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福島原発事故>廃炉作業員不足 協力企業の5割が懸念 毎日新聞 2016

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福島原発事故>廃炉作業員不足 協力企業の5割が懸念 毎日新聞 2016
<福島原発事故>廃炉作業員不足
協力企業の5割が懸念 毎日新聞 2016年3月7日(月) 9時0分
東京電力福島
第1原発事故で、毎日新聞が廃炉作業に携わる協力企業を対象
に調査したところ、回答があった半数に当たる21社が作業員不足
を懸念していることが分かった。被ばくのリスクのため若手が集まり
にくく、今後高齢化が進めば、担い手や技術の空洞化を招く可能
性もある。廃炉が遅れれば地元の復興を妨げる恐れもあり、作業員
の継続的な確保が課題となる。「ご安全に」。福島第1原発の出入
り口に当たる「入退域管理施設」では、作業員が行き交うたびに、
無事故を祈るあいさつが交わされる。事故から5年。事故直後は
「火事場」と言われた現場も平穏を取り戻している。しかし、被ばくや高齢化など作業員を取り巻く環境は依然厳しい。今回
の調査は元請けのほか、福島県など地元自治体に提出された建築関係の許認可資料などから判明した246社を対象にア
ンケートを送り、2割の計42社から回答を得た。作業員が充足しているか聞いたところ、「足りない」「どちらかというと足りな
い」が21社で、「足りている」「どちらかというと足りている」(20社)を上回った。不足する理由について複数回答で挙げても
らったところ「定年で現場を離れる人が多い一方、若い人が集まらない」が最多の10社。次いで、「技術の継承が難しい」(7
社)、「放射線量が高く、希望者が減っている」(6社)--などが多かった。「求人を出せば人は集まるが、つり荷の上げ下
ろし操作の免許など必要な資格を持った人は来ない」。廃炉作業を請け負う福島県いわき市内の建設会社社長(52)は人
手不足を嘆く。主に放射線量が高い現場作業を請け負っているが、「年50ミリシーベルト」「5年間で100ミリシーベルト」と
いう国の制限がある。これを超えると現場作業ができないため、人数を増やしてカバーする必要がある。しかし、技術のある
人は集まらない。このため別の会社から作業員を派遣してもらい、自社の従業員として使う「偽装請負」で人材の穴を埋め
ているのが現状だ。労働者派遣法などに抵触する恐れがあるが、社長は「違法なのは承知。でも、どこもやっていることだ」
と話す。東電が、作業員を対象に実施した調査では2割前後が偽装請負で働いているとみられる。東電は協力企業に法令
順守を求めているが、改善の見通しは立っていない。原発作業員の実態に詳しい東京大の縄田和満教授(計量経済学)
は「廃炉作業が今後本番を迎える中、国が主導権を発揮して作業員確保のための対策を講じるべきだ」と指摘する。◇福
島第1原発の協力企業
廃炉作業で、東京電力から発注される工事を請け負っている企業全体を指す。東電から直接受
注している東芝などの原子力メーカーや、鹿島など大手ゼネコンの約40社が元請けとなり、その下で中小の建設会社など
1000社以上が工事を請け負っているとみられるが、東電は個別企業の実態を明らかにしていない。今回の調査は元請け
のほか、福島県など地元自治体に提出された建築関係の許認可資料などから判明した企業を対象に実施した。
再稼働はやっぱり危ない! 高浜原子炉の緊急トラブルで憂慮される無責任と暴走 週プレNEWS 2016年3月7日(月) 6
時0分「ポンコツ原子炉の再稼働は、やっぱり危ない!!」と、誰もが実感した福井県・関西電力「高浜原発4号機」の事故
2連発。最初の事故は2月20日。原子炉建屋の外に延びた「1次冷却水」パイプが破損し、汚染された冷却水約30ℓが漏
れ出た。【参照】ドローンからの空撮で判明! 東電が隠したがったイチエフ“謎のタンク”の正体その修理を終えて24日に
原子炉を起動したが、29日14時から発電・送電を始めた途端に警報音が鳴って原子炉は緊急自動停止。関電は安全確
保のために4号機の冷温停止作業を始めた。フクイチ原発事故の直後から定期点検に入り、4年7ヵ月ぶりに再稼働した高
浜4号機で、何が起きているのか?
関電広報担当者によると、 「現状で発表できる内容は当社のホームページに掲出し
ており、そちらを参考にしていただければと…」その関電ホームページを読むと、事故原因は調査を継続中で「4号機のタ
ービン、発電機、原子炉の停止状態は良好」だという。2度の事故を起こしながら“良好”とは、関電の厚顔ぶりには呆れる
ばかり。なんとしても4月上旬までに営業運転を始めたいのだろう。しかし現段階で4号機再稼働の見通しなどつくのか?そ
こで、高浜4号機再稼働を認可した「原子力規制委員会」にも電話を入れたが、「関電から事故原因や今後の対策などの報
告書を受け、3月9日以降の定例会で再稼働を認めるかどうか検討する」と呑気(のんき)な回答だった。この対応について、
元東芝社員で原子炉格納容器の設計者・後藤政志博士(工学)は、大きな不安と憤りを口にする。「1次冷却水パイプの破
損や水漏れは非常に危険度の高いトラブルで、絶対に許されません。電車や自動車の配管の経年劣化はわかりますが、
原発の1次冷却水パイプの破損は信じ難いことです。さらに、29日の緊急停止事故原因の建屋外に設置した変圧器の故
障ですが、この施設は発電所の根幹なので、その不具合を見逃した関電の無責任ぶりは厳しく批判されるべきです。このよ
うな重大な連続トラブルを起こしながら、原発再稼働に向けて暴走している現実に日本国民はもっと危機感を抱くべきでしょ
う」“原子炉の停止状態は良好”という関電発表も決して鵜呑(うの)みにはできない。29日の緊急停止から約2時間後、毎
日新聞が4号機を空撮したところ、建屋の下部からもうもうと噴き出す大量の水蒸気らしきものが写っていた。「原発施設に
はそれぞれ独自の配管や付随施設があるので、最新の図面を精査しないと、この白煙の正体を特定はできません。しかし
空撮写真を見ると白煙は筒状の装置から噴き出ているように見え、緊急停止後に行なわれた作業と関係があった可能性は
高いと思います」(後藤博士) 1985年に稼働した高浜3・4号機は、今年32年目でこのトラブル。次に再稼働を目指す1・2
号機は42年と41年目だが大丈夫なのか?
やはり32年前に造られた鹿児島・川内(せんだい)原発も昨年8月に再稼働
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した直後、復水ポンプが壊れた。フクイチ原発事故を経験した日本が、世界の趨勢(すうせい)に反して「40年で廃炉」を6
0年まで延ばそうとしている。この「狂気の選択」の危険性を今回の高浜4号機連続事故は警告しているようだ。(取材・文/
有賀
訓)
高浜老朽原発の延命はリスクの先送りだ ニュースソクラ 2016年3月6日(日) 18時0分経年劣化に大甘の規制委員会
原子力規制委員会は2月下旬、運転開始から40年を超えた関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)について、
安全対策が新規制基準を満たすと認める「審査書案」を了承した。最長60年までの運転延期を目指す老朽原発の新基準
適合が認められるのは初めてのケースになる。1ヶ月間の意見募集を経て今春に正式決定する。残る手続きを7月の期限ま
でに提出し、規制委の許認可を受ければ原発の再稼働が可能になる。原発の運転期間については、東京電力福島第一
原発事故後、原子炉等規制法が改正され原則40年と決められた。欧米先進国の運転期間を参考にして、事故を起こした1
~4号機がいずれも運転開始から30年以上経過した老朽原発であることなども考慮したものだ。ただし規制委員会が新基
準を満たすと認めた場合は最長20年間伸ばせる。この規定は需給がひっ迫して停電に陥る恐れなどの対応策として盛り込
まれたものだ。あくまで緊急時対策である。規制法改正時の野田佳彦首相(民主党)は、同規定を「例外的な場合に限られ
る」と指摘、田中俊一委員長も「延長は相当困難だ」と語っていた。その時から5年近くが経過した今、この規定はいとも簡単
に踏みにじられようとしている。現状の日本では電力の安定供給は十分に確保されており、停電の恐れを心配するような状
況ではない。それにもかかわらず、「40年原則」が簡単に骨抜きにされ、40年を超える老朽原発の再稼働に道が開かれよう
としている。いくつかの理由が考えられる。第1は政府が2030年の日本の温室効果ガス(GHG)の排出量を「13年度比26%
減」を世界に公約していることだ。この目標達成のために電源構成に占める原子力の比率を20~22%を確保することが必
要だ。運転40年ルールを厳密に守るなら、国内44基のうち、約半数が2020年台後半までに廃炉になる。30年度に約2割を
原発で賄うためには40年以上の原発を10基程度運転させなければならない。高浜原発1、2号機の稼働によって、「極めて
例外」のはずの規定が窓際に押しやられてしまった。第2は電力会社側の事情である。原発の安全運転のためには、安全
性に配慮された最先端の技術を動員した原発の新設が望ましい。しかし深刻な原発事故後、国民の間には原発の新設に
は「ノー」の姿勢が強く、用地の取得は事実上不可能に近い。そればかりではない。原発新設のコストは上昇の一途をたど
っており、電力会社にとっては採算がとれなくなっている。その点、老朽原発の再稼働のためのコストは十分採算がとれる。
たとえば高浜原発の場合、原子炉を覆う格納容器の補強や電源ケーブルの火災対策の強化などが対策の柱であり、新設
と比べたコストは比較にならないほど少なくて済む。老朽原発の延命は、政府と電力会社の利害関係が見事に一致したこと
で、実現したと判断してよいだろう。だが、老朽原発の延命化には危険が付きまとう。この数年、道路やトンネルなどの公共
施設の老朽化が原因の事故が多発している。原発も例外ではない。たとえば、原発の運転が長くなると、原子炉内の機器
が放射線にさらされ、もろくなる課題が指摘されている。さらに深刻な問題として、原子力の専門家が警告している原子炉
圧力容器の経年劣化がある。規制委員会の審査はこの点が甘過ぎるという。圧力容器の脆性破壊が起これば取り返しがつ
かない大事故が発生しかねない。40年を超えた原発には、審査委員会の監視の目が届かない様々なリスクが内包されてい
るとの指摘もある。「さしあたって都合が良いから」といった安易な発想で、「例外規定」を骨抜きにしてしまう手法は、リスクを
将来に先送りするだけではない。リスク発生率を高め、立地周辺住民の不安心理を増幅させるだけの愚策と言わざるをえな
い。■三橋規宏(経済・環境ジャーナリスト、千葉商科大学名誉教授)1940年生まれ。64年慶応義塾大学経済学部卒業、日
本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学政策情報学部教
授、中央環境審議会委員、環境を考える経済人の会21(B-LIFE21)事務局長等を歴任。現在千葉商大学名誉教授、環
境・経済ジャーナリスト。主著は「新・日本経済入門」(日本経済新聞出版社)、「ゼミナール日本経済入門」(同)、「環境経
済入門4版」(日経文庫)、「環境再生と日本経済」(岩波新書)、「日本経済復活、最後のチャンス」(朝日新書)、「サステナ
ビリティ経営」(講談社)など多数。
常磐線の全線再開へ指示
安倍首相、復興牧場で生産者激励 福島民友新聞 2016年3月6日(日) 13時40分
東日
本大震災と東京電力福島第1原発事故から丸5年になるのを前に5日来県した安倍晋三首相は、原発事故の影響で一部
区間の不通が続くJR常磐線の全線再開時期を早急に示すよう国土交通相に指示したことを明らかにした。原発事故の避
難区域となっている南相馬市小高区の小高駅では、地元の小高工高と小高商高の生徒らが安倍首相に避難指示解除後
の地域活性化に向けた支援などを要望。安倍首相は視察後の取材に「多くの地元の皆さんが常磐線の全線再開を待って
いる」と述べ、目標時期の提示に意欲を示した。目標時期は10日に開かれる政府の震災復興推進会議で2020年春と決定
される見通し。小高駅ではJR東日本の冨田哲郎社長が常磐線の復旧状況を説明した。また安倍首相は、原発事故で避難
する相双地方の酪農家5人が福島市で設立した「復興牧場」で、運営会社「フェリスラテ」の田中一正社長らと意見交換。安
倍首相から激励を受けた田中社長は「(風評払拭(ふっしょく)の)道のりは長いと思うが一日も早く他県と真っ向勝負できる
よう頑張りたい」と意気込みを語った。安倍首相はこのほか、広野町でサッカー日本代表専属シェフを務めた西芳照さんが
地元産の野菜や試験操業で水揚げされた魚を使って作った料理を試食した。楢葉町では電池の材料を製造する住鉱エナ
ジーマテリアルを視察した。視察には高木毅復興相、高木陽介経済産業副大臣、内堀雅雄知事らが同行した。
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福島第1、廃炉に遅れも=「40年ありきでない」―林経産相 時事通信 2016年3月6日(日) 11時53分
林幹雄経済産
業相は6日、NHKの討論番組で、30~40年後を目指す東京電力福島第1原発の廃炉措置の終了時期に関し「40年ありきで
はなく、それに向かって最大限努力するということだ」と述べ、廃炉の完了が遅れる可能性があるとの認識を示した。廃炉作
業については「安全安心が大前提となる」と述べ、慎重に進めていく考えを明らかにした。
<大震災5年>廃炉に長い闘い
福島第1原発 毎日新聞 2016年3月5日(土) 11時57分東京電力福島第1原発原
子炉建屋近くの放射線量は毎時100マイクロシーベルトを超え、事故から5年を迎えるが依然として高い。増え続ける汚染
水を抑えるため完成した「凍土遮水壁」周辺では、全面マスク姿の作業員が、放射線を遮る効果のある重金属を含むベスト
を着て働いている。国は原発作業員の被ばく限度を1年間50ミリシーベルトかつ5年間100ミリシーベルトと規定。これを超
えれば現場で働くことはできないため、作業員の確保は中長期的な課題だ。ある地元協力企業は「この先、福島第1原発を
よく知る熟練労働者が再び必要とされる局面がある」と、現場から作業員を一旦離れさせているという。廃炉に向けた長く苦
しい闘いが続く。【森田剛史】
一時保管状況を視察=宮城の指定廃棄物―丸川環境相 時事通信 2016年3月5日(土) 11時11分
丸川珠代環境
相は5日、東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物が一時保管されている宮城県岩沼市の玉
崎浄水場を視察した。ビニールハウス内に一時保管された指定廃棄物の浄水汚泥の状況などを確認。村井嘉浩知事、菊
地啓夫市長らから、周辺住民に不安の声があるなどと説明を受けた。
<避難解除>楢葉帰町率は6% 河北新報 2016年3月5日(土) 10時32分
東京電力福島第1原発事故に伴う避難指
示が昨年9月5日に解除された福島県楢葉町は4日、解除から半年の帰町状況をまとめた。自宅に週4日以上滞在する帰町
者は459人(265世帯)。解除3カ月の昨年12月4日現在から71人増えたが、解除時の町民(7363人)を基にした帰町率は6.
2%にとどまる。年代別は60代が144人と最も多く、70代114人、50代93人、80歳以上53人と続く。60歳以上が計311人で67.
8%を占め、65歳以上は235人で51.2%。40代は27人、30代は12人、20代は8人。10代は3カ月前から3人増の5人で、うち
小中学生4人が、町の送迎車でいわき市の町立学校仮設校舎に通っている。3カ月前はゼロだった10歳未満も3人となった。
町はことし1月に改定した第2次復興計画で、一定程度の町民が戻る「帰町目標」を2017年春に設定している。一戸建て住
宅の増改築の建築確認申請が1月25日現在、約100件に上ることなどから、町復興推進課は「帰町の準備を進めている人
が目に見えて増えている。暖かくなれば動きが加速するのではないか」とみている。
楢葉「帰町済み・希望」半数超
世帯調査で回答 福島民報 2016年3月5日(土) 10時2分
東京電力福島第一原発
事故に伴う福島県楢葉町の避難指示が解除されて、5日で半年となる。復興庁は4日、1月に町内の世帯を対象に実施し
た帰町に関する意向調査の結果を発表した。既に帰還しているか帰還する意向を示したのは50.7%となり、半数を超えた。
「現在、町に戻っている」は7.6%、「条件が整えば町に戻る」は34.7%、「早期に町に戻る」は8.4%だった。避難指示解
除前の平成26年10月に行った前回調査で帰還を希望したのは45.7%だった。復興庁の担当者は帰還済み・帰還希望
が5割を上回った要因について、「避難指示解除により帰還に向けた機運が高まり、町内の復興が本格化しているためでは
ないか」と受け止めている。昨年9月の避難指示解除から町内に戻るまでの期間を帰還希望の世帯に聞いたところ、「2年
以内」が33.9%で最も多く、「1年以内」23.2%、「3年以内」13.3%、「5年以内」9.2%などと続いた。調査は復興庁と
県、楢葉町が共同で1月5日から19日まで実施した。全3548世帯の世帯主を対象に行い、1989世帯から回答があった。
回収率は56.1%だった。
重り1・8トン衝突させ震動計測
廃炉の美浜原発2号で異例の試験 福井新聞ONLINE 2
016年3月5日(土) 8時31分
関西電力が、原則40年の運転期間を延長して再稼働を目
指す高浜原発1、2号機(福井県高浜町)と美浜3号機(同県美浜町)の審査に向け、耐震評
価に関するデータを得るため、廃炉を決めた美浜2号機で実証試験を3月中に計画している
ことが4日分かった。原子炉格納容器内にある蒸気発生器に1・8トンの重りを“鐘つき”のよう
に振り下ろして衝突させ、振動を計測する。原子炉周辺の実機で打撃試験を行うのは極め
て異例。廃炉原発でのデータを延長運転に生かす考えだ。高浜1、2号機と美浜3号機の原
子力規制委員会の審査は現在、想定する地震の揺れを大幅に引き上げたことに伴い、原子炉周辺の耐震評価が焦点とな
っている。関電は「より詳細な評価を行う」として新たな耐震関係の評価手法の導入を検討。新手法が妥当だとするデータ
を審査で示すため、計画では実証試験を行い4月末までに結果を提示する。廃炉を決めた美浜2号機での打撃試験もその
一環で、参考データとして新手法の妥当性の立証に使いたい考え。試験は、蒸気発生器(高さ約20メートル、重さ300トン
超)の上部付近に打撃装置を設置。重量1・8トンの重りを振り下ろし、2次系側出入り口のマンホール部分に打ち当てる方
法を検討している。蒸気発生器など周辺設備の「減衰(揺れの収まりやすさ)」の数値を確認するという。2号機は廃炉が決
まったとはいえ、蒸気発生器内には1次冷却水の3千本以上の細管があり、放射線量も高い。安全面が心配されるが、関電
は「試験は2次系側で、重りを振り下ろした際にかかる力は(当たる部分の)マンホールの強度を下回っていることを確認して
おり、安全上問題ない」としている。関電が計画する原子炉周辺の実機を使った大がかりな打撃試験に、県内関係者は「こ
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れまで聞いたことがない」と驚きの様子。規制庁の担当者も「廃炉原発の有効利用なのか、過去に事例はあまりない」とした
上で、「まだ構想を聞いている段階なので、実機の安全性を含め具体的な検討内容を見ていく」と話した。岡崎正和・長岡
技術科学大教授(構造工学)は「実際のプラントを使ってデータを得ることは普通はできないので、前向きなチャレンジは評
価できる。ただ揺れの収まりやすさの数値は、構造物の配置や数が違う(高浜1、2号機などの)別のプラントに直接適用もで
きないので、立証の仕方に注意が必要」と指摘している。
景観めぐり対立=入札や用地買収難航―福島ようやく整備に見通し・防潮堤 時事通信 2016年3月5日(土) 8時5分
東日本大震災で被災した沿岸部で、防潮堤の整備に遅れが出ている。宮城では住民と協議を重ねて同意を得てきた一方、
景観を損ねるとして今なお反対意見が強い地域も。岩手は着工率こそ高いものの、入札不調や用地買収の難航などで工
期が延びる。東京電力福島第1原発事故の影響で遅れていた福島は、帰還困難区域を除き、ようやく整備完了時期の見通
しがまとまった。宮城県気仙沼市の離島・大島の浦の浜地区では、約3年に及ぶ県と住民の話し合いの結果、発注の見込
みが立った。景観を重視し、8メートル弱の「垂直の壁」から、道路との兼用や河川敷のように段差を設ける方式に変更。高
さは30センチしか下がらなかったため、「それなら下げなくてもいい」との声もあったが、「行政側の誠意が感じられた」と住民
代表の菅原弘さん(61)は評価する。約30回にわたる勉強会を重ね、防災への理解も進んだ。ただ、同県内では、少なくと
も石巻、気仙沼、塩釜の3市で、住民との協議が続く見込みだ。高さ10メートル弱の壁が町の中心部を囲う計画の石巻市雄
勝町では、県は2013年に行った住民約300人への説明会で「同意を取り付けた」と考えていた。だが、まちづくりに携わって
きた住民が海の見える景観を維持するため高さを下げるよう求めたことから、発注は止まったまま。市の担当者は「高台移
転で住民はほとんどおらず、守られるのは避難道路だけ。それでも防潮堤が動きださなければ町の復興も始められない」と
県に調整を急ぐよう促す。岩手でも遅れが目立つ。宮古市では、重茂半島の高さ約14メートルの防潮堤工事で14年11月、
入札不調が生じた。市中心部からのアクセスが悪く、応札した業者はゼロ。建設業界は人手不足の上、トラックも限られ、遠
隔地での工事は敬遠されやすいという。随意契約に切り替え、業者が決まったが、完成は1年遅れの17年3月となる。県の
担当者は「入札不調は一連の対策により減ったものの、当初の遅れを引きずっている」と話す。高さ10メートル、総延長約2・
4キロで「万里の長城」と呼ばれた二重防潮堤が、津波で大きく損壊した同市田老地区。海側では高さ14.7メートルの防潮
堤を17年3月に完成させる予定だったが、地権者が亡くなった後も相続が決まっていない土地などの買収が進まず、18年3
月にずれ込む見通しだ。福島では、原発20キロ圏内での防潮堤の被害査定が帰還困難区域を除き終了した。同区域以外
の地域では19年度の完成を目指す。住民が各地に避難し、用地交渉が一層難しくなっていることから、県は一部民有地に
ついて地権者の同意を得なくても取得できる土地収用法の適用を検討している。
下水汚泥の焼却灰埋め立てへ
3分
放射性物質減らし来月から川崎市 カナロコ by 神奈川新聞 2016年3月5日(土) 7時
川崎市は4月から、下水処理過程で発生する下水汚泥の焼却灰について浮島地区の管理処分場への水面埋め立
て処分を始める。2011年の東京電力福島第1原発事故後に焼却灰から放射性物質が検出されて以降、袋詰めしてコンテ
ナに収納し浮島地区で保管する状況が続いていた。市は放射性物質の検出後、セメント原料への再利用と管理処分場へ
の埋め立てを停止。埋め立ては、焼却灰の粒子が微細で水中で浮遊しやすいため、護岸で囲われている処分場内でも見
送ってきた。市は、製鉄過程で出る高炉スラグ微粉末などを混ぜて焼却灰の粒子を沈殿しやすく改善処理することで、▽
水中のセシウム濃度が海水浴場の基準値(1リットル当たり10ベクレル)以下を維持できる▽焼却灰自体も放射性物質とし
て扱わなくていいクリアランスレベル(1キログラム当たり100ベクレル)を下回る-と確認。有識者の評価も踏まえ、安全な
埋め立てが可能と判断した。市内4カ所の下水処理場から出る汚泥は入江崎総合スラッジセンター(川崎区)で焼却灰に処
理しているが、4月以降に発生する新規分のみを埋め立てに回す。浮島地区のコンテナに保管された過去の焼却灰(昨年
12月末で約1万8千トン、コンテナ1675台分)は引き続き処分方法を検討する。市によると、新規に発生する焼却灰の放
射性セシウム濃度は年々低下し、18年にクリアランスレベル(1キログラム当たり100ベクレル)を下回る見込み。セメント原
料化も18年以降に再開できるよう検討していく。焼却灰の改善処理や埋め立ては保管に掛かっている年間約4億3千万円
と同額程度でできるという。
<与党復興加速化本部>安倍首相に提言 毎日新聞 2016年3月4日(金) 22時38分自民党の額賀福志郎、公明党の
井上義久両東日本大震災復興加速化本部長は4日、首相官邸を訪れ、今後の復興に向けた提言書を安倍晋三首相に手
渡した。東京電力福島第1原発事故の除染処理で生じた福島県内の汚染土の大半を2020年東京五輪・パラリンピックま
でに県内中間貯蔵施設に集積することを要請した。首相は「復興庁、環境省とも相談して決めていきたい」と応じた。福島
県内の帰還困難区域を夏ごろまでに見直すことも求めた。また、額賀氏らに対し首相は「今年は震災から5年の節目の年だ。
復興創生に向けて原点に返り、関心が薄れることがないよう被災者に寄り添って取り組んでいきたい」と語った。
「責任問われず、日本は不思議」=福島原発で元国会事故調委員長―東京 時事通信 2016年3月4日(金) 16時38分
東京電力福島第1原発事故で国会が設置した事故調査委員会の委員長を務めた黒川清・政策研究大学院大客員教授
が4日、東京都千代田区の日本記者クラブで講演した。黒川氏は原発事故について「責任を誰も問われない。日本は不思
議だ」と語った。国会事故調は関係者のヒアリングやアンケートなどの調査を行い、原発事故を「人災」と位置付ける報告書
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を2012年にまとめた。黒川氏は講演で、事故前の日本では原発の過酷事故が起きないことになっていたと指摘。「(海外で
は)不思議な国だとみんな言っていた」と振り返り、国際的に見ても原発事故の備えが遅れていたと訴えた。
<最終処分場>宮城の首長会議
19日開催 河北新報 2016年3月4日(金) 16時19分東京電力福島第1原発事故で
発生した指定廃棄物の最終処分場建設問題で、宮城県は3日、今後の方向性について話し合う県内の市町村長会議を19
日に仙台市内で開催することを決め、35市町村に伝えた。県からは村井嘉浩知事が出席し、環境省から担当者が参加す
る。環境省の放射能濃度再測定で、県内は国の基準値(1キログラム当たり8000ベクレル超)を上回る指定廃棄物が当初の
3分の1(1090トン)に減り、10年後には6%まで減少するとの推計を報告。その上で、引き続き処分場建設を進める同省の方
針を説明する。出席者からは環境省の方針に対する意見に加え、基準値を下回った廃棄物や未指定の廃棄物の取り扱い
などについて考えを聞く。指定廃棄物の処分場建設に関する市町村長会議の開催は、昨年12月13日に続き9回目。前回
は建設候補地の栗原、加美、大和3市町が環境省に候補地返上を申し出た。
「凍土遮水壁」山側大半も了承
規制委、海側を先行凍結 福島民友新聞 2016年3月4日(金) 13時56分
原子力規
制委員会は3日、廃炉に関する検討会合を開き、東京電力福島第1原発の汚染水対策「凍土遮水壁」について建屋海側
(東側)と山側(西側)の大部分の凍結開始を了承した。今後、東電が提出している凍結に向けた実施計画の一部補正を経
て、早ければ3月中にも認可される見通しとなった。東電は建屋海側を先に凍結させ、その後、山側を段階的に凍らせる方
針で、工程を3段階に分けている。認可の見通しとなったのは第1段階の海側全体と山側の大部分。残った未凍結部分に
ついては検討を進め、今後、実施計画を申請する。凍土壁は地中を凍らせて地下水をせき止め建屋に入り込む量を減らし、
汚染水の増加を抑えるのが目的。しかし建屋周囲の地下水位が下がりすぎると、建屋内の汚染水の水位と逆転し、汚染水
が地中に漏れ出す恐れがある。このリスクを回避するため、水位を管理しながら海側を先行させるなどの手順に行き着いた。
東電の担当者は「汚染水の漏えいを防止する非常時の対応をしっかりと整理し、規制委に速やかに実施計画の一部補正
を提出したい」と述べた。凍土壁は建屋手前で地下水をくみ上げ海に流す「地下水バイパス」などとともに汚染水対策の柱
に位置付けられている。1~4号機の周囲に埋めた配管に、冷却材を循環させ地盤を総延長1.5キロにわたり凍らせる。
復興への道筋「ついていない」62%
福島県民世論調査 朝日新聞デジタル 2016年3月4日(金) 13時47分
東日本
大震災と東京電力福島第一原発事故から5年がたつのを前に、朝日新聞社は福島放送と共同で、福島県民を対象に世論
調査(電話)を実施した。復興への道筋については、「あまりついていない」53%と「まったくついていない」9%を合わせ、6
2%の人が道筋が「ついていない」と回答。「ある程度ついた」35%、「大いについた」1%を合わせた36%を大きく上回った。
調査は2月27、28両日に実施。この調査は大震災と原発事故の発生から半年後に初めて行った後、発生1年後、2年後と
年1回実施しており、今回が6回目。復興への道筋は、2012年の調査から毎回尋ねている。「ある程度ついた」との回答は
12年の7%から今回は35%に増え、「まったくついていない」は当初の38%から9%に減った。ただ、「あまりついていな
い」は12年の54%から大きな変化は見られず、今回も過半数にのぼった。県全体で、もとのような暮らしができるのはどのく
らい先かを問うと、「20年より先」が51%で最多。「10年ぐらい」20%、「20年ぐらい」18%と続いた。
<福島第1>凍土遮水壁
月内にも凍結開始 河北新報 2016年3月4日(金)
12時12分原子力規制委員会は3日、東京電力福島第1原発の廃炉に関する検
討会を開き、東電が建屋への地下水流入を抑制するため設置した「凍土遮水
壁」の運用計画をおおむね了承した。規制委は3月中に正式に計画を認可する
見通しで、東電は早ければ月内の凍結開始を目指す方針だ。凍土遮水壁は1~
4号機の周囲1.5キロに約1500本の凍結管を打ち込み、地下約30メートルの氷の
壁を築く。東電が同日の検討会で示した計画の修正案によると、遮水壁の海側を
約1カ月半かけて凍結。山側は建屋内の汚染水の状況を確認しながら、約3カ月
かけて段階的に95%まで凍結させる。汚染水の発生量は現状からほぼ半減して約250トンとなる見通し。遮水壁を閉じた場
合、地下水の水位が急変して建屋内から汚染水が流出するリスクもある。東電はこのため、山側の残る5%分を凍結させる
手法を調整中で、凍結完了の具体的な時期は示していない。検討会では規制委から「地下水が急変した場合など、緊急
時の対応手順を計画の中に示してほしい」などと注文が付いた。東電は当初、遮水壁を建屋の山側から凍結させる計画だ
った。規制委から汚染水の流出リスクを指摘されたのを受け、凍結手順の見直しなどを検討していた。
<福島第1>汚染水
希釈し海洋放出も 河北新報 2016年3月4日(金) 11時35分
東京電力福島第1原発事故から
5年を前に、東電福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者(CEO)は河北新報社の取材に答えた。課題となるト
リチウムを含んだ汚染水の処理について「希釈して海洋放出することも選択肢の一つ」と説明。その上で「風評被害の問題
もある。科学的な観点だけでなく、地元の皆さんと議論して進めていく」と強調した。(聞き手は福島総局・大友庸一)
-汚
染水対策はこのところ大きく前進した。「事故後の3年間は、野戦病院で火の粉を振り払いながら仕事をしているような状況
だった。昨年は海側トレンチ(配管)からの汚染水抜き取りが完了。(建屋への地下水流入を減らす)サブドレンが稼働する
など、少しは前を向いて仕事ができるようになった」
「設備面での進展もかなりあった。大型休憩所が完成し、温かい食事
- 5 -
を提供できるようになった。全面マスクを使用しなくていいエリアも広がり、『普通の現場』に近づいている」
-使用済み燃
料取り出し準備や溶融燃料の状態を把握する作業が本格化する。「作業員の被ばくをいかに少なくするかが課題になる。
原発リスクを下げるための廃炉だが、燃料取り出しなどで作業員のリスクが逆に上がることがある。対策を取るため、作業が
遅れることを許容してもらう場面も出てくるかもしれない。溶融燃料に関しては、2016年度中に溶け落ちた場所を見極められ
れば、21年の取り出し開始は維持できると考える」
-1日7000人に上る作業員を今後も確保できるか。「計画的に雇用し
てもらうため、元請けには数年先まで高線量と低線量の業務を組み合わせた作業内容を示している。少なくとも今後10年は
1日6000~7000人が必要。作業環境をさらに改善できれば、5割程度の地元雇用割合も上がっていくのではないか」
-多
核種除去設備「ALPS」でも取り除けないトリチウムを含んだ水がタンクにたまり続けている。「国のタスクフォースが3月中
に出す処理案に基づき、新年度から国などと議論することになる。希釈して放出することも選択肢の一つであるとは認識し
ている。科学的な点だけで決めるのは駄目で、地元の皆さんから意見を頂き、合意した上で仕事を進めたい」
四電
再稼働へ工事計画の最終補正書提出 愛媛新聞ONLINE 2016年3月4日(金) 11時32分
四国電力は3日、愛
媛県の伊方原発3号機の再稼働の前提となる工事計画認可の補正申請書を国の原子力規制委員会に提出したと発表し
た。新規制基準を踏まえた最終的な申請としている。工事計画が認可されれば四電は使用前検査を規制委に申請する見
通し。ただ規制委は保安規定の補正申請書も審査している。詳細な耐震設計などを盛り込んだ工事計画の補正申請書の
提出は4回目。原子炉容器や新たに設置した非常用発電設備など15施設について機器の安全性評価に関する計算方法
といった記載を充実させた。四電は「今後も規制委の審査に真摯(しんし)に対応し、速やかに新規制基準に適合している
との評価を頂けるよう最善の努力を尽くす」としている。規制委事務局の原子力規制庁の担当者は「(補正申請書を)受け
取ったばかりでこれから内容を確認するが、これまで通り必要があればヒアリング(非公開)を行い、技術的な論点などがあ
れば審査会合(公開)を開く」とした。
<福島第1>避難区域解除に課題
慎重姿勢も 河北新報 2016年3月4日(金) 11時21分東京電力福島第1原発事
故で、国は避難指示解除に向けた環境整備を急ぎ、除染や被災家屋の解体を進める。一方、地震・津波と原発事故により、
今なお9万8460人が長引く避難生活を強いられている。古里再生と同時に、避難先での生活再建など課題は山積している。
原発事故で設定された福島県の避難区域について、国は2017年3月までに帰還困難区域を除く「居住制限区域」と「避難
指示解除準備区域」を解除する方針だ。今春以降、住民帰還の協議が本格化する。避難指示が出ているのは現在9市町
村。このうち南相馬市、川俣町山木屋地区、葛尾村、川内村の荻・貝ノ坂地区の4市町村で解除に向けた準備宿泊が実施
されている。それぞれ課題を抱えており、この春に国が避難を解くかは不透明だ。南相馬市では除染効果の確認の必要性
から、桜井勝延市長が5月以降にずれ込む可能性を示唆。川俣町では町長の病気療養で住民懇談会が開けず、解除は6
月以降になる。葛尾村でも除染や営農環境などに課題が残るとして、議会が慎重な帰村判断を求めている。来春には飯舘
村など3町村が控える。同村は17年3月までに帰村を始めたい考え。宅地除染は昨年終了し、来春の学校再開を目指す。
富岡町は早ければ17年4月の帰還開始が目標。町内は除染から被災建物の解体へ徐々に移りつつあり、復興拠点整備な
どが進む。浪江町は17年3月以降の帰町を掲げるが、前提となる下水道復旧が間に合わない見通し。商業施設などの開設
を進める。帰還困難区域が町の大半を占める大熊、双葉両町の状況は厳しい。大熊町は18年度内を目標に大川原地区を
居住できるように整備する。双葉町は帰還のめどが立っていない。これまで国は田村市都路地区東部、川内村東部、楢葉
町で避難指示を解除した。楢葉町は2月現在で住民の6%(440人)が町に戻っている。
フランス最古の原発、ドイツが閉鎖を要求 仏当局は拒否
AFP=時事 3月5日(土)10時1分配信 【AFP=時事】ドイツ
政府は4日、隣国フランスに対し、独国境に近い仏フェッセンハイム(Fessenheim)にあるフランス最古の原子力発電所の閉
鎖を要求した。しかし、仏原子力当局は「安全性の点では閉鎖する理由は何もない」と一蹴した。オーストリア、原発めぐり
欧州司法裁に英国を提訴
1970年代に造られたフェッセンハイム原発1号機で2014年4月9日、2つある安全装置の1つで
水漏れが発生し、一時的に原子炉をコントロールできなくなった。原子炉冷却システムへのホウ素投入が決断されたが、仏
原子力安全局(ASN)の報告はホウ素投入に言及していなかったと報じられている。メディアは「西欧の原子炉でホウ素を使
ってシャットダウンすることを余儀なくされた事例を私は他に知らない」という原子力安全の専門家マンフレット・メルティンス
(Manfred Mertins)氏の発言も報じた。独メディアは、トラブルの規模が当初伝えられたものより大きかった可能性があると
報じている。これを受け、ドイツのバルバラ・ヘンドリクス(Barbara Hendricks)環境・建設・原子力安全相は「フランス政府に
対しフェッセンハイムを閉鎖とするよう求める十分な理由があることが、この事故で再び示された」「私は、独仏国境地帯に
住む人たちが不安を抱えていると指摘してこれまで何度も閉鎖を求めてきたし、これからも求めていく」などと述べた。しかし、
仏原子力安全局は「原子力保安の観点から見て、フェッセンハイム原発を閉鎖にする理由は一切ない」と回答。仏原子力
安全局ストラスブール(Strasbourg)支局のソフィー・ルトゥルネル(Sophie Letournel)支局長は「政府がエネルギー政策に
基づく決定として」閉鎖を決定する可能性はあるが、安全性の面から言えばフェッセンハイム原発は「全体的に要件を満た
している」と説明した。フランスは総電力の75%以上を原発に依存し、世界の原発推進勢力をけん引する存在。一方のドイ
ツは、2011年3月の東日本大震災に伴う東京電力(TEPCO)福島第1原発事故でメルトダウンが起きた後、原発の段階的廃
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止を決定している。ドイツはルクセンブルクとともに仏カットノン(Cattenom)原発についても安全上の懸念を表明している。
また、スイス・ジュネーブ(Geneva)州は今月2日、隣接する仏アン(Ain)県にあるビュジェ(Bugey)原発について「故意に住
民を命の危険にさらし、水を汚染している」として提訴した。【翻訳編集】 AFPBB News
温室効果ガス、家庭4割減
30年度計画、問われる技術革新
SankeiBiz 3月5日(土)8時15分配信
政府は4日、
国内の温室効果ガス削減に取り組む「地球温暖化対策計画」の原案を示した。2030年度に13年度比で26%削減するた
め、家庭やオフィスで照明を全て発光ダイオード(LED)に切り替えるなどの対策を進める。温暖化対策の新しい国際枠組
み「パリ協定」の採択を受け、温暖化防止に取り組む姿勢を国内外に示す。意見公募を経て5月の主要国首脳会議(伊勢
志摩サミット)までに閣議決定。計画は毎年検証し、少なくとも3年ごとに見直す。計画では、太陽光発電や燃料電池などを
使い住宅のエネルギー消費量をおおむねゼロにする「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」を、20年までに新築戸建て
住宅の半数以上まで増やすといった対策を推進。二酸化炭素(CO2)排出量を家庭や業務・オフィス部門で約4割、運輸
やエネルギー部門で約3割それぞれ削減する。長期的に目指す目標として、50年までに80%削減する方針も盛り込んで
おり、これを実現するためイノベーション(技術革新)を促進。環境分野の技術協力で途上国の排出を減らす2国間クレジッ
ト制度(JCM)などを活用し、世界の温暖化対策にも貢献する方針だ。だが、パリ協定に基づく30年度の「26%」目標です
ら既に実現が不安視されており、既存対策の延長で削減幅をさらに深掘りするのは難しい。林幹雄経済産業相は同日の記
者会見で長期目標達成の見通しを問われ、「現状の対策では非常に厳しいと思う」と、言葉を濁した。国連に昨年届け出た
26%目標は、省エネルギー対策の大幅な強化に加え、原子力発電の着実な再稼働や運転期間の延長が前提だ。原子力
規制委員会の審査が難航すれば達成に黄信号がともる。さらなる削減を求める80%目標は、現時点では絵に描いた餅に
すぎない。諸外国に比べ省エネ対策が進んだ日本では、産業界にさらなる排出削減を強いれば経済が深刻なダメージを
受けかねない。このため、政府は削減幅の深掘りを技術革新に委ねる構えだ。同計画では今春策定するエネルギー・環境
イノベーション戦略に基づき、有望な技術分野で研究開発を強化する方針を明記。排出量を大幅に削減できる次世代地
熱発電や蓄電池など8分野に注力し、温暖化対策と経済成長の両立を図る。一方、パリ協定では各国が削減目標を5年ご
とに見直し、削減の取り組みを促進する方針を掲げているが、18年に早くも最初の改訂が設定されている。遠い未来の話
にみえる長期目標だが、研究開発に許された時間は、そう長くない。「CO2の大幅削減に向けた道筋を描けなければ国際
交渉で窮地に陥る」(アナリスト)と指摘されるなか、政府には技術革新の着実な具現化が求められる。(田辺裕晶)
原発関連死1368人に
本紙集計 1年で136人増 東京新聞2016年3月6日
東京電力福島第一原発事故で避難
した後、病状や体調が悪化して死亡した人を、本紙が独自に「原発関連死」と
して福島県内の市町村に取材したところ、二〇一一年三月十一日の発生後
から、総数は少なくとも千三百六十八人になったことが分かった。昨年三月の
調査から一年間で百三十六人増えた。事故から五年近い今も約九万九千人
の県民が県内外で避難生活を送り被害は拡大を続けている。(原発関連死取
材班)
同県内の各市町村は、東日本大震災の直接の犠牲者だけでなく、
避難生活の影響による死亡も「震災関連死」と認定し、災害弔慰金(最高五百
万円)を支給。各市町村の弔慰金申請資料に「原子力災害の避難中の死亡」
などの項目があり、本紙はこれらをもとに原発関連死を集計した。
県内の市
町村が認定した震災関連死は四日現在で二千二十八人。このうち67%が原
発関連死にあたった。福島第一原発が立地する大熊、双葉両町などを含む
双葉郡は原発被害が大きく、原発関連死は昨年三月十一日と比べ、浪江町
が二十一人増の三百八十人、富岡町が四十五人増の三百三十六人、双葉
町が十二人増の百四十人となっている。いわき市は震災関連死者が百三十
一人いるが、原発を理由とした死者数を把握していない。南相馬市は本紙の
取材に、震災関連死した四百八十五人のうち、この一年間に増えた十六人全
員が原発事故による避難者と答えたが、昨年三月以前については、原発避
難者かどうかの統計はないという。ただ、両市の担当者は、これまでの震災関
連死者について「多くは原発避難者」と話しており、この分を加えると原発関
連死の割合はさらに増える。震災から五年近くが経過し、震災関連死の申請
が認められない例も増加。認定率は今年一月末で76・7%となった。宮城県
の震災関連死は九百二十人(一月末現在)、岩手県は四百五十八人(同)。福島県の震災関連死は二千人を超え突出し
ており、原発事故の影響が大きい。本紙は一三年三月から定期的に原発関連死を集計している。<震災関連死と原発関
連死>
避難生活での体調悪化など震災の間接要因による死亡を市町村が「震災関連死」と認めれば、最高500万円の
災害弔慰金が遺族に支払われる。審査の統一基準はない。死後いつまでに申請しなければならないという決まりはないた
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め、過去1年間に認定された人でも、亡くなったのは数年前というケースも多い。本紙は震災関連死のうち、原発事故での
避難の影響で病気が悪化するなどして死亡した人の数を、各自治体に弔慰金申請書類などを調べてもらい、原発関連死
として集計している。
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