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健診センター
17 健診センター ♦ 1 診療体制と特徴 胃がん検診にも参入し、すべての横浜市がん検診を受 けていただくことが可能となった。 (1)スタッフ構成 さらなるがんの早期発見に努めるとともに、 肺が 健診専任医師2名(消化器病専門医と糖尿病専門 ん・胃がん・乳がんの2次読影委員として精度管理向 医)、保健師2名、看護師2名、課長1名、正職事務 上にも貢献している。 員1名、委託事務員で構成している。 (4)市民への啓発活動 (2)人間ドック 2012年4月に当院が「地域がん診療連携拠点病 受診者の年齢・ 性別や個人的な要望に応じて、 さま 院」の指定を受けたことから、特にがん検診受診と早 ざまな人間ドックを実施している。 1日ドック、 2日 期発見・早期治療の重要性について市民の皆様への啓 ドック、臓器に特化した脳ドック、大腸ドック、肺ドッ 発活動に尽力している。また、予防の大切さについて ク、レディースドックなど、それぞれの受診者のニー 理解を深めていただくために、これまでに胃がん、大 ズに合ったコースを設定している。さらに2013年4月 腸がん、肺がん、子宮がん、乳がん、脳卒中の予防に からPET/CT検査を組み込んだPET/CTスーパーがん 関する「みなと市民セミナー」を開催した。さらに「健 ドックを開始した。オプション検査も豊富でそれぞれの 診センターだより」を年4回発行し、健康に関するい コースとの組み合わせにより一人ひとりのニーズに合 ろいろなテーマについて情報を発信している。 わせた「オーダーメイドヘルスチェック」が可能である。 ♦ 2 がん診療実績 (3)健康診断 横浜市民を中心とする方々の疾病の予防・ 早期発 (1)2005∼2014年度における受診件数 とがん発見数の推移(図1) 見のために、横浜市がん検診(胃・大腸・肺・子宮・ 乳・前立腺)、横浜市国民健康保険特定健診、特定保 受診件数は、人間ドック・健診ともに年々増加して 健指導、横浜市健康診査、横浜市肝炎ウィルス検査、 いる。 福島県民健康調査、被爆者健診、などを行っている。 また、受診件数の増加と受診勧奨・追跡調査の強化 2014年度より、横浜市肺がん検診と内視鏡による の結果、がん発見数も伸びている。 図1 受診件数とがん発見数の年次推移(2005∼2014年度) (人) 10,000 45 9,000 健診 8,000 人間ドック 47 (人) 50 45 40 38 7,000 35 がん発見数 6,000 30 5,000 22 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2927 3162 3194 10 3456 6 3683 3706 4336 4381 4877 6381 25 20 15 11 10 5 934 1395 1567 1495 1491 1552 1679 1845 1965 1835 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 0 2014 (年度) 45 健診センター (2)2007∼2013年度における臓器別が ジ0期とⅠ期で発見されたのは90件(50.6%)で、 ん分析(表1、表2) 半数以上が早い段階で発見されていることがわかる。 がん発見総数は178件であった。部位別にみると、 平均年齢は、 ほとんどの臓器が60歳代∼70歳前半 多い順に大腸、前立腺、乳腺、胃と続く。年次推移で となっている。女性に多い甲状腺と女性特有の乳腺は は、大腸と乳腺が特に伸びている。178件中、ステー 57.0歳、子宮は46.7歳と若年である。 表1 臓器別がん発見数(2007∼2013年度) 臓器 年度 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 合 計 食道 0 0 0 4 1 1 0 6 胃 0 0 1 4 5 5 5 20 大腸 3 2 4 7 15 18 19 68 肝臓 0 0 0 0 1 0 0 1 膵臓 0 0 0 0 0 2 4 6 前立腺 3 2 3 3 7 4 6 28 肺 0 0 1 0 3 0 3 7 乳腺 1 1 0 3 4 9 5 23 子宮 1 0 0 0 1 3 2 7 腎臓 1 0 2 0 0 2 0 5 膀胱 0 0 0 1 0 0 0 1 甲状腺 0 1 0 0 0 0 2 3 耳下腺 0 0 0 0 1 0 0 1 白血病 1 0 0 0 0 1 0 2 10 6 11 22 38 45 47 178 がん発見数 表2 臓器別の詳細(2007∼2013年度) 発見総数(人) 食道 男 女 平均年齢±SD(歳) ステージ分類 0期 Ⅰ期 Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期 不明 6 6 0 67.2±4.5 0 4 1 1 0 0 胃 20 13 7 70.3±10.0 0 14 1 2 1 2 大腸 68 51 17 65.8±11.3 38 9 5 4 3 9 肝臓 1 0 1 64.0 0 0 1 0 0 0 膵臓 6 2 4 67.3±11.5 0 0 0 0 5 1 28 28 0 69.7±7.1 0 4 14 2 1 7 7 6 1 64.0±7.7 0 1 2 2 1 1 乳腺 23 0 23 57.0±10.3 3 9 6 2 0 3 子宮 7 0 7 46.7±15.3 4 2 0 0 0 1 前立腺 肺 腎臓 5 3 2 64.0±6.2 0 1 1 0 3 0 膀胱 1 1 0 71.0 0 0 1 0 0 0 甲状腺 3 0 3 53.7±11.9 0 1 2 0 0 0 耳下腺 1 1 0 69.0 0 0 0 1 0 0 白血病 2 0 2 60.5±2.5 0 0 0 0 0 2 178 111 67 45 45 34 14 14 26 がん発見数 46 65.3±11.6 健診センター (3)2011∼2013年度におけるがん評価指 数の許容値との比較(表3) が施行された。保健医療関係者は横浜市が実施するが ん対策に関する施策に協力し、がん予防に寄与するよ 各がん評価指数は、すべてのがん検診でほぼ許容範 う求められている。 囲内であった。 定期的に検査を行うことにより発見率が上がること を地域住民に啓発することが、予防医学に関わる者の (4)2011∼2013年度におけるがん検診に おける検査別の集計(表4) 使命である。地域医療機関と行政、日赤の他施設と一 緒に活動することにより、1次・2次受診率とリピー 胃については、胃内視鏡検査の方が胃X線検査に比 ター率の向上に貢献したい。 べ発見率が高いという結果だった。また、大腸に関し ては大腸内視鏡検査が便潜血検査より、肺については 胸部CT検査が胸部X線検査より発見率が高かった。 (2)未病産業への参入 「未病」の過程において、疾患の予防・治療を行う だけでなく、心身をより健康な状態に近づけることを (5)学会発表件数 「未病を治す」と言う。この「未病」の概念を地域住 学会発表5題。 民に広め、「未病を治す」 ことの重要性を認識し行動 変容につなげられるよう努めたい。 (一部文章は「未 ♦ 3 今後の展望 病産業研究会設立趣意書」より抜粋) <文責者名:伊藤 美奈子> (1)がん検診受診率向上に関して 2014年10月に「横浜市がん撲滅対策推進条例」 表3 当院におけるがん評価指数(2011∼2013年度) 胃がん 4,151人 大腸がん 8,609人 肺がん 6,918人 乳がん 2,236人 子宮がん 2,053人 59.1±13.0 57.3±12.7 55.1±11.1 53.6±11.1 49.5±13.9 要精検率 (許容値) 4.5% (11%以下) 6.0% (7%以下) 1.0% (3%以下) 11.8% (11%以下) 2.4% (2.5%以下) 精検受診率 (許容値) 82.8% (70%以上) 77.1% (70%以上) 83.6% (70%以上) 91.0% (80%以上) 96.0% (70%以上) がん発見率 (許容値) 0.17% (0.11%以上) 1.66% (0.13%以上) 0.03% (0.03%以上) 0.80% (0.23%以上) 0.19% (0.05%以上) 3.9% (1.0%以上) 9.1% (1.9%以上) 2.9% (1.3%以上) 6.8% (2.5%以上) 8.3% (4.0%以上) 平均年齢±SD歳 陽性反応適中度 (許容値) 検査方法 胃:X線 大腸:便潜血 肺:X線 乳房:触診・MMG 子宮:細胞診 表4 がん検診における検査別集計(2011∼2013年度) 検 査 法 受診者数(人) 平均年齢±SD(歳) 胃X線 4,151 胃内視鏡 3,255 便潜血 大腸内視鏡 胸部X線 胸部CT がん発見数(人) がん発見率(%) 59.1±13.0 4 0.09 56.3±12.1 12 0.37 8,609 57.3±12.7 44 0.53 319 56.3±12.3 4 1.3 6,918 55.1±13.1 3 0.04 601 57.9±10.5 2 0.33 乳房触診/MMG 2,236 53.6±11.1 18 0.80 子宮頚部/細胞診 2,053 49.5±13.9 4 0.19 350 55.3±11.5 1 0.29 2,557 63.5±10.7 17 0.66 子宮体部/細胞診 PSA 47