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地域社会における企業経営のあり方 についての調査 報 告 書

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地域社会における企業経営のあり方 についての調査 報 告 書
平成22年度地域経済産業活性化対策調査委託事業
地域社会における企業経営のあり方
についての調査
報
告
書
平成23年3月
関東経済産業局
目
次
調査総括・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
調査目的と方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
1
本調査の背景と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
調査内容と方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
地域社会における中小企業経営のあるべき姿・・・・・・・・・・・・
5
1
地域社会に支持されること=黒字経営の継続・・・・・・・・・・・・・
5
2
調査対象としての要素の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
地域社会における企業経営のあるべき姿のポイント・・・・・・・・・
8
1
経営理念を明示して実践・浸透させる・・・・・・・・・・・・・・・・
8
2
自立・創造できる人づくりと環境づくりを行う・・・・・・・・・・・・
10
3
地域社会との良い関係をつくる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
4
経営者自身の向上を図る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18
本調査で明らかになった内容と提言・・・・・・・・・・・・・・・・
23
1
各経営要素を踏まえた企業経営モデル像・・・・・・・・・・・・・・・
23
2
地域社会におけるあるべき姿の中小企業を増やすための提言・・・・・・
25
第2編
アンケート調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
32
第1編
第1章
第2章
第3章
第4章
第1章
調査対象及び実施期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
32
第2章
売上高経常利益別クロス集計結果・・・・・・・・・・・・・・・・・
33
1
回答者属性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
33
2
「経営力」に関する質問項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
36
3
「人事及び労務」に関する質問項目・・・・・・・・・・・・・・・・・
72
4
「顧客・ビジネスパートナー」に関する質問項目・・・・・・・・・・・
91
5
「地域活動」に関する質問項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 101
第3章
設問クロス集計結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 107
1
経営理念・ビジョン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 107
2
地元採用への意識、地域貢献活動への取り組み・・・・・・・・・・・・ 131
第3編
インタビュー調査結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 139
第1章
インタビュー先一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 139
第2章
インタビュー概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 139
第4章
シンポジウム概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 218
参考資料
I
第1編
調査総括
第1章
調査目的と方法
1
本調査の背景と目的
近年は世界的な不況の影響のみならず、産業構造の変化、消費者動向の変化なども重な
り、地域社会に根づく多くの中小企業が苦境に立たされている。また、今後とも我が国で
は少子高齢化と労働人口の低下の進展が見込まれる。そのような状況にあって、持続的・
安定的な地域経済を構築するためには、しなやかで強靱な地域社会の構築が必要だと考え
られる。
「中小企業憲章(平成 22 年 6 月閣議決定)」では、その基本理念において、「中小企業
は、経済やくらしを支え、牽引する。創意工夫を凝らし、技術を磨き、雇用の大部分を支
え、くらしに潤いを与える。意志決定の素早さや行動力、個性豊かな得意分野や多種多様
な可能性を持つ。経営者は、企業家精神に溢れ、自らの才覚で事業を営みながら、家族の
みならず重要員を守る責任を果たす。中小企業は、経営者と従業員が一体感を発揮し、一
人ひとりの努力が目に見える形で成果に結びつき易い場である。」と謳われている。
また、その基本原則からは、「中小企業が誇りを持って自立することや、地域への貢献
を始め社会的課題に取り組むことを高く評価する」ことが、政策を実施していく観点の一
つとして謳われている。
本調査では、中小企業憲章でも謳われている中小企業の果たしている役割やその意義、
及び、政策の実施の観点を十分に踏まえ、中小企業の社会的な価値の具現化を試みる。
このため、本調査では、地域経済と地域社会の構成要素の一つとして、地域の中小企業
に着目する。更にここでは、中小企業が持続的で安定的に事業を行うために必要な経営基
盤を強化すること、中小企業が地域社会と関わる活動を行うことで社会関係資本が充実す
ること、中小企業の経営基盤や社会との関わりが強化されることで地域の雇用者が意欲と
能力に応じて労働市場に参画する余地が高まることなど、中小企業の経営と地域社会との
関係に着目する。
これまで経済産業省では、課題に直面している中小企業を支援するため、経営革新支援
や再生支援をはじめ、中小企業が抱える個々の課題に応じた支援施策を講じてきた。しか
しながら、中小企業が経営革新などに取り組む前提として、経営力を維持・向上するため
に具備すべきものや、地域社会において目指すべき姿、そして地域社会でそれらを実践す
る中小企業の価値については必ずしも明確にされてこなかった。
本調査では、中小企業が経営力を向上させるために必要な経営要素、及び、地域社会と
の関わりが中小企業の社会的価値を向上させるとの観点から具備すべき要件について、中
小企業経営の「あるべき姿」(以下、地域社会における企業経営の「あるべき姿」)として
明確化し、今後の効果的・効率的な地域経済産業政策及び中小企業政策を検討するための
材料とする。
そして、広く成果内容の普及促進を図ることで、より多くの中小企業経営者の「あるべ
き姿」への理解とその実践を促していくことが目的である。
1
2
調査内容と方法
(1)調査内容
本調査では地域社会における企業経営の「あるべき姿」を明らかにするため、地域社会
との関わりが高く、地域社会から支持されている中小企業を様々な角度から調査し、その
特徴を探る。
中小企業の経営要素は、経営者のリーダーシップ、製品・技術開発、営業力の強化、社
会貢献など広範囲に及ぶが、本調査では経営理念や人づくり・環境づくりなど企業「内部」
の取り組みと、ビジネスパートナーや地域住民といった地域社会の利害関係者との関係づ
くりなど企業「外部」の取り組みを調査する。この 2 つが地域社会における中小企業経営
の優れた事業戦略に如何に反映されているのかを探る。
(2)調査方法
①関東経済産業局管内の中小企業経営者に対するアンケート調査、及び、②中小企業経
営者に対するヒアリング調査を実施することで、地域社会との関わりが高く、地域社会か
ら支持されている中小企業が具備する経営要素や要件、特徴を定量的・定性的に把握する
ことに努めた。
1)アンケート調査
地域社会における企業経営の「あるべき姿」を明確化するため、
関東経済産業局管内の中小企業を中心に、企業情報商用データベースから信用調査会社
による総合的な評価の高低から合計 2,000 社を抽出して実施した。
調査対象業種は、本調査の趣旨に基づき、地域社会との密接な関係が浮かび上がるよう
に「小売・対個人サービス業」とした。これらの業種は、地域密着型の経営を実施してい
る場合が高いと考えられ、例えば製造業と比べてもその商圏が狭いことが想定される。
・実施期間は平成 22 年 11 月 12 日~平成 22 年 12 月 16 日
・業種は小売及び対個人サービスにおける中小企業(従業員規模と資本金規模は中小企
業基本法の定義に従う)
・対象範囲は関東経済産業局管内の1都 10 県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千
葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)
・回答者は経営者を想定する
2)ヒアリング調査
アンケート調査の回答結果や有識者による推薦によって、地域社会における企業経営の
「あるべき姿」のモデルとなるような経営を実践する中小企業を抽出して 39 件のヒアリ
ング調査を実施した。
2
3)地域社会における企業経営のあり方研究会
本調査の推進にあたり、学識経験者・中小企業支援者等からなる「地域社会における企
業経営のあり方研究会」を設置し、同研究会において、アンケートやヒアリングの具体的
な調査手法や項目の検討、調査結果に基づく議論と取りまとめを実施した。
①研究会メンバー
座
長
坂本
委
光司
法政大学大学院政策創造研究科
教授
茂
TKC全国会 創業・経営革新支援委員会
員
赤岩
委員長
(税理士法人報徳事務所理事長)
鬼澤
慎人
NPO法人 茨城県経営品質協議会
(株式会社ヤマオコーポレーション
理事
代表取締役)
折原
浩
株式会社 ディセンター
代表取締役社長
澁谷
耕一
リッキービジネスソリューション 株式会社
中村
正士
社団法人 中小企業診断協会
(荏原経営教育研究所
代表取締役社長
東京支部長
所長)
西浦
道明
株式会社 アタックス
代表取締役社長
原
誠
プライスウォーターハウスクーパース 株式会社 ディレクター
山田
伸顯
財団法人 大田区産業振興協会
吉木
祐三
一般社団法人 日本中小企業経営支援専門家協会
専務理事
専務理事
オブザーバ
落合
寛司
西武信用金庫
理事長
加幡
英雄
多摩信用金庫
常勤理事・価値創造事業部長
角田
信之
公益財団法人 日本生産性本部
長島総一郎
経営コンサルタント
西尾
東京商工会議所
昇治
寳子山典孝
理事・コンサルティング部長
中央生産性研究所
所長
中小企業部長・経済資料センター所長
株式会社 三菱東京UFJ銀行
中小企業部企画グループ次長
(当初参加の早乙女 実 次長の後任として参加)
穂刈
俊彦
株式会社 あおぞら銀行
金融法人業務部部長
横山
英樹
社団法人 中小企業診断協会
埼玉県支部
専務理事
関東経済産業局
佐々木
星野
正
勝之
総務企画部長
総務企画部
企画課長(他企画課職員が参加)
3
②研究会開催
【第1回研究会】
・開催日時:平成 22 年 9 月 16 日(木)10 時~12 時
・場
所:法政大学大学院
・次
第:1) 開会
政策創造研究科
A-704 会議室
2) 研究会の設置について
3) 議事
・本研究会の趣旨説明
・地域社会における価値ある中小企業の考え方と調査内容
・アンケート調査、ヒアリング調査について
・意見交換
4) 閉会
【第2回研究会】
・開催日時:平成 22 年 12 月 3 日(金)14 時~17 時
・場
所:法政大学大学院
・次
第:1) 開会
2) 議事
政策創造研究科
A-704 会議室
・調査結果中間報告
・成果物イメージについて
・シンポジウムについて
・意見交換
3) 閉会
【第3回研究会】
・開催日時:平成 23 年 2 月 25 日(金)14 時~17 時
・場
所:法政大学大学院
・次
第:1) 開会
2) 議事
政策創造研究科
A-704 会議室
・小冊子について
・提言について
・シンポジウムについて
3)閉会
(3)シンポジウム開催による普及啓発
本調査の成果をメッセージとしてより多くの中小企業経営者や中小企業支援者等に広め
るため、シンポジウムによる情報発信を実施した。学識経験者による基調講演とともに、
パネルディスカッションにおいて、
「 地域社会における優れた企業経営のモデルケースの紹
介」や「地域社会における企業経営のあるべき姿に取り組む経緯・課題と解決方法」等の
情報提供を図った。
・開催日時:平成 23 年3月 14 日
14:00~17:00
・会
場:東京中小企業投資育成ビル 8Fホール(東京都渋谷区)
・定
員:200 名(中小製造業経営者・後継者などの方々、中小企業支援者、行政関
係者など)
4
第2章
1
地域社会における中小企業経営のあるべき姿
地域社会に支持されること=黒字経営の継続
本調査は、その趣旨に従って「小売・対個人サービス業」を主な対象としている。これ
らの業種は、製造業に比べて商圏が狭いため、必然的に「地域住民」がそのまま顧客とな
る場合が高いと考えられる。これは、“利益を出している=黒字の企業”は、
「地域のお客様
に支持されている/地域で愛されている」傾向が高い企業だと考えられる。また、地域に
おける中小企業の役割には、商品やサービスの提供による「地域住民=顧客」への直接的
な便益をもたらすのみならず、地域の雇用や納税を支える役割も大きい。これらの観点か
ら、地域社会においてあるべき企業経営の前提としては、可能な限り「長期に渡って事業
を継続」していることが望ましい。その実現のためには「黒字経営を継続すること」が望
ましい要件となる。
本調査では、上記の考えに基づき、比較的長期に渡って黒字経営を実現している企業を
「地域で支持されている中小企業」として想定し、その特徴を整理することとした。
なお、国税庁「平成 20 年度 会社標本調査結果(税務統計から見た法人企業の実態)」
によると、平成 20 年度の法人 260 万 3,365 社から、連結子法人の数(6,257 社) を差し
引いた 259 万 7,108 社のうち、欠損法人は 185 万 6,575 社となっており、その割合は 71.5%
を占める。我が国の中小企業の約7割が赤字企業である現状を勘案すると、地域社会にお
ける企業経営のあるべき姿を実現する中小企業を、1社でも多く創出していくことが重要
であると考えられる。
2
調査対象としての要素の検討
(1)業種・業態によらない普遍的な経営の要素としての企業「内部」の取り組み
赤字経営の中小企業が多い中で、好業績を続ける黒字企業が存在する。そのような中小
企業は、業種・業態、地域を問わず一定割合存在する。これらの企業では、業種・業態や
地域に決して左右されない普遍的な共通点があると考えられる。
経済産業省関東経済産業局では、平成 21 年度、上記のような問題意識の下に、活力あ
る中小企業が持つ普遍的な要素を抽出するため、「中小企業経営のあるべき姿に関する調
査」に取り組んだ。その結果では、
「経営理念」とそれを体現・実現する「組織風土」及び
「人」の育成が、「活力ある中小企業」の共通的要素であることが明らかになっている。
なお、平成 21 年度の調査対象は「製造業」に絞ったものである。
そこで、本年度の調査では、上記のような企業の「内部」への取り組みが、「小売・対
個人サービス業」に対しても普遍的な要素であることを探る。これにより企業の「内部」
への取り組みが、業種・業態に拠らないものであることを示していく。
(2)地域社会と良好な関係を構築する企業「外部」への取り組み
一般的に企業の価値というと、「株主への価値」を意味するケースが多い。黒字経営も
ひいては株主への価値につながる。一方で、本調査の趣旨に照らし合わせると、企業には
「地域に対する価値」があると考えられる。
「地域に対する価値」としては、地域課題の解決や地域での多様な雇用の場の提供、生
5
産者や協力業者といったビジネスパートナーへの利益、顧客や従業員も含めた地域住民の
繁栄なども、地域社会における価値だと考えられる。これらは、地域における社会関係資
本の構築活動から確認できると想定される。
図表 1-2-1:地域に対する価値のイメージ
(3)企業の「内部」と「外部」の取り組みから導かれる経営戦略
企業内部の取り組みとして、経営理念を核とした人づくり・環境づくりがある。企業外
部の活動の取り組みとして、地域社会との関係構築がある。この二つが、最終的に企業の
利益につながる「経営戦略」につながっているものと期待される。
図表 1-2-2:本調査で想定する企業経営の姿
企業経営
株主
リーダーシップ
金融機関
地域
信
信頼
頼・
・
共
共感
感・
・
協
協働
働
協力業者
社会関係資本
顧客
経営戦略
事業戦略
組織体制
システム
住民
収益
従業員
(4)地域社会における企業経営のあるべき姿のポイント
本調査では、前項(1)~(3)で述べた3つの領域から、地域社会における企業経営
の姿に求められるポイントとして以下の項目を整理した。実際の企業経営では多様な取り
組みが見られる中、そのなかでも共通項として考えられる最も顕著なものを選定した。
6
図表 1-2-3:地域社会における企業経営のあるべき姿のポイント
1.経営理念を明示して実践・浸透させる
(1)社長の哲学・会社の姿勢と方針・スタンスを明確化する
(2)経営理念を実践・浸透させる
2.自立・創造できる人づくりと環境づくりを行う
(1)従業員第一の経営
(2)自立・創造できる人づくり
(3)従業員の動機付けへの取り組み
3.地域社会との良い関係をつくる
(1)ビジネスパートナーと良い関係をつくる
(2)地域住民と良い関係をつくる
(3)地域社会の課題解決に貢献する
4.経営者自身の向上を図る
(1)「自分づくり」を行う
(2)人脈・ネットワークを構築する
(3)後継者を見据えた経営を重視する
(4)事業戦略を検討する
7
第3章
地域社会における企業経営のあるべき姿のポイント
本章においては、第 2 章において提示した「地域社会における企業経営のあるべき姿
のポイント」について詳細を解説する。
1
経営理念を明示して実践・浸透させる
(1)社長の哲学・会社の姿勢と方針・スタンスを明確化する
経営理念やビジョンは社長が「何のために経営するのか(将来の姿・事業の目的・存在
理由など)」を表現したものであり、「どのように行動すべきか」という社員の行動基準と
なる。
また、経営理念は従業員のみならず、顧客とも成り得る地域住民や大切なビジネスパー
トナーへの重要なメッセージにもなる。特に、従業員にとって「会社の方針・姿勢・スタ
ンス」が明確になることで、何を目指すべきかがわかり、日々の行動の助けとなる。
図表 1-3-1:経営理念を明確にしているか
0%
20%
60%
売上高経常利益率
49.4
5.0%以上
14.0
明確化して、かつ文章化している
16.0
31.8
43.0
0.1%~1.9%
100 %
80%
34.6
54.5
2.0%~4.9%
0 ないし 赤字基調
0
ないし 赤字 基調
40%
13.6
32.6
47.0
明確化しているが文章化していない
24.4
39.0
明確にしていない
(2)経営理念を実践・浸透させる
経営理念やビジョンは作ったのみでは意味がない。それを形にするのは他ならぬ従業員
一人ひとりであり、会社の日々の仕事やビジネス全体の推進に理念やビジョンが活かされ
ていく必要がある。それは、従業員が何も言われずとも、経営理念に従った判断・行動が
できるようになることであり、理念が「浸透」している状態と言える
しかしながら、経営理念は簡単に社内に浸透するものではない。会社の姿勢を示す大切
なものであり、かつ、意識改革が必要だからこそ、従業員への浸透には時間がかる。ここ
で、経営理念を真に従業員に浸透させるため、最も重要なことは経営者自らが“実践”して
ぶれずに「行動で示す」ほか、そのための「仕組みづくり」や「工夫」が必要になってく
る。
「理念を体現する会社」になれば、自然に「理念に共感する人」が集まってくる好循環
が生まれる。
8
図表 1-3-2:経営理念実践の程度
0%
20%
売上高経常利益率
ほぼ実践できている
80%
100%
55.9
31.6
2.0%~4.9%
00 ないし 赤字基調
ないし 赤字 基調
60%
26.5
5.0%以上
0.1%~1.9%
40%
50.0
15.4
0.0
18.4
0.0
29.2
55.4
11.5
17.6
0.0
37.7
47.5
ある程度実践できている 少しは実践できている
3.3
まったく実践できていない
図表 1-3-3:経営理念浸透の工夫
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
46.7
4 2.9
朝礼や会議等にて唱和している
28 .1
28.3
61 .7
6 8.6
朝礼や会議等で経営者から訓話をする
50.9
32 .6
30.0
41.4
36.8
新入社員の教育時に経営理念教育を実施している
28 .3
16.7
1 5.7
10.5
社内報等による経営理念の啓蒙活動を実施している
2 .2
18 .3
18.6
経営理念の浸透を目指した教材や冊子等を作成している
15 .8
売上 高経 常利 益率
2 .2
15 .0
経営理念の浸透を目的とした合宿や研修、発表会等のイ
ベント実施している。
7 .1
8.8
6.5
5.0%以上
2.0%~4.9%
0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
5.0
5 .7
理解度を把握するためのモニタリングを実施している
3.5
経営理念を浸透させる工夫についてアンケート結果によると、特に、唱和や訓話におい
2 .2
て黒字企業と赤字企業で差が見られる。また、社内報や教材・冊子、研修等のイベントは
9
全体的に少ないものの、黒字企業と赤字企業との間には大きな差が見られる。
ここで、訓話というのは、経営者が伝えたいことを様々な角度から、そして相手ごとに
工夫して伝えることが効果的である。また、改まった場でなくても、日常的に経営理念に
基づいた社長の考え、意見を従業員に語りかけることも大切であろう。
経営理念を掲載した教材や冊子等を配布する取り組みも黒字企業は積極的であるが、日
常的に携帯できるカードや手帳などに掲載して、経営理念を身近に感じてもらう等の工夫
も効果的と思われる。
2
自立・創造できる人づくりと環境づくりを行う
(1)従業員第一の経営
従業員が「高いモティベーション」や「自社への誇り」をもって働くことが、会社のよ
り円滑な運営とより良い商品やサービスの提供につながることが期待できる。顧客満足度
向上のためにも、まずは従業員満足度の向上が必要になる。
図表 1-3-4:利害関係者として一番大切にするもの
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2.8
売上高経常利益率
33.8
5.0%以上
7.0
54.9
1.4
0.0
0.0
60.2
37.3
2.0%~4.9%
2.4
0.0
25.0
0.1%~1.9%
9.7
62.5
2.8
0.0
0 ないし 赤字基調
0 ないし 赤字 基調
19.5
従業員
67.1
8.5
下請や外注先、仕入先
顧客
4.9
株主
地域社会
図表 1-3-5:経営力向上・自己研鑽のために従業員からも意見を聞いているか
【聞いているとの回答】
0
20
40
60
80
売上高経常利益率
73. 2
5.0%以上
70.8
2.0%~4.9%
0.1%~1.9%
59.8
00 ないし 赤字基調
ないし 赤字 基調
47.5
10
(2)自立・創造できる人づくり
経営資源で最も重要なものは間違いなく「人」である。特に、変わり続けるビジネス環
境に対応できるよう、自立性と創造性のある人づくりは、経営資源が限られている中小企
業にとって重要度は極めて高い。併せて経営者として、人が育つ「場づくり」として、組
織風土やより良い仕事のための環境づくりが必要になる。
図表 1-3-6:経営者として時間を費やす仕事【人材育成・教育】
現
0
10
20
在
30
40
今
50
60
70 0
20
後
40
60
80
売上高経常利益率
5. 0%以上
52.5
5. 0%以上
69.4
2. 0%~4. 9%
61.4
2. 0%~4.9%
71.4
38.8
0. 1%~1. 9%
0 ないし赤字基調
0ないし赤
字基調
0. 1%~1.9%
77.9
0 ないし 赤字基
調
18.4
45.8
図表 1-3-7:経営者として時間を費やす仕事【組織風土・環境づくり】
現
0
10
在
20
今
30
40 0
売上高経常利益率
5. 0%以上
31.3
5. 0%以上
2.0%~4.9%
33.0
2. 0%~4.9%
0.1%~1.9%
ないし赤字基調
0 0ないし赤
字基調
17.6
15.3
10
20
後
30
40
60
41.7
52.4
45.5
0. 1%~1.9%
0 ないし 赤字基
調
50
31.3
(2)従業員の動機付けへの取り組み
人づくりのためには、組織風土や環境づくりと平行して、具体的な制度や仕組みを整備
することで、従業員のモティべーションを高めることが有効である。多くの企業において
様々な動機付けの制度や仕組みがあり、例えば「がんばった、成果を出した人が報われる
仕組み」、「自ら学ぶ、経験することを助ける仕組み」などが挙げられる。
11
図表 1-3-8:従業員の人材マネジメントに力を入れているか
0%
20%
売上高経常利益率
5.0% 以上
24.4
2.0%~4 .9%
24.7
0.1%~1 .9%
00 ないし 赤字基調
ないし 赤字 基調
40%
100%
28.2
47.2
5.1
21.3
6.7
28.0
50.0
31.1
大いに力を入れている
80%
42.3
11.0
6.7
60%
11.0
32.2
ある程度力を入れている
30.0
あまり力を入れていない
まったく力を入れていない
図表 1-3-9:従業員育成や動機付けの制度
0
20
40
60
80
40.0
34.9
表彰制度
24.7
9.4
30.7
44.2
個人目標の数値化と達成度の評価
3 2.5
14 .1
72. 0
77. 9
成果給与(賞与への反映も含む)
67.5
45.3
56.0
5 5.8
資格取得奨励・資格手当・報奨金制度
49.4
25.0
68 .0
70. 9
66.2
研修(社外・社内)
39.1
37 .3
3 2.6
経営計画策定への関与
19.5
21 .9
42.7
38.4
33.8
各種経営情報の一般従業員への公開
売上 高経 常利 益率
26.6
5.0%以上
2.0%~4.9%
32.0
25.6
抜擢人事制度
0.1%~1.9%
13.0
0 ないし 赤字基調
7.8
36.0
46 .5
46.8
権限の委譲
32.8
38.7
46.5
休暇が取得しやすい環境づくり
36.4
26.6
60.0
60.5
従業員同士のコミュニケーションや親睦促進
49.4
43.8
12
アンケートによると、手法や制度には様々である。自社の目指す経営理念や組織風土、
環境づくりに応じた取り組みにしていく必要性があると考えられる。そのなかでも、黒字
企業は各種の取り組みに積極的であることが読み取れる。
なお、ここでアンケートの設問クロス集計やインタビュー調査から「経営理念の明示と
実践・浸透」と「自立・創造できる人づくりと環境づくり」は決して別々のものではない
ことが考えられる。経営理念を明確にすることは、まず、経営者に実践を促すことと社内
への浸透につながる。そして、理念が浸透した組織では「人づくり」への取り組みも計画
的・積極的になる。それがひいては会社の利益創出につながる可能性を高める。
3
地域社会との良い関係をつくる
(1)ビジネスパートナーと良い関係をつくる
ビジネスは必ずしも一社単独で完結できるわけではない。原材料の仕入先や生産者をは
じめ、外注先や提携先、協力者といったビジネスパートナーと共に推進するものである。
ビジネスパートナーが存分に力を発揮して、気持ちよく仕事ができることは、自分自身の
ビジネスの質の向上につながる。
図表 1-3-10:同じ地域のビジネスパートナー(仕入先、外注先、下請等)と
より良い関係を重視しているか
0%
10%
20%
40%
50%
60%
70%
80%
売上高経常利益率
65.9
5.0%以上
33.7
44.1
38.7
とても重要している
やや重視している
100 %
7.3
28.7
55.8
0.1%~1.9%
90%
26.8
62.1
2.0%~4.9%
00 ないし 赤字基調
ないし 赤字 基調
30%
9.2
10.5
17.2
あまり重視していない
(2)地域住民と良い関係をつくる
地域住民は同時に顧客でもある。これは、本調査対象である小売・対個人サービス業に
おける前提条件として、大半は当てはまるものと想定される。そのため、地域住民に対し
て、会社自身を知ってもらう、商品やサービスを支持してもらうことからまずはビジネス
が始まる。地域住民からの好意的な視点や応援が結果的に企業の継続と発展の力になる。
13
図表 1-3-11:顧客の声を吸い上げる取り組み
0
20
40
60
80
1 00
2 6.8
25 .8
満足度調査の実施
1 7.6
8 .3
売上 高経 常利 益率
14.6
苦情相談の窓口を設置
1 6.9
5.0%以上
7 .1
4.2
2.0%~4.9%
0.1%~1.9%
苦情情報の蓄積と分析活用
36 .6
34 .8
0 ないし 赤字基調
1 8.8
2 1.9
75 .6
74 .2
日々の営業や接客で声を吸い上げる
8 7.1
7 2.9
29 .3
37.1
34 .1
店頭アンケートやご意見カード
18.8
「地域住民=顧客」との関係構築については、各種イベントなどが挙げられるが、他に
もビジネスと直結していることとして、その声を吸い上げる取り組みもある。アンケート
によると、顧客の声を吸い上げる仕組みとしては、全体として「日々の営業や接客で声を
吸い上げる」取り組みが、黒字・赤字の企業を問わず多く見られる。一方、黒字企業では、
より一歩進んだ工夫として、
「満足度調査の実施」や「苦情相談の窓口を設置」、
「苦情情報
の蓄積と分析活用」、「店頭アンケートやご意見カード」への取り組みについて、0 ないし
赤字企業に比べ積極的であることが読み取れる。
(3)地域社会の課題解決に貢献する
地域社会にある中小企業の活躍として、そのビジネスが地域の課題解決につながる場合
がある。大手企業では対応が難しく、商圏が限定された地域密着型のサービスだからこそ、
自社にしかない競争力になり得る。
また、地域社会が抱える問題として、雇用の問題が挙げられる。地域社会における企業
の役割としては、第 2 章で述べたように、前提として納税とともに雇用があるならば、積
極的な地元採用はまさしく地域社会への課題解決につながる。雇用という面では、働く意
欲の高い高齢者や障害を抱える方々もいる。そのような方々に活躍の場を提供し、自身の
戦力とすることなども、地域で継続的に発展していくための企業の役割と言えるだろう。
14
図表 1-3-12:地元採用はどの程度意識しているか
0%
20%
40%
60%
売上高経常利益率
55.6
5.0%以上
23.5
51.1
2.0%~4.9%
大いに意識している 7.6
7.7
19.8
ある程度意識している
どちらともいえない
12.3
8.0
27.8
37.4
00 ないし 赤字基調
ないし 赤字 基調
100%
8.6
31.8
45.6
0.1%~1.9%
80%
9.1
19.0
35.2
まったくこだわっていない。
図表 1-3-13:障害者雇用への取り組みがあるか
0%
20%
40%
売上高経常利益率
24.7
5.0%以上
21.4
0.1%~1.9%
4.8
80%
17.3
100%
44.4
14.6
7.9
16.9
2.0%~4.9%
13.6
60%
60.7
16.7
57.1
3.1
00 ないし 赤字基調
ないし 赤字 基調
10.4
9.4
77.1
現在雇用している 現在は雇用していないが、過去に雇用した実績がある 現在は雇用していないが、今後は雇用したい
過去も現在も障害者雇用はない
図表 1-3-14:定年後も高齢者を引き続き雇用する取り組みがあるか
0%
20%
売上高経常利益率
13.6
24.7
5.0%以上
2.0%~4.9%
40%
16.9
4.8
80%
17.3
44.4
14.6
7.9
21.4
0.1%~1.9%
60%
60.7
16.7
57.1
3.1
00 ないし 赤字基調
ないし 赤字 基調
10.4
9.4
77.1
現在雇用している 現在は雇用していないが、過去に雇用した実績がある 15
現在は雇用していないが、今後は雇用したい
過去も現在も障害者雇用はない
10 0%
中小企業が取り組む地域貢献活動は千差万別である。その中でもアンケートによると、
「地域経済活性化に関する活動」、「文化環境に関する活動」への取り組みは全体として多
いだけではなく、傾向として黒字企業が積極的に取り組んでいることが読み取れる。また、
「教育に関する活動」、「雇用に関する活動」、「保健・医療・福祉に関する活動」は全体的
に少ないものの、黒字企業の方がやはり積極的に取り組んでいる。
図表 1-3-15:中小企業が取り組む地域貢献活動
0
10
20
30
40
50
60
4 3.4
4 4.9
地域経済活性化に関する活動
3 8.8
36 .5
53 .9
5 2.8
50 .6
文化・環境に関する活動
4 2.7
15 .8
2 5.8
2 3.5
教育に関する活動
9.4
13 .2
1 3.5
15 .3
雇用に関する活動
5 .2
4 0.8
4 2.7
治安・安全・防災に関する活動
3 5.3
38 .5
1 1.8
保健・医療・福祉に関する活動
売上 高経 常利 益率
15 .7
5 .9
4.2
5.0%以上
2.0%~4.9%
17 .1
地域貢 献活動は行っていない
0.1%~1.9%
13 .5
14 .1
0 ないし 赤字基調
2 6.0
①【地域経済活性化】
商店街の活性化、地元特産品の活用、地域の PR 活動など
②【文化・環境】
祭りや伝統行事の開催や維持、地域文化やスポーツ振興、美化・緑化・環境保全、
など
③【教育】
経済・金融・消費者教育、起業家教育、職場体験・インターンシップ、など
④【雇用】
高齢者や障害者、ニート・フリーター、ホームレスの雇用・就業支援、など
⑤【治安・安全・防災】
防犯活動、交通安全活動、消防・防災活動、など
⑥【保健・医療・福祉】
高齢者や障害者の生活支援、貧困者やホームレスの生活支援、育児支援、など
16
アンケート調査によると、黒字企業は赤字企業と比較して「企業への信頼と高感度が高
まる(長期的な目で見た利益)」ことをメリットと感じている企業が多い。また、黒字企業
の傾向として、新しい人材の確保、従業員のやる気向上や教育、ビジネスパートナーとの
関係が円滑になるといったメリットを赤字企業よりも感じているほかに、純粋な社会貢献
のためという意識の高さが伺える。
図表 1-3-16:中小企業が取り組む地域貢献活動
0
10
20
30
40
50
60
70
3 5 .6
3 3 .3
3 1 .2
3 1 .8
ビジネスチャンスを得やすい
3 4 .2
37 .9
3 6 .4
3 8.8
新しい顧客が増える
3 5 .6
3 3.3
馴染み客・ お得意様が増える
4 8 .1
47 .1
5.5
1 8 .4
新しい人材の確保が進む
1 1 .7
5 .9
1 9.2
3 2.2
28 .6
売上 高経 常利 益率
従業員のやる気向上や教育につながる
1 6.5
5.0%以上
2.0%~4.9%
0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
2 .7
5 .7
2.6
3.5
経営の危機の際に周りからの応援がある
57 .5
6 0 .9
5 4 .5
企業への信頼と好感度が高まる( 長期的な目で見た利益)
3 1 .8
1 6 .4
1 3 .8
13 .0
ビジネスパートナー(外注先・仕入先・下請など) との関係がよ
り円滑になる 9.4
4 5 .2
3 7 .9
純粋な社会貢献のためである
2 9 .9
35 .3
ここでは、地域貢献活動を積極的に行うことが地域からの評価につながっていることが
示されている。一方で、アンケートの設問クロス集計やインタビュー調査からは、それが
従業員への人材マネジメントやお客様の声を吸い上げる取り組みにつながり、企業の利益
創出の可能性を高めることが見受けられる。
17
4
経営者自身の向上を図る
(1)「自分づくり」を行う
常に変化していくビジネス環境の中で、将来にわたってビジネスを継続していくために
は不断の「革新」が必要とされる。そのような中、良くも悪くも企業を導くことができる
のは経営者のみである。各種取り組みを推進して、企業の活力を向上させるためには、経
営者自身の「自分づくり」を進めることが大前提である。
まずは経営者が自らの向上に取り組むことにより、最適な経営判断に資することができ
れば、「活力ある企業」として継続的に発展することが期待できる。
図表 1-3-17:経営者自身の向上のためにどのような経営力向上・自己研鑽
を行なっているか
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
5 7 .3
5 9 .6
本を読む
46 .0
4 9 .5
6 9 .5
7 6 .4
新聞や雑誌を読む
6 3 .2
6 1 .4
4 8 .8
5 9 .6
セミナーや講演会等への参加
52 .9
3 2 .7
73 .2
7 0 .8
従業員との意見交換
5 9 .8
4 7 .5
6 8 .3
7 0 .8
顧客の意見を聞く
5 9 .8
5 4.5
6 5 .9
62 .9
他の企業経営者との意見交換
6 4 .4
3 3 .7
売上 高経 常利 益率
4 6 .3
4 2 .7
ビジネスパートナー(外注先、下請け、仕入先等)の意見を
聞く
3 4 .5
4 2 .6
5.0%以上
2.0%~4.9%
0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
5 6 .1
5 8 .4
専門家(税理士や会計士、コンサルタント等)の意見を聞く
4 2 .5
2 7 .7
18
アンケートによると、黒字企業は全般的に経営力向上や自己研鑽に積極的であることが
読み取れる。特に、黒字企業は「セミナーや講習会への参加」、
「従業員との意見交換」、
「顧
客の意見を聞く」、「他の企業経営者との意見交換」、「専門家の意見を聞く」において、赤
字企業より積極的であることが示されている。
(2)人脈・ネットワークを構築する
「自分づくり」が大切とはいえ、経営者一人の力では限界もあるだろう。
「一体何に取り
組めばよいか判らない」という経営者もいるのではないか。そのようなとき、地域で同じ
ように切磋琢磨している経営者や企業支援の専門家との接点が、
「自分づくり」に必要な知
見やノウハウ、ヒント、情報を得ることにつながる。また、これは新たなビジネスチャン
スやパートナーにつながることもある。そのため、人脈やネットワークを目的や必要な機
能に応じて深堀りすることも大切になる。
図表 1-3-18:地域でどのような人脈やネットワークを活用しているか
0
10
20
30
40
50
60
70
80
80.0
71.9
69 .8
他の企業及びその経営者(OBも含む)
47.5
12 .5
16 .9
15.1
自社のOB(前経営者や幹部など)
4.0
3 6.3
43.8
商工会や商工会議所
38.4
30 .3
1 1.3
学校(大学・高校・専門学校など)
20.2
5.8
10.1
8.8
地域の公的産業支援機関、公的研究機関等
20.2
9.3
10.1
63.8
52.8
民間専門家(会計士、税理士、コンサルタント等)
6 1.6
3 6.4
6 2.5
59.6
民間金融機関(地銀、都市銀行、信金)
6 8.6
39.4
13.8
16.9
22 .1
13.1
政府系金融機関( 旧 国民生活金融公庫、旧 中
小企業金融公庫など)
行政(国や自治体)
特定非営利活動法人(NPO)
特にネットワーク・人脈はない
18.8
16.9
売上 高経 常利 益率
1 0.5
13.1
8.8
5 .6
4.7
8.1
5.0%以上
2.0%~4.9%
0.1%~1.9%
7 .5
9.0
11.6
0 ないし 赤字基調
22.2
19
90
アンケートによると、実際に黒字企業は「他の企業及びその経営者」、
「自社のOB」、
「民
間専門家」、「民間金融機関」、「商工会や商工会議所」と人脈・ネットワークを構築するこ
とに、赤字企業より積極的であることが示されている。
(3)後継者を見据えた経営を重視する
企業が継続的に発展すれば、顧客が求める商品や・サービスにつながり、継続した雇用
などで社会的にも評価される可能性が生まれる。このため、企業を次世代に承継させるこ
とも経営者の重要な役割と言えるだろう。そのためには、後継者に必要な企業経営のため
の資質や条件を検討することも大切になってくる。
図表 1-3-19:後継者の決定時に重視すること
0
10
20
30
40
50
60
70
58.7
61.6
親族である
48. 5
63. 5
50.8
50.7
48.5
経営理念・ビジョンをよく理解している
41.3
61.9
52. 1
51. 5
経営能力が高い
33.3
61.9
49.3
51.5
49.2
業務内容をよく理解している
38.1
45. 2
従業員からの支持が高い
31.8
14. 3
30.2
28 .8
25. 8
30.2
顧客からの支持が高い
20.6
ビジネスパートナー(下請け、外注先、仕入先)からの支持が
高い
8.2
16.7
6.3
17.5
金融機関からの支持が高い
9.6
9.1
6.3
0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
4.1
7.6
1.6
19.0
15.1
19. 7
自身との相性がよい
7.9
20
5.0%以上
2.0%~4.9%
7.9
株主からの支持が高い
売上 高経 常利 益率
アンケートによると、全般的に「親族である」、「業務内容をよく理解している」が重視
されているが、黒字企業は「経営理念・ビジョンをよく理解している」、
「経営能力が高い」、
「従業員からの支持が高い」、「ビジネスパートナーからの支持が高い」、「金融機関からの
支持が高い」ことも赤字企業より重視していることが示されている。
(4)事業戦略を検討する
経営者としてのリーダーシップを発揮し、会社の将来を見据えた事業戦略を検討するこ
とが大切になる。新たな商品開発や事業企画、人材育成、組織風土や環境づくりへの取り
組みが、社会の変化に応じた次のイノベーションにつながる。
アンケートにある事業展開にあたり重要視する検討内容を見ると、全般的に「自社の強
み・弱み・特徴」が重要視されていることが判る。一方で、黒字企業は、
「商品・サービス
の市場性」と「地域の市場性」も重要視していることが示されている。黒字企業は、可能
な限り客観的な分析と合わせて自社の強みや弱みを検討していることが伺える。
図表 1-3-20:事業展開にあたり重要視する検討内容
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
82.7
85 .4
自社の強み・弱み・特徴
69.9
74 .2
3 9.5
3 8.2
外部経済環境(景気動向、 為替変動、政治動向、規制な
ど)
売上 高経 常利 益率
5.0%以上
43 .4
2.0%~4.9%
36 .6
0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
44.4
52.8
競争環境(ライバルとの競合関係など)
63 .9
4 0.9
7 5.3
6 9.7
商品・サービス の市場性(価格動向、規模、成長性など)
65 .1
57 .0
53 .1
42 .7
地域 の市場性(人口構造、成長性など)
43.4
26 .9
21
図表 1-3-21:地域社会における企業経営のあるべき姿
(企業内部と外部の取り組みと事業戦略との関係)
「外部」への取り組み
「内部」への取り組み
経営理念、
人づくりと環境づくり
地域社会(顧客、協力業者、地域、
住民、従業員)との関係構築
事業戦略
アンケートの設問クロス集計によると、地域貢献活動への積極的な取り組みから地域の
市場性を読み取る、新商品開発や市場拡大といった事業拡大につながる等の可能性が高ま
ることが示されている。
22
第4章
1
本調査で明らかになった内容と提言
各経営要素を踏まえた企業経営モデル像
本調査で対象とした、経営の「内部」への取り組みと、地域社会における関係構築とい
う「外部」への取り組みについて、一連の経営要素の実践が、地域社会から評価され、地
域社会で持続・発展する企業への近道であると考える。
本調査研究から次のような企業経営モデル像が浮き彫りになった。
図表 1-4-1:地域社会におけるあるべき中小企業経営モデル
自立・創造できる
人づくりと環境づくり
経営理念の明示と
実践・浸透
戦略的な事業展開
地域社会での
良い関係づくり
地域での存在価値
の高まり
顧客満足度向上
業績の向上
なお、企業経営モデル像を構成する各々の内容が、一連のサイクルとして密接に作用し
ていくものと考えられる。これはどの内容から見ていっても、企業経営にプラスの相乗効
果を与えるサイクルだと考えられ、例えば「経営理念の明示と実践・浸透」
「地域社会との
良い関係づくり」では、次の図のような効果の創出につながることが期待される。
図表 1-4-2-1 では、経営理念の明示と実践・浸透が、人づくりや組織風土の熟成につな
がり、そこから従業員の能力・満足度の向上や経営における生産性向上・経営革新推進と
いった各種の経営力向上策につながることで、顧客満足度の向上や特定の成果の創出を通
じた業績そのものへの効果につながることも考えられる。
23
図表 1-4-2-1:経営理念の明示と実践・浸透による効果(イメージ)
各種経営力向上
・生産性向上
組織風土
・事業の創造
業
・企業の再生
経営理念
・経営計画及び
人づくり
績
・財務的な改善
経営革新推進
・成長と持続
・危機への対応
etc.…
従業員満足度の向上
顧客 満足 度の 向上 /事 業戦 略へ の反 映
成
果
図表 1-4-2-2:地域社会との良い関係づくりによる効果(イメージ)
地域社会との良い
組織内部
・組織風土
関係づくり
・人づくり
・雇用
・生産者/仕入先
業
績
・住民
・財務的な改善
・顧客
事業戦略
・地域全体
・成長と持続
・商品戦略
etc.…
・流通戦略
・プロモーション戦略
・価格戦略
etc.…
社会関係資本の蓄積
従業員満足度の向上
顧客 満足 度の 向上 /事 業戦 略へ の反 映
成
果
一方、図表 1-4-2-2 では、地域社会との良い関係づくりとして、地域の協力業者や顧客、
住民等から支持される関係を構築することが、地域社会を大切に考える人づくりや組織風
土が育まれる素地へとつながり、また、商品戦略や流通戦略、価格戦略といった地域社会
24
を対象とする事業戦略にも反映されることで、業績そのものへのプラスの効果につながる
ことも考えられる。
調査研究からは、地域社会との良い関係づくりに取り組む企業が、地域のブランド推進
のための PR 活動に取り組む事例や、材料の調達先である生産者をネットワーク化するこ
とで地域農産物の生産維持に貢献している事例、自分達が住む地域のすばらしさを伝える
NPO 活動の事例など、地域社会にとってプラスの効果を及ぼしているであろうことも見受
けられた。
2
地域社会におけるあるべき姿の中小企業を増やすための提言
地域社会から評価され、地域社会で持続・発展する企業を数多く創出するとの観点から、
更なる検討の深掘りが必要であろう3つの方向性を提言として示したい。
提言1
地域社会との関わりが事業や経営上のメリットにつながり、地域社会にも便益をも
たしている企業の「価値」を評価し、且つ、こうした地域での価値を持つ企業を数多
く創出するために必要な定義、類型、評価の基準を可視化することが必要ではないか。
(参考1)<調査研究で実施した企業インタビュー事例から見える類型>
【まちづくり・コミュニティ構築】【観光振興】
・伝統産業を活かしたまちづくり・観光振興
・飲食店経営で観光振興
・商店街活性化のために NPO 立ち上げ、地元業者活用による教習所内サービス、教習
所内での地元商店街パンフレット PR
・自治体と連携して古民家利用レストランを経営
・商工会議所と連携した空き店舗活用事業や新たな商店街グループ結成
・エリアマネジメント推進、新規入居者と自治会メンバーとのコミュニティづくり
【地域活性化】【農業活性化】
・組合結成による業界活性化。
・子供の夢を応援する NPO を立ち上げ、地域行政、教育機関との新たな連携活動
・生産者を含む、加工・販売・専門家とのネットワーク化。商品の普及拡大活動による
地元農家活性化。
・イベントによる住民と農家との交流事業
・地元農家指導による栗の栽培促進とブランド化
・地元農家からの仕入れ
・地元農家と連携した新商品開発。農商工連携のハブ機能。
・農家への種苗メーカー情報提供。農家とメーカーとの接点づくり。
・組合活動でリーダーシップ。
・地元産品の販路拡大のため共同販売所を市街地に設置。
・農業のビジネス化。新規就農者の育成支援。
25
・市内の原材料の積極活用。
【地域ブランド化】
・地域の米を対外発信。贈答用パッケージ。
・卸売で地元物産扱う。機関紙にて PR とブランド化。
・地域の歴史・文化紹介。
【教育】
・地域の企業経営者の教育の場をつくる。
・従業員の独立支援。
・地域企業への技術伝承・人材教育活動。NPO 法人ものづくり学校設立。
・地域活性化事業による子ども達のアントプレナーシップ教育。商店街メンバーへの意
識改革。
・中学生インターンシップ受け入れ。
・教育員会と協力した講演活動。小中学生の体験学習や就業体験。
【雇用】
・事業拡大に伴い雇用が 3 倍増加
・県のキャリアプラス事業推進。人材派遣と雇用促進支援。
・多様な雇用拡大を目指す。
・障害者雇用の実施。
【その他の地域課題解決】
・高齢者への御用聞きサービス。
・主婦層、リタイア層などの雇用。
・病院や福祉施設への給食サービス。
・行政・商工会議所等への環境関連活動の働きかけ。
・地域の地主層へのターゲッティング。「相続」相談のための一般社団を立ち上げ。
・マンスリーマンション、トランクルーム、コインパーキングなど、地域特性に合わせ
たサービス展開。
(参考2)<社会的な価値の定義>
○ソーシャルキャピタルとは、
「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性
を高めることのできる『信頼』
『規範』
『ネットワーク』といった社会組織の特徴」
【ロ
バート・パットナム】
○社会性とは、
「現在解決が求められる社会的課題に取り組むことを事業活動のミッショ
ンとすること」【経済産業省:ソーシャルビジネス研究会】
○優れた農商工連携の特徴として、「域内売上(生産への寄与)」「雇用の創出」「地域課
題の解決」「生産者の所得・モチベーション(意欲)の向上」「女性・若者等の人材育
成・活躍の場の提供」「知名度アップ」【経済産業省、農林水産省:地域を活性化する
農商工連携のポイント】
○地域貢献の定義として以下の基準【日本政策金融公庫:小企業の地域貢献に関する実
態調査結果】
26
②文化・環境に関する活動
祭りや伝統行事の開催や維持
地域における分野やスポーツの振興
地域の美化や緑化
地域の環境保全
その他
①地域の振興に関する活動
地場産業の活性化
商店街の活性化
特産品や農水産物など地域資源の活用
その他
③教育に関する活動
④雇用に関する活動
経済・金融・消費者教育
高齢者の雇用・就業支援
起業家教育
障害者の雇用・就業支援
職場体験・インターンシップの受け入れ
ニート・フリーターの雇用・就業支援
その他
ホームレスの雇用・就業支援
元受刑者の雇用・就業支援
⑤治安・安全・防災に関する活動
外国人労働者の雇用・就業支援
防犯活動
その他
交通安全活動
消防・防災活動
⑥保健・医療・福祉に関する活動
高齢者の生活支援
障害者の生活支援
生活困窮者やホームレスの支援
食の安全確保
育児支援
その他
(参考3)<価値の可視化の事例>
○知的資産経営(経済産業政策局)
競争力の源泉たる人材、知的財産、組織力、顧客とのネットワーク、ブランド力など
の「知的資産」の活用や保護を重視した経営(知的資産経営)に取り組むとともに、こ
れを効果的に開示し、企業価値向上に繋げていくことが重要としている。知的資産経営
報告書の作成などによって、企業の保有する価値の可視化を図る。
図表 1-4-3:知的資産と知的財産の関係性イメージ
出所:中小企業のための知的資産マニュアルより
27
○魅力発信レポート(中小企業庁)
中小・小規模企業が必要な人材確保等を行うため、知的資産経営の考えに従って作成
されるレポートである。目に見えにくい経営資源である知的資産を明らかにし、事業展
開における価値の創造や将来ビジョン等をとりまとめることで、人材の確保や社内マネ
ジメントへの活用による経営力向上を図る。主に若年の求職者・就職希望者に向け発信
するものを想定している。
○国際標準 ISO26000 社会的責任に関する手引き(国際標準化機構)
組織が受ける経済的側面、社会的側面、環境的側面での影響を考慮し、ステークホル
ダーとの連携を図りながら、組織のあらゆる活動と SR(Social Responsibility)の行動を
統合して社会的責任を実施していくためのガイダンス。規格内には SR の主要課題として、
組織のガバナンス、人権、労働慣行、環境、公正な事業活動、コミュニティと社会への
貢献、消費者課題の 7 つの分野が記載されている。
その特徴として、ISO9000、14000 の様な認証制度ではないことが挙げられる。組織
の社会的責任に関する実施ガイダンスだけでなく、企業が国際展開をする上で、環境や
労働慣行、人権、消費者課題などのテーマについて国際的な基準が理解できるものとな
っている。日本規格協会より中小企業の ISO26000 実践のための解説が発行されている
(http://iso26000.jsa.or.jp/_inc/top_iso/2kaisetsu.pdf)
図表 1-4-4:ISO2600 の概要
出所:ISO/SR 国内委員会、
(財)日本規格協会「やさしい社会的責任― ISO26000 と中
小企業の事例 ―」より
28
○横浜型地域貢献企業認定制度(横浜市)
地域と企業が「信頼」と「ネットワーク」で結ばれる豊かな市民生活を実現すること
を目的とし、本業・その他の活動を通じ、地域貢献の視点で雇用や環境などの事業活動
に取り組んでいる企業や事業体を、一定の基準(地域志向 CSR マネジメント・システム
規格)のもとに「横浜型地域貢献企業」として認定している。認定を受けると、認定マ
ークが付与されるほか、広報支援や低利の融資を受けることができるなどのインセンテ
ィブを設定している。
図表 1-4-5:横浜型地域貢献企業認定制度
認定マークと認定基準項目
出所:横浜型地域貢献企業支援事業ホームページより
http://www.idec.or.jp/csr/
○NICES ランキング(日経リサーチ)
上場企業を対象に、(1)投資家指標(時価総額の増減、配当など7指標)、(2)消費
者・取引先指標(売上高、認知度など5指標)、(3)従業員指標(有給休暇、定着率な
ど5指標)、(4)社会指標(雇用の確保、社会貢献活動など5指標)、(5)潜在力(設
備投資、人材育成などに記者の評価を加算)の 5 つの側面から点数化し、ランキングを
作成する。企業の良し悪しを業績だけで判断するのではなく、企業で働く従業員や一般
消費者にとっても良い会社を測る指標を取り入れており、業績だけでなく、働きやすく、
社会への貢献度も高い企業が分かるようになっている。
29
提言2
「経営理念の明示・実践・浸透」
「人づくりと環境づくり」
「地域社会との良い関係」
など、本調査研究で明らかにした地域社会から評価され、且つ、地域社会で持続・発
展するために必要な企業の経営要素について、これらを企業の経営力強化に資する判
断材料として施策制度に反映させられないか。
(参考4)<中小企業経営革新支援(計画承認基準)>
【実施計画】
・実施項目の実現が見込まれるもの(新商品開発、新役務開発、商品新生産方式、役務
新提供方式に関する新事業活動)
・実施項目の評価基準、評価頻度、実施時期の実現が見込まれるもの
【資金計画】
・資金計画の実現が見込まれるもの
【設備投資計画】
・導入する設備が適切で有効であること
【その他】
・組合等の実施体制が適切、試験研究のための費用の賦課が適切、組合等の運営が適正
<<本研究会での議論を踏まえた留意点>>
現状の計画承認基準は、あくまでも経営革新計画の承認を行うことが前提となった基
準であるため、経営革新計画を作成し遂行していく主体である企業自体の経営要素の把
握までは求められていない。一方で、自治体が独自の承認基準を追加で準備できるなど、
施策の運用自体には柔軟性があることから、例えば、計画承認基準に加えて、申請企業
自体の経営要素を判断する際の判断材料とすることなどが考えられる。
(参考5)<中小企業再生支援(企業のチェック基準)>
【中小企業の再生に向けた窓口相談(第一次対応)】
-以下に掲げる事項の把握が求められる-
企業の概要、財務状況、株主・債権債務関係(取引金融機関等)、事業形態 、構造(主
要取引先等) 、 会社の体制 、 人材等の経営資源 、現状に至った経緯、改善に向けたこれ
までの努力及びその結果、取引金融機関との関係、再生に向けて活用できる会社の資源、
再生に向けた要望、社内体制の準備の可能性
30
【再生計画策定支援(第二次対応)】
-再生計画案には以下の内容を含むものとされている-
企業の概況、財務状況の推移、実態貸借対照表、経営が困難になった原因、事業再構
築計画の具体的内容、今後の事業見通し、財務状況の今後の見通し、資金繰り計画、債
務弁済計画、金融支援(リスケ、追加融資、債権放棄など)を要請する場合はその内容
<<本研究会での議論を踏まえた留意点>>
第一次対応では、相談企業の経営要素をチェックするための基準が設けられている(事
業形態、構造(主要取引先等)、会社の体制、人材等の経営資源)。一方で、第二次対応
では、あくまでも再生計画の策定を行うことが前提の内容となっているため、再生計画
を作成し遂行していく主体である企業自体の経営要素の把握までは求められていない。
例えば、第一対応のチェック基準への追加や、第二次対応による再生計画策定後の達成
状況等のモニタリングを行う際の判断材料とすることなどが考えられる。
提言3
地域社会から評価され、且つ、地域社会で持続・発展する企業を数多く創出するた
め、本調査研究で明らかにした経営要素や企業経営モデルについて、企業経営者のみ
ならず、広く地域の利害関係者及び企業支援に携わる官民の関係者による理解が必要
である。
<<本研究会での議論を踏まえた留意点>>
 想定される普及策として、広報活動や経営要素を実践する企業への表彰制度、優良企業
事例を集めたベストプラクティス集の作成、普及啓発のためのセミナー活動など、多様
な 企業 経 営 者 や企 業 支 援 関係 者 な ど に応 じ た 精 緻な 普 及 手 法の 検 討 と 工夫 が 必 要 とさ
れる。
 想定される普及の担い手として、地域を主体とした経済産業局や都道府県、基礎自治体、
商工会議所、商工会、中小企業振興公社といった従来からの行政機関や産業支援機関と、
新たに税理士や公認会計士、地域金融機関といった企業支援を担う民間機関との協力関
係を築き、その企業支援機能の裾野を地域で拡大することも普及促進のためには有益で
あると考えられる。
 企業支援に携わる官民の関係者が、本調査で明らかにした、企業経営及び地域の双方に
資する経営要素への理解を深めることで、中小企業の課題を的確に目利きし、正しく施
策制度や企業支援を行う機関、専門家に繋ぐコーディネート機能が発揮できるよう、経
営全般を俯瞰できるような地域のメンター人材としての育成が期待される。
31
第2編
アンケート調査結果
第1章
調査対象及び実施期間
・実施期間:平成 22 年 11 月 12 日配布~平成 22 年 12 月 16 日(延長期間含む)
・実施対象:
関東経済産業局管内(1都 10 県:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京
都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)の中小企業(小売・宿泊・飲食・対
個人サービス業)に対して実施。
・回収:
366 件/2,000 件 (18.0%)
平成 23 年 1 月 14 日現在
・直近 10 年間の売上高経常利益率別の回収状況
①4 クラス分け
図表 2-1-1:4 クラス分けでの回収状況
№
クラス
件数
(全体)%
(除不)%
1 5.0%以上 82
22.4
22.8
2 2.0%~4.9%
89
24.3
24.8
3 0.1%~1.9%
87
23.8
24.2
4 0 ないし 赤字基調
不明
101
7
27.6
1.9
28.1
サンプル数(%ベース)
366
100
359
②6 クラス分け
図表 2-1-2:6 クラス分けでの回収状況
№
クラス
件数
(全体)%
(除不)%
1 10.0%以上 2 5.0%~9.9%
31
51
8.5
13.9
8.6
14.2
3 3.0%~4.9%
37
10.1
10.3
4 2.0%~2.9%
5 0.1%~1.9%
52
87
14.2
23.8
14.5
24.2
6 0 ないし 赤字基調
不明
101
7
27.6
1.9
28.1
サンプル数(%ベース)
366
100
359
以下、アンケートの各設問について、売上高経常利益率の上記二つのクラス分けの回答で
クロス集計を行なった。
なお、図表における単位は基本的に%表記とする。
32
第2章
1
売上高経常利益別クロス集計結果
回答者属性
(1)回答者の主たる業種
アンケートでは最大 3 つまで業種を選択可能にしている。ここでは、一番目に選択された業種を集計した。
図表 2-2-1:回答者の主たる業種(4 クラス)
業種 (回答その1)
上段:度数
下段:%
農業・畜 漁業
産業
合計
355
100
78
100
88
100
85
100
98
100
6
100
合計
5.0%以上
2.0%~4.9% 0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
不明
-
10.3 11.2 -
林業
鉱業・砕 建設業
石業
-
-
設備工事 製造業
業
2
0.6
3
0.8
1
1.3
1
1.1
1
1.2
2
2.4
-
-
-
専門・技
不動産業 物品賃貸 術サービ 飲食業
業
ス業
3
0.8
合計
5.0%以上
2
0.6
1
1.3
1
1.1
1
1.2
1
1
2.0%~4.9% 0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
不明
6
1.7
1
1.3
2
2.3
1
1.2
22-
7
2
3
3.8
3
3.4
1
1.2
情報通信 運輸業・ 卸売業
業
倉庫業
1
0.3
-
1
0.3
1
1.3
11.2 -
製造小売 仕入小売 金融・保
業
業
険業
17
4.8
6
7.7
4
4.5
5
5.9
2
2
-
10
2.8
2
2.6
3
3.4
1
1.2
4
4.1
-
121
34.1
17
21.8
38
43.2
34
40
29
29.6
3
50
1
0.3
1
1
-
業種 (回答その1)
上段:度数
下段:%
ガス・熱
供給業
-
10
2.8
2
2.6
1
1.1
2
2.4
5
5.1
1
1
-
-
35
9.9
6
7.7
7
8
7
8.2
14
14.3
1
16.7
持ち帰り・
宅配飲食 宿泊業
業
3
0.8
30
8.5
12
15.4
3
3.4
3
3.5
12
12.2
2
2.4
1
1
-
-
生活関連
(対個人)
サービス
業
37
10.4
12
15.4
7
8
8
9.4
9
9.2
1
16.7
33
廃棄物処 自動車修 機械等修 広告業
理業
理業
理業
-
38
10.7
4
5.1
12
13.6
10
11.8
11
11.2
1
16.7
2
0.6
1
1.3
-
11.2 -
娯楽業
1
0.3
1
1.1
-
その他事
教育・学 医療・福 業所向け その他
習支援業 祉関連業 サービス
業
2
3
19
0.6
0.8
5.4
1
1
7
1.3
1.3
9
14
1.1 4.5
1
3
1.2
3.5
1
5
1
5.1
-
図表 2-2-2:回答者の主たる業種(6 クラス)
業種 (回答その1)
上段:度数
下段:%
農業・畜 漁業
産業
合計
355
100
29
100
49
100
37
100
51
100
85
100
98
100
6
100
合計
10.0%以上 5.0%~9.9%
3.0%~4.9% 2.0%~2.9% 0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
不明
-
10.3 11.2 -
林業
鉱業・砕 建設業
石業
-
-
設備工事 製造業
業
2
0.6
-
3
0.8
1
3.4
-
-
-
-
不動産業
5.0%~9.9%
3.0%~4.9%
1
2
1
1.2
1
1
2.0%~2.9%
0.1%~1.9%
0 ないし 赤字基調
不明
専門・技
物品賃貸
術サービ 飲食業
業
ス業
3
0.8
合計
10.0%以上 2
3.9
1
1.2
22-
-
7
2
2
6.9
1
2
2
5.4
1
2
1
1.2
情報通信 運輸業・ 卸売業
業
倉庫業
1
0.3
-
1
0.3
1
2
11.2 -
-
製造小売 仕入小売 金融・保
業
業
険業
17
4.8
517.2 1
2
1
2.7
3
5.9
5
5.9
2
2
-
10
2.8
2
4.1
1
2.7
2
3.9
1
1.2
4
4.1
121
34.1
6
20.7
11
22.4
15
40.5
23
45.1
34
40
29
29.6
3
50
1
0.3
1
1
-
業種 (回答その1)
上段:度数
下段:%
6
1.7
1
3.4
1
2
1
1.2
2
2.4
ガス・熱
供給業
-
2
0.6
13.4 -
2
4.1
1
2
2
2.4
5
5.1
1
1
-
10
2.8
-
35
9.9
1
3.4
5
10.2
4
10.8
3
5.9
7
8.2
14
14.3
1
16.7
持ち帰り・
宅配飲食 宿泊業
業
3
0.8
30
8.5
5
17.2
7
14.3
2
5.4
1
2
3
3.5
12
12.2
2
2.4
1
1
-
-
生活関連
(対個人)
サービス
業
37
10.4
4
13.8
8
16.3
5
13.5
2
3.9
8
9.4
9
9.2
1
16.7
廃棄物処 自動車修 機械等修
広告業
理業
理業
理業
-
38
10.7
1
3.4
3
6.1
6
16.2
6
11.8
10
11.8
11
11.2
1
16.7
34
-
20.6 1211.2 -
娯楽業
1
0.3
1
2
-
その他事
教育・学 医療・福 業所向け
習支援業 祉関連業 サービス
業
2
3
0.6
0.8
1
1
2
2
12.7 1
1.2
1
1
-
その他
19
5.4
2
6.9
5
10.2
4
7.8
3
3.5
5
5.1
-
(2)回答企業の創業年
創業年について「1951~1970」、「1971~1990」に回答企業が集中している。
図表 2-2-3:創業年(4 クラス)
0%
5.0%以上(n=72)
10%
20%
8.3
11.1
6.9
2.0%~4.9%(n=82) 4.9
7.3
1910年以前
6.4
40%
60%
70%
35.4
15.7
6.4
50%
34.7
15.9
0.1%~1.9%(n=83) 3.6 3.6
0 ないし 赤字基調(n=94)
30%
24.1
5.3
90%
1931年~1950年
1951年~1970年
100%
29.2
9.7
25.6
11.0
8.4
44.6
39.4
1911年~1930年
80%
30.9
11.7
1971年~1990年
1991年以降
図表 2-2-4:創業年(6 クラス)
0%
10%
20%
合計(n=337) 5.3 6.2
10.0%以上(n=28)
5.0%~9.9%(n=44)
3.0%~4.9%(n=34)
8.8
11.8
1910年以前
6.4
6.4
1911年~1930年
15.7
5.3
70%
32.3
8.8
32.4
20.6
29.2
30.9
1951年~1970年
35
4.5
17.6
44.6
39.4
100%
10.4
29.5
37.5
24.1
90%
17.9
36.4
1931年~1950年
80%
28.6
20.8
0.1%~1.9%(n=83) 3.6 3.6
60%
32.1
11.4
11.4
50%
33.2
10.7
2.0%~2.9%(n=48) 2.1 4.2
0 ないし 赤字基調(n=94)
40%
12.5
7.1 3.6
6.8
30%
1971年~1990年
6.3
8.4
11.7
1991年以降
2
「経営力」に関する質問項目
(1)「経営理念・ビジョン(経営のあり方、経営に対する基本的な考え方等)」の有無
黒字企業は赤字企業に比べて経営理念を「明確化して、かつ文章化している」の割合が高
い。一方、赤字企業は黒字企業と比して極めて少なく、その実践(問1-2)にも影響を及
ぼしている可能性がある。
図表 2-2-5:経営理念・ビジョンを明確にしているか(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
49.4
5.0%以上(n=81)
2.0%~4.9%(n=88)
24.4
47.0
明確化して、かつ文章化している
13.6
32.6
14.0
100%
16.0
31.8
43.0
0 ないし 赤字基調(n=100)
90%
34.6
54.5
0.1%~1.9%(n=86)
80%
39.0
明確化しているが文章化していない
明確にしていない
図表 2-2-6:経営理念・ビジョンを明確にしているか(6 クラス)
0%
10%
20%
30%
39.2
合計(n=330)
5.0%~9.9%(n=51)
50%
60%
70%
62.2
明確化して、かつ文章化している
8.1
29.7
33.3
49.0
14.0
17.6
29.4
17.6
24.4
32.6
43.0
47.0
明確化しているが文章化していない
36
100%
13.3
43.3
3.0%~4.9%(n=37)
0.1%~1.9%(n=86)
90%
23.6
52.9
2.0%~2.9%(n=51)
80%
37.2
43.3
10.0%以上(n=30)
0 ないし 赤字基調(n=100)
40%
39.0
明確にしていない
(2)経営理念の実践の程度
黒字企業では「ほぼ実践」と「ある程度実践」を合わせた割合が赤字企業より高い。
図表 2-2-7:経営理念の実践の程度(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
26.5
5.0%以上(n=68)
55.4
11.5
0 ないし 赤字基調(n=61)
ほぼ実践できている
80%
90%
50.0
15.4
0.1%~1.9%(n=65)
70%
55.9
31.6
2.0%~4.9%(n=76)
60%
100%
17.6
0.0
18.4
0.0
29.2
47.5
0.0
37.7
ある程度実践できている 少しは実践できている
3.3
まったく実践できていない
図表 2-2-8:経営理念の実践の程度(6 クラス)
0%
10%
20%
合計(n=275)
21.8
10.0%以上(n=26)
23.1
5.0%~9.9%(n=42)
28.6
2.0%~2.9%(n=42)
31.0
ほぼ実践できている
50%
70%
80%
90%
0.7
11.5
47.1
0.0
20.6
0.0
16.7
37.7
47.5
少しは実践できている
37
0.0
29.2
55.4
0.0
21.4
52.4
ある程度実践できている 100%
25.8
50.0
15.4
11.5
60%
65.4
32.4
0 ないし 赤字基調(n=61)
40%
51.6
3.0%~4.9%(n=34)
0.1%~1.9%(n=65)
30%
0.0
3.3
まったく実践できていない
(3)経営理念の浸透方策
黒字・赤字企業ともに唱和や訓話、理念教育とった基本的な方策の活用が見られるが、特
に、唱和や訓話で赤字企業と黒字企業で差が見られる。一方で、モニタリングについては黒
字・赤字企業ともに割合は低い。
図表 2-2-9:経営理念を従業員に理解させるために行なっていること(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
4 6 .7
4 2 .9
朝礼や会議等にて唱和している
2 8 .1
2 8 .3
6 1 .7
6 8 .6
朝礼や会議等で経営者から訓話をする
5 0 .9
3 2 .6
3 0 .0
4 1 .4
3 6 .8
新入社員の教育時に経営理念教育を実施している
2 8 .3
1 6 .7
1 5 .7
1 0 .5
社内報等による経営理念の啓蒙活動を実施している
2 .2
経営理念の浸透を目指した教材や冊子等を作成している
2 .2
1 8 .3
1 8 .6
1 5 .8
1 5 .0
経営理念の浸透を目的とした合宿や研修、発表会等のイベント
実施している。
理解度を把握するためのモニタリングを実施している
その他
38
7 .1
8 .8
6 .5
5.0%以上(n=60)
2.0%~4.9%(n=70)
0.1%~1.9%(n=57)
0 ないし 赤字基調(n=46)
5 .0
5 .7
3 .5
2 .2
5 .0
2 .9
2 1 .1
2 3 .9
図表 2-2-10:経営理念を従業員に理解させるために行なっていること(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
3 6.7
朝礼や会議等にて唱和している
28 .1
28 .3
3 7.8
50.0
60.0
朝礼や会議等で経営者から訓話をする
20 .8
新入社員の教育時に経営理念教育を実施している
28 .3
社内報等による経営理念の啓蒙活動を実施している
2.2
36 .8
80.0
4 5.8
4 7.2
4 8 .5
5 5.3
5 4.2
32 .6
35 .0
3 6 .1
36 .4
70.0
5 0.9
66 .7
72 .7
6 4.9
45 .9
1 1.8
1 6.7
1 6.7
21 .2
1 0.8
1 0 .5
1 4.3
経営理念の浸透を目指した教材や冊子等を作成している
2.2
経営理念の浸透を目的とした合宿や研修、発表会等のイベント
実施している。
理解度を把握するためのモニタリングを実施している
その他
2 0.8
1 6.7
9.1
2 7 .0
15 .8
9 .7
1 6.7
1 3.9
6 .1
8 .1
8 .8
6.5
4.2
0.0
8 .3
9.1
2 .7
3 .5
2.2
12 .2
4.2
5 .6
0.0
5.4
2 1.1
2 3 .9
39
全体(n=237)
10.0%以上(n=24)
5.0%~9.9%(n=36)
3.0%~4.9%(n=33)
2.0%~2.9%(n=37)
0.1%~1.9%(n=57) 0 ないし 赤字基調(n=33)
(4)経営理念の浸透度合い
黒字企業では、赤字企業と比べて「十分浸透している」と「ある程度浸透している」の合
計回答割合が高い。
「十分浸透している」のみでは、黒字企業と赤字企業では問1-2の「実
践度合い」のように大きな差は見られない。
図表 2-2-11:経営理念は社内に浸透しているか(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
9.5
5.0%以上(n=63)
0 ないし 赤字基調(n=49)
90%
0.0
14.1
1.4
22.8
55.1
ある程度浸透している
100%
17.5
64.9
12.2
十分浸透している
80%
69.0
8.8
0.1%~1.9%(n=57)
70%
73.0
15.5
2.0%~4.9%(n=71)
60%
3.5
28.6
少しは浸透し始めている
4.1
まったく浸透していない
図表 2-2-12:経営理念は社内に浸透しているか(6 クラス)
0%
10%
合計(n=244)
11.5
10.0%以上(n=26)
11.5
5.0%~9.9%(n=37)
40%
50%
60%
70%
80%
90%
0.1%~1.9%(n=57)
8.8
12.2
ある程度浸透している
76.3
64.9
55.1
少しは浸透し始めている
0.0
18.2
60.6
40
0.0
16.2
75.7
10.5
2.5
19.2
69.2
21.2
100%
19.7
66.4
2.0%~2.9%(n=38)
十分浸透している
30%
8.1
3.0%~4.9%(n=33)
0 ないし 赤字基調(n=49)
20%
0.0
10.5
2.6
22.8
28.6
3.5
4.1
まったく浸透していない
(5)経営者が最も時間をかける業務
1)現在
黒字企業では、経営者が「企画・研究開発」、「管理・監督」、「人材育成・教育」に力を
入れている傾向が強い。一方で、赤字企業では、
「営業」、
「経理」、
「資金繰り」の傾向が強
く、経営状況(または従業員規模)を反映している可能性がある。
図表 2-2-13:現在最も費やしている業務(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
5 7 .5
58 .0
営業 6 7 .1
7 7 .6
3 8 .8
3 1 .8
2 8 .2
25 .5
企画・研究開発
51 .3
5 1.1
5 4 .1
管理・監督
2 4 .5
3 3 .8
2 8 .4
3 0 .6
3 6 .7
経理・会計
5 2 .5
6 1 .4
人材育成・教育
38 .8
1 8 .4
31 .3
3 3 .0
組織風土づくり・環境づくり
1 7 .6
1 5 .3
5.0%以上(n=80)
2.0%~4.9%(n=88) 0.1%~1.9%(n=85)
0 ないし 赤字基調(n=98)
1 3.8
1 4 .8
資金繰り
3 2 .9
5 1.0
その他
3 .8
3 .4
2.4
7 .1
41
90.0
図表 2-2-14:現在最も費やしている業務(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
65.7
60 .0
56.0
62.2
54.9
67.1
営業 30.6
33.3
企画・研究開発
25.5
25.528.2
管理・監督
2 4.5
60.0
59.5
62.7
人材育成・教育
38.8
18.4
組織風土づくり・環境づくり
17.6
15.3
10.0
その他
8.1
2 3.9
26.0
27.5
40.0
40.5
28.9
16.0
19.6
32.9
4.5
3.3
4.0
2.7
3.9
2.4
7.1
42
77.6
56.0
51.4
51.0
54.1
32.6
40.0
30.0
32.4
25.5
30.6
3 6.7
41.9
40.0
経理・会計
80.0
42.0
40.5
44.1
43.3
資金繰り
70.0
51.0
全体(n=356)
10.0%以上(n=30)
5.0%~9.9%(n=50)
3.0%~4.9%(n=37)
2.0%~2.9%(n=51)
0.1%~1.9%(n=85) 0 ないし 赤字基調(n=98)
90.0
2)今後
おおよそ、「現在」の場合と同様である。黒字企業は、赤字企業に比して「管理・監督」、
「経理・会計」、「人材育成・教育」、「組織風土づくり・環境づくり」に力を入れようと考
えていることが読み取れる。「経理・会計」も黒字企業の方が高い。
一方、赤字企業は「営業」、「資金繰り」である。また、「企画・研究開発」は黒字・赤字企
業ともに同程度である。
赤字企業でも「企画・研究開発」、「人材育成・教育」、「組織風土づくり・環境づくり」
への回答割合は「現在」の場合と比して高くなっており、赤字企業といえども、それらを
今後重視していきたいことが読み取れる。
図表 2-2-15:今後時間をかけて力を入れたい業務(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
44.4
46.4
営業 54.5
66.3
4 8.6
47.6
5 1.9
48 .2
企画・研究開発
3 3.3
28.6
29 .9
管理・監督
18.1
26.4
21.4
経理・会計
15.6
13.3
69.4
71.4
77.9
人材育成・教育
45 .8
41.7
52.4
組織風土づくり・環境づくり
45.5
31.3
8.3
8.3
6.5
資金繰り
5.0%以上(n=72)
2.0%~4.9%(n=84) 0.1%~1.9%(n=77)
0 ないし 赤字基調(n=83)
26.5
その他
2.8
3.6
0
6
43
90.0
図表 2-2-16:今後時間をかけて力を入れたい業務(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
37.1
営業 50.0
44.4
44.4
60.0
70.0
53.4
53.1
54.5
66.3
48.4
35.6
企画・研究開発
42 .9
27.2
29.6
管理・監督
24 .5
18 .1
70.4
54.3
51.9
48 .2
35.6
34.3
29.9
18.8
22.2
2 5.7
18.4
15 .6
13.3
経理・会計
3 3.3
5 9.3
人材育成・教育
29.6
組織風土づくり・環境づくり
31.3
資金繰り
0
6.5
その他
66 .3
67.3
45 .8
7.4
8.9
80.0
12.8
14.3
26.5
3.1
0
4.4
2.9
4.1
0
6
44
75.6
77.1
77 .9
42 .8
48.9
49
45.5
57.1
全体(n=320)
10.0%以上(n=27)
5.0%~9.9%(n=45)
3.0%~4.9%(n=35)
2.0%~2.9%(n=49)
0.1%~1.9%(n=77) 0 ないし 赤字基調(n=83)
90.0
(6)経営上重視しているもの
1)利害関係者
①第 1 位
全体的に「顧客」と回答している割合が高い。一方で、黒字企業ほど、「従業員」とす
る割合は高くなる。
図表 2-2-17:経営上重視しているもの<利害関係者
0%
10%
20%
30%
40%
50%
第 1 位>(4 クラス)
60%
70%
80%
90%
100%
2.8
33.8
5.0%以上(n=71)
7.0
54.9
1.4
0.0
2.0%~4.9%(n=83)
0.0
37.3
60.2
2.4
0.0
25.0
0.1%~1.9%(n=72)
9.7
62.5
2.8
0.0
0 ないし 赤字基調(n=82)
19.5
従業員
8.5
67.1
下請や外注先、仕入先
顧客
図表 2-2-18:経営上重視しているもの<利害関係者
0%
10%
20%
30%
40%
50%
4.9
株主
地域社会
第 1 位>(6 クラス)
60%
70%
80%
90%
100%
0.6
29.1
合計(n=313)
6.1
3.2
61.0
0.0
30.8
10.0%以上(n=26)
53.8
11.5
3.8
2.2
35.6
5.0%~9.9%(n=45)
2.2
55.6
4.4
0.0
0.0
39.4
3.0%~4.9%(n=33)
60.6
0.0
2.0%~2.9%(n=50)
0.0
0.0
60.0
36.0
4.0
0.0
0.1%~1.9%(n=72)
9.7
25.0
2.8
62.5
0.0
0 ないし 赤字基調(n=82)
従業員
19.5
67.1
8.5
下請や外注先、仕入先
顧客
45
株主
4.9
地域社会
②第 2 位
全体的に 2 位は「従業員」との回答割合が高い。また、黒字企業であるほど、
「従業員」
への回答割合も高くなる。
図表 2-2-19:経営上重視しているもの<利害関係者
0%
10%
20%
30%
40%
50%
第 2 位>(4 クラス)
60%
70%
80%
90%
100%
1.4
15.5
50.7
5.0%以上(n=71)
26.8
5.6
0.0
15.7
45.8
2.0%~4.9%(n=83)
34.9
3.6
0.0
45.8
0.1%~1.9%(n=72)
9.7
30.6
13.9
0.0
0 ないし 赤字基調(n=80)
38.8
従業員
22.5
下請や外注先、仕入先
25.0
顧客
株主
図表 2-2-20:経営上重視しているもの<利害関係者
0%
20%
13.8
40%
地域社会
第 2 位>(6 クラス)
60%
80%
100%
0.3
合計(n=311)
45.0
15.8
29.9
9.0
0.0
50.0
10.0%以上(n=26)
23.1
23.1
3.8
0.0
5.0%~9.9%(n=45)
51.1
11.1
28.9
8.9
0.0
3.0%~4.9%(n=33)
15.2
42.4
33.3
9.1
0.0
2.0%~2.9%(n=50)
16.0
48.0
36.0
0.0
0.0
0.1%~1.9%(n=72)
9.7
45.8
13.9
30.6
0.0
0 ないし 赤字基調(n=80)
従業員
25.0
22.5
38.8
下請や外注先、仕入先
顧客
46
株主
13.8
地域社会
③第 3 位
全体的に 3 位は「下請や外注先、仕入先」との回答割合が高い。
図表 2-2-21:経営上重視しているもの<利害関係者
0%
5.0%以上(n=70)
10%
20%
8.6
2.0%~4.9%(n=82)
30%
40%
第 3 位>(4 クラス)
50%
60%
41.4
80%
90%
1.4
15.7
100%
32.9
2.4 7.3
43.9
14.6
70%
31.7
0.0
22.1
0.1%~1.9%(n=68)
7.4
50.0
20.6
1.3
0 ないし 赤字基調(n=78)
17.9
従業員
5.1
42.3
下請や外注先、仕入先
顧客
株主
図表 2-2-22:経営上重視しているもの<利害関係者
0%
10%
合計(n=303)
20%
30%
40%
50%
地域社会
第 3 位>(6 クラス)
60%
44.6
15.8
33.3
70%
7.3
80%
2.6
90%
29.7
0.0
10.0%以上(n=25)
5.0%~9.9%(n=45)
40.0
12.0
42.2
6.7
28.0
20.0
13.3
2.2
35.6
48.5
3.0%~4.9%(n=33)
12.1
6.1
40.8
2.0%~2.9%(n=49)
21.2
12.1
0.0
4.1
16.3
38.8
0.0
0.1%~1.9%(n=68)
20.6
7.4
50.0
22.1
1.3
0 ないし 赤字基調(n=78)
従業員
17.9
42.3
下請や外注先、仕入先
5.1
顧客
47
株主
33.3
地域社会
100%
2)企業の姿
①第 1 位
全体的に「収益性」または「安定性(継続・安定)」との回答割合が高い。ただし、
「安
定性」に関しては、赤字企業において回答割合が低くなる。
図表 2-2-23:経営上重視しているもの<企業の姿
0%
10%
20%
30%
5.0%以上(n=71)
45.1
2.0%~4.9%(n=83)
44.6
40%
50%
第 1 位>(4 クラス)
60%
70%
32.4
8.5
収益性
安定性
10%
20%
合計(n=316)
30%
40%
5.6
6.0
2.7
9.5
10.8
3.6
社会的評価
図表 2-2-24:経営上重視しているもの<企業の姿
0%
8.5
8.1
20.5
将来性
100%
4.8 4.8
27.0
59.0
0 ないし 赤字基調(n=83)
90%
39.8
52.7
0.1%~1.9%(n=74)
80%
6.0
社会貢献
第 1 位>(6 クラス)
50%
60%
50.6
70%
29.7
80%
6.0
90%
100%
8.2
5.4
0.0
38.5
10.0%以上(n=26)
34.6
48.9
5.0%~9.9%(n=45)
15.4
4.4
31.1
11.5
8.9
6.7
3.0
2.0%~2.9%(n=50)
40.0
40.0
0.1%~1.9%(n=74)
20.5
59.0
安定性
将来性
48
3.0
6.0 6.0
27.0
52.7
0 ないし 赤字基調(n=83)
収益性
39.4
51.5
3.0%~4.9%(n=33)
社会的評価
8.1
3.6
3.0
8.0
9.5
10.8
社会貢献
2.7
6.0
②第 2 位
全体的に 2 位として「安定性(継続・安全)」との回答割合が高い。また、黒字企業ほ
ど、「社会的評価」への回答割合が大きくなる。
図表 2-2-25:経営上重視しているもの<企業の姿
0%
20%
40%
21.1
5.0%以上(n=71)
2.0%~4.9%(n=83)
20.3
0 ないし 赤字基調(n=80)
21.3
収益性
60%
10.0%以上(n=26)
5.0%~9.9%(n=45)
3.0%~4.9%(n=33)
2.0%~2.9%(n=50)
22.0
22.2
20.3
0 ないし 赤字基調(n=80)
21.3
収益性
安定性
11.5
36.0
15.6
9.1
49
12.5
社会的評価
26.9
0.0
20.0
2.2
15.2
13.5
17.6
50.0
5.4
6.1
22.0
16.0
37.8
将来性
100%
16.3
14.1
42.4
24.0
0.1%~1.9%(n=74)
80%
40.0
27.3
6.3
社会貢献
60%
42.3
10.0
第 2 位>(6 クラス)
42.2
19.2
10.8
12.5
社会的評価
40%
3.6
13.5
50.0
将来性
1.4
19.3
17.6
図表 2-2-26:経営上重視しているもの<企業の姿
合計(n=313)
22.5
13.3
37.8
20%
100%
14.1
38.6
安定性
0%
80%
40.8
25.3
0.1%~1.9%(n=74)
第 2 位>(4 クラス)
2.0
10.8
10.0
社会貢献
6.3
③第 3 位
全体的に3位として「将来性」、
「社会的評価」、
「社会貢献」への回答割合が高い。黒字
企業に比して、赤字企業では「社会貢献」への回答割合は比較的低くなる。
図表 2-2-27:経営上重視しているもの<企業の姿
0%
10%
2.0%~4.9%(n=83)
9.6
0.1%~1.9%(n=71)
8.5
40%
50%
60%
31.0
18.3
合計(n=309)
10%
11.0
40%
11.1
50%
60%
70%
22.2
80%
90%
22.3
38.5
11.5
11.1
社会貢献
第 3 位>(6 クラス)
32.4
12.6
16.5
社会的評価
30%
23.1
10.0%以上(n=26)
5.0%~9.9%(n=45)
20%
23.9
25.3
将来性
21.7
11.5
15.4
24.4
31.1
3.0
2.0%~2.9%(n=50)
0.1%~1.9%(n=71)
0 ないし 赤字基調(n=79)
収益性
21.2
39.4
3.0%~4.9%(n=33) 3.0
8.5
10.1
安定性
30.0
14.0
14.0
18.3
31.0
33.3
22.0
18.3
25.3
35.4
12.7
将来性
50
100%
21.1
18.3
図表 2-2-28:経営上重視しているもの<企業の姿
0%
90%
25.3
35.4
安定性
80%
21.7
33.7
12.7
70%
23.9
28.2
9.6
10.1
収益性
30%
11.3
15.5
5.0%以上(n=71)
0 ないし 赤字基調(n=79)
20%
第 3 位>(4 クラス)
社会的評価
20.0
23.9
16.5
社会貢献
100%
(7)経営者として経営力向上・自己研鑽のために努力していること
黒字企業は全般的に赤字企業より経営力向上・自己研鑽に積極的であることが読み取れる。
特に、
「新聞や雑誌を読む」、
「セミナーや講習会への参加」、
「従業員との意見交換」、
「顧客の
意見を聞く」、「他の企業経営者との意見交換」、「専門家の意見を聞く」について赤字企業に
比べて回答割合が高くなっている。
図表 2-2-29:経営力向上・自己研鑽のために努力していること(4 クラス)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
5 7 .3
5 9 .6
本を読む
4 6 .0
4 9 .5
6 9 .5
7 6 .4
新聞や雑誌を読む
6 3 .2
6 1 .4
4 8 .8
5 9 .6
セミナーや講演会等への参加
5 2 .9
3 2 .7
73.2
7 0 .8
従業員との意見交換
5 9 .8
4 7 .5
6 8 .3
7 0 .8
顧客の意見を聞く
5 9 .8
5 4 .5
6 5 .9
6 2 .9
6 4 .4
他の企業経営者との意見交換
3 3 .7
4 6 .3
4 2 .7
ビジネスパートナー(外注先、下請け、仕入先等)の意見を聞く
34.5
4 2 .6
5 6 .1
5 8 .4
専門家(税理士や会計士、コンサルタント等)の意見を聞く
4 2 .5
2 7 .7
その他
2 .4
0 .0
3 .4
3 .0
1 .2
特にない
0 .0
1 .1
6.9
51
5.0%以上(n=82)
2.0%~4.9%(n=89) 0.1%~1.9%(n=87)
0 ないし 赤字基調(n=101)
90
図表 2-2-30:経営力向上・自己研鑽のために努力していること(6 クラス)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
53.0
5 1.6
60.8
62.2
57.7
4 6.0
49.5
本を読む
67.6
71.0
68.6
新聞や雑誌を読む
69.2
63.2
61.4
47 .5
41.9
52.9
セミナーや講演会等への参加
86.5
64.9
5 5.8
52.9
32.7
62.4
従業員との意見交換
59.8
4 7.5
71.0
74.5
73.0
69.2
62.4
71.0
66.7
75.7
67 .3
59.8
54.5
顧客の意見を聞く
55.8
54.1
他の企業経営者との意見交換
33.7
67.7
64 .7
69.2
64.4
41.5
54.8
41.2
48 .6
38.5
3 4.5
42.6
ビジネスパートナー(外注先、下請け、仕入先等)の意見を聞く
45 .3
52.9
専門家(税理士や会計士、コンサルタント等)の意見を聞く
27.7
その他
2.2
3 .2
2.0
0 .0
0 .0
3.4
3.0
2 .5
0.0
2.0
特にない 0 .0
0 .0
1.1
6.9
52
42.5
51.9
61.3
67.6
全体(n=364)
10.0%以上(n=31)
5.0%~9.9%程度(n=51)
3.0%~4.9%程度(n=37)
2.0%~2.9%程度(n=52)
0.1%~1.9%程度(n=87) 0 ないし 赤字基調(n=101)
100
(8)地域で活用している人脈やネットワーク
黒字企業・赤字企業ともに、「他の企業及びその経営者」、「民間専門家」、「民間金融機関」
への回答割合が高いが、黒字企業と赤字企業を比較すると赤字企業のほうがその割合は低い。
図表 2-2-31:地域でどのようなネットワークや人脈を活用しているか(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
8 0.0
7 1 .9
6 9.8
他の企業及びその経営者(OBも含む)
4 7 .5
12 .5
1 6.9
1 5.1
自社のOB(前経営者や幹部など)
4 .0
36 .3
4 3.8
商工会や商工会議所
3 8 .4
3 0.3
1 1.3
学校(大学・高校・専門学校など)
2 0.2
5 .8
1 0 .1
8 .8
地域の公的産業支援機関、公的研究機関等
2 0.2
9 .3
1 0 .1
6 3.8
5 2 .8
民間専門家(会計士、税理士、コンサルタント等)
61 .6
36 .4
6 2 .5
5 9.6
民間金融機関(地銀、都市銀行、信金)
6 8.6
3 9.4
1 3 .8
16 .9
政府系金融機関(旧 国民生活金融公庫、旧 中
小企業金融公庫など)
22 .1
1 3 .1
行政(国や自治体)
1 8 .8
16 .9
1 0.5
1 3 .1
8 .8
特定非営利活動法人(NPO)
その他
特にネットワーク・人脈はない
5 .6
4 .7
8.1
6 .3
4 .5
8.1
1 0 .1
5.0%以上(n=80)
2.0%~4.9%(n=89) 0.1%~1.9%(n=86)
0 ないし 赤字基調(n=99)
7.5
9 .0
1 1.6
22 .2
53
90.0
図表 2-2-32:地域でどのようなネットワークや人脈を活用しているか(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
6 6.6
75.5
73 .0
71.2
69.8
他の企業及びその経営者(OBも含む)
47 .5
11 .7
9.7
1 4.3
自社のOB(前経営者や幹部など)
13.5
1 5.1
90.0
87.1
21.6
4.0
37.0
32.3
38.8
商工会や商工会議所
30.3
38.4
43.2
44.2
12.0
6.5
学校(大学・高校・専門学校など)
5.8
1 4.3
10.8
26.9
10.1
12.0
3.2
12.2
地域の公的産業支援機関、公的研究機関等
9.3
10.1
17 .3
24.3
52.6
民間専門家(会計士、税理士、コンサルタント等)
54 .1
51.9
36.4
64 .5
63.3
6 1.6
56 .8
57.1
62.2
57.7
民間金融機関(地銀、都市銀行、信金)
39.4
16.2
12.9
1 4.3
政府系金融機関(旧 国民生活金融公庫、旧 中
小企業金融公庫など)
9.6
13.1
6.5
行政(国や自治体)
特定非営利活動法人(NPO)
その他
特にネットワーク・人脈はない
27.0
14 .5
26.5
7.5
6.5
6.1
8.1
3 .2
68.6
22 .1
16.2
17 .3
10.5
13.1
6.7
12.9
6.1
5.4
5.8
4.7
8.1
1.9
71 .0
8.1
10.1
13.1
10.2
10.8
7 .7
11 .6
22 .2
54
全体(n=359)
10.0%以上(n=31)
5.0%~9.9%程度(n=49)
3.0%~4.9%程度(n=37)
2.0%~2.9%程度(n=52)
0.1%~1.9%程度(n=86) 0 ないし 赤字基調(n=99)
100.0
(9)ネットワークや人脈に相談する内容
黒字企業・赤字企業ともに、
「消費者ニーズや市場動向」、
「同業者・業界動向」の割合が高
い。「消費者ニーズや市場動向」については、黒字企業は赤字企業に比して割合は高い。
「資金繰りへの支援」については赤字企業が高くなっている。また、
「人材教育」や「包括
的助言」については、一部の売上高経常利益率の層において高くなっている。
図表 2-2-33-1:地域でどのようなネットワークや人脈を活用しているか(4 クラス)【1/2】
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
65.7
63.4
消費者ニーズや市場動向
60.0
52.7
64.2
47.9
同業者・業界動向
57.1
62.2
22.4
26.8
新商品やサービスの開発
15.7
18.9
13.4
11.3
設備投資
10.0
5.0%以上(n=67)
2.0%~4.9%(n=71) 0.1%~1.9%(n=70)
0 ないし 赤字基調(n=74)
12.2
7.5
IT導入や情報化
5.6
4.3
4.1
26.9
25.4
新しい販路情報
22.9
21.6
10.4
11.3
人材確保
10.0
5.4
55
図表 2-2-33-2:地域でどのようなネットワークや人脈を活用しているか(4 クラス)【2/2】
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
14.9
29.6
人材教育
21.4
10.8
17.9
16.9
事業・経営計画作成
10.0
14.9
13.4
16.9
資金繰りへの支援
24.3
29.7
6.0
専門家の紹介
1.4
4.3
1.4
5.0%以上(n=67)
2.0%~4.9%(n=71) 0.1%~1.9%(n=70)
0 ないし 赤字基調(n=74)
7.5
12.7
ビジネスパートナーの紹介 10.0
1.4
29.9
18.3
包括的な助言
17.1
21.6
3.0
7.0
行政の支援施策(補助金など)紹介 11.4
6.8
1.5
その他
1.4
2.9
2.7
56
35.0
図表 2-2-34-1:地域でどのようなネットワークや人脈を活用しているか(6 クラス)【1/2】
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
60.1
69.0
63.2
70.4
消費者ニーズや市場動向
59.1
60.0
52.7
57.3
62.1
65.8
同業者・業界動向
48.1
47.7
57.1
6 2.2
21.0
24.1
21.1
29.6
新商品やサービスの開発
25.0
15.7
18.9
11.5
10.3
15.8
18.5
設備投資
全体(n=286)
10.0%以上(n=29)
5.0%~9.9%程度(n=38)
3.0%~4.9%程度(n=27)
2.0%~2.9%程度(n=44)
0.1%~1.9%程度(n=70) 0 ないし 赤字基調(n=74)
6.8
10.0
12.2
5.2
6.9
7.9
IT導入や情報化
3.7
6.8
4.3
4.1
20.7
24.5
31.6
新しい販路情報
22.2
27.3
22.9
2 1.6
9.1
13.8
7.9
人材確保
14.8
9.1
10.0
5 .4
57
図表 2-2-34-2:地域でどのようなネットワークや人脈を活用しているか(6 クラス)【2/2】
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
40.0
19.2
10.3
18.4
37.0
人材教育
21.4
25.0
10.8
15.0
20.7
15.8
事業・経営計画作成
11.1
20.5
10.0
14.9
21.0
20.7
7.9
資金繰りへの支援
11.1
20.5
24.3
29 .7
3.1
6.9
専門家の紹介
5.3
0.0
2.3
全体(n=286)
10.0%以上(n=29)
5.0%~9.9%程度(n=38)
3.0%~4.9%程度(n=27)
2.0%~2.9%程度(n=44)
0.1%~1.9%程度(n=70) 0 ないし 赤字基調(n=74)
4.3
1.4
7.7
13.8
2.6
11.1
ビジネスパートナーの紹介 13.6
10.0
1.4
22.0
23.7
22.2
包括的な助言
15.9
17.1
21.6
7.0
行政の支援施策(補助金など)紹介 0.0
3.4
2.6
11.4
11.4
6.8
0.0
その他
2.1
2.6
3.7
0.0
2.9
2.7
58
37.9
(10)経営者について
1)経営者の現在の年齢
回答企業では、「60~69 歳」が多い。その次は「40~49 歳」である。
図表 2-2-35:経営者の現在の年齢(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.0
5.0%以上(n=80) 3.8
18.8
20.0
15.0
42.5
0.0
13.6
2.0%~4.9%(n=88) 3.4
22.7
10.2
50.0
1.2
20.9
5.8
0.1%~1.9%(n=86)
24.4
15.1
32.6
0.0
0 ないし 赤字基調(n=99) 3.0 10.1
20~29歳
28.3
30~39歳
21.2
37.4
40~49歳
50~59歳
60~69歳
70歳以上
図表 2-2-36:経営者の現在の年齢(6 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.3
合計(n=358) 4.2
15.4
24.3
40.2
15.6
0.0
6.5
10.0%以上(n=31)
0.0
5.0%~9.9%(n=49) 2.0
19.4
18.4
48.4
22.4
0.0
3.0%~4.9%(n=37) 5.4 5.4
0.0
2.0%~2.9%(n=51) 2.0
16.1
19.6
18.4
38.8
27.0
13.5
48.6
19.6
9.7
7.8
51.0
1.2
0.1%~1.9%(n=86)
5.8
20.9
24.4
32.6
15.1
0.0
0 ないし 赤字基調(n=99)
3.0 10.1
20~29歳
30~39歳
28.3
21.2
37.4
40~49歳
50~59歳
59
60~69歳
70歳以上
2)経営者の就任年齢
回答企業では、
「20~29 歳」、
「30~39 歳」、
「40~49 歳」が多い。黒字企業の方が若干、
39 歳以下の割合が高くなっている。
図表 2-2-37:経営者の就任年齢(4 クラス)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
1.2
23.5
5.0%以上(n=81)
35.8
27.2
9.9
2.5
1.1
24.1
2.0%~4.9%(n=87)
20.0
0.1%~1.9%(n=85)
26.4
35.3
18.1
0 ないし 赤字基調(n=94)
20~29歳
29.9
25.9
27.7
30~39歳
13.8
11.8
28.7
40~49歳
50~59歳
3.5
3.5
3.2 3.2
19.1
60~69歳
4.6
70歳以上
図表 2-2-38:経営者の就任年齢(6 クラス)
0%
合計(n=352)
20%
40%
60%
32.4
21.3
27.0
10.0%以上(n=31)
22.6
38.7
5.0%~9.9%(n=50)
24.0
34.0
3.0%~4.9%(n=37)
21.6
2.0%~2.9%(n=50)
0.1%~1.9%(n=85)
20.0
0 ないし 赤字基調(n=94)
18.1
20~29歳
30~39歳
6.5
22.0
25.9
28.7
27.7
50~59歳
6.50.0
0.0
2.7
13.5
14.0
11.8
19.1
60~69歳
3.42.3
2.0
12.0 0.0
32.4
35.3
60
13.6
28.0
30.0
40~49歳
100%
25.8
29.7
26.0
80%
6.0 2.0
3.5 3.5
3.23.2
70歳以上
3)経営者の在任期間
回答企業では、「10~20 年未満」が多い。期間としてみた場合、10 年以上が全体的に
多い。
図表 2-2-39:経営者の在任期間(4 クラス)
0%
10%
5.0%以上(n=80) 10.0
11.5
50%
80%
100%
10.3
16.1
20.9
18.8
5年以上~10年未満
30年以上~40年未満
90%
17.5
11.3
16.3
25.0
5年未満
20年以上~30年未満
70%
23.0
23.3
14.6
60%
20.0
26.4
10.5
12.5
0 ないし 赤字基調(n=96)
40%
26.3
19.8
0.1%~1.9%(n=86)
30%
15.0
12.6
2.0%~4.9%(n=87)
20%
9.3
14.6
14.6
10年以上~20年未満
40年以上
図表 2-2-40:経営者の在任期間(6 クラス)
0%
合計(n=354)
10%
9.7
5.0%~9.9%(n=40)
10.2
40%
25.8
16.3
11.1
2.0%~2.9%(n=51)
13.7
25.0
5年未満
20年以上~30年未満
19.2
16.3
27.8
13.7
27.5
23.3
10.5
14.6
60%
25.0
5年以上~10年未満
30年以上~40年未満
61
70%
80%
16.1
25.8
26.5
8.3
19.8
12.5
50%
25.1
12.9
3.0%~4.9%(n=36)
0 ないし 赤字基調(n=96)
30%
13.0
13.8
10.0%以上(n=31)
0.1%~1.9%(n=86)
20%
12.9
90%
12.7
12.9
20.4
10.2
8.3
19.4
19.6
16.3
18.8
100%
13.7
11.8
9.3
20.9
14.6
14.6
10年以上~20年未満
40年以上
(11)事業承継代数
全体的に、「2代目」と「創業者」が多い。
図表 2-2-41:事業承継代数(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
60%
37.9
0.1%~1.9%(n=87)
創業者
90%
12.3
2代目
5.6
11.5
39.0
9.2
16.0
3代目
100%
9.9
16.9
41.4
36.0
0 ないし 赤字基調(n=100)
80%
42.7
34.8
2.0%~4.9%(n=89)
70%
44.4
33.3
5.0%以上(n=81)
50%
9.0
4代目以降
図表 2-2-42:事業承継代数(6 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
合計(n=362)
35.6
41.4
10.0%以上(n=31)
35.5
41.9
5.0%~9.9%(n=50)
3.0%~4.9%(n=37)
35.1
2.0%~2.9%(n=52)
34.6
0.1%~1.9%(n=87)
0 ないし 赤字基調(n=100)
創業者
46.0
32.0
40.5
44.2
41.4
37.9
39.0
36.0
2代目
3代目
62
70%
80%
90%
100%
8.3
14.6
16.1
10.0
16.2
6.5
12.0
8.1
17.3
11.5
16.0
4代目以降
3.8
9.2
9.0
(12)後継者の指名
黒字企業では「候補はいるが指名はしていない」、「すでに指名している」合計の回答割合
が高い。特に、2.0%以上の売上高経常利益率のクラスにて、「すでに指名している」との回
答割合が、赤字企業よりも高い。
図表 2-2-43:後継者の指名(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
60%
31.5
19.5
0.1%~1.9%(n=87)
25.0
すでに指名している
100%
22.0
18.0
18.4
23.0
17.0
候補はいるが指名していない
90%
7.9
39.1
23.0
0 ないし 赤字基調(n=100)
80%
19.5
42.7
2.0%~4.9%(n=89)
70%
22.0
36.6
5.0%以上(n=82)
50%
35.0
適切な候補がいない
検討はしていない
図表 2-2-44:後継者の指名(6 クラス)
0%
合計(n=362)
20%
2.0%~2.9%(n=52)
0 ないし 赤字基調(n=100)
すでに指名している
23.0
63
18.9
5.8
18.4
39.1
候補はいるが指名していない
19.6
10.8
30.8
25.0
25.8
27.5
46.2
19.5
6.5
32.4
37.8
17.0
適切な候補がいない
100%
25.1
15.7
19.6
33.3
3.0%~4.9%(n=37)
80%
25.8
41.9
5.0%~9.9%(n=50)
60%
29.3
29.8
10.0%以上(n=31)
0.1%~1.9%(n=87)
40%
17.3
23.0
35.0
検討はしていない
(13)後継者決定時に重視するもの
黒字企業・赤字企業ともに、
「親族である」、
「業務内容をよく理解している」への回答割合
が高い。黒字企業は、赤字企業と比べて「経営理念・ビジョンをよく理解している」、「経営
能力が高い」、「従業員からの支持が高い」への割合が高い。
図表 2-2-45:後継者の決定時に重視するもの(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
5 8.7
6 1 .6
親族である
4 8 .5
6 3.5
5 0 .8
5 0 .7
48 .5
経営理念・ビジョンをよく理解している
41 .3
6 1 .9
52 .1
5 1.5
経営能力が高い
3 3 .3
6 1 .9
4 9 .3
5 1.5
4 9 .2
業務内容をよく理解している
3 8 .1
4 5.2
従業員からの支持が高い
3 1 .8
1 4 .3
30 .2
2 8.8
2 5 .8
30 .2
顧客からの支持が高い
2 0 .6
8 .2
ビジネスパートナー(下請け、外注先、仕入先)からの支持が高い
1 6.7
6 .3
17 .5
9 .6
9 .1
6.3
金融機関からの支持が高い
5.0%以上(n=63)
2.0%~4.9%(n=73) 0.1%~1.9%(n=66)
0 ないし 赤字基調(n=63)
7 .9
株主からの支持が高い
4 .1
7 .6
1 .6
1 9 .0
1 5 .1
1 9 .7
自身との相性がよい
7 .9
その他
②6 クラス分け
1 .6
1 .4
3 .0
3 .2
64
図表 2-2-46:後継者の決定時に重視するもの(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
親族である
経営理念・ビジョンをよく理解している
経営能力が高い
3 3 .3
50.0
60.0
70.0
80.0
58 .1
5 6.5
6 0 .0
5 6.7
6 5 .1
4 8 .5
6 3 .5
47 .9
6 0 .9
4 5 .0
46 .7
5 3 .5
4 8 .5
4 1 .3
4 9 .8
56 .5
6 5 .0
5 0 .0
5 3 .5
5 1 .5
5 3 .2
業務内容をよく理解している
4 4 .2
57 .5
5 6.7
69 .6
5 1 .5
4 9 .2
3 3 .0
3 2 .5
従業員からの支持が高い
3 1 .8
1 4.3
1 2 .7
26 .1
1 7 .5
1 0 .0
7 .0
1 6 .7
6 .3
ビジネスパートナー(下請け、外注先、仕入先)からの支持が高い
1 0 .5
1 0 .0
9 .3
9 .1
6 .3
金融機関からの支持が高い
1 7 .4
1 7 .5
5.2
8 .7
7 .5
1 0 .0
0 .0
7 .6
1 .6
15 .4
8 .7
自身との相性がよい
1 1 .6
7 .9
その他
46 .7
4 4 .2
2 8 .8
3 9 .1
2 5.0
3 3 .3
25 .6
25 .8
3 0 .2
顧客からの支持が高い
株主からの支持が高い
4 7 .8
2 .2
4.3
0 .0
3 .3
0 .0
3 .0
3 .2
65
2 5.0
2 0 .0
1 9 .7
全体(n=267)
10.0%以上(n=23)
5.0%~9.9%程度(n=40)
3.0%~4.9%程度(n=30)
2.0%~2.9%程度(n=43)
0.1%~1.9%程度(n=66) 0 ないし 赤字基調(n=63)
(14)後継者育成のために行なっていること
全体的に「経営ノウハウを指導している」、「自社内で広範囲な業務を経験させる」、「段階
的に権限の委譲をする」への割合が高い。
「外部の研修を受けさせる」において、黒字企業の
割合は赤字企業に比して高い。
図表 2-2-47:後継者育成のための取り組み(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
50 .0
58.2
経営ノウハウを指導している
27.1
46 .5
25.0
40.0
別会社にて業務を経験させる
14.6
23.3
55 .0
5 0.9
自社内で広範囲な業務を経験させる
37.5
55.8
42.5
47.3
外部の研修等を受講させる
22 .9
23 .3
47 .5
40.0
段階的に権限委譲をしている
その他
4 7.9
46 .5
0.0
1.8
6 .3
5.0%以上(n=40)
2.0%~4.9%(n=55) 0.1%~1.9%(n=48)
0 ないし 赤字基調(n=43)
2.3
特に何もしていない
12.5
10.9
16.7
9.3
66
70.0
図表 2-2-48:後継者育成のための取り組み(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
4 5 .5
4 4 .4
5 4 .5
経営ノウハウを指導している
2 2 .2
4 6 .5
2 6 .2
2 7.3
4 0 .9
3 9 .4
別会社にて業務を経験させる
1 4 .6
6 3 .6
5 4 .5
2 7 .1
70.0
2 3 .3
4 9 .7
50 .0
自社内で広範囲な業務を経験させる
3 7 .5
4 2 .4
6 3 .6
5 5 .8
3 4 .2
5 0 .0
3 6 .4
外部の研修等を受講させる
5 9 .1
4 5 .5
5 0.0
2 2 .9
2 3 .3
4 4 .9
4 4 .4
3 6 .4
段階的に権限委譲をしている
その他
0 .0
0 .0
0 .0
4 7 .9
4 6 .5
2.7
3 .0
2 .3
特に何もしていない
5 0 .0
4 2 .4
6.3
4.5
1 2 .3
1 1 .1
1 3 .6
9 .3
1 5 .2
1 6 .7
67
全体(n=187)
10.0%以上(n=18)
5.0%~9.9%程度(n=22)
3.0%~4.9%程度(n=22)
2.0%~2.9%程度(n=33)
0.1%~1.9%程度(n=48) 0 ないし 赤字基調(n=43)
(15)事業展開にあたり重要視する検討内容
黒字企業・赤字企業ともに「自社の強み・弱み・特徴」の回答割合が高い。一方で、黒字
企業は赤字企業に比して「商品・サービスの市場性」と「地域の市場性」への回答割合が高
い。赤字企業は、市場性への検討が弱いままで、自社の強み・弱み・特徴を検討しており、
客観的な検討が反映されていない可能性がある。
図表 2-2-49:事業展開にあたり、どのような検討を重視しているか(4 クラス)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
82 .7
85 .4
自社の強み・弱み・特徴
69 .9
7 4.2
39 .5
38.2
外部経済環境(景気動向、為替変動、政治動向、規制など)
43 .4
36 .6
44 .4
5 2.8
競争環境(ライバルとの競合関係など)
6 3.9
40 .9
75 .3
6 9.7
商品・サービスの市場性(価格動向、規模、成長性など)
65 .1
5 7.0
5 3.1
4 2.7
地域の市場性(人口構造、成長性など)
4 3.4
26.9
5.0%以上(n=81)
2.5
その他
2.0%~4.9%(n=89) 0 .0
1.2
3 .2
68
0.1%~1.9%(n=83)
0 ないし 赤字基調(n=93)
図表 2-2-50:事業展開にあたり、どのような検討を重視しているか(6 クラス)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90 100
7 7 .8
83 .3
82 .4
8 9 .2
82 .7
69 .9
74 .2
自社の強み・弱み・特徴
3 9 .0
4 3.3
37 .3
4 8 .6
3 0 .8
4 3 .4
3 6.6
外部経済環境(景気動向、為替変動、政治動向、規制など)
50 .1
50 .0
4 1 .2
6 2 .2
競争環境(ライバルとの競合関係など)
4 6 .2
6 3 .9
4 0.9
6 6 .4
8 0.0
7 2 .5
7 0 .3
6 9 .2
6 5 .1
商品・サービスの市場性(価格動向、規模、成長性など)
5 7.0
4 1 .6
4 6 .7
5 6 .9
51 .4
地域の市場性(人口構造、成長性など)
3 6.5
4 3 .4
2 6 .9
その他
2 .0
0 .0
3 .9
0 .0
0 .0
1 .2
3 .2
69
全体(n=351)
10.0%以上(n=30)
5.0%~9.9%程度(n=51)
3.0%~4.9%程度(n=37)
2.0%~2.9%程度(n=52)
0.1%~1.9%程度(n=83) 0 ないし 赤字基調(n=93)
(16)今後重視する事業展開
黒字企業は赤字企業と比して「事業の拡大」の割合が高く、「事業再構築」の割合が低
い。
図表 2-2-51:今後重視する事業展開(4 クラス)
0
10
20
30
40
50
60
70
60 .8
61 .4
事業の拡大(新商品開発、新市場拡大、現市場拡大、その他
拡大)
50 .0
2 9.8
62 .0
5 9.1
コストダウン、効率化
6 0.0
58 .3
3 4.2
3 8.6
事業再構築
38 .8
5 1.2
5.0%以上(n=79)
2.5
2.0%~4.9%(n=88) 1.1
その他
5 .0
6 .0
70
0.1%~1.9%(n=80)
0 ないし 赤字基調(n=84)
図表 2-2-52:今後重視する事業展開(6 クラス)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
5 0.3
7 0.0
5 5.1
事業の拡大(新商品開発、新市場拡大、現市場拡大、その他
拡大)
6 4.9
58 .8
50 .0
2 9.8
5 9.8
6 3.3
61 .2
コストダウン、効率化
51 .4
6 4.7
60 .0
58 .3
4 1.4
3 0.0
3 6.7
40 .5
3 7.3
38 .8
事業再構築
5 1.2
その他
3 .6
3.3
2 .0
0.0
2 .0
5.0
6.0
71
全体(n=336)
10.0%以上(n=30)
5.0%~9.9%(n=49)
3.0%~4.9%(n=37)
2.0%~2.9%(n=51)
0.1%~1.9%(n=80) 0 ないし 赤字基調(n=84)
3
「人事及び労務」に関する質問項目
(1)従業員総数
赤字企業では小規模事業者が多い。売上高経常利益率が高くなるにつれ、従業員規模は比
較的上昇していく。一方で、売上高経常利益率 5.0%以上の企業群の中でも、10 名以下の企
業は 18.5%存在する。
図表 2-3-1:従業員総数(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.0
7.5
11.3
5.0%以上(n=80)
8.8
7.5
13.8
3.8
7.5
7.5
32.5
1.1
2.0%~4.9%(n=87)
5.7
8.0
6.9
13.8
8.0
12.6
17.2
6.9
19.5
0.0
19.3
12.0
0.1%~1.9%(n=83)
8.4
7.2
10.8
10.8
8.4
6.0
16.9
2.1
21.1
45.3
0 ないし 赤字基調(n=95)
0.0~5.0
40.0~60.0
5.0~10.0
60.0~80.0
10.0~15.0
80.0~100.0
4.2
15.0~20.0
100.0以上
0.0
7.4
5.3
20.0~30.0
7.4
2.1
5.3
25.0~30.0
図表 2-3-2:従業員総数(6 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.3
19.9
合計(n=351)
6.8
14.2
7.4
8.0
9.7
10.0
5.4
18.2
0.0
16.7
10.0%以上(n=30)
13.3
10.0
6.7
6.7
13.3
6.7
3.3
23.3
0.0
5.0%~9.9%(n=50)
8.0
6.0
6.0
8.0
2.0
8.0
14.0
10.0
38.0
0.0
2.8
3.0%~4.9%(n=36)
2.8
5.6
2.0%~2.9%(n=51)
9.8
19.4
7.8
9.8
5.6
13.9
9.8
17.6
13.9
8.3
27.8
3.9
19.6
5.9
13.7
2.0
0.0
0.1%~1.9%(n=83)
12.0
19.3
8.4
7.2
10.8
8.4
10.8
6.0
16.9
2.1
2.1
0 ないし 赤字基調(n=95)
0.0~5.0
40.0~60.0
45.3
5.0~10.0
60.0~80.0
21.1
10.0~15.0
80.0~100.0
72
15.0~20.0
100.0以上
4.2
5.3
20.0~30.0
7.4
7.4
0.0
5.3
25.0~30.0
(2)正社員総数
赤字企業では小規模事業者が多い。売上高経常利益率が高くなるにつれ、正社員数は比較
的上昇していく。
図表 2-3-3:従業員総数(4 クラス)
0%
10%
20%
17.3
5.0%以上(n=81)
6.0
7.4
50%
6.2
19.0
23.8
0.1%~1.9%(n=80)
40%
14.8
14.3
2.0%~4.9%(n=84)
30%
7.4
8.3
15.0
60%
11.1
3.7
11.9
15.0
70%
9.9
5.0
90%
2.5
7.1
6.0
10.0
80%
19.8
7.1
10.7
9.5
7.5
8.8
100%
7.5
5.0 2.5
0.0
61.4
0 ないし 赤字基調(n=88)
0.0~5.0
40.0~60.0
5.0~10.0
60.0~80.0
11.4
10.0~15.0
80.0以上
15.0~20.0
8.0
20.0~25.0
2.3 4.5 3.4
25.0~30.0
6.8 2.3
0.0
30.0~40.0
図表 2-3-4:従業員総数(6 クラス)
0%
20%
40%
30.2
合計(n=338)
60%
12.1
11.5
6.5
80%
7.1
8.0
5.3
100%
6.2
3.6
9.5
0.0
20.0
10.0%以上(n=30)
13.3
16.7
3.3
10.0
10.0
3.3
9.8
3.9
10.0
13.3
0.0
5.0%~9.9%(n=51)
3.0%~4.9%(n=36)
2.0%~2.9%(n=48)
15.7
3.9
13.7
2.8
11.1
16.7
7.8
22.2
8.3
5.9
13.9
16.7
15.7
2.8
4.2
8.3
18.8
8.3
4.2
23.5
11.1
6.3
4.2
11.1
8.3
12.5
8.3
2.5
0.1%~1.9%(n=80)
23.8
15.0
15.0
10.0
5.0
7.5
8.8
5.0
7.5
0.0
2.3
61.4
0 ないし 赤字基調(n=88)
0.0~5.0
40.0~60.0
5.0~10.0
60.0~80.0
11.4
10.0~15.0
80.0以上
15.0~20.0
73
20.0~25.0
8.0
25.0~30.0
4.5 3.4 6.8
2.3
30.0~40.0
0.0
(3)過去 5 年間の採用者数
1)正社員採用数
赤字企業では、約 50%で採用がない。全体的に黒字企業になれば1名以上の採用は多く
なる。売上高経常利益率 2.0%以上ならば 60%以上で 5 名以上の採用がある。
図表 2-3-5:正社員採用数【過去 5 年間】(4 クラス)
0%
10%
20%
12.3
5.0%以上(n=73)
30%
13.7
2.0%~4.9%(n=84) 3.6
22.6
40%
11.0
21.9
9.5
23.8
22.8
0.1%~1.9%(n=79)
50%
80%
11.4
3~5
100%
13.7
8.3
15.2
22.4
1~3
90%
32.1
52.9
0
70%
27.4
30.4
0 ないし 赤字基調(n=85)
60%
5~10
5.1
15.2
3.5
11.8
10~50
0.0
9.4
50以上
図表 2-3-6:正社員採用数【過去 5 年間】(6 クラス)
0%
10%
20%
30%
23.3
合計(n=326)
18.5
15.2
5.0%~9.9%(n=46)
10.9
8.1
2.1
23.4
10.6
0 ないし 赤字基調(n=85)
1~3
6.4
7.4
17.4
8.1
29.7
21.3
8.5
34.0
11.4
5~10
100%
25.9
27.0
3~5
90%
21.2
15.2
22.4
74
80%
28.3
52.9
0
70%
18.1
17.4
30.4
22.8
60%
29.6
10.9
21.6
0.1%~1.9%(n=79)
8.9
11.1
3.0%~4.9%(n=37) 5.4
2.0%~2.9%(n=47)
50%
22.1
7.4
10.0%以上(n=27)
40%
15.2
3.5
10~50
11.8
5.1
9.4 0.0
50以上
2)正社員のうち新卒採用数(過去 5 年)
赤字企業は約 80%にて 0 名である。黒字企業で、特に売上高経常利益率 2.0%以上は 50%
以上で1名以上の採用がある。
図表 2-3-7:正社員採用数のうち新卒採用【過去 5 年間】(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
42.9
5.0%以上(n=63)
2.0%~4.9%(n=77)
60%
70%
22.2
7.9
90%
7.9
6.5
19.5
45.5
80%
100%
7.9
11.1
13.0
13.0
2.6
1.4
57.1
0.1%~1.9%(n=70)
20.0
11.4
5.7 4.3
3.7
79.6
0 ないし 赤字基調(n=54)
1.9
1.9
13.0
0.0
0
1~3
3~5
5~10
10~50
50以上
図表 2-3-8:正社員採用数のうち新卒採用【過去 5 年間】(6 クラス)
0%
10%
20%
合計(n=269)
30%
40%
50%
60%
55.0
70%
18.6
80%
7.4
90%
7.8
100%
3.0
8.2
0.0
52.2
10.0%以上(n=23)
5.0%~9.9%(n=40)
37.5
3.0%~4.9%(n=34)
15.0
35.3
12.5
20.6
10.0
8.8
53.5
2.0%~2.9%(n=43)
4.3 4.3 4.3
34.8
15.0
10.0
20.6
18.6
4.7
7.0
11.8
2.9
14.0
2.3
1.4
0.1%~1.9%(n=70)
20.0
57.1
11.4
5.7
4.3
1.9
0 ないし 赤字基調(n=54)
79.6
13.0
3.7
1.9
0.0
0
1~3
3~5
75
5~10
10~50
50以上
<参考>
◆総従業員数における正社員比率
合計を見ると、全体の約 50%弱で正社員比率は 60%以上ある。
図表 2-3-9:総従業員数における正社員比率(4 クラス)
0%
10%
合計(n=271)
11.4
5.0%以上(n=80)
12.5
2.0%~4.9%(n=84)
20%
0%~20%未満
60%
13.1
80%
90%
16.3
21.3
11.9
17.6
17.9
17.9
21.4
9.4
40%~60%未満
100%
27.7
0.4
25.0
14.3
11.8
20%~40%未満
12.5
16.7
17.9
18.8
70%
18.8
18.8
20.2
8.2
50%
18.8
18.8
16.7
0 ないし 赤字基調(n=85)
40%
22.9
7.1
0.1%~1.9%(n=84)
30%
34.1
60%~80%未満
80%~100%未満
100%
◆正社員採用における新卒比率(過去5年間採用分)
売上高経常利益率が高くなるほど、新卒比率は高くなっている。売上高経常利益率 5.0%
にて、約 60%強で新卒比率は 30%を超えている。
図表 2-3-10:正社員採用における新卒比率【過去 5 年間採用分】(4 クラス)
0%
10%
20%
合計(n=226)
30%
40%
50%
46.5
5.0%以上(n=57)
0.1%~1.9%(n=58)
15.5
90%
11.5
10.7
13.3
48.3
80%
12.3
26.3
44.0
70%
11.1
16.4
36.8
2.0%~4.9%(n=75)
60%
14.7
10.3
6.6
8.0
12.3
100%
7.0
5.3
13.3
10.3
5.2
4.0
10.3
3.1
0 ないし 赤字基調(n=32)
0%
9.4
65.6
30%未満
30%~50%未満
76
50%~70%未満
9.4
70%~100%未満
3.1
9.4
100%
3)正社員以外の採用数(過去5年)
赤字企業は約 40%にて 0 名である。黒字企業は約 80%程度で1名以上の採用がある。
特に、売上高経常利益率 2.0%以上の各層では、10~50 名への回答割合は高い(30%弱か
ら 50%)。
図表 2-3-11:正社員以外採用数【過去 5 年間】(4 クラス)
0%
10%
20%
16.9
5.0%以上(n=65)
2.0%~4.9%(n=78)
30%
13.8
40%
7.7
15.4
17.9
9.0
1~3
3~5
80%
90%
6.2
39.7
3.8
50.6
0
70%
27.7
23.0
0 ないし 赤字基調(n=83)
60%
12.3
27.0
0.1%~1.9%(n=74)
50%
5~10
15.4
9.0
5.1
12.2
8.1
13.5
10.8
12.0
8.4
9.6
15.7
10~50
50~100
100%
5.4
3.6 0.0
100以上
図表 2-3-12:正社員以外採用数【過去 5 年間】(6 クラス)
0%
10%
合計(n=304)
20%
30%
28.6
40%
15.8
50%
9.5
60%
70%
8.9
80%
90%
6.3
24.0
8.3
10.0%以上(n=24)
16.7
5.0%~9.9%(n=41)
17.1
16.7
7.3
6.9
0.0
16.7
12.2
100%
33.3
24.4
9.8
9.8
8.3
19.5
2.9
3.0%~4.9%(n=34)
14.7
17.6
20.5
2.0%~2.9%(n=44)
0.1%~1.9%(n=74)
5.9
13.6
5.9
11.4
23.0
27.0
41.2
2.3
11.8
6.8
38.6
12.2
8.1
13.5
10.8
6.8
5.4
0
0 ないし 赤字基調(n=83)
50.6
0
1~3
3~5
12.0
5~10
77
10~50
8.4
9.6
50~100
15.7
100以上
3.6
4)正社員以外採用者数うち新卒採用数(過去5年)
全体的に 0 名が多い。
図表 2-3-13:正社員以外採用者数うち新卒採用【過去 5 年間】(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
92.7
5.0%以上(n=65)
100%
5.5
1.8
2.9
2.0%~4.9%(n=78)
5.7
88.6
2.9
1.6
1.6
95.3
0.1%~1.9%(n=74)
1.6
100.0
0 ないし 赤字基調(n=83)
0
1~3
3~5
5~10
10~50
50~100
100以上
図表 2-3-14:正社員以外採用者数うち新卒採用【過去 5 年間】(6 クラス)
0%
20%
40%
60%
合計(n=246)
80%
100%
3.3
1.2
0.4
93.9
1.2
95.2
10.0%以上(n=21)
5.0%~9.9%(n=34)
4.8
91.2
8.8
3.1
3.0%~4.9%(n=32)
3.1
87.5
89.5
2.0%~2.9%(n=38)
6.3
7.9
2.6
1.6
0.1%~1.9%(n=64)
95.3
1.6
1.6
0 ないし 赤字基調(n=53)
100.0
0
1~3
3~5
5~10
78
10~50
50~100
100以上
(4)過去 5 年間の離職者数
1)正社員離職者数(過去5年間採用分)
全体として「0 名」と「1~3 名」の割合が高い。必ずしも売上高経常利益率が高くなれ
ば離職者数が少なくなるとは言えず、正社員の採用数自体とある程度比例していると考え
られる。
図表 2-3-15:正社員離職者数【過去 5 年間採用分】(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
30.9
5.0%以上(n=68)
2.0%~4.9%(n=79)
50%
27.9
25.3
21.5
70%
4.4
13.2
13.9
42.0
0.1%~1.9%(n=69)
60%
80%
90%
13.2
10.3
15.2
21.5
26.1
100%
8.7
11.6
2.5
4.3
7.2
0.0
0 ないし 赤字基調(n=70)
0
1~3
10.0
25.7
52.9
3~5
5~10
8.6
2.9
10~50
50以上
図表 2-3-16:正社員離職者数【過去 5 年間採用分】(6 クラス)
0%
20%
合計(n=290)
40%
25.9
36.2
5.0%~9.9%(n=43)
3.0%~4.9%(n=35)
31.4
20.0
22.7
2.0%~2.9%(n=44)
0.1%~1.9%(n=69)
4.0
25.6
30.2
20.5
80%
9.7
32.0
32.0
10.0%以上(n=25)
60%
4.7
18.2
12.0
4.0
16.0
14.0
11.6
14.3
18.2
8.7
4.1
11.0
25.7
26.1
42.0
13.1
14.0
8.6
100%
4.5
15.9
11.6
0.0
7.2 4.3
2.9
0 ないし 赤字基調(n=74)
25.7
52.9
0
1~3
3~5
79
5~10
10~50
10.0
0.0
8.6
50以上
<参考>
◆正社員離職率(過去5年間採用分)
離職率 0%の回答のみを見ると、必ずしも高い売上高経常利益率と離職率 0%の割合の
高さには相関は見えない。しかし、離職率 50%未満で判断すれば、売上高経常利益率が高
いほどそのクラスにおける割合は高くなる。
図表 2-3-17:正社員離職率【過去 5 年間採用分】(4 クラス)
0%
20%
合計(n=227)
23.8
5.0%以上(n=59)
23.7
2.0%~4.9%(n=77)
0.1%~1.9%(n=56)
19.5
40%
14.1
60%
11.9
8.9
19.6
16.7
8.5
10.2
24.7
12.5
100%
9.7
25.4
13.0
18.2
28.6
23.8
11.9
20.3
80%
9.1
7.1
15.6
23.2
3.1
0 ないし 赤字基調(n=32)
0%
28.1
30%未満
28.1
6.3
30%~50%未満
50%~70%未満
80
15.6
70%~100%未満
18.8
100%
2)正社員以外の離職者数(過去5年間採用分)
必ずしも売上高経常利益率が高くなれば離職者数が少なくなるとは言えず、正社員と同
様に採用数自体とある程度比例していると考えられる。
図表 2-3-18:正社員以外離職者数【過去 5 年間採用分】(4 クラス)
0%
20%
5.0%以上(n=62)
30.6
2.0%~4.9%(n=71)
28.2
40%
14.5
11.3
12.9
4.2
32.8
0.1%~1.9%(n=64)
60%
80%
8.1
19.4
100%
11.3
3.2
29.6
16.9
21.9
9.4
3.1
4.2 5.6
28.1
4.7
0.0
1.5
0 ないし 赤字基調(n=68)
0
1~3
8.8
17.6
45.6
3~5
5~10
13.2
10~50
50~100
0.0
13.2
100以上
図表 2-3-19:正社員以外離職者数【過去 5 年間採用分】(6 クラス)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
3.3
合計(n=269)
33.8
16.0
9.3
11.2
22.3
4.1
21.7
4.3 4.3
0.0
34.8
10.0%以上(n=23)
13.0
21.7
2.6
5.0%~9.9%(n=39)
28.2
3.0%~4.9%(n=33)
15.4
30.3
6.1
7.7
6.1
17.9
12.8
9.1
15.4
6.1
36.4
6.1
2.6
26.3
2.0%~2.9%(n=38)
15.8
2.6
23.7
23.7
5.3
0.0
0.1%~1.9%(n=64)
9.4
21.9
32.8
3.1
28.1
4.7
0.0
0 ないし 赤字基調(n=68)
45.6
0
1~3
3~5
17.6
5~10
81
10~50
8.8
13.2
50~100
13.2
100以上
1.5
(5)自社都合による人員削減の実施(過去 5 年間)
赤字企業で約 21%が「ある」と回答しており、黒字企業よりも若干高い。
図表 2-3-20:自社都合による人員削減実施【過去 5 年間】(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
2.0%~4.9%(n=88)
18.1
0 ないし 赤字基調(n=93)
80%
90%
100%
90%
100%
88.6
11.4
0.1%~1.9%(n=83)
70%
86.3
13.8
5.0%以上(n=80)
60%
81.9
78.5
21.5
ある
ない
図表 2-3-21:自社都合による人員削減実施【過去 5 年間】(6 クラス)
0%
合計(n=349)
10%
20%
30%
40%
16.6
50%
60%
13.3
86.7
5.0%~9.9%(n=50)
14.0
86.0
2.0%~2.9%(n=51)
0.1%~1.9%(n=83)
0 ないし 赤字基調(n=93)
80%
83.4
10.0%以上(n=30)
3.0%~4.9%(n=37)
70%
10.8
89.2
88.2
11.8
81.9
18.1
21.5
78.5
ある
82
ない
(6)地元採用への意識
黒字企業は赤字企業と比較して、地元採用を意識している割合が高い。
図表 2-3-22:地元採用への意識(4 クラス)
0%
20%
40%
60%
80%
55.6
5.0%以上(n=81)
2.0%~4.9%(n=88)
23.5
51.1
0 ないし 赤字基調(n=91)
19.8
ある程度意識している
12.3
8.0
7.6
27.8
37.4
大いに意識している 8.6
31.8
45.6
0.1%~1.9%(n=79)
100%
9.1
19.0
7.7
35.2
どちらともいえない
まったくこだわっていない。
図表 2-3-23:地元採用への意識(6 クラス)
0%
10%
20%
30%
60%
20.0
2.0%~2.9%(n=51)
27.8
45.6
19.8
37.4
ある程度意識している
83
7.7
どちらともいえない
100%
18.9
10.0
16.7
7.8
9.8
10.8
33.3
52.9
0.1%~1.9%(n=79)
90%
8.1
29.7
48.6
3.0%~4.9%(n=37)
80%
25.5
56.9
5.0%~9.9%(n=51)
70%
25.6
53.3
10.0%以上(n=30)
大いに意識している 50%
47.4
合計(n=344)
0 ないし 赤字基調(n=91)
40%
10.8
5.9
7.6
7.8
19.0
35.2
まったくこだわっていない。
(7)障害者雇用の状況
黒字企業は赤字企業に比較して「現在雇用している」、「現在は雇用していないが、今後は
雇用したい」の割合は高く、
「過去も現在も障害者雇用はない」の割合は低い。ただし、売上
高経常利益率 10.0%以上の層では、「現在雇用している」は赤字企業と比して同レベルであ
るが、
「現在は雇用していないが、今後は雇用したい」は最も高い。障害者雇用への意欲が読
み取れる。
図表 2-3-24:障害者雇用の状況(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
24.7
5.0%以上(n=81)
7.9
21.4
0.1%~1.9%(n=84)
50%
13.6
16.9
2.0%~4.9%(n=89)
40%
60%
70%
17.3
90%
100%
44.4
14.6
4.8
80%
60.7
16.7
57.1
3.1
0 ないし 赤字基調(n=96)
10.4
9.4
77.1
現在雇用している 現在は雇用していないが、過去に雇用した実績がある 現在は雇用していないが、今後は雇用したい
過去も現在も障害者雇用はない
図表 2-3-25:障害者雇用の状況(6 クラス)
0%
10%
合計(n=355)
10.0%以上(n=31)
18.0
9.7
30%
7.6
21.6
0.1%~1.9%(n=84)
70%
80%
60.3
8.0
51.6
18.0
40.0
13.5
54.1
15.4
4.8
21.4
60%
16.1
10.8
5.8
13.5
50%
14.1
34.0
3.0%~4.9%(n=37)
40%
22.6
5.0%~9.9%(n=50)
2.0%~2.9%(n=52)
20%
65.4
16.7
57.1
3.1
0 ないし 赤字基調(n=96)
10.4
77.1
9.4
現在雇用している 現在は雇用していないが、過去に雇用した実績がある 84
現在は雇用していないが、今後は雇用したい
過去も現在も障害者雇用はない
90%
100%
(8)高齢者雇用
1)定年後も引き続き雇用
黒字企業は赤字企業に比較して「ある」の回答割合は高い。ベテラン人材のノウハウは
経営にとって貴重であり、全体的に「ある」の割合は高く、かつ、黒字企業ではより活か
されている可能性は高い。
図表 2-3-26:高齢者を定年後も引き続き雇用する取り組み(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
80.0
5.0%以上(n=80)
20.0
2.0%~4.9%(n=88)
76.1
23.9
0.1%~1.9%(n=83)
75.9
24.1
0 ないし 赤字基調(n=92)
100%
60.9
39.1
ある
ない
図表 2-3-27:高齢者を定年後も引き続き雇用する取り組み(6 クラス)
0%
10%
20%
30%
合計(n=348)
40%
50%
60%
70%
80%
72.7
27.3
76.7
10.0%以上(n=30)
5.0%~9.9%(n=50)
23.3
82.0
3.0%~4.9%(n=37)
90%
18.0
78.4
21.6
2.0%~2.9%(n=51)
74.5
25.5
0.1%~1.9%(n=83)
75.9
24.1
0 ないし 赤字基調(n=92)
60.9
39.1
ある
ない
85
100%
2)高齢者を新規に雇用
定年後引き続き雇用と比べて、全体的に回答割合は低い。しかし、売上高経常利益率 5.0%
以上の企業は、赤字企業と比較して回答割合は高い。
図表 2-3-28:高齢者を定年後も引き続き雇用する取り組み(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
36.5
5.0%以上(n=74)
2.0%~4.9%(n=82)
100%
90%
100%
73.2
31.6
0 ないし 赤字基調(n=84)
90%
63.5
26.8
0.1%~1.9%(n=79)
80%
68.4
27.4
72.6
ある
ない
図表 2-3-29:高齢者を定年後も引き続き雇用する取り組み(6 クラス)
0%
合計(n=324)
10%
20%
3.0%~4.9%(n=36)
2.0%~2.9%(n=46)
0.1%~1.9%(n=79)
0 ないし 赤字基調(n=84)
40%
30.6
50%
60%
70%
80%
69.4
40.7
10.0%以上(n=27)
5.0%~9.9%(n=47)
30%
59.3
34.0
66.0
30.6
69.4
76.1
23.9
68.4
31.6
27.4
72.6
ある
ない
86
(9)従業員の人材マネジメントに力を入れているか
黒字企業は赤字企業と比較して人材マネジメントに力を入れている(「大いに力を入れ
ている」及び「ある程度力を入れている」)割合が高い。一方で、赤字企業はその傾向が
弱い。
図表 2-3-30:従業員の人材マネジメントに力を入れているか(4 クラス)
0%
20%
5.0%以上(n=78)
24.4
2.0%~4.9%(n=89)
24.7
80%
100%
28.2
47.2
5.1
21.3
50.0
6.7
大いに力を入れている
60%
42.3
11.0
0.1%~1.9%(n=82)
0 ないし 赤字基調(n=90)
40%
6.7
28.0
11.0
31.1
32.2
30.0
ある程度力を入れている
あまり力を入れていない
まったく力を入れていない
図表 2-3-31:従業員の人材マネジメントに力を入れているか(6 クラス)
0%
10%
50%
80%
31.4
50.0
ある程度力を入れている
あまり力を入れていない
2.7
9.6
28.0
32.2
87
5.9
21.2
50.0
3.7
21.6
43.2
31.1
100%
22.2
35.3
11.0
90%
13.4
55.6
19.2
6.7
70%
27.3
32.4
3.0%~4.9%(n=37)
2.0%~2.9%(n=52)
60%
42.7
27.5
5.0%~9.9%(n=51)
大いに力を入れている
40%
18.5
10.0%以上(n=27)
0 ないし 赤字基調(n=90)
30%
16.6
合計(n=344)
0.1%~1.9%(n=82)
20%
11.0
30.0
まったく力を入れていない
(10)従業員育成や動機付けにかかる制度
黒字企業では、赤字企業と比較して全体的に回答割合が高い。
「成果給与」、
「資格取得奨励
等」、「研修」、「従業員のコミュニケーション取得」への回答割合は高く、給与の待遇、人材
育成、社内環境の整備に力をいれている傾向は強い。
図表 2-3-32:従業員育成や動機付けにかかる制度(4 クラス)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
40 .0
34 .9
表彰制度
2 4 .7
9 .4
30 .7
4 4.2
個人目標の数値化と達成度の評価
3 2.5
1 4.1
7 2 .0
77 .9
成果給与(賞与への反映も含む)
67 .5
4 5.3
56 .0
5 5.8
資格取得奨励・資格手当・報奨金制度
4 9.4
2 5.0
68 .0
70 .9
6 6 .2
研修(社外・社内)
3 9.1
3 7.3
3 2.6
経営計画策定への関与
1 9.5
21 .9
4 2.7
3 8.4
3 3.8
各種経営情報の一般従業員への公開
5.0%以上(n=75)
26 .6
2.0%~4.9%(n=86) 32 .0
2 5 .6
抜擢人事制度
0.1%~1.9%(n=77)
1 3.0
7.8
0 ないし 赤字基調(n=64)
3 6.0
4 6 .5
4 6 .8
権限の委譲
3 2.8
3 8 .7
4 6 .5
休暇が取得しやすい環境づくり
36 .4
26 .6
6 0 .0
60 .5
従業員同士のコミュニケーションや親睦促進
4 9.4
4 3.8
その他
2 .7
2.3
2 .6
4 .7
88
90
図表 2-3-33:従業員育成や動機付けにかかる制度(6 クラス)
0
10
20
30
40
50
27 .7
27 .6
表彰制度
24 .7
9.4
41 .7
30.0
60
70
80
90
4 7.8
3 1.6
2 0.7
37 .0
個人目標の数値化と達成度の評価
61.1
3 2.0
3 2.5
1 4.1
6 7.1
7 2.4
71 .7
成果給与(賞与への反映も含む)
67 .5
4 5.3
47 .6
2 5.0
6 2.2
6 5.5
6 9.6
研修(社外・社内)
6 6.0
6 6.2
39 .1
2 8.0
1 9.5
21 .9
83 .3
5 8.6
54 .3
5 2.8
58 .0
49 .4
資格取得奨励・資格手当・報奨金制度
経営計画策定への関与
7 4.0
3 4.8
33 .3
3 2.0
7 7.8
4 1.4
3 5.8
各種経営情報の一般従業員への公開
26 .6
2 0.2
2 4.1
抜擢人事制度
7 .8
16 .0
1 3.0
44 .8
4 1.3
41 .7
3 6.0
3 3.8
37 .0
38 .9
40 .7
37 .9
3 4.8
権限の委譲
38 .0
5 8.3
4 6.8
3 2.8
3 7.5
37 .9
39 .1
休暇が取得しやすい環境づくり
26 .6
36.4
全体(n=307)
10.0%以上(n=29)
5.0%~9.9%(n=46)
3.0%~4.9%(n=36)
2.0%~2.9%(n=50)
0.1%~1.9%(n=77) 0 ないし 赤字基調(n=64)
42 .0
5 2.8
5 3.7
54 .3
従業員同士のコミュニケーションや親睦促進
43 .8
その他
2.9
0.0
4 .3
5.6
0.0
2.6
4.7
89
5 4.0
49 .4
6 9.0
69 .4
(11)従業員一人当たりにかける研修費
全体的に「1 万円~5 万円未満」に集中している。売上高経常利益率が 5.0%以上のクラス
になると逆に研修費が低くなる傾向があるが、社内のリソースで研修・教育の仕組みができ
ている可能性が読み取れる。
図表 2-3-34:従業員育成や動機付けにかかる制度(4 クラス)
0%
20%
5.0%以上(n=54) 5.6
80%
53.7
100%
11.1
14.8
13.6
42.4
31.8
11.3
0.1%~1.9%(n=53)
60%
14.8
7.6
2.0%~4.9%(n=66)
40%
1.9
58.5
4.5
5.7
22.6
0.0
12.1
0 ないし 赤字基調(n=33)
10万円以上
30.3
42.4
5万円~10万円未満
1万円~5万円未満
15.2
5千円~1万円未満
5千円未満
図表 2-3-35:従業員育成や動機付けにかかる制度(6 クラス)
0%
合計(n=208)
10%
6.7
20%
30%
40%
16.3
60%
70%
20.6
90%
18.3
70.0
8.8
80%
49.5
0.0
10.0%以上(n=20) 5.0
5.0%~9.9%(n=34)
50%
44.1
100%
9.1
10.0
15.0
11.8
14.7
35.7
3.0%~4.9%(n=28)
7.1
2.0%~2.9%(n=38)
7.9
0.1%~1.9%(n=53)
11.3
25.0
32.1
5.3
50.0
28.9
22.6
58.5
1.9
0.0
7.9
5.7
0.0
0 ないし 赤字基調(n=33)
10万円以上
12.1
5万円~10万円未満
42.4
1万円~5万円未満
90
30.3
5千円~1万円未満
15.2
5千円未満
4
「顧客・ビジネスパートナー」に関する質問項目
(1)顧客からの声を吸い上げる仕組み
黒字企業・赤字企業ともに「日々の営業や接客で声を吸い上げる」の割合が高い。一方、
よりコストがかかる「満足度調査の実施」を見ると、黒字企業が赤字企業に比較して、より
対応している。「店頭アンケートやご意見カード」も黒字企業の方がより割合が高い。
図表 2-4-1:顧客から声を吸い上げる仕組み(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
26.8
25.8
満足度調査の実施
17.6
8.3
苦情相談の窓口を設置
14 .6
16.9
7.1
4.2
苦情情報の蓄積と分析活用
36.6
34.8
18.8
21 .9
75.6
74.2
日々の営業や接客で声を吸い上げる
8 7.1
72.9
29.3
37.1
34.1
店頭アンケートやご意見カード
18.8
その他
特になし
5.0%以上(n=82)
2.4
2.2
1.2
1.0
2.0%~4.9%(n=89)
0.1%~1.9%(n=85)
ないし 赤字基調(n=96)
7.3
5.6
3.5
17.7
91
100.0
図表 2-4-2:顧客から声を吸い上げる仕組み(6 クラス)
0.0
10.0
30.0
40.0
50.0
8.3
10.4
12.9
15.7
苦情情報の蓄積と分析活用
80.0
90.0
25.0
18.8
21.9
45.1
48.6
77.0
77.4
74.5
75.7
73.1
87.1
72 .9
日々の営業や接客で声を吸い上げる
店頭アンケートやご意見カード
18.8
特になし
70.0
27.0
9.6
7.1
4.2
27.5
22.6
その他
60.0
19.0
22.6
29.4
27.0
25.0
17.6
満足度調査の実施
苦情相談の窓口を設置
20.0
29.4
32.3
27.5
40.5
34.6
34.1
1.7
3.2
2.0
5.4
0.0
1.2
1.0
9.2
9.7
5.9
2.7
7.7
3.5
17.7
92
全体(n=357)
10.0%以上(n=31)
5.0%~9.9%(n=51)
3.0%~4.9%(n=37)
2.0%~2.9%(n=52)
0.1%~1.9%(n=85) 0 ないし 赤字基調(n=96)
100.0
(2)顧客からの声はどの程度活用できているか
全体的に活用できている(大いに活用、ある程度活用)との回答が高い。しかし、傾向と
して黒字企業は赤字企業と比較して、「おおいに活用できている」の回答割合が高い。
図表 2-4-3:顧客の声はどの程度活用できているか(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.0
34.3
5.0%以上(n=70)
1.4
64.3
0.0
2.0%~4.9%(n=83)
25.3
8.4
66.3
0.0
25.3
0.1%~1.9%(n=79)
0 ないし 赤字基調(n=78)
20.5
おおいに活用できている
13.9
60.8
9.0
69.2
ある程度活用できている
あまり活用できていない
1.3
まったく活用していない
図表 2-4-4:顧客の声はどの程度活用できているか(6 クラス)
0%
合計(n=313)
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
65.5
25.9
80%
90%
100%
8.3
0.3
0.0
10.0%以上(n=26)
73.1
26.9
0.0
0.0
5.0%~9.9%(n=44)
3.0%~4.9%(n=35)
59.1
38.6
62.9
25.7
2.3
11.4
0.0
0.0
2.0%~2.9%(n=48)
25.0
0.1%~1.9%(n=79)
25.3
0 ないし 赤字基調(n=78)
おおいに活用できている
68.8
60.8
69.2
20.5
ある程度活用できている
93
あまり活用できていない
6.3
13.9
9.0
0.0
1.3
まったく活用していない
(3)顧客の声は何に活用しているか
全体的に「既存商品・サービスの改良」と「顧客満足度の向上」に対する回答割合が高い。
全体的に新たなビジネスよりも既存ビジネスへ反映を志向していると考えられる。しかし、
傾向として黒字企業は赤字企業と比較して回答割合が高い。
図表 2-4-5:顧客の声を何に活用しているか(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
2 7 .4
1 9 .0
新しいビジネスへのヒント
20 .7
9 .1
6 1 .6
7 7 .4
既存商品・サービスの改良
6 8 .3
6 4 .9
90 .4
8 9 .3
顧客満足度の向上
7 0 .7
77 .9
3 5 .6
3 9.3
従業員の業績・行動評価への活用
3 2 .9
5.0%以上(n=70)
2 6.0
2.0%~4.9%(n=83) 0 .0
その他
0.1%~1.9%(n=79)
0.0
2 .4
0 ないし 赤字基調(n=78)
0 .0
94
図表 2-4-6:顧客の声を何に活用しているか(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
18.8
34.6
23.4
新しいビジネスへのヒント
1 1.1
9.1
25.0
20.7
68.7
53.8
66.0
77.8
77.1
既存商品・サービスの改良
68.3
64 .9
81.8
84.6
93.6
86.1
顧客満足度の向上
91.7
70.7
77.9
33.2
42.3
31.9
50.0
従業員の業績・行動評価への活用
31.3
32.9
26.0
0.6
0.0
0.0
その他 0.0
0.0
2.4
0.0
全体(n=319)
10.0%以上(n=26)
5.0%~9.9%(n=47)
3.0%~4.9%(n=36)
2.0%~2.9%(n=48)
0.1%~1.9%(n=82) 0 ないし 赤字基調(n=77)
95
(4)同じ地域内のビジネスパートナーとよりよい関係
全体的に重視している(とても重視している、やや重視している)。傾向として黒字企業の
方が重視しているとの回答割合が高いが、特に「とても重視している」が赤字企業と比較し
て高い。
図表 2-4-7:同じ地域内のビジネスパートナーとよりよい関係を持つことを
どのように捉えているか(4 クラス)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
65.9
5.0%以上(n=82)
0 ないし 赤字基調(n=93)
7.3
28.7
55.8
0.1%~1.9%(n=86)
100%
26.8
62.1
2.0%~4.9%(n=87)
90%
9.2
33.7
44.1
10.5
17.2
38.7
とても重要している
やや重視している
あまり重視していない
図表 2-4-8:同じ地域内のビジネスパートナーとよりよい関係を持つことを
どのように捉えているか(6 クラス)
0%
20%
合計(n=352)
40%
56.5
80%
5.0%~9.9%(n=51)
11.4
19.4
58.8
3.0%~4.9%(n=36)
31.4
61.1
2.0%~2.9%(n=51)
27.5
33.7
55.8
44.1
とても重要している
3.2
9.8
30.6
62.7
0.1%~1.9%(n=86)
100%
32.1
77.4
10.0%以上(n=31)
0 ないし 赤字基調(n=93)
60%
38.7
やや重視している
96
8.3
9.8
10.5
17.2
あまり重視していない
(5)同じ地域内のビジネスパートナーとよりよい関係を構築する意義
全体的に、
「利便性がある」、
「信頼感がある」、
「連帯感がうまれる」の順番で回答割合が高
い。傾向として黒字企業は赤字企業と比較して回答割合が高く、赤字企業は「特になし」と
の回答割合が一番高い。
図表 2-4-9:同じ地域内のビジネスパートナーとよりよい関係の
意義をどう感じているか(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
2 9 .6
4 0.2
地域内での連帯感がうまれる
45 .3
2 2.8
48 .1
49 .4
同じ地域なので信頼感がある 5 0.0
41 .3
6 5.4
7 2.4
同じ地域なので利便性がある 65 .1
5 7.6
7 .4
その他
1 .1
3 .5
5.0%以上(n=81)
1.1
2.0%~4.9%(n=87) 1 2.3
特になし
0.1%~1.9%(n=86)
5.7
9.3
2 0.7
97
0 ないし 赤字基調(n=92)
図表 2-4-10:同じ地域内のビジネスパートナーとよりよい関係の
意義をどう感じているか(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
3 4 .0
30 .0
2 9 .4
4 4 .4
地域内での連帯感がうまれる
3 7 .3
4 5 .3
2 2 .8
4 6.6
6 0 .0
41 .2
同じ地域なので信頼感がある 5 0 .0
4 9 .0
5 0 .0
4 1.3
65 .1
7 3 .3
6 0 .8
同じ地域なので利便性がある 65 .1
7 2 .2
7 2.5
5 7 .6
3 .4
3 .3
9 .8
その他
2 .8
全体(n=350)
0 .0
10.0%以上(n=30)
3 .5
1 .1
5.0%~9.9%(n=51)
1 2.0
6 .7
特になし
3.0%~4.9%(n=36)
2.0%~2.9%(n=51)
15 .7
5 .6
5 .9
0.1%~1.9%(n=86) 0 ないし 赤字基調(n=92)
9 .3
2 0 .7
98
(6)ビジネスパートナーと関係を維持するための取り組み
全体的に、
「来社時の誠意ある対応」が高い。また、黒字企業は赤字企業に比して「来社時
の誠意ある対応」のほかに、
「社内イベントへの招待」や「資金における協力」など、創意工
夫への取り組みへの回答割合が高い。赤字企業は「特になし」との回答割合が一番高い。
図表 2-4-11:ビジネスパートナーとの関係を維持するための取り組み(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
1 3 .6
1 7 .2
1 3 .1
1 2 .1
声を吸い上げる取り組み(アンケートや満足度調査)
3 2 .1
36 .8
3 2 .1
3 3 .0
経営力向上への取り組み(経営指導、ノウハウ・情報提供な
ど)
4 8 .1
5 4 .0
5 1 .2
来社時の接遇面で誠意ある対応
3 7 .4
2 9 .6
2 4 .1
社内イベントへの招待
1 7 .9
7 .7
2 5 .9
1 7 .2
1 9 .0
1 5 .4
資金における協力(支払いの迅速化、保証等) 5.0%以上(n=81)
1.2
その他
4 .6
2 .4
0 .0
2.0%~4.9%(n=87) 0.1%~1.9%(n=84)
1 6 .0
1 4 .9
1 6 .7
特になし
0 ないし 赤字基調(n=91)
2 6 .4
99
図表 2-4-12:ビジネスパートナーとの関係を維持するための取り組み(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
70.0
1 3 .8
1 0 .0
1 5.7
20 .0
1 5 .4
1 3 .1
1 2 .1
声を吸い上げる取り組み(アンケートや満足度調査)
3 3 .1
2 7 .5
経営力向上への取り組み(経営指導、ノウハウ・情報提供な
ど)
4 0 .0
3 7 .1
3 6 .5
3 2 .1
3 3 .0
4 7 .8
4 5 .1
来社時の接遇面で誠意ある対応
3 7 .4
1 9 .3
社内イベントへの招待
7 .7
2 1 .2
1 7 .9
1 9 .6
1 7 .1
17 .3
1 9 .0
1 5 .4
資金における協力(支払いの迅速化、保証等) 2 .0
0 .0
2 .0
2 .9
5 .8
2 .4
0 .0
3 .3
特になし
100
5 3 .3
5 0 .0
5 1 .2
6 0 .0
3 0 .0
2 9 .4
28 .6
1 9 .0
その他
60.0
36 .7
全体(n=347)
10.0%以上(n=30)
5.0%~9.9%(n=51)
3.0%~4.9%(n=35)
2.0%~2.9%(n=52)
18 .7
2 3 .5
1 1.4
17 .3
1 6 .7
2 6 .4
0.1%~1.9%(n=84) 0 ないし 赤字基調(n=91)
5
「地域活動」に関する質問項目
(1)地域貢献活動への取り組み
全体的に「地域活性化にかかる活動」、「文化・環境に関する活動」、「治安・安全・防災に
関する活動」で高い回答割合があり、傾向として、黒字企業は赤字企業と比較して回答割合
が高い。教育、雇用、保健・医療等への各取り組みへの回答も黒字企業は全体的に赤字企業
と比して高い割合である。一方、
「地域貢献活動は行なっていない」との回答割合は赤字企業
が一番高い。
図表 2-5-1:地域貢献活動への取り組み(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
4 3 .4
4 4 .9
地域経済活性化にかかる活動
3 8 .8
3 6 .5
5 3 .9
5 2 .8
5 0 .6
文化・環境に関する活動
4 2.7
1 5 .8
2 5 .8
2 3 .5
教育に関する活動
9.4
1 3 .2
1 3 .5
1 5 .3
雇用に関する活動
5 .2
4 0 .8
4 2 .7
治安・安全・防災に関する活動
3 5 .3
3 8.5
1 1 .8
保健・医療・福祉に関する活動
地域貢献活動は行っていない
5.0%以上(n=76)
1 5 .7
5 .9
4 .2
2.0%~4.9%(n=89) 1 7 .1
1 3 .5
1 4 .1
0.1%~1.9%(n=85)
2 6 .0
101
0 ないし 赤字基調(n=96)
60.0
図表 2-5-2:地域貢献活動への取り組み(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
4 0 .7
4 1 .9
4 4 .4
地域経済活性化にかかる活動
3 8 .8
3 6 .5
4 2 .3
4 8 .6
4 9 .6
5 1 .6
文化・環境に関する活動
4 2 .7
9 .7
2 0 .0
1 5 .4
1 1 .4
8 .9
5 .2
4 0 .5
2 3 .5
9 .4
雇用に関する活動
1 9 .4
1 3 .5
1 3 .5
1 5 .3
3 9 .3
3 8 .7
4 2 .2
治安・安全・防災に関する活動
3 8 .5
3 5 .3
3 8 .5
保健・医療・福祉に関する活動
5 .9
4 .2
地域貢献活動は行っていない
5 .4
5 5 .6
5 1 .4
5 3 .8
5 0 .6
1 8 .5
教育に関する活動
9 .1
1 2 .9
1 1 .1
1 1 .5
1 7 .9
1 6 .1
1 7 .8
1 4 .1
1 9 .2
2 6 .0
102
4 8 .6
全体(n=351)
10.0%以上(n=31)
2 1 .6
60.0
5.0%~9.9%(n=45)
3.0%~4.9%(n=37)
2.0%~2.9%(n=52)
0.1%~1.9%(n=85) 0 ないし 赤字基調(n=96)
(2)地域貢献活動を推進するための取り組み
黒字企業は赤字企業と比較して、傾向として「従業員の参加・取り組みを評価する」、「従
業員への教育で地域貢献活動に対する理解を徹底させる」、「地域貢献活動に対して企業が積
極的に支出する」、「地域貢献活動を対外的にPRすることで従業員のやる気を引き出す」へ
の回答割合が高い。一方で、
「取り組みを促進する工夫はしていない」への回答割合は、赤字
企業が一番高い。
図表 2-5-3:地域貢献活動を維持するための取り組み(4 クラス)
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
40.0
45.0
2 9 .2
3 8 .4
従業員の参加・取り組みを評価する
1 5.6
2 3.5
15 .3
2 7.9
2 8.6
従業員への教育で地域貢献活動に対する理解を徹底させる
1 6 .0
36 .1
2 3 .3
地域貢献活動に対して企業が積極的に支出する
29 .9
1 6 .0
18 .1
2 6.7
個人への負担が大きくならないように配慮する
20 .8
2 3.5
1 9 .4
19 .8
20 .8
地域貢献活動を対外的にPRすることで従業員のやる気を引き出す
5.0%以上(n=72)
2.0%~4.9%(n=86) 9.9
1 6 .7
0.1%~1.9%(n=77)
2 2.1
従業員の意見を積極的に取り入れる
13 .0
0 ないし 赤字基調(n=81)
17 .3
2 7.8
2 3 .3
取り組みを促進する工夫はしていない
2 7.3
3 5.8
その他
1 .4
3.5
2 .6
3 .7
103
図表 2-5-4:地域貢献活動を維持するための取り組み(6 クラス)
0.0
5.0
10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0
2 6 .8
2 4.1
従業員の参加・取り組みを評価する
3 2 .7
15 .6
1 0 .3
3 2 .6
23 .5
21 .8
1 8 .6
従業員への教育で地域貢献活動に対する理解を徹底させる
3 5 .1
22 .4
2 8 .6
1 6 .0
2 5 .9
2 9 .9
1 6 .0
2 2 .4
2 4 .1
14 .0
1 4 .3
9 .9
1 0.3
従業員の意見を積極的に取り入れる
2 0.8
全体(n=321)
10.0%以上(n=29)
5.0%~9.9%(n=43)
2 7 .0
0.1%~1.9%(n=77) 0 ないし 赤字基調(n=81)
20 .9
32 .4
1 4 .3
1 3.0
1 7.3
取り組みを促進する工夫はしていない
1 6 .2
0 .0
3 .1
3 .4
2.7
4 .1
2 .6
3.7
104
3.0%~4.9%(n=37)
2.0%~2.9%(n=49)
1 7 .1
1 7 .2
その他
29 .7
24 .5
2 0.8
23 .5
17 .1
17 .2
20 .9
地域貢献活動を対外的にPRすることで従業員のやる気を引き出す
4 4 .8
3 0 .2
24 .3
22 .4
地域貢献活動に対して企業が積極的に支出する
個人への負担が大きくならないように配慮する
4 5.9
2 8 .3
34 .9
2 8.6
2 7 .3
35 .8
(3)地域との関係を密にした活動を行うことのメリット
「ビジネスチャンスを得やすい」及び「新しい顧客が増える」については、赤字企業と黒
字企業ともに差も見られない。一方、黒字企業は赤字企業と比較して「企業への信頼と高感
度が高まる」への回答割合は高く、企業イメージを重視している傾向が伺える。また、
「新し
い人材確保が進む」、「従業員のやる気向上や教育に繋がる」においても傾向として黒字企業
の回答割合が高く、地域密着型の経営が人づくりにも活きていることが読み取れる(売上高
経常利益率 5.0%以上でそれらの回答割合が低くなるのは、別途、社内で人づくりの仕組みが
できているためと思われる)。
「 ビジネスパートナーとの関係がより円滑になる」についても、
回答割合自体は高くないにしても、黒字企業は赤字企業と比較して高い値となっている。
図表 2-5-5:地域との関係を密にした活動を行うメリット(4 クラス)
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
35.6
3 3.3
31 .2
3 1.8
ビジネスチャンスを得やすい
3 4.2
3 7.9
36.4
38.8
新しい顧客が増える
35.6
33.3
馴染み客・お得意様が増える
48 .1
4 7.1
5 .5
18 .4
新しい人材の確保が進む
11 .7
5.9
19.2
32.2
従業員のやる気向上や教育につながる
28.6
16.5
経営の危機の際に周りからの応援がある
5.0%以上(n=73)
2.0%~4.9%(n=87) 2.7
5.7
2.6
3.5
0.1%~1.9%(n=77)
0 ないし 赤字基調(n=85)
57 .5
60 .9
54.5
企業への信頼と好感度が高まる(長期的な目で見た利益)
3 1.8
1 6.4
13 .8
13.0
ビジネスパートナー(外注先・仕入先・下請など)との関係がより円滑に
なる 9.4
45.2
37 .9
純粋な社会貢献のためである
29.9
35.3
105
図表 2-5-6:地域との関係を密にした活動を行うメリット(6 クラス)
0.0
10.0
20.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
33 .0
41 .4
31 .8
32 .4
34 .0
31 .2
31 .8
36 .7
3 7.9
31 .8
4 5.9
32 .0
36 .4
3 8.8
41 .0
3 1.0
38 .6
3 7.8
30 .0
4 8.1
4 7.1
ビジネスチャンスを得やすい
新しい顧客が増える
馴染み客・お得意様が増える
0.0
新しい人材の確保が進む
1 0.4
9 .1
10 .0
1 1.7
5 .9
1 5.9
従業員のやる気向上や教育につながる
16 .5
経営の危機の際に周りからの応援がある
30.0
2 9.7
24 .2
24 .1
3 7.8
28 .0
2 8.6
3 .7
0.0
4 .5
5.4
6 .0
2 .6
3.5
企業への信頼と好感度が高まる(長期的な目で見た利益)
31 .8
ビジネスパートナー(外注先・仕入先・下請など)との関係がより円滑に
なる 106
5 0.2
62 .1
54 .5
67 .6
5 6.0
54 .5
1 2.8
1 3.8
1 8.2
18 .9
10 .0
1 3.0
9 .4
37 .3
純粋な社会貢献のためである
全体(n=327)
10.0%以上(n=29)
5.0%~9.9%(n=44)
3.0%~4.9%(n=37)
2.0%~2.9%(n=50)
0.1%~1.9%(n=77) 0 ないし 赤字基調(n=85)
34
2 9.9
3 5.3
48 .3
4 3.2
4 3.2
第3章
設問クロス集計結果
ここでは、経営理念・ビジョンの明確化や実践、地元採用や地域貢献活動に関する設問に
焦点をあてて、その他設問への回答との関係において、いくつかの例を示す。
1
経営理念・ビジョン
(1)経営理念・ビジョンの明確化と実践、浸透の関係
経営理念・ビジョンは文章化した方が、より実践につながっている。また、より経営理念
を実践している方が、より理念が社内に浸透している。
図表 2-3-1:経営理念・ビジョンの明確化
0%
10%
30%
40%
50%
28.4
明確化して、かつ文章化している(n=141)
明確化しているが文章化していない(n=134)
20%
×
60%
70%
80%
51.8
14.9
ほぼ実践できている
実践度合い
90% 100%
18.4
33.6
51.5
ある程度実践できている 少しは実践できている
※「まったく実践できていない」は合計で n=2 のため省いた。
以降の図表においても同様である。
図表 2-3-2:経営理念・ビジョンの明確化
0%
10%
20%
30%
40%
50%
×
浸透度合い
60%
70%
80%
90%
100%
0.0
34.5
ほぼ実践できている(n=58)
0.0
65.5
ある程度実践できている(n=132) 5.3
79.5
14.4
1.9
少しは実践できている(n=52)
34.6
55.8
十分浸透している
少しは浸透し始めている
107
ある程度浸透している
まったく浸透していない
7.7
0.8
(2)経営理念・ビジョンと現在最も時間を費やしている業務
明確化との関係については、営業、経理・会計、資金繰り以外は、経営理念を明確化・文
章化している企業のほうが、明確にしていない企業と比較して、回答割合が高い。これは、
売上高経常利益率でクラス分けした集計結果と同様の傾向である。
実践との関係については、おおよそ、
「経営理念を明確化」と「現在最も時間を費やしてい
る業務」のクロス集計結果と同様の傾向であるが、
「企画・研究開発」や「管理・監督」にお
いて、大きな差が見られなくなっている。
図表 2-3-3:経営理念・ビジョンの明確化
0.0
10.0
20.0
×
30.0
現在最も時間を費やしている業務
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
5 2.9
7 3.7
7 3.8
営業 3 7.9
24 .1
企画・研究開発
2 7.5
60
3 5 .3
3 2.5
管理・監督
2 2.9
4 1.4
経理・会計
3 6 .3
61 .4
3 3 .1
人材育成・教育
2 2.5
明確化して、かつ文章化している(n=140)
3 3 .6
明確化しているが文章化していない(n=133)
2 0.3
組織風土づくり・環境づくり
13 .8
明確にしていない(n=80)
1 7 .9
3 4 .6
資金繰り
4 0 .0
2 .1
その他
5 .3
7.5
108
図表 2-3-4:経営理念・ビジョンの実践
0.0
10.0
20.0
×
現在最も時間を費やしている業務
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
52 .5
営業 69 .0
6 0.0
3 0 .5
3 1.0
企画・研究開発
3 1.4
4 5.8
5 0.7
管理・監督
42 .9
2 3 .7
経理・会計
32 .4
3 7 .1
66 .1
4 7.9
人材育成・教育
32 .9
3 7.3
組織風土づくり・環境づくり
2 8.9
ほぼ実践できている(n=59)
15 .7
ある程度実践できている(n=142)
22
2 1 .8
資金繰り
少しは実践できている(n=70)
3 7 .1
5 .1
その他
2 .1
5.7
109
(3)経営理念・ビジョンと今後時間をかけて力を入れたい業務
明確化との関係については、
「現在最も時間を費やしている業務」と同様に、営業、経理・
会計、資金繰り以外は、経営理念を明確化・文章化している企業のほうが、明確にしていな
い企業と比較して、回答割合が高い。これは、売上高経常利益率でクラス分けした集計結果
と同様の傾向である。
実践との関係については、おおよそ、
「経営理念を明確化」と「今後時間をかけて力を入れ
たい業務」のクロス集計結果と同様の傾向である。これは、売上高経常利益率でクラス分け
した集計結果と同様の傾向でもある。
図表 2-3-5:経営理念・ビジョンの明確化
0.0
10.0
20.0
×
30.0
今後時間をかけて力を入れたい業務
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
4 2 .3
6 2 .1
60 .6
営業 50 .8
47 .4
企画・研究開発
45 .1
31 .5
2 6.7
管理・監督
1 9 .7
1 3 .8
2 3.3
経理・会計
1 8.3
78 .5
5 9.5
人材育成・教育
54 .9
5 4 .6
34 .5
35 .2
組織風土づくり・環境づくり
5.4
その他
明確化して、かつ文章化している(n=130)
1 7 .2
19 .7
資金繰り
明確化しているが文章化していない(n=116)
2 .3
1 .7
明確にしていない(n=71)
7.0
110
90.0
図表 2-3-6:経営理念・ビジョンの実践
0.0
10.0
20.0
×
30.0
今後時間をかけて力を入れたい業務
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
39 .2
営業 5 1.5
61 .3
56 .9
48 .5
企画・研究開発
4 5.2
2 7.5
3 4.8
管理・監督
1 9.4
17 .6
1 7.4
2 1.0
経理・会計
6 4.7
72 .0
人材育成・教育
6 7.7
4 5 .1
42 .4
組織風土づくり・環境づくり
5 0 .0
9.8
8.3
資金繰り
ほぼ実践できている(n=51)
17 .7
その他
ある程度実践できている(n=132)
少しは実践できている(n=62)
3.9
1 .5
1 .6
※「まったく実践できていない」は合計で n=1 のため、グラフでは省いた。
111
(4)経営理念・ビジョンと経営上重視しているもの(利害関係者1位)
経営理念を「明確化・文章化している」企業は、
「明確化していない」、
「文章化していない
企業」と比較して、重要視するもの1位として、従業員と回答している割合が高い。
経営理念をより実践している企業でも、1位で従業員と回答している割合が高い。
図表 2-3-7:経営理念・ビジョンの明確化
0%
×
10%
経営上重視しているもの(利害関係者1位)
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
0.8
3.1
明確化して、かつ文章化している(n=129)
100%
38.0
55.8
2.3
0.0
明確化しているが文章化していない(n=112)
20.3
明確にしていない(n=69)
従業員
65.2
10.1
10%
×
20%
2.7
62.3
下請や外注先、仕入先
図表 2-3-8:経営理念・ビジョンの実践
0%
7.1
25.0
1.4 5.8
顧客
株主
地域社会
経営上重視しているもの(利害関係者1位)
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.0
ほぼ実践できている(n=53)
39.6
52.8
5.7
1.9
0.8
ある程度実践できている(n=126)
7.1
32.5
58.7
0.8
0.0
0.0
24.6
少しは実践できている(n=61)
従業員
68.9
下請や外注先、仕入先
112
顧客
6.6
株主
地域社会
(5)経営理念・ビジョンと経営力向上・自己研鑽のために努力していること
総じて、経営理念を明確化している企業ほど、各種経営力向上・自己研鑽に積極的である。
図表 2-3-9:経営理念・ビジョンの明確化
0
10
×
経営力向上と自己研鑽
20
30
40
50
60
70
80
6 8.1
5 1.5
本を読む
30 .6
7 8.7
65 .7
新聞や雑誌を読む
5 2.9
6 8.8
セミナーや講演会等への参加
3 6.6
3 0.6
7 3.8
64 .2
従業員との意見交換
4 2.4
63 .8
7 3.1
顧客の意見を聞く
4 2.4
67 .4
54 .5
他の企業経営者との意見交換
38 .8
39 .0
ビジネスパートナー(外注先、下請け、仕入先等)の意見を聞く
4 7.8
35.3
6 2.4
39 .6
専門家(税理士や会計士、コンサルタント等)の意見を聞く
28 .2
3 .5
その他
0 .7
明確化して、かつ文章化している(n=141)
2 .4
明確化しているが文章化していない(n=134)
明確にしていない(n=85)
0.0
特にない
1 .5
8.2
113
90
図表 2-3-10:経営理念・ビジョンの実践
0
10
×
20
経営力向上と自己研鑽
30
40
50
60
70
80
7 0 .0
59 .9
本を読む
52 .1
66 .7
7 8 .2
新聞や雑誌を読む
6 4.8
55 .0
セミナーや講演会等への参加
5 6.3
4 5.1
7 8.3
6 9.0
従業員との意見交換
60 .6
75 .0
66 .9
顧客の意見を聞く
66 .2
66 .7
59 .2
他の企業経営者との意見交換
60 .6
50 .0
ビジネスパートナー(外注先、下請け、仕入先等)の意見を聞く
43 .0
3 8.0
5 3.3
54 .9
専門家(税理士や会計士、コンサルタント等)の意見を聞く
4 3.7
6 .7
その他
0.7
1.4
0.0
特にない 0.7
1.4
114
ほぼ実践できている(n=60)
ある程度実践できている(n=142)
少しは実践できている(n=71)
90
(6)経営理念・ビジョンと事業展開時に重視する検討内容
総じて、経営理念を明確化している企業ほど、事業展開時に各種内容を検討している割合
が高い。事業展開に対してより戦略的に取り組んでいることが読み取れる。
実践との関係については、
「経営理念・ビジョンの明確化」でのクロス集計と比べてあまり
差は大きくないが、傾向として経営理念を実践している企業ほど、事業展開時に各種内容を
検討している割合が高い。
図表 2-3-11:経営理念・ビジョンの明確化
0
×
事業展開時に重視する検討内容
10
20
30
40
50
60
70
80
90
83 .7
自社の強み・弱み・特徴
7 9 .4
6 4.5
44 .7
3 8.2
外部経済環境(景気動向、為替変動、政治動向、規制など)
3 0 .3
56 .0
競争環境(ライバルとの競合関係など)
4 6 .6
4 7 .4
7 5.9
商品・サービスの市場性(価格動向、規模、成長性など)
6 4.1
51 .3
56 .7
地域の市場性(人口構造、成長性など)
3 8.9
19 .7
明確化して、かつ文章化している(n=141)
2.8
その他
1.5
1.3
115
明確化しているが文章化していない(n=131)
明確にしていない(n=76)
図表 2-3-12:経営理念・ビジョンの実践
0
×
10
事業展開時に重視する検討内容
20
30
40
50
60
70
80
90 100
88 .1
自社の強み・弱み・特徴
8 0.9
78 .6
35 .6
4 6.8
外部経済環境(景気動向、為替変動、政治動向、規制など)
35 .7
52 .5
52 .5
競争環境(ライバルとの競合関係など)
4 7.1
79 .7
69 .5
商品・サービスの市場性(価格動向、規模、成長性など)
6 4.3
49.2
49.6
地域の市場性(人口構造、成長性など)
44 .3
1.7
その他
2 .1
2 .9
116
ほぼ実践できている(n=59)
ある程度実践できている(n=141)
少しは実践できている(n=70)
(7)経営理念・ビジョンと今後重視する事業展開
経営理念・ビジョンを「明確化・文章化」している企業は、していない企業と比較して、
「事業の拡大」で高い回答割合を示している。
「コストダウン、効率化」についても、傾向と
して、より経営理念を明確化している企業ほど、回答割合が高い。
経営理念・ビジョンをより「実践している」企業は、
「事業の拡大」で高い回答割合を示し
ている。
「コストダウン、効率化」についても、傾向として回答割合が高い。一方で、事業再
構築は、理念・ビジョンをより実践できていない企業ほど回答割合が高くなっている。
図表 2-3-13:経営理念・ビジョンの明確化
0
10
×
20
今後重視する事業展開
30
40
50
60
70
6 5 .7
事業の拡大(新商品開発、新市場拡大、現市場拡大、その他
拡大)
37 .6
3 9 .7
6 2 .1
6 0 .0
コストダウン、効率化
55 .9
3 8.6
4 4.0
事業再構築
42 .6
明確化して、かつ文章化している(n=140)
4.3
その他
明確化しているが文章化していない(n=125)
3.2
明確にしていない(n=68)
2 .9
図表 2-3-14:経営理念・ビジョンの実践
0
10
×
20
今後重視する事業展開
30
40
50
60
70
60 .3
事業の拡大(新商品開発、新市場拡大、現市場拡大、その他
拡大)
5 3.6
44 .8
6 3.8
60 .9
コストダウン、効率化
58 .2
34 .5
事業再構築
42 .0
44 .8
6 .9
その他
ほぼ実践できている(n=140)
2 .9
ある程度実践できている(n=125)
3.0
少しは実践できている(n=68)
117
(8)経営理念・ビジョンと自社都合退職の実施(過去5年間)
全体的に自社都合退職の実施は少ないが、経営理念を「ほぼ実践できている」及び「ある
程度実践している」は、
「少しは実践できている」と比較して、自社都合退職を実施したこと
は「ない」との回答割合が高い。
図表 2-3-15:経営理念・ビジョンの実践
0%
10%
20%
×
30%
自社都合退職の実施(過去5年間)
40%
50%
60%
ほぼ実践できている(n=58)
13.8
86.2
ある程度実践できている(n=138)
13.8
86.2
23.2
少しは実践できている(n=69)
70%
80%
90%
100%
76.8
ある
ない
(9)経営理念・ビジョンと地元採用への意識
経営理念・ビジョンをより明確化している企業の方が、より地元採用を意識している。
図表 2-3-16:経営理念・ビジョンの明確化
0%
10%
20%
30%
×
地元採用への意識
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.0
34.5
明確化して、かつ文章化している(n=139)
明確化しているが文章化していない(n=125) 5.3
0.0
65.5
79.5
14.4
1.9
明確にしていない(n=77)
34.6
大いに意識している どちらともいえない
118
55.8
ある程度意識している
まったくこだわっていない。
7.7
0.8
(10)経営理念・ビジョンと障害者雇用の状況
経営理念・ビジョンをより明確化している企業の方が、より障害者雇用に積極的である。
また、実践についても、ほぼ同様の傾向である。
図表 2-3-17:経営理念・ビジョンの明確化
0%
10%
30%
24.8
明確化して、かつ文章化している(n=141)
明確化しているが文章化していない(n=126)
20%
15.9
×
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
46.8
16.3
12.1
5.6
障害者雇用の状況
63.5
15.1
2.4
明確にしていない(n=84)
10.7
9.5
現在雇用している 現在は雇用していないが、過去に雇用した実績がある 77.4
現在は雇用していないが、今後は雇用したい
過去も現在も障害者雇用はない
図表 2-3-18:経営理念・ビジョンの実践
0%
ほぼ実践できている(n=58)
ある程度実践できている(n=140)
少しは実践できている(n=67)
10%
20%
20.7
13.8
24.3
55.2
30%
8.6
6.0
17.9
現在雇用している 現在は雇用していないが、過去に雇用した実績がある 119
40%
×
障害者雇用の状況
50%
60%
70%
10.3
80%
90%
55.2
50.0
17.1
62.7
現在は雇用していないが、今後は雇用したい
過去も現在も障害者雇用はない
100%
(11)経営理念・ビジョンと障害者雇用の状況(定年後も引き続き雇用)
経営理念・ビジョンをより明確化している企業の方が、高齢者の定年後も引き続き雇用す
ることにより積極的である。
また、実践についても、同様の傾向である。
図表 2-3-19:経営理念・ビジョンの明確化
0%
10%
20%
30%
×
40%
明確化して、かつ文章化している(n=141)
障害者雇用の状況
50%
60%
80%
80.1
39.5
ある
ない
図表 2-3-20:経営理念・ビジョンの実践
10%
20%
30%
40%
×
50%
障害者雇用の状況
60%
70%
80%
79.3
ほぼ実践できている(n=58)
16.8
55.2
少しは実践できている(n=67)
ある
37.3
ない
120
90%
20.7
83.2
ある程度実践できている(n=137)
100%
26.8
60.5
明確にしていない(n=81)
90%
19.9
73.2
明確化しているが文章化していない(n=123)
0%
70%
100%
(12)経営理念・ビジョンと高齢者雇用(高齢者を新規に雇用)
経営理念・ビジョンを明確化している企業の方が、明確にしてない企業と比較して、高齢
者を新規に雇用することにより積極的である。
図表 2-3-21:経営理念・ビジョンの明確化
0%
10%
20%
30%
×
40%
高齢者を新規に雇用
50%
60%
70%
明確化して、かつ文章化している(n=141)
34.9
65.1
明確化しているが文章化していない(n=123)
33.3
66.7
19.2
明確にしていない(n=81)
80%
90%
100%
80.8
ある
ない
(13)経営理念・ビジョンと従業員の人材マネジメント
経営理念・ビジョンをより明確化している企業の方が、人材マネジメントにより力を入れ
ている。
また、実践についても同様の傾向である。
図表 2-3-22:経営理念・ビジョンの明確化
0%
10%
30%
従業員の人材マネジメント
40%
50%
31.4
明確化して、かつ文章化している(n=140)
明確化しているが文章化していない(n=122)
20%
×
60%
70%
80%
44.3
11.5
35.2
2.5
明確にしていない(n=79)
26.6
36.7
大いに力を入れている
あまり力を入れていない
121
100%
15.7
50.7
9.0
90%
34.2
ある程度力を入れている
まったく力を入れていない
2.1
図表 2-3-23:経営理念・ビジョンの実践
0%
10%
少しは実践できている(n=65)
30%
40%
従業員の人材マネジメント
50%
60%
31.6
ほぼ実践できている(n=57)
ある程度実践できている(n=138)
20%
×
70%
80%
90%
12.3
50.9
21.0
52.9
12.3
5.3
4.3
21.7
33.8
41.5
大いに力を入れている
あまり力を入れていない
100%
12.3
ある程度力を入れている
まったく力を入れていない
(14)経営理念・ビジョンと従業員育成や動機付けにかかる制度
経営理念・ビジョンを明確化・文章化している企業の方が、そうでない企業と比較して、
人材マネジメントにかかる各種制度に積極的である。実践についても同様の傾向である。
図表 2-3-24:経営理念・ビジョンの明確化
0.0
×
10.0
従業員育成や動機付けにかかる制度
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
4 3.1
表彰制度
15 .0
1 4.5
48 .2
個人目標の数値化と達成度の評価
1 8 .6
16 .4
74 .5
成果給与(賞与への反映も含む)
6 7.3
4 7.3
56 .9
3 6.3
資格取得奨励・資格手当・報奨金制度
4 7.3
7 8.1
5 2.2
研修(社外・社内)
4 1.8
3 5 .8
経営計画策定への関与
各種経営情報の一般従業員への公開
2 4.8
1 4.5
5 1.8
3 0.1
7 .3
3 0.7
抜擢人事制度
15 .0
3.6
権限の委譲
38 .0
3 8.9
休暇が取得しやすい環境づくり
32 .7
明確化して、かつ文章化してい
る(n=137)
明確化しているが文章化してい
ない(n=113)
明確にしていない(n=55)
47 .8
従業員同士のコミュニケーションや親睦促進
その他
54 .7
31 .9
23 .6
3 8 .2
5 .1
0.0
3.6
122
6 5.0
図表 2-3-25:経営理念・ビジョンの実践
×
0.0
10.0
従業員育成や動機付けにかかる制度
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
3 4.5
3 5.7
表彰制度
14 .8
46 .6
個人目標の数値化と達成度の評価
37 .2
1 9.7
7 9 .3
成果給与(賞与への反映も含む)
70 .5
65 .6
3 9.7
5 5 .0
資格取得奨励・資格手当・報奨金制度
4 1.0
7 5.9
6 6.7
研修(社外・社内)
5 7.4
41 .4
経営計画策定への関与
27 .9
27 .9
50 .0
各種経営情報の一般従業員への公開
4 0 .3
37 .7
3 2.8
抜擢人事制度
22 .5
18 .0
ほぼ実践できている(n=58)
ある程度実践できている
(n=129)
少しは実践できている(n=61)
55 .2
権限の委譲
4 2 .6
37 .7
50 .0
休暇が取得しやすい環境づくり
3 7.2
2 9.5
63 .8
56 .6
50 .8
従業員同士のコミュニケーションや親睦促進
その他
0 .0
3.9
1.6
123
(15)経営理念・ビジョンと従業員一人当たりにかける研修経費
経営理念・ビジョンを明確化・文章化している企業の方が、そうでない企業と比較して、
より従業員一人当たりにかける研修経費が高い(5 万円以上での回答割合が高い)。
また、経営理念をより実践している企業についても同様の傾向である。
図表 2-3-26:経営理念・ビジョンの明確化
0%
明確化して、かつ文章化している(n=112)
×
20%
10.7
従業員一人当たりにかける研修経費
40%
60%
80%
18.8
43.8
19.6
100%
7.1
3.1
10.9
明確化しているが文章化していない(n=64)
18.8
54.7
12.5
0.0
明確にしていない(n=30)
10万円以上
56.7
16.7
5万円~10万円未満
1万円~5万円未満
図表 2-3-27:経営理念・ビジョンの実践
0%
10%
ほぼ実践できている(n=112)
9.1
ある程度実践できている(n=64)
8.6
少しは実践できている(n=30) 5.3
10万円以上
20%
×
30%
16.7
5千円~1万円未満
5千円未満
従業員一人当たりにかける研修経費
40%
50%
60%
70%
80%
50.5
47.4
13.2
5万円~10万円未満
124
1万円~5万円未満
90%
18.2
40.9
27.3
12.9
10.0
17.2
23.7
5千円~1万円未満
100%
4.5
10.8
10.5
5千円未満
(16)経営理念・ビジョンと顧客から声を吸い上げる仕組み
明確化している企業の方が、各種取り組みに積極的である。一方、
「特になし」は明確にし
ていない企業が一番高い。
実践に関しては、「満足度調査の実施」と「店頭アンケートやご意見カード」では、「ほぼ
実践」及び「ある程度実践」と比較して、
「少しは実践している企業」の回答割合が低くなっ
ている。
図表 2-3-28:経営理念・ビジョンの明確化
0.0
10.0
20.0
×
30.0
顧客から声を吸い上げる仕組み
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
3 2 .1
1 3 .8
満足度調査の実施
3 .6
18 .6
5.4
苦情相談の窓口を設置
3 .6
40 .7
22 .3
苦情情報の蓄積と分析活用
1 2 .0
7 7 .9
日々の営業や接客で声を吸い上げる
8 6 .9
6 0.2
4 7 .9
店頭アンケートやご意見カード
1 8.5
15 .7
その他
2 .9
明確化して、かつ文章化している(n=140)
2.4
明確化しているが文章化していない(n=130)
0
明確にしていない(n=83)
2 .9
6 .2
特になし
2 5 .3
図表 2-3-29:経営理念・ビジョンの実践
0.0
10.0
20.0
×
30.0
顧客から声を吸い上げる仕組み
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
2 7 .6
2 7.9
満足度調査の実施
1 1 .4
1 3 .8
1 1 .4
苦情相談の窓口を設置
1 1 .4
3 2 .8
3 0 .0
3 4 .3
苦情情報の蓄積と分析活用
8 6 .2
8 0 .7
8 1 .4
日々の営業や接客で声を吸い上げる
3 4 .5
店頭アンケートやご意見カード
4 0 .0
2 1 .4
0
その他
ほぼ実践できている(n=58)
2 .9
ある程度実践できている(n=140)
0
特になし
少しは実践できている(n=70)
3 .4
4 .3
5 .7
125
100.0
(17)経営理念・ビジョンと顧客の声の活用状況
より明確化している企業の方が、より顧客の声を活用できている。
図表 2-3-30:経営理念・ビジョンの明確化
0%
20%
40%
60%
80%
100%
56.4
9.8
73.0
11.1
ある程度活用できている
14.3
あまり活用できていない
0.0
0.0
3.5
72.6
23.9
明確化しているが文章化していない(n=113)
おおいに活用できている
顧客の声の活用状況
33.8
明確化して、かつ文章化している(n=133)
明確にしていない(n=63)
×
1.6
まったく活用していない
(18)経営理念・ビジョンの明確化と顧客の声を何に活用しているか
より明確にしている企業は、そうでない企業と比較してどの項目において回答割合が高い。
図表 2-3-31:経営理念・ビジョンの明確化
0.0
10.0
20.0
30.0
×
顧客の声を何に活用しているか
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
23 .7
1 8 .8
新しいビジネスへのヒント
7 .9
6 8 .1
7 3 .5
既存商品・サービスの改良
6 1.9
8 5 .9
8 3.8
顧客満足度の向上
6 8 .3
4 0.0
3 2 .5
従業員の業績・行動評価への活用
2 2 .2
明確化して、かつ文章化している(n=135)
明確化しているが文章化していない(n=117)
1.5
明確にしていない(n=63)
その他 0.0
0 .0
126
100.0
一方で、実践に関しては「新しいビジネスのヒント」、「顧客満足度の向上」、「従業員の業
績・行動評価」にて、傾向として、経営理念・ビジョンをより実践している企業の回答割合
が高い。ただし、顧客満足度の向上は、全体的に回答割合が高く、
「既存商品・サービスの改
良」のおいては、「少しは実践できている」企業が高くなっている。
図表 2-3-32:経営理念・ビジョンの実践
0.0
10.0
20.0
30.0
×
顧客の声を何に活用しているか
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
2 3 .6
24 .0
新しいビジネスへのヒント
1 5 .2
7 0.9
66 .7
既存商品・サービスの改良
7 8.8
8 7 .3
8 6 .0
顧客満足度の向上
81 .8
4 0.0
4 0.3
従業員の業績・行動評価への活用
24 .2
ほぼ実践できている(n=55)
ある程度実践できている(n=129)
1 .8
その他
少しは実践できている(n=66)
0.8
0 .0
127
100.0
(19)経営理念・ビジョンの明確化と同じ地域内のビジネスパートナーとよい関係を持つ重視度
より明確化している企業の方が、地域内のビジネスパートナーとよい関係を構築すること
をより重視している。
一方で、実践に関しても同様の傾向である。
図表 2-3-33:経営理念・ビジョンの明確化
×
同じ地域内のビジネスパートナーとよい関係を持
つ重視度
0%
10%
20%
30%
明確化して、かつ文章化している(n=137)
40%
50%
60%
70%
65.0
図表 2-3-34:経営理念・ビジョンの実践
×
8.7
35.7
とても重視している
100%
8.8
36.2
44.0
明確にしていない(n=84)
90%
26.3
55.1
明確化しているが文章化していない(n=127)
80%
20.2
やや重視している
あまり重視していない
同じ地域内のビジネスパートナーとよい関係を持つ
重視度
0%
10%
20%
30%
ほぼ実践できている(n=59)
50%
60%
70%
80%
76.3
90%
1.7
30.1
45.6
41.2
とても重視している
やや重視している
128
100%
22.0
60.3
ある程度実践できている(n=136)
少しは実践できている(n=68)
40%
9.6
13.2
あまり重視していない
(20)経営理念・ビジョンと同じ地域内のビジネスパートナーとのよい関係の意義
より明確化している企業の方が、地域内ビジネスパートナーとのよりよい関係の意義につ
いて、それぞれ回答割合が高い。「特になし」では明確にしていない企業が一番高い。
一方で、実践に関しても同様の傾向である。
図表 2-3-35:経営理念・ビジョンの明確化
×
同じ地域内のビジネスパートナーとのよりよい関
係の意義
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
38 .2
地域内での連帯感がうまれる
3 7.8
2 1.7
5 2 .2
5 2 .8
同じ地域なので信頼感がある
2 8 .9
6 9 .9
同じ地域なので利便性がある
6 3.8
60 .2
6 .6
その他
1.6
明確化して、かつ文章化している(n=136)
1 .2
明確化しているが文章化していない(n=127)
5 .9
特になし
明確にしていない(n=83)
11 .0
2 1.7
図表 2-3-36:経営理念・ビジョンの実践
×
同じ地域内のビジネスパートナーとのよりよい関係
の意義
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
36 .2
地域内での連帯感がうまれる
41 .5
31 .9
5 6.9
54 .8
同じ地域なので信頼感がある
4 3.5
7 5.9
同じ地域なので利便性がある
65 .9
6 2.3
0 .0
その他
4 .4
ほぼ実践できている(n=58)
7 .2
ある程度実践できている(n=135)
3 .4
特になし
少しは実践できている(n=69)
8 .1
1 3.0
129
(21)経営理念・ビジョンと地域貢献活動への取組み
より明確化している企業の方が、各種地域貢献活動により取り組んでいる傾向がある。一
方、
「地域貢献活動に取り組んでいない」への回答割合は、経営理念・ビジョンを明確にして
いない企業が一番高い。
一方で、実践に関しては、
「教育」や「保健・医療・福祉」以外では、明確化とのクロス集
計に比してあまり差が出なかった。
図表 2-3-37:経営理念・ビジョンの明確化
0.0
10.0
×
20.0
地域貢献活動への取り組み
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
4 5.3
地域経済活性化にかかる活動
40.9
33.3
60.4
49 .6
文化・環境に関する活動
32.1
30.9
教育に関する活動
11 .8
8.6
明確化して、かつ文章化している(n=139)
明確化しているが文章化していない(n=127)
1 5.1
12 .6
雇用に関する活動
明確にしていない(n=81)
2.5
38.8
46.5
治安・安全・防災に関する活動
29 .6
10 .1
9.4
保健・医療・福祉に関する活動
6.2
12 .2
1 2.6
地域貢献活動は行っていない
34.6
図表 2-3-38:経営理念・ビジョンの実践
0.0
10.0
×
20.0
地域貢献活動への取り組み
30.0
40.0
50.0
60.0
40.4
47.1
地域経済活性化にかかる活動
37.7
59 .6
5 3.6
文化・環境に関する活動
55.1
26.3
22.5
教育に関する活動
17.4
ほぼ実践できている(n=57)
ある程度実践できている(n=138)
8.8
19.6
雇用に関する活動
少しは実践できている(n=69)
5.8
42.1
4 2.0
治安・安全・防災に関する活動
42.0
12.3
10.9
保健・医療・福祉に関する活動
5.8
地域貢献活動は行っていない
10.5
10.9
1 7.4
130
70.0
2
地元採用への意識、地域貢献活動への取り組み
(1)地元採用への意識と事業展開時に重視する検討内容
より意識している企業ほど、概ね各項目の検討を重視している傾向がある。
図表 2-3-39:地元採用への意識
×
事業展開時に重視する検討内容
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
80 .2
8 3.9
自社の強み・弱み・特徴
5 9.3
73 .8
45 .1
41 .4
外部経済環境(景気動向、為替変動、政治動向、規制など)
48.1
2 1.3
5 6.8
54 .0
競争環境(ライバルとの競合関係など)
4 4.4
34 .4
67.9
6 5.5
商品・サービスの市場性(価格動向、規模、成長性など)
8 5.2
55 .7
5 0.0
43.7
地域の市場性(人口構造、成長性など)
29 .6
26.2
1.2
その他
3.4
0 .0
1 .6
131
大いに意識している(n=162)
ある程度意識している(n=87)
どちらともいえない(n=27)
まったくこだわっていない(n=61)
×
(2)地元採用への意識
今後重視する事業展開
採用を意識している(おおいに意識しいている、ある程度意識している)企業が、より「事
業の拡大」への回答割合が高い。
図表 2-3-40:地元採用への意識
×
0
今後重視する事業展開
10
20
30
40
50
60
70
80
56 .6
57 .1
事業の拡大(新商品開発、新市場拡大、現市場拡大、その他
拡大)
30 .8
36 .8
59 .7
5 8.3
コストダウン、効率化
69 .2
5 6.1
3 9.6
4 1.7
事業再構築
5 7.7
3 8.6
4.4
その他
大いに意識している(n=159)
ある程度意識している(n=84)
どちらともいえない(n=26)
まったくこだわっていない(n=57)
1.2
0 .0
5.3
(3)地元採用への意識と障害者雇用
地域密着採用をより意識している企業ほど、障害者雇用に積極的である。
図表 2-3-41:地元採用への意識
0%
大いに意識している(n=162)
ある程度意識している(n=88)
10%
20%
12.5
15.9
17.9
まったくこだわっていない(n=64)
6.3 4.7
40%
障害者雇用の状況
50%
60%
15.4
7.4
24.1
どちらともいえない(n=28)
30%
×
80%
90%
53.1
53.4
18.2
3.6 7.1
70%
71.4
78.1
10.9
現在雇用している 現在は雇用していないが、過去に雇用した実績がある 132
現在は雇用していないが、今後は雇用したい
過去も現在も障害者雇用はない
100%
(4)地元採用への意識と高齢者を定年後も引き続き雇用
より意識している(おおいに意識している、ある程度意識している)企業ほど、高齢者定
年後引き続きの雇用に積極的である。
図表 2-3-42:地元採用への意識
0%
10%
20%
×
30%
高齢者を定年後も引き続き雇用
40%
50%
60%
70%
80%
90%
21.3
78.8
大いに意識している(n=160)
22.7
77.3
ある程度意識している(n=88)
39.3
60.7
どちらともいえない(n=28)
36.1
63.9
まったくこだわっていない(n=61)
100%
ある
ない
(5)地元採用への意識と新規に高齢者を雇用
より意識している企業ほど、概ね、高齢者の新規採用に積極的である。
図表 2-3-43:地元採用への意識
0%
大いに意識している(n=150)
10%
20%
まったくこだわっていない(n=57)
40%
新規に高齢者を雇用
50%
60%
32.0
70%
80%
68.0
38.3
ある程度意識している(n=81)
どちらともいえない(n=25)
30%
×
61.7
32.0
68.0
80.7
19.3
ある
133
ない
90%
100%
(6)地元採用への意識と人材マネジメント
より意識している企業が、より人材マネジメントに力を入れている傾向がある。
図表 2-3-44:地元採用への意識
0%
10%
大いに意識している(n=163)
20%
×
30%
40%
10.7
まったくこだわっていない(n=56)
60%
70%
80%
25.0
30.4
100%
5.5
4.7
26.7
42.9
8.9
90%
28.8
47.7
20.9
どちらともいえない(n=28)
50%
46.6
19.0
ある程度意識している(n=86)
従業員の人材マネジメント
21.4
33.9
26.8
大いに力を入れている
あまり力を入れていない
ある程度力を入れている
まったく力を入れていない
(7)地元採用への意識と顧客から声を吸い上げる仕組み
より意識している企業が、
「日々の営業や接客で声を吸い上げる」を除いて、概ね、顧客か
ら声を吸い上げる仕組みに積極的である。
図表 2-3-45:地元採用への意識
0.0
10.0
×
20.0
顧客から声を吸い上げる仕組み
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
2 0 .2
2 6 .4
満足度調査の実施
1 4 .3
1 1 .1
1 2 .3
9 .2
苦情相談の窓口を設置
1 7 .9
6 .3
3 0 .1
3 3 .3
2 8.6
苦情情報の蓄積と分析活用
1 7 .5
8 1 .0
7 7 .0
日々の営業や接客で声を吸い上げる
6 0 .7
7 6.2
店頭アンケートやご意見カード
2 1 .4
1 7 .5
0
その他
大いに意識している(n=163)
3 .4
ある程度意識している(n=87)
0
4 .8
どちらともいえない(n=28)
まったくこだわっていない(n=63)
4 .3
特になし
(9)地元採用への意識
×
3 3.1
3 7 .9
9 .2
14 .3
14 .3
地域貢献活動
134
90.0
(8)地域貢献活動と事業展開時に重視する検討内容
「地域貢献活動を行っていない」企業は、何らかの地域貢献活動を行っている企業と比較
して、各内容を重視していない傾向がある。地域貢献活動と事業を戦略的に検討していくこ
とに相関が見られる。
図表 2-3-46:地域貢献活動への取り組み
×
事業展開で重視すること
0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0
8 1.0
8 2.6
81 .5
8 7.2
80 .0
8 4.4
自社の強み・弱み・特徴
69 .0
46 .5
43 .0
50 .8
4 8.7
4 6.7
4 0.6
外部経済環境(景気動向、為替変動、政治動向、規制など)
2 7.6
5 9 .9
5 6.4
5 6.9
5 3.8
55 .6
5 9 .4
4 6 .6
競争環境(ライバルとの競合関係など)
7 4.6
6 8.0
7 0.8
71 .8
6 8.1
68 .8
65 .5
商品・サービスの市場性(価格動向、規模、成長性など)
48 .6
4 6.5
58 .5
5 6.4
地域の市場性(人口構造、成長性など)
44 .4
5 0.0
3 1.0
その他
2.1
2 .9
4 .6
0 .0
2.2
0 .0
0 .0
135
地域経済活性化にかかる活動(n=142)
文化・環境に関する活動(n=172)
教育に関する活動(n=65)
雇用に関する活動(n=39)
治安・安全・防災に関する活動(n=135)
保健・医療・福祉に関する活動(n=32)
地域貢献活動は行っていない(n=58)
0
(9)地域貢献活動と今後重視する事業展開
事業展開時に重視する検討内容と比較して、大きな差は出ないが、
「 事業の拡大」を見ると、
概ね「地域貢献活動を行っていない」企業は、何らかの地域貢献活動を行っている企業と比
較して重視しない傾向がある。
図表 2-3-47:地域貢献活動への取り組み
0.0
10.0
×
20.0
今後重視する事業展開
30.0
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
5 0 .0
5 6 .1
6 6.7
6 4.1
事業の拡大(新商品開発、新市場拡大、現市場拡大、その他拡大)
5 2.3
5 3 .1
43 .9
6 4 .7
6 0 .4
73 .0
7 6.9
コストダウン、効率化
65 .4
5 6 .3
5 6.1
4 3.4
43 .9
4 2.9
5 3 .8
事業再構築
4 0 .8
6 5.6
3 8 .6
3 .7
地域経済活性化にかかる活動(n=136)
5.5
6 .3
その他
雇用に関する活動(n=39)
治安・安全・防災に関する活動(n=130)
0.0
3 .1
9 .4
3 .5
136
文化・環境に関する活動(n=164)
教育に関する活動(n=63)
保健・医療・福祉に関する活動(n=32)
地域貢献活動は行っていない(n=57)
90.0
(10)地域貢献活動と顧客の声を吸い上げる仕組み
何らかの地域貢献活動を行っている企業のほうが、地域貢献活動を行っていない企業と比
較して、概ね顧客の声を吸い上げる取り組みに積極的である。
図表 2-3-48:地域貢献活動への取り組み
0.0
10.0
20.0
×
30.0
顧客の声を吸い上げる仕組み
40.0
50.0
60.0
70.0
80.0
90.0
100.0
2 2.1
2 4.1
35 .4
3 2.5
満足度調査の実施
2 0 .4
3 4.4
7 .9
1 4.3
1 1 .5
1 8.5
苦情相談の窓口を設置
35 .0
1 0.2
18 .8
4 .8
3 5.0
32 .8
46 .2
4 2.5
苦情情報の蓄積と分析活用
30 .7
50 .0
2 0.6
80 .0
82 .2
89 .2
7 7.5
日々の営業や接客で声を吸い上げる
90 .5
90 .6
60 .3
3 9 .3
32 .2
47 .7
50
店頭アンケートやご意見カード
2 8 .5
4 3.8
22 .2
その他
3 .6
2 .3
3.1
2 .5
0.7
0 .0
1.6
地域経済活性化にかかる活動(n=140)
文化・環境に関する活動(n=174)
教育に関する活動(n=65)
雇用に関する活動(n=40)
治安・安全・防災に関する活動(n=137)
保健・医療・福祉に関する活動(n=32)
地域貢献活動は行っていない(n=63)
5 .7
4
0
特になし
2 .5
2.9
0 .0
23 .8
137
(11)地域貢献活動と従業員の人材マネジメント
何らかの地域貢献活動を行っている企業のほうが、地域貢献活動を行っていない企業と比
較して、「大いに力を入れている」、「ある程度力を入れている」との回答割合が大きい。
図表 2-3-49:地域貢献活動への取り組み
0.0
10.0
20.0
×
従業員の人材マネジメント
30.0
40.0
50.0
60.0
1 9.3
1 7.9
3 0.8
大いに力を入れている
20 .0
1 7.9
20 .0
3 .6
44 .3
49 .4
4 9.2
ある程度力を入れている
4 2 .5
47 .0
50 .0
3 0.4
30 .7
2 5.6
15 .4
あまり力を入れていない
3 2.5
2 5.4
20 .0
3 3.9
5.7
地域経済活性化にかかる活動(n=136)
文化・環境に関する活動(n=164)
教育に関する活動(n=63)
雇用に関する活動(n=39)
治安・安全・防災に関する活動(n=130)
保健・医療・福祉に関する活動(n=32)
地域貢献活動は行っていない(n=57)
7 .1
4.6
まったく力を入れていない
5 .0
9 .7
10 .0
3 2.1
138
第3編
インタビュー調査結果
第1章
インタビュー先一覧
本調査では、以下の企業へのインタビューを実施した。
インタビューは基本的に代表取締役に対して行なわれた(もしくは専務取締役・取締役などの
経営陣)。
社名
所在地
社名
ページ
所在地
ページ
1 ㈱アーバン
東京都日野市
140
21 西尾精密㈱
2 ㈲青柳
群馬県桐生市
142
22 日本給食サービス㈱ 東京都千代田区
182
3 ㈱天野屋呉服店
栃木県小山市
144
23 ㈱野上米穀
新潟県長岡市
184
4 ㈲大関種苗園
栃木県鹿沼市
146
24 八海醸造㈱
新潟県南魚沼市
186
5 ㈱大麦工房ロア
栃木県足利市
148
25 ㈱八百八町
東京都大田区
188
6 笠原産業㈱
栃木県足利市
150
26 ㈱坂東太郎
茨城県古河市
190
7 ㈱菓匠Shimizu
長野県伊那市
152
27 ㈲美容室ムンク
埼玉県狭山市
192
8 ㈱かにや
埼玉県狭山市
154
28 ㈱ホンダカーズ柏
千葉県柏市
194
9 木内酒造(資)
茨城県那珂市
156
29 マツダ食品㈱
静岡県浜松市
196
10 ㈱幸田商店
茨城県ひたちなか市
158
30 ㈱未來舎
東京都青梅市
198
11 ㈲黒田養蜂園
栃木県鹿沼市
160
31 ㈱武蔵境自動車教習所
東京都武蔵野市
200
12 ㈱小池勝次郎商店
埼玉県深谷市
162
32 ㈱野菜くらぶ
群馬県昭和村
202
13 狭山ケーブルテレビ㈱
埼玉県狭山市
164
33 ㈱山香煎餅本舗
埼玉県草加市
204
14 ㈱シティ・ハウジング
東京都大田区
166
34 ㈱ヤマグチ
東京都町田市
206
15 ㈱信州 里の菓工房
長野県飯島町
168
35 ㈱レカムサービス
千葉県中央区
208
16 関彰商事㈱
茨城県筑西市
170
36 ㈱A
東京都
210
17 ㈱大和不動産
埼玉県さいたま市
172
37 ㈱B
栃木県
212
18 ㈱つくば食品
茨城県古河市
174
38 ㈱C
埼玉県
214
19 東京オート㈱
栃木県小山市
176
39 D㈱
千葉県
216
20 ㈱東玉
埼玉県さいたま市
178
第2章
インタビュー概要
以下、各企業のインタビュー概要を掲載する。
139
静岡県浜松市
180
株式会社
アーバン
■本社所在地:東京都日野市旭が丘 5-15-18
■主 な 事 業 :飲食店、給食サービス
■代 表 者:代表取締役会長 佐藤 久牧、代表取締役社長 室星
■設
立:平成 2 年
■資 本 金:1,500 万円
■従 業 員:400 名(パート含む)
正彦
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○社是の策定が大きな効果
 弊社では社是を平成 18 年に制定した。弊社の設立は平成2年であり、今まで経営理念や組織
風土づくりの大切さは判っていたが、10 数年経ってようやく人が育ってきたため本格的に取
り組み始めた。
 社是の効果は極めて大きかった。社員の考え、組織風土が 180°変わったといって過言ではない。
弊社はスローガンとして「我ら千客万来屋」を掲げているが、実際はなかなか難しいものであ
る。そのようなスローガン実現に向けて果敢にチャレンジするようになった。特に、従業員一
人ひとりが考えるきっかけとして、社是が判断の拠り所になる。まさしく戦略の方向性を示す
ことができた。
 社是を作ったのは丁度従業員が増加している時期で、社長から直接全従業員に意志が伝わり難
くなり始めた。そのため、経営の実質的な中心といえる中間管理職と皆で社是を作った。自身
で作った社是であるため、自分のものとして部下に伝えることができる。
 社是の浸透には、唱和や訓話、研修や社内報、アンケート実施のほか、
「Good and New」とい
う直近 24 時間以内に起きたことを話す 1 分間スピーチがある。これで皆が前向きになる。
○代表者としての仕事
 社長は今年の 11 月に交代したばかりである。会長職として、その仕事は「地上に出ていない
ことをやる」と考えている。それはまさしく「根」の部分として、人づくりや組織づくりであ
ると考えている。そして、社長は表に出る「幹」の部分の仕事をやることで、従業員はよき「果
実」になる。
2.雇用や人づくり
○現場重視の組織図
 弊社の組織図(チーム構成表)は、一番上に「お客様」と「お取引先」があり、その次に現場
のスタッフ(パート、アルバイト)が来る。続いて正社員、エリアマネージャー、管理職、幹
部、経営者の順になっている。お客様第一であり、スタッフ(パート、アルバイト)が次にき
ているのが特徴である。外食産業は正社員のみでは仕事はやっていけない。また、お客様に直
接接するのはまさしくパートやアルバイトであるという認識のである。そして、そのスタッフ
達をフォローするのが正社員の仕事であると考える。
 今後の課題としては、さらに人づくりを進めて、如何にして「人材」を「人財」に育てるかで
あり、研修等にも力を入れていきた。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域密着/観光振興との関わり合いが強いビジネス
 弊社は高尾山にて高尾山ビアマウント、高尾山薬王院の門前には茶屋、京王線高尾山口駅前に
140
はイタリアンレストランを営業している。観光地の印象に残る要因としては「食べ物」のウェ
イトが大きい。そこで、高尾山でおいしいものを食べていただくことで観光地へのリピーター
が増えていくと考えた。外食産業はまさしくその地域に人が来てもらい、その方々に直接商売
する事自体が地域貢献である。ビヤガーデンでも2時間待ちのケースもある。そのような場合、
待ち時間内で無料のビールサーバーを設置したりする。「千客万来」のためには「気前よし」
でなくてはならないと考えている。
○お客様からの声の活用
 お客様からの声の吸い取りには、嗜好調査や店舗内の意見カード、苦情窓口(メール窓口)な
どがあり、今年度からは蓄積した情報の分析・活用を始めたところである。お客様からの声は、
新しいビジネスのヒントや既存商品・サービスの改良に繋げるほか、社内報にて、「スタッフ
への感謝の手紙」を載せて、従業員の行動評価にも活用している。
○地域内仕入先の重視
 同じ地域内の仕入先はとても重視している。食材配達等で同じ地域内の利便性があるほか、外
食産業は「仕入れ先もお客様」であり、彼らも弊社の宣伝マンである。そのような仕入れ先の
方々には、夏から秋にかけて営業している「高尾山ビアマウント」にて行なう自社イベントに
も招待する。
4.経営戦略や事業戦略
○給食サービスの展開
 弊社は大学学生食堂・病院給食をはじめとした給食サービスを手掛けている。元々、会長の知
人からの紹介がきっかけ病院給食分野を知ったのがきっかけである。平成2年の設立と同時に、
八王子の大学 2 キャンパスでの食堂給食、茨城県と神奈川県の病院で医療給食を始めた。特に、
茨城県で病院向けの医療給食サービスの法定認定第 1 号である。事業は基本的に紹介を受ける
形でやっている。
 今後、配食サービスは展開を大きくしていく予定である。特に、厨房を持とうとしてもギリギ
リの線で割に合わない境目である 30~40 人レベルの中規模老人ホームをターゲットとする。
配食といっても、お弁当配達ではなく、器に盛ったものを保温・保冷して現場でお盆に並べる。
冷凍ものを温めなおす類似の給食サービスに比して、質的にも大きく優位性があり、実際に委
託業者選定のために試食していただいた大学の先生から非常に高い評価を得た。
 我々は治療食も対応する。お医者様で作った食事せんに基づいたものを作って配食できる。そ
のような細かいサービスに対応可能である。東京都第 1 号の医療・介護連携型高齢者専用賃貸
住宅におけるサービスも手掛ける。
 大手が進出できない中小規模の事業所を対象とするのはまさしく中小企業の戦略である。配食
事業には非常にノウハウが必要である。直接お宅に上がって配食するケースなど、直接食事を
補助することもある。
○海外への事業展開
 その他事業展開として、中国四川省成都イトーヨーカドーにもラーメン店を出店した。中国の
富裕層・消費リーダーには安心・安全なものとして日本ブランド(日式)は高付加価値なもの
として捉えられている。
141
有限会社
青柳
■本社所在地:群馬県桐生市本町 5-364
■主 な 事 業 :菓子製造販売(和菓子)
■代 表 者:代表取締役社長 宮地 由高
■設
立:昭和 28 年(創業:大正 10 年)
■資 本 金:300 万円 ■従 業 員:50 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○事業拡大期において経営理念を文章化した
 経営理念「喜ばれる悦び」と「進取の精神」は初代経営者である祖父母の後姿である。現社長
は 3 代目であるが、就任時に改めて経営理念を文章化した。
 先代(父親)の時代はまだ 1 店舗で営業していた。しかし、先代から社長を引き継ぎ、店舗数
を少しずつ拡大していく中、会社としての方向性を示し、従業員の心を一つにする必要性があ
った。経営理念は従業員に対して、事あるごとに説明している。やはり組織が大きくなってく
ると経営理念が大切になってくる。昔は 15 名程度であったが、現在は 50 名になっている。ま
た、経営理念は従業員に対してのみならず、お客様へ会社の経営姿勢を明示する役割を持つ。
 流通・小売や外食産業を対象とする経営誌「商業界」の初代主幹である故 倉本 長治 氏が提
唱した基本理念に「商売十訓」があり、正しい商人道を示す基本理念である。それを従業員と
共に読み解き、唱和している。
2.雇用や人づくり
○各種会議の開催と動機付けの取り組み
 チーフ会議を毎月上旬に開催している。各店舗の店長や工場、配送の責任者と経営陣の約 12
~13 名が参加する。
 店舗では、毎朝店長を中心とした 5 分程度のミーティングを開いている。製造部においても、
チーフ会議終了後に別途製造部会議を開いている。
 店舗別の売上向上に対しては社長のポケットマネーから報奨金を出している。その金額は前年
度比での売上向上分の 1%である。
 毎月従業員に手渡される給与明細には、社長からの手紙(A4 で 1 枚)を入れている。それで、
従業員に対し会社の置かれた状況や方針等を明示し、目指すべき方向性を共有している。
○定年後も働ける取り組みと地元採用への意識
 基本的には 60 歳定年であるが、65 歳までは延長できる。たとえ 65 歳を超えても、本人の意
思を尊重している。人材はすぐには育たない。そのため、可能な限り定年後も働いてもらいた
い。
 従業員として、菓子作りの職人のみならず、販売担当の社員やパートの皆さんも大切な存在で
ある。桐生市を中心に周辺から採用している。従業員には特に資格は必要ではない。むしろ未
経験の素直な人材の方がよい。
○事業承継について
 社長の次男が本人の意思で事業を承継する。そのため、福島県に 3 年、静岡県に 2 年の修行に
出ていた。修行先はどちらも急激に成長しているお店である。
142
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○NPO 法人の設立
 現社長は大学時代からボランティアに取り組んでいた。地域にて桐生市ボランティア協議会や
NPO 法人わたらせライフサービスを立ち上げて、その理事長も務めるかたわら、コミュニテ
ィビジネスの推進を行っている。
○地域密着活動として工場祭の開催
 地域での密着活動として、工場祭を 6 月の第 2 土曜日・日曜日に開催している。チラシによる
割引で、地域に商品を還元するのが目的である。また、ボランティア仲間も集まりイベントや
食材を販売する。地元飲食店も共催して、周りの店も賑わう。今まで 12 年間継続している。
(2 日間の来場者約 3,000 人)
○仕入先の重視
 仕入先は信頼の置ける取引先を選んでいる。価格ではなく、常に「最上の素材」を重視してお
り、今の取引先は 30 年来のお付き合いである。また、仕入の支払いも翌月 10 日の現金支払い
である。
4.経営戦略や事業戦略
○新商品開発を重視
 お客様の声を吸い上げる取り組みについては、従前は店舗にてご意見カードを設置していたが、
今はお客様の来店時のツブヤキや従業員が聞いたことをメモして、毎週社長に上げるようにし
ている。それが新商品開発のヒントになっている。また、お客様の声は、必ずチーフ会議にも
取り上げており、社内で情報を共有している。また、従業員からの新商品アイデアの提案に対
して社長賞があるほか、改善提案に対しても金一封の報奨金がある。
 リーマンショック時に初めて売上前年度割を経験して赤字となってしまった。しかし、景気の
せいとするのではなく、あくまで自己反省として、新商品開発と接客向上に力を入れた。昨年
4 月から群馬県太田市にもう一店舗出店したほか、5 月から桐生市の名物づくり・お土産品づ
くりとして、新商品としてのこぎり屋根サブレや、かりんとう饅頭「からっ風カリン」の販売
を開始した。そして 7 月までに赤字を脱却した。全体で、前年度比 20%の売上増加に繋がった。
また、通信販売も口コミで広がっていった。まさしく新商品効果が非常に大きくでたものであ
る。
 近年、かりんとう饅頭は一種のブームであるが、各社とも異なる。弊社では次期後継者の社長
の次男の専務が、かりんとう饅頭では日本一である福島県のお菓子屋で修行してきた。5 月販
売開始にも関わらず、現在、かりんとう饅頭は売上の 20%を占めるまでになった。そのような
ヒット商品の誕生によって新規のお客様も増えていった。毎年 2~3 種類の新商品を投入して
いるが、かりんとう饅頭は創業以来の大ヒット商品である。現在、その技術を応用した商品と
して「芋カリン」を限定販売している。
 このままでは、繁忙期の生産が間に合わないため、製造部門に3名の採用を行った。
○「群馬の青柳」を目指す
 生産体制を整え、前橋・高崎・伊勢崎への出店も視野に入れたい。そして、「群馬の青柳」に
なることを目指している。
143
株式会社
天野屋呉服店
■本社所在地:栃木県小山市中央町 3-1-29
■主 な 事 業 :衣料品小売(呉服)
■代 表 者:代表取締役社長 天野 晃作
■設
立:昭和 28 年(創業:178 年)
■資 本 金:1,000 円 ■従 業 員:30 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○経営理念が浸透した社風が大切
 従業員は結局のところ社風によって動くものである。社風とは、まさしく経営理念が浸透した
状態で、明文化されていない規則のようなものである。その部分を良くしなければならないと
考えている。新入社員が育つのも、現場の社風次第である。理念をどれだけ浸透させることが
できるかが社長の仕事といってよい。
 経営理念は朝唱和するほか、経営計画発表会は年に1回、パートを含む全社員参加で実施して
いる。理念は 15 年くらい前、現社長の代で具体的な文言にまとめた。しかしながら、時代の
流れとともに色々な形にかわってきている。
 理念の浸透には「言い続ける」しかない。朝礼で唱和することも OJT にて言い聞かせ続ける
ことがある。その都度やることが重要である。
 私がポイントと考えるのは、仕事に「誇り」が持てるかどうかである。誇れるようにしてあげ
るのが社長の仕事である。また、「やりがい」も自発性があってはじめて生まれる。自発性が
キーワードである。それはなかなか難しいものがあるが、常に従業員に語りかけている。
○「目が届く範囲」の規模でビジネスを行う
 「目の届く範囲」
・
「自分のペース」で可能な商売にする。そのために企業の規模は追求しない。
2.雇用や人づくり
○基本的に正社員
 事業部では呉服の他に、写真事業部もある。専門的な人材が多い写真事業部は非正規もいるが、
呉服店は基本的に昔から正社員としている。やはり正社員でないと意識が違う。
○個人目標の管理とバランス
 「1年間の歩み」という個人目標は皆設定して数値化している。達成度合いは給与とも連動し
ている。しかし、あまりインセンティブが強すぎると横の連携が弱くなる。そのバランスは難
しい。決して「絶対正しい手法」は存在しない。そのため理念がしっかりしている必要がある。
理念が考え方のベースとなる。また、今年は今まで班体制であったが、部体制に変えた。常に
組織作りはよりよい形を求めている。
○教育における外部経営資源の活用
 現在、中間管理職をどう育てるかが重要になっている。毎月、外部のコンサルタント等に来て
もらい、メンタル面・技術面ともに指導してもらっている。その意味では、中小企業にとって
外部の資源は大切である。
○事業承継
 現在、四国の同業者で修行してきた息子が戻ってきた。今後、10 年以内に事業承継を行う予定
である。
144
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○協同組合による業界活性化への取り組み
 呉服業界はかつて 2 兆円 5 千億円市場であったが今は 3 千億円規模になっている。業界として
難しい局面に立たされている。そのような中、協同組合にて全国の前向きな業者と触れ合うこ
とで情報と元気をいただいている。現社長が理事長を務める「日本きものシステム協同組合」
は京都にある全国組織であり、総会の出席率はほぼ 100%である極めて活発な組合である。し
かも 30 代の若手社長が中心である。組合では業界のトップが集まるため、常に情報収集の場
として最適である。組合員も「これからの呉服業界をどうすればよいか」真剣に考えるメンバ
ーが揃っている。将来の見通しが立つことが活力につながる。また、ナショナルチェーンでは
なく、各地域のきもの業者が中心に参加しており、設立から 16 年経過している。
 その他、現社長は、日本きもの連盟の副会長理事を務める、NPO 法人 和装教育国民推進会議
にも参加している。
 組合等の経営者の集まりに参加することは「自分づくり」につながり、人間性が広がるメリッ
トがある。社長相手の集まりではごまかしは効かない。そのような場で意見を述べることは自
分自身もそれに相応しいものでなくてはいけない。青年会議所の理事長を務めた経験が最も生
きている。
 呉服屋というのは地域も規模も千差万別である。その中で一番スケールメリットが生かせるの
は振袖である。そのため、日本きものシステム協同組合の共同の普及事業として振袖プロジェ
クトがある。その中には教育事業もある。例えば、チラシやパンフレットを共同で作ればスケ
ールメリットで安価になる。
4.経営戦略や事業戦略
○新事業としての写真事業部
 事業はあくまで本業に力を入れる。時代の変化に対応する必要があるが、本業から逸れてはい
けない。しかし、その中でも新事業である写真事業部を約9年前から取り組んでいる。着物は
アニバーサリィの部分が強いため、写真事業とお互いに補完関係にある。最近は「家族記念日」
の大切さも訴えている。自分の着物姿を残しておきたいというニーズには写真事業部は適して
おり、着付けのみならず、ヘアメイクもセットである点がお客様にとって利便性が高い。
 商圏は半径 15km と考えている。着物分野はどちらかというと固定客が多いが、常に顧客の創
造に努めていく必要がある。創造した顧客を育成して、固定客に導いていく。
145
有限会社
大関種苗園
■本社所在地:栃木県鹿沼市鳥居跡町 1416
■主 な 事 業 :種苗販売、農業用資材販売
■代 表 者:代表取締役社長 大関 浩司
■設
立:昭和 40 年
■資 本 金:500 万円
■従 業 員:7名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○笑顔をもたらす接客を心がける
 理念として、
「お客様が笑顔で帰っていただく」接客のお店を心がけている。弊社は単純に種苗
を販売するのではなく、
「どうやったら作物が上手く育つのか」作り方も教える専門店である。
○社長の仕事は理想・目標を示すこと
 社長の仕事というのは、理想・目標を言葉で示して、皆に同調してもらい、その方向に向かわ
せることである。また、今年の年間目標は売上高利益率 3%向上である。売上高ベースではな
く利益率ベースで考える。これを従業員に対しても解りやすく言えば「100 円のものを 103 円
で売る努力」である。
2.雇用や人づくり
○基本的な考えや手本を示してその先は従業員自身が考える
 社長は従業員への情報発信主体と考えている。仕事を進める上での考え方や、お客様への外商
へのアドバイスを行うが、その先は従業員が応用して考える。
 各従業員は、外商で自分担当のお客様をもっている。その中で仕事について考えさせて、話し
合う。価格設定の問題や交渉の問題がでてくる。実際には従業員にとってはなかなか難しい。
そのときは、社長が仕事上で見本を見せていく。社長は平成 12 年に4代目として就任した。
従業員と同年代であり、仲間という感覚が強い。悩み事はお互いに考えて、話し合いながら決
めていく。
○事業承継について
 お客様である農家の減少もあり、将来的には県内 30 社程度ある種苗会社が半分程度に減少し
ていくと予想される。誰も 10 年先の未来は読めない。変化に対応できるように、常にフット
ワークは軽くしたい。そして、自分のやり方が通じなくなれば、素直に身を引く覚悟もある。
事業承継において、子供が3名いるが、それぞれが跡継ぎの意識と可能性があり、一種の競争
状態になっている。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○仕入れ先とのよい関係づくり
 メーカー(仕入先)との関係で意識していることは、現金支払いである。また、約束どおりに全
額支払うことである。これで仕入先は日々の集金業務が不必要になる。支払いを優良にしてお
けば、仕入先も弊社との付き合いのメリットが増す。メーカーも新商品が出ると弊社に積極的
に提案をしてくれるようになる。信頼と共に交渉の余地も生まれる。このように支払い関係を
現金でしっかりやっておくことは大切である。
 「攻め」の経営のためにも、
「皆がパートナーを組みやすい会社/ビジネスパートナーが商売を
146
しやすい会社」を意識している。
 メーカーの営業が弊社の営業に同行するときもある。そういった依頼を受ける。農家には弊社
と付き合うことで、メーカーの良い情報を得ることができる。一方、メーカー側も営業が助か
る。
 農家への外商は、エリアを飛び越えての新規拡大にも力を入れている。大手花メーカーの営業
所閉鎖により、以前より親交があったセールスマンが入社している。これは、メーカーとつな
がりを作ってきた効果の一つであり、県内全域を営業で周っている。
○新たな商店街活動と「新・がんばる商店街 77 選」
 市の中心部を南北に貫く国道 293 号に、15 年前に発足した商店街「まろにえ 21」がある。社
長はその商店街の会長も務めている。昔もそこには商店街があったが、組合はすでに解散して
いた。大関種苗園の店舗を新しくするために、市の助成金事業に融資を相談したとき、新たな
商店街づくりについて依頼された。それがきっかけである。
 最初は何やるか良く判らず、形ばかりの会議が続いた。近場に野菜の直売所が無かったため、
やがて朝市を開催するようになった。これは 1999 年から7年間 100 回程度続いたがマンネリ
化してしまった。やがて、会議のやり方を変えた。出席者が参加費 500 円を持ち寄って、飲み
会付きにした。そうすると、自身で参加費を払っていることで、
「自分達の会議」という意識が
芽生えるほか、口が滑らかになることで「言いたいことが言える」雰囲気と結束力ができあが
った。
 やりたいアイデアがでると、商工会議所が実現のための方法・情報をもってくる。具体的なア
クションのために商工会議所と協力関係にある。それを社長が内容を噛み砕いて皆に話してい
く。「まろにえ 21」の取り組みで、今まで苦労しか知らなかった皆が楽しみを知った。
 2008 年には、空き店舗活用事業として、大学生の飲食店「チャレンジショップ」を開いた。そ
の店舗はそのまま引き続き、50~60 歳代の女性たちが運営する地産地消・農商工連携の飲食店
「まろにえババちゃんショップ」が開店している。また、ユウガオを各店舗の店先に飾る「グ
リーンカーテン運動」や、駐車場でマグロの解体ショーを開くなど、誘客で工夫を続けている。
そのような積み重ねの結果、経済産業省「新・がんばる商店街 77 選」に選定された。また、
商店街の各店舗は、同省の支援事業に応募し、経営コンサルタントのアドバイスを受け、店内
の壁紙や看板を替えるなど客の目を引く店舗作りを目指している。
4.経営戦略や事業戦略
○お客様(農家)の利益につながる提案
 弊社は店舗の小売と外商の二つでビジネスを行っている。おおよそ、売上で3:7程度の比率
である。外商では、お客様(農家)の出口(販売先)確保と利益確保を心がけている。農家に
とっての売り先を捜す、売り先につなげるような提案である。
 弊社は種苗の「定価販売」と育て方の「説明」が付加価値である。種もそのまま蒔いただけで
は、なかなか芽が出ない。
147
株式会社
大麦工房ロア
■本社所在地:栃木県足利市大月町 3-1
■代
表
者:代表取締役社長
■資
本
金:6,000 万円
浅沼
■主 な 事 業 :菓子製造販売
誠司
立:昭和 61 年
■設
■従
業
員:170 名(パート含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○大麦を素材にした新商品開発と経営理念の策定
 元々は年商 3 千万円程度の小さなケーキ店(㈱エイ・エム・シー・ロア)であった。負債を抱
え不安定な経営を改善するため、栃木県が日本一の生産地であり、通常はビール等の原料にな
り一般的には流通していない二条大麦を用いた新商品「大麦ダクワーズ」を平成 9 年に開発し
た。それが一つのターニングポイントである。
 経営理念として第一に掲げているのは「大麦を中心した持続可能な社会を実現」である。理念
は社長一人が言うだけではなく、まさしく仕事や環境を含めて全体でしみ込ませる。会社内の
「社風」だけではなく、会社を取り巻く地元も含んだ「企業風」とも言えるものが必要である。
それがやがてブランドにもつながっていく。
2.雇用や人づくり
○地域での関係構築と認知が良い人材を集める
 地域での良い関係が作られることで、パートも正社員もレベルが高い人が集まってくる。単な
るお菓子屋ではなく、社会的な事業をおこなっている企業であり、そこに参加したいという意
識の方が応募してくる。大麦の菓子作りを通じて世の中を変えるというモティベーションの高
い人々である。社会的な活動と認知がそのまま理念浸透になっている。メディアにも取り上げ
られることも相乗効果で従業員や就職希望者の意識を高める。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○一般には流通していない大麦を自身でリスクをとり独自ネットワークで確保
 「大麦ダクワーズ」の原料である大麦は一般的に流通していないことが最大の障壁であった。
そのため当初は和菓子の材料として流通している麦こがしを使っていた。しかし地元密着活動
として、どうしても栃木県の二条大麦を使いたいと考え、知人の農家から現金で大麦を購入し
てきた。最初は 500kg を原麦のまま購入していたが、その量では業者が処理してくれないため、
自分達でホームセンターから精米機を購入する等して大麦の皮むきを行い、焙煎や粉砕まで自
分達でやった。それが2~3年続いたが、直接買い付ける大麦の量が増え業者にも作業を依頼
できるようになった。そして、ラクスやサブレ、チョコレートなど大麦材料の新商品開発を急
ピッチに進めた。
 大麦が一般に流通していない中、大麦を中心とした生産者(農家)-加工業者の独自ネットワ
ークを構築していった。まだ当時は地産池消や農商工連携という言葉はなかった。
 1997 年時点で 500kg であった大麦買付けも平成 22 年6月の収穫では 250tまでになった。そ
のうち足利市の農家からの買付け分はプレミアをつけて、直接農家に振り込むシステムにした。
理念に基づき地元の大麦は高く購入するものである。
○地域における関係作りへの投資、地域密着のビジネスモデル
148
 今後は「みんなのお菓子」、「地域の銘菓」として、「足利といえば大麦ダクワーズ」といわれ
る地元に愛される銘菓に育っていくのが目標である。毎年「麦秋ウォーキング」に取り組んで
いる。一般のお客様をご案内して、農家の方々にも説明してもらい、農家-加工業者-顧客を
結ぶイベントになっている。また、店舗の前を利用して、毎月第4日曜日に朝茶会を開催して
いる。我々はお菓子を提供して、農家の方々は野菜を持ち寄る朝市を約15年続けている。募
金箱に 100 円以上を入れてもらうことでチケットを発行している。募金で集まったお金は社会
福祉協議会に納めている。
 大麦を中心したビジネスモデルを構築は一朝一夕にはできない。地元住民や農家の方々との長
年にかかる信頼関係が必要になってくる。農家と住民が触れ合えるこのようなイベントにて、
その関係づくりを進めている。お菓子はまず地域内の人々に支持されなくては域外に出ていか
ないと考えている。
 地域との関係づくりで一番大切なのは、Give and Take ではなく、最初から Take を考えては
いけない。Give を続けていけば、そのうち Take があるといった心づもりでよい。直近の売上
ではなく、その後 100 年続くものにつながる。地域密着活動はコスト・パフォーマンスではな
く、継続することが大切である。
 企業はやはり Going Concern を目指していなかければならない。その間に様々な社会の環境
変化があるが、それでも一番強固であるのが「地域が大切にしたい会社」であるかどうかであ
る。法人や代表者が変わっても会社とその商品は残るようにしたい。Give のための投資は確
かに安くないが、意欲あれば誰でもできる。我々もスタート時点で負債を抱え借金をしていた
が、それでも地域での関係づくりはやめなかった。
 将来的にはこの「地域密着のビジネスモデル」を広めることを考えている。市場は競合他社が
あって拡大する。このビジネスモデルが増えていってこそ拡大していくと考える。
 我々の経営理念を判りやすく絵本「大麦は地球を救う」にして市内 118 箇所の小中学校に寄贈
している。絵本はアフリカを舞台にしているが、将来的にここで描かれたことを本当に実現し
ていきたい。
4.経営戦略や事業戦略
○理念を実現するための戦略構築、大麦の使用がキーポイント
 一般的には流通していな大麦という素材を使えば、単純に地域の美味しいお菓子、土産品に留
まらないビジネスモデルができるのではと考え、15 年前からそれを一つ一つ実現していった。
大麦畑を見てひらめきを得たが、商品開発を進めるうちに、栃木が生産量一というだけではな
く、他の農産物には無い有効性があることもわかった。アメリカでは、2006 年に食品医薬品
局が、大麦食品に対して心筋梗塞のリスク低減効果があるとしたヘルスクレーム(健康協調表
示)を認めた。
○営業戦略、経営戦略の転換と積極的な投資
 平成 20 年 12 月に、ケーキ屋であった㈱エイ・エム・シー・ロアと大麦食品の通販・卸であっ
た㈱大麦工房を合併して、㈱大麦工房ロアを設立した。その後、平成 22 年1月には食品の科
学的研究を目的にした㈱浅沼食品科学研究所を設立して、6 月には足利市内で日本発の大麦加
工食品販売する専門店をオープンした。そして、様々なところに分散していた機能を集約させ、
投資総額 6 億円の本社工場を平成 22 年 11 月に完成させた。
149
笠原産業
株式会社
■本社所在地:栃木県足利市福居町 819
■主 な 事 業 :食料品製造販売(小麦、ふすま)、倉庫業
■代 表 者:代表取締役社長 笠原 健一
■設
立:昭和 23 年(創業:大正 8 年)
■資 本 金:1,000 万円
■従 業 員:37 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○小麦粉メーカーの価値
 価値というのは一般的には品質と価格が抜きんでることで決まる。しかし、弊社では、営業に
おいて、あえてそれだけを訴えることでない、別の展開を目指している。
 小麦粉という商品は商品力が弱い。原材料に依存する割合が大きく、小麦自体の品質の影響を
大きく受ける。しかも、小麦粉は最終製品ではなく。2 次加工が必要である。
 事業の承継には、平成 11 年時点で社長就任年を決めておき、平成 13 年に 2 代目として社長と
して就任した。その時点では、将来的に会社をどのような姿にするかというビジョンを描いて
いなかったが、自分 1 人では仕方が無いのでコンサルティングに相談した。たとえ将来像があ
っても、根拠・具体性が無ければ意味が無い。逆に、日々のリスク対応、仕事で経営になると
考えた。
2.雇用や人づくり
○経営方針発表会の開催
 毎年、3 月末の日曜日は経営方針発表会を開催し、栃木県産の小麦に対する社長の思いを従業
員に伝える場としている。また、経営方針発表会は、各従業員やグループの目標発表の場でも
ある(基本は定性的な目標として営業に関して数値目標あり)。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○小麦関係者のネットワーク「麦わらぼうしの会」と食品産業クラスターの活動
 現在、30 年先の長期を見通すことは難しい。それでも何かをやらなくてならないという思い
があった。
 平成 12 年に農林水産省の制度改革があった。国産の麦を直接生産者から購入することができる
ようになった。民間流通制度として、全国の産地からほしい麦を購入することができるので、
競争が生じて売れる小麦と売れない小麦が明確化してきた。その中で、栃木県産の小麦の地位
に翳りが見え始めた。
 生産者の衰えによって、将来的に弊社の事業展開に影響が出る恐れがある。それはリスクであ
る。実際に小麦粉製品を作る 2 次加工業者にはなかなか小麦自体の良さが伝わりにくい。そこ
で1次加工業者である弊社が小麦の良さを伝えていきたいと考えた。そこで、2 次加工業者と
して製パンや製麺業者をターゲットとした。
 そこで、栃木県産 100%の小麦粉を全面に打ち出しはじめて PR した。栃木県産小麦の特徴はう
どん用に適している。うどん用の小麦粉はオーストラリア産が主流であり、どうやって栃木県
産への転換を促していくかが問題であった。そこで、製麺業者に足を運んでプレゼンテーショ
ンを行ったが、うどんの原材料としては小麦粉が大部分を占め、主原料を変更した際のうどん
150
に及ぼす影響を心配し、なかなか転換は上手くいかなかった。
 そのような中、平成 14 年のゴールデンウィーク時に商工会議所主催のイベントがあり、その
とき共に参加していたお菓子屋さんや農家の方に今までの流れを話したら、製麺業者のみにし
か PR していないことを指摘された。そして、小麦全体の消費が伸び悩むのは製粉業者も生産
者、2 次加工業者ともにデメリットである。大きな視点で、
「栃木県産の小麦消費拡大」が必要
であると気がついた。そこで、生産者も含めて、小麦に関わるプレイヤー(事業者)全体をグ
ループ化した(麦わらぼうしの会を設立)。そして、商品の販売促進、新商品開発が進むよう
になった。会では、生産農家と共に「地産地消」「身土不二」を訴えながら一般消費者にサポ
ーターとしての応援を仰ぐと共に、栃木小麦をベースのオリジナルレシピ(ふるさとレシピ)
を個々の加工業者(製パン・製麺・製菓・中華惣菜業者等)に提案し、賛同するパートナー企
業を拡充している。
 弊社が扱う栃木県産小麦の量は平成 11 年までおよそ 2 千~3 千トンであったが、平成 21 年に
は 6 千トンに増加した。この上乗せされた分は麦わらぼうしの会の活動で使っている。農家の
社会貢献は、まさしく土地を利用して作物を育てることで、それがなければ耕作放棄地が増え
て、地域の土地が荒れていく。栃木県産の小麦が増えれば、その分農家の収入が増えるのみな
らず、原材料供給者としての農家のプライドが生まれる。
 麦わらぼうしの会が発足した平成 14 年には、栃木県産小麦を使った新商品開発のため、レシ
ピや試作品を持って 2 次加工業者を訪問していった。そして、平成 17 年には「食料産業クラ
スター」の動きが始まり、そこに加わった。当初、佐野のラーメンと連携も考えたが、やはり
昔ながらの細麺を作りたくて、明治大学農学部との産学連携で新商品開発を行った、クラスタ
ーができることによって、商品パッケージ化も含めて、新商品開発ができるようになった。ま
さしく、クラスターが起爆剤となった。農林水産省の予算を使ったクラスター形成の動きは平
成 17 年~平成 20 年であったが、その後も自立化して、プレイヤー同士のつながりと付き合い
は続いている。企業間連携はメリットがなければ上手くいかないが、商品開発・販売促進、PR
という点にてクラスター形成はメリットがあった。また、今年から群馬県の小麦、2 次加工業
者もネットワークに入るようになった。
 これらの動きによって、農林水産省・経済産業省「農商工連携 88 選」に選定されている。
○地域でのネットワーク
 商工会議所とは先代の時代から役員を務めている。イベントにも積極的に参加して、参加者の
皆様に、
「すいとん」を配るなどして、栃木県産小麦を PR している。また、JA のイベントに
も参加している。
4.経営戦略や事業戦略
○多品種少量生産に転換
中小企業が生き残るためには、多品種少量生産がポイントになる。栃木県産小麦のみでも 5 種類
あり、それぞれを単挽きしている。ロットは小さく、種類は多い。各々の小麦の特徴を出す必要
がある。
151
株式会社
菓匠 Shimizu
■本社所在地:長野県伊那市上牧清水町 6608
■主 な 事 業 :菓子製造販売
■代 表 者:代表取締役社長 清水 紀光
(インタビュー先:専夢取締役 シェフパティシエ
■設
立:昭和 22 年
■資 本 金:1,000 万円
■従 業 員:30 名
清水
慎一)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○従業員に夢を語る
 菓匠 Shimizu を株式会社化したとき、社是を作ろうと考えた。社是は「感謝する心を持ちま
しょう」である。社是の浸透には、朝礼・終礼・各種ミーティングなど、従業員一人ひとりと
向き合う時間をつくるようにしている。
 自分としては常に「夢」を語り続けている。例えば、店舗の中で併設しているカフェやお菓子
教室も従業員との夢の語り合いの中からでてきたものである。基本的な考えとして「従業員の
夢をかなえる」会社にしたい。
 利益を上げることは大切であるが、それはあくまで従業員の幸せや喜びの実現のためである。
そのことを父親(社長)は一貫して主張しており、自分も最近実感している。
2.雇用や人づくり
○従業員との意思疎通
 正社員との間で交換日記が約7年間続いている。自分でもパティシェ 1 年目から毎日日記をつ
けており、それを1年後に振り返ると成長の後が見えてよかったと感じた。それを従業員に勧
めたところ、自然に交換日記に発展していった。現在、日記は全正社員分になっている。一方
で、パートやアルバイトは意見箱で意思疎通を図っている。
○夢をかなえるための技術力向上
 夢は語るのみならず、それを叶えるために職人として技術力向上の努力が必要である。弊社で
は、毎年県内のコンクールには参加しているが、弊社の従業員の大部分が入賞して、トップの
賞も独占している。しかし、それはあくまでお客様の喜びのためであり、お客様のご要望に「No」
と言わないためである。それが自然に集客につながる。そのために材料や場所を提供し、講習
会参加等も会社単位で従業員をバックアップしている。
 技術力向上のために目標設定をレクチャーしている。目標設定は長期・中期・短期とあるが、
具体的に指標にて短期目標設定を具体的に決めるのが大切で、ある作業の目標値が 30 秒等と
設定すると、それに向けて技術力向上を図る。
 弊社では 1 ヶ月に 3 品の新商品開発がなされている。毎日のように従業員が研究開発に勤しみ、
新しい試作品ができると、社内で試食する品評会が行なわれている。
○自身の仕事としての職場環境/空気作り
 自身の仕事として、従業員に積極的に声をかけて「環境/空気」作りに力を入れている。お菓
子は「ワクワクする空気」の中で作られるものが美味しく、お客様も肌で感じる。
 7年前に実家に帰ってきて、自分がいなくてもまわる会社にしたいと考えた。それは、誰かし
か作れないお菓子があってはならない。あくまで高度な技術をスタンダードにすることである。
152
経営上の判断も同じである。弊社にはマニュアルは無いが、あくまで判断軸はお客様が喜ぶか
どうかである。
○NPO による菓子業界と地域のよい関係構築啓発
 自身で NPO 法人「Dream Cake Project」を立ち上げており、その活動に今後時間を割きたい。
菓子屋は自身のためにももっと地域の子ども達と密になるべきで、
「菓子づくりは世界を救う」
として活動をしている。最近は教育委員会や自治体、学校からも講演依頼がある。このような
動きが広がり、弊社のみならず、この地域・日本中の菓子職人が良くなればよい。
○他の優良経営者や専門家との出会い
 必ずしも最初は人づくり、組織作りに力を入れることは考えていなかったが、仲間達と良い関
係で仕事がしたいと考えていた。そのような中、他地域の優良経営者や専門家との出会いによ
って様々なことを学んでいった。さらに、それらは自身の父親(社長)が昔から言っていたこ
とと本質的に同じであり、自分の進む方向性に自信を持った。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○イベントによるお客様への還元/集客と従業員へのモティベーション向上
 年4回お客様へのイベントがあり、新商品のお披露目の場になっている。更に新商品は無料で
配布している。まず新商品はお客様に食べてもらわなければ始まらない。口コミでも広まって
いかない。そうやって今までも主力商品をつくってきた。
 目玉として 2006 年から開始した「夢ケーキの日」がある。全国の小学生以下の子供から自分
の夢を絵に描いて送ってもらい、その絵を基にケーキを作って無料でプレゼントする。2009
年には 850 個のケーキを配り、当日は約 1,000 名のお客様が訪れた。当日に向けて、従業員が
連日連夜ケーキ作りに勤しむが、この様なケーキ作りは従業員のモティベーション向上につな
がっている。自分たちの技術でお客様が喜んでもらうのは何よりも変えがたい。また、夢ケー
キ製作にかかる残業手当、休日手当はしっかりとつく。
 新たなイベントとして、子ども向けのみならず、大人限定特別企画として「スイーツ晩餐会」
も実施している。そこでは、スイーツのフルコースを提供している。
○フルーツ産地である現地農家とのつながり
 この地域は各種フルーツの産地でありお菓子作りに適している。仕入れに関しては熱心な農家
にめぐり合えている。まさしく彼らも仲間であり支援者である。農家に畑を見に来いと誘われ
れば、収穫時に見に行くこともする。スタッフの中にも農家をやりたいと夢を語るものがいる。
会社の中に農業部門を設立するのも夢である。
4.経営戦略や事業戦略
○あくまでこの地域で拡充/充実を目指す
 会社は「拡大」を目指すよりも「拡充/充実」であると考えている。しかしながら、更なる出
店して店舗を増やすことには興味がない。この場所でやることに意味があり、お菓子をキーワ
ードにして「伊那」という場所を人が集まる場所にしたい。
153
株式会社
かにや
■本社所在地:埼玉県狭山市柏原 337-13
■主 な 事 業 :菓子製造販売(和洋菓子)
■代 表 者:代表取締役社長 水村 清司
■資 本 金:8,000 万円
■設立:昭和 47 年(創立昭和 25 年)
■従業員:80 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○美味しいお菓子作りに対する信念
 社長がお菓子が大好きで、社員もお菓子が好きだから美味しいお菓子ができる。そのためにも
最高の素材を全国から探して使う。お菓子作りに関しては、頑固といわれるぐらいのこだわり
がある。売上や利益は美味しいお菓子を作り続ければ後から付いてくるものであると考える。
○生きざまや人生哲学の大切さ
 経営理念は特に明文化していない。むしろ、経営理念の前に社長の“生きざま”や“人生哲学”が
ある。社員は教育するのみでは従わない。心に響く感化が必要である。日常の当たり前の行動
や仕事を通してそれを伝えることが大切である。そのために、社長自身の勉強が必要になる。
2.雇用や人づくり
○従業員の 9 割が正社員で新卒
 社長が貫く方針は「美味しいお菓子づくりは、先ず人づくりから」である。狭山市にはホンダ
があり、商工会議所青年部長時代に本田宗一郎氏の話を聞いたとき、お菓子が好きならば絶対
いいお菓子ができると確信した。人づくりを重視する同社では従業員の9割が正社員であり、
採用は全て新卒である。もちろんお菓子が大好きなことが前提条件である。
○独身男性は寮住まい
 男性社員は独身の間、全員寮住まいである。サラリーマン的な人材ではなく、お菓子が大好き
ならお菓子作りの研究に没頭できる寮生活が一番望ましいはずである。毎年、社員が一年間か
けて挑戦する社内の新製品開発コンクールがあるが、材料費は無料で、時間も気にせずに取り
組める。一方で、店の営業時間は工場店が午後 6 時までで他の店舗が午後7時まで。家族があ
る人は一家団欒も必要という考えからだ。
○取引先との関係構築
 取引先に材料を『もっと安くしろ』と言ったことは一度も無い。もっと品質のいいものを探し
て欲しいと言っている。良い材料の安定調達のためには、取引先にとって「かにや」自身が一
番良いお得意様になることである。餡の材料の丹波大納言は一番品質の良い材料が入手できる
時期に1年分を買い、代金は前払いする。保管料も当社が負担する。仮に、相場が安くなって
も安くしなくていいと言っている。
○事業承継に対する心がけ
 跡継ぎがいないと困っている中小企業経営者が多いが、決してサラリーマンが楽だから子供が
後を継がないのではない。子供の頃から親の愚痴や辛い話を聞いて育つから後を継ぎたくない
のだ。逆に子供に“やりがい“を聞かせて育てれば後を継ぎたくなる。3 歳の頃の手の感触は一
生残るものであり、息子には 3 歳の頃から材料やお菓子を触らせてきた。3 歳の頃の手の感触
は一生残るもので、ピアノやバイオリンの習得と同じである。
154
3.地域密着活動、地域内の関係作り
○地域文化の紹介
 例えば、京都やヨーロッパでもおいしいお菓子のある地域には高い文化がある。菓子屋ができ
る地域貢献として、地域の文化や歴史を地元の人に紹介することがある。具体的な取り組みと
して、万葉集の中に地元を謳った歌があることを見つけ、これを包装紙に印刷してお客様に伝
え続けてきた。多くの問い合わせも頂きながら認知が広がり、今や埼玉県の西部地域 7 カ所に
歌の石碑が建つまでになった。
○工場見学や体験就業の実施
 毎年延べ 500 人以上の小学生の工場見学を受入れ、中学生は 3 日間の体験就業を 30 人~50 人
ほど受け入れている。また、県内の教育委員会のキャリア教育に協力して行ってきた、子供達
への「働くこと」について授業としての講演会は 69 回に達している。ほかにも、市教育委員
会が主催し、同社がスポンサーとなり狭山ケーブルテレビとも連携して行っている市民向けの
ワンコイン(500 円)講座は毎回定員の 40 名を超える人気となっている。
 市役所を訪問する海外からのお客様についても、体験や見学を引き受けている。
○地元産抹茶をお菓子に活用
 地元狭山産の抹茶の生産量の 25%は当社が使用している。
4.経営戦略や事業戦略
○徹底した美味しいお菓子作り
 同社は厳選した材料にこだわり品質にこだわったお菓子づくりを貫き、銘菓「ケンキ」は年間
140 万個を売り上げるベストセラー商品となっている。
 原材料には徹底してこだわる。餡では価格が輸入小豆の 10 倍以上する丹波大納言を使うのを
始め、餅米、栗、卵、お茶、洋菓子で使うフルーツから塩まで、素材の品種と産地、収穫時期
等に細かくこだわる。
 事務所にはお菓子に関する蔵書が 1,500 冊あり、日本でおいしいと言われているお菓子は必ず
取り寄せて食べる。こうして食べたお菓子のしおりは 1 万枚以上になる。
 最高の材料から美味しいお菓子をつくるもう一つのこだわりが、「手間を惜しまないこと」で
ある。洋菓子のカステラ生地づくりでは卵と砂糖をミキサーで泡立てた後小麦粉を入れて混ぜ
合わせる。この作業は手作業で行う。季節や材料など日によって異なる条件で最高の混ぜ加減
を出すには機械は人間の皮膚感覚に及ばないからである。
○直営店のみでの販売
 大型店からの出店要請を断って直営店での販売にこだわるのも、お客様の口に入るものだから、
材料選びからお客様に手渡すまで全てに責任を持ちたいためである。むしろ、お客様が一流百
貨店などのお菓子売り場を通り越しても買いに来てくれるお菓子を作りたいとの思いがある。
 地域の皆様から、この街にどうしても必要だと言われるお店になりたい。
155
木内酒造
合資会社
■本社所在地:茨城県那珂市鴻巣 1257
■主 な 事 業 :酒類製造販売(関連会社にて飲食店経営)
■代 表 者:代表取締役社長 木内 造酒夫
(インタビュー先は取締役 木内 敏之
■設
立:昭和 29 年(創業:文政 6 年)
■資 本 金:2,500 万円 ■従 業 員:50 名(関連会社を含める)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○「おいしいものをつくる」という共有意識
 弊社は従業員同士が集まって「おいしいものをつくる」という共有意識のもとやっている会社
である。平均年齢が 30 代であるため、あまり形式的な理念を明文化しても実際には機能しな
い。むしろ、「楽しいことをやろう」とやりたいことが出来るようにする環境と方針によって
自発的に動くようになる。
○コンセプトと考え方を浸透
 ものづくりは歴史的・文化的必然性がなければ長く続かないと考えている。そのサービスや商
品がなぜ、その地域に存在しているのかを考える。「地域(もしくは日本)でしかできないこ
とをやる」のがものづくりのコンセプトである。それが、結果的にものづくりが地域で根づく
ことにつながる。そのコンセプトを無視して流行に乗ったり、地域で変わった取り組みを考え
ても結局上手くいかない。茨城県は工業国であると同時に農業国である。その地域資源を活用
した食品加工や酒製造が地域に根づいているのは必然である。
 経営で困ったときは「歴史を見る」ことが必要である。経営理念は明文化されていないが、こ
のような考え方・判断軸は従業員に浸透させている。
○ブランド構築のためにも製販一体型経営
 今後、益々ブランド構築が重要になってくる。それは、まさしく「量より質」の時代の到来で
ある。そのためには製造から販売までを一貫して対応することが大切である。
○先進事例を学ぶ姿勢
 海外の先進事例から学ぶことは多い。特に、ビールについては 10~20 年、アメリカが進んで
いる。
2.雇用や人づくり
○採用に対する方針
 採用で職歴が多い人は採用しない。しかし、3 年は何かしらやっている方は興味がある。また、
同業者経験者は採用しない方針である。
 基本的に従業員は正社員 100%である。また、外国人従業員も 3 名おり、実際に酒造りに携わ
っている者もいる。
○バランスをもった人材育成
 バランスをもって人を育てるという意味で、従業員には一人二役の仕事ができるようにしてい
る。例えば、電気工事関係の資格をとっている従業員もいる。そうすると、別のセクションか
らニーズが生まれる。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
156
○行政と連携して地域貢献活動の推進
 地域貢献活動では、茨城県の振興策として古民家を利用した期間限定レストランを開いた。有
名シェフによるニューヨークスタイル・フレンチと雅楽の演奏、弊社の酒類が楽しめるバスツ
アーイベントである。
 地域貢献はあくまでビジネスと関係していなければならないと考える。弊社の場合はまさしく
材料の国内生産化である。茨城県の北部はビール麦の生産が盛んで、明治時代からビールの産
地であった。弊社のビジネスはそのまま農家の盛り立てる活動になる。
4.経営戦略や事業戦略
○ターニングポイントとなった地ビール造り
 日本酒製造にて今まで培ってきた技術を生かし、平成 7 年に新たな挑戦として始めたのが地ビ
ールである「常陸野ネストビール」造りである。一般の地ビール工場では、レストランを併設し
そこで自社のビールを提供するケースが多い。しかし弊社は本当に評価されるものを安価で数多
くのお客様に提供する事が大切と考えた。そのため、あえて自社レストランでの販売でなく、瓶
に詰めて販売にこだわった。そのため、新鮮なビール造りのために完全無菌の充填設備を導入し、
醸造のプロセスでも有害な乳酸菌、バクテリアの混入を完全に排除した。このような取り組みが
功を奏して、ドイツやイギリス、アメリカとコンテストで金賞を連続して獲得することができた。
また、アメリカ輸出から世界進出も進んでいる。
○次なる時代へとワインの醸造に挑戦
 次の時代を考えワインの醸造を開始している。酒造に隣接する畑 4,000 ㎡を買受、そこにメルロ
ー、シャルドネ等々世界のワインの為の専用品種のブドウを作付けしている。平成 12 年に最初
のブドウからワインを醸造、平成 16 年にはこの畑から 3 トンのブドウが収穫され、2,000L の
ワインが醸造可能になっている。販売までには数年かかるが、10~20 年後を見越している。
○消費者とのつながりをつくる取り組み
 一般の方々にもビール造りが体験できる「手造りビール工房」を 2000 年に開設している。これ
は日本で唯一の本格的手造りビール工房である。常陸野ネストビール造りを従業員がサポートす
ることで、各個人の「こだわりマイビール」を造ることができる。
 酒蔵を一般の方々にも楽しんでもらうため、酒蔵開放イベント、「蔵楽々会」を開催している。
木内酒造にゆかりの様々なゲストにお越しいただき、パフォーマンスを披露するほか、酒蔵近郊
の農作物をアレンジした料理や、様々なおつまみを用意してお客様に楽しんでいただくイベント
である。
157
株式会社
幸田商店
■工場・事務所在地:茨城県ひたちなか市烏ヶ台 11848
■主 な 事 業 :食品加工販売
■代 表 者:代表取締役社長 鬼澤 宏幸
■設
立:昭和 49 年(創業:昭和 23 年)
■資 本 金:1,000 万円
■従 業 員:125 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○地域農家との発展という経営理念
 茨城県ひたちなか市はほしいも生産量日本一(95%)である。ほしいも生産は 100 年の歴史を
誇る。また、豆・大麦なども盛んである。そのような地域特性の中、ほしいもを手がけること
は、農地を守ることが自社も栄えると考えている。それは、現社長が作った企業理念の中に、
「地域の農作物(特に芋、豆、大麦)を育て、加工することによって地域にいつも緑のあるこ
とに貢献します」に明記している。
2.雇用や人づくり
○横でみたリーダーシップ
 経営理念の中には、「オープンで素直、フェア、誰に対しては誠実な企業文化を創ることに皆
が努力します」がある。若い現社長がリーダーシップを取ることは、トップダウンではなく、
「皆でやっていこう」という横でみたリーダーシップが必要である。
○従業員への「ほしいも検定」
 従業員は地元の方が中心である。しかし、意外だが必ずしもほしいもの歴史を知っているわけ
ではない。社長としては、従業員が1人1人「ほしいもの語り部」になってほしい。そこで、
ほしいも学校の活動紹介やほしいもの歴史を紹介した「ほしいも百年百話」という書籍を従業
員に配布している。また、従業員に「ほしいも検定」を実施して、その結果を決算賞与に反映
するといった取り組みもしている。
○農業の産業化の必要性
 農業は必ずしも単なる労働の問題ではない。農業は、今まで産業として効率性や科学性への取
り組みがなかった。農業には科学の視点も必要であり、高専からも採用していきたいと考えて
いる。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○ほしいも学校プロジェクト
 地域資源の認定や農商工連携への取り組みをきっかけに、
「次の 100 年の基盤づくり」を目指
して「ほしいも学校プロジェクト」が始まった。地域でほしいもはビジネスと成立して 100 年
経つが、今、芋の生産も含めて作り手がいないという問題に直面している。需要は確かにある。
しかし、この世界に若い人が入ってこなければ次が無いと考えた。そのためにはほしいもをあ
らゆる角度から分析・研究し PR・発信することが大切だと考えた。「限責任事業組合 ほしい
も学校(ほしいも学校 LLP.)として国に登録された活動体である。
 デザイナーや農家、商工会議所などからキーマンが集まりチームを組んで活動が始まった。研
究成果をまとめた一般書籍「ほしいも学校」の発行も実現した。その中には、今まであまり情
158
報が発信されてこなかった、ほしいもに関する公設試の研究成果を発信する等も行っている。
ほしいもの世界に今までキーマンは確かにいたが、お互いにネットワーク化もされていなけれ
ば、自ら表だって情報を発信するようなこともなかった。ほしいも学校の事業を通じて、同じ
価値観を共有する仲間が集まり、ネットワーク化して活発な活動が始まった。地域のキーマン
が「何か地域内でおもしろいことをやろう」という発想で進めているのがポイントである。
4.経営戦略や事業戦略
○ほしいも普及へ新しい消費者の開拓
 「ほしいも」自体を如何に普及するかが大切である。一般的にほしいもの消費者層は 40~50
歳台の女性がメインである。そこで、伝統的な層に加えて新しく「若い女性」への普及を考え
た。「値ごろ・おいしい・健康食品」の 3 つのポイントから、ドラッグストアやコンビニ等に
て「ダイエットおやつ」として新しい自社ブランドほしいも商品を展開して、かつ、「冬場の
食品」ではなく年間の流通を確立することで伝統的な食品からの脱皮を図った。
○国産芋の活用と中国産芋の輸入
 ほしいもの年間流通を実現のためには新たに中国産ほしいもの輸入を実施した。世界で見れば
さつまいもの生産量は中国が世界一(90%)である。弊社では 1994 年時時点で国産芋の比率
が 90%であったが、2010 年時点では国産が 38%、中国産が 18%、およびその他になっている。
売上げも 1994 年の 7 億円から、2010 年は 20 億円まで増えている。新しい「ダイエットおや
つ」としてのほしいも商品は中国産の芋を使用しており、50 種類以上の芋から、商品にあわ
せて「すっきり」味の品種を選んでいる。
 もともと現社長は卸の業界にいて、会社を承継するため 10 年前に戻ってきて平成 6 年に社長
になった。卸にいた経験が活きて、中国に合弁会社を設立、直接投資して自らリスクをとる活
動が可能になっていると思う。
 ここでポイントは、中国産の芋の使用比率は増やしたが、国産芋の使用量を減らしたわけでは
ないことである。あくまで、新市場開拓部分のために中国産の芋を使った。ほしいも商品市場
が拡大することによって国産芋を使った伝統的なほしいも市場も相乗効果で拡大することを
狙っている。
○茨城県産ほしいものブランド化
 一方で、地域の国産芋の消費拡大を目指し、「茨城産ほしいものブランド化」にも取り組んで
いる。ひたちなかのほしいもはこの 20 年堅調であった。そのために新しいものが生まれにく
くなっていたのも事実である。目的は「人を感動させるようなほしいもを作る」ことで、使用
する芋も地域で今まで中心であった「玉豊」から、甘みが強い「泉」種へ品種転換を図った。
泉種を使ったほしいもは、丁寧に作った最高品質のほしいもである。中国産芋を使った若年層
の新市場向けほしいもとは差別化している。農業生産法人の設立やほしいも専用工場設立によ
る一貫生産体制構築を実施しているが、この取り組みの一貫である。
 販売方法として、インターネットでの通販にも力を入れている。
159
有限会社
黒田養蜂園
■本社所在地:栃木県鹿沼市村井町 291-1
■主 な 事 業 :はちみつ採集及び販売、各蜂産品採集販売
■代 表 者:代表取締役社長 黒田 雄一
(インタビュー先は専務取締役 黒田 和宏)
■設
立:平成 6 年(創業:大正 9 年)
■資 本 金:300 万円
■従 業 員:6 名(アルバイトを含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○経営理念を新たに構築したい
 3 代目であり現社長である父親の代では、経営理念は特に明確化されていなかったが、4 代目
として事業承継予定である専務が経営理念を明文化した。
 現在は家族経営今後、従業員を更に雇用して会社を大きくしていきたい。そのため、従業員に
社長の考え方を理解するのを助ける、社長と従業員をつなぐツールである経営理念の明文化が
必要だと考えた。また、経営理念はお客様への重要なメッセージになる。
 経営理念は、「一、『元氣』
全てにおいて常に元氣であり続ける。一、 『愛』
どんな事、
どんな生き物に対しても愛をもって接する。一、 『感謝』 全ての事に感謝します。
」である。
言葉にしたら、3つの単語であり、よく知られている単語である。しかし、これらは時代が流
れても変わることが無い、弊社の精神である。
○養蜂業と自然環境の関係
 大事にしたいのは、従業員であり、お客様であり、そして自然環境自体である。近年、蜜源植
物の減少、自然環境の悪化等、ミツバチの住む環境は減少しつつある。ミツバチと自然と関わ
る弊社だからこそ自然環境の大切さを訴えていきたい。
 昔な市内でもれんげ畑が多くあったが、今では減ってしまった。弊社ではれんげ畑を復活させ
て、れんげでの蜂蜜を採取するために、れんげ草の種を農家さんへ無料配布している。一か所
に多く咲く場所は限られているので、数箱づつミツバチ達を置き、たまったら、巣箱を一か所
に回収して採集作業を行っている。
 れんげ畑の例は自然環境について、市や公的機関等も含めて、地域の方々が考えるきっかけと
なっている。
2.雇用や人づくり
○事業承継と今後の雇用
 事業を継承するにあたって、両親や祖父の話を踏まえ、そして何よりお客様、ミツバチ、自然
を中心に考え、会社を 100 年、200 年と続く会社へ、家業から企業へと成長させていきたい。
 従業員は自分の意思を明確に持っている人材を採用したい。そして従業員に経営理念の浸透に
努めたいと考えている。その方法として、朝礼を実施する。また、週 1 回は全員で意見を言い
合える集合の場を作りたい。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域でのイベント開催やふれあいの場をつくる
 弊社では、地域の子供達が養蜂に触れ合いその仕事内容と自然の大切さを知ってもらうため、
夏休みイベントとしてミツバチ講座とはちみつ採集体験を開催している。そのほかにも、梅の
160
蜂蜜漬け講座も開催している。
 今後も、蜂蜜を使った料理教室、ワークショップ等を開催し、養蜂に触れ合っていただく機会
を増やしていきたい。また、蜂蜜等蜂産品を使用したエステで癒しを得ていただけるような場
所、事業を予定している。
○地域で連携活動
 地域では JC(青年会議所)や商店街活動、商工会議所の青年部での活動によるネットワーク
に支えられている。そこから情報を得て、多くを学んでいる。周りから助けられてここまでき
たと感じている。
 農商工連携による製品化プロジェクトに参加している。JA や商工会議所青年部と連携して、
地域ブランドの推奨品でもある「なし」の加工品について、新商品開発を行っている(パウダ
ー化)。
4.経営戦略や事業戦略
○販売戦略
 日本全体で見たら、養蜂というと岐阜県や北海道である。しかし、イチゴの一大産地である栃
木も多い。特に、イチゴ農家に対して受粉の為に使用する花粉交配のミツバチの需要も多い。
当社でも花粉交配用のミツバチ貸し出しも行なっている。
 商圏自体は現在県内が中心である。販売には店舗による小売のほかに、ホームページによる通
販に努めている。また、首都圏での催事・展示販売会でも好評を得ている。今後は、県外から
も集客を図っていきたい。
 評判は口コミで広がっていく。そのため、「余韻の残る接客」を心がけている。
 ホームページによる通販では、蜂蜜単品のみではなく。贈答用のギフトセット、プロポリス、
ローヤルゼリー、クリームや美容液等のスキンケア商品を販売している。通販のお客様の数自
体はまだ少ないが、リピーターの方が多いのが特徴である。
○多品種である取り扱い商品
 採取できる蜂蜜の量は確実に減少している。例えば、10 年前は 2~3 種類の花で十分な量が採
取できた。しかし、いまはそれのみでは難しい。そのため、多品種で採取することをやってい
る。例えば、栗・そば・ひまわり・みかん・れんげ草・エゴの木・りょうぶ・とちの木・菜の
花・桜・アカシアなどである。
○今後の展望
 現在、自社で採取しているはちみつ、ローヤルゼリー、自社で抽出しているプロポリス以外は
仕入れ商品である。今後は、加工場を併設し、自社製造の加工食品等にも取り組んでいきたい。
 店舗に関しては、定期的なイベントの開催や、ワークショップ等を開催し、まずは、お客様に
来ていただけるような店舗づくりをしていきたい。CAFE を併設し、来ていただいた方に癒し
の場を提供し、商品以外でも栃木の良さを感じていただき、来る楽しみやわくわく感を商品と
共に提供していきたい。自社商品以外にも、地元の商品をアピールできるスペースも確保した
いと考えている。
161
株式会社
小池勝次郎商店
(農家の専門店こいけや)
■本社所在地:埼玉県 深谷市 菅沼 91-2
■主 な 事 業 :農業資材販売
■代 表 者:代表取締役社長 小池 博
■設
立:昭和 32 年
■資 本 金:1,000 万円
■従
業
員:7 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○「農家に豊になってもらう」ことが理念
 経営理念は農業資材を使って「農家に豊になってもらう」ことである。我々は農業資材を販売
しているが、それ自体が目的ではない。「豊」とは栽培技術向上であり、経済的・精神的にも
豊かになってもらうことである。毎年経営方針発表会をやっており、そこでも理念を皆様に伝
えている。
○経営方針と経営計画書・目標設定
 理念を元にして、毎年の経営方針を定めている。今期の方針は、「フォローの風をふかそう」
であり、事前準備と販売後のみならず、従業員同士のフォローも意味している。また、3 年後
の目標として「売上 10 億円で 1 日 5 万円法人税を支払う」ことである。
 毎年、12 月 1 日に経営方針報告会を開催しており、今年で7年目である。また、従業員個人
も方針に従った目標設定(なりたい自分)をしており、半年に1回は個人面接を実施して、目
標に対する評価を確認している。毎年ブラッシュアップしている。目標設定のシートをつくる
にあたって 3 回は当人とやりとりする。個人目標を設定して、売上と粗利益計画を立て、その
ための具体的な行動計画を立てる。それをチックしていく。
 その他、年間販促活動の経費計画、客数計画、売上計画を立てている。店舗全体の売上の中の
部門別粗利益計画がある。ここまで落とし込むのに7年かかった。ようやく今期から、予算と
実績で対比できるようになった。今は従業員皆で作っている。
 計画書を作るようになったきっかけは、同業でよい交流があった。新潟の同業者社長とコンサ
ルティング企業のセミナーに出かける機会があった。当時は売上が年々減少しており、このま
ま終わるのは先代に申し訳ないという思いが強く、それが原動力であった。
 7年間で一番変わったこと。根本的な話であるが、店舗が綺麗になった。清掃をすることはも
ちろんのこと、無駄な在庫が減少した。
 「農協」と「ホームセンター」と弊社の違いがある。農協は専業農家、ホームセンターは家庭
菜園が強く、弊社は兼業農家が強い。弊社も農協には負けるが、専業農家にも強い。また、経
営計画に取り組むことで、客層ごとの単価・規模の市場性も見えてくるようになった。
2.雇用や人づくり
○目標達成のためにも新卒採用に力を入れた
 新卒採用には専門のコンサルティングの力を借りて、ネットの求人サイトに登録した。今まで
2名採用してきた。次年度の 4 月も 2 名が入社する予定である。
「売上 10 億円」という目標を
達成するために新卒を採用する気持ちになった。事業を充実させるには任せられる人が必要で
あり、「人が先である」と考えている。新卒採用は企業の活性化のほか、既存従業員への刺激
にもなる。採用説明会で弊社の話をするが、先輩新卒社員の体験報告が聞けたのもよかったと
162
聞いている。採用基準はあくまで人柄であり、明るさと元気さである。新卒は特段農業の知識
は求めていない。
 このような時代は優秀な人材を採用するチャンスである。また、新卒の2人が入社することに
なったため、その機会に就業規則の整備や経営計画づくりができたといって過言ではない。採
用が企業経営のターニングポイントになっている。
 新卒が入ると、「自分も成長しなければならない」と強く思う。新卒社員に飽きられない会社
にならないといけない。新入社員から学ぶこともある。良い循環になっていると思う。また、
すでに新入社員には店舗を任せられるようになった。
 従業員教育で効果的なものは、農家を集めて開催する講習会の講師にしてしまうことである。
人に教えることで自分が最も身に付く。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地元農家との連携
 経営革新として、農家の皆様が持ち寄った作物を販売する直売所『とんとん市場』を開く予定
(オープンは平成 23 年 3 月下旬を予定)である。資材販売を通してお客様の声を生で聞いた
ことがきっかけとなっている。我々の一番の目的は農家の繁栄であり、そのような場所を提供
するものである。郊外では直売所で売っているケースもあるが、一箇所の直売所では売り切れ
ない。そして、駅周辺には直売所がない。
 とんとん市場には、もっと売りたいと希望する農家が登録してくれているほか、新規就農の方
も登録してもらっている。弊社の取引関係が無かった農家の方も登録がある。
 「とんとん会」に加入してもらうときに預託金を 2 万円支払ってもらうが、退会するときには
返している。2 万円はあくまで「自分のお店」であると思ってもらうために支払ってもらうも
のである。
4.経営戦略や事業戦略
○事業展開の方針
 事業展開は「川上」・「川下」・「水平」と呼んでいる。弊社は川下である。川上は別会社(株)
深谷ねぎニラ研究所を設立している。それは農業生産の会社であり、苗作りに特化している。
また、社内ベンチャーとしてシルバー層を雇用している。ここで、「水平」というのは、例え
ば、同業で後継者がいない地域にて M&A で横展開ができればよい。
○お客様である農家を増やす意識
 今の自分の地盤のみ考えるとお客様の対象となる農家も減少していくため、少しずつ自社のテ
リトリーを増やしていく。もう一つは、自分の地域でもシルバー層が農業に向かうよう育てる
ことである。近年は異業種も農業に参入してきており、そのようなところとも取引が増えてい
る。近年、専業農家自体は規模を拡大していると感じる。
 今後は、加工の部分に入らなければ利益がでないと思う。農家と加工施設をマッチングさせて、
小ロットで対応できるシステムが必要だと思う。
 農家に意識付けも大切である。例えば、売上で 1,000 万円あげるために必要な作物の売上構成
にするべきか等を教える。
163
狭山ケーブルテレビ
株式会社
■本社所在地:埼玉県狭山市富士見 2-4-5
■主 な 事 業 :有線テレビジョン放送事業、電気通信事業
■代 表 者:代表取締役社長 清水 武信
■設
立:平成 4 年
■資 本 金:8 億 250 万円
■従 業 員:70 名(非正規従業員を含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○経営理念は地域発展のために如何に貢献できるか
 CATV 事業は、一行政区一社の地域独占事業であり、その地域の経済に影響は図りしれない。
また、豊な生活にはインフラ整備が不可欠であると考える。道路や鉄道とともに、情報網は重
要なインフラである。しかし、以前(昭和 58 年)から「狭山 CATV 研究委員会」を組織して
検討は進めていが、採算性の問題が指摘されて会社設立には成らなかった。そのような中、平
成 4 年に別地域に本社がある電力会社系の CATV 会社から、狭山市を対象にケーブルテレビの
認可申請が出されようとした。しかし、それは地域の一部のみを対象にするものであった。そ
こで、急遽、新しい会社を狭山市内で設立することになった。現社長が発起人として 1 週間程
度で 100 人の出資者が集まり、1 億円の資本金で設立された。まさしく、地域にて情報インフ
ラをもち将来の狭山市が健全に発展していくため、地域の人々の力の結集で設立された会社で
ある。開局までに幾つかの壁を乗り越え、平成 7 年 4 月 1 日に無事に開局された。
○社長の仕事の一番は正しい情報公開
 現社長自身は会社の発起人であるが、本職は税理士である。番組制作や秘術的な面は信頼でき
る人材に任せることにしている。そのような中、社長の仕事として重要なことは、資金調達・
組織づくり・広報等が挙げられる。「透明で分かり易い経営」、「原則として全ての情報を公開
する」基本方針を貫き、加入者だけでなく全ての市民に決算数値を含め公開している。多くの
株主が出席する株主総会は会社の姿勢を伝える発表会になっている。
2.雇用や人づくり
○外部から OB 人材を集結させた
 専門的な人材として、番組制作では放送局 OB、技術面では電力会社 OB、営業では金融機関
OB などを活用している。
 設立当初は 4 部屋程度のマンションの一室が会社の事務所であり、そこがスタジオも兼務して
いた。平成 4 年の設立当初は 3 名程度から始まったが、現在は約 70 名の従業員になった。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域とのコミュニケーション
 会社の経営理念も含め、社長の考えを地域の方々に伝えるコミュニケーションとして、社外報
「ちゃっぴぃ つ~しん」のコラムがある。CATV 加入者全世帯のみならず、自治会に依頼し
て回覧してもらっている。平成 12 年 4 月から開始して毎月発行している。平成 23 年1月号に
て Vol.130 に達した。
○ケーブル・パーク
 営業所に「ケーブル・パーク」を設置している。CATV 加入者はもちろんのこと未加入者でも
貸し出している。200 インチのスクリーンやグランドピアノが設置されており、70~80 名が
164
収容できる。テレビは放送受信のためだけでなく、地域コミュニティを創る重要な役割を担っ
ていると考える。オリンピック開会式の実況中継や都市対抗野球の中継による地元サポーター
の応援の場を提供する。それは CATV の画像を実際に見てもらい、PR する役目も併せもつ。
○インターンシップ
 地域とのつながりの一つとして、中学校から番組作りのインターンシップを受け入れている。
中学生に学校紹介の番組制作を指導する。約 3 名程度のグループで、月間で1~2回来ている。
○地域中小企業経営者の教育に CATV の可能性
 CATV は放送番組の作り手がいれば、チャンネル数は無限に広がり、最終的には「1 対 1」の
関係を作ることもできる。これは、まさしく「地域が豊かになる」可能性を秘めている。今構
想として検討しているのが、地域中小企業経営者のラーニングマネジメントシステム構築であ
る。中小企業はどうしても研修や教育の時間が少なくなり勝ちである。しかし、中小企業経営
者ほど勉強が必要なものは無い。CATV を通して研修システムを構築できればと考えている。
これは、これからの放送の必要性の一つである。
4.経営戦略や事業戦略
○地域密着の番組作り
 競争力向上のためには「良い番組づくり」が最も大切である。番組を中継するのみではビジネ
スとしての付加価値は小さくなる。ここで CATV ができるよい番組づくりとは「地域のことが
よくわかる番組」づくりであると考える。弊社には、市内ボランティアで番組を制作してくれ
るグループがいる。事務所や器材等は提供する形になっている。このような仲間の輪は、制作
担当の従業員が、やはり狭山市に在中する放送局 OB 等に声をかけていって生まれたものであ
る。
 地域に立地している大学の公開講座や大学研究者による観光紹介・史跡めぐり等も地域密着の
番組の一つである。その他、行政の情報、自治会の情報、消防・警察・商工会議所の情報など
がある。
○市内全世帯に接続可能な光ケーブル幹線のデジタル化工事完了
 ケーブルを敷設するだけでも、約 30 億円の設備投資が必要になる。幸いにも基地対策、東京
電力高圧線、本田技研及び東京ミッドタウン建物等のテレビ視聴難視対策施設との共同工事に
も助けられて、狭山市内全世帯に接続可能な光ケーブル幹線でのデジタル化工事が完成した。
 全国で最も低廉な受信料と想定される、1 世帯 1 日 10 円、集金費用を含めて月額 350 円で地
上デジタル放送受信が可能な地域である。
165
株式会社
シティ・ハウジング
■本社所在地:東京都大田区西糀谷 4-28-14
■主 な 事 業 :不動産業
■代 表 者:代表取締役社長 佐藤 仁
■設
立:昭和 62 年(創業:昭和 59 年)
■資 本 金:3,000 万円
■従 業
員:70 名(パートも含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○経営方針と理念の明確化と経営計画書作成
 平成 3 年に中小企業家同友会に入会して、経営の基礎を学んだ。当時の従業員は 8 名であった。
丁度、その頃から従業員が増え始めてきており、まさしく「家業から企業」へと生まれ変わる
段階であった。その段階にて、経営指針と経営理念、それらを実現するための戦略を織り込ん
だ経営経計画書の冊子作成を行った。同友会に入会することで、そのような経営計画書を従業
員に示すのがまず始まりであると学んだ。現在、弊社の経営は 24 期目に突入しており、経営
計画書作りは丁度 7 期目から開始したことになる。
 組織を大きくするには「一本筋が通るもの」が必要である。すなわち、経営理念は旗印として、
組織を導く目安になる。
 具合的に理念の柱は、簡単に言うと「地域産業活性化」、
「顧客への信頼」、
「生きがい」の 3 つ
である。経営理念の作り方も同友会の勉強会を通して学んでいった。同友会は異業種の経営者
の集まりとして、いろいろと刺激をうけた。
 経営計画書は現在も社長自らが作成している。経営計画書作成をはじめた頃に比して従業員数
が増えているので、もうそろそろ従業員が作成に関与することもよいと思う。
 経営計画書の冊子は従業員自らが考える判断材料になる。
○経営理念の浸透方策
 経営理念の浸透方策についても同友会における他企業の取り組みが参考になっている。弊社で
はまず、従業員は年に 1 回必ず経営計画書を自筆で模写することが求められる。自分の手で書
きながら憶えるやり方である。また、週 2 回の朝礼で 1 ページずつ従業員が声を出して読む。
 社長と従業員との対話の機会として、夏・冬ボーナスと昇給時の年 3 回の面談がある。そのよ
うな場も経営理念浸透の場である。
2.雇用や人づくり
○経営計画で売上目標設定
 経営計画には各店舗及び各部門別の売上目標を設定している。それに基づいて、各店長・各部
長がマネジメントを行う。
○社員総会と懇親の場
 毎期始め(6 月 1 日)に経営計画書が従業員に渡される。また、毎年 6 月中旬に泊りがけで社
員総会が開かれ、前年決算の状況と今期計画の報告がある。社員総会は従業員同士の懇親の場
である。
 社員総会以外で従業員の懇親の場として、9 月~11 月に行われる「秋のキャンペーン」の決起
大会、年末の「忘年会」
、繁忙期が終了した後 4 月はじめに開催する「打ち上げパーティ」が
ある。
166
○従業員の採用と資格取得奨励
 新規従業員の採用であるが、不動産業界は基本的に即戦力でなければ難しい。店舗が増えるタ
イミングに合わせて従業員も増やしていった。新卒採用は過去に 5~6 名程度いる。なお、中
途採用でも出身業界は問わない。あくまで人物重視である。基本的に営業職を採用している。
資格としては宅地建物取引主任者を重視している。従業員による 1 回目の挑戦については、会
社側がその費用を負担している。
○事業承継
 社長の次男が 10 年前に帰ってきており、店舗の店長をやっている。ただし、事業承継に際し
てはワンクッション置く予定である。創業時からの常務に一度バトンタッチしてから、数年後
に次男に継承する。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○従業員と地主
 不動産業のビジネスパートナーはまさしく地域の地主である。また、従業員は主に地元採用で
ある。
○地域での活動
 同友会のほかに、蒲田法人会や京浜ロータリークラブに加入している。
4.経営戦略や事業戦略
○事業の多角化
 多角化事業として、マンスリーマンション(平成 9 年から事業開始)
、トランクルーム(平成
11 年から事業開始)、コインパーキング(平成 11 年から事業開始)がある。トランクルーム
は 70 箇所、コインパーキングは 15~20 箇所はある。このような事業の多角化は不動産業界に
おける競争の激化によるものである。
 不動産業において売買は波があり不安定である。また、賃貸や管理業務は売買に比して安定し
ている。バブル崩壊後、賃貸や管理業務に新規参入が増えて競争が激化した。そのような中、
新しい事業を模索していった。
 トランクルームは、ビルの空きテナントの有効活用として、1テナントをいくつかの収納スペ
ースに分けて活用したのがスタートである。地域のワンルームマンションの住人の部屋では物
が溢れて困っており、収納スペースの需要を感じた。また、地域に空きテナントが増えたこと
もあり、ニーズとも合致して非常に好評である。
 マンスリーマンションは法人需要がある。空港が近くにあるため、主なお客様として航空会社
である。社員研修や新規プロジェクトの際に平均 3 ヶ月間借りてくれる。
 トランクルームやコインパーキングは装置産業であり、非労働集約的なビジネスである。その
ため、営業や管理が兼務で担当できる。すなわち、一人当たりの生産性向上に繋がるビジネス
である。
 コインパーキングは、当初は場所を探してパーキングの業者に斡旋するのが仕事であった。し
かし、同友会のセミナーで、将来的にコインパーキングの需要が大きいことを聞いて、自分達
のビジネスで実践した。ビジネスの基本は不動産の有効活用である。時代の流れによってニー
ズを捉えていくことが大切である。
167
株式会社
信州 里の菓工房
■本社所在地:長野県上伊那郡飯島町七久保 2513-2
■主 な 事 業 :菓子製造販売(和洋菓子)
■代 表 者:代表取締役社長 鎌田 真悟
(インタビュー先は 取締役 安井 路人 )
■設
立:平成 20 年
■資 本 金:350 万円
■従 業 員:35 名(パート 20 名含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○生産者と消費者まで全ての方が喜ぶ「里の菓工房」というコンセプト
 弊社は岐阜県恵那市の和洋菓子製造販売会社㈱恵那川上屋の関連会社である。㈱恵那川上屋は
恵那栗を使ったブランド戦略を推進している。「里の菓工房」もブランド構築にかかる地域活
性化のコンセプトから生まれており、
「地域(里)の素材(菓)を地域の人々が地域で加工し、
地域のお客様に喜んでいただく」という発想が原点である。生産者から消費者まで全ての方が
喜ぶ仕組みづくりを理想としている。当初は東農地域で農家と連携していたが、この仕組みは
他地域の他の素材でも応用できると考えていた。そのため、平成 13 年くらいから、他地域へ
の発想と技術の伝達を始めた。信州 里の菓工房はその取り組みが実を結んだ事例の一つであ
る。
○長野県上伊那郡飯島町を新たな栗の産地とする
 将来的に生産者の高齢化等によって恵那栗の生産が頭打ちになる恐れがあった。そのため、栗
を植えてくれる農家の方々を探しており、やがて長野県上伊那郡飯島町にたどり着いた。飯島
町には栗は無かったがりんごやなしの産地であり、高い栽培技術を有していた。しかしながら
近年は農業が衰退していた。そこで、新しく栗を植える「栗の里構想」を行政に提案したら快
く引き受けてくれた。飯島町は地区ごとに営農組合がある。農協で農地全体を管理していたの
で休耕地などを素早く・適切に割り振ってくれた。また、一企業にて農家を一人ひとりまとめ
るのは大変であるが、町長が先頭に立って、行政・農協が全面的に協力していただいたおかげ
で非常に円滑に進んだ。
 ここにおいて、飯島町の農家、約 70 名に参加していただき、栗のブランドづくりプロジェク
トが稼働を開始した。「北が小布施なら南は飯島といわれるぐらいの栗の一大産地を作ろう」
が合言葉になった。
 もともと長野県上伊那郡飯島町は栗の産地ではないため、農協に栗の研究会を立ち上げて、岐
阜県東濃地域の農家に来てもらい技術的な指導を行なっており、独特の超低樹高栽培の実践で、
各地で開発、栽培、拡大が進められている。我々の事業はまさしく新しく産地を作っていく取
り組みである。
○経営理念「三者が喜ぶ会社」と経営計画書づくり
 経営計画は年度初めに取締役が策定する。そして社長が承認する仕組みになっている。また、
経営理念は経営計画書にも添付されており、それは「三者が喜ぶ会社」である。ここで、三者
とは農家・自社・お客様を意味しており、経営理念の策定には 2 年間の歳月をかけた。経営理
念は従業員の日常的な判断基準となり、理念の浸透には、日常的に言い聞かせている。経営理
念の浸透に際しては、今後も強化していきたい。
 経営計画の発表会は初年度から実施した。農協を会場として借りて、地域の生産者方々を巻き
168
込んで開催している。また、経営計画発表会では従業員一人ひとりが話す場がある。
2.雇用や人づくり
○地元のことは地元でやれるようにする
 弊社は「里の菓工房」のコンセプトのもと、まさしく地域に密着した事業である。実質的にオ
ープンして1年少し経過したところであり、取締役は出向してきているが、ほぼ信州里の菓工
房の経営をまかされている。
 地元のことは地元の人間でやれるようにしたい。そのため、従業員は地元にて新規に採用して
いる。オープン時よりも 10 名程度人数も増えている。地元の意見を取り入れて商品開発を行
なっているほか、地元の方々が何よりも一番の宣伝マンとなる。評判というのは口コミで広が
る。今後は中間管理職を育てていかなければと考えている。
○従業員に解りやすく伝える努力
 従業員には「売上をあげろ」といっても具体的にどうすればよいかわからない。そこで「お客
様の喜ぶことをしなさい」といっている。そうすると伝わる。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○農家の方々との関係づくりと地域ネットワーク構築
 弊社は㈱恵那川上屋と資本関係は無く、株主の半分は地域の農家(栗農家)の方々が入ってい
る。
 我々は地域において新規に事業をやらせていただいている。そのため、現在、地域の方々との
交流・対話を重視している。町や農協のイベントがあれば出展の要請を受ける。また、創業感
謝祭をやっている。このようなイベントは工場の人が直接お客様に触れ合う良い機会である。
イベントごとに毎回何品かの新商品を出している。
4.経営戦略や事業戦略
○農家からの仕入れ拡大を目指す
 長期的には地元を栗の産地にするといったブランド構想がある。そのためには規模、すなわち
農家からの仕入れを大きくしなければならない。売上を上げるのは大切である。これは 10 年
計画である。短期的には投資のために利益を出す必要がある。
 弊社の強みの一つは、素材である栗から自分たちで作っているため、自分たちで価格を決めら
れる点にある。
○マーケティング活動
 今、営業に力を入れている。商圏は飯田と伊那近辺で、織り込みチラシを入れている。ギフト
用の購入が主であり、購買層はそれなりに富裕層であるが、逆に大都市部から見ると安価な価
格帯である。ぜひとも、弊社のお菓子はスーパーのお菓子とは違うという価値を伝えたい。そ
のために月に 1 回、切れ端や不揃い品などアウトレット品の販売をやっている。朝から人が並
ぶほど盛況である。アウトレット品の販売を通じて味を知ってもらいたい。そして気に入れば
贈答用等に使ってもらい、積極的に地域の外に出していってもらいたい。それが、ひいてはブ
ランド化につながる。
169
関彰商事
株式会社
(セキショウグループ)
■本社所在地:茨城県筑西市一本松 1755-2
■主 な 事 業 :石油販売、サービスステーション運営
(グループとしては自動車販売、コンビニエンスストア運営、住宅販売・
設計・施工、リフォーム設計・施工、生命保険・損害保険の販売、ビジネ
スソリューション、情報システム、人材派遣、人材開発・育成事業も手掛
ける)
■代 表 者:代表取締役会長 関 正夫、代表取締役社長 関 正樹
(インタビュー先は代表取締役社長 関 正樹 )
■設
立:昭和 13 年(創業:明治 41 年)
■資 本 金:9,000 万円
■従 業 員:約 2,000 名(グループ合計)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○経営理念への考え方
 弊社の経営理念は「地域の社会と生活の向上に貢献します」
、
「お客様第一主義に徹します」、
「安
全と真心を基本に行動します」である。経営理念が完全に浸透しきる終わりは無い。経営理念
が従業員の行動のベースであり、常に浸透に努め続ける必要がある。
 経営理念の浸透には、責任者の後ろ姿を見せるのが一番である。本当に困ったとき、大きな決
断に迫られたとき、意思決定までの発言や姿勢が経営理念とぶれないことが大切である。逆に、
常に一つ一つの行動や意思決定にて意識するものでは無いと思う。経営上のターニングポイン
トや大きな決断・けじめのときに、明確に経営理念と整合性が取れていることが重要になって
くる。
 経営上の考えで、経営理念と利益が相反するときは、経営理念を優先する。利益は、それその
ものが目的であるというよりも、会社の次なる投資のためである。
 会社の寿命は 30 年といわれるが、実際には我が国に 100 年継続する企業が数多くある。その
ような継続企業がどうして生き残ったか、後から振り返るとそこには明確に「経営理念」が活
きているのではないかと考える。経営理念は企業のビジョンのみならず、まさしく経営者の「生
きざま」と「思い」である。
○組織風土や組織文化への考え方
 組織風土というものは、組織文化と言い換えてもよいと思う。まさしく従業員の行動様式は組
織文化に影響を受けるが、そこには良い面のみならず、悪い面もまた表裏一体に存在している。
組織風土や組織文化は、具体的な商品やモノではないので、決して外部には輸出できない、そ
の企業固有のものがある。
2.雇用や人づくり
○外部とのネットワークをつくり自身の仕事を客観的に見つめなおす
 部長以上の役職に対しては、会社内に閉じこもるのではなく、積極的に「外に出る」ことを推
奨している。外部との交流によって、自身の仕事を客観的に見つめられるようになる。また、
異業種の方々と接することによって、自分達では思いつかないアイデア・発想を得ることがで
きる。一方で、人材教育の一環として、責任者の部門間・企業間異動もやっている。年に一回、
従業員はキャリアプランであるマイライフプランを提出する。それに基づいて人事異動の検討
が行なわれている。
○その他重従業員満足度向上の取り組み
170
 成人式には社長名で電報を送っている。また、毎年の年明け 1 月 4 日の仕事始めには、全従業
員による今年の抱負の発表を行なっている。
 弊社には勤続 10 年目の従業員を対象にした「飛躍の会」がある。10 年を振り返った思い・今
後の目標等を社長に発表するイベントがあり、その内容は文集にもまとめられる。
 新卒採用以外にも、中途採用に対して入社式をやっている。一般的に中途採用は組織風土・文
化に慣れるのが難しいと言われるが、入社式やることで、気持ちを一新して、弊社の組織風土・
文化に馴染んでいってほしい。
○県内の就職支援事業を推進
 現在、茨城県から就職支援事業を受託して、人材育成事業に取り組んでいる。グループ会社の
㈱セキショウキャリアプラスにて、茨城県内の企業へ正社員として入社を希望する大卒等未就
職者に対して、早期就職を図るため、ビジネスマナーなど必要な基礎研修の受講や県内企業で
実務研修を実施している。基本的に研修先企業の OJT であり、研修生(契約社員)として給
与も支払われる。
○地元採用へのこだわり
 雇用はあくまで地元採用にこだわる。地元採用の促進は最大の地域貢献の一つである。地域に
お金がまわる仕組みにしなければならない。また、障害者雇用にも取り組んでおり、法定基準
はクリアしている。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○感謝の思いとして地域貢献活動に取り組む
 弊社は平成 23 年 2 月にて、創業から 103 年間継続したことになる。ここまで会社が継続した
ことは、まさしく会社を取り巻く皆様のおかげである。弊社は地域貢献活動を積極的に推進し
ているが、そこにはそのような周りの方々への感謝の気持ちを表している。
 地域貢献活動は、トップダウンの意思決定に基づいて継続してきた。愚直なまでに「続ける」
ことに意味があると思う。また、単に継続するのみならず、各取り組みはブラッシュアップを
続けている。地域貢献という言葉を自分達で言うことに違和感がある。あくまで貢献している
かどうかは、地域の皆様からの評価である。我々はあくまで感謝の気持ちを表すために取り組
む。具体的には、奨学制度、社会福祉活動への寄付、茨城県科学技術振興財団が主催する賞(江
崎玲於奈賞)の協賛、各種スポーツのサポート(テニス大会やマラソン大会の運営、地元サッ
カーチームのスポンサーなど)である。
4.経営戦略や事業戦略
○事業の拡大
 弊社はセキショウグループとして、16 社の企業を持つ。事業領域は大きくエネルギー部門、
カーライフ部門、ホームライフ部門、ビジネスライフ部門にまたがっている。単純に石油を販
売するビジネスモデルではない。それのみでは、今後の時代の要請・ニーズに応えられない。
地域の皆様の生活をサポートするというキーワードである。
 経営目標として、直近のマイルストーンとして設定しているが、今後は中期経営計画の作成を
進めたい。
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株式会社
大和不動産
■本社所在地:さいたま市浦和区高砂 1-2-1
■主 な 事 業 :不動産業(建物の賃貸の仲介、売買の仲介、不動産の管理)
■代 表 者:代表取締役会長 小山 福松、代表取締役社長 小山 陽一郎
■設
立:昭和 53 年(創業:昭和 27 年)
■資 本 金:1,000 万円
■従 業 員:105 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○倫理経営と経営品質への取り組み
 平成 8 年の時点で経営理念を明文化した。元来から家族経営の風土があったが、家業から企業
へ脱皮するため、倫理経営や経営品質への取り組みがあった。倫理経営はまさしく組織の土壌
作り・風土作りであり、そこに経営品質という苗木をもってきた。経営品質は平成 18 年から
取り組んでおり、昨年度は埼玉県経営品質賞知事賞を受賞した。経営の視点は、顧客満足度、
従業員満足度、独自能力開発、社会との調和の4つである。
 弊社は 10 年くらい前から心の部分として「倫理経営」に取り組んできた。そして、実行に移
すための定量化として「経営品質」がある。それが両輪となっている。
○経営理念の浸透と手帳型の経営計画書
 経営理念の浸透には、経営計画書に理念自体の解説のほか、理念を噛み砕いた軸の解説を載せ
ている。解説は、従業員が自ら研究会を立ち上げて、自ら考えて作っていった。5年前から手
帳型にしており、全従業員に配布するほか、重要なビジネスパートナーにも配布する。また、
ビジネスパートナーも招待する経営計画発表会も毎年開催している。
 経営計画書を手帳にして従業員に配布するのは、ともすれば個人目標のみに注力しがちなとこ
ろを、会社・部署として方向性を統一する役割もある。
 経営理念の理解度・共感度を測るために毎年 1 回はアンケートを実施している。理解度が低い
従業員は社長との個別面談も実施する。また、新入社員には経営理念を憶えるための試験も実
施している。その他、毎日の朝礼を実施するほか、全体研修会にて経営計画書の話や経営ビジ
ョンの話をするほか、決算の話等をしている。
2.雇用や人づくり
○社内での教育活動と小集団活動
 我々が今一番大切にしているのは「気づき」である。仕事を深堀することによって不足する部
分が見えてくる。気づいたら即行即止で行動である。そのため、社内に小集団活動が 15 ほど
ある。小集団活動では自分達で改善方法を検討して、成果を数値で計測することを学んでいる。
また、10 月から早朝に従業員向けの「大和塾」を開いている。週4日、役員がそれぞれテー
マを持って勉強会を実施している。
○社内でのコラボレーションによるオーナー満足度向上
 現在、賃貸・売買・管理の 3 つの部署があり、分野によってオーナーの考えと営業マンの対応
内容が異なるが、限定した対応しかできなければオーナー満足度向上に繋がらない。そのため、
社内 LAN を活用して、オーナーの様々な要望を事業部の垣根を越えてお互いにキャッチでき
る仕組みを構築した。それによって業績も向上している。また、最近は担当を別部署同士のペ
ア制にしているほか、売上上位 40 名のオーナーには別途オーナーズシート(カルテ)を作成
172
しており、営業同士で共有している。
○プロセス指標重視の業務レポートと改善
 方針を出すのは毎週開催している取締役会である。また、毎月社長報告会があり、部署ごとに
月ごとの実績や問題点の原因・対策などをレポートにする。その分析内容が取締役会で議論さ
れる。レポートでは、プロセス指標を大切にしている。戦略ごとにアプローチとその達成率が
判るようにしている。特に、報告では「異常値」を重点的に報告させている。トップの仕事と
して重要なのは「異常管理」であり、日常管理は幹部の仕事である。また、社長報告の元にな
る各従業員の日報・週報もプロセス指標とその成功率を記載している。個人レベルの目標・現
状分析ができていることで、幹部による効果的な従業員教育が可能になっている
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域密着のオーナーが重点顧客である。
 この地域は歴史が古く、何十年も続く地主が多い地域である。そのような地主は地域のリーダ
ー格の富裕層であるが、相続税の問題を抱えているケースは多い。富裕層の方々は賃貸住宅・
マンション供給という地域貢献をしている。地域のリーダーとしての役割を継続していただく
ために、弊社が資産の最大化・最適化を図っている。
 弊社ではオーナーお役立ち情報として、レインボーニュースを発行するほか、住宅メーカーや
電力会社等の外部企業と連携してオーナー向けセミナー・勉強会を開催している。
○地域発展のためのエリアマネジメントへの取り組み
 地域の価値を維持するため、国土交通省で提唱しているエリアマジメントがある。弊社も大学
の不動産学部の先生と連携して、研究会活動を通じてエリアマネシメントも含めて不動産業の
あり方を勉強している。特に、弊社は地域住民に生活の基盤である「住む場」を提供するビジ
ネスを展開しており、「明るい豊なまちづくり」を標榜している。例えば、ワンルームの居住
者が決まると、「街びらき」として、地域住民(自治会の方々等)との顔合わせを行う。コミ
ュニティが循環するお手伝いである。
4.経営戦略や事業戦略
○オーナーを重点顧客としてターゲッティング
 弊社のお客様はオーナー及び入居者がいる。入居者は同時にオーナーのお客様でもある。重点
顧客としてオーナーを位置づけおり(売上構成の 70%がオーナーからの売上)、質のよい入居
者を求めるために、弊社独自の入居者審査がある。
 オーナー向けの相続相談のために、一般社団法人 埼玉県相続サポートセンターを設立した。
セミナー開催やコンサルティング活動を実施して、年間 400 件程度の相談がある。
 オーナーに資産の適切な形を提案する必要がある。そのためには、マンションやアパートを満
室にする方策を徹底的に模索する。例えば、弊社で家具を販売しているが、それを用いてイン
テリアコーディネータに依頼して空き部屋のモデルルーム化を図っている。お客様を案内して
も家具類が揃っているため、生活感が判る。実際に成約率が 10%程度高い。その他、情報過多
の中でお客様の判断を手助けするために、インターネットで物件のレーダーチャート式評価を
掲載する他、空いたアパートのホームページを作成してオーナーの物件に対する思いや考え方
も紹介することも試みている。
173
株式会社
つくば食品
■本社所在地:茨城県古河市下大野 2000-25 配電盤茨城団地内
■主 な 事 業 :食品加工販売(業務用液体調味料、加工食品、地域物産)
■代 表 者:代表取締役社長 八巻 克
■設
立:平成 7 年
■資 本 金:1,900 万円
■従 業 員:30 名(パート 13 名含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○生産者との連携を重視
 最近、外食産業ではコストダウンの圧力が大きく、そのしわ寄せを生産者が受けている。しか
し、食品やその加工に携わる企業にとって生産者の犠牲はマイナスであり、生産者側と手を取
りあう「生産者-加工者-消費者」をつなぐ食品総合公園の構想がある。そのための動きの一
歩として、地域内の農業法人にて収穫された野菜のうち青果とし出荷できないものを引き取っ
て加工製品にしている。しかし、商品を作るのみでは問題の解決にはならず、消費に繋げるた
めに外食産業ともタイアップして、積極的に売り込みたい。
○連携活動のリーダーのはまず動くことが大切
 連携活動のリーダーは、動かなくてはいけない。まずは便利屋になろうと取締役を務める社長
の息子が、意見のすり合わせ役をやっている。
2.雇用や人づくり
○従業員の動機付けと従業員参加型の家族的経営
 新商品のキャッチフレーズを社内で公募した。合計で 70 種類出てきて、一人につき2つ以上
応募した計算になる。パートの作品が採用されて表彰を行なった。
 かつては、社員旅行はパートの参加なしで正社員のみで工場見学をやっていた。今年は、工場
見学は大人数での参加は迷惑になると考えて、これからの社員旅行のあり方検討も兼ねて温泉
に一泊した。そこで提案された内容として、四半期に一回の頻度で、パートも含めて全従業員
を対象として、会費制の社員旅行を目的・テーマをもって行なう。そのような方向性も含めて、
実行委員を従業員とパートで立ち上げて検討したいとの意見が自発的に出てきた。工場見学は
より効果的なものにするため、2~3 名の少人数制でテーマごとに分けたものとしたい。
 正社員は入社 4 年目程度で責任者となり幹部会議に参加する。単年度の経営計画はほぼ従業員
で策定しており、報告会にも全従業員が参加する。自身で経営計画策定に関与すると、まさし
く「自分の会社」という意識が芽生える。従業員はまさしく仲間・家族であるという風土であ
る。小さい会社なので、従業員一人ひとりが重要である。どういった生き方をするかが大切で
あり、よく従業員に問いかけている。若い人間が多い会社であり、人材の教育こそが一番重要
であると考えている。
○採用について
 基本的には毎年、製造部員と開発部員の 2 名を募集したいと考えている。製造は地元高校生の
新卒、開発は栄養・醸造関係の大卒を募集している。商工会議所等が開催する就職説明会には
積極的に出ていきたい。また外部への魅力発信にもより力を入れていきたい。今年で定期的な
採用を開始して 5 年目であるが、新卒採用者で離職者はいない。
○事業承継に向けて
 連携活動で動いてもらっているように、息子(取締役)への事業承継は着実に進行している。
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事業承継のポイントとして、2 代目に業務を徹底して任せて「意志決定」を日常的に経験させ
ている。これが社長にとってもっとも重要である。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○生産者との連携を実現するための取り組み
 生産者との連携を実現するために、テストとして贈答用のトマトケチャップを作った。その他
にも地醤油を使っためんつゆなど地域原材料を使った商品(調味料)を贈答用に5種類をセッ
トにしてパッケージ化して、まず一歩として関係者の皆さまに配っていきたい。地元の同業者
と手を組んで一つの商品を作るという取り組みである。
 もう一方では、ある県の味噌屋・醤油屋と連携して高速道路のサービスエリア向けのラーメン
スープを作る取り組みをやった。その県内にて、地元で何百年と継続している中小の醤油屋・
味噌屋を調査・探し出して、直接訪問した。彼らも基礎調味料の現状に危機感を抱いていた。
製品(ラーメンスープ類)はすでにサービスエリアで採用されている。同時に、売り込むルー
トを持つ問屋を巻き込んでいった。サービスエリアも競争になっており、危機感を持つキーマ
ン同士が集まると非常に早い。連携を組むポイントは危機感とともに、激動の時代はチャンス
であるという考えの共有である。
 農商工連携にかかる人材とのネットワークは基本的に紹介を受ける形である。
○外部経営資源との連携の重要性
 生産者連携の実現や社内での人づくりは地域の専門家(税理士・会計士事務所)と関係構築が
大きな助けになっている。自分の中にあったが形になっていない、表現できなかったものを専
門家の支援を通じて確認・具現化ができるようになる。また、商工会議所が主導して、地域の
経営革新の認定企業のネットワークがあり、従業員ともども勉強会に参加させていただいてい
る。
4.経営戦略や事業戦略
○連携活動の収益性への取り組み
 連携事業とはいえ事業として成り立たなければならない。小ロット製造の中でいかに採算ベー
スに乗せるか、大きなリスクを伴う。しかし多品種少量生産の精度を高めることはきわめて重
要であり、今後工場内で小ロット対応の製造場所を新たにつくろうと現在検討中である。新た
に投資するのではなく、作業環境を変えることで対応しようとしている。
○将来の計画
 現在、2015 年は節目であると考えている。創立 20 周年になる。そこで世代交代したい。その
時まさに食品総合公園実現に向けた飛躍の時になる。また、地域のみならず、海外(東ヨーロ
ッパにルートあり)にも目を向ける予定であり、今後リサーチをかけていく。
 今期の売上目標は 4 億 8 千万円でありすでに達成確実である。そして、2015 年には売上7億
円、売上高経常利益率 11%を目標にしている。従業員としては、正社員を現在の 17 名から 2015
年には 22 名くらいにしたい。あくまで現在のキャパシティの中でやっていく。基本として規
模を追求せず地域社会の活性化を推し進めるなかで社員の幸せを追求して行く。
175
東京オート
株式会社
■本社所在地:栃木県小山市東城南 1-16-4
■主 な 事 業 :自動車販売、自動車整備、板金塗装、損害保険代理業
■代 表 者:代表取締役 中村 浩志
■設
立:昭和 48 年
■資 本 金:5,000 万円 ■従 業 員:154 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○事業承継に当たり 2 代目が経営理念をまとめる
 現社長は 2 代目である。創業から約 30 年が経過して、一定の経営基盤が出来上がり、更に企
業経営の目的を明確にして企業価値の向上を目指すために経営理念をまとめた。これは、先代
の会長が会議や朝礼の場で社員に繰り返し語り続けてきたことを議事録や言行録から現社長
がキーワードを抽出してまとめたものである。第 3 者への伝達能力は社長の重要な資質の一つ
と言えるが、先代の考え・行動を十分に理解した上で、目指すものを経営理念としてまとめ上
げたのは、事業承継を目指した 2 代目だからである。
 組織への浸透を図るため、経営理念のほかに、実現のための取組方針を示す「行動指針」と、
企業のあるべき姿を示した「コーポレートビジョン」を策定している。
 安定期の市場では、
「量的拡大」の戦略が有利だが、成熟期の市場では、
「質的拡充」の戦略を
志向するほうが有効である。こうした企業戦略の転換期においては会社の方向性を明確にする
ためにも、組織の意思統一を図るためにも、経営理念が重要となってくる。
○人材育成を通じた組織作りと IT 経営導入による事業承継
 人材育成の問題は、先代の時代からの悩みである。そのとき、現社長は後継者として、管理職
の役割と責任の明確化と、組織作りを目的とした人材育成の場が必要と考えた。
 現状の組織における問題を解決するために、先代と従業員との橋渡し役が必要な局面も多かっ
たので現社長がその役割を担い、IT 経営の実現に向けた全社的な取り組みにおいては「ファ
シリテーター」としての役回りを現社長が自ら引き受けてきた。
2.雇用や人づくり
○IT 経営を目指し基幹情報システムを自社開発
 2005 年以降における中古車市場の急激な縮小と消費性向の変化から、業績悪化と経常利益の
急減に苦しめられた。そこで、弊社は業績向上に向けて、情報の一元化・共有化と社内基幹業
務の効率化やマネジメント力向上のために、IT 経営の強化に取り組んだ。
 弊社は県内に多店舗展開しており、IT による情報化共有によるメリットが大きいと判断した。
その理由として属人的になりがちな業務フローを標準化し、業務に必要な情報や電子ファイル、
業務マニュアル等を共有化することで業務効率が向上するためである。
 IT 導入のポイントは、あくまで中小企業の実態に合わせて、当たり前の徹底から始めることで
ある。まずはワープロや表計算といった基本的なアプリケーションの活用から徐々に IT リテ
ラシーを向上させてゆくようにした。
 その過程で、「仕入・販売」、「整備・登録」、「顧客・車両管理」、「会計処理・内部統制」、「情
報分析、資料作成」の機能を持つ基幹業務システムを自社開発するに至った。従来の中古車販
売業向けシステムは、仕入と販売の機能を中心に設計されているものが大半であるが、中古車
176
販売業では、整備と登録に関する機能も重要なため、これらの機能を充実させている。また、
受注・収益・原価をリアルタイムで管理して、必要なデータを集計した分析レポートやグラフ
資料を自動作成できるように、柔軟にデータベースを活用できるシステム設計である。
 基幹業務システム構築のメリットとして、拠点業務の経理と登録が本社へ移管されたことで、
拠点における事務作業が平準化された点が挙げられる。現場ではその分接客対応に注力できる
ようになり、顧客満足の向上につながっている。結果として、事務業務の本社移管により年間
約 2,000 万円のコスト削減を実現した。
 基幹業務システム開発の計画構築に当たり「経営革新計画」を利用しており、2007 年に承認
されている。また、IT 経営に対する評価として、経済産業省「中小企業 IT 経営力大賞 2010」
の「IT 経営実践認定企業」に認定されている。
○雇用を通じた地域社会への貢献
 地場企業の役割として雇用を通じた地域社会への貢献がある。地域社会に対して企業が雇用機
会を創出することが期待されており、当社では書類回送業務や商品管理において高齢者を積極
的に雇用してきており、法人営業など長年の経験と地域社会の人脈が生きる職務においては、
将来的には定年を迎えた社員の再雇用の検討にも取り組んでいる。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域密着活動の推進
 地域においては「法人」も「個人」も一体である。弊社のお客様は「半径 10km 圏内の人々」
である。そのため、お客様感謝イベント等にて、地域の方々と直接触れ合う機会を作るのは大
切である。それも企業のサービスであると考えている。また、弊社では地域貢献活動の一貫と
して、小学生の社会科見学、中学生の就労体験も受け入れている。
4.経営戦略や事業戦略
○基幹業務システムを活用した中古車販売支援
 自動車販売市場では、アフターマーケットは新車販売市場の 1.5 倍とも言われており、今後の
循環型社会においては、静脈産業である中古車市場の成長は期待できる。
 しかしながら、中古車販売においては、情報の非対称性を解消して細かな顧客ニーズを満たす
には、商品データや画像情報を含めた多くの情報を管理する必要がある。
 弊社では一元化された基幹業務システムを利用して、顧客に対して商品情報の透明性を高める
「車両品質評価書」の作成や各種媒体への掲載、Web とのスムーズなデータ連携を実現したほ
か、データベースを自在に活用したマーケティングを可能にしている。
 基幹情報システムは、同業他社への販売も視野に入れて大手ベンダーと協力して再構築した。
TAS3.0(=Total Assist System3.0)は、売上を増やすことだけではなく、経営課題を解決し
ようとするマネジメント志向が高いシステムであり、同システムの導入を前向きに検討してい
る企業との対話の中で弊社と同じような経営課題や改善テーマをお持ちであることがわかっ
てきた。2010 年秋から発売されており、将来のネットワーク構想もある。IT 経営で中古車販
売業界のマネジメントレベルを向上させてゆきたい。
177
株式会社
東玉(とうぎょく)
■本社所在地:埼玉県さいたま市岩槻区本町 3-2-32
■主 な 事 業 :ひな人形、五月人形、日本人形等の企画・製作及び販売
■代 表 者:代表取締役社長 戸塚 隆
■設
立:昭和 23 年 7 月(創業:江戸・嘉永 5 年)
■資 本 金:5,000 万円
■従 業 員:47 名(節供期
120 名)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
 人形文化を通じて心の豊かさを育むことが理念であるが、その理念を実現するための目標に、
「人形を極め家族の絆を深める」とある。ここでの家族とはお客様のご家族であり、従業員の
家族である。まさしく家族を大切にする経営を心掛けている。会社の経営が厳しくても会社都
合退職はやらない。
2.雇用や人づくり
○大卒の採用者が現在の幹部の中心
 基本的に弊社の採用は新卒も含めて年間 1~2 名である。岩槻の人形店で大卒を採用すること
は少ないが、弊社の現在の幹部は 30~40 年前に雇用した大卒が中心である。昭和 47 年に本社
ビルを建設して、色々と社内の仕組みを切り替えた。そのときの大卒社員が一番のベースにな
っている。
○作り手を育てる
 節句のイベント等による普及啓発のほかに、人形が売れるようになるには「職人・作り手」を
育てることも大切だと考えている。東玉に人形を提供する職人からなる「東匠会」では、勉強
会を通じて先輩から後輩への技術継承をやっている。かつて、昭和 40 年に我が国人形作家の
リーダー格である鈴木賢一氏(故人)に岩槻へ来ていただいたことで地域の技術レベルが向上
した。育てるという意味では、販売側が積極的に職人に対して、どのような人形を作ったらよ
いか企画・プロデュースしている。
 東玉では売店にて直接職人が接客する機会を作っている。職人が直接顧客の生の声を聞くシス
テムである。それが、弊社の職人の強みである。昭和 38 年、現社長が入社したとき、工場長
という役職を「工房長」とした。例えば、職人が外部のデザイナーとともに会食する機会を設
けるなど、内に篭りがちな悪い意味での職人気質の改善を進めた。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域資源に立脚した新興計画
 岩槻区は「雛作る緑の城下町」という俳句が示すとおり、古くから人形の町であった。有数の
桐の生産地であり、たんすや下駄の製造が盛んであったが、その過程で出る「桐のオガクズ」
が人形の材料になり、この地域の水が人形の顔に塗る胡粉を溶くために適していた、一大市場
である江戸に近かった等が人形作りを盛んにする要因となっていた。
 現在、岩槻区の人形産業は、岩槻人形協同組合の組合員 80 軒(非組合員を含めると 150 軒)、
職人 300 名、内職等関従事者約 3,000 名、出荷額 110 億円である。
 平成 19 年 3 月に「岩槻人形」が地域団体商標登録を県下第 1 号として、また、国の伝産指定
(伝統工芸品)を県下第1号と第3号の二つを受けている。また、国の支援として、地域資源
活用新事業展開支援事業の認定を受けているほか、平成 22 年には、さいたま商工会議所岩槻
支所が中心となって、経済産業省の「地域資源∞全国展開プロジェクト」に採択された。テー
178
マは、岩槻区の節句行事とおもてなし文化を生かした観光によるまち興しである。まちの活性
化には観光振興が重要であるとの認識であり、現在、さいたま市は「岩槻人形会館(仮称)」
を建設準備中である。このように組合(事業者)と自治体、商工会議所が一体となった「人形
のまち、岩槻」、
「岩槻人形」のブランド化が図られている。それが小売営業・卸売営業におい
てもバックボーンになっている。
○活発な組合活動と理事長としてのリーダーシップ
 組合の歴史は大正 4 年に遡る。岩槻の組合はまとまりがなかったが、昭和 40 年代ごろからま
とまりがでてきたといわれる。そして最近になって極めて上手くいっていると感じている。全
国 220 ある伝産の中で一番活発であると自負している。
 岩槻区では、人形にまつわる季節の行事が 4 つある。①岩槻まちかど雛めぐり(2-3 月)、②
岩槻流しびな(4 月)、③岩槻まつり(8 月)、④人形供養祭(11 月)である。このうち、④岩
槻まちかど雛めぐりは東玉が中心になっている。これらの行事・イベントも人形が売れるよう
になるためには重要な要素であり、NHK TV に取り上げられるなどして知名度が向上してお
り、ブランド化を後押ししている。
 現社長は岩槻人形協同組合の前理事長である。また、(社)日本人形協会の会長も経験してい
る。しかし、組合活動は同業者だからこそ難しいことがある。時には職人からも反発は確かに
あった。組合の活動に熱心なのは全体の 1/3 程度であるが、積極的にリーダーシップを取って
いったのがよかったと考える。理事長の時には社長の業務の 7~8 割が組合の業務に注力して
いたといっても過言ではない。
4.経営戦略や事業戦略
○黎明期に広報と小売に力を入れた
 東玉も元々スタートが製造(職人)であったが、実質的な会社設立者である現社長の祖父が製
造・卸・小売に力を入れるようになった。更に「人形の町、岩槻」というフレーズも最初に言
いはじめた。岩槻を人形のまちにするには、当初「①チラシや電車の中刷り等による広報活動」
と「②まちの表通りに人形店があるべき」として、8 店舗(当時)を新しく出した。今、弊社
は駅前に新館・本館の 2 店舗と第二ブランドである「永徳」の店舗がある。第二ブランドの永
徳は主に低価格路線の販売をやっている。
 今年は、インターネットによる広報や組合活動のおかげで、わざわざ東京都内、近県から岩槻
区まで来ていただき、人形を購入してくれる人が増えていっている。
○海外製品との競争
 海外生産は人形でもやっており、安価な海外製による大手量販店との競争も激しい。しかし、
業界では原産国表示を行なって差別化をはかっている。私どもは国産を目玉にしている。特に、
ひな人形の胴体と頭は 100%国産にこだわっている。
○伝統の中の独創性
 伝統的な会社であるが、弊社の卸売営業におけるキャッチフレーズとして「伝統の中の独創性」
を掲げている。伝統の中でもオリジナリティが高くなくてはいけなく、そのためには新商品開
発が一番大切である。また、本業以外にも、新商品として、商社と提携して鰻のサプリメント
の販売、テディベア創作作家との提携、お盆の人形(やすらぎ人形)なども手掛けている。こ
れらは主に従業員からの提案である。
179
西尾精密
株式会社
■本社所在地:静岡県浜松市北区引佐町井伊谷 3800-1
■主 な 事 業 :自動車部品製造、金型製造
■代 表 者:代表取締役社長 西尾 真一
(インタビュー先は取締役会長 西尾 眞之)
■設
立:平成元年(創業:昭和 45 年)
■資 本 金:3,000 万円
■従 業 員:58 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○「ものづくり」は「人づくり」
、自ら考える人材を育てるのが重要
 日本の中小企業の多くは、高度成長時代に大手の下請として大量生産に対応するため、作業の
分業化等に取り組んできた。しかし、その結果、設計を含めて自社で全てをまかなう機能を失
ってしまった。一方で現在、中国や東南アジア等の新興工業国との競争や産業構造の変化によ
って、我が国製造業は多品種少量生産体制の構築と短命な製品ライフサイクルへの対応に迫ら
れている。我が国多くの中小企業は、単純な下請のみに特化してしまった結果、投資・技術伝
授・開発ができなくなり、そのような環境の変化に対応できず苦しんでいるのではないかと考
える。
 基本的に「ものづくり」とは「人づくり」である。中小企業は下請を脱却して、競争力をつけ
るためにも、人材育成による技術力維持・向上が必要である。これからは誰でもできる量産を
担当するのではなく、開発型企業になる必要がある。理念としては、まず他社でやっている仕
事はしない。そして、限りある資源を如何にして無駄なく使うか、環境付加を如何にして軽減
することができるか、工程を如何に短縮できるか、儀技術力に対する先行投資、ものづくりと
人づくりを楽しむ、常に「なぜ?」と考える等である。すなわち、「自発的にものごとを考え
る」ことができる人間を育てることである。そして、考えることができる人間が、また次の世
代(子供たち)を育てることで、技術の伝承が可能になり、国としての競争力も維持・向上で
きる。人づくりは最終的には「国づくり」に直結している。
2.雇用や人づくり
○教育は「背中で教える」
 教育は実際のノウハウを教える以上に、「背中で教える」ことが重要である。そのため、弊社
にはいわゆるマニュアルがない。まず先輩が 1 年かけてじっくりと教え、後は自分で考える。
○組織風土・社風作り
 組織風土・社風として、
「楽しく挑戦」
・
「ものづくりを楽しむ」ことができるのが必要である。
難問に直面しても楽しみながら解決の糸口を探ることが研究開発の醍醐味の一つである。また、
例え失敗してもそこから学べるものがある。また、従業員同士、声を掛け合い、コミュニケー
ションが活発な家族的な雰囲気も大切である。そういった組織風土・社風を作っていくのも経
営者の仕事の一つである。
 品質マネジメントシステムである ISO9002 認証取得も組織づくりに役立った。どうしても、
技術者は職人気質が強くなるため、管理・経営の感覚を身に付けさせる必要があった。常に
PDCA をエンドレスに適用し業務の継続的改善に努めている。また、専門家による勉強会を開
催して、実際の改善提案につなげている。年に 1 回は全てを数値に出して検証している。
180
○人づくりの効果
 金型の「短時間製造」
「高精度」
「低コスト」の実現、及び競争力向上に資する開発能力向上は
まさしく人づくりの成果である。また、弊社では機械の部品交換や修理・改良などは全部従業
員が自分達でやっている。これも企業の理念と人材育成の効果である。また、全員が管理者と
しての意識を持つため、何か問題が起きたら直ぐに関係者が集まってその場で解決を図る。役
職として管理者が多い組織は基本的に無駄が多いのではないかと感じている。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○ものづくり学校(仮称)への構想
 人づくりへの取り組みとして 10 年前から産学連携で「ものづくり学校(仮称)」設立に取り組
んでいる。自社の金型製作等の技術を一般に公開し技術者を育成することで、地域雇用の創出
や新規受注の獲得を図り、地域の製造業発展を目指している。特定非営利活動法人(NPO 法
人)を設立して運営する形である。実際にものづくり学校設立のため、地域内の山間部にある
かやぶき屋根の古民家を購入した。同施設はモノづくりの講座以外に、地元住民にも文化交流
の場として解放し、環境保全活動の推進にも役立てたい考えもある。
○他企業の若手技術者養成機関として活動
 地域の商工会議所との連携で人材育成事業に取り組んだ。人材育成に悩んでいる他企業の若手
技術者を受け入れて、ホーマーの命である金型技術を教えて、実際に単時間製造・高精度・低
コストへ対応できるようノウハウを提供している。人材育成を受けて、2 年間で利益が出た企
業がある。また、人材交流の場を提供することで、各企業間の連携が進み産業界の発展に貢献
するものである。
 今まで中小企業自身では取り組まなかった金型の自社設計・製造を行なうことによって、大幅
なコスト削減とリードタイム削減が可能になり、かつ、多品種少量生産・短納期という現在中
小企業が対応しなければならない課題に対応できるようになる。「素材半分・コスト半分」が
スローガンである。そして、何よりも、従業員自身で考え創意工夫する力がつく。
4.経営戦略や事業戦略
○大きな可能性を秘めた圧造技術と一貫生産体制に強み
 切削加工と比べて、高精度の金型による圧造加工品は、常温の素材を金型により絞り加工・据
込み(膨らまし)加工・穴あけ加工等で作製するため、コスト面・表面仕上がり面において優
れている。また、品質のバラつきもなく、圧造による加工硬化が製品の強度もアップする。ま
た、自社による設計から生産までの一貫生産体制構築も競争力の源泉になっている。
181
日本給食サービス
株式会社
■本社所在地:東京都千代田区東神田 2-10-9
■主 な 事 業 :病院・福祉施設・事業所等への給食業務
■設
立:昭和 56 年
■資 本 金:1,000 万円
■従 業 員:1,250 名(パートを含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○時代の流れを読んで病院・福祉向け給食サービスを開始
 創業 30 年を迎えるが、創業者(現社長)は銀行勤務を経て独立した。米国のビジネスの現場
を勉強したが、女性が社会に出て働く姿が印象的であった。家庭に入った主婦でも働く場所が
ある。やがて日本でも女性の社会進出が始まると感じた。そう考えると、家庭での食事の代替
として、フードサービスが重要になると考えた。
 銀行を退職後、知人のフードサービス業社長に依頼して入った会社を含めると 3 社で 12 年間
業界にて働いた。そして、数あるフードサービスの中で、「給食サービス」を選択した。それ
は、たとえ資本が無くても独立できる分野であるためである。そして、給食サービスの中でも
特徴を出すために病院給食に取り組むこととした。しかし、当時は厚生労働省による規制で企
業による参入は認められていなかった。その規制も 5 年後に緩和されたことでビジネスが可能
になった。現在、病院と福祉向けの給食サービスで売上全体の 94%を占めている。
 世の中のためになる仕事をした上に、雇用と納税が企業による最大の社会貢献であると考えて
いる。
○食事は人が作るからこそ人材育成が重要
 創業時に理念と経営方針を作った。食事というものはあくまで人が作るものである。それは人
の採用段階から人を吟味して、教育に力を入れる必要がある。入社のための倍率も高く、また、
パートを含めて 1,250 名の従業員規模である。
2.雇用や人づくり
○人材育成への取り組み
 本社ビルの中に研修室と調理室(調理技術の研修施設)がある。新卒は毎月一定の研修を行っ
ている。毎月第 2 土曜日は大学や病院から講師を呼んでの研修を行っており、例えば病態別の
食事について学ぶ機会を設けている。
 関東地域のパートも本社に呼んで教育を行っている。この中で、社長自らが経営方針や理念に
ついて 1 時間半かけて話す機会を設けている。このような教育はパートが 50~100 名規模の時
代から続けている。
 また、経営方針は朝礼によって唱和するほか、研修によっても浸透を図っている。また、階層
別社員教育も実施している。社長の主な業務としては、まさしく人材育成である。パートも単
に良さそうという印象のみでは採用しない。パートの採用も吟味する。
 他の競合他社との違いとして、教育と人材が違う。そして、それが仕事での独自性として、提
案型の給食サービスにつながっている。お客様のニーズをよくキャッチして、社内プロジェク
トチームで提案を検討する。また、給食サービスは基本的に利益をあげるのが難しい業界であ
る。しかし、それでも弊社は黒字を出して財務面も健全である。
○採用について
182
 新規採用はマイナビを活用している。また、障害者も食器洗浄などの仕事において活用してお
り、法定の基準である 2%以上の採用を実現している。
 内規でパートも 68 歳まで働ける。嘱託は 65 歳、正社員は 60 歳定年である。パートに関して
は 70 歳以上になっても働いている方もいらっしゃる。
○社長が自ら管理業務に力を入れる
 全体で 180 箇所の事業所があるが、決して間接業務の従業員は増やさない。経理も総務も 1.5
名である。平時からそれ以上の人員が必要というわけではなく、忙しい時期はお互いに手伝わ
せるようにしている。そうやって人員の最適化を図っている。また、経理部長は社長が兼務し
ている。役員会の資料も社長自らが作成している。各種財務のデータから社長自らが確認して
いる。すでに作られた資料からはなかなか原因などが読み取れない。このような社長としての
取り組みが収益の源泉になっている。また、各事業所の監査も社長自らがやっている。
○従業員への動機付け
 従業員に対して、不況下でもボーナスは前年度並みを維持している。
○課題として事業承継
 現在の課題として、事業承継の問題がある。現社長が退任した後を担う人材育成が急務である。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○商工会議所での活動
 外部とのネットワーク構築としては、東京商工会議所の千代田支部副会長、本部の委員会委員
も務めている。特に、事業承継関係においては、「中小企業における経営の承継の円滑化に関
する法律」には、大学の先輩にあたる政治家にレクチャーするなど、制定に際して協力してい
る。
○会合やセミナーへの参加が新商品開発のヒントになる
 社長自身の経営力向上のためには、経営者仲間との会合やセミナーに出席する。そこから新商
品のヒントを得る。新規提案の半数以上が社長自らの提案である。
○材料は仕入先から直接仕入れる
 仕入れは直接業者から仕入れている(一般的な給食会社は子会社からの仕入れが多い)。仕入
先は品質・コスト・サービス面から吟味して、優良な仕入先はしっかりと育成する。
4.経営戦略や事業戦略
○高齢化社会の進展は市場拡大と競争激化につながる
 これから高齢化社会は更に進展していく。その意味では、病院や福祉施設への給食サービス市
場はますます拡大していく。そのような中、新規参入も増えてくるだろう。差別化のためにも、
よりお客様のニーズを捉えた新商品開発が必要である。
183
株式会社
野上米穀
■本社所在地:新潟県長岡市千手 2-10-20
■主 な 事 業 :米穀小売
■代 表 者:代表取締役社長 野上 茂
■設
立:昭和 63 年(創業:昭和 26 年)
■資 本 金:1,000 万円
■従 業
員:11 名
1.経営者としての基本的な考え方
○自由化の波を受け、
「攻め」の姿勢が成長に繋がった
 新潟県長岡市は米どころである。現社長が入社したころはあくまで食糧管理法があり、米穀の
流通には厳しい縛りがあった。しかし、結果として平成 7 年の新食糧法によって流通の縛りが
消えた。規制が緩和されたことは、逆に産地の良いお米を全国の一般消費者や業務用に販売で
きるという発想があった。外にも目を向けるようになった。
 弊社には営業職が特別にいるわけではない。一般消費者向けの販路開拓はあくまで口コミであ
る。おいしいお米を食べていただいた方がリピーターになり、かつ、身近な方にも推奨してく
れる。そうやってお客様は広がっていった。また、玄米ではなく、あくまで精米して白米の状
態で各地域のお客様にお送りしたのがよかった。現在、全国で約3千件の個人顧客を持たせて
いただいている。いわゆる産地直販のさきがけ的な取り組みを行っていた。食料管理法時代の
割り当ては 350 俵であったものが、現在は5千俵にも増えている。自由化の波を受けて、守り
ではなく、あくまで「攻め」の姿勢でいったのが良かったと考える。
 一般消費者向けの販売は食糧管理法時代から少ないながらも宅配等で取り組んでいたが、業務
用に関しては平成 7 年以降に力を入れた。
 平成 13 年には、全国優良米穀店コンクールにて農林水産大臣賞も受賞している
2.雇用や人づくり
○従業員が「五ツ星お米マイスター」の認定
 弊社では、日米連(日本米穀小売商業組合連合会)
「五ツ星お米マイスター認定試験」の合格者
が 3 名いる。1 社当たりで 3 名の合格者は極めて珍しい。三ツ星マイスターは従業員のほぼ全
員が取得している。お米マイスターはお米に関する幅広い知識を持ち、米の特性(品種特性、
精米特性)、ブレンド特性、炊飯特性を見極めることができ、その米の特長を最大限に活かした
「商品づくり」を行い、その米の良さを消費者との対話を通じて伝えることができる者である。
品種や天候によって精米方法は異なる。単純に機械のスイッチを押せばできるわけではない。
 お米マイスターに関しては、上から取得を指示したというよりも、従業員自らが取得したいと
意思表明してきた。
○幹部への権限以上と事業承継
 かつては社長自らが従業員に対して直接手取り足取り指導していたが、現在は幹部である専務
がその役割を担うようになってきた。5 年前にも大阪の卸業者へ修行に出ていた息子が帰って
きた。事業承継のプランでは、まずは専務が次期社長として、その後に息子を社長とする予定
である。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
184
○米穀小売業の盛り上げ
 長岡市でもかつては米穀小売商の組合員が 100 店舗程度あったが、現在は 40 店舗程度に減少
している。米穀の小売を盛り上げようと、若い従業員はイベント等にも取り組みはじめた。
○農家とのつながり
 良いお米を仕入れるために、弊社は実際に農家の現場にいって、自分の目で確かめることを重
要視している。特に、生産指導(種~育苗~管理~収穫~乾燥調整~出庫)から、栽培、収穫・
製品化まで、流通ルートの安全性の確保に努めている。
○職場体験学習の実施
 弊社では地元中学校から職場体験も受け入れており、
4.経営戦略や事業戦略
○良質なお米の仕入れのために全農情報網の活用と農家からの直接仕入れを両輪にする
 戦略としては、たとえ原価が高くても良い米をお送りすることである。誰でもどこでもお米が
買えるため、
「おいしい」と感動させなければお客様は喜ばない。
 弊社は全農(全国農業協同組合連合会)系の業者である。全農を通じた情報収集によって、各
農協から高品質な米を選んで集めることができる。
 新潟県の全農は全国平均よりも高いが、その中でも農協と異なる仕入れも行っている。農協は
仮払金を渡して、後ほど清算する仕組みである。しかし、弊社は直接農家から現金で購入する。
そうすると品質がよいものを安価で購入できる。しかし、農家から見れば高価で買い取ってく
れる。弊社は農家を大切にするし、農家は弊社を信頼してくれる。取引農家の紹介で、新しい
取引農家も増えた。
○ホームページを通してオリジナル贈答パッケージ販売
 ホームページを通じて、お米の小売も手がけている。ホームページを通じての販売は女性社員
からのアイデアである。新潟果樹地のブランド米によるオリジナルの贈答用パッケージである。
各種お米のほかに、そばや米菓等も組み合わせたパッケージ商品であり、4年位前から開始し
たが。ホームページで扱う品目が増えることによって、同時に来店者数も増えていった。確実
に売上も上昇している。また、贈答用パッケージ商品は手間がかかるが、その分利益率もよい。
○自社で精米設備を持つ
 良い米を安価に仕入れるために、弊社にて精米を行うことができるように、本社に隣接した精
米設備をもっている。
 精米設備が本社に隣接しているが、市街地で精米していることに意味がある。街中で「手作り」
を見せて、道行く人々が「お米の香り」を直接感じてもらえることが大きなアピールになる。
○今後の方向性
 今後の方向性として、贈答用パッケージは少しずつ増やしながら、業務用をメインに増やして
いきたいと考えている。
185
八海醸造
株式会社
■本社所在地:新潟県南魚沼市長森 1051
■主 な 事 業 :清酒製造販売(関連会社で卸問屋・そば屋の経営)
■代 表 者:代表取締役社長 南雲 二郎
■設
立:大正 11 年
■従 業 員:89 名
■資 本 金:1,000 万円
1.経営者としての基本的な考え方
○先代とその仲間が今の会社の基礎を作った
 先代の父が会社を継いだとき、母も含め専務や製造・販売の責任者の合計 5 名の体制で実質的
な今の会社の基礎を作り上げた。前社長である父は、基礎を作った 5 名は従業員ではなく「仲
間」であるとしている。そのため、社長自身もその 5 名は等しく親であると認識している。自
分の考えは、先代である父親と大分議論することで整理されていった。父親の影響が最も大き
い。また、従業員ともよく議論する。
○企業の継続と存在価値の高まりの必要性
 今より高品質な商品を提供すると市場が生まれ、同時に供給責任も生まれる。そして供給を継
続するには、会社も継続しなければならない。継続のためには、存在価値がある企業になる必
要がある。一人ひとりが存在価値を高めれば会社の力も強まっていく。存在価値が高まり、お
客様の満足度を向上させるほど売上に繋がり、利益もあがる。同時に責任も重くなり、そのプ
レッシャーも感じなければならない。
○社長は製造面では方針を決めるのみ
 社長としての仕事の大部分は営業である。製造面での仕事は、酒造りの方針を明確化すること
である。そして、次に製造に必要な設備や環境、原材料を確保することである。製造現場との
信頼関係ゆえに、細かな手順を指示しない。これは父の代から同じである。
○基準としての大吟醸酒とその技術の全類酒製造への適用
 我々が目標とする酒とは、あくまで「食をおいしくする/食の場面を豊にする」酒である。そ
のため端麗な酒であるが、端麗の基準が各個人異なっていれば一致団結できない。そのために
大吟醸酒作りがあり、それを約1ヶ月寝る間も惜しんで作られる。原材料も含め、全ての力を
投入することで、我々の本筋が見えてくる。大吟醸酒を造ることで、我々の目標はこの酒であ
るということを全ての従業員に示すことができる。
 大吟醸を作る従業員が、弊社のその他レギュラー酒も造っている。絶対的な基準の酒を作るこ
とで、妥協を許さない思いと優れた加工技術がその他の酒造りにも活かされていく。
2.雇用や人づくり
○従業員との信頼作り
 従業員からの批判はあるべきである。腹を割って、お互いおかしいと思うところは互いに意見
を言い合えるようにしたい。そして、従業員に対して言うことは、一点の曇りも無い酒造りの
ため、絶対に間違ったことをやらないでくれということのみである。
 酒造りは様々な工程から成り立つ。そのため、同じ酒造りの仲間として、一致団結が重要にな
ってくる。弊社では、製造部は全員食堂に集合して昼食をとる。そこで生まれる組織としての
「かたまり」が他で真似できない部分と考えている。組織力や団結力があって初めて競争力を
持つ。また、異なる工程の従業員同士の何気ない会話から、互いの工程の課題やその解決方法
が見えてくる場合がある。
186
○基本は新卒採用
 製造部の一般従業員で中途採用はやらない。酒造りに関して、弊社の方向性を貫くため、考え
方の浸透も含めて育てていく。主に一般従業員は地元高校からの採用であるが、研究開発に携
わる人間は主に大学農学部関係から採用している。
 基本的に 60 歳定年である。しかし、希望があれば年間契約で 65 歳まで延長がある。もちろん
人によるが、その後も希望があれば何らかの形で関わってもらっている。
○日々の仕事を通した高いモティベーション
 技能試験で弊社の従業員の成績はよい。次世代の人づくりは進んでいると感じる。弊社で特別
な社内講習は無いが、日々の製造を通したモティベーションの高まりがある。就職から退職ま
で弊社に勤めるのならば、その仕事がつまらなくてはいけない。会社の仕事を通じて充実した
人生を作ろうと皆に語りかけている。それは私自身もそう考えている。
 年末には従業員一人ひとりに手紙を書いて、大吟醸酒とともに手渡すことをやっている。それ
を家族で読んでほしいといっている。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○仕入先との関係づくり
 仕入として一番大きいのはお米である。10 年くらい前から兵庫県の山田錦を仕入れている。
大手は仕入量が多くなると値引きを要求してくるが、我々は一切値引きをしない。そうすると
彼らとの人間関係が構築されて情報交換量が増えてくる。結果として彼らも弊社の経営理念を
理解してくれる。その結果、自然と良い原材料が来るようになる。
○地域への意識とブランド化推進
 酒類製造販売のみならず、関連事業としてそば屋がある。酒製造販売の本業を補助するためで、
単体で利益を追求するものではないが、自社の商品のよさを知ってもらう場所である。また、
地域の皆様を招くイベントは、この地域の方々への恩返しの意味がある。
 販売先は東京で 6 割を占める。しかし、量的な広がりのほかに「地元の方々への意識」への広
がりがある。一番大切なのは魚沼であり、その次に新潟県である。
 平成 15 年から機関紙「魚沼へ」を季刊で発行しており、地域内と日本各地のお得意先に配布
している。東京の編集者を使い、「外からみた魚沼」というスタイルをとっている。ブランド
化によって、ぜひ「『魚沼』の八海山」としてイメージしてもらいたい。地域のことを紹介す
ることで、地域内の物産が良いイメージで捉えられて、その中の一つに八海山がある形がブラ
ンドイメージとして望ましい。
4.経営戦略や事業戦略
○今後の経営方針
 成長なくして継続なしと考える。しかし、製造業として売上を追求すると、市場を広げるか価
格を下げるかになり、今までと異なる方針になる。多少減少しても、今の市場でやっていく。
しかし、卸問屋である㈱八海山も同じ考えでは、必ず衰退すると考える。販売会社は必ず新し
いことに取り組んでいかなければならない。販売会社のテーマはまさしく「魚沼」である。新
しい組織作り、新しい広告やPRも考える必要がある。しかし、新しいことに取り組むリスク
も必ずあり、その点は確かに不安であるが、八海醸造で培われたものと、一人ひとりの進化に
よってそれはクリアできると信じている。
187
株式会社
八百八町
■本社所在地:東京都大田区東矢口 1-17-12
■主 な 事 業 :飲食店
■代 表 者:代表取締役 CEO 石井 誠二
■設
立:昭和 63 年
■資 本 金:2 億 9,350 万円
■従
業
員:450 名(パート・アルバイト含む)
1.経営者としての基本的な考え方
○経営理念と地域密着型の経営
 創業者の基本として考えたことは、自分自身が一人の人間として、社会のなかでどうやって生
きていくかである。つまるところ、自分の競争相手は自分自身である。そして、自分の生存領
域を「店を起点として半径1km 圏内」と決めた。これは、地域密着型の経営として、地域の
生活者をお客様とすることを意味している。そして、お客様を「我が家にもてなす」というコ
ンセプトで店作りも行なった。
 創業後、現場で実際に仕事をしながら作った経営理念が「凡事徹底 10 か条」である。自分の
納得する言葉で、自分に言い聞かせる形で作っていった。その一番目にも、生存領域は半径 1km
圏内であることを明記している。現在、新に「新・凡事徹底 10 カ条」が定められたが、そこ
にも引き継がれている。
 月1回の会合では、参加者からランダムに指定して、凡事徹底 10 か条を暗唱してもらう。こ
こで即答できなければ最悪罰金もある。まずは頭に叩き込むことから徹底する。
 行動評価のためには、10 か条の「実行マニュアル」が別途ある。そして、マネージャーが店
を回りながら評価している。その他、朝礼時に皆で唱和する「職場の合言葉」、
「仲間の合言葉」
がある。うそはつかない、約束は守る、愚痴は言わない等、どういう人間になるべきかを合言
葉で浸透させている。
○飲食店経営のノウハウを多くの方々に展開
 外食チェーンのビジネスとは、自分の夢を実現したい人の「夢を買う」ことである。相手の持
っている「自分の店を持ちたい」夢と自分のノウハウをマッチングする事業である。八百八町
を創業する前も外食チェーンを展開しており、今まで培ってきたノウハウを広く展開しようと
して弊社の前身である㈱エス・アンド・ワイ石井を設立した。
○経営者の仕事としての「現場磨き」
 経営者として一番時間を割くことは「現場磨き」である。それは、店舗内をきれいにする、教
育で人を磨く、商品(メニュー)をよりよいものにすることである。
2.雇用や人づくり
○のれん分け制度による従業員の独立支援
 基本的に弊社に入る従業員の 90%以上は独立希望であり、それが大きな特徴である。従業員の
独立支援制度である「のれん分け」は、直営店(DC 店)の店長を勤めたのち、本人の意思を
確認後に店舗の営業を委託する(DFC 店)。さらに営業委託契約終了時である 5 年後には、FC
オーナーとしての権利を取得できる。他にも、外部へののれん分け制度として PFC(プレフラ
ンチャイズ)契約がある。加盟金 300 万円(及び研修費)を支払うことにより、一気にオーナ
ーになれる。そのため、独立開業に必要な店舗調達や内外改装にかかる先行投資が不要である。
DFC と同様に 5 年間の修業期間ののち、FC オーナーとしての権利を取得できる。FC オーナ
188
ー権を得た以降、本部へはロイヤリティ支払のみである。店は FC 及び基幹店舗以外の既存営
業店舗から指名することが可能で、存利益計上店舗の営業権の委託を受けるため、すでに顧
客・売上がついている。
 今現在、90 店舗中 50 以上は、のれん分けの店舗である。独立した従業員には「経営成功法則
10 か条」を手渡している。そこでも全て「凡事徹底」の考えが貫かれている。
○各々に異なる雇用契約と地元密着の従業員採用
 弊社の従業員は基本的に 1 年契約である。ただし、1 年間に 13 か月分の給与を支払う。地域
では主婦や会社をリタイアした人が結構いらっしゃる。そのような方々が主な従業員である。
また、勤務日は従業員それぞれによって異なる。すでに年金給付があるような人は週に 2~3
日というケースもある。ただし、1 日の稼働時間は 8 時間であり、それは共通である。基本的
に雇用契約は従業員一人ひとりによって異なる。店舗も一部はそのような雇用形態である。
○従業員教育への基本的な考え方
 仕事は人生そのものであり、「自分の人生は自分で作れ」という考えである。会社がするのは
そのためのバックアップである。自分で目標をもって一生懸命働けば、そのような人に「ファ
ン」すなわちお客様が集まってくる。
 本社事務所の地下が新入社員研修用の道場になっている。また、1年に3~4回、2泊3日の
研修をやっている。そのようなところで、理念の浸透や徹底も図っている。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○ビジネスパートナーとのよりよい関係づくり
 現在、市場経由よりも直接業者と取引する割合が多くなってきた。長い目でみて価格の変動に
左右されず安定的な仕入ができる。パートナーとの長期的な関係構築に一番大切なことは「約
束を守る」こと、他が低価格で商品を提案してきても直ぐには換えないことである。また、ビ
ジネスパートナー50 名程度に弊社の株式をもってもらっている。
 問題が生じたとき、最初から損得で考えない。自身の得のみでは必ず利害関係者が損を被り、
周りの人間が離れていく。あくまで最初は「正しいか正しくないか」で選択する。
4.経営戦略や事業戦略
○キッチン工房の役割
 店舗が 90 箇所以上あるため、材料の仕入から一次加工を手掛ける「キッチン工房」がある。
そこでは「商品管理八原則」を徹底している。また、新メニュー開発も手掛けており、毎月1
回の提案のもと、役員・店長が参加する試食会を行なう。
○創業時の戦略として女性をターゲット
 家庭において財布の紐を握るのは女性(主婦層)である。創業時にはそのような層に喜んでも
らう、お店を知ってもらうために来店時プレゼントなどをやっていた。
○利益重視の経営
 この 5 年程度で売上、営業・経常利益とも大きく伸びている。おおよそ売上高計上利益率も 3%
~4%後半を推移している。この段階になって上がってきたのは、まさしく継続のおかげであ
り、信頼ができあがってきたからだと考える。
189
株式会社
坂東太郎
■本社所在地:茨城県古河市高野 540-3
■主 な 事 業 :飲食店(ファミリーレストラン)
■代 表 者:代表取締役社長 青谷 洋冶
■設
立:昭和 61 年(創業:昭和 50 年)
■資 本 金:4,000 万円
■従 業
員:190 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○経営理念が成長の鍵であった
 経営理念にある「親孝行」は今から 35 年前の創業当時に作成した。自分が親孝行できなかっ
たという思いから来ているが、35 年前は当たり前のことでそれを理念にするには非難じみた
ものがあった。当初はもりそばの出前が中心であり、速さと安さが売りであった。しかし、従
業員の事故に直面して、当時売り上げの 7 割を占めていた出前を止めて、店舗での営業一本に
絞った。
 経営理念を従業員に伝えるのはなかなか難しい。創業時にはなかなか始業時間に従業員が出て
こないときなどは寮に迎えにいったものである。そうこうして、10 年間かけて根付いていっ
た。経営理念として親孝行を挙げているが、その実現のためには地域の親御さんが安心して自
分の息子・娘を預けられるような環境づくりである。
 バブル時には外食産業自体が伸びていた。そのため、例え理念を大切にしなくても上手くいっ
ていた企業も多いと思う。しかし、弊社が伸びたのはバブル崩壊後である。バブルがはじけて
周りが理念の大切さを共感していった。弊社に風が吹いたと感じた。
○経営計画を重視
 創業時に元手として 700 万円が必要であったが、金融機関を訪ねたところ融資には事業計画が
必要であると学んだ。そして 11 回目にして必要な資金を借りることができた。そのことから
経営計画を重視するようになった。「計画なくして実行なし」である。経営計画は全従業員が
一丸となって策定する。毎年新しいスローガンと全社の事業計画が発表され、それをもとに各
店舗の目標が計画される。当然ながら本部と各店舗の間ですり合わせが成され、合意ができれ
ば今度は目標達成のための行動計画が各店舗で立てられる。その過程で各店舗の店長は従業員
と十分に話し合い意見を反映させていく。
○経営者の役割
 経営者は時代の先を見なくてはいけない。そして、夢を語らなければならない。しかし、この
21 世紀は夢を語るだけではなく、異なるライフスタイルに合わせてその夢を具現化させるこ
とが重要である。それが今の時代のリーダーの役割であると思う。
2.雇用や人づくり
○人づくりがそのまま会社の成長
 人づくりには資金をかけている。本社の建物が研修センターを兼ねている。また、経営理念浸
透を目指した合宿はずっと続けている。従業員の成長はそのまま会社の成長とイコールである。
そのための環境づくりが大切である。
 外食産業であるが、社長の仕事としてあまり料理の話はしない。その前に一番は人づくりであ
る。人との接し方を共に学ぶ。正しい生き方を学ぶことが親孝行である。
190
 学校みたいな会社だと思っている。キャリアパスプランの中には、坂東太郎の常識・理念を理
解するための試験があり、役職へのステップや給与に影響する。キャリアパスプランの策定に
は外部の専門家と内部の幹部とで 1 年間かけた。徹底した現場主義でそばのゆで方も試験に入
る。なぜ、人づくりに力を入れているかというと、従業員は家族であり、彼らに恥をかかせた
くたくないという思いからである。
 基本的にフランチャイズをあまりやっていない。それだけ従業員を大切にしている。
 バブル時には従業員がかなり大勢辞める時期があった。店舗も売り上げ拡大もかなり大きな目
標を立ててしまい無理があったのだと思う。そこで、働く人が幸せではないから人が辞めると
いうことを悟らせていただいた。働く人が幸せならば人は辞めない。バブルの時代は経営者の
姿勢が問われていたと思う。そのとき、経営理念に「人間大好き」が加わった。決して、会社
の規模を追求するのではなく、一人ひとりの幸せを追求する。
○経営計画発表会が一大イベント
 坂東太郎の経営計画発表会は全体の従業員とパート、アルバイト全員が出席して一日がかりで
行われる一大イベントである。表彰制度は毎月やっているが、経営計画発表会のときに1年の
グランプリを表彰している。
○事業承継
 事業の寿命は 30 年という説がある。創業 31 年目に一度役職を解雇した。そして、改めて誰が
上にあるべきかを元役員 1 人 1 人に面接していった。そのとき、2 代目として社長の息子がよ
いとの意見で一致した。新しい体制になるため、番頭自ら、上が残ってはいけないと降りた。
現在、息子が幹部会議を仕切っている。数年で事業を承継する。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域で社長塾「坂東塾」開催
 地域の企業に経営理念が無く、それを作っていこうと 13 年前から地域の若手社長のために社
長塾「坂東塾」を開催。平成 22 年 10 月、卒塾式を行い終了。そのほか、地域貢献活動として、
昭和 52 年ごろから親子ふれあい委員会をやっている。
4.経営戦略や事業戦略
○外食産業で拡大
 現在、そば・うどん・寿司の和食ファミリーレストラン「ばんどう太郎」以外にも、かに中心
のファミリーダイニング、寿司和膳、比内地鶏専門店、焼肉についても展開中である。茨城・
栃木・埼玉・群馬・千葉に直営店 63 店、FC3 店の合計 66 店舗を展開中。
191
有限会社
美容室ムンク
(Munku Group)
■本社所在地:埼玉県狭山市富士見1-14-11 北野第二ビル
■主 な 事 業 :美容室(グループとしてはエステサロン、ブライダル、フォトスタジオ、介
護美容も手がける)
■代 表 者:代表取締役社長 村山 利憲
■設
立:昭和 51 年
■資 本 金:2,000 万円
■従 業 員:160 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○職人気質を打ち壊す取り組み
 この業界は基本的に職人気質が強く経営の感覚が薄い。現社長は2代目であるが、その職人気
質を壊したかった。まず、理念として一番にあるのは、会社は従業員皆さんの共有物である。
また、大きな会社はトップダウン型が伝統であるが多店舗を持つと個々の店舗の管理ができな
い。それを壊さなければと思った。
 現社長就任当初、3 カ年計画を立てた。1 年目はスクラップ、2 年目がビルド、3 年目がスタビ
ライズである。1 年目には、店舗を拡大して地域一番店になるために何が必要であるか、従業
員自らが考えてくださいと宣言した。なおかつ、お客様2万件に「値ごろ感」を聞くアンケー
トをとったところ、おおよそ当時の単価の 50%だった。それでは、この上に付加価値をつける
ために必要なことを皆で考えようと従業員に語りかけた。
2.雇用や人づくり
○自分の仕事への貢献が見える給与システムの構築と平等感・活気の熟成
 一般の美容室では通常料金・指名料があり、オーナー等は特別料金である。しかし、あくまで
評価はお客様側からでという考えを浸透させた。そのため、弊社の給料体系は性別・年齢・キ
ャリアは一切関係ない。結果として従業員間に平等感と協調性が生まれた。美容業界の特徴と
して、入社一年次がアシスタント全般をやるが、キャリアと指名数は必ずしも一致しない。そ
こで、給与をポイント制に変えた。お客様へのサービスをカットやシャンプー等の工程に分け、
合計 100%としてポイントをつけた。そうすると、指名が少ない美容師は一人で全工程を手が
ける他、逆に指名が多い美容師のシャンプー等を積極的に手伝うようになる。美容師の手が止
まらず、サロン内に活気が生まれた。
○従業員への教育
 美容師の職人気質は強く、外部との接点を持ちたがらない。そこで良い意味で職人気質の「鼻
をへし折る」必要がある。そのために、外部講師を招いた勉強会や他のサロン、化粧品メーカ
ー等とのコミュニケーションを図った。そうすると「この会社ではここまでやってくれるのか」
という意識が従業員に芽生えて、定着率も良くなり 95%になった。
 店長には必ず新聞を毎日読むことを推奨し、毎日日報をあげさせ、意思決定のために社内で稟
議書を採用した。この 3 ヵ年計画のうちに浸透させていった。また、本部長やエリアマネージ
ャー等の幹部を配置していって、直接の指示は幹部に降ろしていった。
 美容師は接客トーク・提案する力がなく、トリートメント等の店販商品を自身で売れない。そ
れを解決するために美容師の営業力強化に努めている。以前、社長はメーカーで臨時コーチを
務めていた経緯もあり、直接メーカーの営業がサロンを訪れて、業務をやっている中で実地販
売してもらう。それが一種のコーチングになる。
 弊社では 1 分 100 円の技術でサービスするよう指導している。すなわち、4,000 円には 40 分
192
の時間をかけるのが基準になる。それ以上はカットスピードが遅いことになる。
 指名料金は自分で設定可能である。そしてお客様に自分自身の価値を問い、需給バランスを体
感する。月 1 回の申請であり、そうすることで自分の弱点が見えてくる。
○海外有名ブランドとのネットワークによるモティベーション向上
 社長はフランスのブランド「フランクプロボー」の九州・沖縄のエリアオーナーでもある。そ
のため、社長はパリで開催されるブランド主催のヘアショーにも出場しており、弊社の従業員
にもチャンスがある。それらもモティベーション向上につながっている。
○従業員に美容師の先を意識させる
 業界では派遣や業務委託という形が増えているが、サービスも接客も統一感が無くなり、弊社
はそのような雇用形態は望まない。また、美容師の職業人生は短く、はさみを置く年齢は全国
平均で 38 歳である。その前の段階から自分の人生について考えさせる必要がある。今、弊社
で雇用している最高齢の方は 74 歳で着付け師であり、次のステップの一つである。弊社のグ
ループ企業がホテルでブライダルの仕事も手がけている。また、現在構想として美をキーワー
ドとした各サービスを提供する「ビューティーショップ」がある。美容師をリタイアした方が
今までの知識を活かして働いてもらう。
3.横のつながり・利害関係者の関係作り
○業界における横野つながりを構築
 美容業界は横のつながりが弱い。今度、修行先の会社と合弁会社を作る予定である。我々に共
感してくれるオーナーにも声をかけて、約 50 店舗を組合員として取りまとめる。そうすると、
材料のメーカーからの直接購買が可能になる。これで材料費のコストを抑えることができる。
また、研修・会計・広告等の各種インフラも提供していきたい。
 各地のオーナーからよく相談にくる。どこも悩みは同じで、トップダウンと職人気質に凝り固
まっているところをどうやって打破しようかとしている。
4.経営戦略や事業戦略
○情報の一元管理による業務効率化
 お客様のリピート率を増やすために、弊社では顧客情報の一元管理を行った。また、システム
を一元化することで、店舗ごとの入店状況も判る様になり、例えば、忙しい店舗に人手が余っ
ている店舗の美容師を応援に送ってお客様をお待たせしない。地域密着ゆえに可能なリアルタ
イム人員配置である。美容師にとっても手を止めない環境を作る。
○エリアの営業戦略の検討
 国勢調査のリーシングのデータを用いて、地域内の所得分布等を元に、エリア営業戦略を検討
している。エリアによって通用する広告戦略も異なる。新聞折込よりインターネットのモバイ
ルサイトの方が効果的な地域もある。お客様を確保するための方法は刻々と変わってきており、
分析が必要不可欠である。
○最終的なイメージは健康をテーマとした商社
 現在、グループとしてエステサロン、ブライダル、フォトスタジオ、介護美容等に事業を展開
している。将来的には美容室は一事業部として商社にしたいと考えている。最終的なキーワー
ドは「健康」になると思う。様々な年齢層の人が働ける会社にしたい。
193
株式会社
ホンダカーズ柏
■本社所在地:千葉県柏市旭町 1-14-6
■主 な 事 業 :自動車販売、自動車整備
■代 表 者:代表取締役社長 飯泉 勇次
■設
立:昭和 42 年
■資 本 金:4,000 万円
■従
業
員:65 名(アルバイトを含む)
1.経営者としての基本的な考え方
○継続のために変化への対応が必要
 当初は、現在の本社近くでバイク・自転車を扱っていたが、昭和 42 年にホンダの自動車ディ
ーラーになった。ディーラーになった当時の従業員数は 7~8 名であったが、今から 10 年くら
い前に現在の規模まで成長した。従業員数 65 名中、正社員数は 62 名である。店舗は本社を含
めて、柏と我孫子に合計 4 店舗ある。
 会社は継続していくことが大切である。そのため、時代の変化に対応する企業体質が必要にな
ってくる。社是は常にブラッシュアップして進化させている。
○経営方針としてお客様第一
 経営方針として、お客様第一であり、その次に従業員を大切にしている。社是や方針は社長に
就任したときに設定した。
2.雇用や人づくり
○従業員の自発性向上
 お客様のニーズは常に変化している。そのため、顧客満足度向上のためには、従業員の自発性
向上への取り組みが必要になってくる。また、経営者が自動車メーカーの要望を理解して、従
業員へ理解を浸透させていく。
○経営計画の実現のために PDCA サイクルをしっかりとまわす
 事業計画は管理者が組んで PDCA サイクルに落とし込んでいく。これは、営業・整備・事務
職ともに同様であり、計画の実行と成果のチェック、計画見直しのサイクルをまわす基本的な
ことをやっていく。
 研修は基本的には先輩が OJT を通じて実行していく。
 様々な取り組みが功を奏して、ホンダ主催 『 2007 年 4 月~2008 年 3 月 優秀拠点コンテス
ト 』でオートテラス柏が全国第 5 位を受賞、柏駅前店が千葉県第1位を受賞した。
○新規雇用について
 新規雇用は過去 5 年間で 13 名である。ただし、どちらかというと欠員補充での採用である。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○取引業者や地域でのネットワーク
 ビジネスパートナーとしては、ホンダや銀行以外に、タイヤの仕入先や板金業者がいる。その
ようなビジネスパートナーとしての取引先は 50 社に登る。そのようなビジネスパートナーの
ネットワークからは様々な情報を得ることができる。
 その他ネットワークとして、地域の経営者の集まり(ライオンズクラブや商工会議所)、自動
車ディーラーの業界団体である自販連(日本自動車販売協会連合会)
、ホンダ会などがある。
194
○環境保全への取り組み
 環境保全に力を入れている。1998 年より廃棄物処理法が施行されたが、この法律に基づき、
使用済み自動車を、都・県知事から認可を受けた収集運搬業者、処分業者に委託し、鉄クズ、
廃プラスチック、特定フロン、オイル、ラジエーター液、タイヤ等の分別、最終処分を実施し
ている。さらに、マニュフェストと呼ばれる帳票を用いて、収集運搬から最終処理までの工程
を管理し、営業所が立地する県に対し報告を行っている。また、整備等で発生する廃材、廃油
等も同様の処理、管理を行い、環境に配慮したディーラーを目指しており、「Honda グリーン
ディーラー」の認定を取得した。
 国土交通省関東陸運局長から「平成 20 年度・環境にやさしい自動車販売店・整備事業場」の
表彰を受けている(平成 17 年~平成 20 年に渡って連続で表彰)。
4.経営戦略や事業戦略
○地域のお客様がターゲット
 基本的にお客様はこの地域住民 50 万人がターゲットである。層としては一般サラリーマンが
7~8 割である。口コミや既存顧客の紹介が 6 割で、残りの 4 割はまったく新規のお客様であ
る。
 お客様への満足度調査は、ホンダが年間 2 回実施している。その調査結果が弊社にも知らされ
る。
○新車販売以外に収益の柱を構築する
 新車・中古車販売、整備、保険の業務のうち、基盤収益は自動車の整備である。台数が減少し
ている新車販売に頼らない収益構造構築を目指している。弊社の財務体質は極めて健全で 20
年間赤字なしである。
○お客様に安心して車に乗っていただくため、点検・車検が重要である
 自動車は国土交通省による車検制度が根幹にあると考える
 車検は新車 3 年間・それ以降は 2 年間である車検まで安全に乗っていただくため弊社では点検
を推奨している。6 ヶ月点検は無料・12 ヶ月点検は有料で行い 50%が実施している。
195
マツダ食品
株式会社
■本社所在地:静岡県浜松市東区笠井町 45
■主 な 事 業 :食品製造販売(惣菜)
■代 表 者:代表取締役社長 松田 和敏
■設
立:昭和 45 年
■資 本 金:1,200 万円
■従
業
員:45 名(パート含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○社長の仕事と利益重視の経営
 社長の仕事は、方針づくりと従業員に経済的な安定をもたらすことである。そのためには、再
投資できるだけの利益を確保することが大切である。先代(父親)の時代から、売上高ではな
く、利益重視の経営を行なっている。
 先代から直接話しを聞いたり、指導を受けたことは無いが、これまでの実績を振り返ると「商
売の道=人の道」であると教わった。それは、まさしく「義理」であり、人に誠実に接するこ
とである。あたり前のことができる会社でありたいと考えている。
2.雇用や人づくり
○工場における組織風土づくり
 弊社の工場の従業員には、実際に外に出て、販売店にて商品試食の担当を体験してもらうこと
をやっている。そうすると、自社商品に自信をもって帰ってくる。決して、製造担当も中に閉
じこもってはいけない。実際に消費者から直に「おいしい」と評価を受ければ、高いモティベ
ーションにつながる。
 地域経済の低迷と不況によって、受注量は減少気味である。そのようなときこそ、会社自体が
変わっていかなくてはいけないと考える。しかし、工場・加工を担当している従業員には、な
かなか社長が言いたいことが伝わらない。そこで、直接外に出て、消費者と触れ合うことで感
じてもらう。これが、人づくりや組織風土づくりにつながっている。
 工場の従業員のモティベーションが向上することによって、現場からも改善意見が出るように
なった。例えば、売上を上げるために商品のパッケージを変えようという意見が出た。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域資源活用によるブランド化、ネットワーク化
 地方では、バブル崩壊後、量販店がオーバーフロー気味である。量販店は価格戦略を軸足に展
開しているが、今後はどうなるかわからない。弊社でも今後の方針を模索している。そのよう
な中、この 4~5 年間は地域資源を活用した新商品開発に力を入れている。弊社はすでに創業
時から、地元の農家と契約栽培を行っていた。特に、しそについては 30 年来の長い付き合い
が地元にある。近年、農商工連携が注目を集めているが、すでにその動きを先取りした土台が
あったといえる。
 地域では農家や漁師の減少が問題となっている。そのような中。地域内の資源に目を向けると、
地元で加工できるものとして「浜名湖のり」に着目した。そこで、食品加工によって、使用し
易い食品素材化するという取り組みを開始した。これは、農林水産省 経済産業省の「地域資
源活用プログラム」に認定されており、漁業関係者を含めて地元の関係者をネットワーク化、
196
ブランド化を図っている。まさしく、地域の産品を使った新しい加工食品マーケットを作る取
り組みである。
 浜名湖のり養殖の歴史は古く、その歴史は文政 3 年に遡る。しかし、意外にも地域内で知られ
ているわけではなかった。販売方法も「生のり」として鮮魚売り場で売られるか、もしくは「板
のり」として佃煮業者に販売されるなど、かなり限定された販路でしか販売されていないこと
がその要因であると思われる。また、浜名湖はあさりの産地でもある。地元の生産者(農家、
漁師)からも、ブランド化によって、地域の産品 PR への期待も強まった。
 地域資源ブランド化の取り組み推進のために、2009 年 4 月「浜名湖のりブランド推進協議会」
を設立した。現社長はその設立発起人であり、代表幹事を務める。推進協議会では、ブランド
ロゴマークを使って浜名湖のりを使った商品のブランド推進を図っているほか、浜名湖のりを
使った料理・菓子コンテストの開催などイベントを実施し、「浜名湖のり」の認知度向上を図
っている。
 ネットワーク構築に際しては、地元の加工業者と危機感を共有できたのが大きい。地域でも食
品・産品は豊富にあり、多様化する消費者のニーズに応えることはまさしく中小企業の役割の
ひとつである。
 浜名湖のり以外にも、類似業者とグループ化して地域で取れた食材の地産池消のため、消費者
モニター会をやったことがあるが、お客様の視点から、地域で取れた食材の価値を伝えるのは
難しい。むしろコスト的に安価であることが先行的に期待されてしまう。加工を通して付加価
値を上げることが重要になる。
○商工会議所を通して経営力向上
 社長としての自己研鑽には、商工会議所での活動が非常に役立った。社長は浜松商工会議所青
年部の平成 22 年度会長も務める。
4.経営戦略や事業戦略
○販売促進のためのターゲッティングと課題
 弊社の商品はしそ巻や佃煮である。今後、高齢者層が増えていくにあたって、大きなチャンス
があると考えている。確実に市場はあると認識している。現在、ネット販売に向けての準備に
取り組んでいるが、弊社の商品のターゲットとなりえる高齢者層にどのように情報を届けるか
が今後の課題である。
197
株式会社
未來舎(創造未來学院)
■本社所在地:東京都青梅市新町 7-5-4
■主 な 事 業 :学習塾、教材開発販売
■代 表 者:代表取締役社長 千葉 さち子
■設
立:平成 8 年
■資 本 金:6,900 万円
■従 業
員:68 名(非正規 40 名含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○人づくりを中心とした全人教育を目指す
 弊社は人づくりを中心とした学習塾である。知識や技術に偏ることなく、知-情-意の3つの
要素が完全に調和した全人教育を目指している。国際化・情報化・個性化時代に向け、21 世
紀を担う子供たちに、知識を知恵に変えることができる教育を提供する。
 現在の目標は学校法人の設立である。社長は欧米の個性を伸ばす教育現場を学び、我が国にお
ける公立学校の教育の限界を感じた。
○個性を伸ばす仕組みとオーダーメイドカリュラム
 よく教育で個性を伸ばすというが、弊社では、個性・可能性発見診断シートを開発した。その
シートによる診断によって、子どもが将来どの方向に向いているかが判明する。
 入会時に実施する「総合学力診断テスト」によって、現在の学力レベルを正確に把握して、無
理・無駄のない指導につなげる。そして、実際の授業は各個人に合わせたオーダーメイドカリ
キュラムであり、個人別学習カルテ・総合学力診断分析表を作成している。この部分をシステ
ム化しているのが特徴の一つである。そして、1 クラスあたり 8 名以下の個別指導である。
2.雇用や人づくり
○教える先生は専属の正社員(講師)
 塾で教える先生も、基本的に教員免許を取得している専属の正社員(講師)である。決して学
生アルバイトではない。入社時に徹底して理念教育も実施している。
○経営理念に共感して専門的な人材が集まる
 弊社には SE や CG などの専門的な人材も採用している。特に、弊社には理念に共感して入社
希望者がやってくる。例えば、元大学教授や大手企業 OB の中途採用者がいる。倍率は高く、
1 名の募集に 50 名希望者が来ることもある。
 従業員向けの研修を如何に制度化していくかが現在の課題である。事業も拡大傾向であり、今
後は中間管理職教育に力を入れたい。
○フランチャイズは理念共有のためオーナー研修を徹底
 学習塾のフランチャイズも手掛けているが、社長の理念を浸透させるのが難しいと感じている。
質の低下を防ぐためにオーナー研修を徹底している。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域に愛される塾を目指す
 弊社は、地域に愛される塾になることを目指している。そのため、地域貢献活動も積極的に取
り組んでいる。例えば、土日には町内会に教室等の場所を提供する、学園祭である未來祭の開
催等がある。その他、従業員による夜間の地域内見廻りもやっている。
○地域活性化事業「ビズ・キッズ(子ども商店街)」
198
 弊社の新しい事業として、地域活性化事業「ビズ・キッズ(子ども商店街)」がある。これは、
子供の頃からの経済・経営教育、キァリア教育である。自治体や商工会議所、教育委員会、商
店街と連携を図り、子どもたちに自治体の特産物・名産物、文化、歴史、自然、観光地などを
紹介・PR、ブランド化、販売を体験させる。特徴として、実際にお店(会社)を創業し、本
物のお金を使って商品の流通、販売、収支計算までの製造、仕入れなど一連の流れを経験させ
る。ビズ・キッズを通して、子どもたちにお金・仕事の尊さ、キャリア教育に関心を持たせ、
将来に夢を与える。また、子どもたちは地域の商店街や名産物を再確認の機会になる。これは
ひいては後継者育成につながる。
 地域の各団体(商店街や教育委員会、各種振興会など)は縦割りでバラバラである傾向が強い。
それがビズ・キッズによって一体化する。また、商店街のメンバーも子どもたちが努力してい
る姿を見て触発され、自ら積極的に動きはじめる姿も見られる。
○地域や経営者ネットワークへの参加
 弊社は TAMA 産業活性化協会(一般社団法人 首都圏西部地域産業活性化協議会)のメンバー
として活動しているほか、社長は一般社団法人 経営革新協会の副会長も務める。
4.経営戦略や事業戦略
○教育ソフト開発事業
 学習塾経営のほかに、みらい教育研究所㈱を設立して、そこで教材開発を行なっている。特に
総合学習対応の教育用ソフト CD-ROM&書籍の形で販売している。その中には、ビズ・キッ
ズ(子供商店街)のように、子どもの頃からの経済・経営教育、キャリア教育を目的とした「Kid's
お金の学校ワンダーランド」がある。ビズ・キッズとともに、「教育ソフト開発実践・販売・
事業支援体制の構築」で平成 22 年に創設された東京都経営革新優秀賞にて最優秀賞を受賞し
ている。
 教育ソフトは産学連携で開発しているのも特徴である。今まで、お金の学校ワンダーランドは
りそな総合研究所、食ワンダーランドは東京工科大学と東京家政学院大学との産学連携で開発
した。また、環境教育ソフトを東京工科大学等と連携して開発中である。
 現在、事業としては教育ソフト開発事業分野を拡大中である。ソフトの第一弾の開発には、4
年間の年月がかかった。今は 1 年に 1 本のペースで販売している。ソフトの開発には、実際に
塾での教育現場でテスト活用してその成果を反映している。塾経営と一体であることが差別化
につながっている。
 教育ソフトの他に、Web 合成音声配信事業「おしゃべりっち」を手掛けている。外部で知り合
った福祉関連企業のニーズが開発の始まりであったが、マルチ言語対応(5ヶ国語)によって、
行政、学校、銀行、福祉、一般企業の他、中国語のホームページの読み上げが可能であること
から、中国進出等を計画する企業が中国企業の事前調査に使えるとの評価を得ている。
○福祉事業への進出
 7 年前から福祉事業にも進出している。介護老人福祉施設、介護老人保健施設の経営の他に、
在宅介護支援サービス事業の経営も手掛ける。例えば、福祉施設の中に保育園・塾があるよう
な、子どもたちと高齢者が共存できる環境づくりを目指したい。
199
株式会社
武蔵境自動車教習所
■本社所在地:東京都武蔵野市境 2-6-43 ■主 な 事 業 :自動車教習所業務
■代 表 者:代表取締役社長 髙橋 明希
■設
立:昭和 35 年
■資 本 金:1,100 万円
■従 業 員:114 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○「共尊共栄」が経営の核
 三代目として先代(会長)が会社を承継した頃、社内では労使抗争が勃発していた。そのよう
な中で、経営理念として「共尊共栄」を掲げた。そこには、顧客・従業員・経営者がお互いを
認め、経営のパートナーとして共に豊になろうという意味がある。また、仕事を通じて仕事を
いただき、他人の人生をつくる気概も持ち合わせている。経営理念の浸透には朝礼にて手をつ
ないで唱和するほか、面談や ES アンケートも実施している。
 現社長は 2009 年に就任したばかりであるが、次の社内の幹部を育成中である。特に事業承継
や幹部になるには経営理念の理解・共有が重要である。そのため、理念教育の場として私的な
塾「高橋塾」が開かれている。
○ビジョンと重点方針の明確化
 ビジョンとして、
「東京 NO.1 の自動車教習所」を掲げ、重点方針として第一は「社員満足を高
める」、第二に「顧客満足の徹底」、第三に「地域社会貢献」としている。特に地域社会貢献は、
“地域に育てていただき、また地域の方々のご支援があって会社が運営されている”という気持
ちからである。
2.雇用や人づくり
○自己研鑽も含めて、人づくりと組織風土作りに力を入れる
 経営者として1日の約半分の時間は人づくりと組織風土づくりに時間を割いている。今後はよ
り内容を重視して、社内での見方・考え方・伝え方に力を入れていきたい。
 自己研鑽には、外部セミナー・研修等はよく利用している。毎月、平均5日間は外部の研修を
受けている。そのとき研修には一人では参加せず、必ず幹部を連れていく。研修には他企業の
社長も参加しているので、幹部にとっては社長・経営者の考え方を知る・学ぶよい機会であり、
帰社後も研修内容を自分達の勉強に役立てることができる。
 研修費には年間トータルで 2 千万円程度費やしている。例え経営が厳しい状態でも教育・研修
への投資を継続することが大切であり、必ず効果に現れることを実感している。
 組織風土として、社長は幹部/従業員が育つための「場」を作るのが大切である。幹部とは共
に昼食をとることで彼らの意見を引き出し、成長を促す取り組みを心がけている。
 個人の自立を促すことが大切である。昔はトップダウンで良かったが、顧客の価値観が多様化
した現代には、幹部/従業員による現場対応力が重要である。最近は従業員の自己評価票を導
入してそれに基づいて面談を行い、将来のビジョン形成を促している。
○従業員とのつながりを重視
 従業員が将来的に弊社を退職して独立・転職しても、「武蔵境自動車教習所で働けてよかった」
と思い返してもらえる会社になりたい。実際にイベント等には弊社を退職した元従業員が顔を
出してくれる。そのように「つながり」がある会社でいたい。
 今年は大卒を 14 名採用している。そのような中、弊社では新入社員向けに父兄参観日を設け
200
ている。父兄は自分の息子・娘が入社する会社はどのようなところか興味がある。父兄にも御
社のことを知ってもらうチャンスであり、評価も上々である。また、社内のイベントには、従
業員の家族を呼ぶ取り組みを行なっている。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域でのイベント/地域でのつながりを重視
 自社イベントを開催するほか、従業員が地域のイベントに参加している。地域貢献活動を推進
するために従業員の参加・取り組みを評価する他、社内教育での理解の徹底、従業員の意見の
取り込みを行っている。また、貢献活動にも企業が積極的に支出している。
 地域の方々をイベントに招待したりして、地域の人々の理解を得るまで 20 年近くの時間を費
やしてきた。また、チャリティーイベントで生じた売上は蔵野市民社会福祉協議会・全国盲導
犬協会に寄付している。
○経営理念に基づいて地域活性化への取り組み
 先代(会長)は、武蔵野消防署の防火防災協会の会長、武蔵野警察懇話会の副会長等を務めて
いるほか、地域活性化を目指して「武蔵境活性化委員会」を発足させている。委員会には地元
商店会・地元住民の方だけでなく学生をはじめとした大学組織、病院、銀行、生産農家等も参
加している。館内にも地域商店街のパンフレットを置かしてもらっている。この地域に人が集
まるようになれば、結果的に弊社にも人が集まる。まさしく、
「共尊共栄」の考えにもとづいた
ものである。
4.経営戦略や事業戦略
○一生の思い出になる自動車教習所を目指す
 社長として、これから「会社の基盤」を作りたいと考えている。そのためには、まさしく今や
っていることを徹底していく。エリア No.1 を 13 年連続更新中である。そして、2015 年には
「1生の思い出になる教習所 No.1」及び卒業生数 3 万人を目指している。多くのケースにとっ
て、自動車教習所は免許取得時のときのみ関係する場所であるが、弊社は、教習所は免許を取
るだけの場所ではないと考えている。一生使う運転免許だからこそ、取得までの過程から卒業
後のフォローまで真剣に考えている。
○顧客満足度向上の取り組み
 駅から徒歩5分という立地に加え、平日夜 21 時まで教習で夜間料金なし、定休日なしで土日
のみで卒業も可能。無料託児所・キッズルーム完備など、通いやすさ向上の他、教習の空き時
間を有効活用できるように、マッサージやネイルケア、英会話教室やネイル教室なども開催し
ている。教習所の館内もカフェのようなイメージのつくりをしている。また、女性インストラ
クターが 21 名(約 1/3)であることも特徴である。
 お客様は基本的に口コミで広がっている。特に「卒業生友の会」があり、卒業時に期限のない
2 時限乗車券(お一人様一回)の配布、車の貸し出しや、学科の再受講、安全運転講習会の開
催している。
○外部経営資源として大学との連携活動
 大学のビジネススクールや経営学部、近隣大学との産学連携とも連携しており、新商品・サー
ビス開発や事業計画策定にアドバイスをいただいて参考にしている。
201
株式会社
野菜くらぶ
■本社所在地:群馬県利根郡昭和村赤城原 844-15
■主 な 事 業 :農産物販売、産地開発、農業技術の開発など
■代 表 者:代表取締役社長 澤浦 彰治
■設
立:平成 7 年(創業:平成 4 年)
■資 本 金:3,920 万円
■従 業 員:33 名(パート 25 名含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○経営理念は日々の行動指針に落とし込む必要がある
 経営理念は常にブラッシュアップを続けている。なによりも、経営理念は会社の方針であり、
従業員に判りやすく噛み砕いて伝えて、日々の行動指針に落とし込まなければならない。
 経営理念の大切さは、社員教育コンサルティング会社のセミナーに出席して学んだ。そして、
地域の経営者仲間に中小企業家同友会を紹介されたことで実際に経営理念づくりを学ぶとと
もに、理念実現するための経営計画書づくりを行った。丁度、経営のための勉強の場を求めて
いた時期である。なお、経営計画書は毎年社長自身と幹部社員が中心になって作成している。
○企画・生産・加工・販売が一体となった企業
 弊社のビジネスはまさしく、消費者と生産者を独自ルートで結ぶものである。別途、農業生産
法人グリンリーフと連携しており、そこでは農産物の有機栽培と加工をやっている。生産から
加工、販売まで一貫した体制である。グリンリーフは群馬県が生産量一位であるこんにゃく芋
を使ったこんにゃくや白菜の漬物等の加工食品を生産している。特に、有機こんにゃくのパイ
オニアであり、比較的高めの価格帯で販売している。また、野菜くらぶの社長はグリンリーフ
の社長でもある。
 野菜くらぶ自体は商社的な機能を持つ企業である。そこで、グリンリーフと連携して企画と生
産部門一体方の考え方で経営を行っている。もし商社のみに特化した考え方で経営を行なうと、
どうしても生産者にしわ寄せがいく恐れがある。
○農業の組織化・企業化への取り組みと創意工夫
 農業は生産し、その物がお客様の口に入るところまでが農業の仕事であると考えている。その
ため、体系的に整った組織化と企業化が必要である。とはいえ、自分の創意工夫で出来るとこ
ろに農業の面白みがあり、農業ならではの生活スタイルも大切にしたい。
2.雇用や人づくり
○従業員自らの手による品質管理への取り組み
 弊社では、QC(品質管理)は、まず販売担当の従業員が始めている。その仕組みづくりに社
長自身は関与していない。完全に従業員の手によるものである。常の改善は必要であり、QPMS
(品質生産管理方式)に基づいて活動を行っている。また、このような取り組みは最初から全
部署でやろうとすると難しい。一部門から開始して、その仕組みがよいと思われれば広がって
いく。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○農家の野菜を採算価格で売るのが一番のテーマ
 どうやったら農家の野菜が採算に値する価格で売れるのかが一番のテーマであった。そこで、
202
安定供給の仕組みを作ることで、農家にとって安定した価格で売ることができると考えた。通
常、野菜は農協を通す。しかし、野菜くらぶは、直接取引先と年間契約を結ぶ。やさいの作付
け前に数量と価格を決めて契約をする。
 生産者への理念浸透として、QPMS の手法を学ぶため、生産者を集めた会議を年に数回実施し
ている。
4.経営戦略や事業戦略
○適地適作のよる安定供給
 野菜くらぶの法人顧客として、生協のほかにファーストフードチェーン店やスーパーマーケッ
ト、居酒屋チェーン店等がある。ちなみに、野菜くらぶの取引先は約 100 社、グリンリーフの
取引先は約 240 社である。
 長年夏場でも冷涼である地元にてレタスを作っていた。野菜というのは安定供給が難しいのが
特徴である。以前、ファーストフードチェーン店の担当者から指摘を受け、野菜の生産者は努
力している一方で、野菜くらぶとして野菜の安定供給に努める必要性を感じ取った。そのため、
群馬以外に夏場の敵地を探すことで、レタスの安定供給を図った。季節による適地適作に取り
組んだ。
 レタス栽培に最適な土地として青森に辿りついたが、群馬の地元の生産者は土地を持っている
ため、そこを離れるわけにはいかなかった。そこで、新規就農者を募集して、野菜くらぶにて
野菜の栽培方法を学んでもらって、その人たちに栽培してもらおうと考えたのが独立支援プロ
グラムの始まりである。
○新規就農者の独立支援プログラム
 就農フェアやホームページ等にて希望者を募っている。今まで 10 名の研修生を受け入れ、6
名を独立させている。例えば、独立 6 年目の就農者は 3 千万円の売上をあげている。独立する
ときは、会社を設立してもらうが、そのための資金は、独立する人 50%、野菜くらぶ側 50%
である。また、販売先は、野菜くらぶが確保するほか、独立後、野菜くらぶが販売面、経営面、
人事面、技術面で、全面的にバックアップする。なお、契約書をかわし、お互いの責任を明確
にしている。
 今まで農業系の大学では、あくまで栽培技術の基礎を教えることがメインであった。そこには
経営者を育てるという視点が欠如していた。そのため、野菜くらぶでは栽培技術のみならず、
経営者として独立できるよう指導している。
 10 年後の目標として、野菜くらぶの事業のバランスを考えると、新規就農者を育てていくに
は、売上で 30 億円~50 億円が必要である。現在、40 品目を扱っているが、もっと増やしたい
と考えている。現在、契約する生産者は 58 名(農業生産法人を含む)であるが、その倍にな
ると思う。
○ファーストフードチェーン店との連携
 取引先であるファーストフードチェーン店は野菜の安定供給先を求めている。現在、ビジネス
パートナーとして、トマト専門の農業生産法人を立ち上げている。
203
株式会社
山香煎餅本舗
■本社所在地:埼玉県草加市金明町 481
■主 な 事 業 :菓子製造販売(草加煎餅と和菓子)
■代 表 者:代表取締役会長 河野 武彦、代表取締役社長 河野 文寿
(インタビュー先は代表取締役会長 河野 武彦)
■設
立:昭和 48 年(創業:昭和 46 年)
■資 本 金:1,000 万円
■従 業 員:60 名(非正規を含む)
1.経営者としての基本的な考え方
○社長が考えをしっかりと持ち、従業員との価値共有が大切
 40 年前に事業を開始したが、続けている中で、価値の共有の大切さを感じるようになった。
商売は地域の方々に支えられて成立するものであり、消えゆく店は、結局、地域に必要がない
と思われた結果である。社会的に必要だと思われないと、商売は出来ない。
 商売をする者にとって大切なのは「商品、人、考え方」であり、「考え方」が一番の基礎とな
るものだと思った。また、経営目的の「仕事を通じて社会貢献できる人づくり」は、他の方の
お話から引用させてもらったが、この言葉は正しかったと思っている。
 売上向上のため大手コンサルティング会社を活用した時期もあるが、売上向上は一過性でしか
なかった。社長が考えをしっかり持ったうえでやらなければならないと感じた。
 従業員に言うだけでは、伝わらない。トップが行動して背中を見せることが全てである。
○価値共有化の効果
 人間力向上の取り組みやイベントの開催は全てが従業員との価値共有につながっている。価値
共有には時間がかかり、10 年ほど要した。従業員と価値共有化ができると従業員が自主的に
動くようになり、経営も楽になる。不平・不満も無くなり、従業員も辞めなくなった。また、
工場が稼動しない週末も製造部門の人間が自主的に、手焼き体験の人達にボランティアで教え
る動きも出てきた。
2.雇用や人づくり
○社員に舞台を用意することで動機付けになる
 工場は通常、お客様から直接見えることはなく、工場担当がお客様と接することもない。しか
し、製造担当も会社の一員である。そこで、工場の一部がお客様から見える構造としたところ、
従業員の動機付けと技術向上につながった。
○価値共有の具体的取り組み
 入社時の面接では、エコグラムを実施しており、面接者のその時の心の位置も分かり、相手を
理解しながら進めていけるので楽である。また、従業員やパートも含め、徹底していることは
「人のことを言わない。人のことを言うときは、
『良い事だけ』を言うようにする。」ことであ
る。それによって、前向きに捉えられるようになる。そのための方法として、「いいとこみっ
け」カードを作った。これは、人の良いところを見つけ、カードに記入し、相手に渡すもので
ある。現社長の代となり「心のこもるありがとうカード」に代わった。仕組みとしては同じで
あるが、カードは複写式であり、「ありがとう」とお礼を言えた人(カードを沢山書いた人)
と言われた人、両方を表彰している。
 事業所は 4 箇所あり、月曜日の 7 時から道路の掃除をしている。これは、「自分の心を掃き清
めさせていただくために、道路をお借りしている」という視点でやっている。
204
 各部署では「人間力」を養う「心の勉強」として、月に 1 回、自由参加で勉強会を開催してい
る。従業員が自主的に全員参加してくれている。この会では、毎回テーマを決めて、グループ
ディスカッションを行ない、必ず全員が発言するようにしている。
 「自分で考えて自分で行動させる」ことを徹底している。例えば、第二工場では油を使うので
汚れやすいが、担当者がスリッパの使用を取り止めることを決めた。その結果、工場が綺麗に
保たれるようになった。
 10 年ほど前から、会社全体、部署別、幹部用、といったメーリングリスト(ML)を作ってい
る。従業員全員が 1 日の出来事を全部 ML に投稿するため、皆で同時に情報を共有することが
できる。誕生日情報なども共有していて、結束力がより強まった。
○雇用について
 従業員は地元からの採用が多い。パートの人の中には、学生時代のアルバイトが結婚して地元
を離れたが、配偶者の都合でこの地域に戻ってきたとき、「アルバイトをしていた時にとても
楽しくて、もう一度、ここで働きたいと思った」と応募してきてくれた。
 現在、雇用している障害者の方は職場体験に来た人である。体験が終了して、施設に戻った時
に職員の方に弊社で働きたい旨を相談され、施設職員の方からお話をいただいた。その時、工
場の従業員が皆でその方が出来る仕事を考えてくれて採用につながった。最初の頃は話をする
ことも少なかったが、今は朝礼等を通してコミュニケーションが次第に取れるようになってき
た。こういったことも日々の積み重ねだと感じている。
○事業承継・後継者について
 現社長は会長の子息になるが、25 歳くらいの時に、「後を継ぐ」と言われた。その時に、「社
員を守る、取引先を守る、お客様を守る」という 3 つの条件を出したが、条件をのむとの意思
表明を受けて後を継ぐ事を許した。ご子息が 27 歳の時に 35 歳で経営を交代することを決め、
その時点でご子息にも倫理法人会に加入させ、考え方などを学ばせた。また、会長の知人の会
社で経営について叩き込んでもらった。これは後継者として決まった時点で、明確に宣言して
いる。会社の将来を任せることを明確にしなければ結果的には不安も招き、従業員も取引先も
守ることはできない。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域との触れ合い
 手焼き体験ができる施設を作っている。地域の方に地元の文化に触れて欲しいと思い、小学校
1クラス分程度の 36 名が一斉に対応できる設計になっている。
 自社が地域の人にとっての文化発信の基地になればと考えている。3 年半ほど前から、店舗を
活用した各種イベントを開催している。例えば、プロを呼んでの各種コンサート開催、お琴の
体験などである。また、お店の庭も子供が自由に遊べる場として解放している。母親が子供を
連れて集まり、地域の繋がりができればと思っている。
○経営者仲間のネットワーク
 会長は今年の 8 月から埼玉県倫理法人会の会長職を務めている。
「明朗愛和」の精神で、
「明る
く接せよ」の考えの下に活動している。良いことの習慣化は出会い、環境、人生を変える。倫
理法人会加入各社も、人を大切にする企業であり、そのような企業とのネットワークが構築さ
れ、その信頼の下にまた人脈や仕事ができるようになった。
205
株式会社
ヤマグチ(でんかのヤマグチ)
■本社所在地:東京都町田市木曽東4-19-18
■主 な 事 業 :家電販売
■代 表 者:代表取締役 山口 勉
■設 立:昭和 40 年
■資 本 金:1,000 万円
■従業員:52 名(パート・アルバイト 12 名含む)
1.経営者としての基本的な考え方/社長としての一番の仕事
○地域での「御用聞きサービス」の徹底
 弊社では商品のアフターケアのみならず、昔で言うところのご近所付き合い、「ちょっとした
困りごと」に応える御用聞きサービスを徹底している。ちょっとしたお使いや戸締り、洗濯物
の取り込み、留守番等も頼まれればやっている。そのようにあまり手間がかからない無料の御
用聞きがヤマグチの「裏サービス」である。
 最初のスタート時は今のような店舗は無く、車に修理道具を積んで地域内で修理が必要なもの
はないか回っていった。そのときの思いが今も生きている。
 非効率に見えるが、効率性を上げようとはあまり考えていない。効率が悪かろうが、お客様が
予想する以上のことをやらせていただく。「こんなことまでやってくれるのか」と感じてもら
えればそれでよい。こういうものは中途半端ではいけない。我々の社会貢献はまさしく「お客
様のお困りごと」に応えていくことそのものである。
○地域のお客様との更なる関係強化
 社長の仕事として一番大きなものは、お礼状書きと土日は必ずお店に居てお客様と接すること
である。特に、毎日絶対実施しているのは「お礼状書き」であり、社長として最も時間を割い
ている。伝票を一枚一枚確認して、1万円以上お買い上げいただいたお客様にはお礼状を出し
ている。これは、
「お客様と営業社員」にプラスして、
「お客様と会社」との間でもう一本ベル
トをかけることによって、その関係を更に強いものにする。
 お礼状のほかに、お客様との関係を強化するために、弊社では毎週土日にイベントやっている。
それを 32 年間続けてきた。イベントのために、毎週土日に 1,500~2,500 通くらいの案内状を
送付している。
 営業担当が努力しているから「お客様との関係/絆の強化」のために会社は何もやらなくてよ
いわけではない。属人的になりがちな部分を強化する取り組みである。
2.雇用や人づくり
○地元採用への意識
 採用については地元採用を大いに意識している。特に営業はお客様とのコミュニケーションが
円滑になる。他所の会社を定年になって辞めた方を高齢者雇用するケースもある。
○年功序列を基本としたバランスのとれた人事
 今までは年功序列でやってきたが、最近優秀な方が入ってきている。今後はバランスをもった
人事も必要になってくる。すでに現場では抜擢人事をやっており、上手くいっている。現場は
現場の責任者に任せるのが上手くいく。
○御用聞きサービスへの思いを社員に浸透
 御用聞きサービスへの「思い」は社員に頻繁に話して聞かせている。月曜日には責任者会議、
金曜日は全員集めて合同朝礼、土日には営業ミーティングがある。それを一年中繰り返してい
る。
206
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
 下請や協力会社(家電やアンテナ設置、リフォームの工事・施工の会社等)は馴染みの会社と
数十年来の長い付き合いがある。下請や協力会社に対しては可能な限り支払を早めようしてい
る。
4.経営戦略や事業戦略
○顧客絞込みによる戦略転換/大手との差別化
 14 年前に地域に大手量販店が進出してきたとき、戦略を大幅に転換した。顧客を徹底して絞
った。決して商圏は広めず、新聞等への折込チラシもやらない
 地域で経営するにあたり、家電量販店は競争相手と考えていない。まったく土俵が違う。量販
店の動きをあまり気にせずに、我々がやるべきことをやるのみである。よく量販店の価格に近
づけようとする営業をするところがあるが、我々はまったく別であり、独自の家電を「ヤマグ
チ価格で売る」という意識である。粗利益は 15 年くらい前 25-26%であったが、今は 40%
近くになっている。
 このような御用聞きの裏サービスは大手の家電量販店ではなく、まさしく「地域の家電屋」だ
からやることである。そのついでに家電を買ってもらっているという意識でいる。お客様から
「何か困ったことがあったらヤマグチへ」と頼まれるようになるまで徹底した。確かに家電の
性能や機能を憶えることも大切であるが、それ以上に地域のお客様がどのような事で困ってい
るのか、吸い上げていくことを最優先にしている。
 地域内でもお年寄りが増えてきている。お年寄りにとっては、電気製品の使い方も含めて、
「ち
ょっとした困りごと」は毎日のようにある。自分の子どもは離れたところに住んでいるので、
なかなか日常的なところまでは面倒が見られない。ヤマグチに電話をもらえれば文字通りお客
様のところまで飛んでいく。
 顧客開拓として飛び込み営業のようなことはやらない。基本的に口コミで広がっていく。あく
まで今いるお客様を大切にすることが新しいお客様の獲得につながるという基本的な考えが
ある。平均して毎月 90~100 名の新しいお客様が来ている。
○利益管理方式の徹底
 企業として、年率 2~3%で利益が伸びる必要があると考える。それが堅実な拡大を目指すと
いうことである。出た利益はまず社員に還元し、その残りはお客様に還元する。
 粗利率と粗利額を両輪で見えている。どちらか一方ではよくない。
 かつての売上管理方式から、粗利益を 1 年間でどれだけ目指す利益管理方式に変えた。また、
決算も月次では遅く、
「日次決算」に取り組んでいる。それを 13 年前から実施している。しか
も、毎日の粗利益について、営業・工事・修理の従業員個人レベルで判るようにしている。そ
れ毎日社員に伝えており、社内の人間ならばパートでも見られるようにしている。世の中の動
きが複雑な現在、1 ヶ月後のことはもちろんのこと、
「明日どのような手を打つか」指示しなけ
ればならない。しかし、個人レベルの利益管理も決して達成度を追及しない。あくまでそれと
なく奮起させる材料にするものである。
 今検討しているのがお客様レベルで利益が判るようにすることである。お客様別の売上は判っ
ているが、さらに一歩進めて、粗利益を算出するのが今後の目標である
207
株式会社
レカムサービス
【ドコモショップ運営会社(津田沼店他3店舗)】
■本社所在地:千葉県千葉市中央区今井 2-16-3
■主 な 事 業 :携帯電話端末販売
■代 表 者:代表取締役社長 布施 国雄
■設
立:平成 6 年
■資 本 金:1,000 万円
■従 業
員:104 名(非正規を含む)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○携帯電話の可能性を感じて創業
 現社長は 30 年近く NTT に勤務していたが、やがて独立して 50 歳代のときに創業した。NTT
在籍時には、移動体通信部に関与しており、そこで携帯電話の将来性を感じていたが、当時は
現在の機器より大型・高額で世間一般には普及につながっていなかった。転機が訪れたのは平
成 7 年のことだった。被災地の方々には大変お気の毒で不幸な出来事だったが、阪神淡路大震
災によって固定電話機が使えず、携帯電話の重要性が世間的にも認知されていった。そこで、
NTT ドコモより承認頂き、ドコモショップの経営を開始した。
○従業員第一、倫理経営の重視
 弊社は倫理法人会に加盟しており、毎朝の朝礼も欠かさない。会から発行されている小冊子は
従業員教育に極めて有益であると考えている。倫理法人会を運営する倫理研究所は家庭倫理・
家族愛も謳っており、企業経営も同じであると感じている。
 経営理念の浸透には、経営理念とともに社長からの一言を添えたメッセージを給与明細に同封
している。また、研修の後に報告書を提出させるが、そこでも社長からの一言を添え返信し、
心のキャッチボールを実施している。
 従業員がつねに元気で働ける職場作りを目指し、会社が一人一人の社員に目を配り、社員との
関係が密接である企業を目指したい。
 業務推進にかかる社内教育は、基本的に常務取締役が主導しており、一方で社長は積極的にロ
ータリークラブでの活動をはじめ地域密着活動に参加して、社会貢献や倫理・道徳面での教育
を実践している。
2.雇用や人づくり
○女性が働きやすい職場づくり
 女性が中心の職場であるため、各種制度を充実させている。コストよりも従業員の定着率を重
視しており、従業員が 1 人前になるにはそれなりに期間がかかり、経験を積んだ社員が辞める
ことはサービスの質低下につながってしまう。
 具体的な制度として、正社員以外にパートや契約社員にも適用される「出産退職後の再雇用の
促進」、年次有給休暇の積み立て利用を図る「ライフプラン休暇制度制」、「育児介護休業規定
の整備」、有給休暇 1 日分を 8 時間と考えて 4 回に分割して取得できる「2 時間単位での有給
休暇使用」、当初全体の 7 割を占めていた「契約社員から正社員への登用」、「育児のための勤
務時間短縮制度」がある。
 特に、契約社員から正社員への登用によって、平成 20 年 12 月末で従業員全体の 9 割が正社員
となった。やがて、「ドコモの研修以外の研修も受けたい」という社員の声がでてきて、スタ
ッフのキャリアアップ支援制度によって、通信教育講座の受講料を全額企業が負担している
(ただし修了することが条件)。通信教育講座の内容は直接業務に関係なくてもよい。また、
208
子育て支援の制度を充実させる事で従業員の離職率は減少した。
 このような取り組みが評価されて、千葉県主催の「社員いきいき元気な会社宣言」に応募し認
定を受けている。基本的に採用は新卒であり、毎年 10 名程度の新卒採用を行なっている。県
の認定によって知名度も向上し、地元県内の高校・大学から入社希望が増え、優秀な新卒人材
の確保につながっている。
 このような取り組みが継続するには、個別の不安解決につながるように従業員に対する目配り
と気配りの徹底、そしてコミュニケーションの促進である。また、制度も作っただけで、利用
しにくい雰囲気があっては意味がない。個別の事情に合わせた柔軟な対応が可能な制度設計や
制度の変更も必要である。年 1 回は全従業員参加の社員旅行があるほか、年 2 回のパーティも
あり、それがコミュニケーション促進につながっている。
○抜擢人事による若い店長の配置
 各店舗の店長は 30 歳代である。優秀な人材を抜擢人事で登用することでやる気につながって
いる。今後は、更なるお客様満足度の向上を目指す弊社にとって、抜擢人事・適材適所の人員
配置・従業員教育が益々重要になってくる。
○NTT ドコモの研修制度利用
 NTT ドコモの研修が随時あり、ドコモショップの資格認定制度によって従業員のスキルアッ
プにつながっている。資格認定はランクによって給与手当がでる。また、それ以外にも外部講
師を招いて、接客マナー・技術の向上に努めている。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域での活動
 地域の団体としてロータリークラブに加入しているほか、現社長は習志野商工会議所の議員及
びサービス業部会の部会長を務めている。倫理法人会も含め各団体には、地域で頑張っている
オーナーの方々の推薦等により企業設立 3 年目くらいに加入しはじめた。
 学校と連携して、地域貢献活動として中学校の職場体験の場を提供している。また、商工会議
所の紹介もあり、大学との産学連携による健康器具(足ツボマット)の開発も手掛けている。
4.経営戦略や事業戦略
○地域のお客様をターゲット
 地域のお客様としては個人向けのシェアが多い。また、携帯電話の使い方を学ぶ「無料電話教
室」を開催している。
 お客様満足度アンケートは NTT ドコモが毎月実施しており、各店舗の結果が毎月送られてく
る。いただいた結果から、悪い箇所は改善に努め、対応がよかったと評価された従業員は社内
で表彰している。
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株式会社
A
■本社所在地:東京都
■主 な 事 業 :コンビニエンスストア
■創
業:昭和 50 年
■資 本 金:1,000 万円
■従
業
員:社員 2 名、パートアルバイト 33 名
1.経営者としての基本的な考え方
○自社での裁量と経営の効率性の両立を求めてコミュニティ・ストアに加盟
 弊社はコミュニティ・ストアに加盟している。ミニストアの形式である。営業時間・仕入先・
販売価格について、個人のお店に任せてくれるシステムである。より安価な現金問屋で商品を
仕入れることもできれば、自社で手づくり商品を作って販売してもよい。
 大手チェーン店ならば、加入者は粗利益の何割かをロイヤリティで支払う。コミュニティ・ス
トアの場合、仕入代金と定額のロイヤリティを本部へ送金する。
 当初、酒屋から始まった。ある程度自分の裁量で経営ができることと、仕入を便利にするため
に、コミュニティ・ストアに加入した。経営における裁量の幅があるのが良かった。業界の最
新情報(新商品)が定期的に入ってくるのがメリットの一つであるが、差別化を図るためには
商品にオリジナリティを出さなければならない。小売が競争力を持つには、売れる商品を自分
達の手で作るしかない。
 弊社では、ストア内に厨房があり、そこでオリジナル商品として弁当・惣菜・パンを作ってい
る。それが一般的なチェーンのコンビニエンスストアとの違いである。
2.雇用や人づくり
○パートが経営におけるキーポイントになっている
 弁当や惣菜等のオリジナル商品開発はパートに任せている。弊社ではパートの働きが非常に重
要である。そのため、やりがいのある環境づくりに力を入れており、生活に合わせて働く時間
帯と曜日を決めることができるようにしている。そのため、パートの採用についても人柄を重
視するほか、
「店の雰囲気」に合っているかを重視している。
 従業員教育には、毎月 2 時間、外部から講師を呼んでいる。これは 6~7 年間続けている。ま
た、倫理法人会に加入して 3 年目になり、毎朝の朝礼も欠かせない。外部講師の講義や倫理法
人会の冊子を使った朝礼は、従業員にお客様目線のサービス徹底と商品改善につながっている。
外部講師の講義は現場リーダーとベテランパートの従業員を対象にしている。現在、パートが
28 名、学生アルバイトが 5 名、正規従業員が 2 名である。正規従業員は現場リーダーを務め
ており、今年入社して 19 年目と 15 年目である。
 会社は給料を稼ぐためだけの場所ではない。お客様が好きで、そのお客様にどうしたら喜んで
頂けるかを考えられる人間性向上の場でもある。
○イベントもよい人材教育になる
 イベントや各地域の農家から野菜を仕入れて店で販売する取り組みは、顧問の先生からのアド
バイスによる。特に、イベントの企画から運営・実行に関しては、パートやアルバイトが自ら
考えて実行することを学ぶ。よい人材教育にもなっている。
○外部でのネットワーク構築と勉強会への積極的参加
 19 年くらい前に社員研修コンサルティング会社のセミナーに参加したとき、経営者仲間に出
210
会った。月に 2 回程度勉強会に参加して、様々なアドバイスを受けている。経営者仲間がいる
ことが非常に役立っている。また、倫理法人会にも入会している。
 かつて、業界の専門雑誌の取材を受けたとき、コンビニエンスストア OB の先生を紹介された
経緯があり、そこで目標管理の手法を学んだ。
 各団体の勉強会等に参加するようになって、
「生活のため」ではなく、
「お客様のお役立のため」
に仕事をするという感覚が身に付いた。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域の常連客がターゲット
 お客様としては、早朝は建設現場作業員の方々、午前中は近所の高齢者の方々が多いのが特徴
である。そういった方々に、商品として手づくり弁当が一番売れる。また、一人暮らしの若い
方々は会話を求めている。それに応える「ぬくもり」があるお店であることを心掛けている。
そのため、弊社のお客様には常連客が多い。
 来店されるお客様とのコミュニケーションを大切にしており、主に地域内の団地に住んでいる
方々をターゲットになっている。団地のお客様は一生付き合う方々である。ご近所づきあいの
感覚を大切にしている。町内イベント等のお弁当配達の依頼もある。
 弊社は駐車場を使ってイベントを毎月開催しているが、地域に浸透してくると「来週は何をや
るの?」と聞いてくれるお客様がでてくる。お客様が期待してくれるようになる。中には、イ
ベントのために金一封を持参してくれる常連様もいらっしゃる。
4.経営戦略や事業戦略
○サービスの高付加価値化への各種取り組み
 サービスの高付加価値化として、そのニーズにどのように応えるかが大切である。例えば、毎
月のイベントのほか、各地域の農家から直接取れたての野菜が届けられる。サービスへの思い
は変わらないが、何かしらの変化によって常に商品力向上を図っている。
 各地域の農家とのつながりは、自分達の足で探していった。例えば、栃木県の銀杏や山梨県の
ぶどうがある。九州から山形まで全 12~13 箇所にも渡る。それぞれの農家と直接取引をして
おり、取れたての野菜を宅配便で送ってもらう。
 現在、弊社では手づくり弁当が売上で一番割合が高い。しかし、伸び率という面で見たら、手
焼パンが一番であり、今後はそちらにも力を入れていきたい。
 現在の課題として、地域でも競合店が増えて、競争が厳しくなっている。今後の戦略として、
「配達」業務を目指したい。地域内にも高齢者が増えてきて、買い物が難しい方々が増えてい
る。そのような方々のニーズに応えていきたい。現在、社長の息子が外食産業に修行に出てお
り、戻ってきてから新しい事業に取り組みたいと考えている。
 最近はあまり世に出ていない、知られていないプライベートブランド商品を探している。お客
様が「わざわざ買いにくる」商品の仕入れも大切である。また、卸売市場が地域内にあるため、
市場でも新しい商品を探しにいっている。
 常連のお客様の好みは把握しており、例えば高齢者の方は、価格よりも美味しいかどうかを購
買で重視しているのが判る。また、お客様からのクレームや指摘事項は直ぐに社長まであがっ
てくるように、従業員とのコミュニケーションは徹底している。
211
株式会社
B
■本社所在地:栃木県
■主 な 事 業 :自動車販売、自動車整備
■設
立:昭和 54 年
■資 本 金:3,000 万円
■従 業
員:37 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○外部からの人材登用によって社内の規則等を整備
 弊社は地場のホンダ系のオートバイ屋から自動車ディーラーに事業を転換した会社である。今
年で 34 年目になる。また専務は、ホンダの営業出身で、非常勤役員として勤めている。
 経営理念は当初から形としてはあったが、環境・安全運転・福祉などに理念を明確化した。就
業規則や事業計画についてもホンダの政策に準じて導入していった。また、弊社はホンダのデ
ィーラーとして、お客様に選ばれる店作りを推進し、県内トップクラスの安全性・環境対応の
優良認定を受けている。
2.雇用や人づくり
○経営理念の浸透と人材育成の重視
 朝礼では全員が参加して経営理念を唱和するほか、営業やサービス部門に個人目標を設定して、
奨励金制度がある。また、地域で No.1 を目指して、各部門の経営数値の見通しを月 3~4 回の
ミーティングで確認している。
 人材教育として、中堅以上の従業員に対して行政や商工会議所、保険会社が主催するセミナー
や講習会に参加させている。
 仕事上、損害保険販売の資格は全員習得している。また、ホンダによる安全運転資格やその他
資格取得を奨励している。
 従業員はホンダインターナショナルテクニカルスクールなどで学んだ人を採用している。ほと
んどの採用者は地元である。
 人材研修を通じて、5~6 年かけて今の形になっていった。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域密着の経営
 自動車ディーラーの商圏は地域密着である。弊社の商圏は店舗の半径 5km 以内でお客様の約 9
割を占めている。さらに、自動車ディーラーのなかでホンダは地域密着型の色彩が強い。ホン
ダは自動車メーカーとしては日本で最も新しい。地場でオートバイや自転車屋であった店舗が
ディーラーとして入ってくる形である。そのため、直系店以外は、まさしく地元で長く経営さ
れていた店舗が多い。
 新車の販売台数はおよそ 850~900 台/年間である。車検は 2,000 台/年間である。
 お客様として、一般の個人ユーザーが約 8 割を占める。残りの 2 割は法人である。お客様の情
報はデータベースで管理しており、法定整備、自動車保険の期日が近づいてきたらご案内して
いる。
○社外でのネットワーク
 社長はロータリークラブ、商工会議所、経営者協会、自販連(日本自動車販売協会連合会)な
212
ど対外活動にも力を入れている。
 各都道府県のホンダ系ディーラーのネットワークとして「県ホンダ会」がある。そこで、月 1
回の社長会を開催している。ネットワーク活動におけるメリットとして、チラシや広告の合同
配布や共同による販路拡大運動がある。
○地域貢献活動への取り組み
 地域貢献活動として、1 台/年間の車椅子を身体障害者施設に寄付しているほか、地域のお祭り
等に出展している。また、「ホンダ会」による社会貢献活動がある。例えは、会員として地域
の緑化運動(木を植える)に参加している。
4.経営戦略や事業戦略
○自動車販売台数減少傾向への対応
 弊社は 8 年連続の黒字を継続している。売上で見ると、栃木県内のホンダのディーラー16 法
人(ホンダ直系を除く)中 6 位の成績である。
 新車の販売台数は下降気味であるが、売上の比率は、新車は全体の 70%程度であり、今後は、
このような自動車販売台数の減少を踏まえて、如何にしてアフターサービスを充実させ法定整
備、自動車保険、カーケア等でリピーターを増やさなければならないと考えている。
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株式会社 C
■本社所在地:埼玉県
■設
立:昭和 48 年
■主 な 事 業 :冠婚葬祭業
■資 本 金:2,000 万円 ■従
業
員:350 名
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○従業員が自ら考え行動できる組織が強みである
 従業員が自ら考え行動できる組織が強みである。販売計画も従業員自らの手で策定している。
このとき社長から具体的な数値を指示することはない。このような組織風土は約 10 年前から
出来ている。
 ここで重要になるのは、「風通しの良い組織作り」、「従業員が自ら考えて行動する機会」を作
ることである。それが結果的に人材教育となっている。人材教育では、外部講師から「教わる」
ことよりも、自ら「学ぶ」ことが大切である。自分で意見を言い、それに対する反応を受け止
めて、改めて自分で考えるプロセスを重視する。
 また、お客様と直接接するのも従業員である。そのため、まず従業員がお客様から良いイメー
ジで受け入れられる必要がある。そのため、従業員がまず安心して働ける環境づくりも大切に
なる。
○社長の仕事
 企業の全体のバランスを見て、不足する部分を補っていくのが経営者の仕事となる。人材につ
いても、個人の能力を見抜き適材適所の配置が重要である。途中採用の社員は様々な色に染め
られている。その必要な色を表にだし、パッチワークの様に組織をバランス良く作り上げて行
く。
 「風通しのよい組織づくり」のポイントは、社長が可能な限り情報は公開し全社的に透明性を
高め、それらを共有する事である。社長が何を考えているのか、会社の向かう方向性を明確に
する。また、今の組織の動きを見て、変える必要を感じ取れば理由を説明し速やかに変えてい
く。その判断も社長の仕事である。
 経営者自身は一番勉強しなければならない。特に自己研鑽としては、読書から学ぶことが一番
多い。重要なことは、受身で読むのではなく、自分の求めているテーマについて、主体的・能
動的に読むことである。
2.雇用や人づくり
○部署間の交流促進と従業員自らが考えることへの取り組み
 基本的に、従業員一人ひとりが世評の影響等により「内向き」にならないように注意している。
部署間の交流と理解増進の取り組みとして、弊社では①施設見学会を 100 名程度の会員の参加
で年間 10 回程度開催しているが、そのときは全部署から進んで参加し協働する。普段は別部
署で活動しているメンバー同士が共に働き、お互いのことを知る機会となる。②2 ヶ月に 1 回
程度の割合で、社員交流会が開催されている。従業員が任意にグループを組む。何をやるのも
自由で、完全に従業員に任せている。会社からは 1 回あたり 5,000 円の補助がでる。このよう
な取り組みで「従業員が自由な交流」をすることが「風通しのよい組織づくり」のバロメータ
であると考えている。③感謝の集い。は社員の家族も参加で会社の現状を肌で感じてもらう。
また、創立記念式典は全社員参加で、個人の表彰や従業員へ経営計画や方針を話す機会となっ
ている。
 社長が年間に 1 冊~2 冊の本を選び、社長がアドバイザーを務める勉強会「あすなろ会」を開
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催している。会ではグループによる発表を月 1 回開催するが、その準備と打合せで数回にわた
り従業員同士がお互いに意見を調整する。そのような調整も、従業員同士でお互いの考え方を
共有することにつながっており、重要視している。
○情報共有の取り組みの一つとしてイントラネットの活用
 従業員同士の情報共有にイントラネットを活用している。お客様の問い合わせのメールを必要
な従業員間で共有するほか、その情報について、データベースも構築して活用している。また、
競合他社のチラシをグループウァエのデータベースに入れることで、営業戦略構築や業界動向
把握に役立てている。
○ISO の認証取得
 葬祭業界は古い体質の業界であり、職人気質が強い傾向がある。弊社は国際規格である
ISO9001:2008 を認証取得している。葬祭業界では全国で 7 社目、関東エリアで初めてのこ
とである。ISO の取得によって、「均一で高品質なサービス」をお客様に提供を葬儀部門とし
て共有し、個人から組織の一員へと意識改革ができるようになった。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域密着型の経営
 弊社は地域内唯一の冠婚葬祭互助会として発足してから、約 40 年が経過している。売上の 80%
程度が葬祭である。葬祭は冠婚と違って地域内で執り行われる地域密着度が高い仕事である。
そのため、施行が地域外に逃げる事がなく、地域内での一番店を目指して設備投資する有効性
は高い。
4.経営戦略や事業戦略
○セレモニーホールの充実と適切な立地
 従業員が自分の仕事に誇りが持てるよう、冠婚葬祭の施設(セレモニーホール)に力を入れる
のも重要である。また、弊社は会員の皆様が如何にして便利に利用できるかという視点で、商
圏内で半径 3km 以内に1施設ずつ建設しており、現在建設中も含めて 10 箇所の施設を所有し
ている。あくまで現在いらっしゃる会員の目線に合わせた施設立地であるため、稼動効率が良
好である。
 葬祭業の新規参入は増加しているが、一般の葬儀会社を「軽サービス業」とするならば、我々
のような冠婚葬祭互助会は大きな設備投資をした「重サービス業」である。基本的にお互い異
なるビジネスモデルであると認識している。今後、葬儀を行なわず、火葬のみをやるような人
が増えてくる。結果として、葬儀施行は全体の 4 割は無くなっていくと予想している。弊社は、
地域の富裕層など、今後も葬儀を大切にする上位 3 割をターゲットとして狙うポリシーを明確
にしている。ビジネスモデルが異なるため、葬祭業への新規参入は決して脅威ではないと考え
ている。
 将来的には葬儀の単価低下は避けられない。しかし、弊社には施設があるため、受注及び進行
に特化してその他は花屋等にアウトソーシングすることで、価格低下に耐えられると考える。
ここでも、商圏内の半径 3km 以内に施設を建設したことが活きてくる。
 お客様の声を吸いあげる取り組みの一つとして、施設見学会時及び施行家へのアンケートを実
施している。
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D
株式会社
■本社所在地:千葉県
■資 本 金:2,000 万円
■主 な 事 業 :冠婚葬祭業
■設立:昭和 38 年
■従 業 員:240 名(インタビュー先は専務取締役)
1.経営理念/経営者としての基本的な考え方
○次なる成長のステップのために人づくりと組織づくりを推進
 弊社は冠婚葬祭互助会である。この業界は昭和 40 年代に創業した家族経営の小規模事業者が
多い。そのため、経営者・従業員ともに職人気質が強く、企業経営の近代化と
いう点では未だ不十分な面がある。
 現在、外部から人材を招聘し内部の経営改革を推進している。まず取り組んだのは、コンプラ
イアンス態勢の確立である。また、取引銀行の力を借りて、プライバシーマークの取得を進行
中である。このような取り組みを推進するに当たって、外部の力を借りつつ、現在社内の各規
程の整備を進めている。そして、それは従業員に対して「組織人」としての意識を植え付ける
効果がある。近年、業界団体等においても、冠婚葬祭業の
オープン化やコンプライアンス確立を推進している。
 このような取り組みを推進しなければ、次の成長のステップに登ることは不可能である。現在、
経営理念として対外的には明文化していないが、業務を推進する上で、精神的な支柱になるよ
う、キャッチフレーズ「大切な人とのたくさんの『思い出』に、たくさんの『感謝』をこめて」
は事あるごとに従業員に語りかけている。今後、企業としてお客様に統一性のある高品質なサ
ービスを提供していくため、全従業員を巻き込んでお客様に判りやすい経営理念構築をはじめ、
人づくりと組織づくりに力を入れていきたい。
2.雇用や人づくり
○中途採用を中心に近年規模が拡大
 採用は基本的に 30~40 歳代の中途採用が中心である。中途採用者もマネジメントを経験して
いる人はいないため、今後は「人づくり」が重要になる。現在、従業員は 240 名になり、売上
規模は約 50 億円である。おおよそ、4~5 年前にこの規模まで成長した。
○計画的な人づくりを今後推進
 従業員教育は基本的に OJT である。不定期に仕事が入る業界ゆえに従業員をまとめて同じ日
時に同じ場所に集めるのは難しい。
 そのため、従前までは計画的な研修はやっていなかったが、今後はあらゆる面で、人材教育を
推進していく。例えば、今年従業員のためのマナーと規律のしおりを作成した。これからは中
小企業といえども、人づくりと組織づくりは必須である。
 今後、人事評価と給与体系の改革も課題である。オーナー企業の場合、その辺りの透明性が大
きな経営課題である。そこを従業員にも「見える化」したいと考えている。
○組織を再編して新しい部署を創設
 現在の組織を作ったのは昨年である。営業部(互助会会員向けの営業)と葬祭部は従前からあ
ったが、新に「事業企画部」と「お客様サービス部(コンプライアンス推進室、会員サービス
センター)」を設置した。
○葬祭ディレクターの認定取得を目指す。
 厚生労働省認定の資格である葬祭ディレクターの認定取得を目指すのも人づくりの方法であ
216
る。最低限のところは資格への挑戦でカバーできるようになる。
 資格試験の勉強のみでは、接客の属人的な部分までカバーしにくい。一方、これまで葬業界は
おおよそ歩合給の仕組みが根強く、過剰な営業に引き起こしかねない。その弊害を取り除き、
サービス品質向上のため、昨年の秋からお客様アンケートを実施し始めた。A4版両面で、弊
社を選択した理由や係員の対応、サービスへの感想やご意見等を伺うアンケートであり、葬儀
終了後、集金担当者から直接お客様に手渡し依頼をしている。
3.地域密着活動、地域内の利害関係者との関係作り
○地域に根づいて発展
 社会のニーズの変化により現在は冠婚葬祭業のうち葬祭が全体の 90%を占める。かつて、葬儀
は遺族の自宅で行なわれるのが主流であった。社会的な構造変化から、地域内の葬儀施設で行
なわれるようになった。一般的に葬儀の 90%は葬儀施設で行なわれている。
 弊社は千葉県北西部を中心に営業基盤を拡大してきた。葬祭業は新規参入が盛んであるが、新
規参入者は低価格を武器に、家族葬を銘打った小型葬、葬儀式を簡略化し火葬だけを行なう直
葬を積極的に推進している。この葬儀単価の低下傾向は、長寿化による葬儀会葬者の減少及び
近年における低所得者層の割合増加によるところが大きい。しかし、当地域は比較的富裕者が
多く、設備の整ったセレモニーホールを持つ弊社のサービスとマッチしている。基本的に冠婚
葬祭互助会は、会員サービスとして葬祭を提供しているが、弊社では互助会会員と一般のお客
様は同じ割合である。これは、富裕層が比較的多いため、あえて互助会に入らず積み立てない
人も多いと思われるが、葬儀の多様化、
低価格化が進む中で、地域の住民の方々に事前に葬儀を本来のあるべき姿を理解し故人に相応
しい葬儀を行なってもらうことがお客様サービスにつながるとして、今後、互助会会員の増強
をさらに進めていこうと考えている。
 社長はロータリークラブへの加入や商工会議所、地元各諸団体への参加など、地域での関係構
築にも積極的である。また平成 22 年 10 月には、市の接遇向上の取り組みに理解を示し、多年
にわたり花卉を寄贈してきたことで、功労者として感謝状を贈呈された。
4.経営戦略や事業戦略
○競争環境は常にチェックしている
 新規参入の状況は常にチェックしている。千葉県は火葬場が全て公営であり、弊社の利用比率
がどの程度なのか、頻繁に情報収集に行っている。
○ニーズ多様化への対応
 葬祭業のサービスもお客様のニーズ多様化に対応していかなければならない。例えば、昔なが
らの白木祭壇よりも、生花で祭壇を作成する花祭壇が増えている。
○新規顧客の開拓
 互助会会員以外の一般のお客様は、かつては基本的に病院からの紹介が中心であった。しかし、
今ではお客様も病院からの紹介のみに頼るのではなく、独自に情報を調べて、自ら業者を探す
時代になった。そのため、基本は互助会会員の増加を方針としつつ、一般のお客様の開拓にも
力を入れている。例えば、月 1 回の相談会・施設の見学会の開催や新聞へのチラシ折込やチラ
シのポスティングもやっている。また、ホームページの
充実にも注力しており、一部はホームページ経由でのお申込もある。
217
第4編
1
シンポジウム概要
名称
中小企業の経営力向上シンポジウム
~地域社会において持続・発展する企業経営の本質とは~
2
開催日時・場所等
■日時:平成 23 年 3 月 14 日(月)14:00~17:00
(※受付開始 13:30~)
■会場:東京中小企業投資育成ビル8Fホール(東京都渋谷区)
■対象:中小企業経営者・後継者などの方々、中小企業支援に関わる行政や民間の方々
■定員:200 名
■費用:無料
■主催:経済産業省 関東経済産業局
3
プログラム
①主催者挨拶(14:00~14:05)
②基調講演(14:05~15:05)
『地域でいちばん大切にされる会社とは?』
坂本 光司 氏
法政大学大学院 政策創造研究科 教授
「地域社会における企業経営のあり方に関する調査」研究会座長
③パネルディスカッション(15:15~17:00)
『地域社会において持続・発展するための企業経営の本質とは?』
<パネリスト>
髙橋 明希 氏
株式会社 武蔵境自動車教習所 代表取締役社長
浅沼 誠司 氏
株式会社 大麦工房ロア 代表取締役社長
赤岩
茂 氏
TKC 全国会 創業・経営革新委員会 委員長
原
誠 氏
プライスウォーターハウスクーパース 株式会社 ディレクター
<モデレータ>
西浦 道明 氏
アタックスグループ
代表パートナー
218
参
考
資
料
「地域社会における企業経営のあり方について」アンケート調査票
※お手数でございますが、本アンケートは経営者ご自身にご回答いただきたく、
よろしくお願い申しあげます。
Ⅰ.ご回答者様についてお尋ねします。
下欄の記入は任意です。ご記入いただいた方には、調査結果概要及び調査結果に
基づくシンポジウムのご案内をお送りいたします。
記
平成
入
年
日
月
日
フ リ ガ ナ
御
社
名
所
在
地
フ リ ガ ナ
代表取締役 氏名
フ リ ガ ナ
連絡担当者
職名・氏名
電話番号
(
)
―
FAX番号
(
)
―
E-mail
○本調査は、関東経済産業局の委託を受けて、株式会社ドゥリサーチ研究所が実施するものです。
大変恐縮ですが、ご返送は同封の封筒にて 平成22年11月26日(金曜日) までご投函お
願いします。
○ ご回答者のお名前や会社名等の情報、個々の回答内容が公表されることは一切ありません。
○ ご回答の結果は、「地域社会における企業経営のあり方についての調査」以外の目的には一切
使用いたしません。
○ ご回答内容に不明な点があった場合、連絡担当者に株式会社ドゥリサーチ研究所より確認の連
絡を行うこともございます。何卒、ご了承くださいますよう、よろしくお願い申しあげます。
ご記入いただきました個人情報は、本調査に関する確認、連絡、送付および統計資料の作成にのみ
使用させていただきます。(株)ドゥリサーチ研究所はプライバシーマークを取得しております。
<プライバシーポリシー> http://www.dori.co.jp/link/privacy.html
<本アンケート調査票に関する問い合わせ先>
株式会社ドゥリサーチ研究所
担当:結城(ゆうき)
〒107-0052 東京都港区赤坂 2-17-62 ヒルトップ赤坂 3 階
TEL:03-5570-0841 / FAX:03-5570-0845 / E-mail:[email protected]
【電話での問い合わせ 月~金 10:00~17:30 ※土日祝休】
参考-1
Ⅱ.御社の業種と創業年についてお尋ねします。
下表の中で、御社で手掛ける業種をうち下枠から「最大で3つ」を選び、その売上における
大まかな割合をお答えください。また、合わせて御社で扱う主な商品・サービス(もしくは主
な顧客層)をお答えください(直接記入)。記載に際しては、右下表の「記載例」をご参照くだ
さい。
A.業種の回答欄
(記載例)
業種番号
売上での割合
業種番号
売上での割合
(
)
(
8
)
40
(
)
(
11
)
30
(
)
(
13
)
10
その他
その他
合計
合計
100
20
100
■主な商品・サービス プロパンガス販売、サ
(もしくは主な顧客層) ービスステーション運営など
■主な商品・サービス
(もしくは主な顧客層)
※関連会社や子会社をお持ちの場合は、それらを含めて、全体として手がける業種をお答えください。
業
種
(下から番号を選択して回答欄にご記入ください)
1
農業・畜産業
16
物品賃貸業
2
漁業
17
専門・技術サービス業
3
林業
18
飲食業
4
鉱業・砕石業
19
持ち帰り・宅配飲食業
5
建設業
20
宿泊業
6
設備工事業
21
生活関連(対個人)サービス業
7
製造業
22
廃棄物処理業
8
ガス・熱供給業
23
自動車修理業
9
情報通信業
24
機械等修理業
10
運輸業・倉庫業
25
広告業
11
卸売業
26
娯楽業
12
製造小売業
27
教育・学習支援業
13
仕入小売業
28
医療・福祉関連業
14
金融・保険業
29
その他事業所向けサービス業
15
不動産業
30
その他(
B.創
業
年
(直接〇をお付け
ください)
)
1 1910年以前
2 1911年~1930年
3 1931年~1950年
4 1951年~1970年
5 1971年~1990年
6 1991年以降
参考-2
1.「経営力」に関する質問項目
◆経営理念についてお伺いします
問 1-1:御社は、「経営理念・ビジョン(経営のあり方、経営に対する基本的な考え方等)」
を明確にしていますか。あてはまるものに〇を付けてください(回答は一つ)
1
明確化して、かつ文章化している
3
明確にしていない
2
明確化しているが文章化していない
問 1-2:問 1-1 にて「1 又は 2」を選択した方にお伺いします。実際の経営判断において経
営理念を実践できていますか。あてはまるものに○を付けてください(回答は一つだけ)。
1
ほぼ実践できている
2
ある程度実践できている
3
少しは実践できている
4
まったく実践できていない
問 1-3:問 1-1 にて「1 又は 2」を選択した方にお伺いします。経営理念の実践以外に、経
営理念を従業員に理解させるために行っていることはありますか。あてはまるものに○を付
けてください(回答はいくつでも可)。
1
朝礼や会議等にて唱和している
2
朝礼や会議等で経営者から訓話をする
3
新入社員の教育時に経営理念教育を実施している
4
社内報等による経営理念の啓蒙活動を実施している
5
経営理念の浸透を目指した教材や冊子等を作成している
6
経営理念の浸透を目的とした合宿や研修、発表会等のイベント実施している。
7
理解度を把握するためのモニタリングを実施している
8
(具体的:
)
その他(具体的:
)
問 1-4:問 1-1 にて「1 又は 2」を選択した方にお伺いします。経営理念は「社内に浸透して
いる」とお考えですか。あてはまるものに○を付けてください(回答は一つ)。
1
十分浸透している
2
ある程度浸透している
3
少しは浸透し始めている
4
まったく浸透していない
参考-3
◆経営者ご自身についてお伺いします
問 1-5:貴殿が経営者として「現在最も時間を費やしている業務」は何ですか。次の中であて
「今後時間をかけて力を入れていきたい業
はまるもの最大3つに○を付けてください。また、
務」に最大3つに○を付けてください(回答は最大で3つ)。
職
務
・
業
務
内
現在最も時間をか
けている(3つ)
容
今後時間をかけて力
を入れたい(3つ)
①営業
②企画・研究開発
③管理・監督
④経理・会計
⑤人材育成・教育
⑥組織風土づくり・環境づくり
⑦資金繰り
⑧その他(
)
「利害関係者」および「企業
問 1-6:貴殿が経営者として経営上重視しているものは何ですか。
の姿」の2つの面にて、それぞれ上位3位について回答欄に順位をお答えください(直接回
答)。
上位3位に番号
(1~3をご記入ください)
(1)利害関係者
①従業員
②下請や外注先、仕入先
③顧客
④株主
⑤地域社会
上位3位に番号
(1~3をご記入ください)
(2)企業の姿
①収益性(売上・利益)
②安定性(継続・安全)
③将来性(成長)
④社会的評価(好感度、信頼性、知名度)
⑤社会貢献(世の中に役立つ)
参考-4
問 1-7:貴殿が経営者として「自身の経営力向上・自己研鑽」のために努力していることは何
ですか。あてはまるものすべてに〇をつけてください(回答はいくつでも)。
1
本を読む
2
新聞や雑誌を読む
3
セミナーや講演会等への参加
4
従業員との意見交換
5
顧客の意見を聞く
6
他の企業経営者との意見交換
7
ビジネスパートナー(外注先、下請け、仕入先等)の意見を聞く
8
専門家(税理士や会計士、コンサルタント等)の意見を聞く
9
その他(
10
特にない
)
問 1-8:貴殿は、地域でどのようなネットワークや人脈をご活用していますか。活用している
ものすべてに○を付けてください(回答はいくつでも)。
活用して
いれば○
ネットワークや人脈
①他の企業及びその経営者(OB も含む)
(※)
②自社の OB(前経営者や幹部など)
③商工会や商工会議所
④学校(大学・高校・専門学校など)
⑤地域の公的産業支援機関、公的研究機関等
⑥民間専門家(会計士、税理士、コンサルタント等)
⑦民間金融機関(地銀、都市銀行、信金)
⑧政府系金融機関(旧 国民生活金融公庫、旧 中小企業金融公庫など)
(※※)
⑨行政(国や自治体)
⑩特定非営利活動法人(NPO)
⑪その他(具体的に:
)
⑫特にネットワーク・人脈はない
(※)ここで、他企業及びその経営者とは、事業協同組合、経営者同友会、経営者協会、倫理法人会等の団
体への参加も含みます。
(※※)旧 国民生活金融公庫や旧 中小企業金融公庫は現在の日本政策金融公庫です。その他に政府系金融
機関には、商工組合中央金庫(商工中金)があります。
問 1-9:問 1-8 にて「⑫」以外を選択した方にお伺いします(何らかのネットワーク、人脈を
持つ方)。地域内ネットワークや人脈に相談する内容として主なものは何ですか。あてはまる
ものに最大3つ○を付けてください(回答は最大3つ)。
1 消費者ニーズや市場動向
2 同業者・業界動向
3 新商品やサービスの開発
4 設備投資
5 IT 導入や情報化
6 新しい販路情報
7 人材確保
8 人材教育
9 事業・経営計画作成
10 資金繰りへの支援
11 専門家の紹介
12
13 包括的な助言
14 行政の支援施策(補助金など)紹介
15 その他(
ビジネスパートナーの紹介
)
参考-5
◆事業承継・後継者についてお伺いします
問 1-10:貴殿の現在の年齢、実質的経営者への就任年齢、実質経営者としての在任期間をお伺
いします。
①現在の年齢
1
20~29歳
2
30~39歳
3
40~49歳
4
50~59歳
5
60~69歳
6
70歳以上
②実質経営者への就任年齢
1
20~29歳
2
30~39歳
3
40~49歳
4
50~59歳
5
60~69歳
6
70歳以上
③実質経営者としての在任期間
1
5年未満
2
5年以上~10年未満
3
10年以上~20年未満
4
20年以上~30年未満
5
30年以上~40年未満
6
40年以上
問 1-11:貴殿の事業承継代数をお伺いします(回答は一つ)。
1 創業者
2 2代目
3 3代目
4 4代目以降
問 1-12:貴殿は、「後継者」を指名していますか。あてはまるものに〇を付けてください(回
答は一つ)。
1
すでに指名している
2
候補はいるが指名していない
3
適切な候補がいない
4
検討はしていない
問 1-13:問 1-12 にて「4」以外を選択した方にお伺いします。貴殿が後継者の決定時に重視
するものは何ですか。あてはまるものすべてに〇を付けてください(回答はいくつでも)。
1
親族である
2
経営理念・ビジョンをよく理解している
3
経営能力が高い
4
業務内容をよく理解している
5
従業員からの支持が高い
6
顧客からの支持が高い
7
ビジネスパートナー(下請け、外注先、仕入先)からの支持が高い
8
金融機関からの支持が高い
10
自身との相性がよい
9
11
株主からの支持が高い
その他(
)
問 1-14:問 1-12 にて「3 又は 4」以外を選択した方にお伺いします。御社は後継者育成の
ためにどのような取組を行っていますか。あてはまるすべてに〇を付けてください(回答は
いくつでも)。
1
経営ノウハウを指導している
2
別会社にて業務を経験させる
3
自社内で広範囲な業務を経験させる
4
外部の研修等を受講させる
5
段階的に権限委譲をしている
6
その他(
7
特に何もしていない
)
参考-6
◆事業展開における基本的なお考えについてお伺いします
問 1-15:御社で事業を展開するにあたり、どの様な検討を重視していますか。以下の中であて
はまるものがあれば〇をつけてください(回答はいくつでも)。
該当
①自社の強み・弱み・特徴
②外部経済環境(景気動向、為替変動、政治動向、規制など)
③競争環境(ライバルとの競合関係など)
④商品・サービスの市場性(価格動向、規模、成長性など)
⑤地域の市場性(人口構造、成長性など)
⑥そのほか(
)
問 1-16:御社が今後重視する事業展開について、以下の中であてはまるものがあれば〇をつけ
てください(回答はいくつでも)。
該当
①事業の拡大(新商品開発、新市場拡大、現市場拡大、その他拡大)
②コストダウン、効率化
③事業再構築
④そのほか(
)
2.「人事及び労務」に関する質問項目
◆御社の雇用実態についてお伺いします。
問 2-1:現在の「従業員数の総数及び正社員数」をお答えください(直接回答)。
従業員数の総数は
人
(正社員数は
人
)
※パートなど非常勤の従業員は、御社の所定労働時間を1日として常勤換算してください。例え
ば、常勤職員の50%の日数を勤務する従業員は、0.5 人となります。
問 2-2:過去5年間の「採用者数」の合計(正社員及び正社員以外の社員(パート、アルバイ
ト等)に分けて)をお答えください。また、その内訳として「新卒採用者数」の人数もお答
えください(直接回答)。
①正社員
採用者数は
人
(
うち
新卒採用者数は
人)
新卒採用者数は
人)
②正社員以外の社員(パート、アルバイト等)
採用者数は
人
(
うち
参考-7
問 2-3:問 2-2 でお答えいだいた、過去5年間の「採用者」のうち「離職者数」をお答えくだ
さい(直接回答)。
①正社員での離職者
人
②正社員以外の社員での離職者
人
問 2-4:御社は、過去5年間に自社都合による人員削減を実施したことがありますか。以下の
いずれかに〇を付けてください(回答は一つ)。
1
ある
2
ない
問 2-5:御社は、従業員の採用に際して地元採用をどの程度意識していますか。あてはまるも
のに○を付けてください(回答は一つ)。
1
大いに意識している
2
ある程度意識している
3
どちらともいえない
4
まったくこだわっていない。
◆御社における障害者雇用・高齢者雇用についてお伺いします。
問 2-6:御社の「障害者雇用の状況」について、一番近いものに〇を付けてください(回答は
一つ)。
1
現在雇用している
2
現在は雇用していないが、今後は雇用したい
3
現在は雇用していないが、過去に雇用した実績がある
4
過去も現在も障害者雇用はない
問 2-7:御社には、役員以外の一般従業員や管理職について、65歳以上の高齢者を雇用して
活躍の場を与える制度・取り組みがありますか。以下の二つの場合において、あてはまるも
のに〇をつけてください(回答はそれぞれ一つ)。なお、ここでは正社員及び正社員以外の社
員の違いは問いません。
①定年後も引き続き雇用する制度・取り組み
1
ある
2
ない
②新規に高齢者を雇用する制度・取り組み
1
ある
2
ない
◆従業員の人材マネジメント・動機付けのための取り組みについてお伺いします
問 2-8:御社は、従業員の人材マネジメントに力を入れていますか。
1
大いに力を入れている
2
ある程度力を入れている
3
あまり力を入れていない
4
まったく力を入れていない
参考-8
「従業員の育成や動機付けにかかる制度や取り組み」のうち、御社で採用しているもの
問 2-9:
すべてに○を付けてください(回答はいくつでも)。
制
採用して
いれば○
度
①表彰制度
個人の評価に係るもの
②個人目標の数値化と達成度の評価
③成果給与(賞与への反映も含む)
資格取得やスキル向上
④資格取得奨励・資格手当・報奨金制度
に係るもの
⑤研修(社外・社内)
経営参画に係るもの
⑥経営計画策定への関与
⑦各種経営情報(※)の一般従業員への公開
人事に係るもの
⑧抜擢人事制度
⑨権限の委譲
福利厚生に係るもの
⑩休暇が取得しやすい環境づくり
⑪従業員同士のコミュニケーションや親睦促進(※※)
その他
⑫その他(
)
(※)ここでの経営情報とは、決算書、事業計画・報告書、リスク情報等を意味します。
(※※)具体的には親睦会、運動会、誕生日会、社員旅行等のイベントを意味します。
問 2-10:問 2-9 にて「⑤研修」を選択した方にお伺いします。1年間で「従業員一人当たりに
かける研修費用」はどれくらいですか。おおよそでよろしいので、人件費は除いた「直接経
費」分をお答えください(回答は一つ)。
1 10 万円以上
2 5万円~10 万円未満
4 5千円~1万円未満
5 5千円未満
3 1万円~5万円未満
3.「顧客・ビジネスパートナー」に関する質問項目
◆顧客についてお伺いします。
問 3-1:御社は、顧客からの声を吸い上げるため、どのような取り組みを行なっていますか。
あてはまるものすべてに○を付けてください(回答はいくつでも)。
1
満足度調査の実施
2
苦情相談の窓口を設置
3
苦情情報の蓄積と分析活用
4
日々の営業や接客で声を吸い上げる
5
店頭アンケートやご意見カード
6
その他(
7
特になし
)
問 3-2:問 3-1 にて「7」以外を選択した方にお伺いします。顧客の声はどの程度活用できて
いますか。最も近いものに〇を付けてください(回答は一つ)。
1
おおいに活用できている
2
ある程度活用できている
3
あまり活用できていない
4
まったく活用していない
参考-9
問 3-3:問 3-1 にて「7」以外を選択した方にお尋ねします。御社にとって、顧客の声を何に
活用していますか。あてはまるものすべてに〇を付けてください(回答はいくつでも)。
1
新しいビジネスへのヒント
2
既存商品・サービスの改良
3
顧客満足度の向上
4
従業員の業績・行動評価への活用
5
その他(
)
◆ビジネスパートナー(外注先・仕入先・下請など)についてお伺いします。
問 3-4:御社は、同じ地域内・地元のビジネスパートナー(外注先・仕入先・下請など)とよ
りよい関係を持つことをどのように捉えていますか。最も近いものに〇を付けてください(回
答は一つ)。
1
とても重視している
2
やや重視している
3
あまり重視していない
問 3-5:御社は、同じ地域内・地元のビジネスパートナー(外注先・仕入先・下請など)とよ
りよい関係の「意義」をどう感じていますか。あてはまるものすべてに○を付けてください
(回答はいくつでも)。
1
地域内での連帯感がうまれる
3
同じ地域なので利便性がある
4
その他(具体的:
5
特になし
2
同じ地域なので信頼感がある
)
問 3-6:御社は、ビジネスパートナー(外注先・仕入先・下請など)との関係を維持・強化す
るためにどのような取り組みを行っていますか。あてはまるものすべてに○を付けてくださ
い(回答はいくつでも)。
1
声を吸い上げる取り組み(アンケートや満足度調査)
2
経営力向上への取り組み(経営指導、ノウハウ・情報提供など)
3
来社時の接遇面で誠意ある対応
4
社内イベントへの招待
5
資金における協力(支払いの迅速化、保証等)
6
その他(
7
特になし
)
参考-10
4.「地域活動」に関する質問項目
問 4-1:御社は、地域貢献活動への取り組みを行っておりますか。以下の中から御社が行って
いるものすべてに○を付けてください(回答はいくつでも)。
1
地域経済活性化にかかる活動
2
文化・環境に関する活動
3
教育に関する活動
4
雇用に関する活動
5
治安・安全・防災に関する活動
6
保健・医療・福祉に関する活動
7
地域貢献活動は行っていない
※ここで、上記の活動の具体例として以下のようなものが挙げられます。
1
2
3
4
5
6
地域経済活性化…商店街の活性化、地元特産品の活用、地域の PR 活動など
文化・環境…祭りや伝統行事の開催や維持、地域文化やスポーツ振興、美化・緑化・環境保全、など
教育…経済・金融・消費者教育、起業家教育、職場体験・インターンシップ、など
雇用…高齢者や障害者、ニート・フリータ、ホームレスの雇用・就業支援、など
治安・安全・防災…防犯活動、交通安全活動、消防・防災活動、など
保健・医療・福祉…高齢者や障害者の生活支援、貧困者やホームレスの生活支援、育児支援、など
問 4-2:御社は、地域貢献活動を推進するための取り組みを行っていますか。あてはまるもの
すべてに○を付けてください(回答はいくつでも)。
1
従業員の参加・取り組みを評価する
2
従業員への教育で地域貢献活動に対する理解を徹底させる
3
地域貢献活動に対して企業が積極的に支出する
4
個人への負担が大きくならないように配慮する
5
地域貢献活動を対外的にPRすることで従業員のやる気を引き出す
6
従業員の意見を積極的に取り入れる
7
取り組みを促進する工夫はしていない
8
その他(
)
問 4-3:御社は、地域貢献活動を含め、地域との関係を密にした活動を行うメリットとしてど
のようなものをお考えですか。以下の中からあてはまるものすべてに○を付けてください(回
答はいくつでも)。
1 ビジネスチャンスを得やすい
2 新しい顧客が増える
3 馴染み客・お得意様が増える
4 新しい人材の確保が進む
5 従業員のやる気向上や教育につながる
6 経営の危機の際に周りからの応援がある
7 企業への信頼と好感度が高まる(長期的な目で見た利益)
8 ビジネスパートナー(外注先・仕入先・下請など)との関係がより円滑になる
9 純粋な社会貢献のためである
参考-11
◆最後に御社の 売上高経常利益率 についてお伺いします
※必ずお答えください。
御社の直近10年間の「売上高経常利益率」についてお伺いします。10年間の売
上高経常利益率は概ねどの程度ですか。平均的に見て、あてはまるものに○を付け
てください(回答は一つ)。
お
1
おおむね
10.0%以上
2
おおむね
5.0%~9.9%程度
3
おおむね
3.0%~4.9%程度
4
おおむね
2.0%~2.9%程度
5
おおむね
0.1%~1.9%程度
6
おおむね
0
願
ないし
赤字基調
い
本アンケート調査にご回答いただいた中から数社選定しまして、直接ご訪問させていただき
インタビュー調査の実施を予定しております。つきまして、もし御社への訪問をお願いするこ
とがありましたら、ご了承いただくことは可能でしょうか。
1
インタビュー調査を受けることは可能です
2
場合によっては受けることが可能です(希望があれば改めて検討します)
3
インタビュー調査は受けられません
◎アンケートでお伺いしたい内容は以上です。
ご協力いただき大変ありがとうございました。
参考-12
インタビュー質問用紙
1.経営理念・ビジョンについて
①経営に対する基本的な考え方、
②経営理念やビジョンの従業員への浸透方法
など
2.企業経営において力を入れていることについて
①組織風土や環境づくり
②経営上目指すもの(高収益、安定性、成長性、社会的評価、社会貢献等)
③経営者ご自身の経営力向上のための特別な努力
④人脈やネットワークづくり
など
3.事業承継・後継者について
①経営者になるまでのご経歴
②後継者人材の確保・育成
など
4.事業戦略や事業展開の今後の方向性について
5.人事及び労務について
①近年の新規採用、離職・退職の動向
②地元採用への取り組み・意識
③障害者・高齢者雇用への取り組み
④従業員への動機付けや教育研修
など
6.顧客やビジネスパートナー(下請や取引先など)について
①お客様の声(ニーズなど)を吸い上げる取り組みや仕組み、その活用
②ビジネスパートナーとの関係構築・関係強化の取り組み
など
7.地域貢献活動への取り組みについて
①地域貢献活動の内容、地域貢献活動に取り組むときの工夫
②地域社会と関係を密にすることのメリット
など
8.直近10年程度における売上高営業利益、売上高経常利益のおおむねの値
参考-13
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