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表示領域を考慮した類似画像表示手法の検討
情報処理学会第 73 回全国大会 6ZA-3 表示領域を考慮した類似画像表示手法の検討 小野 祐輝 大西 克彦 大阪電気通信大学大学院 総合情報学研究科 1 はじめに カメラデバイスの高機能化によって利用される画像 情報の情報量が多くなり,シーンの細かな部分まで詳 細に記録することが可能になってきている.これらの 複数の画像情報を同時に確認比較する際には表示デバ イスも大きなものが求められる.また,複数の連続的 なシーンにおいて,動物体などの細かな姿勢などの違 いを同時に比較する際,限られた表示領域に表示する ために画像を縮小表示すると,詳細な内容の把握が難 図 1: システムの処理手順 しい. 類似部分画像の検索や抽出手法については現在も研 究が進んでいるが [1][2],抽出された画像を表示するた 力画像の画素毎の輝度値 L を求める.次に,検索対象 めのユーザインタフェースに関しては,まだ研究の余 となる複数の類似画像から分割画像を生成する.分割 地があるといえる. 画像は類似画像を入力画像と同じ大きさに N 分割した そこで,本研究では限られた表示領域内において, ものである.N は任意で,分割数が高いほど領域を抽 一度に表示しきることのできない複数の画像情報から, 出する精度を上げることができるが,処理時間が長く ユーザが注目する領域に類似する部分を検索し,その なると考えられる.図 2 は分割画像の例であり,上図 検索結果が含まれる画像一覧を表示し容易に比較でき が類似画像で下図が分割画像である.分割画像も入力 るシステムについて検討した.具体的には,連続撮影 画像と同様に L を求める.そして,入力画像と分割画 された複数の画像情報の 1 枚から,比較したい領域を 像のそれぞれ求めた L を用いて,輝度値ヒストグラム ユーザが選択し,その領域と類似している部分を他の を生成する. 連続撮影された画像情報から抽出し,それらを同時に 表示する. さらにユーザが選択した領域の中心に主に確認した い対象が寄ることを前提とし,図 3 に示すように,領 域の中心と端の画素間の距離 dc と中心と重み付けする 2 類似画像の抽出手法 画素までの距離 d を用いて,重み W を求め,各画素に 本システムでは,連続撮影された類似シーンを含む 複数の画像情報に対して,確認比較したい領域をユー ザが選択し,その領域と類似している部分を他の画像 群から抽出し,それらを同時に表示する. まず画像の表示システムの処理手順を図 1 に示す.は じめに,ユーザが確認比較したい対象を含む領域をマ ウスドラッグで選択し,その選択された領域を入力画 像とする.次に,対象となる複数の類似画像の分割画 W を加えることで,輝度値ヒストグラムに重み付けを 行う. そして,求めた入力画像と分割画像の重み付けした 輝度値ヒストグラムの差を分割画像の入力画像に対す る類似度とし,類似度の高い分割画像を,ユーザが選 択した領域と類似していると判断する. 3 類似画像表示アプリケーション 像を生成する.そして,これらの画像の輝度値を基に 図 4 にシステムの実行結果を示す.3 枚の類似画像を 分割画像の入力画像に対する類似度を求め,類似度の 用意し,その中から入力画像中と同じ動物が含まれる 高い分割画像を,ユーザが選択した領域と類似してい 類似画像を抽出した.左側に類似画像の全体を確認で ると判断し抽出する.最後に,抽出した分割画像とそ きるように,縮小したものを表示する.中央には,左 れが含まれる画像を表示する. 側に表示されている類似画像から分割した分割画像中 次に,ユーザが選択した領域と類似している部分を 他の画像群から抽出する手順について示す.まず,入 の,類似度が高いもの上位 M 枚をそれぞれ表示する. 右側には,ユーザが選択した領域である入力画像を表 4-221 Copyright 2011 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved. 情報処理学会第 73 回全国大会 図 4: 抽出した領域の表示 を選択し,他の画像情報から,その領域と類似してい 図 2: 分割画像の例 る領域を抽出する.抽出した領域を同時に表示するこ とで,ユーザは複数の類似シーンを確認比較できるこ とを確認した.今後の課題として,抽出精度の向上や 抽出領域の表示方法の改良の問題がある.今回の例で は,図 4 のように,表示する類似度の高い分割画像の 枚数 M を 3 としている.この表示する枚数は,少ない 枚数であることが望ましい.これは,表示する枚数が 多くなると,ユーザが注目する動物体が表示される可 能性が増加するが,画像の比較確認が難しくなる.そ のため,最適な M の値や表示方法などを検討する必要 があると考えられる. 図 3: 画素の重み付け 示する.抽出した領域を複数表示しているのは,1 枚 の画像に,ユーザが注目する動物体と類似している物 体が複数存在している場合などの理由で,ユーザが注 参考文献 [1] 串間和彦,赤間浩樹,紺谷精一,木本晴夫,山室 雅司: “ オブジェクトに基づく高速画像検索システ 目する動物体が表示されないといったことが考えられ ム:ExSight, ”情報処理学会論文誌,Vol.40,No.2, る.そこで,複数表示することでユーザが注目する動 1999 物体が含まれる可能性を上げている.ユーザは入力画 像と抽出された領域が同時に表示されているため,画 [2] 五味 愛,伊藤 貴之: “ 代表色領域の位置関係に着目 像データ内の類似箇所の詳細を比較確認できる. 4 した大容量画像からの類似部分画像の高速抽出, ” 芸術科学会論文誌, Vol.6,No.3,pp.117-125,2007 おわりに 本研究では,限られた表示領域内において,連続撮影 された類似シーンを含む複数の画像情報に対して,そ れらの内容の主体となる物体を検出し,複数同時に表 示しユーザが容易に比較できる手法について検討した. そして,それら複数の画像情報からユーザが注目する 動物体の詳細を表示し,比較確認できるシステムを試 作した.試作したシステムでは,類似シーンを含む画 像情報に対して,ユーザが注目する動物体を含む領域 4-222 Copyright 2011 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved.