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音楽産業の現状と課題について
音楽産業の現状と課題について 平成13年11月 メディアコンテンツ課 1 音楽産業の現状と課題 1.現状 (1)音楽ソフト産業市場規模 •2000年のCD販売、CDレンタル、コンサート、カラオケの市場規模の合計は約1.7 兆円 音楽CD 5,398 億円 カラオケ CDレンタル 9,085 億円 コンサート 629 億円 1,970 億円 音楽CD CDレンタル コンサート 5,398 25,000 21,170 629 19,625 カラオケ 1,970 9,085 18,345 20,000 15,000 合計 17,082 17,082 コンサート カラオケ CDレンタル 10,000 5,000 0 (社)日本レコード協会「日本 のレコード産業2001」、カラ オケ事業者協会「カラオケ白 書2001」、(財)自由時間デザ イン協会「レジャー白書2001」 を元に作成 音楽CD 2 1997年 1998年 1999年 2000年 (2)音楽CD・レコード ①CD生産額は米国に次ぐ世界第2位の音楽大国 各国の2000年レコード売上(100万米ドル) アメリカ 日本 イギリス ドイツ フランス その他 計 14,042 6,535 2,829 2,421 1,695 9,443 36,964 その他 25% アメリカ 37% フランス 5% ドイツ 7% イギリス 8% (社)日本レコード協会「日本 のレコード産業2001」を元に 作成 日本 18% ②売れるCDと売れないCDとの2極分化 ・宇多田ヒカルの「First Love」が約760万枚を売上た一方、CDアルバム全タイトルの 平均生産枚数は3千枚程度。爆発的ヒット作品がある反面、売れない作品は全く売れず市場 が2極分化の傾向。人気アーティストの有無がレコード会社の経営に直接影響 (浜崎あゆみ はエイベックス・トラックスの2000年売上の約4割を占める。) 枚数/タイトル CDアルバム1タイトル当たりの平均生産枚数の推移 5,000 4,500 4,000 3,500 (社)日本レコード協会「日本のレコード産業 2001」を元に作成 3,000 3 2,500 1991年 1993年 1995年 1997年 1999年 ③レコード生産金額が1998年をピークに減少 億円 6,500 5,880 6,000 6,075 5,839 5,740 5,696 5,398 5,500 5,192 5,000 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 レコード生産金額の推移 ④インディーズレーベルを含め多数のレコードメーカが存在 ・ 2000年のレコードメーカ数は乱立するインディーズを含め約100社。うちメジャー上位6社売上で 市場の半分を占有 14% エイベックス・トラックス 11% 東芝EMI その他 49% 8% ソニーレコード 7% エピックレコード 5% ワーナーミュージック・ ジャパン 6% ビクターエンタテインメント オリコン年鑑2001を元に作成 4 ⑤中小レコード小売店の減少 ・ 中小レコード小売店が減少する一方で、豊富な在庫、広い売り場の大型複合店や外資系大 型レコード店が増加。 名 2,000 1,500 1,000 500 0 1994年 1996年 1998年 2000年 中小のレコード小売店で組織する日本レコード商業組合の組合員数は組合設立以来一貫して減少している。 5 (3)音楽配信 ①インターネット等による音楽配信にレコードメーカを初め多くの企業が参入。しか し、通信インフラの未成熟、コピー管理等の問題によりユーザが利用し易い環境にあ るとは言えず、多くが事業として利益をあげる状況には至っていない。今後、通信速 度の高速化、通信料金の低廉化に伴い急速に普及することが予想される。 音楽配信サービスの例 配信形態 店頭端末型 インターネット型 サービス名 事業者 特徴 ミュージックポッド ブイシンク 光ファイバーオンデマンド録音 ミュージックデリ メディア・ラグ 衛星配信 デジタルコンテンツターミナル デジキューブ 衛星配信 ビットミュージック ソニー・ミュージックエンタテインメント レコードメーカ初の音楽配信 レーベルゲート ソニーコミュニケーションネットワーク レコードメーカ19社が提携参加 ドゥーブ・ドットコム 東芝EMI レコードメーカ3社が提携参加 ミュージック・シーオー・ジェーピー ミュージック・シーオー・ジェーピー 携帯端末型 エムステージミュージック エヌ・ティ・ティ・ドコモ PHS対応 サウンドマーケット DDIポケット PHS対応 ②インターネット音楽無料交換サービスのナップスターは、米国での著作権侵害訴訟で 敗訴しサービスを停止。一方、ナップスター同様の機能をもったサービスやP2Pのヌー テラ利用者は増加している。 6 (4)CDレンタル ・CDレンタル店の店舗数が1989年をピークに減少傾向にある。一方で、ビデオ レンタル等との兼業化、複合化が進んでいる。 店舗 6,000 5,988 5,491 4,889 4,804 5,000 4,655 4,509 4,460 4,468 4,331 4,116 4,000 3,864 3,000 1990年 1992年 1994年 1996年 1998年 2000年 (社)日本レコード協会調べ (5)カラオケ ・カラオケ参加人口が1994年をピークに減少。 万人 6,500 6,000 5,880 6,030 6,040 5,790 5,760 5,500 5,320 5,260 5,000 5,290 5,080 (財)自由時間デザイン協会「レジャー白書2001」 を元に作成 4,500 1992年 1994年 1996年 1998年 2000年 7 2.課題 (1)ネット上の不正利用対策 ・インターネット音楽無料交換サービスを利用して、違法に音楽ファイルの交換 を行っている国内ユーザは、インターネット利用者全体の5.4%、約100万人と推測 されている (社団法人日本レコード協会等調べ)。音楽のコピー管理等の権利保護対策 が必要。 (2)CD等の海外における海賊盤対策 ・韓国では日本語歌詞のCD等の販売は2000年6月の「日本大衆文化第3次開放」 から除外されているが、日本アーティストものは若者を中心に海賊盤として大量 に出回っている。韓国の海賊盤市場は音楽市場全体の約30%程度あると言われてお り、うち約30%が日本アーティストものと推測されている。 ・台湾の海賊版市場は音楽市場の40%以上あると推測されている。 ・今後とも各国政府に対して海賊盤対策を講ずるよう要請することが必要。 (3)音楽著作権市場の活性化 ・著作権等管理事業法が2001年10月に施行され、JASRAC以外の者が音楽著 作権を管理することが可能となったことから、音楽著作権を管理活用する新たな ビジネスが出現。本ビジネスの出現により音楽産業の活性化が期待される。 8 (4)音楽CD等の再販制度問題 ・ 平成13年3月公正取引委員会は、自由競争政策の観点からは著作物再販制度は廃 止すべきであるが、制度廃止の国民的合意形成がなされていないことを理由に当面は制 度を存置することが相当であると判断。 今後は、再販制度を維持しながらも、消費者利益のため、現行制度の弾力的運用を業 界に求めていく一方、公正取引委員会、関係事業者、消費者、学識経験者等からなる協 議会を設け適切な運用を提案していくこととしている。 (5) 輸入権の設定問題 ・CD価格の内外価格差により、日本音源のCDが海外から流入することを懸念 し、レコード業界は積極的な海外展開が出来ない状況にある。このため、流入を 水際で差し止める「輸入権」の設定をレコード業界は要望している。消費者の利 益、他産業とのバランス及び世界的動向を踏まえつつ検討することが必要。 9