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感情絵図 - 富山大学 芸術文化学部

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感情絵図 - 富山大学 芸術文化学部
卒業研究・作品
感情絵図
源氏物語は、
とても感情豊かに描かれた物語である。
しかし、元々ある源氏物語の絵
ー源氏物語から読みとる
感情と情景の視覚化ー
表現」に着目し、感情表現のされている言葉を抜き出した上で、その場面での各登場人
巻からは、登場人物の表情を読み取ることはできない。そこで今回、源氏物語の「感情
物がどのような感情を抱いているかを分析していく。
「状況」
と
「できごと」から「どのよ
イラストレーション
h420×w594mm
うな表情になるのか」を文章から読み取り、
「喜怒哀楽」の4グループに分けて、感情を
イラストで表現する。
水野 沙綾
Mizuno Saya
架空の人物に表情をつけて描く際には、そのものの性格付けが必要である。それ
デザイン情報コース
は、性格によって感情表現も異なってくるからである。これまで自分が描いてきた似
顔絵やイラストを分析しながら、感情を表現するには何が必要かを考えていく。その
結果、感情を伝えるためのポイントとして、表情だけではなく、髪型や体の動きが重
要となってくることがわかった。源氏物語に登場する女御や更衣たちにとって、桐壺
帝や光源氏は憧れの存在。それを、ひとりの一般女性に独り占めされた時、他の女性
たちはどのような表情や行動をするだろうか。状況やできごとによって違ってくる表
情を、裏付けとともに表現することを目的とし、この制作を行った。
表情 A
表情 B
表情 C
表情 D
表情 E
表情 F
表情 G
表情 H
状況 A
062
できごと A
できごと B
性格
性格
女御1
桐壺
女御1
桐壺
表情 A
表情 B
表情 C
表情 D
怒
哀
喜
楽
卒業研究・作品
BACK THEN
中国人留学生である私は中国と関連あるものを日本の皆に紹介したいと思い、卒
ーその当時ー
業制作のテーマを中国における生活の営みの調査と伝達に決めた。
どの国においても、それぞれの歴史、伝統と文化を持ち、現在私達が当たり前のよう
李陶
に使用している道具、食べ物などは「その当時」の物を基本として成り立っている。そ
Li Tao
デザイン情報コース
して、時代と町の変遷を見守り続けてきた人と物は大変すばらしいと思い、私が取材
したその当時からあった物や人々などの舞台裏を日本の方々に見て頂き感動させたい
と考えた。
それらを伝える小雑誌としてZINE「BACK THEN」を作成した。
彼らの魂を是非感じてみてほしい。
ページ数:32ページ
063
卒業研究・作品
供花伝書
ー現代における 精神の沈静を目的とした供花の提案ー
日本に伝来し日本化した供花には、荘厳だけでなく「生けた者の精神沈静をする」
という概念が生まれたが、その概念は伝承されることなく時代を経て忘れ去られた。
本来供花の目的は、他者への荘厳や供養だけでなく、自身に対して精神沈静を行う
大判書籍:紙・合皮・デジタル出力
w500×d100×h600mm
事も目的としている。供花に対する制約された考え方を変え、見方を広げて欲しい。
宮原 彩子
を目的とした供花を伝える「供花伝書」と、供花伝書を用いて生花を生けた「静穏供
Miyahara Ayako
デザイン情報コース
このような願いを込め、忘れ去られた「供花の精神沈静」の概念に注目し、精神沈静
花」の提案を行った。
提案する供花伝書には、精神沈静を目的とした供花の歴史・花材・形状・花器・生け
方、そこに含まれる意味等、新たな供花のルールが現代の手法・道具を用いて記されて
いる。花を生ける者は供花伝書から知識を得て、形状や花に含まれる意味を理解した
上で、供花を生けたり鑑賞したりする。知識を得てから行動することで供花に対する
見方が広がり、また、供花の活躍の場がさらに広がっていくことをめざしている。
069
卒業研究・作品
贈り物における思いを伝える
コミュニケーションツールの
研究と制作
ビジュアルデザイン
釈迦の身振りから生まれたという印相(仏像の手の形)には、人々に伝えるべき仏
教の教えや思いが込められている。古来より日本人は手の形や仕草から意図や思い
をくみ取りながら生きてきた。
そのことから私は、思いを効果的に伝える手段としての「手の仕草」に注目した。
また、現代において人々は“ものを贈る”ことで思いを伝える場面が多くあるが、そ
辻 英里加
Tsuji Erika
の思いは多岐にわたり複雑である。
デザイン情報コース
そこで、人々がものを贈る際の意味や思いを分析し、22の動機を導き出し、分類し
た。さらに思いを伝える手の仕草を80例挙げ、その中から22の動機に対応させアイ
コンを作成し、それをもとに贈り物に付属するツールの制作を行った。
このツールを大小問わずどのような贈り物にも添えることで、気軽に思いを伝える
きっかけになればと考えた。
祈り
お詫び
071
卒業研究・作品
見立てによる美しい
並びの研究
龍安寺石庭に訪れると心を静めて庭を静観することができる。日本文化には龍安
ー龍安寺石庭の見え方の再構築ー
われる表現手法が多く使われている。
クリスタルガラス
h100×w200×d100mm
今回の卒業制作では、
『見立て』=心を静めることができる視覚的条件を龍安寺
笠島 未来
正座した状態での庭の見え方を龍安寺の縁側にある6本の柱とその間の計13か所
Kasashima Miki
デザイン情報コース
寺だけでなく、建築、絵画、舞台などにもこのように心に静寂を与える『見立て』とい
石庭から引き出すことで日本文化を現代に応用出来るデザインツールを研究した。
でそれぞれ撮影し、龍安寺に行ったことのある人にヒアリングを行った。その結果を
もとに情報を簡略化し、どの角度から見ても静観できる配置を立体におきかえてクリ
スタルボックスを制作した。
下の図2、3、4はクリスタルボックスのTOP,FRONT,RIGHTから見た時の
情報を分析し、比率化したものに文字を配置した平面に対する応用作品である。
076
卒業研究・作品
線の組み合わせによって生じる
「落ち着かなさ」の研究
大平 茉莉恵
Odaira Marie
デザイン情報コース
日々のストレスの原因は様々ある。卒業制作のテーマを決めるころ、私も強いストレ
スを感じていた。そしてストレスの原因の断片を知りたいと思い、テーマの決定に至っ
た。分野を視覚に絞り、さらにその中でも線の組み合わせによって生じるストレス(落
ち着かなさ)の研究をした。
無限に考えられうる線の組み合わせの中で、範囲を絞らなければ結果を出すことは
できない。そこで自分でルールを作り線の組み合わせを作った。その範囲で生じえた
「落ち着かなさ」の原因を考えた。
077
卒業研究・作品
綺麗における
意味的誤差の視覚化
日本語という言語は、一つの単語が複数の意味を持ち、記号であるアルファベット
とは違い漢字そのものに意味が存在する。今回は日本語の中でも多種多様でポジ
ティブな意味合いを持つ、形容詞の“綺麗”という言葉に注目した。
紙・デジタル出力
まず“綺麗”という漢字の成り立ちと、それを分解した際に出てくる原始的な意味合
坂下 祥子
Sakashita Shoko
いから「形状的な美しさ」と「色彩的な美しさ」が存在すると仮定した。
デザイン情報コース
次に“綺麗”という言葉を13個の意味に分け、それぞれの意味に対して日本人が潜
在的に持っている「形状」と「色彩」のイメージを調査した。また、それら13単語に該
当する英語を当てはめ同じように英語圏の方を対象に調査する事によって、双方が
潜在的に持っている”綺麗”に対する色彩と形状のイメージの違いを明確にできるの
ではないかと考えた。
この調査から得た色彩とイメージ形容詞を元にし、結果をビジュアル表現した。
日本語
綺麗
英語
beautiful
↓
華やか
整った
クリアに聞こえる
清潔
澄んだ
清純
正々堂々と
beautiful, gorgeous
good-lloking
handsome
clear, articulate
limpclean, pure,
hygienicid, serene, fresh
limpid, serene, fresh
sincere, honest
genuine,
fair, clean
open-mind
乱れてない・整った
残り少なく・すっかり
整っている
意味
不正のない
不純物のない
neat, tidy
complete, total
well-constructed
tranceparent
fair
pure, true
↓
形(目に見える)
華やか
整った
beautiful, gorgeous
good-lloking
handsome
クリアに聞こえる
clear, articulate
整っている
well-constructed
乱れてない・整った
不純物のない
neat, tidy
pure, true
↓
英語:日本語
078
心情(目に見えない)
中間
清潔
清純
正々堂々と
clean, pure, hygienic
sincere, honest
genuine,
fair, clean
open-mind
澄んだ
残り少なく・すっかり
意味
不正のない
limpclean, pure,
hygienicid, serene, fresh
complete, total
tranceparent
fair
↓
英語:日本語
↓
英語:日本語
卒業研究・作品
化粧品における
ジェンダーの表現研究
高木 悠理子
近年、ファッションやライフスタイルにおいてジェンダーレス化が進んでいる。身だ
しなみに気を配る男性が増え、女性が使う化粧品を男性も利用するようになった。薬
局のスキンケアコーナーなどでも、男性に向けた化粧品を多く見かける。
Takagi Yuriko
しかし、まだ化粧品は男性向けと女性向けに分けられている。そこで、化粧品メー
デザイン情報コース
カーから販売される化粧水を比較して、その違いを明らかにすることを目的に調査を
行った。化粧水を用いたのは、男女ともにスキンケアの最初のステップであり、種類が
豊富だと推測したためである。化粧品メーカーは、認知度が高く、シェア率が1位であ
る資生堂を対象にした。ボトルシェイプ、ボトル使用色、化粧水の名称をそれぞれ比
較することで、男女に対する表現の違いを調べた。この調査結果をもとに、化粧品開
発を行う方法の一つを提案する。
079
卒業研究・作品
包材に於ける、
機能と心理の研究
カッティングシート・紙・布
h250×w220mm
h190×w170mm
h145×w130mm
池田 美里
Ikeda Misato
デザイン情報コース
プレゼントを開けるとき、欲しかったものが手に入ったときなど、誰もが、わくわく
しながら包みを解いた経験を持っているのではないだろうか。
そこから、開けるとき、人をわくわくさせるポイントは何か考え、当てはまるものを
探した。その中で私はチョコレートの包装に注目し、衛生面・保存性などを持つアルミ
ニウムを使用して、
「人をわくわくさせる包材」を制作しようと考えた。
下着、特に女性用下着は、あまり包装された形で販売されない。また下着売り場は
そこだけ独立したような雰囲気があり、気軽に入れない人も多いようだ。
下着にこの包装を施すことで、開けるわくわく感をプラスし、使用時まで衛生さを
保てる。また、外から直接中身が見えないので、店頭ではコーナーを独立させずに雑
貨感覚で陳列できる。形は、花びらや蕾のようなシルエットで、丸みのある女性らし
い形を意識し、場所を取らず運搬にも便利なスタンディングパウチにした。
パッケージは、
シャツ、
ブラジャー、
ショー
ツの3種類のサイズで制作した。
切り口が左側中ほどについていて、ぴり
ぴりと切り開く。
( 素材はカッティングシートで代用。
実際はアルミ蒸着フィルムの薄いものを
想定。)
Petalは、花びらの意味。蕾が
両側の花びらの模様や色は、
優しく中身を包むイメージ、布の
中身の下着の柄を表す。
ペラリとした様子、スタンディン
無地、ストライプ、水玉の3種
グパウチの薄べったい様子、カラ
類。色は、青、ピンク、黄色の3
フルで楽しい様子、中の下着が
色。色を変えて模様をつけるだ
植物性素材でできていることな
けなので、バリエーションが増え
どから、商品名を決めた。
ても対応できる。
店頭で、いろいろな色や柄が
並び、花壇のようになるのをイメ
ージした。
055
卒業研究・作品
視覚障害者・高齢者のための
食品パッケージの提案
紙・発泡スチロール
牧野 あかね
Makino Akane
デザイン情報コース
視覚障害者(全盲者や弱視者、色覚障害者等)や高齢者の誤認・誤飲食を防ぐことを目
的とした食品パッケージを提案する。
①スーパーマーケットの売り場にユニバーサル商品コーナーの設置企画をする②ユニ
バーサルなパッケージを各スーパーマーケット・食品企業に提案し賛同できる企業を募
る③食品企業の商品をユニバーサル食品売り場で販売する。提案するユニバーサル
パッケージは触覚で認知しやすいように食品の種類や味によって形状・切り欠き数を規
定する。また、文字情報も文字サイズ、フォント、配色、配置位置を規定する。
今回は同じパッケージに中身が異なるモノが入っている、また匂いで識別しにくい即
席麺・ペットボトル飲料のパッケージを制作した。開けやすさにもこだわり、軽い力で開
封できるような工夫も行った。
056
卒業研究・作品
「おどろき」
の法則化とその考察
視覚デザイン・パネル・塩化ビニル
h186×w127×d71mm
市川 晴華
Ichikawa Haruka
デザイン情報コース
人は、
常に少し先を予測して生きており、
それに反した時「おどろき」が生まれます。
日々の生活には、無数の「おどろき」があります。(世の中は驚きであふれてい
ます!)
このさまざまな「おどろき」も、実は法則によってできているのではないか、と
いう仮説を立て、17の法則に分類しました。
私の目的は、この「おどろきの法則」を、分かりやすく人に伝え、使ってもらう
ことです。驚きは人に刺激を与え、興奮や楽しさを生みます。さらに、記憶に残ら
せることができます。この法則を使うことで、どんなものでも驚きに変えることが
できるのです。日常を少し「ポジティブな」驚きに変えることで、世の中が少しず
つでも楽しくなればいいな、と思います。
また、これを分かりやすく説明するために、法則をコンセプトとして考えた「コ
ンセプト弁当」を制作しました。
059
卒業研究・作品
おまけの文化と
意義の考察
h210×w150×d4mm
登峠 真里奈
おまけ商法は江戸時代、越中富山の薬売りが始めたといわれている。薬と共に貰え
る紙風船や売薬版画などのおまけは、情報やものがない時代に大変喜ばれた。
おまけを付けるのは売り手だ。
“商品にこんなおまけが付いていたらお客さんは
もっと喜ぶのではないか…”という買い手に対する“心付け”が形になったものがおま
Totouge Marina
けである。そんな心付けが時代の流れと共に急激に変化し、現在では商業目的になっ
デザイン情報コース
ているおまけがよく目につく。商品とおまけの関係が薄くなり、本来の“心付け”とし
てのおまけの姿がかすんでしまっている。
そこで商品におまけを付ける意義を考察した。そして考えられる意義を12のカテゴ
リーに分類した。これは、ある商品を売り出す際に、意義を成すおまけを考えだす
きっかけとなる。この考えから生まれたおまけは、必ず意義を持ち、本来の“心付け”
としてのおまけの姿になるのだ。
また、その事例として「本」にあてはめて考えられる12のおまけを導きだした。
065
卒業研究・作品
Matara
布にプリント
h4000×w1108mm
高尾 楠菜子
Takao Nanako
デザイン情報コース
フィンランドへの交換留学の経験から、日常に根ざした北欧のデザインに興味を持っ
た。その中でも空間のイメージを大きく変化させる効果を持つインテリアテキスタイル
デザインに特に心引かれ、そのヴィジュアル制作に取り組んだ。フィンランドの国民的
なテキスタイルブランドであり、世界中で愛されているmarimekko社のテキスタイルデ
ザインを研究対象とし、フィンランドの歴史、モチーフの題材、表現方法、配色など多方
面から調査、考察をした。研究から、豊かな自然のモチーフ、日常生活で布として使え、
かつ絵画として飾れる作家性の高いデザインがブランドの魅力を支えているということ
を理解した。それらをふまえ、日本人としてmarimekkoのデザインを行うとしたら、とい
う仮定をし、自らのルーツに関わりの深い植物紋である茗荷紋をモチーフにヴィジュア
ルを制作した。茗荷は神仏の加護を意味する冥加に音が通じ、また仏教の守護神、摩多
羅神の象徴ともされ、古来から縁起の良いものとされてきた。marimekkoの魅力をふ
まえながら、オリエンタルなエレメントでのヴィジュアル制作に挑戦した。
055
卒業研究・作品
かなしらべ
ひらがなは、漢字を元にして、より使いやすい文字としてつくられたものである。日
ーひらがなの形と、それができる過程
についての研究・制作ー
本人の工夫からできたひらがなたちは、漢字から変化するにあたり、なるほど納得と
パネル・小冊子・フラッシュムービー
そこで私は、字形の変化の過程を見て感じた納得感が、どのような変形方法によっ
青木 美沙
Aoki Misa
デザイン情報コース
思わせる過程を示していた。
て形成されているのか探ることを目的とし、研究を行った。
研究内容は、ひらがな1文字ずつ、漢字からの変化の過程を調査する。そこで使わ
れている変形の方法をルールとしてまとめる。実際に動いて文字が変化する様子を見
てもらうため、Flashを用いた動画を作成する。つくったルールを利用して、また別の
漢字をひらがなにしてみる。この4本で構成されている。
いつも使っている「ひらがな」という文字を、元になった漢字と共に、改めて観察し
てもらいたい。そして、その形の変化を楽しんでもらえると嬉しい。
赤
056
卒業研究・作品
「きになるもじ」
本研究・制作は、文字の可読性の限界領域を決める調査方法と、完成した文字の
ー隠すという行為による
文字の可読性とデザインの可能性ー
応用例を提案したものである。「本来あるべきものがない」という状態は、人の興
タイポグラフィ制作
は、この表現を使って、人の興味を引く今までにない作品を作りたいと感じた。そ
澁谷 結香子
Shibuya Yukako
デザイン情報コース
味を掻き立てる。広告表現においても、昔から用いられる手法の一つである。私
こで、普段当たり前の様に使っている平仮名を、可読性を残したまま、ぎりぎりま
で隠すことで、より魅力的なタイポグラフィを作ることができるのではないかと考
えた。1文字あたり10人程度の被験者で64通りの隠し方をFlashで制作し、動画を
用いて調査を行った。調査結果から、その文字の構成要素を分け、どの部分が見え
ていないと、認識できないかという、文字の特徴を見つけ出し限界領域を決定し
た。そして、決定した文字を使って、視覚デザインの新たな可能性を、立体作品と
映像を使って提案した。見たいのに、全部は見せてくれない。しかし、伝えたいこ
とは伝わる。そんな「きになるもじ」が出来たと思う。
057
卒業研究・作品
サ二タリーにおける
デザインと心理の関係
女性のストレスの要因の一つに「月経」がある。思春期の初経発来以後、閉経まで
ー家庭用初経教育キット
『ミモザの月』
の制作ー
一方で、月経周期や、自分の月経の傾向を知ることは、体の状態を正しく認識するこ
紙・布
h70×w235×d280mm
女性は多くない。それは、前述の要因もあるが、初経初来時の母親や周囲の反応が適
香川 愛
の初経教育より以前に、適切な教育を家庭で実施できるよう、初経教育キットを制作
Kagawa Megumi
デザイン情報コース
約40年間毎月発来する月経は、その前後の月経随伴症も含め、大変煩わしいものだ。
とや、自分の特徴を理解することにもつながる。しかし、月経を肯定的にとらえている
切でないと、以後月経を否定的にとらえてしまいがちになるからだ。そこで小学校で
した。月経 や 体の成長、命について描かれた絵本、ナプキン、ポーチ、サニタリー
ショーツ、メッセージカードが一つのパッケージに収まることで、親子間の信頼関係を
生むコミュニケーションが促され、親と子が一緒に学んだ後、子供だけで初経が発来
したときでもこれを開けば対応できる仕組みになっている。また、絵本を読むだけで
自然に知識を与えることができるので、父親でも娘に教育することができる。
059
卒業研究・作品
日本の伝統色と日本語の関係性
についての考察
ー七十二候カレンダーー
h300×w600mm
髙橋 那奈
Takahashi Nana
デザイン情報コース
「色」と聞くと人はまず、その色相を思い浮かべると思う。しかし私は日本における
伝統色について「色相」ではなく色名という「文字」の観点で、研究および考察を行って
きた。結果、
「色名」から色の色相、意味(由来)、色を作るために必要な染料、色が生ま
れた時代背景等、様々な情報を得られるということが分かった。
私はそれらの情報の中から「色の生まれた時代」について更にスポットをあてた。
特に江戸時代は、庶民によって多くの色と、その色に似合った色名が作られたという
こともあり、特に興味深かった。
そこで、私は江戸時代に生まれた多くの色、そしてその名前や意味といった情報を、
1年を72に分割した言葉である「七十二候」にあてはめ、カレンダーという形で表現し
てみたいと考えた。
062
研究生作品
雨晴ブランドの一考察
立山曼荼羅をモチーフとした
お土産のデザイン
紙・デジタル出力
h420×w420mm
矢木 麻美
Yagi Asami
研究生
昨年の卒業制作に引き続き、高岡市のお土産と「雨晴ブランド」についての研究を
行いました。
「雨晴ブランド」とは、景色を見る、文化を感じる、歴史に思いを馳せる、
など、高岡で体験出来るさまざまな事柄を「とおくを想う」というキーワードで表現し、
その体験を「お土産」として持ち帰ってもらうためのプロジェクトです。
今回の研究制作では、雨晴海岸で売るお土産として、日本酒とお猪口のセットを考
案しました。海岸から望む立山連峰をモチーフに、雨晴に「ちいさな立山」の世界を
表現しています。立山に古くから伝わる山岳信仰にヒントを得て、その教えを絵解き
するために用いられた「立山曼荼羅」をメインビジュアルとして制作を行いました。
立山曼荼羅の宗教観や自然観を、パッケージを積んで組み合わせることで表し、箱
は3種類に色分けされ、それぞれが「天界」
「地界」
「人間界」の層になっています。雨
晴で立山が見えないときも、売り場そのものが曼荼羅の世界を表す事でとおくの山
のもつ歴史文化をお酒とともに楽しむことのできるお土産です。
147
卒業研究・作品
新しい贈答の形の提案
私は親が子どもに貰った贈り物に対する、お返しの機会をデザインしました。七五
紙・箸・デジタル出力
w270×d210×h17mm
w210×d135×h17mm
らの子どもの健全な成長を願って贈られるものです。この気持ちに対して「子どもの
三、誕生日、入園、入学、卒業。お返しの機会は成長の節目に訪れ、その多くがこれか
成長を伝える」ことが一番のお返しとなると考えました。
中道 薫
「子どもの成長を伝える」手段として、実際に「会う」ことは何ものにも代え難い機
デザイン情報コース
会です。
「会う」という手段の要素を抽出し、
その中で成長と健康をより感じられる「一
Nakamichi Kaoru
緒に食事をする」ことに着目しました。
ここで提案するのは、
お返しの贈り物に子ども用の箸を付けることで「今度会った時、
また一緒に食事しようね」というメッセージが伝わるという仕組みです。
「会う」とい
う手段をモノに置き換えることで、
「子どもの成長を伝える」という目的を達成させま
した。実際にこれを実現させる場として、ショッピングセンターや百貨店での販促イ
ベントを想定し、箸のパッケージの他に店頭での認知を促すツールを制作しました。
046
卒業研究・作品
ファンデーションは直接地肌全体に塗布することから、肌への影響力が大きい。し
ファンデーションと体質の
相関関係の表現研究
かし、現在の市場に出回るファンデーションは、リキッドやパウダーなどのタイプや、
仕上がりの質感、価格帯などが多様化しており、とにかく種類が多い。その中で、ユー
バインダー B5判
パッケージ・紙 w40×d40×h140mm
ザーは「自分に適したファンデーション」を選び出せていない。また、調査の結果、
現在の化粧品業界は西洋思考が強いことがわかった。
永森 陽子
Nagamori Yoko
そこで東洋思考を利用し、自分の体質を診断できるカルテを考案した。体質診断
デザイン情報コース
結果から、最も適したファンデーションを選び出すことができる。カルテでは、漢方
の美容システムをビジュアライズすることで、ユーザーとのコミュニケーションを図っ
ている。さらに、体質に応じたアイコンをつくり、色分けすることで、パッケージと
の関連性を持たせ、より商品を選びやすくしている。
燥
熱
実
湿
寒
虚
047
卒業研究・作品
菓子の遊び
和菓子には、特定の空間、集団における共通認識のテーマを意匠に用いることで、
紙・デジタル出力
w150×d220×h35mm
を基盤として、集団の連帯感を促進させる役割が存在する。
西岡 施海
この和菓子と遊びの二つの点から、ある集団の共通認識を抽出し、それを菓子に
Nishioka Sekai
デザイン情報コース
抽象的な表現の中に趣を感じさせる仕組みが存在する。また、遊びには、共通認識
関係するデザインとして応用することで、その集団の連帯感を高めるコミュニケー
ションツールとしての菓子が出来るのではないかと考えた。そこで、特定の集団を
芸術文化学部の一期生と設定し、この集団における共通認識とは何かを調査した。
そこから得た「星空」
「つながり」をモチーフとして、調査で得たキーワードをグラ
フ化、ダイアグラム化することで生まれるビジュアルを、菓子のパッケージデザイ
ンに用いた。
048
卒業研究・作品
「おいしい」を表現する
ー豆乳野菜ジュース「cheer」の提案ー
人が入れてくれたコーヒーや、勉強の息抜きに食べるお菓子はおいしい。このよう
に、同じ食べものでも特においしいと感じる時がある。そのおいしさを作るのは、そ
こに込められている激励や慰安の気持ち―cheer の精神―ではないだろうか。そこで、
丸山 陽子
Maruyama Yoko
デザイン情報コース
cheer の要素を食べものに取り入れることによって「おいしい」を表現する試みを行う。
cheer を表す媒体として、豆乳野菜ジュース「cheer」を提案する。五色の食材を組
み合わせて栄養バランスをとる和食の考え方から、赤・黄・緑・紫の野菜それぞれに
白要素である豆乳を加えた 4 種のジュースを販売する。商品コンセプトは「心と体に
チカラを」
。色の心理的効果と野菜の身体的効果をふまえ、自分に足りないものを補う
栄養補助飲料として提供したい。
ひと仕事終えた自分に心が落ち着く緑の「cheer」を、落ち込んでいる友人には明る
い気分になれる黄の「cheer」を。選択動機は様々だが、飲む人の心身状態を考慮して
cheer の気持ちを込める。そこに「おいしい」が生まれるのである。
053
卒業研究・作品
おみやげ開発 concept「神社」
「とおくを想う」をコンセプトに、デザイナーのみなさんと並走して商品開発を
ーとおくを想うー
行いました。「土産」のルーツである「宮笥(みやけ)」から日本のおみやげ文化の
紙・デジタル出力・和菓子
w100×d100×h25mm
w200×d100×h25mm
原点が寺社詣でにあることを発見し、それを高岡で活かそうと考えたのが今回の提
案です。名勝地である雨晴海岸を神社に見立て、雨晴神社という架空の空間を想定
しました。ご神体は海上の立山連峰です。併せて、北陸地方に伝わる立山信仰を神
矢木 麻美
格化したものとして立山曼荼羅が安置されています。雨晴で先人の信仰を想い、対
デザイン情報コース
岸の立山を仰ぎ見ることによって目前の日常から解放され「とおくを想う」ことが
Yagi Asami
できる。そして、そこに供物として供えられた和菓子をおみやげとして持ち帰る。
これは雨晴での体験、更に文化そのものを持ち帰ってもらうことになるのではない
でしょうか。過去から現在にかけておみやげの意味は変容してしまったように見え
ますが、本質的にはなんら変わっていません。そこには旅による心の安らぎと、体
験や文化を持ち帰り分かち合うことによって生まれる、感動の共有があるのです。
055
卒業研究・作品
子どもの五感を刺激する
知育玩具の制作
子どもにとって、毎日の日常生活は学習である。
ー音を聴きわけるー
ような、ガラガラのようなおもちゃ。振ると、さらさら・からからと音がする。
ブナ・ポアーステイン・リボス
w40×d40×h40mm 10
高島 由貴
Takashima Yuki
造形芸術コース
そのような日々の中に、ちょっとした楽しみを与える、様々な音のするマラカスの
ぜひ、耳をすまして聴いてみてほしい。
ささいな音の違いを聴き分けようとすることで、いつもよりも耳をすます。すると、
脳の処理回路が増え、聴こえる音程・音色の幅は自然と広がる。また、聴きとろう
と一生懸命になることにより、集中力も養われる。対象は1歳以上の子どもである。
同じ色の積み木同士は同じ音色、5種類の音色を聴きわける。同じ色の積み木を
見つける楽しい遊びもできる。お友達に積み木を1つ渡して、音を聴いてもらってほ
しい。自分は積み木を2つ持ち、背中で隠して振る。「左、右、どっちだ!」そう言うと、
お友達は考え始める。
「右!」お友達が持っている積み木と、自分が持っている積み
木が同じ色ならば正解である。
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