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中小企業の航空機産業参入機会と取り組みについて
平成24年 神奈川県ものづくり技術交流会 予稿 中小企業の航空機産業参入機会と取り組みについて JASPA 株式会社 取締役 千田泰弘 1 航空機製造業者に求められるもの 航空機産業は安全性確保に対する規制が厳しい「規制産業」である。設計、製造、使用、保守すべてにわたって 国の規制があり、これを順守する必要がある。国際的にほぼ同じ考え方で規制され、ほぼ「国際標準」と言って もよい。 航空機メーカとしては:政府から安全確保に関する認可(型式証明、耐空証明)を取得し、これを確実に守る 製品を実現する。 下請け事業者は:航空機メーカの取得した認可を確実に実現させる製造・加工・検査を行う(品質保証) 製造体制は、技術は当然のこととして、品質保証体制を重視する。 航空機製造に係る品質保証は国際規格として JISQ9100、 NADCAP があり、 製造事業者はこの資格を持つか、 またはこれと同等以上の品質保証体制にあることが求められる。 品質保証の構図 2 中小企業の参入機会 2.1 下請けとしての参入 発注者は、コスト削減のため技術を外注する「工程 外注」から品質をトータルに保障させる「部品外注」 にシフト。 事例:中部地方の事業協同組合 JASPA・ACPC の共同工場 保証人(政府):型式認定、耐空証明 保証の全下請け(航空機メーカ) 保証の一部の一次下請け(一次下請け メーカ群) JISQ9100,NADCAP 2.2 提案型の参入 他産業で培った優秀な技術を、航空機に転用あるはい 新規に技術開発を行う。いずれにせよ、技術が航空機 として使えるという証明が必要であり、第三者機関など の活用が重要である。 事例:ラゲジケースの鏡、チタンネジ、水上機用フロート 認 定 ・ 認 証 保証の一部の二次下請け、三次下請 け・・・・・ 図―1品質保証の流れ 2.3 メーカとしての参入 小型機は世界的に中小企業の市場である。 米国で2004年から新たに定義された LSA(Light Sports Aviation)は最も参入が容易であるが、この制度は 米国、欧州、韓国にしか無く、我が国での制度設定が望 まれる。 日本は、国土面積当たり空港密度が高い国であり、空港 インフラは申し分ない。また LSA の一種ともいえる ULP (超軽量級動力機)は、規制が少ないため全国に利用者が 広がっている。 LSA の製造ではチェコ共和国は既に世界上位にあり、 航空機産業の裾野を広げている。 図―2下請け体制の変化(愛知県航空宇宙産 業ビジョン 2009) 3 むすび 我が国の中小企業には、旅客機の分野だけでなく、多くの参入機会があり、時間はかかるが今後に期待できると 思われる。