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パソコン管理で合理的な経営

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パソコン管理で合理的な経営
農家訪問
“後継者には世間の苦労を味わわせてから”
“後継者には世間の苦労を味あわせてから”
パソコン管理で合理的な経営を
愛知県宝飯郡一宮町上長山
福井庄一&邦仁牧場
愛知県の酪農地帯と問われると、頭に浮かぶのは、
タイン種にはあまり興味が無かったようだ。
岡崎市を中心に渥美、知多両半島の酪農家を網羅して
自分は長男だったので当然農業の後を継ごうと決め
いる有名な酪農協の管轄地帯だと思いますが、このた
ていたので、昭和35年高校を終えると同時に迷うこと
びお伺いした福井牧場は、この地帯から僅かに外れて、
なく就農した。
JR豊橋駅より北に向かって車で約20分、東名高速豊川
就農するに当たって、今後の農業は酪農を中心に経
インターを降りて約10分の位置にあって、地元の農協
営すべきだと考えていたので、父を説得して酪農主体
と、畜産専門の宝飯畜産農協が役割分担(現在は愛知県
の経営に変換していった。
酪農協)し、御世話をしていた珍しい地区にあります。
この地区にあって早くからパソコンを購入して、合
理的で堅実な経営をされている福井牧場を紹介して頂
いたので、訪問致しました。
愛知県総合畜産センター種畜部で分析センターの責
任者の大矢専門員さんに案内して頂き、当団前橋種雄
■最愛のパートナーは牛飼いは白紙
¶「酪農と言っても始めはホルスタイン1∼2頭だっ
たが、勉強と、飼育環境を整えながら無理の無いよう
に牛を増やしていった。
しかし堅実に酪農経営をするには、良いパートナー
牛センター東海近畿事業所の伊藤課長代理と一緒に伺
を得ることが絶対に必要なことだと気がついた。
って、福井さんご夫婦と、後継者の邦仁さんから気持
幸い当時は青年団活動が盛んで、男女の交際の機会が
ちよく貴重なお話を伺いましたので報告致します。
多くあって、間もなく家もあまり遠くないところに住
まいのあった家内と出会って結婚することが出来た。
家内は、牛には無縁の家庭に育ったが、思った通り
一生懸命サポートしてくれたので、現在の我が家が有
ると感謝している」
ß「私の家はこの家から僅か2∼3分の所で、従来か
らこの土地で、兼業ですが農業をしていましたが、牛
は飼っていませんでした。
私は当時農協に勤めていましたが、農家に嫁ぐには
別に嫌いでは有りませんでした。
主人から話があった時、牛飼いは白紙でしたが、主
●左から大矢専門員、福井さん、奥様、邦仁さん、
東海近畿事業所 伊藤課長代理
人の人柄を信頼して嫁ぎました。
嫁いだ頃には乳牛が25∼30頭もいたと思いますが、
主人が親切に導いてくれましたので、別に困ったこと
■我が家の酪農は自分が始めた
「我が家がこの地区で農業を始めたのは、敗戦後、
父が開拓者として入植し、水稲に野菜、加えてお茶を
組み合わせた経営を始めたが、後半土作りと所得の向
上を兼ねてホルスタイン種を導入したが、父はホルス
も、苦労とも思いませんでした。
ただ子供が生まれてから、子供との触れあい、特に
朝夕に世話をしてやれなかった事くらいです。
幸い主人の両親が気持ちよく子供達の面倒を見てく
れたので、別に寂しさ感じ無かった様に思います」
20
農家訪問
■粗飼料は自給から購入(TMR)へ
「酪農を始めてしばらくは水田や畑にイタリアンや
ソルゴーを栽培してサイレージにし、与えたり、キャ
ベツやサツマイモ蔓を集めて給与していた。
水田転作が始まってからは、仲間と共同で大型機械
を導入して、自給飼料作りもやっていました。
しかし価格が高く、機械も大きかったのでなかなか
手が出なかったのが実際でした。
念願のパソコンを最初に買った年は、何年だったか、
はっきり覚えていないが、まもなく個人でも買える50
∼60万円に下がったのでさっそく買い求めたが、酪農
仲間では相当早いほうだったのを記憶している。
自分のモットーは、人にも牛にも無理を掛けないで
さっそく、経営分析を兼ねて行っていた青色申告の
合理的な経営をすると言うことですが、牛が50頭にも
記録を始め、牛群管理についてパソコン処理を始めた
増えてくると、牛の世話と外の飼料作り、特に共同作
が、経営を合理化するには随分役に立ってくれている
業に参加するのが心身共に無理になってきた。
が、現在使っているパソコンは既に7代(台)目にな
たまたまNOSAIがメディカルセンターを作ってTMR
る。」
を供給するようになったので、思い切って自給飼料栽
培をやめてTMRに切り替えた」
■後継者が決まって
フリーバーンで規模拡大
「我が家には長女、長男、次男の3人の子供を授か
ったが、どの子にも酪農を継いでくれとは一度も言わ
なかった。
長女は“農家でも良いが牛飼いは嫌”と言っていた
が、兼業農家に嫁いでいった。
また、長男は獣医師になると言って、大学卒業後獣
医師として、今は県のNOSAIに勤めている。
結局小さいときから牛が好きで、何時も牛舎に出入
りしていた次男が、酪農をしたいと言うので規模拡大
に踏み切り、次男の意見も取り入れてフリーバーン牛
舎に改造した」
●採食中の牛群と飼料掃き寄せ機
■可愛い後継者には旅をさせよ
「僕は物心ついた頃から牛が好きで牛舎に出入りし、
■飼養管理の苦労は少なかった
中学生になった頃から乳搾りの手伝いをしていた。
「酪農を始めるに当たっては、前にも話した様に特
そのうち酪農は朝晩だけ乳搾りをして、昼はのんび
別に研修等は受けなかったが、県の普及員や、飼料会
り好きな牛と一緒に楽しめるので酪農は良いなと、漠
社の指導員が親切に教えてくださったのと、牛に無理
然とではあるが酪農家を夢見るようになっていった。
を掛けなかったので、現在まで特別、困ったこともな
高校に進む際、当地愛知県では名の通っていた安城
くやってきた。
またBSEが発生するまでは廃用牛も比較的に高く売
れていたので、家畜商の方が廃用牛を上手に処置して
農高で酪農を学びたいと思っていたところ、中学の進
学指導の先生から、普通高校に行ってさらに上の学校
を目指せと薦められた。
くれ、後継牛も我が家に合うような牛を入れてくれた
牧場のご家族
ので、特別気に入った牛の雌子牛以外の育成はあまり
しなかった」
■パソコン管理で合理的経営
「安定的な酪農経営をするには、記録が欠かせない
と信じており、記録にはパソコンが最適だと思って早
くから興味を持っていた。
21
続 柄
お 名 前
お 年
妻
利 枝
60才
後 継
邦 仁
33才
妻
寛 子
31才
長 男
健 太
1才
次 男
康 介
0才
農家訪問
れた。
補助事業を受けて一番大変なのは会計検査を受けな
ければならない事で、これには担当者として大いに悩
まされた。
一方、借入金は金利関係等によって、やや負担が多
くなることがあるかもしれないが、自分の思いのまま
の物が、希望する時期に出来るし、なんと言っても会
計検査の無いのが何よりで、改めて父の考え方が理解
できて、父と同じようなやり方で整備することにした」
●フリーバーンの中の牛群
何も分からなかったので言われるままに普通高校に
行ったが、結局愛知県立農業大学校酪農専攻に2年、
研究部に2年合計4年酪農を学んだので回り道ををした
感じがした。
さて牛飼いが出来ると喜んでいたところ“このまま
世間を知らずに経営に加わったのでは良い酪農家には
なれない。一度世間の風にあたってから参加しなさい”
と父に言われて、地元の農協に就職し、畜産課に配属
され、農家指導を担当させられたが、父に言われた通
り貴重な勉強をさせて貰った。待望の我が家の経営に
参加出来るまでには、高校を出てから通算8年経って
●堆肥貯蔵施設
いた」
■酪農部門はその日に任かされた。
「農協を退職した翌日、今朝くらいは少しゆっくり
して牛舎に出ても良いだろうと布団の中にいたところ
■つなぎ牛舎をフリーバーンに改造
「勤めをしたお陰で牛舎についてもいろいろ勉強さ
せて貰った。
“経営者がこんなに横着な事では駄目だ!と大目玉を
父と相談しながら検討した結果、我が家の状態から
食って飛び起きたが、その朝“今から酪農の事はお前
無理のない経営をするには、フリーバーンが適当だろ
に任せる”と酪農のことはすべて任せて貰えた」
うと言うことになった。
たまたま酪農家の中で、我が家と同じ様な考え方で、
■牛舎等、施設整備は制度資金等思うままに
「父は牛舎の建築等施設整備をする場合は、必ず必
従来の“つなぎ牛舎”をフリーバーンに改造した方が
おり、改造の過程を克明にビデオテープに記録してお
要なもの以外は作らず、補助事業の対象になる様な物
られ、それを見せてもらったのが大いに参考になった。
でも、資金は手持ちで金を第一に、不足した場合だけ
フリーバーンは平成10年暮れ頃から改造を始め、完
借り入れで賄って、決して無理な投資はしなかった。
成したのは翌11年6月だった」
僕も農協勤務中にいろいろな人に出会い、様々なケ
ースを見て勉強させて貰った。
補助事業で施設等を作ると、補助金が貰えるのは確
かに魅力ではあるが、要項に縛られたり、手続きに面
■淘汰と繁殖管理は牛群検定で
「酪農は投資の多い割りに儲けは多くない。従って
出来るだけ無駄は省かなければならない。
倒な事も多く、そのため本人の希望する時期に間に合
それは能力の劣る牛や、乳房炎等トラブルを起こし
わなかったり、希望より少しはずれたりする事も見ら
やすい牛、繁殖の良くない牛等を、何時までも牛群に
22
農家訪問
留めない=淘汰することも大事なことだ。
これには牛群検定を受けるのが効果的だと聞いたの
で、10年前から牛群検定に参加して大いに活用してい
る」と福井さん。
「淘汰も大事だが、酪農は繁殖が良くなければいけ
ないので、僕はその上に繁殖管理にも利用している」
こちらは邦仁さん。
●フリーバーンの牛群
■環境対策も万全
「頭数が増えると当然排泄物も増えてくる。
初めの頃は田畑に入れて循環型で処理していたが、
自給飼料栽培を止めてからだんだん難しくなってき
た。
●清潔な哺育用ハッチ
平成11年から規制が強化されるので、それまでには
堆肥処理場を完成しなければならなかったが、これも
■種雄牛は検定済み上位牛から
「前に話したように以前は廃用牛の価格が高かった
ので、家畜商に依存していれば良かったが、BSEが出
て以来、従来のようにはうまく行かなくなったのと、
牛群検定を始めて牛群の状態がはっきり解ってきた。
自己資金と借入金で建設した。
前にも話したが、補助事業で計画した人の中にはま
だ完成しないのもある。
処理した堆肥は70%を戻し堆肥で再利用し、残りは
近所の野菜農家に供給して喜ばれている」
前から検定済み種雄牛に加えて、輸入精液も僅かに
使っていたがあまり吟味していなかった。
そこで最近では国産の種雄牛の中で、成績の上位の
ものを選んで授精している。
牛舎改造等で一時低迷した事もあったが、牛舎が完
成してから乳量も安定して伸びてきた。
牛群作りについても、母牛の能力を見ながら雌子牛
を確保して、積極的に後継牛の確保を図っている。
後継子牛は我が家で2週間∼2ヶ月間面倒を見た後、
愛知県営の育成牧場に預託、さらに愛知県酪農農協が
契約している、北海道の牧場に送って受胎した後、牛
●堆肥処理装置
群に加えている。
ショウにもこれはと思う牛を参加させているが、今
年も愛知県ホルスタイン共進会に出品した牛が、2歳
級のチャンピオンに入賞する栄に浴した。ちなみにこ
の牛の種雄牛はP5946ジェハーソンの娘牛だ」
■経営の将来に対する考え
「あまり多頭数に増やして、無理に乳量を増やすよ
うなことは考えていない。
無理をしないで、人も牛も健康で堅実な経営を続け
ていきたい」
23
農家訪問
福井牧場検定成績の推移
表1「繁殖の情報」
平成15年9月∼平成16年9月
「検定日管理情報」と「年間管理情報」で見る。
区 分
平 均
搾乳日数
平 均
体 重
121以上
空 胎
平 均
平 均
平 均
平 均
平 均
分娩後
乾乳日数 分娩間隔 初産月齢 空胎日数 授精回数 初回授精
H15-09
187
598
5
65
382
25
99
2.5
H16-09
195
600
14
59
386
25
98
2.4
評 価
点
評
価
56
87.8
優
65
88.8
優
※121日以上空胎は、
「空胎日数別頭」のうち121日∼の頭数
表2「改良の情報」
「牛群の成績」抜粋と「一頭当たり成績」
平 均 平 均 搾乳牛 経産1日 搾乳1日 平 均 平 均 平 均 一頭当り 平 均 平均経産 平均初産 平均初産
補正量 牛1頭 補正乳量 期待量 乳量差
経産頭数 搾乳頭数
率 1頭乳量 1頭乳量 F % P % SNF% 濃飼給与
kg
kg
kg
kg
kg
検定日H15
86.0
73.0
84.9
26.3
31.0
3.33
3.52
9.14
10.0
検定日H16
93.0
78.0
83.9
28.2
33.7
3.28
3.51
9.09
10.0
過去1カ年の平均H15
89.1
76.0
85.3
26.1
30.6
3.69
3.48
9.08
10.0
10.102 9.533
過去1カ年の平均H16
87.0
76.5
87.9
28.4
32.3
3.42
3.58
9.22
10.0
11.034 10.404 11.319 9.041 2.278
9.779
7.785 1.994
※搾乳牛率は、
(搾乳牛頭数÷経産牛頭数)×100で経産牛の稼働率を見る。過去1ヵ年の目標85%以上
表3「経営の情報」
「牛群成績」抜粋(過去1カ年)
生 乳
搾乳牛
経産牛
総乳量 飼 料 乳 価 飼 料 総乳代 総濃飼費 乳代−
濃飼費 乳飼比 100KG
1頭
1頭
(KG) 単価(円) (円) 効 果 (千円)(千円)(千円)
濃飼費(円)粗利益
(円) 粗利益
(円)
検定日
過去1カ年
H15
2.236
38
101.8
3.1
237
29
208
12
1.227
2.737
2.334
32.3
32.7
H16
2.481
38
100.8
3.2
250
29
221
12
1.174
2.889
2.540
29.7
31.0
区 分
乳飼比の推移
※数値は1日当たりに換算。乳価は総乳代÷総乳量で計算
粗利益は{
(乳代−濃厚飼料費)÷365日}÷それぞれの頭数で計算
{
1、検定成績の推移
90
これは平成15年と平成16年9月の検定成績表で2年間
平
均
搾
70
10
0
H16
11
12 0
13 0
0
14
日
15 0
0
1.8
2.0
日
0
20
数段向上している現在ではなかなか出来ない成績で
月
90
数
日
胎
0
空
0
18
数
日
多く得られるからですが、調査された時期より能力が
21
均
平
均
0
20
平
精
0
16
平均分娩間隔が380日前後が良いのは、乳量が最も
19
授
0
14
受
胎
ま
平で
均 に 2.4
回
授要
精 し 1.6
2.5
回 た 1.4
数
17
回
0
12
ぼ目標に近い素晴らしい成績です。
未経産牛初回授精月令
0
カ月
65
日 15
80
0
56
初
80
繁殖のキーワードは平均分娩間隔ですが2年ともほ
195
日
160
187
後
娩
が、2年間ほぼ同じ状態です。
分
平均初産月令
25
カ月令
24
25
98
日
100
99
32 30 28 26
図1は年間の成績の中の主な項目を図にした物です
15
月
隔
績です。
間
386
日
380
382
娩
分
均
で評価しますと2年とも優に評価されるほど優秀な成
2.2
2.5 回
す。
授精平均がはみだしている事ですがこれについては後
淘汰牛の判断に利用する”と言われ、邦仁さんは“淘
で触れます。
汰と繁殖の情報を重視する”と話されましたがその成
②改良の情報(表2)
少し気になるのは授精回数が飛び出し、分娩後初回
平 50
均
乾 59 日
乳 60
日 65
数
平
家畜改良事業団で作成された「繁殖成績簡易評価表」
日
0
22
5
5 40
5 20
4 00
日
46 80
4 0
4 40
40 20
0
70
①繁殖の情報(表1)
果が表われています。
日
80
の推移を見ました。」
お話の中で福井さんは“牛群検定成績表を見て特に
H15.9月
H16.9月
乳
日
数
■一寸検定情報を拝見
図1「年間管理情報」
ここでは過去1ヶ年の搾乳牛1日1頭当り乳量を見て
下さい。
24
農家訪問
平成15年が30.6kg→平成16年は32.3kgと順調すぎる
図3「検定日の乳量と乳脂肪の分布」を見て下さい。
くらい伸びました。
これはH16年の検定日乳量と、F%の合う点に牛コード
平均補正乳量も平成15年10.102kg→平成16年
を入れ、問題のある牛コードには凡例に示したように
11.034kgできちんとこれを裏付けており、能力をリー
チェックしました。
ドする初産の平均補正乳量も平成15年9.779kg→平成16
図で見て下さい。平均乳量より乳量の多い牛のF%
年は11.319kgときわめて順調に向上して、お話の中で
が3.4%以下が多く、ほとんどに黒い丸=P%、SNF%
“改良の成果に手応えがあった”と言われた事が裏付
が非常に高くなっています。
けられています。
このようなバランスでは発情は、はっきり分かりま
少々気になるのが乳成分のバランスです。
すが、受胎し難く、分娩後初回授精平均日数は早いが、
授精回数は多くなる元をつくります。
図2 乳成分の推移
区分
受胎した牛(緑色でチェック)した265、267の様に
F%
P%
SNF
検定日
3.33
3.52
9.14
106
2.74
過去1
3.28
3.51
9.09
107
2.77
検定日
3.69
3.48
9.08
94
2.46
過去1
3.42
3.58
9.22
105
2.70
低すぎるもの、反対に184、301の様に高すぎる牛が分
P/F SNF/F
娩後の飛び出しを悪くして原因を作ります。受胎した
牛の取り扱いに一工夫する必要があります。
H15
③経営の情報(表3)
経営コストは「生乳100kg生産に必要な濃厚飼料費」
H16
で見るのも一つの見方です。
TMRですから正確には捕らえられませんがずーっと
同じ方法で報告されていると、経時的に見ると生産コ
それぞれP%/F%、SNF%/F%を計算しました。
ストの傾向が解ります。
平成16年の検定日だけやや改善されましたが、F%に
また“1頭あたり粗利益”を計算して、経時的に見
対してP%、SNF%が高すぎます。
る一つの方法で、牛群の平均が前の年より良くなって
この様な乳成分バランスですと乳量は伸びますが、
いるのは良い点です。
繁殖に影響するだけで無く、他のトラブルが起きる恐
2、「牛群改良情報」で遺伝的能力を見る
れがあります。
「牛群改良情報」の一番下の表7「推定育種価」
図3
237
(EBV)・「推定生産能力」
(EPA)がそれです。
検定日の乳量と乳脂肪の分布
平成16年9月福井牧場
乳脂率 %
遺伝的能力を教えてくれる上段のEBV・M(乳量)
33.7kg
5.0
184 301
269
を見ましょう。
298
277
乳量のEBVは+370kgで、全国の+389、愛知県の+490
244
227
4.5
より劣っていますが、上から2番目の表5「平成15年で
272
267
201
312
305 292
298
の飼養管理技術の指標の平均」を見ますと、牛群は
315 245
306 249
279
307 285
4.0
284
7.543kgで、全国の7.342kgを大きく上回り、愛知県の
256
257
7.430kgを上回っていますが何故でしょう。
194
224
209
189
3.5
3.28%
313
3.0
牛コード
牛コード
凡
牛コード
例
牛コード
2.5
牛コード
2.0
243
198
304
310 323
291
254
263 268
全成分低
311
F%3.4以下SNF%8.5以上
5
324
314
136
273
264
316 317
319
F%3.5以上SNF%8.4以下
188
分娩後40日以下
15
次に各乳成分のEBVを見ましょう。
F%のEBVはやや低く-0.02%ですが、P%、SNF%
は0.00%で、検定成績表に表われている様なF%が明
受胎した牛
10
押し上げています。最近牛群に加わった牛が貢献し出
した効果でしょう。
294 322
20
25
30
35
40
251
265
45 267 50
276
25
ずーっと低迷していた従来のEBVを一挙に2倍近く
231
308
392
て下さい。
321
250 270
293
318
0
表6、「あなたの牛群の推定育種価」の産乳成分を見
259
309
290 289
197
271 203
266 283
088
296 320 421 291 204
乳量kg
らかに低い偏った乳成分アンバランスではありませ
ん。
農家訪問
一番上の表4「あなたの牛群の飼養管理技術の指標
最初の平成6年は今より少ない頭数ですが、F%3.94、
の推移」を見て下さい。
P%3.22、SNF%8.79でややF%が高くSNF%低でした。
これは初産月齢を26ヶ月に補正し、天候などの環境
それがだんだん逆になって、現在のF%低になりま
の効果も含んでいますので、成績表にある乳成分に近
した。TMRの成分検査も必要では?
いものです。
牛群改良情報(農家情報)
表4 あなたの牛群の飼養管理技術の指標の推移(注2)
分
娩
量 乳
数 乳
年 頭
(kg)
平成 5年
6
7
8
9
10
11
12
13
14
555
672
731
761
756
729
731
722
691
3.22
3.25
3.26
3.31
3.31
3.33
3.40
3.46
3.53
203
246
268
282
280
270
274
274
266
3.94
3.76
3.71
3.72
3.77
3.69
3.71
3.77
3.81
249
285
306
317
319
299
300
299
287
6,309
7,572
8,239
8,522
8,455
8,116
8,070
7,923
7,543
21
27
31
34
44
49
73
78
78
脂
率 蛋 白 質 量 蛋 白 質 率 無脂固形分量 無脂固形分率
脂
量 乳
(%)
(kg)
(%)
(kg)
(%)
(kg)
8.79
8.88
8.88
8.93
8.94
8.98
9.06
9.11
9.16
表5 平成15年での飼養管理技術の指標の平均(注2)
量 乳
農 家 戸 数 乳
─
32
124
5509
4815
10324
あなたの牛群
あなたの組合
愛
知
県
北
海
道
都
府
県
全
国
(kg)
7,543
7,667
7,430
7,338
7,347
7,342
脂
率 蛋 白 質 量 蛋 白 質 率 無脂固形分量 無脂固形分率
脂
量 乳
(%)
(kg)
(%)
(kg)
(%)
(kg)
9.16
691
3.53
266
3.81
287
8.95
687
3.36
258
3.79
291
8.93
664
3.35
249
3.85
286
8.92
654
3.36
247
4.00
293
8.89
653
3.33
245
3.95
290
8.91
654
3.35
246
3.97
292
表6 あなたの牛群の推定育種価
(EBV)
の推移(上段:除籍牛を含む平均値 下段:除籍牛を含まない平均値)
除 籍 牛 含 頭
除 籍 牛 除
平成 7年
生まれ
8年
9年
10年
11年
12年
以降生まれ
数 乳 量 乳 脂 量 乳 脂 率 蛋白質量 蛋白質率 無脂固形分量 無脂固形分率 乳代効果
(円) 総合指数
(kg) (kg) (%) (kg) (%) (kg) (%)
(NTP)
−1 −0.01
+23
17
+1 −0.01
0 −0.01
+732
15
1
30
8
26
10
23
20
37
34
+44
+22
+232
+195
+106
+247
+229
+270
+534
+547
−3
−15
+9
+4
+8
+10
+11
+13
+16
+16
−0.05
−0.19
+0.01
−0.03
+0.05
+0.02
+0.03
+0.04
−0.04
−0.05
−2
−1
+5
+5
+3
+7
+8
+9
+16
+17
−0.03
−0.02
−0.02
−0.01
0.00
−0.01
+0.01
0.00
−0.01
0.00
0
+13
+19
+17
+10
+20
+21
+24
+46
+47
−0.04
+0.13
−0.01
+0.01
+0.02
−0.02
+0.01
+0.01
−0.01
0.00
−183
−227
+18261
+14387
+10349
+19436
+19587
+22851
+40479
+41396
+955
頭
数
(注3) 産乳成分
−3
1
−17
−31
+45
+40
+30
+58
+64
+74
+125
+128
表7 推定育種価
(EBV)
・推定生産能力
(EPA)
の平均(上段:推定育種価 下段:推定生産能力)
数 乳 量 乳脂量
(kg) (kg)
+12
74 +370
+12
+399
+14
1705 +524
+15
+579
+12
5071 +490
+14
+541
+11
277971 +381
+12
+411
+9
113840 +387
+10
+426
+10
391811 +383
+12
+416
E
B
V 頭
E
P
A
あなたの牛群
あなたの組合
愛
知
県
北
海
道
都
府
県
全
国
乳 脂 率 蛋白質量 蛋白質率 無脂固形分量 無脂固形分率 乳代効果
(円) 総合指数
(%) (kg) (%) (kg) (%) 生産効果
(円) (NTP)
−0.02
+32 0.00 +28590 +955
+11 0.00
−0.03
+35 +0.01 +30512
+12 0.00
−0.06
+44 −0.02 +38605 +681
+15 −0.02
−0.06
+49 −0.02 +42637
+16 −0.02
−0.06
+41 −0.02 +35715 +606
+13 −0.02
−0.07
+45 −0.02 +39580
+15 −0.02
−0.03
+33 0.00 +28751 +488
+11 −0.01
−0.03
+35
0.00 +31032
+12 −0.01
−0.06
+32 −0.02 +27806 +493
+10 −0.02
−0.06
+35 −0.02 +30823
+11 −0.02
−0.04
+32 −0.01 +28476 +490
+11 −0.01
−0.04
+35 −0.01 +30971
+12 −0.01
頭
数
(注3) 産乳成分
1
+89
523
+113
1926
+103
91197
+86
41499
+78
132696
+84
(注1)
農家情報には参考情報掲載牛は含みません。
(注2)
飼養管理技術の指標は天候などの環境の効果も含みます。
(注3)
総合指数は、
初産体型審査成績がない雌牛については計算できないために頭数が異なります。
26
農家訪問
僅かに14%でした。
また交配の適否、後継牛の善し悪しを見る「牛群改
良情報の参考情報」(未掲載)には10頭が載せられて
いますが、産乳成分の%順位は3%∼45%にランクさ
れたものが9頭で、残りの1頭の産乳成分も64%で牛群
作りは順調に進んでいました。
■後継者の奥さんも非農家育ち
邦仁さんは平成14年2月、隣町の寛子さんと結婚さ
れましたが、寛子さんもお姑さんと同じよう酪農には
無縁の非農家育ちで、勤めを辞めて酪農家のパートナ
●ミルキングパーラー
ーになられました。
◎「牛群改良情報の個体情報」(未掲載)で個体の成
ちょうど2人目の康介ちゃんを出産されて間がなか
績を見ました。
ったのでお話を伺えなかったのは残念でしたが、お忙
74頭の成績がありましたが、産乳成分の%順位が
しい中、お話頂いた親子御三人の息がぴったり合って、
1%∼50%の間にランク付けされたものが実に57%も
代わる代わるさわやかに話して頂いた事に感謝しなが
ありますが、そのほとんどは国産種雄牛です。
ら失礼しました。
なお娘牛を後継牛にしたくない80%∼90%台の牛は
●ETニュースレターNo.28
●ETニュースレターNo.27
●ETニュースレターNo.26
●ETニュースレターNo.25
●ETニュースレターNo.24
●ETニュースレターNo.23
●ETニュースレターNo.22
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価格は送料・税込み
●その他資料
LIAJ News《当団機関紙》
─隔月 発行─
卵通信《当団の体外受精卵情報》 ─年4回発行─
DIARY SIRE DIRECTORY 2004-5月
2004 黒毛和種種雄牛案内
お問い合わせ、お申込みは、最寄りの種雄牛センター、または
〒104-0031 東京都中央区京橋1-19-8 大野ビル
(社)家畜改良事業団 事業部
(電話 03-3561-8151 ファックス03-3561-8156)までお申しつけください。
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