...

朝日地域自然環境現況調査報告書

by user

on
Category: Documents
3

views

Report

Comments

Transcript

朝日地域自然環境現況調査報告書
朝日地域自然環境現況調査報告書
1.調査趣旨
本地域において行われた自然環境や生物に関する本格的な調査は、1949 年(昭和 24 年)
に行われた「朝日~月山~鳥海(出羽国立公園候補地学術調査報告書)」(鶴岡市公民館,
1949)が最初である。その 10 年後の 1959 年(昭和 34 年)~1963 年(昭和 38 年)までの
5ヵ年には、山形県総合学術調査報告書「朝日連峰総合学術調査報告書」
(山形県総合学術
調査会,1964)に係る調査(以下「学術調査」という。
)によって更に多くの分野で詳細な
調査が行われ、その成果は現在においても本地域の自然環境の状況を現す基礎的データと
して活用されている。また、1998(平成 11 年)~2001(平成 13 年)にかけて山形県版レ
ッドデータブック(以下「県 RDB」という。)作成のための調査(以下「RDB 調査」という。)
が行われたが、これは希少な動植物に限定した調査であったことから、自然環境や生物の
生息・生育環境に関する調査は約 50 年間行われていない。そこで、本地域独特の自然環境
と生態系を保全するために重要と思われる箇所のうち、人間の影響をほとんど受けていな
い自然度の高い箇所、人為的影響による急激な環境変化が懸念される箇所や県 RDB 掲載種
(以下「県絶滅危惧種」という。
)が生息・生育する箇所など、特に保全上緊急性が高い箇
所について調査を行い、現況や過去からの変化を把握するとともに、今後の保全対策の基
礎資料を得る。
2.調査地の概要と選定理由
鳥原山山頂付近の標高約 1330mに広がる鳥原山湿原群(以下「鳥原湿原」という。)は、
東北地方山地に普遍的に見られる山地湿原である。これらの湿原はその起源も古くホロム
イソウ等の県絶滅危惧種が多数確認されていること、高山帯池塘・湿原のモニタリング指
標となるカオジロトンボの生息が確認されていることで注目に値する。また、湿原群は磐
梯朝日国立公園特別地域内にあり、県 RDB では保護を要する植物群落(危急度C:規模の
大きい開発が進み全体として攪乱の兆候が進行している)に指定されているほか、環境省
によって特定植物群落(選定基準D:特殊な立地の植物群落)及び日本の重要湿地 500 に
選定されており、朝日連峰を代表する重要な湿原群に位置づけられている。このように貴
重な湿原を保全していくためには、その実態や変化を把握しておく必要がある。
3.調査地の詳細
調査地は、鳥原湿原のうち鳥原避難小屋
から登山道沿いに朝日鉱泉側へ約 200m、
白滝側へ約 300m、鳥原山山頂(1,430m)
へ約 500mの範囲内にある湿原と池塘とし
や池塘については、1976 年国土地理院撮影
ガレ場
登山道
た(図-1)
。また、木道から見えない湿原
(トラップ設置箇
所)
至白滝
鳥原山頂
(トラップ設置箇所)
の空中写真からその場所推定し、現地で確
認した。
比較的大きな湿原は、湿原A、湿原B、
湿原C(写真1~3)、比較的大きな単独の池
塘は池塘ア、池塘イ、池塘ウ(写真4~6)の
鳥原小屋
(トラップ設置箇所)
図-1 調査対象区域
至
朝
日
鉱
泉
各3つであった。湿原Aはその中に3つの池塘(a~c)があった。また、湿原Bにおいて
は、キャンピングが原因と思われる裸地が広く見られた。
4.調査日、調査箇所及び調査者
調査は、2008 年8月 22~23 日の2日間とし、22 日は白滝登山口→鳥原湿原→鳥原山頂
→鳥原小屋(泊)
、23 日は鳥原小屋→鳥原山頂→鳥原湿原→白滝登山口の行程で行った。調
査を行ったのは、沢和浩、青山武、畠中裕之、武浪秀子、矢萩芳春、伊藤聡の6名である。
5.調査方法
1)植物
(1) 植物相
調査対象区域を踏査し、できるだけ多くの種を確認するように努めた。同定は主に現地
で調査者が行ったが、一部不明な種については採集し、調査者が室内で同定を行った。分
布上重要な種については、確認のため高橋信弥氏(フロラ山形会長)に同定を依頼した。
また、コケ類については佐藤靖夫氏(フロラ山形会員)に同定を依頼した。なお、登山道
沿い(沢沿い、尾根沿い、稜線)で確認した植物は、登山道を登りながら認識できた主な
植物であり、必ずしも全ての植物を網羅したものではない。
(2)県絶滅危惧種の分布および生育状況
約 50 年前の学術調査で分布が確認されたが、その生育状況については不明のままになっ
ているホロムイソウ、約 30 年前の環境庁特定植物群落調査(1978)により分布が確認され
たが、最近までその生育箇所が特定できず生育状況も明らかになかったミヤマヒナホシク
サに着目し、現在の分布および生育状況を調査した。なお、植生調査は Braun-Blanquet
の全推定法(1964)によった。
①ホロムイソウ
湿原Aにおいて、池塘外にあっては1m×0.3~1mの調査区を3箇所設定し、また、池
塘のa~cにあっては、各池塘の面積を調査面積として植生調査を行った。なお、池塘a
においては、南北でホロムイソウの分布状況が明らかに異なることから、これらを区分し
て調査を行った。なお、池塘内ではミヤマホタルイと混生している場所が多く、葉の形状
が似ていることから池塘の外からの優占度の判定は困難であったが、県内に2箇所しかな
い希少な生育地であることからミヤマホタルイとの混生地内での詳細な調査は行わず、池
塘の外から見える範囲で優占度を評価した。
②ミヤマヒナホシクサ
湿原Bにおいて、15m×20mの調査区域を設置してその中を1m×1mのメッシュに分
割し、ミヤマホシクサの有無と個体数を調査した。個体数は、5本単位のおおまかな数と
し、1つのメッシュに明らかに 100 個体以上ある場合には 100 と記載した。また、ミヤマ
ヒナホシクサの典型的な生育箇所に1m×1mの調査区を設定し、植生調査を行った。
2)動物
(1)昆虫類等
調査対象区域を踏査し、できるだけ多くの種を確認するように努めた。同定は主に現地
で調査者が行ったが、一部不明な種については採集し、調査者が室内で同定を行った。湿
原周辺に生息する歩行性昆虫を把握するため、2008 年8月 23 日午後4時ごろに環境の異な
った3箇所(登山道脇のガレ場、鳥原山頂、鳥原小屋屋周辺)にピットホ-ルトラップを
各 10 個設置し(図-1、写真 19~22)、翌朝6時ごろ捕獲された昆虫を回収した。捕獲され
た昆虫は現地での同定が困難であったことから採集し、横倉明氏(山形昆虫同好会事務局
長)に同定を依頼した。
3)水質
学術調査では、湿原Aにおいて BCG 比色法により pH が測定されていることから、同様の
方法によって湿原A及び、池塘ア~ウにおいて pH を測定した。
6.調査結果
1)植物
(1)植物相
今回の調査では、コケ植物6種、シダ植物 19 種、種子植物 143 種の計 168 種を確認する
ことができた(別表1)。植物目録には、今回の調査では確認できなかったが過去に記録のあ
る種についても掲載し、出典を明記した。
(1)-1 コケ植物
環境庁(1978)によれば、これまでスギハミズゴケ、イボミズゴケ、ワタミズゴケ、ウマ
スギゴケの4種が記録されている。今回の調査では新たに4種のコケ類を確認することが
でき、鳥原湿原でこれまで確認された種は8種となった。
(1)-1-1 生育が確認できた希少種
県 RDB は維管束植物のみを対象としており、コケ(蘚苔)類に関する評価は行われてい
ない。県内全域における分布情報が掲載されている文献は、蘚類については「山形県産の
蘚類チェックリスト」(佐藤・山田,2003)、苔類については「山形県産のタイ類とツノゴ
ケ類チェックリスト」
(佐藤・山田,2003)が唯一である。湿原Aで確認されたウキヤバネ
ゴケは、県内では鳥海山、朝日岳でしか採集記録がなく、県内での絶滅が危惧される種の
新たな生育地として注目される。
(1)-2 維管束植物
(1)-2-1 生育が確認できた県絶滅危惧種
生育が確認できた県絶滅危惧種は、ホロムイソウ(県 CR、国-)、ミヤマヒナホシクサ(県
CR、国-)
、テングノコヅチ(県 CR、国 NT)
、ヒメサユリ(県 EN、国 NT)
、トキソウ(県 VU、
国 NT)
、ホソバタマミクリ(県 VU、国-)の6種であった。以下に、これら6種の本県に
おける現状と本地域における分布状況について記す。
①ホロムイソウ(ホロムイソウ科)Scheuchzeria palustris L.(県 CR、国-)(写真7)
北海道、本州中北部(南限は京都深泥沼)、北半球のミズゴケ湿原に広く分布する多年草
である。学術調査により初めて確認され、当時は鳥原湿原が県内唯一の生育地とされてい
た。その後 1974 年に山辺町で発見され、現在でも県内ではこの2箇所に生育するのみであ
る。鳥原湿原における生育地は湿原Aのみであり、生育箇所が非常に限定されていること
から、湿原Aの乾燥化による絶滅が懸念される。
②ミヤマヒナホシクサ(ホシクサ科)Eriocaulon nanellum Ohwi(県 CR、国-)(写真8)
本州(東北地方の高山)に生育する1年草。鳥原湿原における本種の最も古い記録は、
環境庁(1978)の特定植物群落調査票であるが、鳥原湿原のなかでどの湿原に生育してい
たのかについては長年不明であった。湿原Bで生育が確認されたのは、2004 年になってか
らのことである。県 RDB では唯一の生育地とされていた月山以外に、新たな生育地が確認
されたことは山形県での種の存続にとって大きなプラス要因である。しかし、鳥原湿原に
おける生育地は湿原Bのみであり、かつ湿原内の水路と貯まり水付近に限定されているこ
と、湿原内は 20~30 年ほど前までテントサイトとなっており裸地化が非常に進んでいるこ
とから、生育地の減少による絶滅が懸念される。
③テングノコヅチ(リンドウ科)Tripterospermum trinervium (Thunb.) H.Ohashi et H.Nakai
var. involubile (N.Yonez.) H.Ohashi et H.Nakai(県 CR、国 NT)
1988 年に新種として発表された種であるが、現在はツルリンドウの変種とされている。
県内では鳥海山で最初に発見され、その後、各地の高山帯~亜高山帯において生育が確認
されている。ツルリンドウによく似ているが、萼片の形が異なり、茎がらせん状に巻きつ
かず、果実は翌年の花期まで宿存するなどの特徴がある。今回の調査では、十数個体を確
認した。
④ヒメサユリ(ユリ科)Lilium rubellum Baker(県 EN、国 NT)
本州北部の高山または山地の草原に生育する多年草で、日本特産種。かつては低山から
高山まで日当たりの良い草原などに普通に見られたが、園芸用の採取、観光開発等により
生育地が失われ、現在では限られた場所にのみ生育している。県内に広く分布しているが、
特に低山地のものは激減している。今回の調査地では、少数が点在するのを確認した。
⑤トキソウ(ラン科)Pogonia japonica Rchb.f.(県 VU、国 NT)
主に北海道、本州の日当たりの良い湿地に生育し、四国と九州でもまれに見られる多年
草。低地の湿地から高山湿原まで広く分布している。県内で現存するのは約 40 箇所で、低
地の物は園芸用の採取、湿地の開発により激減し、絶滅寸前である。また、ヨシなどの侵
入による環境の変化により、個体数が減少している湿原も各地に見られる。今回の調査で
は、少数を確認した。
⑥ホソバタマミクリ(ミクリ科)
Sparganium glomeratum Laest. var. angustifolium Graebn.(県 VU、国-)(写真9)
本州(主に中部以北)の高山の湿原や池沼などに生育する多年生の抽水植物。これまで
月山など4箇所で採集された標本があり蔵王山など2箇所では現状不明であったが、2004
年に鳥原湿原、2005 年に朝日連峰の中先峰、2007 年に吾妻山、2008 年に蔵王山での生育地
が新たに確認された。現存するのは6箇所でいずれの生育地も孤立しているため、生育地
の環境が悪化すればすぐに絶滅する可能性が高い。今回の調査では、少数を確認した。
(2)県絶滅危惧種の分布および生育状況
(2)-1 ホロムイソウ(ホロムイソウ科)Scheuchzeria palustris L. (県 CR、国-)
①生育地の概要
ホロムイソウが生育する湿原は鳥原湿原の中で湿原Aのみであり、中には大きく分けて
3つの池塘が確認できた。
(写真 23~28)。湿原の周囲は高さ2m前後の低木にかこまれ、
サラサドウダン、タムシバ、ダケカンバ、ハッコウダゴヨウが優占していたほか、ブナ、
マルバマンサク、コシアブラ等の偽高山帯の代表的な植物が多数みられた。湿原内は、ワ
タミズゴケがカーペット状に広く優占し、ミカヅキグサ、ミヤマイヌノハナヒゲ、ヌマガ
ヤが多くみられた。ミカヅキグサは所々に高密度の群落を形成し、特に登山道と池塘の間
はほとんどがミカズキグサによって覆い尽くされていた。池塘内は、ミツガシワ、ミヤマ
ホタルイが高い優占度を示し、池塘の縁はミカヅキグサが最も多くみられた。
②生育状況
ホロムイソウは、主に池塘の辺縁部と池塘内に生育していた。ホロムイソウが優占して
いる池塘b内の島、池塘b内へ北側から突き出した半島部分、池塘bの西側辺縁部に各1
箇所の調査区を設置し、植生調査を行うと共にホロムイソウの本数を数えた(表-1、写真
10~13)。ミズゴケ生育区域では、ホロムイソウはミカヅキグサやモウセンゴケと同程度の
優占度2~3を示し、コケ層の植被率は 100%でワタミズゴケが最も優占していた。また、
湿原Aのミズゴケ生育区域の中で、最も生育密度が高いと思われるに設置した No.2調査区
の本数密度は、約 70 個体/㎡であった。ホロムイソウは、池塘内にも分布していたが全て
の池塘に広く分布するわけではなく、登山道に最も近い池塘a-1 では確認できなかったが、
池塘a-2 では西側のみに優占度2で比較的まとまって分布し、池塘b、池塘cでは優占度
は 1 と低いが面的に広く分布していた。また、ミズゴケ生育区域では結実した個体が見ら
れたが、池塘内の個体はすべて針状の葉のみであり、結実している個体を確認することは
できなかった。
(2)-2 ミヤマヒナホシクサ(ホシクサ科)Eriocaulon nanellum Ohwi(県 CR、国-)
①生育地の概要
ミヤマヒナホシクサが生育する湿原は、鳥原湿原群の中で湿原Bのみである(写真 14~
18)。湿原の周囲は高さ2m前後の低木にかこまれ、ブナ、マルバマンサク、コシアブラ等
の偽高山帯の代表的な植物が多数みられた。調査区域の凸地は広くヌマガヤが優占し、そ
の下層にはツマトリソウが少数見られたほか、ノリウツギ、サラサドウダンなどの低木類
が点在していた。ワタミズゴケが優占する凹地には、ミヤマイヌノハナヒゲ、エゾオヤマ
リンドウ、キンコウカ、モウセンゴケが見られた。調査区域の北東端付近には、直径1~
2m程度の裸地が連続して広がり、泥炭が剥きだしの状況になっていた。これは、以前に
テントサイトとして利用していたために生じたものであり、自然状態での植生復元は極め
て困難な状況にある。
環境庁(1978)では、湿原Aで行われたと思われる植生調査の結果として植生調査票に
本種が記載されており、30 年前には湿原Aにも生存していた可能性があるが、今回の調査
では確認できなかった。湿原Aにおいては、今後本種の確認を目的とした十分な調査を行
う必要がある。
②生育状況
1m×1mのメッシュ 300 個のうち、ミヤマヒナホシクサが確認されたのは 23 メッシュ
であった(図-2)。分布箇所はいずれも湿原内の水路及び一部水路が広がり水たまり状とな
った水深5cm 程度以下の箇所であり、水があっても水の流れがなく小凹地に雤水が貯水し
ただけの場所には分布していなかった。このことから、ミヤマヒナホシクサは常に水の流
入があり乾燥することのない場所を好んで生育していることが推測された。湿原Bへ流入
する水は、雤水の他には湿原の上部から幅 30~50cm 程度の水路によって供給される水のみ
である。水路を上流にさかのぼったところ、表面水が確認できるのは約9mであり木道と
の交差地点で表面水は確認できなくなった。この水路においてミヤマヒナホシクサの分布
を確認したところ、約9mの水路に約4m離れて2箇所に生育しており、更に上流からの
種子の供給が示唆された。
本種の典型的な生育地に1m×1mの調査区を設置し、植生調査を行った(図-2、写真
14、18)。草本層の高さは約 30cm、植被率は 60%であり、ミヤマイヌノハナヒゲが優占度3
と最も多く、水域は本種、陸域はヌマガヤが優占していた(表-2)。また、枠内にはキンコ
ウカ、ウマスギゴケが点在し、ウメバチソウ、モウセンゴケ、イワショウブ、ワタミズゴ
ケなども少数確認された。ミヤマヒナホシクサが生育しない周辺の小凸地は、高さ 50~80cm
のヌマガヤが一面に広がっており、下層にはツマトリソウのみがごく少数確認されるのみ
であった。
2)動物
(1)昆虫類等
(1)-1 生息が確認できた昆虫
調査日は2日間ともほとんど雤とガスであったことから、飛翔している昆虫は皆無であ
った。また、ピットホールトラップに捕獲された昆虫についても非常に少なかった(写真 19
~22)。
学術調査において、鳥原山と鳥原湿原周辺での採集記録がある種は、トンボ目6種、カ
メムシ目3種、アミメカゲロウ目1種、チョウ目2種、甲虫目3種であり、そのうち今回
確認できたのは、アオイトトンボ、ルリボシヤンマ、オオルリボシヤンマ、ヒメキマダラ
ヒカゲ、カオジロトンボ(幼虫)の5種のみであった。新たに確認された種としては、コ
マダラウスバカゲロウ、アシボソネクイハムシ、ミドリヒョウモン、ヤチアミメトビケラ、
クジャクチョウ等があげられる(表-3)。
(1)-2 生息が確認できた県絶滅危惧種
生育が確認できた県絶滅危惧種は、カオジロトンボ(県 NT、国-)、コマダラウスバカゲ
ロウ(県 NT、国-)の2種であった。以下に、これら2種の本県における現状と本地域に
おける分布状況について記す。
①カオジロトンボ(トンボ科)Leucorrhinia dubia orientalis Selys(県 NT、国-)
朝日連峰(鳥原山、葉山を含む)
、吾妻山、月山の高山帯に生息する。鳥原湿原における
本種の確認は、1959 年7月 28 日に、梅津が鳥原山頂にある鳥原神社付近の登山道上で多数
のアキアカネに混じって飛翔中の本種1個体(♂)を採集したのが初めてである。最も新
しい記録としては、1971 年7月 10 日に志田悌二郎氏が採集した個体が、標本として西川町
立大井沢自然博物館に保管されている。飯豊連峰、鳥海山にも類似の環境はあるが、調査
されているにもかかわらず分布が確認されていない。全ての生息地は高山帯に散在する池
塘に依存しているため孤立化しており、個々の局所個体群は恒に絶滅の危機にさらされて
いる。吾妻山ではやや広い範囲に生息するが、朝日連峰葉山や鳥原山の個体群は著しく孤
立化しており、より絶滅の危険性が高いといえる。
今回の調査では、成虫の飛翔は確認できなかったが、湿原Aの池塘と池塘イにおいて幼
虫が確認され、特に池塘イでの密度が湿原Aの池塘に比べて高いことが分かった。これが
経年変動としての偶発的なものか、あるいは固定的な傾向かは現時点では判断できないが、
固定的な傾向であるとすれば、湿原Aの池塘では池塘イに比べてルリボシヤンマ幼虫の個
体群密度が大きく、捕食圧が大きいことが原因の一つとして考えられる。このルリボシヤ
ンマの密度自体が調査時の偶発的変動の可能性もあるが、池塘イは抽水植物が少ないうえ
に、ミズゴケがオーバーハングした岸の直下は水深が 10〜20cm あってルリボシヤンマの産
卵にあまり適さないと思われ、ある程度固定的な傾向であると推測される。
②コマダラウスバカゲロウ(ウスバカゲロウ科)Dendroleon jesoensis Okamoto(県 NT、国-)
生息地が狭小で、かつ安定した微気候条件を必要とする特殊な生態であるため、わずか
な環境変化によっても個体数の激減を招きかねない。幼虫は巣(アリジゴク)を作らず、
苔に覆われた岩石などに潜み、地衣類を体表面に付着させカムフラージュして小昆虫を捉
える。生息には気温や湿度に大きな変化がなく安定していることと、地表に覆われた比較
的大きな岩石が必要である。今回の調査では、白目沢沿いの標高約 720m付近で確認された。
個体数や分布状況については不明である。
3)水質
各池塘の pH は、湿原Aの池塘が 4.6、池塘アが 4.4、イが 4.2、ウが 4.2 であった。唯一
過去の測定記録がある湿原Aにおいては、1963 年調査で pH4.4 を記録しており、約 50 年前
と大きな変化は認められなかった(表-4)。
本調査地域からは離れるが、鳥原山の北北西約 12.5km 付近に位置する標高約 1,150mの
竜ヶ池、約 1,350mの障子ヶ池においても同様の方法で pH を測定したので追記する。調査
の結果、竜ヶ池の pH は 6.0、障子ヶ池の pH は 4.4 であった。1963 年の調査では、竜ヶ池
の pH は 5.6、障子ヶ池の pH は 4.4 で大きな変化はなく、竜ヶ池の pH が障子ヶ池に比べて
高い傾向にも変化はなかった。
7.まとめ(今後の保全策について)
1)現地における保全対策
(1)生育環境の維持
①ホロムイソウ(ホロムイソウ科)Scheuchzeria palustris L.
ホロムイソウ生育地では木道と湿原の間にトラロープが張られておらず、立入りやすい
状況になっている。登山道沿いで池塘が複数確認できる湿原はここだけであり立入りを誘
発する可能性があること、複数の踏み跡や盗掘痕も確認できたことから、トラロープの敷
設や立入り禁止の看板等の設置が必要である。
②ミヤマヒナホシクサ(ホシクサ科)Eriocaulon nanellum Ohwi
ミヤマヒナホシクサは、上部からの流水に大きく依存している。生育地上部からの流水
量が減少した場合、生育地の乾燥化による絶滅の危険性が非常に高いことから、流水が常
に流入するように流路の管理を徹底する必要がある。また、生育範囲が非常に狭く絶滅の
リスクが高いことから、試験的に周囲のミヤマイヌノハナヒゲやミズゴケ類の優占区域に
も水域を拡大するなど、生育範囲の拡大に向けた積極的な取り組みが必要である。
③ホソバタマミクリ(ミクリ科)Sparganium glomeratum Laest. var. angustifolium Graebn.
池塘アの生育地は周囲の低木類によって被圧され、個体数が減少する可能性があること
から、周囲の低木類の状況と合わせて生育状況を観察していく必要がある。
④カオジロトンボ及びコマダラウスバカゲロウ
生息状況に関する調査が不十分であることから具体的な保全対策は提言できないが、少
なくも現状の環境を維持していくことが必要である。
(2)植生復元
ミヤマヒナホシクサ生育地周辺は、以前キャンプサイトとして利用されていたことから
裸地化が進み、自然再生が不可能な状況にある。人為による植生復元のための対策が必要
である。
2)制度的な保全対策
(1)自然公園としての対策について
①ここが国立公園内であること、②国立公園の指定目的、③公園内での禁止行為、④禁
止行為を行った場合の罰則について明示した標識登山道の入口、出口、分岐点等に設置す
る。また、上記の内容をパンフレットにまとめ配布するなど、国立公園である利点を保全
活動に最大限に利用する努力が必要である。絶滅危惧種のホロムイソウやミヤマヒナホシ
クサは地味な植物であり、盗掘の対象になりづらいことから、鳥原湿原群の特徴を示した
うえで、その保全がどうして必要かについての解説板を湿原周辺に設置するのも一つの方
法である。
(2)公園計画の見直しについて
国立公園管理計画の見直しにおいては、モニタリング調査報告書を最大限に活用し、見
直し区域内の実情にあったオリジナルな計画を立てるべきである。また、生物多様性、絶
滅危惧種の保全の観点からも、十分な検討が必要である。
(3)林野庁(国有林)との調整について
国立公園や国定公園においては、所有形態が国有林である場合が多い。国有林内で行う
行為によって生物の生育環境の大きな変化が予想される場合には、事前に調整を行う制度
的な仕組み(国有林との連携)を考えていく必要がある。
3)今後の調査による保全対策
(1)絶滅危惧種の生息・生育状況に関するモニタリング調査
絶滅危惧種の生息・生育状況を常に把握しておくことは、今後の自然環境の変化を早急
に察知する上での基礎的な資料となる。絶滅危惧種は、個体数が非常に少ない場合が多く、
何らかの環境の変化により短期間で絶滅してしまう可能性が大きい。このことから、絶滅
危惧種の保全対策としては、モニタリング調査を継続的に行うことによって、その生息状
況の変化をできるだけ早急かつ的確に把握することが最も重要な点となる。
モニタリング調査にあたっては、絶滅危惧種が絶滅せずに生息しているかどうかを確認
するだけでなく、再現性のある数量化されたデータの収集・蓄積にできるだけ取り組む必
要がある。
鳥原山湿原群においては、特に県内での生育地が非常に限られているホロムイソウ、ミ
ヤマヒナホシクサ、ホソバタマミクリ、カオジロトンボについて、上記の内容を考慮した
継続的なモニタリング調査が必要である。
(2)生物相に関する調査
今回は、ホロムイソウとミヤマヒナホシクサの実態調査に力を入れたため、植物相の解
明が十分行われたとは言えない。また、悪天候のため昆虫についても十分な成果が得られ
なかった。各調査地の生物相の解明には、今後、少なくとも春、夏、秋の年3回、多くの
専門家による追加調査が必要である。また、鳥原湿原は湿原群を形成しており、周辺の湿
原についても調査を行う必要がある。
(3)水質に関するモニタリング調査
ホロムイソウ、ミヤマヒナホシクサ、ホソバタマミクリは、湿原という環境でしか生育
できない植物である。雤水等による水質の変化は、湿原生態系に大きな影響を与えること
から、今後は pH のみならず COD など他の項目についても定期的に調査を行い、水質の変化
を捉えていく必要がある。
(4)外来種(帰化植物、移入種)に関するモニタリング調査
今回の調査では、外来種や低地植物の侵入に関して調査を行っていない。今後、地球温
暖化等の影響により高山帯の生物相に影響を与える生物が侵入してくる可能性もあること
から、駐車場周辺、登山道入口、登山道と山頂小屋付近での継続的なモニタリング調査が
必要である。
【参考・引用文献】
(1)佐藤正巳編(1949)朝日~月山~鳥海(出羽国立公園候補地学術調査報告書)前篇.
72pp,鶴岡市公民館,鶴岡.
(2)佐藤正巳編(1950)朝日~月山~鳥海(出羽国立公園候補地学術調査報告書)後篇.
208pp,鶴岡市公民館,鶴岡.
(3)梅津晋(1961)朝日連峰鳥原山でカオジロトンボを採集.山形昆虫同好会誌 1:12.
(4)山形県総合学術調査会(1964)朝日連峰総合学術調査報告書.384pp,山形県総合学
術調査会,山形.
(5)岩月善之助・水谷正美(1972)原色日本蘚苔類図鑑.405pp,保育社,大阪.
(6)結城嘉美(1972)山形県の植物誌.401pp,山形県の植物誌刊行会,山形.
(7)山形県立博物館・山形県高等学校生物教育研究会(1976)山形の自然-動物・植物
篇-.327pp,
「山形の自然」編集刊行委員会,山形.
(8)環境庁(1978)第2回自然環境保全基礎調査 特定植物群落調査報告書(山形県).
194pp,環境庁,東京.
(9)佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎(1981)日本の野生生物 草本Ⅲ単子葉類.259pp,
平凡社,東京.
(10)佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎(1982)日本の野生生物 草本Ⅰ単子葉類.305pp,
平凡社,東京.
(11)佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎(1982)日本の野生生物 草本Ⅱ単子葉類.318pp,
平凡社,東京.
(12)野尻湖昆虫グループ(1985)アトラス日本のネクイハムシ.182pp,野尻湖昆虫グル
ープ,大阪.
(13)石田昇三・石田勝義・小島圭三・杉村光俊(1988)日本産トンボ幼虫・成虫検索図
説.140pp,東海大学出版会,神奈川.
(14)佐竹義輔・原寛(1989)日本の野生生物
木本Ⅰ単子葉類.305pp,平凡社,東京.
(15)佐竹義輔・原寛(1989)日本の野生生物
木本Ⅱ単子葉類.321pp,平凡社,東京.
(16)結城嘉美(1992)新版山形県の植物誌.487pp,新版山形県の植物誌刊行委員会,山
形.
(17)環境庁(1993)第5回自然環境保全基礎調査湿地調査報告書.山形県,山形.
(18)山形県自然環境現況調査会(1997)山形県自然環境現況調査報告書(動物:無脊椎
動物篇)
.447pp,山形県環境保護課,山形.
(19)山形県自然環境現況調査会(1997)山形県自然環境現況調査報告書(植物)
.582pp,
山形県環境保護課,山形.
(20)岩月善之助(2001)日本の野生生物 コケ.355pp,平凡社,東京.
(21)佐藤靖夫・山田耕作(2002)山形県の蘚類チェックリスト.自然環境科学研究
16:
37-59.
(22)佐藤靖夫・山田耕作(2002)山形県産のタイ類とツノゴケ類チェックリスト.自然
環境科学研究 15:101-111.
(23)山形県希少野生生物調査検討委員会動物部会(2003)レッドデータブックやまがた
山形県の絶滅のおそれのある野生生物.302pp,山形県文化環境部環境保護課,山形.
( 24 ) 米 倉 浩 司 ・ 梶 田 忠 ( 2003 )「 BG Plants 和 名 - 学 名 イ ン デ ッ ク ス 」( Y-List ),
http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html.
(25)沢和浩(2004)ミヤマヒナホシクサ第2の産地.フロラ山形 60:19.
(26)山形県野生植物調査研究会(2004)レッドデータブックやまがた絶滅危惧野生植物
(維管束植物)
.294pp,山形県文化環境部環境保護課,山形.
(27)高橋信弥(2006)植物採集おぼえ書き(12)
.フロラ山形 62:5-8.
(28)武浪秀子(2006)2006 年度朝日連峰の植物調査-鳥原山湿原から-.フロラ山形
62:14-15.
(29)山形県環境科学研究センター(2007)希少野生生物保全調査報告書平成 15~18 年度.
146pp,山形県環境科学研究センター,山形.
30
流水
10
20
20m
10
80 30
20 100 40
60 100
5
裸地拡大地域
1
50
2
水深1cm以上の水域
40 100 100 20
数値はミヤマヒナホシクサの大まかな個体
数
※100は、100個体以上を意味する
植生調査箇所
50 100
50 20
10
5
3
(数字は調査区番号)
※メッシュサイズは、1m×1m
15m
図-2 ミヤマヒナホシクサの生育状況
表-1 ホロムイソウ生育箇所の植生
ミズゴケ生育区域
調査区番号
1
2
3
調査年月日
2008.8.23
2008.8.23
2008.8.23
北緯
-
-
-
東経
-
-
-
海抜高度(m)
-
-
-
方位
-
-
-
傾斜(°)
0
0
0
池塘a-1
2008.8.23
-
-
-
-
0
池塘の内部
池塘a-2
池塘b
2008.8.23
2008.8.23
-
-
-
-
-
-
-
-
0
0
池塘c
2008.8.23
-
-
-
-
0
調査面積(m2)
1.0×1.0
1.0×0.3
1.0×0.3
約500
約350
約400
約50
Ⅳ 草本層の高さ(m)
植被率(%)
Ⅴ コケ層の高さ(m)
植被率(%)
出現種数
ホロムイソウの
密度(個体/m2)
Ⅳ 草本層
ホロムイソウ
ミカヅキグサ
モウセンゴケ
ヌマガヤ
ミツガシワ
キンコウカ
ミツガシワ
ミヤマホタルイ
0.25
80
0.05
100
5
0.3
70
0.05
100
6
0.3
70
0.05
100
5
0.3
70
-
-
2
0.3
80
-
-
3
0.3
70
-
-
3
0.3
70
-
-
3
73.3
23.3
-
-
-
-
3
2
2
2
3
2
+
2
1
1
5
3
3
1
3
1
21.0
2
3
2
1
1
+
5
3
Ⅴ コケ層
ワタミズゴケ
アオモリミズゴケ
4
2
4
2
4
1
※池塘a-1では、ホロムイソウを発見できなかった。
※池塘の調査面積は、池塘の表面積。
※ミヤマホタルイとホロムイソウの葉身はいずれも針状で池塘中心部での混生状況が池塘周囲から判断
できないため、これら2種の優占度については大きく異なる可能性がある。
表-2 ミヤマヒナホシクサ生育箇所の植生
調査区番号
1
2
調査年月日
2008.8.23
2008.8.23
北緯
東経
海抜高度(m)
方位
傾斜(°)
0
0
調査面積(m2)
1.0×1.0
1.0×1.0
地況 凸地+流路
凸地
Ⅳ 草本層の高さ(m)
0.3
0.5
植被率(%)
60
100
Ⅴ コケ層の高さ(m)
0.05
-
植被率(%)
15
-
出現種数
12
2
Ⅳ 草本層
ヌマガヤ
2
5
ツマトリソウ
+
ミヤマイヌノハナヒゲ
3
ミヤマヒナホシクサ
2
キンコウカ
1
ウラジロハナヒリノキ
+
ウメバチソウ
+
モウセンゴケ
+
エゾオヤマリンドウ
+
イワショウブ
+
サラサドウダン
+
Ⅴ コケ層
ウマスギゴケ
ハリミズゴケ
1
+
※No.1調査箇所は、調査区の約40%が流路。
※池塘の調査面積は、池塘の表面積。
3
2008.8.23
0
1.0×1.0
凸地
0.8
100
-
-
2
5
+
表-3 生息を確認した昆虫類等
目
◆蛛形類
ザトウムシ目
◆昆虫類
トンボ目
科 名
マザトウムシ科
アオイトトンボ科
オニヤンマ科
ヤンマ科
ヤンマ科
トンボ科
カワゲラ目
アミメカワゲラ科
バッタ目
カマドウマ科
カメムシ目
アメンボ科
マツモムシ科
アミメカゲロウ目ウスバカゲロ科
コウチュウ目 オサムシ科
オサムシ科
テントウムシ科
ハムシ科
ハチ目
アリ科
カタアリ科
ヘビトンボ目 センブリ科
トビケラ目
エグリトビケラ科
トビケラ科
チョウ目
タテハチョウ科
タテハチョウ科
ジャノメチョウ科
確 認 し た 場 所
湿原
登山道(横
鳥原山
小屋
(池塘含
断する小
山頂
周辺
む)
沢を含む)
種 名
マザトウムシの一種
●
アオイトトンボ
オニヤンマ
ルリボシヤンマ
オオルリボシヤンマ(幼虫)
カオジロトンボ(幼虫)
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
オンダケトビケラ属の一種(幼虫)
ヤチアミメトビケラ
ミドリヒョウモン
クジャクチョウ
ヒメキマダラヒカゲ
●:現地調査で確認した種
表-4 池塘のpH
調査日
調査地
1963.8.2
2008.8.23
湿原A池塘
気温(℃)
水温(℃)
pH
20.2
24.4
4.4
12.7
13.3
4.6
2008.8.22
池塘ア
17.3
18.1
4.4
2008.8.23
池塘イ
13.4
12.4
4.2
2008.8.23
池塘ウ
13.5
12.1
4.2
13.1
11.4
5.6
1962.10.13
2008.10.8
1962.10.13
2008.10.8
竜ヶ池
障子ヶ池
-
-
6.0
12.8
14.2
4.4
-
-
4.4
※測定は、BCG比色法により行った。
●
●
方法
県
国
NT
-
NT
-
ピットホ-ル
ヒロバネアミメカワゲラ属の一種(幼虫)
カマドウマの一種
ヒメアメンボ亜属の一種
マツモムシ属の一種(?)
コマダラウスバカゲロウ
ミズギワゴミムシの一種
ジュンサイヒメヒラタゴミムシ?
Epiachna sp.
アシボソネクイハムシ
シワクシケアリ
ヒゲナガケアリ
クロセンブリ(幼虫)
RDBカテゴリ-
●
●
●
●
●
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
ピットホ-ル
ピットホ-ル
捕中網
捕中網
ピットホ-ル
ピットホ-ル
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
捕虫網
別表1 鳥原山植物目録(2008年)
調 査 箇 所
No.
科
◆コケ植物
◆セン(鮮)類
1 ミズゴケ
2
3
4
5 スギゴケ
6 ヤナギゴケ
◆タイ(苔)類
7 ヤバネゴケ
8 ヒシャクゴケ
◆シダ植物
9 ヒカゲノカズラ
10
11
12 ハナヤスリ
13 ゼンマイ
14 キジノオシダ
15 コバノイシカグマ
16 ホウライシダ
17 シシガシラ
18 オシダ
19
20
21
22
23 イワデンダ
24
25
26
27
◆種子植物
◆裸子植物
28 マツ
29
30
◆被子植物
◆双子葉植物
◆離弁花類
31 クルミ
32 カバノキ
33
34
35 ブナ
36
37
38 クワ
39 イラクサ
40
41
42
43 タデ
44 モクレン
45
46 クスノキ
47 キンポウゲ
48 マタタビ
49
50 オトギリソウ
51 モウセンゴケ
52 マンサク
53 ユキノシタ
54
55
56
57
58
59 バラ
60
61
62
63
64
65 マメ
66 カタバミ
67 ユズリハ
68 ウルシ
69
70 カエデ
71
72
73
74
75 ツリフネソウ
76
77 モチノキ
78
79
80 ニシキギ
81
82
83 スミレ
84
85
86
87 アカバナ
88 ウコギ
89
90
91 セリ
92
和 名
RDBカテゴリ-
湿原
沢沿い 尾根沿い 稜線 (池塘
含む)
県
スギハミズゴケ
イボミズゴケ
アオモリミズゴケ
ワタミズゴケ
ウマスギゴケ
ヤナギゴケ
▲
▲
●
●
●
●
評価外
評価外
評価外
評価外
評価外
評価外
ウキヤバネゴケ
ムラサキヒシャクゴケ
●
●
評価外
評価外
ヒカゲノカズラ
マンネンスギ
ヤチスギラン
フユノハナワラビ
ヤマドリゼンマイ
ヤマソテツ
ワラビ
クジャクシダ
シシガシラ
ジュウモンジシダ
ホソバナライシダ
リョウメンシダ
シノブカグマ
ミヤマイタチシダ
イヌガンソク
ヘビノネゴザ
ヤマイヌワラビ
ヒロハイヌワラビ
ホソバシケシダ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
キタゴヨウ
ハッコウダゴヨウ
ハイマツ
サワグルミ
ヒメヤシャブシ
ダケカンバ
ツノハシバミ
ブナ
ミズナラ
ミヤマナラ
ヤマグワ
アカソ
ヤマトキホコリ
ウワバミソウ
ミヤマイラクサ
ミズヒキ
ホオノキ
タムシバ
オオバクロモジ
ミツバオウレン
サルナシ
マタタビ
オトギリソウ
モウセンゴケ
マルバマンサク
ノリウツギ
ツルアジサイ
エゾアジサイ
ウメバチソウ
ヤグルマソウ
イワガラミ
キンミズヒキ
ヤマブキショウマ
ウワミズザクラ
クマイチゴ
ナナカマド
ノウゴウイチゴ
ヤブハギ
コミヤマカタバミ
エゾユズリハ
ツタウルシ
ヤマウルシ
ヤマモミジ
ハウチワカエデ
テツカエデ
ウリハダカエデ
ミネカエデ
キツリフネ
ツリフネソウ
ハイイヌツゲ
ヒメモチ
アカミノイヌツゲ
コマユミ
ツリバナ
クロヅル
タチツボスミレ
ミヤマスミレ
スミレサイシン
ミヤマツボスミレ
ミズタマソウ
コシアブラ
ハリギリ
トチバニンジン
アマニュウ
ウマノミツバ
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
国
備 考
調 査 箇 所
No.
科
◆合弁花類
93 イワウメ
94 リョウブ
95 イチヤクソウ
96
97 ツツジ
98
99
100
101
102
103
104
105
106
107
108
109
110
111
112 サクラソウ
113
114 ハイノキ
115 モクセイ
116 リンドウ
117
118
119 ミツガシワ
120 アカネ
121 シソ
122
123 ゴマノハグサ
124 オオバコ
125 スイカズラ
126
127 オミナエシ
128 キキョウ
129 キク
130
131
132
133
134
135
136
137
138
139
◆単子葉植物
140 ホロムイソウ
141 ユリ
142
143
144
145
146
147
148
149
150
151
152
153
154 イグサ
155
156 ホシクサ
157 イネ
158
159
160 サトイモ
161 ミクリ
162 カヤツリグサ
163
164
165
166
167 ラン
168
169
170
和 名
コイワカガミ
リョウブ
ウメガサソウ
シャクジョウソウ
ミヤマホツツジ
サラサドウダン
アカモノ
ハナヒリノキ
ウラジロハナヒリノキ
ウラジロヨウラク
コヨウラクツツジ
ムラサキヤシオツツジ
ハクサンシャクナゲ
ヤマツツジ
オオコメツツジ
アクシバ
クロウスゴ
オオバスノキ
コケモモ
コナスビ
ツマトリソウ
サワフタギ
アオダモ
エゾオヤマリンドウ
ツルリンドウ
テングノコヅチ
ミツガシワ
ツルアリドオシ
タイリンヤマハッカ
クロバナヒキオコシ
ミヤマママコナ
オオバコ
オオカメノキ
タニウツギ
オトコエシ
ソバナ
ノブキ
オクモミジハグマ
チョウジギク
オオヨモギ
ナンブアザミ
ヤマニガナ
カニコウモリ
ハンゴンソウ
アキノキリンソウ
ミヤマアキノキリンソウ
オヤマボクチ
ホロムイソウ
ショウジョウバカマ
ヒメサユリ
マイヅルソウ
ノギラン
キンコウカ
ツクバネソウ
ミヤマナルコユリ
ユキザサ
タケシマラン
イワショウブ
タマガワホトトギス
エンレイソウ
ネバリノギラン
タカネスズメノヒエ
クサイ
ミヤマヒナホシクサ
ヌマガヤ
チヂミザサ
チシマザサ
ミズバショウ
ホソバタマミクリ
ミカヅキグサ
ミヤマイヌノハナヒゲ
ミヤマホタルイ
アブラガヤ
ミノボロスゲ
コイチヨウラン
ホソバノキソチドリ
トキソウ
キソチドリ
RDBカテゴリ-
湿原
沢沿い 尾根沿い 稜線 (池塘
含む)
●
県
国
CR
NT
備 考
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
◎
●
●
●
CR
-
EN
NT
CR
-
VU
-
VU
NT
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
○
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
【植物目録の仕様】
◎科の配列は、以下によった。
・コケ植物:平凡社・日本の野生植物コケ
・シダ植物:裳華房刊、加藤雅啓編「植物の多様性と系統」(1997)
・裸子植物:新エングラ-(Melchior and Werdermann eds. 1964)
・被子植物:新エングラ-(Melchior and Werdermann eds. 1964)
・科の中の属や種の配列は、学名のアルファベット順とした。
・和名は、主に平凡社・(1985-2001)「日本の野生植物,草本編Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、木本編Ⅰ・Ⅱ、シダ編、コケ編」によったが、
記載のない種については米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList),
http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html.により確認して引用した。
◎凡例
●:現地調査で確認した種
◎:現地調査で確認した種で、湿原Aに特異的に分布する
○:現地調査で確認した種で、湿原Bに特異的に分布する
▲:文献「石塚和雄(1978)特定植物群落調査票.第2回自然環境保全基礎調査特定植物群落調査報告書(山形県)
:162-164.」により分布を確認した種
写真1 調査対象の湿原
写真2 調査対象の湿原
写真3 調査対象の湿原
写真4 調査対象の池塘
写真5 調査対象の池塘
写真6 調査対象の池塘
写真7 ホロムイソウ
写真8 ミヤマヒナホシクサ
写真9 ホソバタマミクリ
写真 10 ホロムイソウ生育地
写真 11 ホロムイソウ調査区
写真 12 ホロムイソウ調査区
写真 13 ホロムイソウ調査区
写真 14 ミヤマヒナホシクサ生育地
写真 15 ミヤマヒナホシクサ調査区
写真 16 ミヤマヒナホシクサ調査区(テン
トサイトによる裸地が見られる)
写真 17 テントサイトによる裸地化
写真 18 ミヤマヒナホシクサ調査区
写真 19 ピットホ-ルトラップ設置箇所
写真 20 トラップ設置状況
(鳥原山山頂)
写真 21 トラップ設置状況
写真 22 昆虫の捕獲状況
写真 23 湿原 A の池塘 a-1(鳥原山山頂側より)
写真 24 湿原 A の池塘 a-1(鳥原小屋側より)
写真 25 湿原 A の池塘 a-1(手前)と a-2(奥)(鳥原小屋側より)
写真 26 湿原 A の池塘b(左)と池塘 a-2(右)(鳥原山山頂側より)
写真 27 湿原 A の池塘b(鳥原山山頂側より)
写真 28 湿原 A の池塘c(鳥原山山頂側より)
Fly UP