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第7章 トランジスタ回路 (6/15,22)

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第7章 トランジスタ回路 (6/15,22)
第7章 トランジスタ回路
基本性能
1947年12月23日に発明された
最初のトランジスタ
接地方式
一般の回路は必ず端子が対の形になっている。入力回路と出力回路の2
つの回路に接続する場合は 合計4つの端子が存在することになり エミッ
つの回路に接続する場合は,合計4つの端子が存在することになり,エミッ
タ・ベース・コレクタの3極をもつトランジスタは,1極が共通極,それ以外が
入力,出力となる。共通極は一般に接地(グランド)となるため,この電極名
から,エミッタ接地,ベース接地,コレクタ接地と呼ばれる。
ば
最も一般的なのはエミッタ接地で,この場合はベースが入力,コレクタが出
力となる ベ ス接地ではエミッタが入力 コレクタ接地ではエミッタが出力
力となる。ベース接地ではエミッタが入力,コレクタ接地ではエミッタが出力
となる。
C
B
E
エミッタ接地
E
C
B
ベース接地
E
B
C
コレクタ接地
npn形を対象とした電流の流れ方
p
C
IC
IC
C
B
B
VCE
IB
IB
VBE
IE
E
I E = IB + IC
E
IE = IB + IC VBE
VCE
IE = IB + IC
VBEがない(IB = 0)とCB間が逆電圧(逆バイアス)になって電流は流れず,
0)とCB間が逆電圧(逆バイアス)になって電流は流れず
コレクタ電流ICはゼロになる。VBEが存在する(VBE>0.6V)とBE間が順電圧
となり,ベースからエミッタにホールが移動し,エミッタからベースへ流れた
電子の大部分は空乏層を横切ってコレクタまで進む。これがコレクタ電流と
部
空
を横
進
れが
流
なる。(電流は電子の流れと逆方向になる)
電圧の加え方と電流の流れ方
pnp形
IE
npn形
VBE
B
IB
VCB
n
IC
VCB
E VBE
p
B
p
IB
p
C
IC
VCE
C
n
VCE
n
E VBE
VBE
IE
EB間は順方向へ,CB間は逆方向になるように電圧を加える。ベース・エミ
ッタ間がpn接合のpnp形は,トランジスタのエミッタ矢印方向に電流が流れ
るように電位を加える。この時,BC間は逆電位を加え,コレクタ電流はエミッ
タへ流れるように構成する。npn形は,電流の流れと電圧のかけ方がpnp形
タへ流れるように構成する npn形は 電流の流れと電圧のかけ方がpnp形
とまったく逆になる。
静特性
JEITA(社団法人 電子情報技術産業協会)の規
格ED-4001「個別半導体デバイスの形名」に基づい
て,型名と規格がJEITAに登録されている。日本に
おける半導体素子(ここでは3個の電極を持つもの)
の型番は,古いJISで以下のようにルール付けられ
ている。
小信号用バイポーラトラ
2SAxxx PNP型バイポーラトランジスタ 高周波用
ンジスタの代表格
2SC1815
2SBxxx PNP型バイポーラトランジスタ 低周波用
NPN型バイポ ラトランジスタ 高周波用
2SCxxx NPN型バイポーラトランジスタ
2SDxxx NPN型バイポーラトランジスタ 低周波用
サイリ タ
2SFxxx サイリスタ
2SHxxx ユニジャンクショントランジスタ
2SJxxx Pch 電界効果型トランジスタ
2SKxxx Nch 電界効果型トランジスタ
測定回路
トランジスタを以下のように接続して各部分の電圧と電流を測定し,トラン
ジスタの静特性を調べる 静特性は入力特性(IB−V
ジスタの静特性を調べる。静特性は入力特性(I
VBE),電流伝達特性(I
) 電流伝達特性(IC−
IB),出力特性(IC−VCE)の3種類を組み合わせて表現される。
なお, V と A はそれぞれ電圧と電流測定器を表している。
入力特性(VBE−IB)
VCE を一定にした時
のIBとVBEの関係
IC
AC
IB
AB
VBB
VB VBE
VCC
VC VCE
電流伝達特性( C−IB)
電流伝達特性(I
VCE を固定した時の
IBとICの関係
出力特性(VCE−IC)
ベース電流I
電流 Bを固定
した時の VCE−ICの関
係
入力特性,電流伝達特性
IB
[mA]
0.7
VCE = 5[V]
IC
VCE = 5[V]
[mA]
70
06
0.6
60
0.5
50
0.4
40
0.3
30
0.2
20
01
0.1
10
0
0
0 2 00.4
0.2
4 0.6
0 6 0.8
08
VBE[V]
入力特性
入力特性(VBE−IB)
VBE が あ る 値 ( 約
0.6V)以上になるとIB
は大きく変化する。
電流伝達特性(IC−IB)
特性はほぼ直線と
なり,直線範囲では比
例関係(IC = βIB )が
成立する。
0
0
00.2
2 0.4
0 4 0.6
06
IB[mA]
電流伝達特性
出力特性
IC
[mA]
80
出力特性
(VCE−IIC)
IB を 変 化 さ せ
て同様の測定を
繰り返すとこの
結 果 を 得 る 。 IC
は IB に よ っ て 大
き く 変 わ り , VCE
にはあまり影響
を受けない。
IB = 0.5[mA]
70
0.4
60
0.3
50
40
0.2
30
0.1
20
10
0
0
1
2
3
4
5 6
VCE[V]
出力特性
7
8
9
10
一般にハンド
ブック等ではエ
ミッタ接地の静
特性が示されて
いる。
バイアス回路
トランジスタへ入れる入力信号にどれくらいの電圧と電流
を加えるかを決める回路のことをバイアス回路という。トラン
ジスタの各端子には定格内の電位差と電流を設定しないと
動作しない そのため 入力信号をトランジスタが正常動作
動作しない。そのため,入力信号をトランジスタが正常動作
する電圧に「かさ上げ」(オフセット)し,電流も正常動作する
レベルまで加えてやる必要がある。
バイアスをかける方法は大きく分けて3つあり,それぞれ固
定バイアス回路,自己バイアス回路,電流帰還バイアス回
路という。
路
う。
バイアス回路の選定
IC = ICC + ic
IB = IBB + ib
vb ~
VBB
VBE
入力部の電圧を静特性の入力特
性(ベース電流IBとベースエミッタ間
電圧VBE の関係)を考慮して設定す
る。
R
VCE
VCC
出力部の電圧・抵抗を静特性の出
力特性の負荷線(コレクタ電流ICとコ
レクタ・エミッタ間電圧VCE)を考慮し
て設定する。この回路では,入力電
圧VBが出力電圧VCE = VCC − RICに
増幅されて出力される。
トランジスタの入力特性と負荷直線
IC
出力特性
IB = 0.5[mA]
[mA]
80
0.4
70
0.7
負荷直線
60
06
0.6
VCE − VCC
0.3
IC =
50
0.5
R
40
04
0.4
02
0.2
30
0.3
0.1
20
0.2
10
0.1
0
0
t 0 0.2 0.4 0.6 0.8 V [V]
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10VCE[V]
BE
IB
入力特性
[[mA]] VCE = 5[V]
IB
ib
VBE
VCE
vB
t
t
それぞれの特性をもとに,IBが歪まないようなVBEを選択して,その動作点
を決める また 出力波形が極力歪みのない対象波形となるように負荷線
を決める。また,出力波形が極力歪みのない対象波形となるように負荷線
上の動作点を決める。
入力特性(IB−VBE曲線)の拡大図
IB
IBB+ib
IBB
ib
06
0.6
VBB
0.6+vb
VBB+vb
IB−VBE 曲線を対象とした電流−電圧
波形と動作点の関係図より,動作点電
圧VBEを0.6V近傍の値にすると電流は
を0 6V近傍の値にすると電流は
片波の歪んだ波形となる。
VBE
負荷線と動特性
IC
入力特性で動作点が定まる
[mA] IB = 0.5[mA]
と そのベース電流のβ倍のコ
と,そのベ
ス電流のβ倍のコ
80
レクタ電流の流れる点が負荷
0.4
70
線上の動作点となる。そのと
負荷直線
60
きのコレクタ・エミッタ間電圧を
VCE − VCC
0.3
IC =
50
読みとればVCEの動作点がわ
R
かる そこで 入力で動作点を
かる。そこで,入力で動作点を
40
02
0.2
中心に信号電圧を加えれば,
30
0.1
負荷線上でコレクタ電流の変
20
化する範囲がわかり,その結
10
果VCE の変化する幅が決まる。
0
このVCE の幅が出力電圧とな
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
る。表現を変えると,静特性に
VCE[V]
負荷線を書き込むと,その回
路の動特性を示すことになる。例えば入力段で歪みを生じさせないようにIB
を0.5mAとすると,負荷直線から動作点電圧VCEは5.8Vになる。歪みのない
対称出力波形は5 8±(10−5 8)V すなわち1 6V~10 0Vの出力電圧となる
対称出力波形は5.8±(10−5.8)V,すなわち1.6V~10.0Vの出力電圧となる。
このとき,負荷抵抗は10V / 33mA = 303Ωになる。
固定バイアス回路
IC+IB
IB
VRB
最も基本的なバイアス回
路である
路である。
IC
RL
RB
VCC = V RB + VBE
C
B
VCC
IE
VBE
VCC
E
VCE
VCC
V RB = I B RB
なので,
VCC = I B RB + VBE
バイアス電流をIBとすると,
抵抗RBは,
V − VBE
RB = CC
IB
となる。
自己バイアス回路
IC+IB
IB
VRB
RB
VRE
RL
IC
C
B
VCC
VCE
VBE
電圧帰還がかかっている
ので 温度変化に対して安
ので,温度変化に対して安
定して動作する。
IE
E VCE
VCC
VCE = VRB + VBE
RB の電圧降下をVRB ,バイ
アス電流をIBとすると,
V RB = I B RB
となり,抵抗RBは,
VCE − VBE
RB =
IB
となる。変形すると,
VCE − VBE
IB =
RB
となる
となる。
電流帰還バイアス回路
IC+IB
IA+IB
VRB
IC
RL
VRL
RB
VBB =
C
VBB IB
IA
VCC
VRA
RA
B
VCE V
C
VBE I E
E
RE
IC+IR
この回路はエミッタにも抵
抗が接続される 動作点を
抗が接続される。動作点を
決めるのはVBBである。
VRE
RA
VCC
R A + RB
VCC RE の電圧降下をVRE とする
と,
VBE = VBB − VRE
となる。バイアス電圧は3つ
の抵抗値RA,R
RB,R
RCで決ま
る。
VRE = I E RE
= RE ( I C + I B )
出力信号の取り出し方
RL
IC C0
VCC
C
B
E
VCE
トランジスタ回路ではベース電流
の β 倍のコレクタ電流が流れ,入
倍のコレクタ電流が流れ 入
力電圧変化はコレクタ電流の変化
となる(一般に電流信号より電圧
信号のほうが回路として取り扱い
易い)。一般の出力信号はコレク
タの電流変化を負荷抵抗RL の両
端電圧変化として得る。なお,交
流分だけを取り出すときはコンデ
ンサC0を接続して直流分を取り除
く。
VCE = VCC − I C RL
VCE VCC
IC =
+
RL
RL
増幅動作解析
回路にIE ,IB ,IC が流れているとき,
VB を ΔVB だけ増やすと,これにとも
だけ増やすと これにとも
なってIE,ICもΔIE, ΔICだけ変化する。
I E + ΔI E = I B + ΔI B + I C + ΔI C
IC+ΔIC
IB+ΔIB
C
ΔI E = ΔI B + ΔI C
B
E
IE+ΔIE
VB+ΔVB
VC
一般のトランジスタでは,ベース内
でホールと結合する電子の数が,移
動する電子の0.2%~2%程度なので,
IE,IIB,IICの関係は,
の関係は
I B = 0.002 I E~0.02 I E
I C = 0.998 I E~0.98 I E
となる。ここで,IC / IBを求めると,
ΔI C I C
≈
= 49~499
ΔI B I B
となる。
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