非を判断して いくこととしています。 例えば,ここで「紛争の終結促進のための支援」として想定してい るのは,フィリピン・ミンダナオ島で行ったように,民生分野の支 援を行うことにより,人々の生活を向上させ,平和の配当を実感さ せるというような支援です。 貧困や格差,若者の失業等の紛争や不安定の様々な要因への対処は 貧困や格差等は,紛争や不安定の原因となる。特に若年層の貧困が 不安定の原因となる現実があるので,青年や若者の社会参画支援を 行ってほしい。 メディア支援や民主化支援とともに,「行政機関・市民に対する基 本的人権の啓発」も含めるべき。 重要と考えており,御指摘を踏まえ,この点が明確となるように, 最終版では記述を修正しました。 (地球規模課題への取組を通じた持続可能で強靱な国際社会の構築) ポスト2015年開発アジェンダとの関係を踏まえるべき。特に, 持続可能な開発目標(SDGs)の内容を反映してほしい。(同旨 ポスト2015年開発アジェンダ策定に向けた議論においては,包 摂性,持続可能性,強靱性といった要素が重視されており,そのこ とは,本大綱にも十分反映しました。また,本大綱の3つの「重点 複数) 「環境・気候変動」との記述全てにつき,「環境・気候変動・生物 多様性」とすべき。 将来の食糧不足等を考えると人口抑制を行うべきだが,労働力を必 課題」は,いずれもポスト2015年開発アジェンダに向けて議論 されている重要な課題と認識しています。本大綱の下での開発協力 の実施に当たっては,ポスト2015年開発アジェンダといった国 際開発目標とそれをめぐる議論を十分に踏まえていく考えです。 10 要とするとの事情もある。よって,一定の人口抑制数値目標を定め, 生物多様性の保全は,地球環境問題の一環として位置づけられてお 達成した場合には,ODAで足りない労働力を補う生産機械を与え るという形を取ってはどうか。 この項目にも,万人のための質の高い教育を追加すべき。 「強靱な」という言葉は,コンクリート重視の開発のイメージや軍 事的強靱さともつながるので反対。 り,「環境」に含まれます。生物多様性や人口問題への対応につい ては,持続可能で強靱な国際社会を構築する上で重要な課題と考え ており,引き続き,積極的に協力を行っていく考えです。 【2.重点政策 (2)地域別重点方針】 非常に限られたODA資金をODA卒業国に使うべきではなく,ス コープの拡大に反対。ODA資金は,貧困国における教育や保健等 一人当たり国民所得だけを見れば,OECD/DACのODA受取 国リストから外れる場合でも,小島嶼国のように特有の脆弱性を抱 の貧困削減のために用いるべき。(同旨複数) ODAの供与基準を弾力化することは,開発ニーズの実態に即して おり,評価。(同旨複数) ODAの終了基準についても明記すべき。 地域的・広域的アプローチの推進への言及は画期的であり,評価。 地域別の援助内容の具体的な違いを明示すべき。 地域別重点方針ではなく,国別重点方針とすべき。 える国々を始め,単純に所得水準のみでは計ることのできない開発 課題を抱えている国々があります。このような国々に対しては,各 国の開発ニーズの実態や負担能力に応じて,我が国として必要と考 える協力を行っていく考えです。 アジア地域は,我が国にとってもっとも重要な地域であり,より戦 略的,効果的,機動的な実施を行うべき。 ASEAN以外の東アジアについても考え方を示すべき。 アジア地域,特にASEAN地域についての記述が他に比べて多す ぎる。 アジア地域については,過去の植民地支配や侵略の歴史を踏まえた 援助を行うという認識を明記すべき。 アジア地域には,「防災の主流化に向けた支援強化」を追記すべき。 策定を行ってきましたが,本大綱の下でも,大綱の下に位置づけら れる政策文書として引き続き国別の方針を策定していきます。 メコン地域は権益と国益がぶつかりあう地域であり,当該地域に関 する特記をすべきではない。 南アジア地域の部分につき,「アジア域内を含めた連結性の強化」 を追記すべき。 るアジア地域については,そのことを踏まえた協力を行うことが必 要と考えています。御指摘を踏まえ,最終版では「防災の主流化に 向けた支援強化」に関する記述につき記述を修正しました。 11 国別の方針については,従来のODA大綱の下でも国別援助方針の 日本と緊密な関係を有し,日本の安全と繁栄にとり重要な地域であ アフリカでは,エボラ出血熱の感染拡大にみられるように,脆弱性 アフリカについては,平和と安定の確立及び深刻な開発課題の解決 の高い地域があり,貧困や格差が大きく存在し,それが紛争に直結 している。「人間の安全保障」を基盤とした,貧困の解消,教育, 保健といった不可欠の社会サービスの支援が必要であることを明 記すべき。(同旨複数) アフリカは新興国の援助が集中して行われており,無用な摩擦や紛 争を生むのを避けるため,アフリカの成長に対する支援につき特記 すべきではない。 国際政治の歪みが集中しているのが中東地域であり,我が国の強み が引き続き重要な課題であると認識しており,引き続き人間の安全 保障の視点も踏まえ,必要な支援を行っていく考えです。御指摘を 踏まえ,この点が明確となるように,最終版では記述を修正しまし た。 を生かして,中東の平和と安定化に貢献するとの姿勢をもっと強く 出すべき。(同旨複数) 中東地域等,何十年も前から頻繁に戦闘行為が行われている地域に 関しては,今回の大綱からは除外すべき。 日系社会との強い絆に留意する立場から,困難を抱えている日本国 内の日系社会へも何らかの支援を検討すべき。 小島嶼国への支援につき,環境問題への支援だけでなく,船舶とそ 地域であると認識しており,同地域の平和と安定に積極的に貢献 し,我が国と中東地域諸国の共生・共栄に向け支援を行っていく考 えです。 の操縦技術の支援もしてはどうか。 支援を行っていく考えです。 【3.実施 中東地域については,日本のみならず国際社会全体にとって重要な 小島嶼国については,特有の脆弱性も勘案し,開発ニーズに即した (1)実施上の原則】 (戦略性の強化) 「戦略性」という用語が意味不明のまま多用されている。 「外交政策に基づいた開発協力の方針の策定・目標設定を行う」と すると,国家安全保障に資するのであれば,途上国が望まずとも外 交的必要性から開発協力を実施するとの誤解を与えるので,記述を 変更すべき。(同旨複数) 「戦略性」とは,我が国の開発協力の実施に当たり,支援対象とな る国や課題の我が国にとっての戦略的重要性を十分踏まえ,我が国 の外交政策に基づいた開発協力方針の策定・目標設定を行うことを 意味しています。一般的に,相手国が望まない開発協力を実施する ことは外交的効果が得られないものとなると考えられることから, そのような開発協力を押しつけるのではなく,開発途上国との対話 「開発効果の最大化」「結集」という言葉は不適当。 と協働を重視することとしていますが,御指摘を踏まえ,この点が 明確となるように,最終版では記述を修正しました。 本大綱においては,技術協力,有償資金協力,無償資金協力を有機 的に組み合わせる旨明記しています。 有償・無償・技協の3事業の一体性確保につき述べるべき。 12 現段階でのODA評価体制との明確な違いが不明確。今後のODA 開発協力の評価については,従来よりPDCAサイクルの一環とし 評価体制はどうなるのか。 JICAを含めて評価部門の体制強化を図るべき。日本と相手国の 双方の専門家チームによる客観的な評価を実施すべき。 分野別・地域別の政策に関し,巻き込むべきアクターや具体的な数 値目標を大綱に示すべき。 外交的観点からの評価は数年で定まるものではなく,歴史的に判断 されるものであり,通常の業務評価の対象になじまない。 PDCAサイクルの「A」について記述がない。 て重視してきたところですが,本大綱の下においても,協力の効果 ・効率性の向上に加え,国民への説明責任を果たす観点からも評価 を引き続き重視し,また,評価結果を政策決定過程や事業実施に適 切にフィードバックしていく旨明記しています。 (日本の持つ強みを活かした協力) 「日本のソフトパワーの活用」につき,対象が高等教育を受けた人 に狭まる恐れがあるため削除すべき。 日本の強みとして「自然との共生」を掲げるべき。 日本のソフトパワーについては,日本らしい開発協力を実施してい く上で活用すべきものと考えており,本大綱においてもその旨を明 記しています。そのような日本らしさは幅広いものであり,高等教 育を受けた人のみが対象となるとは考えていません。 (国際的議論への積極的参加) 「多国間の開発協力への積極的参画」と改め,そのような内容に改 定すべき。(同旨複数) 我が国として多国間の開発協力に積極的に参画するに当たっては, 資金面での協力にとどまるのではなく,その理念・潮流の形成にも 積極的に参加・貢献していくことが重要と考えており,本大綱にお いてもそのような考え方を明らかにしています。 (軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避) 本大綱でも,従来同様,「軍事的用途及び国際紛争助長への使用の 平和憲法に反する可能性のあることはすべきではなく,ODAは平 回避」の原則を定めています。相手国の軍又は軍籍を有する者が関 和目的に限るべき。ODAによる軍事協力をすべきではなく,非軍 係するか否かにかかわらず,我が国開発協力が軍事的用途に使用さ 事の原則を変えるべきではない。(同旨複数) れることは,同原則に反するものと考えており,認める考えはあり 民生目的であっても結果的に軍事能力の向上につながることもあ ません。 る。また,「非軍事」であっても,外国軍への支援を一度認めれば, ・ 同原則の運用に当たっては,従来の大綱の下でも,①趣旨・目的, 「非軍事」と「軍事」の解釈次第で日本が他国の軍事介入に加担し ②協力対象主体,③協力内容・効果を慎重に検討した上で,相手国 てしまうことにもなりかねない。よって,ODAによって他国の軍 の開発需要,ガバナンスを含む経済社会状況,二国間関係等を踏ま を決して援助すべきではない。事実上の軍事援助に道を開くもので え,個別具体的に総合的な判断を行ってきました。 ある。(同旨複数) ・ 従来の大綱の下でも,民生目的,災害救助等,非軍事目的の活動で 「回避」では抜け道があるかのような印象があるので,「禁止」と あれば,軍・軍人に対する協力であっても,「軍事的用途及び国際 13 すべき。 紛争助長への使用の回避」の原則に一概に抵触すると考えてきたわ 「個別具体的に検討する。」では抜け道があるかのような印象があ るので,「軍事的用途及び国際紛争助長への使用の禁止の観点から 個別具体的に検討する。」とすべき。 「個別具体的な検討」は誰がどのように行うのか不明であり,軍事 転用を懸念。明確な実施規則,ガイドライン等を策定すべき。(同 旨複数) 「民生目的・非軍事目的」にとどまっているか継続的な評価,検証 が必要だが,実際には,軍は機密性の高い組織であり,そこに提供 けではなく,同原則に抵触しないと考えられる場合には,軍の下に ある機関に対する協力や軍籍を有する者の研修への参加等を認めて きています。本大綱において,この点を明記することとしたことの 背景には,感染症対策や紛争後の復旧・復興,災害救助等で軍が重 要な役割を果たす場面が増加している現状があります。こうした状 況も踏まえ,軍の下にある機関や軍籍を有する者が関わる案件に対 する我が国としての協力については,当該機関や当該者が行う活動 が非軍事目的のものである場合に,その実質的意義に着目して個別 された援助がどのように運用されるかを把握することは困難。よっ て,軍事転用の懸念があるので反対。(同旨複数) モニタリングのシステム等,軍又は軍籍を有する者に対する援助が 「民生目的・非軍事目的」にとどまることを評価・検証するための 具体的な仕組みについても言及すべき。(同旨複数) 「災害援助に限り」等,限定した記述とすべき。 現大綱にある軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避等のO 具体的に検討することが適当との考えによるものです。 DA4原則を堅持している点を評価。(同旨複数) 軍又は軍事関係者が関係する場合であっても人道支援や民生目的 から必要な場合,実質的意義に基づき個別に検討するという方針を 示したことを評価。(同旨複数) 軍事目的と民生目的の両方がある場合にはどうするのか。空港,港 湾等のインフラプロジェクトは積極的に行うべきであり,「軍事目 的が主たる用途である場合」につき開発協力の使用を禁じるとすべ き。 原則であるのに,総合的判断によるとしているのはおかしい。然る ・ 我が国の協力対象となる相手方を取り巻く事情は極めて多様なも べく制限を課すため,法律を作るべき。 のがあります。開発協力の適正性確保のためには,そうした様々な どのような目的であれ,軍隊に援助を行うという決定は,敗戦を経 事情を考慮に入れて,大綱に明記した原則に則って,まさに総合的 た日本の長い歴史の方針を大きく変えるものであり,そのような変 判断を行うことが適当と考えます。 更は,時間をかけた幅広い国民の議論の中で決定されるべき。この 14 ような決定のプロセスに反対。 巡視艇の供与は国際紛争助長につながるのではないか。 ODAを使って軍人を大学に留学させるというようなことは行う べきではない。 海上保安能力の強化を含む法執行機関の能力強化は,経済社会発展 の阻害要因となる安定・安全への脅威への対応という観点から,我 が国開発協力の重点課題の一つである「普遍的価値の共有,平和で 安全な社会の実現」のために必要な支援と考えています。いずれに せよ,「国際紛争助長への使用」を回避するとの原則を踏まえて実 施が検討されることになります。 (軍事支出,大量破壊兵器・ミサイルの開発製造,武器の輸出入等の 状況) 本大綱にも明記されているとおり,開発途上国はその国内資源を自 国の経済社会開発のために適正かつ優先的に配分すべきと考えて 被援助国の軍拡事情その他に合わせて,軍事転用が懸念される場合 は援助するべきではない。 おり,我が国開発協力の実施に当たっては,相手国の軍事支出,大 量破壊兵器・ミサイルの開発・製造,武器の輸出入等の動向に十分 注意を払うこととしています。 (開発に伴う環境・気候変動への影響) 持続可能な開発,環境に配慮した開発という姿勢を明記すべき。 大綱の下で作成される規則や実施規則等により,その定義,基準, 手続等を明確にすべき。また,環境社会配慮の国際標準化が求めら 本大綱においても,「実施上の原則」の一つとして,環境と開発を 両立させ,持続可能な開発を実現するため,開発に伴う様々な環境 への影響や気候変動対策に十分注意を払い,環境に十分配慮した開 発協力を行う旨明記しています。 れる。 成長が地球規模の環境破壊の原因。開発による環境への負荷が見過 ごされがちであり,新興ドナーの増加により,その傾向は一層強ま っている。また,途上国の爆発的人口増加は,地球全体の持続可能 性の観点から大きな課題。自由経済では,これらの問題は解決せず, 「計画生産・国際分業制」を実現し,「真のグリーン経済」を世界 で確立する必要がある。 現地での環境破壊や住民の生活基盤を脅かす事例が後を絶たない。 大規模公共事業ではなく,現地のソフトパワーを活かすような支援 を中心にすべき。特に,気候変動が待ったなしの状態にある中,石 炭火力発電所建設や,再生可能エネルギー普及を阻害する原子力発 電所の輸出等は絶対にすべきではない。 15 例えば,JICAの「環境社会配慮ガイドライン」においては,環 境・気候変動や現地社会への影響に懸念がある場合には,相手国に 対し,適切な対応を取るよう働きかけ,気候変動を含む自然環境へ の影響又は非自発的な住民移転等の現地社会面への負の影響を回 避・最小化するための相手国による環境社会配慮の実施を適切に支 援・確認することとしています。 自然生態系の維持・回復が必要。 開発事業による環境影響を回避,最小化するだけでなく,実質ゼロ にすることを目指すべき。 開発行為そのものを持続可能なものとそうでないものに区別し,持 続可能でない開発は止めるという政策変更を行うべき。 (公平性の確保・社会的弱者への配慮) 現大綱よりも女性に関する記述が後退している。これまでの積み重 ねや現政権の方針も踏まえ,男女共同参画,開発のあらゆる場面に おける女性の視点と参画の確保,(弱者としてではなく,開発の主 開発協力の実施に当たっては,男女共同参画,開発のあらゆる場面 における女性の視点と参画の確保,開発の主体としての女性の活躍 支援等は重要と考えています。「ジェンダーと開発(GAD)イニ シアティブ」においても,ジェンダー主流化と男女の平等な参画, 体として女性を捉えた上での)女性の活躍支援等を明記すべき。 (同 旨複数) ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは,1つの項目・課題と して規定すべき。 ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに向けた取組等を重視 しており,本大綱の下においても,この方針は引き続き維持・強化 していく考えですが,御指摘を踏まえ,この点が明確となるように, 最終版では記述を修正しました。特に,「女性の参画の促進」につ いては,御指摘を踏まえて「実施上の原則」の一つに掲げることに しました。 開発協力の実施に際し,協力対象地域の住民・先住民族等に配慮し, 「地域住民」や「先住民」につき追記すべき。原住民の生活を脅か さないという配慮が必要と明記すべき。 開発事業における住民移転等への対応が不明確。 世界銀行等で規定,実施されてきた国際的な各種ガイドラインの規 範を反映させるべき。 プロジェクトで問題が発生した際,その対処のために,独立第三者 機関をおくべき。 開発途上国の市民社会に意見表明や参加の機会を保障すべき。 防災や災害対策への配慮を一項目とすべき。 社会面での影響に十分注意を払うことが重要と考えており,引き続 きJICAの「環境社会配慮ガイドライン」等を踏まえ,適切な対 応を行っていく考えです。御指摘を踏まえ,この点が明確となるよ うに,最終版では記述を修正しました。 (不正腐敗の防止) 過去に指摘されてきたODAに関する不正腐敗への明確な対応が 伝わってこない。 不正腐敗の防止への言及につき高く評価。 「不正腐敗の防止」については,これまでの大綱においても,「効 果的実施のために必要な事項」の一つとして重視してきましたが, 本大綱においては,開発協力の実施に当たり常に踏まえるべき重要 な事項として,「実施上の原則」の一つに定めることにしました。 16 不正腐敗の防止は,相手国のガバナンスによるところが多いため, 引き続き,受注企業の法令遵守体制構築に資する様々な措置を講じ 相手国の実施体制や慣習を含めたコンプライアンス重視へ積極的 に関与し,日本企業を守るシステムと組織体制の確立を行うべき。 るとともに,相手国におけるガバナンス強化のための協力も行い, 不正腐敗を防止するための環境を共に醸成していく考えです。 【3.実施 (2)実施体制】 (政府・実施期間の実施体制整備) JICAの国内拠点は,地方でのJICAの活動を支える重要な存 在であり,「役割に留意する」程度ではなく,予算や人員等の体制 確立の担保や方向性につきはっきり記載すべき。 開発協力は競争原理で動いているものではないので,「我が国開発 JICAの国内拠点は,地方でのJICAの活動を支えるととも に,地域の人々との交流や地方自治体や中小企業等様々な連携の核 となる重要な場と考えており,厳しい財政事情も踏まえつつ,引き 続き体制整備に努力していく考えです。 協力の競争力を高める」という表現は不適当。 (連携の強化) 【官民連携,自治体連携】 官民連携の推進は,民間資金の重要性が高まる開発協力の国際的な 流れに則したものであり,評価。(同旨複数) 企業活動を開発課題の解決につなげるには多くの課題があり,安易 な連携の推進は開発効果を損なう恐れがある。 官民連携推進の目的は,開発途上国への民間資金の流入が公的資金 を大きく凌ぎ,開発途上国の経済成長の大きな原動力となっている 現状を踏まえ,我が国の民間部門や地方自治体の持つ資源を開発途 上国の民間部門をはじめとする経済全体の発展に役立てることで す。その際,開発協力を通じ,民間企業の開発途上国への投資を相 手国の「質の高い成長」につなげていくことが重要と考えています。 官民連携推進のため,民間から広く意見を聞く機会を増やすべき。 企業との連携について,その目的や範囲を含む「定義」を明確にし てほしい。(企業の進出支援はODAというよりも,経産省に任せ るべき部分ではないか)。 開発協力の実施において,官民いずれも,国際的に承認された企業 の社会的責任の順守や人権基準の尊重を行うことを盛り込むべき。 民間企業の倫理を審査する手段も必要。(同旨複数) 公的資金よりも多額の民間資金が投入されている中で,公的支援に そのため,各種施策を通じた官民連携により,包摂性,強靱性,持 続可能性,能力構築等を重視する民間投資を推進していく考えで す。 本大綱は,法律ではなく,政府の作成する政策文書であることから, 民間の資金や活動を規定することは適当ではないと考えています が,上記のとおり,民間資金を適切な方向に導くという観点から開 発協力がより積極的な役割を果たすべきであると考えています。 官民連携案件を含め,政府及び政府関係機関が開発協力を実施する 求める環境・社会,人権に対する配慮を,民間に対しても求めるよ うにすべき。 ODAは「触媒」とされているが,民間資金を適切な方向に導くと いう観点から,もっと積極的な役割を担う責任ある存在として位置 に当たっては,本大綱が定める各原則やJICAの「環境社会配慮 ガイドライン」等の関連規定が適用されることとなります。 17 づけるべき。 民間部門や地方自治体の資源を「取り込む」という表現は改めるべ き。 我が国の地方部と途上国とが手と手を取り合って,相互学習しなが ら共に共創していくプロセスこそが開発協力の意義。そのような地 方活性化こそが国益であり,地方部の自治体こそが途上国への汎用 性が高い。地方自治体との連携につき,上下水道,農業水利組合等 の地方自治体が有しているノウハウの活用等,その意義も含め記述 を充実させるべき。(同旨複数) 開発途上国において,地方分権化や都市化が進む中,我が国の地方 自治体が有するノウハウの活用に対する期待が高まっており,これ に応えていきたいと考えています。御指摘を踏まえ,この点がより 明確になるよう,記述を修正しました。 途上国の大学との連携も重要。 日本の市民社会・NGOも連携の対象とすべき。 市民社会・NGOとの連携については,「市民社会との連携」の項 目に詳述していることから,ここでは繰り返していません。 【緊急人道支援,国際平和協力における連携】 軍事転用の懸念があるため,国際連合平和維持活動(PKO)等と の連携推進についての記述を削除すべき。 PKOとの連携につき,本来PKO予算で賄われるべきものにOD PKOは,紛争後の復興・復旧等,民生目的の活動においても重要 な役割を果たしています。PKOとODAとの連携については,例 えば,ハイチ大地震の際,PKOで展開していた我が国自衛隊部隊 A予算が配分されるのではないか。PKOとODAとの区別につ き,明確な説明が必要。 「緊急人道支援,国際平和における連携の災害時における救援等 の,緊急人道支援の効果的実施のため,国際機関や,この分野の知 見を有する様々な主体との連携を強化する。また,国際平和協力に おいても,その効果を最大化するため,PKO等の国際平和協力活 動との,非軍事面での連携推進に,引き続き取り組む」と修文すべ き。(同旨複数) が療養所の瓦礫の撤去を行い,その後,ODAにより同療養所の給 水設備の整備を行ったり,また,南スーダンにおいて,我が国自衛 隊部隊がコミュニティのための生活道路及び排水のための側溝を 整備する際,ODAによって調達された資材を使用したりする等, これまでも「軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避」原則を 遵守しつつ,進めてきたところです。相互補完関係にある両者のこ のような連携の形は,今後ますます重要になってくると認識してい ます。 自衛隊との関係につき,明記すべき。 開発協力とPKOとの連携推進は当然重要であるが,同時に当該国 の平和と国造りにとって必要なものを考え,そのための協力を行え るよう,日本国内での体制整備を進めるべき。 戦災や自然災害からの復旧と復興の際,ドナー間の連携やシームレ 「軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避」の原則は,開発協 力とPKO等との連携に際しても遵守されます。したがって,PK O等との連携案件を実施する際にも,軍事目的の活動への転用の可 能性も含め,開発協力が軍事的用途に使用されることがないよう個 別具体的にしっかりと検討を行うことになります。 18 スな支援のための自衛隊・民間企業等との連携を進めてはどうか。 【国際機関,地域機関等との連携】 国際機関及び国際社会における我が国の発言力・プレゼンスの強化 を図る旨明記していることを高く評価。 国際機関を通じた開発協力の評価についての記述を強化すべき。 国際機関につき,代表的な機関を例示列挙すべき。 国際機関を通じた開発協力については,日本の顔が見えにくい,そ の効果や評価が国民から見えにくいという指摘があることも踏ま え,引き続き,しっかりとその効果につき評価を行うとともに,そ の結果をわかりやすく説明するよう努めていく考えです。 【他ドナー・新興国との連携】 当事国のオーナーシップと援助国・機関のパートナーシップに基づ き,当事国の自立的発展のために最大限協調して開発効果を発揮す るとのパリ宣言以降積み重ねられてきた開発効果に関わる諸原則 を反映すべき。(同旨複数) 三角協力については,必ずしも高い評価を得ていないものも存在す るので,削除すべき。 本大綱においては,「開発効果向上等の国際的議論も踏まえつつ, 効果的・効率的な開発協力推進に努める」と明記し,こうした国際 的議論を踏まえて開発協力を実施していく考えを明示しています。 また,他ドナーとの連携の重要性については,御指摘を踏まえ,こ の点が明確となるように,最終版では記述を修正しました。 【市民社会との連携】 NGO/CSOとの連携の強化,そのための外務省・JICAの体 制整備が明記されたことを高く評価。 NGO/CSOとの連携を戦略的に強化することは,NGO/CS Oの独自性・多様性を損なう可能性があり反対。(同旨複数) 外務省・JICAが行う社会開発分野の人材育成,体制整備は,N GO/CSOにおけるものであるべき。 NGOを通じたODA実施率をDAC加盟諸国並みにすべき。 NGO等との連携については,①NGOの開発途上国における開発 協力活動に対する資金面での支援,②NGOの能力向上に資する支 援,③NGOとの対話,の3本の柱に加えて④NGOとの協働を新 たな基軸として,引き続き連携を維持・強化していく考えです。N GO/CSOの独自性,多様性を尊重しつつ,政府(JICA)と 共にODAを共に実施する対等のパートナーとしての役割を重視 していく考えです。 多種雑多なNGOが存在する中,安易なNGO活用に注意が必要。 組織や財務,活動,経歴等,説明責任がしっかり果たせるNGOを 見定めるべき。 市民・国民参加につき,記述を充実させるべき。(同旨複数) JICAボランティアのしっかりとした評価と今後の方向性を明 19 開発協力への国民参加の推進及びその観点から十分な情報を提供 し,また,提案をいただくことは引き続き重要と考えており,御指 摘を踏まえ,この点が明確となるように,最終版では記述を修正し ました。 確に示すべき。 青年海外協力隊OBが現在も震災復興に関与しており,国際協力に 携わった経験が復興にも役立つ。 草の根レベルでの協力として内外から高い評価を得てきたJIC Aボランティアは,相手国の社会・経済の発展への寄与はもちろん, 相手国との友好親善・相互理解の深化や国際人材育成の観点からも 重要な役割を担っていると考えています。 (実施基盤の強化) 国民参加,情報公開,開発教育を重視する姿勢が後退している。市 民の率直な印象を尊重していくべき。(同旨複数) 国民の理解促進のため,説明責任を果たすべく,一層努力すべき。 開発教育は,地球的諸課題や開発協力に関心を持ち,「開発課題の 根本的な解決」に向けた様々な取り組みを批判的かつ多面的に議論 し,身近な開発協力に積極的に参加する姿勢を育むことを目指して いる。国際協力に関心のある若者の興味を更に引き出し,世界に有 益な人材として送り出すためにも,「開発教育」の強化が必要。広 報と併記するのではなく,別項目とすべき。(同旨複数) 開発協力に関わる人材の育成が重要。 本大綱の下においても,開発協力に関する国民参加,情報公開,開 発教育等を重視する考えに変わりはなく,御指摘を踏まえ,この点 が明確となるように,最終版では記述を修正しました。特に開発教 育については,御指摘を踏まえて,これまでの大綱同様,独立した 項目として位置づけることにしました。 知見を持ったリタイア人材を活用し,NGO,自治体,企業の強み を引き出していくべき。 0.7%目標に言及し,ODA額の増加に向けた積極的な姿勢を示 していることを高く評価。(同旨複数) 0.7%目標の達成を目指すのであれば,不正・腐敗への監視体制 を含め,不安であり,人員体制整備が重要。 0.7%目標の達成は困難であり,もっと実現可能な目標とすべき。 ODAの対GNI比0.7%目標は,1970年の国連総会で合意 されて以降,我が国としても繰り返しコミットしてきていますが, 2013年の我が国のODAの対GNI比は0.23%であり,D AC加盟28か国中18位となっています。我が国として,国際社 会の抱える様々な課題に主要国と足並みをそろえて取り組むため 量的な予算増に言及すべき。 資金調達メカニズムにつき明記すべき。 「財政状況の厳しさ」だけが強調されないように,「我が国の極め て厳しい財政状況や,持続的開発目標(SDGs)等の国際的目標 にも,ODAの対GNI比0.7%目標の達成に向け引き続き努力 し,我が国に相応しい十分なODAの水準の確保に向けて取り組ん でいく考えです。 20 の枠組みの動向等も十分踏まえつつ」とすべき。 ODA予算を確実に増加させる必要があり,経済規模世界第3位の 国家に相応しい開発協力の実施基盤を強化する旨明記すべき。 現地の住民に日本の支援であることが知られていないものもあり, 広報が必要。 相手国の市民を広報の対象としてだけでなく,パートナーとして捉 えるべき。市民による地域作りの視点が重要。 相手国における情報公開と住民参加を担保すべき。 開発途上国を含めた国際社会において,日本の開発協力とその成果 の認知度・理解度を高めることは重要と考えており,本大綱におい ても,開発協力の海外広報に引き続き積極的に取り組んでいく考え を明記しています。 開発協力の実施に際しては,引き続き,開発途上国における多様な 関係者の参画に努めていく考えです。 (開発協力大綱の実施状況に関する報告) 大綱の報告やフォローアップが白書だけであるのはモニタリング 体制として貧弱。公募型の第三者機関による継続的なモニタリング と公表を求める。 国会やNGOや市民との開かれた場で議論するよう明記すべき。 本大綱の実施状況については,包括的には年1回の「開発協力白書」 において明らかにする考えですが,それに加え,開発協力の政策レ ベルから個々のプロジェクト・レベルまで,第三者評価を含む評価 体制を構築し,評価結果を公表するとともに,評価年次報告書を作 成しており,引き続き,開発協力の実施・管理の改善及び国民に対 する説明に努める考えです。その政策レベル評価においては,開発 協力大綱との関係についても検証を行っていきます。適切な評価と 十分な透明性をもった情報公開に引き続き努めていく考えです。 【その他】 国益にかなわない支援,GDP10位程度以内に入る国への支援は 控えるべき。 中国,韓国に対する支援は停止すべき。 人道支援と開発支援は分けて考えるべき。 国内や現地の寄附金をODA予算に組み入れてはどうか。 本大綱の具体的実施や運用に関する御意見については,今後,我が 国の開発協力を実際に進めていく上で十分参考にさせていただき ます。 自然災害からの避難所を兼ねた学校の建設を行ってはどうか。 日本の大手銀行や信用金庫等と現地金融機関とが協力して,途上国 の金融基盤を整備してはどうか。 官・学・財が協力した人材育成事業を立ち上げるべき。 21 非ODAの国際協力の在り方を検討すべき。 モザンビークにおけるプロサバンナ事業は,相手国国民に内容を十 分に知らせない,不安を持たせるような援助であり,「質の高い成 長」と矛盾するものである。 ODA事業における我が国企業の受注率改善のための具体的施策 を望む。 調達先や仕様を指定することにより,通常よりも高い価格での調達 となったり,現地で修理等ができないものとなったりすることを防 ぐべき。 円借款は現地の財政に負担をかけることに留意が必要。 今すぐODAを廃止し,まずはこれまでの案件全ての再考及びフォ ローアップを行うべき。 アフリカへの無償予算の確保をすべき。 JICAの人員面を含めた組織・機能充実を行ってほしい。 我が国企業の受注率改善のために,具体的施策を検討すべき。 途上国で活動する日本人が安心して働けるような環境整備を積極 的に進めるべき。 日本自らのイニシアティブで,本当の意味での歴史認識を形成して いく努力を行うべき。 NHK国際放送の活用時間を延ばしてはどうか。 イスラエルへの武器輸出や武器共同開発は絶対やめるべき。 宇宙の軍事利用に日本が加担することは許されない。 22