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白水社創立百周年記念出版 1889-1936 傲慢 1936
「ヒトラー研究」の金字塔、世界的ベストセラーを記録する評伝の決定版、待望の邦訳刊行、全2巻! HITLER ヒトラー ㊤ 1889-1936 傲慢 ㊦ 1936-1945 天罰 学識と読みやすさを兼ね備え、 「ヒトラーと政治・社会構造」 を見事に活写、世界が称賛する超大作! イアン・カーショー◉著 川喜田敦子・福永美和子◉訳 石田勇治◉監修 監修者の言葉 30 歳までごく平凡な、とても成功するように見えなかった男ヒトラーが、その後わずか十数年でドイツ の政権を握り、総統となって国をまとめた挙げ句、未曾有の侵略戦争とホロコースト(ユダヤ人大虐殺) を遂行した。いったいどうしてそんなことが可能になったのか。 汗牛充棟のヒトラー研究のなかで、本書ほど大きな衝撃力をもつ作品は他にないだろう。原書の刊行は 20 世紀末に遡るが、それ以降、これに触れずにヒトラー、ナチ・ドイツを語ることはもはやできなくなった。 実際、膨大な史料に支えられた本書の緻密な分析には目を見張るものがある。従来の研究にみられた 人物中心主義の限界を越えて、ヒトラーをヒトラーたらしめる複雑な構造的要因の移りゆきを明らかにす ると同時に、多くの人びとがなぜヒトラーを無二の指導者として受けいれ、そのために働いたのか──ド イツ現代史上最大の謎を数々のエピソードを交えながら解き明かしてゆく。 ヒトラー研究の金字塔の本書(全 2 巻)がこの度、秀逸な訳者の手で翻訳され平明な文章で親しめる ようになった。多くの読者に温かく受け入れられることを期待したい。 石田勇治 (東京大学大学院総合文化研究科教授、 ドイツ現代史、 ジェノサイド研究) (川喜田敦子訳/発売中) 『ヒトラー(上)1889-1936 傲慢』 (福永美和子訳/2016年4月刊行予定) 『ヒトラー(下)1936-1945 天罰』 本体8,000円 ISBN978-4-560-08448-9 予価本体10,000円 ISBN978-4-560-08449-6 A5判・上製・802頁・口絵32頁・主要人名索引・原注・参考文献収録 A5判・上製・1150頁・口絵48頁・地図8点・主要人名索引・原注・参考文献収録 白水社創立百周年記念出版 〒 101-0052 東京都千代田区神田小川町 3-24 tel.03-3291-7811 / fax.03-3291-8448 / http://www.hakusuisha.co.jp ◉内容紹介 本書(全 2 巻)は、歴史における個人と社会構造の双方を重視し ており、従来の「ヒトラー研究」にありがちな、ヒトラーを「悪」 としたうえで、それを中心にナチ時代を再構成するアプローチは採 らない。一見、ヒトラーの個人的性格から生じたかにみえる破壊衝 動も、社会構造史の研究成果を踏まえつつ、ナチ体制の本質に規定 されたものとして捉えている。そして、ヒトラーに無制限な権力を 委ね、それを維持させた複雑な政治・社会構造を、さまざまなエピ ソードを織り交ぜて解き明かしていく。その筆致は、読者を惹きつ けてやまない、ある種の「サスペンス」に満ちており、まさに英国 の歴史家らしい、物語的な書きぶりといえるだろう。 ヒトラーの伝記として、アラン・ブロック『アドルフ・ヒトラー』 (大西尹明訳、みすず書房、1971 年)、ヨアヒム・フェスト『ヒトラー』(赤 羽龍夫他訳、河出書房新社、1975 年)、ジョン・トーランド『アドルフ・ ヒトラー』(永井淳訳、集英社、1979 年) などの名著が挙げられる。そ のなかで、本書が「決定版」と評価されるのは、根底に著者の長年 にわたる徹底した史料渉猟があり、ドイツ史を知り尽くした歴史家 ならではの、冷静かつ精密な分析、幅広い目配りの効いた、リーダ ブルな記述ゆえだろう。 『ヒトラー(上) 1889-1936 傲慢』はサミュエル・ジョンソン賞 最終候補、『ヒトラー(下) 1936-1945 天罰』はウルフソン歴史賞 ほかを受賞している。 ◉著者・訳者・監修者紹介 イアン・カーショー Sir Ian Kershaw 1943 年、英国オールダム生まれ。現在、英国シェフィールド大学教授。ドイツ現代 史、ナチズム研究の世界的な権威であり、英国勲爵士への叙勲をはじめ、数多くの 学術賞を受賞している。主要著書として『ヒトラー 権力の本質』(石田勇治訳、白 水社)、 『運命の選択 1940-41 世界を変えた 10 の決断』(河内隆弥訳、白水社)、 『ヒ トラー神話 第三帝国の虚像と実像』(柴田敬二訳、刀水書房)などの邦訳がある。 ◉目次 『ヒトラー (上) 1889-1936 傲慢』 ヒトラー省察 第 1 章 夢と挫折 第 2 章 転落 第 3 章 高揚と憤激 第 4 章 才能の発見 第 5 章 ビアホールの扇動家 第 6 章 「太鼓たたき」 第7章 第8章 第9章 第10章 第11章 第12章 第13章 指導者の登場 運動の掌握 躍進 権力に向かって 独裁体制の確立 権力の全面的掌握 総統のために 『ヒトラー (下) 1936-1945 天罰』 一九三六年――勝ち誇るヒトラー 第 1 章 不断の急進化 第 2 章 膨張への衝動 第 3 章 ジェノサイド・メンタリティの兆し 第 4 章 誤算 第 5 章 一か八か 第 6 章 解き放たれた野蛮 第 7 章 権力の絶頂 第 8 章 「絶滅戦争」の構想 第 9 章 決戦 第10章 「予言」の実行 第11章 最後の大博打 第12章 包囲されて 第13章 奇跡を願って 第14章 悪運 第15章 絶体絶命 第16章 奈落へ 第17章 破滅 終章 ヒトラーの歴史は、したがってヒトラーの権力の歴史として書かれ 川喜田敦子(かわきた・あつこ) なければならない。いかにしてヒトラーが権力を手にしたか、その 石田勇治『図説ドイツの歴史』(共著、河出書房新社) 、石田勇治・武内進一編『ジェ なぜヒトラーはあらゆる制度上の障壁を越えてその権力を拡大しえ 中央大学文学部教授。ドイツ現代史。主要著書:『ドイツの歴史教育』(白水社)、 ノサイドと現代世界』(共著、勉誠出版) 福永美和子(ふくなが・みわこ) 大東文化大学外国語学部/中央大学文学部非常勤講師。 ドイツ現代史。主要著訳書: 石田勇治・福永美和子編『現代ドイツへの視座 想起の文化とグローバル市民社会』 (共編著、勉誠出版) 、石田勇治『図説 ドイツの歴史』(共著、河出書房新社)、 佐藤健生/ノルベルト・フライ編『過ぎ去らぬ過去との取り組み 日本とドイツ』(共 訳、岩波書店) 石田勇治(いしだ・ゆうじ) 権力の特質は何だったか、ヒトラーはその権力をいかに行使したか、 たか、ヒトラーの権力に対してなぜあれほど弱い抵抗しかみられな かったのか。ただし、こうした問いは、ヒトラーだけではなく、ドイ ツ社会に向けられねばならない。 権力を獲得、行使するにあたってヒトラーの生来の性格が果たし た役割を過小評価すべきだと言っているのではない。一途で、融通 がきかず、邪魔者は容赦なく切り捨て、冷淡で抜け目なく、のるか そるかの大勝負に鼻がきく、といったすべてがヒトラーの権力を作り だすうえで一役買っていた。ヒトラーのこうした性格は、総体として、 東京大学大学院総合文化研究科教授。 ドイツ現代史、 ジェノサイド研究。主要著訳書: ヒトラーの原動力となったある重要な特徴を生み出した。それは病 (白水社) 、『20 世紀ドイツ史』(白水社) 、『図説 ドイツの歴史』(共著、河出書 愛の強いヒトラーにとって、権力は、無目的な青年期をへて唯一目 『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書) 、『過去の克服 ヒトラー後のドイツ』 房新社)、石田勇治・武内進一編『ジェノサイドと現代世界』(共著、勉誠出版)、カー ショー『ヒトラー 権力の本質』(白水社) お客様名 的なまでの自惚れである。ヒトラーは権力に魅了されていた。自己 的となったものだった。 ご注文先 (上巻「ヒトラー省察」より)