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資料1-8 業界団体でのルール・ガイドライン ・認証を策定するにあたって 産業技術総合研究所 人間情報研究部門 持丸 正明 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 1 ガイドラインも「標準」のひとつ • 標準とは、本来、合意である – 標準を政府、業界が規制として使用する こともある – JISやISOだけが標準ではない。 業界標準、フォーラム標準もある – ガイドラインも標準の一形態 • 合意をすることで 合意形成 – – – – 2 購入 合意 – 合意者同士が便利になる – 社会全体が良い方向に向かう • 製造 中立者、製造者、使用者 社会的利益(効率・安全) 当事者利益(生産性・コスト・利便性) 技術的側面(完成度、発展阻害) 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 Standard 標準とは「社会を変える手段」 • 標準をデザインする=社会をデザインする – 新たな合意形成によって、どのようにステークホルダーの行動が変容 するか – その行動変容によって、どのように社会が変わるか 合意に沿って 製造 合意に沿って 作られたものを購入 合意 Standard ライターのCR安全仕様 3 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 デジュール標準とフォーラム標準 デジュール標準 拘束力 どちらも任意ルール(法的拘束なし) 適用範囲 すべての製造・販売元 フォーラム参加者 審議メンバー 公平性を重視 フォーラム参加者中心 公的機関が中核となり、構成 生産者、使用・消費者、中立 者のバランスに配慮して構成 手続き 公平性を担保 JIS制定・改正の審議開始時、 JISCでの審議終了後からJIS制 定・改正の公示前の期間に、 広く意見を述べる機会を設置 4 フォーラム標準 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 専門委員の意見を求めること もある フォーラム内で自主的に決 める ガイドラインの作り方 (1)構造 • 第1層:ポリシー(公開) – – – – – • 全体を包括する基本的な考え方、指針 ガイドライン作成側の宣言 数箇条、分かりやすい言葉 網羅的になるように、フレームワークを活用 必要に応じ、上位のポリシーを継承 第2層:ガイドライン(公開) – ポリシーをアクションに落とすために守るべき事項 – ステークホルダー間の合意 • 第3層:オペレーションガイド(外部非公開でもよい) – ガイドラインに沿ったオペレーションを実行する際の、具体的な取り 決めや、ガイドライン文章の解釈合意 – 実態に即して、随時更新する 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 5 ガイドラインの作り方 (2)デジュール • デジュール標準化を目指す場合には、 • フォーラム標準策定の組織構成 – 業界団体だけでなく、はじめから、中立者や使用者をバランス良く加 えておく – 関係省庁の関連部局も委員(中立者)に加えておく • 標準文書の形式 – JISやISOなどの文書形式に揃えておく – 国際標準化を目指すなら、英訳を用意しておく • デジュール標準策定への働きかけ – 関係する部局(たとえば経済産業省・基準認証ユニットなど)とあら かじめ協議しておく – 国際標準化を目指すなら、海外企業や提案協力国となる国の標準化組 織を協議しておく 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 6 ガイドラインの作り方 (3)認証 • ガイドラインに基づく認証を行う場合には、 • 持続性のある認証ビジネスモデルを考える – 認証機関が持続可能になるように、コスト・収益計算を • 認証費用で収益を上げるか、マーク使用費で収益を上げるか – 品質・信頼と手間・コストのバランス、市場性 • 認証にレベルを設け、上位認証(少数)で信頼性とブランドを獲得し、下 位認証(多数)で収益を上げる、など – それを踏まえて、ガイドラインを作る • 認証実施ガイドの作成(通常は非公開) – ガイドラインの必須項目を現認する方法 • プロセス認証では、ドキュメントで現認することが多い。手間が増える – 可否の判断レベル • 認証マークの作成と運用 – マークの作成と知的財産登録 – マークの運用ガイドラインの作成 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 7 ガイドラインの作り方 (4)組織 • ガイドラインと認証を別組織に – 物差しを決める部署と、物差しを使った測り方を決める部署は明確に 分離する – 物差しはあまり頻繁に変更しない。測り方は変更しても良い • 認証とコンサルティングを別法人に – 認証を実施する組織(法人)と、認証をパスするためのコンサルティ ングを行う組織(法人)は分離する – Cf. 運転免許試験場とドライビングスクール – 認証が普及すれば、コンサルティング組織の方が収益性が良くなる • 第三者委員会を設ける – ガイドライン作成、認証基準作成、さらには、その運用組織に対して 有識者による第三者委員会を位置付ける(議事録公開) – 認証利用者(エンドユーザ含む)やメディアとの懇談会を開く 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 8 持丸が策定に関わった事例 • すべて「製品・サービス」の品質が一定以上であることを保証する ためのガイドライン、認証 – 適用範囲:サービスを対象に含むもの、製品だけを対象としたもの – ステークホルダー:業界と消費者 – 趣旨:良貨(良い品質のもの)が悪貨(実は悪い品質だが、良さそう に喧伝するもの)に駆逐されない仕組みを作る – 社会的効果:消費者が良いものを選択し対価を払う。これにより、市 場に良貨が循環し、ビジネスを通じて良い社会効果を持続できる 企業 市場選択による 社会変容 認証 機関 • 製品やサービス の効能 • コピー商品 • エセ科学 消費者 性能を保証する 認証・アイコン 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 9 キッズデザイン・CSD認証 (1) • 趣旨 – CSD認証は、製品・環境・サービスに定められている安全基準や規格の 遵守だけでは解決できない子どもの事故に対して、実際に起きた事故、 類似事故、あるいはヒヤリハット情報に基づき、「子どもたちの安 全・安心に貢献するデザイン」に関する安全性のガイドライン(キッ ズデザインガイドライン)を遵守し、規定のキッズデザインプロセス を導入し、循環させることで、 管理№:CSD 文書№:001 版数:1 頁: 2 / 7 キッズデザインガイドライン 安全を高めようとするプロセス 制定日:2013.9.30 ―キッズデザインの原則 改訂日: を経たことを認証するもの • 目 次 実施母体 – キッズデザイン協議会 • ポリシー 0 序文 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1 適用範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2 引用規格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3 用語及び定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 4 キッズデザインの原則・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 – キッズデザインの原則 (8箇条) 4.1 基本的理念・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 4.2 適用範囲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 4.3 科学的根拠に基づくアプローチ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 – 経済産業省製造産業局の委託 事業で策定 4.4 安全・安心―重篤な事故を繰り返さないデザイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 4.5 創造性―子どもたちを育むデザイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 4.6 産み育て―子どもたち産み育てやすいデザイン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 4.7 事業活動における配慮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 4.8 キッズデザインの知識循環に向けて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 10 キッズデザイン・CSD認証 (2) • キッズデザインガイドライン – デザインプロセスにおける子どもの安全管理の指針を提示 版数:1 頁: 11 / 12 キッズデザインガイドライン ―安全性のガイドライン 制定日:2013.9.30 改訂日: – 会員企業、中立者、消費者団体との間で合意形成 管理№:CSD • 文書№:002 CSD認証 要求事項 この 4 項目を PDCA サイクルのようにイノベーションサイクルとして回し、スパイラルアップし て行くことを求めている。なお、このキッズデザインプロセスは、企画・開発・製造・提供・販 – キッズデザインガイドライン のなかで、最低限守るべき また、このキッズデザインプロセスを導入する、あるいは回して行くためには、子どもの事故 情報や子どもの身体のサイズ等のデータ、子どもならではの行動特性などのデータベース(図7 ステップと認証ポイント における青色の枠の部分)の活用が必要であり、それらと関係づけられた「リスクチェックシー 売などの企業の既存の事業プロセスのどこに組み込んでも構わないことにした。 ト」等の活用も求められるとしている。 1.デザインコンセプト 管理№:CSD 文書№:003 制定日:2013.9.30 CSD(Child Safety through Design) ―要求事項 版数:1 頁: 2 / 12 改訂日: 目 次 0 序文 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 1 適用範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 2 引用規格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3 用語及び定義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 4 一般要求事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 4.1 適用範囲の明確化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 4.2 遵守法令・規格等の明確化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 4.4 仕組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 4.5 運用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 5 キッズデザインプロセス要求事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 5.1 キッズデザインプロセスの導入・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 5.2 デザインコンセプト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5.3 デザインレビュー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5.4 カスタマーコミュニケーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5.5 事故情報・ユーザーニーズ収集・分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 6 製品・環境・サービス評価要求事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 附属書A(参考)CSD(Child Safety through Design) 要求項目一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 図7.キッズデザインガイドラインの構成 解 説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 11 CSDロゴマーク CSDマーク キッズデザイン・CSD認証 (3) • 認証プロセス、認証の組織 – キッズデザイン協議会内に ガイドライン委員会と認証 2.2 認証ロゴマークの表示方法について 委員会を別個に組織 (1)認証ロゴマークを使用する際は、「説明文」および「認証情報(=認証番号+ – 認証プロセスを開示 を表記し認証ロゴマークが何を意味するものなのかを示さなければならな • 認証マーク (※認証ロゴマークを使用する場合の基本的考え方:消費者、使用者に「認証 – マークを独自に作成 – 運用ガイドを策定 • の意味(=説明文)及び認証番号、認証対象を何らかの手段で伝えなければな (2)CSD ロゴマークには、説明文 A、 CSD マークには説明文 B を使用するこ (3)原則、「説明文」と「認証情報」を別々での表記や、片方のみでの使用は ビジネスモデル – 同協議会は、別に運用する キッズデザイン賞で収益を あげる – CSD認証は企業風土の底上 げと、市場の国際化を目指 した活動と位置付け CSDロゴマーク CSDマーク 説明文A 説明文 B 認証情報 (=認証番号+認証対象) 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 12 2012 ISO TC159/SC1/W G5 Human centered org. 2013 2014 2015 2016 2017 人間中心設 計プロセス 標準 ISO TC159/SC1/W G5 Kids Design Guideline 子どもに焦 点を当てた 人間中心設 計プロセス 標準 ISO/IECGuide 50 子どもの安 全性確保の 指針 JIS Guide 50 ISO Guide50の JIS化 JIS KidsDesign Guideline JIS Guide50 を補完する 製品設計プ ロセス指針 KDA KidsDesign Guideline キッズデザ インガイド ライン KDA CSD認証 CSD認証 ISOの人間中心 設計プロセス標 準 ④ JISを人間中心設 計プロセス標準 の拡張として ISO提案 Guide50の改訂 に積極参加 ④ ① ② ③ 世界に先んじ て国内標準化 世界に先んじて フォーラム標準化 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 13 人間生活工学 製品機能認証 • 実施団体 – 一般社団法人 人間生活工学研究センター – http://hql.jp/certification/ • ポリシー・ガイドライン・認証 – 人間生活工学ガイドライン(業界 標準・公開) – 人間生活工学製品機能認証 認証規 定(業界標準・公開) – 認証体制(公開) – マーク規定(公開) • デジュール標準化 – ISO TC159 (人間工学) の活動と連携 – ISO 27500: 2016, The human-centred organization -- Rationale and general principles 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 14 革靴品質基準認証 • 実施団体 – 全日本革靴工業協同組合連合会 – http://www.zkkr288.or.jp/index.html • ポリシー・ガイドライン・認証 – 産学官で日本人の足に合うように科学的に 研究された靴型を、革靴メーカーと共有、 審査に合格したパンプスを認証 – 基本理念 – 靴の設計製造ガイドライン(公開) – 認証ガイドライン(公開) – 認証マーク • デジュール標準化はしない(あくまでも業界標準) 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 15 公的ガイドライン・認証が有効なケース • くち 消費者口コミ > 公的認証(食べログ、燃費) – 使えばすぐに価値が分かる、誰でも評価可能 – 製品・サービスの寿命が長い – 他人の評価が参考になる(個人差影響が小さい) • くち 公的認証 > 消費者口コミ(トクホ) – すぐには価値が分からない(教育、安全、健康) – 製品・サービスの寿命が短い(飲料、アパレル) – 他人の評価では参考にならない(靴のフィット性) 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 16