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第 8 章 進出形態及び考慮すべき規制等
第8章 1. 進出形態及び考慮すべき規制等 進出形態(会社、支店、駐在員事務所等) 外国企業がミャンマーに進出する方法としては、以下のような形態によることが考え られる。 (1)100%外国資本による企業の設立 (2)ミャンマーの国営企業・民間企業又は個人との合弁企業の設立 (3)支店/駐在員事務所の設立 (4)パートナーシップの締結 (5)ローカル企業との提携 (1)100%外国資本による企業の設立 外国企業による全額出資のミャンマー法人を設立する形態で、法人格は、ミャンマ ー国内法に基づく現地法人となる。税務上は、居住外国人(Resident Foreigner)と 区分され、全世界所得に対して課税がなされる。また、株式会社などの有限責任形態 の会社形態を採用することにより、間接有限責任を確保することができる。(株式会 社については、第9章 会社設立を参照) (2)ミャンマーの国営企業・民間企業又は個人との合弁企業の設立 外国企業又は外国人とミャンマー国民又はミャンマー企業(民間又は国営)との合 弁企業を設立する形態で、法人格は、ミャンマー国内法に基づく現地法人となる。税 務上は居住外国人(Resident-Foreigner)と区分され、全世界所得に対して課税がな される。また、株式会社などの有限責任形態の会社形態を採用することにより、間接 有限責任を確保することができる。 なお、合弁相手が民間企業の場合には、ミャンマー会社法(The Myanmar Companies Act、以下、特段の指定がない限り本書において「会社法」という。 )に基づいて設立 することになり、国営企業の場合は特別会社法(The Special Company Act 1950)に 基づく。 (3)支店/駐在員事務所の設立 会社法に基づいて、外国で設立された法人の支店(Branch Office)をミャンマー 国内に設立する形態。法人格は外国企業(親会社)となり、税務上は非居住外国人 (Non-Resident Foreigner)に区分される。支店として設立した場合、ミャンマー国 内所得に対してのみ課税がなされる。また、外国企業自身が支店の債務について直接 無限責任を負う事になる。 駐在員事務所(Liaison office) の設立は、支店と同様に会社法に基づいて申請手 続を行う。外国会社の駐在員事務所として進出したとしても、会社法では駐在員事務 25 所に関する規定はなく、銀行や保険会社を除いて支店として扱われる。 なお、 (1)、 (2)及び(3)の形態による場合、外国投資法(Foreign Investment Law (詳細については、第 11 章 2.参照) )の適用を受けることが可能。 (4)パートナーシップの締結 ミャンマーの国内企業と組合契約を締結し、事業を展開する形態。国営企業が従事 しており現地法人の設立が認められにくい分野(天然ガス・石油・鉱物といった資源 開発など)において利用される。ミャンマー国営企業と生産分与契約を結ぶケースが 代表例で、開発品は契約上の割合で分与される。この形態による場合も、ミャンマー 国内源泉所得に対してのみ課税がなされ、また、契約当事者である外国企業自身は債 務に対して直接無限責任を負う。 (5)ローカル企業との提携 現地企業に生産設備や機械を貸与又は販売し、原料を供給し、生産された製品を輸 出する形態、いわゆる委託加工貿易が一般的。ミャンマー人もしくはミャンマー企業 を現地ビジネスの代理人として指名し、駐在員事務所を開設することも可能。この場 合、代理人契約書と任命書を作成の上、商業省に登記する必要がある。また、ミャン マーでの課税は、ミャンマー国内源泉所得に対してのみなされる。 図表 14 進出形態と特徴のまとめ 進出形態 課税関係 外国企業の責任 外国投資法の適用 (1)100% 外 国 資 本 に よる企業の設立 全世界所得に対して 課税(※1) 間接有限責任 が可能 ○ (2)合弁企業の設立 全世界所得に対して 課税 (※1) 間接有限責任 が可能 ○ (3) 支 店 / 駐 在 員 事 務所の設立 ミャンマー国内を 源泉とする所得に 対して課税 直接無限責任 ○ (4) パ ー ト ナ ー シ ッ プの締結 ミャンマー国内を 源泉とする所得に 対して課税 直接無限責任 × (5) ロ ー カ ル 企 業 と の提携 ミャンマー国内を 源泉とする所得に 対して課税 − × (※1)外国投資法に基づいて設立された場合には、原則としてミャンマー国内源泉所 得にのみ課税される。 26 2. 進出にあたり考慮すべき規制及び法律 外国企業がミャンマーに進出するにあたっては、次のような点を検討した上で意思決 定をすることが必要と考えられる。 (1)外資に対する規制 ① 外資参入可能分野に関する規制 イ. 民間企業の参入が制限される分野 天然資源の採掘や航空、鉄道、通信といったインフラ関連等の 12 業種につい ては、国営企業法(The State-Owned Economic Enterprise Law)により、民間 企業の参入が制限されている。 ただし、ミャンマー政府の許可があれば民間企業の参入も可能であり、天然ガ スの採掘プロジェクトやマンダレー航空(国営ミャンマー航空とシンガポール企 業の合弁)等がその例としてあげられる。 参入が制限される主な業種は以下の通りです。 • チーク材の伐採とその販売・輸出 • 家庭消費用薪材を除く全ての植林及び森林管理 • 石油・天然ガスの採掘・販売 • 真珠・ひすいその他宝石の採掘・輸出 • 魚・海老の養殖 • 郵便・通信事業 • 航空・鉄道事業 • 銀行,保険事業 • ラジオ・テレビ放送事業 • 金属の採掘・精錬と輸出 • 発電事業 • 治安・国防上必要な産品の生産 ロ.所管官庁の許認可を要する分野 下記の事業を行うに当たっては、事前に関連官庁から許認可を得る必要がある。 (イ) ホテル業又は家屋賃貸業 事業を始める前にホテル・観光省(Ministry of Hotel and Tourism)への 事前承認に基づき、ホテル・観光局に事業許可(ライセンス)を申請する。ラ イセンスは 2 年間有効で、申請により延長が可能。 (ロ) 観光業 旅行企画・運営業、旅行代理店、旅行運送業、ツアーガイドを行おうとする 会社又は個人は、ホテル・観光省から事業許可を取得しなければならない。ラ イセンスは 2 年間有効で、申請により延長が可能。 (ハ) 金融業 27 金融業には商業銀行、投資銀行又は開発銀行、ファイナンス会社、信用組合 等が含まれる。国営、民間共同事業、民間のいずれによる場合でも、金融業を 興そうとする者はミャンマー中央銀行の事前許可を取得しなければならない。 外国の金融業者(銀行を合む)が駐在員事務所を開設する場合も中央銀行の事 前承認が必要。 (出所:ミャンマービジネスガイドブック(2011-2012) ヤンゴン商工会議 所/JETRO) ハ.その他 2002 年以降、外国会社が貿易業として企業登記することが凍結されており、 現状はミャンマー会社しか貿易業として登記することができない。ただし、ここ で言う貿易業はいわゆる農水産品等の物品貿易取引を対象としたものであり、委 託加工業者(CMP Company:Cutting Marking and Packing)及び製造業者の場合 は、外国企業であっても、原材料、加工品等の輸出入は可能です。 ② 土地の使用に関する規制 イ. 土地に関する法制度 ミャンマーにおいては、一部の例外はあるものの、土地の大半は国有地である。 そのため、民間人が土地を利用する場合には、政府よりリース形態で土地使用権 を取得することになる。土地取引に関連する主な法律は以下の通り。 • 財産移転法(The Transfer of Property Act 1882 年施行) …土地の譲渡、賃貸借などの土地の権利変動について定めた法律 • 不動産譲渡規制法(The Transfer of Immovable Property Restriction Law 1987 年施行) …土地取引に関する外国人との関係を定めた法律 ロ. 外国人及び外国企業に対する土地規制 不動産譲渡規制法により、外国政府等に対する場合や別途認められた場合を除 き、外国人や外国企業に対する不動産の譲渡は禁止されており、また外国人及び 外国企業に対しては 1 年以上の土地の賃貸を行うことも禁止されていた(不動産 移転規制法 3 条、4 条)。 なお、2011 年 9 月 30 日付の「土地借用に関する通達」 (2011 年 39 号(The Union Government Notification No. 39/2011))により不動産譲渡規制法が改正され、 従来は政府から直接国有地を賃借することしかできなかった外国人及び外国企 業も、ミャンマー投資委員会(Myanmar Investment Commission、以下「MIC」と いう。)の認可に基づいて、民間所有の土地を賃借することが可能となった(同 通達 3 条)。 28 ∼「土地借用に関する通達」のポイント∼ ①MICの認可により、外国企業は以下の土地に関する使用権取得が可能にな った。 ● 政府所有の土地 ● 政府機関所有の土地 ● 民間所有の土地 ②土地の賃借期間は最大30年とされ、事業の種類、投資額によっては、15 年の延長が2回まで可能(合計で最大60年間) 。 なお、2012年11月2日制定の外国投資法(2012年連邦議会法律21号) では、外国企業の土地使用権については、賃借期間は最大50年間で、10 年の延長が2回可能とされた(合計で最大70年間)。 ③MICへの申請には、土地の権利者の同意書や中央政府または地方政府の許 可書等を添付して提出する必要がある。 (政府機関所有の土地の場合は、政 府機関の許可書も添付) 上述の通り、外国人及び外国企業に対する土地規制は緩和されつつあるも のの、依然として土地の所有権は認められていない。従って、外国企業がミ ャンマーで事業を行う際には、政府等から土地使用権を取得し、工場・事務 所等を建設することになる。 (2)外国投資法に基づく進出と会社法に基づく進出 1 の(1)∼(3)の進出形態を採用する場合、外国投資法の適用を受けることがで きる。ただし、外国企業とはいえ、必ずしも外国投資法の適用が義務付けられている 訳ではないので、外国投資法の適用を受けないことも可能。 外国投資法に基づいてミャンマーに進出した場合と、会社法に基づいて進出した場 合の申請方法及びメリット・デメリットは以下の通り。 29 図表 15 申請方法及びメリット・デメリット 適用法 申請方法 外国投資法 を適用 1.MIC に投資許可を申請し、外国 投資法に基づく投資許可を受け る 2.国家計画・経済開発省の投資・ 企業管理局(DICA)から営業許 可及び法人登記の承認を受 け る。 一般に、 ミャンマー投資委員会認 可会社(MIC Permitted Company) と呼ばれる。 会社法を適 用 1.MIC の許可を受けずに、DICA からの営業許可及び法人登記の 承認のみ。 MIC に対する申請手続きが不要と なるため、設立手続が少なく、比 較的短期間での会社設立が可能。 3. メリット デメリット 優遇税制や土地 の長期リース 等、外国投資法 に基づく各種優 遇措置の適用可 能 ・設 立 手 続 が 煩 雑 ・ミャンマー人 労働者の雇用 義務 ・ 設立手続が 簡 便 ・ ミャンマー 人 労働者の雇 用 義務はない 優遇税制など外 国投資法に基づ く優遇措置の適 用不可 進出に関する留意点 (1)インフラの脆弱性に関する留意点 ミャンマーにおいては、電力、交通、通信等、インフラが全般的に未整備となって おり、近隣諸国に比べても大きく劣っている。 ① 電力インフラについて 供給される電力は水力発電が中心。乾季には大規模かつ長期間の停電が発生する ため、進出する企業の多くは自家発電機を保有することで対応している。このため、 製造業の進出も縫製業などの軽工業にとどまっているという指摘がある。 ② 交通インフラについて 交通については、ヤンゴン−マンダレー間などネットワーク上重要な幹線道路は 整備されているものの設備の老朽化が進行しており、特に遠隔地に行くほど整備状 況は悪くなっている。また、交通網の拡張や改良も遅れている。港湾、空港につい ても、予算上の制約から十分な整備が行われない状況が続いている。したがって、 進出する企業にとっては、物流面で大きな課題となるといえる。また、舗装状況が 良くないことから、自動車の修理、整備が頻繁に必要となる。 30 ③ 通信インフラについて 通信事情として、携帯電話の普及は進んできているものの、インターネット環境 としては、有線ブロードバンド普及率が ASEAN 近隣諸国内でも最も低い数値となっ ている。通信回線の供給が不十分で、電力事情も悪く、通信環境は不安定。 (2)人事労務関係に関する留意点 ミャンマー進出を検討するにあたり、その誘因の一つとして人件費の安さがあげら れる。ただし、賃金水準は上昇傾向にあることや現地労働者の質の問題、さらに現地 の人材不足が留意点としてあげられる。 ① 現地労働者の賃金水準について 現状、ミャンマーにおける管理職や事務職の賃金は、ともに他のアジア諸国と比 較して安価であり(図表 16)、外資企業が進出するにあたって魅力的な要因となっ ている。しかし、近年は賃金も大幅に上昇傾向にあり(図表 17) 、ワーカークラス の賃金はカンボジアに近付いている。 図表 16 製造業における月額賃金の国別比較 単位:ドル 比較項目 ヤンゴン プノンペン ホーチミン ビエンチャン (ミャンマー) (カンボジア) (ベトナム) (ラオス) 53 74 148 132 エンジニア(中堅技術者) 138 298 297 336 中間管理職(課長級) 433 563 653 410 スタッフ(一般職) 236 297 440 321 マネージャー(課長級) 668 1,088 1,222 1,109 ワーカー(一般工職) 図表 17 通貨別・職務別賃金水準の推移 単位:ドル/チャット 月額/ 年 1996 1998 2000 2002 2004 2010 2012 7,750 11,000 15,000 25,000 35,000 100,000 150,000 6,000 8,000 10,000 16,000 25,000 70,000 85,000 250 220 200 160 180 350 400 150 120 100 80 120 160 195 中央値 チャット 初級管理 払い 職 事務職 米 ド ル 初級管理 払い 職 事務職 出所:ミャンマービジネスガイドブック(2011-2012)ヤンゴン日本人商工会議所/JETRO ヤンゴン事務所 (元出所:Myanmar Survey Research Salary Survey 2012) 31 また、2011 年に労働組織法が公布されたことによって労働者の権利意識が高ま り、これまで禁止されていた労働組合の結成やストライキ権の行使が一定の要件 を満たせば可能となったため、各地の工場で賃上げ要求のストライキが頻発して いる。今後も賃金上昇がさらに続くなど、労働者の権利の行使がミャンマーでの 事業展開の弊害となる可能性がある。 ② 現地労働者の質について イ. ミャンマー人の気質 ミャンマー人労働者の気質としては、一般的にはポジティブである。例えば、 伝統的な仏教国であり、宗教倫理が浸透しているため穏やかで治安が良い、誠 実で人がよい、非常に親日的である、等の点が指摘されている。 他方で、次のような点も指摘されている。 • 年功序列が厳しく、上司の力は絶対的である 従順温和で命じられたことには良く従うが、指示に対して取りあえず Yes と言う傾向がある。このため、実際にはわかっていないことも多く、またで きないことにも取りあえずできると回答していることが多いようである。相 手が理解しているか、相手の能力に応じて本当にできる仕事かどうかをよく 確認する必要がある。 • プライドが高くメンツを重んじる傾向にある 東南アジアの他国と同様に、褒めるときは大勢の前で、叱るときは別室で という配慮が必要。また、義理人情に厚い反面、仲間内の不正やミスをかば い合い隠されることもあるため注意が必要。他方で、チームワークは苦手で 自分の知識やノウハウを共用しようとしないという指摘もある。無断退職、 無断転職が日常的に行われていることも課題である。 • 企業への帰属意識が希薄である ジョブホッピングを繰り返す者もいる。 以上のような特質に鑑み、ミャンマーに進出する企業としては、事業開始時 の就業規則の作成にあたり信賞必罰を明確にすることや、雇用契約の締結にあ たり万が一の際の解雇条件を明確にすることなどが留意点として考えられる。 なお、労働者保護に関する法律には様々なものがありるが、ローカル企業によ る遵守状況は芳しくないようである。 ロ. 労働定着率 労働定着率についての一般的な統計はないものの、外資系の縫製業の例では 一月あたり従業員の 10%程度が入れ替わることも珍しくないようである。なお、 地場の工場に関しては 4∼5%程度という調査結果もある。その意味では、外資 系よりも地場企業の方が定着率が高い可能性もある。 32 ハ. 労働者の権利と雇用側の対応 これまでミャンマーでは、遅刻や欠勤、不服従、軽微な備品の盗難等の細か な労務問題は頻繁に発生していたものの、それらが裁判や労働争議にまで発展 するようなことはほとんどなかった。特に労働争議に関しては、旧軍事政権下 において組合活動が禁止されてきたことも大きく影響している。 しかし新政権後の政策変更により労働争議に関する環境は一変した。まず法 環境の変化として、新政権移管後の 2011 年 10 月に労働組合法が改正された。 これにより、労働組合の活動や権利に関する規則が緩和され、これまで禁止さ れていた労働組合の結成やストライキ権の行使が一定の要件を満たせば可能と なった。以上の一連の政策変更後、2012 年には各地の工場で賃上げ要求のスト ライキが頻発し、特に韓国系・中国系の工場で多発しているようである。これ までミャンマーにおいては労働争議については懸案事項ではありませんでした が、日本の投資家にとっても今後は労働争議を一つの注意事項として認識する 必要がありる。特に、これまで禁止されていたものが一気に自由化されている 状況であることから、労働争議についても法に則った手続きもなく進められて いる事例が多いことが問題として挙げられている。なお、過渡期の混乱が見ら れるものの、ストライキの中心は縫製工場の女性達であるため、これまでのと ころはそれほど暴力的な行為があるわけではない。 法制度との関係では、日当たりや週当たり労働時間、残業代の水準、休暇等 に関する労働者の利益を保護する枠組が整備されているものの、実態としては 地場の企業においてはこれらが遵守されていないのが通常である。また、社会 的にも特別に問題視されているわけではないのが実態のようである。しかし、 外資系企業としては、不当労働行為として提訴されることも想定しうることか ら、十分な留意が必要。 ニ. 管理者・技術者の不足 ミャンマー国内の労働力は国全体としては供給超過にあるものの、中間管理職 の人材や技術者が不足している状況にある。 その理由としては、これらの労働者の海外への流出があげられる。若手技術者 は国内で就職先が見つからないために海外に職を求め、また、経験を積んだ管理 者や技術者は国内での待遇に不満を持ち海外に流出しているとのことです。 ミャンマーに進出する外資企業としては、ミャンマー国内における優秀な管理 者や技術者の不足に対応するため、日本又はその他の国から管理者や技術者を派 遣するなど、人材の確保が課題になる。 (3)外国人の就業に関する留意点 ① 外国人就業規制 ミャンマーで事業を行う意図のある外国人は、在外のミャンマー大使館、公使 館及び領事館から商用ビザを取得することができる。滞在許可は最長 1 年まで認 められ、MIC または関係省庁によって延長申請が認められれば延長することがで きる。 33 ② ビザの種類 現在、ミャンマーでは、主として以下の種類のビザが発給されている。 図表 18 ビザの種類 種類 説明 観光ビザ (Tourist Visa) 観光ビザは、観光客にのみ発給される。発行日から 3ヶ月間有効で、最長 4 週間の滞在が認められる。 入国ビザ (Entry Visa) 入国ビザは、政府機関の関係者、元ミャンマー市民 又はそれらの関係者に対して発行される。有効期間は 発行日から3カ月間で、最長 4 週間の滞在が認められ る。 商用ビザ (Business Visa) 商用ビザは、貿易及び事業活動を目的として入国す る外国人に対して発給される。有効期間は発行日から 3カ月間で、最長 10 週間の滞在が認められる。 数次入国ビザ (Multiple Journey Entry Visa) 数次入国ビザは、商用ビザの一種で、一次入国ビザ を1年間に3回以上取得した場合に取得することがで きる。数次入国ビザの有効期間は、初回6ヶ月で、2回 目以降の場合には1年間となる。 到着ビザ (Visa On Arrival) ヤンゴン国際空港では、2012 年 6 月 1 日からアライ バルビザが発給されている。ビザの種類、発給手数料、 有効期間は下記表の通り。 ビザの種類 商用ビザ 入国ビザ(会議・セミナー・イベント) 通過ビザ 発給手数料 US$ 50US$ 40US$ 20- 有効期間 70日 28日 24時間 ③ 労働許可証と滞在許可証 イ. 労働許可証 ミャンマーでは、外国人従業員に対する労働許可証制度はまだ導入されてい ない。滞在許可証及び再入国ビザがあればミャンマーに入国して働くことが認 められる。 ロ.滞在許可証 滞 在 許 可 証 ( Stay Permit ) 及 び 再 入 国 ビ ザ (Multiple Journey Special Re-entry Visa) を取得するためには、まず、ミャンマー大使館が発給する商用 ビザを取得する必要がある。そして、入国後にこれらの取得手続きを行う。 ハ.外国人登録 34 3 ヵ月以上滞在する外国人は、入国管理局で外国人登録を行い、外国人登録 証(FRC:Foreigner Registration Certificate)を入手する必要がある。有効 期間は 1 年間。 ∼滞在許可証及び再入国ビザの取得手続(続き)∼ ◆申請手続 1. 関係省庁宛に、在留許可及び数次ビザを申請するための推薦書 (Recommendation letter)発給の依頼書を提出する。その際、上 記の書類を添付する。なお、どのような業種、事業に従事するかに よって、推薦する省庁も異なる。 2. 1.で取得した推薦書を添えて、入国管理・人口省入国管理・人口局 (Ministry of Immigration and Population, Department of Immigration and Population)に在留許可、数次ビザの発給を申請。 なお、上記の他に、外国人(特にマネージャー以上の役員)が人事異動 等で交替する場合は、前任者が帰任する前に国家計画・経済開発省企業 登記室(Company Registration Office)に必要書類を届け出て、許可 を得ておく必要がある。 (4)環境アセスメントに関する留意点 2012 年 3 月に環境保護法(The Environmental Conservation Law)が制定されてお り、ミャンマーにおける環境保護は、環境保護・林業省(Ministry of Environmental Conservation and Forestry)が管轄している。 環境アセスメントは未だ法制度としての規定はありませんが、環境保護法において、 環境及び社会生活を脅かすものでないかどうかを評価する制度が導入される旨が規 定されている。 今後、環境保護に関する基準が定められた際には、当該基準に対応する必要がある。 35