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WTO農業委特別会合の概要

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WTO農業委特別会合の概要
プレスリリース
WTO農業委特別会合の概要
1.日時:平成14年11月18日(月)∼22日(金)
2.場所:WTO本部(ジュネーブ)
3.我が国出席者:竹中農林水産審議官、村上国際部長 他
4.議論の概要
(1)「追加的提案」の議題の下で、各国からの新たな提案について説明が行われ、我が国からは、以
下の内容を含む「声明」を基本的な考え方として表明した上で、我が国のモダリティ提案を説明し
た。
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今回の交渉を通じて、市場アクセス・国内支持・輸出規律の3分野間のバランスが重要であっ
て、特に輸出国と輸入国の権利・義務の不均衡を是正することが不可欠。
ドーハ閣僚宣言に規定されている非貿易的関心事項及び開発途上国の特別のかつ異なる扱いの適
切な位置づけが確保されることが不可欠。
このような観点から、ミニマム・アクセス制度を含む市場アクセス、農政改革の円滑な継続を可
能とする国内支持の規律、輸出規制・輸出税を含む輸出規律についての見直しを内容とするバラ
ンスのとれた交渉成果を追求。
ドーハ閣僚宣言に明記されているとおり、農業交渉を含む全ての交渉は包括的に行われる必要が
あり、各分野間のバランスが重要。同時に、ジョーンズ・アクトに係る措置等、特定の加盟国に
とって有利な例外的な措置が維持されるなど、不公平・不公正な部分が残されている状況が解消
され、これによってWTO全体として公平・公正な貿易秩序が確立される必要。
〔その他:ノルウェー(包括モダリティ提案)、ケアンズ(輸出競争)、モーリシャス等小島嶼国
等、リトアニア等新規加盟国、インド、パキスタン等途上国などからの提案あり〕
(2)我が国提案に対し、非貿易的関心事項の重要性等の基本的考え方、UR方式の採用等に対する支
持発言がフレンズ国等から表明された一方、米国、ケアンズ諸国からは以下のような批判的な反応
があった。
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日本の提案は全く野心に欠け、この提案内容で、ドーハ閣僚宣言のマンデートをいかにして達成
するのか不明。ミニマム・アクセス制度の見直しは、改革に逆行する。
UR方式の継続は不公平な農産物貿易構造を温存する。
UR方式による関税削減では、タリフ・ピーク、タリフ・エスカレーションに対処できない。
野菜、果物等への特別セーフガードの拡大は、途上国が最も輸出競争力のある品目でのアクセス
を阻害する。
日本は農業を交渉全体の中で見る必要がある旨述べたが、バランスのとれた交渉結果を得ること
が今次ラウンドの最重要ポイントであるのに、日本の提案からはそのことが全く見えてこない。
サービス交渉等での日本の野心的な提案とは相容れない。
日本の提案は、「ウルグァイ・ラウンド・マイナス」であり、一部の提案は逆行している。農業
をWTOの一般規律に統合する方向に向けた提案ではない。
UR方式による関税引下げは、センシティブ品目を削減約束から除外するもの。
カレント・アクセス数量の維持、ミニマム・アクセス数量の縮減、特別セーフガードの対象拡大
等で、いかにしてドーハでのマンデートを達成できるのか。
スイス・フォーミュラは関税水準の高い国により大きな引下げ努力を強いると批判しているが、
これぞまさにスイス・フォーミュラが目指すもの。
「農業改革の長期的目標」(農業協定20条)は過去のもので、その後のドーハ閣僚宣言が新た
なマンデート。
輸出制限、輸出税はドーハでのマンデートに含まれないので、農業交渉で議論することすら受け
入れられない。輸出規制に関しては、ガット11条(数量制限禁止の一般原則)の規定で十分。
UR方式による柔軟性の維持は、高水準の保護による市場歪曲の維持を意味する。社会的セーフ
ティネットが完備され、かつ財源を有する先進国が主張する柔軟性は、日々を生き抜くために必
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要な途上国が求める柔軟性とは異なる。
特別セーフガードの維持・拡大、黄の政策の維持、インパクトのない関税引下げ方式といった提
案で、市場アクセスの実質的改善、歪曲的国内支持の実質的削減、輸出補助金の削減というドー
ハでのマンデートをいかにして達成するのか。
非貿易的関心事項は、ドーハ閣僚宣言ではあくまで考慮事項とされており、交渉事項ではない。
日本は、輸出制限/輸出税の部分以外では何ら現状からの変更を提案していない。
黄の政策、青の政策は貿易歪曲性があり、その枠組みの維持は改革に資するものではない。
収入保険・保証プログラムの最低収入損失要件の引下げ、最大補填率の引き上げの提案は、助成
の増大を意味し、農産物貿易に影響を及ぼす。
(3)以上に対し、我が国から、(1)の考え方に基づいて改めて反論したほか、個別に次のような点
を指摘した。
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日本は、非貿易的関心事項への配慮等を含むドーハでのマンデートに合意しており、それに沿っ
た提案を行っている。また、農業協定には、UR合意の実施の経験を踏まえて交渉を行うことが
明記されている。ミニマム・アクセスの見直しについては、これらに則り、現行制度の不備の是
正を提案している。
関税引下げ方式、関税割当数量、特別セーフガード、削減対象外となる国内支持の範囲、輸出信
用、食料援助、輸出制限/輸出税といったルールに関する議論を尽くさず、具体的数字のみに焦点
を当てようとすることは公平でない。野心的過ぎる提案はかえって交渉の進展を阻害する。
改革は段階的に実施されるべき。スイス・フォーミュラは、一部の国の農業の存続を否定するも
ので、「多様な農業の共存」という基本的考えに反する。
ドーハ閣僚宣言のパラ13には、交渉はこれまでの作業及び提案に基づいて行う旨明記されてお
り、我が国が交渉開始当初から提案していた輸出税の問題が農業交渉の対象であることは明白。
自国の関心のある分野のみ野心的な成果を求める国が、輸出制限/輸出税に関しては議論すること
さえ拒否することは理解できない。
(4)その他途上国関連の論点(特別セーフガード、国内支持の特例等)、輸出競争関連の事項などに
ついて議論が行われ、当方より、我が国のモダリティ提案の内容に即し、適宜発言した。
以上
(問合せ先)
総合食料局国際部国際経済課
遠藤
03-3502-8111(代表) 3271(内線)
03-3501-4079(直通)
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