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都市型コミュニティのあり方とまちづくり方策検討研究会 検討概要

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都市型コミュニティのあり方とまちづくり方策検討研究会 検討概要
資料3-2
都市型コミュニティのあり方とまちづくり方策検討研究会
検討概要
<目的>
高齢社会に関する課題は、一般に個別の分野の取り組みによる解決は困難であると指摘されており、課
題の検討にあたっては、できる限り広い研究領域や学際的な体制が必要であることから、学識経験者を
含めた検討会を設置する。検討会は、国交省関連部局に加え、都市計画や交通計画、健康、医療、福祉、
コミュニティ等の様々な分野の専門家や高齢社会におけるまちづくりの課題に直面する地方自治体の
参加していただいた。
<研究会メンバー及び検討体制>
【研究会】
■学識経験者
岸井隆幸(座長)
秋山正子
久野譜也
酒向正春
田辺恵一郎
谷口 守
中川雅之
長沼 明
平野隆之
広井良典
村木美貴
室田昌子
渡辺修一郎
日大教授
(株)ケアーズ
筑波大教授
コペンハーゲン大客員教授
プラットフォームサービス(株)
筑波大教授
日大教授
志木市市長
日本福祉大学
千葉大教授
千葉大准教授
東京都市大准教授
桜美林大学大学院教授
都市計画
看護
健康
医療
コミュニティ
都市計画
都市経済
地方自治体
福祉
コミュニティ
都市計画
コミュニティ
医療
※アイウエオ順
■関連省庁
内閣官房
厚生労働省
地域活性化統合事務局
社会・援護局 地域福祉課
老健局 振興課
■国交省関連部局
都市局
都市政策課
都市安全課
都市計画課
市街地整備課
街路交通施設課
まちづくり推進課
住宅局
住宅総合整備課
市街地建築課
安心居住推進課
【事務局】(財)都市づくりパブリックデザインセンター、
(株)国際開発コンサルタンツ
1
平成 23 年度研究会
1
提言骨子
今年度の研究会で得られた知見
・全国自治体アンケートにより以下の内容が明らかとなった(資料2-A 参照)
① 市町村では、都市政策と健康・医療・福祉政策との連携の必要性が強く認識されている。
② 両者の政策連携に対して、財政・人的支援やノウハウの提供等が求められている。
③ 新しいコミュニティ活動が活発化しているものの、自治会などの地縁型のコミュニティに比
べて支援が手薄であり、財政面、人材育成、広報PR等の支援ニーズが高い。
・既往研究等の知見の整理により以下の内容が明らかとなった(資料2-B 参照)
① 外出頻度・歩数の増加と健康寿命との間には関連がある(エビデンスあり)。
② まちの機能・魅力・にぎわいと外出頻度・歩数との間には、ケーススタディ都市で一定の関
連は認められたものの、明確なエビデンスは得られなかったため、引き続き検討が必要
・ケーススタディにより以下の内容が明らかになった(資料2-C 参照)
① 芦屋市:
・健康・医療・福祉施設は、都市計画と連携した計画的な配置が求められているが、これら
の施設に関する法定計画には、具体的な配置計画や指針がない。このため、市全体の施設
の充足状況等を検討した上で、望ましい施設配置の案を提示し、これに基づいて都市部局
の職員と福祉部局の職員が合同で協議を行った。
② 志木市:
・良好な歩行環境や交流施設(ランチルーム等)の設置により、住民の外出が促される傾向
が明らかとなった。
・コミュニティ活動の主体により、交流の場が運営されているが、安定的な運営の継続や事
業規模の拡大等への対応を図る上で課題もある。また、行政と事業者、コミュニティ活動
主体がラウンドテーブル方式で議論することで、課題の共有が図られ、多様な分野との連
携の効果があることが明らかとなった。
③ 三条市:
・まちの機能・魅力・にぎわいと外出頻度・歩数の関係について、具体的な施策による効果
をある程度明らかにするとともに、エビデンスを得るための調査手法等を明らかにした。
2・調査全体を通じた知見に基づく施策の方向性
① 健康・医療・福祉施設や交流の場の計画的配置が必要
・現状では医療施設や福祉・介護施設に関する具体的な配置計画の指針は無いが、都市計画
マスタープランと健康・医療・福祉関係各種計画との連携の重要性は認識された。
・特に地域密着型サービス施設については、生活圏域(徒歩と公共交通を基本とした移動圏
域)に基づく配置が求められている。
・健康・医療・福祉施設の計画的配置を誘導するためには、各部署の施設配置に関する共通
理解に基づく施設整備やインフラ整備が求められる。
・歩行環境が充実し、交流の場を用意した地域では、そうでない地域に比べ住民が活発に外
出する傾向があり、これらの施設整備の充実が有効である。
・これらの施設の計画的配置や整備の推進を図ることにより、地域住民や民間事業者等のニ
ーズの把握が重要である。
② コミュニティ活動の促進が必要
・都市におけるコミュニティ活動を促進することにより、地域の活性化や、市民の居場所が
出来るなど、ソーシャルキャピタルの向上が図られる。また、高齢者の社会参画が促され、
市民の QOL(クオリティ・オブ・ライフ/生活の質)の向上も図られる。
・行政だけでは対応が難しい多様な課題に対し、市民の交流の場の設置をはかり、従来の地
域コミュニティや新たな都市型コミュニティとの連携により解決を図ることが可能となる。
・行政と事業者・コミュニティ等が官民連携施策についてラウンドテーブル方式で議論する
ことは、互いの情報共有や課題の気づき等に有効と考えられる。
・政策連携への持続可能な支援を得るためには、社会性と経済性を合わせた持ったゆるやか
なビジネスベースのコミュニティ活動と、それらを有効に連携させることが求められる。
2
3
研究会提言骨子
以上を踏まえた、本研究会の提言骨子は以下の通りである。
提言1.健康・医療・福祉施設や交流の場の計画的な立地の促進について
—健康・医療・福祉政策と連携した都市計画マスタープラン等の策定と、それに
基づく施設の立地促進のための仕組みが必要—
① 超高齢社会においては、健康・医療・福祉施設や多様な市民が交流できる場※1 の計画的な配
置が求められる。
※1:志木市のランチルーム、公園・広場など
② 健康・医療・福祉施設や交流の場をまちなかに計画的に誘導するために、都市計画 MP に以下
の内容を記載することが望ましい。
・市域全体の MP に健康・医療・福祉施設や交流の場の配置方針を記載
・市域全体の MP や地域別 MP に健康・医療・福祉施設や交流の場を初めとする諸機能を集積
すべき拠点地区を明示
・地域別 MP に施設の概略の配置を記載
③ まちづくりに関する個別の計画(都市再生整備計画・低炭素まちづくり計画等)は、②で作成
した都市計画 MP と整合するように作成していくことが必要である。
④ これらの施設の計画的配置を検討するために、地域コミュニティや都市型コミュニティとの連
携を図り、多様なニーズへの対応が可能となる検討の場が必要である。
⑤ 各都市における具体的な先行事例(パイロット事業等)の促進を図り、その実践を通じてノウ
ハウ等を集積し、施設のまちなかへの計画的な誘導のためのガイドラインの作成や都市計画運
用指針の見直しなどを進めるべきである。
⑥ 健康・医療・福祉に係わる関係省庁施策との連携を図りつつ、拠点地区への集積を誘導するた
めの支援方策を講ずるべきである。
⑦ まちの機能・魅力・にぎわいと外出頻度・歩数との関係について、一層検討を進め、エビデン
スを明らかにすべきである。
提言2.都市における持続可能なコミュニティ活動について
—コミュニティ活動の促進が必要—
① まちづくりと一体となって、健康・医療・福祉施設の計画的立地を進めることが必要であり、
そのためにはこれらの計画を支援するコミュニティ活動との連携が重要である。
② 地域のコミュニティによる交流の場の円滑な運営等を促進するためには、都市計画 MP の策定
や、まちづくりに関する個別の計画の策定プロセスに、コミュニティ活動の担い手の参画を進
めていくことが望ましい。
③ 安定的な運営の継続や事業規模の拡大等への対応を図る上では、純粋なボランティアベースの
コミュニティ活動だけではなく、適切な収入を得ながらゆるやかなビジネスベースの活動とす
ることに注目すべきである。このような活動は、担い手となる市民の参加意欲向上にも繋がり、
持続可能かつ相当の規模の活動となる可能性が高いため、行政・地域・利用者がともに協力し
て支援を行っていく必要がある。
④ 行政・民間事業者・多様なコミュニティ活動主体が協力して地域の課題解決を行うためには、
コミュニティ活動をマネージメントする仕組み(コミュニティマネジメント)が必要である。
例えば、地域のコミュニティ活動の核となる協議会(コミュニティ・プラットフォーム)の設
置等が考えられる。
■協議会の活動イメージ
地元住民、地元関係者の参加促進、ラウンドテーブル(計画づくり、事業運営会議等の協議
の場)の開催支援等、多様なコミュニティ活動の各分野の調整的対応
⑤ これらの取り組みについて、先行事例(パイロット事業等)を通じたガイドラインの作成や、
民間活動支援を行う既存制度の活用や拡充等による支援を検討すべきである。
3
都市再生整備計画事業の拡充(地方都市リノベーション事業)の概要
背景
地方都市では、人口減少と高齢化、地場産業の停滞などにより、地域の活力が低下しており、経済社会情勢の変化に応じた都市の再構築(リノベーション)
が喫緊の政策課題
①地方都市の既成市街地において、既存ストックの有効利用を図りつつ、将来にわたって持続可能な都市とするために
必要な都市機能(医療・福祉・子育て支援・教育文化・商業等)の整備・維持を支援し、地域の中心拠点の形成を図る。
②さらに、中心拠点と公共交通によって結ばれた駅・停留所の周辺部において、地域の
生活に必要な都市機能(医療・商業等)の整備・維持を支援し、生活拠点の形成を図る。
地域の生活を支え、公共交通の利用促進に
つながる生活に必要な都市機能を整備
近接する公共交通と一体的な施設整備
●中心拠点区域の要件
DID区域内、公共交通圏等(3大都市圏の政令市及び特別区を除く)
※生活拠点区域では一部要件を緩和
交付率の嵩上げ
(40%→50%)
中心部・周辺部全体として
持続可能な都市構造へ再構築。
低・未利用地を活用し、土地を有効利用する
ことにより、生活に必要な都市機能を確保
庁舎跡地→街区一体で整備
生活拠点区域(上記②)
区画整理・再開発
事業の要件緩和等
百貨店
跡地
○公共交通利用者の安全・快適性向上に資する事業の
場合 :民間事業者負担を1/3から1/5に軽減
駅
既存ストックの有効活用を図るため、コンバー
ジョンにより、生活に必要な都市機能を整備
大規模空き店舗→スーパー、図書館等
市役所
跡地
○低・未利用地の有効活用を図る事業の場合
:民間事業者負担を1/3から1/5に軽減
中心拠点区域(上記①)
生活に必要な都市機能の早期確保、空
きビル等の早期解消のため、賃借によ
る都市機能の整備
中心拠点の核の形成に向けて、生活に
必要な都市機能を複合整備
賃借による子育て支援施設の整備
生鮮食料品店、福祉施設等の立地
生活に必要な都市機能の支援内容
○下記の整備に要する費用
その他施設
医療施設
商業施設
○賃借に要する費用
○既存ストックの有効活用を図る事業の場合
:民間事業者負担を1/3から1/5に軽減
○複数の都市機能を有する事業の場合
:民間事業者負担を1/3から1/5に軽減
EV
・
階段
等
専有部整備費 ※
共同施設整備費
土地整備費
用地取得費 ※
設計費
※民間の場合は一部
朱書き・下線は拡充部分
4
○地域の生活に必要な都市機能を確保するまちづくり
(コンパクトシティ形成支援事業)
地域の⽣活に必要な都市機能
(医療・福祉・商業等)の整備
※地⽅都市リノベーション事業等の活⽤
コンパクトシティへのシナリオ
用途地域内
中⼼拠点への
公益施設等の移転促進
郊外部の都市的⼟地利⽤の転換
都市の⽣活圏の再構築
コンパクトシティの形成
移転する公益施設等の除却支援
郊外に⽴地する公益施設等(医療・福祉施設、
教育⽂化施設等)の中⼼拠点への移転を促進
するため、当該施設の除却・処分費を助成
中心拠点(※)
平成25年度
国費5億円(皆増)
除却・処分費⽀援による移転の促進
(イメージ)
(1/2;直接補助、1/3;間接補助)
(※)市町村が策定する
まちづくり計画に
おいて、中⼼拠点
を設定
移転した公益施設等の跡地の緑地化
公益施設等の除却⽀援に加え、移転跡地の
緑地整備費を助成
跡地の緑地化による⼟地利⽤転換の促進
(イメージ)
(1/2;直接補助、1/3;間接補助)
跡地の⼟地利⽤
転換の促進
都市機能の
集約化を促進
この他、下記項⽬について⽀援
公益施設等の移転に係る合意形成のためのコーディネート支援
緑地管理のための専門家派遣等
(1/2;直接補助、1/3;間接補助)
低炭素まちづくり計画の策定支援
(1/2;直接補助(地⽅公共団体向け))
等
5
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