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地域のスポーツクラブで、 医師や健康運動指導士等が 連携した健康
46 総合型地域スポーツクラブのNPO法人エンジョイ スポーツクラブ魚沼は、子どもと高齢者を対象とし たプログラムを開発し、自治体の生涯スポーツ事業、 介護予防事業を受託し、医師、健康運動指導士等が 連携して、長期的な運動指導を展開。子どもの体力 向上や高齢者の介護予防に成果を上げている。 魚沼市は、 年 月の新潟県中越 地震で被災した地域で、震災直後の 月に6町村が合併して誕生した人 を受け、クラブのスポーツリーダー として参画している。 てクラブ準備期から参画、指導的役 理 事 長・ 上 村 伯 人 氏 は、 医 師( 糖 尿病専門)で、スポーツドクターで い山間の町だが、冬季は3mの積雪 割 を 担 っ て き た。 上 村 氏 は 「医師が 口4万1000人の市である。市中 がある豪雪地帯で、人口減少、少子 し、新しいしくみが必要だった」と クラブ設立のきっかけは、「地域ス ポーツ活動の停滞。ニーズが多様化 充実が課題になっている。 師不足も深刻で、医療資源の整備・ 提供」がある。 の低減をめざした運動プログラムの え た。 理 念 に は 「医療費や介護費用 の患者を減らすことが必要」と話 予防医療に積極的に取り組み、地域 なって準備を進め、 年6月に総合 小出町で体育指導委員らが中心に ネージャー・高木貞介氏は話す。旧 30 スポーツクラブ小出」を設立。 年 参照) 。 特 に 子 ど も と 高 齢 者 は、 支 専門家チームによる 効果的で多彩な事業を展開 新潟県魚沼市のNPO法人エン ジョイスポーツクラブ魚沼 ( 以 下、 2月にNPO法人の認証を受け、町 野 を 包 含 し て い る こ と と、 医 師 (ス (※)に関する市の生涯スポーツ分 る生涯スポーツ分野をすべて受託し し、翌年度には体育指導委員に関す クラブは、 年度に市から体育指 導委員協議会の事務局を事業受託 市内全域に活動を広げた。 体 制。「 指 導 は プ ロ に 」 が モ ッ ト ー 助員1名 (パート)という少数精鋭 ナー2名 (うち1名は専属)、教室補 常勤スタッフは、マネージャー1 名、 健 康 運 動 指 導 士 1 名、 ト レ ー ら対象主体と考えていた」(上村氏) 。 クラブでは、すべての年代層を対 象 に 多 彩 に 事 業 を 展 開 し て い る( 表 「クラブ」)は、平成 年設立の総合 ポ ー ツ ド ク タ ー) が 積 極 的 に 関 与 た。 市 の 体 育 指 導 委 員 を 委 嘱 せ ず、 クラブは、地域におけるスポーツ の指導・助言者である 体育指導委員 し、健康づくりを重視しているのが 特徴だ。 で、スポーツリーダーは地域で指導 16 旧体育指導委員はスキルアップ研修 型地域スポーツクラブである。 15 型地域スポーツクラブ 「エンジョイ し、そのしくみづくりが必要だと加 体育指導委員歴 年というクラブマ 高齢化 (高齢化率 保 健、 福 祉 に 力 を 入 れ る の は 当 然。 ある。旧小出町の体育指導委員とし 10 心部を魚野川の清流が貫流する美し 16 %) が 進 行。 医 11 援 体 制 が 不 十 分 だ っ た た め「 当 初 か 総 合 型 地 域スポ ーツクラ ブ を 核に生涯スポーツを再構築 NPO法人 エンジョイスポーツクラブ魚沼 村合併に伴い名称を 「魚沼」に変更、 「 若返りトレーニング教室 」 (上) と左から、上村氏、高木氏、星氏 29 15 地域のスポーツクラブで、 医師や健康運動指導士等が 連携した健康づくりを展開 19 8 健康づくり 2012.2 後、「 地 域 を ス ポ ー ツ で 元 気 に し た 士・星俊寛氏は、体育系大学を卒業 アスリート等もいる。健康運動指導 できる専門種目をもち、五輪出場の 高齢者で平均年齢 ・5歳であ ク ラ ブ の 会 員 数 は、 年 3 月 末 現 在 6 5 6 名。 成 人 会 員 の 大 半 が ンティア(サポーター)が加わる。 会の担当者と協働しながら事業を ス ポ ー ツ 系 事 業 で は、 市 教 育 委 員 指 導 で 事 業 を 展 開 し て い る。 生 涯 つ つ、 施 設 管 理 事 業 は せ ず、 企 画・ りできるようになりたいといった日 は、「参加者には楽に立ったり座った レーニングを取り入れている。星氏 常生活の不具合を把握して機能的ト い」とサッカーを指導していたとこ る。 年 会 費 は 成 人 6 0 0 0 円、 子 組 み 立 て て い る。 高 木 氏 は「 ク ラ ブ り、このニーズにこたえることがト 常的な問題を解決したい思いがあ 受託 放課後ぴょんぴょん教室:小学2、3年生対 象。5か所 受託 ゴールデンエイジプロジェクト:小学3年生 ~ 6年生対象。通年 自主 スポーツ推進事業 中学生硬式野球教室:野球部部活終了中学3 年生対象。7か月間 受託 健康づくり事業 エアロビクス教室、ヒップホップダンス教室、 受託 ボクシング&キックエクササイズなど ウォーキング年2回実施 受託 健康づくり運動実践指導者講習会への参加 受託 イベント 市民体力測定会(年1回)、トレッキングやス キーツアーなど各種イベント6回程度開催 自主 自由な動作を分析し、無理なく実施 つ な が る 」 と 話 す。 ト レ ー ナ ー は、 レーニングの継続や運動の習慣化に 像 は〝 新 し い 公 共 〟 を 先 取 り し た 」 健康運動教室:64歳以下対象の運動指導。 1クール12回。通常教室3地区、出前型3地区 と話す。 ど も 4 2 0 0 円 で、 年 間 予 算 は、 年 度 収 入 見 込 み )。 ろ、 当 時 の 運 営 ス タ ッ フ に 誘 わ れ、 健康づくり事業 参加者が解消したいと感じている不 3 1 4 4 万 円( 受託 介護予防事業を受託し 「若返りトレーニング教室」を実施 平成 年に入社、その後すぐに健康 %が市からの受託事業 すっきりスリム教室:特定保健指導。運動講 義と実践指導。うおぬま元気塾:30 ~ 49歳 対象の運動指導 で き る よ う に プ ロ グ ラ ム 化 し、 医 師、健康運動指導士と検討・確認す る。 平成 年の設立時から取り組んで き た の が、 歳 以 上 対 象 の 「若返り トレーニング教室」の運営だ。旧小 %の 出町の介護予防事業を受託して定員 ~ プ ロ グ ラ ム は、 血 圧 測 定 と 準 備 運 動、 有 酸 素 性 運 動( エ ア ロ バ イ ク 使用で最大酸素摂取量 70 は、延べ984回開催、参加者は延 工夫をしている。自宅でのトレーニ 報提供、表情観察や雰囲気づくりな ン グ メ ニ ュ ー も 配 ら れ る。 指 導 で 1500円。 る」などの快適体験や、「杖なしで歩 べ1万4709名に上っている。参 同教室は、身体機能の向上が目標 で、筋力・柔軟性・バランス能力・ けるようになった」などの成功体験 は、言葉がけ、運動の効果などの情 持久力を包括的にトレーニングす を重視しており、QOLの向上に留 つえ ど の ほ か、「 運 動 後 は 体 が 軽 く 感 じ る。医師の問診・体力測定の後、個 意している。 加費は年1万2000円と保険料 は、ゲームなどを組み込んで楽しむ ダウンである。筋力トレーニングに 強度) 、 筋 力 ト レ ー ニ ン グ、 ク ー ル 40 1 0 0 名 で ス タ ー ト、 現 在 は 定 員 名定員)を 400名、市内全6地区7か所で ~ 実施している。週1回 分、 か月 コース (1コース 15 と長期にわたり、 年度の実施状況 12 自主 フットサル教室、ウエイトトレーニング教室 (競技力向上、健康づくり等個人の目的に合 わせて運動プログラムを作成・指導) スポーツ推進事業 90 25 このうち 保健対策事業 ジュニア 15 運動指導士資格を取得した。事業で 受託 で、 補 助 金 は ゼ ロ だ。「 ビ ジ ネ ス マ 機能向上トレーニング教室:高齢者の運動指 導。1クール月2回、6会場で実施 は、星氏らは上村氏と連携し、適宜 普及啓発型運動器 機能向上事業 イ ン ド で 運 営 」( 高 木 氏 ) を 旨 と し 受託 外部のインストラクターや有償ボラ 若返りトレーニング教室:65歳以上対象の運 動指導。1クール週1 ~2回12か月、6地区7 会場で実施 ジュニア支援事業 22 人プログラムを作成し、参加者の日 健康づくり 2012.2 9 69 23 ウォーキング推進事業 スポーツリーダー事業 その他 高齢者筋力向上 トレーニング事業 中高年 65 23 フリースポーツデーⅠ(卓球、スポレック、 バウンドテニスなど日中週2回)。フリース 受託 ポーツデーⅡ(夜間、週1回) 中学生以上 一般 区分 高齢者 内容 事業名 対象 15 85 17 表●主な事業(平成23年度) 続 年 数 別 の 評 価( 総 合 得 点 合 計 平 均 ある参加者について年齢階層別・継 を行っている。 年度の測定結果の 体 力 測 定 を 初 回 開 始 時、 6 か 月 後、以降は年1回実施し、体力評価 上 が 期 待 で き る こ と が 認 め ら れ た。 筋力は増強し、身体機能の改善・向 るが、高齢であっても継続によって なかには要支援・要介護認定者もい で直線上昇を描いている。参加者の ダイビング体験などのイベントも実 市外でのトレッキング、プールでの トレーニングを行う。 サイクリング、 ど運動の基本的な動きを取り入れた に組み立て、走る、跳ぶ、投げるな 平 均 と 大 差 が な い が、 経 年 で A 評 値)を見ると、初回の参加者は全国 継続を呼びかけている。教室終了後 生きているうちは来てください」と 上村氏は「若トレは卒業のない教室。 て前期9000円、後期7500円 施している。参加費は保険料を含め ( イ ベ ン ト 費 用 は 別 ) で、 現 在、 価 の 割 合 が 顕 著 な 伸 び を 示 し( 図 参 名)の 80 C 20 等 の「 若 ト レ ス ポ ー ツ デ ー」( フ リ ー 校 低 学 年 の 子 ど も が、 運 動 の 場 所 屋〟の身近な存在になることが重 コーディネーターとして 〝なんでも コ ミ ュ ニ テ ィ づ く り で は、 地 域 の スポーツデーⅠ)を週2回開催して られる。 「遊び」に変えていく指導力が求め という視点で発想を転換し、楽しい 要 」 と 言 う。 そ れ に は、 コ ミ ュ ニ 名が登録している。 も ら う の が 目 的。 現 在、 5 教 室 や時間に制限のある冬季に運動指 6年生までのゴールデンエイジ対象 子 ど も 向 け の 主 な 取 り 組 み に は、 平成 年度から始まった小学校3~ ジュニアの体力・健康づくりの プログラムを整備 いる。 名が登録している。 30 ケーション能力が大切だという。ま もメンバーと運動を続けたい方の受 E 40 導 を 受 け、 基 礎 的 な 神 経 回 路 を つ 照 )、 全 国 平 均 を 大 き く 上 回 る 結 果 15 D 50 た、「 運 動・ ス ポ ー ツ の 基 本 は 遊 び 」 け皿として、卓球・バウンドテニス B 60 くるとともに運動を好きになって となっている。また、テスト種目別 A 70 ・ 2回と経年 6年目 5年目 クラブでは、当面の課題として運 動をしない働き盛りの ~ 歳代へ サ ポ ー タ ー の ネ ッ ト ワ ー ク づ く り、 スポ ーツや 健 康 づ く り を 通 じ て地域を元気にする クラブがめざすのは、スポーツ・ 健康づくりを通じて地域を元気にす 地域住民が交流できるクラブハウス の「ゴールデンエイジプロジェクト」 ること、活力あるコミュニティづく 日 施 行 ) に よ り、 名 の整備などを挙げている。 の ア プ ロ ー チ、 冬 季 参 加 者 の 拡 大、 ぴょんぴょん教室」がある。 りである。地域で活動する人材 (サ と、小学校2、3年生対象の 「放課後 3年目 ゴールデンエイジプロジェクト は、年間を通じて、体力測定のデー ポーター)を育成するため、スポー ※ 体 育 指 導 委 員 は「 ス ポ ー ツ 基 本 法 」 4年目 2年目 タを基に運動の基礎となる動きづく ツリーダー事業も受託推進している。 1年目 りを指導し、運動・スポーツの楽し 0 初年度 年8月 称をスポーツ推進委員に変更された。 24 歳 以 上 女 性( にも継続効果が見られ、たとえば 90 「ゴールデンエイジプロジェクト」では、運動の基本 的動作と楽しさを伝える (平成 40 さを知ってもらうのが目的。神経系 30 80 「地域で活動する健康運動 星氏は 指 導 士 に は い ろ い ろ な 役 割 が あ る。 の発達を促すよう陸上競技をメイン 23 22 放 課 後 ぴ ょ ん ぴ ょ ん 教 室 は、 運 動指導を受ける機会の少ない小学 11 72 40 10 19 歳代を含む (%) 10 75 上体起こしでは、初年度 回だった 100 の が、 6 年 目 に は 図●「若返りトレーニング」の新体力テストの評価別割合の推移(65 ~ 69歳) 10 健康づくり 2012.2