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2007-2
2007.12
Non-Profit Organization <ERECON>
Institute of Environment Rehabilitation and Conservation
1. 2007 年度プログラム活動報告
1.実施事業の進捗状況
(1) 環境修復保全に関する事業
1) タイ国東北部の塩類集積地における植林によるアグロフォレス
トリーづくり(フェーズ 2):森林伐採に伴い地下岩塩層から可溶性
塩類が毛管上昇して、塩類集積が進むタイ国コンケン県プラユン
地区で、塩類土壌の修復保全を目指し、住民と協働で植林によ
るアグロフォレストリーづくりに取り組んでいます。
2007 年度上半期には、植林によるアグロフォレストリーづくり、
ワークショップ、塩害対策を施したモデルファームづくり等の活動
に取り組みました。下半期には、ワークショップ、塩害対策を施し
たモデルファームづくりの継続、植林樹木の活着率調査、植林啓
蒙パンフレットの配布、アンケート調査等を実施しています。
に、住民参加による植林活動に取り組んでいます。
本年度上半期における植林対象地は砂質土壌で覆われてお
り、当初計画の樹種を変更して砂質土壌にでも生育できるモモタ
マナ(Terminalia catappa)とモクマオウ属樹木(Casuarina sp.)の
植林を実施しました。併せて、沿岸林保全と植林活動に関するワ
ークショップを開催するとともに、植林方法に関するパンフレットを
作成して現地住民に広く配布しました。12 月には、植林、ワーク
ショップ、活着率調査、パンフレットの配布、アンケート調査等を
実施します。
4) タイ国南部の津波被災地における植林による環境修復(フェ
ーズ 2):タイ国南部ラノン県やパンガ県の津波で被災した地域を
対象に、環境修復を目指した植林活動に取り組んでいます。
2007 年 9 月の植林活動で、ヒルギ科植物(Rhizophoraceae)
2,600 本を植林しました。次回は 2007 年 12 月にラノン県の植林
対象地でニッパヤシ(Nypa fruticans)2,600 本を植林します。併
せて、住民の組織化とワークショップを通したキャパシティ・ビル
ディングにも取り組んでいます。
2) タイ国南部ラノン県における津波被災農地の土壌修復保全
(フェーズ 2):タイ国南部ラノン県を対象に津波によって被災を受
けた農地の土壌修復保全を目指した活動に取り組んでいます。
2007 年度上半期の活動では、被災農地における土壌の肥沃
度を高めることを目的に有機農業を軸とした農地修復リーダー育
成研修や 3 箇所でのワークショップを実施し、併せてパンフレット
配布、事業評価のためのアンケート調査などを実施しました。下
半期にも、農地修復リーダー育成研修を継続するとともに、ワー
クショップ、アンケート調査を実施します。
3) タイ国南部アンダマン海島嶼群における津波被災地の修復
保全に向けた植林活動:タイ国内でも津波被害の大きかった南
部アンダマン海島嶼群を対象とし、防災機能と環境保全機能を
兼ね備えた沿岸林の再生を目指して、植林樹木を支援するととも
(2) 自然資源の持続的利用に関する事業
1) 農民のための持続的有機農業の指導及び植林による森林再
生の実施:ナン県プア地区の広域において森林の重要性を啓蒙
しつつ森林再生による環境修復を図るとともに、現地農家を対象
に有機農業を中心とした持続的農業生産環境の構築を推進して
います。
本年度上半期には、裸地化した放棄地における植林、堆肥化
および生物起源防虫液づくりを軸とした有機農業の推進、ワーク
ショップ、現地指導者育成研修等に取り組みました。下半期にも
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継続して、堆肥化および生物起源防虫液づくりを軸とした有機農
業の推進、ワークショップ、現地指導者育成研修、植林樹木の活
着調査等に取り組んでいます。
に作物残渣の火入れ削減を目指したコンポスト技術の普及を行
い、化学肥料のみに依存しない資源循環型農業に対する理解を
深めるとともに、施肥量・農薬使用量の適正化を図り、地域環境
との調和のとれた環境保全型農業の構築に取り組んでいます。
2007 年度上半期には、ワークショップの開催、パンフレットの配
布を進めるとともに、コンポストボックス(堆肥槽)づくりや現地指
導者養成研修に取り組みました。下半期にもワークショップや現
地指導者養成研修を開催して、コンポストづくりを推進していきま
す。
(3) 環境教育啓蒙事業
1) 農民のための環境保全型農業の技術指導(フェーズ 3):タイ
国北部スコタイ県キリマット地区の現地農家を対象に堆肥づくりを
軸とした環境保全型農業の技術指導に取り組んでいます。
2007 年度上半期には、堆肥加工センターの設置を進めるとと
もに、モデルファーム運営、ワークショップ、堆肥およびペレット堆
肥づくりの推進、改訂版パンフレットの配布、現地指導者養成研
修等に取り組みました。下半期にもモデルファーム運営、ワーク
ショップ、堆肥およびペレット堆肥づくりの推進、改訂版パンフレ
ットの配布、現地指導者養成研修等に取り組んでおり、2008 年 2
月には堆肥加工センターの開所式を予定しています。
2) タイ国北部ピサノローク県バラカンにおける環境保全型農業
の推進活動:タイ国ピサノローク県バラカンにおいて、有機農業を
通した生態系豊かな土づくりや水環境保全の重要性を、地域住
民が自らの問題として長期的に対処してゆけることを目指して、
現地農家のみならず次の担い手である小学生への環境教育啓
蒙を展開し、現地農家や小学校教員・生徒と協働で堆肥づくりを
軸とした有機農業に取り組んでいます。
2007 年度上半期には、ワークショップの開催、パンフレットの配
布を進めるとともに、現地農家のグループ化を進めて農家グルー
プ毎に通気装置を付した堆肥槽を設置しました。また対象の小
学校においても堆肥槽や有機菜園の設置を進めています。併せ
て 12 月には対象の小学校および各村でのワークショップの開催
を予定しています。
3) メコン河流域における作物残渣の火入れ削減を目指したコン
ポスト技術の普及活動:メコン河流域に位置する 2 地域(タイ国コ
ンケン県、カンボジア国プノンペン市周辺)を拠点とし、現地農家
4) NGO と大学との連携による食農環境教育支援システムの構築
(フェーズ 2):東京農業大学と連携して東南アジアにおける食農
環境教育支援システムの構築に取り組んでいます。
2007 年度上半期には、食農環境教育啓蒙用パンフレットおよ
び食農環境教育用の教材「持続的農業と有機肥料」を印刷・配
布するとともに、NGO と大学との連携による食農環境教育支援シ
ステムの構築に関するワークショップ、小学校における食農環境
教育セミナー等を実施しました。下半期にも小学校における食農
環境教育の実施支援とともにセミナーを開催し、食農環境教育
支援システムの構築を図って行きます。
環境修復保全機構の国際環境協力事業は、NGO アリーナ寄
付サイト、NGO サポート募金(JANIC)、イーココロ・クリック募金等
を通してご寄付頂いた方々をはじめ、多くの市民の方々からのご
支援に支えられています。またこれまで大阪コミュニティ財団東
洋ゴムグループ環境保護基金、三井物産環境基金、財団法人
地球市民財団、東京都、社団法人国土緑化推進機構、独立行
政法人郵便貯金・簡易保険管理機構、独立行政法人環境再生
保全機構等より、活動支援を頂いております。ここに記して深謝
申し上げます。
2. 2007 年夏期国際環境協力ワークキャンプ報告
2007 年 8 月 9 日より 8 月 22 日にかけてタイ国スコタイ県、ピサ
ノローク県において国際環境協力ワークキャンプ・プログラムプラ
ンニングおよびプログラムサポーティングを実施しました。プログ
ラムプランニング参加者は農家スティを通して得た経験・情報に
基づいて、国際環境協力プログラムを計画・立案しました。プログ
ラムサポーティングでは、堆肥化の推進、塩類土壌の修復保全
に関する現地活動への参加を通して、NGO 活動の最前線を体
験して頂きました。また、現地農家での体験スティ、各種見学等
のバラエティに富んだ体験を通して、参加者の皆様にはタイ国に
おける国際環境協力の意義について理解を深めて頂きました。
プログラムプランニングおよびプログラムサポーティングの概要と
参加者の声を紹介します。
1.プログラムプランニング・スコタイ
(1) 実施期間
2007 年 8 月 9 日~2007 年 8 月 22 日(14 日間)
(2) 参加者
平野源太会員、中村愛子会員、米田三奈会員(3 名)
(3) スケジュール
8月9日
午後: Phitsanulok 空港集合、ERECON ハウス(Phitsanulok 市
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内)宿泊
8 月 10 日
午前: タイ語・文化講習
午後: Thung Yang Mueang sub-district office 訪問、農家ステ
ィ 開 始 ( Moo 2 village, Thung Yang Mueang subdistrict, Khiri Mat district, Sukhothai)
8 月 11 日~8 月 12 日
農家スティ(Moo 2 village, Thung Yang Mueang subdistrict)、モデルファーム設置活動、国際環境協力プログ
ラムの調査、計画、立案等
8 月 13 日
午前: 国際環境協力プログラムの調査、計画、立案等
午後: ワークショップ「有機農業に取り組もう」開催、現地指導
者養成研修(デモンストレーションファームでの有機栽
培に関する研修等)、パンフレット配布、アンケート調査
等
午後: スコタイ歴史博物公園(Sukhothai Historical Park)訪問、
ワット・サ・シー(Wat Sra Sri)、ワット・マハタート(Wat
Mahathat)、ワット・シー・サワイ(Wat Sri Sawai)等見学、
Phitsanulok 市街に移動、ナイトバザールにて食事、修
了式、ERECON ハウス宿泊
8 月 22 日
午前: Phitsanulok 空港にて解散
(4) ワークキャンプ参加者の声
1) 10 日間のスティを終えて(平野源太会員)
長期農家スティと農業体験がしたくてこのワークキャンプに参
加して何を得られたのか・・・実際に農業を体験して農業の厳しさ
を体でもって知ることができたこと、ホストファミリーだけじゃなく、
色々な人から優しくしてもらい幸せを感じられたこと、子供たちの
あふれる笑顔を見て心が癒されたこと、数多くのことを得ることが
できました。有難うございました。
2) コップンカーとマイペンライ(中村愛子会員)
タイでは、日本より時間がゆっくり流れていて、気の思うまま
に過ごしていました。暑かったら木陰で休んで、お腹がすいた
らご飯を食べて、お腹いっぱいになったらお昼寝をしたり・・・。
散歩をしている途中で話しかけられるので、嬉しくなって、覚え
たてのつたないタイ語をしゃべりました。2 週間近い滞在が終わ
る頃には、何度「コップンカー」を言っても言い足りないくらい村
の方にたくさんお世話になりました。また、「問題ないよ」の「マイ
ペンライ」なタイの人の性格を見習いたいと思う自分がいました。
のんびりのんびり過ごしたスティでした。
8 月 14 日
午前: Phitsanulok 県内プログラムサイトへの移動
午後: ワークショップの開催(Ban Nong Kula school,
Bangrakam district, Phitsanulok)(堆肥槽および堆肥づ
くりの普及(実演)、住民の組織化、パンフレットの配布、
活 動 評 価 調 査 を 含 む ) 、農 家 スティ ( Moo 2 village,
Thung Yang Mueang sub-district)
8 月 15 日~8 月 20 日
農家スティ(Moo 2 village, Thung Yang Mueang subdistrict)、プログラムの計画、立案等
3) 楽しい日々(米田美奈会員)
普通の旅行では体験できない農家スティができて、とても貴重
な時間をすごすことができました。エレコンの求めているプログラ
ムにはならなかったかもしれませんが、農家の手伝いをしたり、子
供たちと遊んだり、楽しい日々でした。
2.プログラムサポーティング・ピサノローク
(1) 実施期間
2007 年 8 月 11 日~2007 年 8 月 16 日(6 日間)
(2) 参加者
川越信二郎会員、斉藤豊会員、菅俊大会員(3 名)
(3) スケジュール
8 月 11 日
午後: Phitsanulok 空港集合、ERECON ハウス(Phitsanulok 市
内)宿泊
8 月 12 日
午前: Ban Nong Kula school (Nong Kura sub-district,
Bangrakam district, Phitsanulok)訪問、Ban Nong Kula
school における有機菜園づくり
午後: Ban Nong Kula school における有機菜園づくり、農家ス
8 月 21 日
午前: 国際環境協力プログラム発表、ディスカッション
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ティ(Ban Nong Kula village, Nong Kura sub-district,
Bangrakam district, Phitsanulok)
途上国の現場で環境に関わる活動がしてみたい、村での生活
を体験してみたいという思いから、今回のワークキャンプに参加し
た。このようなワークキャンプへの参加は今回が初めてであり、か
つ社会人でもあることから、最初は相当不安だったが、お盆という
時期もあり、さまざまなバックグラウンドを持った人たちが集まって
きており、非常に有意義な時間を過ごすことができた。
現地小学校では、有機農法の教育実習用の畑づくり作業を実
施した。草むらの状態から刈り取り、耕し、ブロックで囲いを作るそ
の作業は、想像以上に過酷であった。特に雨で水分を含んだ土
に鍬を入れ、掘り起こすのは非常に重かったが、農作業がいかに
大変なものであるかを実感できた。農家を対象にしたワークショッ
プでは、多くの現地農家の人々が集まって耳を傾けており、有機
農法への関心の高さが伺えた。
スティ先の農家の主人は日本へ出稼ぎに行かれていた方で、
非常に手厚くもてなしてくれた。軒先に大家族が集合して食卓を
囲む場に同席したが、家族を大切にして支え合うその姿は、日本
では失いつつある光景に思え、最も印象に残った。現地はテレビ
やパソコンなどの電化製品も徐々に普及しつつある一方で、少し
地域が異なると、道路が未整備だったりして、非常にバラツキが
あったように思える。今回のワークショップを通して、本当に様々
な体験ができた。出来事が多すぎて、自分の中で消化しきれな
いくらい密度の濃い時間を過ごすことができた。今回の参加メン
バー、スティ先の農家、そしてスタッフに心から感謝申し上げた
い。
8 月 13 日
午前: Sukhothai 県内プログラムサイトへの移動
午後: ワークショップ「有機農業に取り組もう」開催、現地指導
者養成研修(デモンストレーションファームでの有機栽
培に関する研修等)、パンフレット配布、アンケート調査
等、農家スティ(Ban Nong Kula village, Nong Kura subdistrict)
8 月 14 日
午前: ワークショップの開催準備、Ban Nong Kula village 見取
り図作成等
午後: ワークショップの開催(Ban Nong Kula school,
Bangrakam district, Phitsanulok)(堆肥槽および堆肥づ
くりの普及(実演)、住民の組織化、パンフレットの配布、
活動評価調査を含む)、農家スティ(Ban Nong Kula
village, Nong Kura sub-district)
8 月 15 日
午前: Ban Nong Kula village にて自由行動
午後: スコタイ歴史博物公園(Sukhothai Historical Park)訪問、
ワット・サ・シー(Wat Sra Sri)、ワット・マハタート(Wat
Mahathat)、ワット・シー・サワイ(Wat Sri Sawai)等見学、
Phitsanulok 市街に移動、ナイトバザールにて食事、修
了式、ERECON ハウス宿泊
2) 空という屋根(斉藤豊会員)
個人的には海外に出る機会はなかなか得られません。まして
NGO はよほどの動機やきっかけがなければ参加できないと思っ
ていました。私は大学時代にお世話になった先生方や友人から
の便りがあったので参加できたと思います。海外で働くとはどんな
ものなのだろうか、自分たちにできることを必要としている地に還
元すること、それを異国の土や文化、その国の人に触れながら何
を感じて学ぶのか、など、私の場合は動機というより好奇心に近
いかもしれません。NGO・国際ボランティアとは専門家集団をイメ
ージしていましたが、実際に潜ってみて様々な分野の人がそれ
ぞれ色んな思いを胸に臨んでいることを知りました。
ワークキャンプ仲間それぞれが精一杯の汗を流し、仕事が終
われば地元農家の方にお世話なる日々、その土地の人からは血
の繋がった親戚!?のように暖かく迎えられ、どこか懐かしい生活
がそこにはありました。この NGO 活動への参加という一つの旅で
見た物事や出会った人達は確かに自分の中にある小さな種に水
をくれ、燦燦とした光を浴びさせてくれるようで、整理するのに大
変なほど感じること学ばされることは多くありました。また、国境の
関係ない人と人の絆、結びつきは素晴らしいと思います。タイの
人たちと NGO 活動に携わる人たち、それぞれの心の芽はいった
8 月 16 日
午前: Phitsanulok 空港にて解散
(4) ワークキャンプ参加者の声
1) ワークキャンプを振り返って(川越信二郎会員)
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いどんな花を咲かせていくのか楽しみな気もします。ありがとうご
ざいました。
3) コップンカー(菅俊大会員)
今回、昨年に続いて 2 度目の参加となったが、また今回も非常
に良い活動ができた。特に今回は、作業面で肉体的には非常に
ハードな内容であったが、少しでも村人のお役に立つことができ
たのなら、本当にうれしい。また、自分自身も思いっきり汗をかき、
泥だらけになって作業でき、スッキリした充実感が残っている。有
機栽培が大きな意味を持ち、農家にとってどのようなメリットを与
えるのか、今回は学ぶことができた。スタッフ、仲間、お世話にな
ったホームスティの家族には、感謝の気持ちでいっぱいです。あ
りがとうございました。
3. 国際環境協力専門家登録の案内
現在、ERECON 正会員の皆様から広く国際環境協力専門家
を募っています。一定の専門性を有し、かつ国際環境協力ワーク
キャンプ等のコースを修了されている正会員の中から希望される
方を「国際環境協力専門家」として登録しています。専門家登録
をされますと現地派遣以外にも、これまでは事務局職員に限定さ
れていた JICA の語学研修や外務省・FASID 等の企画する様々
な研修会に無料で参加できる特典があります。
これまで、筒井一夫会員、Chavengsak SIRIWATTANANON 会
員、井上咲子会員、田所朋子会員、塚本昌孝会員、倉島孝行会
員、荘司康太会員、寶田浩太郎会員が国際環境協力専門家とし
て登録しています。募集要項は以下の通りとなっていますので、
是非ご応募下さい。
1. 目的
農業的および都市的開発と自然環境との調和を目指した環境
修復保全に取り組み、環境教育啓蒙の活動を通して、自然資源
の持続的利用に寄与する現地プログラムを推進し、環境修復保
全活動に貢献できる人材を環境修復保全機構の国際環境協力
専門家として登録する。
2. 資格
(1) 環境修復保全機構の正会員であること。
(2) 環境修復保全機構における国際環境協力ワークキャンプ等
のコースを修了していること。
(3) 大学卒業(学士)以上で現地活動に必要な専門知識を有する
こと。院生も可。特定分野の実務経験を有する方は、学歴は
問わない。
(4) 事前に日程を協議した上で、1 週間程度以上の海外渡航が
可能であること。
3. 募集時期
随時
4. 登録方法
事務局から規定の登録票を入手して、記入の上、1 部郵送下
さい。審査の上、専門家登録の採否を郵送にてお知らせします。
審査結果の通知には 1~2 ヶ月程度かかる場合がありますので、
ご了承下さい。
4. 書評
の類書の中で最も幅広く、かつポイントを押さえて、NGO とは何
かを伝えている。具体的には、グローバル問題とされる貧困・開
発、緊急人道援助、地球環境、人権を取り上げて、それぞれ執
筆者をたてて論じている。さらに、グローバル問題解決の他の
担い手である政府・国際機関との関係が第 2 部でまとめられて
おり、第 3 部では日本における NGO・市民社会の課題が論じら
れている。civil society に関する海外の研究や議論、あるいは
グローバル・ガバナンスに関する議論など、今日では NGO・市
民社会に関する論点はかなり広がっており、NGO 論の視野は
広いが、入門的な概説書としては分かりやすく、適切であると思
われる。NGO に興味を持つ人に薦めたい。
(理事 牧田東一)
グローバル問題と
NGO・市民社会
馬場憲男・高柳彰夫 編著
明石書店 発行
2,730 円(税込)
ISBN 9874750326214
日本で数少ない NGO 研究者である編者らが、NGO 事情に
詳しい執筆者を集めて編集した NGO に関する概説書である。
NGO というのは、非常に広い範囲の活動をしており、また多く
がシングル・イッシューの団体であるためその全体像は意外と
見えにくく、知られていない。筆者の知る限り、この本がこれまで
5. 会員からの一言
会員からの一言では ERECON 会員から送られてきた投稿文
を掲載しています。会員からの一言での様々な意見交換を通し
て、今後 ERECON が進むべき道を共に考えていきましょう。
今回送られてきた投稿文は以下のとおりです。
【NGO 活動雑感】
三原真智人 理事
東南アジアのプログラム現地で「持続的な開発」、「農業生産
と自然環境との持続的な調和」を目指して意味のある活動を展
開しているつもりですが、NGO 団体自体の持続性はどうでしょう
か。まだまだ助成金制度の見直しや社会的認知度の深め方な
ど、多くの議論が残されています。
【活動を振り返って】
長谷川雅敏 会員
私は大学4年生の夏に ERECON のボランティアに参加させ
ていただきました。ボランティアを通じて何か社会に貢献したい
と意気込んで望んだ活動でしたが、振り返るときれいな目をした
現地の子供に元気と勇気を与えられた日々でした。現在社会
人として働いている中で、ふとあの時の子供たちを思い出して
謙虚さと自身の目的意識を再確認させてくれる、そういう思い
出を築くことができる活動だと思います。
【グローバルフェスタ】
佐々木宏太 会員
地球環境に取り組む団体や、貧しい国の子供を支援する団
体など、本当に多くの団体が参加し、また多くの人が来場され
ました。こうしてみますと、日本はやはり平和であり、他に心を向
けていけるゆとりがあることは本当にありがたいことだと感じます。
ワークキャンプに参加した時の仲間のうち二人が、今青年海外
協力隊の一員として活動しています。心だけでなく、身をもって
取り組むことは誰もができることではない。素晴らしいです。
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6. 会員の動向
平成 19 年 5 月以降、米田三奈さん、平野源太さん、川越信
二郎さん、中村愛子さん、斉藤豊さんが正会員として本団体の
一員に加わりました。また、池田由希子さん、福島豪さん、竹岡
存史さん、佐々木啓太さん、大坪雄司さん、吉岡祐哉さん、工
藤亜希子さんが退会しました。新しく会員になられた皆様、本
団体へのご支援ご協力よろしくお願い申し上げます。また、退
会された皆様には長い間暖かいご支援いただきましたことお礼
申し上げます。
現在、正会員、国際正会員、国内準会員を含めた全会員数
は 140 名です。
7. 事務局だより
1. 2007 年度環境農学賞・環境農業賞
本団体では以下の通り、持続的農業・環境修復保全に大きく
寄与すると判断できる研究者、農業関係者を対象に以下の通り、
環境農学賞および環境農業賞を設けています。
(1) 環境農学賞(Scientific Award of Environmental Agriculture)
自然環の修復保全を目指した農学研究に精励しており、持
続的農業に大きく寄与する学術成果を上げた研究者を対象。
(2) 環境農業賞(Technical Award of Environmental Agriculture)
自然環境に調和した持続的農業に精励しており、環境修復
保全に大きく寄与されている農業関係者を対象。
2007 年度の環境農学賞はタイ国コンケン県の砂質土壌地帯
における畑地・水田からなる複合的土地利用形態を対象として、
主要肥料成分の収支に基づいた農地保全対策に関する研究
で成果を挙げたコンケン大学の Vidhaya TRELO-GES 博士に
授与しました。
2. Royal University of Agriculture との MOU 締結
カンボジア王立農業大学(Royal University of Agriculture:
RUA)は、1964 年に設立された王立大学です。カンボジアでは
長期間の内戦、ポル・ポト政権下での知識人等の虐殺により、
甚大な社会的経済的被害を受け、教育施設、教育者の不足が
初等教育のみならず高等教育でも大きな問題となっています。
本団体では 2007 年 8 月に RUA と教育・研究交流を目的とした
MOU(Memory of Understanding)を締結し、RUA 教員を対象と
した講義を開始する等、カンボジア国での高等教育機関との連
携にも取り組み始めました。
今後、カンボジア王立農業大学の協力を得て、環境修復保
全機構カンボジア支局の立ち上げに取り組み、継続的な活動
の基盤整備を進めていく予定です。
ました。
今年は国際環境協力専門家の方々によるワークショップを実
施しました。一つ目のワークショップは、グローバルフェスタの全
体ワークショップにおいて「国際環境協力実践ガイド―タイ国に
おける環境保全型農業の普及啓蒙活動を事例として―」をテ
ーマに、ピサノロークの小学校での環境教育の取組み等を含
む ERECON の活動事例を発表しました。二つ目のワークショッ
プは、ERECON のブースにおいて、子供でも楽しめる「リサイク
ル素材で鳥づくり」を行い、多くの子供たちに楽しんでいただく
ことができました。どちらも国際環境協力専門家の方々にすば
らしいご活躍をいただき、来場者の皆様だけでなくスタッフ一同
で楽しませていただきました。
ブース展示では、国際環境協力専門家の方が取り組んでい
る有機農業に関する写真展示と、ワークキャンプに参加された
会員の皆様やスタッフが撮影した写真を素材にした写真展示
「Image of International Cooperative Activity」を行いました。
また今年は上野事務局長がチャリティーマラソンに参加し、
ERECON のグローバルフェスタ 2007 におけるスローガン
「TONIKAKU 環境保全」を背中に背負い走りました。スローガ
ンにちなんだ鉢巻も完売できました。来年もこのチャリティーマ
ラソンに参加する予定ですので、「わたしも一緒に走りたい!」
という会員の皆様からのお声をお待ちしております。
今回のグローバルフェスタ JAPAN 2007 は、スタッフにとりまし
ても ERECON ワークキャンプ参加者の皆様やスタッフの周辺か
ら広がる人の輪の中で、国際協力について初心に帰って考え
るいい機会となりました。
スタッフの力だけでは、このようなイベント参加は難しいので
すが、今年も会員の皆様、国際環境協力専門家の皆様、また
スタッフの友人等の皆様のお力添えのお陰で、実施することが
できました。この場を借りて心より御礼申し上げます。本当にあ
りがとうございました。
3. グローバルフェスタ JAPAN 2007 に団体出展
2007 年 10 月 6 日(土)7 日(日)に日比谷公園で行われたグ
ローバルフェスタに参加しました。日本最大の国際協力イベント
ということもあり、多くの方に ERECON のブースに来場いただき
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8. 国際環境協力に取り組む顔
タイ国ピサノローク県バラカンの小学校における
環境教育啓蒙の現状分析と教育的課題
国際環境協力専門家 宝田浩太郎
1.はじめに
タイ国では近年、土壌の劣化や湖沼の富栄養化が深刻な問
題となっている。また、農薬や化学肥料の間違った施肥方法に
よる健康被害も懸念されている。これらの原因として農業従事
者の環境に対する知識・関心の欠乏が挙げられる。
今後、現状の改善に加え、次世代のタイ農業の担い手を育
成していくためには、次世代を担う子供たちに土壌資源・水資
源の大切さや有限性を正しく認識させ、保全への態度を育成
することが重要である。
本報告では、タイ国ピサノローク県バラカン地区の小学生を
対象にした環境教育啓蒙活動への取り組みの現状分析および
教育的課題の抽出を行い、今後の活動の具体的提案を行うこ
とを目的とする。
2.小学生を対象としたワークショップ
タイ国ピサノローク県バラカン地区に位置する Ban Nong Kula
school において 9 歳~13 歳の小学生 149 人を対象に有機農
業についてワークショップを行った。ワークショップでは、農薬や
化学肥料の環境や人体への影響、化学肥料と有機肥料の相
違点、堆肥の作り方などについて、講義を行った。また、アンケ
ート形式の理解度調査も併せて実施した。理解度調査の結果、
85%以上の小学生がワークショップの内容を理解できたと答え
た。
(1) 現地教育機関の現状把握 (1 段階)
この段階では、現地教育機関で実施されている教育内容の把
握、環境教育の実施状況の把握、環境教育に対する認識の把
握等を調査する。併せて小学生の保護者の環境教育に対する
認識も調査できると効果的である。調査活動にはタイ語と英語に
通じた者の協力が必要である。
(2) 環境教育に対する関心・認識の増進 (2 段階)
2 段階以降の活動では、1 段階での現状分析の結果を生かし
て、環境教育への認識の増進に努めることが必要である。ワーク
ショップなどを通して、環境教育の必要性を訴えるとともに、農
薬・化学肥料の健康や環境への影響や正しい取り扱いの方法を
まとめた資料など、環境教育啓蒙のための補助資料の充実と配
布にも努めなくてはならない。現地の現状に適合した環境教育
活動を計画して進めていく必要がある。
(3) 環境教育に関する知識・技術の習得 (3 段階)
この 3 段階では、環境教育推進のための条件の整備に努め
る。教員研修やファシリテーターの育成を行い、共同して現状
に沿った環境教育の実践方法を選定する。また、環境教育を
実践して行くためのフィールドの確保や協力団体との連携も必
要となる。この段階で小学校では、堆肥づくりや有機モデル菜
園を小学生とともに運営していく。
(4) 環境教育に対する支援制度の整備 (4 段階)
4 段階では、3 段階目までの活動の成果を評価するとともに、
本活動がより現地で認知されることを予測して行うものである。
具体的には研修会の充実、モデル事業の指定や表彰などが挙
げられる。
5.おわりに
環境修復保全機構がタイ国ピサノローク県バラカン地区で実
施している有機農業を軸とした小学校における環境教育啓蒙
事業では、「現地教育機関の現状把握(1 段階)」、「環境教育
に対する関心・認識の増進(2 段階)」、「環境教育に関する知
識・技術の習得(3 段階)」の各段階を意識して網羅しつつ運営
されており、高く評価できる結果となった。
しかし今後は、「環境教育に対する支援制度の整備(4 段
階)」への移行が課題となるであろう。バラカン地区の教育行政
機関と共同で活動を進めることにより、モデル事業として指定を
受けるとともに、小学校教員を対象とした研修会の充実を図っ
て行けるであろう。
3.Ban Nong Kula school での聞き取り調査
Ban Nong Kula school における小学生を対象としたワークショ
ップに参加した 6 つの小学校の教員を対象に聞き取り調査を行
った。
その結果、教育環境のひとつの指標である教員一人当たり
の生徒数は、平均で 12.7 人であることがわかった。農業に関わ
る授業は、6 つの小学校全てで各学年少なくとも 1 週間に 1 時
間は行われているとわかった。
4.環境教育啓蒙活動の体系的取組みの提案
理解度調査、聞き取り調査の結果、タイ国の教育環境は良好
だと言え、環境教育啓蒙活動による環境教育の推進の可能性
は十分にあると考えられる。
本報告では、今後の環境教育啓蒙活動の取り組みの方法と
して、体系的な取り組みを提案する。ここで提案する体系的な
取り組みは、以下の 4 段階に分かれる。それぞれの段階には、
いくつかの具体的取り組みが含まれる。
備考:2008 年 8 月に、国際環境協力専門家としてタイ国で活動にあたっ
た宝田浩太郎専門家が、タイ国ピサノローク県バラカンの小学校におけ
る環境教育啓蒙の現状分析と教育的課題の抽出を行い、今後の活動の
提案を報告書にまとめました。今回の「国際環境協力に取り組む顔」で
は、その報告書の概要を紹介しました。
宝田 浩太郎
略 歴
1981 年 東京都に生まれる
2005 年 東邦大学理学部卒業
武蔵工業大学付属中学・
高等学校非常勤講師
2007 年 東京農業大学大学院農学研究
科在学中
(特活)環境修復保全機構
国際環境協力専門家
現在に至る
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農業と環境
連載コラム 「持続的農業と土地利用計画」 -第 3 回-
~土地利用秩序~
「土地利用秩序」は「社会的秩序」を含むが、ここでは主に「自然の秩序」のことである。秩序を乱す要因には人口集中、過疎、森
林乱伐、不適切な農地管理、農村の無原則な都市化などがある。秩序を無視した開発を続ければ土壌は疲弊し、土の流亡、水の
汚濁、生態系の大きな変化は避けられない。さらに都市開発を含めた地球全体の土地利用変化は気候変動にも影響を与えている
ことである。
水田放棄は畑地と同じような土壌侵食の始まりである。環境の保全修復には多額の費用と高度の技術を必要とするだけでなく、維
持管理には社会学の知識も要る。環境を保持、修復するためには、工学と社会学の結合は欠かすことはできない。それには、工学
の他、民俗学、伝統文化、将来性、経済性なども関わってくる。これらを土台にして持続可能な農業の新しい土地利用秩序が形成さ
れてくるのであろう。
戦後(1946)国連による世界の土壌侵食状況調査で、侵食への警告は一応は出されてはいる。だが現実には防止対策はほど遠
い状況にあった。一方、大量の化学肥料の使用による農業生産の飛躍的な増大の結果は地力の低下であり、その流亡に伴う環境
破壊であった。世界的には 1960 年代から化学肥料や農薬の人体、生物系に及ぼす深刻な影響が指摘され、自然破壊の実体は明
らかになった。しかし行政的な対策はすぐに出された訳ではない。
ヨーロッパでは畑作・畜産農業による土壌の劣化、水質の低下は自然の物質循環に大きな負荷を与えている。現在、アメリカ、中
近東やオーストラリアをはじめ、世界中の畑作灌漑による土壌劣化(塩類化)は修復困難な悩みの種になっている。南米でも林地の
大規模農地化は急速に進んでいる。中国では砂漠化の進行で北京の 100km圏域はすでにその影響を受けていると言われる。これ
らの問題は過度な生産を第一にした経済のツケである。
森林地帯を伐採して畑地を作ると、地域全体の地下水位は低下し、土層の貯水能力も減少する。このために、逆に地表流は増
し、それに伴う畑地の土壌流亡は周囲に急激な変化を与える。水田は乾田化し、灌漑水量は増大する。あるいは灌漑水量の不足や
水質低下が起こる。開拓地の人口増大で周辺の水質も次第に低下する。上流のすべての水を集める河川下流の水質は上流の土
地利用で左右される。さらに都市排水は海水を汚濁する。
森林、畑地、水田、都市、沿岸海域の連鎖系には社会的秩序のみならず、自然的秩序を大切にすることが環境にやさしい農業の
基本である。現在、これらの調和を物質循環の立場から、どのようにするかが問われている。有機農業はその解の一つである。また、
最近の国連の「気候変動に関する政府間パネル」IPPC(2007)は開発による森林減少が土壌の有機質分解を進め、大気中の CO2
などの増大をもたらすこと、また土地利用秩序とその維持管理は気候変動にも重要な影響を及ぼしていることを指摘している。土地
利用秩序の問題は地球環境変化にも繋がっているのである。
(理事 安富六郎)
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理事
牧田東一: 桜美林大学国際学部 教授
三原真智人:東京農業大学地域環境科学部 教授 (代表理事)
竹内 康: 東京農業大学地域環境科学部 教授
山路永司: 東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授
安富六郎: 東京農工大学 名誉教授
顧問
Samran SOMBATPANIT: 世界水土保全学会 前会長 Ph.D
ERECON NEWSLETTER 2007-2
2007 年 12 月 15 日
編集幹事 井上咲子
発行 特定非営利活動法人 環境修復保全機構
[ERECON 本部事務局]
〒195-0064 東京都町田市小野路町 2987-1
Tel/ Fax 042-736-8972
E-mail: [email protected]
URL: www.erecon.jp
[ERECON 東南アジア事務局]
93/64 Moo.3 Sinsab village, Bungyeetho sub-district,
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